(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-09-29
(54)【発明の名称】偏光フィルター及びその製造方法、表示パネル
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20250919BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571965
(86)(22)【出願日】2023-09-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2023118006
(87)【国際公開番号】W WO2025050416
(87)【国際公開日】2025-03-13
(31)【優先権主張番号】202311144994.X
(32)【優先日】2023-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ウェイハン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ・ジーチャオ
【テーマコード(参考)】
2H042
2H149
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA03
2H042BA12
2H042BA20
2H149AA02
2H149AB01
2H149BA02
2H149CA02
2H149EA12
2H149FA08Z
2H149FA42Z
2H149FA43Z
2H149FC06
2H149FD12
2H149FD25
2H149FD48
(57)【要約】
本願は、偏光フィルター及びその製造方法、表示パネルを提供し、偏光フィルターは偏光膜と、偏光膜の片側に配置された保護層とを含み、保護層の偏光膜から遠い側には凹凸構造が配置され、凹凸構造は形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含み、それにより、従来の表示装置に虹ムラ現象が存在するという技術的課題を解決した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光膜と、
前記偏光膜の片側に配置された保護層と、を含み、
ここで、前記保護層の前記偏光膜から遠い側には凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造は、形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含む、
偏光フィルター。
【請求項2】
前記偏光フィルターは、前記保護層の前記偏光膜から遠い側に配置された調光膜をさらに含み、前記調光膜の片側は前記凹凸構造を有する、
請求項1に記載の偏光フィルター。
【請求項3】
前記調光膜の前記保護層から遠い側は、前記凹凸構造を有し、
前記調光膜は、基材層と、前記基材層内に分散した第1拡散粒子とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記調光膜の前記保護層から遠い側の表面から突出して前記凹凸構造を形成する、
請求項2に記載の偏光フィルター。
【請求項4】
前記調光膜の前記保護層から近い側は、前記凹凸構造を有し、
前記調光膜は、基材層と、前記基材層内に分散した第1拡散粒子とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記調光膜の前記保護層から近い側の表面から突出して前記凹凸構造を形成する、
請求項2に記載の偏光フィルター。
【請求項5】
前記調光膜は、前記基材層内に分散した第2拡散粒子をさらに含み、前記第2拡散粒子及び前記第1拡散粒子は、前記調光膜の同一側の表面から突出し、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記第2拡散粒子の前記凹凸構造から遠い側に位置する、
請求項3に記載の偏光フィルター。
【請求項6】
前記第1拡散粒子の粒径は、前記第2拡散粒子の粒径よりも大きい、
請求項5に記載の偏光フィルター。
【請求項7】
前記基材層は紫外線硬化樹脂基材を含み、前記第1拡散粒子はポリメチルメタクリレート粒子を含み、前記第2拡散粒子は二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、二酸化亜鉛粒子のうち少なくとも一つを含む、
請求項6に記載の偏光フィルター。
【請求項8】
前記偏光フィルターのヘイズ範囲は20%~70%である、
請求項2に記載の偏光フィルター。
【請求項9】
複数の前記サブ凹凸表面の法線と前記保護層が位置する平面に対して平行な平面とのなす角度は、0°~180°の範囲に分布する、
請求項1に記載の偏光フィルター。
【請求項10】
偏光膜の片側に保護層を貼り付けることと、
前記保護層の前記偏光膜から遠い側に凹凸構造を作製し、前記凹凸構造は形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含むことと、を含む、
偏光フィルターの製造方法。
【請求項11】
前記保護層の前記偏光膜から遠い側に凹凸構造を作製するステップは、
紫外線硬化樹脂、紫外線硬化モノマー、第1拡散粒子を溶剤に混合して調光液を形成することと、
前記調光液を前記保護層の前記偏光膜から遠い側にコーティングすることと、
前記調光液を硬化させて前記調光膜を形成し、前記調光膜の片側は前記凹凸構造を形成することと、を含む、
請求項10に記載の偏光フィルターの製造方法。
【請求項12】
前記調光液は第2拡散粒子をさらに含み、前記第2拡散粒子の粒径は前記第1拡散粒子の粒径よりも小さく、前記第2拡散粒子は、粒径が30nm~70nmである無機二酸化ケイ素粒子を含み、前記第1拡散粒子は、粒径が2μm~3μmであるポリメチルメタクリレート粒子を含む、
請求項11に記載の偏光フィルターの製造方法。
【請求項13】
前記調光液において前記第1拡散粒子及び前記第2拡散粒子の質量分率の範囲は2.5%~20%であり、ここで、前記第1拡散粒子と前記第2拡散粒子との比の値は7:3である、
請求項12に記載の偏光フィルターの製造方法。
【請求項14】
偏光フィルターを含み、前記偏光フィルターは、
偏光膜と、
前記偏光膜の片側に配置された保護層と、を含み、
ここで、前記保護層の前記偏光膜から遠い側には凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造は、形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含む、
表示パネル。
【請求項15】
前記偏光フィルターは、前記保護層の前記偏光膜から遠い側に配置された調光膜をさらに含み、前記調光膜の片側は前記凹凸構造を有する、
請求項14に記載の表示パネル。
【請求項16】
前記調光膜の前記保護層から遠い側は、前記凹凸構造を有し、
前記調光膜は、基材層と、前記基材層内に分散した第1拡散粒子とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記調光膜の前記保護層から遠い側の表面から突出して前記凹凸構造を形成する、
請求項15に記載の表示パネル。
【請求項17】
前記調光膜の前記保護層から近い側は、前記凹凸構造を有し、
前記調光膜は、基材層と、前記基材層内に分散した第1拡散粒子とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記調光膜の前記保護層から近い側の表面から突出して前記凹凸構造を形成する、
請求項15に記載の表示パネル。
【請求項18】
前記調光膜は、前記基材層内に分散した第2拡散粒子をさらに含み、前記第2拡散粒子及び前記第1拡散粒子は、前記調光膜の同一側の表面から突出し、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記第2拡散粒子の前記凹凸構造から遠い側に位置する、
請求項16に記載の表示パネル。
【請求項19】
前記偏光フィルターのヘイズ範囲は20%~70%である、
請求項15に記載の表示パネル。
【請求項20】
複数の前記サブ凹凸表面の法線と前記保護層が位置する平面に対して平行な平面とのなす角度は、0°~180°の範囲に分布する、
請求項14に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は表示技術分野に関し、特に偏光フィルター及びその製造方法、表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示技術の急速な発展に伴い、液晶ディスプレイは最初の小型携帯電話の画面から現在の大型のパソコン、テレビ画面に広く応用されており、表示技術分野で主流の製品となっている。そのため、市場は、表示装置の画質及び環境適合性に対してより高い要求を求めている。
【0003】
液晶表示装置の構造は、主に2枚のガラス基板の間に1層の液晶を挟んで、下から上には、バックライト、導光板、下側偏光フィルター、下側ガラス基板、薄膜トランジスタアレイ、液晶層、カラーフィルタ、上側ガラス基板、上側偏光フィルターである。バックライトから出射する光源は、導光板によって拡散され、次に下側吸収軸90°方向(紙面に対する垂直方向)の偏光フィルターを通過して自然光90°方向の成分が吸収され、それにより、偏光方向が0°方向(紙面に対する平行方向)に平行な直線偏光になる。電界の変化がない場合、液晶分子は偏向しなく、出射する直線偏光の偏光方向は変わらないながら上側吸収軸0°方向の偏光フィルターに吸収されるため、光が透過しなく、暗い状態を呈する。電流がトランジスタを通過して電界の変化が生じる場合、液晶分子は偏向し、水平直線偏光の偏光方向が垂直になるため、上側偏光フィルターを透過して吸収されなく、明るい状態を呈する。また、上層ガラスはカラーフィルターと貼り合わされており、色度学の原理に基づいて、各画素は3つのサブ画素RGBから構成され、これらの赤青緑色を発光するサブ画素は、混合された後、ユーザの目に伝わって、多彩な表示画面になる。
【0004】
表示装置の動作原理において、偏光フィルターは極めて重要な光スイッチ作用を果たし、それは基本的に基材保護層、偏光層、液晶補償層、感圧(Pressure Sensitive Adhesive,PSA)接着剤、離型フィルムから構成される。長期の応用過程において、基材保護層を用いてポリエチレンテレフタレート(Poly ethylene terephthalate,PET)基材の偏光フィルターとし、PET材料の結晶特性により、複屈折効果を形成し、表示装置に虹ムラ現象が発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は偏光フィルター及びその製造方法、表示パネルを提供し、それにより、従来の表示装置に虹ムラ現象が存在するという技術的課題を緩和する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願が提供する技術案は以下の通りである。
【0007】
本願の実施例は偏光フィルターを提供し、前記偏光フィルターは、
偏光膜と、
前記偏光膜の片側に配置された保護層と、を含み、
ここで、前記保護層の前記偏光膜から遠い側には凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造は、形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含む。
【0008】
本願の実施例に係る偏光フィルターでは、前記偏光フィルターは、前記保護層の前記偏光膜から遠い側に配置された調光膜をさらに含み、前記調光膜の片側は前記凹凸構造を有する。
【0009】
本願の実施例に係る偏光フィルターでは、前記調光膜の前記保護層から遠い側は、前記凹凸構造を有する。前記調光膜は、基材層と、前記基材層内に分散した第1拡散粒子とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記調光膜の前記保護層から遠い側の表面から突出して前記凹凸構造を形成する。
【0010】
本願の実施例に係る偏光フィルターでは、前記調光膜の前記保護層から近い側は、前記凹凸構造を有する。前記調光膜は、基材層と、前記基材層内に分散した第1拡散粒子とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記調光膜の前記保護層から近い側の表面から突出して前記凹凸構造を形成する。
【0011】
本願の実施例に係る偏光フィルターでは、前記調光膜は、前記基材層内に分散した第2拡散粒子をさらに含み、前記第2拡散粒子及び前記第1拡散粒子は、前記調光膜の同一側の表面から突出し、一部の前記第1拡散粒子は、前記第2拡散粒子の前記凹凸構造から遠い側に位置する。
【0012】
本願の実施例に係る偏光フィルターでは、前記第1拡散粒子の粒径は、前記第2拡散粒子の粒径よりも大きい。
【0013】
本願の実施例に係る偏光フィルターでは、前記基材層は紫外線硬化樹脂基材を含み、前記第1拡散粒子はポリメチルメタクリレート粒子を含み、前記第2拡散粒子は二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、二酸化亜鉛粒子のうち少なくとも一つを含む。
【0014】
本願の実施例に係る偏光フィルターでは、前記偏光フィルターのヘイズ範囲は20%~70%である。
【0015】
本願の実施例に係る偏光フィルターでは、前記サブ凹凸表面の法線と前記保護層が位置する平面に対して平行な平面とのなす角度は、0°~180°の範囲に分布する。
【0016】
本願の実施例は偏光フィルターの製造方法をさらに提供し、前記偏光フィルターの製造方法は、
偏光膜の片側に保護層を貼り付けることと、
前記保護層の前記偏光膜から遠い側に凹凸構造を作製し、前記凹凸構造は形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含むことと、を含む。
【0017】
本願の実施例に係る偏光フィルターの製造方法では、前記保護層の前記偏光膜から遠い側に凹凸構造を作製するステップは、
紫外線硬化樹脂、紫外線硬化モノマー、第1拡散粒子を溶剤に混合して調光液を形成することと、
前記調光液を前記保護層の前記偏光膜から遠い側にコーティングすることと、
前記調光液を硬化させて前記調光膜を形成し、前記調光膜の片側は前記凹凸構造を形成することと、を含む。
【0018】
本願の実施例に係る偏光フィルターの製造方法では、前記調光液は第2拡散粒子をさらに含み、前記第2拡散粒子の粒径は前記第1拡散粒子の粒径よりも小さい。前記第2拡散粒子は、粒径が30nm~70nmである無機二酸化ケイ素粒子を含み、前記第1拡散粒子は、粒径が2μm~3μmであるポリメチルメタクリレート粒子を含む。
【0019】
本願の実施例に係る偏光フィルターの製造方法では、前記調光液において前記第1拡散粒子及び前記第2拡散粒子の質量分率の範囲は2.5%~20%であり、ここで、前記第1拡散粒子と前記第2拡散粒子との比の値は7:3である。
【0020】
本願の実施例は表示パネルをさらに提供し、この表示パネルはいずれか一つの上記実施例に係る偏光フィルターを含み、又は、いずれか一つの上記実施例に係る偏光フィルターの製造方法による製造された偏光フィルターを含む。
【発明の効果】
【0021】
本願が提供する偏光フィルター及びその製造方法、表示パネルにおいて、偏光フィルターは偏光膜と保護層とを含み、保護層は前記偏光膜の片側に配置され、前記保護層は前記偏光膜から遠い側には凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造は形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含む。本願は、保護層の偏光膜から遠い側に凹凸構造を配置することによって、偏光フィルターに向かう光が凹凸構造を通過する時、散乱反射の原理に基づいて、光が均一に散乱され、均一に散乱された光が再び保護層を通過する時、各波長の光強度のエネルギーは均一に分散され、それにより、虹ムラ現象の発生を回避し、従来の表示装置に虹ムラ現象が存在するという技術的課題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0022】
実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術における技術案に対する記載において必要な図面を簡単に説明するが、以下の説明における図面は、単なる発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとっては、これらの図面から創造的な努力を必要とせずに他の図面を得ることができる。
【0023】
【
図1】本願の実施例に係る偏光フィルターの断面構造を示す模式図である。
【
図2】本願の実施例に係る調光膜の詳細構造を示す模式図である。
【
図3】本願の実施例に係る表示パネルの断面構造を示す模式図である。
【
図4】本願の実施例に係る表示パネルの他の断面構造を示す模式図である。
【
図5】本願の実施例に係る表示パネルの他の断面構造を示す模式図である。
【
図6】本願の実施例に係る表示パネルが調光膜を含まない場合の光の伝播を示す模式図である。
【
図7】本願の実施例に係る表示パネルが調光膜を含む場合の光の伝播を示す模式図である。
【
図8】本願の実施例に係る偏光フィルターの製造方法を示すフロー模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の各実施例に対する説明は、本願が実施され得る具体的な実施例を例示するために、添付の図面を参照するものである。本願で言及された方向用語、例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」、「側面」等は、単なる添付の図面の方向を参照するものに過ぎない。従って、使用された方向用語は、本願を説明及び理解するために用いられ、本願を限定することを意図するものではないことを理解されるべきである。図面において、構成が類似である部分を同一の符号で示す。図面において、理解の明確化及び説明の容易さのために、ある層及び領域の厚さを拡大し、即ち、図面における各部件の寸法及び厚さは任意であるが、本願はこれらに限らない。
【0025】
従来の表示装置に虹ムラ現象が存在するという技術的課題に対し、本願の発明者は研究中に、偏光フィルターにおけるポリエチレンテレフタレート(Poly ethylene terephthalate,PET)が、材料の結晶特性により、延伸し成膜された後に異方性を生じ、光がPETを通過すると複屈折効果が生じ、白色光がPET材料を透過する時、材料は選択性光透過の特徴を有し、異なる波長の光の透過率は異なり、ここで、500nm波長帯の光透過率は低く、450nmと600nm波長帯の透過率は高く、そのため、虹ムラ現象が発生するということを発見した。
【0026】
従って、上記のような課題を解決するため、本願は偏光フィルター及びその製造方法を提供する。
【0027】
図1~
図3を参照すると、本願の実施例に係る偏光フィルターの断面構造を示す模式図であり、
図2は本願の実施例に係る調光膜の詳細構造を示す模式図であり、
図3は本願の実施例に係る表示パネルの断面構造を示す模式図である。
図1を参照すると、前記偏光フィルター20は保護層21と偏光膜22とを含む。前記保護層21は前記偏光膜22の片側に配置される。前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側には凹凸構造301が設けられ、前記凹凸構造301は形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面310を含む。
【0028】
本実施例では、保護層21の偏光膜22から遠い側に凹凸構造301を配置することによって、偏光フィルター20に向かう光は凹凸構造301を通過する時、散乱反射の原理に基づいて、光が均一に散乱され、均一に散乱された光が再び偏光フィルター20の保護層21を通過する時、各波長の光強度のエネルギーは均一に分散され、それにより、虹ムラ現象の発生を回避し、従来の表示装置に虹ムラ現象が存在するという技術的課題を解決した。
【0029】
好ましくは、
図1を引き続き参照すると、前記偏光フィルター20は、前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側に配置された調光膜30をさらに含み、前記調光膜30の片側には前記凹凸構造301を有する。即ち、前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側に位置する凹凸構造301は、前記調光膜30によって形成される。前記調光膜30は、前記偏光フィルター20の前記保護層21に直接に製造されてもよく、又は前記偏光フィルター20の前記保護層21に直接に貼り付けられてもよい。
【0030】
前記調光膜30は凹凸構造301を有し、前記凹凸構造301は前記前記調光膜30の前記保護層21から遠い側に位置する。前記凹凸構造301は、複数の不規則なサブ凹凸表面310を含み、前記複数の不規則なサブ凹凸表面310の形状及び/又はサイズは異なる。ここで、不規則なサブ凹凸表面310の不規則とは、各サブ凹凸表面310の形態及び配列がいずれも一定の規則性を有しないことを指し、例えば、各サブ凹凸表面310の形状及び/又はサイズは異なる。ここで、サイズとは、前記サブ凹凸表面310の前記保護層21からの高さ、及び前記サブ凹凸表面310の面積等を指すことができる。
【0031】
以下、前記調光膜30の構成を具体的に説明する。
【0032】
図1及び
図2を併せ参照すると、前記調光膜30は、基材層31と、前記基材層31内に分散された第1拡散粒子32とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子32は、前記調光膜30の前記保護層21から遠い側の表面から突出して前記凹凸構造301を形成する。
【0033】
さらに、前記調光膜30は、前記基材層31内に分散した第2拡散粒子33を含み、前記第2拡散粒子33及び前記第1拡散粒子32は、前記調光膜30の同一側の表面から突出し、一部の前記第1拡散粒子32は、前記第2拡散粒子33の凹凸構造301から遠い側に位置する。前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33との比の値は7:3である。
【0034】
前記第2拡散粒子33の粒径は、前記第1拡散粒子32の粒径よりも小さく、例えば、前記第1拡散粒子32の粒径範囲は2μm~3μmであり、例えば、2μm、2.1μm、2.2μm、2.6μm、2.8μm、3μm等であってもよい。前記第2拡散粒子33の粒径範囲は30nm~70nmの範囲であり、例えば、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm等であってもよい。好ましくは、前記第1拡散粒子32は、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate,PMMA)粒子等を含み、前記第2拡散粒子33は、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、二酸化亜鉛粒子等の粒子のうち少なくとも一つを含む。前記基材層31は紫外線硬化樹脂基材を含み、例えば、数百から数万の分子量を有するエポキシアクリレートオリゴマーやウレタンアクリレートオリゴマー等である。
【0035】
前記第1拡散粒子32と前記基材層31は異なる物質であり、同一体系において互いに溶合しないため、前記第1拡散粒子32は前記基材層31内でランダムに分布する。一部の前記第1拡散粒子32は前記基材層31の前記保護層21から遠い側に分布すると、前記調光膜30の前記保護層21から遠い側の表面から突出して前記凹凸構造301を形成する。一方、一部の前記第1拡散粒子32は前記基材層31の前記保護層21から近い側に分布すると、前記基材層31に完全に包まれる。前記第1拡散粒子32が分布する位置、及び前記第1拡散粒子32が異なる位置に分布する数がランダムであり、一定ではないため、前記調光膜30が形成された前記凹凸構造301も不規則である。
【0036】
同様に、前記第2拡散粒子33と前記基材層31も異なる物質であり、同一体系において互いに溶合しないため、前記第2拡散粒子33も前記基材層31内でランダムに分布する。一部の前記第2拡散粒子33は前記基材層31の前記保護層21から遠い側に分布すると、前記第1拡散粒子32のように、前記調光膜30の前記保護層21から遠い側の表面から突出して前記凹凸構造301を形成する。また、前記第2拡散粒子33が分布する位置、及び前記第2拡散粒子33が異なる位置に分布する数がランダムであり、一定ではないため、前記調光膜30が形成された前記凹凸構造301も不規則である。
【0037】
前記第1拡散粒子32の密度は、前記第2拡散粒子33の密度よりも大きく、それにより、前記第1拡散粒子32は、前記第2拡散粒子33よりも堆積しやすくなり、即ち、前記第1拡散粒子32のうち前記凹凸構造301から遠い粒子の数は、前記第2拡散粒子33のうち前記凹凸構造301から遠い粒子の数よりも大きく、それにより、前記一部の第1拡散粒子32は、前記第2拡散粒子33の前記凹凸構造301から遠い側に位置する。
【0038】
また、前記第1拡散粒子32の粒径は、前記第2拡散粒子33の粒径よりも大きく、それにより、前記第2拡散粒子33は前記基材層31の表面に集まって大きなクラスター構造を形成し、前記凹凸構造301を形成しやすい。また、前記第2拡散粒子33の粒径が小さいため、複数の前記第2拡散粒子33が集まることにより、より多くの形態の前記凹凸構造301が形成されることができ、ひいては前記第2拡散粒子33を前記第1拡散粒子32と組み合わせ、不規則な前記凹凸構造301をより良好に形成することができる。また、前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33を組み合わせることにより、前記偏光膜20を表示パネルに適用する際に、表示パネルの暗い画面の主観的な効果が青みがかり、視覚的な主観的な感覚を向上させることができる。
【0039】
前記凹凸構造301は、複数のサブ凹凸表面310からなるものであり、複数の前記サブ凹凸表面310は組み合わさって前記凹凸構造301を形成し、不規則な前記凹凸構造301は、不規則な複数の前記サブ凹凸表面310からなるものである。前記サブ凹凸表面310の不規則な状態は、前記サブ凹凸表面310の法線と前記保護層21が位置する平面に対して平行な平面とのなす角度で測定されることができ、例えば、前記サブ凹凸表面310の法線と前記保護層21が位置する平面に対して平行な平面とのなす角度は、0°から180°の範囲に分布している。具体的には、前記保護層21が位置する平面に対して平行な平面における一直線を基準線として、且つこの基準線を水平線と定義し、
図2に示すように、Hは水平線を表し、ONは前記サブ凹凸表面310の法線を表し、TLは前記サブ凹凸表面310の切線を表し、前記法線ONは前記切線TLに対して垂直であり、aは前記サブ凹凸表面310の法線ONと水平線Hとのなす角度である。前記サブ凹凸表面310の法線ONと水平線Hとのなす角aは、0°から180°までの分布を有し、例えば、角度aは、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°等の整数角度を含み、もちろん、角度aは、33.6°、62.8°、121.9°等の非整数角度を含むことができる。
【0040】
さらに、前記偏光フィルター20のヘイズ範囲は20%~70%であり、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%等であってもよい。前記偏光フィルター20のヘイズ範囲は、主に前記調光膜30の前記凹凸構造301の状態によって決定され、そのため、前記偏光フィルター20のヘイズ範囲は、前記調光膜30の前記凹凸構造301の不規則性状態を測定する他の指標として用いられることができる。ここで、前記偏光フィルター20のヘイズ範囲とは、前記偏光フィルター20の出射光のうち、2.5°以上の角度で外れた出射光が総透過光の強度に占める百分率を指す。
【0041】
なお、本実施例では、前記調光膜が前記基材層31内に分散した前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33とを含む例示のみ説明するが、本願はこれらに限らない。本願の前記調光膜30において、前記基材層31内にはより多くの又はより少ない種類の拡散粒子が配置されてもよく、例えば、前記前記基材層31内には1種類、3種類、4種類、5種類等の拡散粒子が配置されてもよい。一実施例では、前記基材層31内には1種類の拡散粒子が配置され、例えば、前記第1拡散粒子32が配置され、前記第1拡散粒子32の粒径は比較的大きいため、前記凹凸構造301を形成しやすく、且つ粒子の数に応じて前記偏光フィルター20が必要するヘイズパラメータを調整することがより容易になる。また、前記第1拡散粒子32の粒径は比較的大きく、前記凹凸構造301を形成しやすいため、前記調光膜30に前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33との2種類の拡散粒子を含む場合、前記第1拡散粒子32の数を前記第2拡散粒子33の数よりも多くすることができ、例えば、前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33との比の値を7:3とする。
【0042】
上記偏光フィルター20は表示パネルに適用し、前記表示パネルは液晶表示パネル等を含む。本願の実施例は、前記表示パネルが液晶表示パネルである場合を例に説明する。
【0043】
具体的には、
図3を参照すると、前記表示パネル100は、バックライトモジュール10と、前記バックライトモジュール10に対向して配置された液晶セル40とを含む。前記偏光フィルター20は、前記液晶セル40の前記バックライトモジュール10から近い側に配置され、前記調光膜30は、前記保護層21の前記バックライトモジュール10から近い側に位置する。もちろん、前記表示パネル100は、前記液晶セル40の前記バックライトモジュール10から遠い側に位置する上部偏光フィルター50をさらに含む。
【0044】
前記バックライトモジュール10は、バックライト11と、バックプレート12と、拡散膜13等の光学フィルムシートとを含む。前記バックライト11は前記バックプレート12に固定され、前記拡散膜13は前記バックライト11の出射方向に配置される。ここで、前記バックプレート12は金属材質であってもよく、例えば、鉄又は他の金属材質であってもよく、もちろん、前記バックプレート12は、合金材質であってもよい。本実施例の他の例示では、前記バックプレート12は、プラスチック材であってもよく、プラスチックと金属が結合して形成した外フレームであってもよく、例えば、いま比較的広く使用されているゴム鉄統合フレームである。
【0045】
前記バックライト11は、LED、ミニLED等の発光光源を含む。前記表示パネル100の表示均一性を向上させるように、拡散膜13は、主に前記バックライト11から射出された光を各角度に均一に射出するために用いられる。もちろん、前記バックライトモジュール10は、前記バックライト11と前記バックプレート12との間に配置された反射シートをさらに含むことができ、前記反射シートは、主にバックライト11の光利用効率を向上するために用いられ、それにより、前記表示パネル100の輝度及びエネルギー効率を向上させる。
【0046】
前記液晶セル40は、対向配置されたアレイ基板41と、対向基板42と、前記アレイ基板41と前記対向基板42との間に配置された液晶層43とを含む。
【0047】
前記偏光フィルター20は、前記液晶セル40の前記バックライトモジュール10から近い側に配置され、前記調光膜30は、前記保護層21の前記バックライト11から近い側に配置され、前記調光膜30の凹凸構造301は、前記調光膜30の前記バックライト11から近い側に位置する。前記偏光フィルター20は、前記偏光膜22の前記保護層21から遠い側に積層された補償層23と、接着層24とをさらに含む。前記保護層21の材料は、ポリエチレンテレフタレート(Poly ethylene terephthalate,PET)を含む。前記保護層21は、前記偏光膜22を保護し、前記偏光膜22が水酸素に侵食されることを回避するために用いられる。前記偏光膜22の材料はポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)を含む。好ましくは、前記接着層24の材料は感圧接着剤(pressure sensitive adhesive,PSA)である。前記偏光フィルター20は、前記接着層24によって前記液晶セル40の前記アレイ基板41の方の側に貼り付ける。
【0048】
前記上部偏光フィルター50の構造は、前記偏光フィルター20と同一であるが、前記上部偏光フィルター50は、前記調光膜30を含まない。前記上部偏光フィルター50は、前記上部偏光フィルター50の接着層によって前記液晶セル40の前記対向基板42の方の側に貼り付けることができる。
【0049】
一実施例では、
図1から
図4を参照すると、
図4は、本願の実施例に係る表示パネルの他の断面構造を示す模式図である。上記実施例と異なるのは、本実施例の前記表示パネル101では、前記調光膜30の前記保護層21から近い側に前記凹凸構造301を有する。前記調光膜30は、基材層31と、前記基材層31内に分散した第1拡散粒子32とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子32は、前記調光膜30の前記保護層21から近い側の表面から突出して前記凹凸構造301を形成する。
【0050】
好ましくは、前記調光膜30は基材34をさらに含むことができ、前記基材層31は前記基材34の前記保護層21から近い側に配置され、前記基材34はガラス基板等であってもよい。もちろん、本願の前記調光膜30は、前記基材34を含まなくてもよく、例えば、前記基材34に前記調光膜30を作製した後、前記調光膜30を前記保護層21に貼り付け、前記基材34を除去する。他の説明は、上記実施例を参照してなされ、ここでは省略する。
【0051】
一実施例では、
図1から
図7を参照すると、
図5は本願の実施例に係る表示パネルの他の断面構造を示す模式図であり、
図6は本願の実施例に係る表示パネルが調光膜を含まない場合の光の伝播を示す模式図であり、
図7は本願の実施例に係る表示パネルが調光膜を含む場合の光の伝播を示す模式図である。上記実施例と異なるのは、本実施例の前記表示パネル102では、
図5に示すように、前記バックライトモジュール10は、量子ドット膜14と、輝度向上膜15とをさらに含む。
【0052】
前記量子ドット膜14は、前記バックライト11の出射方向に配置され、前記拡散膜13は、前記量子ドット膜14の前記バックプレート12から遠い側に配置され、輝度向上膜15は、前記拡散膜13のバックプレート12から遠い側に配置される。もちろん、本願はこれに限らず、本願の前記量子ドット膜14は、前記拡散膜13と前記輝度向上膜15との間に配置されてもよく、又は、前記輝度向上膜15の前記拡散膜13から遠い側に配置されてもよい。
【0053】
前記量子ドット膜14を配置し、ミニLEDバックライト11と組み合わせることにより、QD-Mini LEDバックライト技術を用いることができ、QD-Mini LEDバックライト技術はローカルディミング(Local dimming)方式を用いてエリアライトの制御を実現し、超高コントラストを達成し、表示パネル102の色域が引き上げられる。
【0054】
しかしながら、
図6を参照すると、QD-MiniLEDバックライト技術を搭載したのは、バックライトモジュール10に追加された前記輝度向上膜15であるため、前記バックライト11から射出された光は全て直線偏光になり、直線偏光が前記偏光フィルター20の前記保護層21を通過する時、前記保護層21のPETが複屈折特性を有するため、直線偏光はPETを通過した後、偏光状態が変化して楕円偏光又は円偏光になり、異なる波長の光はPETを通過した後、異なる偏光状態の出射光を形成する。異なる波長の光が前記偏光膜22を再び通過する時、異なる波長の光が出射可能な光強度のエネルギーが異なるため、光強度のエネルギーに差が生じ、光透過率に大きな差が生じ、ひいては虹ムラ現象を激化させた。特に、QD-Mini LEDバックライトは、従来のD65光源よりも620nm~700nm波長帯の光強度が強く、PET自体の複屈折特性と合わせ、赤色波長帯の透過光強度がより強くなるため、ユーザの視覚に対し赤い虹ムラ現象を引き起こす。
【0055】
本願の前記偏光フィルター20は、前記保護層21の前記バックライト11から近い側に凹凸構造301を有する調光膜30を配置することにより、QD-Mini LEDバックライト技術に生じた虹ムラ現象をうまく解決できる。
【0056】
具体的には、
図7を参照すると、前記バックライト11から出射された光が前記量子ドット膜14を通過した後、光が再び前記調光膜30の不規則な凹凸構造301を通過する時、散乱反射原理に基づいて光が拡散され、前記凹凸構造301は直線偏光を部分偏光に変えて、前記調光膜30から出射された光が直線偏光でなくなるようにし、且つ光は均一に散乱され、光強度のエネルギーを効果的に拡散し、それにより、前記調光膜30から出射された光強度のエネルギーの分布をより均一にする。前記調光膜30から出射された部分偏光が前記保護層21を通過する時、偏光状態の変化は起こらず、異なる波長の光が前記偏光膜22を再び通過する時、異なる波長の光が出射可能な光強度のエネルギーが同じであるため、各波長の光強度のエネルギーが均一に分散し、虹ムラ現象の発生を回避する。
【0057】
なお、
図6及び
図7は、光の伝播方向及び光が異なる膜層を通過した後の光の状態を模式的に示したものであり、光が異なる膜層を通過した後の伝播方向及び光の状態を明瞭に示すために、各膜層の概略的な位置関係を簡単に示したが、実際の膜層構造を示すものではない。また、
図6及び
図7に矢印を付した線は光の伝播方向を表し、斜め線及び円と楕円は光の状態を表す。他の説明は、上記実施例を参照してなされ、ここでは省略する。
【0058】
同一の発明思想に基づいて、本願の実施例は偏光フィルターの製造方法をさらに提供し、前記偏光フィルターの製造方法は、上記実施例のいずれか一つの偏光フィルターを製造するために用いられ、前記偏光フィルターの製造方法による製造された偏光フィルターは、上記実施例のいずれか一つの表示パネルに適用することができる。具体的には、
図1~
図8を参照すると、
図8は本願の実施例に係る偏光フィルターの製造方法を示すフロー模式図である。
図8を参照すると、前記偏光フィルターの製造方法は、以下のステップを含む。
【0059】
S201では、偏光膜22の片側に保護層21を貼り付ける。
【0060】
具体的には、
図1及び
図3を参照すると、前記偏光膜22の片側に前記保護層21を貼り付け、前記偏光膜22の前記保護層21から遠い側に補償層23及び接着層24を貼り付ける。前記保護層21の材料は、ポリエチレンテレフタレートを含む。前記保護層21は、前記偏光膜22を保護し、前記偏光膜22が水酸素に侵食されることを回避するために用いられる。前記偏光膜22の材料はポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)を含む。好ましくは、前記接着層24の材料は感圧接着剤(pressure sensitive adhesive,PSA)である。
【0061】
S202では、前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側に凹凸構造301を作製し、前記凹凸構造301は形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面310を含む。
【0062】
具体的には、前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側に凹凸構造301を作製するステップは、以下のことを含む。
【0063】
紫外線硬化樹脂、紫外線硬化モノマー、第1拡散粒子32及び第2拡散粒子33を溶剤に混合して調光液を形成する。具体的には、紫外線硬化樹脂、紫外線硬化モノマー、第1拡散粒子32、第2拡散粒子33、光増感剤、及びその他の補助剤を溶剤に混合して前記調光液を形成する。
【0064】
ここで、前記紫外線硬化樹脂は、例えば、数百から数万の分子量を有するエポキシアクリレートオリゴマー又はウレタンアクリレートオリゴマーを含む。前記紫外線硬化性モノマーは、トリメチロールプロパンアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリラート(DPHA)等のうち少なくとも1種を含む。
【0065】
前記光増感剤は、ベンゾフェノン系光増感剤、チオキサントン系光増感剤等のうち少なくとも1種を含み、前記光増感剤の割合は1%~4%である。他の補助剤は、増粘剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含み、他の補助剤の割合は0.1%~1%である。前記増粘剤は、製品の粘度を調整するために用いられ、前記レベリング剤は、製品の外観を改善するために用いられ、前記帯電防止剤は、コーティングの表面抵抗を低下させるために用いられる。前記溶剤は、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、脂質系溶媒、エーテル系溶媒等を含む。
【0066】
前記第1拡散粒子32は、粒径が2μm~3μmのポリメチルメタクリレート粒子を含み、前記第2拡散粒子33は、粒径が30nm~70nmの無機二酸化シリカ粒子、二酸化チタン粒子、二酸化亜鉛粒子等の粒子のうち少なくとも1種を含む。前記調光液において前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33との質量分率の範囲は2.5%~20%である。前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33の割合が小さいと、形成された調光膜30のヘイズ効果が乏しくなり、ひいては形成された偏光板20のヘイズ効果が乏しくなり、虹ムラの回避効果に影響を及ぼす。前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33の割合が大きいと、形成された偏光フィルター20が表示パネル100に適用される場合、光の拡散が激しくなりすぎ、表示パネル100のコントラスト及び透過率が低下する。好ましくは、前記第1拡散粒子32と前記第2拡散粒子33との比の値は、7:3である。
【0067】
前記調光液を前記保護層21の偏光膜22から遠い側にコーティングする。
【0068】
具体的には、ウェットコーティング等のコーティング工程を用いて前記保護層21の偏光膜22から遠い側に前記調光液をコーティングする。
【0069】
前記調光液を硬化して調光膜を形成し、前記調光膜の片側は前記凹凸構造301を形成する。具体的には、前記保護層21の片側にコーティングされた前記調光液に対し硬化を行い、前記紫外線硬化樹脂によって基材層31を形成し、前記第1拡散粒子32及び前記第2拡散粒子33を前記基材層31内に分散させ、少なくとも一部の前記第1拡散粒子32を前記基材層31の前記保護層21から遠い側から突出させて、前記凹凸構造301を形成し、前記第2拡散粒子33及び前記第1拡散粒子32は前記基材層31の同一側の表面から突出し、
図2に示すように、一部の前記第1拡散粒子32は前記第2拡散粒子33の前記凹凸構造301から遠い側に位置して前記調光膜30を形成する。
【0070】
他の実施例では、ステップS202において、前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側に凹凸構造301を作製するステップは、以下の方法でも実現することができる。
【0071】
光エッチング工程を用いて前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側をエッチングして、前記凹凸構造301を形成する。即ち、前記保護層21の片側において直接にエッチングすることにより、前記保護層21に前記凹凸構造301が直接に形成される。他の説明は、上記実施例を参照してなされ、ここでは省略する。
【0072】
他の実施例では、ステップS202において、前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側に凹凸構造301を作製するステップは、以下の方法で実現することもできる。
【0073】
図4を参照すると、基材34に調光液をコーティングし硬化して調光膜30を形成し、前記調光膜30の前記基材34から遠い側は、前記凹凸構造301を形成する。具体的には、前記基材34の片側にコーティングされた前記調光液に対し硬化を行い、前記紫外線硬化樹脂によって基材層31を形成し、前記第1拡散粒子32及び前記第2拡散粒子33を前記基材層31内に分散させ、少なくとも一部の前記第1拡散粒子32を前記基材層31の前記保護層21から遠い側から突出させて、前記凹凸構造301を形成し、前記第2拡散粒子33及び前記第1拡散粒子32は前記基材層31の同一側の表面から突出し、
図4に示すように、一部の前記第1拡散粒子32は前記第2拡散粒子33の前記凹凸構造301から遠い側に位置して前記調光膜30を形成する。
【0074】
前記調光膜30を形成した後、前記調光膜30を前記保護層21の前記偏光膜22から遠い側に貼り付ける。もちろん、本願の前記調光膜30は、前記基材34を含まなくてもよく、例えば、前記基材34に前記調光膜30を作製した後、前記調光膜30を前記保護層21に貼り付け、前記基材34を除去する。
【0075】
上記実施例により、以下のことがわかる。
【0076】
本願は、偏光フィルター及びその製造方法、表示パネルを提供し、偏光フィルターは偏光膜と保護層と調光膜とを含み、保護層は前記偏光膜の片側に配置され、調光膜は前記保護層の前記偏光膜から遠い側に配置され、前記調光膜は凹凸構造を有し、前記凹凸構造は形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含む。本願は、保護層の偏光膜から遠い側に凹凸構造を配置することによって、偏光フィルターに向かう光が凹凸構造を通過する時、散乱反射の原理に基づいて、光が均一に散乱され、均一に散乱された光が再び保護層を通過する時、各波長の光強度のエネルギーは均一に分散され、それにより、虹ムラ現象の発生を回避し、従来の表示装置に虹ムラ現象が存在するという技術的課題を解決した。
【0077】
上記実施例では、各実施例の説明にはそれぞれ重点が置かれており、一部の実施例では詳細に触れられていない部分については、他の実施例の関連する説明を参照してください。
【0078】
以上、本願の実施例に対し詳述し、本明細書において具体的な例示を応用して本願の原理及び実施形態について説明したが、以上の実施例の説明は、本願の技術案及びその核心思想の理解を助けるためのものである。当業者であれば、前述された各実施例に記載の技術的思想に変形を加え、又はその一部の技術的特徴を同等に置換することができ、これらの変形又は置換は、対応する技術案の本質を本願の種々の実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではないことを理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光膜と、
前記偏光膜の片側に配置された保護層と、を含み、
ここで、前記保護層の前記偏光膜から遠い側には凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造は、形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含む、
偏光フィルター。
【請求項2】
前記偏光フィルターは、前記保護層の前記偏光膜から遠い側に配置された調光膜をさらに含み、前記調光膜の片側は前記凹凸構造を有する、
請求項1に記載の偏光フィルター。
【請求項3】
前記調光膜の前記保護層から遠い側は、前記凹凸構造を有し、
前記調光膜は、基材層と、前記基材層内に分散した第1拡散粒子とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記調光膜の前記保護層から遠い側の表面から突出して前記凹凸構造を形成する、
請求項2に記載の偏光フィルター。
【請求項4】
前記調光膜の前記保護層から近い側は、前記凹凸構造を有し、
前記調光膜は、基材層と、前記基材層内に分散した第1拡散粒子とを含み、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記調光膜の前記保護層から近い側の表面から突出して前記凹凸構造を形成する、
請求項2に記載の偏光フィルター。
【請求項5】
前記調光膜は、前記基材層内に分散した第2拡散粒子をさらに含み、前記第2拡散粒子及び前記第1拡散粒子は、前記調光膜の同一側の表面から突出し、少なくとも一部の前記第1拡散粒子は、前記第2拡散粒子の前記凹凸構造から遠い側に位置する、
請求項3に記載の偏光フィルター。
【請求項6】
前記第1拡散粒子の粒径は、前記第2拡散粒子の粒径よりも大きい、
請求項5に記載の偏光フィルター。
【請求項7】
前記基材層は紫外線硬化樹脂基材を含み、前記第1拡散粒子はポリメチルメタクリレート粒子を含み、前記第2拡散粒子は二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、二酸化亜鉛粒子のうち少なくとも一つを含む、
請求項6に記載の偏光フィルター。
【請求項8】
前記偏光フィルターのヘイズ範囲は20%~70%である、
請求項2に記載の偏光フィルター。
【請求項9】
複数の前記サブ凹凸表面の法線と前記保護層が位置する平面に対して平行な平面とのなす角度は、0°~180°の範囲に分布する、
請求項1に記載の偏光フィルター。
【請求項10】
偏光膜の片側に保護層を貼り付けることと、
前記保護層の前記偏光膜から遠い側に凹凸構造を作製し、前記凹凸構造は形状及び/又はサイズが異なる複数のサブ凹凸表面を含むことと、を含む、
偏光フィルターの製造方法。
【請求項11】
前記保護層の前記偏光膜から遠い側に凹凸構造を作製するステップは、
紫外線硬化樹脂、紫外線硬化モノマー、第1拡散粒子を溶剤に混合して調光液を形成することと、
前記調光液を前記保護層の前記偏光膜から遠い側にコーティングすることと、
前記調光液を硬化させて前記調光膜を形成し、前記調光膜の片側は前記凹凸構造を形成することと、を含む、
請求項10に記載の偏光フィルターの製造方法。
【請求項12】
前記調光液は第2拡散粒子をさらに含み、前記第2拡散粒子の粒径は前記第1拡散粒子の粒径よりも小さく、前記第2拡散粒子は、粒径が30nm~70nmである無機二酸化ケイ素粒子を含み、前記第1拡散粒子は、粒径が2μm~3μmであるポリメチルメタクリレート粒子を含む、
請求項11に記載の偏光フィルターの製造方法。
【請求項13】
前記調光液において前記第1拡散粒子及び前記第2拡散粒子の質量分率の範囲は2.5%~20%であり、ここで、前記第1拡散粒子と前記第2拡散粒子との比の値は7:3である、
請求項12に記載の偏光フィルターの製造方法。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載の偏光フィルターを含む、
表示パネル。
【国際調査報告】