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特表2025-532271自己参照型フルフィールドタイムドメイン光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置、関連付けられた設備及び方法
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  • 特表-自己参照型フルフィールドタイムドメイン光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置、関連付けられた設備及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-09-29
(54)【発明の名称】自己参照型フルフィールドタイムドメイン光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置、関連付けられた設備及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/36 20060101AFI20250919BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20250919BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
G02B21/36
G02B21/06
G01N21/17 630
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025518316
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2025-05-27
(86)【国際出願番号】 FR2022000084
(87)【国際公開番号】W WO2024069058
(87)【国際公開日】2024-04-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507416908
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
(71)【出願人】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(71)【出願人】
【識別番号】595166088
【氏名又は名称】アンスティテュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル
(71)【出願人】
【識別番号】518364366
【氏名又は名称】エコール シュペリュール ドゥ フィシック エ ドゥ シミー アンダストリエル ドゥ ラ ビル ドゥ パリ
(71)【出願人】
【識別番号】524388622
【氏名又は名称】サントル ホスピタリエ ナシオナル ドフタルモロジー デ カンズ-バン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ケイト グリーブ
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ トーブナン
(72)【発明者】
【氏名】トゥアル モンフォール
(72)【発明者】
【氏名】サルバトーレ アッツォリーニ
(72)【発明者】
【氏名】サーシャ ライヒマン
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059BB14
2G059DD13
2G059EE02
2G059EE03
2G059EE07
2G059EE09
2G059FF01
2G059FF02
2G059FF03
2G059GG01
2G059GG02
2G059HH02
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059KK04
2G059LL01
2H052AA05
2H052AA09
2H052AB01
2H052AC27
2H052AC33
2H052AC34
2H052AD03
2H052AD06
2H052AD16
2H052AD23
2H052AD24
2H052AE13
2H052AF14
2H052AF25
(57)【要約】
少なくとも1つの試料のフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置であって、装置は、動作中に試料を見るための対物レンズを備えており、デバイスは鏡面界面を備えており、デバイスは、動作中に、装置に関連付けられた光源によって発せられた光を鏡面界面上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、光源によって発せられた光を試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間で、少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることができ、鏡面界面は、動作中、物体波が試料と光源の間を進む際に、物体波が鏡面界面を通過するように、対物レンズに対して配置されている、光学装置。対応する設備及び方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの試料のフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための方法であって、前記方法は、
-設備の物体アーム内を伝播する光を発するステップであって、前記試料は、前記光が前記試料内で後方散乱されて物体波を生成するように、前記設備内に配置されている、光を発するステップと、
前記物体波と参照波の間で少なくとも1つの干渉を作り出すステップと、
を含んでいる、方法において、
前記参照波は、前記光を、前記物体アーム上に配置された鏡面界面上で反射させることによって生成される、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記鏡面界面は、前記設備によってイメージングされた平面から所与の距離にあるように配置され、前記距離は、ゼロ以上であり、かつ、
-前記試料を見るために意図された設備対物レンズの被写界深度の2倍以下であるか、又は、
-コヒーレンス長が前記対物レンズの前記被写界深度未満である場合には、前記光を生成する光源の前記コヒーレンス長の2倍以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの試料のフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置であって、前記装置は、動作中に前記試料を見るための対物レンズを備えており、前記デバイスは鏡面界面を備えており、前記デバイスは、動作中に、
-前記装置に関連付けられた光源によって発せられた光を前記鏡面界面上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、
-前記光源によって発せられた前記光を前記試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間で、
少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることができ、
前記鏡面界面は、動作中、前記物体波が前記試料と前記光源の間を進む際に、前記物体波が前記鏡面界面を通過するように、前記対物レンズに対して配置されている、装置。
【請求項4】
前記鏡面界面(3)は、スライドガラス又はプラスチック製スライドである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記光源(5)は、前記装置の一部である、請求項3から4のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記参照波と前記物体波の間の前記干渉から生じる少なくとも1つの信号を取得するのに適した取得デバイス(7)を備えている、請求項3から5のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置はまた、動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを可能にするように構成されている、請求項3から6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記試料を受け入れるためのインキュベーターを備えている、請求項3から7のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記光源(5)は、少なくとも1つの光学素子と少なくとも1つの絞りとを含む光学ユニットを通して、設備のビームスプリッタ素子に照射する、請求項3から8のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記鏡面界面は、前記試料ホルダの一部である、請求項3から9のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記鏡面界面は、動作中に前記試料に面する試料ホルダ面である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項3から11のうちいずれか一項に記載の装置と参照アームとを備える設備であって、前記設備は、動作中に、
前記光源(5)によって発せられた前記光を前記追加の参照アームの反射面(6)上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、
前記光源によって発せられた前記光を前記試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間に、
少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることもできる、設備。
【請求項13】
前記設備は前記参照アームをロックするための一時的な手段を備えている、請求項12に記載の設備。
【請求項14】
前記設備の少なくとも一部は携帯電話に統合されている、請求項8から13のうちいずれか一項に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの試料の光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置に関する。
【0002】
本発明はまた、関連付けられた設備及び方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
光イメージングの分野では、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)により、共焦点顕微鏡を用いて得ることができるよりも高精度な画像を、特により大きな軸方向分解能で取得することが可能になっている。
【0004】
特に、光コヒーレンストモグラフィイメージングは、以下のことを可能にする。
-細胞成分等の複数の異なる成分をイメージングすること。
-三次元試料内での画像を形成すること。
-関連付けられたイメージングシステムの開口数にかかわらず、高度なオプティカルセクショニングで画像を形成すること。
-非侵襲的イメージングを実行すること。
-マーカなしで画像を形成すること。
【0005】
タイムドメイン光コヒーレンストモグラフィイメージングは、試料が光源によって照射されたときに試料によって後方散乱された光からの信号と、同じ光源によって発せられ、同じ光学的距離にわたって伝播した参照光信号との間の干渉信号を測定することを含む。
【0006】
フルフィールド光コヒーレンストモグラフィイメージングにより、干渉信号がカメラ様センサ(CMOS、CDDなど)に達するように、この原理を並列化することにより、出力として二次元画像を得ることができる。
【0007】
仏国特許出願公開第2817030号明細書(特許文献1)には、例示的なフルフィールド光コヒーレンス干渉顕微イメージングシステムが記載されている。
【0008】
フルフィールド光コヒーレンストモグラフィイメージングには2つの主要な分岐が存在する。
-静的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィイメージング(静的FFOCT)-即ち、参照フィールド(reference field)と試料フィールドの間の干渉信号を分離するための様々なアプローチに基づく、「静的」イメージング。
-動的フルフィールドタイムドメイン光コヒーレンストモグラフィイメージング(D-FFOCT)。これは、静的FFOCTにより生成された信号の経時的な分析に基づいており、これにより、静的FFOCTにより生成された信号の経時的な変化を定量化することが可能になる。
【0009】
これら2つの分岐を用いることによって、試料中の形態学的構造(例えば、コラーゲン繊維、細胞及びそれらの核など)-この場合には静的イメージングによる-と、同じ試料中の上記構造のうちの1つの組織(例えば細胞のオルガネラであって、ミトコンドリアなど)を構成する代謝要素及び/又はこれら構造のうちの1つの、特に細胞及び核の一般的な代謝状態-この場合には動的イメージングによる-とを区別することも可能である。
【0010】
フルフィールド光コヒーレンストモグラフィイメージングは、三次元構造の非侵襲的イメージングを行うのに特に有利であり、オルガノイドの研究、疾患モデリング、がん診断の実行など、多数の異なる応用が可能である。
【0011】
具体的には、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方は、その信号の特定の特徴により生体の機能に関する大量の情報を得ることを可能にする一方で、その間すべて非侵襲的かつ非破壊的である。
【0012】
より具体的には、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方が、空間的に相関しないやり方で、試料(一般的には、三次元体積部分)内で後方散乱された信号の局所増幅ならびに関連する局所位相情報を、共焦点顕微鏡によって得ることができるものと同様の横断方向分解能で、かつ共焦点顕微鏡によって得ることができるよりも大きな軸方向分解能で、得ることを可能にする。したがって、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングは、両方とも、低散乱物体及び長手方向のわずかな移動の影響を受けやすい。
【0013】
さらに、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方が、位相分解能を有するアナログイメージング技術(干渉散乱顕微鏡法、ホログラフィック顕微鏡法など)と比較して、スペックルの存在を大きく制限することができる。これにより、研究中の物体の直接的な解釈が可能になる。
【0014】
さらに、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングは、両方とも空間収差に実質的に敏感でなく、三次元構造内でのイメージングが可能になっている。
【0015】
静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングにより、マーカがなくても、細胞下成分などの小さな器官を、組織などのより複雑な三次元構造内で、検出することが可能になる。
【0016】
さらに、D-FFOCTイメージングの特定の文脈において、得られた信号を経時的に分析することによって、例えば細胞活動(例えば、ミトコンドリア、マイクロベシクル等のオルガネラの細胞活動)に関連する他のコントラストを強調することが可能である。
【0017】
しかしながら、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方を用いて、エクスビボ又はインビトロ条件下で、試料が置かれた試料ホルダ(試料ホルダは、従来は、スライドガラス又はプラスチック製スライドである)の面に最も近い試料層をイメージングする目的で、イメージングを行うとき、光干渉アーティファクトが生じる。これらのアーティファクトは、界面アーティファクト又はフリンジアーティファクトと呼ばれることもあるが、試料の研究をはるかに困難にし、又は完全に不可能にしてしまう。
【0018】
この欠点は、倒立顕微鏡では悪化する(倒立顕微鏡は、試料を下から見るものであることに留意されたい)。また、層は、試料の本体内のある断面平面に沿った、即ち、試料が置かれた試料ホルダの面に平行な断面平面に沿った、試料の二次元断面であることも、指摘される。
【0019】
その結果、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方は、特に、二次元細胞培養物の試料などの非常に薄い試料が研究されている場合において、その表面に近い層をイメージングするために通常は使用されない。しかしながら、二次元細胞培養物は、三次元細胞培養物の登場にもかかわらず、依然として疾患モデリング及び薬剤開発において最も広く用いられているものである。さらに、薄い三次元構造からより厚い三次元構造へと遷移する要素を研究することが、特定の応用では、例えば腸オルガノイドを研究するために、極めて重要である。しかしながら、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方は、上記の構成体をイメージングするための課題を示しているように思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2817030号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、特に、少なくとも1つの試料をイメージングする際の光学的アーティファクトの発生を低減するフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的のために、少なくとも1つの試料のフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための方法であって、該方法は、
-設備の物体アーム内を伝播する光を発するステップであって、試料は、光が試料内で後方散乱されて物体波を生成するように、設備内に配置されている、光を発するステップと、
物体波と参照波の間で少なくとも1つの干渉を作り出すステップと、
を含んでいる、方法が提供される。
【0023】
本発明によれば、参照波は、光を、物体アーム上に配置された鏡面界面上で反射させることによって生成される。
【0024】
本発明者らは、このような方法により、光学的アーティファクトを可能な限り回避しつつ、さらには通常の静的FFOCT及びD-FFOCTデバイスの場合に存在する光学的アーティファクトを、特にフリンジアーティファクトを完全に除去しつつ、試料をイメージングすることが可能になることを見出した。
【0025】
この利点は、以下をイメージングすることが目的であるときに、さらに高められる。
-薄い試料の層のうち1つ(上に示されたように、層は、試料の本体内のある断面平面に沿った、即ち、試料が置かれた試料ホルダの面に平行な断面平面に沿った、試料の二次元断面である)であって、試料は、例えば、二次元細胞培養物、グラフェン試料などの試料であり、より一般的には、15マイクロメートル未満、例えば、10マイクロメートル未満、例えば、5マイクロメートル未満の厚さを有する試料である。
-厚い試料(オルガノイドなど)の1つ以上の界面層、即ち試料を支持する素子(スライドガラス、プラスチック製スライド、インキュベーターなど)の表面に最も近い層。
【0026】
本発明は、FFOCTイメージングの一般的原理に基づくが、自己参照されることによってこの原理を強化する。本発明は、従来技術のFFOCTデバイスにあるような特定の参照アームなしで動作する。というのは、参照波は鏡面界面から生成され、これがまた物体波の経路上に好都合に配置されるからである。
【0027】
さらに、鏡面界面の特定の位置は、(参照波に結合された)参照フィールドと(物体波に結合された)物体フィールドとの間の自動位置合わせを可能にする。
【0028】
したがって、参照波と物体波の間での干渉が自動的に得られる。
【0029】
また、この干渉は均質である。
【0030】
さらに、この干渉は、光学収差が存在しないので、非常に良好な品質である。
【0031】
本発明は、さらに、単純な構造を有する設備によって実装されることができる。
【0032】
加えて、本発明は、参照波及び物体波が同じ物体アームに沿って伝搬するので、従来技術の静的及び動的FFOCTデバイスよりも振動に対して敏感でなく、これは、鏡面界面が試料からより近い距離にある(例えば、鏡面界面は0~15マイクロメートルだけ離れている)ことを意味する。
【0033】
このように、本発明は、一様なモザイク(モザイクは、所与の試料の同じ層の異なる領域のN個の取得画像の集合である)を作り出すことを可能にしており、即ち、集合させられたモザイクの2つの画像同士の間に、重複するアーティファクトは含まれない。
【0034】
さらに、本発明は、意図された適用先に応じて、小型化された設備で実装することができる。とりわけ、本発明は、それが自己参照型であるという事実により、単一の対物レンズ(objective)のみを用いる。
【0035】
本発明は、有利には、雑音の多い環境で、例えば、車両(陸上、空気、海上など)、製造ラインなどで、実装することができる。
【0036】
本発明は、さらに、以下と関連付けられ得る。
-例えば高い開口数(NA)を有する対物レンズなどの、イメージングの分野における技術的に進歩した素子(本発明の一部を構成する場合もあればしない場合もある)。
-イメージングの分野におけるより基本的な素子(本発明の一部を構成する場合もあればしない場合もある)であって、例えば携帯電話であり、
波の干渉後に試料の画像を取得するカメラを備えており、かつ/又は、
光源として光装置(例えば、発光ダイオード(LED)及び特にフラッシュLED)を備えており、かつ/又は、
干渉信号を処理するための処理部材(例えば、プロセッサ)を備えている、素子。
【0037】
任意には、本発明はまた、動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを実行するように構成される。
【0038】
この目的のために、本方法は、結果として得られる信号の経時的な変化、又は参照波と物体波との間の干渉の経時的な変化を研究するための、追加のステップを含む。
【0039】
本方法は、静的FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方を実行することを可能にする。
【0040】
本方法は、タイムドメイン光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを実行するために構成される。
【0041】
一例として、本発明はまた、コラーゲン繊維、細胞、及びそれらの核などの試料中の形態学的要素を-静的イメージングによって-見ることを、かつ、同一試料中の要素(細胞のオルガネラであって、例えばミトコンドリアなど)のうち1つの組織を構成する代謝要素を、かつ/又はこれらの要素のうち1つの一般的な代謝状態であって、特に細胞及び核の一般的な代謝状態を、-動的イメージングによって-見ることを、可能にする。上記の要素は、例えば、細胞、構造であって、特に、例えば核、ミトコンドリア、色素などの細胞下構造である。
【0042】
また、本発明は、従来技術の静的及び動的FFOCTデバイスよりも振動に対して敏感でないことにも留意されたい。
【0043】
この態様は、本発明がD-FFOCTイメージングの文脈において使用される場合に、特に有益である。
【0044】
従来技術のD-FFOCTイメージングデバイスは、光学的研究所の外で使用することが困難であるが、本発明は、困難な環境及び/又は雑音の多い環境(雑音の多い環境は、機械的振動による影響を受けるものである)に実装することができる。
【0045】
本出願の目的のために、「物体アーム」(object arm)は、試料と、例えば光ビームスプリッタ素子などの、界面を生成するための光学素子との間に位置する、設備の部分を意味する(光線が、所定の光路に沿って物体アーム内を伝搬することができる)。
【0046】
任意には、鏡面界面は、設備によってイメージングされた平面から所与の距離にあるように配置され、該距離は、ゼロ以上であり、かつ、
-試料を見るために意図された設備対物レンズの被写界深度の2倍以下であるか、又は、
-コヒーレンス長が対物レンズの被写界深度未満である場合には、光を生成する光源の時間コヒーレンス長の2倍以下である。
【0047】
「イメージング平面」(imaged plane)(「画像平面」(image plane)と呼ばれることもある)は、取得デバイス(本発明の一部を形成している場合もあればしていない場合もある)上でイメージングされる平面を意味しており、該デバイスは、参照波と物体波との間の干渉から生じる少なくとも1つの信号を取得するのに適したものである。したがって、「イメージング平面」は、取得デバイスと共役な試料の層のうち1つに対応するものである。
【0048】
「対物レンズの被写界深度」は、2λ/NA(λは光源が発する光の中心波長であり、NAは対物レンズの開口数である)によって定義される。
【0049】
「時間コヒーレンス長」Lは、干渉のスペクトルの自己相関関数の半値幅として定義される。例えば、ガウス分布のスペクトル光源の場合には、それは次のように表される。
【数1】
(ここで、nは、試料が浸漬されている媒体の屈折率である。)
【0050】
このように、本方法は、鏡面界面から、2λ/NAのゼロから2倍の距離にある層のイメージングに、特に有効である。
【0051】
本発明はまた、少なくとも1つの試料のフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置であって、該装置は、動作中に試料を見るための対物レンズを備えており、該デバイスは鏡面界面を備えており、デバイスは、動作中に、
装置に関連付けられた光源によって発せられた光を鏡面界面上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、
光源によって発せられた光を試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間で、
少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることができ、
鏡面界面は、動作中、物体波が試料と光源の間を進む際に、物体波が鏡面界面を通過するように、対物レンズに対して配置されている、装置に関する。
【0052】
任意には、鏡面界面は、設備によってイメージングされた平面から所与の距離にあるように配置され、距離は、ゼロ以上であり、かつ、
-対物レンズの被写界深度の2倍以下であるか、又は、
-時間コヒーレンス長が対物レンズの被写界深度未満である場合には、光源の時間コヒーレンス長の2倍以下である。
【0053】
任意には、装置の鏡面界面は、スライドガラス又はプラスチック製スライドである。
【0054】
有利には、光源は装置の一部である。
【0055】
この場合も、有利には、該装置は、参照波と物体波との間の干渉から生じる少なくとも1つの信号を取得するのに適した取得デバイスを備える。
【0056】
本発明による装置は、動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを可能にするように構成され得る。
【0057】
本発明による装置は、試料を受け入れるためのインキュベーターをさらに備え得る。
【0058】
有利には、装置の光源は、少なくとも1つの光学素子と少なくとも1つの絞りとを含む光学ユニットを通して、設備のビームスプリッタ素子に照射する。
【0059】
有利には、鏡面界面は、試料ホルダの一部である。さらに有利には、鏡面界面は、動作中に試料に面する試料ホルダ面である。
【0060】
本発明はまた、上記のような装置を含む設備に関する。
【0061】
任意には、設備は参照アームを備えており、設備は、動作中に、
光源によって発せられた光を追加の参照アームの反射面上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、
光源によって発せられた光を試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間に、
少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることもでき、該設備は、参照アームをロックするための手段を備える。
【0062】
参照アームをロックするためのこれらの手段は、一時的なものであり得る。
【0063】
本発明による設備の少なくとも一部は、携帯電話に統合され得る。
【0064】
このようにすると、試料がイメージングされるとき、鏡面界面を使用して干渉を作り出すこと(ロック手段が参照アームへの光路及び参照アームからの光路を阻止する)、又は反射面を使用して干渉を作り出すこと(その際、ロック手段は非アクティブである)のいずれかが、可能になる。
【0065】
このような設備により、試料を最適にイメージングするために、有利かつ単純な方法で、2つの異なる技術からの利益を得ることが可能になる。
【0066】
任意には、上記設備は、動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを実行するように構成される。
【0067】
このようにすると、イメージング深度を増加させるために、参照アームが使用されているときに、FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方を実装することが可能である。
【0068】
その単純な構造により、この装置は、有利には、既存の静的又は動的FFOCT設備に、相当に単純なやり方で設置されることができる。
【0069】
本出願の目的のために、「参照アーム」(reference arm)は、反射面と、界面を生成するための光学素子との間に位置する、設備の部分を意味している(光線が、所定の光路に沿って参照アーム内を伝搬することができる)。
【0070】
本出願の目的のために、「照明アーム」(illumination arm)とは、光源と、界面を生成するための光学素子との間に位置する、設備の部分を意味している(光線が、所与の光路に沿って物体アーム内を伝搬することができる)。
【0071】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の特定の非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによって、明らかになるであろう。
【0072】
添付図面に対する参照が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による装置の模式図である。
図2a図2aは、本発明の第2の実施形態による装置の、該装置の参照アームがロックされているときの模式図である。
図2b図2bは、図2aに示される装置の、参照アームが動作しているときの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による設備1は、静的及び動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを、特に、(試料100の厚さにかかわらず)試料100の1つ以上の界面層の領域において行うように構成される。試料100は、試料ホルダによって支持されている。例として、試料ホルダは、スライドガラス、プラスチック製スライド、インキュベーターなどである。
【0075】
また、設備1は、試料100を見ることができるように構成された、この場合では試料100の下方から見ることができるように構成された、光学装置2を備える。
【0076】
装置2は、さらに、見るべき試料100を有する試料ホルダを支持するためのフレーム(ここでは図示されていない)及びステージ(ここでは図示されていない)を含んでおり、ステージは、少なくとも2つの並進軸に沿ってフレームに対して並進移動可能である。
【0077】
この装置はまた、干渉デバイスを含んでおり、該干渉デバイスは、この場合、光源5及び鏡面界面3を含んでおり、干渉デバイスは、動作中に、
光源5によって発せられた光を鏡面界面3上で反射させることによって得られる参照波と、
光源5によって発せられた光を試料上で後方散乱させることによって得られる物体波との間で、光干渉を作り出すことが可能である。
【0078】
光源5は、「空間的にインコヒーレント」(spatially incoherent)な光源である。
【0079】
光源5は、例えば、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、又は空間的にコヒーレントな光源(コヒーレントな光源は例えばレーザである)によって形成されたユニットであり、かつ空間的にコヒーレントな光源の出力部にある光線が通過する構造であり、該構造は、該構造の(したがって、ユニットの)出力部において光線を空間的にインコヒーレントにすることを可能にする。例として、構造は、マルチモードキャビティ、マルチモードファイバ、六角ロッドなどを有する。
【0080】
ここでの光源5は、時間的にインコヒーレントな光源であるか、又は短い時間コヒーレンス長(例えば、0.5~15マイクロメートルの範囲、好ましくは1~10マイクロメートルの範囲)を有する光源である。したがって、光源5が「時間的にインコヒーレント」(temporally incoherent)であっても、それに対してコヒーレンス長を定めることは依然として可能である(ただし、この長さは小さい)ことが理解される。
【0081】
ここで、設備はまた、取得デバイス7を備える。今回の場合、取得デバイス7は装置の一部である。取得デバイス7は、参照波と物体波の間の干渉から生じる少なくとも1つの信号を取得することを可能にする。
【0082】
この目的のために、取得デバイス7は、光センサを備える。光センサは、好ましくは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)光センサである。
【0083】
好ましくは、光センサは、高速で画像を取得するように選択される。これにより、必要に応じて、試料が少なくとも1つの生細胞を含むときに、試料内の一連の動きを追うことが可能となる。例えば、光センサは、100ヘルツより高い、好ましくは200ヘルツより高い、好ましくは400ヘルツより高い周波数で、画像を取得することができる。
【0084】
好ましくは、光センサは、高い信号対雑音比である生の画像を(即ち、取得デバイスの入力で)取得するように選択される。これにより、光センサは、生体内の非常に小さな構造に対しても、かつ/又は非常に小さな動きに対しても敏感になることが可能になる。例えば、光センサは、500より大きい、好ましくは800より大きい、好ましくは1000より大きい信号対雑音比である生の画像を取得することができる。
【0085】
例として、光センサは、例えばフルウェルキャパシティカメラのようなカメラであって、例えばCMOSカメラ、例えばQ-2A750カメラ又はQ-2HFWカメラである。これらは両方ともAdimec社によって販売されているものである。
【0086】
この場合、アセンブリ1はまた、例えば、試料の少なくとも一部の画像を生成するために、取得デバイス7によって発せられた信号を処理するためのデバイス(ここでは図示されていない)を備える。なお、本例では、該信号処理デバイスは装置2の外部にある。信号処理デバイスは、プロセッサ等の少なくとも1つの処理ユニットを備える。一例として、信号処理デバイスはコンピュータを含む。
【0087】
好ましくは、設備1は、顕微鏡インキュベーター(ここでは図示せず)を備えており、これが、試料100の試料ホルダを形成する。一例として、インキュベーター1は、ステージによって支持されるように装置2内に配置され、試料100は、インキュベーター内に直接置かれる。
【0088】
インキュベーターは、好ましくは、装置2に一時的に取付けることができるように、携行可能である。
【0089】
インキュベーターは、少なくとも1つの生細胞を含む試料を、より簡単な方法で研究することを可能にする。具体的には、インキュベーターは、このような試料を数日又は数週間にわたって生きたままに維持することを可能にする。
【0090】
好ましくは、インキュベーターは、マルチウェルプレートを受容できるように成形される。
【0091】
好ましくは、インキュベーターには、該インキュベーター内の温度の制御装置が設けられている。
【0092】
これにより、例えば、試料100が加熱され、試料100が変質又は破壊される可能性を防止することができる。
【0093】
好ましくは、インキュベーターには、該インキュベーター内の少なくとも1つのガスの存在に関する制御装置が設けられている。例えば、インキュベーターには、該インキュベーター内の二酸化炭素の存在に関する、かつ/又はインキュベーター内の窒素の存在に関する、かつ/又はインキュベーター内の酸素の存在に関する、制御装置が設けられている。
【0094】
試料が生細胞を含む場合、インキュベーターは、好ましくは、(例えば、ヒト、霊長類、又はブタの細胞などについて)試料100を所与の温度に、例えば、37℃に実質的に等しい温度に維持するように構成される。好ましくは、インキュベーターは、試料が酸素化されることを可能にするように構成され(特に、窒素-酸素混合物を供給し、二酸化炭素を排気することによって)、この酸素化は、少なくともインキュベーター内の二酸化炭素のレベルを制御することによって確実化される。好ましくは、インキュベーターは、試料が乾燥しないように、試料の湿度レベルを管理できるように構成される。例えば、インキュベーター9内の湿度レベルが70~100%の間であることを確認するためのセンサが、インキュベーター内に備えられる。
【0095】
この場合、インキュベーターは、有利には、従来のインキュベーターである。例えば、インキュベーターは、Okolab社によって販売されるH201-Kインキュベーターである。
【0096】
次に、干渉デバイスについて説明する。
【0097】
干渉デバイスは、フレームに対して動かないシートを備える。
【0098】
該シートは、ビームスプリッタ素子10を支持しており、それは、この場合では、非偏光ビームスプリッタ(NPBS)素子10である。例として、スプリッタ素子10は、非偏光スプリッタキューブ、非偏光スプリッタプレート等であり得る。
【0099】
光源5は、光学ユニット4によってスプリッタ素子10に照射するために意図されている。
【0100】
なお、本例では、光学ユニット4及び光源5の両方は、スプリッタ素子10と一直線上に配置されている。ここで、光学ユニット4及び光源5は、上記シートによって支持されているので、スプリッタ素子10に対して、したがってフレームに対して、動かない。
【0101】
シートに対して固定された光学ユニット4の部分である光学ユニットのハウジングの内側で、光学ユニット4は、光源5とスプリッタ素子10との間に、以下を次々に含む。
-光源5の下流に配置された第1の絞り12、
-第1の絞り12の下流に配置された、第1の光学素子13(例えば単一のレンズ、単一のダブレット(doublet)、又は一対のレンズ、又は一対のダブレット)、
-第1の光学素子13の下流に配置された第2の絞り14、
-第2の絞り14の下流かつスプリッタ素子10の上流に配置された、第2の光学素子15(例えば、単一のレンズ、単一のダブレット、又は一対のレンズ、又は一対のダブレット)。
【0102】
上記の4つの素子は、ハウジング内の所定の位置に固定されているので、スプリッタ素子10に対して、したがってフレームに対して、動かないようになっている。
【0103】
一例として、第1の光学素子13は、光源5によって発生させられる光線の発散を低減することを可能にする。これは、光源5によって生成される光放射における電力のあらゆる損失を制限する。
【0104】
一例として、第1の絞り12は、開口絞りである。第1の絞り12は、第1の光学素子13の焦点面に、好ましくは第1の光学素子13の像焦点面に、配置される。これにより、第1の光学素子13は、第1の絞り12と一致した第1の光学素子13の像焦点面において光源5をイメージングする。光源5は、第1の光学素子13によって第1の絞り12と共役であることに留意されたい。したがって、その開口によって、第1の絞り12は、例えば、光源5の空間インコヒーレンスの度合い及び/又は試料100が受ける光の量及び/又は設備1の照明開口数を制御することを可能にする。さらに、第1の絞り12は、第2の光学素子15の焦点面に、好ましくは第2の光学素子15の物体焦点面に、配置されている。さらに、第2の光学素子15の焦点距離は、第1の光学素子13と第1の絞り12との距離以下でなければならない。
【0105】
一例として、第2の絞り14は、視野絞りである。第2の絞り14は、試料の照射を制限して、設備1によってイメージングされる試料の部分のみに照射し、かつ/又はインコヒーレントな反射を減少させることを可能にする。第2の絞り14は、第2の光学素子15の焦点面に、好ましくは第2の光学素子15の物体焦点面に、配置される。
【0106】
本出願の目的のために、「上流」及び「下流」は、光が流れる方向に従うものとして理解されるべきである。
【0107】
本説明の目的のために、「絞り」とは、光源5によって発生された光放射の通過を制御するための任意の部材を、虹彩絞り、専用の壁の穴などを、意味する。
【0108】
図示の例では、光源5、第1の絞り12、第1の光学素子13、第2の光学素子15及び第2の絞り14が、スプリッタ素子10の上流に次々に配置されている。
【0109】
すでに述べたように、第1の光学素子13、第1の絞り12、第2の光学素子15、及び第2の絞り14は、装置内の所定の位置に固定されている。
【0110】
したがって、光源5は、スプリッタ素子10に(光学ユニットを介して)照射し、それによってスプリッタ素子10の「照明アーム」を定めることができる。
【0111】
さらに、スプリッタ素子10は、ひとたび光源によって照射されると、「物体アーム」(object arm)と呼ばれるアームが形成されることを可能にするのであり、これは、動作中に試料に関連付けられる。光源5は、物体アーム上ではなく、照明アーム上にある。
【0112】
さらに、設備1は、物体アームに関連付けられる第1の対物レンズ21を備える。
【0113】
好ましくは、第1の対物レンズ21の開口数は高い。本出願の目的のために、「高い」とは、0.8より大きい、好ましくは1より大きい、好ましくは1.4より大きい開口数を意味する。
【0114】
第2の光学素子15によって、光源5を対物レンズの焦点面上に、例えば対物レンズの物体焦点面上に、結像させることが可能になることに留意されたい。
【0115】
第1の対物レンズ21は、例えば装置2の一部である。
【0116】
試料100(又は少なくともイメージングされる試料100の層)は、第1の対物レンズ21の焦点の1つに、例えば第1の対物レンズ21の二次焦点に、配置されることが意図されている。
【0117】
結果として、第1の対物レンズ21は、物体アーム上にある。
【0118】
好ましくは、第2の絞り14は、第2の光学素子15の焦点面に、例えば第2の光学素子15の物体焦点面に、配置される。したがって、第2の絞り14は、第1の対物レンズ21によって試料と共役である(試料は、第1の対物レンズ21の焦点に、例えば第1の対物レンズ21の二次焦点にある)。さらに、光源5は、第1の対物レンズの焦点と、例えば第1の対物レンズ21の一次焦点(瞳面)と、(第1の光学素子13によって)共役である。
【0119】
ここで、装置は倒立タイプであるので、第1の対物レンズ21は、試料100を試料100の下方から見るように配置される。一例として、第1の対物レンズ21は、ステージの下に、本例ではインキュベーターの下に、配置される。
【0120】
装置2は、第1の対物レンズ21の光軸に沿って該第1の対物レンズ21を通過する光線がスプリッタ素子10まで反射され得るように、反射面22を備える。これにより、第1の対物レンズを鉛直向きにできる。
【0121】
典型的には、反射面22は平面状である。例えば、反射面22はミラーであり、例えば厚いミラー、例えば3ミリメートル以上の厚さ、例えば4ミリメートル以上の厚さを有するミラーである。好ましくは、反射面22は、プリズムによって支持された平面ミラーであるか又は立方体によって支持された平面ミラーである。
【0122】
本例では、反射面22は、第1の対物レンズ21の光軸に沿って伝搬させられる光線が、反射面22上で反射された後、物体アームに沿ってスプリッタ素子10まで伝搬させられるように、配置されている。
【0123】
干渉デバイスはまた、第1の対物レンズ21と、この場合には試料100との間に配置された、上述の鏡面界面3を含む。
【0124】
鏡面界面3は、例えば、スライドガラスの一部である。一例として、鏡面界面3は、試料100を支持する試料ホルダの一部である。
【0125】
好ましくは、鏡面界面3は第1の対物レンズ21に対して移動可能であり、したがってフレーム内で移動可能である。
【0126】
この目的のために、鏡面界面3は、フレームに対して、特に第1の対物レンズ21に対して、鏡面界面3を移動させるために(特に、鏡面界面3を対物レンズ21に向かう方向又はそれから離れる方向に移動させるために)、少なくとも1つの部材と関連付けられている。一例として、鏡面界面3は、該移動部材によって移動されるアンダーフレームによって支持されている。例えば、移動部材は、鏡面界面を少なくとも1つの並進で移動させるように構成される。例えば、移動部材は、鏡面界面3を第1の対物レンズ21の光軸に沿った少なくとも1つの並進移動で移動させるように構成される。
【0127】
好ましくは、ステージ及び鏡面界面3は、互いに対して動かない。したがって、この場合には、ステージは鏡面界面3に対して並進するように結合され、この目的のために、ステージはアンダーフレームに固定され、鏡面界面もそれに対して固定されている。その結果、鏡面界面が第1の対物レンズ21に向かう方向又はそれから離れる方向に動かされると、ステージ(したがって、試料)も同様に、第1の対物レンズ21に向かう方向又はそれから離れる方向に動かされる。
【0128】
さらに、鏡面界面3は、装置2内に配置され、その結果、鏡面界面と設備によってイメージングされる平面との間の距離は、この場合にはゼロと第1の対物レンズ21の被写界深度の3倍以上との間であり、好ましくはゼロと第1の対物レンズ21の被写界深度の2倍との間であり、好ましくはここではゼロと第1の対物レンズ21の被写界深度の1倍との間である。
【0129】
この目的のために、有利には、必要に応じて、この機能を果たすために、ステージ及び鏡面界面3から成るアセンブリを、第1の対物レンズ21に対して移動させることが可能である。
【0130】
特定の場合には、イメージング平面は、第1の対物レンズ21の像焦点面である。しかしながら、イメージング平面は、設備1内での取得デバイス7の相対位置に応じて、像焦点面と異なっていてもよい。
【0131】
この場合、イメージングされる試料100の層が第1の対物レンズ21の像焦点面内に位置するので、上記層と鏡面界面3との間の距離は、好ましくは被写界深度の2倍以下であることが保証される。したがって、好ましくは、上記層と鏡面界面3との間の距離が第1の対物レンズ21の被写界深度の1倍未満であることが保証される。
【0132】
これにより、鏡面界面3は、参照波のための参照フィールドとしてはたらくことが可能となる。
【0133】
光源5がガウスの法則に従うスペクトル分布に従った光線を発する場合、λはその分布の中心波長として定義することができ、Δλはその定義のスペクトル幅として定義することができる。
【0134】
このような状況では、第1の対物レンズ21及び鏡面界面3は、第1の対物レンズ21の像焦点面と、試料100に面する鏡面界面3の面との間の距離ΔZが、好ましくは、第1の対物レンズ21の被写界深度の2倍未満であるように、即ち2λ/NAの2倍未満であるように、配置される。ここで、NAは第1の対物レンズ21の開口フィールドである。
【0135】
被写界深度が光源5の中心波長のコヒーレンス長Lよりも大きい場合には、距離ΔZは好ましくはコヒーレンス長Lの2倍未満であることには、留意されたい。念のため、Lは以下に等しい。
【数2】
【0136】
ΔZは、例えば、0~5マイクロメートルである。この値の範囲は、限定するものではなく、主として第1の対物レンズ21の特性に依存することになる。実際には、ΔZは、依然として干渉を形成することが可能な光源5によって発せられる最大波長に関連している。
【0137】
したがって、この構成では、反射面22、第1の対物レンズ21、及び鏡面界面3が、スプリッタ素子10と試料100との間で物体アーム上に次々に位置していることが、理解される。
【0138】
鏡面界面3は物体アーム上にある。したがって、鏡面界面3は、光線が試料100に到達しかつ光源5を介して出ることができるように、光線を通過させるのに十分に透明でなければならないことが、理解される。
【0139】
さらに、鏡面界面3は、参照波を得ることを可能にする装置2の要素であることには、留意すべきである。もっとも、鏡面界面3は、物体アーム上に好都合に配置されている。
【0140】
したがって、このように記載された装置2は、好都合に配置された鏡面界面3が使用されるので、専用の参照アームを必要としない。
【0141】
さらに、装置2は、干渉デバイスの出力部に配置された、即ちスプリッタ素子10と取得デバイス7との間に配置された、第3の光学素子23を含む。第3の光学素子23は、干渉デバイスの一部であってもよく、又は該干渉デバイスの一部でなくてもよい。
【0142】
一例として、第3の光学素子23は、単一のレンズ、単一のダブレット、又は一対のレンズ、又は一対のダブレットである。
【0143】
取得デバイス7は、第3の光学素子23の焦点面に、例えば第3の光学素子23の物体焦点面に、配置される。
【0144】
本例では、取得デバイス7の光軸は照明アームに垂直である。
【0145】
このように記載された設備1は、ケーラー照明構成のリニーク式干渉計の改良である。
【0146】
記載したアセンブリ1から出発して、静的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィイメージングと動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィイメージングの両方を行うことが可能である。
【0147】
動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィイメージングの場合には、試料を装置2に配置し、試料100の層からのN個の二次元干渉信号の時間シーケンスを取得デバイス7によって取得する。
【0148】
さらに、このように記載された設備1は、(排他的にではないが)特に鏡面界面3に最も近い試料100の層をイメージングすることを可能にする。
【0149】
さらに、インキュベーターなしでか又はインキュベーターを用いるかのいずれかで、フルフィールド光コヒーレンストモグラフィイメージングを行うことが可能である。
【0150】
したがって、このように記載された設備1は、多数のイメージングの可能性が実装されることを可能にする。
【0151】
記載された設備1により、例えば、細胞の画像を取得することができるが、細胞活動を可視化し、細胞の代謝状態を識別することも可能である。細胞は、例えば、二次元単層培養物のような二次元培養物、オルガノイドのような三次元培養物又は他の三次元多層培養物などであり得る。
【0152】
具体的には、細胞を侵襲的ではあるが非破壊的に研究することが可能である。
【0153】
したがって、記載された設備1の強みの1つは、自然な環境を乱さずに画像を作り出す能力である。このように説明された設備1は、例えば、オルガノイド、二次元単層培養物、三次元多層培養物、線維芽細胞、網膜及び角膜、マウス、ブタ、マカケ等からの網膜及び角膜外植片、を研究するために、大規模オルガノイド製造に関する品質管理を実施するために、マイクロフルイディクス及び疾患モデリングの分野での支援のために、新しい治療(遺伝子、医薬品等)の有効性を試験するために、移植等のために、使用することができる。
【0154】
さらに、記載された設備1は、例えば、組織の三次元構造を視覚化するための静的信号と、組織の細胞を特定しそれらの代謝を測定するための動的信号との両方を生成することを可能にする。
【0155】
記載された設備1の他の用途には、例えば、高い空間分解能(例えば、100~400ナノメートルの間の分解能)及び/又は時間分解能(例えば、ミリ秒の範囲の分解能であって、2ミリ秒の分解能など)を有する全ての顕微鏡研究が、特に、試料が破壊されずかつ/又は内因性マーカの欠如が組み込まれているものが、想定されることができる。
【0156】
さらに、例えば、約Xミリ秒の移動機構を反映するコントラストを有する画像を生成することによって、試料のリアルタイムトラッキングを作り出すことが可能であり、Xは、100~200ミリ秒の間であり、Xは、例えば、160ミリ秒である。
【0157】
また、設備1は参照アームを有さないため(特に、それは参照アーム上に配置される第2の対物レンズを有さないため)、寸法が小さくなっている。このようにして、設備1を小型化することができる。
【0158】
さらに、記載した設備1は、単純な構造を有しており、したがって、上記以外の手段を用いても実装が容易である。
【0159】
第1のオプションによれば、取得デバイス7は、カメラを備えた単純な携帯電話であってよく、例えばスマートフォンであってもよい。その場合、取得デバイス7は、設備1の一部ではない。この設備1は、例えば、ステーション(装置のフレーム上に任意に配置される)を備えることができ、未経験のユーザであっても、高品質のイメージングを簡単かつ迅速に行う目的のために設けられたステーション内に電話機を配置することができるであろう。
【0160】
なお、第3の光学素子23も、任意には、携帯電話の一部であってよい。
【0161】
設備1は、参照アームを持たないので、寸法が小さくなっている。このように、設備1を小型化することができる。
【0162】
この場合にも、任意には、光源5も、携帯電話の一部であってよい。
【0163】
この場合、任意には、処理デバイスも、携帯電話の一部であってよい。
【0164】
上記の第1のオプションと任意に組み合わせることができる第2のオプションによれば、設備1及び/又は装置2は、既存の顕微鏡から出発して生産される。例えば、ステージ、フレーム、反射面3、及び第1の対物レンズ21は、倒立顕微鏡等の既存の顕微鏡のものである。例えば、倒立顕微鏡はタレット顕微鏡である。
【0165】
もっとも、該顕微鏡は、以下のように修正されるのであって、即ち、
-鏡面界面3(及び任意にはその関連する移動部材)が、第1の対物レンズ21とステージとの間に配置され、
-干渉デバイスは、潜在的には光源5及び取得デバイス7と共に、顕微鏡に追加され、
-鏡面界面3と第1の対物レンズ21との間の距離は、上に示したように調節される。
【0166】
これにより、有利には、設備1を製造するコストを低減することが可能となる。
【0167】
さらに、そのことは、設備1を、顕微鏡を用いて働くことに既に慣れているすべてのユーザにとって使用しやすいものにしている。
【0168】
さらに、これは、例えば特殊なイメージング特徴(可視光イメージング、蛍光イメージングなど)、特殊な対物レンズなどの、従来の顕微鏡の利点から利益を得ることを可能にする。特に、顕微鏡は、そのための他の光学モジュールが既に開発されている顕微鏡であってよく、例えば、微分干渉コントラスト(DIC)モジュール、コヒーレント反ストークスラマン散乱(CARS)モジュール、第二高調波発生(SHG)モジュール、第三高調波発生(THG)モジュール、ラマンモジュール、単一光子又は二光子蛍光モジュールなどがある。
【0169】
この第2のオプションによって、設備1は、単純な方法でこれらの従来技術のモジュールに結合され、試料100をイメージングするための可能性を拡大することができる。さらに、関連付けられる顕微鏡は、その付属品が、この種の顕微鏡から出発することによって上記設備が顕微鏡のその付属品から利益を得ることが可能になるように、既に開発されている顕微鏡であり得る。前述のインキュベーターは、例えば、この種の従来技術の付属品であってもよい。
【0170】
ここで、図2a及び図2bを参照して、第2の実施形態について説明する。
【0171】
第1の実施形態では、設備1は追加の物理的参照アームを有していなかったが(鏡面界面3は物体アームによって支持されている)、第2の実施形態では、設備1は追加の物理的参照アームも有している。したがって、第1の実施形態に従って説明された設備全体も、ここに存在する。
【0172】
したがって、追加の参照アームによって、干渉デバイスはまた、動作中に、
光源5によって発せられた光を追加の物体アームの反射面6上で反射させることによって得られる参照波と、
光源5によって発せられた光を試料上に後方散乱させることによって得られる物体波の間に、光干渉を作り出すことが可能である。
【0173】
反射面6は、平面状である。反射面6は、例えばミラーである。
【0174】
さらに、設備は、第2の対物レンズ24を備える。2つの対物レンズ21、24は同一であり、それぞれアームの1つに関連付けられている。対物レンズ21、24は、両方とも、同じ開口数(NA)を有する。
【0175】
任意には、第2の対物レンズ24の開口数は高い。本出願の目的のために、「高い」は、0.8より大きい、好ましくは1より大きい開口数を意味する。
【0176】
第2の光学素子15は、光源5が、2つの対物レンズの焦点面上に、例えば、2つの対物レンズ21、24の物体焦点面上に結像されることを可能にすることに、留意されたい。
【0177】
第2の対物レンズ24は、干渉デバイスの一部である。これにより、反射面6の領域に第2の対物レンズ24が配置される。一例として、第2の対物レンズ24の光軸は、反射面6が延在する平面に垂直である。
【0178】
より正確には、この場合、第2の対物レンズ24は、反射面6が第2の対物レンズ24の焦点の1つに、例えば第2の対物レンズ24の二次焦点に、位置するように配置される。
【0179】
したがって、第2の対物レンズ24は、参照アーム上にある。
【0180】
図示された例では、第2の対物レンズ24及び反射面6は、スプリッタ素子10の下流で、参照アームの側に次々に位置している。
【0181】
本例では、取得デバイス7、第3の対物レンズ23、界面素子10、第2の対物レンズ24、及び反射面6は、互いに一直線状に並んでいる。
【0182】
好ましくは、反射面6は、第2の対物レンズ24の光軸に沿って並進移動可能である。
【0183】
この目的のために、反射面6は、それが第2の対物レンズ24に対して相対移動可能となるようにフレームに対して移動可能となるように、干渉デバイスに取付けられる。例えば、反射面6は、フレームに対して並進移動可能である基部上に取り付けられている。例えば、基部は、少なくとも1つの圧電アクチュエータによって、フレームに対して並進移動可能である。
【0184】
さらに、参照アームは、光線が参照アームに沿って移動するのを一時的に防止するために、参照アームをロックする手段(ここでは見ることができない)と関連付けられる。例えば、カバー、シャッター、又はミラーがスプリッタ素子10の領域に一時的に配置されることができ、又は、スプリッタ素子10が異なる向きに向けられることができ、又は、参照アームが、スプリッタ素子10等に対して移動させられ得るシートに取り付けられる。
【0185】
したがって、図2aに示される設備のための第1の使用オプションによれば、試料100は、参照アームを使用する必要なくして、第1の実施形態と同じやり方でイメージングを行うことができる。このようにロック手段が作動させられ、光線が参照アームに沿って移動することが防止される。
【0186】
この構成では、距離ΔZは、イメージング平面と鏡面界面3との間で定められる。この距離は、好ましくは、第1の対物レンズ21の被写界深度の2倍未満である(又は、光源5の中心波長のコヒーレンス長の2倍に等しい。第1の対物レンズの被写界深度が該コヒーレンス長よりも大きい場合には)。
【0187】
好ましくは、このオプションは、試料100の界面層をイメージングするために、又は二次元試料100をイメージングするために、主として使用される。
【0188】
図2bに示す設備のための第2の使用オプションによれば、試料100は、参照アームを使用することによる、より従来的な方法でイメージングすることができる。ロック手段は、光線が参照アームに沿って移動することを可能にするために無効化される。
【0189】
一例として、鏡面界面3は、設備1内の所定の位置に留まり、この特徴は、参照アームを調節する際に考慮される。
【0190】
この構成では、イメージング平面と反射面6との間に距離ΔZが定められる。一例として、イメージング平面は、第2の対物レンズ24の像焦点面に対応している(もっとも、イメージング平面は、設備内の取得デバイス7の位置に応じて、他の平面に対応することもできる)。
【0191】
この距離ΔZは、好ましくは、第2の対物レンズ24の被写界深度の少なくとも2倍より小さい(又は、光源のコヒーレンス長が第2の対物レンズの被写界深度より小さい場合には、光源のコヒーレンス長の2倍である)。
【0192】
このオプションは、好ましくは、試料100を第1の対物レンズから最も遠い層においてイメージングするために、主として使用される。
【0193】
有利には、第1の使用オプションから第2の使用オプションに容易に切り替えることが可能であり、それによって、試料100のイメージングの可能性はさらに拡大される。
【0194】
特に、第1の使用オプション及び第2の使用オプションの両方について、第1の使用オプション又は第2の使用オプションが選択されたかどうかにかかわらず、FFOCT及びD-FFOCTイメージングの両方を実施することが可能であることに留意されたい。
【0195】
なお、第1の実施形態について上述した第1のオプション及び第2のオプションは、この第2の実施形態にも適用可能である。
【0196】
記載するまでもないが、本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められる発明の範囲に属する任意の変形例をカバーするものである。
【0197】
特に、インキュベーターは、設備の一部であってもよいしそうでなくてもよく、かつ/又は、取得デバイスは、設備の一部であってもよいしそうでなくてもよく、かつ/又は、処理デバイスは、設備の一部であってもよいしそうでなくてもよく、かつ/又は、光源は、設備の一部であってもよいしそうでなくてもよく、かつ/又は、携帯電話は、設備の一部であってもよいしそうでなくてもよい。
【0198】
さらに、取得デバイスは、装置の一部であってもよいしそうでなくてもよく、かつ/又は、処理デバイスは、装置の一部であってもよいしそうでなくてもよく、かつ/又は、光源は、装置の一部であってもよいしそうでなくてもよい。
【0199】
装置は、倒立式ではなくてもよい。試料は、上方から照射されてもよいし(この場合は、第1の対物レンズも、上方からの信号をピックアップする)、同様に、下方から照射されてもよい(この場合は、第1の対物レンズも、好ましくは下方からの信号をピックアップする)。
【0200】
光センサは、指定されたものとは異なるものであってよく、例えば、光センサは、電荷結合素子(CCD)センサであってよい。光センサは、可視範囲及び/又は赤外線のような他の範囲で機能する場合がある。このように、光センサは、近赤外線イメージング素子(又は、短波赤外線センサ、SWIR)であり得る。一例として、光センサは、InGaAs(インジウムガリウムヒ素)センサ又はInGaAs SWIRセンサである場合がある。光センサ(及び/又は取得デバイス)が、例えば可視範囲で機能することができ、その後は例えば赤外線等の可視範囲以外の範囲で機能することができるようにするために、交換可能であるように、装置及び/又は設備を形状決めすることができる。
【0201】
設備は、インキュベーターを(携行可能なものであるか否かにかかわらず)備えていない場合もある。この設備は、例えば、試料を所定の温度に保つことができるようにするために、少なくとも顕微鏡が配置された加熱チャンバを備えることができる。
【0202】
ここでは、高い開口数の対物レンズが使用されてきたが、低い開口数を有する対物レンズも使用可能である。
【0203】
顕微鏡がタレットを有していない場合もある。
【0204】
装置は、上述した物体アーム上に配置された反射面を有していない場合がある。
【0205】
第1の対物レンズは、光源と位置合わせされ得る。
【0206】
鏡面界面は、その反射係数を修正するための特定の表面処理を含むことができる。
【0207】
鏡面界面は、装置から一時的に取り外されることが可能である場合もあれば、装置を分解するオプションなしで固定される場合もある。
【0208】
ここでは、鏡面界面が第1の対物レンズに対して移動するが、第1の対物レンズが鏡面界面に対して移動するという場合もある。代替的には、第1のレンズ及び鏡面界面は、フレーム内で互いに一定の距離にあってもよい。
【0209】
ここでは、鏡面界面はスライドガラスであるが、鏡面界面は、他の材料で作製されたスライドであってもよく、例えばプラスチック製スライドであってもよい。鏡面界面は、ガラス、プラスチック材料、又は光線を通過させる任意の他の材料から作られた要素である場合があり、その材料は、好ましくは平面状かつ/又は平滑である。鏡面界面は、スライドの一部である場合もあれば、又は、他の異なる形状の要素の一部である場合もあり、例えば、プレートの形態もしくは光線が鏡面界面を通過するような任意の他の形状であってもよい。
【0210】
鏡面界面は、特に試料ホルダがスライド(ガラス、プラスチック材料などで作製される)である場合には、試料ホルダ内に一体化されていてもよいしそうでなくてもよい。ここでは、鏡面界面はステージとは別個であるが、鏡面界面をステージ内に統合することも可能である。
【0211】
ここで、鏡面界面は、試料に面するスライド面であるが、鏡面界面は、第1の対物レンズ又はスライド内の任意の他の層に面するスライド面であってもよい。1つの試料及び同じ試料について、代替的には、第1の対物レンズに面する面によって形成される鏡面界面及び試料に面する面によって形成される鏡面界面を考慮することも可能であり、それによって、該試料の少なくとも2つの異なる層(界面層、及び該界面層から2つの界面同士の間の距離に等しい距離だけ離隔された層)をイメージングすることが可能である。
【0212】
ここでは、ビームスプリッタ素子は非偏光性であるが、ビームスプリッタ素子が偏光性であり、そして非偏光性を提供する追加の装置の部片(例えば、4分の1波長板のような位相差板)と関連付けられる、という場合もある。このように、ビームスプリッタ素子は、非偏光ビームスプリッタ素子(NPBS)、偏光ビームスプリッタ素子、「水玉」(Polka dot)タイプのビームスプリッタ素子、1つ以上の膜など、任意のスプリッタ素子であってよい。
【0213】
反射面22は、設備内で省略することができる。
【0214】
ここでは、鏡面界面は第2の構成で所定の位置に留まっているが、一変形例においては、第2の構成が選択されている限りにおいては、鏡面界面を設備から一時的に取外すことが可能である。
図1
図2a
図2b
【手続補正書】
【提出日】2025-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0214
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0214】
ここでは、鏡面界面は第2の構成で所定の位置に留まっているが、一変形例においては、第2の構成が選択されている限りにおいては、鏡面界面を設備から一時的に取外すことが可能である。
また、本開示は、以下の態様を含む。
〔態様1〕
少なくとも1つの試料のフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための方法であって、前記方法は、
-設備の物体アーム内を伝播する光を発するステップであって、前記試料は、前記光が前記試料内で後方散乱されて物体波を生成するように、前記設備内に配置されている、光を発するステップと、
前記物体波と参照波の間で少なくとも1つの干渉を作り出すステップと、
を含んでいる、方法において、
前記参照波は、前記光を、前記物体アーム上に配置された鏡面界面上で反射させることによって生成される、ことを特徴とする、方法。
〔態様2〕
前記鏡面界面は、前記設備によってイメージングされた平面から所与の距離にあるように配置され、前記距離は、ゼロ以上であり、かつ、
-前記試料を見るために意図された設備対物レンズの被写界深度の2倍以下であるか、又は、
-コヒーレンス長が前記対物レンズの前記被写界深度未満である場合には、前記光を生成する光源の前記コヒーレンス長の2倍以下である、態様1に記載の方法。
〔態様3〕
少なくとも1つの試料のフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置であって、前記装置は、動作中に前記試料を見るための対物レンズを備えており、前記デバイスは鏡面界面を備えており、前記デバイスは、動作中に、
-前記装置に関連付けられた光源によって発せられた光を前記鏡面界面上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、
-前記光源によって発せられた前記光を前記試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間で、
少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることができ、
前記鏡面界面は、動作中、前記物体波が前記試料と前記光源の間を進む際に、前記物体波が前記鏡面界面を通過するように、前記対物レンズに対して配置されている、装置。
〔態様4〕
前記鏡面界面(3)は、スライドガラス又はプラスチック製スライドである、態様3に記載の装置。
〔態様5〕
前記光源(5)は、前記装置の一部である、態様3から4のうちいずれか一つに記載の装置。
〔態様6〕
前記装置は、前記参照波と前記物体波の間の前記干渉から生じる少なくとも1つの信号を取得するのに適した取得デバイス(7)を備えている、態様3から5のうちいずれか一つに記載の装置。
〔態様7〕
前記装置はまた、動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを可能にするように構成されている、態様3から6のうちいずれか一つに記載の装置。
〔態様8〕
前記装置は、前記試料を受け入れるためのインキュベーターを備えている、態様3から7のうちいずれか一つに記載の装置。
〔態様9〕
前記光源(5)は、少なくとも1つの光学素子と少なくとも1つの絞りとを含む光学ユニットを通して、設備のビームスプリッタ素子に照射する、態様3から8のうちいずれか一つに記載の装置。
〔態様10〕
前記鏡面界面は、前記試料ホルダの一部である、態様3から9のうちいずれか一つに記載の装置。
〔態様11〕
前記鏡面界面は、動作中に前記試料に面する試料ホルダ面である、態様10に記載の装置。
〔態様12〕
態様3から11のうちいずれか一つに記載の装置と参照アームとを備える設備であって、前記設備は、動作中に、
前記光源(5)によって発せられた前記光を前記追加の参照アームの反射面(6)上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、
前記光源によって発せられた前記光を前記試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間に、
少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることもできる、設備。
〔態様13〕
前記設備は前記参照アームをロックするための一時的な手段を備えている、態様12に記載の設備。
〔態様14〕
前記設備の少なくとも一部は携帯電話に統合されている、態様8から13のうちいずれか一つに記載の設備。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの試料のフルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングのための光学装置を備える設備であって、前記光学装置は、動作中に前記試料を見るための対物レンズを備えており、前記設備は鏡面界面を備えており、前記設備は、動作中に、
-前記光学装置に関連付け可能な光源によって発せられた光を前記鏡面界面上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、
-前記光源によって発せられた前記光を前記試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間で、
少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることができ、
前記鏡面界面は、動作中、前記物体波が前記試料から前記光源に向かって進む際に、前記物体波が前記鏡面界面を通過するように、前記対物レンズに対して配置されており、前記鏡面界面は前記対物レンズと前記試料の間に配置されており、
前記光学装置は、前記参照波と前記物体波の間の前記干渉から生じる少なくとも1つの信号を取得するのに適した取得デバイス(7)を備えており、前記信号は、前記試料の少なくとも一部の画像を生成するために、処理用のデバイスによって処理されるように専用化されており、
前記鏡面界面及び前記対物レンズは、前記対物レンズの光学軸に沿った少なくとも1つの並進移動で互いに対して可動である、設備。
【請求項2】
前記鏡面界面(3)は、スライドガラス又はプラスチック製スライドである、請求項に記載の設備
【請求項3】
前記光源(5)は、前記光学装置の一部である、請求項に記載の設備
【請求項4】
前記光学装置はまた、静的及び動的フルフィールド光コヒーレンストモグラフィ顕微イメージングを可能にするように構成されている、請求項に記載の設備
【請求項5】
前記設備は、前記試料を受け入れるためのインキュベーターを備えている、請求項に記載の設備
【請求項6】
前記光源(5)は、少なくとも1つの光学素子と少なくとも1つの絞りとを含む前記設備の光学ユニットを通して、前記設備のビームスプリッタ素子に照射する、請求項に記載の設備
【請求項7】
前記設備は試料ホルダを備えており、前記鏡面界面は、前記試料ホルダの一部である、請求項に記載の設備
【請求項8】
前記鏡面界面は、動作中に前記試料に面する試料ホルダ面である、請求項に記載の設備
【請求項9】
前記設備は、追加の参照アームを備えており、前記設備は、動作中に、
前記光源(5)によって発せられた前記光を前記追加の参照アームの反射面(6)上で反射させることによって得られる、少なくとも1つの参照波と、
前記光源によって発せられた前記光を前記試料上で後方散乱させることによって得られる、少なくとも1つの物体波との間に、
少なくとも1つの干渉が作り出されることを可能にすることもできる、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の設備。
【請求項10】
前記設備は前記追加の参照アームをロックするための一時的な手段を備えている、請求項に記載の設備。
【請求項11】
前記設備の少なくとも一部は、前記設備に属している携帯電話に統合されている、請求項からのうちいずれか一項に記載の設備。
【国際調査報告】