IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリゲニス ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-09-29
(54)【発明の名称】新規CDK9阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20250919BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20250919BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20250919BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
A61P29/00
A61P37/02
A61P31/12
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P3/10
A61P9/00
A61P1/02
A61P9/10
A61P31/04
A61K31/5025
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025518411
(86)(22)【出願日】2023-09-27
(85)【翻訳文提出日】2025-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2023076719
(87)【国際公開番号】W WO2024068740
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】22198460.2
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513263031
【氏名又は名称】オリゲニス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ORIGENIS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トルマン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】イェヒア ナセル
(72)【発明者】
【氏名】ケストラー ローランド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA67
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、式(I)の新規化合物に関する。
これらの化合物はCDK9の阻害剤であり、過剰増殖性疾患、ウイルス誘発性感染症、および心血管疾患を含むさまざまな疾患の処置に有用である。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、または該化合物の塩:
【化1】
(式中、
R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアラルキル基であり;これらの基はすべて、任意選択で置換されてもよく;
R2は、任意選択で置換されているフェニル基であり;
R3は、ハロゲン原子であり;
R4は、水素原子またはハロゲン原子である)。
【請求項2】
R4がHまたはClである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R4がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R3がClである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R2が、F、Cl、BrおよびMeから独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換されているフェニル基である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R2が2,6-ジフルオロフェニル基である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R1が、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキル基、C、NおよびOから独立して選択される3~9個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、任意選択で置換されているフェニル基、任意選択で置換されているベンジル基、C、N、OおよびSから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロアリール基、または、式-CH-Het(式中、HetはC、N、OおよびSから独立して選択される5または6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロアリール基)の基である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R1が、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキル基、C、NおよびOから独立して選択される3~9個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、または、式-CH-Het(式中、HetはC、N、OおよびSから独立して選択される5または6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロアリール基)の基である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R1が、以下の基から選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物:
【化2】
(式中、Rは、NH、C1~8ヘテロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基であり;ならびに、
5aは、水素、C1~6アルキル基、C1~8ヘテロアルキル基、任意選択で置換されているC5~6シクロアルキル基、または、C、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である)。
【請求項10】
R1が、以下の基から選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物:
【化3】
(式中、Rは、NH、C1~6ヘテロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基であり;ならびに、R5aは、水素、C1~6アルキル基、任意選択で置換されているC5~6シクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である)。
【請求項11】
R1が、式-CH-Het(式中、Hetは、任意選択で置換されているピリジル基である)の基である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
以下の化合物またはその塩から選択される請求項1に記載の化合物:
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-((1r,4r)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-((4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;
(1r,4r)-N1-(3,7-ジクロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン;
(1r,4r)-N1-(3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン;
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-((1r,4r)-4-モルホリノシクロヘキシル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;
(1r,4r)-N1-(3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル)-N4,N4-ジメチルシクロヘキサン-1,4-ジアミン;
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(3-メチル-1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(3-メチルピペリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;
tert-ブチル-4-((3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル)アミノ)-3-メチルピペリジン-1-カルボキシレート;
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(1-メチルピロリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;および
3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(1-メチルアゼチジン-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の化合物と、任意選択で1つもしくは複数の担体物および/または1つもしくは複数のアジュバントとを含む、医薬組成物。
【請求項14】
異常なCDK、特にCDK9および/もしくはCDK2調節が観察される疾患、例えば、広範なサイトカイン誘発性炎症性疾患、および自己免疫疾患、局所的もしくは全身性ウイルス感染症、眼のウイルス感染症、ウイルス呼吸器感染症、またはDNAウイルスおよび/もしくはRNAウイルスによって引き起こされる中枢神経系および/もしくは末梢神経系のウイルス感染症、ならびに種々の非固形および固形の悪性腫瘍、がん、または過剰増殖性疾患、例として、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、再発性多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、急性二表現型白血病、中悪性度MYC駆動型B細胞リンパ腫、原発性腹膜癌、カポジ肉腫、進行性乳がん、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、または肝細胞癌などの肝臓がん、子宮頸部上皮内腫瘍、前立腺がん、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、または膠芽腫、例えば、進行性および/または転移性の血液/固形悪性腫瘍、の処置に使用するための(特に、MYC-もしくはMCL-1の異常発現によって引き起こされる血液悪性腫瘍、または固形腫瘍の処置に使用するための);あるいは免疫応答のモジュレーターとして、および、機械的/外傷誘発性炎症、例として外傷後変形性関節症(PTOA)、全身性および局所的サイトカイン誘発性炎症疾患、例えば、胃腸もしくは尿路の炎症性疾患、および目の炎症性疾患、例としてシェーグレン病および緑内障、細菌誘発性炎症性疾患、例として歯肉炎、歯周炎の処置および/または予防のために、ならびに心血管疾患、例として心肥大、拡張型心筋症、アテローム性動脈硬化症、および心代謝疾患、例として肥満および糖尿病の処置および/または予防のために使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、または請求項13に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物医学の分野に関し、具体的には、イミダゾピリダジン構造を有する一連の新規CDK9阻害剤およびその使用を含む。本発明は、CDK9阻害剤としての化合物、薬学的に許容される塩、上記化合物またはプロドラッグの溶媒和物、および上記化合物の医薬組成物の使用を含む。
【背景技術】
【0002】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)はセリン/スレオニンキナーゼファミリーのメンバーであり、調節サブユニットサイクリンとヘテロ二量体を形成して触媒機能を発揮する。CDKファミリーのメンバーは、機能の違いに従って周期的CDKと転写CDKに分類することができる。前者には、主に細胞周期プロセスを制御するCDK1/2/4/6が含まれ;後者には、主に、mRNAの転写およびプロセシングを調節するCDK7/8/9が含まれる(Malumbres M.ら、Genome Biol.、2014年15:122)。転写CDKの過剰発現または機能強化は、特定の下流遺伝子、特に抗アポトーシスタンパク質Mcl-1の発現の大幅な増加を引き起こし、これにより腫瘍がもたらされる(Morales F.ら、Cell Cycle、2016年、15:519)-27)。近年、非選択的CDK阻害剤が、CDK9の機能を阻害することによって抗腫瘍効果を達成できることが発見された。したがって、CDK阻害剤に関する研究は人々の注目を集めている(Krystof V.ら、Target,Curr.Pharm.Des.、2012年、18:2883~2890)。研究により、CDK9の過剰発現が、急性骨髄性白血病、乳がん、大腸がん、および前立腺がん、ならびにヒト免疫不全ウイルスおよびアデノウイルスなど、さまざまな腫瘍、炎症、およびウイルス複製の発生に関連していることが明らかになっている(Franco L.C.ら、J.Cell Biochem.、2017年、119:1273~1284)。これらの知見は、CDK9がん処置の効果的な標的であることを示している。臨床現場に導入された第一世代の全CDK阻害剤としては、フラボピリドール、ディナシクリブ、SNS-032、およびCYC065が挙げられるが、これらはいずれも広範なCDKに対する選択性の欠如のため、臨床的副作用を示した。近年、薬学的な研究は、主に選択的CDK9阻害剤の同定と開発に焦点を当てている。これらは、現在、BAY-1143572、KB-0742およびAZD4573のような、前臨床および初期臨床研究中である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Malumbres M.ら、Genome Biol.、2014年15:122
【非特許文献2】Morales F.ら、Cell Cycle、2016年、15:519
【非特許文献3】Krystof V.ら、Target,Curr.Pharm.Des.、2012年、18:2883~2890
【非特許文献4】Franco L.C.ら、J.Cell Biochem.、2017年、119:1273~1284
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、先行技術の化合物の欠点を克服するCDK9の新規阻害剤を提供することである。特に、CDK9に対する選択性を高め、創薬可能性を改善することが目的であった。本発明の主な目的は、高効率、低毒性、および優れた薬物代謝特性を示し、疾患の予防および/または処置に使用できるクラスのCDK9小分子阻害剤を提供することであった。この目的は、本発明の化合物によって解決された。本発明は、イミダゾピリダジン構造を含有するCDK9小分子阻害剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)の1つもしくは複数の化合物またはその塩を提供する。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、
R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアラルキル基であり;これらの基はすべて、任意選択で置換されてもよく;
R2は、任意選択で置換されているフェニル基であり;
R3はハロゲン原子であり;
R4は、水素原子またはハロゲン原子である)。
【0008】
好ましくは、R4は、HまたはClである。
【0009】
さらに好ましくは、R4は、Hである。
【0010】
さらに好ましくは、R3は、Clである。
【0011】
さらに好ましくは、R2は、F、Cl、BrおよびMeから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されたフェニル基である。
【0012】
さらに好ましくは、R2は、2位および6位で置換されているフェニル基(すなわち、2つのオルト置換基を有するフェニル基)である。
【0013】
最も好ましくは、R2は、2,6-ジフルオロフェニル基である。
【0014】
好ましくは、R1は、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキル基、C、NおよびOから独立して選択される3~9個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、任意選択で置換されているフェニル基、任意選択で置換されているベンジル基、C、N、OおよびSから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロアリール基、または式-CH-Het(式中、Hetは、C、N、OおよびSから選択される5または6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロアリール基である)の基である。
【0015】
さらに好ましくは、R1は、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキル基、C、NおよびOから独立して選択される3~9個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、または式-CH-Het(式中、Hetは、C、N、OおよびSから選択される5または6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロアリール基である)の基である。
【0016】
なおさらに好ましくは、R1は、以下の基から選択される。
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、Rは、NH、C1~8ヘテロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基であり;および、R5aは、水素、C1~6アルキル基、C1~8ヘテロアルキル基、任意選択で置換されているC5~6シクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である)。
【0019】
さらに好ましくは、R1は、以下の基から選択される。
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、Rは、NH、C1~6ヘテロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基であり;および、R5aは、水素、C~6アルキル基、任意選択で置換されているC5~6シクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である)。
【0022】
なおさらに好ましくは、R5aは、水素、C1~6アルキル基、または、式-SO2-1~6アルキル、-CONH-Cl~6アルキル、もしくは、-COO-Cl~6アルキルの基;または、任意選択で置換されているC5~6シクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である。
【0023】
さらに好ましくは、Rは、式-N(CHCHNMe、NH、-N(CHCHOまたは-NMeの基である。
【0024】
さらに好ましくは、R5aは、式-Me、-SOMeまたは-COOtBuの基である。
【0025】
なおさらに好ましくは、R1は、式-CH-Het(式中Hetは任意選択で置換されているピリジル基である)の基である。
【0026】
さらに好ましくは、R1基の任意選択の置換基は、独立して-N(CHCHNMe、-N(CHCHO、NH、-NMe、-Me、-SOMeおよび-COOtBuから選択される。
【0027】
さらに好ましくは、R1は、1~12個の炭素原子と、N、OおよびSから選択される1~6個のヘテロ原子とを含有する、任意選択で置換されているヘテロアルキル基である。
【0028】
さらに好ましくは、R1は、任意選択で置換されているC4~6シクロアルキル基、C、NおよびOから独立して選択される5~8個の環原子を含む任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、任意選択で置換されているフェニル基、または任意選択で置換されているピラゾール-4-イル基である。
【0029】
さらに好ましくは、R1は以下の群から選択される:
【0030】
【化4】
【0031】
(式中、Rは、-NH基、C1~6ヘテロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である)。
【0032】
好ましくは、Rは、以下の基から選択される:-NH、-NMe、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、-NH(CHF、-NH(CHF、-NH(CHOH、-NH(CHOH、-NH(CHOMe、-NH(CHOMe、-N(Me)(CHF、-N(Me)(CHF、-N(Me)(CHOH、-N(Me)(CHOH、-N(Me)(CHOMe、および-N(Me)(CHOMe。
【0033】
さらに好ましくは、R1は以下の群から選択される:
【化5】
【0034】
(式中、R5aは、水素、C1~6アルキル基、C1~8ヘテロアルキル基、任意選択で置換されているC5~6シクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される5もしくは6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である)。
【0035】
さらに好ましくは、R1は、以下の構造を有する。
【0036】
【化6】
【0037】
(式中、R6aは、水素、ハロゲンまたはC1~4ヘテロアルキル基(特に-O-C1~4アルキル基)であり;R6bは、水素、ハロゲンまたはC1~4ヘテロアルキル基(特に-O-C1~4アルキル基)であり、ならびにRは、C1~6アルキル基、C1~6ヘテロアルキル基、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される3~7個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、である)。
【0038】
好ましくは、R6aは、水素、ClまたはOMeである。
【0039】
さらに好ましくは、R6bは、水素である。
【0040】
さらに好ましくは、Rは、メチル基、式-C(CHCNの基、任意選択で置換されているシクロヘキシル基、任意選択で置換されているピペリジニル基、またはテトラヒドロピラニル基である。
【0041】
さらに好ましくは、Rは、式-Cy-L-R6cの基であり、式中、Cyは、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキレン基であるか、またはC、NおよびOから独立して選択される3~7個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキレン基であり;Lは結合またはCH基であり、R6cは、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される3~7個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、である。
【0042】
さらに好ましくは、Cyは、シクロヘキシレン基またはピペリジニレン基である。
【0043】
なおさらに好ましくは、R6cは、シクロプロピル基、またはC、NおよびOから独立して選択される4~6個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、である。
【0044】
さらに好ましくは、R1は、以下の構造を有する。
【0045】
【化7】
【0046】
(式中、R7aは、水素、ハロゲン、CNまたは-O-C1~4アルキル基であり;R7bは、水素、ハロゲン、CNまたは-O-C1~4アルキル基であり、ならびにRは、C1~6ヘテロアルキル基、C、NおよびOから独立して選択される3~7個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される4~12個の原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロアルキルシクロアルキル基である)。
【0047】
好ましくは、R7bは水素またはメトキシ基であり;好ましくは水素である。
【0048】
さらにR7aは、水素、フッ素、CNまたは-O-C1~4アルキル基であり;好ましくは水素である。
【0049】
なおさらに好ましくは、Rは、任意選択で置換されているピペラジニル基、任意選択で置換されているピペリジニル基、任意選択で置換されているモルホリニル基、または任意選択で置換されているテトラヒドロピリジニル基である。
【0050】
さらに好ましくは、Rは、式-Cy’-L’-R7cの基であり、式中、Cy’は、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキレン基、またはC、NおよびOから独立して選択される3~7個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキレン基であり;L’は結合またはCH基であり、R7cは、任意選択で置換されているC3~7シクロアルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される3~7個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である。
【0051】
さらに好ましくは、Rは、式-CO-R7dまたは-CO-NH-R7dの基であり、式中、R7dは、C1~4アルキル基、またはC、NおよびOから独立して選択される3~7個の環原子を含有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキレン基である。
【0052】
さらに好ましくは、R1は、式-CH-R1aまたは-CH-CH-R1aである(式中、R1aは、C、NおよびOから独立して選択される5または6個の環原子を有する、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル基である)(好ましくはR1aの任意の置換基はC1~4のアルキル基である)。
【0053】
本発明の最も好ましい化合物は、実施例に開示される化合物、またはその塩である。
【0054】
本発明の好ましい実施形態を、任意の所望の方式で組み合わせることがさらに好ましい(例えば、R1の任意の実施形態を、R2の任意の実施形態と組み合わせることができる)。
【発明を実施するための形態】
【0055】
アルキルという表現は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、特に1~6個(例えば、1、2、3または4)個の炭素原子を含有する、飽和直鎖または飽和分岐鎖炭化水素基であって、例えば、メチル(Me、CH)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n-ブチル(nBu)、イソブチル(iBu)、sec-ブチル(sBu)、tert-ブチル(tBu)、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、2,2-ジメチルブチルまたはn-オクチル基、を指す。
【0056】
1~6アルキルという表現は、1~6個の炭素原子を含む飽和直鎖または飽和分岐鎖炭化水素基を指す。C1~4アルキルという表現は、1~4個の炭素原子を含有する飽和直鎖または飽和分岐鎖炭化水素基を指す。例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチル基である。
【0057】
アルケニルおよびアルキニルという表現は、2~20個の炭素原子、好ましくは2~15個の炭素原子、特に2~10個(例えば、2、3、または4)の炭素原子を含有する少なくとも部分的に不飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素基であって、例えば、エテニル(ビニル)、プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、エチニル(アセチレニル)、プロピニル(例えば、プロパルギル)、ブチニル、イソプレニルまたはヘキサ-2-エニル基を指す。好ましくは、アルケニル基は1つまたは2つ(特に好ましくは1つ)の二重結合を有し、アルキニル基は1つまたは2つ(特に好ましくは1つ)の三重結合を有する。
【0058】
さらに、アルキル、アルケニル、およびアルキニルという用語は、1つまたは複数の水素原子が、ハロゲン原子(好ましくはFまたはCl)で置き換えられている基、例えば2,2,2-トリクロロエチル基またはトリフルオロメチル基を指す。
【0059】
ヘテロアルキルという表現は、1つまたは複数(好ましくは1~8;特に好ましくは、1、2、3または4)の炭素原子が、酸素、窒素、リン、ホウ素、セレン、ケイ素もしくは硫黄原子(好ましくは酸素、硫黄もしくは窒素原子)によって、またはSOもしくはSO基によって置き換えられている、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を指す。ヘテロアルキルという表現はさらに、カルボン酸またはカルボン酸から誘導される基、例えば、アシル、アシルアルキル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、カルボキシアルキルアミドまたはアルコキシカルボニルオキシなどを指す。さらに、ヘテロアルキルという用語は、1つまたは複数の水素原子が、ハロゲン原子(好ましくはFまたはCl)で置き換えられた基を指す。
【0060】
好ましくは、ヘテロアルキル基は、1~12個の炭素原子と、酸素、窒素および硫黄(特に酸素および窒素)から選択される1~8個のヘテロ原子とを含有する。特に好ましくは、ヘテロアルキル基は、1~6個(例えば、1、2、3または4個)の炭素原子と、酸素、窒素および硫黄(特に酸素および窒素)から選択される1、2、3または4個(特に1、2または3個)のヘテロ原子とを含有する。C1~8ヘテロアルキルという用語は、1~8個の炭素原子と、O、Sおよび/またはN(特にOおよび/またはN)から選択される1、2、3、4もしくは5個のヘテロ原子とを含むヘテロアルキル基を指す。C1~6ヘテロアルキルという用語は、1~6個の炭素原子と、O、Sおよび/またはN(特にOおよび/またはN)から選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子とを含有するヘテロアルキル基を指す。C1~4ヘテロアルキルという用語は、1~4個の炭素原子と、O、Sおよび/またはN(特にOおよび/またはN)から選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子とを含有するヘテロアルキル基を指す。
【0061】
ヘテロアルキル基の例は、式:R-O-Y-、R-S-Y-、R-SO-Y-、R-SO-Y-、R-N(R)-SO-Y-、R-SO-N(R)-Y-、R-N(R)-Y-、R-CO-Y-、R-O-CO-Y-、R-CO-O-Y-、R-CO-N(R)-Y-、R-N(R)-CO-Y-、R-O-CO-N(R)-Y-、R-N(R)-CO-O-Y-、-Y-CN、R-N(R)-CO-N(R)-Y-、R-O-CO-O-Y-、R-N(R)-C(=NR)-N(R)-Y-、R-CS-Y-、R-O-CS-Y-、R-CS-O-Y-、R-CS-N(R)-Y-、R-N(R)-CS-Y-、R-O-CS-N(R)-Y-、R-N(R)-CS-O-Y-、R-N(R)-CS-N(R)-Y-、R-O-CS-O-Y-、R-S-CO-Y-、R-CO-S-Y-、R-S-CO-N(R)-Y-、R-N(R)-CO-S-Y-、R-S-CO-O-Y-、R-O-CO-S-Y-、R-S-CO-S-Y-、R-S-CS-Y-、R-CS-S-Y-、R-S-CS-N(R)-Y-、R-N(R)-CS-S-Y-、R-S-CS-O-Y-、R-O-CS-S-Y-、の基であり、式中、Rは、水素原子、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基またはC~Cアルキニル基であり;Rは、水素原子、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基またはC~Cアルキニル基であり;Rは、水素原子、C~Cアルキル基、C2~アルケニル基またはC~Cアルキニル基であり;Rは、水素原子、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基またはC~Cアルキニル基であり;およびYは結合、C~Cアルキレン基、C~Cアルケニレン基またはC~Cアルキニレン基であり、ここで、各ヘテロアルキル基は少なくとも1つの炭素原子を含有し、1つまたは複数の水素原子はフッ素または塩素原子で置き換えられてもよい。
【0062】
ヘテロアルキル基の具体例は、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブトキシ、tert-ブチルオキシ、メトキシメチル、-CHCHOH、-CHOH、-SOMe、-NHAc、-C(CHCN、-COOBu、メトキシエチル、エトキシメチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、2-メトキシエチルまたは2-エトキシエチル、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、イソプロピルエチルアミノ、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジイソプロピルアミノエチル、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、エノールエーテル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、アセチル、プロピオニル、ブチリルオキシ、アセチルオキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピオニルオキシ、アセチルアミノまたはプロピオニルアミノ、カルボキシメチル、カルボキシエチルまたはカルボキシプロピル、N-エチル-N-メチル-カルバモイルまたはN-メチル-カルバモイル、である。ヘテロアルキル基のさらなる例は、ニトリル(-CN)基、イソニトリル基、シアネート基、チオシアネート基、イソシアネート基、イソチオシアネート基およびアルキルニトリル基である。
【0063】
シクロアルキルという表現は、1つまたは複数の環(好ましくは1つまたは2つ)を含有し、3~14個の環炭素原子、好ましくは3~10個(特に3、4、5、6、または7)の環炭素原子を含有する、飽和または部分的に不飽和の環状基(例えば、シクロアルケニル基)を指す。さらに、シクロアルキルという表現は、1つまたは複数の水素原子がフッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素原子によって、またはOH基、=O基、SH基、=S基、NH基、=NH基、N基もしくはNO基によって、置き換えられている基であり、したがって、例えば、シクロヘキサノン、2-シクロヘキセノンまたはシクロペンタノンなどの環状ケトンを指す。シクロアルキル基のさらに具体的な例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、スピロ[4,5]デカニル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、シクロヘキサジエニル基、デカリニル基、ビシクロ[4.3.0]ノニル基、テトラリン基、シクロペンチルシクロヘキシル基、フルオロシクロヘキシル基またはシクロヘキサ-2-エニル基である。好ましくは、シクロアルキルという表現は、1つまたは複数の環(好ましくは1つまたは2つ)を含有し、3~14個の環炭素原子、好ましくは3~10個(特に3、4、5、6、または7)の環炭素原子を含有する、飽和環状基を指す。
【0064】
ヘテロシクロアルキルという表現は、1つまたは複数(好ましくは1、2または3個)の環炭素原子が酸素、窒素、ケイ素、セレン、リンもしくは硫黄原子(好ましくは酸素、硫黄もしくは窒素原子によって)またはSO基またはSO基によって置き換えられている、上で定義したシクロアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキル基は、好ましくは1または2個の環および3~10個(特に3、4、5、6または7個)の環原子(好ましくはC、O、NおよびSから選択される)を有する。さらに、ヘテロシクロアルキルという表現は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素原子によって、またはOH基、=O基、SH基、=S基、NH基、=NH基、N基もしくはNO基によって置換されている基を指す。例は、ピペリジル基、プロリニル基、イミダゾリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル(例えば、-N(CHCHO基)、ウロトロピニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフリル基または2-ピラゾリニル基、さらにまたラクタム、ラクトン、環状イミドおよび環状無水物である。
【0065】
アルキルシクロアルキルという表現は、シクロアルキル基と、上記の定義によるアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基の両方を含有する基、例えば、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルケニル基、アルケニルシクロアルキル基、およびアルキニルシクロアルキル基を指す。アルキルシクロアルキル基は、好ましくは、1つもしくは2つの環および3~10個(特に3、4、5、6または7個)の環炭素原子を含有するシクロアルキル基、ならびに1個もしくは2~6個の炭素原子を有する、1つもしくは2つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基(特にアルキル基)を含有する。
【0066】
ヘテロアルキルシクロアルキルという表現は、1つまたは複数(好ましくは1、2または3個)の炭素原子が酸素、窒素、ケイ素、セレン、リンもしくは硫黄原子(好ましくは酸素、硫黄もしくは窒素原子によって)またはSO基またはSO基によって置き換えられている、上で定義したアルキルシクロアルキル基を指す。ヘテロアルキルシクロアルキル基は、好ましくは、3~10個(特に3、4、5、6または7個)の環原子を有する1または2個の環、および1個もしくは2個~6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはヘテロアルキル基(特にアルキル基またはヘテロアルキル基)を含有する。そのような基の例は、アルキルヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルケニル、アルケニルヘテロシクロアルキル、アルキニルヘテロシクロアルキル、ヘテロアルキルシクロアルキル、ヘテロアルキルヘテロシクロアルキル、およびヘテロアルキルヘテロシクロアルケニルであり、環状基は、飽和またはモノ不飽和、ジ不飽和、もしくはトリ不飽和である。
【0067】
アリールという表現は、1つまたは複数の環と、6~14個の環炭素原子、好ましくは6~10個(特に6個)の環炭素原子を含有する芳香族基を指す。さらに、アリールという表現は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素原子によって、またはOH基、SH基、NH基、N基もしくはNO基によって置換されている基を指す。例は、フェニル(Ph)、ナフチル、ビフェニル、2-フルオロフェニル、アニリニル、3-ニトロフェニルまたは4-ヒドロキシフェニル基である。
【0068】
ヘテロアリールという表現は、1つまたは複数の環、および、1つまたは複数(好ましくは1、2、または4)の酸素、窒素、リンまたは硫黄環原子(好ましくはO、SまたはN)を含む、5~14個の環原子、好ましくは5~10個(特に5または6または9または10個)の環原子を含有する芳香族基を指す。さらに、ヘテロアリールという表現は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素原子によって、またはOH基、SH基、N基、NH基、もしくはNO基によって置換されている基を指す。例は、ピリジル基(例えば、4-ピリジル基)、イミダゾリル基(例えば、2-イミダゾリル基)、フェニルピロリル基(例えば、3-フェニルピロリル基)、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、インドリル基、インダゾリル基、テトラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、4-ヒドロキシピリジル基(4-ピリドニル基)、3,4-ヒドロキシピリジル基(3,4-ピリドニル基)、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基、インダゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピロリル基、プリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、ピリミジル基、2,3’-ビフリル基、ピラゾリル基(例えば、3-ピラゾリル基)およびイソキノリニル基である。
【0069】
アラルキルという表現は、上記の定義によるアリール基と、また上記の定義によるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/またはシクロアルキル基との両方を含む基、例えば、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールシクロアルキル基、アリールシクロアルケニル基、アルキルアリールシクロアルキル基、およびアルキルアリールシクロアルケニル基を指す。アラルキルの具体例は、フェニルシクロペンチル、シクロヘキシルフェニル、ならびにトルエン、キシレン、メシチレン、スチレン、塩化ベンジル、o-フルオロトルエン、1H-インデン、テトラリン、ジヒドロナフタレン、インダノン、クメン、フルオレン、およびインダンから誘導される基である。アラルキル基は、好ましくは、それぞれが6~10個の炭素原子を含有する1つまたは2つの芳香環系(特に、1つまたは2つの環)と、1個もしくは2~6個の炭素原子を含有する1つもしくは2つのアルキル基、アルケニル基および/またはアルキニル基ならびに/または3、4、5、6もしくは7個の環炭素原子を含有する1つまたは2つのシクロアルキル基と、を含む。
【0070】
ヘテロアラルキルという表現は、上記の定義に従って、アリール基および/またはヘテロアリール基と、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/もしくはヘテロアルキル基、ならびに/またはシクロアルキル基および/もしくはヘテロシクロアルキル基の両方を含有する基を指す。ヘテロアラルキル基は、好ましくは、それぞれが5もしくは6~9もしくは10個の環原子(好ましくはC、N、OおよびSから選択される)含有する、1つまたは2つの芳香環系(特に1つまたは2つの環)と、1個または2~6個の炭素原子を含有する1つまたは2つのアルキル基、アルケニル基および/もしくはアルキニル基、および/または、1~6個の炭素原子と、O、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む1つまたは2つのヘテロアルキル基、および/または、それぞれが3、4、5、6または7個の環炭素原子を含有する1つまたは2つのシクロアルキル基、および/または、それぞれが1、2、3または4個の酸素、硫黄または窒素原子を含む3、4、5、6または7個の環原子を含有する、1つまたは2つのヘテロシクロアルキル基、を含有する。
【0071】
ヘテロアラルキルの例は、アリールヘテロアルキル基、アリールヘテロシクロアルキル基、アリールヘテロシクロアルケニル基、アリールアルキルヘテロシクロアルキル基、アリールアルケニルヘテロシクロアルキル基、アリールアルキニルヘテロシクロアルキル基、アリールアルキルヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、ヘテロアリールアルキニル基、ヘテロアリールヘテロアルキル基、ヘテロアリールシクロアルキル基、ヘテロアリールシクロアルケニル基、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールアルキルシクロアルキル基、ヘテロアリールアルキルヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールヘテロアルキルシクロアルキル基、ヘテロアリールヘテロアルキル-シクロアルケニル基およびヘテロアリールヘテロアルキルヘテロシクロアルキル基であり、環状基は、飽和またはモノ不飽和、ジ不飽和、もしくはトリ不飽和である。具体的な例は、テトラヒドロイソキノリニル基、ベンゾイル基、フタリジル基、2-または3-エチルインドリル基、4-メチルピリジノ基、2-、3-、または4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、2-、3-、または4-カルボキシフェニルアルキル基である。
【0072】
すでに上で述べたように、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヘテロアルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルおよびヘテロアラルキルという表現はまた、フッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子によって、またはOH基、=O基、SH基、=S基、NH基、=NH基、N基もしくはNO基によって置換されている基を指す。
【0073】
好ましい実施形態によれば、本明細書に記載されるすべてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基およびヘテロアラルキル基は、任意選択で置換されてもよい。
【0074】
ハロゲンという用語は、F、Cl、Br、またはIを指す。
【0075】
アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アラルキル基またはヘテロアラルキル基が複数の環を含有する場合、これらの環は単結合または二重結合を介して互いに結合していてもよく、またはこれらの環は環化していても縮合していても架橋していてもよい。
【0076】
例えば、「フェニレン(“phenylene”)」におけるような、接尾辞「-ene」は、対応する二価の基を指す。
【0077】
「任意選択で置換されている」という用語は、非置換であるか、または1つもしくは複数(特に1、2もしくは3つ、好ましくは1つもしくは2つ)の置換基で置換されている基を指す。
【0078】
基が複数の置換基を含む場合、これらの置換基は独立して選択される、すなわち、それらは同じであっても異なっていてもよい。
【0079】
基が環状基、例として、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基である場合、この環状基は単結合もしくは二重結合を介して前記基に結合していてもよく、またはこの環状基は前記基に環化もしくは縮合していてもよい。
【0080】
置換基の具体例は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素、およびOH基、SH基、NH基、-SOH基、-SONH基、-COOH基、-COOMe基、-COMe(Ac)基、-NHSOMe基、-SONMe基、-CHNH基、-NHAc基、-SOMe基、-COOBu基、NMe2基、-Me基、-N(CHCHNMe基、-N(CHCHO基、-CONH基、-CN基、-NHCONH基、-NHC(NH)NH基、-NOHCH基、-N、および-NO基である。
【0081】
置換基のさらなる例は、C~C10アルキル基、C~C10アルケニル基、C~C10アルキニル基、C~C10ヘテロアルキル基、C~C18シクロアルキル基、C~C17ヘテロシクロアルキル基、C~C20アルキルシクロアルキル基、C~C19ヘテロアルキルシクロアルキル基、C~C18アリール基、C~C17ヘテロアリール基、C~C20アラルキル基およびC~C19ヘテロアラルキル基;特にC~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cヘテロアルキル基、C~C10シクロアルキル基、C~Cヘテロシクロアルキル基、C~C12アルキルシクロアルキル基、C~C11ヘテロアルキルシクロアルキル基、C~C10アリール基、C~Cヘテロアリール基、C~C12アラルキル基、C~C11ヘテロアラルキル基、さらに好ましくは、C~Cアルキル基およびC~Cヘテロアルキル基である。
【0082】
好ましい置換基は、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br)および-OH基、-NH基、-CN基、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cヘテロアルキル基、シクロプロピル基および-CH-シクロプロピル基である。
【0083】
さらに好ましい置換基は、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br)および-OH基、-NH基、-CN基、-C1~4アルキル基(例えば、-Me、-Et、-nPr、-iPr、-nBu、-iBu、-tBu、CHCHF、CHCHF、-CHCF、および-CF)、-O-C1~4アルキル基(例えば、-OMe、-OEt、-O-nPr、-O-iPr、-O-nBu、-O-iBuおよび-O-tBu)、-NHC1~6アルキル基(例えば、-NH(CHFおよび-NH(CHF)、-NH(CHOH、-NH(CHOH、-NH(CHOMe、-NH(CHOMe、-N(Me)(CHOH、-N(Me)(CHOH、-N(Me)(CHOMe、-N(Me)(CHOMe、-N(C1~6アルキル)、-C(CHCN、-CONH-C1~4アルキル(例えば-CONHCHCF、-CONHEt、-CONHBu)、-COOH、-COOMe、-COMe、-CHCHCH=CH、シクロプロピル基、および-CH-シクロプロピル基である。
【0084】
式(I)の化合物、それらの薬理学的に許容される塩、溶媒和物および水和物のそれぞれの治療的使用、ならびに製剤および医薬組成物も本発明の範囲内にある。
【0085】
本発明はさらに、本明細書で定義される式(I)の1つもしくは複数の化合物またはその塩、あるいは薬学的に許容されるそのエステル、プロドラッグ、水和物もしくは溶媒和物を、任意選択で薬学的に許容される担体および/またはアジュバントと組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0086】
本発明のさらなる目的は、本明細書で特定される1つもしくは複数の疾患の処置のための医薬を調製するための、本明細書で定義される式(I)の化合物または本明細書で定義される医薬組成物を提供することである。
【0087】
好ましくは、本発明の化合物は、以下の症状の処置および/または予防に使用することができる:
異常なCDK(特にCDK9および/またはCDK2)調節が観察される疾患、例えば、広範なサイトカイン誘発性炎症性疾患、および自己免疫疾患、局所的もしくは全身性ウイルス感染症、眼のウイルス感染症、ウイルス呼吸器感染症、またはDNAウイルスおよび/もしくはRNAウイルスによって引き起こされる中枢神経系および/もしくは末梢神経系のウイルス感染症、ならびに種々の非固形および固形の悪性腫瘍、がん、または過剰増殖性疾患、例として、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、再発性多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、急性二表現型白血病、中悪性度MYC駆動型B細胞リンパ腫、原発性腹膜癌、カポジ肉腫、進行性乳がん、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、または肝細胞癌などの肝細胞がん、子宮頸部上皮内腫瘍、前立腺がん、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、または膠芽腫、例えば、進行性および/または転移性の血液/固形悪性腫瘍。特に、化合物は、MYC-もしくはMCL-1の異常発現によって引き起こされる血液悪性腫瘍、または固形腫瘍を処置するために使用することができる。さらに、化合物は、免疫応答のモジュレーターとして、また、機械的/外傷誘発性炎症、例として外傷後変形性関節症(PTOA)、全身性および局所的サイトカイン誘発性炎症疾患、例えば、胃腸もしくは尿路の炎症性疾患(inflammatory diseases inflammatory diseases)、および目の炎症性疾患、例としてシェーグレン病および緑内障、細菌誘発性炎症性疾患、例として歯肉炎、歯周炎の処置および/または予防のために、ならびに心血管疾患、例として心肥大、拡張型心筋症、アテローム性動脈硬化症、および心代謝疾患、例として肥満および糖尿病の処置および/または予防のために使用することができる。
【0088】
本発明による化合物の治療有効量は、疾患の症状を予防、軽減もしくは改善するのに、または処置を受ける対象の生存を延長するのに有効である化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、当業者の範囲内である。
【0089】
本発明による化合物の治療有効量または投与量は、広い範囲内で変化する場合があり、当技術分野で知られている方式で決定することができる。このような投与量は、投与される特定の化合物、投与経路、処置を受ける状態、および処置を受ける患者を含む、それぞれの特定の場合における個々の要件に合わせて調整することができる。
【0090】
式(I)の化合物の塩は、好ましくは、薬理学的に許容される塩である。式(I)の十分に塩基性の化合物の薬理学的に許容される塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸のような生理学的に許容される鉱酸の塩;またはメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、乳酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸およびサリチル酸のような有機酸の塩である。さらに、十分に酸性の式(I)の化合物は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、もしくはマグネシウム塩;アンモニウム塩;または有機塩基塩、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、水酸化コリン、メグルミン、ピペリジン、モルホリン、トリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、リジンもしくはアルギニン塩;を形成することができ;これらはすべて、式(I)の塩のさらなる例でもある。
【0091】
式(I)の化合物は溶媒和、特に水和されていてもよい。水和化(hydratization)/水和(hydration)は、生成プロセス中に、または最初は水を含まない式(I)の化合物の吸湿性の結果として起こる場合がある。溶媒和物および/または水和物は、例えば、固体または液体の形で存在する。
【0092】
式(I)のある特定の化合物は、以下の説明においてそのうちの1つだけが具体的に言及または描写され得る互変異性体、異なる幾何異性体(通常、シス/トランス異性体として、またはより一般的には(E)および(Z)異性体として表される)、または1つもしくは複数のキラル炭素原子の結果として生じる異なる光学異性体(通常、カーン・インゴルド・プレローグまたはR/Sシステムに基づいて命名される)を有する場合があることを理解すべきである。これらすべての互変異性体、幾何異性体または光学異性体(ならびにラセミ体およびジアステレオマー)および多形体が本発明に含まれる。式(I)の化合物は不斉C原子を含有し得るため、アキラル化合物、ジアステレオマーの混合物、エナンチオマーの混合物、または光学的に純粋な化合物のいずれかとして存在し得る。本発明は、すべて純粋なエナンチオマーとすべて純粋なジアステレオマーの両方を含み、また任意の混合比でのそれらの混合物も含む。
【0093】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明の化合物の1つまたは複数の水素原子は、重水素で置き換えることができる。重水素修飾は、その固有の薬理をほとんどまたはまったく変化させずに、薬物の代謝特性を改善する。特定の分子位置での重水素置換により、代謝安定性が向上し、有毒な代謝産物の形成が減少し、および/また所望の活性代謝産物の形成が増加する。したがって、本発明はまた、部分的および完全に重水素化された式(I)の化合物を包含する。水素という用語は、重水素も包含する。
【0094】
本発明はまた、式(I)の化合物と、生理学的条件下で切断される少なくとも1つの薬理学的に許容される保護基、例として、本明細書で定義される、アルコキシ-、アリールアルキルオキシ-、アシル-、アシルオキシメチル基(例えば、ピバロイルオキシメチル)、2-アルキル-、2-アリール-もしくは2-アリールアルキル-オキシカルボニル-2-アルキリデンエチル基、またはアシルオキシ基、例えばエトキシ、ベンジルオキシ、アセチルもしくはアセチルオキシ、または特にヒドロキシ基(-OH)を担持する式(I)の化合物の場合:サルフェート、ホスフェート(-OPO3もしくは-OCH2OPO3)またはアミノ酸のエステル、とから構成されるプロドラッグに関する。特に好ましいのは、式(I)の化合物のヒドロキシ基のプロドラッグである。
【0095】
本明細書で使用する場合、薬学的に許容されるエステルという用語は、特に生体内で加水分解するエステルを指し、人体内で容易に分解して親化合物またはその塩を残すエステルを含む。好適なエステル基としては、例えば、薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカン二酸から誘導されるものが挙げられ、各アルキルまたはアルケニル部分が有利には6個以下の炭素原子を有する。特定のエステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびコハク酸エチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
好ましくは、本発明は、式(I)の化合物のプロドラッグ、生加水分解性エステル、生加水分解性アミド、多形体、互変異性体、立体異性体、代謝産物、N-オキシド、生加水分解性カルバメート、生加水分解性エーテル、生理学的機能性誘導体、アトロプ異性体、またはインビボ加水分解性前駆体、ジアステレオマーもしくはジアステレオマーの混合物、化学的に保護された形態、親和性試薬、錯体、キレートおよび立体異性体、にも関する。
【0097】
前述のように、式(I)の化合物、それらの溶媒和物、塩、または製剤を含有する治療上有用な薬剤も本発明の範囲に含まれる。一般に、式(I)の化合物は、単独で、または任意の他の治療剤と組み合わせて、公知のおよび当技術分野で知られている許容可能な様式を使用することによって投与される。
【0098】
経口投与の場合、そのような治療上有用な薬剤は、以下の経路のうちの1つによって投与することができる:経口、例えば、錠剤、糖衣錠、コーティング錠、丸剤、半固体、軟質カプセルもしくは硬質カプセル、例えば軟質ゼラチンカプセルおよび硬質ゼラチンカプセル、水溶液もしくは油溶液、エマルジョン、懸濁液またはシロップとして、非経口、例えば静脈内、筋肉内および皮下注射、例えば、注射用溶液もしくは懸濁液として、座薬として直腸に、吸入または吹送により、例えば、粉末製剤として、微結晶として、またはスプレー(例えば、液体エアロゾル)として、経皮、例えば活性成分を含有するプラスターなどの経皮送達システム(TDS)を介して、または経鼻。このような錠剤、丸剤、半固体、コーティング錠、糖衣錠、および硬質、例えばゼラチン、カプセルなどの製造のために、治療上有用な製品は、薬学的に不活性な無機または有機賦形剤、例えば、ラクトース、スクロース、グルコース、ゼラチン、麦芽、シリカゲル、デンプンまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩、脱脂粉乳など、と混合することができる。軟質カプセルの製造には、例えば、植物油、石油、動物油または合成油、ワックス、脂肪、ポリオールなどの賦形剤を使用することができる。溶液、エマルジョン、または懸濁液、またはシロップの製造には、賦形剤として、例えば、水、アルコール、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、ポリオール、グリセリン、脂質、リン脂質、シクロデキストリン、植物油、石油、動物油、または合成油、を使用することができる。特に好ましいのは脂質であり、より好ましいのは、リン酸緩衝食塩水(pH=7~8、好ましくは7.4)中で好ましいリン脂質(天然由来が好ましく、粒径が300~350nmの間であることが特に好ましい)である。座薬の場合、賦形剤として、例えば、植物油、石油、動物油または合成油、ワックス、脂肪、およびポリオール、を使用することができる。エアロゾル製剤の場合、この目的に好適な圧縮ガス、例えば、酸素、窒素、および二酸化炭素などを使用することができる。薬学的に有用な薬剤はまた、保存、安定化のための添加剤、例えば、UV安定剤、乳化剤、甘味料、芳香剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、コーティング添加剤、および酸化防止剤を含有してもよい。
【0099】
一般に、体重およそ80kgの成人に経口または非経口投与する場合、1日当たりの投与量は約10mg~約10,000mg、好ましくは約20mg~約1,000mgが適切であるべきだが、示された場合は、上限を超過してもよい。1日投与量は、単回用量または分割用量で投与することができ、非経口投与の場合には、持続注入または皮下注射として与えてもよい。
【0100】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明は、本明細書で特定される1つまたは複数の疾患を処置するための方法であって、そのような処置を必要とする対象に、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0101】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、本明細書で特定される1つまたは複数の疾患を処置するための方法であって、そのような処置を必要とする対象に、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【実施例
【0102】
一般的合成方法
以下の方法を、本明細書に記載の化合物の合成に使用した。
フラッシュクロマトグラフィー:フラッシュクロマトグラフィーは、SNAPまたはSFARシリカカートリッジおよび溶出液として酢酸エチル/シクロヘキサン/メタノールまたはジクロロメタン/メタノールの勾配を使用して、Biotage Isolera(R)またはSelekt(登録商標)システムで実行した。
【0103】
マイクロ波条件:マイクロ波条件下での反応は、Biotage initiator(R)マイクロ波システムで実行する。
【0104】
セミ分取逆相クロマトグラフィー:セミ分取逆相クロマトグラフィーには、以下の機器を使用した:2x Varian PrepStar SD-1、1x Dionex P580ポンプ1チャンネル(MakeUP I)、1x Dionex AXP-MS (MakeUP II)、1x Dionex MSQ、1x Dionex UVD 340V-分取フローセル、Gilson215リキッドハンドラー、SunFire Prep C18 OBD 5μm、19x50mmカラム、1x G7159B 1290 Infinity II分取オープンベッドサンプラー/コレクター、1x G7161B 1290 Infinity II分取バイナリポンプ、1x G7111B 1260 Infinity IIクォータナリポンプ(モディファイア)、1x G7111B 1260 Infinity IIクォータナリポンプ(分析/メイクアップ)、1x G7165A 1260 Infinity II 多波長検出器、フローセル(製品番号G1315-60022、シリアル番号DE185H6157、パス長10.00mm、容量13.00μl)を含む、1x G7170B 1290 Infinity II MSフローモジュレーター、1x G6125B MSD 6100シリーズシングル四重極、G1948Bエレクトロスプレーインターフェイス、および3x G1170A 1290 Infinityバルブドライブ(分析カラム選択用の14ポート、6ポジションバルブヘッド;分取カラム選択用の14ポート、6ポジションバルブヘッド;分析/分取モード選択用の14ポート、2ポジションバルブヘッド)。
【0105】
分取カラム:Waters SunFire分取C18 5μm OBD 30x100mm、#186002572、Waters AtlantisT3分取5μm OBD 30x100mm、#186003702、およびWaters XSelect CSH分取C18 5μm OBD 30x100mm、#186005425。
【0106】
分析カラム:Waters SunFire C18 2.5μm 3.0x75mm、#186005636、Waters Atlantis T3 3μm 3.0x75mm、#186005653、およびWaters XSelect CSH C18 2.5μm 3.0x75mm、#186006106。
【0107】
典型的なクロマトグラフィー条件は、以下のとおりである:
カラム流量は30mL/分であり、溶媒Aは0.3%酢酸を含有するメタノールであり、溶媒Bは0.3%酢酸を含有する水であった。
【0108】
溶媒および溶媒Bの典型的な時間および相対量を、表1に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
典型的な分取方法:カラム流量は60mL/分であり、溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは水であった。準備には、調整剤流量が含まれていた:アセトニリル/水1:1中に10%酢酸を含有する、1.8mL/分調整剤流量=>流量の酢酸は0.3%になる;アセトニトリル/水1:9中の0.5M NHAc/NHOH緩衝液(pH9.2)=>流量中の緩衝液濃度は15mMになる。
【0111】
MSメイクアップ:アセトニリル/水1:1中の0.9mL/分 0.05%酢酸。
【0112】
例えば、59.7%の溶出点についての典型的なフォーカス勾配のタイムテーブルを表2に示す。
【0113】
【表2】
【0114】
典型的な分析的モディファイア:カラム流量は1mL/分、溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは水であり、溶媒Cはアセトニトリル/水1:1中の5%酢酸であった。
【0115】
溶媒A、溶媒B、溶媒Cの典型的な時間および相対量を、表3に示す。
【0116】
【表3】
【0117】
検出には、UV220nm、254nm、または310nmの質量分析計検出器(API-ES、正)を使用した。
【0118】
実施例で使用される用語および略語を、表4に示す。
【0119】
【表4】
【0120】
化合物の調製に使用した分析HPLC法を表5に示す。
【0121】
【表5】
【0122】
イミダゾピリダジンへの一般経路A:
【0123】
【化8】
【0124】
合成ステップの説明:
ステップ1:6,8-ジブロモ-3-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン;
【0125】
【化9】
【0126】
6,8-ジブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(1当量)を1,2-ジクロロエタンおよびアセトニトリルia(1/1v/v 16mL/mmol)に溶解し、続いてNCS(1.3当量)を少しずつ加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液(水中5M)でクエンチし、DCMで抽出し、乾燥、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物は勾配フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0127】
ステップ2:アミノ化
【0128】
【化10】
6,8-ジブロモ-3-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(1当量)および対応するアミン(1当量)をジオキサン(3mL/mmol)に溶解した。DIPEA(2.0当量)を加え、混合物をマイクロ波条件下、180℃で30分間加熱した。混合物をNaHCO(飽和水溶液)で希釈し、DCMで抽出した。有機層を乾燥(NaSO)し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物は勾配フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
ステップ3:アリール化
【化11】
【0129】
前のステップの生成物をジオキサン(0.5M)に溶解した。水(10%v/v)を加えた。対応するボロン酸(1.3当量)、Pd2(dba)3(0.2当量)、X-Phos(0.8当量)およびK2CO3(3当量)を添加した。混合物をN2で脱気し、80℃で一晩加熱した。追加のボロン酸、Pd2(dba)3、X-Phos(前と同じ量)を加え、80℃で加熱した。これを反応完結まで繰り返した(HPLC)。混合物をセライトのプラグで濾過し、MeOHおよび水で洗浄し、濃縮し、水で再度希釈し、DCMで抽出した。有機層は乾燥(NaSO)し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質は勾配フラッシュクロマトグラフィーで精製し、続いて分取逆相HPLCで精製した。
【0130】
実施例#1、#3、#4、#10、#11、#12、#16、#17、#18、#19の化合物は、これらのプロトコルを使用して合成した。
【0131】
実施例#14、#15の化合物は、これらのプロトコルを修正して使用して合成した。
【0132】
実施例#15:
実施例#16の化合物を乾燥MeOHに溶解し、HCl(ジオキサン中4M)で24時間処理した。混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を逆相HPLCで精製した。
【0133】
実施例#14:
DCM(乾燥)中の実施例#15の化合物に、メタンスルホニルクロリド(5当量)およびトリエチルアミン(5当量)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥、濾過し、減圧下で濃縮した。混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を逆相HPLCで精製した。
【0134】
実施例#14、#15、#16、#18の化合物はラセミ混合物である。
【0135】
イミダゾピリダジンへの一般経路B:
【0136】
【化12】
【0137】
合成ステップの説明:
ステップ1:アミノ化
【0138】
【化13】
【0139】
8-ブロモ-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(1当量)および対応するアミンのHCL塩(1.2当量)をジオキサン(3mL/mmol)中で混合した。DIPEA(6.0当量)を加え、混合物をマイクロ波条件下、180℃で30分間加熱した。混合物をNaHCO(飽和水溶液)で希釈し、DCMで抽出した。有機層は乾燥(NaSO)し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物は勾配フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0140】
ステップ2:塩素化
【0141】
【化14】
【0142】
ジオキサンに溶解した前のステップの生成物を、1,2-ジクロロエタンおよびアセトニトリル(1/1v/v 16mL/mmol)に溶解し、続いてNCS(1.3当量)を少しずつ加えた。混合物を室温で6時間撹拌し、その後40℃で一晩撹拌した。反応は、完了していなかった(HPLC)。追加のNCS(1当量)を加えた。混合物を80℃でさらに一晩加熱した。2つの塩素化生成物が観察された。混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液(水中5M)でクエンチし、DCMで抽出し、乾燥、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物は勾配フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。2つの塩素化中間体は分離しなかった。
【0143】
ステップ3:アリール化
【0144】
【化15】
【0145】
前のステップの生成物をジオキサン(0.5M)に溶解した。水(10%v/v)を加えた。対応するボロン酸(1.3当量)、Pd(dba)(0.2当量)、X-Phos(0.8当量)およびKCO(3当量)を添加した。混合物をN2で脱気し、80℃で一晩加熱した。追加のボロン酸、Pd(dba)、X-Phos(前と同じ量)を加え、続いて80℃で加熱した。これを反応完結まで繰り返した(HPLC)。混合物をセライトのプラグで濾過し、MeOHと水で洗浄し、濃縮し、水で再度希釈し、DCMで抽出した。有機層を乾燥(NaSO)し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質は勾配フラッシュクロマトグラフィーで精製し、続いて分取逆相HPLCで混合物から生成物を分離した。
【0146】
イミダゾピリダジンへの一般経路D:
【0147】
【化16】
【0148】
ステップ1:アミノ化
【0149】
【化17】
【0150】
6,8-ジブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(1当量)および[4-(6-ブロモ-イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イルアミノ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert-ブチルエステルのHCL塩(1.2当量)をジオキサン(3mL/mmol)中で混合した。DIPEA(6.0当量)を加え、混合物をマイクロ波条件下、180℃で60分間加熱した。混合物をNaHCO3aqで希釈し、DCMで抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を勾配フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0151】
ステップ2:スズキ
【0152】
【化18】
【0153】
前のステップの生成物をジオキサン(0.5M)に溶解した。水(10%v/v)を加えた。2,6-ジフルオロフェニルボロン酸(1.3当量)、Pd(dppf)DCM(0.2当量)およびNaCO水溶液(1M)(3当量)を添加した。混合物をN2で脱気し、80℃で3時間加熱した。追加のボロン酸およびPd(dppf)DCMを加え、続いて80℃で加熱した。これを反応完結まで繰り返した(HPLC)。混合物をセライトのプラグで濾過し、MeOHと水で洗浄し、濃縮し、水で再度希釈し、DCMで抽出した。有機層は乾燥(NaSO)し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質は勾配フラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0154】
ジオキサンに溶解した前のステップの生成物を、1,2-ジクロロエタンおよびアセトニトリル(1/1v/v 10mL/mmol)に溶解し、続いてNCS(1.3当量)を少しずつ加えた。混合物を80℃で5時間撹拌した。混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液(水中5M)でクエンチし、DCMで抽出し、乾燥、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物は勾配フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0155】
ステップ3:塩素化
【0156】
【化19】
【0157】
ジオキサンに溶解した前のステップの生成物を、1,2-ジクロロエタンおよびアセトニトリル(1/1v/v 10mL/mmol)に溶解し、続いてNCS(1.3当量)を少しずつ加えた。混合物を60℃で5時間撹拌した。混合物をチオ硫酸ナトリウム溶液(水中5M)でクエンチし、DCMで抽出し、乾燥、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成混合物は精製せずに使用した。
【0158】
ステップ4:脱保護
【0159】
【化20】
【0160】
前のステップからの混合物をMeOH(乾燥)に溶解し、過剰のHCl(ジオキサン中4M)で処理した。混合物を室温で完結まで撹拌し、その後濃縮乾固し、逆相HPLCで精製した。
【0161】
実施例#8および#9の化合物はこの手順を使用して合成した。
【0162】
使用したアミンは、市販されているか、文献に記載されているか、または次のいずれかの手順で製造されたものである。
【0163】
A:4-(ピペリジン-1-イル)シクロヘキサンアミン:
【0164】
【化21】
【0165】
ステップ1:boc保護ジアミンをアセトニトリルに溶解した。ジブロモペンタン(2当量)およびDIPEA(5当量)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、塩化アンモニウム(飽和水溶液)および水で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を逆相HPLCにより精製した。
【0166】
ステップ2:ステップ1からの生成物をMeOHに溶解し、HCl(ジオキサン中4M、過剰)で一晩処理した。混合物を濃縮し、さらに精製することなくHCl塩として使用した。
【0167】
以下の中間体を、これらのプロトコルに従って合成した。
【0168】
【化22】
【0169】
以下の実施例は、上記の手順に従って調製した。
【0170】
実施例:名称;HPLC法;室温;MH+;NMR
【0171】
実施例#1:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-((1r,4r)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)シクロヘキシル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;3.653分;461.2;
【0172】
実施例#3:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-((4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;3.93分;400.2;”1H NMR(600MHz,クロロホルム-d) δ 8.39(s,1H),7.46(s,1H),7.41(tt,J=8.4,6.2Hz,1H),7.07-6.99(m,3H),6.21(s,1H),5.91(t,J=5.2Hz,1H),4.46(d,J=5.1Hz,22H),2.53(s,3H),2.35(s,3H).”
【0173】
実施例#4:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;3.67分;372.0;”1H NMR(600MHz,クロロホルム-d) δ 8.64(d,J=2.4Hz,1H),8.60-8.56(m,1H),7.70(dt,J=7.9,2.0Hz,1H),7.50(s,1H),7.39(tt,J=8.5,6.3Hz,1H),7.31(dd,J=7.9,4.8Hz,1H),7.04-6.97(m,2H),6.34(d,J=6.0Hz,1H),6.12(s,1H),4.59(d,J=5.7Hz,2H).
【0174】
実施例#8:(1r,4r)-N1-(3,7-ジクロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン;”HPLC-MS C”;3.737n分;412.2;“1H NMR(600MHz,クロロホルム-d) δ 7.54(s,1H),7.44(tt,J=8.5,6.3Hz,1H),7.05-6.99(m,2H),5.17(m,2H,CH and NH),4.94(広幅s,2H,NH2),2.98(d,J=12.0Hz,1HH),2.33(d,J=12.6Hz,2H),2.15(d,J=12.7Hz,2H),1.72-1.60(m,2H),1.44-1.34(m,2H).”
【0175】
実施例#9:(1r,4r)-N1-(3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン;”HPLC-MS C”:3.358分;378.2;“1H NMR(800MHz,クロロホルム-d) δ 7.84(d,J=1.1Hz,1H),7.62(d,J=1.2Hz,1H),7.46(tt,J=8.3,6.2Hz,1H),7.09-7.02(m,2H),5.23(t,J=10.9Hz,1H),5.18(d,J=9.0Hz,1H,NH),3.86-3.61(広幅m,2H,NH2),2.93(s,1H),2.34(d,J=12.4Hz,2H),2.11(d,J=16.1Hz,2H),1.59(q,J=12.7,11.9Hz,2H),1.45-1.38(m,2H).“
【0176】
実施例#10:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;3.480分;378.2;
【0177】
実施例#11:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-((1r,4r)-4-モルホリノシクロヘキシル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;3.763分;448.2;“HPLC-MS C”;3.763min;448.2;”1H NMR (800MHz,クロロホルム-d) δ 7.49(s,1H),7.43(td,J=8.7,4.3Hz,1H),7.05(t,J=7.8Hz,2H),6.10(s,1H),5.72(d,J=8.0Hz,1H),3.76-3.73(m,4H),3.44(s,11H),2.59(s,4H),2.29(s,3H),2.07-2.04(m,2H),1.43-1.38(m,4H).”
【0178】
実施例#12:(1r,4r)-N1-(3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル)-N4,N4-ジメチルシクロヘキサン-1,4-ジアミン;”HPLC-MS C”;3.630分;406.2;
【0179】
実施例#14:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(3-メチル-1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン”HPLC-MS C”;4.021分;456.2.
【0180】
実施例#15:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(3-メチルピペリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;3.562分;378.2.
【0181】
実施例#16:tert-ブチル-4-((3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル)アミノ)-3-メチルピペリジン-1-カルボキシレート;”HPLC-MS C”;4.698分;478.2.
【0182】
実施例#17:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;3.889分;442.2.
【0183】
実施例#18:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(1-メチルピロリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;3.416分;364.2.
【0184】
実施例#19:3-クロロ-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(1-メチルアゼチジン-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン;”HPLC-MS C”;4.453分;350.2;1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 7.52(s,1H),7.41(tt,J=8.2,6.2Hz,1H),7.08-6.99(m,2H),6.03(s,1H),4.50(dd,J=14.5,7.0Hz,1H),4.10(dd,J=14.2,5.6Hz,1H),3.26(s,3H),3.22(s,2H),3.14(d,J=11.9Hz,1H),2.67(t,J=11.1Hz,1H).”
【0185】
生物学的データ
阻害活性を測定するためのアッセイプロトコル
試験化合物は、最高濃度の5μMから開始して、1:3希釈系列の12の濃度で評価した。
白色384マイクロプレート(Greiner bio-one、Austria #784904)に2マイクロLの3倍濃縮CDK9/サイクリンT1(ProQinase/Reaction Biology、USA #0371-0345-1、LOT.:012)を加え、最終濃度(f.c.)6nM、1×キナーゼ緩衝液中、2マイクロLの化合物(f.c.1.66%DMSO/H2O中で3倍濃縮)を加え、室温(RT)で10分間インキュベートした。次に、2マイクロLの基質/ATPミックス(3xPDKtide f.c.40マイクロM、SignalChem Biotech、Canada via Biozol、Eching、Germany#P10-58、LOT.:L2230-7および3xUltraPure ATP f.c.10マイクロM(ADP Gloキナーゼアッセイ、PromegaGmbH、Germany#V9102))を加え、混合し、室温で120分間インキュベートした。
インキュベーション時間後、5マイクロLのADP Glo試薬(即時使用、ADP Gloキナーゼアッセイ、Promega GmbH、Germany#V9102)を加え、混合し、室温で40分間インキュベートした。
最後のステップでは、10マイクロLのADP Glo検出試薬(即時使用、ADP Gloキナーゼアッセイ、Promega GmbH、Germany#V9102)を加え、混合し、室温で30分間インキュベートした。
読み出しには、GloMax Discover GM3000 Reader(Promega GmbH、Germany9700000249)を使用した。
阻害剤濃度を発光に対してプロットし、XLFit5.5(IDBS、Guildford)を使用してIC50を決定し、可変勾配のS字型用量反応曲線に適合させた。
【0186】
上記実施例の化合物のCDK9/T1 ADPGlo活性:
【0187】
IC50<20nM:実施例#3、実施例#4、実施例#10、実施例#11、実施例#17、実施例#18。
【0188】
IC50<200nM:実施例#1、実施例#8、実施例#9、実施例#12、実施例#14、実施例#15、実施例#16。
【国際調査報告】