(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-01
(54)【発明の名称】水素を含有する天然ガス供給物の液化
(51)【国際特許分類】
F25J 1/00 20060101AFI20250924BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20250924BHJP
F25J 3/02 20060101ALI20250924BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20250924BHJP
F25J 3/08 20060101ALI20250924BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20250924BHJP
C10L 3/10 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
F25J1/00 B
B01D53/22
F25J3/02 B
F25J3/06
F25J3/08
H01M8/0612
C10L3/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025512755
(86)(22)【出願日】2023-08-31
(85)【翻訳文提出日】2025-02-26
(86)【国際出願番号】 US2023031634
(87)【国際公開番号】W WO2024049960
(87)【国際公開日】2024-03-07
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】525070801
【氏名又は名称】ハネウェル エルエヌジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Honeywell LNG LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、マーク ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ、キャサリン バニスター
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスト、アンネマリー オット
(72)【発明者】
【氏名】エルコ、クリストファー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ブコウスキー、ジャスティン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】オット、クリストファー マイケル
【テーマコード(参考)】
4D006
4D047
5H127
【Fターム(参考)】
4D006GA16
4D006GA41
4D006KB01
4D006PA02
4D006PB18
4D006PB66
4D006PC80
4D047AA10
4D047AB08
4D047BA03
4D047BA07
4D047BB03
4D047BB06
4D047CA16
4D047DA01
4D047DA03
5H127BA05
(57)【要約】
実質的な濃度の水素を有する天然ガス流を処理するように適合されており、水素の濃度が天然ガス流中で変化し得る液化システム及び方法が開示される。いくつかの実装形態において、膨張液化天然ガス流は、水素富化エンドフラッシュ流と水素欠乏LNG流とに分離され得、第2のガス状水素欠乏流は、水素富化エンドフラッシュ流及び/又は水素欠乏LNG流から生成され得る。他の実装形態では、エンドフラッシュ圧縮機の圧力は、燃料流(多くの場合、エンドフラッシュ流)中の水素濃度を所望の範囲内に維持する目的で制御することができる。いくつかの実装形態は、例えば、膜、吸着、部分凝縮、蒸留、ストリッピング、及び電気化学膜を使用する液化前又は後精製を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)天然ガス液化プラントにおいて水素含有天然ガス供給流を冷却及び液化して、液化天然ガス流を形成することと、
(b)前記液化天然ガス流の圧力を低下させて膨張LNG流を形成することと、
(c)前記膨張LNG流を第1のエンドフラッシュユニット内で第1のエンドフラッシュ流と水素欠乏LNG流とに分離することであって、前記第1のエンドフラッシュ流が前記水素含有天然ガス供給流よりも高い水素濃度を有し、前記水素欠乏LNG流が前記水素含有天然ガス供給流よりも低い水素濃度を有する、ことと、
(d)前記第1のエンドフラッシュ流及び/又は前記水素欠乏LNG流を更に処理して、ガス状水素欠乏流及びガス状水素富化流を形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
工程(d)が、少なくとも1つの膜段階、少なくとも1つの吸着段階、部分凝縮段階、蒸留段階、ストリッピング段階、及び電気化学膜段階の群から選択される少なくとも1つを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のエンドフラッシュユニットが気液分離器である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のエンドフラッシュユニットが蒸留塔である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(e)前記ガス状富化水素流を圧縮し、それを燃料流として使用すること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記燃料流が、ガスタービン、ボイラ、又は加熱炉用である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(f)前記ガス状水素富化流を更に処理して、少なくとも90%の水素濃度を有する精製水素流を形成すること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(g)前記精製水素流を燃料電池に送って電気を生成すること、を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(h)前記精製水素流を水素パイプラインに送ること、を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記ガス状水素欠乏流の少なくとも一部を燃料流に送ること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(j)前記ガス状水素欠乏流の少なくとも一部を、工程(a)の上流で前記水素含有天然ガス供給流と組み合わされる再循環流に送ること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(k)前記第1のエンドフラッシュ流中の水素濃度を第1の所定の範囲内に維持するために、工程(c)が実施される前記分離器の圧力を制御すること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(l)工程(a)の上流で前記水素含有天然ガス供給流を前処理して、前処理された水素含有天然ガス供給流及び水素富化前処理流を生成することであって、前記前処理された水素含有天然ガス供給流が、前記水素含有天然ガス供給流よりも低い水素濃度を有する、こと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(m)前記水素富化前処理流を燃料流に送ること、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(n)前記前処理された水素含有天然ガス供給流に対して工程(a)を実施すること、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
(o)前記水素富化前処理流を精製して、少なくとも90%の水素濃度を有する精製水素流を形成すること、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの吸着床を使用して工程(o)を実施することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(a)少なくとも1つのガスタービン駆動冷凍圧縮機を有する天然ガス液化プラントにおいて水素含有天然ガス供給流を冷却及び液化して、液化天然ガス流を形成することと、
(b)燃料流を使用して、前記少なくとも1つのガスタービン駆動冷凍圧縮機のうちの少なくとも1つを駆動することと、
(c)前記液化天然ガス流の圧力を低下させて膨張LNG流を形成することと、
(d)エンドフラッシュ分離器において、前記膨張LNG流をエンドフラッシュ流と水素欠乏LNG流とに分離することであって、前記エンドフラッシュ流が、前記水素含有天然ガス供給流よりも高い濃度の水素を有する、ことと、
(e)前記エンドフラッシュ流を圧縮して、圧縮エンドフラッシュ流を形成することと、
(f)前記水素欠乏LNG流をLNG貯蔵タンクに貯蔵することと、
(g)前記LNG貯蔵タンクからのBOG流を圧縮して圧縮BOG流を形成することと、
(h)前記圧縮BOG流を更に圧縮して、更なる圧縮BOG流を形成することと、
(i)前記工程(a)の実行の上流で、前記更なる圧縮BOG流を前記水素含有天然ガス供給流と組み合わせることと
を含み、
前記燃料流が、前記圧縮エンドフラッシュ流を含む、方法。
【請求項19】
(j)前記BOG流の第1の部分を工程(h)の上流に分流させることと、
(k)前記BOG流の前記第1の部分を前記エンドフラッシュ流と組み合わせて、前記燃料流を形成することと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
(a)天然ガス液化プラントにおいて水素含有天然ガス供給流を冷却及び液化して、液化天然ガス流を形成することと、
(b)前記液化天然ガス流の圧力を低下させて膨張LNG流を形成することと、
(c)前記膨張LNG流を第1のエンドフラッシュユニット内で第1のエンドフラッシュ流と水素欠乏LNG流とに分離することであって、前記第1のエンドフラッシュ流が前記水素含有天然ガス供給流よりも高い水素濃度を有し、前記水素欠乏LNG流が前記水素含有天然ガス供給流よりも低い水素濃度を有する、ことと、
(d)エンドフラッシュ圧縮機を使用して前記エンドフラッシュ流を圧縮して、圧縮エンドフラッシュ流を形成することと、
(e)前記圧縮エンドフラッシュ流を燃料流として使用することと、
(f)前記エンドフラッシュ圧縮機が動作する圧力を制御して前記燃料流中の水素濃度を所定の範囲内に維持することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
グリーン又はブルー水素を既存の天然ガスパイプラインにブレンドすることは、カーボンフットプリントの低減に向かう道として世界的に議論され、研究されている。ブルー水素は、水蒸気メタン改質(steam methane reforming、「SMR」)又は自動熱改質(auto thermal reforming、「ATR」)などの方法によって天然ガスを反応させて水素及び二酸化炭素(「CO2」)にすることによって形成され、このCO2は捕捉され、次いで貯蔵される。グリーン水素は、再生可能エネルギーを用いて水を電気分解することによって生成される。1つのビジョンは、グリーン水素を生成し、この水素を近くの天然ガスパイプラインに注入することを含む。本質的に、これらのパイプラインは、再生可能エネルギーのための貯蔵庫及び導管として機能する。
【0002】
「2050年ネットゼロ(Net Zero Carbon by 2050)」への途上における中間ステップとして、多くの国で水素ブレンドについて検討されている。米国エネルギー省は、冶金及び漏れ率に対する水素ブレンドの影響に関する研究を委託している。様々な情報源が、配管金属及び下流の機器に悪影響を及ぼすことなく、最大20%の水素を天然ガスにブレンドすることができると示唆している。カリフォルニア州公益事業委員会は、水素ブレンドについて研究し、一般的に安全であるのは最大5%の水素ブレンドであると判断し、水素ブレンドによってパイプライン漏れ及びスチールパイプラインの脆化の可能性がより大きくなることを認めている。一部の公益事業会社において、小規模な試験が始まっている。天然ガスパイプライン中の水素濃度は経時的に変化する可能性もある。
【0003】
これらの提案が実施された場合、水素ブレンドを有するパイプラインから引き出す液化天然ガス(liquified natural gas、「LNG」)生産プラントに対して著しいコスト及び課題が課される可能性がある。数百万分率(「PPM」)を超える濃度で水素をLNG生成物に液化することは実行不可能である。水素を天然ガス供給物からガスタービン駆動装置又は他の用途のための燃料流へと排除することもできるが、水素が、天然ガス供給物中の濃度の何倍もの濃度で燃料流中に存在することになる。水素は天然ガスとは異なる熱物理的特性を有するので、ガスタービン駆動装置用の燃料流中に水素が存在すると、燃料流、燃料圧縮機、バーナ火炎特性、及びNOx排出に対して操作上の影響が生じる。多くのガスタービン駆動装置は、20~30%よりも高い水素濃度を有する燃料流を使用して操作するためには大幅な改造が必要になる。天然ガスパイプライン中の水素濃度の潜在的なばらつきは、LNGプラントにおける燃料バランスについての課題を提示する。したがって、水素がブレンドされた天然ガス供給物をLNGプラントで有効に使用することができるようにする革新的な解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」で更に詳述される、選定された概念を単純な形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主な特徴又は本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。システム及び方法のいくつかの態様を以下に概説する。
【0005】
図1を参照すると、開示される例示的な実施形態は、供給流110がブレンド水素天然ガス供給流であるいくつかのLNGシステム100を提供することによって、当該技術分野における必要性を満たす。液化の下流では、ガス状水素富化流114が生成され、これは燃料として使用されてもよく、(例えば、資源パイプライン又は別のパイプラインに)送出されてもよく、又は更に精製されて精製水素流を生成してもよい。ガス状水素富化流114は、主にメタン、窒素、及び水素の混合物であり、ブレンド水素天然ガス供給流110よりも高い水素濃度を有する。ガス状水素欠乏流112も生成され、これは供給流110に再循環され得る。ガス状水素欠乏流112は、主にメタン、窒素、及び水素の混合物であり、ブレンド水素天然ガス供給流よりも低い水素濃度を有する。従来のように、LNG生成物流も生成され、これは、好ましくはブレンド水素天然ガス供給流110に比べて水素が欠乏している。
【0006】
システム及び方法のいくつかの態様は、以下のとおりである。
【0007】
態様1:
(a)天然ガス液化プラントにおいて水素含有天然ガス供給流を冷却及び液化して、液化天然ガス流を形成することと、
(b)液化天然ガス流の圧力を低下させて膨張LNG流を形成することと、
(c)膨張LNG流を第1のエンドフラッシュ(endflash)ユニット内で第1のエンドフラッシュ流と水素欠乏LNG流とに分離することであって、第1のエンドフラッシュ流が水素含有天然ガス供給流よりも高い水素濃度を有し、水素欠乏LNG流が水素含有天然ガス供給流よりも低い水素濃度を有する、ことと、
(d)第1のエンドフラッシュ流及び/又は水素欠乏LNG流を更に処理して、ガス状水素欠乏流及びガス状富化水素流を形成することと、
を含む方法。
【0008】
態様2:工程(d)が、少なくとも1つの膜段階、少なくとも1つの吸着段階、部分凝縮段階、蒸留段階、ストリッピング段階、及び電気化学膜段階の群から選択される少なくとも1つを用いて行われる、態様1に記載の方法。
【0009】
態様3:第1のエンドフラッシュユニットが気液分離器である、態様1~2のいずれかに記載の方法。
【0010】
態様4:第1のエンドフラッシュユニットが蒸留塔である、態様1~2のいずれかに記載の方法。
【0011】
態様5:
(e)ガス状富化水素流を圧縮し、それを燃料流として使用すること、を更に含む、態様1~4のいずれかに記載の方法。
【0012】
態様6:燃料流が、ガスタービン、ボイラ、又は加熱炉用である、態様5に記載の方法。
【0013】
態様7:
(f)ガス状富化水素流を更に処理して、少なくとも90%の水素濃度を有する精製水素流を形成すること、を更に含む、態様1~6のいずれかに記載の方法。
【0014】
態様8:
(g)精製水素流を燃料電池に送って電気を生成すること、を更に含む、態様7に記載の方法。
【0015】
態様9:
(h)精製水素流を水素パイプラインに送ること、を更に含む、態様7に記載の方法。
【0016】
態様10:
(i)ガス状水素欠乏流の少なくとも一部を燃料流に送ること、を更に含む、態様1~9のいずれかに記載の方法。
【0017】
態様11:
(j)ガス状水素欠乏流の少なくとも一部を、工程(a)の上流で水素含有天然ガス供給流と組み合わされる再循環流に送ること、を更に含む、態様1~10のいずれかに記載の方法。
【0018】
態様12:
(k)第1のエンドフラッシュ流中の水素濃度を第1の所定の範囲内に維持するために、工程(c)が実施される分離器圧力を制御すること、を更に含む、態様1~11のいずれかに記載の方法。
【0019】
態様13:
(l)工程(a)の上流で水素含有天然ガス供給流を前処理して、前処理された水素含有天然ガス供給流及び水素富化前処理流を生成することであって、前処理された水素含有天然ガス供給流が、水素含有天然ガス供給流よりも低い水素濃度を有すること、を更に含む、態様1に記載の方法。
【0020】
態様14:
(m)水素富化前処理流を燃料流に送ること、を更に含む、態様13に記載の方法。
【0021】
態様15:
(n)前処理された水素含有天然ガス供給流に対して工程(a)を実施すること、を更に含む、態様13~14のいずれかに記載の方法。
【0022】
態様16:
(o)水素富化前処理流を精製して、少なくとも90%の水素濃度を有する精製水素流を形成すること、を更に含む、態様13に記載の方法。
【0023】
態様17:少なくとも1つの吸着床を使用して工程(o)を実施することを更に含む、態様16に記載の方法。
【0024】
態様18:
(a)少なくとも1つのガスタービン駆動冷凍圧縮機を有する天然ガス液化プラントにおいて水素含有天然ガス供給流を冷却及び液化して、液化天然ガス流を形成することと、
(b)燃料流を使用して、少なくとも1つのガスタービン駆動冷凍圧縮機のうちの少なくとも1つを駆動することと、
(c)液化天然ガス流の圧力を低下させて膨張LNG流を形成することと、
(d)エンドフラッシュ分離器において、膨張LNG流をエンドフラッシュ流と水素欠乏LNG流とに分離することであって、エンドフラッシュ流が、水素含有天然ガス供給流よりも(that)高い濃度の水素を有する、ことと、
(e)エンドフラッシュ流を圧縮して、圧縮エンドフラッシュ流を形成することと、
(f)水素欠乏LNG流をLNG貯蔵タンクに貯蔵することと、
(g)LNG貯蔵タンクからのBOG流を圧縮して圧縮BOG流を形成することと、
(h)圧縮BOG流を更に圧縮して、更なる圧縮BOG流を形成することと、
(i)工程(a)の実行の上流で、更なる圧縮BOG流を水素含有天然ガス供給流と組み合わせることと
を含み、
燃料流が、圧縮エンドフラッシュ流を含む、方法。
【0025】
態様19:
(j)BOG流の第1の部分を工程(h)の上流に分流させることと、
(k)BOG流の第1の部分をエンドフラッシュ流と組み合わせて、燃料流を形成することと、
を更に含む、態様18に記載の方法。
【0026】
態様20:
(a)天然ガス液化プラントにおいて水素含有天然ガス供給流を冷却及び液化して、液化天然ガス流を形成することと、
(b)液化天然ガス流の圧力を低下させて膨張LNG流を形成することと、
(c)膨張LNG流を第1のエンドフラッシュユニット内で第1のエンドフラッシュ流と水素欠乏LNG流とに分離することであって、第1のエンドフラッシュ流が水素含有天然ガス供給流よりも高い水素濃度を有し、水素欠乏LNG流が水素含有天然ガス供給流よりも低い水素濃度を有することと、
(d)エンドフラッシュ圧縮機を使用してエンドフラッシュ流を圧縮して、圧縮エンドフラッシュ流を形成することと、
(e)圧縮エンドフラッシュ流を燃料流として使用することと、
(f)エンドフラッシュ圧縮機が動作する圧力を制御して燃料流中の水素濃度を所定の範囲内に維持することと
を含む、方法。
【0027】
電力網から電力を引き出し、燃料需要が少ない電気モータ駆動プラントでは、水素の排除が必要とされる。これは、エンドフラッシュシステムにおけるプラントの低温端で達成することができる。このシステムは、50%を超える水素を含有する送出流を生成するように設計することができる。水素は、多くの分離スキームを使用してプラントの前端から除去することもできる。しかしながら、水素の前端除去では、全供給流の処理が必要になるが、一方、水素を後端から除去することは、全供給流の一部であるフラッシュ流に対する処理を含む。
【0028】
供給水素含有量が約0.5%を超え、水素が燃料に送られるガスタービン駆動プラントの場合、エンドフラッシュ流で水素が富化され、既存のエンドフラッシュ圧縮システムに改造が必要になる。2%を超える水素を含有する供給物の場合、燃料流で水素が高度に富化されるので、水素が送出されない場合、ガスタービン燃焼及び燃料システムに大幅な改造が必要となる。送出に適した水素/メタン混合物を生成するための多くの可能なスキームが存在する。最適なスキームは、送出流の行き先に依存する。水素に対する局地的市場需要がある場合、LNGプラントから送出された水素を更に処理して販売可能な製品にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下、添付図面と併せて例示的な説明を記載し、図中の類似の数字は、類似の要素を表す。
【
図1】LNGプラントにおいてブレンド水素天然ガス供給流から生成された3つの流れを示す概略流れ図である。
【
図2】先行技術からフローシートが改変されていないLNGプラントを示す概略流れ図である。
【
図3】水素含有量の少ないボイルオフガス(「BOG」)及び貯蔵タンクフラッシュを供給物に再循環させるために追加されたBOG再循環圧縮機を有するLNGプラントを示す概略流れ図である。
【
図4】後端膜を用いた燃料への水素の除去を示すLNGプラントを示す概略流れ図である。
【
図5】ダブルエンドフラッシュ構成を有するLNGプラントを示す概略流れ図である。
【
図6】0~5%の範囲の供給水素含有量の関数として、
図2~
図5に示される例示的な実装形態から入手可能な最大生産量を示すグラフである。
【
図7】0~5%の範囲の供給水素含有量の関数として、
図2~
図5に示される例示的な実装形態の所要比出力を示すグラフである。
【
図8】エンドフラッシュH2分離を示すLNGプラントを示す概略流れ図である。
【
図9】
図8の例示的実装形態のためのモデル化されたシステムパラメータを示す表である。
【
図10】前端膜を有するLNGプラントを示す概略流れ図である。
【
図11】前端膜を有し、吸着を使用して透過流を更に精製するLNGプラントを示す概略流れ図である。
【
図12】ダブルエンドフラッシュを提供するように改造された、
図11に示されるLNGプラントである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の詳細な説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供するものであり、本発明の範囲、適用性、又は構成を限定することを意図するものではない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、本発明の好ましい例示的な実施形態を実施することを可能にする説明を当業者に提供する。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置において様々な変更が行われ得ることが理解される。
【0031】
本発明の説明を支援するために、本明細書及び特許請求の範囲において、本発明の一部を説明するために方向を示す用語(例えば、上、下、左、右など)が使用される場合がある。これらの方向を示す用語は、単に本発明の説明及び請求を補助することを意図したものであり、決して本発明を限定することを意図したものではない。加えて、図面に関連して本明細書に導入される参照番号は、他の特徴についての文脈を提供するために、本明細書における追加の説明なしに1つ以上の後続の図において繰り返し使用される場合がある。
【0032】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び特許請求の範囲に記載される本発明の実施形態における任意の特徴に適用される場合、1つ以上を意味する。「a」及び「an」の使用は、そのような限定が具体的に述べられない限り、その意味を単一の特徴に限定するものではない。単数又は複数の名詞又は名詞句に先行する冠詞「the」は、特定の指定された1つ又は複数の特徴を示し、それが使用される文脈に応じて単数又は複数の含意を有することがある。
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「導管」という用語は、システムの2つ以上の構成要素間で流体を輸送することができる1つ以上の構造を指す。例えば、導管は、液体、蒸気、及び/又は気体を輸送するパイプ、ダクト、通路、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「天然ガス」という用語は、主にメタンからなる炭化水素ガス混合物を意味する。本明細書で使用される場合、「天然ガス」という用語は、合成及び代替天然ガスも包含する。天然ガス供給流は、メタン及び窒素を含む(典型的にはメタンが主成分である)。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「水素含有天然ガス」及び「水素含有天然ガス流」という用語は、少なくとも100ppmの水素を含有する天然ガス流を意味する。「水素含有天然ガス」及び「水素含有天然ガス流」という用語は、「ブレンド水素天然ガス流」という用語と同義であることが意図される。
【0036】
本明細書において別段の記載がない限り、本明細書、図面、及び特許請求の範囲において特定される任意及び全ての百分率は、モル百分率基準であると理解されるべきである。本明細書において別段の記載がない限り、本明細書、図面、及び特許請求の範囲において特定される任意の及び全ての圧力は、ゲージ圧を意味すると理解されるべきである。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「圧縮システム」という用語は、1つ以上の圧縮段階として定義される。例えば、圧縮システムは、単一の圧縮機内に複数の圧縮段階を含むことができる。代替例では、圧縮システムは、複数の圧縮機を備えていてもよい。
【0038】
特許請求の範囲において、文字は、特許請求される工程(例えば、(a)、(b)、及び(c))を識別するために使用される。これらの文字は、方法工程を参照するのを支援するために使用され、特許請求された工程が実行される順序を、そのような順序が特許請求の範囲に具体的に記載されている場合を除いて、示すことを意図するものではない。
【0039】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「膜モジュール」という用語は、シェル(高圧側とも呼ばれる)内に含まれる1つ以上の導管を通して供給ガスを比較的高圧で流すことによってガスを選択的に分離するために使用される装置を意味する。導管は、各導管とシェル空間(低圧側とも呼ばれる)との間に障壁を提供する膜材料によって少なくとも部分的に画定される。シェル空間は、シェル内の内部容積であり、各膜の外部にあり、比較的低圧に維持される。シェル側は、透過ポートと流体流連通しており、膜を透過したガスは、透過ポートを通ってシェルを出る。任意選択で、掃引ガスをシェル空間に供給し、透過ポートを通る透過ガスの流れを補助する掃引ポートを設けてもよい。膜材料は、供給流中の1つ以上のガス(透過ガスと呼ばれる)が、供給ガス流中の他のガス(非透過ガス又は生成物ガスと呼ばれる)よりも速い速度で膜材料を通過することを可能にするように選択される。膜モジュールは、膜モジュールがそのボア側に供給ガス流が導入されることによって加圧されるボア側供給設計のものであってもよく、又は膜モジュールがそのシェル側に供給ガス流が導入されることによって加圧されるシェル側供給設計のものであってもよい。
【0040】
方法又はシステムの列挙された特徴を識別するために本明細書で使用される場合、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」などは、対象となる特徴を参照し、それらを識別するのを助けるためだけに使用され、そのような順序が具体的に列挙されている場合を除いて、特徴の任意の特定の順序を示すことを意図するものではない。
【0041】
本明細書で使用される場合、「燃料流」という用語は、ガスタービン、又はボイラ、燃加熱炉、若しくは他の燃焼装置などの、蒸気発生システムなどのLNGプラントの一部に燃料を供給するために使用されるガス流を意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、特定のガス又は成分が「富化」されるガス分離プロセスからの生成物流への言及は、生成物流が、ガス分離プロセスへの供給流よりも高いモル%の当該特定のガス又は成分を有することを意味する。流体分離プロセスの非限定的な例としては、分離ドラム、蒸留塔、ストリップ塔、吸着、膜分離、及び電気化学分離が挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「流体流連通」という用語は、液体、蒸気、及び/又は二相混合物が、直接的又は間接的に、制御された様式で(すなわち、漏出なく)構成要素間で輸送されるのを可能にする、2つ以上の構成要素間の接続性の性質を指す。2つ以上の構成要素を互いに流体流連通するように連結させることは、溶接、フランジ付き導管、ガスケット、及びボルトの使用など、当該技術分野で知られている任意の好適な方法を含むことができる。2つ以上の構成要素はまた、それらを分離し得るシステムの他の構成要素、例えば、弁、ゲート、又は流体流を選択的に制限若しくは方向付けし得る他の装置を介して、互いに連結されてもよい。本明細書で使用される場合、「導管」という用語は、それを通してシステムの2つ以上の構成要素間で流体を輸送することができる1つ以上の構造を指す。例えば、導管は、液体、蒸気、及び/又は気体を輸送するパイプ、ダクト、通路、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0044】
再び
図1を参照すると、供給ガス110中の水素が潜在的にLNG液化プラント100に入る可能性がある箇所が3つある。1つの選択肢(選択肢A)は、LNG生成物116中に水素を残すことである。第2の選択肢(選択肢B)は、システム100の燃料要件の少なくとも一部のために、典型的には冷媒圧縮機を駆動するガスタービンのための燃料として水素を使用することである。第3の選択肢(選択肢C)は、典型的には水素生成物として更に精製するために又は液化装置の下流の天然ガスパイプラインに戻すために、システム100から水素を送出することである。選択肢Aは、必要とされる液化温度が低温であるため、数百PPMを超える水素を有する天然ガス供給物には実用的ではない。選択肢B及び選択肢Cではいずれも、水素を燃料消費先(選択肢B)又は送出先(選択肢C)に移送するために流れ114が生成される場合がある。流れ112は、追加の燃料要件を満たすことができるか、又は天然ガス供給物110若しくはLNGプラント内の別の場所に再循環させることができる。
【0045】
図2は、従来の天然ガスLNGシステム200を示す。システム200において、水素含有天然ガス供給流210は、液化天然ガス流220を形成するために、従来のC3MR、DMR、SMR、純成分カスケード、逆ブレイトンサイクル、又は他の液化方法などの液化プロセスを使用して液化ユニット218において冷却及び液化される。流れ210は、30bara~80bara若しくはそれ以上の圧力、かつ周囲温度付近であってもよく、又は予冷システムによって-30℃~-60℃の温度に予冷されてもよい。流れ220は、30bara~70bara若しくはそれ以上の圧力、かつ-130℃~-155℃若しくはそれ以下の温度であってよい。液化天然ガス流220は、弁224を通って膨張して、膨張LNG流226を形成する。液化天然ガス流220は、任意選択で、弁224を通って膨張する前に、水力タービン(図示せず)を通過してもよい。任意選択的に水力タービンを包めることは、本明細書に記載される全ての例示的な実装形態に適用可能である。
【0046】
次いで、膨張LNG流226は、エンドフラッシュドラム228内で、エンドフラッシュ流238(供給流210に比べて水素が富化されている)と、LNG流230(供給流210に比べて水素が欠乏している)とに分離される。この例示的な実装形態では、エンドフラッシュドラム228の圧力は、例えば、1.0bara~1.5baraの固定圧力に固定される。LNG流230は、膨張弁232を介して膨張し、膨張LNG流234は、LNG貯蔵タンク236に流入する。流れ230は、弁232の前に7バール~10バールなどのより高い圧力まで圧送することができる。弁232は、スプレーノズル(1つ又は複数)などの、貯蔵タンク入口マニホールドの一部であってもよい。LNG生成物流216が、貯蔵タンクから引き出される。
【0047】
エンドフラッシュ流238は、任意選択で、エンドフラッシュ熱交換器240において、水素含有天然ガス供給流210の一部248に対して加温されて、加温エンドフラッシュ流242及び冷却部分250を形成する。次いで、冷却部分250は、膨張弁252を通って膨張して、膨張流254を形成し、これは、膨張LNG流226と組み合わされる。
【0048】
加温エンドフラッシュ流242は、エンドフラッシュ圧縮機244内で圧縮されて燃料流214を形成し、これはシステム200内で燃料として使用される。多くの用途において、燃料流214は、冷凍圧縮機を直接駆動するガスタービンのための燃料として使用されるか、又は液化ユニット218のための冷凍負荷を提供する冷媒のための冷凍圧縮機(図示せず)を駆動する電気モータに動力を供給するために使用される電気を生成する。
【0049】
ボイルオフガス(boil off gas、「BOG」)流256は、LNG貯蔵タンク236から引き出され、BOG圧縮機260内で圧縮されて圧縮ボイルオフガス流264を形成し、これは燃料流214に供給される。流れ256は、流れ230の膨張から発生した蒸気、流れ234への熱漏れから発生した蒸気、及び貯蔵タンクへの熱漏れから発生した蒸気を含むことができる。
【0050】
選択肢A-LNG生成物中の水素
蒸気及び液体平衡の熱力学から、LNG生成物において水素をプラントから出す実用性は限られる。LNG生成物中に溶解することができる水素の最大量は約700ppmであることに留意すべきである。したがって、システム200を動作させることが実現可能であるのは、LNG生成物流216中の水素濃度が非常に低い(1%水素をはるかに下回る)場合だけである。更に、そうすることにより、システム200の比出力消費が増加する。別の障壁は、多くの既存のベース負荷LNG及びピークシェービングプラントに設置されている冷凍能力に限界があることである。ほとんどのベース負荷設備は、設置されたガスタービン駆動力によって制限される。ピークシェービング、小規模、及び中規模プラントは、通常、電気モータによって動力が供給される。数百ppmの水素の添加により液化比出力が増加すると、設置された電力設備によって現在制限されている施設からの生産が減少する。したがって、システム200に関して、選択肢B(燃料)及び選択肢C(水素除去)は、供給物中に数百ppmを超える濃度の水素が存在する場合、水素のための唯一の現実的な流路である。
【0051】
選択肢B-ガスタービン燃料中の水素
既存のガスタービン駆動プラントの場合、選択肢Bは、燃料中のメタン含有量の一部が水素に置き換えられるので、プラント炭素強度が低下するという利点を有する。しかしながら、この解決策は、プラント燃料システムの大幅な改造を必要とする場合がある。
【0052】
メタンよりも揮発性の高い水素は、フラッシュ(燃料)ガス流238中で濃縮される。典型的な燃料需要を有するLNGプラントでは、供給物中の1%の水素から、15%を超える水素を有する燃料が得られる。供給物中の水素が5%である場合、燃料中の水素含有量は50%を超える。
【0053】
この組成の変化は、燃料圧力をほぼ大気圧から約40baraまで上昇させるエンドフラッシュガス圧縮機244の性能及び動作性に影響を及ぼす。1モルの水素を圧縮するのに必要な仕事は、1モルのメタンを圧縮するのに必要な仕事よりも3%大きいことに留意されたい。加えて、水素のより低い発熱量はメタンよりも3.3倍低いので、冷凍圧縮機に利用可能な電力量を維持するためにガスタービンへの燃料発熱量を同じに維持するためにはより多くの燃料流量が必要とされる。全体として、これは、燃料中の任意の水素を圧縮するために必要とされる電力が、等量の置換メタンと比較して3.4倍高く、それによって、全体的なプラント電力消費に影響を及ぼすことを意味する。既存のプラントでは、供給水素が0.5%を超える場合、回転設備及び静止設備を含む燃料システムの大幅な改造が必要になる可能性が高い。
【0054】
エンドフラッシュ圧縮の問題に加えて、燃料はまた、ガスタービンの動作上の問題を引き起こす可能性もあり、乾式低公害型(dry low emissions、DLE)燃焼システムを備えたほとんどの既存の産業用フレームガスタービンは、30%を超える水素濃度を有する燃料で動作するようには設計されていない。より高い水素濃度で動作させるためには、大規模なエンジン及びパッケージの改造が必要である。拡散燃焼システムを既に装備しているタービンでもやはり、追加の燃料ブレンドハードウェア及びパッケージ安全性の向上を必要とし、これらのタービンはまた、より多量の水素で運転しているときに、排気NOx排出を許容限度内に維持しようと苦労する場合がある。多くのLNGプラントにおいて、これは、燃料中の水素濃度を30%未満に維持するために、選択肢Bの実施は供給物中に2%未満の水素を有する供給物に制限される。
【0055】
選択肢C-送出される水素
ガスタービンを備え、天然ガス供給物中に2%を超える水素を含むLNGプラントの場合、及び電力網から電力を引き出す電気モータ駆動装置を備えた冷却プロセスの場合、システムから水素を排除することは魅力的な選択肢となり得る。水素は、天然ガスパイプラインに再注入することもでき、粗水素流として送って、生成物/水素パイプライン純度まで更に精製することもできる。電力網から電力が供給される既存の電気モータ駆動プラントは、燃料需要が非常に低いので、選択肢Cは、供給水素含有量が約100ppmを超えて増加した場合に100%のLNG生産量を維持するために利用可能な唯一の解決策である。更に説明するように、選択肢Cはまた、既存の設備に必要な改造が選択肢Bに必要なものよりも少ないので、ガスタービン駆動プラントにとって大きな利点を有する。任意選択で、精製された水素流を、電気を発生させるために使用することができる水素燃料電池に送ることができる。
【0056】
評価したフロースキーム
下流のLNGプラントに対する天然ガスパイプラインにブレンドされた水素の影響を評価するために、選択肢B(燃料としての水素)及び選択肢C(送出された水素)を使用するいくつかの異なるフロースキームを評価した。研究のベースラインは、約5百万メートルトン/年(metric tonnes/yr、MTPA)のLNGを生産する2つの産業用フレームガスタービン駆動装置を使用する一般的なC3MR液化ユニットであり、典型的な米国湾岸環境条件及び供給ガス組成を想定して、燃料要求量は460MW LHVベースである。評価は、水素含有供給物を処理するために既存のプラントを改造することを想定しているが、結果を新たなプラントに適用することができる。評価したフロースキームのうちのいくつかについての比較結果を本明細書に示す。
【0057】
電気モータ駆動のピークシェーバープラントに対する解決策も同様に評価した。これらのプラントは、一般に、燃料需要が非常に低く、何らかの形態で水素を送出するための選択肢を必要とする。
【0058】
一般的なC3MR液化ユニットの詳細な採点シミュレーションを使用して、最大18%の供給水素濃度を処理するための選択肢を評価した。プロパン及び混合冷媒圧縮機性能は、圧縮機曲線を使用して評価し、コイル式主冷却熱交換器(main cryogenic heat exchanger、MCHE)の熱伝達及び圧力降下性能は、詳細モデルを使用して評価した。エンドフラッシュ及びボイルオフガス(boil-off gas、BOG)システムに関連する設備は、単純モデルを使用して評価し、結果を供給物中0%水素の基本ケースと比較した。
【0059】
2つの産業用フレームガスタービン冷却圧縮駆動装置から入手可能なプロパン及び混合冷媒力は、設計(基本ケース)値に固定した。各駆動装置上に二重プロパン及び混合冷媒圧縮機を有する並列ドライバ構成を想定した。利用可能な冷却駆動装置出力及び燃料需要の制約を条件として、生産を最大化するためにシミュレーションを実行した。
【0060】
供給物からの水素が燃料に送られる選択肢Bの場合、フロースキームは、LNG生産を最大にしながら燃料流中の水素を濃縮するように設計される。この研究では、ガスタービンの燃料効率は同じままであり、燃料中の水素の関数ではないと仮定した。いずれの場合も、唯一の燃料需要はガスタービンの燃料需要であり、燃料の最大95%がエンドフラッシュ及びBOGによって提供されると仮定した。選択肢Bのスキームでは、この燃料バランスの制約により、燃料流中の水素を燃料需要を超えないように濃縮し、必要に応じてメタンフラッシュを抑制又はメタンを再循環する必要がある。
【0061】
スキームB1-フローシートの変更なし
スキームB1では、既存のフローシートに変更を加えることなく
図2のシステム200を使用した。エンドフラッシュドラム228の圧力は、1.24baraの基本ケース値に固定した。
【0062】
スキームB2-BOG再循環
図3に示すスキームB2に、LNGシステム300を示す。システム300において、システム200と共有される要素は、100だけ増加させた参照番号によって表す。例えば、システム200のエンドフラッシュドラム228は、システム300のエンドフラッシュドラム328に対応する。明確にするために、システム200の対応する要素と同一であるシステム300のいくつかの特徴は、
図3において番号付けされているが、本明細書では特に言及されていない。システム300は、既存のLNGシステムと構造的に類似している場合もあるが、以下に説明するように、供給流310中の水素を収容するために異なる動作をすることに留意されたい。
【0063】
システム300では、エンドフラッシュドラム328の圧力は調整可能であり、これにより、エンドフラッシュ流338(燃料流314になる)中の水素濃度を所定の範囲内に維持するように、燃料流314中の水素濃度を制御することが可能になる。エンドフラッシュドラム328内の圧力の調節/制御は、エンドフラッシュ圧縮機344を通して引き出される蒸気流量を調整することによって提供され得る。圧縮機344を通る蒸気流量を調整する手段は、圧縮機再循環、速度制御、入口案内羽根、圧縮機吸引絞り、又は他の既知の方法を含む。エンドフラッシュドラム328の圧力を増加させて、メタンのフラッシュを抑制し、燃料流314中の水素の濃度を増加させることができる。エンドフラッシュドラム328の圧力の増加は、LNG貯蔵タンク336内のフラッシュを増加させる。この増加を補償するために、圧縮されたボイルオフガス流の少なくとも第1の部分364は、再循環され、液化ユニット318の上流で水素含有天然ガス流310と組み合わされる。水素含有天然ガス流310の圧力に適合させるために、圧縮されたボイルオフガス流364を、BOG再循環圧縮機366内で更に圧縮して、更なる圧縮BOG流368を形成し、これを水素含有天然ガス流310と組み合わせる。任意選択で、圧縮されたボイルオフガス流364の第2の部分367を燃料流314に加えてもよく、それによって、燃料流314中の水素濃度を制御する追加の手段が提供される。これらの手段は、燃料流314における所望の発熱量を維持する目的で実施することができる。
【0064】
スキームB3-膜段階を使用する水素除去
図4に示すスキームB3では、膜段階470を使用して圧縮エンドフラッシュ流441から水素を除去するLNGシステム400が示されている。システム400において、システム200と共有される要素は、200だけ増加させた参照番号によって表す。例えば、システム200のエンドフラッシュドラム228は、システム400のエンドフラッシュドラム428に対応する。明確にするために、システム200の対応する要素と同一であるシステム400のいくつかの特徴は、
図4において番号付けされているが、本明細書では特に言及されていない。
【0065】
システム400において、膜段階470は、エンドフラッシュ圧縮機444の下流に位置する。膜段階470は、並列に配置された1つ以上の膜モジュールを備えることができる。膜段階470からの透過流472は、水素が富化され、水素圧縮機474で更に圧縮されて圧縮透過流476を形成し、これが燃料流414の少なくとも一部を形成する。任意選択で、圧縮透過流は、LNGプラント400内の任意の流れの中で最も高い水素濃度を有することができる。したがって、圧縮された透過流の少なくとも一部を、送出することができる。
【0066】
水素が欠乏した非透過流478は、システム400の必要性に応じて1つ以上の方法で分配することができる。非透過流478の少なくとも一部483を、エンドフラッシュ再循環圧縮機480において圧縮して圧縮再循環流482を形成することができ、これを、エンドフラッシュ熱交換器440の上流の水素含有天然ガス流410の一部448と組み合わせる。非透過流478の少なくとも一部484は、燃料流414に混合することができ、それによって燃料流414中の水素濃度を低減することができる。弁485は、部分483、484への非透過流478の流れを制御する手段を概略的に表す。
【0067】
スキームC1-水素フラッシュドラム
図5に示すスキームC1では、少なくとも50モル%の水素を含む粗水素流586を生成するように構成されたLNGシステム500が示されている。粗水素流586は、水素精製ユニットに送られて、送出用の製品グレードの水素を生成してもよく、又は液化ユニット518の下流のパイプラインに戻されてもよい。システム500において、システム200と共有される要素は、300だけ増加させた参照番号によって表す。例えば、システム200のエンドフラッシュドラム228は、システム500のエンドフラッシュドラム528に対応する。同様に、システム400と共有される要素は、100だけ増加させた参照番号によって表す。明確にするために、システム200及び/又は400の対応する要素と同一であるシステム500のいくつかの特徴は、
図5において番号付けされているが、本明細書では特に言及されていない。
【0068】
膨張LNG流526は、最初に粗水素フラッシュドラム583に送られる。粗水素フラッシュドラム583の動作圧力は、少なくとも50モル%の水素濃度を有する粗水素流585を生成するように選択することができる。粗水素流585からの冷却は、水素フラッシュ交換器581で回収され、水素含有天然ガス流510の一部549を冷却して、冷却された追加のLNG流551を生成する。冷却された追加のLNG流551は、水素フラッシュ交換器581を出て、そこで膨張弁553を通過して膨張して、膨張した追加のLNG流555を形成する。膨張した追加のLNG流555は、膨張LNG流526と組み合わされ、粗水素フラッシュドラム583に導入される。
【0069】
次いで、粗水素フラッシュドラム583からのLNG流587は、膨張弁588を通過して膨張して、膨張LNG流589を形成する。次いで、膨張LNG流589は、エンドフラッシュドラム528に送られる。システム500の残りの要素は、
図2のシステム200と非常に類似している。
【0070】
結果
供給物中の水素の量を増加させながら、4つ全てのスキームをシミュレートした。
図6は、0~5%の範囲の供給水素含有量の関数として検討されたフロースキームから入手可能な最大生産量を示す。結果は、2つの産業用フレーム駆動装置から入手可能な出力及び全体的なプラント燃料バランスに対する制約を有するシミュレーションに基づく。
【0071】
図7は、エンドフラッシュ(244、344、444、544)、BOG(260、360、460、560)、エンドフラッシュ再循環(480)、BOG再循環(366)、及び水素圧縮機(474)によって消費されるLNG1トン当たりのkWhとしての比出力を示す。エンドフラッシュ圧縮機及びBOG圧縮機に利用可能な出力は、基本ケース値に限定されず、これらの圧縮機は、生産量を最大化するために必要に応じて改造又は交換されると仮定した。これらの電気モータ駆動圧縮機に必要とされる出力に燃料バランスは考慮に入れなかった。燃料必要量の計算において冷媒駆動装置のみを考慮した。
【0072】
スキームB1-フローシートの変更なし
既存のLNGプラントにおいてエンドフラッシュドラム228からの所望の蒸気流量を維持するには、新たな設備を追加することなく生産量を大幅に減少させる必要がある。これは、液化ユニット218から出る液化天然ガス流220が、燃料要件を超えず、燃料バランスを維持するように、フラッシュを抑制するためにより低温にならなければならないためである。例えば、供給物中3%の水素で生成されるエンドフラッシュ蒸気発熱量(エネルギー/時間、例えばBtu/s又はMW)は、同じ液化ユニット出口温度及びエンドフラッシュドラム圧力について、供給物中0%の水素で生成されるものよりも88%高くなり得る。供給物中3%の水素では、供給物中0%の水素の場合と同じ燃料流発熱量を維持するために必要な液化ユニット出口温度の低下により、固定駆動装置出力で6.7%生産量が低下する。
【0073】
図7は、水素含有天然ガス供給流210中3%の水素について、エンドフラッシュ圧縮機244及びBOG圧縮機260によって消費される電力が、基本ケース(供給流210中に水素がない)に対してほぼ2倍になることを示す。増加の大部分は、主にエンドフラッシュ圧縮機244の出力の増加に起因する。供給物中の水素がわずか0.5%である場合、エンドフラッシュ圧縮機244は、得られるエンドフラッシュ流238の分子量が低く、体積流量が増加することに対応するための改造を必要とする。インペラの変更又は回転速度の増加を含む空気力学的リレートは、より強力な駆動モータによって達成され得る。水素含有天然ガス供給流210中の水素濃度が0.5%を超えると、エンドフラッシュ圧縮機244を交換するか、又は新たな並列圧縮ストリングを補充することが必要になる。
【0074】
スキームB2-BOG再循環
この構成の場合、エンドフラッシュドラム328の圧力は、フラッシングを低減するように制御され、適切な燃料バランスを維持する際の別の動作自由度が追加され、それによって、プラントが、水素含有天然ガス流310(
図3)中最大約3%の水素濃度について100%のLNG生産量を達成することが可能になる。しかしながら、この回収生産は、追加の運転コストを伴う。
図7において、後端圧縮(このスキームにおけるエンドフラッシュガス圧縮機344、BOG圧縮機360、及び追加のBOG再循環圧縮機366からなる)によって消費される電力は、水素含有天然ガス流310中3%水素の基本ケースの2倍超であることに留意されたい。エンドフラッシュドラム328の圧力が高くなると断熱フラッシュがエンドフラッシュドラム328から貯蔵タンク336にシフトするので、必要なBOG圧縮力が大幅に増加する。供給物中の水素が3%を超えると、100%の設計LNG生産量は、研究条件のためのこのスキームでは不可能である。
【0075】
スキームB3-膜段階を使用する水素除去
このスキームでは、燃料流414中の水素を濃縮するために膜段階470が追加される。このスキームは、水素含有天然ガス流410中5%水素で100%のLNG生産量を可能にするが、運転コストはより高くなる。透過流472を圧縮するための水素圧縮機474の動力が
図7に含まれていることに留意されたい。
【0076】
新たなエンドフラッシュ再循環圧縮機480、膜段階、及び透過水素圧縮機474に加えて、既存のエンドフラッシュ圧縮機444も、新たな動作条件が著しく異なるため、より高い水素濃度では改造又は交換されなければならないであろう。
【0077】
大幅なプラントの改造により、スキームB2及びB3はいずれも、水素含有天然ガス流310、410中3%水素で元の設計LNG生産量を生産することができるようになる。しかしながら、得られたタービンへの燃料流314、414は、40体積%の水素を含有する。現在のクラスの産業用フレームガスタービン駆動装置は、乾式低公害型(DLE)燃焼システムを装備したときに30%を超える水素濃度で動作するように設計されていないが、拡散燃焼システムを有するタービンは、追加のNOx低減ハードウェアを必要とする場合がある。タービンは、燃料システム内の高い水素濃度を評価するために、材料及びパッケージの安全性調査を受けなければならず、ガスタービンのOEMは、水素が10%を超える燃料組成に関して検討されるべきである。
【0078】
図3及び
図4の両方に関して、水素富化流(338、472)は、燃料流に送られる代わりに、粗水素として送出されてもよく、又は精製ユニットに送られ、水素生成物として送出されてもよい。燃料要件は、もしあれば、水素欠乏流(367、478)によって満たすことができる。
【0079】
スキームC1-水素フラッシュドラム
スキームC1において、水素は、50%(モル)の水素を含有する流れ(粗水素流585)の中に排除される。この粗水素流585は、製品グレードの水素に更に精製するために送られてもよく、又はパイプラインに戻されてもよい。
【0080】
図6に示される生産は、水素含有天然ガス流510中の水素含有量の増加と共に減少し、供給原料中5%水素で約2%の減少に達する。この生産損失は、主に、LNG水力タービン(図示せず)によって提供される冷却の損失によるものである。供給物中の水素が増加するにつれて、蒸気がタービン内で形成されるのを防ぐためにタービンの排出圧力が増加する。5%水素では、排出圧力は入口圧力に近づき、タービンはバイパスされる。しかしながら、この生産損失は、エンドフラッシュ再循環圧縮機566(破線)を追加することによって排除することができた。
【0081】
このスキームは、既存のLNGプラントに対して必要とされる変更、及びそれらを実施するために必要とされるダウンタイムを最小限に抑える。燃料消費の少ない電気モータ駆動LNGプラントでは、プロセスからの水素排除が、200~500PPMを超える供給水素含有量について評価したものの中で唯一の実現可能な解決策である。
【0082】
図8は、水素冷却ボックスが設けられたLNGシステム600の別の例示的な実装形態を示す。システム600において、システム200と共有される要素は、400だけ増加させた参照番号によって表す。例えば、システム200のエンドフラッシュドラム228は、システム600のエンドフラッシュドラム628に対応する。同様に、システム300と共有される要素は、300だけ増加させた参照番号によって表す。例えば、システム300の再循環圧縮機366は、システム600のBOG再循環圧縮機666に対応する。明確にするために、システム200及び/又は300の対応する要素と同一であるシステム600のいくつかの特徴は、
図8において番号付けされているが、本明細書では特に言及されていない。
【0083】
システム600において、エンドフラッシュドラム628は、1.5bara~55baraの圧力で動作する。エンドフラッシュドラム628からの水素富化蒸気638は、熱交換器643内で冷却され、部分的に液化される。二相混合物627は、分離器629において、更なる水素富化蒸気631とメタン富化液体633とに分離される。更なる水素富化蒸気は、熱交換器643及びエンドフラッシュ交換器640で加温されて、粗水素生成物637を形成する。粗水素生成物は、天然ガスパイプラインに再注入してもよく、又は更に精製して純水素生成物を製造してもよい。
【0084】
メタン富化液体633は、弁635で膨張し、熱交換器643内で加温されて中間メタン流641を生成し、これは次にBOG圧縮機660に送られる。中間メタン流641の少なくとも一部625は、エンドフラッシュ交換器640で加温されて加温メタン富化蒸気642を生成し、エンドフラッシュ圧縮機644で圧縮されて燃料流614を形成することができる。粗水素生成物637の少なくとも一部639は、加温メタン富化蒸気642と組み合わされて、追加の燃料を提供することができる。水素富化蒸気638の少なくとも一部615は、熱交換器643をバイパスして中間メタン流625の少なくとも一部に送ることができる。
【0085】
LNG流630は貯蔵タンクに送られる。BOG流656及び中間メタン流641をBOG圧縮機660で圧縮して圧縮ボイルオフガス流664を形成し、これをBOG再循環圧縮機666で圧縮して更なる圧縮BOG流668を形成することができ、これを水素含有天然ガス供給流610と組み合わせる。圧縮ボイルオフガス流664の少なくとも一部667は、燃料流614に送ることができる。
【0086】
図9は、供給ガス流610中のある水素濃度の範囲について、
図8の例示的な実装形態のためのモデル化されたシステムパラメータを示す表である。LNG流620の温度は、供給ガス流610中の水素濃度が10%であるときに最も温かいことに留意されたい。また、供給ガス流610中の水素濃度が3%を超えると、LNG生産量が低下し始めることにも留意すべきである。
【0087】
図10は、供給ガス流710が、液化の前にガス流からいくらかの水素を除去するために前処理される、LNGシステム700の別の例示的な実装形態を示す。システム700において、システム200と共有される要素は、500だけ増加させた参照番号によって表す。例えば、システム200のエンドフラッシュドラム228は、システム700のエンドフラッシュドラム728に対応する。同様に、システム300と共有される要素は、400だけ増加させた参照番号によって表す。例えば、システム300の再循環圧縮機366は、システム700の再循環圧縮機766に対応する。明確にするために、システム200及び/又は300の対応する要素と同一であるシステム700のいくつかの特徴は、
図10において番号付けされているが、本明細書では特に言及されていない。
【0088】
システム700において、供給ガス流710は、液化の前に膜モジュール763を通過して、水素富化透過流765及び水素欠乏非透過流771を形成し、これは、供給ガス流710を液化するために必要とされるよりも低い電力消費で液化ユニット718において液化され得る。供給ガス流710中の水素濃度が十分に低く、液化前水素除去が必要でない場合に、膜モジュール763をバイパスすることができるように、バイパス流773が提供される。水素欠乏非透過流771は、液化の上流で更なる圧縮BOG流768と組み合わされる。水素富化透過流765は、圧縮機767で圧縮されて燃料流714を形成する。加温され圧縮されたエンドフラッシュ流797の一部759及びBOG流764の一部793を燃料流714に組み合わせることができる。水素富化透過流765は、代替的に天然ガスパイプラインに送出されてもよく、又は水素生成物を製造するために更に精製されてもよい。
【0089】
LNGプラント800の別の例示的な実装形態を
図11に示す。このLNGプラント800において、供給ガス流810が前処理ユニット875において処理されて、CO2、水、及び重質炭化水素が除去され、前処理された供給ガス流876が生成される。CO2を除去するための前処理は、典型的には、酸性ガス除去ユニットにおける吸着によって行われる。水の除去は、天然ガスを冷却してバルク水の凝縮を促進し、その後、吸着ユニット内で脱水することによって行うことができる。重質炭化水素の除去は、吸着、部分凝縮、蒸留、又はそれらの組み合わせによって行うことができる。次に、前処理された供給ガス流876を圧縮機877で圧縮して、圧縮され前処理された供給ガス流879を生成し、交換器881で周囲空気熱、冷却水、又はプロパン、HFC若しくは混合冷媒などの別の冷却媒体で冷却して、冷却され前処理されたガス流886を生成する。次いで、冷却され前処理されたガス流886は、膜モジュール863を通過して、水素富化透過流878及び水素欠乏非透過流872を形成する。水素欠乏非透過流872は、任意選択で、液化される前に圧縮され、冷却される(圧縮機893及び熱交換器894を介して)。
【0090】
次に、水素富化透過流878を圧縮機867で圧縮して、圧縮水素富化透過流869を形成する。次いで、圧縮水素富化透過流869は、圧力スイング吸着ユニット887を使用して処理され、精製水素流888及び水素欠乏流889を生成する。精製水素流888は、少なくとも90%の水素濃度を有することができる。水素欠乏流889はエンドフラッシュ流838と組み合わされ、次いでエンドフラッシュ圧縮機844を使用して圧縮されて燃料流814を生成する。
【0091】
LNGプラント900の別の例示的な実装形態を
図12に示す。LNGプラント900は、LNGプラント800と非常に類似しており、主な違いは、2つのエンドフラッシュドラム983及び928が直列に設けられていることである。第1のエンドフラッシュドラム983からのエンドフラッシュ流990は、圧縮前に水素富化透過流978と組み合わされる。第1のエンドフラッシュドラム983からのLNG流987は、第2のエンドフラッシュドラム928内で更に分離される。第2のエンドフラッシュドラム928からのエンドフラッシュ流938は、エンドフラッシュ圧縮機944の上流で水素欠乏流989と組み合わされる。次いで、第2のエンドフラッシュドラム928からのLNG流930は、LNG貯蔵所(図示せず)に送られる。
【0092】
本発明は、本発明のいくつかの態様の例示が意図される実施例に開示される特定の態様又は実施形態によって範囲が限定されるものではなく、機能的に等価である任意の実施形態は、本発明の範囲内である。本明細書に示され、説明されたものに加えて、本発明の様々な改変が当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】