(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-01
(54)【発明の名称】カテコール含有材料でコーティングされた高性能繊維
(51)【国際特許分類】
D06M 15/233 20060101AFI20250924BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20250924BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20250924BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20250924BHJP
C08K 7/02 20060101ALN20250924BHJP
D06M 101/36 20060101ALN20250924BHJP
【FI】
D06M15/233
C08K9/04
C08L101/00
C08J5/04 CER
C08J5/04 CEZ
C08K7/02
D06M101:36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025512932
(86)(22)【出願日】2023-09-01
(85)【翻訳文提出日】2025-04-03
(86)【国際出願番号】 US2023073346
(87)【国際公開番号】W WO2024050535
(87)【国際公開日】2024-03-07
(32)【優先日】2022-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523112806
【氏名又は名称】マッセル・ポリマーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mussel Polymers, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100206324
【氏名又は名称】齋藤 明子
(72)【発明者】
【氏名】スティーグ,ジェイソン
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
4L033
【Fターム(参考)】
4F072AA02
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4L033CA33
4L033CA34
(57)【要約】
本開示は、高性能繊維(HPF)、繊維強化複合材、プラスチック、及び他の材料に関する。本開示はまた、カテコールポリマー、より具体的にはポリカテコールスチレン(PCS)を含有する材料でコーティングされたHPF繊維に関する。本開示はまた、PCS型コーティングを使用して、HPF繊維表面を官能化するプロセスに関する。いくつかの実施形態では、繊維は、アラミド、液晶ポリマー(LCP)、及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などのポリマー材料である。一実施形態では、HPFは、炭素繊維である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされた高性能繊維(HPF)であって、カテコール、セミキノン、又はキノンを含有するポリマーを含む、前記HPF上のカテコール含有材料でコーティングされた、コーティングされた高性能繊維(HPF)。
【請求項2】
前記HPF上にコーティングされた前記カテコール含有材料が、モノマー、オリゴマー、又はポリマーカテコール又はカテコール含有材料を含み、前記カテコールが、アミンの存在を伴わずに、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、前記ポリマー層が、任意選択的に、a)前記カテコール又はカテコール含有材料とは別個の反応性種、及びb)触媒、共触媒、又は促進剤、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコーティングされたHPF。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、前記カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の前記反応性種を含み、前記反応性種が、ウレタン成分、エポキシ樹脂、アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、メタクリレートモノマー若しくはオリゴマー、シラン、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載のコーティングされたHPF。
【請求項4】
前記反応性種が、
(i)ウレタン成分、
(ii)ポリオール、又は複数のヒドロキシル基を含有する有機化合物である、ウレタン成分であって、前記ウレタンが、直鎖状又は分岐鎖状である、ウレタン成分、
(iii)1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、Stepanpol PDC-279(登録商標)、又はポリカプロラクトントリオールである、ウレタン成分、
(iv)エポキシ樹脂、
(v)エポキシモノマー、エポキシオリゴマー、ポリエポキシド、又はそれらの組み合わせである、エポキシ樹脂であって、前記エポキシが、直鎖状又は分岐鎖状である、エポキシ樹脂、
(vi)ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ビスフェノールEジグリシジルエーテル(DGEBE)、2,2’-[1,1-エタンジイルビス(4,1-フェニレンオキシメチレン)]ジオキシラン、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(DGEBF)、ポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン)、又はそれらの組み合わせである、エポキシ樹脂、
(vii)アクリレートモノマー又はオリゴマー、
(viii)ビニル基と、カルボン酸エステル及びカルボン酸ニトリルのうちの少なくとも1つと、を含む、アクリレートモノマーである、アクリレートモノマー又はオリゴマーであって、前記アクリレートが、直鎖状又は分岐鎖状である、アクリレートモノマー又はオリゴマー、あるいは
(ix)エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-クロロエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、又はそれらの組み合わせである、アクリレートモノマー又はオリゴマーである、請求項3に記載のコーティングされたHPF。
【請求項5】
前記ポリマー層が、前記触媒、共触媒、又は促進剤を含み、前記触媒、共触媒、又は促進剤が、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、エポキシ重合反応を促進するエポキシ触媒、アクリレート重合反応を促進するアクリレート触媒、又はそれらの組み合わせである、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティングされたHPF。
【請求項6】
前記触媒、共触媒、又は促進剤が、
(i)ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、
(ii)1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、K-KAT 6212、ベンジルジメチルアミン、又はそれらの組み合わせである、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、
(iii)エポキシ重合を促進するエポキシ触媒、
(iv)1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンであるエポキシ触媒、
(v)アクリレート重合を促進するアクリレート触媒、あるいは
(vi)アクリル重合促進剤又はフリーラジカル重合促進剤であるアクリレート触媒である、請求項5に記載のコーティングされたHPF。
【請求項7】
前記ポリマー材料のコーティングが、
(i)約5ナノメートル~約100ミクロン、
(ii)約15ナノメートル~約50ミクロン、
(iii)約15ナノメートル~約15ミクロン、
(iv)約50ナノメートル~約15ミクロン未満、又は
(v)約50ナノメートル~約1.5ミクロンの厚さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティングされたHPF。
【請求項8】
前記カテコール含有ポリマー又はオリゴマーが、ポリカテコールスチレン(PCS)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のコーティングされたHPF。
【請求項9】
分子量が、100~1,000,000の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティングされたHPF。
【請求項10】
前記PCSが、約15%のカテコール~約85%のカテコールを含む、請求項8に記載のコーティングされたHPF。
【請求項11】
前記PCSが、約25%のカテコール又は約35%のカテコールを含む、請求項10に記載のコーティングされたHPF。
【請求項12】
前記HPFが、ポリマーである、請求項1~11のいずれか一項に記載のコーティングされたHPF。
【請求項13】
前記HPFが、アラミド、スーパーアラミド、アラミドコポリマー、メタアラミド、LCP、UHMWPEポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせである、請求項1~12のいずれか一項に記載のコーティングされたHPF。
【請求項14】
請求項13に記載の1つ以上のHPFを含む、繊維強化複合材。
【請求項15】
前記HPFが、炭素繊維である、請求項1~11に記載のコーティングされた高性能繊維(HPF)。
【請求項16】
請求項15に記載のHPF繊維を含む、繊維強化複合材。
【請求項17】
マトリックスポリマーが、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、アセタール、スルホンポリマー、エチレン-酢酸ビニル、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フルオロポリマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、シアネートエステル、メラニン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリジシクロペンタジエン、ポリアリレート、ポリベンゾイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン、ポリアクリロニトリル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブタレート、ポリオキシメチレンコポリマーから選択される、請求項14又は16に記載の繊維強化複合材。
【請求項18】
請求項13又は15に記載のHPFを調製するための方法であって、前記方法が、1つ以上の溶媒に溶解された予備重合されたカテコール含有ポリマーにHPFを曝露することを含む、方法。
【請求項19】
請求項13又は15に記載のHPF表面の表面を官能化するための方法であって、1つ以上の溶媒に溶解された予備重合されたカテコール含有ポリマーに前記HPFを曝露することを含む、方法。
【請求項20】
前記HPFが、PCSポリマーを含む材料で完全に又は部分的に被覆されている、請求項13又は15に記載のコーティングされたHPF。
【請求項21】
請求項13又は15に記載の繊維強化複合材を含む、製造物品。
【請求項22】
請求項14又は16に記載の繊維強化複合材から作製された基材の少なくとも1つの面にコーティングを適用するための方法であって、前記方法が、
グラフェン又は亜鉛の粒子で充填されたPCS層を、プライマーとして前記基材の前記少なくとも1つの面に適用することと、
前記亜鉛又はグラフェン粒子充填PCS層にコーティングを適用することと、を含む、方法。
【請求項23】
前記亜鉛又はグラフェン粒子充填接着PCS層が、200nm~100μmの厚さを有し、かつ/又は
前記PCS層が、グラフェン粒子で充填されており、0.5重量%~2重量%のグラフェンを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの面上に、請求項21又は22に記載の方法を実施することによって適用されたコーティングを含む、基材。
【請求項25】
請求項23に記載の基材を含む、航空機部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2022年9月1日に出願された米国仮出願第63/403,237号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、高性能繊維(high-performance fiber、HPF)、繊維強化複合材、プラスチック、及び他の材料に関する。本開示はまた、カテコールポリマー、より具体的にはポリカテコールスチレン(polycatechol styrene、PCS)を含有する材料でコーティングされたHPF繊維に関する。本開示はまた、PCS型コーティングを使用して、HPF繊維表面を官能化するプロセスに関する。いくつかの実施形態では、繊維は、アラミド、液晶ポリマー(liquid-crystalline polymer、LCP)、及び超高分子量ポリエチレン(ultra-high molecular-weight polyethylene、UHMWPE)などのポリマー材料である。一実施形態では、HPFは、炭素繊維である。
【背景技術】
【0003】
高性能ポリマー繊維(high-performance polymeric fiber、HPP繊維)などの高性能繊維(HPF)は、熱硬化性材料、熱可塑性座材料、及び他の複合材料のための非常に重要な強化繊維である。HPP繊維強化プラスチック(fiber-reinforced plastic、FRP)は、その高い比弾性率、比強度、及び耐食性に起因して、並びにHPP繊維の表面上の不活性ポリマー構造に起因して、ある範囲の産業にわたる多くの用途のための優れた材料であり得るが、繊維とマトリックスとの間の界面接着は、弱い場合があり、多くのHPP-FRPは、繊維-マトリックス界面において破損する傾向を示す。この現象は、曲げ性能、層間せん断強度(interlaminar shear strength、ILSS)などの複合材の全体的な機械的特性に大きく影響し得る。良好な界面接着は、応力をマトリックスから強化材に効果的に伝達することができ、これが応力の分散を促進し、複合材の機械的強度を増加させる。
【0004】
同様に、炭素繊維(carbon fiber、CF)などのHPFは、熱硬化性材料、熱可塑性材料、及び他の複合材料のための非常に重要な強化繊維である(CFRP)。CFRPは、その高い比弾性率、比強度、及び耐食性に起因して、ある範囲の産業にわたる多くの用途のための優れた材料である。しかしながら、CFの表面上の不活性グラファイト構造に起因して、繊維とマトリックスとの間の界面接着は弱くなる傾向があり、ほとんどのCFRPは、繊維-マトリックス界面でも破損する傾向を示す。この現象は、曲げ性能、層間せん断強度(ILSS)などの複合材の全体的な機械的特性に大きく影響し得る。HPPと同様に、CFにおいても、良好な界面接着は、応力をマトリックスから強化材に効果的に伝達することができ、これが応力の分散を促進し、複合材の機械的強度を増加させる。
【0005】
近年、化学的グラフト化、サイジング、カーボンブラック、電気泳動堆積、及びナノ粒子の導入など、複合マトリックスへの繊維材料の界面接着を改善するための多くの方法が提案されている。しかしながら、これらのプロセスの多くは非常に有毒であり、大量のエネルギーを消費し、繊維自体を損傷し得る過酷な条件下で行われる。このことが、工業的用途についてのこれらのプロセスの開発を制限してきた。高性能HPP-FRPの開発のためのHPP繊維及び高性能CFRPの開発のためのCFなどのHPFの界面特性を改善するための、効果的で、安全で、かつ環境に優しいプロセスを開発することが、非常に有用になるであろう。
【0006】
マトリックス材料に対する繊維の界面せん断強度を改善するための1つの方法は、表面「粗さ」、ひいては繊維の表面エネルギーを変化させることによる。例えば、炭素繊維の場合、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、及びカーボンブラックなどの炭素質材料の堆積又はコーティングである。この方法は、CFの表面を化学的に官能化せず、むしろ表面「粗さ」を変化させ、ひいては繊維の表面エネルギーを変化させる。これらの炭素質材料は、費用がかかるか、危険であるか、又はその両方であり得るいくつかの方法によって堆積される。これらの方法には、化学蒸着、スプレーコーティング、及び浸漬コーティングが含まれる。
【発明の概要】
【0007】
一方、本開示は、HPP繊維及びCFなどのHPF上にポリカテコールスチレン系コーティングを提供し、それを効果的な接着促進剤とし、次いで、これを様々な複合材料に組み込むことができる。そのようなコーティングはまた、単に実験室環境におけるより小さいスケールで効果的であるだけでなく、より大きいスケールの工業的及び商業的用途にも効果的であろう。
【0008】
一実施形態では、本開示は、コーティングされた高性能繊維(HPF)であって、カテコール、セミキノン、又はキノンを含有するポリマーを含む、HPF上のカテコール含有材料でコーティングされた、コーティングされた高性能繊維(HPF)に関する。
【0009】
別の実施形態では、本開示は、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料が、モノマー、オリゴマー、又はポリマーカテコール又はカテコール含有材料を含み、当該カテコールが、アミンの存在を伴わずに、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、ポリマー層が、任意選択的に、a)カテコール又はカテコール含有材料とは別個の反応性種、及びb)触媒、共触媒、又は促進剤、のうちの少なくとも1つを含む、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0010】
更に別の実施形態では、本開示は、ポリマー材料が、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種を含み、反応性種が、ウレタン成分、エポキシ樹脂、アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、メタクリレートモノマー若しくはオリゴマー、シラン、又はそれらの組み合わせである、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0011】
一実施形態では、本開示は、反応性種が、
(i)ウレタン成分、
(ii)ポリオール、又は複数のヒドロキシル基を含有する有機化合物である、ウレタン成分であって、ウレタンが、直鎖状又は分岐鎖状である、ウレタン成分、
(iii)1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、Stepanpol PDC-279(登録商標)、又はポリカプロラクトントリオールである、ウレタン成分、
(iv)エポキシ樹脂、
(v)エポキシモノマー、エポキシオリゴマー、ポリエポキシド、又はそれらの組み合わせである、エポキシ樹脂であって、エポキシが、直鎖状又は分岐鎖状である、エポキシ樹脂、
(vi)ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ビスフェノールEジグリシジルエーテル(bisphenol E diglycidyl ether、DGEBE)、2,2’-[1,1-エタンジイルビス(4,1-フェニレンオキシメチレン)]ジオキシラン、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(bisphenol F diglycidyl ether、DGEBF)、ポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン)、又はそれらの組み合わせである、エポキシ樹脂、
(vii)アクリレートモノマー又はオリゴマー、
(viii)ビニル基と、カルボン酸エステル及びカルボン酸ニトリルのうちの少なくとも1つと、を含む、アクリレートモノマーである、アクリレートモノマー又はオリゴマーであって、アクリレートが、直鎖状又は分岐鎖状である、アクリレートモノマー又はオリゴマー、あるいは
(ix)エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-クロロエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate、TMPTA)、又はそれらの組み合わせである、アクリレートモノマー又はオリゴマーである、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0012】
別の実施形態では、本開示は、ポリマー層が、触媒、共触媒、又は促進剤を含み、触媒、共触媒、又は促進剤が、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、エポキシ重合反応を促進するエポキシ触媒、アクリレート重合反応を促進するアクリレート触媒、又はそれらの組み合わせである、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0013】
更に別の実施形態では、本開示は、触媒、共触媒、又は促進剤が、
(i)ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、
(ii)1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、K-KAT 6212、ベンジルジメチルアミン、又はそれらの組み合わせである、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、
(iii)エポキシ重合を促進するエポキシ触媒、
(iv)1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンであるエポキシ触媒、
(v)アクリレート重合を促進するアクリレート触媒、あるいは
(vi)アクリル重合促進剤又はフリーラジカル重合促進剤であるアクリレート触媒である、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0014】
一実施形態では、本開示は、ポリマー材料のコーティングが、
(i)約5ナノメートル~約100ミクロン、
(ii)約15ナノメートル~約50ミクロン、
(iii)約15ナノメートル~約15ミクロン、
(iv)約50ナノメートル~約15ミクロン未満、又は
(v)約50ナノメートル~約1.5ミクロンの厚さを有する、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0015】
別の実施形態では、本開示は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーがポリカテコールスチレン(PCS)を含む、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0016】
更に別の実施形態では、本開示は、分子量が100~1,000,000の範囲である、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0017】
一実施形態では、本開示は、PCSが、約15%のカテコール~約85%のカテコールを含む、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0018】
別の実施形態では、本開示は、PCSが、約25%のカテコール又は約35%のカテコールを含む、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0019】
更に別の実施形態では、本開示は、HPFが、ポリマーである、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0020】
一実施形態では、本開示は、HPFが、アラミド、スーパーアラミド、アラミドコポリマー、メタアラミド、LCP、UHMWPEポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせである、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0021】
別の実施形態では、本開示は、HPFが、炭素繊維である、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0022】
更に別の実施形態では、本開示は、上記の1つ以上のHPFを含む、繊維強化複合材に関する。
【0023】
一実施形態では、本開示は、マトリックスポリマーが、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、アセタール、スルホンポリマー、エチレン-酢酸ビニル、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フルオロポリマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、シアネートエステル、メラニン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリジシクロペンタジエン、ポリアリレート、ポリベンゾイミダゾール、ポリクロロトリフルオロエチレン、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン、ポリアクリロニトリル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブタレート、ポリオキシメチレンコポリマーから選択される、上記の繊維強化複合材に関する。
【0024】
別の実施形態では、本開示は、上記のHPFを調製するための方法であって、当該方法が、1つ以上の溶媒に溶解された予備重合されたカテコール含有ポリマーにHPFを曝露することを含む、方法に関する。
【0025】
更に別の実施形態では、本開示は、上記のHPF表面の表面を官能化するための方法であって、1つ以上の溶媒に溶解された予備重合されたカテコール含有ポリマーにHPFを曝露することを含む、方法に関する。
【0026】
一実施形態では、本開示は、HPFが、PCSポリマーを含む材料で完全に又は部分的に被覆されている、上記のコーティングされたHPFに関する。
【0027】
別の実施形態では、本開示は、上記の繊維強化複合材を含む、製造物品に関する。
【0028】
更に別の実施形態では、本開示は、上記の繊維強化複合材から作製された基材の少なくとも1つの面にコーティングを適用するための方法であって、方法が、
グラフェン又は亜鉛の粒子で充填されたPCS層を、プライマーとして基材の少なくとも1つの面に適用することと、
亜鉛又はグラフェン粒子充填PCS層にコーティングを適用することと、を含む、方法に関する。
【0029】
一実施形態では、本開示は、
亜鉛又はグラフェン粒子充填接着PCS層が、200nm~100μmの厚さを有し、かつ/又は
PCS層が、グラフェン粒子で充填されており、0.5重量%~2重量%のグラフェンを含む、上記の方法に関する。
【0030】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの面上に、上記の方法を実施することによって適用されたコーティングを含む、基材に関する。
【0031】
更に別の実施形態では、本開示は、上記の基材を含む、航空機部品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】カテコール含有材料の少なくとも1つの層、及び1つ以上のカテコール含有層を含む他の任意選択的な層でコーティングされている、高性能繊維(HPF)を描示する。
【
図2A】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図2B】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図2C】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図2D】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図2E】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図2F】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図2G】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図2H】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図2I】コーティング処理されていないアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2A、2D、2G)。6%のZnCl
2浴によるアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2B、2E、2H)。ZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理されたアラミド繊維のSEM顕微鏡写真を示す(2C、2F、2I)。
【
図3A】ポリカテコールスチレン(PCS)でコーティングされた炭素繊維(CF)のSEM画像を描示する。
図3A、
図3B、及び
図3Cは、それぞれ、7K倍、2倍、及び700倍の倍率に対応する。
【
図3B】ポリカテコールスチレン(PCS)でコーティングされた炭素繊維(CF)のSEM画像を描示する。
図3A、
図3B、及び
図3Cは、それぞれ、7K倍、2倍、及び700倍の倍率に対応する。
【
図3C】ポリカテコールスチレン(PCS)でコーティングされた炭素繊維(CF)のSEM画像を描示する。
図3A、
図3B、及び
図3Cは、それぞれ、7K倍、2倍、及び700倍の倍率に対応する。
【
図4A】未処理のTeijin Tenaxチョップド炭素繊維及びPCSコーティングされたチョップド炭素繊維の両方についてのSEM画像を示す(コーティング処理なし(4A、4C、4E)又はPCSコーティングあり(4B、4D、4F)の炭素繊維のSEM顕微鏡写真)。
【
図4B】未処理のTeijin Tenaxチョップド炭素繊維及びPCSコーティングされたチョップド炭素繊維の両方についてのSEM画像を示す(コーティング処理なし(4A、4C、4E)又はPCSコーティングあり(4B、4D、4F)の炭素繊維のSEM顕微鏡写真)。
【
図4C】未処理のTeijin Tenaxチョップド炭素繊維及びPCSコーティングされたチョップド炭素繊維の両方についてのSEM画像を示す(コーティング処理なし(4A、4C、4E)又はPCSコーティングあり(4B、4D、4F)の炭素繊維のSEM顕微鏡写真)。
【
図4D】未処理のTeijin Tenaxチョップド炭素繊維及びPCSコーティングされたチョップド炭素繊維の両方についてのSEM画像を示す(コーティング処理なし(4A、4C、4E)又はPCSコーティングあり(4B、4D、4F)の炭素繊維のSEM顕微鏡写真)。
【
図4E】未処理のTeijin Tenaxチョップド炭素繊維及びPCSコーティングされたチョップド炭素繊維の両方についてのSEM画像を示す(コーティング処理なし(4A、4C、4E)又はPCSコーティングあり(4B、4D、4F)の炭素繊維のSEM顕微鏡写真)。
【
図4F】未処理のTeijin Tenaxチョップド炭素繊維及びPCSコーティングされたチョップド炭素繊維の両方についてのSEM画像を示す(コーティング処理なし(4A、4C、4E)又はPCSコーティングあり(4B、4D、4F)の炭素繊維のSEM顕微鏡写真)。
【
図5A】PCSでコーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を描示する(
図5)。(5A、5C)は、アセトンで洗浄されている再生炭素繊維であり、図(5B、5D)は、ポリ(カテコールスチレン)(PCS)コーティングで処理されている再生炭素繊維である。
【
図5B】PCSでコーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を描示する(
図5)。(5A、5C)は、アセトンで洗浄されている再生炭素繊維であり、図(5B、5D)は、ポリ(カテコールスチレン)(PCS)コーティングで処理されている再生炭素繊維である。
【
図5C】PCSでコーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を描示する(
図5)。(5A、5C)は、アセトンで洗浄されている再生炭素繊維であり、図(5B、5D)は、ポリ(カテコールスチレン)(PCS)コーティングで処理されている再生炭素繊維である。
【
図5D】PCSでコーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を描示する(
図5)。(5A、5C)は、アセトンで洗浄されている再生炭素繊維であり、図(5B、5D)は、ポリ(カテコールスチレン)(PCS)コーティングで処理されている再生炭素繊維である。
【
図6A】ポリ(カテコールスチレン)(PCS)でコーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を描示する。図(6A、6C)は、0.5%のPCS溶液を使用して炭素繊維をコーティングする繊維に関し、図(5B、5D)は、炭素繊維をコーティングするために使用される3%のPCS溶液に関し、これは、厚いPCSコーティングにおいて繊維を重度にコーティングする。
【
図6B】ポリ(カテコールスチレン)(PCS)でコーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を描示する。図(6A、6C)は、0.5%のPCS溶液を使用して炭素繊維をコーティングする繊維に関し、図(5B、5D)は、炭素繊維をコーティングするために使用される3%のPCS溶液に関し、これは、厚いPCSコーティングにおいて繊維を重度にコーティングする。
【
図6C】ポリ(カテコールスチレン)(PCS)でコーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を描示する。図(6A、6C)は、0.5%のPCS溶液を使用して炭素繊維をコーティングする繊維に関し、図(5B、5D)は、炭素繊維をコーティングするために使用される3%のPCS溶液に関し、これは、厚いPCSコーティングにおいて繊維を重度にコーティングする。
【
図6D】ポリ(カテコールスチレン)(PCS)でコーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を描示する。図(6A、6C)は、0.5%のPCS溶液を使用して炭素繊維をコーティングする繊維に関し、図(5B、5D)は、炭素繊維をコーティングするために使用される3%のPCS溶液に関し、これは、厚いPCSコーティングにおいて繊維を重度にコーティングする。
【
図7A】炭素繊維をPCSサイジング溶液で浸漬コーティングするプロセスに関する。炭素繊維(
図7A)を溶液に浸漬した(
図7B及び
図7C)。空気乾燥試料を(
図7D)に示す。
【
図7B】炭素繊維をPCSサイジング溶液で浸漬コーティングするプロセスに関する。炭素繊維(
図7A)を溶液に浸漬した(
図7B及び
図7C)。空気乾燥試料を(
図7D)に示す。
【
図7C】炭素繊維をPCSサイジング溶液で浸漬コーティングするプロセスに関する。炭素繊維(
図7A)を溶液に浸漬した(
図7B及び
図7C)。空気乾燥試料を(
図7D)に示す。
【
図7D】炭素繊維をPCSサイジング溶液で浸漬コーティングするプロセスに関する。炭素繊維(
図7A)を溶液に浸漬した(
図7B及び
図7C)。空気乾燥試料を(
図7D)に示す。
【
図7E】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7F】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7G】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7H】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7I】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7J】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7K】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7L】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7M】3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。
【
図7-1】5分間の浸漬コーティング、15分間の浸漬コーティング、及び30分間の浸漬コーティングに使用される、アセトン中1%濃度と同じポリマーである、PCSポリマー240K分子量についての波数の関数としてのFTIR透過率を示す。
【
図8】受け取ったままの炭素繊維及びバーンオフした炭素繊維のFTIR走査を示す。
【
図9A】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の0.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図9B】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の0.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図9C】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の0.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図10A】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図10B】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図10C】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図11】5分、15分、及び30分の浸漬コーティングによりアセトン溶媒中の1%のPCSでコーティングされた、受け取ったままの炭素繊維のFTIR走査を示す。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図12A】5分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図12B】5分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図12C】5分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図13A】15分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図13B】15分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図13C】15分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図14A】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図14B】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図14C】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図15】5分、15分、及び30分の浸漬コーティングによりアセトン溶媒中の1.5%のPCSでコーティングされた、受け取ったままの炭素繊維のFTIR走査を示す。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図16A】5分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図16B】5分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図16C】5分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図17A】15分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図17B】15分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図17C】15分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図18A】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図18B】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図18C】30分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【
図19】5分、15分、及び30分の浸漬コーティングによりアセトン溶媒中の2.0%のPCSでコーティングされた、受け取ったままの炭素繊維のFTIR走査を示す。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【
図20A】5分、15分、及び30分での浸漬コーティング後の炭素繊維の上面を示す。
【
図20B】5分、15分、及び30分での浸漬コーティング後の炭素繊維の底面を示す。
【
図21】浸漬コーティングを介してPCSでサイジングされており、次いでPEEKマトリックスを有する積層体を作製するために使用される炭素繊維を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。
【0034】
以下の用語は、本開示を説明するために使用される。用語が本明細書で具体的に定義されていない場合、その用語は、本開示を説明する際のその使用に、文脈においてその用語を適用する当業者によって当技術分野で認識された意味を与えられる。
【0035】
本開示において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数の言及物を含み、特定の数値に対する言及は、文脈による別段の明確な指示がない限り、少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「材料」に対する言及は、少なくとも1つのそのような材料及び当業者に既知のそれらの等価物などに対する言及である。
【0036】
ある値が記述子「約」又は「実質的に」の使用により近似的値として表現されているとき、その特定の値は別の実施形態を形成すると理解されよう。一般に、「約」又は「実質的に」という用語の使用は、開示する主題が達成しようとする所望の特性に依存して変わる場合があり、それが使用される具体的な文脈の中でその機能に基づいて解釈されるべきである近似値を指す。当業者は、いつものこととしてこれを解釈することができよう。ある事例では、特定の値に使用される有効桁数は、「約」又は「実質的に」という語の程度を判定する1つの非限定的方法であり得る。他の事例では、一連の値において使用される漸次的変化は、各値についての「約」又は「実質的に」という用語に利用可能な意図される範囲を決定し得る。存在する場合、全ての範囲は、包括的で組み合わせ可能なものである。すなわち、範囲で述べられている値に対する言及は、その範囲内の全ての値を含む。
【0037】
リストが提示される場合、別段の記載がない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストのあらゆる組み合わせは、別個の実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A若しくはB」、「A若しくはC」、「B若しくはC」、又は「A、B、若しくはC」を含むものとして解釈されるべきである。
【0038】
明確にするために別個の実施形態の文脈で本明細書に記載する本開示の一定の特徴が、単一の実施形態において組み合わせで提供され得るということは、理解されるものとする。すなわち、明らかに矛盾しない限り、又は除外されていない限り、各個々の実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ可能であると考えられ、そのような組み合わせは別の実施形態であるとみなされる。逆に言うと、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載する本開示の様々な特徴は、別個に又は任意の部分的組み合わせで提供され得る。本請求項がいずれの任意選択的な要素も除外するように起草され得るということに、更に留意されたい。このように、上記のくだりは、請求項の要素の詳説に関しての「単に」、「のみ」などのような排他的用語の使用、又は「否定的」限定の使用についての先行する基礎としての役割を果たすことを意図したものである。最後に、実施形態は、一連の工程の一部又はより一般的な構造の一部として記載され得るが、各当該工程はまた、それ自体、独立した実施形態とみなされ得る。
【0039】
以下は、高性能繊維(HPF)の文脈における本開示の例示的な実施形態を記載する。本開示は、カテコール含有材料でコーティングされているHPFに関する。好ましいカテコール含有材料は、以下に記載されるように、ポリカテコールスチレン(PCS)を含む。以下に開示される様々な実施形態は、PCS又はPCS型材料に言及し得るが、PCSは、カテコール含有材料の例として使用されていることを理解されたい。PCS型という用語は、カテコールを含有し、PCSに類似した材料を示すためにも使用される。
【0040】
一実施形態では、本開示におけるコーティングに使用される高性能繊維又はスーパー繊維としては、芳香族ポリアミド(アラミド)、例えば、Kevlar(商標)、ゲル紡糸高弾性ポリエチレン(UHMWPE)、スーパーアラミド及びアラミドコポリマー、溶融紡糸液晶芳香族ポリエステル(LCP)、並びに炭素繊維が挙げられる。
【0041】
別の実施形態では、本開示で使用される他のHPP繊維としては、ポリアミド、ポリオレフィン、及びポリエステルが挙げられる。これらには、溶融紡糸されているナイロン6、ナイロン6,6、高性能芳香族ポリアミド、又はモノマーから酸紡糸されているアラミド、又はNomex(登録商標)などのメタアラミド、及びそれらのコポリマーなどの汎用繊維が含まれる。ポリオレフィンの例としては、溶融紡糸されているLLDPE又はポリプロピレンからの汎用繊維、並びにゲル紡糸されている高性能ポリエチレン及びポリプロピレン繊維が挙げられる。ポリエステルの例としては、溶融紡糸されているPET、PTT、及びPBTなどのポリエステルからの汎用繊維、並びにアレスター若しくは液晶ポリマー(LCP)、及び/又はそれらのコポリマーを含む高性能芳香族ポリエステルが挙げられる。
【0042】
I.芳香族ポリアミド又はアラミド
本開示においてコーティングのために使用されるアラミド繊維は、航空宇宙用途及び軍事用途において、弾道定格の身体防護具(body armor)布及び弾道複合材のために、海洋索具、海洋船体強化材において、並びにアスベスト代替物として使用される、耐熱性かつ強力な合成繊維であるものを含む。繊維中の鎖状分子は、繊維軸に沿って高度に配向している。結果として、より高い割合の化学結合が、多くの他の合成繊維よりも繊維強度に寄与する。アラミドは、非常に高い融点(500℃超)を有する。一般的なアラミドブランド名としては、Kevlar(登録商標)、Nomex(登録商標)、及びTwaron(登録商標)が挙げられる。アラミドは、超高分子量ポリエチレンなどの他の繊維と高い配向度を共有しており、この特徴がそれらの特性を支配している。アラミドの更なる例としては、Technora(登録商標)及びVectran(登録商標)が挙げられる。
【0043】
アラミドは、以下の特性のうちの1つ以上を有する。
・高引張強度
・高耐摩耗性
・軽量
・高耐化学薬品性、良好な耐有機溶剤性
・優れた耐久性
・熱的安定性
・耐熱性/耐炎性
・低吸湿性
・耐切断性/耐斬撃性/耐衝撃性
・非導電性
・非常に高い融点(500℃超)
・高温での良好な布地保全性
・酸及び塩に対する感受性
・紫外線放射に対する感受性
・仕上げしない限り静電荷が蓄積しやすい
・Kevlar(登録商標)及びTwaron(登録商標)などのパラアラミド繊維は、顕著な強度対重量特性を提供する
・高コード弾性率
・低クリープ
・低い破断点伸び(約3.5%)
・染色困難-通常は溶液染色
【0044】
これらの繊維の最終用途には以下のものが含まれる。
・保護用織物及び衣服/PPE
・工業用特殊布地
・ロープ/ケーブル
・航空宇宙/軍事/法執行
・ヘビーリフトスリング/ストラップ
・特殊電子機器
・可撓性複合材/膨張可能物
・防炎服
・防熱服及びヘルメット
・身体防護具
・複合材料
・アスベスト代替(例えば、ブレーキライニング)
・熱風濾過布
・タイヤ、新たにSulfron(登録商標)(硫黄変性Twaron(登録商標))として
・機械的ゴム製品強化材
・ロープ及びケーブル
・Vベルト(自動車、機械、設備など)
・ファイアダンス用のウィック
・光ファイバーケーブルシステム
・帆布
・スポーツ用品
・ドラムヘッド
・管楽器リード
・ラウドスピーカダイヤフラム
・船体材料
・繊維強化コンクリート
・強化熱可塑性パイプ
・テニス弦
・ホッケースティック
・スノーボード
・ジェットエンジンエンクロージャ
・フィッシングリールドラグシステム。
・アスファルト強化材
・ロッククライマーのためのプルージック。
【0045】
【0046】
一実施形態では、PCS型コーティングのための本開示のアラミドは、上に示されるような分子構造を有し、概して、六角形の環が、2つのNH基又は2つのCO基のいずれかに交互に結合されている。各環上の結合点は、互いに正反対であり、これがパラ-アラミドとして分類されることを意味する。アラミドにおいて、芳香族環は、NH基に結合したCO基を各々が含むアミド連結を介して接続されている。アラミドは、その連結が環に結合する場所に応じて2つの主なタイプに分けられる。環の周りの炭素原子を順番に番号付けすると、パラアラミドは、1位及び4位に結合した連結を有し、メタアラミドは、1位及び3位に連結を有する。すなわち、結合点は、パラアラミドでは互いに正反対であり、メタアラミドでは2原子離れている。したがって、例解図は、パラアラミドを示す。
【0047】
本開示においてPCS型コーティングに使用されるメタアラミド繊維Nomex(登録商標)は、通常のレベルの酸素において溶融も発火もしないため、その優れた耐熱性によって特徴付けられる。これは、防護服、空気濾過、断熱及び電気絶縁、並びにアスベストの代替物の生産において広く使用されている。メタアラミドとしては、Teijinconex(登録商標)、Arawin(登録商標)、New Star(登録商標)、X-Fiper(登録商標)、及びメタアラミドKermel(登録商標)の変種が挙げられる。
【0048】
本開示においてPCS型コーティングに使用されるパラアラミド繊維としては、Kevlar(登録商標)、Twaron(登録商標)、Heracron(登録商標)、及びTaparan(登録商標)が挙げられる。パラアラミドは、航空宇宙用途及び軍事用途などの多くのハイテク用途において、「防弾」身体防護具のために使用される。メタアラミド繊維及びパラアラミド繊維の両方を使用して、アラミド紙を作製することができる。アラミド紙は、ハニカムコアを作製するための電気絶縁材料及び建築材料として使用される。アラミド紙としては、メタアラミド及びパラアラミド紙、例えば、Nomex(登録商標)紙及びMetastar(登録商標)紙が挙げられる。アラミド繊維は、繊維、チョップド繊維、粉末、又はパルプにすることができる。
【0049】
Nomex(登録商標)のようなメタアラミドに加えて、本開示におけるPCS型コーティングに使用される他の変形形態は、アラミド繊維の範囲に属する。これらは、主にコポリアミド型であり、商標名Technora(登録商標)で最もよく知られている。
【0050】
II.液晶ポリマー(LCP)繊維
【0051】
【0052】
紡糸ポリマーにおける分子配向及び結晶配向
本開示におけるPCS型コーティングのための使用のために、一実施形態では、p-ヒドロキシ安息香酸(HBA)及び2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸(HNA)のHBA/HNAコポリマーに基づくLCPを使用することができ、これは、Vectran(登録商標)HT LCP繊維の生産のために使用されている。液晶ポリマーを紡糸して繊維にすると、上に概略的に示されるように、結晶ドメインのいくらかの整列が生じる。PETなどの非晶質ポリマーでは、紡糸方向へのいくらかの整列も生じるが、LCPでは、整列した結晶ドメインが、強度及び弾性率などのはるかに高い引張特性をもたらす。
【0053】
本開示においてPCS型コーティングに使用されるポリエステル系LCP繊維は、4%未満の破断点伸びで3.5GPa(28gpd超)を超えるテナシティに達することができる。競合する高性能繊維に対するLCPの主な利点としては、広範囲の温度にわたる寸法安定性及び特性安定性、並びに繰り返しの摩耗、屈曲疲労、及び化学的曝露に対して増強された耐久性に起因する長い耐用年数が挙げられる。このクラスの繊維は、広範囲の環境にわたって、要求の厳しい航空宇宙用途、軍事用途、及び工業的用途においてますます使用されている。
【0054】
本開示におけるPCS型コーティングに使用されるLCP繊維の具体的な用途としては、低クリープロープ、多成分ケーブル及びアンビリカル、並びに工業用布地が挙げられる。コーティングされたVectran(登録商標)布地を使用する可撓性複合材は、迅速に展開可能な膨張可能構造、軽航空機、及び空気支持引張部材などの多くの技術的最終用途において使用される。LCP繊維は、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)及びアラミド繊維と同様の用途において使用される。例えば、荒い海洋環境におけるロープ取扱者はより軽量のUHMWPE繊維を好むが、LCP繊維は高温で使用され、これはUHMWPEに寸法不安定性を生じさせ得る。ケーブル及びコーティングされた布地において、LCPのほぼ0の水分含有量は、押出し中にポリマーコーティング又はジャケットの膨れを引き起こし得る繊維のガス放出を排除する。工業用布地において、アラミドと比較して改善されたLCPの曲げ-折り畳み及び耐摩耗性は、コーティングされた布地及び個人用防護具における早期疲労破壊を低減する。
【0055】
LCPは、液晶コアの位置によって分類される。主鎖液晶ポリマー(main chain liquid crystal polymer、MCLCP)は、主鎖中に液晶コアを有する。側鎖液晶ポリマー(side chain liquid crystal polymer、SCLCP)は、液晶コアを含有するペンダント側鎖を有する。主鎖LCPは、ポリマー骨格中に剛直な棒状メソゲンを有し、これが間接的にこの種のLCPの高い溶融温度をもたらす。側鎖LCPでは、メソゲンは、ポリマー側鎖中にある。メソゲンは、通常、可撓性スペーサを介して骨格に連結されている。
【0056】
LCP中のメソゲンは、自己組織化して、異なる条件で液晶領域を形成することができる。凝集及び秩序化の機構に基づいて、LCPは大まかに、リオトロピック系及びサーモトロピック系の2つのサブカテゴリに分けることができる。
【0057】
リオトロピック主鎖LCPは、骨格に剛直なメソゲンコア(芳香族環のような)を有する。リオトロピック主鎖LCPは主に、Kevlarなどの高強度繊維を生成するために使用されてきた。ポリシロキサンポリマーに結合したアルキルポリオキシエチレン界面活性剤のようなリオトロピック側鎖LCPは、液体石鹸のようなパーソナルケア製品に適用され得る。
【0058】
サーモトロピックLCPは、溶融温度が分解温度よりはるかに低い場合に加工することができる。溶融温度及びガラス転移温度より高く、透明点より低い温度では、サーモトロピックLCPは、液晶を形成する。フォトトロピック系のような他の系が存在する。
【0059】
本開示はまた、上記HPFをカテコール含有材料でコーティングするための方法に関する。
【0060】
III.炭素繊維
炭素繊維は、軽量で強度及び弾性率に優れていることから、様々なマトリックス樹脂と組み合わせて複合材料を形成し、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材、建築材料、スポーツ用品を含む様々な分野で使用される。炭素繊維を含む複合材料に炭素繊維の優れた特徴を付与するためには、炭素繊維とマトリックス樹脂との間の優れた接着性が重要である。
【0061】
炭素繊維とマトリックス樹脂との間の接着性を改善するためには、典型的には、炭素繊維に気相酸化及び液相酸化などの酸化を施し、そうすることで炭素繊維の表面に酸素含有官能基が導入される。例えば、開示される方法は、炭素繊維を電気分解に施して、接着性の指標としての層間せん断強度を改善することを含む。しかしながら、複合材料が近年、高特徴化を有することが必要とされているため、このような酸化のみで達成される接着性は不十分になりつつある。
【0062】
炭素繊維は脆く、結合性及び耐摩耗性に劣るため、高次加工工程で毛羽又は糸切れが発生しやすい。この問題に対処するために、炭素繊維をコーティングする方法が開示されている。
【0063】
一実施形態では、本開示は、薄いポリ(カテコールスチレン)(PCS)膜でコーティングされている個々の及び複数の炭素繊維に関する。この薄いポリマー膜は、以前は不活性であった炭素繊維表面を、様々な熱硬化性材料、熱可塑性材料、及び他の複合材料のマトリックスへの接着性を助けることができるカテコール部分で官能化する。コーティングの方法は、溶解したPCSを含む有機溶媒中で未加工炭素繊維を撹拌することを含む。溶液中からのPCSは、炭素繊維表面と結合を形成し、その上に堆積した薄膜を残す。このコーティング反応に続いて、繊維を濾過し、イソプロピルアルコール及びDI水ですすぎ、好ましくは真空チャンバで乾燥させていずれの残留溶媒も除去する。
【0064】
この一工程コーティングプロセスは、多くの他のコーティングプロセスに有利である。一実施形態では、PCSの利点は、それが予備重合されることであり、したがって、コーティングプロセスの一実施形態では、予備形成されたカテコール含有ポリマーが炭素繊維表面と相互作用する。
【0065】
炭素繊維は、チョップドストランドとすることができ、PAN型、ピッチ型、及び他のもののうちのいずれでもあり得、その出発材料及び生産方法は、限定されない。炭素繊維チョップドストランドの長さは重要ではないが、一実施形態では、5ミクロン~50mmである。炭素繊維チョップドストランドを構成するフィラメントの直径及び数も重要ではないが、一実施形態では、直径は、通常500nm~50ミクロンである。フィラメントの数は、通常100~100,000本である。炭素繊維チョップドストランドには、予めサイジング剤が適用され得る。
【0066】
IV.高性能繊維上へのカテコール含有材料のコーティング
上に記載された高性能繊維(HPF)は、以下に記載されるように、PCSなどのカテコール含有材料を含む少なくとも1つの層でコーティングされ得る。
【0067】
ある態様では、本開示は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含むPCSなどのカテコール含有材料でコーティングされたHPFを対象とし、当該カテコールは、一級アミン又は二級アミンの存在を伴わずに、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、ポリマー材料は、任意選択的に、a)カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種、及びb)触媒、共触媒、又は促進剤、のうちの少なくとも1つを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、一級アミン又は二級アミンの存在を伴わずに、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在する。
【0069】
いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、一級アミン又は二級アミンの存在を伴わずに、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種も含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、一級アミン又は二級アミンの存在を伴わずに、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、触媒、共触媒、又は促進剤も含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含み、当該カテコールは、一級アミン又は二級アミンの存在を伴わずに、カテコールとして及び/又はセミキノンとして及び/又はキノンとして存在し、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種と、触媒、共触媒、又は促進剤との両方も含む。
【0072】
図1は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含むHPF20上にコーティングされたカテコール含有材料20、及び本明細書に記載されるカテコール含有材料を含む層状HPF100の一般的な概略図を示す。コーティングされたHPF100は、HPFコア10と、HPF10上にコーティングされたカテコール含有材料20と、を含む。
【0073】
コーティングされたHPF100はまた、任意選択的に、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料20上に配置され、かつHPF上にコーティングされたカテコール含有材料20と接触している、別のポリマー30を含み得る。コーティングされたHPF100はまた、ポリマー30上に配置され、かつそれと接触している、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含むHPF上にコーティングされた第2のカテコール含有材料40を含み得る。一実施形態では、コーティングされたHPF100はまた、HPF上にコーティングされた第2のカテコール含有材料40上に配置され、かつそれと接触している、第2のポリマー層50を含み得る。ポリマー30又は第2のポリマー50は、カテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は別のポリマーであり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料20中のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、オリゴマーである。いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料20中のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、ポリマーである。
【0075】
ある態様では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料20は、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種を含む。ある態様では、反応性種は、ウレタン成分、エポキシ樹脂、アクリレートモノマー若しくはオリゴマー、メタクリレートモノマー若しくはオリゴマー、シラン、又はそれらの組み合わせである。
【0076】
いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、ウレタン成分である。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、ポリオール、又は複数のヒドロキシル基を含有する有機化合物であり、ウレタンは、直鎖状又は分岐鎖状である。
【0077】
いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、Stepanpol PDC-279(登録商標)、又はポリカプロラクトントリオールである。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、1,6-ヘキサンジオールである。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、グリセロールである。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、Stepanpol PDC-279(登録商標)である。いくつかの実施形態では、ウレタン成分は、ポリカプロラクトントリオールである。
【0078】
ある態様では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、エポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシモノマー、エポキシオリゴマー、ポリエポキシド、又はそれらの組み合わせであり、エポキシは、直鎖状又は分岐鎖状である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシモノマーである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシオリゴマーである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ポリエポキシドである。
【0079】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ビスフェノールEジグリシジルエーテル(DGEBE)、2,2’-[1,1-エタンジイルビス(4,1-フェニレンオキシメチレン)]ジオキシラン、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(DGEBF)、ポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン)、又はそれらの組み合わせである。
【0080】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシは、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタンである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールEジグリシジルエーテル(DGEBE)である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、2,2’[1,1-エタンジイルビス(4,1-フェニレンオキシメチレン)]ジオキシランである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(DGEBF)である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ポリ(ビスフェノールA-co-エピクロロヒドリン)である。
【0081】
ある態様では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、アクリレートモノマー又はオリゴマーである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ビニル基と、カルボン酸エステル及びカルボン酸ニトリルのうちの少なくとも1つと、を含む、アクリレートモノマーであり、アクリレートは、直鎖状又は分岐鎖状である。
【0082】
いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-クロロエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、又はそれらの組み合わせである。
【0083】
いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、エチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、エチレン-メチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、メチルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、2-クロロエチルビニルエーテルである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、2-ヒドロキシエチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ヒドロキシエチルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ブチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、アクリレートモノマー又はオリゴマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)である。
【0084】
いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、シランである。いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、メタクリレートモノマー又はオリゴマーである。いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、メタクリレートモノマーである。いくつかの実施形態では、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーとは別個の反応性種は、メタクリレートオリゴマーである。
【0085】
ある態様では、HPF10上にコーティングされたカテコール含有材料20は、触媒、共触媒、又は促進剤を含み、触媒、共触媒、又は促進剤は、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒、エポキシ重合反応を促進するエポキシ触媒、アクリレート重合反応を促進するアクリレート触媒、又はそれらの組み合わせである。
【0086】
いくつかの実施形態では、触媒、共触媒、又は促進剤は、ウレタン重合反応を促進するウレタン触媒である。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、脂肪族アミン触媒、脂環式アミン触媒、アルコールアミン触媒、芳香族アミン触媒、又はエーテルアミン触媒である。
【0087】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、脂肪族アミン触媒である。いくつかの実施形態では、脂肪族アミン触媒は、N,N-ジメチルシクロヘキサン、トリエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルアルキレンジアミン、N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、又はそれらの組み合わせである。
【0088】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、脂環式アミン触媒である。いくつかの実施形態では、脂環族アミン触媒は、トリエチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、N,N-ジエチルピペラジン、N,N-ビス-(α-ヒドロキシプロピル)-2-メチルピペラジン、N-ヒドロキシプロピルジメチルモルホリン、又はそれらの組み合わせである。
【0089】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、アルコールアミン触媒である。いくつかの実施形態では、アルコールアミン触媒は、トリエタノールアミン又はN,N-ジメチルエタノールアミンである。
【0090】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、芳香族アミン触媒である。いくつかの実施形態では、芳香族アミン触媒は、ピリジン又はN,N-ジメチルピリジンである。
【0091】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、エーテルアミン触媒である。いくつかの実施形態では、エーテルアミン触媒は、BDMAEEである。
【0092】
いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、K-KAT 6212、ベンジルジメチルアミン、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、K-KAT 6212である。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒は、ベンジルジメチルアミンである。
【0093】
いくつかの実施形態では、触媒、共触媒、又は促進剤は、エポキシ重合を促進するエポキシ触媒である。
【0094】
好適な触媒、共触媒、又は促進剤は、酸又は酸へと加水分解可能な化合物などの、アミノ基とエポキシ基との間の反応を促進する物質である。限定するものではないが、好適な触媒、共触媒、又は促進剤は、酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、乳酸などの、有機カルボン酸;メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又は4-ドデシルベンゼンスルホン酸などの、有機スルホン酸;スルホン酸エステル;リン酸などの、他の有機酸若しくは無機酸、又は前述の酸及び酸エステルの混合物;特に硝酸カルシウムなどの硝酸塩;あるいは、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミンなどの、三級アミンである。
【0095】
いくつかの実施形態では、エポキシ触媒は、酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、乳酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、スルホン酸エステル、リン酸、硝酸カルシウム、1,4-ジアザビシクロ-[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルピペリジン、トリエチレンジアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)、ベンジルジメチルアミン(benzyldimethyl-amine、BDMA)、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-10)、N,Nジメチルベンジルアミン、(ジメチルアミノメチル)フェノール、又はそれらの組み合わせである。
【0096】
いくつかの実施形態では、エポキシ触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0097】
いくつかの実施形態では、触媒、共触媒、又は促進剤は、アクリレート重合を促進するアクリレート触媒である。いくつかの実施形態では、アクリレート触媒は、アクリル重合促進剤又はフリーラジカル重合促進剤である。
【0098】
いくつかの実施形態では、アクリレート触媒は、4-N,N-ジメチルアミノ-フェニル酢酸メチル(methyl 4-N,N-dimethylamino-phenylacetate、MDMAPA)、N,N-ジメチルアミノグルテチミド(N,N-dimethylaminoglutethimide、OMAG)、N,N-ジメチル-p-トルイジン(N,N-dimethyl-p-toluidine、OMPT)、N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル-p-トルイジン(N,N-di-2-Hydroxyethyl-p-toluidine、DHEPT)、N,N-ジ-2-ヒドロキシプロピル-p-トルイジン(N,N-di-2-hydroxypropyl-p-toluidine、DHPPT)、N,N-ジメチル-sym-キシリジン(N,N-dimethyl-sym-xylidine、DMSX)、N,N-ビス(3-p-トリルオキシ-2-ヒドロキシ-プロピル)-m-キシリジン(N,N-bis(3-p-tolyloxy-2-hydroxy-propyl)-m-xylidine、BTX)、又はそれらの組み合わせである。
【0099】
ある態様では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料20中のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、ポリカテコールスチレン(PCS)を含む。
【0100】
ある態様では、HPF10上にコーティングされたPCSなどのカテコール含有材料20は、約5ナノメートル~約100ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたPCSなどのカテコール含有材料20は、約15ナノメートル~約50ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたPCSなどのカテコール含有材料20は、約15ナノメートル~約15ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたPCSなどのカテコール含有材料20は、約100ナノメートル~約5ミクロン未満の厚さを有する。いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたPCSなどのカテコール含有材料20は、約150ナノメートル~約1.5ミクロンの厚さを有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたPCSなどのカテコール含有材料20は、約10ナノメートル~約100ミクロン、又は約10ナノメートル~約100ナノメートル、又は約100ナノメートル~約150ナノメートル、又は約150ナノメートル~約200ナノメートル、又は約200ナノメートル~約250ナノメートル、又は約250ナノメートル~約300ナノメートル、又は約300ナノメートル~約350ナノメートル、又は約350ナノメートル~約400ナノメートル、又は約400ナノメートル~約450ナノメートル、又は約450ナノメートル~約500ナノメートル、又は約500ナノメートル~約550ナノメートル、又は約550ナノメートル~約600ナノメートル、又は約600ナノメートル~約650ナノメートル、又は約650ナノメートル~約700ナノメートル、又は約700ナノメートル~約750ナノメートル、又は約750ナノメートル~約800ナノメートル、又は約800ナノメートル~約850ナノメートル、又は約850ナノメートル~約900ナノメートル、又は約900ナノメートル~約950ナノメートル、又は約950ナノメートル~約1000ナノメートルの厚さを有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、HPF上にコーティングされたPCSなどのカテコール含有材料20は、約1ミクロン~約1.5ミクロン、又は約1.5ミクロン~約5ミクロン、又は約5ミクロン~約10ミクロン、又は約10ミクロン~約15ミクロン、又は約15ミクロン~約20ミクロン、又は約20ミクロン~約25ミクロン、又は約25ミクロン~約30ミクロン、又は約30ミクロン~約35ミクロン、又は約35ミクロン~約40ミクロン、又は約40ミクロン~約45ミクロン、又は約45ミクロン~約50ミクロン、又は約50ミクロン~約55ミクロン、又は約55ミクロン~約60ミクロン、又は約60ミクロン~約65ミクロン、又は約65ミクロン~約70ミクロン、又は約70ミクロン~約75ミクロン、又は約75ミクロン~約80ミクロン、又は約80ミクロン~約85ミクロン、又は約85ミクロン~約90ミクロン、又は約90ミクロン~約95ミクロン、又は約95ミクロン~約100ミクロンの厚さを有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、高性能繊維(HPF)上にコーティングされたPCSなどのカテコール含有材料の凝集体の厚さは、約5ナノメートル~約10ミクロンの範囲である。別の言い方をすれば、凝集体の厚さは、以下の数の集合から選択される任意の1つの数であるか、又はナノメートルで測定される任意の2つの数によって規定される範囲内(そのような範囲の端点を含む)である:
5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、...200、...300、...400、500、600、700、800...、900、...1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、及び10000。
【0104】
いくつかの実施形態では、PCSは、約5%のカテコール~約85%のカテコールを含む。いくつかの実施形態では、PCSは、約10%~75%、約15%~60%、又は約20%カテコール~約40%カテコールを含む。いくつかの実施形態では、PCSは、約25%のカテコール~約35%のカテコールを含む。いくつかの実施形態では、PCSは、約25%のカテコールを含む。いくつかの実施形態では、PCSは、約35%のカテコールを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、PCSは、約20%のカテコール~約22%のカテコール、又は約22%のカテコール~約24%のカテコール、又は約24%のカテコール~約26%のカテコール、又は約26%のカテコール~約28%のカテコール、又は約28%のカテコール~約30%のカテコール、又は約30%のカテコール~約32%のカテコール、又は約32%のカテコール~約34%のカテコール、又は約34%のカテコール~約36%のカテコール、又は約36%のカテコール~約38%のカテコール、又は約38%のカテコール~約40%のカテコールを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、PCSは、約5%のカテコール~約85%のカテコールを含む。別の言い方をすれば、PCS中のカテコール含有量は、以下の数の集合から選択される任意の1つの数であるか、又は重量含有量で測定される任意の2つの数によって規定される範囲内(そのような範囲の端点を含む)である:
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び85。
【0107】
ある態様では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料20は、連続層である。ある態様では、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料20は、非連続層である。
【0108】
いくつかの実施形態では、HPF10は、湿潤である。いくつかの実施形態では、HPF10は、乾燥している。いくつかの実施形態では、HPF10は、半湿潤である。いくつかの実施形態では、HPF10は、含水である。
【0109】
いくつかの実施形態では、HPF10の表面は、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料の配置の前に処理され得る。いくつかの実施形態では、HPF10の表面は、陽極酸化される。いくつかの実施形態では、HPF10の表面は、リン酸塩処理される。
【0110】
本開示の実施形態は、HPF上にコーティングされたカテコール含有材料に関して記載されている。
【0111】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、別のポリマー30とも接触し得るHPF10上にコーティングされたカテコール含有材料20を対象とする。
【0112】
いくつかの実施形態では、ポリマー30は、ポリエステルを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー30は、ウレタンを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー30は、フェノールを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー30は、エポキシ、アクリル、又はシランを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー30は、エポキシを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー30は、アクリルを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー30は、シランを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー30は、シリコーンを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、ポリマー30は、以下の表1に列挙される1つ以上のポリマー、及び以下のリストからの1つ以上のポリマーを含む。
【0114】
熱可塑性物質
ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度及び低密度)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride、PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone、PEEK)、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone、PES)、ポリフェニレンスルフィド(Polyphenylene Sulfide、PPS)、ポリアミド(ナイロン)、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl Methacrylate、PMMA)、ポリエーテルイミド(Polyetherimide、PEI)、アセタール(POM)、スルホンポリマー(PPSU、PSU)、エチレン-酢酸ビニル(Ethylene-Vinyl Acetate、EVA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene Terephthalate、PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene、ABS)、フルオロポリマー(PTFE、FEP)、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer、TPE)、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane、TPU)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(Polycyclohexylenedimethylene Terephthalate、PCT)。
【0115】
熱硬化性物質
エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、シアネートエステル、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリジシクロペンタジエン(Polydicyclopentadiene、pDCPD)、ポリアリレート(Polyarylate、PAR)、ポリベンズイミダゾール(Polybenzimidazole、PBI)、ポリクロロトリフルオロエチレン(Polychlorotrifluoroethylene、PCTFE)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(Methacrylate-Butadiene-Styrene、MBS)。
【0116】
その他
ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile、PAN)、ポリヒドロキシアルカノエート(Polyhydroxyalkanoate、PHA)、バイオベースポリマー(PLA、PHB)、ポリオキシメチレンコポリマー(Polyoxymethylene Copolymer、POM-C)。
【0117】
いくつかの実施形態では、ポリマー30は、連続層である。いくつかの実施形態では、ポリマー30は、非連続層である。
【0118】
いくつかの実施形態では、カテコール含有材料20及びポリマー30は、相互侵入ポリマーネットワーク(interpenetrating polymer network、IPN)を形成する。本明細書で使用されるIPNは、分子スケールで少なくとも部分的に絡み合っているが、互いに共有結合しておらず、化学結合が破壊されない限り分離することができない少なくとも2つのポリマーネットワークを意味すると解釈される。
【0119】
いくつかの実施形態では、カテコール含有材料20及びポリマー30は、半相互侵入ポリマーネットワーク(semi-interpenetrating polymer network、SIPN)を形成する。本明細書で使用されるSIPNは、1つ以上のポリマーネットワーク及び1つ以上の直鎖状又は分岐鎖状ポリマーを意味するものと解釈され、直鎖状又は分岐鎖状の高分子の少なくともいくつかによるネットワークうちの少なくとも1つの分子スケールでの侵入を特徴とする。
【0120】
いくつかの実施形態では、カテコール含有材料20及びポリマー30は、逐次相互侵入ポリマーネットワーク(sequential interpenetrating polymer network、SeIPN)を形成する。本明細書で使用されるSeIPNは、第1の成分ネットワークの形成に続いて第2の成分ネットワークが形成されるプロセスによって調製される、相互侵入ポリマーネットワークを意味すると解釈される。
【0121】
いくつかの実施形態では、カテコール含有材料20及びポリマー30は、逐次半相互侵入ポリマーネットワーク(sequential semi-interpenetrating polymer network、SSeIPN)を形成する。本明細書で使用されるSSeIPNは、ネットワークの形成をもたらす反応の完了後に直鎖状又は分岐鎖状成分が形成されるか、又はその逆のプロセスによって調製される、ポリマーネットワークを意味すると解釈される。
【0122】
いくつかの実施形態では、第2のポリマー50は、ポリマー30上に配置される。いくつかの実施形態では、第2のポリマー50は、ポリマー30上に配置され、かつそれに接触している。いくつかの実施形態では、第2のカテコール含有材料20が、ポリマーマトリックス30と第2のポリマー50との間に配置される。
【0123】
V.カテコール含有材料のコーティングを有するHPFを作製する方法
ある態様では、本開示は、本明細書に記載されるカテコール含有材料20をHPF10の表面上に配置することを含む、PCSなどのカテコール含有材料でコーティングされたHPFを作製する方法を対象とする。本明細書に記載されるカテコール含有材料20を配置する方法は、特に限定されず、当業者によって認識されよう。
【0124】
いくつかの実施形態では、コーティングされたHPFを作製する方法は、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、インクジェット印刷、フラッドコーティング、ブラッシング、ワイピングなどによって、HPF10上にカテコール含有材料20を(例えば、一括して)配置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、スピンコーティングによって高性能繊維10上にカテコール含有材料20を配置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、浸漬コーティングによって高性能繊維10上にカテコール含有材料20を配置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、スプレーコーティングによって、高性能繊維10上にポリマー層20を配置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、インクジェット印刷によって、高性能繊維10上にカテコール含有材料20を配置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、フラッドコーティングによって高性能繊維10上にカテコール含有材料20を配置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、ブラッシングによって高性能繊維10上にカテコール含有材料20を配置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、ワイピングによって高性能繊維10上にカテコール含有材料20を配置することを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、高性能繊維を作製する方法は、高性能繊維10上にカテコール含有材料20を配置することを含み、カテコール含有材料20は、溶液として高性能繊維10に適用される。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.001重量%~約10重量%のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01重量%~約5重量%のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01重量%~約1重量%のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.1重量%~約1重量%のカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、溶液は、約0.001重量%~約0.005重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.005重量%~約0.01重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.01重量%~約0.02重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.02重量%~約0.03重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.03重量%~約0.04重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.04重量%~約0.05重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.05重量%~約0.06重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.06重量%~約0.07重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.07重量%~約0.08重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.08重量%~約0.09重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.09重量%~約0.1重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.1重量%~約0.11重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.11重量%~約0.12重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.12重量%~約0.13重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.13重量%~約0.14重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.14重量%~約0.15重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.15重量%~約0.2重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.2重量%~約0.25重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.25重量%~約0.3重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.3重量%~約0.35重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.35重量%~約0.4重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.4重量%~約0.45重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.45重量%~約0.5重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.5重量%~約0.75重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約0.75重量%~約1重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約1.25重量%~約1.5重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約1.5重量%~約1.75重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマー、又は約1.75重量%~約2重量%のカテコール含有ポリマー若しくはオリゴマーを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、溶液中で使用されるカテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、ポリカテコールスチレン(PCS)である。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.001重量%~約10重量%のPCSを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01重量%~約5重量%のPCSを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01重量%~約1重量%のPCSを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.1重量%~約1重量%のPCSを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、溶液は、約0.001重量%~約0.005重量%のPCS、又は約0.005重量%~約0.01重量%のPCS、又は約0.01重量%~約0.02重量%のPCS、又は約0.02重量%~約0.03重量%のPCS、又は約0.03重量%~約0.04重量%のPCS、又は約0.04重量%~約0.05重量%のPCS、又は約0.05重量%~約0.06重量%のPCS、又は約0.06重量%~約0.07重量%のPCS、又は約0.07重量%~約0.08重量%のPCS、又は約0.08重量%~約0.09重量%のPCS、又は約0.09重量%~約0.1重量%のPCS、又は約0.1重量%~約0.11重量%のPCS、又は約0.11重量%~約0.12重量%のPCS、又は約0.12重量%~約0.13重量%のPCS、又は約0.13重量%~約0.14重量%のPCS、又は約0.14重量%~約0.15重量%のPCS、又は約0.15重量%~約0.2重量%のPCS、又は約0.2重量%~約0.25重量%のPCS、又は約0.25重量%~約0.3重量%のPCS、又は約0.3重量%~約0.35重量%のPCS、又は約0.35重量%~約0.4重量%のPCS、又は約0.4重量%~約0.45重量%のPCS、又は約0.45重量%~約0.5重量%のPCS、又は約0.5重量%~約0.75重量%のPCS、又は約0.75重量%~約1重量%のPCS、又は約1.25重量%~約1.5重量%のPCS、又は約1.5重量%~約1.75重量%のPCS、又は約1.75重量%~約2重量%のPCSを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、溶液は、以下の数によって、又は以下の任意の2つの数によって規定される範囲内の数(そのような範囲の端点を含む)によって記載される重量パーセントで、PCSなどのカテコール含有ポリマー又はオリゴマーを含む:
0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、...、0.020、0.030、0.040、0.050、0.060、0.070、0.080、0.090、0.100,...0.200、0.300、0.400、0.500、0.600、0.700、0.800、0.900、1.000、...、2.000、3.000、4.000、5.000、6.000、7.000、8.000、9.000、及び10.000。
【0130】
いくつかの実施形態では、PCS型カテコール含有材料の濃度は、20%もの高さであり得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、溶液はまた、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーを溶解させるための水性溶媒又は有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン(dichloromethane、DCM)、酢酸エチル、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone、MEK)、又はそれらの組み合わせである。
【0132】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトンである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、トルエンである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、クロロホルムである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、ジクロロメタン(DCM)である。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、酢酸エチルである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)である。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトン及びトルエンの組み合わせである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトンであり、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、PCSである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、トルエンであり、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、PCSである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトン及びトルエンの組み合わせであり、カテコール含有ポリマー又はオリゴマーは、PCSである。
【0133】
溶液のpHは、特に限定されない。いくつかの実施形態では、溶液のpHは、約3、又は約3.5、又は約4、又は約4.5、又は約5、又は約5.5、又は約6、又は約6.5、又は約7、又は約7.5、又は約8、又は約8.5、又は約9、又は約9.5、又は約10、又は約10.5、又は約11である。
【0134】
いくつかの実施形態では、溶液のpHは、約3~3.5、又は約3.5~4、又は約4~4.5、又は約4.5~5、又は約5~5.5、又は約5.5~6、又は約6~6.5、又は約6.5~7、又は約7~7.5、又は約7.5~8、又は約8~8.5、又は約8.5~9、又は約9~9.5、又は約9.5~10、又は約10~10.5、又は約10.5~11である。
【0135】
一実施形態では、PCSモノマー/オリゴマー/ポリマーの分子量は、4000Daの低さから1,000,000の高さまでの範囲である。これは、低分子量オリゴマー又は高分子量ポリマーが本開示に従うことを排除するものではない。
【0136】
一実施形態では、PCS材料の分子量は、以下にキロダルトンで示す数のいずれか1つ、並びに以下の任意の2つの数によって規定される範囲内にある任意の数(それらの端点を含む)である:
0.2、0.4、0.6、0.8、1、2、3、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、及び1000。
【0137】
明らかに、上記範囲は、カテコールスチレンのモノマー部分、オリゴマー部分、及びポリマー部分を含む。
【0138】
VI.高性能繊維再通知(reinformed)複合ポリマー構造体
一実施形態では、本開示のPCSなどのカテコール含有サイジング剤でコーティングされたHPFは、FRCPポリマー構造及び物品を調製するために使用される。熱硬化性及び熱可塑性ポリマーは、以下に記載されるようなマトリックス材料として使用される。次いで、PCSなどのカテコール含有材料でコーティングされている炭素繊維を以下のマトリックスに使用して、繊維強化複合材を調製する。
【0139】
【0140】
好適なプラスチック材料の例としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、及びポリエーテルケトンケトン(polyetherketoneketone、PEKK)を含む、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、樹脂、及び架橋樹脂が挙げられる。熱可塑性ポリマーマトリックス材料は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、及びポリ塩化ビニル(PVC)などの様々な好適な熱可塑性ポリマーのうちのいずれか1つを含み得る。
【0141】
本開示のHPFから繊維強化複合材を調製するためのマトリックスとして使用することができるマトリックス樹脂のいくつかは、以下の通りである。
【0142】
熱可塑性物質
ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度及び低密度)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(ナイロン)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、アセタール(POM)、スルホンポリマー(PPSU、PSU)、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、フルオロポリマー(PTFE、FEP)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)。
【0143】
熱硬化性物質
エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、シアネートエステル、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリジシクロペンタジエン(pDCPD)、ポリアリレート(PAR)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)。
【0144】
その他
ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、バイオベースポリマー(PLA、PHB)、ポリオキシメチレンコポリマー(POM-C)。
【0145】
VII.繊維強化複合材(FRC)からの物品
本開示の一態様では、物品は、上に記載されたFRCから調製される。
【0146】
個々の炭素繊維のコーティングに加えて、PCS型材料は、HPF繊維部品のための薄膜プライマーとして使用することができる。一実施形態では、部品は、例えば、PCSのオリゴマーなどのオリゴマーカテコール含有材料の自己重合容器に浸漬され、重合させられ、炭素繊維表面上にPCSの層を作製する。代替的に、本開示に記載されるような溶液形態のポリマーPCSは、本開示のHPFから形成された部品又は物品を浸漬コーティング又はスプレーコーティングするために使用することができる。別の言い方をすれば、一実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるHPF繊維から部品を調製することと、そのような部品を溶液中の(アセトンなどの溶媒に溶解された)PCS型材料でコーティングすることと、に関する。
【0147】
本開示の一実施形態では、繊維強化複合ポリマーは、本明細書に記載される1つ以上のHPF繊維を使用することから調製され、PCS型コーティング材料でコーティングされているか、又はコーティングされておらず、マトリックスは、本明細書に記載される1つ以上のマトリックスポリマー及び樹脂である。物品は、そのような繊維強化複合ポリマーから作製される。
【0148】
一実施形態では、本開示は、本明細書に記載される繊維強化熱可塑性複合材料から作製された基材の少なくとも1つの面にコーティングを適用する(PCS型材料を用いるサイジング及び用いないサイジングする)ための方法であって、グラフェン又は亜鉛の粒子で任意選択的に充填されたPCS型層をプライマーとして基材の面に適用する第1の工程と、次いでコーティングを亜鉛又はグラフェン粒子充填接着性PCS型層に適用する第2の工程と、を含む、方法を提供する。
【0149】
PCS型層を使用することにより、繊維強化熱可塑性複合材料基材の表面エネルギーが低いにもかかわらず、基材とコーティングとの間に高レベルの接着性がもたらされる。
【0150】
接着性PCS型層は、100nm~100μmの厚さを有し、接着性PCS型層は、グラフェンで充填され、0.5重量%~2重量%のグラフェンを含む。
【0151】
本開示はまた、少なくとも1つの面上にコーティングを含む航空機部品などの基材であって、基材が、基材の面とコーティングとの間に介在するプライマーとして亜鉛又はグラフェン粒子充填接着性PCS型層を含む、基材を提供する。
【0152】
ある実施形態によれば、パネルは、FRC材料から作製される。ある例として、パネルは、例えば、PEEK、PEKK、PAEK、又はPPS型の熱可塑性樹脂マトリックスに埋め込まれた炭素繊維を含む。
【0153】
このコーティングは、少なくとも1つの塗料又は保護層を含む。ある実施形態によれば、コーティングは、少なくとも1つの防食層、少なくとも1つの塗料層、及び少なくとも1つのワニス層を含む。これらの異なる層は、先行技術で行われるものと同じ方式で適用される。
【0154】
1つの手順によれば、適用方法は、例えば脱脂などの、基材の面上の準備工程の後に、接着性PCS型層を適用する工程を含む。この後者の層は、例えば、スプレーコーティング又は浸漬コーティングによって、非水性溶液中で基材の面に適用され得る。
【0155】
ある実施形態によれば、接着性PCS型層は、グラフェン粒子で充填されている。接着性PCS型層は、0.5重量%~2重量%のグラフェンを含む。一構成では、グラフェン粒子は、小板の形態で存在する。存在するグラフェンのおかげで、接着性PCS型層は、導電性及び熱伝導性である。存在するグラフェンはまた、層に防食特性を付与する。
【0156】
ある実施形態によれば、接着性PCS型層は、防食特性を付与するために、及びクロム又はカドミウムのいずれも含まない防食バリアを得るために、亜鉛粒子で充填されている。この実施形態では、接着性PCS層は、0.5重量%~2重量%の亜鉛を含む。
【0157】
接着性PCS型層を使用することにより、熱可塑性複合材料基材の表面エネルギーが低いにもかかわらず、プラズマ処理などの表面処理を必要とせずに、基材とコーティングとの間に高レベルの接着性がもたらされる。
【0158】
接着性PCS型層がグラフェンで充填されている場合、これは、金属メッシュなどの別の耐雷層を補助又は置換し得る、耐雷層を形成する。グラフェンを接着性PCS型層に添加することは、耐雷層を得るために同量のグラフェンをPCSに添加することよりも効果的であり、これは、接着性PCS型層の厚さがコーティングの厚さよりも著しく薄く、より高い濃度のグラフェンを得ることが可能になるからである。
【0159】
ある実施形態によれば、第1のコーティングで被覆された先行技術の複合材料パネルは、パネルと第1のコーティングとの間に介在する金属メッシュを含み、耐雷層を形成する。この種のパネルは、金属メッシュ及び第1のコーティングが存在しなくなった表面上に損傷領域を有し得る。本発明の別の利点によれば、この種のパネルは、損傷領域をグラフェン粒子充填接着性PCS型層で被覆し、次いで第2のコーティングで被覆することによって修復することができる。修復後、金属メッシュと接触している接着性PCS型層は、耐雷層の連続性を確実にし、第2のコーティングは、第1のコーティングの連続性を確実にする。
【実施例】
【0160】
実験
実施例1:高性能繊維としてのアラミド繊維
上に記載されたように、本開示は、ポリカテコールスチレン(PCS)でコーティングされたHPP(高性能ポリマー)繊維などの高性能繊維(HPF)に関する。この実験では、未加工アラミド繊維(aramid fiber、AF;25g)をガラス反応器に入れた。反応器に1Lのアセトンを添加し、1時間撹拌してアラミド繊維を洗浄した。
【0161】
繊維の一部分を分離し、乾燥させ、残りを60gのZnCl2溶液を含む1Lのアセトンに入れ、6時間撹拌して繊維の水素結合を破壊して(この理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは推測している)、繊維を官能化した。繊維の一部分を分離し、乾燥させ、残りを5gのPCSを含む1Lのアセトンに入れ、1時間撹拌した。
【0162】
真空濾過を使用して、各溶液から繊維を濾過した。濾過した繊維を1×リン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffer saline、PBS)及びイソプロピルアルコールですすぎ、いずれの残留物、未結合PCS、及び繊維に接着していない破片も除去した。
【0163】
【0164】
本開示は、薄いポリ(カテコールスチレン)(PCS)膜でコーティングされている個々のアラミド繊維に関する。この薄いポリマー膜は、以前は不活性であったアラミド繊維表面を、様々な熱硬化性及び熱可塑性複合材料のマトリックスへの接着性を助けることができるカテコール部分で官能化する。一実施形態では、コーティングの方法は、溶解したPCSを含む有機溶媒中で未加工アラミド繊維を単に撹拌することを含む。溶液中のPCSは、アラミド繊維表面と結合を形成し、堆積した薄膜を残す。このコーティング反応に続いて、繊維を濾過し、イソプロピルアルコール及びDI水ですすぎ、真空チャンバで乾燥させていずれの残留溶媒も除去する。
【0165】
この一工程コーティングプロセスは、多くの他のコーティングプロセスに有利である。イガイから着想を得た材料(具体的にはポリドーパミン)を使用する以前のAFコーティングは、自己重合反応が生じることを必要とする。この反応は、管理及び制御が困難であり、容易に拡張可能ではない。PCSの利点は、それが予備重合されることであり、したがって、コーティングプロセスは、予備形成されたカテコール含有ポリマーをアラミド繊維表面と相互作用させることを単に含む。現在の実験は、AF:アセトン浴中のPCSの重量比が5:1で室温において実行されている。
【0166】
一実施形態では、本開示は、薄いポリ(カテコールスチレン)(PCS)膜でコーティングされている個々の及び複数のHPP繊維に関する。この薄いポリマー膜は、以前は不活性であった炭素繊維表面を、様々な熱硬化性及び熱可塑性複合材料のマトリックスへの接着性を助けることができるカテコール部分で官能化する。コーティングの方法は、溶解したPCSを含む有機溶媒中で未加工炭素繊維を撹拌することを含む。溶液中からのPCSは、炭素繊維表面と結合を形成し、堆積した薄膜を残す。このコーティング反応に続いて、繊維を濾過し、イソプロピルアルコール及びDI水ですすぎ、好ましくは真空チャンバで乾燥させて、いずれの残留溶媒も除去する。
【0167】
この一工程コーティングプロセスは、多くの他のコーティングプロセスに有利である。PCSの利点は、それが予備重合されることであり、したがって、コーティングプロセスの一実施形態では、予備形成されたカテコール含有ポリマーが炭素繊維表面と相互作用する。
【0168】
現在の実験は、HPP繊維:アセトン浴中のPCSの重量比が5:1で、室温において実行されている。温度、不活性雰囲気、酸化剤の添加、様々な材料比などのコーティングプロセス変数を調整して、繊維のより最適化されたコーティングを提供することができる。
【0169】
これらのコーティングされた繊維を複合マトリックスに組み込んで、繊維強化材料を作製する。
【0170】
コーティングプロセス
・第1の工程では、25gの未加工チョップドアラミド繊維を4リットルの反応フラスコに添加した。
・1リットルのアセトンを反応フラスコに添加した。
・AF及びアセトンを、密封した反応フラスコにおいて、室温で1時間撹拌した。
・繊維の一部分を分離し、乾燥させ、残りを1リットルのアセトン及び60gのZnCl2の反応フラスコに入れた。
・AFを、密封した反応フラスコにおいて、6%のZnCl2浴中、室温で6時間撹拌した。
・繊維の一部分を分離し、乾燥させ、残りを1リットルのアセトン及び5グラムのPCSの反応フラスコに入れた。PCSは、有機溶媒に溶解した。
・AFを、密封した反応フラスコにおいて、0.5%のPCS浴中、室温で1時間撹拌した。
・繊維を液体培地から濾過し、1×リン酸緩衝生理食塩水、続いてイソプロパノールですすぎ、いずれの遊離PCS及び他の破片も除去した。
・繊維をSEM下で分析し、画像2A~2Iを撮影した。
【0171】
図2では、コーティング処理されていないアラミド繊維(2A、2D、2G)、6%のZnCl
2浴による繊維(2B、2E、2H);並びにZnCl
2浴及びPCSコーティングで処理された繊維(2C、2F、2I)のSEM顕微鏡写真が示される。(2A、2D、2G)アラミド繊維は、1時間のアセトン浴で洗浄したものである。(2B、2E、2H)は、6%のZnCl
2浴中で6時間撹拌した、洗浄したアラミド繊維の一部分である。(2C、2F、2I)アラミド繊維は、0.5%のPCS浴中で1時間撹拌した、ZnCl
2処理した繊維の一部分である。次いで、PCSでコーティングされた繊維を1×リン酸緩衝生理食塩水、次いでイソプロパノールで洗浄して、いずれの未結合PCSも繊維から除去した。(I)PCSは、個々のアラミド繊維に接着し、個々のアラミド繊維をコーティングしていることがわかる。ZnCl
2浴は、アラミド繊維自体の間に形成された水素結合を破壊するために必要であり、したがって、繊維の表面改質能力を改善し、その部位が新しい水素結合を形成することを可能にする。アラミド繊維上の広範なコーティングは、アラミド繊維とPCSの官能性カテコール基との間に作製された水素結合の結果である可能性が最も高い。パネル2D、2Gは、50倍でのパネル2Aのそれぞれ250倍及び2K倍での拡大図である。パネル2E、2Hは、60倍でのパネル2Bの、それぞれ250倍及び2K倍での拡大図である。パネル2F、2Iは、60倍でのパネル2Cの、それぞれ250倍及び2K倍での拡大図である。パネル2A、2B、2Cのスケールバーは、200ミクロンであり、パネル2D、2E、2Fは、100ミクロンであり、パネル2G、2H、2Iは、10ミクロンである。
【0172】
溶解したPCSを未加工アラミド繊維とともに有機溶媒中で単に撹拌することによってポリマーコーティングが得られたことは驚くべきことであった。材料間の反応を刺激するために熱又は他の反応物が必要とされなかったという事実は、PCSがアラミド繊維表面に対して有する強い親和性を示すようである。
【0173】
HPP繊維は、チョップドストランドとすることができ、ポリアラミド、ポリエステル、及びUHMWPEのポリマー型のいずれでもあり得る。HPP繊維チョップドストランドの長さは重要ではないが、一実施形態では、5ミクロン~50mmである。HPP繊維チョップドストランドを構成するフィラメントの直径及び数も重要ではないが、一実施形態では、直径は、通常500nm~50ミクロンである。フィラメントの数は、通常100~100,000本である。HPP繊維チョップドストランドには、予めサイジング剤が適用され得る。
【0174】
実施例2:高性能繊維としての炭素繊維
先に記載されたように、本開示は、ポリカテコールスチレン(PCS)でコーティングされた炭素繊維(CF)に関する。この実験では、未加工炭素繊維(25g)をガラス反応容器に入れた。反応器に、1Lのアセトン及び4gのポリ(カテコールスチレン)を添加した。オーバーヘッドスターラを使用して、混合物を室温で24時間撹拌した。真空濾過を使用して、溶液から繊維を濾過した。濾過した繊維をイソプロピルアルコール及び脱イオン水ですすぎ、繊維に接着していないいずれの残留物及び破片も除去した。
【0175】
25℃の真空チャンバで乾燥させた後、SEMを使用して繊維を分析した。拡大下での目視検査により、繊維が炭素繊維上に薄膜コーティングを有することが観察された。得られたSEM画像を
図3A、
図3B、及び
図3Cに提供し、これらは、それぞれ、7K倍、2倍、及び700倍の倍率に対応する。
図4は、未処理のTeijin Tenaxチョップド繊維及びPCSコーティングされたチョップド繊維の両方のSEM画像を示す。
【0176】
コーティングプロセス
現在の実験は、CF:アセトン浴中のPCSの重量比が5:1で室温において実行された。温度、不活性雰囲気、酸化剤の添加、様々な材料比などのコーティングプロセス変数を調整して、繊維のより最適化されたコーティングを提供することができる。これらのコーティングされた繊維を複合マトリックスに組み込んで、繊維強化材料を作製する。
【0177】
コーティングプロセスを、以下の工程において記載する。
・第1の工程では、25グラムの未加工チョップド炭素繊維を4リットルの反応フラスコに添加した。
・次いで、1リットルのアセトンを反応フラスコに添加した。
・次の工程では、5グラムのPCSをアセトン/炭素繊維混合物に添加した。PCSは、有機溶媒に溶解した。
・反応フラスコの合わせた内容物を、密封した反応フラスコにおいて、室温で24時間撹拌した。
・繊維を液体媒体から濾過し、イソプロパノール、続いて脱イオン水ですすぎ、いずれの遊離PCS及び他の破片も除去した。
・繊維をSEM下で分析し、
図3A、
図3B、及び
図3Cに示す画像を撮影した。
【0178】
溶解したPCSを未加工炭素繊維とともに有機溶媒中で単に撹拌することによってポリマーコーティングが得られたことは驚くべきことであった。材料間の反応を刺激するために熱又は他の反応物が必要とされなかったという事実は、PCSが炭素繊維表面に対して有する強い親和性を示すようである。
【0179】
実施例3:高性能繊維としての炭素繊維
この実験の目的は、ポリ(カテコールスチレン)(PCS)でコーティングされた炭素繊維の有効性/性能を試験することである。炭素繊維上のPCSの非常に薄いコーティング(又はサイジング)は、強化プラスチック複合材において使用される繊維と樹脂との間の界面接着を増強し、界面せん断強度(interfacial sheer strength、IFSS)を増加させる。これは、熱硬化性及び熱可塑性樹脂系の両方の場合である。更に、繊維/樹脂界面接着の改善は、得られた複合材料の改善された材料特性、例えば、増加した曲げ強度/弾性率、及び増加した圧縮強度/弾性率をもたらす。
【0180】
【0181】
次いで、PCSなどのカテコール含有材料でコーティングされている炭素繊維を以下のマトリックスに使用して、繊維強化複合材を調製する。
【0182】
【0183】
Ecodystシステムを炭素繊維の大規模バッチコーティングに使用した。コーティングされる第1の繊維は、R&Mからの再生チョップド炭素繊維であった。約18リットルのアセトンを90gのPCSとともにEcodystに添加し、このコーティングのために、150,000g/molのMwを有するPCS32を使用した。PCSをアセトンに完全に溶解させてから、250gの炭素繊維を添加した。次いで、炭素繊維を1時間撹拌し、その後、PCS溶液を排出し、今後のバッチのために収集した。次いで、炭素繊維を大きいクッキーシート上に広げ、ヒュームフード下に一晩置いて乾燥させ、いずれの過剰なアセトンも除去した。このプロセスを、2kgの炭素繊維がコーティングされるまで繰り返し、1kgの炭素繊維がコーティングされた後にPCS溶液を完全に交換した。
【0184】
図4では、PCSでコーティングされた炭素繊維が示されている。コーティング処理なし(
図4A、
図4C、
図4E)又はPCSコーティングあり(
図4B、
図4D、
図4F)の炭素繊維のSEM顕微鏡写真。
図4A、
図4C、及び
図4Eでは、炭素繊維は、1時間のアセトン浴で洗浄されている。
図4B、
図4D、及び
図4Fは、0.5%のPCS浴中で1時間撹拌した、洗浄した炭素繊維の一部分を示す。次いで、PCSでコーティングされた繊維を1×リン酸緩衝生理食塩水、次いでイソプロパノールで洗浄して、いずれの未結合PCSも繊維から除去した。
図4Fでは、PCSが、個々の炭素繊維に接着し、個々の炭素繊維をコーティングしていることがわかる。
図4C及び
図4Eは、50倍での
図4Aのそれぞれ800倍及び2K倍での拡大図である。
図4D及び
図4Fは、60倍での
図4Bのそれぞれ800倍及び2K倍での拡大図である。
図4A及び
図4Bのスケールバーは、200ミクロンであり、
図4C、
図4Dは、20ミクロンであり、
図4E、
図4Fは、10ミクロンである。
【0185】
実施例4:高性能繊維としての再生炭素繊維
再生炭素繊維は、PCSでコーティングされている。再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を
図5に提供する。(
図5A、
図5C)は、アセトンで洗浄されている再生炭素繊維であり、おそらくエポキシであり得る残留コーティングが、繊維上に残っているようであった。
図5B及び
図5Dは、ポリ(カテコールスチレン)(PCS)コーティングで処理されている再生炭素繊維を示す。PCSでコーティングされた繊維は、再生炭素繊維上の残留コーティングよりも厚くかつより顕著なコーティングを有するようであった。繊維をアセトン浴中で洗浄し、0.5%のPCS溶液中で1時間撹拌し、次いでイソプロピルアルコール浴ですすいで、いずれの未結合PCSも除去した。
図5C及び
図5Dは、それぞれ、250倍での
図5A及び
図5Bの3K倍の拡大図である。
図5A及び
図5Bのスケールバーは、200ミクロンであり、
図5C及び
図5Dは、10ミクロンである。
【0186】
更に、コーティング浴中のPCSの濃度を変動させることによって、繊維コーティング厚さを調整することができることが示されている。しかしながら、IFSSの改善及び複合材性能の改善のための最適なコーティング厚さは、まだ判定されていない。
図2は、コーティング浴中のPCSの濃度を変化させる際の影響を例解する。
【0187】
実施例5:PCSコーティング厚さは、ポリマー濃度で制御可能である。
ポリ(カテコールスチレン)(PCS)コーティングされた再生炭素繊維のSEM顕微鏡写真を
図6A~
図6Dに示す。
図6A及び
図6Cでは、0.5%のPCS溶液を使用して繊維をコーティングし、これは、繊維の良好な被覆率を提供した。
図5B及び
図5Dでは、3%のPCS溶液を使用して繊維をコーティングし、これは、厚いPCSコーティングにおいて繊維を重度にコーティングした。これらのデータは、PCSコーティング厚さがポリマー溶液の濃度に基づいて制御可能であることを示している。繊維をアセトン浴中で洗浄し、0.5%又は3%のいずれかのPCS溶液中で1時間撹拌し、次いでイソプロピルアルコール浴ですすいで、いずれの未結合PCSも除去した。
図6C及び
図6Dは、それぞれ、250倍での
図6A及び
図6Bの3K倍の拡大図である。
図6A及び
図6Bのスケールバーunboundは200ミクロンであり、
図6C及び
図6Dはunbound10ミクロンである。
【0188】
本明細書で使用した繊維は、相当量(5~14%)の残留樹脂(エポキシであると考えられる)を含有する再生炭素繊維であった。それにもかかわらず、PCSコーティング厚さは、コーティング浴中のポリマーの濃度によって変化することが明らかである。PCS濃度数(0.5%及び3%)は、アセトン浴中のPCSの重量%であり、炭素繊維に添加されたコーティングの得られた重量%ではないことに留意することも重要である。
【0189】
実施例6:炭素繊維強化複合材のためのサイジング剤としてのポリ(カテコールスチレン)
この実施例において、PCSは、複合材料特性の性能に対する炭素繊維サイジング剤として使用される。PCSサイジング剤の性能は、樹脂系によって異なる。エポキシ樹脂系をこの試験に使用する。浸漬コーティングを使用して、炭素繊維のトウ及び布地をPCSでコーティングする。炭素繊維材料に対するPCSサイジング厚さ及びその重量濃度(浸漬浴濃度を変動させながら)を定量化する。積層体は、PCSサイズのトウ及び/又は布地から構成される。複合材料特性に対するPCSサイジングの影響を、引張強度/弾性率、曲げ強度/弾性率、及び圧縮強度/弾性率について評価する。PCSサイジング剤で構成された複合材料の性能を、受け取ったままの布地(サイジング剤が提供されている)及び脱サイジングされた布地の両方を使用して構成された複合材と比較する。これは、複合材特性に対するPCSサイジングの影響の明確な評価を可能にする。浸漬コーティングは、PCSサイジングされた炭素繊維布地及びトウを調製するために使用される。PCSは水溶性ではないため、コーティングプロセスに好適な溶媒が選択される。例えば、アセトンが、コーティング適用に使用される。浸漬コーティングプロセスは、コーティング浴中のPCS濃度及びコーティング溶液中の繊維の滞留時間によって制御される、PCSサイジング添加を制御するように最適化される。
【0190】
PCSサイジング添加の3つの異なる「レベル」(例えば、繊維材料へのPCSの0.5%、1%、及び1.5%質量添加)が選択される。様々なサイジングされた炭素繊維布地を使用して、材料特性試験の目的のために多層積層体を製作する。積層体はまた、受け入れたままの布地(標準サイジングを有する)及び実験対照の目的のためのサイジングされていない布地を使用して製作される。全ての複合材試料にわたって適切なエポキシ樹脂が使用される。製作後、パネルを切断して試験用の試験試料を生産する。
【0191】
試験試料について、以下の材料特性を評価する。
・引張強度及び弾性率
・曲げ強度及び弾性率
・圧縮強度及び弾性率
【0192】
PCSサイジングされた試料からの材料特性データを対照試料と比較して、全体的な材料特性に対する影響を評価する。
【0193】
増加した積層体結合強度を試験するために、エポキシ250°F硬化接着剤で結合された複合積層体に対して重ねせん断試験を行う。試験は、表面調製物を含まないベースラインである試料及び表面調製物を含む試料について行われる。試料はまた、調製物を用いずに及び調製物を用いて、表面上にブラシ塗布された1%の添加剤で調製される。1つの試験では、ゴムシート材料を、高温及び室温で様々な接着剤によりビスマレイミド積層体表面上に接着する。剥離強度を測定する。1つの評価では、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)積層体の塗料接着試験を実行する。
【0194】
ポリカテコールスチレンの2つの試料を炭素繊維のサイジングに使用する。第1の試料は、240Kダルトンの分子量を有し、第2の試料は、110Kダルトンの分子量を有する。使用する炭素繊維を、0°/90°の二軸配向でレイアップする。サイジングされた繊維及びサイジングされていない繊維を予備形成する。PCSの浸漬コーティング溶液は、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、及び2重量%濃度で、アセトン中で作製される。サイジングされた繊維及びサイジングされていない繊維から複合パネルを作製する。2層構成のChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)(Chomarat North America、SC)を使用する。炭素繊維(
図7A)を、溶液(
図7B及び
図7C)、例えば、99.5gのアセトン中の0.5gのポリマーに5分間、15分間、及び30分間浸漬する。試料を24時間空気乾燥する(
図7D)。
【0195】
MPピークは、30分の浸漬コーティング処理後に見られる。OH伸縮は、波数3300~3400cm
-1付近で検出されない。以下の表3及び
図7-1を参照されたい。
【0196】
【0197】
図7E、
図7F、及び
図7Gは、3つの異なる倍率で2つの層である受け取ったままのChomarat(登録商標)炭素繊維(0/90)を示す。これらの繊維は処理されておらず、バーンオフの前に、いくらかのサイジングがSEMに見られる。受け取ったままの炭素繊維中に既に存在するサイジング剤を除去するために、それらを炉において400℃で1時間燃焼させる。
図7Hは、バーンオフ前の炭素繊維を示し、
図7I及び
図7Jは、バーンオフ後の炭素繊維である。
図7K、
図7L、及び
図7Mは、炉のバーンオフ後の炭素繊維のSEM顕微鏡写真である。見ることができるように、ここで、炭素繊維は、サイジングされていない。
【0198】
FTIRは、ThermoScientific Nicolet iS50 FT-IR分光計(中IR領域(5000~400cm-1)における吸収スペクトルを測定する)を使用して、炭素繊維、240Kポリマー試料、及びサイジングとして240Kポリマーがコーティングされた炭素繊維に対して実行される。赤外スペクトル領域は、4000~400cm-1であり、走査数は、64であった。
【0199】
図8は、受け取ったままの炭素繊維及びバーンオフした炭素繊維のFTIR走査を示す。受け取ったままの炭素繊維及びサイジングされていない炭素繊維の両方を、アセトン中の240K PCS溶液で浸漬コーティングする。
【0200】
図9A、
図9B、及び
図9Cは、30分間浸漬コーティングされているアセトン中の0.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【0201】
図10A、
図10B、及び
図10Cは、30分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【0202】
図11は、5分、15分、及び30分の浸漬コーティングによりアセトン溶媒中の1%のPCSでコーティングされた、受け取ったままの炭素繊維のFTIR走査を示す。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【0203】
図12A、
図12B、及び
図12Cは、5分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【0204】
図13A、
図13B、及び
図13Cは、15分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【0205】
図14A、
図14B、及び
図14Cは、30分間浸漬コーティングされているアセトン中の1.5%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【0206】
図15は、5分、15分、及び30分の浸漬コーティングによりアセトン溶媒中の1.5%のPCSでコーティングされた、受け取ったままの炭素繊維のFTIR走査を示す。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【0207】
図16A、
図16B、及び
図16Cは、5分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【0208】
図17A、
図17B、及び
図17Cは、15分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【0209】
図18A、
図18B、及び
図18Cは、30分間浸漬コーティングされているアセトン中の2.0%のPCSポリマー溶液でコーティングされている、受け取ったままの炭素繊維のSEMである。
【0210】
図19は、5分、15分、及び30分の浸漬コーティングによりアセトン溶媒中の2.0%のPCSでコーティングされた、受け取ったままの炭素繊維のFTIR走査を示す。使用したPCSは、240Kダルトン分子量材料である。
【0211】
図20Aは、5分、15分、及び30分での浸漬コーティング後の炭素繊維の上面を示す。
図20Bは、5分、15分、及び30分での浸漬コーティング後の炭素繊維の底面を示す。
【0212】
図21は、浸漬コーティングを介してPCSでサイジングされており、次いでPEEKマトリックスを有する積層体を作製するために使用される炭素繊維を示す。
【0213】
アセトン中の240KダルトンのPCSを使用した1.5重量%及び2重量%の浸漬コーティングについて、CF(受け取ったままの)上で明確なピーク及びサイジングが観察されたことがわかった。
【0214】
同様に、サイジングされていない炭素繊維(バーンオフされている受け取ったままの状態)も、アセトン中の0.5、1.0、1.5、及び2.0%のPCS溶液でコーティングする。両方の分子量のPCSを使用して浸漬コーティング溶液を形成する。
【国際調査報告】