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特表2025-532512透明導電材料を含むメタ表面を含む量子システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-01
(54)【発明の名称】透明導電材料を含むメタ表面を含む量子システム
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/40 20220101AFI20250924BHJP
   B82Y 10/00 20110101ALI20250924BHJP
【FI】
G06N10/40
B82Y10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025514199
(86)(22)【出願日】2023-09-06
(85)【翻訳文提出日】2025-04-14
(86)【国際出願番号】 US2023032032
(87)【国際公開番号】W WO2024054468
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】63/374,781
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/454,523
(32)【優先日】2023-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522047446
【氏名又は名称】クオンティニュアム エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ジェイ・オラニック
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ボーン
(57)【要約】
様々な実施形態において、複数の電極を含み、1つまたは複数の量子物体を閉じ込めるように構成された量子物体閉じ込め装置が提供される。各電極は、1つまたは複数の量子物体を閉じ込めるための閉じ込めポテンシャルを生成するように構成され、閉じ込めポテンシャルは、1つまたは複数の量子物体の位置を定める。量子物体閉じ込め装置は、量子物体の位置に関連付けられるように構成される1つまたは複数のメタ表面を含む。複数のメタ表面は、複数の透明導電酸化物メタマテリアル構造で構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の量子物体を閉じ込めるように構成された閉じ込めポテンシャルを生成するように構成された複数の電極であって、前記閉じ込めポテンシャルが、複数の量子物体位置を定める、複数の電極と、
1つまたは複数のメタ表面であって、前記1つまたは複数のメタ表面の各メタ表面が、前記複数の量子物体位置のそれぞれの量子物体位置に関連付けられ、前記メタ表面が、透明導電酸化物を含む、1つまたは複数のメタ表面と、
を含む、量子物体閉じ込め装置。
【請求項2】
前記メタ表面が、前記複数の電極のうちの1つである、請求項1に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項3】
前記メタ表面が、前記透明導電酸化物を含むメタマテリアル構造の2次元アレイを含む、請求項1に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項4】
メタマテリアル構造の前記2次元アレイが、前記メタ表面によって提供される誘導ビームの(a)位相制御または(b)波面成形のうちの少なくとも一方を可能にするように構成される、請求項3に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項5】
前記透明導電酸化物が、少なくとも、メタマテリアル構造の前記2次元アレイの複数のメタマテリアル構造のそれぞれの表面上に配置される、請求項3に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項6】
メタマテリアル構造の前記2次元アレイが、基板の表面上に位置し、前記複数の電極も、前記基板の前記表面上に配置される、請求項3に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項7】
前記複数のメタマテリアル構造の各々が、前記量子物体閉じ込め装置の表面から0.5nmから1μmの範囲の距離だけ延びる柱である、請求項5に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項8】
1つまたは複数の前記メタマテリアル構造が、誘電材料を含む、請求項5に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項9】
前記1つまたは複数のメタマテリアル構造が、前記誘電材料を含むコアを含み、前記コアが、前記透明導電酸化物を含むシェル内に包み込まれる、請求項8に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項10】
前記誘電材料が、二酸化チタンを含む、請求項8に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項11】
前記1つまたは複数のメタマテリアル構造が、光活性デバイスのための透明電極として使用され得る、請求項9に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項12】
前記メタマテリアル構造が、可変の自由キャリア濃度に関連する調整可能な特性を含む、請求項10に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項13】
前記透明導電酸化物が、酸化インジウムスズ(ITO)である、請求項1に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項14】
前記1つまたは複数のメタ表面が、切り詰められた導波路として使用されるITO材料で構成される、請求項1に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項15】
前記複数の電極の動作を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項16】
前記コントローラが、収集信号が前記電極に入射していることを示す信号を受信するようにさらに構成される、請求項15に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項17】
システムが、量子コンピュータの一部であり、前記コントローラが、前記複数の電極の動作を制御するように構成される、請求項15に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項18】
量子物体閉じ込め装置であって、
1つまたは複数の量子物体を閉じ込めるように構成された閉じ込めポテンシャルを生成するように構成された複数の電極であって、前記閉じ込めポテンシャルが、複数の量子物体位置を定める、複数の電極と、
1つまたは複数のメタ表面であって、前記1つまたは複数のメタ表面の各メタ表面が、前記複数の量子物体位置のそれぞれの量子物体位置に関連付けられ、前記メタ表面が、透明導電酸化物を含む、1つまたは複数のメタ表面と、
で構成される、量子物体閉じ込め装置と、
少なくとも1つの操作源であって、操作信号を提供するように構成される少なくとも1つの操作源と、
少なくとも1つの光学素子であって、前記メタ表面が誘導ビームを前記それぞれの量子物体位置に入射させるように、前記操作信号を前記メタ表面に入射させるように構成される、少なくとも1つの光学素子と、
を含む、量子コンピュータ。
【請求項19】
前記それぞれの量子物体位置に関連する少なくとも1つの光検出器をさらに含み、少なくとも1つの前記メタ表面が、前記それぞれの量子物体位置に配置された量子物体によって放出された放出信号の少なくとも一部の前記メタ表面への入射に応答して、前記少なくとも1つの光検出器に誘導信号を提供するように構成される、請求項18に記載の量子コンピュータ。
【請求項20】
前記メタ表面が、複数のメタマテリアル構造によって形成され、少なくとも、前記複数のメタマテリアル構造の各々の外面が、前記透明導電酸化物で形成される、請求項18に記載の量子コンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年9月7日に出願された米国仮出願第63/374,781号の優先権および利益を主張し、2023年8月23日に出願された米国非仮出願第18/454,523号の優先権を主張するものであり、それらの出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
イオントラップは、電界および/または磁界を使用して1つまたは複数のイオンをポテンシャル井戸に捕捉する。ポテンシャル井戸によって閉じ込められたイオンおよび/またはイオンの量子状態は、レーザービームなどを使用して操作される場合がある。しかし、大規模なイオントラップ内のイオンの位置にこれらのレーザービームを送達することは、トラップの上の低いイオンの高さ、レーザービームのレイリー長(Rayleigh range)、および所望の操作を実行するためにトラップ内のイオンに送達される必要があるレーザーパワーの量が原因で大きな課題となっている。費やされた努力、創意工夫、および革新によって、そのような従来のレーザービーム送達システムの多くの欠点は、本発明の実施形態に従って構築される解決策を開発することによって解決されており、その多くの例が、本明細書において説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第16/717,602号
【特許文献2】米国特許出願第63/199,279号
【特許文献3】米国特許出願第63/200,263号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な実施形態は、閉じ込め装置、透明導電材料から少なくとも部分的に形成されたメタ表面を含む閉じ込め装置を含む量子コンピュータ、透明導電材料、透明電極などを提供し、透明電極は、メタ表面上の静電気の蓄積を削減させるように構成される。
【0005】
例示的な実施形態は、量子物体閉じ込め装置内に閉じ込められた量子物体に1つもしくは複数の操作信号を提供するため、ならびに/または量子物体によって放出された(光)信号を捕捉および/もしくは検出するための方法、システム、装置、コンピュータプログラム製品などを提供する。様々な実施形態において、量子物体は、原子、イオン、原子および/またはイオンのペアまたはグループ(たとえば、イオン結晶)、分子、量子粒子などである。たとえば、様々な実施形態において、量子物体は、量子コンピュータの量子ビットとして使用される。様々なそのような実施形態において、操作信号は、量子コンピュータの光電離、状態準備、量子ビット検出および/または読み取り、冷却、シェルビング(shelving)、再ポンピング(repumping)、単一の量子ビットゲート、ならびに2量子ビットゲートを制御するように構成される。例示的な実施形態は、量子コンピューティングの応用(たとえば、量子電荷結合素子(QCCD: quantum charge coupled device)ベースの量子コンピュータ)に関して本明細書において説明されるが、様々な実施形態は、量子時計、およびそれぞれの量子物体閉じ込め装置によって閉じ込められた量子物体の様々なその他の応用、量子ドットのリソグラフィによって定められたアレイ、ならびに/または特定の位置への光信号の精密な送達および/もしくは特定の位置において放出された信号の捕捉を必要とするその他の応用に関する。
【0006】
様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置は、その上に配置/形成され、および/またはそれに対して結合/固定された1つまたは複数のメタマテリアル構造を有する。様々な実施形態において、メタマテリアル構造の少なくとも一部は、メタマテリアル構造に入射している操作信号が、対応する量子物体位置および/またはその一部にそれぞれの作用信号(action signal)を放出するようにメタマテリアル構造を誘導するように構成される。様々な実施形態において、メタマテリアル構造の少なくとも一部は、対応する量子物体位置において量子物体によって放出された放出信号が、収集信号を捕捉、検出、測定などするように構成された収集光学系(collection optic)に向かって収集信号(collection signal)を放出するようにメタマテリアル構造を誘導するように構成される。
【0007】
本開示の態様によれば、システムが提供される。例示的な実施形態において、システムは、1つまたは複数の量子物体を閉じ込めるように構成された閉じ込めポテンシャルを生成するように構成された複数の電極を含む量子物体閉じ込め装置であって、閉じ込めポテンシャルが複数の量子物体位置を定める、量子物体閉じ込め装置と、1つまたは複数の信号操作素子とを含む。1つまたは複数の信号操作素子の各信号操作素子は、(a)複数の量子物体位置のそれぞれの量子物体位置に関連付けられ、(b)(i)それぞれの量子物体位置にある量子物体によって放出された放出信号の収集アレイ(collection array)への入射に応答して、それぞれの収集位置に誘導収集信号を提供するか、または(ii)操作源(manipulation source)によって生成された到来信号の作用アレイ(action array)への入射に応答して、それぞれの量子物体位置に誘導作用信号を提供するかのうちの少なくとも一方を行うように構成される。信号操作素子のうちの少なくとも1つは、透明導電材料で少なくとも部分的に形成された複数の構造を含むメタ表面を含む。
【0008】
例示的な実施形態において、複数の量子物体位置は、2次元レイアウトに配置される。
【0009】
例示的な実施形態において、1つまたは複数の信号操作素子の各々は、メタマテリアルアレイを含む。
【0010】
例示的な実施形態において、1つまたは複数の信号操作素子は、(a)メタマテリアルアレイ、または(b)回折光学素子(DOE)のうちの少なくとも一方を含む。
【0011】
例示的な実施形態において、量子物体閉じ込め装置は、表面イオントラップ(surface ion trap)である。
【0012】
例示的な実施形態において、作用アレイは、量子物体の光電離、量子物体の状態準備、量子物体の量子状態の読み取り、量子物体または量子物体を含む量子物体の結晶の冷却、量子物体のシェルビング、量子物体の再ポンピング、量子物体に対する単一の量子ビットゲートの実行、および量子物体を含む量子物体のセットに対する多量子ビットゲートの実行からなる群から選択される量子コンピュータ機能の実行に使用するために構成される。
【0013】
例示的な実施形態において、複数のメタマテリアル構造のうちの1つまたは複数のメタマテリアル構造は、量子物体閉じ込め装置の表面から0.5nmから1μmの範囲の距離だけ延びる柱である。
【0014】
1つまたは複数の実施形態において、誘電材料は、たとえば、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電酸化物を含んでもよい。1つまたは複数の透明導電材料が、メタ表面を作り出し、光学デバイスおよび/または電気接点として働く場合がある。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の透明導電材料が、光活性デバイス(photoactive device)のための透明電極として使用される場合がある。
【0015】
様々な実施形態において、1つまたは複数の透明導電材料が、光学デバイスとしておよび/または電極として使用される場合がある。透明導電材料の調整可能な電気的特性は、自由キャリア濃度(free carrier concentration)を使用する調整を可能にする。
【0016】
例示的な実施形態において、メタ表面の1つまたは複数の構造は、透明導電材料(たとえば、ITO)の1つまたは複数の固体の柱を含む。
【0017】
例示的な実施形態において、メタ表面の1つまたは複数の構造は、透明導電材料のシェルによって囲まれた誘電体コア(たとえば、二酸化チタン)を含む。
【0018】
例示的な実施形態において、1つまたは複数のフォトニック結晶が、固体透明導電材料(たとえば、ITO)で作られる場合がある。
【0019】
例示的な実施形態において、1つまたは複数のフォトニック結晶は、透明導電材料のシェルによって囲まれた誘電体コア(たとえば、二酸化チタン)を含む。
【0020】
このように本発明を大まかに説明したところで、以降、必ずしも正しい縮尺で描かれていない添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的な実施形態例による、その表面上にメタマテリアル構造を含む量子物体閉じ込め装置を含む例示的な量子コンピューティングシステムを示す概略図である。
図2】本開示に従った例示的な実施形態による量子物体閉じ込め装置の表面の一部分の概略図である。
図3】本開示に従った例示的な実施形態による、図2に示された量子物体閉じ込め装置の表面の拡大された一部分の概略図である。
図4A】本開示に従った例示的な実施形態による、その表面上にメタマテリアル構造のアレイで形成された作用アレイを含む量子物体閉じ込め装置の部分断面図である。
図4B】本開示に従った例示的な実施形態による、その表面上にメタマテリアル構造のアレイで形成された収集アレイを含む量子物体閉じ込め装置の部分断面図である。
図4C】本開示に従った例示的な実施形態によるメタマテリアル構造のアレイの部分斜視図である。
図5】本開示に従った例示的な実施形態による閉じ込め装置の一部分の概略図である。
図6A】本開示に従った固体透明導電材料で構成される例示的なメタマテリアル構造の断面図である。
図6B】本開示に従った、酸化物材料のコアと透明導電材料で作られたシェルとで構成される例示的なメタマテリアル構造の断面図である。
図7】本開示に従った例示的な実施形態による、その表面上にメタマテリアルアレイの別の配列を含む量子物体閉じ込め装置の表面の一部分の概略図である。
図8】本開示に従った様々な実施形態による、1つまたは複数の決定的な(deterministic)再形成および/または再順序付け機能を実行するように構成された量子コンピュータの例示的なコントローラの概略図である。
図9】本開示に従った例示的な実施形態によって使用されてもよい量子コンピュータシステムの例示的なコンピューティングエンティティの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本発明が、本発明の一部であってすべてではない実施形態が示される添付の図面を参照して以降でより十分に説明される。確かに、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が該当し得る法的要件を満たすように提供される。用語「または(or)」(「/」とも表記される)は、別段の指示がない限り、本明細書において、選言的な意味と連言的な意味との両方の意味で使用される。用語「説明的」および「例示的」は、例であるために使用され、品質のレベルを示さない。用語「概して」、「実質的に」、および「およそ」は、別段の指示がない限り、工学的なおよび/もしくは製造上の公差内、ならびに/またはユーザの測定能力内を指す。全体を通じて、同様の番号は同様の要素を指す。
【0023】
単数形の「a」、「an」、および「the」は、別段の断りがない限り、複数形の参照を含む。用語「含む(includes)」および/または「含んでいる(including)」は、本明細書において使用されるとき、記載された特徴、要素、および/もしくは構成要素、ならびに/またはそれらのグループの存在を指定する。本明細書において使用されるとき、語句「実施形態において」、「一実施形態によれば」などは、概して、語句に続く特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれる場合があり、本開示の2つ以上の実施形態に含まれる場合があることを意味する。用語「透明な」は、本明細書において使用されるとき、関心のある特定の波長に対して透明という意味である。
【0024】
様々な実施形態は、量子物体閉じ込め装置内の量子物体位置に操作信号を提供する、ならびに/または量子物体閉じ込め装置によって閉じ込められた量子物体によって放出された放出信号を収集し、捕捉し、検出し、および/もしくは測定するための方法、装置、システム、コンピュータプログラム製品などを提供する。たとえば、様々な実施形態が、量子物体閉じ込め装置に関連する、および/または量子物体閉じ込め装置を含む、ならびに1つまたは複数の信号操作素子を含む信号管理システムを提供する。様々な実施形態において、1つまたは複数の信号操作素子は、量子物体閉じ込め装置によって定められた量子物体位置に操作信号を提供する、ならびに/または量子物体位置にある量子物体によって放出された放出信号を収集、捕捉、検出、および/もしくは測定するために使用される。
【0025】
様々な実施形態において、量子物体は、原子および/もしくはイオン、中性分子もしくはイオン分子、量子粒子、量子ドット、ならびに/またはそれぞれの量子状態が操作信号の印加によって制御可能なその他の物体である。量子物体は、2つ以上の量子物体を含む量子物体の結晶の量子ビット量子物体であってもよく、例示的な実施形態において、量子物体の結晶の2つ以上の量子物体は、少なくとも2つの異なる原子番号の量子物体を含む。例示的な実施形態において、量子物体閉じ込め装置は、イオントラップ(たとえば、表面イオントラップ、パウルトラップ(Paul trap)など)である。
【0026】
様々な実施形態において、1つまたは複数の信号操作素子は、信号操作素子がそれぞれの量子物体位置とそれぞれの操作源および/または光検出器との間のそれぞれの光路の少なくとも一部を形成するように、量子物体閉じ込め装置に対して配置および/または取り付けられる。
【0027】
様々な実施形態において、信号管理システムの信号操作素子のうちの少なくとも1つは、量子物体閉じ込め装置の表面上に、および/または量子物体閉じ込め装置が上に形成される第1の基板内に少なくとも部分的に配置される。たとえば、量子物体閉じ込め装置は、様々な実施形態において、第1の基板上に形成され、少なくとも1つの信号操作素子は、第1の基板の表面上に形成および/または配置される。理解されるはずであるように、第1の基板は、量子物体閉じ込め装置の機能の動作の様々な要素/構成要素を制御するように構成された回路の複数の層を含んでもよい。例示的な実施形態において、信号操作素子のうちの少なくとも1つは、量子物体閉じ込め装置の一部であり、量子物体閉じ込め装置の表面に対して引っ込められるおよび/または凹まされる。たとえば、少なくとも1つの信号操作素子は、第1の基板内にあり、および/または量子物体閉じ込め装置の平面によって定められる表面の直接上にない製造された層に置かれる場合がある。たとえば、量子物体閉じ込め装置の表面に穴または開口がある場合があり、その中に少なくとも1つの信号操作素子が凹ませて設けられる。例示的な実施形態においては、透明層が、穴または開口内の少なくとも1つの信号操作素子を囲む。様々な実施形態は、量子物体閉じ込め装置の表面上におよび/または量子物体閉じ込め装置を含む基板の一部として形成および/または配置された1つまたは複数の信号操作素子を有する量子物体閉じ込め装置を提供する。
【0028】
例示的な実施形態は、操作信号が第2の基板のそれぞれの信号操作素子によって量子物体位置に提供され得るように、量子物体閉じ込め装置に対して固定された関係で取り付けられる、その上および/またはその中に形成および/または配置された1つまたは複数の信号操作素子を有する第2の基板を提供する。
【0029】
様々な実施形態において、各信号操作素子は、QCCDベースの量子コンピュータの1つまたは複数の機能(光電離、状態準備、量子ビット検出および/もしくは読み取り、冷却、シェルビング、再ポンピング、単一の量子ビットゲート、または2量子ビットゲート)を実行する際に使用するために形成および/または構成される。たとえば、様々な実施形態において、信号管理素子は、複数のメタマテリアル構造を含むメタマテリアルアレイである。様々な実施形態において、複数のメタマテリアル構造の各々は、正のメタマテリアル構造(たとえば、柱、コラム(column)、円柱など)である。様々な実施形態において、複数のメタマテリアル構造の各々は、負のメタマテリアル構造(たとえば、穴、くぼみ、ポケット、泡など)である。様々な実施形態において、メタマテリアルアレイは、正および負のメタマテリアル構造の組合せを含んでもよい。様々な実施形態において、メタマテリアルアレイの一部は、正のメタマテリアル構造からなる、および/または正のメタマテリアル構造を含み、その他のメタマテリアルアレイは、負のメタマテリアル構造からなる、および/または負のメタマテリアル構造を含む。
【0030】
様々な実施形態において、各信号操作素子は、それぞれの特定の波長範囲の入射信号(たとえば、到来操作信号および/または放出信号)に対する共鳴応答を提供するように構成される。様々な実施形態において、信号操作素子は、それぞれの特定の波長範囲内の波長に対して透明である透明導電材料で形成された1つまたは複数のメタマテリアル構造を含むメタ表面である。たとえば、それぞれの特定の波長範囲内の波長によって特徴付けられる入射信号(および/またはその一部)に対して、信号操作素子は、入射信号が信号操作素子に入射した結果として、(たとえば、方向、焦点、ビームプロファイル、偏光などの点で制御された)制御された誘導信号を放出するように誘導される。しかし、入射信号(および/または入射信号の一部)がそれぞれの特定の波長範囲外の1つまたは複数の波長によって特徴付けられる場合、結果として得られる信号は、一様な位相遅れを加えられるが、制御された誘導信号の焦点合わせ、偏光制御、ビームプロファイル制御などを受けない。言い換えると、様々な実施形態において、信号操作素子は、色フィルタ(chromatic filter)として使用されてもよい。たとえば、様々な波長の1つもしくは複数の信号、および/または様々な波長を含む信号が、信号操作素子に入射させられてもよい。信号操作素子(たとえば、それぞれの特定の波長に対する共鳴応答を有するように構成されたメタマテリアルアレイ)によって実行される色フィルタリングは、制御された誘導信号が、信号操作素子がそれらの波長で使用するために構成される、それぞれの特定の波長および/またはそれぞれの特定の波長範囲の波長のみを含むようにする。たとえば、信号操作素子に入射する到来操作信号は、到来操作信号がそれぞれの特定の波長範囲内の波長によって特徴付けられるときにのみ、対応する量子物体位置に焦点を合わせられる。
【0031】
様々な実施形態において、信号操作素子は、2つ以上の操作信号をその信号操作素子に入射させ、それらの操作信号に応答してそれぞれの作用信号を放出するように誘導されるように構成される。たとえば、信号操作素子は、第1の波長および第1の偏光の第1の操作信号のその信号操作素子への入射に応答して、第1の波長に対応する波長、第1の偏光に対応する偏光を有し、対応する量子物体位置の第1の部分に向けられている第1の作用信号を放出するように誘導されるように構成されてもよい。同じ信号操作素子は、例示的な実施形態において、第2の波長および第2の偏光の第2の操作信号のその信号操作素子への入射に応答して、第2の波長に対応する波長、第2の偏光に対応する偏光を有し、対応する量子物体位置の第2の部分に向けられている第2の作用信号を放出するように誘導されるように構成される。様々な実施形態において、第1の波長および第2の波長は実質的に同じであり、第1の偏光および第2の偏光は異なる。例示的な実施形態において、第1の波長および第2の波長は異なり、第1の偏光および第2の偏光は実質的に同じである。例示的な実施形態において、第1の波長および第2の波長は異なり、第1の偏光および第2の偏光は異なる。量子物体位置の第1の部分および量子物体位置の第2の部分は、用途に応じて、重なる場合があり、または重ならない場合がある。様々な実施形態において、第1の操作信号および第2の操作信号は、少なくとも部分的に同時に提供される場合がある。たとえば、第1の操作信号および第2の操作信号は、第1の操作信号および/または第2の操作信号が信号操作素子に入射している時間の少なくとも一部と同時に、信号操作素子に入射する場合がある。例示的な実施形態において、第1の操作信号および第2の操作信号は、別々に(たとえば、時間的に重ならずに)提供される。
【0032】
様々な実施形態において、信号操作素子は、対応する波長範囲内の到来操作信号および/または放出信号のその信号操作素子への入射に応答して、作用信号および/または収集信号を放出するように誘導されるように構成される。たとえば、量子コンピュータの各機能が、1つまたは複数の波長に関連付けられてもよい。したがって、それぞれの信号操作素子は、量子コンピュータの1つまたは複数の機能に対応してもよく、量子コンピュータの1つまたは複数の機能は、それぞれの信号操作素子の複数のメタマテリアル構造が動作するように構成される波長範囲内の波長に対応する。
【0033】
様々な実施形態において、各信号操作素子は、量子物体閉じ込め装置によって定められた対応する量子物体位置に関連付けられる。様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置によって定められる1つまたは複数の量子物体位置が、複数の信号操作素子を含む信号操作素子の配列に関連付けられる。様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置に関連する信号操作素子の配列の各信号操作素子は、量子コンピュータの1つまたは複数の機能(たとえば、光電離、状態準備、量子ビット検出および/または読み取り、冷却、シェルビング、再ポンピング、単一量子ビットゲート、2量子ビットゲート、放出信号検出など)を実行する際に使用するために構成される。たとえば、量子コンピュータの様々な機能の実行は、操作信号の使用および/または様々な波長の放出信号の検出を含んでもよい。信号操作素子の配列の特定の信号操作素子が、関連する量子物体位置において量子コンピュータの1つまたは複数の対応する機能を実行するときに使用するために構成されるように、様々な信号操作素子が、異なる波長で使用するために構成される。
【0034】
様々な実施形態において、信号操作素子は、対応する波長範囲内の到来操作信号および/または放出信号のその信号操作素子への入射に応答して、作用信号および/または収集信号を放出するように誘導されるように構成される。たとえば、量子コンピュータの各機能が、1つまたは複数の波長に関連付けられてもよい。したがって、それぞれの信号操作素子は、量子コンピュータの1つまたは複数の機能に対応してもよく、量子コンピュータの1つまたは複数の機能は、それぞれの信号操作素子の複数のメタマテリアル構造が動作するように構成される波長範囲内の波長に対応する。
【0035】
従来、メタ表面は、誘電材料で形成される。しかし、量子物体閉じ込め装置の表面に誘電材料を配置することは、量子物体閉じ込め装置上のおよび/または付近の静電荷の蓄積につながり得る。量子物体閉じ込め装置のサイズ(およびその上のメタ表面の数)が大きくなるにつれて、量子物体閉じ込め装置上のおよび/または付近の静電荷の蓄積の可能性も高くなる。したがって、量子物体閉じ込め装置上の静電荷の蓄積の可能性を下げながら、量子物体閉じ込め装置のサイズおよび/または寸法に合わせてスケーリングすることができるメタ表面を使用して量子物体閉じ込め装置に操作信号をどのように提供すべきかに関する技術的な問題が存在する。
【0036】
様々な実施形態は、これらの技術的問題に対する技術的解決策を提供する。特に、様々な実施形態において、メタ表面は、透明導電材料を含む。たとえば、メタ表面は、様々な実施形態において、透明導電酸化物(たとえば、ITOなど)を含む。様々な実施形態において、メタ表面は、表面上の静電荷の蓄積を防止するために表面が接地され得るように、透明導電材料で作られる(たとえば、メタ表面を構成する複数の構造の外面によって形成される)表面を含む。このように、様々な実施形態は、メタ表面上および/または付近の静電荷の蓄積が減らされるように量子物体閉じ込め装置に操作信号をどのように提供すべきかに関する技術的問題に対する技術的解決策を提供する。
【0037】
量子物体閉じ込め装置を含む例示的な量子コンピューティングシステム
図1は、例示的な実施形態による、量子物体閉じ込め装置300(たとえば、イオントラップなど)を含む例示的な量子コンピューティングシステム100の概略図を提供する。図4A図4B、および図6に示されるように、様々な実施形態において、複数の信号操作素子が、量子物体閉じ込め装置の表面上に形成および/または配置される。様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置の表面上に形成および/または配置された信号操作素子の少なくとも一部は、到来信号のその信号操作素子の少なくとも一部への入射に応答して、それぞれの量子物体位置に向かうおよび/または焦点を合わせられた作用信号を放出するように誘導されるように構成される。到来信号は、量子コンピュータ110の操作源60によって生成された操作信号の少なくとも一部である。様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置の表面上に形成および/または配置された少なくとも1つの信号操作素子は、それぞれの量子物体位置にある量子物体によって放出された放出信号に応答して、それぞれの量子物体位置に対応する(たとえば、対応する収集光学素子が配置される)収集位置に向かうおよび/または焦点を合わせられた収集信号を放出するように誘導されるように構成される。
【0038】
様々な実施形態において、量子コンピューティングシステム100は、コンピューティングエンティティ10および量子コンピュータ110を含む。様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、コントローラ30、閉じ込め装置300(たとえば、イオントラップ)を囲むクライオスタットおよび/または真空チャンバ40、ならびに1つまたは複数の操作源60を含む。たとえば、クライオスタットおよび/または真空チャンバ40は、圧力を制御されたチャンバであってもよい。例示的な実施形態において、操作源60によって生成された操作信号は、対応する光路66(たとえば、66A、66B、66C)を通って(量子物体閉じ込め装置300がある)クライオスタットおよび/または真空チャンバ40の内部に提供される。様々な実施形態において、光路66は、信号管理システムの1つまたは複数の構成要素および/または要素によって少なくとも部分的に定められる。たとえば、光路66のうちの少なくとも1つは、信号管理システムの信号操作素子を含む、および/または信号管理システムの信号操作素子によって部分的に定められる。
【0039】
例示的な実施形態において、1つまたは複数の操作源60は、1つまたは複数のレーザー(光レーザー(optical laser)、マイクロ波源など)を含んでもよい。様々な実施形態において、各操作源60は、電磁スペクトルのマイクロ波、赤外線、可視光、または紫外線部分のそれぞれの特有の波長を有する操作信号を生成するように構成される。様々な実施形態において、1つまたは複数の操作源60は、閉じ込め装置内の1つまたは複数の量子物体の制御された量子状態の発展(evolution)を操作するおよび/または引き起こすように構成される。たとえば、1つまたは複数の操作源60が1つまたは複数のレーザーを含む例示的な実施形態において、レーザーは、クライオスタットおよび/または真空チャンバ40内の閉じ込め装置300によって捕獲された量子物体に1つまたは複数のレーザービームを提供してもよい。
【0040】
たとえば、操作源60は、信号管理システムの適切な信号操作素子に到来信号として提供される操作信号を生成する。信号操作素子、たとえば、メタマテリアルアレイに入射している到来信号は、量子物体閉じ込め装置の対応する量子物体位置に向けられたおよび/または焦点を合わせられた作用信号を放出するように、メタマテリアルアレイの複数のメタマテリアル構造を誘導する。たとえば、操作源60は、量子物体が、閉じ込められた量子物体の量子コンピュータ(confined quantum object quantum computer)の量子ビットとして使用されてもよいように、量子物体を量子ビット空間の状態に初期化する、閉じ込められた量子物体の量子コンピュータの1つまたは複数の量子ビットに対して1つまたは複数のゲートを実行する、閉じ込められた量子物体の量子コンピュータの1つまたは複数の量子ビットの状態を読み取るおよび/または決定するなどするために使用されることがある1つまたは複数のビームを生成するように構成されてもよい。
【0041】
様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、(たとえば、読み取り手順の間に)量子ビットによって生成された光子を収集および/または検出するように構成された光学収集システム70を含む。光学収集システム70は、1つまたは複数の光学素子(たとえば、レンズ、ミラー、導波路、光ファイバケーブルなど)および1つまたは複数の光検出器から構成されてもよい。様々な実施形態において、光検出器は、量子コンピュータの量子ビットの予想される蛍光波長の光に対する感度が高いフォトダイオード、光電子増倍管、電荷結合素子(CCD)センサー、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサー、微小電気機械システム(MEMS)センサー、および/またはその他の光検出器であってもよい。様々な実施形態において、検出器は、1つまたは複数のA/D変換器(図1)などを介してコントローラ30と電子的に通信してもよい。たとえば、量子物体が読み取られること、および/またはその量子状態を決定させることは、放出信号を発してもよく、放出信号の少なくとも一部は、信号管理システムの収集アレイに入射する。収集アレイに入射している放出信号は、量子物体閉じ込め装置の収集光学系に向けられたおよび/または焦点を合わせられた検出信号(detecting signal)を放出するように、収集アレイの複数のメタマテリアル構造を誘導する。収集光学系は、収集信号を光検出器に提供するように構成される。
【0042】
様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、1つまたは複数の電圧源50を含む。たとえば、電圧源50は、複数の電圧ドライバおよび/もしくは電圧源、ならびに/または少なくとも1つのRFドライバおよび/もしくは電圧源を含んでもよい。電圧源50は、例示的な実施形態において、閉じ込め装置300の、対応するポテンシャル生成素子(たとえば、電極)に電気的に結合されてもよい。
【0043】
様々な実施形態において、コンピューティングエンティティ10は、ユーザが(たとえば、コンピューティングエンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ110に入力を与え、量子コンピュータ110からの出力を受け取る、見るなどを可能にするように構成される。コンピューティングエンティティ10は、1つもしくは複数の有線もしくはワイヤレスネットワーク20を介して、ならびに/または直接有線および/もしくはワイヤレス通信を介して、量子コンピュータ110のコントローラ30と通信してもよい。例示的な実施形態において、コンピューティングエンティティ10は、情報/データ、量子コンピューティングアルゴリズムおよび/または回路などを、コントローラ30が理解および/または実施することができるコンピューティング言語、実行可能な命令、コマンドセットなどに変換する、構成する、フォーマットするなどしてもよい。
【0044】
様々な実施形態において、コントローラ30は、電圧源50、クライオスタットおよび/もしくは真空チャンバ40内の温度および圧力を制御するクライオスタットシステムおよび/もしくは真空システム、操作源60、光学収集システム70、および/またはクライオスタットおよび/もしくは真空チャンバ40内の様々な環境条件(たとえば、温度、圧力など)を制御するその他のシステムを制御するように構成され、ならびに/あるいは閉じ込め装置内の1つまたは複数の量子物体の量子状態の制御された発展を操作および/または引き起こすよう構成される。たとえば、コントローラ30は、量子回路および/またはアルゴリズムを実行するために、閉じ込め装置内の1つまたは複数の量子物体の量子状態の制御された発展を引き起こす場合がある。たとえば、コントローラ30は、おそらくは量子回路および/またはアルゴリズムの実行の一部として、コヒーレントシェルビング(coherent shelving)を含む読み取り手順を実行させる場合がある。様々な実施形態において、閉じ込め装置内に閉じ込められた量子物体は、量子コンピュータ110の量子ビットとして使用される。
【0045】
例示的な量子物体閉じ込め装置
様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置は、閉じ込めポテンシャルを生成するように構成される複数の電極を含む。たとえば、コントローラ30は、電圧源50を制御して、電極が閉じ込めポテンシャルを生成するように量子物体閉じ込め装置の電極に電気信号を提供してもよい。閉じ込めポテンシャルは、量子物体閉じ込め装置によって定められた閉じ込め体積内に複数の量子物体を閉じ込めるように構成される。たとえば、例示的な実施形態において、量子物体閉じ込め装置は、表面イオントラップであり、閉じ込め体積は、表面イオントラップの表面に近接して位置する体積である。様々な実施形態において、電極および/または閉じ込めポテンシャルは、閉じ込め体積内の複数の量子物体位置を定めるように構成される。
【0046】
様々な実施形態において、量子物体位置は、1次元または2次元レイアウトで配置される。たとえば、例示的な実施形態において、量子物体位置は、線形量子物体閉じ込め装置の軸に沿って配置される。別の例示的な実施形態において、量子物体位置は、2次元量子物体閉じ込め装置によって定められる2次元アレイまたはレイアウトで配置される。例示的な線形量子物体閉じ込め装置は、2019年12月17日に出願された特許文献1によって説明されているが、様々なその他の線形量子物体閉じ込め装置が、様々な実施形態において使用されてもよい。例示的な2次元量子物体閉じ込め装置は、2020年12月17日に出願された特許文献2によって説明されているが、様々なその他の2次元量子物体閉じ込め装置が、様々な実施形態において使用されてもよい。
【0047】
様々な実施形態において、閉じ込めポテンシャルは、電圧源50によって電極に提供される電気信号に基づいて時間と共に発展する。閉じ込めポテンシャルの発展は、1つまたは複数の量子物体をそれぞれの第1の量子物体位置からそれぞれの第2の量子物体位置に移動させるように構成される場合がある。図2および図3は、それぞれ、間隔因子(spacing factor)αだけ引き離された電極310のシーケンスを含む例示的な2次元量子物体閉じ込め装置300の一部を示す。例示的な実施形態において、間隔因子αは、500μmから1000μmまでの間の範囲内にある(たとえば、約750μm)。電極310のシーケンスは、複数の量子物体位置305を定める。様々な実施形態において、量子物体位置305は、電極310が、量子コンピュータの機能の実行のために、量子物体を(たとえば、量子物体の結晶の一部として)および/または量子物体のペアもしくはセットを(たとえば、2つ以上の量子ビットゲートを実行するために)維持するように、ならびに/あるいはその他の量子位置にあるその他の量子物体に対する量子コンピュータの機能の実行中に1つまたは複数の量子物体を記憶するように構成される、量子物体経路(quantum object path)320の一部に対応する体積である。
【0048】
示された実施形態において、電極310のシーケンスは、複数のアイランド(island)330および量子物体経路320を定める。様々な実施形態において、量子物体は、量子物体経路320に沿って様々な量子物体位置305の間を移動してもよい。概して、量子物体は、アイランド330上には位置しない。様々な実施形態において、1つまたは複数の信号操作素子(たとえば、作用アレイ)は、アイランド330上に配置および/または形成される場合がある。様々な実施形態において、1つまたは複数の信号操作素子(たとえば、収集アレイ)は、量子物体経路320上に配置および/または形成される場合がある。
【0049】
様々な実施形態において、電圧源50は、閉じ込めポテンシャルが形成されるように、閉じ込め装置300のポテンシャル生成素子(たとえば、電極310)に電気信号を提供する。閉じ込めポテンシャルの輪郭および時間発展に基づいて、1つまたは複数の量子物体が、それぞれの量子物体位置に閉じ込められ、量子物体位置の間を移動させられるなどする。量子物体が量子物体位置にあるとき、1つまたは複数の機能(たとえば、量子コンピューティング機能)が、量子物体に対して実行されてもよい。量子物体に対して実行されてもよい例示的な機能は、量子物体の光電離である。たとえば、量子物体を光電離するために、操作信号が量子物体に印加されてもよい。
【0050】
量子物体に対して実行されてもよい別の例示的な機能は、量子物体の状態準備である。たとえば、特定の量子状態の量子物体を準備するために、1つまたは複数の操作信号が量子物体に印加されてもよい。たとえば、特定の量子状態は、量子物体が量子コンピュータの量子ビットとして使用されてもよいような量子コンピュータによって使用される定められた量子ビット空間内の状態であってもよい。
【0051】
量子物体に対して実行されてもよい別の例示的な機能は、量子物体の量子状態の読み取りである。たとえば、操作信号(たとえば、読み取り信号)が、量子物体に印加されてもよい。量子物体の波動関数が量子ビット空間の第1の状態に崩壊するとき、量子物体は、量子物体への読み取り信号の印加に応答して蛍光を発する。量子物体の波動関数が量子ビット空間の第2の状態に崩壊するとき、量子物体は、量子物体への読み取り信号の印加に応答して蛍光を発しない。
【0052】
量子物体に対して実行されてもよい別の例示的な機能は、量子物体または量子物体を含む量子物体の結晶の冷却である。量子物体の結晶は、量子物体のペアまたはセットであり、量子物体の結晶の量子物体のうちの1つは、量子コンピュータの量子ビットとして使用され、量子物体の結晶の1つまたは複数のその他の量子物体は、量子ビット量子物体の共同冷却(sympathetic cooling)を実行するために使用される。たとえば、(量子ビット)量子物体を冷却させる(たとえば、(量子ビット)量子物体の振動および/またはその他の運動エネルギーを減らす)ために、操作信号(たとえば、冷却信号または共同冷却信号)が量子物体または量子物体の結晶に印加されてもよい。
【0053】
量子物体に対して実行されてもよい別の例示的な機能は、量子物体のシェルビングである。様々な実施形態において、量子ビット空間の第2の状態の量子物体が、読み取り機能の実行中にシェルビングされてもよい。たとえば、シェルビング動作は、読み取り動作が実行されている間に、量子ビット空間の第2の状態の量子物体の量子状態を、量子ビット空間外の少なくとも準安定状態に発展させることを含んでもよい。例示的なシェルビングプロセスは、2021年02月25日に出願された特許文献3によって説明されているが、様々なその他のシェルビングプロセスが、様々な実施形態において使用されてもよい。様々な実施形態において、量子物体のシェルビングは、量子物体が量子ビット空間の第2の状態にあるときに、量子物体の量子状態を量子ビット空間外の少なくとも準安定状態に発展させるために、量子物体に1つまたは複数の操作信号を印加することによって実行される。
【0054】
量子物体に対して実行されてもよい別の例示的な機能は、量子物体の(光)再ポンピングである。様々な実施形態において、量子物体の再ポンピングは、量子物体の量子状態を励起状態に発展させるために、量子物体に1つまたは複数の操作信号を印加することを含む。
【0055】
量子物体に対して実行されてもよい別の例示的な機能は、量子物体に対する単一の量子ビットゲートの実行である。たとえば、量子物体に対して単一の量子ビット量子ゲートを実行するために、1つまたは複数の操作信号が量子物体に印加されてもよい。
【0056】
量子物体に対して実行されてもよい別の例示的な機能は、量子物体に対する2量子ビットゲートの実行である。たとえば、量子物体および少なくとも1つのその他の量子物体に対して2量子ビット(または3、4、もしくはそれを超える)量子ゲートを実行するために、1つまたは複数の操作信号が、量子物体を含む量子物体のペアまたはセットに印加されてもよい。
【0057】
様々な実施形態において、量子物体位置は、1次元レイアウトで配置される場合がある。たとえば、例示的な実施形態において、量子物体位置は、線形量子物体閉じ込め装置の軸に沿って配置される。1つまたは複数の実施形態において、量子物体位置は、2次元レイアウトで配置される場合がある。別の例において、量子物体位置は、量子物体閉じ込め装置の1次軸(linear axis)および垂直軸によって定められる場合がある2次元アレイまたはレイアウトで配置される。
【0058】
様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置300は、1つまたは複数の信号操作素子を含む。様々な実施形態において、信号操作素子のうちの1つまたは複数は、メタマテリアルアレイであり、各メタマテリアルアレイは、それぞれがそれぞれのメタマテリアル表面を定めるおよび/または含む複数のメタマテリアル構造を含む。メタマテリアル構造のアレイ(たとえば、複数のメタマテリアル構造のそれぞれのメタマテリアル表面を組み合わせることによって形成される複合表面)は、フォトニックメタ表面を形成および/または提供する。メタマテリアルアレイおよびフォトニックメタ表面という用語は、本明細書においては互換可能に使用される。
【0059】
フォトニックメタ表面は、反射光または透過光の振幅、位相、および/または偏光の局所的制御によって実施されるコヒーレント干渉(coherent interference)によって光を操作するように設計された人工表面である。この制御は、光の波長以下のスケールの間隔を有する光散乱素子(たとえば、メタマテリアル構造)のアレイによって実施され、光散乱素子の各々は、少なくとも1つの次元において光の波長以下のスケールの寸法を有する。たとえば、本明細書において使用されるフォトニックメタ表面は、メタマテリアルアレイの複数のメタマテリアル構造によって形成される複合メタ表面を指す。メタマテリアルアレイのメタマテリアル構造は、おおよそ波長またはサブ波長(たとえば、ナノメートルスケール)の、(量子物体閉じ込め装置300の表面のその他の部分と比較して)高コントラストの構造であり、それらの構造の幾何学形状、サイズ、配列、および向きが、電磁波の位相、振幅、および偏光を制御する。電磁波のこの制御は、メタマテリアル構造を作るために使用されるバルク材料の結果ではなく、むしろ、メタマテリアル構造のサイズおよび形状の結果である。
【0060】
様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、コラム、柱などである場合がある。たとえば、様々な実施形態において、各メタマテリアル構造は、固体メタマテリアル構造で構成される場合がある。たとえば、例示的な実施形態において、1つまたは複数のメタマテリアル構造は、たとえば、ITOなどの透明導電酸化物の固体コアで構成される場合がある。様々な実施形態において、1つまたは複数のメタマテリアル構造は、誘電および/または非導電酸化物材料(たとえば、二酸化チタン)で作られたコアで構成されてもよく、透明導電酸化物(たとえば、ITO)を含むシェルが、コアを少なくとも部分的に覆うおよび/または取り囲む。
【0061】
1つまたは複数の実施形態において、メタマテリアル構造(柱、コラムなど)は、フォトニック結晶として使用される場合がある。いくつかの実施形態において、フォトニック結晶は、光子のエネルギーバンド構造を形成するために指定される場合がある周期的な誘電体構造である。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のフォトニック結晶は、電磁波の伝播を可能にする。1つまたは複数の実施形態において、メタマテリアル構造(柱、コラムなど)は、回折光学素子(DOE、たとえば、レンズ、回折格子など)として使用される場合がある。いくつかの実施形態では、回折光学素子は、所望の誘導信号を生成するために、1つまたは複数の入射信号と干渉および/または回折することによって動作してもよい。
【0062】
様々な実施形態において、1つまたは複数の電気的または磁気的共鳴を使用して幾何学的位相を修正するように構成される1つまたは複数のフォトニックメタ表面が使用される。様々な実施形態において、共鳴なしに伝播位相(propagation phase)を修正するように構成されてもよいフォトニックメタ表面(たとえば、切り詰められた導波路(truncated waveguide))が使用される。様々な実施形態において、フォトニックメタ表面は、それぞれのフォトニックメタ表面の所望の位相および振幅応答を局所的に作るために任意の次数の2つ以上の電気的または磁気的共鳴を使用する誘電性(たとえば、フォトニックメタ表面を形成するメタマテリアル構造のアレイは誘電体コアを含む)および/またはプラズモニックメタ表面である。様々なタイプのメタマテリアル表面を定める様々なその他のタイプのメタマテリアル構造が、様々な実施形態において使用される。
【0063】
様々な実施形態において、フォトニックメタ表面は、たとえば、電気双極子および磁気双極子の位相が構成要素のメタマテリアル構造の表面において確立されることに起因して、特定のおよび/または指定された方向に電磁波、放射線、ビーム、および/または信号を生成するように設計および/または構成される。様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、複数のメタマテリアル構造によって形成されるメタマテリアルアレイが、到来信号の、メタマテリアルアレイの少なくとも一部への入射に応答して、量子物体閉じ込め装置のそれぞれの量子物体位置に作用信号を提供するように、および/または放出信号の、メタマテリアルアレイの少なくとも一部への入射に応答して、量子コンピュータの収集光学系に収集信号を提供するように構成されるような形状および/またはサイズにされる正および/または負の構造を含む。
【0064】
誘電材料で形成され、閉じ込められた量子物体の近くに位置する従来のメタ表面は、メタ表面上の静電荷の蓄積という重大なリスクを負わせる場合がある。様々な実施形態において、少なくともメタマテリアル構造のシェルを形成するための透明導電材料(たとえば、ITO)の使用が、高い光学効率を維持しながら、閉じ込め装置によって定められる位置付近の(たとえば、量子物体付近の)静電気の蓄積のリスクを軽減する。たとえば、様々な実施形態は、閉じ込め装置の表面上の(たとえば、その上にメタ表面を形成するなどのための)誘電材料の使用に起因する静電気の蓄積を減らすように構成される閉じ込め装置および/または閉じ込め装置を含むシステムを提供する。様々な実施形態において、メタ表面上の静電気の蓄積は、閉じ込め装置の表面上にメタ表面を少なくとも部分的に形成するための透明導電材料の使用によって、従来の誘電性メタ表面に対して減らされる。
【0065】
1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つのメタ表面は、メタマテリアル構造の2次元アレイで定められる場合がある。様々な実施形態において、少なくとも1つのメタ表面は、1つまたは複数のメタマテリアル構造で構成されてもよい。1つまたは複数のメタマテリアル構造(たとえば、柱、コラムなど)は、透明導電材料(たとえば、透明導電酸化物など)で構成されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のメタマテリアル構造(たとえば、柱、コラムなど)は、透明導電材料の固体構造で構成されてもよい。様々な実施形態において、1つまたは複数のメタマテリアル構造(たとえば、柱、コラムなど)は、コアで構成されてもよく、コアは、誘電および/または非導電酸化物材料(たとえば、二酸化チタン)で作られてもよく、コアは、透明導電材料(たとえば、透明導電酸化物など)で作られたシェルによって覆われてもよい。
【0066】
図4Cは、作用アレイ400および/または収集アレイ440などの例示的な信号操作素子の一部を示す。例示的な信号操作素子は、複数のメタマテリアル構造410を含む。対応する信号操作素子によって放出される誘導作用信号および/または収集信号の幾何学形状、サイズ、配列、および/または偏光。様々な実施形態において、複数のメタマテリアル構造410の各メタマテリアル構造は、量子物体閉じ込め装置300の表面から0.5nmから1μmの範囲の距離だけ延びた柱である。様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、ナノメートルスケールの構造である。たとえば、メタマテリアル構造は、サブ波長の構造である。様々な実施形態において、サブ波長の構造は、表面から延び、ならびに/または構造に入射するように意図される放出信号の波長よりも小さい、ならびに/または構造によって放出されるように意図される作用信号および/もしくは収集信号の波長よりも小さい構造である。様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、導電材料、半導体材料、および/または誘電材料で形成されるかまたは作られる場合がある。様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、負の構造である。
【0067】
様々な実施形態において、メタマテリアルアレイ内のメタマテリアル構造の間隔および/または高さは、メタマテリアルアレイによって放出される誘導作用信号または収集信号が伝播する方向に影響を与える、および/またはそのような方向を定める。たとえば、作用アレイ400内のメタマテリアル構造の間隔および/または高さは、誘導作用信号が対応する量子物体位置305に向けられるおよび/または焦点を合わせられるようにするように構成されてもよい。たとえば、収集アレイ内のメタマテリアル構造の間隔および/または高さは、誘導収集信号が、対応する検出位置445に向けられるおよび/または焦点を合わせられるようにするように構成されてもよい。
【0068】
例示的なメタ表面
様々な実施形態において、信号管理システムは、量子物体閉じ込め装置300によって定められるそれぞれの量子物体位置へのおよび/または量子物体位置からの信号の提供および/または収集を制御するように構成される。様々な実施形態において、信号管理システムは、それぞれの量子物体位置に信号を提供するために使用される光路を定める。光路は、それぞれの信号操作素子を含む。様々な実施形態において、信号操作素子は、光路が量子物体閉じ込め装置の表面350に対して横断することを可能にするように構成される。
【0069】
様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置300は、1つまたは複数の信号操作素子を含む。様々な実施形態において、信号操作素子のうちの1つまたは複数は、メタマテリアルアレイであり、各メタマテリアルアレイは、各々がそれぞれのメタマテリアル表面を定めるおよび/または含む複数のメタマテリアル構造を含む。メタマテリアル構造のアレイ(たとえば、複数のメタマテリアル構造のそれぞれのメタマテリアル表面を組み合わせることによって形成される複合表面)は、フォトニックメタ表面を形成および/または提供する。メタマテリアルアレイおよびフォトニックメタ表面という用語は、本明細書においては互換可能に使用される。フォトニックメタ表面は、反射光または透過光の振幅、位相、および/または偏光の局所的制御によって実施されるコヒーレント界面(coherent interface)によって光を操作するように設計された人工表面である。この制御は、光の波長以下のスケールの間隔の光散乱素子(たとえば、メタマテリアル構造)のアレイによって実施され、光散乱素子の各々は、少なくとも1つの次元において光の波長以下のスケールの寸法を有する。たとえば、本明細書において使用されるフォトニックメタ表面は、メタマテリアルアレイの複数のメタマテリアル構造によって形成される複合メタ表面を指す。メタマテリアルアレイのメタマテリアル構造は、おおよそ波長またはサブ波長(たとえば、ナノメートルスケール)の、(量子物体閉じ込め装置300の表面のその他の部分と比較して)高コントラストの構造であり、それらの構造の幾何学形状、サイズ、配列、および向きが、電磁波の位相、振幅、および偏光を制御する。電磁波のこの制御は、メタマテリアル構造を作るために使用されるバルク材料の結果ではなく、むしろ、メタマテリアル構造のサイズおよび形状の結果である。
【0070】
例示的な実施形態において、信号操作素子は、量子物体閉じ込め装置の表面上に形成、堆積、および/または配置される。図4Aは、作用アレイ400が量子物体位置305に操作信号を印加するために使用される量子物体閉じ込め装置の部分断面図を示す。たとえば、コントローラ30は、1つまたは複数の操作源60を制御して操作信号を生成する。操作信号は、到来信号62が作用アレイ400に入射するように、量子物体閉じ込め装置300の表面350によって定められる平面に対して横に伝播する到来信号62として量子物体閉じ込め装置300に提供される。到来信号62が作用アレイ400に入射することは、それぞれの誘導作用信号64を対応する量子物体位置305に向けて放出させる。たとえば、誘導作用信号64は、量子物体位置305にある量子物体5に入射する。本明細書において使用されるとき、作用アレイ400は、操作源によって生成された到来信号の、作用アレイ400への入射に応答して、それぞれの量子物体位置に誘導作用信号を提供するように構成された信号操作素子である。示された実施形態において、作用アレイ400は、電極310および/またはアイランド330に対応する量子物体閉じ込め装置300の表面350の部分に形成される。
【0071】
図4Bは、収集アレイ440がそれぞれの量子物体位置において量子物体5によって生成された放出信号を収集するために使用される量子物体閉じ込め装置の部分断面図を示す。たとえば、量子ビット読み取り機能の間に、たとえば、量子物体位置305にある量子物体5は、放出信号72を放出させられてもよい。放出信号72の少なくとも一部は、収集アレイ440に入射する。放出信号72の少なくとも一部が収集アレイ440に入射することは、誘導収集信号74を収集アレイ440から検出位置445に向けて放出させる。様々な実施形態において、収集光学系は、検出位置445に位置するおよび/または配置される。たとえば、示された実施形態において、収集光学系は、収集信号74の少なくとも一部を収集ファイバ425に結合するように構成された収集レンズ420などの1つまたは複数の光学素子を含む。
【0072】
示された実施形態において、収集レンズ420は、少なくとも部分的に透明導電性酸化物で形成されたメタ表面レンズである。たとえば、例示的な実施形態において、収集レンズ420は、透明電極である。収集レンズ420は、隣接する基板上および/またはその基板内に形成される。
【0073】
様々な実施形態において、隣接する基板460は、閉じ込め装置300に対して取り付けられるおよび/または固定される。例示的な実施形態においては、(たとえば、収集レンズ420などの)1つまたは複数の電極が、隣接する基板460上に形成および/または配置される。たとえば、閉じ込め装置300によって閉じ込められた1つまたは複数の量子物体に力を加える1つまたは複数の電界を生成するために、隣接する基板460上に形成および/または配置された(たとえば、収集レンズ420などの)1つまたは複数の電極に電気信号が提供されてもよい。たとえば、隣接する基板460上に形成された(たとえば、収集レンズ420などの)1つまたは複数の電極は、閉じ込め装置300の閉じ込め体積を少なくとも部分的に定めるおよび/または制御するように構成されてもよい。たとえば、隣接する基板460上に形成された(たとえば、収集レンズ420などの)1つまたは複数の電極は、閉じ込め体積内に閉じ込められた1つまたは複数の量子物体によって経験される電気的環境(たとえば、電位および/または電界)に影響を与えることによって、閉じ込め体積を少なくとも部分的に定めるおよび/または制御するように構成されてもよい。
【0074】
図4Cは、作用アレイ400および/または収集アレイ440などの例示的な信号操作素子の一部を示す。例示的な信号操作素子は、複数のメタマテリアル構造410を含む。複数のメタマテリアル構造410の幾何学形状、サイズ、配列、および/または向きが、対応する信号操作素子によって放出される誘導作用信号および/または収集信号の位相、振幅、および偏光を制御する。様々な実施形態において、複数のメタマテリアル構造410の各メタマテリアル構造は、量子物体閉じ込め装置300および/または(閉じ込め装置300に対して固定される)隣接する基板460の表面450から0.5nmから1μmの範囲の距離だけ延びた柱である。たとえば、メタマテリアル構造は、ナノメートルスケールの構造である。様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、サブ波長の構造である。様々な実施形態において、サブ波長の構造は、表面350から延び、ならびに/あるいは到来信号の波長未満の、および/または構造に入射するように意図される放出信号の波長未満の、および/または構造によって放出されるように意図される作用信号および/もしくは収集信号の波長未満の直径/辺の長さを有する構造である。様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、導電材料、半導体材料、および/または誘電材料で形成されるかまたは作られる場合がある。様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、負の構造(たとえば、穴、凹みなど)である。
【0075】
様々な実施形態において、信号操作素子(たとえば、メタマテリアルアレイ)内のメタマテリアル構造の半径および/または(正もしくは負の)高さならびにメタマテリアル構造の間隔は、信号操作素子が到来信号のエネルギーおよび/もしくはエネルギー束を作用信号におよび/または放出信号のエネルギーおよび/もしくはエネルギー束を収集信号に変換する効率に影響を与える、ならびに/あるいはそのような効率を定める。
【0076】
様々な実施形態において、(たとえば、量子物体閉じ込め装置300の表面350に実質的に平行な平面内の断面における)メタマテリアルアレイのメタマテリアル構造の形状は、メタマテリアルアレイによって放出される誘導作用信号または収集信号の偏光に影響を与える、および/またはそのような偏光を定める。
【0077】
様々な実施形態において、メタマテリアルアレイ内のメタマテリアル構造の間隔および/または高さは、メタマテリアルアレイによって放出される誘導作用信号または収集信号が伝播する方向に影響を与える、および/またはそのような方向を定める。たとえば、作用アレイ400内のメタマテリアル構造の間隔および/または高さは、誘導作用信号が対応する量子物体位置305に向けられるおよび/または焦点を合わせられるようにするように構成されてもよい。たとえば、収集アレイ440内のメタマテリアル構造の間隔および/または高さは、誘導収集信号が対応する検出位置445に向けられるおよび/または焦点を合わせられるようにするように構成されてもよい。
【0078】
様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置300の作用アレイ400および/または収集アレイ440は、量子物体閉じ込め装置300の表面350上に形成および/または配置される。様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置300の表面350の少なくとも一部は、複数のメタマテリアル構造410(たとえば、操作素子)で構成される。様々な実施形態において、1つまたは複数のメタマテリアル構造410は、酸化物および/または電気絶縁層で構成されてもよい。様々な実施形態において、1つまたは複数のメタマテリアル構造410は、透明導電材料(たとえば、ITO)で構成される。透明導電材料で構成されるメタマテリアル構造は、量子物体閉じ込め装置300の表面上および/または表面の周辺の静電荷の蓄積を軽減しながら、システムに高い光学効率を提供する。様々な実施形態において、複数のメタマテリアル構造410は、システム内の静電荷の蓄積を減らすために、作用アレイ400および/または収集アレイ440の2Dアレイを含む。1つまたは複数の実施形態において、透明導電材料を含む複数のメタマテリアル構造によって形成されるメタ表面は、作用アレイ400および/または収集アレイ440として機能することに加えて、光活性デバイス(たとえば、PVセル、光変調器など)のための透明電極として使用される場合がある。
【0079】
様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置300の表面上にある複数のメタマテリアル構造410は、外側部分に透明導電材料シェル603Aを持つ非導電酸化物コア603Bで構成されてもよい。様々な実施形態において、メタマテリアル構造410は、誘電材料(たとえば、二酸化チタン)で作られたコア603Bと、透明導電材料(たとえば、ITO)のシェル603Aとで構成されてもよく、コア603Bおよびシェル603Aは、量子物体閉じ込め装置300の表面上の静電荷の蓄積を減らしながら、なおも高い光学効率をシステムに提供する。1つまたは複数の実施形態において、コア-シェルメタマテリアル構造410は、システムの電極の少なくとも一部として依然として動作してもよい。1つまたは複数の実施形態において、メタマテリアル構造410は、誘電体(たとえば、二酸化チタン)コアを覆う透明導電材料(たとえば、酸化インジウムスズ(ITO))の外側シェル603Aで構成されてもよい。
【0080】
1つまたは複数の実施形態において、複数のメタマテリアル構造は、共鳴なしに伝播位相を修正するように構成された誘電性フォトニックメタ表面(たとえば、切り詰められた導波路)として使用されてもよい。様々な実施形態において、フォトニックメタ表面は、それぞれのフォトニックメタ表面の所望の位相および振幅応答を局所的に作るために任意の次数の2つ以上の電気的共鳴を使用する誘電性メタ表面である。様々なタイプのメタマテリアル表面を定める様々なその他のタイプのメタマテリアル構造410が、様々な実施形態において使用される。
【0081】
フォトニックメタ表面は、たとえば、電気双極子および磁気双極子の位相が構成要素のメタマテリアル構造の表面において確立されることに起因して、特定のおよび/または指定された方向に電磁波、放射線、ビーム、および/または信号を生成するように設計および/または構成され得る。様々な実施形態において、メタマテリアル構造は、複数のメタマテリアル構造によって形成されるメタマテリアルアレイが、到来信号の、メタマテリアルアレイの少なくとも一部への入射に応答して、量子物体閉じ込め装置のそれぞれの量子物体位置に作用信号を提供するように、および/または放出信号の、メタマテリアルアレイの少なくとも一部への入射に応答して、量子コンピュータの収集光学系に収集信号を提供するように構成されるような形状および/またはサイズにされる正および/または負の構造を含む。
【0082】
1つまたは複数の実施形態において、図5に示されるように、量子物体閉じ込め装置300は、複数の電極500を含んでもよく、電極は、複数のメタ表面(たとえば、511A、511B、511C)でさらに構成される。様々な実施形態において、図5をさらに参照すると、複数のメタ表面(たとえば、511A、511B、511C)のうちの1つまたは複数は、RFレール(RF rail)510によって結びつけられ、および/または間隙(たとえば、512Aおよび512B)によって引き離されてもよい。
【0083】
図7は、量子物体閉じ込め装置300の表面350上の信号操作素子の別の例示的な配列700を示す。配列700は、複数の作用アレイ720(たとえば、720A~H)および収集アレイ740を含む。例示的な実施形態において、作用アレイ720の各々は、量子コンピュータの1つまたは複数の機能を実行するために使用するために構成される。たとえば、各作用アレイ720は、それぞれの機能に対応するそれぞれの特定の波長および/またはそれぞれの波長範囲で使用するために構成されてもよい。たとえば、各作用アレイ720は、特定の方法で焦点を合わせられる作用アレイ720を提供するように構成されてもよい。たとえば、作用アレイ720は、誘導作用信号をそれぞれの量子物体位置および/またはそれぞれの量子物体の位置の1つもしくは複数の部分に焦点合わせするように構成されてもよい。それぞれの作用アレイ720の特定の焦点特性は、作用アレイ720が実行する際に使用するために設計されている対応する機能に少なくとも部分的に基づいて構成される。
【0084】
様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置300は、真空/極低温チャンバ、1つもしくは複数の放射線シールドなどの中にある。
【0085】
様々な実施形態において、メタマテリアル構造410の2次元アレイは、量子物体閉じ込め装置300の基板の表面上にある。1つまたは複数の実施形態において、メタマテリアル構造410の2次元アレイは、複数の電極として働く場合があり、量子物体閉じ込め装置300の表面上に配置される場合がある。たとえば、メタマテリアル構造が電極のように働く複数のメタマテリアル構造410は、光活性デバイスのための透明電極として使用される場合がある。
【0086】
例示的なコントローラ
様々な実施形態において、量子物体閉じ込め装置300は、コントローラ30を含むシステム(たとえば、量子コンピュータ110)に組み込まれる。様々な実施形態において、コントローラ30は、システム(たとえば、量子コンピュータ110)の様々な要素を制御するように構成される。たとえば、コントローラは、電圧源50、クライオスタットおよび/もしくは真空チャンバ40内の温度および圧力を制御するクライオスタットシステムおよび/もしくは真空システム、操作源60、冷却システム、および/またはクライオスタットおよび/もしくは真空チャンバ40内の環境条件(たとえば、温度、湿度、圧力など)を制御するその他のシステムを制御するように構成され、ならびに/あるいは量子物体閉じ込め装置300によって閉じ込められた1つまたは複数の量子物体の量子状態の制御された発展を操作するおよび/または引き起こすように構成されてもよい。様々な実施形態において、コントローラ30は、1つまたは複数の光学収集システムから信号を受信するように構成されてもよい。
【0087】
図8に示されるように、様々な実施形態において、コントローラ30は、処理要素805、メモリ810、ドライバコントローラ要素815、通信インターフェース820、アナログ-デジタル変換器要素825などを含む様々なコントローラ要素で構成されてもよい。たとえば、処理要素805は、プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、マイクロプロセッサ、コプロセッシングエンティティ、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP: application-specific instruction-set processor)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、ハードウェアアクセラレータ、その他の処理デバイスおよび/もしくは回路など、ならびに/またコントローラを含んでもよい。回路という用語は、完全にハードウェアの実施形態、またはハードウェアとコンピュータプログラム製品との組合せを指す場合がある。例示的な実施形態において、コントローラ30の処理要素805は、クロックを含む、および/またはクロックと通信する。
【0088】
たとえば、メモリ810は、ハードディスク、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリ、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどのうちの1つまたは複数などの揮発性および/または不揮発性メモリストレージなどの非一時的メモリを含んでもよい。様々な実施形態において、メモリ810は、量子アルゴリズムおよび/または回路を実行させるために実行されるコマンドのキュー(たとえば、実行可能キュー)、(たとえば、量子ビットレコードデータストア、量子ビットレコードデータベース、量子ビットレコードテーブルなどの)量子コンピュータの量子ビットに対応する量子ビットレコード、較正テーブル、(たとえば、1つまたは複数のコンピュータ言語、特殊なコントローラ言語などの)コンピュータプログラムコードなどを記憶する場合がある。例示的な実施形態において、(たとえば、処理要素805による)メモリ810に記憶されたコンピュータプログラムコードの少なくとも一部の実行は、量子物体位置に操作信号を提供するため、ならびに/または量子物体閉じ込め装置300の対応する量子物体位置にある量子物体によって放出された放出信号のインジケーションを収集、検出、捕捉、および/もしくは測定するために、本明細書に記載の1つまたは複数のステップ、動作、プロセス、手順などをコントローラ30に実行させる。
【0089】
様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素815は、1つもしくは複数のドライバ、および/またはそれぞれが1つもしくは複数のドライバを制御するように構成されたコントローラ要素を含んでもよい。様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素815は、ドライバおよび/またはドライバコントローラを含んでもよい。たとえば、ドライバコントローラは、コントローラ30によって(たとえば、処理要素805によって)スケジューリングされ、実行される実行可能な命令、コマンドなどに従って、1つまたは複数の対応するドライバを動作させるように構成されてもよい。様々な実施形態において、ドライバコントローラ要素815は、コントローラ30が電圧源50、操作源60、冷却システムなどを動作させることを可能にしてもよい。様々な実施形態において、ドライバは、操作信号を生成するように1つまたは複数の操作源60を動作させるように構成されたレーザードライバ、真空構成要素ドライバ、量子物体閉じ込め装置300の捕獲ポテンシャルを維持および/もしくは制御するために使用される電極に印加される電流の流れおよび/もしくは電圧を制御するためのドライバ(ならびに/または量子物体閉じ込め装置のポテンシャル生成素子にドライバ作用シーケンス(driver action sequence)を与えるためのその他のドライバ)、クライオスタットおよび/もしくは真空システム構成要素ドライバ、冷却システムドライバなどである場合がある。様々な実施形態において、コントローラ30は、1つまたは複数の受光器構成要素(たとえば、光学収集システムの光検出器)からの信号を伝達および/または受信するための手段を含む。たとえば、コントローラ30は、1つまたは複数の受光器構成要素(たとえば、光学収集システムの光検出器)、較正センサーなどからの信号を受信するように構成された1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器要素825を含んでもよい。
【0090】
例示的なコンピューティングエンティティ
図9は、本発明の実施形態と連係して使用され得る例示的なコンピューティングエンティティ10を表す説明的な概略図を提供する。様々な実施形態において、コンピューティングエンティティ10は、ユーザが(たとえば、コンピューティングエンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ110に入力を与え、量子コンピュータ110からの出力を受け取る、表示する、分析するなどすることを可能にするように構成される。
【0091】
図9に示されるように、コンピューティングエンティティ10は、アンテナ912、(たとえば、無線)送信機904、(たとえば、無線)受信機906、ならびにそれぞれ送信機904および受信機906に信号を提供し、送信機904および受信機906から信号を受信する処理要素908を含み得る。送信機904および受信機906に提供され、送信機904および受信機906から受信される信号はそれぞれ、コントローラ30、その他のコンピューティングエンティティ10などの様々なエンティティと通信するために、適用可能なワイヤレスシステムの無線インターフェース規格によるシグナリング情報/データを含んでもよい。この点で、コンピューティングエンティティ10は、1つまたは複数の無線インターフェース規格、通信プロトコル、変調タイプ、およびアクセスタイプを用いて動作することができてもよい。たとえば、コンピューティングエンティティ10は、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、デジタル加入者線(DSL)、イーサネット、非同期転送モード(ATM)、フレームリレー、データ・オーバー・ケーブル・サービス・インターフェース仕様(DOCSIS: data over cable service interface specification)、または任意のその他の有線送信プロトコルなどの有線データ送信プロトコルを使用して通信を受信および/または提供するように構成されてもよい。同様に、コンピューティングエンティティ10は、汎用パケット無線サービス(GPRS)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、符号分割多元接続2000(CDMA2000)、CDMA2000 1X(1xRTT)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、移動体通信用グローバルシステム(GSM)、GSMの進化のための高速化されたデータレート(EDGE: Enhanced Data rates for GSM Evolution)、時分割同期符号分割多元接続(TD-SCDMA)、ロングタームエボリューション(LTE)、進化型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)、エボリューションデータオプティマイズド(EVDO: Evolution-Data Optimized)、高速パケットアクセス(HSPA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、Wi-Fi Direct、802.16(WiMAX(登録商標))、ウルトラワイドバンド(UWB)、赤外線(IR)プロトコル、近距離無線通信(NFC)プロトコル、Wibree、Bluetooth(登録商標)プロトコル、ワイヤレスユニバーサルシリアルバス(USB)プロトコル、および/または任意のその他のワイヤレスプロトコルなどの様々なプロトコルのいずれかを使用してワイヤレス外部通信ネットワークを介して通信するように構成されてもよい。コンピューティングエンティティ10は、そのようなプロトコルおよび規格を使用して、ボーダーゲートウェイプロトコル(BGP)、動的ホスト構成プロトコル(DHCP)、ドメインネームシステム(DNS)、ファイル転送プロトコル(FTP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、HTTPオーバーTLS/SSL/セキュア(HTTP over TLS/SSL/Secure)、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)、ネットワークタイムプロトコル(NTP)、簡易メール転送プロトコル(SMTP)、Telnet、トランスポートレイヤセキュリティ(TLS)、セキュアソケットレイヤ(SSL)、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、データグラム輻輳制御プロトコル(DCCP: Datagram Congestion Control Protocol)、ストリーム制御伝送プロトコル(SCTP: Stream Control Transmission Protocol)、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)などを使用して通信してもよい。
【0092】
これらの通信規格およびプロトコルによって、コンピューティングエンティティ10は、非構造化付加サービス情報/データ(USSD: Unstructured Supplementary Service information/data)、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディアメッセージングサービス(MMS)、デュアルトーン多周波数シグナリング(DTMF: Dual-Tone Multi-Frequency Signaling)、および/または加入者識別モジュールダイヤラ(SIMダイヤラ)などの概念を使用して、様々なその他のエンティティと通信することができる。コンピューティングエンティティ10は、たとえば、そのファームウェア、ソフトウェア(たとえば、実行可能な命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、およびオペレーティングシステムに対する変更、アドオン、およびアップデートをダウンロードすることもできる。
【0093】
様々な実施形態において、コンピューティングエンティティ10は、たとえば、コントローラ30とインターフェースを取るおよび/または通信するためのネットワークインターフェース920を含んでもよい。たとえば、コンピューティングエンティティ10は、コントローラ30によって受信するための実行可能な命令、コマンドセットなどを提供するため、ならびに/または量子コンピュータ110によって提供される出力および/もしくは出力を処理した結果を受信するためのネットワークインターフェース920を含んでもよい。様々な実施形態において、コンピューティングエンティティ10およびコントローラ30は、直接有線および/もしくはワイヤレス接続を介して、ならびに/または1つもしくは複数の有線および/もしくはワイヤレスネットワーク20を介して通信してもよい。
【0094】
コンピューティングエンティティ10は、1つまたは複数のユーザ入力/出力インターフェース(たとえば、処理要素908に結合されたディスプレイ916および/またはスピーカ/スピーカドライバ、ならびに処理要素908に結合されたタッチスクリーン、キーボード、マウス、および/またはマイクロフォン)を含むユーザインターフェースデバイスも含んでいてもよい。たとえば、ユーザ出力インターフェースは、情報/データの表示または可聴の提示を引き起こすために、および1つまたは複数のユーザ入力インターフェースを介したそれらの情報/データとのインタラクションのために、コンピューティングエンティティ10上で実行されるおよび/またはコンピューティングエンティティ10を介してアクセス可能なアプリケーション、ブラウザ、ユーザインターフェース、インターフェース、ダッシュボード、スクリーン、ウェブページ、ページ、および/または本明細書において交換可能に使用される同様の語を提供するように構成される場合がある。ユーザ入力インターフェースは、キーパッド918(ハードもしくはソフト)、タッチディスプレイ、音声/スピーチもしくはモーションインターフェース、スキャナ、リーダー、またはその他の入力デバイスなどの、コンピューティングエンティティ10がデータを受け取ることを可能にする多くのデバイスのうちのいずれかを含み得る。キーパッド918を含む実施形態において、キーパッド918は、従来の数字(0~9)および関連するキー(#、*)、ならびにコンピューティングエンティティ10を操作するために使用されるその他のキーを含む(またはそれらを表示させる)ことが可能であり、アルファベットキーの完全なセット、または英数字キーの完全なセットを提供するために作動されてもよいキーのセットを含む場合がある。入力を提供することに加えて、ユーザ入力インターフェースは、たとえば、スクリーンセーバーおよび/またはスリープモードなどの特定の機能をアクティブ化または非アクティブ化するために使用され得る。そのような入力を通じて、コンピューティングエンティティ10は、情報/データ、ユーザインタラクション/入力などを収集することができる。
【0095】
コンピューティングエンティティ10は、揮発性ストレージもしくはメモリ922および/または不揮発性ストレージもしくはメモリも含むことが可能であり、それらは、組み込まれることが可能であり、および/または取り外し可能である場合がある。たとえば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリなどであってもよい。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどであってもよい。揮発性および不揮発性ストレージまたはメモリは、コンピューティングエンティティ10の機能を実装するためのデータベース、データベースインスタンス、データベース管理システムエンティティ、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルされたコード、解釈されたコード、機械コード、実行可能な命令などを記憶することができる。
【符号の説明】
【0096】
5 量子物体
10 コンピューティングエンティティ
30 コントローラ
40 クライオスタットおよび/または真空チャンバ
50 電圧源
60 操作源
62 到来信号
64 誘導作用信号
66 光路
66A、66B、66C 光路
70 光学収集システム
72 放出信号
74 誘導収集信号
100 量子コンピューティングシステム
110 量子コンピュータ
300 量子物体閉じ込め装置、閉じ込め装置
305 量子物体位置
310 電極
320 量子物体経路
330 アイランド
350 表面
400 作用アレイ
410 メタマテリアル構造
420 収集レンズ
425 収集ファイバ
440 収集アレイ
445 検出位置
450 表面
460 隣接する基板
500 電極
510 RFレール
511A、511B、511C メタ表面
512A、512B 間隙
603A 透明導電材料シェル、シェル
603B 非導電酸化物コア、コア
700 配列
720、720A~H 作用アレイ
740 収集アレイ
805 処理要素
810 メモリ
815 ドライバコントローラ要素
820 通信インターフェース
825 アナログ-デジタル変換器要素
904 送信機
906 受信機
908 処理要素
912 アンテナ
916 ディスプレイ
918 キーパッド
920 ネットワークインターフェース
922 揮発性ストレージもしくはメモリ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2025-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の量子物体を閉じ込めるように構成された閉じ込めポテンシャルを生成するように構成された複数の電極であって、前記閉じ込めポテンシャルが、複数の量子物体位置を定める、複数の電極と、
1つまたは複数のメタ表面であって、前記1つまたは複数のメタ表面の各メタ表面が、前記複数の量子物体位置のそれぞれの量子物体位置に関連付けられ、前記メタ表面が、透明導電酸化物を含む、1つまたは複数のメタ表面と、
を含む、量子物体閉じ込め装置。
【請求項2】
前記メタ表面が、前記複数の電極のうちの1つである、請求項1に記載の量子物体閉じ込め装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数のメタマテリアル構造が、誘電材料を含むコアを含み、前記コアが、前記透明導電酸化物を含むシェル内に包み込まれる、請求項1に記載の量子物体閉じ込め装置。
【国際調査報告】