(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-01
(54)【発明の名称】癌を治療するためのIL-12遺伝子治療と抗VEGFとの併用
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20250924BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250924BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20250924BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250924BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20250924BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20250924BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250924BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20250924BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20250924BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20250924BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20250924BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20250924BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20250924BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250924BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20250924BHJP
C12N 15/88 20060101ALN20250924BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20250924BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20250924BHJP
C12N 15/24 20060101ALN20250924BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61P43/00 105
A61P37/02
A61P43/00 121
A61K39/395 D
A61K9/16
A61K47/28
A61K47/10
A61K47/32
A61K45/00
A61K31/704
A61P43/00 111
A61K31/337
A61K31/502
A61K31/282
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P15/00
C12N15/88 Z
C12N15/63 Z
C07K16/28
C12N15/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025514225
(86)(22)【出願日】2023-09-06
(85)【翻訳文提出日】2025-05-02
(86)【国際出願番号】 US2023073563
(87)【国際公開番号】W WO2024054855
(87)【国際公開日】2024-03-14
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504305337
【氏名又は名称】イムノン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンワー、クルシード
(72)【発明者】
【氏名】マタル、マジェド モド
(72)【発明者】
【氏名】ライス、ジェニファー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076BB11
4C076BB13
4C076CC07
4C076CC17
4C076CC27
4C076DD70
4C076EE13
4C076EE23
4C084AA13
4C084AA22
4C084MA41
4C084MA56
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZB071
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG06
4C086AA01
4C086BA02
4C086BC50
4C086EA10
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA41
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206JB16
4C206MA03
4C206MA05
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA81
4C206ZB21
4C206ZB26
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、抗VEGF抗体と、IL-12コード核酸を含むナノ粒子配合プラスミドと、任意選択的に少なくとも1つのアジュバント化学療法薬とを含む併用療法、ならびにそのような併用療法および/または組成物を使用する治療方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リポポリマーで製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸ベクターと、
(b)血管内皮成長因子(VEGF)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント(抗VEGF抗体)と
を含む、併用療法。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドがヒトIL-12をコードする、請求項1に記載の併用療法。
【請求項3】
前記核酸ベクターが、IL-12のp35サブユニットをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターと、IL12のp40サブユニットをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターとを含む、請求項1または2に記載の併用療法。
【請求項4】
前記核酸ベクターが、イントロン、3’UTR、抗生物質耐性遺伝子、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、
図4の要素)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項5】
前記リポポリマーが、コレステロール基およびポリエチレングリコール(PEG)基に独立して共有結合したポリエチレンイミン(PEI)を含む(例えば、
図5のリポポリマー)、請求項1~4のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項6】
前記併用が抗癌剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項7】
前記抗癌剤が化学療法剤である、請求項6に記載の併用療法。
【請求項8】
前記抗癌剤が、ドキソルビシン、パクリタキセル、カルボプラチン、ドセタキセル、nab-パクリタキセル、オラパリブ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の併用療法。
【請求項9】
前記抗癌剤がパクリタキセルである、請求項6に記載の併用療法。
【請求項10】
前記抗癌剤がカルボプラチンである、請求項6に記載の併用療法。
【請求項11】
前記抗癌剤がドセタキセルである、請求項6に記載の併用療法。
【請求項12】
前記抗癌剤がnab-パクリタキセルである、請求項6に記載の併用療法。
【請求項13】
前記抗癌剤がオラパリブである、請求項6に記載の併用療法。
【請求項14】
前記抗VEGF抗体がベバシズマブまたはラニビズマブからなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項15】
前記抗VEGF抗体がベバシズマブである、請求項14に記載の併用療法。
【請求項16】
前記抗VEGF抗体がアバスチンまたはそのバイオシミラーである、請求項15に記載の併用療法。
【請求項17】
前記抗VEGF抗体がラニビズマブである、請求項14に記載の併用療法。
【請求項18】
前記抗VEGF抗体がルセンティスまたはそのバイオシミラーである、請求項17に記載の併用療法。
【請求項19】
前記抗VEGF抗体が、配列番号1と少なくとも約85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)と、配列番号2と少なくとも約85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)とを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項20】
前記抗VEGF抗体が、配列番号1と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)と、配列番号2と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)とを含む、請求項19に記載の併用療法。
【請求項21】
前記核酸ベクターがプラスミドを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項22】
前記3’UTRがhGH 3’UTRを含む、請求項4~21のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の併用療法を対象に投与することを含む、癌に罹患している対象を治療する方法。
【請求項24】
前記リポポリマーで製剤化された前記核酸ベクターが腫瘍内または腹腔内に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記リポポリマーで製剤化された前記核酸ベクターが静脈内投与される、請求項23~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗VEGF抗体が、腫瘍内、腹腔内、静脈内、膀胱内、またはそれらの任意の組み合わせで投与される、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗VEGF抗体が静脈内投与される、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記リポポリマーで製剤化された前記核酸ベクターが、前記抗VEGF抗体の前に、前記抗VEGF抗体と同時に、または前記抗VEGF抗体の後に投与される、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記リポポリマーで製剤化された前記核酸ベクターが、前記抗癌剤の前に、前記抗癌剤と同時に、または前記抗癌剤の後に投与される、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
抗癌剤を投与し、次いで前記リポポリマーで製剤化された前記核酸ベクターを投与し、次いで前記抗VEGF抗体を投与する、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
抗癌剤を投与し、次いで前記リポポリマーで製剤化された前記核酸ベクターを投与し、次いで前記抗VEGF抗体を投与し、次いで組織または腫瘍の全部または一部を除去する手術を行う、請求項23~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記手術が、インターバル細胞減少手術である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
抗癌剤を投与し、次いでDNAプラスミドを投与し、次いで前記抗VEGF抗体を投与し、次いでインターバル細胞減少手術を行う、請求項23~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記抗癌剤が、前記インターバル細胞減少手術の前に、3週間毎に約12週間~約18週間にわたり投与される、請求項23~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抗癌剤が、前記インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に投与される、請求項23~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記抗癌剤が、前記インターバル細胞減少手術の後、約9週間にわたって3週間毎に投与される、請求項23~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記抗癌剤の前記投与が、パクリタキセルを約100~200mg/m
2の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む、請求項23~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗癌剤の投与が、パクリタキセルを約175mg/m
2の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗癌剤の前記投与が、ドセタキセルを約50~100mg/m
2の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む、請求項23~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗癌剤の前記投与が、ドセタキセルを約75mg/m
2の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記抗癌剤の前記投与が、nab-パクリタキセルを約200~300mg/m
2の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む、請求項23~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗癌剤の投与が、nab-パクリタキセルを約260mg/m
2の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記インターバル細胞減少手術の前の前記ナノ粒子の前記投与が、前記抗癌剤の最初の投与の15日後に開始され、少なくとも約12週間~約18週間にわたり毎週行われる、請求項23~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ナノ粒子が、前記インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に投与され、および投与が前記抗癌剤の最初の投与の15日後に開始され、少なくとも約9週間にわたり毎週行われる、請求項23~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
リポポリマーで製剤化された前記インターロイキン-12(IL-12)のプラスミドが、約35mg/m
2~約80mg/m
2の用量で投与される、請求項23~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
リポポリマーで製剤化された前記インターロイキン-12(IL-12)のプラスミドが、約50mg/m
2~約100mg/m
2の用量で投与される、請求項23~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
リポポリマーで製剤化された前記インターロイキン-12(IL-12)のプラスミドが、約80mg/m
2の用量で投与される、請求項23~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記リポポリマーがナノ粒子である、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗VEGF抗体が、前記インターバル細胞減少手術の前に、前記抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後から、少なくとも約12週間~最大約18週間にわたって毎週投与される、請求項23~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記抗VEGF抗体が、前記インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後、および前記抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後から、少なくとも約9週間にわたって毎週投与される、請求項23~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記抗VEGF抗体が約10~20mg/kg IVの用量で投与される、請求項23~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記抗VEGF抗体が約15mg/kg IVの用量で投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記インターバル細胞減少手術(ICS)が、抗癌剤の前記投与の少なくとも約28日後に行われる、請求項23~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記インターバル細胞減少手術(ICS)が、前記DNAプラスミドの投与の少なくとも約7日後に行われる、請求項23~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記インターバル細胞減少手術(ICS)が、前記DNAプラスミドの投与の少なくとも約7日後に行われる、請求項23~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記インターバル細胞減少手術(ICS)が、前記抗VEGF抗体の前記投与の少なくとも約28日前に行われる、請求項23~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記インターバル細胞減少手術(ICS)が、前記抗VEGF抗体の前記投与の少なくとも約28日後に行われる、請求項23~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記癌が、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、膀胱癌、脳癌、肺癌、およびそれらの任意の組み合わせ、ならびに前記いずれかの癌の転移からなる群から選択される、請求項23~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記脳癌が神経膠芽腫である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記癌が、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項23~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象がヒトである、請求項23~60のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年9月7日に出願された米国仮出願第63/374,900号の優先権利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表の参照
本開示と共に提出された.XMLファイル(名称:2437_081PC01_SequenceListing_ST26;サイズ:9,811バイト;作成日:2023年9月6日)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、癌治療、遺伝子治療および免疫学の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
卵巣癌は、米国の女性の中で5番目に致死的なタイプの癌であり、毎年推定14,000人が死亡している。卵巣癌の新規症例は毎年約22,000例あり、症例の大部分である約70%が、進行したステージIIIおよびIVで診断される。上皮卵巣癌(EOC)は、腹膜腔における腫瘍の播種を特徴とし、一見成功した手術および化学療法後に再発するリスクが高い(75%、ステージIIIおよびIV)。
【0005】
IL-12は、癌に対する免疫応答を刺激するための最も活性なサイトカインの1つである。しかしながら、組換えタンパク質として投与される場合、IL-12の薬物動態学は、IL-12が頻繁な大量ボーラス注射によって投与されることを必要とし、その使用を制限する重篤な毒性をもたらす。GEN-1は、リポポリマー送達系を使用して製剤化されたIL-12 DNAプラスミドベクターである。GEN-1は局所的に(例えば、腹腔内)送達することができ、潜在的な全身毒性を最小限に抑えながら有効性の増加を達成する目的で、腫瘍微小環境においてサイトカインが特異的に発現される可能性を提供する。GEN-1は、単剤として、または標準的な化学療法と組み合わせて、再発性卵巣癌を有する対象において研究されている。
【0006】
従来の化学療法レジメンは、細胞傷害性機構によって腫瘍成長を阻害するように設計されているが、免疫サイトカイン療法は、癌細胞に対する免疫系を増強することによって腫瘍死滅を誘発するように設計されている。GEN-1は、IL-12に関連する毒性の問題を軽減する。そのナノ粒子プロファイルは、組換えIL-12に関連する毒性を回避しながら、細胞トランスフェクションとそれに続く治療レベルでのIL-12の持続的な局所分泌を可能にする。
【0007】
EOCおよび再発性卵巣癌と診断されたものを含む卵巣癌治療が依然として必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】mGEN-1、様々な投与量レベルのベバシズマブ(Bevicuzimab)、および様々な投与量レベルのベバシズマブと組み合わせたmGEN-1の投与後の、対照群と比較した腫瘍重量(mg)の差を示す図である。
【0009】
【
図2】未処置のヌードFoxn1
nuマウス、ドキソルビシン(Doxil)+ベバシズマブで処置したヌードFoxn1
nuマウス、およびDoxil+ベバシズマブ+mGEN-1で処置したヌードFoxn1
nuマウスの腫瘍移植後の異なる腫瘍負荷レベルを、IVISシグナル定量化によってプロットした図である。
【0010】
【
図3】未処置のヌードFoxn1
nuマウス、Doxil+ベバシズマブで処置したヌードFoxn1
nuマウス、およびDoxil+ベバシズマブ+mGEN-1で処置したヌードFoxn1
nuマウスの腫瘍移植後の異なる腫瘍負荷レベルを、IVIS全身画像によって示す図である。
【0011】
【
図4】例示的なhIL-12発現プラスミドを示す図である。
【0012】
【
図5】PEG-PEI-コレステロール構造を示す図である。
【0013】
【
図6】臨床プロトコルのネオアジュバント化学療法(NACT)+ベバシズマブ群およびNACT+ベバシズマブ+GEN-1群の投与スケジュールを示す図である。
【0014】
【
図7】臨床プロトコルのNACT+ベバシズマブ群およびNACT+ベバシズマブ+GEN-1群のスケジュール概要を示す図である。
【発明の概要】
【0015】
本開示の特定の態様は、(i)リポポリマー(例えば、ナノ粒子)で製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸ベクター(例えば、プラスミド)と、(ii)血管内皮成長因子(VEGF)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント(抗VEGF抗体)とを含む併用療法に関する。
【0016】
本開示の特定の態様は、(i)リポポリマー(例えば、ナノ粒子)で製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸ベクター(例えば、プラスミド)と、(ii)血管内皮成長因子(VEGF)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント(抗VEGF抗体)とを含む併用療法を対象に投与することを含む、癌に罹患している対象を治療する方法に関する。
【0017】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドはヒトIL-12をコードする。
【0018】
いくつかの態様では、核酸ベクター(例えば、プラスミド)は、IL-12のp35サブユニットをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターと、IL12のp40サブユニットをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターとを含む。
【0019】
いくつかの態様では、プロモーターはCMVプロモーターである。
【0020】
いくつかの態様では、核酸ベクター(例えば、プラスミド)は、イントロン、3’UTR(例えば、hGH 3’UTR)、抗生物質耐性遺伝子、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、
図4の要素)を含む。
【0021】
いくつかの態様では、リポポリマーは、コレステロールおよびポリエチレングリコール(PEG)基に独立して共有結合したポリエチレンイミン(PEI)を含む(例えば、
図5のリポポリマー)。
【0022】
いくつかの態様では、組み合わせは抗癌剤をさらに含む。
【0023】
いくつかの態様では、抗癌剤は化学療法剤である。
【0024】
いくつかの態様では、化学療法剤は、ドキソルビシン、パクリタキセル、カルボプラチン、ドセタキセル、nab-パクリタキセル、オラパリブ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0025】
いくつかの態様では、抗癌剤はドキソルビシンである。
【0026】
いくつかの態様では、抗癌剤はパクリタキセルである。
【0027】
いくつかの態様では、抗癌剤はカルボプラチンである。
【0028】
いくつかの態様では、抗癌剤はドセタキセルである。
【0029】
いくつかの態様では、抗癌剤はnab-パクリタキセルである。
【0030】
いくつかの態様では、抗癌剤はオラパリブである。
【0031】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブ(例えば、アバスチンまたはそのバイオシミラー)またはラニビズマブ(例えば、ルセンティスまたはそのバイオシミラー)からなる群から選択される。
【0032】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、配列番号1と少なくとも約85%の同一性(例えば、配列番号1と90、95、96、97、98、99または100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)と、配列番号2と少なくとも約85%の同一性(例えば、配列番号2と90、95、96、97、98、99または100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)とを含む。
【0033】
いくつかの態様では、方法は、対象の組織または腫瘍の全部または一部を除去する手術(例えば、インターバル細胞減少手術)をさらに含む。
【0034】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、腫瘍内または腹腔内に投与される。
【0035】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは静脈内投与される。
【0036】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、腫瘍内、腹腔内、静脈内、膀胱内、またはそれらの任意の組み合わせで投与される。
【0037】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は腫瘍内または腹腔内に投与される。
【0038】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は静脈内投与される。
【0039】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は膀胱内に投与される。
【0040】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、抗VEGF抗体の前に、抗VEGF抗体と同時に、または抗VEGF抗体の後に投与される。
【0041】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、抗癌剤の前に、抗癌剤と同時に、または抗癌剤の後に投与される。
【0042】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し(例えば、最初に)、次いでリポポリマーで製剤化された核酸ベクターを投与し(例えば、第2)、次いで抗VEGF抗体を投与する(例えば、第3)。
【0043】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し(例えば、最初に)、次いで、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターを投与し(例えば、第2)、次いで抗VEGF抗体を投与し(例えば、第3)、次いで組織または腫瘍の全部または一部を除去する手術(例えば、インターバル細胞減少手術)を行う(例えば、第4)。
【0044】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し、次いでDNAプラスミドを投与し、次いで抗VEGF抗体を投与し、次いでインターバル細胞減少手術を行う。
【0045】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の前に、3週間毎に約12週間~約18週間にわたり投与される。
【0046】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に投与される(例えば3週間毎に約8~10週間、例えば9週間)。
【0047】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、パクリタキセルを約100~200mg/m2(例えば、約175mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを、例えば約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0048】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、ドセタキセルを約50~100mg/m2(例えば、約75mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを、例えば約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0049】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、nab-パクリタキセルを約200~300mg/m2(例えば、約260mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを、例えば約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0050】
いくつかの態様では、インターバル細胞減少手術の前のナノ粒子の投与は、抗癌剤の最初の投与の14~18日(例えば、15日)後に開始され、例えば少なくとも約12週間~約18週間にわたり毎週行われる。
【0051】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に投与され、および投与は抗癌剤の最初の投与の15日後に開始され、少なくとも約9週間にわたり毎週行われる。
【0052】
いくつかの態様では、リポポリマー(例えば、ナノ粒子)で製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)は、約35mg/m2~約80mg/m2の用量で投与される。
【0053】
本態様では、リポポリマー(例えば、ナノ粒子)で製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)プラスミドは、約80mg/m2の用量で投与される。
【0054】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、インターバル細胞減少手術の前に、抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後から、少なくとも約12週間~最大約18週間にわたって毎週投与される。
【0055】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後、および抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後から、少なくとも約9週間にわたって毎週投与される。
【0056】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、約10~20mg/kg IV(例えば、約15mg/kg IV)の用量で投与される。
【0057】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗癌剤の投与の少なくとも約28日後に行われる。
【0058】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、DNAプラスミドの投与の少なくとも約7日後に行われる。
【0059】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、DNAプラスミドの投与の少なくとも約7日後に行われる。
【0060】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗VEGF抗体の投与の少なくとも約28日前に行われる。
【0061】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗VEGF抗体の投与の少なくとも約28日後に行われる。
【0062】
いくつかの態様では、癌は、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、膀胱癌、脳癌(例えば、神経膠芽腫)、肺癌、およびそれらの任意の組み合わせ、ならびにいずれかの癌の転移からなる群から選択される。
【0063】
いくつかの態様では、癌は、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0064】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
I.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本出願が優先する。文脈によって別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および他の参考文献は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、あらゆる目的のために、参照によりその全体が組み込まれる。
【0066】
本明細書に記載されている方法および材料と類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。材料、方法、および例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0067】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。用語「a」(または「an」)、ならびに「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書では区別なく使用することができる。特定の態様では、「a」または「an」という用語は、「単一」を意味する。他の態様では、「a」または「an」という用語は、「2以上」または「複数」を含む。
【0068】
用語「約(about)」は、本明細書では、およそ(approximately)、およそ(roughly)、約(around)、または、の範囲内(in the regions of)を意味するために使用される。用語「約」が数値範囲と組み合わせて使用される場合、記載された数値の上および下の境界を拡張することによってその範囲が修飾される。一般に、用語「約」は、本明細書では、記載された値の上および下の数値を10%上または下(さらに高いまたはさらに低い)の分散によって修飾するために使用される。
【0069】
本開示を通して、様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式での説明は、単に簡便性と簡潔さのみを目的としたものであり、本開示の範囲に関して柔軟性のない限定であると解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能な部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの下位範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず適用される。記載された数値範囲は、範囲を定義する数を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0070】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(SI)が認めた形式で示されている。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。値の範囲が記載されている場合、その範囲の記載された上限と下限との間の各介在する整数値およびその各分数もまた、そのような値の間の各部分範囲と共に具体的に開示されていることを理解されたい。任意の範囲の上限および下限は、その範囲に独立して含まれ得るか、またはその範囲から除外され得、いずれか、どちらも含まれないか、または両方の限界が含まれる各範囲も本開示内に包含される。したがって、本明細書に記載された範囲は、記載された終点を含む範囲内のすべての値の省略表現であると理解される。例えば、1から10の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むと理解される。
【0071】
値が明示的に記載されている場合、記載された値とほぼ同じ数量または量の値も本開示の範囲内であることを理解されたい。組み合わせが開示されている場合、その組み合わせの要素の各部分組み合わせも具体的に開示されており、本開示の範囲内である。逆に、異なる要素または要素群が個別に開示されている場合、それらの組み合わせも開示されている。本開示の任意の要素が複数の代替形態を有するものとして開示されている場合、各代替形態が単独で除外されるか、または他の代替形態と任意に組み合わせて除外されるその開示の例も本明細書によって開示される。本開示の2つ以上の要素がそのような除外を有することができ、そのような除外を有する要素のすべての組み合わせが本明細書に開示される。
【0072】
本明細書で使用される「および/または」という用語は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)、のそれぞれを包含することが意図されている。
【0073】
本明細書において「~を含む」という文言で態様が説明される場合は常に、「~からなる」および/または「本質的に~からなる」という用語で説明される他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0074】
本明細書で使用される「有効量」または「薬学的有効量」または「治療有効量」という用語は、必要なまたは所望の治療応答を誘発するのに十分な薬物または薬学的に活性な物質の量または数量、言い換えれば、患者に投与した場合に認識可能な生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。
【0075】
「トランスフェクトする」または「トランスフェクション」という用語は、特定の細胞質および/または細胞核に関して、細胞の外部の環境から細胞内環境への核酸の輸送を意味する。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、核酸は、1つ以上のカチオン性ポリマー/核酸複合体内に封入されるか、またはそれらに付着するか、またはそれらに取り込まれた後に細胞に送達され得ることが理解されるべきである。特定のトランスフェクション例は、核酸を細胞核に送達する。核酸には、DNAおよびRNAならびにそれらの合成同族体が含まれる。そのような核酸には、ミスセンス、アンチセンス、ナンセンス、ならびにタンパク質産生ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、および核酸の産生を制御するオン/オフの速度調節ヌクレオチドが含まれる。特に、限定されないが、それらは、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、tRNA、rRNA、ハイブリッド配列または合成もしくは半合成配列であり得、天然または人工起源のものであり得る。さらに、核酸は、オリゴヌクレオチドから染色体の範囲で、サイズが可変的であり得る。これらの核酸は、ヒト、動物、植物、細菌、ウイルス、または合成起源のものであり得る。それらは、当業者に公知の任意の技術によって得ることができる。
【0076】
本明細書で使用される場合、用語「医薬剤」もしくは「薬剤」または任意の他の類似の用語は、当技術分野で以前に知られている方法および/または本開示で教示される方法による投与に適した任意の化学的または生物学的材料または化合物を意味し、それらは、限定されないが、(1)生物に対する予防的効果を有し、望ましくない生物学的効果を予防、例えば感染を予防すること、(2)疾患によって引き起こされる状態を緩和すること、例えば、疾患の結果として引き起こされる疼痛または炎症を緩和すること、および/または(3)生物から疾患を緩和、軽減、または完全に排除することを含む、所望の生物学的または薬理学的効果を誘導する。効果は、局所麻酔効果を提供するなど、局所的であってもよく、または全身的であってもよい。
【0077】
本明細書で使用される場合、「生体適合性」または「生分解」という用語は、可溶化加水分解によって、または酵素および生物の他の産物であり得る、生物学的に形成された実体の作用によって、材料をより単純な中間体または最終産物へと変換することとして定義される。
【0078】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、任意の医学的治療に対応するような合理的なリスク/利益比で所望の局所的または全身的効果および性能を提供するのに十分な核酸または生物活性剤の量を意味する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」は、任意の長さのペプチドを意味し、タンパク質を含む。「ポリペプチド」および「オリゴペプチド」という用語は、本明細書では、特定のサイズが特に明記されていない限り、いかなる特定の意図されたサイズ制限もなく使用される。
【0080】
本明細書で使用される場合、炭水化物の「誘導体」は、例えば、糖の酸形態、例えばグルクロン酸;糖のアミン、例えばガラクトサミン;糖のホスファート、例えばマンノース-6-リン酸;その他である。
【0081】
本明細書で使用される場合、「投与する」および同様の用語は、組成物が全身的に循環することができ、組成物が標的細胞に結合し、エンドサイトーシスによって取り込まれるように、処置される個体に組成物を送達することを意味する。したがって、組成物は、好ましくは、典型的には皮下、筋肉内、経皮、静脈内または腹腔内経路によって、個体に全身投与される。そのような使用のための注射剤は、従来の形態で、液体の溶液もしくは懸濁液として、または注射前の液体の溶液もしくは懸濁液としての調製に適した固体形態として、またはエマルジョンとして調製することができる。投与に使用することができる適切な賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどが挙げられ、必要に応じて、湿潤剤または乳化剤、緩衝剤などの少量の補助物質が挙げられる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「有効性」および同様の用語は、腫瘍の消失または腫瘍の縮小または腫瘍密度の減少またはリンパ球数の増加または好中球数の増加または生存率の改善、または上記のすべてを意味する。
【0083】
本明細書で使用される場合、「毒性」は、異常な血液学もしくは血清化学結果または臓器毒性を含むがこれらに限定されない、臨床所見に対する任意の治療関連有害作用として定義される。
【0084】
本明細書で使用される場合、「プロモーター/調節配列」という用語は、プロモーター/調節配列に作動可能に連結された遺伝子産物を発現するために必要な核酸配列を指す。「構成的」プロモーターという用語は、遺伝子産物をコードまたは指定するポリヌクレオチドに作動可能に連結された場合に、細胞のほとんどまたはすべての生理学的条件下で細胞内で遺伝子産物の産生をもたらすヌクレオチド配列を指す。「誘導性」プロモーターという用語は、特定の遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された場合、基本的に、プロモーターに対応する誘導物質が細胞内に産物のヌクレオチド配列が存在する場合にのみ、細胞内で遺伝子の産生をもたらすことを意味する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、遺伝子がバイオケミカル、例えばポリペプチドを産生するプロセスを指す。このプロセスは、限定されないが、遺伝子ノックダウンならびに一過性発現および安定発現の両方を含む、細胞内の遺伝子の機能的存在の任意の発現を含む。それは、メッセンジャーRNA(mRNA)への遺伝子の転写、およびそのようなmRNAのポリペプチドへの翻訳を含むが、限定されない。遺伝子の発現は「遺伝子産物」をもたらす。
【0086】
本明細書で使用される場合、遺伝子産物は、核酸、例えば遺伝子の転写によって産生されるメッセンジャーRNA、または転写産物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載の遺伝子産物は、転写後修飾、例えばポリアデニル化を有する核酸、または翻訳後修飾、例えばメチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、タンパク質分解的切断などを有するポリペプチドをさらに含む。
【0087】
「本明細書で使用される場合、「発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを含有する。発現のための他の要素は、宿主細胞によって、またはインビトロ発現系において提供され得る。発現ベクターには、コスミド、プラスミド(例えば、裸であるか、またはリポソームに含まれる)、および組換えポリヌクレオチドを組み込んだウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む、当技術分野で公知の発現ベクターが含まれる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」または「転写制御」という用語は、制御配列と異種核酸配列との間の機能的連結を指し、これは後者の発現をもたらす。例えば、第1の核酸配列と第2の核酸配列とが機能的な関係で配置される場合、第1の核酸配列と第2の核酸配列とは作動可能に連結される。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、プロモーターはコード配列に作動可能に連結される。作動可能に連結されたDNA配列は互いに隣接していてもよく、例えば、2つのタンパク質コード領域を連結する必要がある場合、DNA配列は同じリーディングフレーム内にある。
【0089】
本明細書で使用される場合、「トランスファーベクター」という用語は、単離された核酸と、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用することができる物質とを含有する組成物を指す。多くのベクターが当技術分野で公知であり、それらは線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスを含むがこれらに限定されない。トランスファーベクターという用語はまた、ポリリジン化合物、リポソームなどの細胞への核酸の移入を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物をさらに含むと解釈されるべきである。
【0090】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、任意の種類の細胞、例えば初代細胞、培養中の細胞、または細胞株由来の細胞であり得る。特定の態様では、「宿主細胞」という用語は、核酸分子でトランスフェクトされた細胞、およびそのような細胞の子孫または潜在的子孫を指す。そのような細胞の子孫は、例えば、後続の世代で起こり得る突然変異もしくは環境の影響、または核酸分子の宿主細胞ゲノムへの組み込みのために、核酸分子でトランスフェクトされた親細胞と同一でない場合がある。
【0091】
本明細書に記載のポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するために配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、本明細書に記載の特定のポリペプチド配列(例えば、配列表中の配列識別子を特徴とする特定のポリペプチド配列)中のアミノ酸残基と同一である比較対象の候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するために行われる配列アライメントは、例えば、欧州特許第1241179号に記載されるように(特に9頁35行目~10頁40行目およびそこで使用される定義、ならびに可能な保存的置換に関する表1を含めて、参照により本明細書に組み込まれる)、当技術分野で公知の手順に従って行うことができる。例えば、当業者は、公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することができる。配列同一性を決定するためのコンピュータプログラム方法には、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態によれば、使用されるソフトウェアアライメントプログラムはBLASTであり得る。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。一実施形態によれば、同一性%値は、WU-BLAST-2コンピュータプログラム(Altschul et al、1996「酵素学における方法(Methods in Enzymology)」266:460-480、参照により本明細書に組み込まれる)を使用して生成することができる。一実施形態によれば、WU-BLAST-2コンピュータプログラムを実行するときに以下のパラメータが使用され、WU-BLAST-2検索パラメータの大部分はデフォルト値に設定される。調整可能なパラメータを以下の値に設定した:オーバーラップスパン=1、オーバーラップ部分=0.125、ワード閾値(T)=11、およびスコア行列=BLOSUM62。HSP SおよびHSP S2パラメータは、BLAST-2によって使用される動的値であり、目的の配列の組成および配列を検索しているデータベースの構成に応じて、プログラム自体によって確立される。しかしながら、感度を高めるために値を調整することができる。配列同一性%値は、(a)比較に供される本明細書に記載の特定のアミノ酸配列(例えば、配列表中の配列識別子を特徴とする特定のポリペプチド配列)と比較対象のアミノ酸配列候補との間の一致する同一のアミノ酸残基の数、例えば、WU-BLAST-2によって決定される一致する同一のアミノ酸残基の数を、(b)比較に供される本明細書に記載のポリペプチド配列(例えば、配列表中の配列番号によって特徴づけられる特定のポリペプチド配列)のアミノ酸残基の総数で割ることによって決定することができる。
【0092】
本明細書に記載の核酸配列に関する「核酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するために配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後、本明細書に記載の特定の核酸配列(例えば、配列表中の配列識別子を特徴とする特定のポリペプチド配列)中の核酸と同一である比較対象の候補配列中のヌクレオチドのパーセンテージとして定義される。
【0093】
「本明細書で使用される場合、「相同性」または「同一性」という用語は、2つのポリマー分子間、例えば2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子などの2つの核酸分子間、または2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列の同一性を指す。2つの分子内のサブユニット位置が同じモノマーサブユニットによって占められている場合、例えば2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占められている場合、それらはその位置で相同または同一である。2つの配列間の相同性は、マッチング位置または相同位置の数の直接的な関数である。例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、10サブユニット長のポリマーの5位)が相同である場合、2つの配列は50%相同である。位置(例えば、10個中9個)の90%が一致または相同である場合、2つの配列は90%相同である。
【0094】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、同一性パーセントは、同じである2つ以上の配列を指す。以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用することによって、または手動アライメントおよび目視検査によって測定されるように、比較窓または指定領域内で最大の対応を比較およびアライメントする場合、2つの配列が特定の割合の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する場合(例えば、指定された領域にわたって、または指定されない場合には配列全体にわたって、60%同一性、任意選択で70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性)、2つの配列は「実質的に同じ」である。場合により、同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド(または10アミノ酸)長の領域にわたって、またはより好ましくは100~500もしくは1000またはそれ以上のヌクレオチド長(または20、50,200以上のアミノ酸)の領域にわたって存在する。配列比較のために、通常、配列は、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列と参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じてサブ配列座標と配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトのプログラムパラメータを使用することも、代替パラメータを指定することもできる。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。比較のための配列アライメントの方法は、上に開示したように当技術分野で周知である。
【0095】
「コード配列」また特定の分子(例えば、治療用分子)を「コードする」配列とは、プロモーターなどの適切な調節配列に作動可能に連結されたときにインビトロまたはインビボにおいて転写される(DNAの場合)またはポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。「終止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)はアミノ酸に翻訳されないがコード領域の一部であると見なすことができ、任意の隣接配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどはコード領域の一部ではない。
【0096】
コード配列には、原核生物または真核生物のmRNA由来のcDNA、原核生物または真核生物のDNA由来のゲノムDNA配列、および合成DNA配列が含まれ得るが、これらに限定されない。転写終結配列は、通常、コード配列の3’に位置する。
【0097】
本明細書で使用される場合、「組換えDNA/RNA技術」という用語は、生物の外部の核酸配列の操作を指す。この技術は、核酸配列(例えば、コード配列、調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、終結配列)、様々な供給源に由来するリンカー(例えば、スペーサー、内部リボソーム進入部位、切断部位)を組み合わせること、様々な供給源由来の核酸配列を適切なベクター(例えば、送達ベクター、発現ベクター、組込みベクター)に挿入すること、ヌクレオチド配列を改変または改変すること(例えば、突然変異誘発、修飾ヌクレオチドの挿入、5’キャッピング、ポリアデニル化による)、人工ヌクレオチド配列を合成することを含むが、これらに限定されない。当技術分野で周知の様々な技術(例えば、分子クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、制限酵素による消化、インビトロライゲーション、突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、原核および真核細胞の形質転換または形質導入、インビトロDNA/RNA合成、インビトロRNA-5’キャッピング、インビトロRNA-ポリアデニル化、相補的DNA(cDNA)合成、核酸単離など)を使用して、生物の外部の核酸配列を操作することができる(例えば、Green&Sambrook「分子クローニング:実習マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」volumes 1-3,4th editionを参照のこと)。
【0098】
本明細書で使用される場合、「組換え」という用語は、2つ以上の異なる供給源からの遺伝物質を組み合わせることによって作製される任意の核酸(例えば、DNAまたはRNA)、ペプチド(例えば、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質)、細胞または生物を指す。いくつかの態様では、組換え核酸、ペプチド、細胞または生物は、少なくとも1つの供給源からの遺伝物質の一部を含む。いくつかの態様では、「組換えDNA」分子は、1つの生物に由来し、宿主生物に挿入されて新しい遺伝子の組み合わせを生成するDNA分子を含むことができる。いくつかの態様では、「組換えRNA」分子(例えば、組換えmRNA分子)は、1つの生物に由来し、宿主生物に挿入されて宿主生物において所望の遺伝子産物の発現をもたらすRNA分子を含むことができる。いくつかの態様では、「組換えペプチド」分子は、組換え核酸分子から発現される、生物または細胞に由来するアミノ酸分子を含むことができる。
【0099】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、天然の状態から変更または除去されたことを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、その天然の状態で共存する物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「単離されて」いる。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在してもよく、または宿主細胞などの非天然環境に存在してもよい。
【0100】
本明細書で使用される「腫瘍」という用語は、前癌性病変を含む、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかの過剰な細胞成長または増殖に起因する組織の任意の塊を指す。
【0101】
本明細書で使用される「原発性腫瘍」という用語は、対象の体内に形成された元のまたは最初の腫瘍を指す。
【0102】
本明細書で使用される「転移」、「転移性」、「二次腫瘍」、または「転移性腫瘍」という用語は、身体のさらなる位置または領域に広がる、原発癌(例えば、腫瘍)に由来する癌細胞によって形成される癌(例えば、腫瘍)を指す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」という用語は、試料中に存在する結合パートナーのタンパク質(腫瘍抗原など)を認識して結合するが、抗原結合分子は試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない抗原結合分子を指す。
【0104】
本明細書で使用される場合、「腫瘍不均一性」という用語は、腫瘍の成長中の複数回の分裂および増殖の後、腫瘍の娘細胞が分子生物学的または遺伝的変化を示すことを意味し、その結果、腫瘍の成長速度、浸潤能力、および薬物感受性、予後および他の態様に差がある。これは悪性腫瘍の特徴の1つである。
【0105】
本明細書で使用される場合、「癌」という用語は、体内での異常細胞(例えば、悪性細胞)の制御されない成長を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。調節されない細胞分裂および成長は、局所的な広がりを介して隣接組織に浸潤し、リンパ系または血流を介して身体の遠位部分にも転移し得る悪性腫瘍の形成をもたらす。いくつかの態様では、本開示の方法を使用して、原発腫瘍もしくは転移性腫瘍のサイズを縮小するか、または原発腫瘍もしくは転移性腫瘍を治療することができる。本開示の方法によって治療または予防することができる状態には、例えば、良性または悪性腫瘍、様々な過形成などを含む様々な新生物が含まれる。本開示の方法は、そのような状態に関与する望ましくない過剰増殖性細胞成長の阻害および/または逆転を達成することができる。いくつかの態様では、癌は卵巣癌であり得る。
【0106】
本明細書中で使用される場合、「卵巣癌」とは、卵巣において生じる、または卵巣に関与する、例えば卵巣の上皮において生じる癌を指す。本明細書で使用される場合、「癌」または「腫瘍」という用語は、身体の器官および系の正常な機能を妨げる細胞の制御されない成長を指す。癌または腫瘍を有する対象は、対象の体内に存在する客観的に測定可能な癌細胞を有する対象である。この定義には、良性および悪性の癌、ならびに休眠腫瘍または微小転移が含まれる。元の位置から移動し、重要な器官に播種する癌は、最終的に、罹患した器官の機能的劣化を介して対象の死をもたらし得る。卵巣癌は、典型的には、細胞減少手術(本明細書では「減量術」とも呼ぶ)とそれに続く化学療法の投与によって治療される。本明細書で使用される場合、「細胞減少手術」は、対象からの卵巣癌組織の少なくとも一部を外科的に除去することを指す。細胞減少手術は、腫瘍組織の位置および特徴、対象の健康、ならびに当業者が評価することができる複雑な因子に応じて、対象から様々な量の腫瘍組織を除去することができる。いくつかの実施形態では、細胞減少手術は、腫瘍組織の少なくとも10%、例えば対象に存在する腫瘍組織の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または95%以上を除去することができる。
【0107】
本明細書で使用される場合、「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換または形質導入された細胞である。細胞は、対象の初代細胞およびその子孫を含む。
【0108】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「難治性」は、治療に反応しない癌などの疾患を指す。一実施形態では、難治性癌は、治療前または治療開始時に治療に抵抗性であり得る。他の実施形態では、難治性癌は、治療中に抵抗性になり得る。難治性癌は、抵抗性癌とも呼ばれる。いくつかの態様において、難治性または再発性悪性腫瘍は、本明細書中に開示される処置方法を使用することができる。
【0109】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「再発した」とは、例えば癌療法の以前の治療などの療法後の改善期間中の疾患(例えば、癌)の徴候および症状の再発、または癌などの疾患の再発を指す。
【0110】
本明細書で使用される場合、「併用療法」という用語は、遺伝子療法、抗癌剤、およびVEGFに対する結合特異性を有する抗体を少なくとも含む療法を意味し、これらは一緒にまたは別々に投与することができる。いくつかの態様では、併用療法の組成物は、単一の組成物または別個の組成物として一緒に製剤化される。
【0111】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療された」、および「治療すること」という用語は、治療的および予防的治療の両方または予防的手段を意味し、目的は、望ましくない症状、合併症、状態、障害の生化学的徴候、または疾患を逆転、緩和、改善、軽減、阻害すること、進行、発症、重症度または再発を遅らせること、または有益なもしくは所望の臨床結果を得ることである。有益なまたは所望の臨床結果としては、限定されないが、症状の緩和;状態、障害、または疾患の程度の減少;状態、障害、または疾患の安定化された(すなわち、悪化しない)状態;発症の遅延、または状態、障害もしくは疾患進行の遅延;検出可能であろうと検出不能であろうと、(部分的であろうと全体的であろうと)状態、障害または疾患状態の改善または寛解;患者によって必ずしも認識可能ではない、少なくとも1つの測定可能な身体パラメータの改善;または状態、障害もしくは疾患の向上もしくは改善が挙げられる。いくつかの態様において、治療は、過剰なレベルの副作用を伴うことなく臨床的に有意な応答を引き出すことを含む。いくつかの態様では、治療は、治療を受けない場合に予測される生存期間と比較して、生存期間を延ばすことを含む。本明細書で使用される場合、「改善」または「改善すること」という用語は、状態または疾患の少なくとも1つの指標の重症度の低下を指す。本明細書で使用される場合、「予防する」または「予防」という用語は、数週間、数ヶ月、または数年を含む一定期間にわたって状態または疾患の発症、発達(development)または進行を遅延または予防することを指す。本明細書で使用される場合、「予防的」(例えば、「予防剤」、「予防的治療」、「予防的有効量」)という用語は、疾患またはその症状の完全または部分的な予防を指し、および/または疾患および/または疾患に起因する有害作用および/または症状の部分的または完全な治癒に関して治療的であり得る。
【0112】
本明細書で使用される場合、「個体」および「対象」という用語は本明細書で同じ意味を有し、ヒトおよび他の種の動物であり得る。本明細書で使用される場合、用語「対象」および「患者」は、区別なく使用される。対象は動物であり得る。いくつかの態様では、対象は、非ヒト動物など(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、マウス、サルまたは他の霊長類など)の哺乳動物である。いくつかの態様では、対象はヒトである。いくつかの態様では、患者は、疾患、障害、もしくは状態を有するか、または疾患、障害、もしくは状態に罹患するリスクがあるか、そうでなければ本明細書で提供される組成物および方法を必要とする対象である。
【0113】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」、「治療有効」、「有効量」または「有効量で」という用語は本明細書で互換的に使用され、例えば、限定されないが癌または腫瘍の治療または成長の低減など、本明細書に記載の特定の生物学的結果を達成するのに有効な化合物、調製物、物質または組成物の量を指す。「免疫学的有効量」、「抗腫瘍有効量」、「腫瘍抑制有効量」または「治療有効量」を示す場合、投与される本開示の免疫エフェクター細胞および治療剤の正確な数は、個体の年齢、体重、腫瘍サイズ、感染または転移の程度、および患者(対象)の状態を考慮して医師が決定することができる。有効量の免疫エフェクター細胞とは、限定されないが、免疫エフェクター細胞の抗腫瘍活性を増加、増強または延長する;抗腫瘍免疫エフェクター細胞または活性化免疫エフェクター細胞の数を増加させる;腫瘍退縮、腫瘍縮小および/または腫瘍壊死を促進することができる免疫エフェクター細胞の数を指す。
【0114】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症なしに合理的な利益/リスク比と釣り合って、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適している化合物、材料、組成物、製剤および/または剤形を指す。
【0115】
「賦形剤」という用語は、それ自体が治療剤ではない任意の物質を指し、それは、対象に活性治療剤を送達するための組成物に使用することができるか、またはその取り扱いもしくは貯蔵特性を改善するため、または組成物の用量単位の形成を可能にするもしくは容易にするために(例えば、医薬組成物を作製するために)活性治療剤と組み合わせることができる。賦形剤には、溶媒、浸透促進剤、湿潤剤、酸化防止剤、潤滑剤、皮膚軟化剤、組成物の外観または質感を改善するために添加される物質、およびヒドロゲルを形成するために使用される物質が含まれるが、これらに限定されない。任意のそのような賦形剤は、本開示による任意の剤形で使用することができる。前述の賦形剤のクラスは網羅的であることを意味するものではなく、当業者であれば、賦形剤の追加のタイプおよび組み合わせを使用して薬物送達の所望の目標を達成することができることを認識するであろうため、単なる例示である。賦形剤は、不活性(inert)物質、不活性(inactive)物質、および/または医薬的に活性でない物質であり得る。賦形剤は様々な目的に役立つことができる。
【0116】
当業者は、日常的な実験によって、過度の負担なしに、特定の所望の特性に関して1つ以上の賦形剤を選択することができる。使用される各賦形剤の量は、当技術分野で従来の範囲内で変化し得る。剤形を製剤化するために使用することができる技術および賦形剤は、「医薬品添加物ハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」6th edition,Rowe et al.,Eds.,American Pharmaceuticals Association and the Pharmaceutical Press,publications department of the Royal Pharmaceutical Society of Great Britain(2009)および「レミントン:薬学の科学と実践(Remington:the Science and Practice of Pharmacy)」21st edition,Gennaro,Ed.,Lippincott Williams&Wilkins(2005)に記載されている。
【0117】
本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、異物または異常細胞(例えば、腫瘍細胞)に対する生物内の生物学的応答を指し、応答は、そのような薬剤/細胞およびそれらによって引き起こされる疾患から生物を保護する。免疫応答は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球(T細胞)、Bリンパ球(B細胞)、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中球)およびこれらの細胞または肝臓のいずれかによって産生される可溶性高分子(抗体、サイトカインおよび補体を含む)の作用によって媒介され、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、癌性もしくは他の異常細胞、または自己免疫もしくは病理学的炎症の場合は正常なヒト細胞もしくは組織の選択的標的化、結合、損傷、破壊、および/または生物体からの排除をもたらす。いくつかの態様では、免疫反応は、例えば、T細胞、例えばエフェクターT細胞もしくはTh細胞、例えばCD4+もしくはCD 8+T細胞の活性化もしくは阻害、または制御性T細胞(Treg細胞)の阻害を含む。
【0118】
本明細書で使用される場合、「自己」という用語は、後に同じ個体に再導入される個体に由来する任意の材料を指す。
【0119】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを含むがこれらに限定されない様々な抗体構造を包含する。
【0120】
インタクトな抗体のパパイン消化は、重鎖および軽鎖可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)ならびに軽鎖の定常ドメイン(CL)および重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)をそれぞれ含む「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントを生成する。したがって、「Fabフラグメント」という用語は、VLドメインおよびCLドメインを含む軽鎖、ならびにVHドメインおよびCH1ドメインを含む重鎖フラグメントを含む抗体フラグメントを指す。
【0121】
「単離された」抗体は、その天然の環境の成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)法またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)法によって決定される場合、95%超または99%超の純度まで精製される。抗体純度を評価するための方法の総説については、例えばFlatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0122】
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例としては、これらに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0123】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗原への抗体の結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、一般に類似の構造を有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と、相補性決定領域(CDR)を含む3つの超可変領域(HVR)とを含む(例えばKindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照のこと)。
【0124】
本明細書で互換的に使用される「パラトープ」または「抗原結合部位」は、抗原を認識して結合する抗体の一部を指す。抗原結合部位は、Fv領域の三次構造に空間的に近接して配置された、配置された抗体の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインからのいくつかの個々のアミノ酸残基によって形成される。一実施形態において、抗原結合部位は、同族VH/VL対に含まれる6つのCDRのセットとして定義される。
【0125】
本明細書で使用される「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、配列が超可変であり、抗原接触残基を含む抗体可変ドメインの各領域を指す。一般に、抗体は、VHドメインに3つ(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、およびVLドメインに3つ(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)の6つのCDRを含む。別段示されない限り、可変ドメイン(例えばFR残基)中のCDR残基および他の残基は、本明細書ではKabatナンバリングシステム(Kabat et al「免疫学的対象のタンパク質配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)に従ってナンバリングされる。
【0126】
本明細書の目的のための「受容体ヒトフレームワーク」は、以下に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。
【0127】
本明細書で使用される「フレームワーク」または「FR」は、CDR残基以外の可変ドメインアミノ酸残基を指す。可変ドメインのフレームワークは、一般に、4つのフレームワークドメイン:FR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。したがって、CDRおよびFRアミノ酸配列は一般に、(a)VHドメイン中:FR1-CDR-H1-FR2-CDR-H2-FR3-CDR-H3-FR4、および(b)VLドメイン中:FR1-CDR-L1-FR2-CDR-L2-FR3-CDR-L3-FR4の配列に現れる。
【0128】
血管内皮成長因子(VEGF)は、成長因子のシスチンノットファミリーのホモ二量体メンバーである。典型的には、VEGFは、特に明記しない限り、霊長類(例えばヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物に由来する任意の天然VEGFを指す。この用語は、「完全長」のプロセシングされていないVEGF、ならびに細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のVEGFを包含する。この用語はまた、VEGFの天然に存在する変異体、例えばスプライス変異体または対立遺伝子変異体を包含する。VEGF二量体は、2つの同一のVEGF分子のホモ二量体を指す。VEGF二量体に結合した2つの同一の抗体分子によって形成される複合体は、本明細書ではVEGF二量体抗体複合体と呼ばれる。
【0129】
VEGF二量体抗体複合体に含まれる「第1および第2の抗原結合部位」は、VEGF二量体抗体複合体に含まれる2つの抗体のそれぞれのVH/VL対に含まれる抗原結合部位を指す。例えば、VEGF二量体抗体複合体中の2つの抗VEGF抗体の一方の抗原結合部位は「第1の抗原結合部位」であり、2つの抗VEGF抗体の他方の抗原結合部位は自動的に「第2の抗原結合部位」である。
【0130】
VEGFは、細胞表面のチロシンキナーゼ受容体(VEGF受容体、または「VEGFR」)に結合することによって細胞応答を刺激し、それらを二量体化させ、異なる部位、時間、および程度であるが、トランスリン酸化によって活性化されるようにする。VEGF-R1およびVEGF-R2は、密接に関連する受容体チロシンキナーゼ(RTK)である。VEGF-AはVEGFR-1(Flt-1)に結合し、VEGF-R1のドメイン2と相互作用し、VEGFR-2(KDR/Flk-1)はVEGF-R2のドメイン2および3と相互作用する。
【0131】
本明細書で使用されるVEGF分子またはVEGF二量体の「VEGF-R1結合領域」および「VEGF-R2結合領域」は、それぞれVEGF-R1のドメイン2またはVEGF-R2のドメイン2もしくは3と相互作用するVEGF上のアミノ酸を指す。
【0132】
本明細書で使用される場合、「抗VEGF抗体」および「VEGFに結合する抗体」という用語は、VEGFを標的化する際の診断および/または治療剤として抗体が有用であるように、十分な親和性でVEGFに結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメントを指す。一実施形態では、無関係の非VEGFタンパク質への抗VEGF抗体の結合の程度は、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した場合に、VEGFへの抗体結合の約10%未満である。一定の実施形態では、VEGFに結合する抗体は、1nM未満または0.15nM未満の解離定数(KD)を有する。抗体が1μM以下のKDを有する場合、抗体はVEGFに「特異的に結合する」と言われる。
【0133】
「VEGFR遮断選択性」とは、本明細書では、VEGF二量体に結合した場合に、VEGF-R1へのVEGF結合ではなくVEGF-R2へのVEGFへの結合を優先的に阻害する抗VEGF抗体の特性を指す場合の略語として使用される。VEGF-R2へのVEGF結合を完全に遮断することができるが、VEGF-R1へのVEGF結合を完全には遮断しない抗VEGF抗体は、VEGF-R2を介してVEGFシグナル伝達を選択的に遮断するが、VEGF-R1を介しては遮断しない、すなわち「VEGF遮断選択性」を示すと考えられる。
【0134】
本明細書で使用される場合、「親和性」は、分子の単一の結合部位(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の総和の強さを指す。別途示される場合を除き、本明細書中で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般に解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例示的および代表的な実施形態は本明細書に記載されている。
【0135】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗VEGF抗体が結合する、タンパク質性または非タンパク質性のいずれかの抗原上の部位を示す。エピトープは、連続したアミノ酸伸長(線状エピトープ)から形成され得るか、または不連続なアミノ酸(配座エピトープ)を含み得、例えば、抗原のフォールディングに起因して、すなわちタンパク質性抗原の三次フォールディングに起因して空間的に近接する。線状エピトープは、典型的には、タンパク質性抗原を変性剤に曝露した後も抗VEGF抗体によって依然として結合されるが、配座エピトープは、変性剤で処理すると典型的には破壊される。エピトープは、固有の空間的配座で少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、または8~10個のアミノ酸を含む。
【0136】
特定のエピトープに結合する抗体(すなわち、同じエピトープに結合するもの)のスクリーニングは、例えば、限定されないが、アラニンスキャニング、ペプチドブロット(Meth.Mol.Biol.248(2004)443-463参照)、ペプチド切断分析、エピトープ切除、エピトープ抽出、抗原の化学修飾(Prot.Sci.9(2000)487-496参照)、およびクロスブロッキング(「抗体(Antibodies)」Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harb.,NY)参照)などの当技術分野で日常的な方法を使用して行うことができる。
【0137】
改変支援プロファイリング(MAP)としても知られている抗原構造ベースの抗体プロファイリング(ASAP)は、多数から化学的または酵素的に改変された抗原表面への各抗体の結合プロファイルに基づいて、VEGFに特異的に結合する多数のモノクローナル抗体を受け入れることを可能にする(例えば、米国特許出願公開第2004/0101920号明細書を参照されたい)。各ビン中の抗体は、別のビンによって表されるエピトープと明確に異なるかまたは部分的に重複する固有のエピトープであり得る同じエピトープに結合する。また、競合的結合を使用して、抗体が参照抗VEGF抗体と同じVEGFのエピトープに結合するか、または参照抗VEGF抗体と結合について競合するかどうかを容易に決定することができる。例えば、参照抗VEGF抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて参照抗VEGF抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に参照抗体は、競合アッセイにおいて抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する。また例えば、抗体が参照抗VEGF抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体を飽和条件下でVEGFに結合させる。過剰の参照抗VEGF抗体を除去した後、問題の抗VEGF抗体がVEGFに結合する能力を評価する。抗VEGF抗体が参照抗VEGF抗体の飽和結合後にVEGFに結合することができる場合、問題の抗VEGF抗体は参照抗VEGF抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。しかし問題の抗VEGF抗体が参照抗VEGF抗体の飽和結合後にVEGFに結合することができない場合、問題の抗VEGF抗体は参照抗VEGF抗体によって結合されたエピトープと同じエピトープに結合し得る。問題の抗体が同じエピトープに結合するか、立体的理由によって結合が妨害されるだけかを確認するために、日常的な実験を使用することができる(例えば、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、または当技術分野で利用可能な任意の他の定量的もしくは定性的抗体結合アッセイを用いたペプチド突然変異および結合分析)。このアッセイは、2つの設定で、すなわち、両方の抗体が飽和抗体である設定で行われるべきである。両設定において第1の(飽和)抗体のみがVEGFに結合することができる場合、問題の抗VEGF抗体と参照抗VEGF抗体とは、VEGFへの結合について競合すると結論付けることができる。
【0138】
時折、一方の抗体の結合を減少させるか排除する抗原内の本質的にあらゆるアミノ酸変異が、他方の結合も減少させるか排除する場合、2つの抗体は同じエピトープを有すると見なされる。一方の抗体の結合を減少させるか排除するアミノ酸変異のサブセットのみが他方の結合を減少させるか排除する場合、2つの抗体は「重複するエピトープ」を有すると見なされる。
【0139】
本明細書で使用される場合、「抗腫瘍効果」という用語は、例えば、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞の数の減少、転移の数の減少、平均余命の延長、腫瘍細胞増殖の減少、および腫瘍細胞生存率の減少、または癌性状態に関連する様々な生理学的症状の改善を含むがこれらに限定されない様々な方法で現れることができる生物学的効果を指す。「抗腫瘍効果」はまた、本開示のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体が腫瘍形成の頻度を防げるか減少させる能力によって発現され得る。
【0140】
本明細書で使用される「化学療法」または「化学療法剤」という用語は、本実施形態に従って使用され得る多種多様な化学療法剤を指す。「化学療法」という用語は、癌を治療するための薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、癌の治療において投与される化合物または組成物を暗示するために使用される。
【0141】
「医薬組成物」という用語は、有効成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、組成物が投与される対象に対して許容できないほど毒性であるさらなる成分を含有しない調製物を指す。組成物は無菌であり得る。
【0142】
当業者は、本開示のベクター、ポリヌクレオチドおよび医薬組成物、またはそれらの組み合わせを、当技術分野で周知の確立されたキットフォーマットの1つに容易に組み込むことができることを容易に認識するであろう。
【0143】
本開示の実施は、別段の指示がない限り、当業者の技術の範囲内にある、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の技術を使用する。そのような技術は、文献で十分に説明されている。
【0144】
II.GEN-1(ナノ粒子配合IL-12 DNA)
動物モデルにおいて、組換えIL-12は、確立された腫瘍の退縮とその後の全身性免疫記憶を引き起こす、重大なT細胞媒介性抗腫瘍効果を誘導することが実証されている。The Oncologist,1996,vol.1,88参照。しかしながら、組換えIL-12の全身投与は、いくつかの実験的試験および最初のヒト試験において用量制限毒性をもたらした。Lab Invest.,1994,vol.71,862;Science,1995,vol.270,908;J.Interferon Cytokine Res.,1995,vol.14,335参照。用量制限毒性は、最近のヒト臨床試験における組換えIL-12の腹腔内投与でも観察された。Clin.Cancer Res.,2002,vol.8,3686.治療レベルのIL-12を腫瘍部位に局所的に提供することができる遺伝子送達手法は、全身毒性を引き起こすことなく抗癌応答をもたらすという利点を有するであろう。
【0145】
ウイルス遺伝子送達系および非ウイルス遺伝子送達系の両方が、癌の動物モデルにおけるIL-12遺伝子送達のために使用されている。ウイルス性の手法は、主に癌の発生率増加および宿主系によるウイルス抗原に対する強い免疫反応のために、毒性の懸念によって深刻な実用上の制限を有する。より低い毒性のために、非ウイルス遺伝子送達系の開発にかなりの関心が寄せられている。IL-12を送達して腎癌(Renca)および結腸細胞癌(CT26)を治療するために、非ウイルス遺伝子送達系であるポリビニルピロリドン(PVP)の使用が実証されている。See Gene Ther.,1999,vol.6,833参照。腫瘍をこの遺伝子治療に供した場合、腫瘍は、IL-12タンパク質治療のすべての特徴、例えば、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子の発現増加と相まって、NK細胞、CD4およびCD8 T細胞の浸潤増加を示した。IL-12遺伝子送達は、Renca腫瘍担持動物およびCT26腫瘍担持動物の両方に対して忍容性が高く、非常に有効であった。腫瘍拒絶マウスは、その後の再負荷からも保護され、長期持続性全身免疫の存在を示唆した。CT26結腸癌腫瘍へのIL-12遺伝子の送達については、官能化された低毒性の水溶性リポポリマー(WSLP)が試験されている。Mahato et al,Mol.Ther.,2001,vol.4,130参照。IL-12プラスミド(pIL-12)およびWSLP(pIL-12/WSLP)処理は、裸のDNAよりも高いレベルの腫瘍内遺伝子発現をもたらした。
【0146】
インターロイキン-12(IL-12)は、先天性免疫および適応免疫において重要な役割を果たす炎症促進性サイトカインである。Gately,MK et al.,Annu Rev Immunol.16:495-521(1998)。IL-12は主に、2つのジスルフィド結合p35およびp40サブユニットからなる70kDaのヘテロ二量体タンパク質として機能する。IL-12 p40ホモ二量体が存在するが、IL-12受容体に結合するアンタゴニストとして機能すること以外は、生物学的応答を媒介するようには見えない。同上。IL-12 p40サブユニット(NM_002187;P29460;IL-12B、ナチュラルキラー細胞刺激因子2、細胞傷害性リンパ球成熟因子2とも呼ばれる)の前駆体形態は328アミノ酸長であるが、その成熟形態は306アミノ酸長である。IL-12 p35サブユニット(NM_000882;P29459;IL-12A、ナチュラルキラー細胞刺激因子1、細胞傷害性リンパ球成熟因子1とも呼ばれる)の前駆形態は219アミノ酸長であり、成熟形態は197アミノ酸長である。同上。IL-12 p35およびp40サブユニットの遺伝子は、異なる染色体上に存在し、互いに独立して調節される。Gately,MK et al.,Annu Rev Immunol.16:495-521(1998)。多くの異なる免疫細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、好中球およびB細胞)は、抗原刺激の際にIL-12を産生する。活性なIL-12ヘテロ二量体は、タンパク質合成後に形成される。同上。
【0147】
NK細胞および細胞傷害性T細胞の両方を活性化するその能力のために、IL-12タンパク質は、1994年以来有望な抗癌治療薬として研究されてきた。Nastala,C.L.et al.,J Immunol 153:1697-1706(1994)参照。しかし、高い期待にもかかわらず、初期の臨床試験は満足のいく結果をもたらさなかった。Lasek W.et al.,Cancer Immunol Immunother 63:419-435,424(2014)。ほとんどの患者におけるIL-12の反復投与は、適応応答および血中IL-12誘導インターフェロンガンマ(IFNy)レベルの漸進的低下をもたらした。同上。さらに、IL-12によって誘導される抗癌活性は主にIFNyの二次分泌によって媒介されることが認識されているが、IL-12による他のサイトカイン(例えば、TNF-α)またはケモカイン(IP-10またはMIG)と共にIFNyが同時に誘導されると、重篤な毒性が引き起こされた。同上。
【0148】
負のフィードバックおよび毒性に加えて、臨床状況におけるIL-12療法の限界有効性は、ヒトにおける強い免疫抑制環境によって引き起こされ得る。
【0149】
さらに、サイトカインIL-12産生の二次的効果、すなわちIFN-γおよび一酸化窒素(NO)レベルもまた、裸のDNAと比較した場合、WSLP処置腫瘍においてより高かった。pIL-12/WSLP複合体の単回注射は、腫瘍成長および動物の生存に最適以下の効果をもたらしたが、反復送達はより良好な有効性をもたらし、これは系による不十分な送達を示す。J.Control Release 2003,vol.87,177。同様に、別のポリマー担体、PAGAにおけるIL-12プラスミドの腫瘍内注射は、CT26腫瘍の部分的な阻害のみをもたらした。Gene Ther.,2002,vol.9,1075参照。これらの結果は、より効率的な送達系の必要性を保証する。以前の前臨床試験では不十分であったにもかかわらず、ポリマー遺伝子キャリアの優れた分子柔軟性は、より効率的な遺伝子送達系の開発に不可欠な複雑な修飾および新規な官能化を可能にする。
【0150】
遺伝子治療薬を含む併用手法から望ましい結果を達成するためには、適切な遺伝子送達系の選択が重要である。前述の組み合わせ実験(Molecular Therapy,2004,vol.9,829)で使用された遺伝子送達系は、水溶性リポポリマーであるPEI-コレステロール(WSLP)である。
【0151】
いくつかの態様では、DNAプラスミドは、リポポリマーであるプラスミド送達を促進する合成ポリマーをさらにコードする。
【0152】
いくつかの態様では、リポポリマーはさらに、コレステロールおよびポリエチレングリコール(PEG)基に独立して共有結合したポリエチレンイミン(PEI)からなる。
【0153】
本開示は、PEG部分を含有し、腫瘍において有意により高いトランスフェクション効率をもたらすという点で、WSLP(PEI-コレステロール)とは異なるポリマー系PEG-PEI-コレステロール(PPC)を提供する。PEGの添加は、先行技術(WSLP)におけるこの不足を回避するために、生物学的環境における核酸/ポリマー複合体の安定性を高めるように設計される。さらに、PEG鎖の付加は、送達の組織選択性を改善するためにPPC鎖上にリガンドを組み込むことを可能にする。例えば、先行技術(WSLP)のPEI骨格に直接連結されているコレステロール部分は、細胞受容体相互作用のためのより柔軟な幾何形状を作り出すために、PEI骨格からより遠くに伸長され得る。PEI骨格の単位当たりのPEG分子の数を制御することは、トランスフェクション活性の最適な増強を達成するために重要である。好ましい組成範囲は、一定のコレステロール含有量で2~4のPEG:PEIモル比であった。PEIとコレステロールとの最適比は1:0.5~1:1であった。
【0154】
本開示の特定の態様は、(i)リポポリマー(例えば、ナノ粒子)で製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸ベクター(例えば、プラスミド)と、(ii)血管内皮成長因子(VEGF)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント(抗VEGF抗体)とを含む併用療法に関する。
【0155】
本開示の特定の態様は、(i)リポポリマー(例えば、ナノ粒子)で製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸ベクター(例えば、プラスミド)と、(ii)血管内皮成長因子(VEGF)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント(抗VEGF抗体)とを含む併用療法を対象に投与することを含む、癌に罹患している対象を治療する方法に関する。
【0156】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドはヒトIL-12をコードする。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、p35およびp40のIL-12サブユニットをコードする。
【0157】
いくつかの態様では、ヒトIL-12 p35は、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、ヒトIL-12 p40は、配列番号4と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0158】
いくつかの態様では、ヒトIL-12 p35は、以下の配列を含む:
【化1】
【0159】
いくつかの態様では、ヒトIL-12 p40は、以下の配列を含む:
【化2】
【0160】
いくつかの態様では、ヒトIL-12 p35をコードするポリヌクレオチドは、配列番号5と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%の同一性を有する。いくつかの態様では、ヒトIL-12 p35をコードするポリヌクレオチドは、配列番号6と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%の同一性を有する。
【0161】
いくつかの態様では、ヒトIL-12 p35をコードするポリヌクレオチドは、以下の配列を含む:
【化3】
【0162】
いくつかの態様では、ヒトIL-12 p35をコードするポリヌクレオチドは、以下の配列を含む:
【化4】
【0163】
いくつかの態様では、核酸ベクター(例えば、プラスミド)は、IL-12のp35サブユニットをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターと、IL12のp40サブユニットをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターとを含む。
【0164】
いくつかの態様では、核酸ベクター(例えば、プラスミド)は、イントロン、3’UTR(例えば、hGH 3’UTR)、抗生物質耐性遺伝子、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、
図4の要素)を含む。
【0165】
いくつかの態様では、リポポリマーは、コレステロールおよびポリエチレングリコール(PEG)基に独立して共有結合したポリエチレンイミン(PEI)を含む(例えば、
図5のリポポリマー)。
【0166】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるナノ粒子は、ヒトIL-12をコードするDNAプラスミドを含む。
【0167】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、リポポリマーであるプラスミド送達を促進する合成ポリマーを含む。
【0168】
いくつかの態様では、リポポリマーはさらに、コレステロールおよびポリエチレングリコール(PEG)基に独立して共有結合したポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0169】
いくつかの態様では、遺伝子送達ポリマーはカチオン性ポリマーまたは非縮合ポリマーである。カチオン性ポリマーは、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)の官能化誘導体、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミンおよびスペルミジンを含む群から選択される。本開示に適したカチオン性遺伝子送達ポリマーの一例は、PEI骨格、脂質、および親水性ポリマースペーサーを含むPEI誘導体であり、脂質は、ポリエチレンイミン骨格に直接結合しているか、またはポリエチレングリコールスペーサーに共有結合し、それが生体適合性結合を介してPEIに結合している。
【0170】
本開示のカチオン性遺伝子送達ポリマーは、抗体または抗体フラグメント、細胞受容体、成長因子受容体、サイトカイン受容体、葉酸塩、トランスフェリン、上皮成長因子(EGF)、インスリン、アシアロオロソムコイド、マンノース-6-リン酸(単球)、マンノース(マクロファージ、一部のB細胞)、ルイスXおよびシアリルルイスX(内皮細胞)、N-アセチルラクトサミン(T細胞)、ガラクトース(結腸癌細胞)、およびトロンボモジュリン(マウス肺内皮細胞)、融合形成剤、例えばポリミキシンBおよびヘマグルチニンHA2、リソソーム栄養剤、核局在化シグナル(NLS)、例えばT抗原などを含む標的化部分をさらに含み得る。別の遺伝子送達ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)およびPLGAとPEGのトリブロックコポリマーを含む群から選択される非縮合ポリマーである。遺伝子送達ポリマーはまた、非縮合ポリマーであってもよい。このような非縮合ポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポロキサマー、ポリグルタミン酸塩、ゼラチン、ポリホスホエステル、シルクエラスチン様ヒドロゲル、アガロースヒドロゲル、脂質微小管、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)およびポリエチレングリコール結合ポリ(ラクチド-co-グリコリド)が挙げられる。
【0171】
遺伝子送達ポリマーはカチオン性ポリマーまたは非縮合ポリマーである。カチオン性ポリマーは、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンの官能化誘導体、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミンおよびスペルミジンを含む群から選択される。本発明に適したカチオン性遺伝子送達ポリマーの一例は、ポリエチレンイミン(PEI)骨格、脂質、およびポリエチレングリコールスペーサーを含むポリエチレンイミン誘導体であり、脂質は、ポリエチレンイミン骨格に直接結合しているか、またはポリエチレングリコールスペーサーに共有結合し、それが生体適合性結合を介してPEIに結合している。
【0172】
いくつかの態様では、インターロイキン-12(IL-12)をコードするDNAプラスミドと、プラスミド送達を促進する合成ポリマーとを含むナノ粒子は、腹腔内に送達される。
【0173】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、約35mg/m2~約80mg/m2の用量で投与される。いくつかの態様では、ナノ粒子は、約50mg/m2~約100mg/m2の用量で投与される。いくつかの態様では、ナノ粒子は、約80mg/m2の用量で投与される。
【0174】
III.抗VEGF抗体
前述の併用療法の別の態様では、医薬品は抗VEGF抗体である。
【0175】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブ(例えば、アバスチンまたはそのバイオシミラー)またはラニビズマブ(例えば、ルセンティスまたはそのバイオシミラー)からなる群から選択される。
【0176】
いくつかの態様では、血管内皮成長因子(VEGF)に対する結合特異性を有する抗体は、ベバシズマブもしくはそのバイオシミラーである。
【0177】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、配列番号1と少なくとも約85%の同一性(例えば、配列番号1と90、95、96、97、98、99または100%の同一性)を有する配列を有する第1のアミノ酸配列と、配列番号2と少なくとも約85%の同一性(例えば、配列番号2と90、95、96、97、98、99または100%の同一性)を有する配列を有する第2のアミノ酸配列とを含む。
【0178】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体の重鎖は、以下の配列を含む:
【化5】
【0179】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体の軽鎖は、以下の配列を含む:
【化6】
【0180】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は腫瘍内または腹腔内に投与される。
【0181】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は静脈内投与される。
【0182】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、抗VEGF抗体の前に、抗VEGF抗体と同時に、または抗VEGF抗体の後に投与される。
【0183】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、抗癌剤の前に、抗癌剤と同時に、または抗癌剤の後に投与される。
【0184】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し(例えば、最初に)、次いでリポポリマーで製剤化された核酸ベクターを投与し(例えば、第2)、次いで抗VEGF抗体を投与する(例えば、第3)。
【0185】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し(例えば、最初に)、次いで、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターを投与し(例えば、第2)、次いで抗VEGF抗体を投与し(例えば、第3)、次いで組織または腫瘍の全部または一部を除去する手術(例えば、インターバル細胞減少手術)を行う(例えば、第4)。
【0186】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し、次いでDNAプラスミドを投与し、次いで抗VEGF抗体を投与し、次いでインターバル細胞減少手術を行う。
【0187】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、インターバル細胞減少手術の前に、例えば抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後に、例えば少なくとも約12週間~最大約18週間にわたって毎週投与される。
【0188】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、インターバル細胞減少手術の前に、抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後から、少なくとも約12週間~最大約18週間にわたって毎週投与される。
【0189】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後、および抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後から、少なくとも約9週間にわたって毎週投与される。
【0190】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、約10~20mg/kg IV(例えば、約15mg/kg IV)の用量で投与される。いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、約15mg/kg IVの用量で投与される。
【0191】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗癌剤の投与の少なくとも約28日後に行われる。いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗癌剤の投与の約28日後に行われる。
【0192】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、DNAプラスミドの投与の少なくとも約7日後に行われる。いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、DNAプラスミドの投与の約7日後に行われる。
【0193】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、DNAプラスミドの投与の少なくとも約7日後に行われる。いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、DNAプラスミドの投与の約7日後に行われる。
【0194】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗VEGF抗体の投与の少なくとも約28日前に行われる。いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗VEGF抗体の投与の約28日前に行われる。
【0195】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗VEGF抗体の投与の少なくとも約28日後に行われる。いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗VEGF抗体の投与の約28日後に行われる。
【0196】
IV.抗癌剤
前述の治療の一態様では、抗癌剤は、タキサン、白金、アドリアマイシン、シルコホスファミド、トポテカン、カルムスチン(BCNU)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される化学療法薬である。いくつかの態様では、抗癌療法は、パクリタキセル、カルボプラチン、ドセタキセル、nab-パクリタキセル、ドキソルビシンおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0197】
いくつかの態様では、抗癌剤はドキソルビシンである。
【0198】
いくつかの態様では、抗癌剤はパクリタキセルを含む。
【0199】
いくつかの態様では、抗癌剤はカルボプラチンを含む。
【0200】
いくつかの態様では、抗癌剤はドセタキセルを含む。
【0201】
いくつかの態様では、抗癌剤はnab-パクリタキセルを含む。
【0202】
いくつかの態様では、抗癌剤はオラパリブを含む。
【0203】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の前に、3週間毎に約12週間~約18週間にわたり投与される。
【0204】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の前に、3週間毎に約12週間~約18週間にわたり投与される。
【0205】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に、例えば1~2週間毎(例えば3週間毎)に約8~10週間(例えば9週間)にわたり投与される。
【0206】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に3週間毎に約9週間にわたり投与される。
【0207】
いくつかの態様では、抗癌剤は、パクリタキセル、カルボプラチン、ドセタキセル、nab-パクリタキセル、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0208】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、抗癌剤の前に、抗癌剤と同時に、または抗癌剤の後に投与される。
【0209】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し(例えば、最初に)、次いでリポポリマーで製剤化された核酸ベクターを投与し(例えば、第2)、次いで抗VEGF抗体を投与する(例えば、第3)。
【0210】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し(例えば、最初に)、次いで、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターを投与し(例えば、第2)、次いで抗VEGF抗体を投与し(例えば、第3)、次いで組織または腫瘍の全部または一部を除去する手術(例えば、インターバル細胞減少手術)を行う(例えば、第4)。
【0211】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し、次いでDNAプラスミドを投与し、次いで抗VEGF抗体を投与し、次いでインターバル細胞減少手術を行う。
【0212】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の前に投与される。いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の前に、3週間毎に約12週間~約18週間にわたり投与される。
【0213】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に(例えば3週間毎に約9週間)投与される。
【0214】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、パクリタキセルを約100~200mg/m2(約175mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0215】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、ドセタキセルを約50~100mg/m2(例えば、約75mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0216】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、nab-パクリタキセルを約200~300mg/m2(例えば、約260mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0217】
いくつかの態様では、インターバル細胞減少手術の前のナノ粒子の投与は、抗癌剤の最初の投与の15日後に開始され、少なくとも約12週間~約18週間にわたり毎週行われる。
【0218】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、パクリタキセルを約150mg/m2~約200mg/m2(例えば、約175mg/m2)の用量で投与し、次いでカルボプラチンを約AUC 4-8 IV(例えば、約AUC 5-6 IV)の用量で投与することを含む。
【0219】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、パクリタキセルを約175mg/m2の用量で投与し、次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0220】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、ドセタキセルを約50mg/m2~約100mg/m2(例えば、約75mg/m2)の用量で投与し、次いでカルボプラチンを約AUC 4-8 IV(例えば、約AUC 5-6 IV)の用量で投与することを含む。
【0221】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、ドセタキセルを約75mg/m2の用量で投与し、次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0222】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、nab-パクリタキセルを約240mg/m2~約300mg/m2(例えば、約260mg/m2)の用量で投与し、次いでカルボプラチンを約AUC 4-8 IV(例えば、約AUC 5-6 IV)の用量で投与することを含む。
【0223】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、nab-パクリタキセルを約260mg/m2の用量で投与し、次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0224】
V.治療方法
本開示のある特定の態様は、癌に罹患している対象を治療する方法であって、(i)ナノ粒子と、(ii)血管内皮成長因子(VEGF)に対する結合特異性を有する抗体との組み合わせを対象に投与することを含む方法に関する。
【0225】
本発明はまた、化学療法薬を用いない、プラスミドベースの遺伝子発現系および遺伝子送達ポリマーを含む医薬組成物の腫瘍内、腹腔内、静脈内、膀胱内、気管内、頭蓋内または全身投与による哺乳動物癌または過剰増殖性障害の治療方法を提供する。哺乳動物癌は、卵巣の原発性または転移性腫瘍からなる群から選択される。好ましくは、核酸は、インターロイキン-12をコードするDNA配列を含むプラスミドベースの遺伝子発現系である。
【0226】
医薬組成物(核酸および遺伝子送達ポリマーならびに1つまたは複数の化学療法剤)による腫瘍の治療は、腫瘍の縮小および寿命の延長をもたらす。本開示の方法による遺伝子治療(核酸および遺伝子送達ポリマー)と化学療法(化学療法剤)との組み合わせは、相加的および/または相乗的な有効性をもたらす。本明細書の方法の有効性は、限定されないが、腫瘍サイズの縮小もしくは腫瘍密度の減少、リンパ球数の増加もしくは好中球数の増加、または生存率の改善、または上記のすべてとして定義される。さらに、本発明の方法による遺伝子治療(核酸および遺伝子送達ポリマー)と化学療法(化学療法剤)との組み合わせは、化学療法剤の毒性を低下させ、化学療法に対する腫瘍耐性を逆転させる。本明細書における毒性は、異常な血液学もしくは血清化学または臓器毒性を含むがこれらに限定されない、臨床所見に対する任意の治療関連有害作用として定義される。さらに、本発明の方法による遺伝子治療(核酸および遺伝子送達ポリマー)と準最適用量の化学療法(化学療法剤)との組み合わせは、化学療法剤の最適用量で達成されるレベル以上に抗癌効果を増強するが、毒性はより低い。
【0227】
新しい癌治療戦略は、治療用タンパク質自体ではなく、遺伝情報を担持する高分子を送達することに焦点を当てており、外因的に送達される遺伝子を腫瘍環境で発現させることを可能にする。非ウイルス遺伝子送達系を利用する方法は、ウイルス送達系と比較してより安全であると考えられているが、現在のポリマー系の実用的な適用は、効率が悪いために満足のいくものではなかった。水溶性リポポリマー(WSLP)を形成するコレステロールの共有結合によって低分子量PEIの遺伝子トランスフェクション効率を高める戦略が最近開示された。Mol.Ther.,2001,4,130参照。WSLPによる固形腫瘍へのIL-12遺伝子導入は、未修飾PEIよりも有意に良好であり、より有意な腫瘍阻害をもたらした。
【0228】
癌に対する単一の治療戦略は、この疾患の多因子性のために一般に無効であることが広く認識されている。抗癌応答を最大化するための2つ以上の薬物の組み合わせの利点がますます認識されている。本開示では、本発明者らは、治療の安全性および有効性を改善するために、化学療法剤を腫瘍部位に局所投与された抗癌遺伝子の遺伝子送達と組み合わせた。抗癌遺伝子の安全かつ効率的な局所送達を標準的な化学療法剤と組み合わせることにより、毒性を増強することなく抗癌応答および患者の生存が増強される。この併用療法は、化学療法用量を減少させ、化学療法に対する腫瘍感受性を増加させる。本開示では、遺伝子送達ポリマーと複合体化した抗癌遺伝子と、少なくとも1つの補助(adjunctive)化学療法薬とを含む医薬組成物が、単独で投与される遺伝子治療または化学療法治療よりも有効であることが実証される。さらに、併用療法は、異なる投与経路によって投与された場合、多種多様な腫瘍に対して有効であり、個々の療法よりも毒性を増強しない。
【0229】
本開示の特定の態様は、(i)リポポリマー(例えば、ナノ粒子)と共に製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸ベクター(例えば、プラスミド)と、(ii)血管内皮成長因子(VEGF)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント(抗VEGF抗体)とを含む併用療法に関する。
【0230】
本開示の特定の態様は、(i)リポポリマー(例えば、ナノ粒子)と共に製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸ベクター(例えば、プラスミド)と、(ii)血管内皮成長因子(VEGF)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント(抗VEGF抗体)とを含む併用療法を対象に投与することを含む、癌に罹患している対象を治療する方法に関する。
【0231】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドはヒトIL-12をコードする。
【0232】
いくつかの態様では、核酸ベクター(例えば、プラスミド)は、IL-12のp35サブユニットをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターと、IL12のp40サブユニットをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターとを含む。
【0233】
いくつかの態様では、核酸ベクター(例えば、プラスミド)は、イントロン、3’UTR(例えば、hGH 3’UTR)、抗生物質耐性遺伝子、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、
図4の要素)を含む。
【0234】
いくつかの態様では、リポポリマーは、コレステロールおよびポリエチレングリコール(PEG)基に独立して共有結合したポリエチレンイミン(PEI)を含む(例えば、
図5のリポポリマー)。
【0235】
いくつかの態様では、組み合わせは抗癌剤をさらに含む。
【0236】
いくつかの態様では、抗癌剤は化学療法剤である。
【0237】
いくつかの態様では、化学療法剤は、ドキソルビシン、パクリタキセル、カルボプラチン、ドセタキセル、nab-パクリタキセル、オラパリブ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0238】
いくつかの態様では、抗癌剤はドキソルビシンである。
【0239】
いくつかの態様では、抗癌剤はパクリタキセルである。
【0240】
いくつかの態様では、抗癌剤はカルボプラチンである。
【0241】
いくつかの態様では、抗癌剤はドセタキセルである。
【0242】
いくつかの態様では、抗癌剤はnab-パクリタキセルである。
【0243】
いくつかの態様では、抗癌剤はオラパリブである。
【0244】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブ(例えば、アバスチンまたはそのバイオシミラー)またはラニビズマブ(例えば、ルセンティスまたはそのバイオシミラー)からなる群から選択される。
【0245】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、配列番号1と少なくとも約85%の同一性(例えば、配列番号1と90、95、96、97、98、99または100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)と、配列番号2と少なくとも約85%の同一性(例えば、配列番号2と90、95、96、97、98、99または100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(VL)とを含む。
【0246】
いくつかの態様では、方法は、対象の組織または腫瘍の全部または一部を除去する手術(例えば、インターバル細胞減少手術)をさらに含む。
【0247】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、腫瘍内または腹腔内に投与される。
【0248】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは静脈内投与される。
【0249】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、腫瘍内、腹腔内、膀胱内、またはそれらの任意の組み合わせで投与される。
【0250】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は腫瘍内または腹腔内に投与される。
【0251】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は静脈内投与される。
【0252】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、抗VEGF抗体の前に、抗VEGF抗体と同時に、または抗VEGF抗体の後に投与される。
【0253】
いくつかの態様では、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターは、抗癌剤の前に、抗癌剤と同時に、または抗癌剤の後に投与される。
【0254】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し(例えば、最初に)、次いでリポポリマーで製剤化された核酸ベクターを投与し(例えば、第2)、次いで抗VEGF抗体を投与する(例えば、第3)。
【0255】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し(例えば、最初に)、次いで、リポポリマーで製剤化された核酸ベクターを投与し(例えば、第2)、次いで抗VEGF抗体を投与し(例えば、第3)、次いで組織または腫瘍の全部または一部を除去する手術(例えば、インターバル細胞減少手術)を行う(例えば、第4)。
【0256】
いくつかの態様では、抗癌剤を投与し、次いでDNAプラスミドを投与し、次いで抗VEGF抗体を投与し、次いでインターバル細胞減少手術を行う。
【0257】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の前に、3週間毎に約12週間~約18週間にわたり投与される。
【0258】
いくつかの態様では、抗癌剤は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に(例えば3週間毎に約9週間)投与される。
【0259】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、パクリタキセルを約100~200mg/m2(約175mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0260】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、ドセタキセルを約50~100mg/m2(例えば、約75mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0261】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、nab-パクリタキセルを約200~300mg/m2(例えば、約260mg/m2)の用量で投与し、場合により次いでカルボプラチンを約AUC 5-6 IVの用量で投与することを含む。
【0262】
いくつかの態様では、抗癌剤の投与は、オラパリブを約250mg~約350mg(例えば、約300mg)の用量で2回経口投与することを含む。
【0263】
いくつかの態様では、インターバル細胞減少手術の前のナノ粒子の投与は、抗癌剤の最初の投与の15日後に開始され、少なくとも約12週間~約18週間にわたり毎週行われる。
【0264】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後に投与され、および投与は抗癌剤の最初の投与の15日後に開始され、少なくとも約9週間にわたり毎週行われる。
【0265】
いくつかの態様では、リポポリマー(例えば、ナノ粒子)と共に製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)は、約35mg/m2~約80mg/m2の用量で投与される。いくつかの態様では、リポポリマー(例えば、ナノ粒子)と共に製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)は、約50mg/m2~約100mg/m2の用量で投与される。いくつかの態様では、リポポリマー(例えば、ナノ粒子)と共に製剤化されたインターロイキン-12(IL-12)は、約80mg/m2の用量で投与される。
【0266】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、インターバル細胞減少手術の前に、抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後から、少なくとも約12週間~最大約18週間にわたって毎週投与される。
【0267】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、インターバル細胞減少手術の少なくとも約28日後、および抗癌剤の最初の投与の少なくとも約22日後から、少なくとも約9週間にわたって毎週投与される。
【0268】
いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、約10~20mg/kg IV(例えば、約15mg/kg IV)の用量で投与される。いくつかの態様において、抗VEGF抗体は、約15mg/kg IVの用量で投与される。
【0269】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗癌剤の投与の少なくとも約28日後に行われる。
【0270】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、DNAプラスミドの投与の少なくとも約7日後に行われる。
【0271】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、DNAプラスミドの投与の少なくとも約7日後に行われる。
【0272】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗VEGF抗体の投与の少なくとも約28日前に行われる。
【0273】
いくつかの態様において、インターバル細胞減少手術(ICS)は、抗VEGF抗体の投与の少なくとも約28日後に行われる。
【0274】
いくつかの態様では、癌は、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、膀胱癌、脳癌(例えば、神経膠芽腫)、肺癌、およびそれらの任意の組み合わせ、ならびにいずれかの癌の転移からなる群から選択される。
【0275】
いくつかの態様では、癌は、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0276】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0277】
いくつかの態様では、対象は、ネオアジュバント化学療法(NACT)、ベバシズマブ(BEV)、GEN-1、インターバル細胞減少手術(ICS)、セカンドルック腹腔鏡検査(SLL)による微小残存病変(MRD)検出、BEV+オラパライブ、およびBEV+GEN-1のうちの1つまたは複数で治療される。
【0278】
いくつかの態様において、対象には、(a)ネオアジュバント化学療法(NACT)、ベバシズマブ(BEV)およびGEN-1が投与される。いくつかの態様では、(a)において、対象は、4~6サイクルにわたってNACTで治療される。いくつかの態様では、(a)において、対象にはBEVがサイクル2、3、6および7で投与される。いくつかの態様では、(a)において、BEVは以下のサイクルを除く各サイクルに含まれる:(1)サイクル1、(2)ICS直前のネオアジュバント療法の最後のサイクル(C4、C4+1またはC4+2としてでもよい)、および(3)アジュバント化学療法の最初のサイクル(すなわち、ICS後の最初のサイクル)。いくつかの態様では、(a)において、対象にはGEN-1がC1D15から毎週投与される。いくつかの態様では、各サイクルは21日間のサイクルである。
【0279】
いくつかの態様では、NACTはカルボプラチンおよびパクリタキセルである。いくつかの態様では、NACTは、1サイクルに1回(例えば、3週間毎に)投与される。いくつかの態様では、パクリタキセルは、約175mg/m2の用量でIV投与され、その後、C1D1にカルボプラチンAUC 5-6 IVが続く。いくつかの態様において、BEVは、含まれるサイクルのday1に約15mg/kg IVの用量で投与される。いくつかの態様では、GEN-1は、約80mg/m2 IPの用量で投与される。
【0280】
いくつかの態様では、(a)の後に(b)インターバル細胞減少手術が続く。いくつかの態様では、ICSは、(a)からのNACTの最後の投与の少なくとも4週間後に行われる。
【0281】
いくつかの態様において、対象には、(c)ネオアジュバント化学療法(NACT)、ベバシズマブ(BEV)およびGEN-1が投与される。いくつかの態様では、(c)において、対象は、3サイクルにわたってNACTで治療される。いくつかの態様では、(c)において、対象にはBEVがサイクル2、3、6および7で投与される。いくつかの態様では、(c)において、BEVは以下のサイクルを除く各サイクルに含まれる:(1)サイクル1、(2)ICS直前のネオアジュバント療法の最後のサイクル(C4、C4+1またはC4+2としてでもよい)、および(3)アジュバント化学療法の最初のサイクル(すなわち、ICS後の最初のサイクル)。いくつかの態様では、(c)において、対象にはGEN-1が毎週投与される。いくつかの態様では、各サイクルは21日間のサイクルである。
【0282】
いくつかの態様では、NACTはカルボプラチンおよびパクリタキセルである。いくつかの態様では、NACTは、1サイクルに1回(例えば、3週間毎に)投与される。いくつかの態様では、パクリタキセルは、約175mg/m2の用量でIV投与され、その後、C1D1にカルボプラチンAUC 5-6 IVが続く。いくつかの態様において、BEVは、含まれるサイクルのday1に約15mg/kg IVの用量で投与される。いくつかの態様では、GEN-1は、約80mg/m2 IPの用量で投与される。
【0283】
いくつかの態様では、(b)の後に(c)が続く。
【0284】
いくつかの態様では、(c)の後に、(d)セカンドルック腹腔鏡検査(SLL)による最小残存病変(MRD)検出が続く。
【0285】
いくつかの態様では、維持期の間に、対象に(e)BEVおよびオラパライブが投与される。いくつかの態様では、維持期の期間中、対象がBRCA+/相同組換え欠損陽性(HRD+)である場合、対象には(e)が投与される。いくつかの態様では、(e)において、BEVが3週間毎日約15mg/kg IV、最大18サイクルにわたって投与される。いくつかの態様では、(e)において、オラパリブが約300mgの用量で2回経口投与される。いくつかの態様では、(d)の後に(e)が続く。
【0286】
いくつかの態様では、維持期の間に、対象に(f)BEVおよびGEN-1が投与される。いくつかの態様では、維持期の期間中、対象がBRCA-/相同組換え能(HRP)である場合、対象に(f)が投与される。いくつかの態様では、(f)において、BEVが約15mg/kg IVで3週間毎に最大18サイクルにわたって投与される。いくつかの態様では、(f)において、GEN-1が約80mg/m2 IPの用量で21日毎に、最大さらに18サイクル投与される。いくつかの態様では、(d)の後に(f)が続く。
【0287】
いくつかの態様において、対象は、(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のうちの1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上で治療される。いくつかの態様において、対象は、(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のすべてで治療される。
【0288】
いくつかの態様において、対象は、(a)、(b)、(c)、(d)および(f)のうちの1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上で治療される。
【0289】
いくつかの態様において、対象は、(a)、(b)、(c)、(d)および(f)のすべてで治療される。
【0290】
以下の例は例示であり、特許請求される態様の範囲を限定するものではない。
【0291】
例
例1.GEN-1は、マウスモデルにおいて抗VEGF抗体の活性を増強する。
図1は、GEN-1と同時に抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与することによるVEGFレベルの低下および産生阻害の相乗的有効性の可能性を示す。結果は、SKOV-3(ヒト卵巣上皮腺癌)細胞(7×10
6細胞)をヌード-foxn1
nuマウスに腹腔内注射することによって得られた。抗VEGF抗体を以下の異なる濃度で静脈内投与した:5mg/kg(低)、10mg/kg(中)、および20mg/kg(高)。
【0292】
抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を最初の腫瘍移植の9日後に投与し、その後は週1回6週間にわたって投与した。次いで、mGEN-1(100μg DNA)の腹腔内投与を最初の腫瘍移植後14日目に開始し、その後は週1回4週間にわたって投与した。
【0293】
最初の腫瘍移植から59日後、マウスを安楽死させ、次いで腫瘍を取り出し、次いで秤量した。低用量抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)投与の有効性改善は、GEN-1と組み合わせて投与した場合に示され、これは治療指数およびコストを改善する。
図1を参照されたい。
【0294】
例2.GEN-1は、マウスモデルにおいて抗癌剤との組み合わせで抗VEGF抗体の活性を増強する。
図2は、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を抗癌剤と共にGEN-1と同時に投与することによるVEGFレベルの低下および産生阻害の相乗的有効性の可能性を示す。結果は、500μl中のSKOV-3-Luc(ヒト卵巣上皮腺癌)細胞(7×10
6細胞)をヌード-foxn1
nuマウスに腹腔内注射することによって得られた。ドキシルを腫瘍移植の2週間後から隔週で7.5mg/kgの投与量で腹腔内投与した。抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を、腫瘍移植の10日後に、毎週10mg/kgで静脈内投与した。
【0295】
次いで、mGEN-1を最初の腫瘍移植の2週間後から毎週腹腔内投与した(100ugのDNA)。次いで、
図2に示すように、IVISイメージングを使用して腫瘍負荷動物を定量した。IVISイメージングによるマウスの全身画像を
図3に示す。
【0296】
例3.GEN-1+NACT+抗VEGF抗体の臨床的組み合わせ
これは、NACT+BEV単独と比較して、GEN-1をネオアジュバント化学療法(NACT)+抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)(BEV)に添加する安全性、投与、有効性および生物学的活性を評価するための安全性リードを有する1:1無作為化非盲検多施設第II相試験である。NACTは、3週間毎に7~9サイクルにわたって投与されるカルボプラチン+パクリタキセルの標準的なレジメンである。プロトコルは、少なくとも4サイクルのネオアジュバント化学療法を必要とし、応答および他の臨床的考慮事項に基づいて治験責任医師の裁量でICSの前に最大2回の追加サイクル(C4+1、C4+2)を許容する。ICSは、NACTの最後の投与から3~4週間の休薬後に行われる。ICSから少なくとも4週間の回復後、試験治療の3回のさらなるアジュバントサイクルが行われる。
【0297】
さらに、BEVは、以下のサイクルを除く各サイクルに含まれる:サイクル1、ICS直前のネオアジュバント療法の最後のサイクル、およびアジュバント化学療法の最初のサイクル(すなわち、ICS後の最初のサイクル)。実験群では、80mg/m2のIP GEN-1をサイクル1、15日目(C1D15)に開始して7日毎に投与し、アジュバント療法の最後のサイクルまで毎週継続する。BEVは、手術の前後30日以内に投与することはできない。実験群には、サイクル1の15日目からNACT+BEVの各サイクルに毎週GEN-1を追加する。FDA承認のBEVバイオシミラーを使用してもよい。
【0298】
安全性ランインは、最大12人の対象においてNACT+BEVレジメンに毎週GEN-1を追加する安全性を評価する。これは、試験の主要段階を開始する前に少なくとも2サイクルのNACT+BEV+GEN-1を投与された3人の対象のコホートを評価するデータ安全性監視委員会(DSMB)による標準的な3+3設計である。ランイン患者も同様に無作為化される。安全性について評価可能であるためには、対象は少なくとも2サイクルの化学療法+BEV+GEN-1を受けていなければならない。GEN-1群の少なくとも6人の対象は、GEN-1の第II相用量の前に安全性について評価可能でなければならない。
【0299】
試験の第II相は、安全相からDSMBによって推奨安全用量が決定されると開始され得る。この試験では、約50人の対象を無作為化する。NACTの完了時に、すべての対象が、微小残存病変(MRD)陽性かどうかを判定するためにセカンドルック腹腔鏡検査(SLL)を受ける。SLLは、婦人科腫瘍医による標準化された外科的手法に従って実施される。
【0300】
維持治療は、BRCA+/HRDの状態によって決定される。すべての対象にBEVを投与し、BRCA+/HRD対象のみBEVに加えてオラパリブを投与する。BRCA-/HRPである実験群の対象には、BEVと共にGEN-1を投与する。すべての対象を疾患の進行および生存について追跡する。
【0301】
試験段階
ランイン
NACT+BEV+GEN-1の組み合わせが安全であることを確実にするために、本試験は、プロトコルの主要段階を開始する前に少なくとも6人の対象を実験群に登録する。試験の主要段階を開始する前に、実験群で治療された対象の6人のうち2人以下が用量制限毒性を示し得る。独立したDSMBが、少なくとも2サイクルのNACT+BEV+GEN-1を投与された対象からの安全性データを再検討し、試験の主要段階の用量変更、安全性モニタリングおよび投薬に関する推奨を提供する。DSMB認可書は、安全相の用量制限毒性(DLT)の定義、およびGEN-1の第II相用量の推奨を含むであろう委員会の責任を規定する。
【0302】
第II相
試験の主要相は、安全相からDSMBによって推奨安全用量が決定されると開始され得る。この試験では、第II相を合わせて約50人の対象を無作為化する(25人/群)。すべて対象を、NACT+BEV+GEN-1またはNACT+BEV単独のいずれかに無作為化する。対象は、インターバル細胞減少手術(ICS)の前に4~6サイクルの治療を受け、その後、手術後に少なくとも2サイクルの治療を受ける。すべての対象の化学療法の最終サイクルの終わりに、維持期を開始する前にSLLが行われる。
【0303】
維持
SLL対象の完了後、維持治療を開始する。この段階は、SLLの日付から4週間以降(理想的には5~7週間)に始まる。
【0304】
すべての対象にBEV(またはFDA承認バイオシミラー)を21日毎に、疾患の進行または許容できない毒性まで、または最大15ヶ月まで投与する。
【0305】
BRCA+/HRD対象のみ:すべてのBRCA+/HRD対象について、オラパリブ300mgを維持期から1日2回、疾患の進行または許容できない毒性まで、または最大24ヶ月まで経口投与する。さらに、BEV 15mg/kgを単剤として3週間毎に、疾患の進行または許容できない毒性まで、最大さらに18サイクル投与する。
【0306】
BRCA-/HRP対象のみ:BRCA-/HRPである対象には、BEV 15mg/kgと共にGEN-1を21日毎に、疾患の進行または許容できない毒性まで、最大さらに18サイクル投与する。
【0307】
試験母集団
新たに診断された進行した卵巣癌を有する約50人(最大12人の安全性ランインを含む)の対象を無作為化する。
【0308】
組み入れ基準
1.対象は、高悪性度の上皮性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌の診断が疑われ、腹腔鏡検査による治療前生検、または介入的放射線検査もしくはCTもしくは超音波誘導コア生検による組織学的確認を受けなければならない。元の原発腫瘍の組織学的文書化は、病理報告を介して必要とされる。
2.対象は、標準治療に基づいて臨床的考慮事項がネオアジュバント療法から利益を得ると決定されている国際婦人科産科連盟(FIGO)のステージIIIまたはIVでなければならない。
3.高悪性度漿液性腺癌の組織学的上皮細胞型のみを有する対象は適格である。
4.対象は以下を満たしていなければならない:
I.骨髄機能:絶対好中球数(ANC)が1,500/mcl以上。このANCは顆粒球コロニー刺激因子によって誘導または支持されていない。血小板が10万/mcl以上。
II.腎機能:コッククロフト・ゴールドによる推定GFRが50ml/分以上。尿試験紙が1+以下のタンパク尿を示す(2+以上の尿試験紙読み取り値を有する患者は、24時間の尿収集を受け、タンパク質が2g未満/24時間でなければならない。)
III.肝機能:ビリルビン≦1.5×ULN。SGOT(AST)およびSGPT(ALT)≦3.0×ULNおよびアルカリホスファターゼ≦2.5×ULN。
IV.神経機能:神経障害(感覚および運動)がグレード1以下。
5.対象は、試験参加の4週間以内に、隔離を必要とする活動性感染、非経口抗生物質または制御されない重篤な医学的疾患もしくは障害がないものでなければならない。
6.悪性腫瘍を対象とするホルモン療法は、最初の治療の少なくとも1週間前に中止しなければならない。ホルモン補充療法の継続は許容される。
7.対象は、Eastern Cooperative Group(ECOG)基準によるパフォーマンスステータススコアが0~1でなければならない。
8.妊娠の可能性がある対象は、プロトコル療法の開始前14日以内に血清妊娠検査が陰性でなければならず、有効な形態の避妊を実践していなければならない。該当する場合、対象は、試験参加前に母乳栄養を中断しなければならない。
9.対象は、プロトコルで指定されているベースライン検査室分析および診断手順で満足のいく結果を得なければならない。
10.対象は、個人の健康情報の公開を許可するIRB/EC承認インフォームドコンセントおよび許可に署名していなければならない。
11.対象は18歳以上でなければならない。
【0309】
1.GEN-1で以前に治療を受けたことがある対象。
2.本試験で使用されるGEN-1または他の薬剤と類似の化学的または生物学的組成の化合物に起因するアレルギー反応の病歴。
3.試験参加の2週間以内に経口または非経口コルチコステロイドを投与されたことがあるか、または化学療法投与に関連しない慢性ステロイド(10mg/日を超えるプレドニゾン当量)使用などの継続的な全身免疫抑制療法の臨床要件を有する対象。静注造影剤アレルギーに対するステロイド予防は許容される。
4.過去2年以内に免疫抑制療法を必要とする自己免疫疾患を有する対象。自己免疫疾患の例には、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、炎症性腸疾患および関節リウマチが含まれる。
5.既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)またはヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)感染を有する対象は除外される。
6.浸潤性悪性腫瘍が過去3年以内に存在する証拠がある場合、他の浸潤性悪性腫瘍を有する対象は除外される。対象はまた、以前の癌治療がこのプロトコル療法を禁忌する場合に除外される。非黒色腫皮膚癌、in-situ黒色腫などの非浸潤性悪性腫瘍を有する対象は適格である。
7.腹腔または骨盤の任意の部分に以前に放射線療法を受けたことがある対象は除外される。乳房、頭頸部または皮膚の限局性癌に対する以前の放射線照射は、登録の3年より前に完了し、患者が再発性または転移性疾患を有さないままであることを条件として許容される。
8.腹部または骨盤の腫瘍のために以前に化学療法を受けたことがある対象は除外される。対象は、限局性乳癌に対して以前にアジュバント化学療法を受けていてもよいが、ただし、登録の3年より前に完了しており、患者に再発性または転移性疾患がないままであることを条件とする。
9.既知の活動性肝炎を有する対象。
10.既知の腎症候群(タンパク尿グレード2以上)を有する対象。
11.試験の完全な遵守を有意に制限するか、対象を極端なリスクまたは平均余命の低下にさらす、悪性腫瘍とは無関係の同時の重度の医学的問題を有する対象。
12.臨床的に有意な心血管疾患を有する対象。これには、以下が含まれる。
a)少なくとも2日の別々の日における収縮期血圧(BP)>150mmHgまたは拡張期BP>90mmHgとして定義される制御されていない高血圧。(制御されていない高血圧を有する対象は、高血圧が制御されると適格になり得る)
b)登録前6ヶ月以内の心筋梗塞または不安定狭心症。
c)抗不整脈薬を必要とする重篤な心室性不整脈(すなわち、心室頻拍または心室細動)または心不整脈の病歴(抗不整脈薬で十分に制御されている心房細動を除く)。
d)ベースラインECG(心電図)でのQTc間隔≧450ms。
e)心エコー図またはMUGAによって評価されるベースライン駆出率≦50%。
f)ニューヨーク心臓病学会(NYHA)クラスII以上のうっ血性心不全。
13.適切な避妊をしていない妊娠可能性のある対象、妊娠している対象、または母乳を与えている対象は、この試験に適格ではない。
14.原発性脳腫瘍、標準的な薬物療法で制御されない発作、任意の脳転移、または本試験の最初の治療日から6ヶ月以内の脳血管発作(CVA、ストローク)、一過性脳虚血発作(TIA)もしくはくも膜下出血の病歴を含む、CNS疾患の病歴または理学的検査時の証拠を有する対象。
15.憩室炎の病歴を有する対象。憩室症は除外されない。
16.先月中に喀血した対象。
17.試験参加から4週間以内の腹部手術(IPポート設置以外の理由による)、腸機能障害、瘻孔、または以前の病歴または腹腔鏡検査の所見から疑われる広範囲の癒着を含む、試験薬投与のためのIPカテーテルの適切な配置を妨げる状態/異常を有する対象。
【0310】
登録および中止手順
新たに診断された進行した卵巣癌を有する対象を無作為化する。無作為化された対象を、NACT+BEV+GEN-1またはNACT+BEVで治療する。
【0311】
試験治療および投薬
治療への割り付け
適格対象を、NACT+BEV+GEN-1またはNACT+BEV単独のいずれかに1:1の比で無作為化する。これは非盲検試験であるため、施設スタッフ、対象およびスポンサーは各対象の治療を認識している。
【0312】
ネオアジュバント化学療法(NACT)
対照群
NACT:パクリタキセル175mg/m2を静脈内(IV)投与し、次いでカルボプラチンAUC 5-6 IVをC1D1に投与する。これを21日毎に、ICS前に4サイクルおよびICS後に3サイクルにわたって1日目に繰り返す。ICS前に、医師の裁量で最大さらに2サイクル追加してもよい(C4+1、C4+2)。パクリタキセル反応がある場合、施設のガイドラインに従って、ドセタキセル75mg/m2またはnab-パクリタキセル(アブラキサン)260mg/m2を代わりに用いてもよい。体表面積(BSA)は、現地の慣例に従って計算される。
【0313】
BEVは、以下のサイクルを除く各サイクルに含まれる:サイクル1、ICS直前のネオアジュバント療法の最後のサイクル、およびアジュバント化学療法の最初のサイクル(すなわち、ICS後の最初のサイクル)。FDA承認のBEVバイオシミラーを本試験に使用してもよい。
【0314】
実験群では、GEN-1はC1D15に開始し、アジュバント療法の最後のサイクルまで毎週継続する。
【0315】
インターバル細胞減少手術(ICS)は、ネオアジュバント化学療法の最後のサイクルの少なくとも28日後に行われ、プロトコル療法は、ICSから回復した後(少なくとも28日間)にアジュバント化学療法として再開され、さらに3サイクル行われる。BEVは、手術の前後28日以内に投与することはできない。
【0316】
過敏反応を予防するための予防的デキサメタゾンは、NACTの初期用量でのみ許容される。BEV 15mg/kgのIV投与は、サイクル2、3、6および7の1日目である。維持期中、BEV 15mg/kgを単剤として3週間毎に、疾患の進行または許容できない毒性まで、最大さらに18サイクル投与する。BEVは、合計で24サイクルまで投与することができる。
【0317】
過敏症防止
サイクル1の1日目に、パクリタキセルで治療されるすべての患者をデキサメタゾンなどのコルチコステロイドで前処置すべきである。GEN-1の効果が鈍ることを避けるために、化学療法中にコルチコステロイドをその後投与すること(例えば、C2D1)は禁止する。過敏反応を生じる患者は、ドセタキセルまたはアブラキサンに切り替えてもよい。
【0318】
用量変更
治験責任医師は、化学療法、BEVまたはオラパリブからの有害反応に起因する用量変更のための施設内標準に従うべきである。GEN-1の任意の用量変更またはスキップされた用量は、試験委員会または試験モニターによって承認されるべきである。GEN-1の用量は、スケジュールを維持するために、化学療法薬関連有害事象に起因して必要であればいつでも最大2週間スキップすることができる。しかしながら、GEN-1投与の遅延が化学療法投与のタイミングを遅延またはシフトさせないことが好ましい。GEN-1に起因するグレード3またはグレード4の毒性の場合、その後の用量は、グレード1以下に回復するまでスキップされる。一般に、GEN-1は、ANCが>500であり、PLT>50Kである限り投与することができ、そうでなければ用量変更が考慮され得る。
【0319】
対象が鎮痛薬レジメン後にグレード3の腹痛を起こした場合、GEN-1の用量をその後のすべての用量で60mg/m2に減少させる。
【0320】
完全な処方情報については、カルボプラチン、パクリタキセル、アブラキサン、ベバシズマブ(またはバイオシミラー)、およびドセタキセルの添付文書(ラベリング)および地元施設ガイドラインを参照されたい。
【0321】
GEN-1(治験医薬品)
ヒトIL-12プラスミド(phIL-12-005)を10%ラクトース中のリポポリマーPEG-PEI-コレステロール(PPC)と共に製剤化する。
【0322】
ヒトIL-12プラスミド
phIL-12-005プラスミドは、Kan
r遺伝子を含むプラスミドにhIL-12遺伝子発現カセットを含む。phIL-12-005のhIL-12遺伝子発現カセットは、サイトメガロウイルス(CMV)由来の前初期エンハンサーおよびプロモーター、5’非翻訳領域(UTR)、合成イントロン、p35遺伝子、ヒト成長ホルモン(hGH)3’UTRおよびポリアデニル化シグナル配列、CMVプロモーター、5’UTR、合成イントロン、p40遺伝子、hGH 3’UTRおよびポリアデニル化シグナル配列を含む。2つのhIL-12サブユニットは、個別に2つの別個のCMVプロモーターの制御下にある(
図4参照)。
【0323】
PEG-PEI-コレステロール
PEG-PEI-コレステロール(PPC)は、ポリエチレングリコールおよびコレステロールが共有結合を介して独立して結合しているPEI骨格から構成される。PEI、PEGおよびコレステロールカルボニルの分子量は、それぞれ1800、550および414である(
図5参照)。
【0324】
GEN-1の投与経路および投与
GEN-1は、腹腔洗浄およびIPポートを使用した並進的検体収集の後に投与される。
【0325】
カテーテル開存性をチェックするために、25mLの0.9%生理食塩水をIPポートを通して流す。試料採取時または薬物注入時にカテーテルを洗い流すためにヘパリンを使用すべきではない。
【0326】
(50mLガラスバイアルまたはIVバッグ中の)再構成GEN-1は、室温で最大24時間安定である。カテーテル開存性を確認したら、GEN-1を含むIVバッグを患者のIPカテーテルを通して投与する。GEN-1は、IVバッグから重力を通してカテーテルを介して注入され、弁は完全に開かれ自由に流れる。典型的な投与は約1時間かかり得る。
【0327】
GEN-1注入後、試験薬がカテーテルから確実に除去されるように、少なくとも25mlの注射用0.9%生理食塩水を2度目に流す。
【0328】
現在まで、組換えIL-12療法の全身投与に関連する毒性は、GEN-1投与では検出されていない。GEN-1の第1相試験は、GEN-1またはその下流のサイトカインの全身取り込みがほとんどまたは全くないことを示す。
【0329】
皮下埋め込み型IPシリコーンカテーテルを使用して、GEN-1を腹膜腔に投与してもよい。GEN-1は、以前の前臨床適合性試験および以前の第I相試験においてシリコーンカテーテルと適合性であることが実証されている。Port-A-Cathカテーテル(Deltec,Inc.St.Paul,MN)はGEN-1のIP送達における使用に成功しており、カテーテル関連の重篤な合併症はほとんどまたは全く認められていない。Port-A-Cathカテーテルが好ましいが、橋渡し研究のための生物学的試料の吸引に適している場合には、IP送達用の皮下ポートと共に任意の他の承認されたカテーテルを使用してもよい。静脈アクセス用のBard 9.6 Frシリコーンシングルルーメンカテーテル、またはBard Access Systems(West Amelia Earhart Drive Salt Lake City Utah)製のカフを伴うまたは伴わない同等物を使用することができる。Port-A-Cathカテーテルを用いて行ったカテーテル適合性試験は、GEN-1へのカテーテル曝露がGEN-1の物理化学的特性またはトランスフェクション活性に有意に影響しないことを示した。同様の適合性試験が、Bardカテーテルを用いて行われた。Port-A-Cathカテーテル装置と同様の性質および機能性であれば、既存のIPカテーテルを介して対象を処置してもよい。カテーテルの開存性または機能に関する懸念がある場合、腹腔内注入を検証するためにカテーテルグラムを得ることができる。
【0330】
カテーテル挿入:IPカテーテルは施設の標準的なプロセスに従って埋め込まれる。IPカテーテルの留置に関連する処置およびリスクを対象に説明しなければならず、対象はカテーテルの留置前に処置同意書に署名する。対象は、カテーテル部位周囲の十分な治癒および封止を可能にするために、予定された試験薬投与の少なくとも7日前にIPカテーテルの挿入を受ける。Port-A-Cathカテーテル(SIMS Deltec,Inc,St.Paul MN Inc.,55112)などの半永久的な皮下アクセスポート、または現在の施設内臨床診療による同等の装置が使用される。ポートは下胸部に位置する。
【0331】
試験薬は、試験の過程でこのポートを通して注入される。試験薬の各注入の前に、少なくとも25mLの生理食塩水をカテーテルを通して流して、カテーテルの開存性をチェックする。試料採取時または薬物注入時にカテーテルを洗い流すためにヘパリンを使用すべきではない。橋渡し研究のための腹膜/腹水洗液は、GEN-1注入の前に得るべきである。NACT+BEV+GEN-1群に登録された対象については、臨床医の裁量でGEN-1投与の完了時にカテーテルを取り外してもよい。
【0332】
試験手順
スクリーニングの概要(-21日目~サイクル1の1日目)
書面によるインフォームドコンセントは、治療開始前およびプロトコルに含めるための具体的な処置が実施される前21日以内に得られなければならない。無作為化される群にかかわらず、すべての適格対象は、投与前にベースライン評価を受ける。
【0333】
スクリーニング評価は、インフォームドコンセントを得た後、および治療開始前21日以内に行われる。両方の治療群について、スクリーニング手順には、病歴、腹腔鏡検査/生検、身体検査、バイタルサイン、Eastern Cooperative Group(ECOG)パフォーマンスステータス、ECG(心電図検査)、血清妊娠検査およびCA-125を含む検査室検査、ならびに放射線イメージングスキャンが含まれる。放射線イメージングスキャンは、治療開始前の21日以内に完了することができる。スクリーニング期間中に適格性パラメータを評価するためにスクリーニング検査手順を繰り返してもよい。
【0334】
スクリーニング評価は、無作為化前に収集され、検討され、治験責任医師によって許容可能であると判定され、対象がIPカテーテルを挿入するのに十分な時間を提供しなければならない。理学的検査またはバイタルサインによって評価された健康状態の変化は、試験治療が開始される前に治験責任医師に容認されるべきである。
【0335】
適格対象を、NACT+BEV+GEN-1またはNACT+BEVのいずれかを受けるように1:1に無作為に割り付ける。
【0336】
NACTおよびインターバル細胞減少手術
すべての対象は、21日毎に7~9サイクルの標準NACTを受ける(
図6参照)。BEVは、C2D1、C3D1、およびICS後にC6D1、C7D1(およびICS直前のサイクルを除き、必要に応じてさらなるネオアジュバントのサイクル)に投与される。GEN-1は、C1D15から毎週、実験群の対象のレジメンに追加される。実験群に無作為化された対象では、IPポートは、治癒を可能にするためにGEN-1投与の少なくとも7日前に設置しなければならない。ICSは、化学療法のネオアジュバントサイクルの最後の投与の4週間後に行われる(治験責任医師の判断による応答に基づく)。アジュバント治療レジメンの残りの3サイクルは、ICSから少なくとも4週間の回復期間の後に開始される。
【0337】
維持
すべての対象は、BEVを21日毎に、耐性または許容できない毒性が生じるまで、最大さらに18サイクルにわたり投与される。
【0338】
NACT+BEV+GEN-1の組み合わせの安全性を確保するためのランイン段階では、3+3の設計で実験群に無作為化された少なくとも6人の対象を評価する。安全性について評価可能であるためには、対象は少なくとも2サイクルのNACT+BEV+GEN-1を受けていなければならない。DSMBがGEN-1の第II相用量を推奨することができる前に、GEN-1群の少なくとも6人の対象が安全性について評価可能でなければならない。一般に、6人のうち2人未満の対象は、用量制限毒性を有して第II相に進む可能性がある。DSMBは、評価可能な対象からの安全性データを再検討し、スポンサーおよび試験委員会に推奨を行う。
【0339】
対象は、インフォームドコンセントに署名した時点から化学療法またはGEN-1の最後の投与後少なくとも30日まで、治療来院毎に安全性(身体検査およびAEの評価を伴う)についてモニタリングされる。薬物関連AEの疑いは、グレード2以下(CTCAE v5.0)に回復するまで、フォローアップ中の任意の時点で報告され得る。
【0340】
対象は、スクリーニング時、ICSの前、およびすべてのカルボプラチン+パクリタキセル化学療法の完了のおよそ4週間後に、臨床的に(CA-125)およびCTまたはMRIスキャンによって、抗腫瘍活性についてモニタリングされる。その後、対象は、CA-125およびCT/MRIによって、進行するまで3ヶ月毎に臨床的にモニタリングされる。治験責任医師が決定した放射線学的進行(RECIST v.1.1による)を観察し、代替治療を開始する前に記録する。
【0341】
SLLは、アジュバント化学療法の最後のサイクルの1日目から約6~8週間(±1週間)以内に行う。SLLは、BEVの最後の投与の少なくとも4週間後に実施される。
【0342】
評価
SLLで組織病理学的に確認されたMRDの存在を、有効性を評価するための主要評価項目として使用する。主要評価項目の目的のために、SLL時の微小残存病変(MRD)の存在は、SLL由来の腹膜生検または洗液における生存可能な残存癌の任意の組織病理学的または細胞学的証拠として定義される。
【0343】
SLLにおけるMRDの割合は、SLL時点でMRD+(微視的のみまたは肉眼的疾患)である対象の割合として定義される。
【0344】
探索的分析のために、SLL時の残存疾患を以下の3つのカテゴリーに従ってさらに分類する:a)完全奏効(いかなる生検または腹膜洗液でも疾患の証拠はない);b)肉眼的MRD(外科的に見える、または組織病理学的診断によって確認される疑わしい疾患);c)顕微鏡的MRD(SLLでは確定的な目に見える残存病変はないが、顕微鏡的に陽性の生検または腹膜洗液における陽性の細胞診)。フィッシャー直接検定を使用して、2群間のSLL陽性(部分奏効および持続性疾患を含む)におけるMRDの割合の差を比較する。80%および95%のClopper Pearson正確信頼区間を個々の治療率について導出し、比率の差について連続性補正を行ったものを導出する。
【0345】
副次的評価項目には、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が含まれる。PFSは、無作為化から治験責任医師が評価した進行または死亡のいずれかが最初に起こるまでの期間として定義される。CTスキャンも収集することができる。OSは、無作為化の日付から死亡の日付までの時間(月数)として定義される。死亡確認がない場合、またはOSカットオフ日の時点で生存している対象については、最後の試験フォローアップ日またはカットオフ日のいずれか早い方で生存期間を打ち切りする。
【0346】
このプロトコルは、測定可能な疾患および測定不可能な疾患の両方を有する対象の参加を許容し、したがって、生化学的応答および進行を定義するためのCA-125の使用に関して標準的なRECIST 1.1の文言からわずかに逸脱する。注記:以下の「応答」は、特に明記しない限り、「生化学的応答」ではなく臨床的応答を指す。
【配列表】
【国際調査報告】