(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-01
(54)【発明の名称】プロセスを表すインジケータを検出し表示する方法
(51)【国際特許分類】
B04B 13/00 20060101AFI20250924BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20250924BHJP
B04B 11/02 20060101ALI20250924BHJP
B04B 11/04 20060101ALI20250924BHJP
B04B 1/08 20060101ALI20250924BHJP
A01J 11/00 20060101ALI20250924BHJP
C12C 11/11 20190101ALI20250924BHJP
A23F 5/24 20060101ALI20250924BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20250924BHJP
A23D 9/02 20060101ALI20250924BHJP
C12G 1/08 20060101ALI20250924BHJP
C12F 3/06 20060101ALI20250924BHJP
G01N 1/10 20060101ALN20250924BHJP
【FI】
B04B13/00
G05B23/02 301M
G05B23/02 301Z
B04B11/02
B04B11/04
B04B1/08
A01J11/00
C12C11/11
A23F5/24
A23L19/00 B
A23D9/02
C12G1/08
C12F3/06
G01N1/10 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025515422
(86)(22)【出願日】2023-09-12
(85)【翻訳文提出日】2025-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2023075041
(87)【国際公開番号】W WO2024056673
(87)【国際公開日】2024-03-21
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516362920
【氏名又は名称】ジーイーエー ウエストファリア セパレーター グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブスマン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ピンター, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットカンパー, ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ムサイ, リナ
【テーマコード(参考)】
2G052
3C223
4B016
4B026
4B027
4B128
4D057
【Fターム(参考)】
2G052AA06
2G052AA08
2G052AA24
3C223AA30
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB03
3C223EB05
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF22
3C223FF24
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH29
4B016LE05
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4B027FQ11
4B128CP41
4D057AA01
4D057AA02
4D057AA03
4D057AA10
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AE02
4D057AF03
4D057CA02
4D057CA03
4D057CB00
(57)【要約】
遠心分離機(2)を備えるアセンブリを用いて実行される遠心分離プロセスを表す一つまたは複数の主要能力インジケータを検出および表示するための方法は、遠心分離機を備えるアセンブリを用いて分離プロセスを実行するステップ、アセンブリに関連する一つまたは複数の検出手段で、遠心分離機(2)を備えるアセンブリの遠心分離プロセスの一つ、または二つ以上の異なる動作パラメータを検出するステップ、検出された動作パラメータをデータ処理ユニットを用いて二つ以上のそれぞれの特定の主要能力インジケータに変換するステップ、二つ以上の特定の主要能力インジケータの加重平均を決定するために所定の規則のセットを適用することにより、二つ以上の特定の主要能力インジケータから集約主要能力インジケータを決定するステップ、及びユーザインターフェースに少なくとも集約主要能力インジケータを表示するステップ、を含む。これに加えて、遠心分離機(2)を有するアセンブリとプログラムとを備えるシステム(1)が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機(2)を備えるアセンブリを用いて実行される遠心分離プロセスを表す一つまたは複数の主要能力インジケータを検出および表示するための方法であって、
A)前記遠心分離機を備える前記アセンブリを用いて前記分離プロセスを実行するステップ、
B)前記アセンブリに関連する一つまたは複数の検出手段で、前記遠心分離機(2)を備える前記アセンブリの前記遠心分離プロセスの一つ、または二つ以上の異なる動作パラメータを検出するステップ、
C)前記検出された動作パラメータを、データ処理ユニットを用いて二つ以上のそれぞれの特定の主要能力インジケータに変換するステップ、
D)前記二つ以上の特定の主要能力インジケータの加重平均を決定するために所定の規則のセットを適用することにより、前記二つ以上の特定の主要能力インジケータからの集約主要能力インジケータを決定するステップ、
E)ユーザインターフェースに少なくとも前記集約主要能力インジケータを表示するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記それぞれの特定の主要能力インジケータは、二つ以上のサブ主要能力インジケータから計算され、そのうちの一つ以上は、前記二つ以上の異なる動作パラメータからそれぞれ計算されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれのサブ主要能力インジケータのうちの一つまたは複数が、一つまたは複数のサブサブ主要能力インジケータから計算され、そのうちの一つまたは複数が、それぞれ二つ以上の異なる動作パラメータのうちの一つまたは複数から計算されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、ステップ(B)の前に、前記主要能力インジケータの計算のための重みを決定するステップを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記主要能力インジケータのうちの一つ以上を少なくとも二つ以上のサブ主要能力インジケータに展開するために、ダッシュボード上で異なるパネルが次々に開かれることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記一つまたは複数の検出手段が前記遠心分離機に関連付けられ、この一つまたは複数の検出手段が一つまたは複数のセンサ(261、262、263、264)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記遠心分離プロセスが、遠心場において懸濁液である流体を異なる密度の成分に分離する分離プロセスであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アセンブリで実行される前記遠心分離プロセスが、ミルクスキミング、ミルク清澄化、ミルク/ホエーの細菌除去、ビールまたは発酵媒質中の酵母分離(ビール分離器/ワイン分離器)、ジュースの分離、ホエーの分離、ホエースキミング、コーヒーまたは濃縮コーヒーの分離、タンパク質の分離、動物性脂肪の分離、発酵液の分離、化学物質の分離、医薬品の分離、ヨーグルトの分離、バター油の分離、原油の分離、廃水の分離、ビルジ水の分離、のうちの一つであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記一つ以上の動作パラメータが、時間当たりの量、生産時間、排出時間、排出量、生産温度、排出圧力、定置洗浄時間、定置洗浄エネルギー、生産エネルギー、起動エネルギー、消毒エネルギー、規格化ミルク差異、規格化クリーム差異、酸時間、酸導電率、酸温度、苛性時間、苛性導電率、苛性温度、排出圧オーバーフロー、総排出、定置洗浄時間、起動時間、消毒時間、停止障害、重大障害数および中程度障害数のうちの一つ以上を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記一つまたは複数の特定の主要能力インジケータが、性能、品質、および可用性との主要能力インジケータのうちの少なくとも一つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
-前記性能の主要能力インジケータが、前記サブ主要能力インジケータである生産、定置洗浄、エネルギーのうちの少なくとも一つまたは複数から計算され、および/または、
-前記品質の主要能力インジケータが、少なくとも前記サブ主要能力インジケータである品質定置洗浄から計算され、
-および、前記可用性の主要能力インジケータが、前記サブ主要能力インジケータである機械可用性時間および障害の少なくとも一つ以上から計算される
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記品質の主要能力インジケータが、前記サブ主要能力インジケータである品質製品及び品質定置洗浄のうちの少なくとも一つまたは複数から計算されることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。方法。
【請求項13】
-前記生産のサブ主要能力インジケータが、時間当たりの量、生産時間、排出時間、排出量、及び生産温度、排出圧力の動作パラメータのうちの一つ以上から計算され、及び/又は
-定置洗浄のサブ主要能力インジケータが、定置洗浄時間、酸時間、酸導電率、酸温度、苛性時間、苛性導電率、苛性温度、及び総排出の動作パラメータのうちの一つ以上から計算される
ことを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
-エネルギーのサブ主要能力インジケータが、定置洗浄エネルギー、生産エネルギー、起動エネルギー、および消毒エネルギーの動作パラメータのうちの一つ以上から計算され、
-製品品質のサブ主要能力インジケータが、規格化ミルクとの差異および規格化クリームとの差異の動作パラメータのうちの一つ以上から計算される、
ことを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
-前記機械使可用性時間のサブ主要能力インジケータが、使用可能時間、定置洗浄時間、起動時間、消毒時間、および障害停止の動作パラメータのうちの一つまたは複数から計算され、および/または
-前記障害のサブ主要能力インジケータが、障害停止、重大故障数、および中程度故障数の動作パラメータのうちの一つまたは複数から計算される、
ことを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
遠心分離機(2)及び一つまたは複数のセンサ(261、262、263、264)を有しそれに接続されたユーザインターフェースユニット(4)を有するデータ処理ユニット(3)を備るアセンブリを備え、前記ユーザインターフェースユニット(4)が、グラフィカルユーザインターフェースを備える電子ディスプレイを備える、請求項1に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とするシステム(1)。
【請求項17】
前記データ処理ユニット(3)が、プログラマブルロジックコントローラと、データ取得ユニット(31)と、記憶ユニット(322)と、データプロセッサ(321)とを備えることを特徴とする、請求項16に記載のシステム(1)。
【請求項18】
前記データ処理ユニット(3)が、記憶ユニット(322)を備えるクラウド計算ユニットを備えることを特徴とする、クレーム16または17に記載のシステム(1)。
【請求項19】
請求項16から18のいずれか一項に記載のシステムによって請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を実行する命令を有するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離プロセスを表す一つまたは複数の主要能力インジケータを検出し、表示するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主要能力インジケータ(KPI)は、一つまたは複数の測定値および計算に基づく、工業プロセスで使用される定量化可能な能力インジケータである。これは、遠心分離プロセスなどの工業プロセスの監視、分析及び最適化のために使用することができる。しかしながら、工業用遠心分離プロセスの時間的経過は多くの影響因子の影響を受け、これは遠心分離プロセスの監視および分析を特に困難にする。
【0003】
米国特許出願公開第6,143,183号明細書は、連続供給遠心分離機のパラメータおよびプロセスを監視、診断、操作および制御するためのコンピュータ化システムを開示している。監視センサは、機械動作パラメータおよび遠心分離機の入力および出力ストリームに関連する動作パラメータなど、プロセスおよびその他のパラメータを感知する。オペレータは、遠心分離機のリアルタイムのパフォーマンスおよび履歴ログを監視することができる。このためのソフトウェアには、データ表示およびメッセージ表示のためのオペレータ画面が含まれる。事前にフォーマットされたレポートには、動作時間、生成されたアラーム、起動回数、トリップ回数、使用電力、測定変数の最大値および最小値、処理された総供給量などの情報を示す、取得したデータが表示される。この動作データを使用して、遠心分離機メーカは、停止時間を回避し、実行時間を最適化するための対策を推奨することができる。また、経過稼働時間の稼働ログ、及び高いベアリング温度または頻繁な高トルクトリップなどの異常な稼働条件に基づいて、メンテナンス手順を提案することもできる。したがって、稼働データログは、遠心分離機の様々な稼働条件のトラブルシューティングに役立つ。しかしながら、通常、レポートの形式でユーザに提示される感知されたパラメータデータは比較的大量であるために、ユーザが測定されたパラメータの概要を把握してプロセスを監視および分析し、問題が生じたときにタイムリーに対応することは比較的困難である。
【0004】
したがって、本発明の目的は、分離プロセスをより効率的に監視及び分析することを可能にし、これにより、分離プロセスの最適ではない動作があった場合に、オペレータまたはプラントマネージャが迅速に対応することを可能にする方法を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。請求項1は、遠心分離機を備えるアセンブリを用いて実行される遠心分離プロセスを表す、一つまたは複数の主要能力インジケータを検出および表示するための方法を形成しており、前記方法は、以下のステップを含む。
A)遠心分離機を備えるアセンブリを用いて分離プロセスを実行するステップ。
B)アセンブリに関連する一つまたは複数の検出手段で、遠心分離機を備えるアセンブリの遠心分離プロセスの、一つまたは二つ以上の異なる動作パラメータを検出するステップ。
C)検出された動作パラメータを、データ処理ユニットを用いて二つ以上のそれぞれの特定の主要能力インジケータに変換するステップ。
D)二つ以上の特定の主要能力インジケータの加重平均を決定するために所定の規則のセットを適用することにより、二つ以上の特定の主要能力インジケータからの集約主要能力インジケータを決定するステップ。
E)ユーザインターフェースに少なくとも集約主要能力インジケータを表示するステップ。
【0006】
集約主要能力インジケータは、以下、略語としてAKPIとも称される。
【0007】
この方法によれば、遠心分離プロセスは、引用された最新技術よりも容易に監視および分析をすることができる。好ましい実施形態では、この情報は、産業プロセスを最適化するために使用することができる。好ましくは、少なくともステップC)からE)は、コンピュータで実施される方法ステップである。
【0008】
好ましい実施形態では、アセンブリの遠心分離機は、遠心分離場内で流体(懸濁液)を異なる密度の成分に分離する分離プロセスを実行するために提供されてもよい。本開示の文脈における遠心分離機は、特に、セパレータおよびデカンタを含む。セパレータおよびデカンタにおいて、例えば分離および/または清澄化などの様々な分離操作を行うことができる。清澄化は、液体からの固体の分離である。対照的に、分離は、同時に分離される固体の有無にかかわらず、二つの液体を分離することである。
【0009】
遠心分離機は、連続分離プロセスに使用することができる。これは、遠心分離される材料が中断なしに供給され、分離された相のうちの一つ以上が中断なしに排出されることを意味する。ただし、スラッジ又はスラリーとしての固相は、連続的に又は不連続的に排出することができる。
【0010】
清澄化または分離の時間的経過は多くの影響因子の影響を受けるが、本発明は、検出された動作パラメータをデータ処理ユニットを用いて二つ以上のそれぞれの特定の主要能力インジケータに変換し、二つ以上の特定の主要能力インジケータの加重平均を決定するために所定の規則のセットを適用することにより二つ以上の特定の主要能力インジケータからの集約主要能力インジケータを決定し、ユーザインターフェースに少なくとも集約主要能力インジケータを表示することによって、遠心分離プロセスの監視を改善する。
【0011】
したがって、現在の最先端技術と比較して、ユーザは、セパレータ効率について非常に良好かつ改善された概要を把握でき、故障または潜在的な危険、リスクおよび潜在的なプロセス改善の領域をより容易に検出することができる。また、プラント効率の重要な変化を直接的に示すことができる。
【0012】
好ましくは、それぞれの特定の主要能力インジケータは、二つ以上のサブ主要能力インジケータから計算され、そのうちの一つ以上は、二つ以上の異なる動作パラメータからそれぞれ計算される。このバリエーションであるさらなる有利な実施形態では、それぞれのサブ主要能力インジケータのうちの一つまたは複数が、一つまたは複数のサブサブ主要能力インジケータから計算され、そのうちの一つまたは複数が、それぞれ二つ以上の異なる動作パラメータのうちの一つまたは複数から計算されることも可能である。これらの実施形態は、分析の最適化に寄与する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、重要なKPI/サブKPI/サブサブKPIの重みを、全てのKPI/サブKPI/サブサブKPIが等しい重み付けの場合と比較して増加させることができ、これにより、これらが劣化または向上したときに、アセンブリの効率により多くの影響を確実に及ぼすようにすることができる。これとは対照的に、重要性の低いKPI/サブKPI/サブサブKPIの重みを、全てのKPI/サブKPI/サブサブKPIが等しい重み付けの場合と比較して減少させることができ、これにより、悪化または改善時にアセンブリの効率に大きな影響を与えないようにすることができる。このように、KPI/サブKPI/サブサブKPIを重み付けすることは、アセンブリの効率を監視するための、より重要な動作パラメータの使用を可能にする。このようにして、例えば、重要な動作パラメータである流量は、他の重要でないパラメータよりも、関連する少なくとも一つの主要能力インジケータ、サブ主要能力インジケータ、サブサブ主要能力インジケータなどに、大きな影響を与えることができる。したがって、重要なプロセスの問題は、それほど重要でない問題よりも迅速に気付くことができる。
【0014】
したがって、それぞれのサブ主要能力インジケータのうちの一つまたは複数が、動作パラメータのうちの一つまたは複数から直接計算され、それぞれのサブ主要能力インジケータのうちの他の一つまたは複数が、一つまたは複数のサブサブ主要能力インジケータから間接的に計算されることが可能である。
【0015】
好ましい実施形態では、主要能力インジケータのうちの一つ以上を少なくとも二つ以上のサブ主要能力インジケータに展開するために、ダッシュボード上で異なるパネルが次々に開かれる。このように、ユーザは、KPI、サブKPI、および/またはサブサブKPIのうちの一つまたは複数をスクロールすることができ、これにより分析も最適化される。このようにして、一つまたは複数の動作パラメータを、ダッシュボードのパネルに表示することも可能である。
【0016】
この実施形態はまた、KPIがサブKPIに、および好ましくはサブサブKPIに分割されるため、計算された結果を詳細に確認する機会を提供する。これにより、オペレータまたはプラントマネージャは、起こりうるずれを直接検出し、アセンブリにさらなる停止を引き起こす可能性のある故障を防止するために、悪影響の排除を直ちに開始することが可能となる。
【0017】
また、この実施形態によって、オペレータだけでなくプラントマネージャも、データ評価へ容易にアクセスすることが可能となる。AKPIと定義されたKPI構造への直接リンクの組み合わせは、運転リスクの評価および軽減、ならびに機器のトラブルシューティングを改善する。
【0018】
また、KPI構造は、遠心分離機などの関心の高いアセンブリの領域を示すデータ出力を、あまり構造化されておらず重み付けされていない機器の有効性の測定値が達成するよりも、よりも高い特異性で提供することができる。
【0019】
好ましい実施形態では、本方法は、ステップ(B)の前に重みを決定するステップを含む。実際の重み係数は、経験に基づいて決定することができ、ユーザによって定義される効率の個々の定義に合わせて、容易に調整することができる。好ましくは、重み付けは、ユーザによって変更することができる。
【0020】
システムの内部状態に関連するパラメータの偏差は、装置、特にアセンブリまたは遠心分離機に問題が起こり始めるまたは発生した場合に、オペレータが迅速に対応することを可能にする。また、問題や故障にすぐに対処して軽減できるため、機械の効率を上げることも可能である。
【0021】
異なる好ましい実施形態では、遠心分離機を備えるアセンブリで実行される遠心分離プロセスは、ミルクスキミング、ミルク清澄化、ミルク/ホエーの細菌除去、ビールまたは発酵媒質中の酵母分離(ビール分離器またはワイン分離器を用いる)、ジュースの分離、ホエーの分離、ホエースキミング、コーヒーまたは濃縮コーヒーの分離、タンパク質の分離、動物性脂肪の分離、発酵液の分離、化学物質の分離、医薬品の分離、ヨーグルトの分離、バター油の分離、原油の分離、廃水の分離、およびビルジ水の分離のうちの一つであってもよい。
【0022】
好ましくは、一つまたは複数の検出手段は遠心分離機に関連付けられ、この一つまたは複数の検出手段は、一つまたは複数のセンサを備える(「センサ」という用語は、カウンタも含む)。
【0023】
測定用の一つまたは複数のセンサは、遠心分離機上または内部に設けることができる。したがって、動作パラメータは、遠心分離機内または遠心分離機上、または遠心分離機の環境内で決定することができる。
【0024】
好ましい実施形態では、一つまたは複数の動作パラメータは、時間当たりの量、生産時間、排出時間、排出量、生産温度、排出温度、定置洗浄時間、定置洗浄エネルギー、生産エネルギー、起動エネルギー、消毒エネルギー、規格化ミルク差異、規格化クリーム差異、酸時間、酸導電率、酸温度、苛性時間、苛性導電率、苛性温度、総排出、使用可能時間、定置洗浄時間、起動時間、消毒時間、故障停止、重大障害数、および軽故障数のうちの一つまたは複数を含む。
【0025】
これらの動作パラメータは、測定によって、好ましくは一つまたは複数のセンサによる測定によって決定することができる。単一の動作パラメータは、KPIまたはサブKPIまたはサブサブKPIと定義することもできる。
【0026】
好ましい実施形態では、一つまたは複数の特定の主要能力インジケータは、性能、品質、および可用性とのKPIの一つまたは複数を含む。
【0027】
好ましい実施形態では、
-性能の主要能力インジケータが、サブKPIである生産、定置洗浄、エネルギーのうちの少なくとも一つまたは複数から計算され、および/または、
-品質の主要能力インジケータが、サブKPIである品質定置洗浄及び品質製品の少なくとも一つから計算され、
-および、可用性の主要能力インジケータが、サブKPIである機械可用性時間および障害の少なくとも一つ以上から計算される。
【0028】
本発明は、遠心分離機及び一つまたは複数のセンサを有しそれに接続されたユーザインターフェースユニットを有するデータ処理ユニットを備えるアセンブリを備え、ユーザインターフェースユニットは、グラフィカルユーザインターフェースを備える電子ディスプレイを備える、請求項1に記載の方法を実行するように構成されているシステムによっても目的を達成する。
【0029】
好ましい実施形態では、データ処理ユニットは、プログラマブルロジックコントローラと、データ取得ユニットと、記憶ユニットと、データプロセッサとを備えていてもよい。
【0030】
好ましい実施形態では、データ処理ユニットは、記憶ユニットを備えるクラウド計算ユニットを備える。
【0031】
一実施形態では、データ処理ユニットは、記憶ユニットを備えるクラウド計算ユニットを備えることができる。好ましくは、ステップ(B)からの動作パラメータは、クラウド計算ユニットの記憶ユニットに記憶される。さらに、一実施形態では、ステップ(C)および(D)は、クラウド計算ユニットによって実行される。
【0032】
一実施形態では、ステップ(E)は、表示の前に、クラウド計算ユニットから特定の主要能力インジケータおよび/または動作パラメータのうちの一つまたは複数を取り出すことを含む。
【0033】
一実施形態では、一つまたは複数のセンサは、温度センサ、ジャイロスコープ、圧力センサ、顕微鏡、電流計、電圧計、湿度センサ、加速度計、流量計、質量流量計、粒子センサ、定規、化学センサまたはバイオセンサ、高度計、慣性測定ユニット、エンコーダ、近接センサ、分光器、周波数センサ、または速度計のうちの一つまたは複数である。
【0034】
一実施形態では、一つまたは複数のセンサは、赤外線センサ、超音波センサ、光学センサ、容量センサ、圧電センサ、ピエゾ抵抗センサ、熱電センサ、摩擦電気センサ、共振器センサ、磁気センサ、風速計、電磁センサ、ホール効果センサ、誘導センサ、静電センサ、および/または電気光学センサのうちの一つまたは複数である。
【0035】
本発明はまた、システムの請求項のいずれか一つに記載のシステムによる、方法の請求項のいずれか一つに記載の方法を実行する命令を有するプログラムを提供する。
【0036】
以下、図面を参照して、例示的な実施形態に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これにより本発明のさらなる利点が明らかになるであろう。例示的な実施形態に関連して、個々のまたは複数の特徴が以下で説明されることに限っていえば、本発明はそれらに限定さるものではなく、むしろ、これらの特徴は、図面に示されているかまたは示されていない他の実施形態においても使用することができる。さらに、一つの例示的な実施形態に、単一または複数の特徴が一緒に図示されている場合がある。これは有利であるが、必須ではない。これらの特徴はまた、示されているか示されていない他の実施形態の他の特徴と一緒に使用することもできる。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、遠心分離機と、一つ以上のセンサと、それに接続されたユーザインターフェースユニットを有するデータ処理ユニットとを備えたアセンブリを備え、請求項1に記載の方法を実行するように構成されたシステムの第1の実施形態の概略図である。
【
図2】
図2は、遠心分離機と、一つ以上のセンサと、それに接続されたユーザインターフェースユニットを有するデータ処理ユニットとを備えたアセンブリを備え、請求項1に記載の方法を実行するように構成されたシステムの第2の実施形態の概略図である。
【
図3】
図3は、第3の実施形態の一部の概略図である。
【
図4】
図4は、様々な例示的なユーザインターフェースである。
【
図5】
図5は、様々な例示的なユーザインターフェースである。
【
図6】
図6は、二つ以上の特定のKPIに基づくAKPI決定のブロック図である。
【
図7】
図7は、例示的なKPIおよび動作パラメータのブロック図である。
【
図8】
図8は、例示的なKPIおよび動作パラメータの他のブロック図である。
【
図9】
図9は、例示的なユーザインターフェースの異なるページ間のスクロールを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、遠心分離機2と、複数のセンサ261、262、263、264と、データ処理ユニット3とを備えるアセンブリを備える例示的なシステム1を示し、このアセンブリは、遠心分離機を備えるアセンブリを用いて実行される遠心分離プロセスを表す一つまたは複数の主要能力インジケータを検出し、表示するための方法を実行するように構成され、ユーザインターフェースユニット4がそれに接続されている。
【0039】
アセンブリの遠心分離機2は、遠心場において流体(懸濁液)を異なる密度の成分に分離する、分離プロセスを実行するために提供されている。
【0040】
遠心分離機2の一例を
図1に示す。この遠心分離機2は、連続供給遠心分離機であってもよい。この遠心分離機は、ロータ(図示せず)が配置されたハウジング21を備えた機械フレーム20を備える。ロータは、回転可能なボウルを備える。好ましくは、遠心分離機はディスクスタックセパレータまたはデカンタである。ディスクスタックセパレータでは、ボウルは、効果的な分離のためにディスクスタックを備える。
【0041】
遠心分離機のロータは、駆動装置22によって回転軸の周りを回転するように配置されている。ボウルは分離チャンバを備え、そこで動作中に流体(すなわち、懸濁液)の二つ以上の成分の遠心分離が行われる。
【0042】
遠心分離用の流体を供給するための入口パイプ23が、ボウル内に延びている。流体の成分のうちの第1の成分を排出するための第1の出口パイプ24が、ボウルから延びている。さらに、流体の成分のうちの第2の成分を排出するための第2の出口パイプ25が、ボウルから延びている。ボウルには、例えばボウルから固形物のスラッジを連続的または不連続的に排出するための、またはセパレータ洗浄のための、追加の出口を設けることができる。
【0043】
本発明によれば、遠心分離機2を備えるアセンブリは、いくつかのセンサ261~264を含む検出手段を備える。これらのセンサ261~264は、ボウル内に設けられた内部センサと、ボウル外に設けられた外部センサとの一方又は両方を含むことができる。さらにセンサは、アセンブリのすべての部品上または内部に設けることができる。
【0044】
システム1の電子部品は、有線接続を備えていてもよく、及び/又は無線で通信してもよい。
【0045】
図1では、例として、遠心分離機は四つのセンサ261、262、263、264を備え、これらの例示的なセンサ261~264のすべてがボウルの外側に設けられている。
【0046】
第1のセンサ261は、入口パイプ23に設けられている。この第1のセンサ261は、流量計として、特に体積流量計又は質量流量計として設計することができる。また、
図1では、第1の出口パイプ24が第2のセンサ263を備え、第2の出口パイプ25が第3のセンサ262を備えている。これらの第2および第3のセンサ262、263も、流量計として設計することができる。これに加えて、第4のセンサ264を遠心分離機に設けることができる。このセンサは、例えば機械フレーム20の振動を測定するように設計された、振動センサとすることができる。
これらのセンサ261、262、263、264は、プロセスの動作パラメータ(OP)を検出するために設けられている。これらは、データ処理ユニット3に接続されている。
【0047】
データ処理ユニット3は、データ取得ユニット31を備えていてもよい。
データ処理ユニット3は、ディスクリート部品、プリント回路基板、または集積回路のうちの一つまたは複数を備える、少なくとも一つまたは複数の電子回路を備えることができる。一つまたは複数の集積回路は、特定用途向け集積回路、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、またはフィールドプログラマブルゲートアレイのうちの一つまたは複数を備えることができる。
【0048】
このデータ取得ユニット31は、遠心分離プロセスを制御するためのプロセスコントローラなどの制御ユニットの一部を形成すること、または制御ユニットに接続することができる。データ取得ユニット31は、センサ261、262、263、264から測定データを取得する。
【0049】
これに加えて、データ取得ユニット31はゲートウェイを備えることができる。ゲートウェイは、計算ユニット32へのデータ転送を提供するように設計することができる。この計算ユニットは、データ記憶ユニット321及びデータプロセッサ322を含むことができる。計算ユニット32は、好ましくはディスプレイユニット4として設計されたユーザインターフェースユニット4に接続することができる。
【0050】
遠心プロセスコントローラは、遠心分離プロセスを制御するために、一つまたは複数のセンサ261、262、263、264によって収集されたデータ、すなわち検出された動作パラメータを使用することができる。
【0051】
また、
図1に示される実施形態において、計算ユニット32は、センサ261~264により収集されたデータを処理することもできる。計算ユニット32は、このデータを使用して主要能力インジケータを決定する。
【0052】
計算ユニット32は、様々な方法で設計することができる。一実施形態では、これは、遠心分離機を含む装置が配置されている場所またはその近くの計算ユニットとして、設計することができる。ただし、有線または無線接続を使用して、別の遠隔地に配置することもできる。また、これは、リモート計算ユニットとして、例えば、クラウド計算ユニットとして設計することもできる。
図2において、データ取得ユニット31及び計算ユニット32は、データ処理ユニット3を実現する一つのコンピュータの一部であり、ローカルコンピュータ又はクラウドコンピュータとすることができる。この場合、遠心分離プロセスを制御するためのコントローラは、主要能力インジケータを決定するデータプロセッサ322として使用することも、またはそれを備えることもできる。
【0053】
計算ユニット32は、検出された動作パラメータを二つ以上のそれぞれの特定の主要能力インジケータKPI1およびKPI2に変換し、二つ以上の特定の主要能力インジケータに所定の規則のセットを適用することにより、二つ以上の特定の主要能力インジケータKPIおよび/またはサブKPIから、集約主要能力インジケータAKPIを決定する。AKPI は、機器に変更が発生すると、変化する。
【0054】
図3は、本発明の第3の例示的実施形態のセクションの概略図を示す。検出された動作パラメータ(データ)は、データ記憶のために、物のインターネット(IoT)ゲートウェイを介してデータ記憶ユニット322(図示せず)に転送される。データが取得されると、記憶されたデータは、続いてユーザインターフェースユニット4(図示せず)上での視覚化のために処理される。代わりに、または追加として、データ伝送用にアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を設けることもできる。
【0055】
ユーザインターフェース4上に集約主要能力インジケータを表示することによるデータの視覚化の例示的な実施形態を、
図4に示す。また、
図5に示すように、追加情報、例えば、二つ以上のそれぞれの特定の主要能力インジケータKPI1およびKPI2を表示することも可能である。
図4または
図5のユーザインターフェースは、ユーザがAKPIの計算の様々な段階、例えば動作パラメータまたはKPI1およびKPI2にアクセスし、それを見ることができるように、タッチディスプレイとして構成される。これにより、ユーザはAKPIの変化の原因を特定することができる。
【0056】
図6にAKPIのデータ内容を示すブロック図を示す。AKPIは、二つ以上の特定のKPIであるKPI1およびKPI2の加重平均を決定することによって計算される。KPI1は、一つまたは複数のサブKPIであるサブKPI1、サブKPI2およびサブKPI3から決定される。これらは、順次一つまたは複数のシステム動作パラメータから決定され、OP1、OP2、およびOP3はサブKPI1を決定するために使用され、OP4はサブKPI2を決定するために使用され、OP5およびOP6はそれぞれサブKPI3を決定するために使用される。KPI2は、動作パラメータOP7、OP8、およびOP9の加重平均として計算される。
図6のブロック図のトポロジは、システムオペレータの正確なニーズに適合するように、無限に拡張および/または適合することができる。オペレータは、このようにプールされた機械データの複数のレベルにアクセスすることができ、したがって、より容易に問題領域を識別することができる。
【0057】
図6に示されるように、KPI1およびKPI2のようなKPI、またはサブKPI1のようなサブKPIは、それぞれ、一つまたは二つ以上の異なる動作パラメータのうちの一つまたは複数から直接計算することが可能である。しかし、それぞれのサブ主要能力インジケータのうちの一つまたは複数が、一つまたは複数のサブサブ主要能力インジケータから計算され、そのうちの一つまたは複数が、順に、一つ、二つ、またはそれ以上の(異なる)動作パラメータからそれぞれ計算されることも可能である。したがって、それぞれのKPIのうちの一つもしくは複数、またはサブKPIのうちの一つもしくは複数、またはサブサブ主要能力インジケータのうちの一つもしくは複数が、それぞれ、二つ以上の異なる動作パラメータから計算されることが可能である。
【0058】
図7および8の二つのより具体的な例示的実施形態では、AKPIは、以下の具体的なKPIの加重平均として計算される。
-性能、これは、生産、定置洗浄、エネルギーとの特定のKPIの加重平均として計算できる。
-品質、これはサブKPIである品質CIP(定置洗浄品質)から計算することができる。
および
-可用性、これは、可能性時間および障害とのサブKPIの加重平均として計算することができる。
【0059】
図7において、サブKPIの生産を定めるために、サブKPIである生産は、時間当たりの量、生産時間、排出時間、および排出量との動作パラメータの加重平均として計算することによって決定される。
【0060】
図7では、KPIの定置洗浄(CIP)を定めるために、サブKPIの生産が、動作パラメータであるCIP時間から計算される。
【0061】
また、
図7において、サブKPIであるエネルギーは、定置洗浄エネルギー、生産エネルギー、起動エネルギー、および消毒エネルギーとの動作パラメータから加重平均として計算される。
【0062】
サブKPIである定置洗浄品質は、酸時間、苛性時間および総排出などの動作パラメータから加重平均として計算することができる。
【0063】
使用可能時間は、直接測定される動作パラメータであってもよく、サブKPI及び/又はサブサブKPIであってもよい。OP/サブサブKPIの使用可能時間を定めるために、これはまた、定置洗浄時間、起動時間、消毒時間、および停止障害の動作パラメータから加重平均として計算することができる。
【0064】
サブKPIである障害は、障害の動作パラメータである、障害停止、重大障害数、および中程度障害数の加重平均として計算することができる。
【0065】
以下は、好ましい実施形態(特に
図7および8の実施形態)において、いくつかの動作パラメータを容易に決定できる方法を説明する。ただし、これは、他の実施形態では他の方法で行うこともできる。動作パラメータである時間あたりの量は、流量測定により決定することができる。動作パラメータである時間当たりの生産時間は、タイマー制御ユニットによって決定することができる。動作パラメータである時間当たりの排出時間は、タイマー制御ユニットによって決定することができる。動作パラメータである時間当たりの排出量は、速度測定など、さまざまな種類の測定によって決定することができる。動作パラメータであるCIP時間は、タイマー制御ユニットによって決定することができる。動作パラメータであるCIPエネルギーは、エネルギー測定によって決定することができる。動作パラメータである生産エネルギーは、エネルギー測定によって決定することができる。動作パラメータである起動エネルギーは、エネルギー測定によって決定することができる。動作パラメータである消毒エネルギーは、エネルギー測定によって決定することができる。動作パラメータである酸時間は、タイマー制御ユニットによって決定することができる。動作パラメータである苛性時間は、タイマー制御ユニットによって決定することができる。動作パラメータである総排出は、カウンタ制御ユニットによって決定することができる。動作パラメータである停止障害は、カウンタ制御ユニットおよびタイマー制御ユニットによって決定することができる。動作パラメータである重大障害数は、カウンタ制御ユニットによって決定することができる。動作パラメータである中程度障害数は、カウンタ制御ユニットによって決定することができる。
【0066】
この実施形態では、システムオペレータは、このようにシステムが、全体的に、または性能、品質、または可用性において、期待どおりに動作しているかどうかだけでなく、例えば、その性能が、システムの生産、定置洗浄プロセス、またはエネルギー消費によって影響を受けているかどうか、及び、決定された動作パラメータに関してこれらのサブKPIまたはサブサブKPIへの変化の直接的な原因も調査することができる。
【0067】
さらに、重み付けを適用することで、本発明は、様々な主要能力インジケータおよび動作パラメータの相対的重要性を、現在の先端技術よりも適切に考慮することができる。これらの要因は、限られた保守および開発リソースの、より効率的な使用をもたらす。
【0068】
AKPIはまた、加重ありKPIまたは加重なしKPIの平均であってもよい。AKPIが定義されるが、KPIの性能、品質および可用性に限定されない。
【0069】
重み付けが使用されるため、サブサブ及びサブKPI用と同様の重み付けシステムが実装される。
・重みw(1-5、またはニーズに合わせて調整)
・重み付けされたKPIの中央値は、AKPIを与える。
【数1】
【0070】
AKPIダッシュボードは、特に乳製品および飲料用途のための、セパレータからの測定値およびプロセス関連データも含むことができる。
【0071】
画面上の一つまたは複数のダッシュボード上に異なるKPI(AKPIおよびサブKPIおよび動作パラメータ(
図9))を示すことによって、ユーザは、セパレータの効率性の概要を、より良く/より迅速に把握することができる。また、ユーザは、問題が発生したときに、より迅速に対応することができる。
【0072】
異なる好ましい実施形態では、遠心分離機を含むアセンブリを用いて実行される遠心分離プロセスは、相をさらに処理することができるさらなるステップを含むことができる。
【0073】
図7に示される例示的なKPIおよび動作パラメータのブロック図および上述の代替物は、様々な種類の遠心プロセスで使用することができる。ただし、本発明は、本明細書の導入部に列挙されたプロセスにおいて、特に有利な方法で実施することができる。
【0074】
上記のこれらの個々のプロセスでは、さらなるパラメータを考慮することが有用である場合がある。
特に有利な例となる方法、すなわち、特許請求される方法を実施するために使用することができる特に有利な例となる遠心分離方法は、ミルクおよび/または他の乳製品を異なる製品相に遠心処理することに関する。一例として、ミルクは、遠心分離機を使用することによって、脂肪含有量の高いクリームと、脂肪含有量の低い脱脂ミルクとの二つの相に分離することができる。
【0075】
多くの乳製品プロセスは、ミルクの相の組成のさらなる規格化を必要とする。ミルクを規格化するには、一つの成分(通常は脂肪)のみを制御し、一方、他は、二つ以上の成分を同時に変化させたりまたは制御したりできるようにすることが要求される。
【0076】
典型的には、
図1に示すようなシステムでは、遠心分離機は連続処理用のディスクセパレータである。さらに、典型的には、セパレータから排出される相の少なくとも一つを、制御された方法で他の相に添加することができる。
【0077】
規格化には、コンピュータ制御装置(「規格化ユニット」とも称される)をスキミングセパレータに統合することが必要となる可能性がある。
【0078】
スキミングセパレータは、ミルクスキミングセパレータであってもよいが、ホエーセパレータであってもよい。規格化ユニットは、ミルクスキミングセパレータからのクリームの流れを制御し、一つまたは複数のセンサを用いてクリームの流量または質量および密度を測定することができる。したがって、密度が既知であるため、クリームの脂肪含有量は、当該技術分野において既知の式を使用することで計算することができる。次いで、このユニットは、スキムミルクの流量および最終的なミルクに必要とされる脂肪含有量に応じてクリームを追加する。次いで余剰クリームは、追加の「余剰クリーム」タンクに排出される。
【0079】
このようにして、チーズミルク、飲料ミルクなどの必要な用途に合わせて、ミルク中の様々な脂肪含有量の変動を調整することができる。
【0080】
図8は、遠心分離プロセスが、遠心分離機から排出される一つ以上の相の規格化を含む場合に使用できる、例示的なKPIおよび動作パラメータの別のブロック図を示す。
図8では、
図7と比較して、いくつかのフィールドが追加された。
【0081】
図8では、サブKPIである生産を定めるために、サブKPIの生産は、動作パラメータである、時間当たりの量、生産時間、排出時間、排出量、生産温度および排出圧力の加重平均として計算される。
【0082】
図8では、KPIである定置洗浄(CIP)を定めるために、サブKPIの生産は、タイマー制御ユニットによって決定できる定置洗浄時間との動作パラメータから計算される。
【0083】
また、
図8において、サブKPIであるエネルギーは、定置洗浄エネルギー、生産エネルギー、起動エネルギーおよび消毒エネルギーとの動作パラメータの加重平均として計算される。
【0084】
追加のサブKPIである品質製品を定めるために、これは、動作パラメータ(この場合、サブサブKPIと呼ぶこともできる)である規格化ミルク差異および規格化クリーム差異から加重平均として計算することができる。
【0085】
サブKPIである品質洗浄を定めるために、これは、動作パラメータである、酸時間、酸導電率、酸温度、苛性時間、苛性導電率、苛性温度、排出圧オーバーフロー、および総排出から加重平均として計算することができる。
【0086】
サブKPIである機械可用性時間を定めるために、これは、OP(この場合、サブサブKPIと呼ぶこともできる)である使用可能時間から加重平均として計算することができ、この使用可能時間は、次に、CIP時間、起動時間、消毒時間、および停止障害との動作パラメータから決定することができる。
【0087】
サブKPIである障害を定めるために、これは、動作パラメータである停止障害、重大障害数、および中程度障害数から加重平均として計算することができる。
【0088】
以下は、
図8の実施形態において、いくつかの動作パラメータを容易に決定することができる方法を説明する。動作パラメータである生産温度は、温度センサによって決定することができる。動作パラメータである排出圧力は、圧力センサで求めることができる。動作パラメータである酸導電率は、導電率測定によって決定することができる。
【0089】
動作パラメータである酸温度は、温度センサによって測定することができる。動作パラメータである排出圧オーバーフローは、圧力測定によって決定することができる。
【0090】
サブサブKPIである規格化ミルク差異は、ミルク規格化設定点およびミルク規格化の測定値から計算することができる。
サブサブKPIである規格化クリーム差異は、クリーム規格化設定点およびクリーム規格化の測定値から計算することができる。
【0091】
上記の説明に加えて、
図7および
図8で使用されている用語のいくつかを以下のリスト(OP=動作パラメータ)で説明する。
【表1】
【0092】
好ましくは、動作パラメータの以下の測定は、センサを用いて実行することができる。
【表2】
【0093】
好ましい実施形態で上述したように、例えば、上述の図による実施形態では、KPI(例えば、性能、品質および可用性)は、サブKPIに分割することができる。次に、サブKPIは、サブサブKPIに分割することができる。KPIの最下位レベルは、決定された動作パラメータから計算することができる。
【0094】
単一のサブサブKPIまたはサブKPIは、ユーザが変更可能な特定のターゲット時間について、分析することができる。
KPIは、以前に保存されたターゲット値との偏差のモデルを使用することによって、評価することができる。
【0095】
次いで、この偏差を使用して、目標帯域においてKPIを0~100%にスケーリングする。帯域は、システムが起動時に予め定義されているが、例えば、ユーザ要件の変化に対応するために、後で調整することもできる。
【0096】
すべてのKPI、サブKPIおよび/またはサブサブKPIは、個々の範囲およびパーセンテージに設定することができる。
【表3】
【0097】
次いで、一つまたは複数のサブKPIまたはサブサブKPIに、たとえば1~5または同等の重み係数を与えることができる。
【0098】
計算方法は、KPIまたはサブKPIまたはサブサブKPIのタイプ、および動作パラメータのタイプに従って選択することができる。これは、KPI性能が、プロセスに従って、またはアセンブリの効率のために重み付けされうる、様々なサブKPIおよびサブサブKPIから構成できることを意味する。
これについては、様々な実施例に関して以下に説明される。
【0099】
プロセスの有効性の評価のためには、製品品質のための容量ビューおよびプロセスビューは、通常、スラッジ除去(スラッジ排出)間の標準的な時間よりも重要性が高い。しかしながら、重み付けなしの標準モデルでは、この除去時間の変化は、他のすべてのパラメータと同様にKPIに影響を及ぼす。
【0100】
重み付けKPI法の影響をより明確に説明するために、本発明が、全てのサブおよびサブサブKPIが等しい重みを有することを意味する、重み付けされていないKPIを使用する最先端技術による方法と比較される。
【0101】
サブKPIは、決定された値と目標値との比較、計算された値と目標値との比較、または異なるサブサブKPIの平均(単一のKPIを重み付けして含めるかどうかにかかわない)による、単一の評価されたKPIとすることができる。
【0102】
・重み付けされたKPI測定
【数2】
一例として、サブKPIの生産にとって重要であるサブサブKPI生産時間は、スラッジ除去時間またはスラッジ除去量よりも、時間当たりの生産量および稼働時間に、より高い重み(wの値)を割り当てることができる。
【0103】
【0104】
【0105】
重み付けされていない方法は、いくつかのKPI/サブKPIの変動を、他のKPI/サブKPIなど変動よりも反映させることができない。
【0106】
重みの設定
好ましくは、重みは、過去の性能データ、経験に基づいて設定することができ、および/またはKPI/サブKPIまたはサブサブKPIのユーザがフォーカスする領域に従って調整することができる。このようにして、AKPIモデルは、顧客のアセンブリ効率の定義に合わせて容易に調整することができる。
このように、ユーザは、AKPIの事前に定義された定義を取得し、それをユーザのニーズおよび要件に合わせて調整することができる。
また、重要性の低いKPI/サブKPI/サブサブKPIは、悪化してもAKPIに大きな影響を与えないように、重みを減らすことができる。
【0107】
一例として、遠心分離プロセスの重要な要因は、容量および温度でありうる。このプロセスのあまり重要でない要因は、消毒時間または自己排出型遠心分離機のボウルの排出間の時間である場合がある。
【0108】
生産管理者のようなユーザは、
図9に示すように、画面のダッシュボード上でKPI構造(矢印UF)を展開することによって、セパレータの性能をより有意義に認識し、故障および/または潜在的な危険を検出することができる。
【0109】
重み付けは、流量のようなより重要なパラメータが、OEEに対してより高い影響を与えることを確実する可能性を提供する。このように、KPIの低減は、OEEに対してより大きい影響を有する-重要なプロセスの問題は、それほど重要ではないプロセスの問題よりも速く認識される。
【0110】
以下は、KPIの計算例である。算出されるKPIは、目標供給流量(単位:1時間当たりの量)である。
達成されるべき目標供給流量値は、例えば、セパレータの契約、顧客の手動調整または定義によって、例えば、AIまたは試行錯誤によって、事前に定義されていてもよい。
【0111】
・(例えばミルク用の)スキミングのためのセパレータの場合、40m3/hの流量が達成されるものとする。
・平均供給流量は、供給流量データを使用することによって計算することができる。
・平均供給流量は、目標供給流量と比較することができる。
・差が5%未満の場合、KPI目標供給流量値は100%になる。
・その値が5から10%の間である場合、それは90になる。
【0112】
例1: 目標値40m3/h、平均値=37.5m3/h
サブサブKPI目標供給流量=((37.5/40)-1)×100=6.25%偏差
--> 効率90%
【0113】
例2: 目標値40m3/h、平均値=35.0m3/h
サブサブKPI目標供給流量=((35/40)-1)×100=12.5%偏差
--> 効率80%
【0114】
それぞれのKPIおよび効率の微調整のために、効率の範囲は、継続的な経験によって 調整/変更することができる。示されている値は、方法を説明するための例に過ぎない。
【0115】
サブKPIは、異なる値及び/又は異なる重み付け値から計算することができる。
【0116】
例1:
サブKPI性能は、サブサブKPIから構成することができる。
・ 時間あたりの量(KPI1) (例の値=100 %)- 重み1(W1)=5
・生産時間(KPI2)(例の値=80%)-重み2(W2)=4
・排出時間(KPI3)(例の値=90%)-重み3(W3)=2
・排出量(KPI4)(例の値=70%)-重み4(W4)=3
次いで、全ての重みは、重み付け(すなわち、2と5の間の値を有する重み1から5)を与えられ、以下の式の分母は、全ての重みの合計である。
【数5】
【0117】
例2:
重み付けは実施例1と同じであるが、KPI値は動作パラメータにより変化している。
サブKPI性能は、サブサブKPIから構成することができる。
・時間あたりの量(KPI1) (例の値=70%)
・生産時間(KPI2)(例の値=60%)
・排出時間(KPI3)(例の値=100%)
・排出量(KPI4)(例の値=100%)
【数6】
【0118】
KPIは、加重サブKPI平均を使用することも、または重み付けなしのサブKPI平均化によって計算することもできる。
【0119】
例1b:KPI性能
サブKPI性能は、サブサブKPIから構成することができる。
・サブKPI性能(KPI1) (例の値=77%)- 重み1(W1)=5
・サブKPICIP(KPI2)(例の値=64%)-重み2(W2)=3
・サブKPIエネルギー(KPI3)(例の値=85%)-重み3(W3)=5
【数7】
【0120】
次いで、AKPIは、三つのKPIである性能、品質、および可用性の加重平均を使用することによって計算される。
【0121】
例2b:
KPI性能は、サブサブKPIから構成することができる。
・KPI性能(KPI1) (例の値=77%)- 重み1(W1)=5
・KPI品質(KPI2)(例の値=92%)-重み2(W2)=3
・KPI可用性(KPI3)(例の値=54%)-重み3(W3)=3
【数8】
【0122】
現在の先端技術では、KPIは以下のように決定される。
【数9】
【0123】
現在の先端技術を使用すると、KPIの変化は、最終KPI値に対して著しく大きい影響を及ぼす。
【0124】
本発明はまた、異なる容量設定を有するアセンブリの比較、例えば30m3/hで動作するセパレータと50m3/hで動作するセパレータとのそれぞれの効率の点での比較を可能にする。また、異なるサイトまたは異なる処理ラインに配置されたセパレータのより有意義な比較を可能にする。これに加えて、経時的な機器の劣化を示すことが、集約主要能力インジケータ値と、より長期間にわたる機器の性能を示す値との比較によって達成することができる。
【符号の説明】
【0125】
1・・・システム
2・・・遠心分離機
3・・・データ処理ユニット
4・・・ユーザインターフェースユニット
20・・・機械フレーム
21・・・ハウジング
22・・・駆動装置
23・・・入口パイプ
24・・・出口パイプ
261・・・センサ
262・・・センサ
263・・・センサ
264・・・センサ
31・・・データ取得ユニット
32・・・計算ユニット
321・・・データ記憶ユニット
322・・・データプロセッサ
【国際調査報告】