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特表2025-532558育毛促進および品質向上のための製剤およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-01
(54)【発明の名称】育毛促進および品質向上のための製剤およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20250924BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20250924BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20250924BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20250924BHJP
   A61K 36/21 20060101ALI20250924BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20250924BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20250924BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20250924BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20250924BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20250924BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/31
A61K8/34
A61Q7/00
A61K36/21
A61P17/14
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/44
A61K9/107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025515454
(86)(22)【出願日】2023-09-14
(85)【翻訳文提出日】2025-03-24
(86)【国際出願番号】 IB2023059131
(87)【国際公開番号】W WO2024057247
(87)【国際公開日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】202241053235
(32)【優先日】2022-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202341033357
(32)【優先日】2023-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524301159
【氏名又は名称】アルジュナ ナチュラル プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ARJUNA NATURAL PRIVATE LIMITED
【住所又は居所原語表記】P.B. No. 126, Bank Road, Aluva, Kerala 683101, India
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100219933
【弁理士】
【氏名又は名称】元川 信輔
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ベニー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD41
4C076EE57
4C076EE58
4C083AA071
4C083AA072
4C083AA122
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC232
4C083CC37
4C083DD33
4C083EE22
4C088AB12
4C088BA08
4C088MA22
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA92
(57)【要約】
本発明は、発毛を刺激し、質を改善するための処方物に関するものであり、その有効成分は植物源に由来し、特に、アマランサスの10~20%硝酸塩強化抽出物を含む。さらに、前記処方物は、流動パラフィン、マンゴーバター、蜜蝋、セチルアルコール、グリセロール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムから選択される1つまたは複数の成分を有する。また、本発明は、前記処方物の製造方法、その適用、ならびに発毛を刺激し、質を改善するためのその使用を開示する。前記処方物は、細胞増殖率を増大させることにより、低濃度で高い創傷治癒能力を有することがわかった。それは、発毛率を増大させるだけでなく、終毛、軟毛および成長期毛の総毛数および密度(n/cm)も増大させる。前記処方物を頭皮に塗布することは、発毛を刺激し、髪質を改善するのに役立つ。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アマランスの硝酸塩濃縮抽出物を含む、発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項2】
10~20%のアマランスの硝酸塩濃縮抽出物を含む、請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項3】
15%のアマランスの硝酸塩濃縮抽出物を含む、請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項4】
流動パラフィン、マンゴーバター、蜜蝋、セチルアルコール、グリセロール、安息香酸ナトリウム、及びソルビン酸カリウムから選択される1つ以上の成分を含む、請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項5】
アマランス硝酸塩と、流動パラフィン、マンゴーバター、蜜蝋、セチルアルコール、グリセロール、安息香酸ナトリウム、及びソルビン酸カリウムから選択される1つ以上の成分と、を含むアマランス抽出物の組成物である、請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項6】
細胞増殖率を増加させることにより、より低い濃度で高い創傷治癒能を有する、請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項7】
発毛速度を増加させるために用いられる、請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項8】
総毛数及び密度(n/cm)を増加させるために用いられる、請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項9】
終毛の数及び密度(n/cm)を増加させるために用いられる、請求項8に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項10】
産毛の数及び密度(n/cm)を増加させるために用いられる、請求項8に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項11】
成長期対休止期比を増加させるために用いられる、請求項8に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項12】
成長期毛の数及び密度(n/cm)を増加させるために用いられる、請求項8に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項13】
終毛対産毛比を増加させるために用いられる、請求項8に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項14】
血管内皮成長因子(VEGF)mRNA発現を増加させるために用いられる、請求項8に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項15】
成長期毛のパーセント割合にその直径を掛けたものである毛髪指数を増加させるために用いられる、請求項8に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤。
【請求項16】
請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤の調製の方法であって、
- 蜜蝋と流動パラフィンを各々20~30%の範囲の量で組み合わせ、水浴中で溶融して油相を形成すること、
- セチルアルコールと流動パラフィンを各々5~10%の範囲の量で組み合わせ、溶融して油相を形成すること、
- 安息香酸ナトリウムとソルビン酸カリウムを各々0.1~3%の範囲の量で別々に水に溶解して水相を形成すること、
- アマランスの硝酸塩濃縮抽出物とグリセロールがそれぞれ10~20%及び15~25%の範囲の量で攪拌しながら混合されて水相を形成すること、及び
- 得られた水相と油相を一緒に攪拌しながら添加して発毛刺激及び品質改善用製剤にすること、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の発毛刺激及び品質改善用製剤を用いる方法であって、臨床的に診断された男性型脱毛(MPHL)のこめかみ、頭頂部頭皮、及び/又は前頭部中央頭皮に、1日1回夜間に2gの用量で前記製剤を塗布することを含む、方法。
【請求項18】
前記製剤が、45日以上の期間にわたって塗布される、請求項1~5に記載の製剤を用いる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発毛を刺激し、髪質を改善するための処方に関する。本発明の処方は、硝酸塩を含むアマランサス、ホウレンソウ、レタス、ウイキョウ、ルッコラ、大根、白菜、パセリなどの緑の葉野菜などの植物源からの有効成分、特にアマランサスの抽出物を含む。本発明は、また、前記処方の調製方法、その適用、ならびに発毛を刺激し、髪質を改善するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
髪は私たちの体のイメージに不可欠であり、自尊心や自信に大きな影響を与える可能性がある。毛髪の成長と脱毛は単純なプロセスのように見え得るが、毛髪の成長サイクルは実際には4つの異なる段階で構成されている。最初の3つの段階(成長期、退行期、休止期)は、毛髪の成長と成熟、および個々の毛髪を生成する毛包の活動に関係している。最後の、または退行期には、「古い」毛髪が抜け落ちるが、通常は新しい毛髪がその代わりを担う準備をしている。各段階には独自のタイムラインがあり、年齢、栄養、および全体的な健康状態に影響され得る。
【0003】
毛髪の成長段階は成長期から始まる。成長期は最も長い段階で、約3~5年続く。成長期には、毛包から毛が押し出され、毛髪は切られるか、寿命が尽きて抜け落ちるまで成長し続ける。
【0004】
退行期は成長期の終了とともに始まり、10日間ほど続く。この期間中、毛包は縮小し、毛髪の成長は遅くなる。毛髪は毛包の底から離れるが、成長の最後の数日間はそのまま残る。
【0005】
休止期は通常約3か月続く。頭皮の毛髪の約10~15%がこの段階にあると推定される。休止期には毛髪は成長しないが、通常は抜け落ちることもない。休止期は、退行期に毛髪が抜け落ちた毛包で新しい毛髪が形成され始める時期でもある。
【0006】
外生期は、本質的には、毛髪の成長の休止期の延長または一部である。外生期には、洗髪やブラッシングによって頭皮から毛髪が抜け落ちる。外生期に1日に50本から100本の毛髪が抜けるのは正常である。
【0007】
脱毛は、多くの人間だけでなく多くの動物が経験する一般的な問題である。脱毛には多くの種類があり、脱毛症とも呼ばれる。脱毛症は慢性の皮膚疾患で、頭髪の一部または全部が抜け、時には体毛も抜ける。脱毛症に影響を与える主な要因は、ホルモンの変化、遺伝子、ストレス、病気、出産、薬物、火傷、怪我、自己免疫疾患、美容処置、食事である。遺伝性男性型脱毛症は最も一般的な脱毛症の形態である。これは、毛髪量の減少、または禿げ頭として現れ、男性の約70%に影響を及ぼす。急性脱毛症は、化学療法、ストレス、重度の栄養失調、鉄欠乏症、ホルモン障害、エイズ、または急性放射線療法による治療に関連し得る。
【0008】
男性型脱毛症(AGA)は、男性型脱毛症(MPHL)とも呼ばれ、遺伝的に決定される進行性疾患で、硬毛が徐々に軟毛に置き換わる。男性における有病率は年齢とともに上昇するが、症状が現れる年齢や進行速度はさまざまである。こめかみ、頭頂部、前頭部の中央部は、頭皮で最も影響を受ける3つの部位である。このプロセスは、これらの領域内で綿密に構造化されている。女性の場合、男性型脱毛症(FPHL)は、頭頂部の薄毛と前頭部の生え際によって区別される。
【0009】
円形脱毛症は突然発症することが多く、小児および若年成人に部分的な脱毛を引き起こす。この状態は完全な禿げ(全頭脱毛症)を引き起こす可能性がある。全身性脱毛症は、眉毛、まつ毛、陰毛を含むすべての体毛が抜け落ちる。抜毛症は小児に最も多く見られ、自分の毛を抜く精神障害である。休止期脱毛症は、毛髪の成長周期の変化により頭皮の毛髪が一時的に薄くなる状態である。多数の毛髪が同時に休止期に入るため、毛髪が抜け落ち、その後薄くなる。瘢痕性脱毛症は永久的な脱毛を引き起こす。炎症性皮膚疾患(蜂窩織炎、毛包炎、ニキビなど)およびその他の皮膚疾患(ある種の狼瘡および扁平苔癬など)は、多くの場合、毛髪の再生能力を破壊する瘢痕を引き起こす。
【0010】
文献では、真皮乳頭と毛包幹細胞との相互作用に、シグナル伝達経路とともにオートクリン因子とパラクリン因子が関与していることが示されている。ジヒドロテストステロン(DHT)がARに結合することが、アンドロゲン依存性プロセスの主因である。関与するアンドロゲン代謝の重要な要素の理解において、大きな進歩が遂げられている。アンドロゲン不応症および5α-還元酵素2型欠損症の患者を対象としたさまざまな研究から、ジヒドロテストステロンによる毛包アンドロゲン受容体の活性化が男性型脱毛症を誘発することが示唆されている。弱いアンドロゲンの利用可能性、5α-還元酵素の作用によるそれらのより強いアンドロゲンへの変換、アンドロゲン不活性化酵素の低い酵素活性、および機能的に活性なARの数の多さは、すべてDHT依存性細胞機能に必要である。したがって、脱毛しやすい頭皮ではDHTレベルが高く、AR発現が増強される。真皮乳頭におけるテストステロンからDHTへの変換は重要であり、真皮乳頭細胞由来のアンドロゲン調節物質は他の毛包成分の増殖に影響を与えると考えられている。局所的に生成されるジヒドロテストステロンと全身的に生成されるジヒドロテストステロンが脱毛プロセスにどの程度寄与しているかは不明である。したがって、AGAの複雑な病因の推定要素は、結合組織のリモデリングを伴う長期にわたる微細毛包炎症であり、最終的には不可逆的な脱毛につながると言える(図1)。
【0011】
脱毛症の既知の治療法の1つは植毛である。別の治療法は薬物療法である。米国FDAが脱毛症治療薬として認可している製品は、タイプ2、5-α-還元酵素の競合的阻害剤である経口フィナステリドと、培養された真皮乳頭細胞における血管内皮成長因子の産生を刺激することが示されているアデノシン三リン酸感受性カリウムチャネル開口薬である局所用ミノキシジルのみである。ミノキシジルは、男性と女性に使用できる局所用製剤として入手できる。ミノキシジルは、プロドラッグとして機能するピペリジノピリミジン誘導体(2,4-ジアミノ-6-ピペリジノピリミジン-3-オキシド)であり、薬理効果を発揮するためには、活性代謝物である硫酸ミノキシジル(MS)への変換が必要である。活性代謝物は、ミノキシジルの血管および毛包への作用を担っている。通常、効果が現れるまでに数か月使用する必要がある。ミノキシジルによる治療を中止すると、通常、脱毛のプロセスが再開する。治療を中止してから3~4か月後に、再び生えてきた毛髪が抜け落ちることがある。ミノキシジルに関連する深刻な影響の1つは、特に女性の顔に起こる多毛症である。髪が乾燥して艶がなくなり、硬くなることがあるため、多くの患者はミノキシジルの使用をためらう。患者が動悸、目の刺激や灼熱感、体重増加を訴えるという報告もある。局所用ミノキシジルは、心臓血管系に悪影響を与えるとも報告されている。
【0012】
フィナステリドは、脱毛症の治療にもある程度の有効性があることが実証されている。フィナステリドは5α-還元酵素阻害剤であり、テストステロンが活性5α-ジヒドロテストステロン(DHT)型に変換されるのを阻害する働きをする。DHT型の高レベルは脱毛症と関連している。研究では、患者の約50%に有効性が示されており、勃起不全や女性化乳房などの副作用が報告されている。さらに、フィナステリドは、胎児に先天異常を引き起こす可能性があるため、出産可能年齢の女性には使用できない。
【0013】
薬理学的アプローチには、独自の欠点がある。その結果、AGAに関する最近の医学的関心は、新しいより安全な治療法の発見に集中しており、これらの治療法は、多くの場合、自然療法によって提供される。文献には、脱毛症などの疾患の治療に生薬を使用することが示されている。しかし、それらはすべて、その作用のメカニズムの説明を欠いている。7つの一般的な植物(Panax ginseng CA Mey.、Malus pumila Mill cultivar Annurca、Coffea arabica、Allium sativum L.、Camellia sinensis (L.) Kuntze、Rosmarinum officinalis L.、Capsicum annum L.)の作用に関する文献がある。抜け毛の速度を低下させたり、新しい毛髪の成長を刺激したりすると考えられている。その良い効果は文献で広く議論されているが、それらにも、in vitro、ex vivo、in vivo、臨床試験など、さまざまな実験戦略間の既知のギャップなどの制限があり、統合的なメカニズムの説明が困難になっている。その結果、物理的または美容的な治療、サプリメント、ハーブエキスの使用などの代替治療が必要となる。
【0014】
伝統的な食用植物は、インドなどの発展途上国の人口の大部分によって消費されている。世界中で約30,000種の植物が食用と推定されているが、そのうち7,000種のみが食用として使用されている。貯蔵脂質、香料、精油、フラボノイド、ポリフェノールなど、植物から抽出される天然化合物は、その食用価値について広範囲に研究されており、化粧品業界や製薬業界では原料として使用されている。
【0015】
本発明では、アマランサスの硝酸塩強化抽出物を含む局所用製剤が、発毛を刺激し、髪質を改善するために使用される。アマランサスは、タンパク質、食物繊維、硝酸塩、ミネラルの優れた供給源である。硝酸塩は亜硝酸塩に、そして体内で一酸化窒素に変わる。一酸化窒素は強力な血管拡張剤であることが知られている。毛髪細胞への血流増加は、毛包の成長と再生を促進すると仮定されている。また、アマランサスには、体が強い根を持つ健康で強い毛髪を作るために必要な重要なアミノ酸リジンも含まれている。
【0016】
本発明は、アマランサスの硝酸塩濃縮抽出物のDHT誘発性脱毛に対するin vitroおよびin vivo効果を提供し、その作用機序の可能性を解明する。
【発明の概要】
【0017】
本発明では、育毛を刺激し、髪質を改善するための処方を開示しており、その有効成分は植物源、特に硝酸塩が豊富な抽出物から得られる。処方に使用される植物源は、アマランサス、ホウレンソウ、レタス、ウイキョウ、ルッコラ、ラディッシュ、白菜、パセリから選択される。他の源は、ビートルート、ラディッシュ、カブ、クレソン、セロリなどである。好ましい一実施形態では、アマランサス由来の硝酸塩が豊富な抽出物が前記処方に使用される。処方中のアマランサスの硝酸塩が豊富な抽出物に加えて、水とともに、流動パラフィン、マンゴーバター、蜜蝋、セチルアルコール、グリセロール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムから選択される1つ以上の成分を含むことができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、配合物は、アマランサスの硝酸塩強化抽出物10~20%を含む。別の実施形態では、配合物は、硝酸塩強化抽出物10~20%、流動パラフィン20~30%、マンゴーバター20~30%、蜜蝋10~15%、セチルアルコール5~10%、およびグリセロール15~25%を含む。好ましくは、前記配合物は、アマランサスの硝酸塩強化抽出物15%、流動パラフィン20%、マンゴーバター25%、蜜蝋14%、セチルアルコール6%、およびグリセロール20%を含む。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、本発明の製剤からなる前記製剤は、10~20%の硝酸塩強化抽出物、20~30%の流動パラフィン、20~30%の蜜蝋、5~10%のセチルアルコール、15~25%のグリセロール、0.1~3%の安息香酸ナトリウム、0.1~3%のソルビン酸カリウムおよび1~10%の水を含み、好ましくは、15%の硝酸塩強化アマランサス抽出物、30%の流動パラフィン、23%の蜜蝋、6%のセチルアルコール、20%のグリセロール、0.5%の安息香酸ナトリウム、0.5%のソルビン酸カリウムおよび5%の水からなる。
【0020】
当該製剤は、細胞増殖率を高めることにより、低濃度で高い創傷治癒能力を有することがわかった。毛髪成長率を高めるだけでなく、総毛髪数および密度(n/cm)も高める。有効性評価の一環として、臨床的に診断された男性型脱毛症(MPHL)のこめかみ、頭皮頭頂部、または前頭中部頭皮に、90日間、1日1回夜間に2gの用量で塗布した。主要評価項目は、終毛の密度、直径および数の平均変化であった。副次評価項目は、軟毛、成長期、休止期、毛包指数、終毛対軟毛比、成長期対休止期比の密度、直径および数の平均変化であった。
【0021】
適用すると、前記製剤は、作用部位/創傷部位における新しい血管の形成を示すVEGFmRNA発現を増加させることがわかる。また、成長期毛の割合とその直径の積である毛髪指数も増加させる。
【0022】
請求項1に記載の毛髪の成長を刺激し、毛髪の質を改善するための製剤の製造方法であって、
-蜜蝋と流動パラフィンをそれぞれ20~30%の割合で混合し、水浴で溶かして油相を形成する。
5~10%の割合で混合し、溶融して油相を形成する。
-安息香酸ナトリウムとソルビン酸カリウムをそれぞれ0.1~3%の範囲で水に別々に溶解して水相を形成する。
-アマランサスの硝酸塩濃縮抽出物とグリセロールをそれぞれ10~20%と15~25%の範囲で撹拌しながら混合して水相を形成する。
-得られた水相と油相を一緒に撹拌しながら加え、毛髪の成長を刺激し、質を改善する処方物を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明のこれらの特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照して詳細な説明を読むことで、よりよく理解されるであろう。
【0024】
図1図1(a)および(b)は、アマランサスの硝酸塩濃縮抽出物がヒト皮膚線維芽細胞に副作用を及ぼさないことを明らかにしたMTTアッセイの代表例である。
【0025】
図1(c)、(d)および(e)は、ミノキシジルおよびアマランサスの硝酸塩強化抽出物の両方について、A1およびA2のVEGF発現の上昇を示す。
【0026】
図2図2は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の総毛髪数を表す。
【0027】
図3図3は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の総毛髪密度を表す。
【0028】
図4図4は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の毛髪の全長を表す。
【0029】
図5図5は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の硬毛数を表す。
【0030】
図6図6は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の終毛密度を表す。
【0031】
図7図7は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の産毛数を表す。
【0032】
図8図8は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の軟毛密度を表す。
【0033】
図9図9は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の成長期の毛髪数を表す。
【0034】
図10図10は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の成長期の毛髪密度を表す。
【0035】
図11図11は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の毛包指数を表す。
【0036】
図12図12は、局所用製剤およびプラセボを塗布した後の成長期/休止期比を表す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、毛髪の成長を刺激し、髪質を改善するための処方を開示する。各新規特徴は実施形態を通じて開示される。これらの実施形態を通じて、処方、前記処方の調製方法、ならびに毛髪の成長を刺激し、髪質を改善するための使用方法が本明細書で開示される。実施形態は、その最も広い意味で理解されなければならない。図はまた、様々な生体内および生体外研究を通じて、前記処方の既知の同等物に対する効能を開示する。本発明の図は、当業者が本発明をよりよく理解できるようにするためのものであり、請求される主題の範囲を狭めることを意図するものではない。
【0038】
本明細書において使用される「毛髪」という用語は、真皮にある毛包から成長するタンパク質フィラメントを指し、頭皮、頭髪、顔、および/または体毛、まつ毛、眉毛、口ひげ、あごひげ、耳毛、鼻毛、胸毛、陰毛、補助毛、毛皮などを含む。
【0039】
「毛髪の成長を増強する」または「毛髪の成長を刺激する」または「毛髪の成長を誘導する」または「毛髪の成長を促進する」とは、新しい毛周期の成長の早期誘導、および/または毛周期の活発な成長期(成長期)の延長、および/または毛髪の成長速度の増加、および/または毛幹の幅の増加を意味し、毛髪の成長を誘導し目に見えるようにすることを含むが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において、「髪質を改善する」とは、毛幹の直径を大きくすること、および/または髪のボリューム、髪の輝き、髪の太さなどの髪の視覚的特性を高めること、および/または毛幹および/または髪のキューティクルの特性に影響を与えることを意味し、これには、より滑らかな外観や感触を生み出すこと、および/または輝きを増すことなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
血管拡張と頭皮への血流が改善されると、真皮乳頭に酸素と栄養分がより多く供給され、毛包が新しい毛幹を成長させ、成長期を延長させる刺激となる。成長期の持続期間は遺伝的に決定されるが、循環からの十分な栄養は有糸分裂と毛包細胞の増殖をサポートする。栄養以外の他の要因が成長期から休止期への移行を制御するが、血液供給の減少は、特にアンドロゲン媒介血管収縮において血管収縮因子の内皮産生を活性化することにより有害である。
【0042】
毛周期の調節は、皮脂腺、毛包、毛幹を含む毛包皮脂腺ユニットで行われます。エンドセリン1は、アンドロゲン受容体に作用する高テストステロンレベルに反応して血管内皮細胞から生成される強力な血管収縮剤である。この血管収縮は、真皮乳頭への栄養を制限し、男性型脱毛症の小型化を引き起こすことで、男性型脱毛症を引き起こす原因である可能性がある。
【0043】
一酸化窒素(NO)は、体内で強力な血管拡張剤およびシグナル伝達分子である。内皮細胞での一酸化窒素の生成は、毛髪の成長を刺激する細胞シグナル伝達経路のカスケードを引き起こす。このシグナル伝達は抗炎症経路を活性化し、慢性炎症が毛包を損傷して進行性の脱毛につながるのに対し、毛髪再生に最適な微小環境を作り出す。NOは毛包の細胞代謝とエネルギー生成を促進する。この代謝刺激により、毛包細胞の増殖と毛幹の生成に必要な生物学的燃料と構成要素がより多く供給される。そのため、一酸化窒素は常に、真皮乳頭周囲の血管でET-1の血管収縮作用とバランスをとっている。
【0044】
一実施形態では、本発明は、対象者の毛髪成長を促進する方法に関する。この方法は、硝酸塩を濃縮した製剤を対象に適用することを含む。
【0045】
一実施形態では、本発明は、対象の髪質を改善する方法に関する。この方法は、硝酸塩を濃縮した製剤を対象に適用することを含む。
【0046】
一実施形態では、本発明は、対象の脱毛を予防および/または治療する方法に関する。この方法は、硝酸塩を濃縮した製剤を対象に適用することを含む。
【0047】
本発明の一実施形態は、硝酸塩に富む抽出物および賦形剤を含む、脱毛の予防および/または発毛の促進および/または発毛の強化に有効な製剤、例えば局所用製剤を提供する。「局所用製剤」とは、製剤が哺乳動物の真皮に外部から塗布可能であることを意味する。例えば、製剤は、男性型脱毛症を患っている、または発症するリスクがある対象など、脱毛にかかりやすい、または脱毛のリスクがある男性対象の皮膚への投与に有用であり得る。別の例では、本発明の製剤は、脱毛に関連する疾患または状態、例えば脱毛症、特に急性脱毛症または男性型脱毛症を患っている対象の皮膚への投与に有用である。
【0048】
一実施形態では、本発明の局所用製剤は、アンドロゲン性脱毛症または男性型脱毛症を患っている、または発症する素因を有する対象における毛髪の成長を刺激するのに有用である。
【0049】
一実施形態では、本発明の局所用製剤は、対象の毛髪の質を改善するのに有用である。
【0050】
本発明の一実施形態は、脱毛症の治療または予防方法を提供し、この方法は、治療または予防を必要とする対象、たとえば脱毛症に罹患している、または脱毛症を発症する傾向がある対象に、対象の脱毛を予防し、および/または発毛を促進し、および/または発毛を増強するのに有効な、硝酸塩を豊富に含む抽出物および賦形剤を含む製剤、たとえば局所用製剤を投与することを含む。対象は、通常、ヒトなどの哺乳動物である。
【0051】
本発明の一実施形態は、髪質を改善する方法を提供し、この方法は、それを必要とする対象に、対象の髪質を改善するのに有効な、硝酸塩に富む抽出物および賦形剤を含む製剤、例えば局所用製剤を投与することを含む。対象は、通常、ヒトなどの哺乳類である。
【0052】
製剤の製造に使用される硝酸塩を豊富に含む抽出物は、アマランサス、ホウレンソウ、レタスなどの緑の葉野菜、フェンネル、ルッコラ、ラディッシュ、白菜、パセリなどの植物源から得られる。その他の源としては、ビートルート、ラディッシュ、カブ、クレソン、セロリなどがある。好ましい一実施形態では、硝酸塩植物源はアマランサスである。
【0053】
賦形剤は、たとえば溶解性および/または生体接着性を改善するために、一般的に剤形中に含まれる。適切な賦形剤には、溶媒、共溶媒、乳化剤、可塑剤、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、皮膚軟化剤、抗酸化剤、およびキレート剤、湿潤剤、および吸水剤が含まれる。製剤には、染料、着色顔料、真珠光沢剤、脱臭剤、および臭気マスキング剤などの1つまたは複数の添加剤も含まれ得る。
【0054】
適切な賦形剤としては、流動パラフィン、ワセリン、セラマイクロクリスタリン、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシンイソパラフィン、パラフィン、合成ワックス、マンゴーバター、シアバター、ココアバター、アボカドバター、米ぬかワックス、大豆ワックス、ラウリン酸、オリーブ油、セチルアルコール、グリセロール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
この製剤は、任意の適切な経路、たとえば経口、局所、または非経口経路による投与に適合させることができる。
【0056】
製剤は局所的に塗布することができ、クリーム、ローション、軟膏、ジェル、液体、またはその他の局所的形態であってもよい。
【0057】
医薬製剤は、所定量の活性剤を含む単位用量の形態で提供され得る。
【0058】
一実施形態では、本発明の配合物は、アマランサスの硝酸塩濃縮抽出物10~20%、流動パラフィン15~25%、マンゴーバター20~30%、蜜蝋10~15%、セチルアルコール5~10%およびグリセロール15~25%を含む。
【0059】
好ましい一実施形態では、本発明の配合物は、アマランサスの硝酸塩濃縮抽出物15%、流動パラフィン20%、マンゴーバター25%、蜜蝋14%、セチルアルコール6%およびグリセロール20%を含む。
【0060】
別の実施形態では、本発明の製剤は、10~20%の硝酸塩濃縮抽出物、20~35%の流動パラフィン、20~30%の蜜蝋、5~10%のセチルアルコール、15~25%のグリセロール、0.1~3%の安息香酸ナトリウム、0.1~3%のソルビン酸カリウムおよび1~10%の水を含む。
【0061】
好ましい実施形態では、本発明の配合物は、アマランサスの硝酸塩強化抽出物15%、流動パラフィン30%、蜜蝋23%、セチルアルコール6%、グリセロール20%、安息香酸ナトリウム0.5%、ソルビン酸カリウム0.5%および水5%を含む。
【0062】
一実施形態では、局所用製剤の製造方法が開示されている。蜜蝋と流動パラフィンを等量混合し、水浴で溶かして油相を形成する。セチルアルコールと流動パラフィンを採取し、混合し、溶かして油相を形成する。安息香酸ナトリウムとソルビン酸カリウムを別々に水に溶解して水相を形成する。アマランサスの硝酸塩強化抽出物とグリセロールを撹拌しながら混合して水相を形成する。すべての水相を連続撹拌によって油相に加える。
【0063】
硝酸塩に富むアマランサス抽出物の効能は、ヒト皮膚線維芽細胞(HDFa)細胞を用いてin vitroで研究されている。MTTアッセイにより、硝酸塩に富むアマランサス抽出物はヒト皮膚線維芽細胞(HDF)に副作用を及ぼさないことが明らかになった。実際、48時間の硝酸塩に富むアマランサス抽出物の影響下では、HDFは約120%の細胞増殖を示した。細胞毒性は、しかしながら72時間で観察される。
【0064】
さらに、アマランサスの硝酸塩強化抽出物とは対照的に、ミノキシジルはより低い濃度で細胞増殖の増加を示した。とはいえ、24時間以内に効果を示したアマランサスの硝酸塩強化抽出物と比較すると、ミノキシジルは細胞増殖率の増加に48時間かかり、72時間でピークに達した。
【0065】
MTTの結果からも、アマランサスの硝酸塩強化抽出物はミノキシジルに比べて作用が速いことが明らかである。この作用が速いのは、アマランサスの硝酸塩強化抽出物が水溶性であるのに対し、ミノキシジルは油性製剤であるためと考えられる。
【0066】
血管内皮成長因子(VEGF)は強力な血管新生因子であり、血管内皮細胞の必須成長因子として初めて説明された。VEGFmRNAの発現は、定量的リアルタイムPCRによって検査される。硝酸塩を豊富に含むアマランサス抽出物の場合、相対的なmRNA発現はより大きくなり、48時間間隔でのA2が最大になる。この相対的なmRNA発現の増加は、作用部位/創傷部位での新しい血管の形成も示す。また、M1とM2でのミノキシジルのmRNA発現にも注目することが重要である。
【0067】
男性型脱毛症に対する局所用製剤の有効性を調べる。臨床的に男性型脱毛症と診断された男性が、この研究のために選ばれている。硝酸塩を豊富に含むアマランサス抽出物の局所用製剤を、90日間、夜に1日1回2gの用量で頭頂部に塗布する。後頭部の上部は頭頂部と呼ばれることが多く、後頭泉門または乳児軟部組織の本来の正中線の位置を表す。これらの境界線の間には、後頭の凸部がある。終毛(非軟毛)密度(n/cm)、毛幹直径(mm)、毛髪成長率(mm/日)のベースラインからの平均変化を、3日目から93日目まで測定する。対象エリアの総毛数、太さ(mm)、長さ(mm)のベースラインからの平均変化、毛髪指数のベースラインからの平均変化、軟毛数、密度、パーセンテージのベースラインからの平均変化、成長期毛のパーセンテージと密度のベースラインからの平均変化、休止期毛のパーセンテージと密度のベースラインからの平均変化、終毛と軟毛の比率のベースラインからの平均変化、成長期と休止期毛の比率のベースラインからの平均変化、皮膚科学生活品質指数(DLQI)のベースラインからの平均変化、PGICのベースラインからの変化を、3日目から93日目まで測定する。
【0068】
毛髪密度は、1平方センチメートルあたりの毛髪数として計算される。硬毛密度は、1平方センチメートルあたりの硬毛の数である。硬毛は40μmより太く、この値はソフトウェアが画像内の硬毛を識別するために使用される。軟毛密度(n/cm)は、1平方センチメートルあたりの軟毛の数である。定義上、軟毛は40μmより細い。成長期毛密度(n/cm)は、1平方センチメートルあたりの成長期毛の数である。成長期毛は1日あたり約0.3mmの速度で成長する。休止期毛密度(n/cm)は、1平方センチメートルあたりの休止期毛の数である。休止期毛は成長しない。毛髪指数は、成長期毛の割合にその直径を掛けたものである。
【0069】
90日目の時点で、総毛髪数と毛髪密度はベースラインから23%有意に増加したのに対し、プラセボでは11%の変化が見られた。毛髪成長率(μm/日)は、90日間の研究期間の平均で、試験群では380μm/日、プラセボ群では310μm/日であった。硬毛数と毛髪密度はベースラインから28%有意に増加したのに対し、プラセボ群では15%の変化が見られた。試験群では軟毛数と毛髪密度が12%増加したのに対し、プラセボ群ではわずか3%の変化であった。
【0070】
この研究では、成長期の毛髪密度がプラセボと比較して54%増加した。成長期と休止期の比率は155%の大幅な増加を示したが、プラセボではわずか21%の変化しか見られなかった。
【0071】
毛髪指数(PI)は、男性型脱毛症における毛髪成長周期の尺度である。毛髪指数が低いほど、男性型脱毛症(MPHL)の進行段階が進んでいることを示す。
【0072】
本研究では、試験製品の使用開始から45日後にはPIの上昇(23%)が早くも顕著に現れたが、プラセボでは0.11%と変化はわずかであった。90日間の試験終了時には、プラセボでは7%の変化であったのに対し、試験製品では25%の変化と有意な上昇が見られた。
【0073】
皮膚科生活の質指数(DLQI)は、シンプルで自己管理型で使い勝手の良い検証済みの質問票である。症状や感情、日常活動、余暇、仕事や学校、個人的な関係や治療に関する10の質問がある。
【0074】
各回答の採点は以下のとおりである。DLQIは各質問のスコアを加算して計算される。最高スコアは30、最低スコアは0である。スコアが高いほど、生活の質が低下していることを示す。
【0075】
DLQIスコアの意味
0-1-患者の生活に全く影響なし
2-5-患者の生活への影響は小さい
6-10-患者の生活に中程度の影響
11-20-患者の生活に非常に大きな影響
21-30-患者の生活に極めて大きな影響

[対象の全体的な改善の変化]
【0076】
PGICは、患者の全体的な改善度を評価する7段階の尺度である。患者は、自分の変化を「非常に改善した」、「かなり改善した」、「わずかに改善した」、「変化なし」、「わずかに悪化した」、「かなり悪化した」、「非常に悪化した」のいずれかで評価する。
【実施例
【0077】
局所用製剤の調製方法
蜜蝋230gと流動パラフィン230gを混合し、水浴で溶かして油相を形成した。セチルアルコール60gと流動パラフィン70gを混合し、溶かして油相を形成した。安息香酸ナトリウム5gとソルビン酸カリウム5gを別々に水に溶解して水相を形成した。アマランサスの硝酸塩強化抽出物150gとグリセロール200gを撹拌しながら混合して水相を形成した。すべての水相は、連続撹拌によって油相に加えられる。

[ヒト皮膚線維芽細胞(HDFa)を使用したアマランサスの硝酸塩強化抽出物の有効性に関するin vitro研究]
細胞培養
【0078】
ヒト皮膚線維芽細胞(HDFa)は、10%FBS、40単位/mlのペニシリン、40μg/mLのストレプトマイシン(Thermo Fisher)を含むDMEM高グルコース培地(Himedia)中で、5%COの37℃加湿チャンバー内で維持された。細胞は、2~3日ごとにトリプシン-EDTAを使用して継代された。
MTTアッセイ
【0079】
細胞をトリプシン処理し、遠心分離して培養培地に再懸濁した。次に、細胞を血球計数器を用いてトリパンブルー法で計数し、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに50μlあたり5000細胞ずつ播種した。次に、細胞株の接着に適した条件下で細胞を一晩インキュベートした。その後、異なる濃度のアマランサスまたはミノキシジルの硝酸塩強化抽出物で、異なる時間数(24時間、48時間、および72時間)処理を細胞に施した。次に、各時間経過後に各ウェルに10μlのMTT試薬を加え、その後4時間インキュベートした。4時間後、顕微鏡下で紫色の沈殿物がはっきりと見えたら、上清をピペットで慎重に除去し、100μlの可溶化溶液(DMSO)をすべてのウェルに加えた。プレートは暗所で室温で20分間静かに振とうされた。その後、マイクロタイタープレートリーダーで、ブランクを含む各ウェルの吸光度を570nmで測定し、参照波長を630nmに設定した。平均値は3回の測定から決定し、ブランクの平均値を差し引いた。試験の吸光度は対照ウェルで標準化され、細胞生存率を決定した。細胞生存率は薬剤濃度に対してプロットされ、細胞増殖の増加が調査された。

リアルタイムPCR
RNA抽出
【0080】
HDFa細胞を、アマランサスおよびミノキシジルの硝酸塩濃縮抽出物の所望濃度で24時間および48時間処理した。各時点で細胞を単離し、Tri試薬(Takara)と呼ばれるRNA抽出溶液1mlに再懸濁した。サンプルを一晩-20℃で保存し、その後さらに続けられる。200μlクロロホルム/mlでTri試薬を添加した。次に混合物をボルテックスし、室温で15分間インキュベートした後、2~8℃で12000gで遠心分離した。RNAを含む水相を新しいチューブに移し、0.5mlのイソプロピルアルコール/mlでTri試薬と混合した。混合物を室温で10分間インキュベートし、RNAが完全に沈殿するようにした。次に、RNAを2~8℃で10分間、12000gで遠心分離して沈殿させた。上清を除去した後、RNAペレットをトリ試薬1mlあたり75%エタノール1mlで1回洗浄した。次に、RNAペレットを室温で短時間風乾し、ヌクレアーゼを含まない水に溶解し、56℃で10分間インキュベートした。最後に、分離されたRNAをNanodrop分光光度計を使用して定量した。

cDNAの調製
【0081】
分離したRNAにDNase処理を施し、サンプルにDNAが含まれている場合は除去した。このため、1U DNaseおよび1X DNaseバッファーを1.5μgRNAと混合し、合計10.0mlの反応液を作った。その後、反応液を37℃で30分間インキュベートし、続いて1μlEDTAを加えて65℃で10分間加熱して反応を停止した。cDNA調製のための逆転写酵素反応は、1.0μgの総RNAと0.5μgのランダムヘキサマーを含む12.5μlの反応混合物を70℃で10分間加熱して行った。冷却後、リボヌクレアーゼ阻害剤のrRNA20Uとモロニーマウス白血病ウイルスリボヌクレアーゼ逆転写酵素200Uを、10mmolデオキシNTPとモロニーマウス白血病ウイルス反応緩衝液5μlを含む最終20μl反応混合物に加え、42℃で1時間インキュベートし、70℃で10分間加熱した。

プライマーの設計と標準化
【0082】
PCR分析では、Primer3ソフトウェアを使用してVEGFおよびGAPDHのプライマーを設計した。選択したプライマーの特異性を保証するために、BLASTを実行してプライマーをデータベース内のゲノム配列に整列させ、配列の特異性をチェックした。プライマーはEurofinsに発注した。プライマーのアニーリング温度は、プライマーの融解温度(Tm)より5度高い温度と低い温度でグラジエントPCRを実施して標準化した。20μlの反応を設定した。
【0083】
内容物は泡が立たないように穏やかに混合され、PCR装置内に保管された。その後、2%アガロースゲル電気泳動を行って、生成物の形成を確認し、目的の生成物サイズの最大強度を与えるアニーリング温度を選択した。

アガロースゲル電気泳動
【0084】
PCR産物は、1X TAE緩衝液中の1.5%アガロースゲルで泳動して分析した。1.5%に相当する量のアガロースを量り、1X TAEを含む三角フラスコに加えた。混合物をマイクロ波で透明な溶液になるまで煮沸し、しばらく冷ました後、エチジウムブロマイド(EtBr)を加え、ゲルを適切なコームで慎重にキャスティングプレートに注いだ。ゲルを固め、1X TAEに浸した。サンプルをそれぞれのウェルにロードし、ブロモフェノールブルーがゲルの底に達するまで泳動した。ゲルバンドはゲルドキュメンテーションで分析した。リアルタイム定量には、有意な強度の目的PCR産物を示す温度が選択される。

リアルタイムPCR
【0085】
グラジエントPCRでアニーリング温度を決定した後、すべての研究対象者でVEGFとGAPDHのリアルタイムPCRを実施した。増幅されたPCR産物のリアルタイム検出は、SYBRグリーンが二本鎖DNAに結合することによって生成される蛍光信号の検出に基づいている。各PCR反応からの蛍光信号は、サイクル数に対してプロットされたピーク正規化値として収集された。反応は、しきい値サイクル(Ct)値を比較することによって特徴付けられた。Ctは、正規化されたサンプルの蛍光信号がベースラインより上の固定しきい値を通過する分数サイクル数として定義される単位のない値であり、常に増幅の線形段階内にある。cDNAの開始コピー数が多いサンプルは、PCRプロセスの早い段階で蛍光が増加するため、Ct数が低くなる。β-アクチンは内部コントロールとして使用される。
【0086】
等量の全RNAから得られた全cDNA(100-200ng)を含むアリコートを、VEGFおよびGAPDHに特異的なプライマーを用いてPCRに供した。PCR反応は、各プライマー0.3μM、1X SyBrグリーンミックス(GBiosciences)を含む全量10μlで行った。PCR条件は、94℃で25秒間の変性、60℃で25秒間のアニーリング、72℃で25秒間の伸長、および伸長ステップ後の蛍光記録の30サイクルから構成されていた。GAPDHは、標準化のための内部コントロールとして使用された。

ウエスタンブロッティング
【0087】
各処理後のVEGFタンパク質発現の変化を調べるためにウエスタンブロッティングを実施した。β-アクチンは正規化のための内因性コントロールとして使用された。

細胞溶解液の調製
【0088】
細胞はそれぞれの培養時間後に回収され、200gで10分間遠心分離されて細胞がペレット化された。その後、細胞は、49.5μlのストックRIPA溶解緩衝液と0.5μlのプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む約50μlの作業用RIPA溶解緩衝液に再懸濁された。細胞は、15分ごとに穏やかにピペッティングしながら、30分間氷上に保持された。その後、4℃で20分間、高速(15,000g)で遠心分離された。細胞タンパク質を含む上清が収集され、次の使用まで-80℃で一定量保存された。

タンパク質濃度の推定
【0089】
細胞溶解物中のタンパク質濃度は、1X Bradford試薬を推定に使用し、BSA(5mg/ml)を標準として使用するBradfordアッセイを使用して決定した。BSAのストックは蒸留水で作成し、さまざまな濃度に希釈した。5分間のインキュベーション後に波長595nmで終点吸光度を読み取り、標準曲線をプロットした。未知のサンプル中のタンパク質濃度は、そのBSA標準曲線を使用して決定した。

ゲルにロードするためのサンプルの準備
【0090】
20μgの細胞溶解物を、β-メルカプトエタノールとSDSを含む3Xタンパク質ローディング染料と混合し、サンプルを変性させ、アミノ酸に結合させてタンパク質に負電荷を与えた。混合物を95℃で10分間煮沸し、その後ゲルのウェルにロードした。
SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)
【0091】
10~12%ポリアクリルアミドゲル(それぞれ高分子量および低分子量タンパク質用)は、アクリルアミドとN,N-メチレンビスアクリルアミド(またはビスアクリルアミド)の重合から形成された。後者はゲル形成のための架橋剤として機能した。重合は、TEMEDとともに過硫酸アンモニウムを添加することで開始された。ゲルは、メチレン基によって架橋された長い炭化水素の中性で親水性の3次元ネットワークであった。
【0092】
調製したサンプルをゲルにロードし、バイオラッドウェスタン装置で1Xトリスグリシン電気泳動用バッファーを使用して10~12%SDS-PAGEで60Vおよび100Vで電気泳動した。プロテインラダー(GBiosciences)を使用して、目的のタンパク質バンドの分子量を確認した。ローディングダイ内のブロモフェノールブルーの動きが電気泳動の先端をマークし、染料がゲル外に移動したときにゲルを停止した。

タンパク質の転写と染色(ウエスタンブロッティング)
【0093】
ゲルの内容物を、より硬く、さらなる処理に便利なニトロセルロース膜に転写した。ゲルと膜はスポンジとフィルターパッドの間に挟まれ(スポンジ/フィルターパッド/ゲル/膜/フィルターパッド/スポンジ)、ゲルと膜の間に気泡がないことを確認した後、すべてがしっかりと固定された。サンドイッチは、ゲルが負極に、膜が正極に向くように、Bio-Radウェスタン転写装置の1X Tris-グリシン転写バッファーに浸された。80Vの電界が2時間印加された。負に帯電したタンパク質は正に帯電した電極に向かって移動し、ニトロセルロース膜に結合する。膜に転写されたタンパク質は、PonceauSRed染色によって可視化され、タンパク質の転写が成功したかどうかを評価でき、その後、ウェスタンブロッティングの次のステップに進むことができる。

ブロッキング
【0094】
抗体が膜の他の部分に非特異的に結合するのを防ぐため、ニトロセルロース膜を室温で1時間5%BSAでブロックした。ブロック後、膜を1X トリス緩衝生理食塩水Tween(TBST)で1回洗浄した。

一次抗体インキュベーション
【0095】
次に、膜をVEGFおよびβ-アクチン抗体(Santa Cruz Biotechnology)に対する一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。抗体は1%BSA/1X TBSTで希釈した。インキュベーション後、膜を1X TBSTで3回洗浄した(各洗浄10分)。

二次抗体インキュベーション
【0096】
次に、膜を、二次抗体抗マウスIgGHRP結合体(1:7000、サンタクルーズバイオテクノロジー)とともに室温で2時間インキュベートした。二次抗体を1%BSA-1X TBSTで希釈した。インキュベーション後、一次抗体のインキュベーション後と同様に、1X TBSTを使用して3回洗浄した。

増強化学発光反応
【0097】
膜は、化学発光検出キットに付属の過酸化物とルミノールを暗所で1:1の割合で混合する増強化学発光法を使用して現像された。次に、この溶液を膜に注ぎ、約30秒間インキュベートした。バンド画像はAzure Biosystemsで取得され、その後定量化された。

免疫組織化学
【0098】
パラフィンブロックを5μmの厚さの組織切片に切り、ポリLリジンでコーティングしたスライドに載せた。次に、スライドをキシレンで脱パラフィンし、アルコールで濃度を下げて再水和した。その後、スライドをクエン酸緩衝液(pH6.0)に入れ、3%Hを使用して内因性過酸化物を中和した。一次抗体を組織切片に所定の希釈度で塗布し、4℃で一晩インキュベートした。翌日、洗浄後、HRPタグ付き二次抗体を1時間塗布した。基質Impact Novaredを使用して色を生成し、ヘマトキシレンで対比染色した。次に、組織切片を脱水し、DPX封入剤で封入した。

結果
【0099】
MTTアッセイにより、アマランサスの硝酸塩強化抽出物はヒト皮膚線維芽細胞(HDF)に副作用がないことが明らかになった。実際、48時間アマランサスの硝酸塩強化抽出物の影響下にあったHDFは、約120%の細胞増殖を示した。しかし、72時間で細胞毒性が観察された(図1aおよびb)。さらに、アマランサスの硝酸塩強化抽出物とは対照的に、ミノキシジルは低濃度で細胞増殖の増加を示した。とはいえ、24時間以内に効果を示したアマランサスの硝酸塩強化抽出物と比較すると、ミノキシジルは細胞増殖率の増加に48時間かかり、72時間でピークに達した。MTTの結果から、アマランサスの硝酸塩強化抽出物はミノキシジルと比較して作用が速いことも明らかである。このより速い作用は、ミノキシジルは油ベースの処方であるのに対して、アマランサスの硝酸塩を豊富に含む抽出物の水溶性の性質に起因すると考えられる。
【0100】
In vitro細胞を用いたスクラッチアッセイは、あらゆる薬用抽出物の創傷治癒能力の予備試験に最も適した経済的な手順の1つである。この研究は、硝酸塩に富むアマランサス抽出物の創傷治癒能力を評価することを目的としており、HDFを異なる濃度の硝酸塩に富むアマランサス抽出物(0.2mg/ml、0.4mg/ml、1.6mg/ml)とミノキシジル(20mg/ml、60mg/ml、100mg/ml)で48時間処理した。細胞の移動は0時間、24時間、48時間でモニタリングされ、創傷閉鎖距離はImageJソフトウェアによって計算された。スクラッチアッセイの画像は、A1(0.2mg/ml、期間48時間)の優れた増殖および移動挙動を明らかに示している。A1は、スクラッチによって生じた隙間を48時間で92.142%閉じた。一方、ミノキシジルは、その性能において陰性対照(89.798%)に近く、120mg/ml(SI1)でその差を89.358%縮めた。
【0101】
VEGFmRNA発現を定量的リアルタイムPCRで調べた。結果は、硝酸塩を豊富に含むアマランサス抽出物の場合、相対的なmRNA発現がより大きく、48時間後にA2が最大であったことを明確に示している。この相対的なmRNA発現の増加は、作用部位/創傷部位での新しい血管の形成も示している。また、ミノキシジルのmRNA発現がM1およびM2で急激に減少していることにも注目すべきである(図1c、dおよびe)。
【0102】
しかし、この研究の主な目的は、アマランサスとミノキシジルの硝酸塩強化抽出物によるHDFのVEGFタンパク質発現の調整を調査することであった。結果から、アマランサスの硝酸塩強化抽出物はヒト皮膚線維芽細胞におけるVEGF発現を上方制御し、その中でA1がVEGFの存在を顕著に示していたことが明らかになった。
【0103】
VEGFは、皮膚における最も重要な血管新生促進分子の1つである。VEGFは、毛髪の成長だけでなく、乾癬や皮膚がんなどの皮膚疾患の発症にも関与していることが示されている。VEGFファミリーのメンバーは、細胞表面にあるチロシンキナーゼ受容体に結合して活性化することで、内皮細胞に作用する。VEGFは、VEGF受容体1(VEGFR-1)やVEGF受容体2(VEGFR-2)を含む複数の受容体に結合することができる。VEGFR-2は、下流のシグナル伝達カスケードを刺激する優れた能力に基づいて、内皮細胞の機能を制御し、血管新生を調節する点で、2つの受容体のうちより重要であると考えられている。

[男性型脱毛症に対する局所用製剤の有効性]
【0104】
臨床的に男性型脱毛症(MPHL)と診断され、ノーウッド分類III頭頂部、IV、Vの25~45歳の被験者を本研究の対象とした。被験者は、各グループ25人ずつの2つのグループに分けられた。硝酸塩を豊富に含むアマランサス抽出物の局所処方を、90日間、毎日夜に1回2gの用量で頭頂部に塗布した。主要評価項目は、終毛の密度、直径、本数の平均変化であった。副次評価項目は、軟毛、成長期、休止期、毛包指数、終毛対軟毛比、成長期対休止期比の平均変化であった。
【0105】
毛髪密度(n/cm)-毛髪密度は、1平方センチメートルあたりの毛髪の数として計算された。
【0106】
硬毛密度(n/cm):1平方センチメートルあたりの硬毛の数。硬毛は40μmより太く、この値はソフトウェアが画像内の硬毛を識別するために使用される。
【0107】
軟毛密度(n/cm):1平方センチメートルあたりの軟毛の数。定義上、軟毛は40μmより細い毛である。硬毛に対する軟毛の数も計算され、分析結果に示される。
【0108】
成長期毛の密度(n/cm):1平方センチメートルあたりの成長期毛の数。成長期毛は1日あたり約0.3mmの速度で成長する。
【0109】
休止期毛密度(n/cm):1平方センチメートルあたりの休止期毛の数。休止期毛は成長しない。
【0110】
毛髪指数:成長期毛の割合に毛髪の直径を乗じた値。
【0111】
90日目に、総毛髪数と毛髪密度はベースラインから23%有意に増加したが、プラセボでは11%の変化であった(図2および3)。90日目の平均差はそれぞれ31と50であった。毛髪成長率(μm/日)は、試験期間90日間の平均で、試験群では380μm/日、プラセボ群では311μm/日であった(図4)。
【0112】
硬毛数と密度はベースラインから28%有意に増加したが、プラセボでは15%の変化であった(図5および6)。プラセボとの平均差は、90日間の研究終了時にそれぞれ30.88と48.95であった。軟毛数と密度は試験群で12%増加したが、プラセボでは3%の変化しか見られなかった(図7および8)。
【0113】
成長期の毛髪数と密度はベースラインから54%有意に増加したが、プラセボでは17.5%の変化であった(図9および10)。研究終了時のプラセボとの平均差はそれぞれ47.08と73.18であった。毛髪指数はベースラインから25%有意に増加したが、プラセボでは7.3%の変化であった(図11)。研究終了時のプラセボとの平均差は530.83であった。成長期と休止期の比率は155%の有意な増加を示したが、プラセボでは21%の変化しか示さなかった(図12)。
【0114】
この研究では、成長期の毛髪密度がプラセボと比較して54%増加した。この効果は、試験製剤に天然の硝酸塩が含まれており、頭皮に吸収された硝酸塩が一酸化窒素に変換されて血液循環が増加し、それによって毛包細胞の増殖が刺激されたという事実によって説明され得る。
【0115】
毛髪指数(PI)は、男性型脱毛症における毛髪成長周期の尺度である。毛髪指数が低いほど、男性型脱毛症(MPHL)の進行段階が進んでいることを示す。
【0116】
本研究では、プラセボでは0.11%の変化しか見られなかったのに対し、試験製品の使用開始から45日後にはPI(23%)の増加が早くも顕著に見られた。90日目の試験終了時には、プラセボでは7%の変化であったのに対し、PIでは25%の変化と有意な増加が見られた。
【0117】
本発明では、本発明の好ましい実施形態のいくつかを説明することにより、本発明の新規な特徴を明らかにし、当業者が本発明を理解し、可視化できるようにした。また、本発明は、上記の説明に記載された詳細や図面に示された詳細にその適用が限定されないことも理解すべきである。本発明は、その好ましい実施形態を参照してかなり詳細に説明されているが、上記で説明され、以下の請求項で定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えることができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】