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特表2025-532615カソード活物質の効率的なリサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-01
(54)【発明の名称】カソード活物質の効率的なリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/54 20060101AFI20250924BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20250924BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20250924BHJP
【FI】
H01M10/54
H01M4/505
H01M4/525
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2025515926
(86)(22)【出願日】2023-09-12
(85)【翻訳文提出日】2025-03-14
(86)【国際出願番号】 CA2023051207
(87)【国際公開番号】W WO2024059933
(87)【国際公開日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】63/407,842
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515256187
【氏名又は名称】ナノ ワン マテリアルズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【弁理士】
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,ステファン エー.
【テーマコード(参考)】
5H031
5H050
【Fターム(参考)】
5H031RR02
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB12
5H050GA02
5H050GA04
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA14
5H050GA16
5H050GA18
5H050GA22
5H050GA27
5H050HA02
(57)【要約】
本発明は、特に、バッテリからの枯渇カソード活物質から、リサイクルカソード活物質を形成する方法であって、以下を含む;
枯渇したカソード活物質(枯渇カソード活物質若しくは枯渇正極活物質若しくは枯渇CAMともいう:depleted cathode active material)から黒色塊を形成する工程;
黒色塊をカルボン酸で消化して脱リチウム化されたカソード活物質前駆体を形成する工程;
純粋なリチウム塩を脱リチウム化されたカソード活物質前駆体に添加してカソード活物質前駆体を形成する工程と、
カソード活物質前駆体をか焼 (calcining)して、リサイクルされたカソード活物質を形成する工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むリサイクルカソード活物質を形成する方法:
枯渇したカソード活物質(枯渇カソッド活物質若しくは枯渇正極活物質若しくは枯渇CAM、ともいう)から黒色塊を形成することと、
前記黒色塊をカルボン酸で消化して脱リチウム化されたカソード活物質前駆体(脱リチウム化カソード活物質前駆体、若しくは脱リチウム化CAM前駆体ともいう)を形成することと、
前記脱リチウム化カソード活物質前駆体にバージンリチウム塩を添加して、カソード活物質前駆体(CAM前駆体ともいう)を形成することと、
前記カソード活物質前駆体を、か焼してリサイクルされたカソード活物質(リサイクルカソード活物質若しくはリサイクルCAM、ともいう)を形成すること。
【請求項2】
前記枯渇カソード活物質が、式I又は式IIによって定義される請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
LiuNixMnyCozEwO4 (式1)
(ここで、式I式において、
Eは、任意のドーパントである;
x+y+z+w = 2;
w ≦ 0.2;及び
u ≦ 1である);
又は、
LivNiaMnbXcGdO2 (式II)
(ここで、式II式において、
Gは、任意のドーパントである;
Xは、Co又はAlである;
a+b+c+d = 1;
v ≦ 1;及び
d ≦ 0.1である)。
【請求項3】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
0.4 ≦ x ≦ 0.6;
1.4 ≦ y ≦ 1.6;及び
z ≦ 0.9。
【請求項4】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項3に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.55;
1.45 ≦ y≦ 1.5;及び
z ≦ 0.05。
【請求項5】
前記式Iにおいて、xもyもゼロではない、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項6】
前記式Iにおいて、4以下のMn/Ni比を有する、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項7】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.33~3.4以下である、請求項6に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項8】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.7~3.4以下である、請求項7に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項9】
前記式IIにおいて、0.5 ≦ a ≦ 0.9である、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項10】
前記式IIにおいて、0.58 ≦ a ≦ 0.62である、請求項9に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項11】
前記式IIにおいて、0.78 ≦ a ≦ 0.82である、請求項9に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項12】
前記E又は前記Gが、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBからなる群から選択される、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項13】
前記E又は前記Gが、Al及びGdからなる群から選択される、請求項12に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項14】
前記リサイクルカソード活物質が、式I又は式IIによって定義される、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
LiNixMnyCozEwO4 (式I)
(ここで、式Iにおいて、
Eは、任意のドーパント;
x+y+z+w = 2;及び
w ≦ 0. 2である);
又は、
LiNiaMnbXcGdO2 (式II)
(ここで、式IIにおいて、
Gは、任意のドーパント;
Xは、Co又はAlである;及び
ここで、
a+b+c+d = 1;及び
d ≦ 0. 1である)。
【請求項15】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
0.4 ≦ x ≦ 0.6;
1.4 ≦ y ≦ 1.6;及び
z ≦ 0.9。
【請求項16】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項15に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.55;
1.45 ≦ y ≦ 1.5;及び
z ≦ 0.05。
【請求項17】
前記式Iにおいて、xもyもゼロではない、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項18】
前記式Iにおいて、Mn/Ni比が、4以下である、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項19】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.33~3.4以下である、請求項18に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項20】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.7~3.4未満である、請求項19に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法
【請求項21】
前記式IIにおいて、0.5 ≦ a ≦ 0.9である、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項22】
前記式IIにおいて、0.58 ≦ a ≦ 0.62である、請求項21に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項23】
前記式IIにおいて、0.78 ≦ a ≦ 0.82である、請求項21に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項24】
前記E又は前記Gが、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBからなる群から選択される、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項25】
前記E又は前記Gが、Al及びGdからなる群から選択される、請求項24に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項26】
前記枯渇カソード活物質及び前記リサイクルカソード活物質が、Ni、Mn、Co及びAlの同じモル比を有する、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項27】
前記枯渇カソード活物質及び前記リサイクルカソード活物質が、Ni、Mn、Co及びAlの同じモル比を有さない、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項28】
前記乾燥の前にバージン金属塩を添加することをさらに含む、請求項27に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項29】
前記バージン金属塩が、金属水酸化物又は金属カルボキシレートである、請求項28に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項30】
前記バージン金属塩が、金属シュウ酸塩である、請求項29に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項31】
前記カルボン酸が、マルチカルボン酸である、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項32】
前記カルボン酸が、ジカルボン酸である、請求項31に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項33】
前記カルボン酸が、シュウ酸、酢酸及びリンゴ酸からなる群から選択される、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項34】
前記カルボン酸が、シュウ酸である、請求項33に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項35】
前記バージンリチウム塩が、水酸化リチウム及び炭酸リチウムからなる群から選択される、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項36】
前記消化が、100℃以下の温度で行われる、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項37】
前記消化が、周囲圧力で行われる、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項38】
請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成し、続いてアノード、セパレータ、電解質及び接続性(接続要素ともいう)を形成することを含む、バッテリを形成するための方法。
【請求項39】
以下の工程を含む、バッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
前記バッテリからの枯渇カソード活物質を除去する工程;
前記枯渇カソード活物質から黒色塊を形成する工程;
前記黒色塊をカルボン酸で消化してカソード活物質前駆体を形成する工程;
前記カソード活物質前駆体にバージンリチウム塩を添加する工程;及び
前記カソード活物質前駆体をか焼して、リサイクルカソード活物質を形成する工程。
【請求項40】
前記カソード活物質が、式I又は式IIによって定義される、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法:
LiNixMnyCozEwO4 式I
(式において、Eは任意のドーパントであり;及び
x+y+z+w = 2であり、w ≦ 0. 2);
又は
LiNiaMnbXcGdO2 式II
(式において、Gは任意のドーパントであり;
Xは、Co又はAlであり;及び、
a+b+c+d = 1であり、d ≦ 0. 1である。
【請求項41】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項40に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.6;
1.4 ≦ y ≦ 1.5;
及び、z≦0.9である。
【請求項42】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項41に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.55;
1.45 ≦ y ≦ 1.5;及び z ≦ 0.05。
【請求項43】
前記式Iにおいて、xもyもゼロではない、請求項40に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項44】
前記式Iにおいて、Mn/Ni比が、3以下である、請求項40に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項45】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.33~3未満である、請求項44に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項46】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.6~3未満である、請求項45に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項47】
前記式IIにおいて、0.5 ≦ a ≦ 0.9である、請求項40に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項48】
前記式IIにおいて、0.58 ≦ a ≦ 0.62である、請求項47に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項49】
前記式IIにおいて、0.78 ≦ a ≦ 0.82である、請求項47に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項50】
前記E又は前記Gが、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBからなる群から選択される、請求項40に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項51】
前記E又は前記Gが、Al及びGdからなる群から選択される、請求項50に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項52】
前記リサイクルカソード活物質が、式I又は式IIによって定義される、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法:
LiNixMnyCozEwO4 式I
(式において、Eは、任意のドーパントであり;
x+y+z+w = 2であり、w ≦ 0. 2);又は
LiNiaMnbXcGdO2 式II
(式において、Gは任意のドーパントであり;
Xは、CoまたはAlであり;及び
ここで、a+b+c+d = 1であり、d ≦ 0. 1である)。
【請求項53】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項52に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.6;
1.4 ≦ y ≦ 1.5;及び
z≦0.9。
【請求項54】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項53に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.55;
1.45 ≦ y ≦ 1.5;及び
z≦0.05。
【請求項55】
前記式Iにおいて、xもyもゼロではない、請求項52に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項56】
前記式Iにおいて、Mn/Ni比が、3以下である、請求項52に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項57】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.33~3未満である、請求項56に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項58】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.6~3未満である、請求項57に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項59】
前記式IIにおいて、0.5 ≦ a ≦ 0.9である、請求項52に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項60】
前記式IIにおいて、0.58 ≦ a ≦ 0.62である、請求項59に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項61】
前記式IIにおいて、0.78 ≦ a ≦ 0.82である、請求項59に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項62】
前記E又は前記Gが、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBからなる群から選択される、請求項52に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項63】
前記E又は前記Gが、Al及びGdからなる群から選択される、請求項62に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項64】
前記カソード活物質及び前記リサイクルカソード活物質が、同じ化学量論を有する、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項65】
前記カソード活物質及び前記リサイクルカソード活物質が、同じ化学量論を有さない、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項66】
前記乾燥の前にバージン金属塩を添加することをさらに含む、請求項65に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項67】
前記バージン金属塩が、金属水酸化物又は金属カルボキシレートである、請求項66に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項68】
前記バージン金属塩が、金属シュウ酸塩である、請求項66に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項69】
前記カルボン酸が、多価カルボン酸である、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項70】
前記カルボン酸が、ジカルボン酸である、請求項69に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項71】
前記カルボン酸が、シュウ酸、酢酸及びリンゴ酸からなる群から選択される、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項72】
前記カルボン酸が、シュウ酸である、請求項71に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項73】
前記バージンリチウム塩が、水酸化リチウム及びカルボン酸リチウムからなる群から選択される、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項74】
前記消化が、100℃以下の温度で行われる、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項75】
前記消化が、周囲圧力で行われる、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は2022年9月19日に出願された係属中の米国仮出願第63/407,842号の優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は電池に関し、特に、電池の正極活物質(cathod active material:カソード活物質、若しくはCAMともいう)のリサイクルに関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリは、エネルギー貯蔵デバイスとして、現在、社会においてユビキタス(ubiquitous)である。電池をエネルギー貯蔵装置として利用する装置は、通信産業、例えば、携帯電話等、工具産業、例えば、ヤード又はハンドツール等、輸送産業、例えば、車両等、医療産業、例えば、ペースメーカー等、及び実質的にエネルギー貯蔵が必要な商業のあらゆる分野において広く使用されている。
【0004】
バッテリの広範な及び普及は、使用される原材料に供給圧迫がかかることがあり、需要に応えることができないことで原材料のコストが上昇する場合がある。使用の増加は、又、使い尽くされた(枯渇した、ともいう)バッテリの廃棄に関連する問題を引き起こした。
【0005】
現在、電池、特に電池のカソード活物質をリサイクルする方法が世界的に必要とされている。CAMに使用される主成分は、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルト及びアルミニウムであり、商業的に重要な2つの一次電池は、LiMO2又はLiM2O4であり、ここで、Mは主に、ニッケル、マンガン、コバルト及びアルミニウムと、より少ない量の他の金属との組み合わせである。
【0006】
枯渇(枯渇した、若しくは使い果たされた、ともいう)CAMのリサイクルに関する現在の処理は、主に、金属硫酸塩及び水酸化リチウムの形成をもたらす、密閉容器内での少なくとも170℃の水熱(hydrothermal)の消化温度によって行われる。CAMを改質するためのその後の後処理において、金属硫酸塩は、最終的に、硫酸ナトリウム塩を生成し、これは、リサイクルプロセスを市場規模で持続不可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、枯渇CAMからリサイクルCAMを形成するための方法を提供することであり、ここで、枯渇CAMは、好ましくはバッテリからのものである。
【0008】
本発明は、硫酸ナトリウムを形成することなく、金属塩をリサイクルCAMに変換することができる態様で金属塩を回収することを可能にする、枯渇CAMからリサイクルCAMを形成する方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の格別の特徴は、硫酸塩を形成することなく、かつ、典型的には枯渇CAMから形成される黒色塊の濾過、又は、水熱のプロセスに関連する高温及び高圧を、必要とすることなく、枯渇CAMからリサイクルCAMを形成する格別の効果(能力、ともいう)である。
【0010】
別の特徴は、カソードの金属を失うことなく、枯渇CAMからリサイクルCAMを形成する格別の効果(能力)である。
【0011】
本発明の格別の有利な点は、枯渇CAMからリサイクルCAMを形成する格別の効果(能力)であり、リサイクルCAMは、枯渇CAMとは異なる比率の金属を有し、それによって、枯渇CAMを、枯渇CAMと比較して少なくとも1つの金属が豊富なリサイクルCAMに変換することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これら及び実施可能な他の実施態様は、以下の工程を含む、リサイクルされたカソード活物質(リサイクルCAM、ともいう)を形成するプロセスにおいて提供される:
枯渇したカソード活物質(枯渇CAM、ともいう)から黒色塊を形成する工程;
黒色塊をカルボン酸で消化して、脱リチウム化されたカソード活物質前駆体を形成する工程;
純粋な(バージン、ともいう)リチウム塩を脱リチウム化されたカソード活物質前駆体に添加して、カソード活物質前駆体を形成する工程;及び
前記カソード活物質前駆体を、か焼して、リサイクルカソード活物質(リサイクルCAM、という)を形成する工程。
【0013】
さらに別の実施態様は、バッテリからカソード活物質をリサイクルするためのプロセスにおいて提供され、このプロセスは、以下を含む:
バッテリから枯渇したカソード活物質(枯渇CAMという)の取り外しする工程;
枯渇したカソード活物質から黒色塊を形成する工程;
黒色塊を、カルボン酸で消化してカソード活物質前駆体(CAM前駆体、ともいう)を形成する工程;
カソード活物質前駆体に、バージンリチウム塩を添加する工程;及び
前記カソード活物質前駆体を、か焼して、リサイクルカソード活物質を形成する工程。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明のフローチャートである。
【0015】
図2図2は、CAM前駆体のXRDグラフである。
【0016】
図3図3は、CAM前駆体の粒径のグラフ表示である。
【0017】
図4図4は、リサイクルCAMのXRDパターンを示す。
【0018】
図5図5は、リサイクルCAMの粒径のグラフ表示である。
【0019】
図6A図6A~6Cは、本発明の利点をグラフで示している。
図6B】同上
図6C】同上
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、硫酸ナトリウム等の硫酸塩を形成することなく、枯渇した(消耗された若しくは枯渇、ともいう)CAMから金属を回収することによって、リサイクルCAMを形成するための方法、及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、実質的な量のバージン金属塩を添加することなく、本質的に同じ化学量論を有するリサイクルCAM、の形成において使用に適している金属を、枯渇CAMから回収するための方法、及びシステムに関する。
【0021】
枯渇CAMは、典型的には、バッテリに含まれない生産流から回収されたCAMからのリサイクルCAMの形成のためにプロセスを利用することができるように、それに限定されることはないが、バッテリからリサイクルされる。バッテリからリサイクルされる場合、枯渇CAMを、アノード、セパレータ、電解質、集電体、炭素、容器、及び枯渇CAMの一部ではない任意の他の成分等のバッテリの他の成分から単離することが好ましい。
【0022】
本発明の目的のために、バージンCAMとは、以前はCAMの一部ではなかった金属塩から形成されたCAMである。枯渇CAMは、本明細書にさらに記載されるように、以前はLiM2O4又はLiMO2と一致する結晶形態であったCAMである。黒色塊は、バッテリから取り外しされ、好ましくは熱によって処理された、CAMと一致する金属に富む材料を提供する、枯渇CAMから形成される。CAM前駆体は、金属カルボキシレートであり、ここで、該金属は枯渇CAMからのものである。リサイクルCAMは、枯渇CAMにおいて以前に利用された金属から形成されるCAMであり、好ましくはリサイクルCAMの金属の少なくとも20重量%、より好ましくは金属の少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、が、枯渇CAMにおいて以前に利用された金属から形成される。
【0023】
本発明は、図1を参照して説明され、本発明はフローチャートで表される。図1では、少なくとも1つのバッテリ(電池、ともいう)、好ましくは複数のバッテリ、ここで、少なくとも1つのバッテリ、好ましくは全てのバッテリが枯渇CAMを含むバッテリ、が集められている(10)。バッテリは、(12)において、LiMO2又はLiM2O4を含まない(16)、又はリサイクルに不十分なLiMO2又はLiM2O4を含む枯渇CAMの量を含む、カソッド材料を含む、非コンプライアントバッテリと、LiMO2又はLiM2O4を含む枯渇CAMを有するコンプライアントバッテリに(14)、分離される。非コンプライアントバッテリは、その性質が本発明によって限定されない別個の処置のためにプロセス流から分離される(18)。コンプライアントバッテリは、好ましくは放電され、次いで、(20)で分解され、ここで、枯渇CAMを含むバッテリセルは、ケーシング、シェル、接続タブ、バッテリ管理要素・フォイル・シールド等の電子構成要素等のバッテリセルの他の構成要素から物理的に分離され、分離されたバッテリセル(22)、及び廃棄物流(24)をもたらす。廃棄物流は、その性質は本発明において限定されない、分離処理のためにプロセス流から除去される(26)。該バッテリセルは、少なくとも、枯渇CAMと、アノードと、誘電体と、エンクロージャとを含む。このバッテリセルは、好ましくは安全性を維持するのに十分な方法で、切断又はダイシングされる(28)。限定されるものではないが、バッテリセルは、水等の不揮発性液体中で、又はエネルギー放電の起こりそうもない事象から保護するために燃焼を阻止する雰囲気中で、細断又はダイシングされ得る。枯渇CAMは、(30)で超音波流によって部分的に隔離することができる。アノードのグラファイト、カソード材料からのシリコン、及び任意の他の成分は、(32)で浮選又は濾過によって除去することができる。フッ化物、残留炭素及び結合剤は、(34)で燃焼除去することができ、その結果、黒色塊が単離され(36)、黒色塊は、大量のCAMの成分、特にリチウム、ニッケル、マンガン、コバルト又はアルミニウムを含む。枯渇CAMは、揮発性成分を除去するために加熱され、したがって、化学構造のいくらかの変化が加熱プロセス中に起こり得、格子は枯渇CAMと比較して少なくとも部分的に変化し得るので、黒色塊は、本明細書でさらに記載されるように、CAM前駆体に変換され(38)、本明細書でさらに記載されるように、か焼され(40)、リサイクルCAMを形成する。
【0024】
本発明の方法において、黒色塊は、カルボン酸、好ましくは多カルボン酸、より好ましくはジカルボン酸、最も好ましくはシュウ酸によって直接消化されて、金属カルボキシレートを生成する。本発明の一実施態様では、黒色塊がカルボン酸で消化する前に粉砕することができる。本発明の格別の特徴は、大気圧下、又は大気圧下、100℃以下の温度で、枯渇CAMからリサイクルCAMを形成することが可能であるということである。本発明の目的のために、周囲圧又は大気圧とは、補助的な圧力の増加又は減少を伴わない局所環境の圧力を有するものとして定義される。本発明の方法は、圧力が劇的に増加する密閉容器内で少なくとも約170℃までの加熱を典型的に必要とする水熱のプロセスの必要性を排除する。
【0025】
好ましい実施態様において、枯渇CAMは、式Iによって定義されるスピネル結晶構造中にリチウム金属化合物を含むリサイクルCAMに変換される:
LiNixMnyXzEwO4 式I
(式において、Eは、任意のドーパントである;
x+y+z+w = 2 及び、w ≦ 0. 2 である);又は
好ましい実施態様において、枯渇CAMは、式IIによって定義される岩塩結晶構造中にリチウム金属化合物を含むリサイクルCAMに変換される:
LiNiaMnbXcGdO2 式II
(式において、Gは任意のドーパントである;
Xは、Co 又は Alである;及び
a+b+c+d = 1、及び d ≦ 0. 1 である)。
【0026】
好ましい実施態様において、式Iのスピネル結晶構造は、0. 4 ≦ x ≦ 0. 6; 1. 4 ≦ y ≦ 1. 6 及び z ≦ 0. 9を有する。より好ましくは0.5 ≦ x ≦ 0.55、1.45 ≦ y ≦ 1.5、z ≦ 0.05である。好ましい実施態様では、xもyもゼロではない。式Iにおいて、Mn/Ni比は、4以下、好ましくは少なくとも2.33~3.4以下、最も好ましくは少なくとも2.7~3.4以下であることが好ましい。
【0027】
好ましい実施態様において、式IIの岩塩結晶構造は、0. 5 ≦ a ≦ 0. 9、より好ましくは、NMC 622によって表される0.58 ≦ a ≦ 0.62 若しくは NMC 811によって表される0.78 ≦ a ≦ 0.82である高ニッケルNMCである。好ましい実施態様では、NMC 111によって表されるように、a = b = cである。用語NMCxxxは、ニッケル、マンガン及びコバルトの公称相対比を表すために当技術分野で使用される略記である。NMC 811は、例えば、LiNi0.8Mn0.1X0.1O2を表す。
【0028】
本発明の一実施態様では、黒色塊を、好ましくは酸、最も好ましくは硝酸の存在下で、カルボン酸で消化して、代表的なカルボン酸としてシュウ酸塩(OX)を用いて、以下の式に従って金属塩の混合物を含むCAM前駆体を形成する:

LiuNixMnyXzEwO4 + OX → uLi+ + xNiOX + yMnOX + zXOX + wEOX

ここで、リチウムは、枯渇CAM又は脱リチウム化CAM前駆体を形成するための消化プロセス中に除去される、少なくともいくらかのリチウム、の使用に起因して、化学量論未満であり得る。好ましくは水酸化リチウム又は炭酸リチウムとしてのリチウムを、脱リチウム化CAM前駆体に添加して、リチウム及び金属を適切な化学量論に戻し、続いて、か焼して、以下の式によって表されるリサイクルCAMを達成する:

Li + xNiOX + yMnOX + zXOX + wEOX → LiNixMnyXzEwO4

ここで、Li+の少なくとも一部は、リチウム欠乏を説明するために添加されたバージンリチウム塩からのものである。
【0029】
本発明の別の実施態様では、黒色塊を、好ましくは酸、最も好ましくは硝酸の存在下で、カルボン酸で消化して、代表的なカルボン酸としてシュウ酸塩(OX)を用いて、以下の式に従う金属塩の混合物を含む脱リチウム化CAM前駆体を形成する:

LivNiaMnbXcGdO2 + OX → vLi+ + aNiOX + bMnOX + cXOX + dGOX

ここで、リチウムは、枯渇CAM又は脱リチウム化CAM前駆体を形成するための消化プロセス中に除去される、少なくともいくらかのリチウム、の使用に起因して、化学量論未満であり得る。好ましくは水酸化リチウム又は炭酸リチウムとしてのリチウムを添加して、化学量論的CAM前駆体を形成し、続いて、か焼して、以下の式によって表されるリサイクルCAMを達成する:

Li+ + aNiOX + bMnOX + cXOX + dGOX → LiNiaMnbXcGdO2

ここで、Li+の少なくとも一部は、リチウム欠乏を補う(account for)ために添加されたバージンリチウム塩からのものである。
【0030】
明細書の式において、リチウムは、リチウムがアノードとカソードとの間で移動可能であるという理解をもって、化学量論的に電荷のバランスをとるように定義される。したがって、任意の所与の時点で、カソードは、比較的リチウムリッチであってもよく、又は比較的リチウム欠乏であってもよい。枯渇CAMでは、リチウムは化学量論的バランスを下回り、充電されると、リチウムは化学量論的バランスを上回り得る。同様に、本明細書を通して列挙される配合物において、金属は、実際には完全にバランスのとれた化学量論を配合することができないために、元素分析によって決定されるように、金属がわずかに豊富であってもわずかに枯渇していてもよいという理解と共に、電荷バランスで表される。NMC811におけるような化学量論的表示のための本願発明において、化学量論的比は、製造及び元素分析のばらつきのために±1モル%である。非限定的な例として、NMC811又は同等の表現LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2は、Ni、Mn及びCoのモル量の合計が1に対し、LiNi0.792-0.808Mn0.099-0.101Co0.099-0.101O2を表すことを意図する。
【0031】
ドーパントを添加して、電子伝導性及び安定性等の酸化物の特性を向上させることができる。ドーパントは、好ましくは一次ニッケル、マンガン、及び任意のコバルト又はアルミニウムと協働して添加される置換ドーパントである。ドーパントは、好ましくは酸化物の10モル%以下、好ましくは5モル%以下を占める。好ましいドーパントとしては、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBが挙げられ、Al及びGdは、Alが、式I又は式IIにおいて、Xによって表される主成分ではない場合に、ドーパントとしてAlが利用されることを理解することが、特に好ましい。ドーパント及びコーティング材料は所望の組成物を作製するために、必要に応じて、カルボキシレート、カーボネート、酸化物又は金属のいずれかとして反応器に添加され得る。
【0032】
本発明の格別の特徴は、リサイクルプロセスを通して金属の化学量論を維持する能力である。ニオブ酸リチウムコーティング等の追加の金属は、シュウ酸塩として可能性のあるリサイクルプロセスを通して金属塩を形成する。か焼して、式I又は式IIの化合物を形成すると、ニオブは米国特許出願公開に記載されているように、ニオブドーパント又はニオブ酸リチウムコーティングのいずれかを形成する。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20210028448号に記載されている。
【0033】
リサイクルCAMは、好ましくは米国特許に詳細に記載されている方法により金属カルボキシレートから形成される:2022年5月13日に出願された米国特許出願公開第17/743,932、米国特許出願公開第20220064019号、米国特許出願公開第20210359300号、米国特許出願公開第20210028448号及び米国特許出願公開第20190372129号の各明細書に記載されている。これらは、参照により本明細書に組み込まれる
【0034】
本発明の目的のために、バージン金属塩は、CAMにおいて以前に使用されていない金属を含む金属塩、又は金属の化学量論比を変えるためにCAM前駆体に添加される金属塩である。好ましいバージン金属塩は、金属水酸化物又は金属カルボキシレート、特に金属シュウ酸塩である。
【0035】
本発明の利点は、黒色塊から調製された金属塩を濾過する必要がないので、最小限の損失で、枯渇CAMの実質的に全ての金属を再捕捉する能力である。したがって、枯渇CAMとして、NMC 111から、リサイクルCAMとして、NMC 111を形成する場合のように、リサイクルCAMが、金属の同じ化学量論比で、調製される場合、バージン金属塩を含む必要はない。
リサイクルCAMとしてNMC 811を形成し、枯渇CAMとしてNMC 111からの場合は、化学量論を変化させるべきであり、バージン金属を、その比をかえるために、添加させなければならない。
枯渇CAM、黒色塊又はCAM前駆体から金属は、容易に除去することができず、したがって金属、好ましくはバージン金属を添加して化学量論を変えることが好ましい。
非限定的な例として、NMC 111は、名目上式LiNi0.33Mn0.33X0.33O2を有し、NMC 811は、名目上式LiNi0.8Mn0.1X0.1O2を有する。枯渇NMC 111をリサイクルNMC 811に変換するためには、ニッケル塩を、マンガン又はコバルトに対するニッケルのモル比である約8倍を、達成するのに必要な程度まで添加しなければならない。あるいは、リサイクルNMC 111が、枯渇NMC 811から形成される場合、ニッケルのモル比に等しい十分な量のマンガン及びコバルトを添加しなければならない。当業者は、必要に応じて化学量論を調整するために必要な金属の量を容易に決定することができる。
【0036】
本発明の目的のために、バージンリチウム塩は、、リサイクルCAMを形成するための、か焼前に、金属に対するリチウムの適切な化学量論比を達成するために、乾燥前に、黒色塊から形成される、CAM前駆体に、又は、金属カルボキシレートスラリーに、添加されるリチウム塩である。 好ましいバージンリチウム塩は、水酸化リチウム又は炭酸リチウムである。
【0037】
リチウムの化学量論は、理解されるように決定されなければならず、これは十分に当業者の能力の範囲内である。金属に対するリチウムのモルは、枯渇CAMとして利用されるCAMの充電状態が劇的に変化し得るので、変化する。さらに、リチウムは、炭素、電解質、コレクタ、セパレータ等の他のバッテリ構成要素から枯渇CAMを分離するプロセスにおいて失われる可能性がある。したがって、リチウム濃度は、消化後に決定され、十分なバージンリチウムが、乾燥及びか焼前の化学量論のバランスをとるために添加される。
【0038】
リサイクルCAMの形成後、カソード活物質としてリサイクルCAMを含むバッテリを形成することが好ましい。リサイクルCAMを含むバッテリの形成は、バージンCAMを利用するプロセスと異ならない。したがって、バッテリを形成するためのプロセスに関するさらなる詳細は当業者によって十分に理解されうるものと思料する。
【実施例
【0039】
バッテリとは無関係に(分離された)、枯渇CAMから形成された黒色塊を表す、完全リチウム化ニオブ被覆NMC811 CAMを、冷却器をもつ、500mL三つ口丸底フラスコ中のシュウ酸及び水の溶液に、添加した。フラスコを加熱マンテルに入れ、温度を撹拌プレート上で95℃に維持した。枯渇CAMとシュウ酸のモル比は、1.00:1.02であり、0.5モル%過剰のシュウ酸に相当し、及び、固形分は約58%であった。反応を25時間進行させた。次いで、スラリーを、1時間混合した後、噴霧乾燥して、NMC811と一致するLi/Ni/Mn/Coの比を有するCAM前駆体を得た。CAM前駆体を、837℃で15時間、か焼して、リサイクルCAMを得た。
【0040】
Li, Ni, Mn, Co及びNbの化学量論及び濃度を、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)により決定した。当該物質の結晶構造は、Cu Kα放射線源を用いたX線回折(XRD)によって特徴付けられた。サンプルの全体的な態様を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって特徴付けた。高角度環状暗視野(HAADF)走査遷移電子顕微鏡(STEM)及びエネルギー分散X線分光法(EDX)を用いて、リサイクルCAM中のニオブの局在を調べた。
【0041】
カソードの製造のために、n-メチル-2-ピロリドン(NMP)中で、リサイクルCAMを、カーボンブラック及びPVDF(90:7:3)と混合し、スラリーを形成した。該スラリーを、炭素被覆Al箔上に被覆し、真空オーブン中にて80℃で一晩乾燥させて電極を得た。該電極をカレンダー加工し、直径1.4cmの小片に打ち抜いた。サイズ2023のコイン型半セルを、Li金属をアノードとして、ポリプロピレンPPをセパレータとして使用して、高純度アルゴンを充填したグローブボックス中で組み立てた。電解質溶液は、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)中において、1M liPF6であり、ここで、EC/EMC/DMCは、1%ビニレンカーボネートと1:1:1の体積比で混合された。電極中のリサイクルCAMの負荷質量は、約4~5mg/cm2であった。25°Cで、2.8~4.3 Vにて、電気化学的測定を行った。
【0042】
図2は、CAM前駆体のXRDパターンを示す。ピークは、単斜晶系シュウ酸リチウム構造及び単斜晶系α-Ni二水和物シュウ酸塩構造にインデックス化することができる。CAM前駆体のICP分析は、Ni、Mn及びCoのモル比が8:1:1であることを示し、これは、遷移金属の損失のないこと及び前駆体中の金属イオンの許容可能な割合を示している。リチウム:遷移金属比は、約1.06:1.00であることが示され、これは1.03:1.00 NMC811 CAM出発材料よりわずかに高く、したがって、化学量論的バランスを達成するためにリチウム塩を添加する必要がない。ニオブは、約0.52wt%であることが示された。
【0043】
粒子は、SEMによって、図3の粒径のグラフ表示に示されるように、10.6μmのD50値を有する粒径の球形であることが確認された。CAM前駆体のタップ密度は、0.52g/mlであると決定された。CAM前駆体を、837℃で15時間か焼した後、得られたリサイクルCAMを分析した。
【0044】
か焼後、再利用されたCAMの組成物は、Ni/Mn/Coの組合せのモル当たり1.05モルのわずかのリチウム含有量を有すると決定され、Ni/Mn/Co比は0.80/0.10/0.10であった。リサイクルCAMのXRDパターンを図4に示し、
【化1】
空間群を有する六角形構造にインデックス化した。プロセスからの未同定/不純物ピークを有さない単相結晶が検出され、枯渇NMC811 CAMのリサイクルNMC811 CAMへの成功したリサイクルを確認した。
【0045】
表1は、リサイクルCAMのR値及び格子パラメータを示す。NMCカソード材料におけるカチオン混合のインディケーションとしてしばしば使用されるR1値が、1. 2よりも高く、これはカチオン混合の最小量及び望ましい量を示す。aとcの格子定数は、それぞれ2.87Åと14.20Åである。
(表1)リサイクルNMC811のXRDパラメータズ
【表1】
material:材料
recycled:リサイクル
ideal:理想
【0046】
リサイクルしたNMC811 CAMの粒度分布を図5に示す。SEMは、球状粒子態様が回復したことを示した。
【0047】
リサイクルNMC811の各一次粒子の表面上のコーティング層としてニオブが存在することを検証するために、サンプルをクロス断片化(cross sectioned)し、走査透過型電子顕微鏡(STEM)及びエネルギー分散型X線分光法(EDX)によって分析した。結果は、粒子の表面及び縁部に薄いニオブコーティング層があり、粒子内にニオブドーピング(niobium doping)があることを示した。
【0048】
リサイクルNMC811材料の電気化学的性能を同定するために、半型2032サイズのコインセルを作製した。図6A-6Cは、インプット及びリサイクルNMC811材料の、電気化学的性能、比放電容量、並びにサイクル数及び速度能力に対する容量維持率をグラフで示す。図6A~6Cから分かるように、リサイクルNMC811は、インプットNMC811と比較してより高い放電容量を示すが、容量維持率が不足している。リサイクルサンプルは、又、過酷な条件(5C及び10C)を経た後に、良好なリバランスを有する良好な速度能力を示す。表2は、C/20 mAh/g、C/20コロンビア効率(CE)、C/10(mAh/g)及び第1C/10コロンビア効率(CE)で調整したインプットNMC811と比較したリサイクルNMCの電気化学的性能を要約する。
表2:初期(インプット)及びリサイクルNMC811の電気化学的性能のまとめ
【表2】
Material:材料
Capacity Retention:容量保持
Input:インプット
Recycled:リサイクル
【0049】
結果は、大気圧下で100℃以下の温度においてリサイクルCAMの効果的な形成を実証する。本発明のリサイクルプロセスは、複雑な分離プロセスを必要とせず、特に、高温、高圧、及び黒色塊の濾過を必要とせずに、枯渇CAMをリサイクルする可能性を提供する。単離された枯渇CAMとして形成された黒色塊は、カルボキシレート、好ましくはシュウ酸塩に変換することができ、これは、リサイクルCAMの形成のためのCAM前駆体としての役割を果たす。X線回折及び誘導結合プラズマ発光分光法は、リサイクルCAMの優れた純度を確認する。リサイクルCAMの態様は、産業上好ましい球状粒子を示す。さらに、リサイクルCAMを含むコイン半バッテリの電気化学的性能は、最初のC/10サイクルで217.7 mAh/gの比放電容量を示した。本発明の方法は、既存のリサイクルプロセスに対する拡張可能な代替物を提供することができる。
【0050】
本発明は、好ましい実施態様を参照して説明されたが、それらに限定されない。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載され、記載される追加の実施態様を理解するのであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
【手続補正書】
【提出日】2024-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むリサイクルカソード活物質を形成する方法:
枯渇したカソード活物質(枯渇カソッド活物質若しくは枯渇正極活物質若しくは枯渇CAM、ともいう)から黒色塊を形成することと、
前記黒色塊をカルボン酸で消化して脱リチウム化されたカソード活物質前駆体(脱リチウム化カソード活物質前駆体、若しくは脱リチウム化CAM前駆体ともいう)を形成することと、
前記脱リチウム化カソード活物質前駆体にバージンリチウム塩を添加して、カソード活物質前駆体(CAM前駆体ともいう)を形成することと、
前記カソード活物質前駆体を、乾燥させ、及び、か焼して、リサイクルされたカソード活物質(リサイクルカソード活物質若しくはリサイクルCAM、ともいう)を形成すること。
【請求項2】
前記枯渇カソード活物質が、式I又は式IIによって定義される請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
LiuNixMnyCozEwO4 (式1)
(ここで、式I式において、
Eは、任意のドーパントである;
x+y+z+w = 2;
w ≦ 0.2;及び
u ≦ 1である);
又は、
LivNiaMnbXcGdO2 (式II)
(ここで、式II式において、
Gは、任意のドーパントである;
Xは、Co又はAlである;
a+b+c+d = 1;
v ≦ 1;及び
d ≦ 0.1である)。
【請求項3】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
0.4 ≦ x ≦ 0.6;
1.4 ≦ y ≦ 1.6;及び
z ≦ 0.9。
【請求項4】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項3に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.55;
1.45 ≦ y≦ 1.5;及び
z ≦ 0.05。
【請求項5】
前記式Iにおいて、xもyもゼロではない、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項6】
前記式Iにおいて、4以下のMn/Ni比を有する、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項7】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.33~3.4以下である、請求項6に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項8】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.7~3.4以下である、請求項7に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項9】
前記式IIにおいて、0.5 ≦ a ≦ 0.9である、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項10】
前記式IIにおいて、0.58 ≦ a ≦ 0.62である、請求項9に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項11】
前記式IIにおいて、0.78 ≦ a ≦ 0.82である、請求項9に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項12】
前記E又は前記Gが、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBからなる群から選択される、請求項2に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項13】
前記E又は前記Gが、Al及びGdからなる群から選択される、請求項12に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項14】
前記リサイクルカソード活物質が、式I又は式IIによって定義される、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
LiNixMnyCozEwO4 (式I)
(ここで、式Iにおいて、
Eは、任意のドーパント;
x+y+z+w = 2;及び
w ≦ 0. 2である);
又は、
LiNiaMnbXcGdO2 (式II)
(ここで、式IIにおいて、
Gは、任意のドーパント;
Xは、Co又はAlである;及び
ここで、
a+b+c+d = 1;及び
d ≦ 0. 1である)。
【請求項15】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
0.4 ≦ x ≦ 0.6;
1.4 ≦ y ≦ 1.6;及び
z ≦ 0.9。
【請求項16】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項15に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.55;
1.45 ≦ y ≦ 1.5;及び
z ≦ 0.05。
【請求項17】
前記式Iにおいて、xもyもゼロではない、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項18】
前記式Iにおいて、Mn/Ni比が、4以下である、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項19】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.33~3.4以下である、請求項18に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項20】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.7~3.4未満である、請求項19に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法
【請求項21】
前記式IIにおいて、0.5 ≦ a ≦ 0.9である、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項22】
前記式IIにおいて、0.58 ≦ a ≦ 0.62である、請求項21に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項23】
前記式IIにおいて、0.78 ≦ a ≦ 0.82である、請求項21に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項24】
前記E又は前記Gが、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBからなる群から選択される、請求項14に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項25】
前記E又は前記Gが、Al及びGdからなる群から選択される、請求項24に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項26】
前記枯渇カソード活物質及び前記リサイクルカソード活物質が、Ni、Mn、Co及びAlの同じモル比を有する、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項27】
前記枯渇カソード活物質及び前記リサイクルカソード活物質が、Ni、Mn、Co及びAlの同じモル比を有さない、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項28】
前記か焼の前にバージン金属塩を添加することをさらに含む、請求項27に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項29】
前記バージン金属塩が、金属水酸化物又は金属カルボキシレートである、請求項28に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項30】
前記バージン金属塩が、金属シュウ酸塩である、請求項29に記載のリサイクルカソード活物質の形成方法。
【請求項31】
前記カルボン酸が、マルチカルボン酸である、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項32】
前記カルボン酸が、ジカルボン酸である、請求項31に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項33】
前記カルボン酸が、シュウ酸、酢酸及びリンゴ酸からなる群から選択される、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項34】
前記カルボン酸が、シュウ酸である、請求項33に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項35】
前記バージンリチウム塩が、水酸化リチウム及び炭酸リチウムからなる群から選択される、請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成する方法。
【請求項36】
請求項1に記載のリサイクルカソード活物質を形成し、続いてアノード、セパレータ、電解質及び接続性(接続要素ともいう)を形成することを含む、バッテリを形成するための方法。
【請求項37】
以下の工程を含む、バッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
前記バッテリからの枯渇カソード活物質を除去する工程;
前記枯渇カソード活物質から黒色塊を形成する工程;
前記黒色塊をカルボン酸で消化してカソード活物質前駆体を形成する工程;
前記カソード活物質前駆体にバージンリチウム塩を添加する工程;及び
前記カソード活物質前駆体を、乾燥し、及びか焼して、リサイクルカソード活物質を形成する工程。
【請求項38】
前記カソード活物質が、式I又は式IIによって定義される、請求項37に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法:
LiNixMnyCozEwO4 式I
(式において、Eは任意のドーパントであり;及び
x+y+z+w = 2であり、w ≦ 0. 2);
又は
LiNiaMnbXcGdO2 式II
(式において、Gは任意のドーパントであり;
Xは、Co又はAlであり;及び、
a+b+c+d = 1であり、d ≦ 0. 1である。
【請求項39】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項38に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.6;
1.4 ≦ y ≦ 1.5;
及び、z≦0.9である。
【請求項40】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項39に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.55;
1.45 ≦ y ≦ 1.5;及び z ≦ 0.05。
【請求項41】
前記式Iにおいて、xもyもゼロではない、請求項38に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項42】
前記式Iにおいて、Mn/Ni比が、3以下である、請求項38に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項43】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.33~3未満である、請求項42に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項44】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.6~3未満である、請求項43に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項45】
前記式IIにおいて、0.5 ≦ a ≦ 0.9である、請求項38に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項46】
前記式IIにおいて、0.58 ≦ a ≦ 0.62である、請求項45に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項47】
前記式IIにおいて、0.78 ≦ a ≦ 0.82である、請求項45に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項48】
前記E又は前記Gが、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBからなる群から選択される、請求項38に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項49】
前記E又は前記Gが、Al及びGdからなる群から選択される、請求項48に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項50】
前記リサイクルカソード活物質が、式I又は式IIによって定義される、請求項37に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法:
LiNixMnyCozEwO4 式I
(式において、Eは、任意のドーパントであり;
x+y+z+w = 2であり、w ≦ 0. 2);又は
LiNiaMnbXcGdO2 式II
(式において、Gは任意のドーパントであり;
Xは、CoまたはAlであり;及び
ここで、a+b+c+d = 1であり、d ≦ 0. 1である)。
【請求項51】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項50に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.6;
1.4 ≦ y ≦ 1.5;及び
z≦0.9。
【請求項52】
前記式Iにおいて、以下の条件である、請求項51に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法:
0.5 ≦ x ≦ 0.55;
1.45 ≦ y ≦ 1.5;及び
z≦ 0.05。
【請求項53】
前記式Iにおいて、xもyもゼロではない、請求項50に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項54】
前記式Iにおいて、Mn/Ni比が、3以下である、請求項50に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項55】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.33~3未満である、請求項54に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項56】
前記Mn/Ni比が、少なくとも2.6~3未満である、請求項55に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項57】
前記式IIにおいて、0.5 ≦ a ≦ 0.9である、請求項50に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項58】
前記式IIにおいて、0.58 ≦ a ≦ 0.62である、請求項57に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項59】
前記式IIにおいて、0.78 ≦ a ≦ 0.82である、請求項57に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項60】
前記E又は前記Gが、Al、Gd、Ti、Zr、Mg、Ca、Sr、Ba、Mg、Cr、Cu、Fe、Zn、V、Bi、Nb及びBからなる群から選択される、請求項50に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項61】
前記E又は前記Gが、Al及びGdからなる群から選択される、請求項60に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項62】
前記カソード活物質及び前記リサイクルカソード活物質が、同じ化学量論を有する、請求項37に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項63】
前記カソード活物質及び前記リサイクルカソード活物質が、同じ化学量論を有さない、請求項37に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項64】
前記か焼の前にバージン金属塩を添加することをさらに含む、請求項63に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項65】
前記バージン金属塩が、金属水酸化物又は金属カルボキシレートである、請求項64に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項66】
前記バージン金属塩が、金属シュウ酸塩である、請求項64に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項67】
前記カルボン酸が、多価カルボン酸である、請求項37に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項68】
前記カルボン酸が、ジカルボン酸である、請求項67に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項69】
前記カルボン酸が、シュウ酸、酢酸及びリンゴ酸からなる群から選択される、請求項37に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【請求項70】
前記カルボン酸が、シュウ酸である、請求項69に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルする方法。
【請求項71】
前記バージンリチウム塩が、水酸化リチウム及びカルボン酸リチウムからなる群から選択される、請求項37に記載のバッテリからカソード活物質をリサイクルするための方法。
【国際調査報告】