(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-01
(54)【発明の名称】1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの塩および結晶形の製造方法、ならびに新規結晶形
(51)【国際特許分類】
C07D 471/14 20060101AFI20250924BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20250924BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20250924BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250924BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250924BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
C07D471/14 102
A61K31/4985
A61P17/04
A61P17/00
A61P29/00
A61P37/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025518596
(86)(22)【出願日】2023-09-28
(85)【翻訳文提出日】2025-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2023076913
(87)【国際公開番号】W WO2024068851
(87)【国際公開日】2024-04-04
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519418237
【氏名又は名称】ジェイダブリュー・ファーマシューティカル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】JW PHARMACEUTICAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】トローンセゴー ニールセン,キム
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ラーセン,フレミング
(72)【発明者】
【氏名】クラースコフ ペーターセン,アナス
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086CB09
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB13
(57)【要約】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン塩の結晶形の新規製造方法、新規結晶形およびそれを含む医薬組成物が提供される。また、アトピー性皮膚炎(AD)、痒み、掻痒症および様々な形態の蕁麻疹、例えば慢性特発性蕁麻疹の亜型などの疾患の治療のための新規多形形態の使用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩の製造方法:
【化1】
E.iii)式(I)の化合物のメチルヒドロゲンサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネートの結晶形を得ること;
iv)任意に、式(I)の化合物のメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネート塩の結晶形を適切な溶媒または溶媒混合物中で再結晶化すること
により、式(I)の化合物のメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネート塩の結晶形を製造する工程;
F.式(I)の化合物のメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネート塩の結晶形を適切な溶媒または溶媒混合物に溶解した後、式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩を形成できる酸を添加するか、または式(I)の化合物のメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネート塩の結晶形を、式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩を形成できる酸を含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解する工程;
G.反応混合物を冷却するか貧溶媒(antisolvent)を添加することにより、式(I)の化合物の前記酸付加塩または式(I)の化合物の遊離塩基を結晶化する工程;および
H.任意に、適切な溶媒から式(I)の化合物の酸付加塩または式(I)の遊離塩基を再結晶および分離する工程。
【請求項2】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートの結晶形が、以下の工程を含む工程によって得られる請求項1に記載の方法:
iv)式(I)の化合物またはその塩を、メタノールを含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解した後、硫酸を添加するか、または式(I)の化合物またはその塩を、メタノールとメチルヒドロゲンサルフェートを含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解する工程;
v)反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、式(I)の化合物のメチルサルフェート塩を結晶化する工程;
vi)任意に、適切な溶媒または溶媒混合物中で、式(I)の化合物のメチルヒドロゲンサルフェート塩の結晶形を再結晶および分離する工程。
【請求項3】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートの結晶形が、以下の工程を含む工程によって得られる請求項1に記載の方法:
iv)式(I)の化合物またはその塩を、エタノールを含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解した後、硫酸を添加するか、または式(I)の化合物またはその塩を、エタノールとエチルヒドロゲンサルフェートを含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解する工程;
v)反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、式(I)の化合物のエチルサルフェート塩を結晶化する工程;
vi)任意に、適切な溶媒または溶媒混合物中で、式(I)の化合物のエチルサルフェート塩の結晶形を再結晶および分離する工程。
【請求項4】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネートの結晶形が、以下の工程を含む工程によって得られる請求項1に記載の方法:
iv)式(I)の化合物またはその塩を、適切な溶媒または溶媒混合物に溶解した後、メタンスルホン酸を添加するか、または式(I)の化合物またはその塩を適切な溶媒または溶媒混合物とメタンスルホン酸に溶解する工程;
v)反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、式(I)の化合物のメタンスルホネートを結晶化する工程;
vi)任意に、適切な溶媒または溶媒混合物中で、式(I)の化合物のメタンスルホネートの結晶形を再結晶および分離する工程。
【請求項5】
工程i)およびiii)で用いられた溶媒が、メタノールまたはメタノールの水との混合物から選択され、任意の貧溶媒が、イソプロパノールまたはアセトンである請求項2に記載の方法。
【請求項6】
工程i)およびiii)で用いられた酸が、エタノールまたはエタノールと水との混合物から選択され、任意の貧溶媒が、イソプロパノールまたはアセトンである請求項3に記載の方法。
【請求項7】
工程i)およびiii)で用いられた溶媒が、メタノールまたはメタノールと水との混合物から選択され、任意の貧溶媒が、イソプロパノールまたはアセトンである請求項4に記載の方法。
【請求項8】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートの結晶形が、式(II)の化合物を、メチルヒドロゲンサルフェートを含む適切な溶媒または溶媒混合物中で脱保護した後、
反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートを結晶化する工程を含む方法によって得られる請求項1に記載の方法。
【化2】
【請求項9】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネートの結晶形が、式(II)の化合物を、メタンスルホン酸を含む適切な溶媒または溶媒混合物中で脱保護した後、
反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートを結晶化する工程を含む方法によって得られる請求項1に記載の方法。
【化3】
【請求項10】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネートの結晶形が、式(III)の得る化合物を閉環して式(II)の化合物を得た後、
反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートを結晶化する工程を含む方法によって得られる請求項1に記載の方法。
【化4】
【請求項11】
工程D.で得られた式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩が、好適には一水和物の形態の結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンヘミサクシネートである請求項1~10のいずれかの1項に記載の方法。
【請求項12】
工程B.において、式(I)の化合物のメチルヒドロゲンサルフェート塩、メタンスルホネートおよび/またはエチルヒドロゲンサルフェート塩を溶解するために用いられる溶媒が、水または水を含有する溶媒混合物である請求項1~10のいずれかの1項に記載の方法。
【請求項13】
工程C.の工程における貧溶媒が、アセトンおよび/またはイソプロピルアルコールである請求項1~12のいずれかの1項に記載の方法。
【請求項14】
約(°2θ)8.9、12.3、および15.7(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物。
【請求項15】
約(°2θ)8.9、12.3、15.7、16.5、21.1、22.4、23.7、25.8、26.0、および/または29.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項14に記載の結晶性化合物。
【請求項16】
約(°2θ)8.9、12.3、および15.7(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項14または15に記載の結晶性化合物。
【請求項17】
約(°2θ)8.9、12.3、15.7、16.5、21.1、22.4、23.7、25.8、26.0、および29.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項14~16のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項18】
図1のXRPDパターンと本質的に類似のXRPDパターンを有する請求項14~16のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項19】
図1のXRPDパターンに従うXRPDパターンを有する請求項14~16のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項20】
149.0、147.3、127.8、119.0、59.0、48.9、および/または33.7ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体(solid state)
13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする請求項14~19のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項21】
149.0、147.3、127.8、119.0、59.0、48.9、および33.7ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体
13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする請求項14~20のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項22】
図6の
13C CP/MAS NMRスペクトルと本質的に類似の
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする請求項20または21に記載の結晶性化合物。
【請求項23】
図6の
13C CP/MAS NMRスペクトルに従う
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする請求項20または21に記載の結晶性化合物。
【請求項24】
約(°2θ)8.9、12.3、15.7、16.5、21.1、22.4、23.7、25.8、26.0、および29.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射をさらに特徴とする請求項20~23のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項25】
形態Aについて表1に示す単結晶X線結晶構造解析(SXRC)パラメータを有することを特徴とする請求項14~24のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項26】
242.2±2℃で始まる吸熱-発熱イベントを含むDSC曲線とTGA曲線における対応する重量減少を有する請求項14~25のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項27】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンとメチル硫酸とのモル比が、1:0.8~1:1.2の範囲、好ましくは約1:1であることを特徴とする請求項14~26のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項28】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートと水とのモル比が、1:0.8~1:1.2の範囲、好ましくは約1:1であることを特徴とする請求項14~27のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項29】
約(°2θ)8.1、14.9、および/または26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物。
【請求項30】
約(°2θ)8.1、14.3、14.9、17.6、20.1、21.5、22.1、および/または26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項29に記載の結晶性化合物。
【請求項31】
約(°2θ)8.1、14.9、および26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項29または30に記載の結晶性化合物。
【請求項32】
約(°2θ)8.1、14.3、14.9、17.6、20.1、21.5、22.1、および26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項29または30に記載の結晶性化合物。
【請求項33】
図2のXRPD反射と本質的に類似のXRPDパターンを有する請求項29~32のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項34】
図2のXRPDパターンに従うXRPDパターンを有する請求項29~32のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項35】
148.1、146.4、128.6、119.9、60.3、48.0、および/または32.2ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体
13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする請求項29~34のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項36】
148.1、146.4、128.6、119.9、60.3、48.0、および32.2ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体
13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする請求項19~34のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項37】
図7の
13C CP/MAS NMRスペクトルと本質的に類似の
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする請求項35または36に記載の結晶性化合物。
【請求項38】
図7の
13C CP/MAS NMRスペクトルに従う
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする請求項35または36に記載の結晶性化合物。
【請求項39】
約(°2θ)8.1、14.3、14.9、17.6、20.1、21.5、22.1、および26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を追加特徴とする請求項35~38のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項40】
形態Bについて表1に示す単結晶X線結晶構造解析(SXRC)パラメータを有することを特徴とする請求項29~39のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項41】
約247.6±2℃で始まる分離されていない吸熱-発熱イベントからなる開始値を有する吸熱イベントを含むDSC曲線とTGA曲線における対応する重量減少を有する請求項29~40のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項42】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンとメチル硫酸とのモル比が、1:1.2~1:0.8の範囲、好ましくは約1:1であることを特徴とする請求項29~41のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項43】
約(°2θ)8.1、14.6、および/または23.4(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェート。
【請求項44】
約(°2θ)8.1、14.6、16.3、17.2、18.8、19.0、20.1、21.7、23.4、および/または26.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項43に記載の結晶性化合物。
【請求項45】
内容なし
【請求項46】
約(°2θ)8.1、14.6、および23.4(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項43または44に記載の結晶性化合物。
【請求項47】
約(°2θ)8.1、14.6、16.3、17.2、18.8、19.0、20.1、21.7、23.4、および26.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする請求項43~46のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項48】
図8のXRPDパターンと本質的に類似のXRPDパターンを有する請求項43~47のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項49】
図8のXRPDパターンに従うXRPDパターンを有する請求項29~32のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項50】
147.7、145.8、139.6、138.7、128.9、119.5、109.8、63.2、59.3、56.6、48.2、31.8、および/または17.0ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする請求項43~49のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項51】
147.7、145.8、139.6、138.7、128.9、119.5、109.8、63.2、59.3、56.6、48.2、31.8、および17.0ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体
13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする請求項43~50のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項52】
図9の
13C CP/MAS NMRスペクトルと本質的に類似の
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする請求項43~51のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項53】
図9の
13C CP/MAS NMRスペクトルに従う
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする請求項43~52のいずれか1項に記載の結晶性化合物。
【請求項54】
請求項12~53のいずれか1項に記載の結晶性塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項55】
アトピー性皮膚炎、痒み、掻痒症および様々な形態の蕁麻疹から選択される疾患の治療に使用するための請求項12~53のいずれか1項に記載の化合物または医薬組成物。
【請求項56】
疾患は、アトピー性皮膚炎である請求項55に記載の化合物または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの特定塩または結晶形を用いて、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を製造するための新しい方法に関するものである。
【化1】
【0002】
本発明はまた、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートおよびエチルサルフェートの新規結晶形、前記新規結晶形を含む医薬組成物およびアトピー性皮膚炎(AD)、痒み、掻痒症および様々な形態の蕁麻疹、例えば、コリン性蕁麻疹などの慢性特発性蕁麻疹の亜型などの疾患の治療のための新規結晶形の使用に関するものである。また、本明細書では、本発明の結晶形を製造する方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
米国特許第9586959号は、他の化合物の中でも、化合物1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンおよびその薬学的に許容される塩、前記化合物の製造方法だけでなく、それを含む医薬組成物に関するものである。米国特許第9586959号には、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン化合物の様々な塩の製造が開示されている。
【0004】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンは、強力なヒスタミン4受容体阻害作用を示し、肥満細胞や好酸球などの炎症細胞のヒスタミン誘導浸潤に対する抑制する効果を示す。従って、この化合物は、強力な抗炎症作用および抗痒み作用を有し、ADを含む米国特許第9586959号に開示されているような様々な疾患を治療に有用である可能性がある。
【0005】
化学的化合物の異なる結晶性固体形態は、例えば、化学的安定性、物理的安定性、吸湿性、融点、溶解度、溶解速度、形態およびバイオアベイラビリティなど、医薬品の選択された有効成分として適しているかどうかを左右する異なる物理的特性を有する場合がある。
【0006】
また、化学的物質は、複数の異なる結晶性固体形態で存在する場合があり、これには同じ総和式を共有する異なる多形形態(例えば、無水物)や、同じ総和式を共有しない同じ化学物質の異なる溶媒和物(例えば、半水和物、一水和物および二水和物など)が含まれる。このような結晶性固体形態は、明確な結晶構造を有し、前記の物理的特性が異なる。異なる結晶性固体形態は、融点、XRPDパターン、スペクトル特性(例えば、FT-IR、ラマンおよびSS-NMR)、ならびに他の物理的および化学的特性によって互いに区別することができる。化学物質は非晶質の形態で存在することもある。
【0007】
従って、実際に選択された結晶形は、医薬品有効成分の開発および製造において重要な役割を果たす。単結晶形が求められる場合、結晶化工程が頑健であり、多形的に純粋な形で目的の結晶形を多形的に純粋な形態で確実に生成し、関連する製造工程および/または保管中に結晶形が変化(例えば、異なる結晶形に相互変換)しないことが重要である。
【0008】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジンの様々な塩が確認され、米国特許第9586959号に開示された。
【0009】
塩の中には、無水物として現れるものもあれば、一水和物および二水和物として現れるものもあり、それぞれ乾燥時に相互変換したり、比較的低温で水分を失ったりするいくつかの多形形態をとるため、医薬品としての開発には適していない。
【0010】
本発明はまた、医薬品および1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの他の適切な塩および結晶形の製造において、APIとして適した有益な特性を有する1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン塩の新規結晶形に関するものである。
【0011】
形態AおよびBを含む1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート塩およびエチルサルフェート塩は、医薬品の製造に適した溶媒に非常に高い溶解度を有し、この塩を再結晶による精製および式(I)の化合物の他の結晶性塩の製造に特に有用であることが見出された。
【0012】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートおよび1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネートなどの他の結晶形も、再結晶による精製および式(I)の化合物の他の結晶性塩の製造と関連して同様に有用な特性を有する。
【発明の概要】
【0013】
従って、本発明は、以下の工程を含む、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩の製造方法に関するものである:
【化2】
A.i)式(I)の化合物のメチルヒドロゲンサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネートの結晶形を得ること;
ii)任意に、式(I)の化合物のメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネート塩の結晶形を適切な溶媒または溶媒混合物中で再結晶化すること
により、式(I)の化合物のメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネート塩の結晶形を製造する工程;
B.式(I)の化合物のメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネート塩の結晶形を適切な溶媒または溶媒混合物に溶解した後、式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩を形成できる酸を添加するか、または式(I)の化合物のメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩および/またはメタンスルホネート塩の結晶形を、式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩を形成できる酸を含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解する工程;
C.反応混合物を冷却するか貧溶媒(antisolvent)を添加することにより、式(I)の化合物の前記酸付加塩または式(I)の化合物の遊離塩基を結晶化する工程;および
D.任意に、適切な溶媒から式(I)の化合物の酸付加塩または前記式(I)の遊離塩基を再結晶および分離する工程。
【0014】
本発明はまた、約(°2θ)8.9、12.3、および/または15.7(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物の結晶形Aに関するものである。
【0015】
本発明はまた、約(°2θ)8.1、14.9、および/または26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物の結晶形Bに関するものである。
【0016】
本発明はまた、(°2θ)8.1、14.6、および/または23.4(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェート形態Aの結晶形に関するものである。
【0017】
本発明はまた、前記の新規結晶形および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関するものである。
【0018】
一実施形態において、本発明は、アトピー性皮膚炎、痒み、掻痒症および慢性特発性蕁麻疹亜型を含む様々な形態の蕁麻疹から選択された疾患を治療するための、新規結晶形または新規結晶形を含む医薬組成物に関するものである。
【0019】
本発明はまた、前記結晶形および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関するものである。
【0020】
一実施形態において、本発明は、アトピー性皮膚炎、痒み、掻痒症および慢性特発性蕁麻疹亜型を含む様々な形態の蕁麻疹のから選択された疾患を治療するための、前記化合物または医薬組成物に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート塩、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェート塩、および1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネート塩は、医薬用途のAPI製造における結晶化および再結晶化の目的に有用な溶媒への溶解度が大きいため、結晶化、再結晶化および精製、または同じ化合物の他の塩形態の結晶化に特に有用であることが分かった。
【0022】
米国特許第9586959号に開示された1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンヒドロゲンサルフェート塩と比較すると、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンのメチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩、およびメタンスルホネート塩は、水性環境においてより中性のpHを有し、従って、少なくとも50℃の高温下でも水性処理中に、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン分子の加水分解に対してはるかに安定している。すなわち、メチルサルフェート塩、エチルサルフェート塩、および/またはメタンスルホネート塩を使用することで、製造中のAPIの損失を削減することができることを意味する。
【0023】
本発明の方法は、式(I)の化合物の任意の薬学的に許容される酸付加塩を製造するために使用することができる。薬学的に許容される適切な酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、ガラクタル酸、乳酸、マレイン酸、L-リンゴ酸、フタル酸、シティルサン、プロピオン酸、安息香酸、グルタル酸、グルコン酸、D-グルクロン酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、マロン酸、酒石酸、ベンゼンスルホン酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファミン酸、フマル酸、または医薬品に適したその他の適切な酸などの適切な無機または有機酸との反応で形成される。
【0024】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の酸付加塩は、「ヘミ塩」、例えばヘミサクシネートである。ヘミ塩の形態は、典型的には、式(I)の化合物1当量当たり約1/2当量の酸を含む適切な溶媒または溶媒混合物から結晶化によって製造され、その結果、遊離塩基と酸との比率は、1:1とは大幅に異なる。ニ酸(例えば、コハク酸)を含むヘミ形態の場合、遊離塩基と酸の比率は約1:0.5である。
【0025】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような工程に関し、ここで、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートの結晶形は、以下の工程を含む方法によって得られる:
i)式(I)の化合物またはその塩を、メタノールを含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解した後、硫酸を添加するか、または
式(I)の化合物またはその塩を、メタノールとメチルヒドロゲンサルフェートを含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解する工程;
ii)反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、式(I)の化合物のメチルサルフェート塩を結晶化する工程;
iii)任意に、式(I)の化合物のメチルヒドロゲンサルフェート塩の結晶形を適切な溶媒または溶媒混合物中で再結晶および分離する工程。
【0026】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような方法に関し、ここで、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートの結晶形は、以下の工程を含む方法によって得られる:
i)式(I)の化合物またはその塩を、エタノールを含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解した後、硫酸を添加するか、または
式(I)の化合物またはその塩を、エタノールとエチルヒドロゲンサルフェートを含む適切な溶媒または溶媒混合物に溶解する工程;
ii)反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、式(I)の化合物のエチルサルフェート塩を結晶化する工程;
iii)任意に、式(I)の化合物のエチルサルフェート塩の結晶形を適切な溶媒または溶媒混合物中で再結晶および分離する工程。
【0027】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような方法に関し、ここで、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネートの結晶形は、以下の工程を含む方法によって得られる:
i)式(I)の化合物またはその塩を、適切な溶媒または溶媒混合物に溶解した後、メタンスルホン酸を添加するか、または
式(I)の化合物またはその塩を、適切な溶媒または溶媒混合物とメタンスルホン酸に溶解する工程;
ii)反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、式(I)の化合物のメタンスルホネートを結晶化する工程;
iii)任意に、式(I)の化合物のメタンスルホネートの結晶形を適切な溶媒または溶媒混合物中で再結晶および分離する工程。
【0028】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような方法に関し、ここで、工程i)およびiii)で用いられる溶媒が、メタノールまたはメタノールと水との混合物から選択され、任意の貧溶媒が、イソプロパノールまたはアセトンである。
【0029】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような方法に関し、ここで、工程i)およびiii)で用いられる酸が、エタノールまたはエタノールと水との混合物から選択され、任意の貧溶媒が、イソプロパノールまたはアセトンである。
【0030】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような方法に関し、ここで、工程i)およびiii)で用いられる溶媒が、メタノールまたはメタノールと水との混合物から選択され、任意の貧溶媒が、イソプロパノールまたはアセトンである。
【0031】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような工程に関し、ここで、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートの結晶形が、式(II)の化合物を、メチルヒドロゲンサルフェートを含む適切な溶媒または溶媒混合物中で脱保護した後、反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートを結晶化する工程を含む方法によって得られる。
【化3】
一水和物である1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート形態Aの水和物は、反応混合物に水を添加することにより形成することができる。
【0032】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような方法に関し、ここで、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネートの結晶形が、式(II)の化合物を、メタンスルホン酸を含む適切な溶媒または溶媒混合物中で脱保護した後、反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートを結晶化する工程を含む方法によって得られる。
【化4】
【0033】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような工程に関し、ここで、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネートの結晶形が、式(III)の化合物を閉環して式(II)の化合物を得た後、反応混合物を冷却し、および/または貧溶媒を添加することにより、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートを結晶化する工程を含む方法によって得られる。
【化5】
【0034】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような方法に関し、ここで、工程D.で得られた式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩が、好適には一水和物の形態の結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンヘミサクシネートである。
【0035】
一実施形態によれば、本発明は、前記のような方法に関し、ここで、工程B.において、式(I)の化合物のメチルヒドロゲンサルフェート塩、メタンスルホネートおよび/またはエチルヒドロゲンサルフェート塩を溶解するために用いられる溶媒が、水または水を含有する溶媒混合物である。
【0036】
一実施形態によれば、本発明は前記のような方法に関し、工程C.における貧溶媒が、アセトンおよび/またはイソプロピルアルコールである。
【0037】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートの2つの結晶形が確認された。一方の形態(形態A)は一水和物であり、他方の形態(形態B)は無水物である。
【0038】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートの1つの結晶形が確認された。形態Aは無水物である。
【0039】
本発明の基礎となる技術的課題は、結晶形成能、ろ過特性、溶解度、熱力学的特性、安定性の問題(例えば、水吸収によるもの)、密度、および様々な湿度及び結晶化過程中の変換(例えば、他の多形形態または水和物/無水物への相互変換)などの1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの他の結晶性および/または非晶質形態のデメリットを回避することである。
【0040】
広範囲の有機溶媒を対象とした合計98種類の結晶化実験の結果、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートの8種類の異なる多形形態(A-H)を得た。
【0041】
これらのうち、純粋な形態A、B、E、GおよびHが得られたが、穏やかな乾燥中に安定したのは形態AとBだけで、純粋な形態EおよびGを大量に製造しようとする試みは成功しなかった。
【0042】
本発明による新規結晶形はメチルサルフェート塩、すなわち、結晶格子中にメチルサルフェート分子1つにつき、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン分子1つが存在する塩形態である。
【0043】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートの2つの結晶形が確認された。一方の形態(形態A)は一水和物であり、他方の形態(形態B)は無水物である。
【0044】
形態Aは、チャネル水和物であり、一般にチャネル水和物/溶媒和物は、溶媒分子がチャネル内に出入りしやすく、結晶格子の崩壊を引き起こすため、あまり安定ではない。
【0045】
単結晶X線分析に基づく結晶形パッキングの分析により、形態Aの水分子はチャネル内に位置していることが観察された。このような水和物は非化学量論的水和物として知られており、チャネル内に水が位置することはしばしば安定性の問題を引き起こす。しかし、形態Aでは水分子が位置するチャネルは小さいため(それぞれ最短径で3.2Å、最長径で5.4Å)、結晶格子から水を除去するのが難しく、処理中の安定性が向上される。
【0046】
従って、形態Aの場合、水分子は狭いチャネルに配置され、水が逃げにくくなるため、水和物が安定し、形態Aは錠剤などの固体医薬品での使用に特に有用である。また、形態Aは、結晶格子を崩壊させることなく、60℃で凍結乾燥器または真空オーブンなどの乾燥条件下で乾燥させることができる。また、形態Aは大規模乾燥に適していることが判明している。
【0047】
単結晶X線分析に基づいた形態Bの結晶形パッキング分析により、形態Bのパッキングは、遊離塩基の平面間に位置する対イオンと、3つの三軸(a、b、c)すべてに沿ったヘテロ芳香族部分のTTスタッキングによって安定化された低対称三斜晶系パッキングであることが分かった。形態Aに比べて単位格子内の分子数がより少なく、単位格子の体積も少ないにもかかわらず、両結晶形の密度は同じである。形態Bは、60%の水を含む環境でも安定である。
【0048】
さらに、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート塩は、多くの溶媒に対して比較的高い溶解度を有することがわかったため、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート塩は、再結晶による精製および例えば、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンヘミサクシネート一水和物などの1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの任意の他の塩を形成するための出発物質として特に有用である。1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの他の塩は一般的に比較的低い溶解度を有する。
【0049】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート塩の溶解度を表1に示した。
【表1】
【0050】
表1からわかるように、溶解度は、THF、EtOAC、トルエン、MTBEおよびメチルエチルケトンで非常に低く、イソアミルアルコールおよび2-プロパノールでは低く、1-プロパノールアセトニトリルおよびエタノールでは中程度であり、メタノールおよびDMFでは高く、1-プロパノール:H2O(1:5)とDMSOでは非常に高い。
【0051】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェート塩形態Aの溶解度を表2に示した。
【表2】
【0052】
定義
本明細書で使用される用語「rt」または「室温」は、適用される温度が重要ではなく、正確な温度値を維持する必要がないことを示す。通常、「rt」または「室温」は、約15℃~約25℃の温度を意味すると理解される[例えば、EU Pharmacopoeia 7.5, 1 .2 (2012)参照]。
【0053】
本明細書で使用される用語「溶媒和物」は、溶媒分子が化学量論的または非化学量論的な方法で化合物の結晶格子に取り込まれた結晶性化合物を表す。溶媒分子が水の場合、本明細書では「水和物」という用語が使用される。
【0054】
水和物の種類は、水分子と1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート分子とのモル比に依存する。
【0055】
「一水和物」という用語は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート1モル当たり0.8~1.2モルの水を意味する。
【0056】
無水物は、結晶格子中に水を全く含まない結晶形である。
【0057】
本明細書に使用される用語「非吸湿性」は、約0%~80%の相対湿度の間での薬物物質の質量増加比で0.2重量%未満であることを示す。
【0058】
本発明の文脈において、用語「XRPD反射ピーク」は、XRPDパターンにおける特定の2θ位置を示し、信号対雑音比(欧州薬局方の項目2.2.46に従って計算)は3/1より大きい。「ピークの不在」は、本発明の化合物の試料のXRPDにおける最高ピークの最大1%、例えば0.5%または0.2%の強度を有するピーク、すなわちバックグラウンドシグナルを超える検出可能なXRPDピークがないピークとして定義される。
【0059】
XRPDパターンにおいて、回折線プロファイルの主な特徴は、2θの位置、ピークの高さ、ピーク面積、および形状(例えば、ピークの幅または非対称性、解析関数、実験的表現によって特徴付けられる)である。2θの位置が最も重要な要素であり、例えば、強度は試料の製剤によって影響を受け、ピークの幅は粒径に影響を受けるため、2θの位置は最も需要な因子である。回折ピークに加えて、X線回折実験では、XRPDパターンにほぼ均一なバックグラウンドも生成され、その上にピークが重ね合わされる。標本製剤以外にも、例えば試料ホルダ、空気および装置からの拡散散乱、検出器ノイズ、X線管からの一般放射線などのその他機器パラメータなど、他の因子もバックグラウンドに影響を及ぼす。ピーク対バックグラウンド比は、バックグラウンドを最小化、および/または長時間の露光時間の選択によって増加させることができる。
【0060】
略語
DSC:時差注射熱量計
DVS:動的蒸気吸着
TGA:熱重量分析
XRPD:粉末X線回折
13C CP/MAS NMR:13C交差分極マジック角スピニング核磁気共鳴
SXRD:単結晶X線回折
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1A】メチルサルフェート形態Aに対するXRPDパターン(3-45°2θ)である。
【
図1B】メチルサルフェート形態Aに対するXRPDパターン(3-30°2θ)である。
【
図2A】メチルサルフェート形態Bに対するXRPDパターン(3-45°2θ)である。
【
図2B】メチルサルフェート形態Bに対するXRPDパターン(3-30°2θ)である。
【
図3】メチルサルフェート形態AのDSCおよびTGA曲線である。
【
図4】メチルサルフェート形態BのDSCおよびTGA曲線である。
【
図5A】形態Aの絶対結晶構造に対するORTREP図である。非対称単位格子は、1つの1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン分子、1つの水および1つのメチルサルフェートイオンからなる。
【
図5B】形態Bの絶対結晶構造に対するORTREP図である。非対称単位格子は1つの1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミン分子および1つのメチルサルフェートイオンからなる。
【
図6】メチルサルフェート形態Aの
13C CP/MAS NMR(14.1T)スペクトルである。
【
図7】メチルサルフェート形態Bの
13C CP/MAS NMR(14.1T)スペクトルである。
【
図8】エチルサルフェート形態Aに対するXRPDパターンである。
【
図9】エチルサルフェート形態Aに対する
13C CP/MAS NMRスペクトルである。
【0062】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート形態AおよびBの単結晶構造決定から得られた結晶パラメータを表3に示す。
【表3】
【0063】
表3のデータから、形態Aは単斜晶系一水和物であり、形態Bは三斜晶系無水物であると結論づけることができる。
【0064】
従って、一実施形態において、本発明は、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート塩に関するものである。
【0065】
別の実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.9、12.3、および/または15.7(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関するものである。
【0066】
さらなる実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.9、12.3、15.7、16.5、21.1、22.4、23.7、25.8、26.0、および/または29.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関するものである。
【0067】
さらなる実施形態において、本発明は、約8.9、12.3、および15.7(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関するものである。
【0068】
さらなる実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.9、12.3、15.7、16.5、21.1、22.4、23.7、25.8、26.0、および29.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関するものである。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関し、ここで、結晶性化合物は、
図1のXRPDパターンと本質的に類似のXRPDパターンを有する。
【0070】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関し、ここで、結晶性化合物は、
図1のXRPDパターンに従うXRPDパターンを有する。
【0071】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関し、ここで、結晶性化合物は、149.0、147.3、127.8、119.0、59.0、48.9、および/または33.7ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする。
【0072】
さらなる実施形態において、本発明は、
図6の
13C CP/MAS NMRスペクトルと本質的に類似の
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関するものである。
【0073】
さらなる実施形態において、本発明は、
図6の
13C CP/MAS NMRスペクトルに従う
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関するものである。
【0074】
さらなる実施形態において、本発明は、前記13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とし、約(°2θ)8.9、12.3、15.7、16.5、21.1、22.4、23.7、25.8、26.0、および29.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を追加特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関するものである。
【0075】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関し、ここで、結晶性化合物は、形態Aについて表2に示される単結晶X線結晶構造解析(SXRC)パラメータを有することを特徴とする。
【0076】
さらなる実施形態において、本発明は、242.2±2℃で始まる吸熱-発熱イベントを含むDSC曲線とTGA曲線における対応する重量減少を有する結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関するものである。
【0077】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート一水和物に関し、ここで、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンとメチル硫酸とのモル比が、1:0.8~1:1.2の範囲、好ましくは約1:1である。
【0078】
さらなる実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.1、14.9、および/または26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関するものである。
【0079】
さらなる実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.1、14.3、14.9、17.6、20.1、21.5、22.1、および/または26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関するものである。
【0080】
さらなる実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.1、14.9、および26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関するものである。
【0081】
さらなる実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.1、14.3、14.9、17.6、20.1、21.5、22.1、および26.5(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関するものである。
【0082】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関し、ここで、結晶性化合物は、
図2のXRPDパターンと本質的に類似のXRPDパターンを有する。
【0083】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関し、ここで、結晶性化合物は、
図2のXRPDパターンに従うXRPDパターンを有する。
【0084】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関し、ここで、結晶性化合物は、148.1、146.4、128.6、119.9、60.3、48.0、および/または32.2ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする。
【0085】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関し、ここで、結晶性化合物は、148.1、146.4、128.6、119.9、60.3、48.0、および32.2ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする。
【0086】
さらなる実施形態において、本発明は、
図7の
13C CP/MAS NMRスペクトルと本質的に類似の
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関するものである。
【0087】
さらなる実施形態において、本発明は、
図7の
13C CP/MAS NMRスペクトルに従う
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関するものである。
【0088】
さらなる実施形態において、本発明は、前記13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とし、約(°2θ)8.1、14.3、14.9、17.6、20.1、21.5、22.1および/または26.(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射をさらに特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関するものである。
【0089】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関し、ここで、結晶性化合物は、形態Bについて表1に示される単結晶X線結晶構造解析(SXRC)パラメータを有することを特徴とする。
【0090】
さらなる実施形態において、本発明は、約247.6±2℃で始まる分離されていない吸熱-発熱イベントからなる開始値を有する吸熱イベントを含むDSC曲線とTGA曲線における対応する重量減少を有する結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関するものである。
【0091】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート無水物に関し、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンとメチル硫酸とのモル比が、1:0.8~1:1.2の範囲、好ましくは約1:1であることを特徴とする。
【0092】
さらなる実施形態において、本発明は、約8.1、14.6、および/または23.4(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関するものである。
【0093】
さらなる実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.1、14.6、16.3、17.2、18.8、19.0、20.1、21.7、23.4、および/または26.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関するものである。
【0094】
さらなる実施形態において、本発明は、約8.1、14.6、および23.4(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関するものである。
【0095】
さらなる実施形態において、本発明は、約(°2θ)8.1、14.6、16.3、17.2、18.8、19.0、20.1、21.7、23.4、および26.8(±0.2度)で1つ以上のXRPD反射を特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関するものである。
【0096】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関し、ここで、結晶性化合物は
図8のXRPDパターンと本質的に類似のXRPDパターンを有する。
【0097】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関し、ここで、結晶性化合物は
図8のXRPDパターンに従うXRPDパターンを有する。
【0098】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関し、ここで、結晶性化合物は、147.7、145.8、139.6、138.7、128.9、119.5、109.8、63.2、59.3、56.6、48.2、31.8、および/または17.0ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする。
【0099】
さらなる実施形態において、本発明は、結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関し、ここで、結晶性化合物は、147.7、145.8、139.6、138.7、128.9、119.5、109.8、63.2、59.3、56.6、48.2、31.8、および17.0ppm±0.2ppmのうちの1つ以上でピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする。
【0100】
さらなる実施形態において、本発明は、
図9の
13C CP/MAS NMRスペクトルと本質的に類似の
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関するものである。
【0101】
さらなる実施形態において、本発明は、
図9の
13C CP/MAS NMRスペクトルに従う
13C CP/MAS NMRスペクトルを有することを特徴とする結晶性1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェートに関するものである。
【0102】
さらなる実施形態において、本発明は、前述のような結晶性化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関するものである。
【0103】
さらなる実施形態において、本発明は、アトピー性皮膚炎、痒み、掻痒症および様々な形態の蕁麻疹から選択される疾患の治療に使用するための前述のような医薬組成物に関するものである。
【0104】
特定の実施形態において、本発明は、前記医薬組成物に関し、ここで、蕁麻疹の形態が、コリン性蕁麻疹のような慢性特発性蕁麻疹の亜型を含む。
【0105】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートは、硫酸の存在下、メタノールから結晶化することにより製造することができる。
【0106】
本発明の結晶形は、メチルサルフェート塩の形態の1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンを低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールおよびこれらの混合物)、アセトン、アセトニトリル、低級アルキルアセテート(例えば、酢酸エチルおよび酢酸プロピル)、テトラヒドロフラン、およびこれらの溶媒と様々な量の水および/または液体炭化水素(例えば、ヘキサンおよびヘプタン)の混合物などの適切な溶媒から室温で再結晶化することにより、または室温未満の温度、例えば、0℃未満の温度、好適には-18℃の温度で冷却して製造することができる。
【0107】
形態Bの形成のために、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート水和物をメタノールに懸濁した後、反応物を加熱し、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートのほとんどが溶解したら溶液を室温で冷却した。
【0108】
形態Aの形成のために、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートを溶媒(例えば、2-プロパノール)に懸濁させた後、反応物を加熱し、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェートのほとんどが溶解したら、少量の水を添加し、溶液を室温に冷却した。溶媒の量に対する水の量は、好適には1:2~1:6の範囲であり、好適には1:4である。
【0109】
これは、便宜上、メタノール中のメチルヒドロゲンサルフェート塩を用いてBoc基を脱保護することで得ることができる。この結晶化のための溶媒には、メタノールと水、および貧溶媒としてイソプロピルアルコールが含まれる。また、これは、便宜上、反応混合物を室温まで冷却した後、ろ過することによって、反応混合物(溶媒はメタノール)から直接得ることができる。
【0110】
結晶形を含む式(I)の化合物の遊離塩基は、便宜上、メチルサルフェート塩をトリエチルアミンの存在下、アセトン中で撹拌することによって、メチルサルフェート塩から得ることができる。
【0111】
結晶形を含む式(I)の化合物のヘミサクシネートは、遊離塩基とコハク酸との混合物を、適切な溶媒、例えば、1-プロパノール、任意に水を加えて撹拌することによって遊離塩基から得ることができる。
【0112】
結晶形塩を含む式(I)の化合物のヘミサクシネートは、メチルサルフェート塩を任意にアセトンなどの他の溶媒の存在下で水に溶解し、続いてジナトリウムサクシネート(0.55eq)を添加することによってメチルサルフェート塩から製造することができる。その後、ヘミサクシネートを冷却または貧溶媒の添加、またはその両方によって沈殿させる。
【0113】
結晶形を含む式(I)の化合物のエチルサルフェート塩は、便宜上、エタノール中のエチルヒドロゲンサルフェート塩溶液に、水およびイソプロパノールを添加して撹拌することによって遊離塩基から製造することができる。
【0114】
結晶形を含む式(I)の化合物のエチルサルフェート塩は、便宜上、エチルサルフェート塩を水に溶解した後、ナトリウムサクシネートを添加し、次いで任意に貧溶媒(例えば、アセトン)を添加し、任意に冷却することによって式(I)の化合物のヘミサクシネートに変換され得る。
【0115】
結晶形を含む式(I)の化合物のメタンスルホネート塩は、便宜上、メタノールサルフェート塩をアセトニトリルおよびトリエチルアミンで処理することによって、式(I)の化合物の遊離塩基に変換され得る。生成物はろ過によって分離され、次いで、例えばイソプロパノールおよび水などの適切な溶媒で洗浄される。
【0116】
結晶形を含む式(I)の化合物のメタンスルホネート塩は、便宜上、様々な方法で製造することができる。そのうちの1つは、アセトニトリルなどの適切な溶媒中で、メタンスルホン酸で遊離塩基を処理する方法である。
【0117】
式(I)の化合物のメタンスルホネート塩は、前駆体(II)(遊離塩基のBoc-保護類似体)から得ることもできる。
【化6】
【0118】
この工程では、式(II)の化合物をメタノール中でメタンスルホン酸と共に撹拌する。溶液を濃縮し、水とイソプロパノールを添加した。懸濁液を冷却し、ろ過して生成物を得た。
【0119】
メタンスルホネート塩はまた、以前の中間体である式(III)の化合物からワンポット(one-pot)工程で得ることもできる。
【化7】
【0120】
この工程では、まず、中間体(III)をメタノール中のトリメチルオルトホルメートで処理して中間体(II)を得た後、これを前記例と同様にメタンスルホン酸で処理する。
【0121】
式(I)の化合物のメタンスルホネート塩(その結晶形を含む)は、便宜上、メタンスルホネート塩を水、任意に水およびアセトンでスラリー化することにより、ヘミサクシネート塩に変換することもできる。水中のジナトリウムサクシネート溶液を添加した後播種した。変換が完了した後、混合物を冷却し、ろ過してヘミサクシネート塩を得た。
【0122】
本発明のさらなる態様は、本発明の結晶性化合物および少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物に関する。医薬組成物は、経口投与形態、好ましくは錠剤および/またはカプセルであってもよい。
【0123】
また、本発明は、固体医薬の製造のための本発明の結晶性化合物の使用に関する。
【0124】
別の実施形態において、本発明は、有効量の本発明の結晶性化合物および薬学的に許容される担体を含む固体医薬組成物、ならびにその製造方法に関する。また、本発明は、アトピー性皮膚炎(AD)、痒み、掻痒症および様々な類型の蕁麻疹のような疾患および障害を含む、米国特許第9586959号に記載されている任意の疾患または障害の治療に使用するための本発明の医薬組成物および/または本発明の結晶性化合物に関するものである。
【0125】
本発明の結晶性化合物を含む本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤は、好ましくは、希釈剤、甘味剤、緩衝剤、流動促進剤、流動化剤、香味剤、滑沢剤、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、結合剤、崩壊剤および増粘剤からなる群から選択される。医薬組成物の分野で公知の他の添加剤も使用することができる。また、医薬組成物は、前記前記群の1つに含まれる2つ以上の添加剤の組み合わせを含むこともできる。
【0126】
本発明の結晶性化合物を含む本発明の医薬組成物に使用できる適切な結合剤としては、さらに、例えば、メチルセルロースなどのアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、カルボキシメチルエチルセルロースなどのカルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、デンプン、ナトリウムカルボキシメチルデンプンなどの変性デンプン、ペクチン、キトサン、ヘパリンおよびヘパリノイドなどのキチン誘導体、アルギン酸などの多糖類、アルカリ金属およびそのアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビアガム、グアーガムおよびキサンタンガム、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルアセテートとポリビニルピロリドンの共重合体、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシドおよびエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、例えば、ポロキサマーおよびポロキサミン、コポビドンを含む。
【0127】
本発明の結晶性化合物を含む本発明の医薬組成物に使用できる適切な希釈剤としては、さらに、例えば、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ化微晶質セルロースを含む微晶質セルロース、粉末セルロース、デキストレート、デキストリン、デキストロース添加剤、フルクトース、カオリン、ラクチトール、無水ラクトース、ラクトース一水和物、マンニトール、ソルビトール、デンプン、変性デンプン、塩化ナトリウム、スクロース、圧縮性糖、製菓用糖、ラクトース一水和物と微晶質セルロース(75:25)の噴霧乾燥混合物(Microcelac(登録商標)で市販される)、微晶質セルロースとコロイド状二酸化ケイ素(98:2)の共処理された噴霧乾燥混合物(Prosolv(登録商標)で市販される)を含む。
【0128】
本発明の結晶性化合物を含む本発明の医薬組成物に使用できる適切な流動促進剤としては、さらに、例えば、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0129】
本発明の結晶性化合物を含む本発明の医薬組成物に使用できる適切な崩壊剤としては、さらに、例えば、デンプン、イオン交換樹脂、例えば、アンバーライト、架橋ポリビニルピロリドン、変性セルロースコム、例えば、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ドデシル硫酸ナトリウム、変性コーンスターチ、微晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、アルギン酸、アルギネートおよび粉末セルロースを含む。
【0130】
本発明の結晶性化合物を含む本発明の医薬組成物に使用できる適切な滑沢剤としては、さらに、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸マグネシウムを含む。
【0131】
一部の製剤、例えば、錠剤には、本発明の結晶性化合物と同じ位置または領域にXRPD反射ピークを有する成分、またはブロードピークを有する成分を含むことができる。これらは、純粋な結晶性塩のみではなく、本発明の結晶性化合物を含む製剤に対してXRPD実験を行った場合、本発明の結晶性化合物のXRPDパターンまたはピークの一部を隠してしまう可能性がある。つまり、結晶性化合物の剤形に対してXRPD実験を行った場合、本発明の結晶性化合物のすべてのXRPD反射ピークを常にみることができるわけではないことを意味する。
【0132】
従って、一実施形態によれば、本発明は、本明細書で定義された結晶性化合物を、薬学的に許容されるビヒクル、添加剤または薬学的に許容される担体(複数可)と共に含む医薬組成物に関するものであり、ここで、前記薬学的に許容されるビヒクル、添加剤または薬学的に許容される担体(複数可)は、本発明の結晶性化合物の1つ以上のXRPD反射ピークと重なり、それを隠す1つ以上のXRPD反射ピークを含むXRPD反射ピークを示す1つ以上の成分を含む。
【0133】
例えば、セルロース成分からの強い信号は60~110ppmのスペクトル領域で予想され、172ppm付近でカルボニルピークとともにステアレートからのピークが15~40ppmのスペクトル領域で観察される13C CP/MAS NMRでも同じ問題が発生する可能性がある。
【0134】
従って、一実施形態によれば、本発明は、本明細書で定義される結晶性化合物を、薬学的に許容されるビヒクル、添加剤または薬学的に許容される担体(複数可)と共に含む医薬組成物に関するものであり、ここで、前記薬学的に許容されるビヒクル、添加剤または薬学的に許容される担体(複数可)は、本発明の結晶性化合物の1つ以上の13C CP/MAS NMRピークと重なり、それを隠す1つ以上のピークを含み得る13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする1つ以上の成分を含む。
【0135】
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート、エチルサルフェートおよびメタンスルホネートの他の結晶形が存在ないことは、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンまたはその塩の任意の結晶形のXRPDパターンを、本明細書の図に開示された本発明の結晶形のXRPDパターンと比較することによって試験することができる。
【0136】
本明細書に開示された多形形態を特徴付けるために使用される試験方法の説明
粉末X線回折(XRPD):
XRPDパターンは、入射CuKα放射線を使用し、45kVおよび40mAで動作するPANalytical社製のX’pert PRO MPD回折計で収集された。XRPDパターンは、2θ範囲3~45度で、ステップサイズ0.0066°、カウント時間148.93秒、および透過形状で収集した。入射ビーム経路には、楕円形に傾斜した多層ミラーと共に4mmの固定マスク、1°の固定散乱防止スリット、1/2°の固定発散スリットが配置され、CuKαX線を試料から検出器へと集光した。回折ビーム経路には、長い散乱防止拡張および2mmの散乱防止スリットを配置し、空気によって形成されるバックグラウンドを最小限に抑えた。また、入射および回折ビーム経路の両方に、0.02radのソーラースリットを配置して、軸方向発散による広幅を最小限に抑えた。
【0137】
より良い粒子統計のために、試料を96個の高処理量ウェルプレートステージ上の3μm厚のホイル上に配置し、X方向に振動させた。回折パターンは、試料から240mm離れた位置にある、活性長が3.347°のPIXel RTMS検出器で収集した。
【0138】
熱重量分析(TGA):
TGA実験は、TA Instruments社製のTGA550装置を使用して行った。測定のために、約1~10mgの試料をセラミックパンに入れた。試料温度は25℃から500℃まで10℃/分で増加させた。パージガスとして窒素を50mL/分の流量で使用した。
【0139】
示差走査熱量測定法(DSC):
DSC:窒素雰囲気下での加熱速度は10℃/分。測定のために、約1~2mgの試料を測定のために開放型アルミニウムパンに入れた。TA Instruments社製のInstrument Q20。
【0140】
単結晶X線回折:
データは、Atlas CCDエリア検出器を備えたSuperNova、デュアル回折計を使用しデータを収集した(温度:120(2)K;CuKα放射線λ=1.5418Å;データ収集方法:ωスキャン)。詳細は表1から確認することができる。構造解釈に使用したプログラム:CrysAlisPro, Agilent Technologies, Version 1.171.37.34 (release 22-05-2014 CrysAlisl71 .NET)、構造改良のために使用したShelXL (Sheldrick, 2008)、およびORTEPドローイングに使用したOlex2 (Dolomanov et al., 2009)。
【0141】
固体NMR分光法:
13C CP/MAS NMRスペクトルは、4mm二重調整(1H-13C)、CMPプローブを装備したBruker Avance III HD600NMR分光器(14.1T)を使用して298Kで記録した:接触時間6ms、再循環遅延64s、スピン速度14.1kHz、スキャン256回、および収集時間45.9ms中の高出力1Hデカンプリング使用。フリエー変換の前に、時間領域データ(自由誘導減衰)は5Hzローレンツ線幅拡張を通じてアポダイズされた。すべてのスペクトルは、176.5ppm(外部試料)のα-グリシンのカルボニル基の化学シフトを基準としている。
【0142】
特許請求の範囲に記載されたものを含め、分光学的特性について本出願で提示された誤差範囲は、分光学の技術分野の当業者に良く知られた要因に依存し、例えば、粒子サイズ分布などの試料製造、または結晶形が製剤の一部である場合は製剤の組成、ならびに機器の変動、およびその他の要因によって異なる可能性がある。
【実施例】
【0143】
実施例1 形態A
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アンモニウムメチルサルフェート11mgを試験管または4mLガラスバイアルに加え、2-プロパノール4mL、続いて水0.2mLを添加した。溶液をヒートガンですべての固形物が目視で溶解するまで加熱した。その後、溶液を0.45μmのシリンジフィルターでろ過した。ろ過した溶液を、溶媒系がゆっくり蒸発させながら結晶化させるために、蓋を緩めたヒュームカップに入れ、テーブル上に置いた。得られた結晶はろ過におり分離した。結晶性物質のXRPDを
図1に示した。
【0144】
実施例2 形態B
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アンモニウムメチルサルフェート11mgを試験管または4mLガラスバイアルに加え、4mLのEtOH、続いて水0.2mLを添加した。溶液を全ての固形物が目視で溶解するまでヒートガンで加熱した。次に、溶液を0.45μmのシリンジフィルターによりろ過した。ろ過した溶液を溶媒系がゆっくり蒸発させながら結晶化させるために、蓋を緩めたヒュームカップに入れ、テーブル上に置いた。得られた結晶をろ過により分離した。結晶性物質のXRPDを
図2に示した。
【0145】
実施例3 1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アンモニウムメチルサルフェート(形態B)の製造
メタノール(33mL)に濃硫酸(6.5g)を10分かけて分割添加した。初期温度は15℃であり、発熱反応にもかかわらず、温度は37℃を越えることはなかった。添加後、混合物を穏やかな還流(内温64℃)し、還流1時間後、溶液を20℃まで冷却し、使用するまでその温度で撹拌した。
【0146】
化合物(III)(15g)にメタノール(150mL)を加え、混合物を撹拌した。混合物を15分かけて50℃に加熱した。先に製造したメチルヒドロゲンサルフェートのメタノール溶液(0.24mL)を加え、10分後、トリメチルオルトホルメート(8.9mL)を30分かけて滴加した。約2.3mLを加えた後、混合物はオレンジ色に変わった。添加完了後、反応混合物を50℃で約18時間撹拌した。オレンジ色の懸濁液は非常に濃厚な赤色の懸濁液になり、その後、一晩かけてゆっくり黄色の懸濁液に変わった。18時間後、メタノール中のメチルヒドロゲンサルフェートの残りの溶液を30分かけて滴加した。滴加が終わるまでに、固体のほとんどが溶解した。混合物を50℃で8時間撹拌した後、温度を2時間かけて2℃まで下げ、懸濁液を一晩撹拌した。懸濁液をろ過し、残渣をメタノール(45mL)で洗浄した。残渣をフィルター上で乾燥させ、週末にかけて35℃で真空乾燥し、目的のメチルサルフェート塩を黄色の固体(13.4g、収率約92%、純度>99%)として得た。
【0147】
実施例4 1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アンモニウムエチルサルフェートの製造
硫酸(12mL)とエタノール(250mL)の溶液を50℃で一晩加熱した。その後、溶液を約75mLまで濃縮し、室温まで冷却した。
【0148】
別のフラスコに、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンの遊離塩基(25g)を加え、続いて先に製造したエタノール溶液を加えた。水(375mL)に続いて、イソプロパノール(500mL)を加え、混合物を撹拌した。結晶化が完了したら、生成物をろ過により分離し、ろ過ケーキをイソプロパノールで洗浄した。収率:約82%、純度:約95%。
【0149】
実施例5 1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アンモニウムメタンスルホネートの製造
メタノール(750mL)中のtert-ブチル N-[1-(12-ブロモ-2,4,5,8,10-ペンタアザトリシクロ[7.4.0.02,6]トリデカ-1(9),3,5,7,10,12-ヘキサエン-7-イル)アゼチジン-3-イル]-N-メチル-カルバメート(50g)の混合物を撹拌した後、メタンスルホン酸(22.4mL)を約7分かけて滴加した。混合物を50℃で一晩撹拌した。混合物を冷却した後、混合物を減圧で濃縮した(溶媒約500mLを除去した)。混合物をろ過し、残渣を適切なフラスコに移した。水(500mL)に続いて、活性炭(10g)を加えた。混合物を約30分間50℃で放置した。炭素をろ過により除去した。ろ液を適切なフラスコに移して、イソプロパノール(1500mL)を添加した。スラリーを室温で一晩撹拌した。混合物をろ過し、ろ過ケーキをイソプロパノールで洗浄した。ろ過ケーキをフィルター上で吸入乾燥し、その後真空下で一晩乾燥させた。収率:約76%、純度:約99%。
【0150】
実施例6 メチルサルフェート塩からの遊離塩基の製造
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート塩(1200g)をアセトン(17.5L)に撹拌しながら懸濁した。トリエチルアミン(750mL)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。固体生成物をろ過により分離し、アセトンで洗浄した後、真空下で乾燥した。収率:約95%、純度:>90%。
【0151】
実施例7 メチルサルフェート塩からのヘミサクシネート形態Fの製造
適切なフラスコに、1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメチルサルフェート塩(20g)を加え、続いて、水(180mL)とアセトン(40mL)を加えた。反応混合物をろ過し、ろ液を適切な反応器に移した。ジナトリウムサクシネート(4g)を水に溶かした溶液を60分かけてゆっくり加えた。その後、溶液を播種し、アセトン(160mL)を約60分かけて加えた。約20mLのアセトンを加えた後、沈殿が観察された。アセトンの添加が完了したら、混合物/スラリーを40℃で一晩撹拌した。その後、反応混合物を2時間にかけて5℃まで冷却し、ろ過した。ろ過ケーキをアセトンで洗浄した後、真空下50℃で一晩乾燥した。収率:約85%、純度:約99%。
【0152】
実施例8 エチルサルフェート塩からのヘミサクシネート形態Fの製造
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンエチルサルフェート塩(5g)に水(50mL)を撹拌しながら加え、懸濁液を40℃に加熱した。完全な溶解が観察されなかったので、さらに水(50mL)を加え、懸濁液を50℃に加熱し、固体が溶解するのを確認した。ジナトリウムサクシネート(480mg)を固体として加え、混合物を播種した。アセトン(100mL)を加え、反応混合物を40℃で一晩撹拌した。翌日、反応混合物を2時間5℃まで冷却した。次に、スラリーをろ過した。ろ過ケーキをアセトンで洗浄した後、真空下50℃で一晩乾燥した。収率:約72%、純度:>90%。
【0153】
実施例9 メタンスルホネート塩の遊離塩基への変換
1-(8-ブロモピリド[2,3-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-4-イル)-N-メチルアゼチジン-3-アミンメタンスルホネート塩(4.5g)とアセトニトリル(90mL)の混合物を撹拌し、約7℃に冷却した。トリエチルアミン(2.2mL)を加え、混合物を約90分間撹拌した。混合物をろ過し、ろ過ケーキをアセトニトリルで洗浄した。ろ過ケーキを適切な容器に移し、イソプロパノール(38.3mL)と水(6.75mL)の混合物中でスラリー化した。次に、スラリーをろ過し、ろ過ケーキを真空下で一晩夜中乾燥した。収率:約92%、純度:約94%。
【0154】
実施例10 中間体(II)のメタンスルホネートへの転換
中間体(II)(50g)にメタノール(750mL)を加え、機械式撹拌機を使用してスラリーを撹拌した。メタンスルホン酸(22.4mL)を約7分かけてゆっくり加えた後、反応器の温度を50℃に上げ、その温度で一晩撹拌した。その後、溶液を冷却し、溶媒を真空下で減少させた(約500mL除去)。水(500mL)に続いて、活性炭(10g)を加え、混合物を50℃に加熱した。約30分後、懸濁液をろ過し、ろ液を適切な反応容器に戻した。イソプロパノール(1500mL)を滴加し、得られたスラリーを室温で一晩撹拌した。スラリーを氷水浴で冷却し、約30分後にろ過した。ろ過ケーキをイソプロパノールで洗浄し、まず、フィルター上で吸引乾燥し、その後、真空下で約3日間かけて乾燥した。収率:約76%、純度:>90%。
【国際調査報告】