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特表2025-532996必要のある対象におけるインスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-03
(54)【発明の名称】必要のある対象におけるインスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20250926BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20250926BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025518712
(86)(22)【出願日】2023-09-28
(85)【翻訳文提出日】2025-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2023076969
(87)【国際公開番号】W WO2024068881
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2022/000548
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524099131
【氏名又は名称】パルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シャルル-アンリ・マルベール
(72)【発明者】
【氏名】モーリス・レジナルド・アローシュ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
本発明は、必要のある対象における2型糖尿病、インスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のためのシステムおよび方法であって、以下のステップ、a)第1のポイントオブケアにおけるMDによる対象の診察中に作成された対象プロファイルを受信するステップであって、対象プロファイルが、対象の治療および経過観察に有用なデータを含む、ステップと、b)対象に関連する画像のセットを受信するステップであって、画像のセットが第2のポイントオブケアにおいて取得されており、画像のセットが、対象の膵臓領域および門脈を含む対象の腹部の3Dコンピュータ断層撮影(CT)画像と、放射標識GLP-1rリガンドの静脈内注射後の腹部の動的3Dポジトロン放射断層撮影(PET)画像のセットとを含み、PET画像が腹部におけるGLP-1rのポジトロンイメージングを含み、放射標識リガンドがGLP-1rに結合している、ステップと、c)門脈に沿ったGLP-1rの定量的密度の2D分布を取得するためにPET画像とCT画像とを処理するステップと、d)門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する領域を識別するステップであって、その領域については、2D分布の値が所与のしきい値未満であり、かつ2D分布が参照値以下であり、しきい値が門脈に沿ったGLP-1rの分布に基づく、ステップとを実行するように構成されたメインフレームを備えるシステムおよび方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要のある対象における2型糖尿病、インスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のためのシステムであって、以下のステップ、
a)第1のポイントオブケアにおけるMDによる前記対象の診察中に作成された対象プロファイルを受信するステップであって、前記対象プロファイルが、前記対象の治療および経過観察に有用なデータを含む、ステップと、
b)前記対象に関連する画像のセットを受信するステップであって、前記画像のセットが第2のポイントオブケアにおいて取得されており、前記画像のセットが、前記対象の膵臓領域および門脈を含む前記対象の腹部の3Dコンピュータ断層撮影(CT)画像と、放射標識GLP-1rリガンドの静脈内注射後の前記腹部の動的3Dポジトロン放射断層撮影(PET)画像のセットとを含み、PET画像が前記腹部における前記GLP-1rのポジトロンイメージングを含み、前記放射標識リガンドがGLP-1rに結合している、ステップと、
c)前記門脈に沿った前記GLP-1rの定量的密度の2D分布を取得するために前記PET画像およびCT画像を処理するステップと、
d)前記門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する領域を識別するステップであって、その領域については、前記2D分布の値が所与のしきい値未満であり、かつ前記2D分布が参照値以下であり、前記しきい値が前記門脈に沿ったGLP-1rの分布に基づく、ステップと
を実行するように構成されたメインフレームを備えるシステム。
【請求項2】
前記メインフレームが、以下のステップ、
e)前記CT画像および前記2D分布から、前記門脈(PV)を表す第1のメッシュ(PV')を決定するステップと、
f)前記CT画像および前記しきい値から、前記門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する前記領域を識別する第2のメッシュ(DPS')を決定するステップであって、前記しきい値が前記CT画像に適用される、ステップと、
g)前記第1のメッシュおよび前記第2のメッシュから、最終的な3Dメッシュ(FM)を決定するステップであって、前記第2のメッシュが前記第1のメッシュの内側にある、ステップと
を実行するように構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記メインフレームが、
h)前記最終的な3Dメッシュと前記3D CT画像とを組み合わせることによって、標的解決策を決定するステップであって、前記3D CT画像が、外部から適用されたフィデューシャルマークに対応するいくつかのマーカを含み、前記標的解決策が、前記しきい値に対する位置に応じて前記門脈に沿った前記GLP-1rの前記密度でコード化された前記門脈の3Dメッシュを含む3Dボリュメトリックレンダリングを含む、ステップ
を実行するように構成された、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記しきい値が、前記門脈に沿った前記GLP-1rの前記定量的密度の2D分布全体の平均-2*SEである、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
CT画像および3Dボリュメトリックレンダリングが、対象の皮膚上に位置する外部フィデューシャルマーカの画像、好ましくは、XYZ空間内の位置が手術空間の3つの次元を識別するのに十分な少なくとも3つのフィデューシャルマーカ、より好ましくは4つまたは5つのフィデューシャルマーカの画像を含む、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
ステップc)が、
前記CT画像から、前記門脈を含む目的の門脈ボリュームを抽出するサブステップと、
前記PET画像から、前記腹部内の前記GLP-1r密度の指標を定量化する受容体密度マップを取得するサブステップと、
前記受容体密度マップおよび前記目的の門脈ボリュームから、前記目的の門脈ボリューム内の前記GLP-1r密度を定量化する3D画像を取得するサブステップと、
前記3D画像を第2の目的のボリュームの中心線に沿って投影することによって、前記門脈に沿った前記GLP-1r密度の前記定量的密度の2D分布を取得するサブステップと
を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記2D分布が前記しきい値未満であるより低いGLP-1rを有する前記領域が、治療すべき欠陥のある門脈センサである、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記メインフレームが、前記CT画像から、胃静脈、十二指腸膵静脈、および脾静脈の位置である静脈分岐位置を抽出するステップと、第1のコンピューティングシステムが、MDが外科処置で前記対象をさらに処理するという決定を行うのを支援するために前記静脈分岐位置に沿って前記2D分布を表示するステップを実施するように、静脈分岐位置および前記2D分布を、糖尿病専門医または内分泌科医などの前記MDの第1のコンピューティングシステムに転送するステップとを実行するように構成された、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記メインフレームが、前記標的解決策を腹部外科医/部門の第3のコンピューティングシステムに転送するステップを実行するように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記メインフレームに接続された腹部外科部門を備え、前記腹部外科部門が、
i)GLP-1rの発現をアップレギュレーションする少なくとも1つの生物活性分子を提供するステップと、
ii)前記少なくとも1つの生物活性分子を、前記メッシュとして識別された前記門脈の欠陥のある門脈センサに局所的に投与するステップと
を実行するように構成された、
請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
第3のポイントオブケア、好ましくは腹部外科医/部門を備え、前記第3のポイントオブケアが、前記標的解決策から、前記空間CT参照内の前記3Dメッシュによって表される領域にアクセスするための外科処置を取得することによって、カスタマイズされた標的解決策を決定するステップを実行するように構成された、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記外科処置が、腹腔鏡検査、放射線医学的解決策、または内視鏡的解決策、またはこれらの組合せを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
糖尿病専門医または内分泌科医などのMDによってアクセスされるように構成された第1のコンピュータシステムと、
核医学の専門家によってアクセスされるように構成された第2のコンピュータシステムと、
腹部外科医/部門によってアクセスされる少なくとも1つの第3のコンピュータと
を備え、
前記第1、第2、および第3のコンピュータが、セキュアなリンクによって前記メインフレームに接続される、
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
必要のある対象における2型糖尿病、インスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のための方法であって、メインフレームが、以下のステップ、
a)第1のポイントオブケアにおけるMDによる前記対象の診察中に作成された対象プロファイルを受信するステップであって、前記対象プロファイルが、前記対象の治療および経過観察に有用なデータを含む、ステップと、
b)前記対象に関連する画像のセットを受信するステップであって、前記画像のセットが第2のポイントオブケアにおいて取得されており、前記画像のセットが、前記対象の膵臓領域および門脈を含む前記対象の腹部の3Dコンピュータ断層撮影(CT)画像と、放射標識GLP-1rリガンドの静脈内注射後の前記腹部の動的3Dポジトロン放射断層撮影(PET)画像のセットとを含み、PET画像が前記腹部における前記GLP-1rのポジトロンイメージングを含む、ステップと、
c)前記門脈に沿った前記GLP-1rの定量的密度の2D分布を取得するために前記PET画像およびCT画像を処理するステップと、
d)前記門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する領域を識別するステップであって、その領域については、前記2D分布の値が所与のしきい値未満であり、かつ前記2D分布が参照値以下であり、前記しきい値が前記門脈に沿ったGLP-1rの分布に基づく、ステップと
を実行するように構成された、方法。
【請求項15】
前記メインフレームが、以下のステップ、
e)前記CT画像および前記2D分布から、前記門脈(PV)を表す第1のメッシュ(PV')を決定するステップと、
f)前記CT画像および前記しきい値から、前記門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する前記領域を識別する第2のメッシュ(DPS')を決定するステップであって、前記しきい値が前記CT画像に適用される、ステップと、
g)前記第1のメッシュおよび前記第2のメッシュから、最終的な3Dメッシュ(FM)を決定するステップであって、前記第2のメッシュが前記第1のメッシュの内側にある、ステップと
を実行するように構成された、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記メインフレームが、
h)前記最終的な3Dメッシュと前記3D CT画像とを組み合わせることによって、標的解決策を決定するステップであって、前記3D CT画像が、外部から適用されたフィデューシャルマークに対応するいくつかのマーカを含み、前記標的解決策が、前記しきい値に対する位置に応じて前記門脈に沿った前記GLP-1rの前記密度でコード化された前記門脈の3Dメッシュを含む3Dボリュメトリックレンダリングを含む、ステップ
を実行するように構成された、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記しきい値が、前記門脈に沿った前記GLP-1rの前記定量的密度の2D分布全体の平均-2*SEである、請求項14から16に記載の方法。
【請求項18】
CT画像および3Dボリュメトリックレンダリングが、対象の皮膚上に位置する外部フィデューシャルマーカの画像、好ましくは、XYZ空間内の位置が手術空間の3つの次元を識別するのに十分な少なくとも3つのフィデューシャルマーカ、より好ましくは4つまたは5つのフィデューシャルマーカの画像を含む、請求項14から17に記載の方法。
【請求項19】
ステップc)が、
前記CT画像から、前記門脈を含む目的の門脈ボリュームを抽出するサブステップと、
前記PET画像から、前記腹部内の前記GLP-1r密度の指標を定量化する受容体密度マップを取得するサブステップと、
前記受容体密度マップおよび前記目的の門脈ボリュームから、前記目的の門脈ボリューム内の前記GLP-1r密度を定量化する3D画像を取得するサブステップと、
前記3D画像を第2の目的のボリュームの中心線に沿って投影することによって、前記門脈に沿った前記GLP-1r密度の前記定量的密度の2D分布を取得するサブステップと
を含む、
請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記2D分布が前記しきい値未満であるより低いGLP-1rを有する前記領域が、欠陥のある門脈センサである、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記メインフレームが、前記CT画像から、胃静脈、十二指腸膵静脈、および脾静脈の位置である静脈分岐位置を抽出するステップと、第1のコンピューティングシステムが、MDが外科処置で前記対象をさらに処理するという決定を行うのを支援するために前記静脈分岐位置に沿って前記2D分布を表示するステップを実施するように、静脈分岐位置および前記2D分布を、糖尿病専門医または内分泌科医などの前記MDの第1のコンピューティングシステムに転送するステップとを実行するように構成された、請求項14から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記メインフレームが、前記標的解決策を腹部外科医/部門の第3のコンピューティングシステムに転送するステップを実行するように構成された、請求項14から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
腹部外科部門が前記メインフレームに接続され、前記腹部外科部門が、
i)GLP-1rの発現をアップレギュレーションする少なくとも1つの生物活性分子を提供するステップと、
ii)前記少なくとも1つの生物活性分子を、前記メッシュとして識別された前記門脈の欠陥のある門脈センサに局所的に投与するステップと
を実行するように構成された、
請求項14から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
第3のポイントオブケア、好ましくは腹部外科医/部門が、前記標的解決策から、前記空間CT参照内の前記3Dメッシュによって表される領域にアクセスするための外科処置を取得することによって、カスタマイズされた標的解決策を決定するステップを実行するように構成された、請求項14から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記外科処置が、腹腔鏡検査、放射線医学的解決策、または内視鏡的解決策、またはこれらの組合せを含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の目的は、合理化されたクラウドベースのワークフローにおいて、(i)定量的核医学イメージングによって取得された必要のある患者におけるペプチド性受容体の発現を包括的に提示すること、(ii)腹腔鏡手術のガイダンスにおいて外科医を支援するのに適した低発現受容体領域に基づいて標的を計算すること、および(iii)ペプチド性受容体の密度を局所的に増加させることを目的とした治療の進行を追跡することである。本発明は、一方では参照MDソフトウェアと、他方では人間の外科的処置に適した標的コンピュータと対話する、合理化されたクラウドベースのソフトウェアスイートの設計につながる。クラウドベースのソフトウェアスイートは、PACSコンピュータからの照会および検索によって供給されるものなどの核医学的資産を組み込むこともできる。
【背景技術】
【0002】
概要
本発明は、糖尿病専門医または内分泌科医MDなどの非核医学専門家が受容体密度を示す核医学的定量的データから関連情報を抽出するのに適したクラウドベースのツールに関する。この情報は、分子ベースの誘導手術の妥当性を判断するこれらの専門家にとって有用なサポートとなり得るような形において提示することができる。本発明はまた、解剖学的画像と統合された定量的データを、手術室の標的コンピュータに適した意味のある情報に変換する。
【0003】
分子イメージングにおける進歩(Vaz、Oliveira、Herrmann、およびVeit-Haibach、2020)は、核医学スキャナにおける並行する反復的な改良(Vandenberghe、Moskal、およびKarp、2020)とともに、医学界に、所与の受容体の密度に関する重要な情報をミリメートル単位の精度で提供した。これらの情報は、外科的な腫瘍除去中の精度を改善するために腫瘍学の分野において主に使用されているが、これらの複雑なデータを取り扱うことにおける制限のため、画像ターゲット手術の十分な潜在能力は、使用されてない。さらに、部分的な腫瘍切除の結果としての潜在的なリスクの範囲内で、最小限の切除に明確な魅力はない(Zaccagnaら、2021)。それどころか、限られた治療指数を有する分子の有害な副作用を軽減するために、薬物送達のための改善された空間的精度が熱心に求められている。セラノスティックパラダイム(theranostic paradigm)は、1つの成功した試みであるが、細胞破壊を目的とする治療に限定される(HapuarachchigeおよびArtemov、2020)。
【0004】
これまで、非照射標的薬物送達の大部分は、全身への分布を抑制するために、血管床におけるナノシステムの局所的投与を使用する、活性分子のナノ粒子埋め込みを使用して達成されてきた(PaulおよびSharma、2020)。この解決策は、肝臓または心室などの高灌流臓器内に所与の分子を集中させるために、動脈樹の利点を利用する。残念ながら、機能不全の相対物と同一の血管形成特性を共有する機能的構造物には適していない。これらの症例は、優先的に低侵襲の外科的処置中の薬物の直接投与を必要とする。治療を必要とする機能的または解剖学的構造物のサイズは、アクティブなステントデバイスの動脈配置の際、そのようなデバイスの配置の際などに、画像ベースのガイダンスの強制使用を必要とする(CapodannoおよびMonte、2020)。
【0005】
糖尿病の分野における利用
グルコース恒常性は、特に食後、血流におけるグルコースの実際の到着前に、将来の血糖値の潜在的な変化の知識を必要とする。そのような目標は、グルコースが肝臓を通過する前のグルコースの到着の早期検出と、最終的に膵臓のインスリン分泌を制御するこの情報の脳への送達とによって達成された(Soty、Gautier-Stein、Rajas、およびMithieux、2017)。この方式は、食後のグルコース到着を正確に検出することができなくなる門脈センサの鈍化によって、T2D患者では変更される(Duca、Waise、Peppler、およびLam、2021)。このグルコースの検出は、門脈センサの長さに沿ったGLP-1受容体の機能的密度を必要とした(Burcelin、Da Costa、Drucker、およびThorens、2001)。T2D患者は、より大きいインスリン抵抗性の結果として、門脈レベルにおけるGLP-1rの発現の減少を示した(Malbert、Chauvin、Horowitz、およびJones、2020b)。1つの解決策は、欠陥のある門脈センサの正確な位置における、GLP-1r密度を高めることを目的とした標的薬剤の局所的送達に関する。しかしながら、門脈センサは、短い長さの範囲内に延在しているので、核医療ベースの画像セットによって提供されるものなどの追加の手がかりなしでは、そのような送達を達成することは不可能である(Malbert、Chauvin、Horowitz、およびJones、2020b)。残念ながら、これらの核医学データから、GLP-1r密度を高めることができる薬剤の実際の沈着への置き換えは、複雑であり、これらの複雑さを考慮すると、ごく少数の研究機関でしか達成できない。本発明の目的は、まさに、GLP-1r密度のイメージングと門脈センサレベルにおける治療用分子の標的送達との間のこのギャップを埋めることである。
【0006】
低密度受容体ベースの標的手術の限界
臨床診療における機能的イメージング
現在の臨床診療は、糖尿病患者を撮像するために、反対側の動脈、心臓およびその関連する自律神経障害、腎臓、および下肢などの、糖尿病合併症の主要な臓器を評価することを目的としたツールを主に使用する(Yang、Zhang、Wang、Hong、およびLiu、2019)。注目すべきことに、これらのイメージング手法の大部分は、糖尿病に特異的ではない。それどころか、そのいくつかが、例えば膵島炎を撮像する際に非常に説得力のあるものである、いくつかの試みにもかかわらず、分子イメージングは、糖尿病学会において依然として初期段階にある(RastogiおよびJain、2016)。これは、結果として、どのような種類のイメージングが適しているかについての知識の全体的な不足を生じ、最終的には、イメージング処方自体における大きい不確実性を生じる(Placidoら、2017)。逆に、めったに使用されないので、核医学部門は、糖尿病の病態生理学に関連するPETイメージングの経験がない。さらに、糖尿病専門医は、イメージング試験の複雑な結果を解釈するための現在のスキルも適切なツールも持っていない。最後に、核医学検査の全体的なコストは、定量的なインスリン-グルコース恒常性測定に基づく適切な検査を受けるのに適した患者の正確な識別を必要としており、臨床診療において現在利用できなかったツールおよび処理であった(Gordon、Elliott、Joshi、Williams、およびVela、2020)。
【0007】
受容体密度にアクセスする
現在の核医学診療において、パーキンソン症候群(Grabher、2019)または研究プロトコルにおけるDarScanの顕著な例外を除いて、受容体密度メトリックへのアクセスは、一般的ではない。第1の場合において、これは、使いやすい専用ソフトウェアDatQuantの利用可能性によって可能になった(Brogley、2019)。ドーパミントランスポータに特有の例を除けば、受容体密度の定量的測定は、コンパートメント解析またはスペクトル解析を伴う困難な計算を必要とする(Innisら、2007)。これらの解析は、受容体イメージングの唯一の用途が、内分泌腺腫瘍の外科的切除を容易にすること、すなわち、高い受容体発現を示す構造物を標的とすることであるので、従来、臨床の現場では実行されない。そのような構造物の放射線放出における大幅な増加は、現在、腹腔鏡用鉗子の先端に保持された小型放射能検出器を使用して容易に達成することができる(PashazadehおよびFriebe、2020)。それどころか、本発明者らは、手持ちの放射線プローブによって直接追跡することができない低受容体密度構造物を標的としている。したがって、本特許出願は、従来のPETイメージングを使用して識別された低密度受容体構造体の手術前に構築された3Dコンピュータ表現の追跡について説明する。現在、臓器または標的方法にかかわらず、ハイブリッドの解剖学的/分子的マッピングに基づく腹腔鏡標的のための合理化された解決策は、存在しない。外科用器具の追跡は、包括的な外科的ランドスケープガイダンスシステムによる外科的ワークフローの改善に向けた重要なステップであるが、そのようなシステムは、まだその初期段階にある(Hartwigら、2020)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、必要のある対象におけるインスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のためのシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、必要のある対象における2型糖尿病、インスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のためのシステムであって、以下のステップ、
a)第1のポイントオブケアにおけるMDによる対象の診察中に作成された対象プロファイルを受信するステップであって、対象プロファイルが、対象の治療および経過観察に有用なデータを含む、ステップと、
b)対象に関連する画像のセットを受信するステップであって、画像のセットが第2のポイントオブケアにおいて取得されており、画像のセットが、対象の膵臓領域および門脈を含む対象の腹部の3Dコンピュータ断層撮影(CT)画像と、放射標識GLP-1rリガンドの静脈内注射後の腹部の動的3Dポジトロン放射断層撮影(PET)画像のセットとを含み、PET画像が腹部におけるGLP-1rのポジトロンイメージングを含み、放射標識リガンドがGLP-1rに結合している、ステップと、
c)門脈に沿ったGLP-1rの定量的密度の2D分布を取得するためにPET画像とCT画像とを処理するステップと、
d)門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する領域を識別するステップであって、その領域については、2D分布の値が所与のしきい値未満であり、かつ2D分布が参照値以下であり、しきい値が門脈に沿ったGLP-1rの分布に基づく、ステップと
を実行するように構成されたメインフレームを備えるシステムに関する。
【0010】
本発明のシステムは、単独でまたは技術的に可能な任意の組合せで以下の特徴によって有利に完成される。
メインフレームは、以下のステップ、
e)CT画像および2D分布から、門脈(PV)を表す第1のメッシュ(PV')を決定するステップと、
f)CT画像およびしきい値から、門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する領域を識別する第2のメッシュ(DPS')を決定するステップであって、しきい値がCT画像に適用される、ステップと、
g)第1のメッシュおよび第2のメッシュから、最終的な3Dメッシュ(FM)を決定するステップであって、第2のメッシュが第1のメッシュの内側にある、ステップと
を実行するように構成される。
メインフレームは、
h)最終的な3Dメッシュと3D CT画像とを組み合わせることによって、標的解決策(targeting solution)を決定するステップであって、3D CT画像が、外部から適用されたフィデューシャルマークに対応するいくつかのマーカを含み、標的解決策が、しきい値に対する位置に応じて門脈に沿ったGLP-1rの密度でコード化された門脈の3Dメッシュを含む3Dボリュメトリックレンダリングを含む、ステップ
を実行するように構成される。
しきい値は、門脈に沿ったGLP-1rの定量的密度の2D分布全体の平均-2*SEである。
CT画像および3Dボリュメトリックレンダリングは、対象の皮膚上に位置する外部フィデューシャルマーカの画像、好ましくは、XYZ空間内の位置が手術空間の3つの次元を識別するのに十分な少なくとも3つのフィデューシャルマーカ、より好ましくは4つまたは5つのフィデューシャルマーカの画像を含む。
ステップc)は、CT画像から、門脈を含む目的の門脈ボリュームを抽出するサブステップと、PET画像から、腹部内のGLP-1r密度の指標を定量化する受容体密度マップを取得するサブステップと、受容体密度マップおよび目的の門脈ボリュームから、目的の門脈ボリューム内のGLP-1r密度を定量化する3D画像を取得するサブステップと、3D画像を第2の目的のボリュームの中心線に沿って投影することによって、門脈に沿ったGLP-1r密度の定量的密度の2D分布を取得するサブステップとを含む。
2D分布がしきい値未満であるより低いGLP-1rを有する領域は、治療すべき欠陥のある門脈センサである。
メインフレームは、CT画像から、胃静脈、十二指腸膵静脈、および脾静脈の位置である静脈分岐位置を抽出するステップと、第1のコンピューティングシステムが、MDが外科処置で対象をさらに処理するという決定を行うのを支援するために静脈分岐位置に沿って2D分布を表示するステップを実施するように、静脈分岐位置および2D分布を、糖尿病専門医または内分泌科医などのMDの第1のコンピューティングシステムに転送するステップとを実行するように構成される。
メインフレームは、標的解決策を腹部外科医/部門の第3のコンピューティングシステムに転送するステップを実行するように構成される。
システムは、メインフレームに接続された腹部外科部門を備え、腹部外科部門は、
i)GLP-1rの発現をアップレギュレーションする少なくとも1つの生物活性分子を提供するステップと、
ii)前記少なくとも1つの生物活性分子を、メッシュとして識別された門脈の欠陥のある門脈センサに局所的に投与するステップと
を実行するように構成される。
システムは、第3のポイントオブケア、好ましくは腹部外科医/部門を備え、第3のポイントオブケアは、標的解決策から、空間CT参照内の3Dメッシュによって表される領域にアクセスするための外科処置を取得することによって、カスタマイズされた標的解決策を決定するステップを実行するように構成される。
外科処置は、腹腔鏡検査、放射線医学的解決策、または内視鏡的解決策、またはこれらの組合せを含む。
システムは、糖尿病専門医または内分泌科医などのMDによってアクセスされるように構成された第1のコンピュータシステムと、核医学の専門家によってアクセスされるように構成された第2のコンピュータシステムと、腹部外科医/部門によってアクセスされる少なくとも1つの第3のコンピュータとを備え、第1、第2、および第3のコンピュータは、セキュアなリンクによってメインフレームに接続される。
【0011】
第2の態様によれば、本発明は、必要のある対象における2型糖尿病、インスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のための方法であって、メインフレームが、以下のステップ、
a)第1のポイントオブケアにおけるMDによる対象の診察中に作成された対象プロファイルを受信するステップであって、対象プロファイルが、対象の治療および経過観察に有用なデータを含む、ステップと、
b)対象に関連する画像のセットを受信するステップであって、画像のセットが第2のポイントオブケアにおいて取得されており、画像のセットが、対象の膵臓領域および門脈を含む対象の腹部の3Dコンピュータ断層撮影(CT)画像と、放射標識GLP-1rリガンドの静脈内注射後の腹部の動的3Dポジトロン放射断層撮影(PET)画像のセットとを含み、PET画像が腹部におけるGLP-1rのポジトロンイメージングを含む、ステップと、
c)門脈に沿ったGLP-1rの定量的密度の2D分布を取得するためにPET画像とCT画像とを処理するステップと、
d)門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する領域を識別するステップであって、その領域については、2D分布の値が所与のしきい値未満であり、かつ2D分布が参照値以下であり、しきい値が門脈に沿ったGLP-1rの分布に基づく、ステップと
を実行するように構成された、方法に関する。
【0012】
本発明の方法は、単独でまたは技術的に可能な任意の組合せで以下の特徴によって有利に完成される。
メインフレームは、以下のステップ、
e)CT画像および2D分布から、門脈(PV)を表す第1のメッシュ(PV')を決定するステップと、
f)CT画像およびしきい値から、門脈に沿ったより低いGLP-1rを有する領域を識別する第2のメッシュ(DPS')を決定するステップであって、しきい値がCT画像に適用される、ステップと、
g)第1のメッシュおよび第2のメッシュから、最終的な3Dメッシュ(FM)を決定するステップであって、第2のメッシュが第1のメッシュの内側にある、ステップと
を実行するように構成される。
メインフレームは、
h)最終的な3Dメッシュと3D CT画像とを組み合わせることによって、標的解決策を決定するステップであって、3D CT画像が、外部から適用されたフィデューシャルマークに対応するいくつかのマーカを含み、標的解決策が、しきい値に対する位置に応じて門脈に沿ったGLP-1rの密度でコード化された門脈の3Dメッシュを含む3Dボリュメトリックレンダリングを含む、ステップ
を実行するように構成される。
しきい値は、門脈に沿ったGLP-1rの定量的密度の2D分布全体の平均-2*SEである。
CT画像および3Dボリュメトリックレンダリングは、対象の皮膚上に位置する外部フィデューシャルマーカの画像、好ましくは、XYZ空間内の位置が手術空間の3つの次元を識別するのに十分な少なくとも3つのフィデューシャルマーカ、より好ましくは4つまたは5つのフィデューシャルマーカの画像を含む。
ステップc)は、CT画像から、門脈を含む目的の門脈ボリュームを抽出するサブステップと、PET画像から、腹部内のGLP-1r密度の指標を定量化する受容体密度マップを取得するサブステップと、受容体密度マップおよび目的の門脈ボリュームから、目的の門脈ボリューム内のGLP-1r密度を定量化する3D画像を取得するサブステップと、3D画像を第2の目的のボリュームの中心線に沿って投影することによって、門脈に沿ったGLP-1r密度の定量的密度の2D分布を取得するサブステップとを含む。
2D分布がしきい値未満であるより低いGLP-1rを有する領域は、欠陥のある門脈センサである。
メインフレームは、CT画像から、胃静脈、十二指腸膵静脈、および脾静脈の位置である静脈分岐位置を抽出するステップと、第1のコンピューティングシステムが、MDが外科処置で対象をさらに処理するという決定を行うのを支援するために静脈分岐位置に沿って2D分布を表示するステップを実施するように、静脈分岐位置および2D分布を、糖尿病専門医または内分泌科医などのMDの第1のコンピューティングシステムに転送するステップとを実行するように構成される。
メインフレームは、標的解決策を腹部外科医/部門の第3のコンピューティングシステムに転送するステップを実行するように構成される。
腹部外科部門がメインフレームに接続され、腹部外科部門は、
i)GLP-1rの発現をアップレギュレーションする少なくとも1つの生物活性分子を提供するステップと、
ii)前記少なくとも1つの生物活性分子を、メッシュとして識別された門脈の欠陥のある門脈センサに局所的に投与するステップと
を実行するように構成される。
第3のポイントオブケア、好ましくは腹部外科医/部門が、標的解決策から、空間CT参照内の3Dメッシュによって表される領域にアクセスするための外科処置を取得することによって、カスタマイズされた標的解決策を決定するステップを実行するように構成される。
外科処置は、腹腔鏡検査、放射線医学的解決策、または内視鏡的解決策、またはこれらの組合せを含む。
【0013】
標的解決策は、しきい値に対する位置に応じて門脈に沿ったGLP-1rの密度でコード化された門脈の3Dメッシュを含む3Dボリュメトリックレンダリングを取得するために、CT画像で参照される外部から適用されたフィデューシャルマークとともに、しきい値とGLP-1r密度のバイナリ化されたバージョンとを組み合わせた。
【0014】
本発明のワークフローは、好ましくは、患者の初期の病理学的状態から最終的な治癒に向かう患者の経過観察を提供するように設計される。これは、特に、門脈受容体密度の核医学イメージングを含む様々な検査に基づいて現在の患者の状態を示す糖尿病専門医/内分泌科医専用のソフトウェアインターフェースを使用して達成される。このソフトウェアインターフェースは、見かけ上、クラウドベースの評価および標的プロセッサとデータを交換する。このプロセッサは、外科処置中に使用されるべき標的装置への標的解決策のアップロード後に、腹腔鏡外科医に標的解決策を提供する。処置は、門脈系内のペプチド性受容体のより低い発現によって定義される正確な位置において、ペプチド性受容体の発現を高めるのに適した所与の化合物の徐放性ペレットを挿入するのに適した外科用器具の先端または他の徐放性医薬品形態を挿入するために使用される。
【0015】
本発明は、好ましくは、同じペプチド作動薬部分を共有するが、放射線同位体自体と受容体固有の部分との間の異なるリンカー分子を有するいくつかの放射性リガンドを収容するように設計され、その結果、受容体を発現する腹部臓器、すなわち、例えば大量のGLP-1rを発現する膵臓および十二指腸に対して異なる薬物動態特性を生じる。これは、門脈を中心とした複雑でありながら堅牢な高密度から低密度までのメッシュ再構成によって達成される。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明において現れる。本発明の実施形態について、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による、必要のある対象/患者における2型糖尿病、インスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のための方法を実装するためのアーキテクチャを示す図である。
図2図1に示すアーキテクチャにおいて実装された本発明の実施形態による、必要のある対象におけるインスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のための方法のステップを示す図である。
図3図1に示すアーキテクチャの前処理ユニットによって実装される核画像の処理に関連するステップを示す図である。
図4】しきい値処理を計算するための門脈の手がかりの必要性を示す、放射性リガンドの分子構造の重要性と、GLP-1rの膵臓への結合には影響するが、門脈への結合には影響しないこととを示す図である。
図5】患者の状態に応じた門脈(横軸)に沿ったGLP-1r密度(Vs(mL/cc m))の2つの典型的な例、痩せ型インスリン感受性および2型糖尿病を示す図である。
図6】外科処置中に標的コンピュータによって特に使用される門脈の高密度メッシュと低密度メッシュとを計算するためのステップを示す図である。
図7】リアルタイム3Dナビゲーションを使用してナビゲーションされる腹腔鏡ツールの、ここでは光学トラッキングを使用する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、必要のある対象/患者におけるインスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のための方法を実装するためのアーキテクチャを示す。この方法は、糖尿病専門医または内分泌科医DIA/END1、核医学医(nuclear physician)NUCL3、および腹部外科医、介入放射線科医、または消化器内科医などのMDが関与し、外科医SURG11という用語が以下で使用される。このアーキテクチャは、非核医学専門家、すなわち糖尿病専門医または内分泌科医MDが、受容体密度を示す定量的データを通じて核医学から関連情報を取得するのに適したツールを有することを可能にする。また、対象を、手術室において外科医とのライブ対話に適したコンピュータ断層撮影(CT)画像に重ね合わされた作業可能なメッシュに変換する。
【0019】
この図示されたアーキテクチャは、患者の初期の病理学的状態から最終的な治癒に向かう患者の経過観察を提供するように設計されたメインフレームA、好ましくは遠隔のセキュリティ保護されたメインフレームAを中心とする。メインフレームAは、特に、データを処理するように構成され、1つまたは複数の専用プロセッサと1つまたは複数のデータベースとを備える。
【0020】
方法は、必要のある患者と、メインフレームAに接続された単純化されたインターフェース2を介して患者の詳細を導入する糖尿病専門医1との対話によって開始する。単純化されたインターフェース2は、例えば、コンピューティングシステムである。方法全体の間、必要のある患者のデータは、患者情報が単純化されたインターフェース2に最初に導入されたときにMDによって生成された一意の識別子の下で識別される。
【0021】
したがって、これらの詳細は、コンピューティングシステムなどのインターフェース5、12、15を介して、核医学医NUCL4および外科医SURG11に、好ましくは自動的に利用可能である。このリンクは、核医学医NUCL4が、画像の取得およびPET-CTイメージング(ポジトロン放射断層撮影-CT)のための必要な予約を作成することを可能にする。一実施形態によれば、単純化されたインターフェース2を有するMDは、核医学部門および必要な場合は外科組織への会合場所を直接生成することができる。
【0022】
核医学部門は、好ましくは、PACS DICOM(ピクチャアーカイブ通信システム:Picture Archiving Communication System)通信機能を有する。画像が取得され、核医学医インターフェース5(すなわち、コンピューティングシステム)において、核医学部門のPACSサーバにおいて利用可能にされると、取得された画像は、通信リンク(例えば、インターネットリンク)を通じてメインフレームAに送信される。このようにして、メインフレームAにおいて、生の画像が受信される。
【0023】
メインフレームAは、特に、画像を処理することを目的とする。画像処理は、メインフレームAによって実施されるいくつかのステップを含む。
【0024】
前処理ユニット6は、画像を受信し、生の動的データをさらなる処理に適した受容体密度コード化画像に変換するように構成される。この新たにコード化された画像は、次いで、外科医SURG11が手術中に生体活性分子を移植する必要がある領域を正確に示すために、標的ユニット7に転送される。生の画像と、受容体密度変換画像と、標的データとを含む情報は、包括的なデータベース8内に記憶され、データベース8は、機能ユニット間のJDBCインターフェースを使用する相互運用スキームを有する構造化照会言語(SQL:Structured Query Language)データベースとすることができる。データベース8への新しい完全なデータセットの導入は、患者エンジン10に通知され、患者エンジン10は、処理されたデータに基づいてレポートを書くことができる核医学医との接続を生じさせる。患者エンジン10は、特に、患者データの匿名化とそのフォーマットとを管理するように構成される。
【0025】
これらの処理されたデータは、データベース8に接続された融合ディスプレイユニット9を使用して、核医学医インターフェース5に包括的に提示される。実際、融合ディスプレイユニット9は、核医学医インターフェース5に転送するために、画像データをフォーマットするように構成される。
【0026】
核医学部門から発生し、メインフレームAにおける処理後に核医学部門に戻されるデータは、好ましくは、DICOMにおいてコード化され、リンクも、このタイプの画像のためのよく知られているストレージであるDICOM規格を通じて生成される。
【0027】
完成したデータとともに核医学医からのレポートが到着すると、MD、例えば糖尿病専門医による処置の継続の承認後、CT画像との融合に適した3Dメッシュが、メッシュ表示ユニット13によってメインフレームAにおいて作成される。このメッシュは、他の画像とともに、外科医11がメッシュによって表された目的の領域へのアクセス経路を最適化する能力を有するように、手術室外に配置された外科計画コンピュータ12上で可視化される。外科医11、介入放射線科医、または消化器内科医が、対象の3D仮想表現を使用してアクセス経路を設計すると、メインフレームAは、外科専門医の特殊性に標的を適合させるために、データベース8内に存在するデータをさらに処理する。これは、カスタマイズユニット14によって達成される。したがって、このカスタマイズユニットは、外科医の専門性に依存する。カスタマイズユニットは、手術室におけるライブ標的のために必要な情報を、処置中の外科医の対話を可能にする専用標的デバイス15にアップロードする能力も有する。この専用標的デバイスは、例えば、コンピュータである。
【0028】
実施形態によれば、メインフレームAは、すでに存在して分析されているデータを自己学習のソースとして使用し、データベース8と処理ユニット6、7との間のAIベースの対話を構築するようにも構成される。このプロセスは、データベースと、前処理ユニット6および標的ユニット7との間の対話を通じて例示される。
【0029】
図2は、前述のアーキテクチャにおいて実装された本発明の実施形態による、必要のある対象におけるインスリン抵抗性を治療するおよび/またはグルコース恒常性を回復するためのコンピュータ支援療法のための方法のステップを示す。
【0030】
MD、好ましくは糖尿病専門医または内分泌科医DIA/ENDOは、単純化されたインターフェース2を用いて、患者の詳細を有する患者ファイルを作成する(ステップE1)。この患者/対象ファイルは、必要のある患者の診察中に、好ましくは、インターネットリンクを介した患者匿名化に関する従来の規則を使用して作成される。この患者/対象ファイルは、患者の治療および経過観察に有用な患者のデータのすべてを提供する(ステップE2)。次いで、患者/対象ファイルは、単純化されたインターフェース2からメインフレームAに転送され、単純化されたインターフェース2とデータベース8とをインターフェースする患者エンジン3を通じてデータベース10内に記憶される(ステップE3)。
【0031】
したがって、核医学医4は、メインフレームAを通じて糖尿病専門医1から来る患者の情報のすべてにアクセスできる。同時に、好ましくは、単純化されたインターフェース2内に含まれる核医学の紹介先の好み(referral favorite)に基づいて、患者は、必要なすべての分析プロファイルとともに核医学医4に紹介される(ステップE4)。
【0032】
核部門における核医学医4は、患者の同じ領域の画像を取得する(ステップE5)。
【0033】
核画像は、好ましくは、GLP-1rイメージングのための[68Ga]Ga-NODAGA-Exendin-4などの放射性標識作動薬の静脈内注射後に取得された動的3Dポジトロン放射断層撮影(PET)画像である。
【0034】
CT画像は、門脈と、膵臓の頭部および尾部と、胃と、肝臓とを含む、目的の領域の全体図を示すことを可能にし、核画像は、その同じ領域における受容体密度の定量的指標を示す。
【0035】
核画像(動的PET画像およびCT画像)の取得は、当業者によってよく知られている。
【0036】
それらの取得に続いて、これらの画像は、核医学医インターフェース5を介してメインフレームAに転送され(ステップE6)、核医学医インターフェース5は、PACS DICOM通信能力を有し、その受信器特性は、関係する医師間の通信を構成するための紹介パラメータにおいて提供されている。次いで、画像データは、画像とともにデータベース8内に記憶される(ステップE7)。
【0037】
次いで、事前に記憶され、データベース8から来る画像は、
腹部におけるGLP-1r密度の指標を定量化する受容体密度マップ(Vs)と、
門脈ボリューム内のGLP-1r密度を定量化する3D画像と
を取得するための前処理ステップ(ステップE8)中に前処理ユニット3によって処理される。
【0038】
Vsは、特に、GLP-1rの分布容積、すなわち、t*からLoganプロットへの線形回帰の傾きである(Loganらを参照)。
【0039】
次いで、これらの結果は、患者データベース8内に記憶される(ステップE9)。
【0040】
前処理ユニット3は、前処理ステップ(ステップE8)中、門脈ボリューム内のGLP-1r密度を定量化する3D画像を取得するために、CT画像から来る情報とPET画像から来る情報とを組み合わせる。次いで、この3D画像は、門脈に沿ったGLP-1r密度の定量的密度の2D分布を取得するために処理される(ステップE10)。追加的に、一実施形態によれば、この分布は、しきい値と比較される(しかし、おそらくは、Ga-NODAGA-Exendin4を使用するものではない、一部の放射性リガンドについてのみである)。
【0041】
一実施形態によれば、前処理ステップは、本発明では糖尿病専門医または内分泌科医である非画像専門家に対して表示するのに適した包括的なグラフィカル情報を結果として生じる(ステップE11)。
【0042】
この表示は、特に、患者を関連する専門家に通知および経路付けるために、コンピュータ支援トリアージおよび支援プロセスに基づいて患者の情報を医療ワークフローに送信する糖尿病専門医または内分泌科医に提示される(ステップE12)。
【0043】
一実施形態によれば、前処理ステップ中に得られた結果は、可能であれば、治療デバイスの最適な配置、例えば、GLP-1rの発現がより低い領域の自動的な検出を達成するために、人工知能ネットワーク学習のためのデータベースに記憶される(ステップE14)。
【0044】
2D分布は、しきい値との比較によって、GLP-1r密度の低い領域と高い領域とを識別することを可能にする。特に、2D分布がしきい値未満であるGLP-1rがより低い領域である、欠陥のある門脈センサ(すなわち、GLP-1r発現がより低い領域)が位置特定される。
【0045】
特に、この分布は、しきい値レベルに対する位置に応じて受容体密度の密度で色分けされた門脈のメッシュを含む3D画像で構成された標的解決策を取得することを可能にする(ステップE15)。
【0046】
標的解決策は、有利には、包括的なファイルパッケージにカプセル化され、データベース8内に記憶される(ステップE16)。
【0047】
糖尿病専門医または内分泌科医による処置の継続の承認後、患者は、腹部外科医/部門に紹介される(ステップE17)。
【0048】
これは、糖尿病専門医側の単純化されたインターフェース2内に含まれる紹介先の好みの外科医を使用して達成される。外科医11は、標的解決策への優先アクセスを有するデータベース5において、メインフレームA内に記憶されたすべての情報へのアクセスを有する。これらの情報のすべてを使用して、外科医は、利用可能な標的解決策に基づいて最適な外科処置手法を選択する(ステップE18)。これらは、腹腔鏡的解決策、放射線学的解決策、内視鏡的解決策、またはこれらの組合せを含む。これらの処置の特殊性のため、標的解決策は、手術室において使用される前に、カスタマイズステップにおいて適合される必要がある(ステップE19)。この適合後、カスタマイズされた標的解決策は、好ましくは安全なインターネットチャネルを使用して、人間の介入なしで、標的コンピュータ15に自動的にダウンロードされる(ステップ20)。外科医は、治療デバイスの外科的埋め込みを完了するために、患者マップを用いて適切に構成されると、標的コンピュータ15を使用する(ステップE21)。
【0049】
図3は、前処理ユニット6によって実施される核画像の処理に関連するステップについて説明している。すでに述べたように、これらのステップは、図1で説明したアーキテクチャにおいて実装される方法の一部である。
【0050】
まず、門脈を含むCTボリュームICTが取得される(ステップS1)。このボリュームから、2つの目的のボリュームが定義され(ステップS6およびS7)、第1の目的のボリュームは、膵臓を包み込み(膵臓VOI)、第2の目的のボリュームは、門脈を含む(門脈VOI)。
【0051】
時間を4次元として動的モードにおいて取得され(ステップS2)、GLP-1rのポジトロンイメージング(PET)に由来する3D画像I1 P、I2 P、I3 P、I4 PのセットであるSconeも取得される。好ましい実施形態において、25分間のPET取得の動的フレームシーケンスは、30フレーム(12×10秒、6×30秒、5×20秒、2×300秒)で構成される。
【0052】
このペット画像の4Dセットから、腹部大動脈を定義する目的のボリュームが取得され、動脈入力関数を抽出するために使用される(ステップS3)。入力関数の抽出は、(Roussetら)による部分ボリューム補正も含む。抽出されると、対応する関数は、残りの処理に適した血漿ベースの動脈入力関数に変換される。これは、核画像取得中に離散的な血液サンプリングの後に取得された血漿/血液放射能比を個々の値に乗算することによって達成される。離散的な血液サンプリングがない場合、集団ベースの分布が使用される。
【0053】
腹部のVs結合電位コード化画像IP(ステップS5)は、補正された動脈入力関数(ステップS3)とPET画像のセットとを用いて、2コンパートメントモデリング(ステップS4)を使用して、ボクセル単位で計算される。代替的には、2コンパートメントモデリングに対して、Vs結合電位コード化画像は、Loganプロット(Loganら)を使用して取得される。Vs結合電位画像は、GLP-1rの密度を表す3Dコード化核画像である。
このVs結合電位画像IPは、以前に取得された門脈VOI構築を使用して、門脈I'Pに沿ったGLP-1rの定量的密度を抽出するための最初のステップ(ステップS8)として機能する。
【0054】
好ましくは、門脈VOIによって囲まれた値のピクセルダンプは、例えば、Zの増分ごとに、全体のXおよびYの値のすべてを含む行列形式においてエクスポートされる。XY方向およびZ方向における増分は、ピクセル増分によって定義されるものである。門脈に沿ったVs/結合電位を表す曲線2D-Cは、門脈VOIの中心線に沿ったこの行列の投影(ステップS9)を使用して取得される(ステップS10)。
【0055】
曲線2D-Cは、分布2D-Cとしきい値との比較後に取得される門脈に沿ったGLP-1rの発現がより低い領域を識別するために役立つ。
【0056】
図4に示すように、門脈VOIにおけるVsの値(絶対値である)は、同じ受容体結合部位(例えば、Exendin4)を共有しているにもかかわらず放射性リガンドの分子組成に大きく依存する。
【0057】
図4は、(それ自体が門脈VOIを表す線PVによって強調された)門脈を中心とするPET Vsコード化画像の例を示す。点線PCは、膵臓VOIを強調している。この図は、門脈Vsと膵臓Vsとの間の比が放射性リガンドの化学的性質に依存することを示しており、68Ga-DOTA-Exendinは、膵臓Vsが極端に低い最も極端な例であるが、逆に、68Ga-NODAGA-Exendinは、比較的重要な膵臓Vsを生成する。特に、臨床診療において多数の放射性リガンドが使用される可能性があるので、門脈に対する(S11を使用して得られる)膵臓のVs値の変動は、個人内の平均膵臓Vsから普遍的なしきい値を抽出することを不可能にする。
【0058】
これを克服するために、アルゴリズム方策は、2D-C曲線から意味のあるしきい値を抽出することを可能にする。
【0059】
図5は、2つの例についてしきい値を計算するために使用されるアルゴリズム方策を要約しており、一方の例は、治療の必要のない痩せ型インスリン感受性であり、他方の例は、外科標的解決策の治療的必要性のある2型糖尿病である。
【0060】
2D分布は、2D分布がしきい値未満のGLP-1rがより低い領域である欠陥のある門脈センサ(すなわち、GLP-1r発現がより低い領域)を識別することを可能にする。
【0061】
まず、2D分布は、調査され、Vsの参照値以下のVsの値を含む場合にのみ処理される。この値は、欠陥のある門脈センサを正確に標的とするように選択される。本発明者らは、1に等しいVsの参照値が、この欠陥のある門脈センサを標的とすることを可能にすることを確認した。この参照値は、健康な患者の門脈を除外し、必要性のある患者のみを残すために選択された。
【0062】
特異的に結合した放射性リガンドの濃度(Cs)が、平衡状態(Vs=Cs/Cp、Innisら、2007を参照)において血漿中の放射性リガンドの濃度(Cp)よりも低いことはありそうもないと思われるので、1の参照値が非常に保守的な基準であることに注意しなければならない。痩せ型インスリン感受性と2型糖尿病の門脈Vsプロファイルの例を表す図5は、2つの状態間の差の大きさを示す。
【0063】
2D分布がVsの参照値以下のVsの値を有する値を含むと、門脈断面プロファイル全体について平均値±2*SE(SEは、よく知られている標準誤差である)が計算される。Vsの参照値(図5では1)以下で、かつすべての値の平均値-2SE以下のVsの値は、欠陥のある門脈センサ(図5において枠で囲まれている)を位置特定することを可能にし、残りのプロセスのためのしきい値を表す(平均値は、実線として表されており、2*SE値は、破線として表されている)。断面プロファイルを横切る点は、すべての門脈VOIについてボクセル単位で(上記で計算されたしきい値に基づいて)計算されるので、低発現セグメントと高発現セグメントとの間のカットオフを表していないことに留意されたい。
【0064】
したがって、欠陥のある門脈センサは、Vs値が、
(健康な門脈を除外するための)Vsの参照値以下であり(例えば、1)、
門脈断面プロファイル全体について計算された平均値-2SE以下である
領域である。
【0065】
次いで、しきい値は、低密度または高密度の受容体構造を表すメッシュファイルを作成するために、Vsコード化画像(Ip)にボクセル単位で適用される。そのようなメッシュを構築するプロセスについては、図6で説明されている。門脈VOI PV内に含まれるボクセルは、保存され(ステップF1)、VOI外のボクセルは、ゼロ値でマスクされ、結果として画像Imを生じる。その後、画像Imは、図5における以前に得られた平均値±2SEでしきい値処理される(ステップF2)。このプロセス(ステップF2)は、イソコンタリング(isocountouring)(Leeら、2016による)に基づいており、結果として、欠陥のある門脈センサDPSに対する低密度セグメント作成を表す第2のVOIを生じる。VOIは、その後、Vsコード化画像Ip(図6、右下面)と同じボリュメトリック基準内で、最終的な3DメッシュFMに変換される(ステップF3)。したがって、この最終的な3Dメッシュは、門脈を表すメッシュ(メッシュPV')と、欠陥のある門脈センサを表すメッシュ(メッシュDPS')とを含む。この3Dメッシュは、好ましくは、3Dボリュメトリックレンダリングソフトウェア上に表示するのに適したvtkまたはstl形式において内部記録され、共記載されたCTと重ね合わされ、標的解決策を定義する。最終的なメッシュを含むこの3D表現は、外科医へのアドバイスのために融合コンピュータにエクスポートされ、最終的には、図7に示すように手術室において使用される標的コンピュータにエクスポートされる。
【0066】
最終的な3DメッシュFMは、有利には、いくつかのマーカ(図7において、M1、M2、M3で示す)を含む3Dボリュメトリックレンダリング3D-VOL上に表示される。最終的な3Dメッシュは、3Dボリュメトリックレンダリング3D-volとともに、標的解決策を定義する。
【0067】
マーカは、患者の皮膚上に位置する外部フィデューシャルマーカに対応し、CT画像取得中に取得される。これらのマーカは、外科ナビゲーションを実行するために必須である。少なくとも3つのマーカが必要であるが、精度を改善するために、好ましくは4つまたは5つのマーカが使用される。
【0068】
CTスキャン用のマーカは、患者の皮膚に接着されたプラスチックコインであり、例えば、直径1mmの小さいボールベアリング構成要素を組み込んでいる。このマーカの位置はまた、CTスキャンの終了時にプラスチックコインが取り外される際にそれを識別することができるように、外科グレードのペンを使用して患者の皮膚上にピンポイントで示される。これらのマーカは、メッシュ描写のために使用されるもの、および患者の皮膚上に位置し、CTスキャンと直視との両方で可視である外部フィデューシャルマーカの位置づけのために使用されるものと同じ3次元的参照を有する。これらのマーカの位置は、図7に従って、仮想表現3D-VOLを手術室内の実際の(患者の)空間的空間と共参照させるように、患者におけるそれらの実際の位置と、3D-VOL内のそれらの相対位置との間で対応付けられる。
【0069】
図7は、3D光学ナビゲーションシステム(L1)を使用する患者空間内の外科的リアルタイムツールナビゲーションの一例も表す。代替システム、例えば、電磁ナビゲーションシステムも同様に使用され得るので、このナビゲーションシステムは、単に例として提示されている。
【0070】
患者空間とCT/メッシュ空間との間の最初の共同登録は、一方ではナビゲートツール(L2)と、3D-VOL上に存在する仮想マーカ(M1、M2、M3)とを使用して、両方の空間においてマーカの各々をピンポイントで示すことによって達成される。これらの点が両方の空間において特定されると、外科用コンピュータによって(光学的に取得された信号に連続的に適用される計算された第3の3Dマトリックスを介した2つの3Dマトリックスの対応付けのために)剛体変換が実行され、結果として、単一の空間、すなわち患者空間における実際の追跡をもたらす。これらのステップを達成するために、3D光学ローカライザ(L1)は、ユニークな設計で、腹腔カニューレを介して挿入するのに適した外科用ローカライザ(L2)に取り付けられた3Dフレーム(L3)を連続的に追跡する。3Dカメラローカライザによるこの3Dフレーム(L3)の検出は、外科用ローカライザ(L2)の位置を外科用コンピュータに供給する。光学ローカライザに対する手術台(L4およびその上に横たわる患者)の相対運動は、台に直接取り付けられた第3のローカライザ(参照、L5)を使用してキャンセルされるので、外科用コンピュータは、参照ローカライザと外科用ローカライザとの両方を連続的に追跡する。両方のローカライザの位置間の永続的な差分計算(L3-L5)は、アーティファクトのない移動台を可能にする。
【0071】
(参考文献)
【符号の説明】
【0072】
1 糖尿病専門医または内分泌科医DIA/END、糖尿病専門医
2 単純化されたインターフェース
3 核医学医NUCL、患者エンジン、前処理ユニット
4 核医学医、核医学医NUCL
5 インターフェース、核医学医インターフェース、データベース
6 前処理ユニット、処理ユニット
7 標的ユニット、処理ユニット
8 データベース、患者データベース
9 融合ディスプレイユニット
10 患者エンジン、データベース
11 外科医SURG、外科医
12 インターフェース、外科計画コンピュータ
13 メッシュ表示ユニット
14 カスタマイズユニット
15 インターフェース、専用標的デバイス、標的コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】