(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-03
(54)【発明の名称】大容量水素貯蔵デバイスを含む水素駆動発電機のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20250926BHJP
C01B 3/00 20060101ALI20250926BHJP
H01M 8/065 20160101ALI20250926BHJP
【FI】
H01M8/04 J
C01B3/00 B
H01M8/065
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025519083
(86)(22)【出願日】2023-09-28
(85)【翻訳文提出日】2025-04-23
(86)【国際出願番号】 US2023075458
(87)【国際公開番号】W WO2024076869
(87)【国際公開日】2024-04-11
(32)【優先日】2022-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524335073
【氏名又は名称】プロメテウス・エナジー・グループ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】ケルネネ,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4G140
5H127
【Fターム(参考)】
4G140AA12
4G140AA14
4G140AA43
5H127AB14
5H127BA02
5H127BA23
5H127BB02
5H127EE13
(57)【要約】
水素駆動発電機が、少なくとも1つの燃料電池と、少なくとも1つの燃料電池から生の電力を受け取って変換電力を出力する電力変換装置と、少なくとも1つの燃料電池に水素を供給する水素貯蔵組立体と、を含む。1つの事例では、水素貯蔵組立体は、第1の水素貯蔵ユニットおよび第2の水素貯蔵ユニットを備え、そのそれぞれは、水素ガスを吸収しかつ放出する金属合金材料を収容するトーラスを備える。別の事例では、水素貯蔵組立体は、第1の水素貯蔵ユニットおよび第2の水素貯蔵ユニットを備え、そのそれぞれは、外側シリンダと、内側シリンダと、内側シリンダに取り付けられた頂部フランジと、内側シリンダに取り付けられた底部フランジと、によって画定された貯蔵容積部を備え、貯蔵容積部は、水素ガスを吸収しかつ放出する金属合金材料を収容するように構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料電池と、
前記少なくとも1つの燃料電池から生の電力を受け取って変換電力を出力する電力変換装置と、
前記少なくとも1つの燃料電池に水素を供給する水素貯蔵組立体であって、前記少なくとも1つの燃料電池と流体連通する第1の水素貯蔵ユニット、および、前記少なくとも1つの燃料電池と流体連通する第2の水素貯蔵ユニットを備え、前記第1の水素貯蔵ユニットおよび第2の水素貯蔵ユニットのそれぞれが、水素ガスを吸収しかつ放出する金属合金材料を収容するトーラスを備える、水素貯蔵組立体と、
を具備する、水素駆動発電機。
【請求項2】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットが、それぞれ、ある高さおよび直径を有して形状が円筒形であり、前記直径が、前記高さの少なくとも1.5倍である、請求項1に記載の水素駆動発電機。
【請求項3】
基部、頂部、および少なくとも1つの側壁を有するハウジングをさらに備え、前記少なくとも1つの側壁が、前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットの前記円筒形の形状に対応するように曲げられる、請求項2に記載の水素駆動発電機。
【請求項4】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットが、それぞれ、内側容積部を備え、前記トーラスの内部の前記金属合金材料が、前記内側容積部の50%から85%を満たす、請求項1に記載の水素駆動発電機。
【請求項5】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットの前記トーラスが、可撓性材料を含む、請求項1に記載の水素駆動発電機。
【請求項6】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットの前記トーラスが、内側の多孔性壁、および外側の全体的に平坦な壁を備える、請求項1に記載の水素駆動発電機。
【請求項7】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットが、それぞれ、前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットに水素を注入しかつ前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットから水素を放出するためのカプラを有する、請求項1に記載の水素駆動発電機。
【請求項8】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットのそれぞれの前記カプラの内部に配置された振動デバイスをさらに備える、請求項7に記載の水素駆動発電機。
【請求項9】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットが、それぞれ、前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットの対向する端部に入口カプラおよび出口カプラを備え、前記入口カプラが、水素充填ポートに接続され、前記出口カプラが、前記少なくとも1つの燃料電池に接続される、請求項1に記載の水素駆動発電機。
【請求項10】
前記水素貯蔵組立体が、250キロワット時から2メガワット時の間のエネルギーを出力するのに十分な量の水素を貯蔵する、請求項1に記載の水素駆動発電機。
【請求項11】
少なくとも1つの燃料電池と、
前記少なくとも1つの燃料電池から生の電力を受け取って変換電力を出力する電力変換装置と、
前記少なくとも1つの燃料電池に水素を供給する水素貯蔵組立体であって、前記少なくとも1つの燃料電池と流体連通する第1の水素貯蔵ユニット、および、前記少なくとも1つの燃料電池と流体連通する第2の水素貯蔵ユニットを備え、前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットのそれぞれが、外側円筒形容器と、内側シリンダと、前記内側シリンダに取り付けられた頂部フランジと、前記内側シリンダに取り付けられた底部フランジと、によって画定された貯蔵容積部を備え、前記貯蔵容積部が、水素ガスを吸収しかつ放出する金属合金材料を収容するように構成される、水素貯蔵組立体と、
を具備する、水素駆動発電機。
【請求項12】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットが、それぞれ、ある高さおよび直径を有して形状が円筒形であり、前記直径が、前記高さの少なくとも1.5倍である、請求項11に記載の水素駆動発電機。
【請求項13】
基部、頂部、および少なくとも1つの側壁を有するハウジングをさらに備え、前記少なくとも1つの側壁が、前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットの前記円筒形の形状に対応するように曲げられる、請求項12に記載の水素駆動発電機。
【請求項14】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットのそれぞれに対して、前記金属合金材料が、前記貯蔵容積部の50%から85%を満たす、請求項11に記載の水素駆動発電機。
【請求項15】
前記頂部フランジおよび前記底部フランジが、前記水素ガスが通過するベントを備える、請求項11に記載の水素駆動発電機。
【請求項16】
前記内側シリンダの外側表面が、溝を付けられ、前記外側円筒形容器の内側表面が、溝を付けられる、請求項11に記載の水素駆動発電機。
【請求項17】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットが、それぞれ、前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットに水素を注入しかつ前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットから水素を放出するためのカプラを有する、請求項11に記載の水素駆動発電機。
【請求項18】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットのそれぞれの前記カプラの内部に配置された振動デバイスをさらに備える、請求項17に記載の水素駆動発電機。
【請求項19】
前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットが、それぞれ、前記第1の水素貯蔵ユニットおよび前記第2の水素貯蔵ユニットの対向する端部に入口カプラおよび出口カプラを備え、前記入口カプラが、水素充填ポートに接続され、前記出口カプラが、前記少なくとも1つの燃料電池に接続される、請求項11に記載の水素駆動発電機。
【請求項20】
前記水素貯蔵組立体が、250キロワット時から2メガワット時の間のエネルギーを出力するのに十分な量の水素を貯蔵する、請求項11に記載の水素駆動発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
[0001]本出願は、2022年10月3日に出願された米国仮特許出願第63/378,125号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本技術の実施形態は一般に、電力変換装置、少なくとも1つの燃料電池、および水素貯蔵組立体を備える発電機に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]水素は、化石燃料に対する代替燃料源として、重要な研究対象である。水素は、(i)多種多様なエネルギー源から生成され得る、(ii)高い重量当たりエネルギー含量(energy content by weight)(ガソリンの約3倍超)を有する、および、(iii)ゼロカーボン排出フットプリントを有する-水素燃焼の副産物は酸素と水である-という理由で、魅力的である。
【0004】
[0004]しかし、水素は、かなりの大きさの空間を占めることなしに大量に貯蔵することを難しくする物理的特性を有する。水素の高い重量当たりエネルギー含量にもかかわらず、水素は、低い体積当たりエネルギー含量(energy content by volume)を有する。例えば、これは、特に車両のサイズおよび重量の制約の範囲内で、水素を貯蔵することを難しくする。別の大きな支障は、水素の着火性、およびそれに付随する安全貯蔵である。
【0005】
[0005]圧縮水素ガスおよび/または低温液体水素貯蔵を含む、高圧タンクに向けられた、知られている水素貯蔵技術は、爆発の危険性がなおも存在するので、欠点を有する。これらの手法は、重い加圧容器を必要とし、また、商用化の可能性を損なう高エネルギー入力特徴を必要とする。
【0006】
[0006]金属合金水素貯蔵(metal alloy hydrogen storage)は、水素の吸収および放出が可能な材料に基づくものである。金属合金水素貯蔵は、高い体積当たりエネルギー含量を実現し、爆発の危険性を低下させ、かつ、高圧タンクおよび絶縁デバイスの必要性を排除する。金属合金を使用する水素貯蔵デバイスの例は、Kerneneへの米国特許第9,841,147号で説明されている。
【0007】
[0007]水素の利点を活用することは、エネルギー源としての水素のより広い使用を促進するシステムを必要とする。水素によって駆動される可搬式発電機は、エネルギー源としての水素のより広い使用を促進することができるシステムの1つのタイプを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第9,841,147号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0008]本開示は一般に、水素ガスによって駆動される発電機を対象とする。1つの例示的な実施形態では、水素駆動発電機は、少なくとも1つの燃料電池と、少なくとも1つの燃料電池から生の電力を受け取って変換電力を出力する電力変換装置と、少なくとも1つの燃料電池に水素を供給する水素貯蔵組立体であって、少なくとも1つの燃料電池と流体連通する第1の水素貯蔵ユニット、および、少なくとも1つの燃料電池と流体連通する第2の水素貯蔵ユニットを含む、水素貯蔵組立体と、を備えることができる。第1の水素貯蔵ユニットおよび第2の水素貯蔵ユニットは、水素ガスを吸収しかつ放出する金属合金材料を収容するトーラスを備えることができる。
【0010】
[0009]別の例示的な実施形態では、本開示は、水素ガスによって駆動される発電機を対象とする。1つの例示的な実施形態では、水素駆動発電機は、少なくとも1つの燃料電池と、少なくとも1つの燃料電池から生の電力を受け取って変換電力を出力する電力変換装置と、少なくとも1つの燃料電池に水素を供給する水素貯蔵組立体であって、少なくとも1つの燃料電池と流体連通する第1の水素貯蔵ユニット、および、少なくとも1つの燃料電池と流体連通する第2の水素貯蔵ユニットを含む、水素貯蔵組立体と、を備えることができる。第1の水素貯蔵ユニットおよび第2の水素貯蔵ユニットは、外側シリンダと、内側シリンダと、内側シリンダに取り付けられた頂部フランジと、内側シリンダに取り付けられた底部フランジと、によって画定された貯蔵容積部を備えることができ、貯蔵容積部は、水素ガスを吸収しかつ放出する金属合金材料を収容するように構成される。
【0011】
[0010]前述の実施形態は、限定的ではない例であり、他の態様および実施形態が、本明細書において説明される。前述の発明の概要は、発明を実施するための形態において以下でさらに説明される様々な概念を簡単に紹介するために提供されている。この発明の概要は、特許請求する主題の必要とされる特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また、特許請求する主題の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0012】
[0011]添付の図面は、単に水素駆動発電機の例示的な実施形態を示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと考慮されるべきではない。図面の例示的な実施形態に示された原理は、代替的な方法および装置に適用され得る。さらに、図面に示された要素および特徴は、必ずしも原寸に比例しておらず、むしろ、例示的な実施形態の原理を明瞭に示すことに重点が置かれている。そのような原理を視覚的に伝えるのを支援するために、特定の寸法または位置が強調される場合がある。図面において、様々な実施形態で使用される同じ参照符号は、同様のまたは対応する、しかし必ずしも一致するものではない、要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0012]従来技術による発電機および可搬式配電箱を示すブロック図である。
【
図2】[0013]本開示の例示的な実施形態による水素駆動発電機のブロック図である。
【
図3】[0014]本開示の例示的な実施形態による水素駆動発電機の図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による水素駆動発電機の図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による水素駆動発電機の図である。
【
図6】[0015]本開示の別の例示的な実施形態による水素駆動発電機の正面図である。
【
図7】本開示の別の例示的な実施形態による水素駆動発電機の上面図である。
【
図8】[0016]本開示のさらに別の例示的な実施形態による水素駆動発電機の正面図である。
【
図9】本発明のさらに別の例示的な実施形態による水素駆動発電機の上面図である。
【
図10】[0017]本開示の例示的な実施形態による水素貯蔵ユニットの外面を示す図である。
【
図11】[0018]本開示の例示的な実施形態による
図10の水素貯蔵ユニットの構成要素を示す分解組立図である。
【
図12】[0019]本開示の別の例示的な実施形態による水素貯蔵ユニットの外面を示す図である。
【
図13】[0020]本開示の例示的な実施形態による
図12の水素貯蔵ユニットの構成要素を示す分解組立図である。
【
図14】[0021]本開示のさらに別の例示的な実施形態による水素貯蔵ユニットの外面を示す図である。
【
図15】[0022]本開示の例示的な実施形態による
図14の水素貯蔵ユニットによるカプラの構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0023]本明細書において開示される例示的な実施形態は、水素によって駆動される発電機を対象とする。具体的には、複数の水素貯蔵ユニット内の金属合金材料により水素が吸収されて金属合金材料に貯蔵される。複数の水素貯蔵ユニットは、発電機内に格納され、必要とされたときに1つまたは複数の燃料電池に水素を供給する。燃料電池は、電力を変換して所望の電圧、アンペア数、および位相で出力することができる電力変換装置に電力を提供する。発電機は、一次電力のために使用されてもよく、または、長期間にわたって保管されて、必要とされたときにバックアップ電力を提供してもよい。水素駆動発電機の順応性は、いくつかの利点を提供する。
【0015】
[0024]従来技術の発電機は、典型的には、特定の用途に必要とされるのに応じて所望の電圧、アンペア数、および位相で電力を提供するために、可搬式分電箱と対にされる。しかし、従来技術の発電機および分電箱は、典型的には、設定可能ではない。言い換えれば、特定の設備が手元の分電箱によって提供されるのとは異なる形態の電力を必要とする場合、発電機と結合するための別の分電箱を得ることが必要とされる。対照的に、本明細書において説明される水素駆動発電機は、交換可能なブレードに対応する統合型電力変換装置を有する。ブレードのそれぞれは、特定の電圧、電流、および位相を有する電力を提供するように構成されてもよく、したがって、水素駆動発電機から出力される電力を設定可能にする。
【0016】
[0025]水素駆動発電機の設計は、貯蔵された水素が枯渇したときに水素貯蔵ユニットに容易に水素が再充填されることを可能にする。水素貯蔵ユニットは、金属合金材料を収容し、水素ガスは、金属合金材料によって吸着および吸収されて、金属水素化物を作り出す。水素貯蔵ユニット内に貯蔵された金属水素化物は、容易に輸送されかつ水素損失をほとんど伴わずに数年間にわたって貯蔵されることを可能にする、非常に安定したものである。水素貯蔵ユニットの形状は、ユニットの容積部内に貯蔵される水素の量を最大限に高めるために、水素による水素貯蔵ユニットの充填および排出中に熱伝達を促すように、また、水素貯蔵ユニットの内外への水素の流れを促すように、最適化される。水素貯蔵ユニットは、複数の水素貯蔵ユニットとともに組立体に容易に組み合わせられ得る。水素貯蔵ユニットの構成は、本明細書において説明される発電機での水素の使用を促進する。以下の例においてさらに説明されるように、本明細書において説明される方法および装置は、電源として水素を使用するための従来の手法を改善する。
【0017】
[0026]本明細書において説明される例示的な実施形態は、貯蔵された水素ガスによって駆動される発電機を対象とするが、本明細書において説明される発電機はまた、他のタイプのガスを使用して駆動されてもよいことが、理解されるべきである。本明細書において説明される発電機を駆動するために貯蔵ユニットに貯蔵され得るガスの例は、水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ハイタン(hythane)(水素/メタン)、および前述のものの組合せを含む。
【0018】
[0027]以下の段落では、例として図面を参照しながら、特定の実施形態がさらに詳細に説明される。説明では、よく知られた構成要素、方法、および/または処理技法は、省略されるかまたは簡潔に説明される。さらに、実施形態の様々な特徴への言及は、言及される特徴を全ての実施形態が含まなければならないことを示唆するものではない。
【0019】
[0028]
図1を参照すると、従来技術のシステムの例が示されている。従来技術のシステム100は、ガソリンまたはプロパンなどの燃料を燃やす内燃機関によって生成される電力を提供する発電機102などの電源を含む。発電機102は、120VACまたは240VACなどの出力電圧を提供する1つまたは複数の出力レセプタクルを有することができる。発電機102は、可搬式分電箱105に結合される。可搬式分電箱105は、発電機102から入力電力を受け取るための入力コネクタ107を有する。可搬式分電箱105はまた、入力電力を変更して出力レセプタクル109において出力電力を提供するために、変圧器、バックコンバータ、もしくは整流器などの1つまたは複数の電力変換装置を含む。出力電力は、負荷112および負荷114に提供され得る。
【0020】
[0029]
図1に示されるように、従来技術のシステム100の欠点のうちの1つは、電力を受け取る設備の電圧、アンペア数、および位相の要件に発電機の電力を適合させるために、発電機が可搬式分電箱と結合されなければならないことである。現場での設備の電力要件は、大きく異なり得る。適切な分電箱が利用可能でない場合、必要とされる形態で電力を提供する別の分電箱が得られなければならない。対照的に、以下でさらに説明されるように、本明細書において説明される水素駆動発電機は、クリーン電源と電力変換装置とを統合する単一のシステムを提供する。水素および燃料電池によって提供されるクリーン電力は、長期間にわたって安全に貯蔵され得る。さらに、水素駆動発電機の貯蔵組立体は、貯蔵された水素ガスが枯渇したときに、追加の水素を容易に再充填され得る。水素駆動発電機のさらなる利点は、例示的な実施形態についての以下の説明において明らかになるであろう。
【0021】
[0030]次に
図2を参照すると、本開示の例示的な実施形態による水素駆動発電機205の主要構成要素を示すブロック図が提供されている。水素駆動発電機205は、1つまたは複数の燃料電池225において使用されるべき水素を貯蔵する水素貯蔵組立体210を含む。すでに言及されたように、また、以下でさらに説明されるように、水素貯蔵組立体210は、金属合金材料を収容する1つまたは複数の水素貯蔵ユニットを備えることができ、金属合金材料は、ガス状の水素を吸収しかつ吸着させて、金属水素化物を形成する。金属水素化物は、数カ月間または数年間にわたって安全に貯蔵され得る安定した組成のものである。電力が必要とされた場合、水素は、水素貯蔵ユニットから放出されて、電力を生成するために1つまたは複数の燃料電池225によって使用され得る。
【0022】
[0031]燃料電池225は、典型的には、DC電力を出力する。水素駆動発電機205は、燃料電池225によって出力される電力を特定の電圧、電流、および位相に変更するために、1つまたは複数の電力変換装置230を含む。電力変換装置は、水素駆動発電機に摺動して出入りする1つまたは複数のブレードであってもよい。各ブレードは、燃料電池からの電力を変換するのに必要とされる変圧器、インバータ、およびブーストコンバータもしくはバックコンバータのうちの1つまたは複数などの電気構成要素、ならびに、送達される電力の量を計測するための計量構成要素を備えることができる。場合によっては、ブレードは、電力変換構成要素ならびに電力変換および送達を知的に制御するための1つまたは複数のプロセッサのためのスロットを備えるバックプレーンに類似し得る。電力変換装置230は、様々な電力要件を満たすためにブレードが電力変換装置に容易に摺動して出入りすることができるように、構成され得る。変換装置が電力を変更すると、出力電力が、1つまたは複数の出力レセプタクル235に送達される。
【0023】
[0032]次に
図3、
図4、および
図5を参照すると、水素駆動発電機の別の例示的な実施形態が示されている。
図3は、例示的な水素駆動発電機305の外部の前側図を提供する。
図4では、内部のさらなる部分を示すために、発電機の外部ハウジングの前パネルが取り除かれている。
図5では、発電機の外部ハウジングの頂部パネルが取り除かれており、発電機の頂部の内部図が示されている。水素駆動発電機305は、貯蔵組立体310、燃料電池325(325-1、325-2、325-3、および325-4)、1つまたは複数の電力変換装置330、ならびに出力レセプタクル335を含む。
【0024】
[0033]貯蔵組立体310は、水素貯蔵ユニット316の4つのスタックを備え、各水素貯蔵ユニット316は、水素ガスを吸収しかつ/または吸着させる金属合金材料を収容する。特定の実施形態では、発電機の外部ハウジングの側部パネルのうちの1つまたは頂部パネルは、貯蔵ユニットの保守管理または交換を容易にするために、水素貯蔵ユニットへのアクセスのために開かれてもよい。発電機305の例では、水素貯蔵ユニット316のそれぞれは、ユニットの頂部にカプラを含み、水素は、このカプラを通じて貯蔵ユニットに注入され、また、貯蔵ユニットから放出され得る。代替的な実施形態では、水素貯蔵ユニットは、ユニットの頂部の他に、底部にカプラを有することができる。
図4および
図5に示されるように、水素貯蔵ユニット316の頂部における各カプラは、水素導管318に接続され得る。水素導管318の一方の端部は、水素を供給して電気を発生させるために、燃料電池325に結合され得る。水素導管318の反対側の端部は、発電機305の外部ハウジングに配置された水素充填ポート312に結合され得る。水素充填ポート312は、貯蔵ユニット316の水素が枯渇したときに、貯蔵ユニット316への新たな水素ガスの圧送を可能にする。特定の実施形態では、貯蔵ユニット316に圧送された水素の量および貯蔵ユニット316から消費し切った水素の量を示すために、発電機の外部ハウジングにゲージが配置され得る。
図3~
図5に示された水素貯蔵ユニット316および水素導管318の構成は1つの例であり、代替的な実施形態ではこれらの構成要素は他の形状および構成を有し得ることが、理解されるべきである。
【0025】
[0034]
図4および
図5はまた、発電機305内で水素貯蔵ユニット316に隣接する振動デバイス338を示す。振動デバイス338は、ガス貯蔵ユニット内への水素ガスの振動装填(vibrational loading)または衝撃装填(percussive loading)のいずれかを与える機械的要素を含むことができる。
【0026】
[0035]1つの実施形態では、振動デバイス338は、水素貯蔵ユニット316に加圧水素ガスを注入することができる。加圧水素ガスは、水素貯蔵ユニット316上のカプラを通じて注入され得る。加圧水素ガスは、55kPa(8psi)から2758kPa(400psi)の間の範囲、または、69kPa(10psi)から2414kPa(350psi)もしくは276kPa(psi)から1388kPa(200psi)を含むがこれらに限定されないその中のより狭い範囲の圧力で、水素貯蔵ユニットに注入され得る。
【0027】
[0036]別の実施形態では、振動デバイス338は、充填中に水素ガスが貯蔵デバイスに注入されるときに、水素ガスおよび貯蔵ユニット316内の金属合金材料に振動力を与える。振動デバイス338の機械的要素は、振動運動を提供することができ、機械的要素の例は、ソレノイド、マイクロドライブ、振動モータ、線形共振アクチュエータ、圧電ドライブを含む。水素貯蔵ユニット316の充填中に金属合金材料に振動力を与えることは、水素を貯蔵する金属合金材料の能力を高めることができる。金属合金材料の共振は、金属合金材料における、特にニッケルまたは錫ベースの合金における、水素溶解度の過飽和をもたらすことができる。さらに、いくつかの例では、振動デバイスの振動数は、振動力の振動数が金属合金材料の共振振動数に近づくように、水素による貯蔵デバイスの充填中に調整され得る。
【0028】
[0037]
図4および
図5の例では、振動デバイス338は、水素貯蔵ユニット316のそれぞれの外部に配置され、かつ、ユニットのそれぞれの外部表面に取り付けられたカプラに力を与える。しかし、他の実施形態では、振動デバイスは、水素貯蔵ユニットの内部に位置し得る。
【0029】
[0038]燃料電池325に目を向けると、
図4および
図5に示されるように、燃料電池325は、水素貯蔵ユニット316に隣接して積み重ねられ得る。燃料電池325は、水素燃料電池の分野の者には知られているように、貯蔵ユニットからの水素を酸素と結合させて、電気および水を出力する。燃料電池は、典型的には、燃料電池への水素の流れを制御する送出弁システム、圧力上昇の際に使用される安全弁、および、燃料電池から出力された生の電力を制御する電力制御装置を含む。燃料電池によって生成される生の電力は、DC電流の形態である。1つの例として、各燃料電池は、48VDCの生の電力を生成することができる。発電機が複数の燃料電池を有する場合、燃料電池の生の電力出力は、1つの燃料電池が保守管理または交換のために線から外され得る一方で他の燃料電池およびトレイが電力を送出し続けるように、並列で構成される。
【0030】
[0039]電力変換装置330は、燃料電池325から生の電力を受け取り、その生の電力を発電機305に接続された設備によって必要とされるタイプの出力電力に変換することができる。
図4に示されるように、電力変換装置330は、燃料電池からの電力を変換するのに必要とされる変圧器、インバータ、およびブーストコンバータもしくはバックコンバータのうちの1つまたは複数などの適切な電力変換構成要素を収容するブレードを備えることができる。特定の実施形態では、電力変換装置330は、複数のブレードを備えることができ、そのそれぞれが、様々な要件を満たすために異なる出力電力を提供する。ブレードは、必要とされたときに他のタイプの電力を提供する他のブレードと交換され得るように、発電機305の前パネルまたは側部パネルの内外に容易に摺動するように構成され得る。ブレードは、接点を有して構成されてもよく、接点は、ブレードを燃料電池に電気的に結合する導電性タブに接続する。電力変換装置330からの出力電力は、発電機305の外面に配置された1つまたは複数の出力レセプタクル335において利用可能とされる。
【0031】
[0040]発電機305からの出力電力に関して、水素貯蔵ユニット316のそれぞれは、3~4キログラムの水素を貯蔵することができる。したがって、発電機305内の12個の水素貯蔵ユニット316は、36キログラムから48キログラムの水素を貯蔵することができ、これは、発電機305では1,198kW時から1,598kW時の貯蔵容量に等しい。燃料電池325が50%の効率で動作すると仮定すると、発電機は、599kW時から799kW時の電力を提供することが可能である。いくつかの例では、発電機は、より大きな量の総出力電力を得るために、グループ化されるかまたは積み重ねられ得る。
【0032】
[0041]次に
図6および
図7を参照すると、水素駆動発電機の別の例示的な実施形態が示されている。
図6は、外部ハウジングの前パネルが取り除かれた後の水素駆動発電機405の内部構成要素を示す。
図7では、水素駆動発電機405の内部構成要素の上面図を提供するために、外部ハウジングの頂部パネルは取り除かれている。水素駆動発電機405は、すでに説明された例示的な実施形態の構成要素に類似した主要構成要素を含む。
図3~
図5の例における構成要素参照番号と同じ下2桁をそれらの参照番号に有する構成要素の場合、発電機405における構成要素は、発電機305における構成要素に類似しているかまたは同等であることが推測されるべきであり、その構成要素の詳細な説明は、繰り返されない。
【0033】
[0042]水素駆動発電機305と同様に、水素駆動発電機405は、水素ガスを吸収しかつ/または吸着させる金属合金材料を収容する水素貯蔵ユニット416に水素を注入するために使用される、水素充填ポート412を含む。水素は、充填ポート412に注入され、水素導管418を流れ、各水素貯蔵ユニットに取り付けられたカプラを通じて水素貯蔵ユニット416に入る。水素貯蔵ユニット416は、貯蔵ユニット416に水素を注入するための入口カプラ、および、貯蔵ユニット416から水素を放出するための出口カプラを有することができる。あるいは、水素貯蔵ユニット416は、充填時に水素が貯蔵ユニット416に流入しまた水素排出時に水素が貯蔵ユニットから流出することを可能にする双方向カプラを有して構成されてもよい。
【0034】
[0043]電力が必要とされた場合、水素貯蔵ユニット416は、カプラおよび水素導管418を介して燃料電池425-1、425-2、425-3、および425-4に水素を供給することができ、燃料電池は、水素を酸素と結合させて電気を発生させる。燃料電池から出力された生の電力は、変換装置ブレード432のうちの1つを使用して電気を負荷によって必要とされる形態(電圧、アンペア数、AC/DC)に変換する電力変換装置430によって変換される。電力は、出力レセプタクル435において発電機405によって出力される。発電機405は、燃料電池425が発電機の中心に配置される一方で、積み重ねられた水素貯蔵ユニット416が発電機の隅部に配置されるという点で、発電機305とは異なる。
図7の上面図に見られるように、2つの振動デバイス438および439は、各水素貯蔵ユニット416に水素を充填するときに各水素貯蔵ユニット416に取り付けられたカプラに振動力を与えるために使用され得る。
【0035】
[0044]次に
図8および
図9を参照すると、水素駆動発電機の別の例示的な実施形態が示されている。
図8および
図9に示された例示的な発電機は、発電機の外部ハウジングが修正されていることを除いて、
図6および
図7に示された発電機と同じである。具体的には、
図8および
図9に示された発電機405は、曲げられた外部ハウジング440を有する。
図9の上面図に見られるように、曲げられた外部ハウジング440の隅部は、積み重ねられた水素貯蔵ユニット416の丸みを帯びた形状に対応するように、丸みを付けられる。曲げられた外部ハウジング440は、外部環境と水素貯蔵ユニット416との間の熱伝達を向上させることができ、これは、水素貯蔵ユニット416の水素貯蔵容量を向上させることができる。
図8および
図9に示された発電機の残りの構成要素は、
図6および
図7に関連して示されかつ説明された構成要素と同じである。したがって、それらの構成要素の詳細な説明は、繰り返されない。
【0036】
[0045]次に
図10および
図11を参照すると、例示的な水素貯蔵ユニット316が、さらに詳細に説明される。水素貯蔵ユニット316の詳細は、本明細書において説明される水素貯蔵発電機のいずれかにおいて使用され得るタイプの水素貯蔵ユニットを代表するものである。
図10における水素貯蔵ユニット316の外部図を発端に、ユニットは、ある高さおよび直径を有して、形状が円筒形である。高さ(40.64cm(16インチ))および直径(60.96cm(24インチ))のための典型的な寸法が
図10に示されているが、高さおよび/または直径のための他の寸法が本開示の範囲に含まれることが、理解されるべきである。
図10に示された円筒形の比率、すなわち直径が高さより1.5倍大きいことは、水素貯蔵ユニット316の性能を最適化するのに好ましい。貯蔵ユニットのためのこれらの比率の1つの便益は、ユニットの頂部表面および底部表面の比較的大きな表面積がデバイスと環境との間の熱伝達を向上させ、そのことが貯蔵ユニットに水素を貯蔵するための容量を最適化することである。これらの比率の別の便益は、その比率が水素再吸収を最小限に抑えることである。水素再吸収は、貯蔵ユニットの排出中に生じ、排出中、水素ガスがユニット内の金属合金の一部分から放出されるが、水素ガスは、ユニットの出口弁に向かって移動するときに、出口弁に到達する前に金属合金の別の部分によって再吸収され、したがって、貯蔵ユニット316および発電機の性能を徐々に害する。しかし、例示的な貯蔵ユニット316の比率は、高さが直径未満であるという点でこの問題に対処するように最適化されており、その結果、排出中、金属合金から放出された水素は、出口弁まで移動するのに比較的短い距離を有し、したがって、水素ガスが出口弁に到達する前に金属合金によって再吸収される可能性を低下させる。
【0037】
[0046]
図10の外部図に示されるように、水素貯蔵ユニット316は、円筒形容器350を備え、円筒形容器350は、頂端部アンビル354により頂部を閉鎖され、また、頂端部アンビル354に類似した底端部アンビルにより底部を閉鎖される。頂端部アンビル354および底端部アンビルは、円筒形容器350に取り付けられると、水素ガスを貯蔵および放出することが可能な金属合金材料を収容することができる円筒形空洞を形成する。頂端部アンビル354は、頂部カプラ356を有し、底端部アンビルは、類似した底部カプラ(
図10では見られない)を有し、カプラは、水素貯蔵ユニット316をすでに説明された水素導管にまたは別の貯蔵ユニットにまたは他の適切な設備に接続することができる。カプラは、ガス貯蔵ユニット316の内外への水素の流れを制御するための弁を含むことができる。弁は、単方向性または双方向性のどちらであってもよい。一例として、水素貯蔵ユニット316に水素を充填するときに、水素は、55kPa(8psi)から2758kPa(400psi)に及ぶ圧力で頂部カプラおよび底部カプラのうちの一方または両方に圧送され得る。端部アンビルのうちの一方または両方が、ボルトまたは他のタイプの固定デバイスなどの固定具を使用して、円筒形容器350に取外し可能に結合され得る。さらに、端部アンビルは、ガス貯蔵ユニット316を衝撃から保護する緩衝器または他の特徴を含むことができる。円筒形容器350、端部アンビル、およびカプラを含む、水素貯蔵ユニット316の構成要素は、貯蔵ユニット316に水素を充填しまた貯蔵ユニット316から水素を排出する際の圧力循環に耐えるのに十分に耐久性のある様々な金属材料、高分子材料、または複合材料のうちのいずれかから作られ得る。貯蔵ユニット316は、
図10の例における中央長手軸に対して垂直に断面が取られたときに全体的に円形の形状を有する円筒形であるが、代替的な実施形態では、貯蔵ユニットは、断面が楕円形または多角形であるように他の形状を取ることができることが、理解されるべきである。
【0038】
[0047]次に
図11を参照すると、例示的な水素貯蔵ユニット316の分解組立図が示されている。示されるように、円筒形容器350は、溝付き容器表面352をその内部に有する。円筒形容器350内には、内側シリンダ358およびトーラス360がある。組み立てられると、内側シリンダ358は、円筒形容器350の中心に位置決めされ、したがって、溝付き容器表面352と内側シリンダ358の側壁359の外側表面との間に環を画定する。特定の実施形態では、内側シリンダ358は、貯蔵ユニット316が組み立てられるときに、頂端部アンビルおよび底端部アンビルのうちの一方または両方の内側表面に取り付けられ得る。
図11の例では、内側シリンダ358の側壁359は、熱移動を向上させるために、円筒形容器350の溝付き容器表面に類似した溝付き外側表面を有する。貯蔵ユニットの他の実施形態は、溝付き容器表面352の代わりの滑らかな内部表面、および/または内側シリンダ358の滑らかな外側表面を有することができるが、溝付き表面は、増大された表面積が貯蔵ユニットの充填および排出中の貯蔵ユニットと外部環境との間の熱移動を増大させるという点で、貯蔵ユニットの性能を向上させることができる。さらに、表面が溝付きである場合、溝(fluting)は表面積を熱移動に最適化する様々な形態および形状を取ることができることが、理解されるべきである。
【0039】
[0048]内側シリンダ358の材料は、貯蔵ユニット316に水素が充填されるときおよび水素を排出するときに隔壁と同様に屈曲するエラストマーであってもよい。しかし、他の実施形態では、内側シリンダ358は、セラミックなどの剛体材料を備え得る。内側シリンダ358は、トーラス360内の金属合金材料を充填または排出するときに水素が内側シリンダ358を通過するように、水素ガスに対して透過性であってもよい。あるいは、内側シリンダ358は、水素ガスに対して不透過性であってもよく、水素ガスは、ベントまたは他の特徴を通って金属合金材料に入ることができる。最後に、内側シリンダ358のための10.16cm(4インチ)の代表的な直径が、
図11に示されている。他の実施形態では、内側シリンダ358のこの直径は、より大きいかまたはより小さいことがあり得るが、水素を貯蔵するための貯蔵ユニット内の容積部を最大化するために、直径は10.16cm(4インチ)よりも大きくないことが一般に好ましい。
【0040】
[0049]トーラス360を参照すると、トーラス360は、金属合金材料366を収容する内側貯蔵容積部368を画定する、可撓性材料で作られる。金属合金材料366は、水素を吸収すると、金属水素化物を形成する。金属合金は、以下の材料、すなわちニッケル、錫、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、銅、チタン、アンチモン、ならびにイットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、およびネオジムなどの希土類金属の任意の組合せを含むことができる。金属合金材料366は、典型的には、多孔質組成物を形成する粒状材料であり、結合剤を含んでもよい。金属合金粒は、1.0ミクロン、または1.5ミクロン、または2.0ミクロンから、2.5ミクロン、または3.0ミクロン、または4.0ミクロン、または5.0ミクロンまでのD50粒径を有し得る。1つの例では、金属合金粒のD50粒径は、1.5ミクロンから2.0ミクロンに及ぶ。「D50」という用語は、述べられた粒子直径を試料重量の50%が上回るような金属合金粒の中位径を指す。
【0041】
[0050]トーラス360は、貯蔵ユニット316からの金属合金材料366の漏れを最小限に抑えることを意図されている。トーラス360は、金属合金材料が水素を吸収するときの膨張に対応するために、可撓性材料で作られる。トーラス360の可撓性は、トーラス内壁に内側シリンダ358の外側表面を圧迫させ、トーラス外壁364に円筒形容器350の内側表面(溝付き容器壁352)を圧迫させて、熱移動を強化する。トーラス360は可撓性材料で作られるが、
図11に示されるように、トーラス外壁364は、溝付き容器表面352との接触を促進するために、全体的に扁平な表面を有するように形成され得る。トーラス内壁362は、貯蔵ユニット316の充填および排出のために水素ガスが通過する細孔を有することができる。1つの例として、トーラス内壁362は、水素の流れに対応する細孔を含む金属フィルムを備えることができる。
【0042】
[0051]ガス貯蔵ユニットの充填および排出のたびに、水素は、頂部カプラおよび底部カプラのうちの一方または両方と金属合金材料366との間を流れることができる。一例として貯蔵ユニット316の充填を考えると、水素ガスは、頂部カプラ356における弁を通って内側シリンダ358の内側におけるチャンバに進入し、内側シリンダ358の透過性材料を通過して、トーラス内壁362の細孔を通ることができ、そこで、水素ガスは、金属合金材料366によって吸収および/または吸着される。
【0043】
[0052]次に
図12および
図13を参照すると、水素貯蔵ユニット416の別の例が示されている。水素貯蔵ユニット416は、すでに説明された例示的な水素駆動発電機のいずれかにおいて使用され得る。水素貯蔵ユニット416の外面は、円筒形容器450、頂端部アンビル454、および底端部アンビル(
図12では見られない)を備えるという点で、水素貯蔵ユニット316に類似しており、それらは、金属合金材料を収容するための密閉された円筒形容積部を一緒に形成する。また、貯蔵ユニット316と同様に、貯蔵ユニット416は、直径が貯蔵ユニットの高さよりも大きいような比率を有し、好ましくは、直径が高さより1.5倍大きい比率を有する。
図12において提供された寸法は例であり、他の実施形態では、直径および高さは、同じ比率またはおおよそ同じ比率を維持しながら、異なる寸法を有し得る。貯蔵ユニット416はまた、すでに説明されたカプラに類似した態様で機能する頂部カプラ456および底部カプラ(
図12では見られない)を含む。
【0044】
[0053]
図13に目を向けると、水素貯蔵ユニット416の内部構成要素のうちのいくつかを示す分解組立図が提供されている。円筒形容器450は、
図10および
図11の円筒形容器350に類似した溝付き内部容器表面452を有することができる。さらに、貯蔵ユニット416は、すでに説明された内側シリンダ370に類似した内側シリンダ470を有する。先の例におけるように、内側シリンダ470は、内側シリンダ470の外部表面および内部表面のうちの一方または両方に溝を含むことができる側壁471を有する。
【0045】
[0054]1つの態様では、貯蔵ユニット416の内部は、金属合金材料を収容するためにトーラスを使用しないという点で、貯蔵ユニット316とは異なる。代わりに、内側シリンダ470は、頂部フランジ472および底部フランジ473を有し、それらは、内側シリンダ470および円筒形容器450と一緒に、金属合金材料を収容する貯蔵容積部を画定する。金属合金材料の位置決めは、参照番号476を用いて示されているが、図を単純化するために、
図13では金属合金材料は示されていない。金属合金材料476は、本明細書においてすでに説明された金属合金材料に類似している。
【0046】
[0055]頂部フランジ472は、ベント474を含み、底部フランジ473は、ベント476を含む。ベントは、貯蔵ユニット416が充填しているときに水素が金属合金材料476へ流れることを可能にし、また、貯蔵ユニット416が排出しているときに水素が金属合金材料から出て行くことを可能にする。ベント474および476は、水素が水素貯蔵ユニット416の外面上の頂部カプラおよび底部カプラにおける弁へ流れることを可能にする。さらに、水素が貯蔵ユニットの内外に流れるための2つ以上の経路が存在するように水素透過性内側シリンダおよびベントの両方を含む実施形態などの他の例示的な実施形態は、前述の例の特徴の組合せを含むことができる。
【0047】
[0056]水素ガスは、金属合金材料によって吸収されると、安定かつ確実な態様で貯蔵され得る。水素ガスは、貯蔵ユニットから排出されるときに、金属合金材料から、すでに説明された経路のうちの1つを通って隔壁チャンバに流入し、隔壁チャンバから、各カプラにおける弁を通って出て行くことができる。
【0048】
[0057]次に
図14および
図15を参照すると、すでに説明された振動デバイスのための別の例示的な実施形態が示されている。
図4~
図9に関連してすでに説明された外部振動デバイスとは対照的に、
図14および
図15の振動デバイスは、貯蔵ユニットのカプラ内に取り付けられるリード388である。水素貯蔵ユニット380は、その高さよりも大きい直径を持つ円筒形状を有するという点で、すでに説明された貯蔵ユニットに類似している。水素貯蔵ユニット380はまた、円筒形容器382、頂端部アンビル384、頂部カプラ386、ならびに底端部アンビルおよび底部カプラ(
図14では見られない)を備える。
図15は、頂部カプラ386が弁387と一緒にリード388を含むことを示す。水素が頂部カプラ386および弁387を通って貯蔵ユニット380に流入するときに、リードは振動して、貯蔵ユニット380内の金属合金材料に振動負荷を与える。したがって、すでに説明された振動デバイスと同様に、リード388の振動は、水素を貯蔵する金属合金材料の能力を強化することができる。1つの用途では、リード388を含む貯蔵ユニット380は、水素の連続的な流れがリード388を振動させるように、貯蔵ユニット380が充填されている間に水素がポンプ390により貯蔵ユニット380を通って循環される構成において使用される。他の実施形態では、リードの振動は、他の構成における貯蔵ユニットを用いて実施され得る。
【0049】
[0058]円筒形容器、端部アンビル、およびカプラのための適切な材料の例は、金属、高分子材料、ナノ材料、およびそれらの組合せを含む。適切な金属の例は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鋼鉄、およびそれらの組合せを含む。シリンダのための適切な高分子材料の例は、炭素繊維、ポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリレート、ガラス繊維、ウルテム(Ultem)、およびそれらの組合せを含む。円筒形容器およびその構成要素は、例えば高分子樹脂中の金属ライナ熱硬化性物質などの、金属と高分子材料の組合せであってもよい。
【0050】
[0059]熱伝導率を高める貯蔵ユニットのための材料が好ましい場合がある。熱伝導性材料は、水素による貯蔵ユニットの充填中に熱放散(冷却)を促し、また、貯蔵ユニットからの水素の排出中に加温を促す。このようにして、円筒形容器は、熱交換器として機能し、ガス貯蔵ユニットは、別体の熱交換器および/または別体の冷却系の必要性を排除する。ガス貯蔵ユニットの構造および構成は、エネルギー効率、使い易さ、製造し易さ、および重量の減少を有利に増進させる。
【0051】
[0060]本明細書において示されかつ説明されたいかなる装置に対しても、構成要素のうちの1つもしくは複数が、省略され、追加され、反復され、かつ/または置換され得る。したがって、特定の図に示された実施形態は、そのような図に示された構成要素の特定の配置に限定されるものと解釈されるべきではない。さらに、ある図の構成要素が説明されるがその図には明白に示されていないまたは標識されていない場合、別の図における対応する構成要素に対して使用される標識が、その構成要素に対して推定され得る。反対に、ある図における構成要素が標識されているが説明されていない場合、そのような構成要素に対する説明は、別の図における対応する構成要素に対する説明と実質的に同じであり得る。
【0052】
[0061]本明細書における例を全体的に参照すると、本明細書において説明される装置のいずれの構成要素も、単体から(例えば、型、射出成形用金型、ダイカスト、3-D印刷法、押出し法、打抜き法、または他のプロトタイプ法などから)作られ得る。さらに、または代替的に、装置の構成要素は、互いに機械的に結合される複数の部品から作られてもよい。そのような場合、複数の部品は、エポキシ、溶接、固定デバイス、圧縮取付け具、噛合ねじ、およびスロット付き取付け具を含むがこれらに限定されない複数の結合方法のうちの1つまたは複数を使用して、互いに機械的に結合され得る。互いに機械的に結合される1つまたは複数の部品は、固定される継手、ヒンジ式の継手、取外し可能な継手、摺動可能な継手、およびねじ式の継手を含むがこれらに限定されない複数の方法のうちの1つまたは複数で、互いに結合され得る。
【0053】
[0062]「第1の」、「第2の」、「頂部」、「底部」、「側部」、「遠位の」、「近位の」、および「~内に(within)」などの用語は、1つの構成要素(または、ある構成要素の一部もしくはある構成要素の状態)を別の構成要素と区別するために使用されるにすぎない。そのような用語は、優先度または特定の配向を意味するように意図されたものではなく、また、本明細書において説明される実施形態を限定するように意図されたものではない。本明細書において説明される例示的な実施形態では、本発明のより完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記述される。しかし、本発明はこれらの具体的な詳細を伴わずに実践され得ることが、当業者には明らかとなるであろう。他の例では、よく知られた特徴は、説明を不必要に複雑にするのを避けるために、詳細には説明されていない。
【0054】
[0063]例示的な実施形態が本明細書において説明されるが、様々な修正が十分に本開示の範囲内であることが、当業者によって認識されるべきである。本明細書において説明される例示的な実施形態は具体的に論じられたいずれかの用途に限定されないこと、および、本明細書において説明される実施形態は説明に役立つものであって制限的なものではないことを、当業者は認識するであろう。例示的な実施形態の説明から、そこに示された要素の均等物が、当業者に思い浮かぶであろうし、本開示を使用して他の実施形態を構成する方法が、当技術分野の実践者に思い浮かぶであろう。したがって、例示的な実施形態の範囲は、本明細書において限定されない。
【国際調査報告】