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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-09
(54)【発明の名称】非抗生物質系抗菌組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20251002BHJP
   A61K 33/06 20060101ALI20251002BHJP
   A61K 33/10 20060101ALI20251002BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20251002BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
A61K35/747
A61K33/06
A61K33/10
A61P1/04
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025545157
(86)(22)【出願日】2023-03-28
(85)【翻訳文提出日】2025-04-16
(86)【国際出願番号】 GB2023050798
(87)【国際公開番号】W WO2023187358
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】2204335.0
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】525143518
【氏名又は名称】ヘル1エックス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン ラント
【テーマコード(参考)】
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA04
4C086HA05
4C086HA16
4C086HA18
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZC37
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087BC57
4C087BC58
4C087CA09
4C087MA02
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、非抗生物質系抗菌組成物、新規用途、及び治療又は予防の方法に関する。特に、本発明は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)などのヘリコバクター属菌に関連又は起因する、疾患又は症状の治療のための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種、を含む非抗生物質系抗菌組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎動物の胃腸管における病原性のウレアーゼ活性菌の感染と関連した病状の治療で使用するための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を含む抗菌組成物。
【請求項2】
脊椎動物におけるヘリコバクター属菌と関連した病状の治療で使用するための、ゼオライト及び前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を含む抗菌組成物。
【請求項3】
前記ゼオライトが天然由来ゼオライト又は合成ゼオライトである、請求項1又は請求項2に記載の抗菌組成物。
【請求項4】
前記ゼオライトがゼオライトクリノプチロライト(ZC)である、請求項1から3の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項5】
前記ゼオライトが活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)、好ましくは二重活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)である、請求項1から4の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項6】
前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種が、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、デルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、レビラクトバチルス・ブレビス(Levilactobacillus brevis)、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、リモシラクトバチルス・ファーメンタム(Limosilactobacillus fermentum)、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、及びラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)からなる群から選択される、請求項1から5の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項7】
前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種がラクトバチルス・ロイテリである、請求項6に記載の抗菌組成物。
【請求項8】
前記ラクトバチルス・ロイテリがラクトバチルス・ロイテリDSM17648若しくはラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87である、請求項6又は請求項7に記載の抗菌組成物。
【請求項9】
前記脊椎動物が前記抗菌組成物の治療有効量を投与される、請求項1から8の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項10】
前記治療有効量が前記ゼオライト及び前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の投与レジメンによって達成される、請求項9に記載の抗菌組成物。
【請求項11】
前記レジメンが前記ゼオライト及び前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の1種類又は複数種類の投与方法を含む、請求項10に記載の抗菌組成物。
【請求項12】
前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種が生菌である、請求項1から11の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項13】
前記抗菌組成物が、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの生物活性物質又はミネラル、例えば、ビタミンD及びビタミンEなどのビタミン、薬剤的に許容される担体、添加物、並びにアジュバント、例えば、キトサン、α-ケトグルタル酸塩、クエン酸塩、及び乳酸塩などの抗菌性のキチン、をさらに含む、請求項1から12の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項14】
前記ゼオライト及び前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の前記投与レジメンが、経口投与又は胃内投与に適している、請求項9から13の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項15】
前記抗菌組成物が、活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)、ラクトバチルス・ロイテリDSM17648又はラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、を含む、請求項1から14の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項16】
前記病状がヘリコバクター属菌、ブドウ球菌属菌、プロテウス属菌、クレブシエラ属菌、及びマイコバクテリウム属菌と関連している、請求項1から15の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項17】
前記病状がヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)と関連している、請求項1から16の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項18】
前記脊椎動物がヒトである、請求項1から17の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項19】
前記抗菌組成物が、1又は複数のマーカーの減少をもたらす、請求項1から18の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項20】
前記マーカーが尿素、胃内アンモニア、酸逆流、膨満感、及びウレアーゼ活性からなる群から選択される予測マーカーである、請求項19に記載の抗菌組成物。
【請求項21】
前記予測マーカーが胃内アンモニアである、請求項19又は請求項20の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項22】
前記抗菌組成物が、ヘリコバクター・ピロリに感染した脊椎動物における胃内アンモニアレベルの減少をもたらす、請求項21に記載の抗菌組成物。
【請求項23】
前記胃内アンモニアの減少が、プラセボと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%以上である、請求項20から22の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項24】
前記胃内アンモニアの減少が、プラセボと比較して、少なくとも0.1、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍以上である、請求項20から22の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項25】
前記予測マーカーの減少がプラセボと比較して統計的に有意である、請求項20から22の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項26】
前記抗菌組成物が、ヘリコバクター属菌、ブドウ球菌属菌、プロテウス属菌、クレブシエラ属菌、及びマイコバクテリウム属菌のうちの1又は複数に感染したヒトにおいて統計的に有意な臨床的改善をもたらす、請求項1から25の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項27】
ヘリコバクター・ピロリに感染したヒトにおける胃内アンモニアマーカーレベルの減少が統計的に有意である、請求項23に記載の抗菌組成物。
【請求項28】
前記抗菌組成物が、ヘリコバクター・ピロリに感染したヒトにおいて統計的に有意な臨床的改善をもたらす、請求項1から27の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項29】
前記抗菌組成物が、実質的に水に不溶である、請求項1から28の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項30】
GIT疾患若しくは障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防を必要としている哺乳類及び鳥類を含む脊椎動物における、GIT疾患若しくは障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防のために設計された、単独、併用、又は同時投与のための、医薬品製剤の製造のための、請求項1から29の何れか一項に記載の抗菌組成物の使用。
【請求項31】
前記医薬品製剤が、抗菌組成物の用量を1回投与で、又は1日当たり適切な間隔で投与される分割投与量若しくはサブ用量として投与するのに適した形態である、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記医薬品製剤が、1日当り又は1投与当り、1回、2回、3回、4回、若しくはそれ以上の用量若しくはサブ用量として投与される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記医薬品製剤が、10~10CFU/gのラクトバチルス・ロイテリDSM17648又はラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87、及びゼオライトと、を含み、前記ゼオライトは少なくとも50mg/製剤1グラムの量で存在する、請求項30から32の何れか一項に記載の使用。
【請求項34】
前記医薬品製剤が、炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウムなどのミネラル塩をさらに含み、前記炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムがそれぞれ少なくとも0.5mg/製剤1グラムの量で存在する、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記抗菌組成物の用量が、カプセル剤、凍結乾燥製剤、液剤、丸剤、散剤、又はゲル剤として製剤化される、請求項30から34の何れか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記治療が、ヘリコバクター属菌の感染によって引き起こされた、又はそれと関連している疾患又は障害の完全寛解をもたらす、請求項30から35の何れか一項に記載の使用。
【請求項37】
前記治療が、ブドウ球菌属菌感染、プロテウス属菌感染、クレブシエラ属菌感染、マイコバクテリウム属菌感染のうちの何れか1つ又は複数によって引き起こされた、又はそれと関連している疾患又は障害の完全寛解をもたらす、請求項30から35の何れか一項に記載の使用。
【請求項38】
胃腸管内のアンモニアの減少で、好ましくは胃液中のアンモニア濃度の減少で使用するための、請求項1から29の何れか一項に記載の抗菌組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非抗生物質系抗菌組成物、新規用途、及び治療又は予防の方法に関する。特に、本発明は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)などのヘリコバクター属菌と関連している、又はそれによって引き起こされる、疾患又は症状の治療のための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種、を含む非抗生物質系抗菌組成物に関する。本発明はさらに、胃腸管内のウレアーゼ活性菌による感染症の治療のための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種、を含む非抗生物質系抗菌組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌感染を含む感染症は、世界的に深刻な健康問題であり続けている。グラム陰性(-ve)微生物であるヘリコバクター・ピロリは1982年に初めて培養され、それ以来、ヒトや他の動物にも多くの近縁種が存在することが明らかになった。これらのヘリコバクター種(ヘリコバクター属菌)は一般に、胃組織又は腸肝組織に侵入してコロニー形成する能力によって分類される。胃粘膜のコロニー形成は、表面の粘液層と胃腺及び胃壁細胞内に最も多く見られるようである。
【0003】
胃ヘリコバクター属菌は哺乳類宿主に広く分布しており、多くの場合、ヒトにおいてヘリコバクター・ピロリにより見られるものに似た炎症反応を引き起こす可能性がある。同様に、腸肝ヘリコバクター属菌も、ヒト、他の哺乳類、及び鳥類の腸管及び肝臓に存在する多様な微生物群である。ヘリコバクター属菌は、免疫不全宿主では炎症や悪性化、及び免疫不全のヒトや動物ではより重篤な臨床疾患と関連していることが多い。
【0004】
ヘリコバクター・ピロリのコロニー形成後に起こる主な障害は慢性活動性胃炎である。この状態は全てのヘリコバクター・ピロリ陽性者で確認することができる。この慢性炎症過程の胃内分布と重症度は、コロニー形成株の特徴、宿主の遺伝的要因と免疫応答、食事、及び酸産生レベルなどの様々な要因に依存する。ヘリコバクター・ピロリが誘発する潰瘍性疾患、胃がん、及びリンパ腫は全てこの慢性炎症の合併症である。潰瘍性疾患と胃がんは、炎症が最も深刻な個体及び部位で特に発生する(Kusters, Johannes G et al., “Pathogenesis of Helicobacter pylori infection.” Clinical microbiology reviews vol.19,3 (2006): 449-90. doi:10.1128/CMR.00054-05)。
【0005】
世界人口の50%以上がこの胃細菌に感染している。感染症の重症度は細菌量と関連している(Celli, Jonathan P et al. “Helicobacter pylori moves through mucus by reducing mucin viscoelasticity.” Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America vol. 106, 34 (2009): 14321-6. doi:10.1073/pnas.0903438106; Varbanova M, Malfertheiner P. Bacterial load and degree of gastric mucosal inflammation in Helicobacter pylori infection. Dig Dis.2011; 29:592-599. doi: 10.1159/000333260)。
【0006】
ヘリコバクター・ピロリ感染症の治療は依然として副作用を伴う難題が残っている。標準3剤併用療法(STT)は、プロトンポンプ阻害薬及び2種類の抗生物質(そのうち1つの最も一般的なものはクラリスロマイシンを主剤として含む)の併用からなるもので、抗菌薬感受性試験(AST)を行わずに経験的に、20年間にわたり世界中で第一選択治療として使用されてきた。2010年以降、この治療レジメンの有効性の顕著な低下が世界的に観察され、クラリスロマイシン耐性が15%を超える場合、ビスマスを併用する又は併用しない4剤併用療法を処方することが推奨されることとなった(マーストリヒトV)(Malfertheiner P, Megraud F , O'Morain CA , et al., Management of Helicobacter pylori infection-the Maastricht V/Florence consensus report. Gut 2017; 66: 6-30.doi: 10.1136/gutjnl-2016-312288 pmid:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27707777)。
【0007】
これらのレジメンには、複数の抗生物質が経験的に使用されていることから、抗菌薬耐性のさらなる増加を促進し、腸内細菌叢の腸内毒素症を誘発する可能性があるという固有の欠点がある(Suzuki S.a ・ Kusano C.b ・ Horii T.a ・ Ichijima R.a ・ Ikehara H.a et al. The Ideal Helicobacter pylori Treatment for the Present and the Future. Digestion 2022; 103: 62-68 https://doi.org/10.1159/000519413)。抗生物質耐性は、世界保健機関によって世界の公衆衛生に対するトップ10の脅威の1つとして特定されている。
【0008】
ヘリコバクター・ピロリの抗生物質耐性の監視が、欧州レベルで10年ごとに、1998年から始まって(Glupczynski Y, Megraud F, Lopez-Brea M , et al., European multicentre survey of in vitro antimicrobial resistance in Helicobacter pylori. Eur J Clin Microbiol Infect Dis 2001; 20: 820-823. doi:10.1007/s100960100611 pmid:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11783701)、2008年(Megraud F, Coenen S, Versporten A , et al., Helicobacter pylori resistance to antibiotics in Europe and its relationship to antibiotic consumption. Gut 2013; 62:34-42.doi:10.1136/gutjnl-2012-302254)、そして再度2018年(Megraud F, Bruyndonckx R, Coenen S The European Helicobacter pylori Antimicrobial Susceptibility Testing Working Group, et al., Helicobacter pylori resistance to antibiotics in Europe in 2018 and its relationship to antibiotic consumption in the community. Gut 2021; 70:1815-1822)に為されている。
【0009】
2018年の最新の研究では、ヘリコバクター・ピロリの耐性と地域における対応する抗生物質の消費量との間に正の相関があることが確認された。患者の平均年齢は51.2歳(範囲17~91歳)であった。年齢別の分布は、上部消化器内視鏡検査患者で観察される通常の分布と一致していた。人生の後半になるまで、ヘリコバクター・ピロリに感染していることに気づかない人が多いと考えられている。効果的な治療がなされない限り、ヘリコバクター・ピロリによる感染は通常いつまでも持続し、一見無関係に見える他の障害や疾患として現れる。
【0010】
ヘリコバクター属菌に対する効果的な治療を見つけるための努力にもかかわらず、耐性が低く、望ましい効率を持つ特異的で効果的な治療法に関する報告は、皆無ではないにせよ稀である。
【0011】
したがって、現在のところ、ヘリコバクター属菌に対する有効な非抗生物質系治療は存在しない。また、広く普及させることができ、ヘリコバクター属菌の長期的に使いやすい治療基準として受け入れられ、上記の関連する副作用がない有効な治療法は存在しない。
【0012】
したがって、ヘリコバクター属菌に対する効果的な治療の開発だけでなく、広く採用でき、毒性がなく、抗生物質への無制限な依存を避ける治療法の開発も急務である。
【0013】
ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼ活性菌である。他のウレアーゼ陽性菌も胃腸管で病原性を示すことが確認されている。スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)は尿路感染症を引き起こし、プロテウス・ミラビリス(Proteus miras(Klebsiella pneumoniae)などのクレブシエラ属菌は、胃腸管における肺炎と関連している。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)などのマイコバクテリウムは腸結核と関連している。したがって、病原性ウレアーゼ陽性菌の感染に対する効果的な治療であって、また広く採用でき、毒性がなく、抗生物質への無制限な依存を避ける治療も、必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、非抗生物質系抗菌組成物、新規用途、及び治療又は予防の方法に関する。
【0015】
具体的には、本発明は、脊椎動物におけるヘリコバクター属菌に関連又は起因する、状態又は疾患の治療のための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種、を含む非抗生物質系抗菌組成物に関する。
【0016】
具体的には、本発明はさらに、脊椎動物における病原性ウレアーゼ活性菌に関連又は起因する、状態又は疾患の治療のための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種、を含む非抗生物質系抗菌組成物に関する。
【0017】
脊椎動物における病原性ウレアーゼ活性菌は、ヘリコバクター属菌、ブドウ球菌属菌、プロテウス属菌、クレブシエラ属菌、及びマイコバクテリウム属菌からなるリストから選択される1又は複数であってよい。
【0018】
脊椎動物における病原性ウレアーゼ活性菌は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、及びヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)からなるリストから選択される1又は複数であってよい。
【0019】
1つの態様において、脊椎動物におけるヘリコバクターと関連した病状の治療で使用するための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種、を含む抗菌組成物が提供される。
【0020】
別の態様において、脊椎動物における病原性ウレアーゼ活性菌に関連又は起因する病状の治療で使用するための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種、を含む抗菌組成物が提供される。脊椎動物における病原性ウレアーゼ活性菌は、ヘリコバクター属菌、ブドウ球菌属菌、プロテウス属菌、クレブシエラ属菌、及びマイコバクテリウム属菌からなるリストから選択される1又は複数であってよい。より具体的には、脊椎動物における病原性ウレアーゼ活性菌は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylorus)、スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、及びヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)からなるリストから選択される1又は複数であってよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、ゼオライトが天然由来ゼオライト又は合成ゼオライトである、抗菌組成物が提供される。
【0022】
いくつかの実施形態において、ゼオライトがゼオライトクリノプチロライト(ZC)である、抗菌組成物が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態において、ゼオライトが活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)、好ましくは二重活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)である、抗菌組成物が提供される。
【0024】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種が、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、デルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、レビラクトバチルス・ブレビス(Levilactobacillus brevis)、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、リモシラクトバチルス・ファーメンタム(Limosilactobacillus fermentum)、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、及びラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)からなる群から選択される、抗菌組成物が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種がラクトバチルス・ロイテリである、抗菌組成物が提供される。
【0026】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス・ロイテリがラクトバチルス・ロイテリDSM17648又はラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87である、抗菌組成物が提供される。
【0027】
いくつかの実施形態において、脊椎動物が抗菌組成物の治療有効量を投与される、抗菌組成物が提供される。
【0028】
いくつかの実施形態において、治療有効量がゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の投与レジメンによって達成される、抗菌組成物が提供される。
【0029】
いくつかの実施形態において、レジメンがゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の1種類又は複数種類の投与を含む、抗菌組成物が提供される。いくつかの実施形態において、抗菌組成物の投与レジメンは、経口投与、直腸内投与、局所投与、経腸投与、膣内投与、頬側投与、同所性投与、気管内投与、病巣内投与、内視鏡投与、経粘膜投与、舌下投与、腸管内投与、及びこれらの組み合わせに適切なものである。いくつかの実施形態において、抗菌組成物の投与レジメンは、経口投与に適切なものである。
【0030】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種が生菌である、抗菌剤が提供される。
【0031】
いくつかの実施形態において、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの生物活性物質又はミネラル、例えば、ビタミンD及びビタミンEなどのビタミン、薬剤的に許容される担体、添加物、並びにアジュバント、例えば、キトサン、α-ケトグルタル酸塩、クエン酸塩、及び乳酸塩などの抗菌性のキチン、をさらに含む、抗菌組成物が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態において、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の投与レジメンが、経口投与又は胃内投与に適している、抗菌組成物が提供される。
【0033】
いくつかの実施形態において、活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)、ラクトバチルス・ロイテリDSM17648又はラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、を含む、抗菌組成物が提供される。
【0034】
いくつかの実施形態において、病状がヘリコバクター・ピロリと関連している、抗菌組成物が提供される。
【0035】
いくつかの実施形態において、脊椎動物がヒトである、抗菌剤が提供される。
【0036】
いくつかの実施形態において、1又は複数のマーカーの減少をもたらす、抗菌組成物が提供される。
【0037】
いくつかの実施形態において、マーカーが尿素、胃内アンモニア、及びウレアーゼ活性からなる群から選択される予測マーカーである、抗菌組成物が提供される。
【0038】
いくつかの実施形態において、予測マーカーが胃内アンモニアである、抗菌組成物が提供される。
【0039】
いくつかの実施形態において、ヘリコバクター・ピロリに感染した脊椎動物における胃内アンモニアレベルの減少をもたらす、抗菌組成物が提供される。
【0040】
いくつかの実施形態において、胃内アンモニアの減少が、プラセボと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%以上である、抗菌組成物が提供される。
【0041】
いくつかの実施形態において、胃内アンモニアの減少が、プラセボと比較して、少なくとも0.1、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍以上である、抗菌組成物が提供される。
【0042】
いくつかの実施形態において、予測マーカーの減少がプラセボと比較して統計的に有意である、抗菌組成物が提供される。
【0043】
いくつかの実施形態において、病原性ウレアーゼ活性菌に感染したヒトにおける胃内アンモニアマーカーレベルの減少が統計的に有意である、抗菌組成物が提供される。
【0044】
いくつかの実施形態において、ヘリコバクター・ピロリに感染したヒトにおける胃内アンモニアマーカーレベルの減少が統計的に有意である、抗菌組成物が提供される。
【0045】
いくつかの実施形態において、病原性ウレアーゼ活性菌に感染したヒトにおいて統計的に有意な臨床的改善をもたらす、抗菌組成物が提供される。
【0046】
いくつかの実施形態において、ヘリコバクター・ピロリに感染したヒトにおいて統計的に有意な臨床的改善をもたらす、抗菌組成物が提供される。
【0047】
本発明の一態様において、GIT疾患又は障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防を必要としている哺乳類及び鳥類を含む脊椎動物における、GIT疾患又は障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防のために設計された、別々の、併用された、又は同時の投与のための、医薬品製剤の調製又は製造のための抗菌組成物の使用が提供される。
【0048】
本発明の一態様において、尿路感染症(特に、ブドウ球菌属菌又はプロテウス属菌の感染と関連しているもの)、間質性肺炎(intestinal pneumonia)、腸結核の治療、軽減、又は予防を必要としている哺乳類及び鳥類を含む脊椎動物における、尿路感染症(特に、ブドウ球菌属菌又はプロテウス属菌の感染と関連しているもの)、間質性肺炎(intestinal pneumonia)、腸結核の治療、軽減、又は予防のために設計された、別々の、併用された、又は同時の投与のための、医薬品製剤の調製又は製造のための抗菌組成物の使用が提供される。
【0049】
本発明の一態様において、肝疾患、腎疾患の治療、軽減、又は予防を必要としている哺乳類及び鳥類を含む脊椎動物における、肝疾患、腎疾患の治療、軽減、又は予防のために設計された、別々の、併用された、又は同時の投与のための、医薬品製剤の調製又は製造のための抗菌組成物の使用が提供される。肝疾患と腎疾患は共に、胃腸管内の高レベルのアンモニウムと関連付けられている。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が、1日当たり、抗菌組成物の用量を、単回投与で、又は適切な間隔で投与される分割投与量若しくはサブ用量として投与するのに適した形態である、抗菌組成物の使用対象とする。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が、1日当たり又は1投与につき、1回、2回、3回、4回、又はそれ以上の回数分の投与量若しくはサブ用量として投与される、抗菌組成物の使用対象とする。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が10~10CFU/gのラクトバチルス・ロイテリDSM17648又はラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87、及びゼオライトと、を含み、ゼオライトは少なくとも50mg/製剤1グラムの量で存在する、抗菌組成物の使用対象とする。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムをさらに含み、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムがそれぞれ少なくとも0.5mg/製剤1グラムの量で存在する、抗菌組成物の使用対象とする。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明は、抗菌組成物の用量がカプセル剤、凍結乾燥製剤、液剤、丸剤、散剤、又はゲル剤として製剤化される、抗菌組成物の使用対象とする。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療が、ヘリコバクター属菌の感染によって引き起こされた、又はそれと関連している疾患又は障害の完全寛解をもたらす、抗菌組成物の使用対象とする。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明は、胃腸管内のアンモニアの減少で、好ましくは胃液中のアンモニア濃度の減少で使用するための、上記段落に記載されたような、抗菌組成物を対象とする。
【0057】
本発明者らは、驚くべきことに、そして予想外にも、本発明の非抗生物質系抗菌組成物が、抗生物質に頼った確立された抗生物質療法では失敗した、ヘリコバクター・ピロリ感染の不活性化と治療において有効であることを確認した。特に、本発明者らは、驚くべきことに、そして予想外にも、本発明の非抗生物質系抗菌組成物が、抗生物質に基づいた治療法が失敗した一方で、尿素、胃内アンモニア、酸逆流、膨満感、及びウレアーゼ活性などの予測マーカーを減少させることによって、ヘリコバクター・ピロリ感染の不活性化と治療において有効であることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、インビトロにおける、本発明の抗菌組成物を用いた、尿素及びアンモニアの減少アッセイ。
図2図2は、インビボにおける臨床試験データを示すグラフ。
図3図3は、ブレインハートインヒュージョンブロス+10mM尿素及び0.1%YE中で1:10又は1:100希釈し、微好気性条件で120時間インキュベートした後の、ヘリコバクター・ピロリ株83及びATCC700824のブランク補正済み吸光度を示すグラフ。
図4図4は、ブレインハートインヒュージョンブロス+10mM尿素及び0.1%YE中で1:10又は1:100希釈し、微好気性条件で144時間インキュベートした後の、ヘリコバクター・ピロリ株83及びATCC700824の総生菌数を示すグラフ。
図5A図5は、微好気性条件下で8時間インキュベートした後の、最初にpH2に調整された(図5A)、pH5に調整された(図5B)、又は未調整の(pH7)(図5C)、ブレインハートインヒュージョンブロス+10%[v/v]FBS、0.1%[w/v]酵母抽出物、及び0mM、10mM、又は50mM尿素中の、pH及びアンモニウム濃度を示すグラフ。
図5B図5は、微好気性条件下で8時間インキュベートした後の、最初にpH2に調整された(図5A)、pH5に調整された(図5B)、又は未調整の(pH7)(図5C)、ブレインハートインヒュージョンブロス+10%[v/v]FBS、0.1%[w/v]酵母抽出物、及び0mM、10mM、又は50mM尿素中の、pH及びアンモニウム濃度を示すグラフ。
図5C図5は、微好気性条件下で8時間インキュベートした後の、最初にpH2に調整された(図5A)、pH5に調整された(図5B)、又は未調整の(pH7)(図5C)、ブレインハートインヒュージョンブロス+10%[v/v]FBS、0.1%[w/v]酵母抽出物、及び0mM、10mM、又は50mM尿素中の、pH及びアンモニウム濃度を示すグラフ。
図6A図6は、微好気性条件下で8時間インキュベートした後の、最初にpH2に調整された(図6A)、pH5に調整された(図6B)、又は未調整の(pH7)(図6C)、ブレインハートインヒュージョンブロス+10%[v/v]FBS、0.1%[w/v]酵母抽出物、及び0mM、10mM、又は50mM尿素中の、pH及びヘリコバクター・ピロリATCC700824の総生菌数を示すグラフ。
図6B図6は、微好気性条件下で8時間インキュベートした後の、最初にpH2に調整された(図6A)、pH5に調整された(図6B)、又は未調整の(pH7)(図6C)、ブレインハートインヒュージョンブロス+10%[v/v]FBS、0.1%[w/v]酵母抽出物、及び0mM、10mM、又は50mM尿素中の、pH及びヘリコバクター・ピロリATCC700824の総生菌数を示すグラフ。
図6C図6は、微好気性条件下で8時間インキュベートした後の、最初にpH2に調整された(図6A)、pH5に調整された(図6B)、又は未調整の(pH7)(図6C)、ブレインハートインヒュージョンブロス+10%[v/v]FBS、0.1%[w/v]酵母抽出物、及び0mM、10mM、又は50mM尿素中の、pH及びヘリコバクター・ピロリATCC700824の総生菌数を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本開示全体を通して、様々な科学刊行物、特許及び公開特許明細書は、識別引用により参照される。これらの刊行物、特許、及び公開特許明細書の開示内容は、本開示が属する技術の現状をより完全に説明するために、参照により本開示に援用される。
【0060】
本明細書で使用される特定の用語は、以下の定義された意味を有する場合がある。
【0061】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈によって特に明示されない限り、単数形と複数形を包含する。例えば、「ゼオライト」という用語は、アンモニア(NH4+)に親和性を有するシリケート含有物質を包含する。本発明の文脈において、ゼオライトという物質は、1日1回、又は数日間、数週間、数か月間、若しくは数年間、又は1日2回以上を数日間~数年間の、単独、又はラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種と組み合わせた、GIT疾患又は障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防を必要としている哺乳類及び鳥類を含む脊椎動物における、GIT疾患又は障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防で使用するための、別々の、併用された、又は同時の投与のための、顆粒状又は粉末状である、モレキュラーシーブとして知られている、微孔性又はメソ孔性のシリケートであり得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「物質」という用語は、ゼオライト、医薬品、治療有効成分、並びに/又は、例えば炭酸カルシウム及び/若しくは炭酸マグネシウムなどのミネラル塩、並びにこれらの組み合わせを指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「抗菌性の」という用語は、微生物、特に病原性微生物、例えばヘリコバクター属菌などの病原性細菌を破壊、死滅、又はその増殖を阻害することを指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、略語「(w/w)」は、成分の重量と組成物又は製剤の総重量とに基づいて算出される重量パーセントを意味する。概して、本出願で使用される用語は、当業者に周知である。
【0065】
本明細書で使用される、例えば、材料若しくは物質の量、比率、材料若しくは物質の物理的特性、及び/又は用途を示す全ての数値又は数字は、明示的に示されている場合を除き、「約」という用語によって修正又は修飾されていると理解されるものとする。
【0066】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、記載された数字又は数値及び記載された数字又は数値から±10%を含む。非限定例として、「約十(10)」という用語は、九(9)~十一(11)又は9~11を包含する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、本発明の実施形態による物質、化合物、又は組成物が投与される、又は投与された、任意の動物、例えば脊椎動物、好ましくはヒトなどの哺乳動物を意味する。好ましくは、対象は、ヘリコバクター属菌感染の治療若しくは予防を必要としているか、又は、その治療若しくは予防の観察若しくは実験の対象となったものである。好ましくは、対象は、以下のヘリコバクター属菌感染症の治療若しくは予防を必要としているか、又は、その治療若しくは予防の観察若しくは実験の対象となったものである:ヘリコバクター・カニス(Helicobacter canis)、ヘリコバクター・フェリス(Helicobacter felis)、ヘリコバクター・ハイルマンニー(Helicobacter heilmannii)、ヘリコバクター・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクター・ビッツォゼロニー(Helicobacter bizzozeronii)、ヘリコバクター・10・シノニクス(Helicobacter 10 cinonyx)、ヘリコバクター・フェンネリアエ(Helicobacter fenneliae)、ヘリコバクター・ラッピニ(Helicobacter rappini)、ヘリコバクター・ヘパティクス(Helicobacter hepaticus)、ヘリコバクター・プルロルム(Helicobacter pullorum)、ヘリコバクター・ビリス(Helicobacter bilis)、ヘリコバクター・ロデンティウム(Helicobacter rodentium)、ヘリコバクター・トロゴントゥム(Helicobacter trogontum)、ヘリコバクター・シナエディ(Helicobacter cinaedi)、ヘリコバクター・ムリダルム(Helicobacter muridarum)、ヘリコバクター・パメテンシス(Helicobacter pametensis)、ヘリコバクター・コレシクタス(Helicobacter cholecystus)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症など。好ましくは、対象は、ヘリコバクター・ピロリ感染の治療若しくは予防を必要としているか、又は、その治療若しくは予防の観察若しくは実験の対象となったものである。
【0068】
本明細書で使用される場合、「症状」という用語は、例えば、ヘリコバクター属菌に関連又は起因する、嘔吐、胃炎、消化性潰瘍、胃新生物、リンパ腫、発熱、GI疾患、ホルモンバランスの乱れを指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「状態」という用語は、例えば、ヘリコバクター属菌に関連又は起因する高アンモニア血症を指す。また、この用語は、胃腸管内のウレアーゼ活性菌による感染と関連している症状にも関する。本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療する」という用語は、疾患若しくは障害、又はその少なくとも1つの識別可能な症状若しくは状態の改善、予防、又は逆転を指す。また、本明細書中に記載された、データに基づく治療が、患者における、臨床的改善、症状又は疾患の重症度の低減、及び1又は複数のマーカーの低減のうちの1又は複数をもたらすことも企図される。1又は複数のマーカーのうちの。いくつかの実施形態において、「治療」又は「治療する」とは、哺乳動物において又は哺乳動物によって必ずしも識別可能ではないが、治療される疾患又は障害に関連する少なくとも1つの測定可能な身体パラメータの改善、予防、又は逆転を指す。いくつかの実施形態において、「治療」又は「治療する」は、身体的に、例えば、識別可能な症状の安定化、生理的に、例えば、身体パラメータの安定化、又はその両方で、疾患、障害、又は状態の進行を抑制又は遅らせることを指す。いくつかの実施形態において、「治療」は、疾患又は障害の部分的寛解又は完全寛解をもたらす。いくつかの実施形態において、「治療」は、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌に感染又は罹患した対象における臨床的改善をもたらす。いくつかの実施形態において、「治療」は、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌に感染又は罹患した対象における疾患の重症度の低減をもたらす。いくつかの実施形態において、「治療」は、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌に感染又は罹患した対象におけるウイルス量の減少をもたらす。理論に拘束されることを望むものではないが、炎症マーカー、CBCマーカー、及び予測マーカーなどの異なるマーカーの血中レベルの上昇は、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌菌と関連している疾患状態又は状態と関連付けられたものである。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、予測マーカーは、 からなる群から選択される マーカーは尿素、胃内アンモニア、酸逆流、膨満感、及びウレアーゼ活性からなる群から選択される予測マーカーである。いくつかの実施形態において、予測マーカーは胃内アンモニアである。本発明のいくつかの実施形態において、治療は、尿素、胃内アンモニア、酸逆流、膨満感、及びウレアーゼ活性からなる群から選択される1又は複数の予測マーカーの低減をもたらす。本発明のいくつかの実施形態において、治療は、予測マーカーである胃内アンモニアの減少をもたらす。本発明のいくつかの実施形態において、治療は、高アンモニア血症の低減又は緩和をもたらす。ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼ強陽性である。30秒以内に尿素を分割するヘリコバクター・ピロリの能力は、ヘリコバクター・ピロリを他のヘリコバクター属種から区別するものである。Bacteriology - Identification | ID 26 | Issue no: 3 | Issue date: 03.07.15 | Page: 18 of 27. UK Standards for Microbiology Investigations | Issued by the Standards Unit, Public Health England。いくつかの実施形態において、「治療」は、ヘリコバクター属菌、ブドウ球菌属菌、プロテウス属菌、クレブシエラ属菌、及びマイコバクテリウム属菌から選択され得るウレアーゼ活性細菌、より具体的には、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylorus)、スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、及び/又はヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に感染した、又は罹患した対象における臨床的改善をもたらすものである。
【0070】
「ウレアーゼ活性細菌」という用語は、尿素をアンモニアと二酸化炭素に変換することができる1又は複数の細菌を指す。これは、尿pHの上昇をもたらす。これらの生物には、プロテウス、ノカルジア、ウレアプラズマ、ヘリコバクター・ピロリ、クレブシエラ、クリプトコッカス、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、及びストレプトコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)が含まれる。これらの生物はウレアーゼ陽性菌と呼ばれる場合もある。
【0071】
本発明は、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染に起因又は関連する任意の1又は複数の症状を緩和、消失、又は他の方法で低減若しくは治癒する、新規組成物及び治療方法における当該組成物の使用に関する。具体的には、本発明は、新規組成物、及びヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌に感染した対象の治療における当該組成物の使用に関する。いくつかの実施形態において、治療は、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染に起因又は関連する疾患又は障害の実質的な治癒をもたらす。具体的には、本発明は、新規組成物、及びヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌に感染した対象の緩和としての当該組成物の使用に関する。
【0072】
本開示は対象に重点を置いているが、当業者であれば、本発明が、例えば、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、及びヒツジ)、外来動物(例えば、パンダ、トラ、ライオン、及びピューマなどの大型ネコ科動物、ゾウ、コウモリ、マウス、ラット、並びに類似動物)、伴侶動物(イヌ及びネコなど)などのヒト以外の対象(すなわち、脊椎動物)に対しても、特に、疾患又は症状が、ヘリコバクター・カニス(Helicobacter canis)、ヘリコバクター・フェリス(Helicobacter felis)、ヘリコバクター・ハイルマンニー(Helicobacter heilmannii)、ヘリコバクター・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクター・ビッツォゼロニー(Helicobacter bizzozeronii)、ヘリコバクター・12・シノニクス(Helicobacter 12 cinonyx)、ヘリコバクター・フェンネリアエ(Helicobacter fenneliae)、ヘリコバクター・ラッピニ(Helicobacter rappini)、ヘリコバクター・ヘパティクス(Helicobacter hepaticus)、ヘリコバクター・プルロルム(Helicobacter pullorum)、ヘリコバクター・ビリス(Helicobacter bilis)、ヘリコバクター・ロデンティウム(Helicobacter rodentium)、ヘリコバクター・トロゴントゥム(Helicobacter trogontum)、ヘリコバクター・シナエディ(Helicobacter cinaedi)、ヘリコバクター・ムリダルム(Helicobacter muridarum)、ヘリコバクター・パメテンシス(Helicobacter pametensis)、ヘリコバクター・コレシクタス(Helicobacter cholecyctus)、及びヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)などのヘリコバクター属菌感染に関連又は起因する場合、同様に適用でき、有効であることを容易に認識するであろう。本発明のいくつかの実施形態において、疾患又は症状は、ヘリコバクター・カニスに関連又は起因する。
【0073】
本発明者らは、驚くべきことに、そして予想外にも、本発明の非抗生物質系抗菌組成物が、抗生物質に頼った確立された抗生物質療法では失敗した、ヘリコバクター・ピロリ感染の不活性化と治療において有効であることを見出した。特に、本発明者らは、驚くべきことに、そして予想外にも、本発明の非抗生物質系抗菌組成物が、抗生物質に基づいた治療法が例えば抗生物質耐性により失敗した一方で、尿素、胃内アンモニア、酸逆流、膨満感、及びウレアーゼ活性などの予測マーカーを減少させることによって、ヘリコバクター・ピロリ感染の不活性化と治療において有効であることを確認した。
【0074】
本明細書で使用される場合、「非抗生物質系」という用語は、抗生物質を使用しないこと、それに依存しないこと、又はそれを含有しないことを指す。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、抗生物質を使用も、依存も、含有もしない。
【0075】
本明細書で使用される場合、「抗生物質」という用語は、対象内又は対象上の細菌を死滅又は細菌の成長を阻害することによって感染症を治療又は予防するために使用される、経口的に、局所的に、又は注射によって投与される、特定の微生物(真菌など)の培養物から単離された、又は半合成由来若しくは合成由来のものである、抗菌性物質(ペニシリン、セファロスポリン、メトロニダゾール、クラリスロマイシン、フラゾリドン、アモキシシリン、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、レボフロキサシンなど)を指す。現在、2種の抗生物質とプロトンポンプ阻害剤とからなる標準的な3剤併用療法が第一選択レジメンとして報告されている。あるいは、ビスマスを含む4剤併用療法、逐次治療、又はビスマス以外の4剤併用療法(同時)も現在の治療法で使用される。レボフロキサシンを含む3剤併用療法は、第一選択治療が失敗した後の、ヘリコバクター・ピロリの感染に対する救済治療として推奨される。しかし、抗生物質耐性が急速に獲得されることにより、いかなる抗生物質レジメンの有効性も激減し、急性且つ長期的な苦痛と、それに伴う、しばしば予測不可能な副作用が罹患対象にもたらされることは避けられない。ヘリコバクター・ピロリは、メトロニダゾール及びクラリスロマイシンに対しますます抵抗性となっていることが知られている。Bacteriology - Identification | ID 26 | Issue no: 3 | Issue date: 03.07.15 | Page: 10 of 27. UK Standards for Microbiology Investigations | Issued by the Standards Unit, Public Health England。
【0076】
本発明に関連して企図されるように、抗生物質は、ヘリコバクター・ピロリ感染症などのヘリコバクター属菌感染症を治療又は予防するために使用することができる。いくつかの実施形態において、ヘリコバクター・カニス(Helicobacter canis)、ヘリコバクター・フェリス(Helicobacter felis)、ヘリコバクター・ハイルマンニー(Helicobacter heilmannii)、ヘリコバクター・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクター・ビッツォゼロニー(Helicobacter bizzozeronii)、ヘリコバクター・14・シノニクス(Helicobacter 14 cinonyx)、ヘリコバクター・フェンネリアエ(Helicobacter fenneliae)、ヘリコバクター・ラッピニ(Helicobacter rappini)、ヘリコバクター・ヘパティクス(Helicobacter hepaticus)、ヘリコバクター・プルロルム(Helicobacter pullorum)、ヘリコバクター・ビリス(Helicobacter bilis)、ヘリコバクター・ロデンティウム(Helicobacter rodentium)、ヘリコバクター・トロゴントゥム(Helicobacter trogontum)、ヘリコバクター・シナエディ(Helicobacter cinaedi)、ヘリコバクター・ムリダルム(Helicobacter muridarum)、ヘリコバクター・パメテンシス(Helicobacter pametensis)、ヘリコバクター・コレシクタス(Helicobacter cholecyctus)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)などのヘリコバクター属菌は抗生物質治療に対して抵抗性である。いくつかの実施形態において、ヘリコバクター・ピロリは抗生物質治療に対して抵抗性である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、例えば、経口投与、静脈内投与、非経口投与、吸入投与、経肺投与、直腸内投与、経鼻投与、局所投与、膀胱内投与、髄腔内投与、経腸投与、リンパ管内投与、体腔内投与、膣内投与、経尿道投与、皮内投与、経耳(aural)投与、乳房内投与、頬側投与、同所性投与、気管内投与、病巣内投与、経皮投与、内視鏡投与、経粘膜投与、舌下投与、腸管内投与、及びこれらの組み合わせを包含するものと理解されたい。いくつかの実施形態において、抗菌組成物の投与レジメンは、経口投与、直腸内投与、局所投与、経腸投与、膣内投与、頬側投与、同所性投与、気管内投与、病巣内投与、内視鏡投与、経粘膜投与、舌下投与、腸管内投与、及びこれらの組み合わせに適切なものである。いくつかの実施形態において、抗菌組成物の投与レジメン又は製剤は、経口用のものである。
【0078】
いくつかの実施形態において、ゼオライトは、アンモニア(NH4+)に対する親和性を有するシリケート含有物質である。いくつかの実施形態において、ゼオライトは、アンモニア(NH4+)に対する親和性を有する合成ゼオライトである。本明細書で使用される場合、「合成ゼオライト」は、化学結合の切断及び/又は生成を含む1又は複数の化学反応によって製造又は合成されるゼオライトを指す。ゼオライトの物理化学的な性質及び特徴としては、例えば、異なる細孔サイズ、チャネル、及びイオン交換能が挙げられる。チャネルは、水と、交換性陽イオンとで満たされており、ゼオライトの構造的骨格における負電荷のバランスをとっている。高度に多孔性の構造と置換の結果として、クリノプチロライトなどのゼオライトは、100~300cmol電荷/kgのオーダーで、大きな陽イオン交換能(CEC)を有する。しかし、ほとんどのゼオライトと同様に、交換選択性はチャネルサイズによって制限される。大きなイオンほど、選択的に排除される可能性がある。ゼオライトのこのような「イオンふるい分け」特性は、多くの工業用途などで利用されている重要な特性である。アンモニウムが豊富な液体の存在下では、NH4+-Nが骨格に存在する陽イオンと交換される。
【0079】
いくつかの実施形態において、ゼオライトがゼオライトクリノプチロライト(ZC)である、抗菌組成物が提供される。いくつかの実施形態において、ゼオライトクリノプチロライトがクリノプチロライト-K、クリノプチロライト-Na、及びクリノプチロライト-Caを含む、抗菌組成物が提供される。いくつかの実施形態において、ゼオライトが活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)である、抗菌組成物が提供される。いくつかの実施形態において、活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)が二重活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)である、抗菌組成物が提供される。クリノプチロライトシリーズは、3つの既知の種、クリノプチロライト-K、クリノプチロライト-Na、クリノプチロライト-Caを含み、これらの支配的な化学元素成分、すなわちK、Na、及びCa++にちなんで命名された。これらの化学元成分は陽イオン交換の際に、例えば、GITなどの、環境中に存在する重金属、毒素、マイコトキシン、及びアンモニアを優先して交換され、クリノプチロライト-K、クリノプチロライト-Na、及びクリノプチロライト-Caなどのゼオライトクリノプチロライトに高い化学的親和性を示す。
【0080】
いくつかの実施形態において、活性化ゼオライトクリノプチロライトは、トライボメカニカル活性化(Tribomechanically Activated)ゼオライトクリノプチロライトである。
【0081】
いくつかの実施形態において、トライボメカニカル活性化ゼオライトクリノプチロライトは、(TMAZ(登録商標))である。SiO2、65.0~71.3%;Al、11.5~13.1%;CaO 2.7~5.2%;K2O、2.2~3.4%;Fe、0.7~1.9%;MgO、0.6~1.2%;NaO、0.2~1.3%;TiO、0.1~0.3%;Si/Al比、4.8~5.4という化学式は、当業者には公知であろう。
【0082】
ゼオライトの実験式は(Ca,K,Na,Mg)18Si4096×24HOとすることができ、比分子量(specific molecular mass)は2.2~2.5g/cm;空孔率は32~40%;有効孔径は0.4nm以上、例えば、0.5nm、0.75nm、1nm、1.5nm、2nm、10nm、25nm、50nm 100nm、150nm、250nm、0.5μm又はそれ以上の直径であることが、当業者には理解されるだろう。
【0083】
いくつかの実施形態において、ゼオライトは、イオン交換能:1.2~1.5mol/kg;Ca2+、0.64~0.98mol/kg;Mg2+、0.06~0.19mol/kg;K、0.22~0.45mol/kg;Na、0.01~0.19mol/kg イオン交換選択性Cs>NH+>Pb2+>K+>Na+>Mg2+>Ba2+>Cu2+>Zn2+を示す。
【0084】
いくつかの実施形態において、ゼオライトに吸着される化学物質又は毒素は、NH、C~Cの炭化水素、CO、HS、SO、NO、アルデヒドを含む。
【0085】
好ましくは、本発明の組成物又は製剤の文脈内で企図されるように、ゼオライトは非毒性である。いくつかの実施形態において、ゼオライトは、米国連邦規則集(21 CFR 182、 Subpart C)に基づいて、一般に安全と認められている(GRAS)。
【0086】
抗菌組成物及び治療法における当該組成物の使用は、対象のGITにおける自然な酸性pH値を回復することによって、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染に起因又は関連する任意の1又は複数の症状を緩和、消失、又は他の方法で低減若しくは治癒することができると提唱する。
【0087】
例えば炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムなどの、本発明の組成物中のミネラル塩は、さらに、ゼオライトのイオン交換能に拡張又は寄与することで、GIT内のアンモニウムなどのアンモニウムの吸収及び/又は中和を増強させると提唱する。
【0088】
本明細書で使用される場合、「緩和」とは、治癒をもたらすものではなく、疾患の症状の重症度を低減すること、又はその進行を遅らせることに専念する、あらゆる形態の医療又は治療を指す。緩和は生活の質を改善することを目的とし、特に痛みを低減又は除去することを目的とする。この定義は、一般に治療法がないことに特に焦点を当て、治癒的治療に反応しない病気を有する患者の積極的なトータルケアに重点を置いている。
理論に拘束されることを望むものではないが、ヘリコバクター・カニス(Helicobacter canis)、ヘリコバクター・フェリス(Helicobacter felis)、ヘリコバクター・ハイルマンニー(Helicobacter heilmannii)、ヘリコバクター・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクター・ビッツォゼロニー(Helicobacter bizzozeronii)、ヘリコバクター・16・シノニクス(Helicobacter 16 cinonyx)、ヘリコバクター・フェンネリアエ(Helicobacter fenneliae)、ヘリコバクター・ラッピニ(Helicobacter rappini)、ヘリコバクター・ヘパティクス(Helicobacter hepaticus)、ヘリコバクター・プルロルム(Helicobacter pullorum)、ヘリコバクター・ビリス(Helicobacter bilis)、ヘリコバクター・ロデンティウム(Helicobacter rodentium)、ヘリコバクター・トロゴントゥム(Helicobacter trogontum)、ヘリコバクター・シナエディ(Helicobacter cinaedi)、ヘリコバクター・ムリダルム(Helicobacter muridarum)、ヘリコバクター・パメテンシス(Helicobacter pametensis)、ヘリコバクター・コレシクタス(Helicobacter cholecyctus)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症ヘリコバクター属菌感染症に関連又は起因する疾患又は症状は、尿素、胃内アンモニア、酸逆流、膨満感、及びウレアーゼ活性のレベルが増加していること、又は正常レベルよりも高いことを特徴とする。胃のヘリコバクター属菌感染症は、高アンモニア血症(hyerammonemia)と関連していることが報告されている。ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)、ヘリコバクター・ビッツォゼロニー(H. bizzozeroni)、ヘリコバクター・サイノガストリクス(H. cynogastricus)、ヘリコバクター・サルモニス(H. salomonis)、ヘリコバクター・スイス(H. suis)、ヘリコバクター・ビリス(H. bilis)、ヘリコバクター・ハイルマンニー(H. heilmannii)はウレアーゼ陽性である。Bacteriology - Identification | ID 26 | Issue no: 3 | Issue date: 03.07.15 | Page: 21 of 27. UK Standards for Microbiology Investigations | Issued by the Standards Unit, Public Health England。
【0089】
本明細書で使用される場合、「高アンモニア血症(hyerammonemia)」という用語、又は正常よりも高いアンモニアレベルを示すために使用される他の用語は、正常よりも高いレベルを意味する。ここでいう正常とは、特定の検査機関の正常範囲であり、疾患のない健常な対象の血液において、そのアッセイを実施した検査機関が選択した分析手法を使用して決定され(静脈血、動脈血、又は血漿若しくは血清を含む全血の一部であり得る)、直ちに氷上に置くべきかどうか、検査機関に届けるまでの時間枠、指定された保存剤(存在する場合)の使用を規定する検査機関の手順に従って処理されたものである。
【0090】
乳酸菌、特にラクトバチルスは、「一般に安全とみなされている(Generally Recognized As Safe)」(GRAS)プロバイオティクスとして最も一般的に使用されている微生物である。酸度、アンモニア、胆汁酸塩、及び膵酵素の存在が、経口摂取されたプロバイオティクスがGITで経験する主なストレスの一部である。生存可能であることとは別に、本発明のプロバイオティクス菌株は、腸管に付着し、その後(少なくとも一時的に)コロニー形成することができる必要もある。GITは動的な環境であるため、胃腸内容物の流れによって腸管粘膜に付着していない細菌が洗い流される可能性がある。したがって、付着能力を有するプロバイオティクス菌株は、GITにコロニー形成し、有益な効果を提供する機会が増加する可能性が高くなる。いくつかの実施形態において、ラクトバチルスは、ヘリコバクター・ピロリ感染などのヘリコバクター属菌感染で観察される上昇した胃内アンモニアレベルにおいて、耐えることができ、好ましくは活性を維持するか、又は生化学的に有効である。
【0091】
プロバイオティクスを生産する様々な方法が報告されており、充分に文書化されている。これらの方法の中には、液体増殖培地中で混合微生物培養物を生産することを記載しているものもある。このような混合培養物の生産は、培地中の多様な集団のうちの微生物の競合によって大きな困難を伴う。混合微生物培養物を生産する1つの方法は、異なる菌株を別々に増殖させ、その後、増殖した菌株を所望の比率で組み合わせることである。
【0092】
プロバイオティクスを増殖させる他の方法は、微生物、特に乳酸菌などの細菌のクオラムセンシング能に焦点を当てている。乳酸菌は、代謝ストレスを経験することで、様々な抗菌代謝産物の放出を増加させる。特に、微生物の代謝ストレスとクオラムセンシング能の組み合わせは、様々な抗菌代謝産物の放出を最大化する(国際公開第2020/177858号パンフレット)。
【0093】
本発明の文脈において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、当該技術分野において公知の方法を用いて生産される。いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、当該技術分野において公知の方法を用いて生産される。
【0094】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の代謝ストレス及びクオラムセンシング能の組み合わせを使用して増殖又は生産される。
【0095】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、デルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、レビラクトバチルス・ブレビス(Levilactobacillus brevis)、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、リモシラクトバチルス・ファーメンタム(Limosilactobacillus fermentum)、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、及びラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、デルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、レビラクトバチルス・ブレビス(Levilactobacillus brevis)、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、リモシラクトバチルス・ファーメンタム(Limosilactobacillus fermentum)、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、及びラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)からなる群から選択される ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、デルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、レビラクトバチルス・ブレビス(Levilactobacillus brevis)、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、リモシラクトバチルス・ファーメンタム(Limosilactobacillus fermentum)、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、及びラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)の少なくとも1つの構成種の代謝ストレス及びクオラムセンシング能の組み合わせを使用して増殖又は生産される。いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、デルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、レビラクトバチルス・ブレビス(Levilactobacillus brevis)、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、リモシラクトバチルス・ファーメンタム(Limosilactobacillus fermentum)、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、及びラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)からなる群から選択される。
【0096】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種はラクトバチルス・ロイテリである。いくつかの実施形態において、ラクトバチルス・ロイテリの少なくとも1つの構成種は、ラクトバチルス・ロイテリDSM17648である。
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス・ロイテリDSM17648は、ラクトバチルス・ロイテリDSM17648の代謝ストレス及びクオラムセンシング能の組み合わせを使用して生産又は増殖される。
【0097】
さらに、国際公開第2007/073709号パンフレットでは、いくつもの他の好適なラクトバチルス属菌株が同定されており、以下に記載されている:ドイツ微生物・細胞培養コレクション有限会社(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures GmbH)(DSMZ)、Mascheroder Weg 1b、D-38124、ブラウンシュワイク、ドイツ、すなわち:DSM17646、DSM17647、DSM17649、DSM17650、DSM17651、DSM17652、及びDSM17653。いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、ラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87(MTCC5403)である。
【0098】
抗菌代謝産物は、細菌病原体などの病原性微生物に対して毒性を有し得る。いくつかの実施形態において、本発明の組成物又は製剤は、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌に対して毒性を有する抗菌代謝産物を含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物のラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、凍結乾燥(lyophilised)されたものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物のラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、凍結乾燥(freeze dried)されたものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物のラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種は、生菌である。
【0100】
本発明で使用されるように、本発明の を含む組成物の治療有効量を、レジメンの一部として患者に送達することができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、レジメンがゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の1種類又は複数種類の投与方法を含む、抗菌組成物が提供される。いくつかの実施形態において、抗菌組成物の投与レジメンは、経口投与、直腸内投与、局所投与、経腸投与、膣内投与、頬側投与、同所性投与、気管内投与、病巣内投与、内視鏡投与、経粘膜投与、舌下投与、腸管内投与、及びこれらの組み合わせに適切なものである。いくつかの実施形態において、抗菌組成物は経口投与に適したものである。
【0102】
本明細書で使用される場合、「レジメン」という用語は、好ましくは本発明の抗菌組成物の治療有効量を達成するための、異なる可能な投与経路又は投与様式の、計画又は一連の規則を指す。当業者であれば、本発明の文脈において、異なるレジメンが採用されてもよいことは、知るところであろう。
【0103】
いくつかの実施形態において、イベルメクチン、エバーメクチン、ドラメクチン、セラメクチン、モキシデクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、ミルベメクチン、アバメクチン、ミルベマイシンオキシム、ネマデクチン(nemadection)、及び13位の炭素に結合した糖残基がないこれらのマクロライド誘導体を、遊離形態で、又はその生理学的に許容される誘導体及び/若しくは塩の形態で、投与するレジメンが、当該技術分野において公知の方法を用いて実施される。
【0104】
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、例えば、経口投与、直腸内投与、局所投与、経腸投与、膣内投与、頬側投与、同所性投与、気管内投与、病巣内投与、内視鏡投与、経粘膜投与、舌下投与、腸管内投与、及びこれらの組み合わせを包含するものと理解されたい。
【0105】
経口投与:本発明の組成物は、1又は複数の薬剤的に許容される担体(例えば、結合剤、充填剤、滑沢剤、及び崩壊剤などの賦形剤)を用いて従来の手段により調製された錠剤又はカプセル剤の形態をとるように製剤化することができる。本発明者らは、組成物が、特に錠剤又はカプセル剤(例えば錠剤)の形態で、経口経路によって対象に都合よく投与され得ることを見出した。いくつかの実施形態において、本発明において企図される特定の投与レジメン(dosage regime)は、本発明において使用される化合物、例えばゼオライト、及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが放出されるように製剤化された錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与に特に適している。本発明の組成物に関連して本明細書で使用される、又は他の任意の文脈で使用される、「改変された」又は「改変された放出」という用語は、即時放出ではない放出を意味し、制御放出(controlled release)、持続放出(sustained release)、延長放出(prolonged release)、持続放出(timed release)、遅延放出(retarded release)、延長放出(extended release)、及び遅延放出(delayed release)を包含するとみなされる。
【0106】
制御放出投与:制御放出(又は持続放出)製剤は、物質の活性を延長し、投与回数を減らすために製剤化することができる。制御放出製剤はまた、作用発現時間や物質の血中レベルなどの他の特性に影響を与え、結果として副作用の発生に影響を与えるために使用することもできる。
【0107】
制御放出製剤は、所望の治療効果をもたらす量の物質を最初に放出し、長期間にわたって治療効果のレベルを維持するための他の量の物質を徐々に継続的に放出するように設計することができる。体内の物質のレベルをほぼ一定に維持するために、物質を、代謝及び/又は体から排出される本発明の組成物の量を補給する速度で剤形から放出することができる。制御放出は、種々の誘導因子、例えば、pHの変化、温度の変化、酵素、水、及び/又は他の生理学的条件、又はアンモニアなどの分子によって刺激することができる。
【0108】
制御放出システムは、例えば、インスリン又は化学療法を通常は身体に、又は特定の臓器又は腫瘍に送達するために使用されるのと同様の方法で組成物を投与するために使用され得る注入ポンプを含み得る。典型的には、このようなシステムを用いて、組成物は、選択された部位で制御された期間にわたって組成物を放出する生分解性で生体適合性の高分子インプラントと組み合わせて投与される。例示的な高分子材料としては、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレンビニルアセテート、並びにこれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。さらに、制御放出システムは、GIT潰瘍などの治療標的の近傍に配置することができるため、経口用量のほんの一部しか必要としない。
【0109】
本発明の組成物は、当業者に周知の他の制御放出手段又は送達デバイスによって投与することができる。これらには、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydropropylmethyl cellulose)、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、又は同種のもの、又は様々な割合で所望の放出プロファイルを提供するための上記のいずれかの組み合わせが含まれる。本発明の組成物又は製剤の制御放出送達の他の方法は、当業者に公知であり、本発明の範囲内である。本発明の使用及び方法において必要とされる本発明の組成物の種々の成分の量は、治療される状態の性質又は重症度、対象の年齢、体重、既存の治療、及び全体的な状態によって変化することが、当業者には理解されるであろう。
【0110】
いくつかの実施形態において、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの生物活性物質又はミネラル、例えば、ビタミンD及びビタミンEなどのビタミン、薬剤的に許容される担体、添加物、並びにアジュバント、例えば、キトサン、α-ケトグルタル酸塩、クエン酸塩、及び乳酸塩などの抗菌性のキチン、をさらに含む、抗菌組成物が提供される。
【0111】
いくつかの実施形態において、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の投与レジメンが、経口投与又は胃内投与に適している、抗菌組成物が提供される。
【0112】
いくつかの実施形態において、活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)、ラクトバチルス・ロイテリDSM17648又はラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、を含む、抗菌組成物が提供される。
【0113】
いくつかの実施形態において、1又は複数のマーカーの減少をもたらす、抗菌組成物が提供される。
【0114】
いくつかの実施形態において、マーカーが尿素、胃内アンモニア、酸逆流、膨満感、及びウレアーゼ活性からなる群から選択される予測マーカーである、抗菌組成物が提供される。
【0115】
いくつかの実施形態において、予測マーカーが胃内アンモニアである、抗菌組成物が提供される。
【0116】
いくつかの実施形態において、ヘリコバクター・ピロリに感染した脊椎動物における胃内アンモニアレベルの減少をもたらす、抗菌組成物が提供される。
【0117】
いくつかの実施形態において、ブドウ球菌属菌、例えば、スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)感染;プロテウス属菌、例えば、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)感染;クレブシエラ属菌、例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染、及びマイコバクテリウム属菌、例えば、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染に感染した脊椎動物における胃内アンモニアレベルの低下をもたらす、抗菌組成物が提供される。
【0118】
いくつかの実施形態において、胃内アンモニアの減少が、プラセボと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%以上である、抗菌組成物が提供される。
【0119】
いくつかの実施形態において、胃内アンモニアの減少が、プラセボと比較して、少なくとも0.1、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍以上である、抗菌組成物が提供される。
【0120】
いくつかの実施形態において、予測マーカーの減少がプラセボと比較して統計的に有意である、抗菌組成物が提供される。
【0121】
いくつかの実施形態において、ヘリコバクター・ピロリに感染したヒトにおける胃内アンモニアマーカーレベルの減少が統計的に有意である、抗菌組成物が提供される。いくつかの実施形態において、ヘリコバクター・ピロリに感染したヒトにおいて統計的に有意な臨床的改善をもたらす、抗菌組成物が提供される。
【0122】
「後退」という用語は、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染に起因又は関連する、疾患若しくは障害、ウイルス量、又は少なくとも1つの識別可能な症状若しくはマーカーの「低減」、「減少」、又はそれを「低減する」という用語と同義的に使用され得る。いくつかの実施形態において、低減は、コントロール又はプラセボと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%以上である。いくつかの実施形態において、低減は、コントロール又はプラセボと比較して、少なくとも0.1、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍以上である。いくつかの実施形態において、後退又は低減は統計的に有意である。いくつかの実施形態において、本発明の有効性又は治療は定量化工程により評価される。いくつかの実施形態において、後退は定量化工程により評価される。別の実施形態において、定量化工程は試料に対して実施される。別の実施形態において、定量化工程はイムノアッセイによって実施される。いくつかの実施形態において、試料は、血漿試料、血液試料、痰試料、洗浄液、滑液、又はこれらの組み合わせのうちの1つである。
【0123】
いくつかの実施形態において、後退とは、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染に起因又は関連する疾患若しくは障害、又は少なくとも1つの識別可能な症状を指す。いくつかの実施形態において、後退とは、ブドウ球菌属菌、例えば、スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)感染;プロテウス属菌、例えば、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)感染;クレブシエラ属菌、例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染、及びマイコバクテリウム属菌、例えば、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染を含むウレアーゼ活性菌感染に起因又は関連する疾患若しくは障害、又は少なくとも1つの識別可能な症状を指す。いくつかの実施形態において、後退は、例えば、疾患、障害、又は症状が、例えば、発生頻度、強度、及び重症度の観点から変化する程度の指標を提供するために使用される。いくつかの実施形態において、後退とは、例えば治療された対象における発熱を、少なくする、落とす、低くする、又は軽減することを意味する。いくつかの実施形態において、減少とは、治療された患者におけるウイルス量を少なくする、落とす、低くする、又は軽減することを意味する。いくつかの実施形態において、本治療は、プラセボと比較して、治療された患者におけるウイルス量の減少を加速させるか、又は速くする。いくつかの実施形態において、ウイルス量の減少は統計的に有意である。
【0124】
本明細書で使用される場合、「有意な」という用語は、例えば、減少、増強、寛解、改善、予防、又は逆転を指す場合、統計的に有意であり、単なる偶然によるものではなく、0.05以下のp値を有するものである。特に、「有意な」という用語は、例えば、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染に起因又は関連する疾患、障害、又は症状の、低減、増強、寛解、改善、予防、又は逆転を指す場合、例えば、1又は複数の未治療患者における着床又は妊娠の発生レベル又は頻度と比較した場合、又は、より早い時点で観察された同一患者における着床又は妊娠の発生レベル又は頻度と比較した場合(例えば、「ベースライン」レベル又はプラセボとの比較)、0.05未満、0.04未満、0.03未満、0.01未満、0.005未満、0.001未満などのp値を有する可能性がある。当業者であれば、様々な統計的計算アプローチに精通しているであろう。例としては、t検定、z検定、標本検定、正規分布データに対するO'Brien-Fleming法などが挙げられる。
【0125】
本明細書で使用される場合、「有意な」という用語は、例えば、減少、増強、寛解、改善、予防、又は逆転を指す場合、統計的に有意であり、偶然のみによるものではなく、0.05以下のp値を有するものである。特に、「有意な」という用語は、例えば、ブドウ球菌属菌、例えば、スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)感染;プロテウス属菌、例えば、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)感染;クレブシエラ属菌、例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染、及びマイコバクテリウム属菌、例えば、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染に起因又は関連する疾患、障害、又は症状の、低減、増強、寛解、改善、予防、又は逆転を指す場合、例えば、1又は複数の未治療患者における着床又は妊娠の発生レベル又は頻度と比較した場合、又は、より早い時点で観察された同一患者における着床又は妊娠の発生レベル又は頻度と比較した場合(例えば、「ベースライン」レベル又はプラセボとの比較)、0.05未満、0.04未満、0.03未満、0.01未満、0.005未満、0.001未満などのp値を有する可能性がある。当業者であれば、様々な統計的計算アプローチに精通しているであろう。例としては、t検定、z検定、標本検定、正規分布データに対するO'Brien-Fleming法などが挙げられる。
【0126】
いくつかの実施形態において、有意な低減、増強、寛解、改善、予防、又は逆転とは、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染に起因又は関連する疾患、障害、又は症状の、統計的に有意な低減、増強、寛解、改善、予防、又は逆転を指す。
【0127】
本発明の一態様において、GIT疾患又は障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防を必要としている哺乳類及び鳥類を含む脊椎動物における、GIT疾患又は障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防のために設計された、別々の、併用された、又は同時の投与のための、医薬品製剤の調製又は製造のための抗菌組成物の使用が提供される。
【0128】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、身体が炎症反応でヘリコバクター・ピロリと闘うために、自然に胃酸を多く作り出しているという仮説を立てた。身体はまた、この胃酸が多くなり過ぎると緩衝が必要であることを認識し、カルシウムとマグネシウムの貯蔵を使用してこれを達成する。時間が経つにつれて、酸が多くなり過ぎ、マグネシウムとカルシウムの貯蔵が枯渇すると、自己免疫応答とヘリコバクター・ピロリのコロニー形成によって生じる胃の障害に加えて、他の多くの病気を引き起こす。本発明の非抗生物質系抗菌組成物を使用することにより、ヒトなどの罹患対象のアンモニアレベル及び尿素レベルの減少を実験的に効果的に示すことができただけでなく、病原体であるヘリコバクター・ピロリの完全な除去を示すことができ、それによりヘリコバクター・ピロリに関連した症状、疾患、及び状態を緩和及び/又は予防することができた。
【0129】
さらに、胃腸管内の他のウレアーゼ陽性菌感染症にも同じ状況が当てはまるという仮説もある。
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が、1日当たり、抗菌組成物の用量を、単回投与で、又は適切な間隔で投与される分割投与量若しくはサブ用量として投与するのに適した形態である、抗菌組成物の使用対象とする。
【0131】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が、1日当たり又は1投与につき、1回、2回、3回、4回、又はそれ以上の回数分の投与量すなわちサブ用量として投与される、抗菌組成物の使用対象とする。
【0132】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が10~10CFU/gのラクトバチルス・ロイテリDSM17648又はラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87、及びゼオライトと、を含み、ゼオライトは少なくとも50mg/製剤1グラムの量で存在する、抗菌組成物の使用対象とする。
【0133】
いくつかの実施形態において、ゼオライトは、典型的には、約0.1~2000mg/kg体重、約0.15~1750mg/kg体重、約0.2~1700mg/kg体重、約0.3~1500mg/kg体重、約0.5~1250mg/kg体重、約1~1000mg/kg体重、約2~900mg/kg体重、約3~800mg/kg体重、約4~700mg/kg体重、約5~600mg/kg体重、約10~500mg/kg体重の範囲内であり、1日当たり又は1投与につき、1回、2回、3回、4回、又はそれ以上の回数分の投与量すなわちサブ用量として投与される。いくつかの実施形態において、用量は、400mg/kg体重が、1日当たり又は1投与につき、1回、2回、3回、4回、又はそれ以上の回数分の投与量すなわちサブ用量として投与される。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムをさらに含み、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムがそれぞれ少なくとも0.5mg/組成物又は製剤1グラムの量で存在する、抗菌組成物の使用対象とする。
【0135】
いくつかの実施形態において、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムは、典型的には、約0.1~200mg/kg体重、約0.15~150mg/kg体重、約0.2~120mg/kg体重、約0.3~100mg/kg体重、約0.5~75mg/kg体重、約1~50mg/kg体重、約2~40mg/kg体重、約3~30mg/kg体重、約4~20mg/kg体重、約5~10mg/kg体重の範囲内であり、1日分又は1投与分が、1回、2回、3回、4回、又はそれ以上の回数の投与量すなわちサブ用量として投与される。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明は、抗菌組成物の用量がカプセル剤、凍結乾燥製剤、液剤、丸剤、散剤、又はゲル剤として製剤化される、抗菌組成物の使用対象とする。
【0137】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療が、ヘリコバクター属菌の感染によって引き起こされた、又はそれと関連している疾患又は障害の完全寛解をもたらす、抗菌組成物の使用対象とする。
【0138】
いくつかの実施形態において、組成物は、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を約1010細胞/mlで含有する。いくつかの実施形態において、接種された水性媒体は、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を約10細胞/mlで含有する。いくつかの実施形態において、接種された水性媒体は、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を約 細胞/mlで含有する。いくつかの実施形態において、接種された水性媒体は、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を約10細胞/mlで含有する。いくつかの実施形態において、接種された水性媒体は、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を約 細胞/mlで含有する。いくつかの実施形態において、接種された水性媒体は、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を約10細胞/mlで含有する。
【0139】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種が生菌である、抗菌剤が提供される。
【0140】
当業者であれば、微生物細胞の生存率は、液体が試験される場合は1ミリリットル当たりのコロニー形成単位(CFU/mL)、固形物が試験される場合は1グラム当たりコロニー形成単位(CFU/g)を用いて、評価又は推定できることを知っているだろう。
【0141】
いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種組成物が液体である場合、生細胞の濃度は、1ミリリットル当たりのコロニー形成単位(CFU/mL又は増殖培地)を介して推定することができる。いくつかの実施形態において、組成物中の生細胞の濃度は、0.5×10~1×10CFU/mL、0.5×10~500×10CFU/mL、0.5×10~400×10CFU/mL、0.5×10~300×10CFU/mL、0.5×10~200×10CFU/mL、0.5×10~150×10CFU/mL、0.5×10~125×10CFU/mL、0.5×10~100×10CFU/mL、0.5×10~75×10CFU/mL、0.5×10~50×10CFU/mL、0.5×10~10×10CFU/mL、0.5×10~5×10CFU/mL、0.5×10~1×10CFU/mL、1×10~1×10CFU/mL、1×10~500×10CFU/mL、1×10~400×10CFU/mL、1×10~300×10CFU/mL、1×10~200×10CFU/mL、1×10~150×10CFU/mL、1×10~125×10CFU/mL、1×10~100×10CFU/mL、1×10~75×10CFU/mL、1×10~50×10CFU/mL、1×10~10×10CFU/mL、1×10~5×10CFU/mL、5×10~1×10CFU/mL、5×10~500×10CFU/mL、5×10~400×10CFU/mL、5×10~300×10CFU/mL、5×10~200×10CFU/mL、5×10~150×10CFU/mL、5×10~125×10CFU/mL、5×10~100×10CFU/mL、5×10~75×10CFU/mL、5×10~50×10CFU/mL、5×10~10×10CFU/mL、10×10~1×10CFU/mL、10×10~500×10CFU/mL、10×10~400×10CFU/mL、10×10~300×10CFU/mL、10×10~200×10CFU/mL、10×10~150×10CFU/mL、10×10~125×10CFU/mL、10×10~100×10CFU/mL、10×10~75×10CFU/mL、10×10~50×10CFU/mL、50×10~1×10CFU/mL、50×10~500×10CFU/mL、50×10~400×10CFU/mL、50×10~300×10CFU/mL、50×10~200×10CFU/mL、50×10~150×10CFU/mL、50×10~125×10CFU/mL、50×10~100×10CFU/mL、50×10~75×10CFU/mL、100×10~1×10CFU/mL、100×10~500×10CFU/mL、100×10~400×10CFU/mL、100×10~300×10CFU/mL、100×10~200×10CFU/mL、100×10~150×10CFU/mL、100×10~125×10CFU/mL、125×10~1×10CFU/mL、125×10~500×10CFU/mL、125×10~400×10CFU/mL、125×10~300×10CFU/mL、125×10~200×10CFU/mL、125×10~150×10CFU/mL、150×10~1×10CFU/mL、150×10~500×10CFU/mL、150×10~400×10CFU/mL、150×10~300×10CFU/mL、150×10~200×10CFU/mL、200×10~1×10CFU/mL、200×10~500×10CFU/mL、200×10~400×10CFU/mL、200×10~300×10CFU/mL、300×10~1×10CFU/mL、300×10~500×10CFU/mL、300×10~400×10CFU/mL、400×10~1×10CFU/mL、400×10~500×10CFU/mL、若しくは500×10~1×10CFU/mL、又はそれ以上(10×10CFU/mlなど)である。
【0142】
いくつかの実施形態において、組成物が固体である場合、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種生細胞の濃度は、1グラム当たりのコロニー形成単位(CFU/g)を介して推定することができる。いくつかの実施形態において、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の濃度は、0.5×10~1×10CFU/g、0.5×10~500×10CFU/g、0.5×10~400×10CFU/g、0.5×10~300×10CFU/g、0.5×10~200×10CFU/g、0.5×10~150×10CFU/g、0.5×10~125×10CFU/g、0.5×10~100×10CFU/g、0.5×10~75×10CFU/g、0.5×10~50×10CFU/g、0.5×10~10×10CFU/g、0.5×10~5×10CFU/g、0.5×10~1×10CFU/g、1×10~1×10CFU/g、1×10~500×10CFU/g、1×10~400×10CFU/g、1×10~300×10CFU/g、1×10~200×10CFU/g、1×10~150×10CFU/g、1×10~125×10CFU/g、1×10~100×10CFU/g、1×10~75×10CFU/g、1×10~50×10CFU/g、1×10~10×10CFU/g、1×10~5×10CFU/g、5×10~1×10CFU/g、5×10~500×10CFU/g、5×10~400×10CFU/g、5×10~300×10CFU/g、5×10~200×10CFU/g、5×10~150×10CFU/g、5×10~125×10CFU/g、5×10~100×10CFU/g、5×10~75×10CFU/g、5×10~50×10CFU/g、5×10~10×10CFU/g、10×10~1×10CFU/g、10×10~500×10CFU/g、10×10~400×10CFU/g、10×10~300×10CFU/g、10×10~200×10CFU/g、10×10~150×10CFU/g、10×10~125×10CFU/g、10×10~100×10CFU/g、10×10~75×10CFU/g、10×10~50×10CFU/g、50×10~1×10CFU/g、50×10~500×10CFU/g、50×10~400×10CFU/g、50×10~300×10CFU/g、50×10~200×10CFU/g、50×10~150×10CFU/g、50×10~125×10CFU/g、50×10~100×10CFU/g、50×10~75×10CFU/g、100×10~1×10CFU/g、100×10~500×10CFU/g、100×10~400×10CFU/g、100×10~300×10CFU/g、100×10~200×10CFU/g、100×10~150×10CFU/g、100×10~125×10CFU/g、125×10~1×10CFU/g、125×10~500×10CFU/g、125×10~400×10CFU/g、125×10~300×10CFU/g、125×10~200×10CFU/g、125×10~150×10CFU/g、150×10~1×10CFU/g、150×10~500×10CFU/g、150×10~400×10CFU/g、150×10~300×10CFU/g、150×10~200×10CFU/g、200×10~1×10CFU/g、200×10~500×10CFU/g、200×10~400×10CFU/g、200×10~300×10CFU/g、300×10~1×10CFU/g、300×10~500×10CFU/g、300×10~400×10CFU/g、400×10~1×10CFU/g、400×10~500×10CFU/g、若しくは500×10~1×10CFU/g、又はそれ以上(10×10CFU/mlなど)である。
【0143】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が10~10CFU/gのラクトバチルス・ロイテリDSM17648又はラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87、及びゼオライトと、を含み、ゼオライトは少なくとも50mg/製剤1グラムの量で存在する、抗菌組成物の使用対象とする。
【0144】
いくつかの実施形態において、本発明は、医薬品製剤が炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムをさらに含み、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムがそれぞれ少なくとも0.5mg/製剤1グラムの量で存在する、抗菌組成物の使用対象とする。
【0145】
いくつかの実施形態において、本発明は、抗菌組成物の用量がカプセル剤、凍結乾燥製剤、液剤、丸剤、散剤、又はゲル剤として製剤化される、抗菌組成物の使用対象とする。
【0146】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療が、ヘリコバクター属菌の感染によって引き起こされた、又はそれと関連している疾患又は障害の完全寛解をもたらす、抗菌組成物の使用対象とする。
【0147】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療が、ブドウ球菌属菌、例えば、スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)感染;プロテウス属菌、例えば、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)感染;クレブシエラ属菌、例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染、及びマイコバクテリウム属菌、例えば、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染に起因又は関連する疾患又は障害の完全寛解をもたらす、抗菌組成物の使用対象とする。
【0148】
クオラムセンシング
理論に拘束されることを望むものではないが、クオラムセンシングは一般に、細胞集団密度の変動に対する反応を表すと考えられている。クオラムセンシングを行う微生物、例えば細菌は、細胞密度の関数として濃度が上昇する自己誘導物質と呼ばれる化学シグナル分子を産生・放出する。最小閾値刺激濃度の自己誘導物質が検出されると、遺伝子発現が変化する。グラム陽性菌やグラム陰性菌などの微生物は、クオラムセンシング情報伝達回路を用いて、多種多様な生理活動を制御している。これらのプロセスには、共生、病原性、コンピテンス、接合、抗生物質産生、運動性、芽胞形成、バイオフィルム形成が含まれる。一般的に、グラム陰性菌はアシル化ホモセリンラクトンを自己誘導物質として用い、グラム陽性菌はオリゴペプチドを加工して情報伝達に用いる。この分野における最近の進歩は、自己誘導物質を介した細胞間コミュニケーションが、細菌種内と細菌種間の両方で起こることを示している。
【0149】
抗菌代謝産物の望ましいレベルは、抗菌組成物の好ましいその後の用途次第であり得る。
【0150】
いくつかの実施形態において、抗菌代謝産物の望ましいレベルは、対数期のピークにおけるものである。
【0151】
いくつかの実施形態において、対数期のピークに達すると、抗菌培養物の成長又は増殖が実質的に減少又は停止する。
【0152】
いくつかの実施形態において、抗菌代謝産物は、細菌病原体などの病原性微生物に対して毒性であり得る。本明細書で使用する場合、「毒性」という用語は、免疫応答、特に抗体の産生を誘導する毒素又は他の微生物物質若しくは代謝産物を指す。
【0153】
様々な実施形態において、増殖させた抗菌培養物は、病原体を無発病性にする細菌クオラムセンシングカスケードの阻害を通じて、細菌などの微生物によって引き起こされる哺乳動物、特にヒトの疾患の治療に有用である。このような疾患には、心内膜炎、呼吸器感染症及び肺感染症(好ましくは、免疫不全患者)、菌血症、皮膚状態、膣感染症、結腸感染症、中枢神経系感染症、外耳炎を含む耳感染症、眼感染症、骨感染症及び関節感染症、尿路感染症、胃腸感染、並びに、創傷感染症、膿皮症、及びアトピー性皮膚炎を含む皮膚軟組織感染症が含まれ、これらは全てヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌によって誘発され得る。
【0154】
いくつかの実施形態において、増殖した抗菌培養物は凍結乾燥される。本明細書で使用される場合、「凍結乾燥」という用語は、増殖させた抗菌培養物を、非常に迅速に凍結させ、次いで真空又は昇華に供して氷を除去することによって保存することを意味する。いくつかの実施形態において、凍結乾燥抗菌培養物は長期保存される。いくつかの実施形態において、凍結乾燥抗菌培養物は、生存可能な微生物細胞を含む。いくつかの実施形態において、凍結乾燥は、注射用に再調製される剤形を調製するために使用され得る。いくつかの実施形態において、増殖した抗菌培養物は、脱水又は他の方法で乾燥させる。
【0155】
いくつかの実施形態において、凍結乾燥抗菌培養物は、凍結乾燥抗菌組成物である。いくつかの実施形態において、増殖した抗菌培養物は、粉末の形態である。
【0156】
いくつかの実施形態において、凍結乾燥抗菌培養物は、凍結乾燥抗菌組成物である。いくつかの実施形態において、凍結乾燥抗菌組成物はゼオライト(zelotite)を含み、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)である。いくつかの実施形態において、凍結乾燥抗菌組成物は、ゼオライト(zelotite)及びラクトバチルス・ロイテリDSM17648を含む。いくつかの実施形態において、凍結乾燥抗菌組成物は、ゼオライト(zelotite)、ラクトバチルス・ロイテリDSM17648、及びミネラル塩を含む。いくつかの実施形態において、凍結乾燥抗菌組成物は、ゼオライト(zelotite)、ラクトバチルス・ロイテリDSM17648、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムを含む。これらの実施形態において、ラクトバチルス・ロイテリ菌株は、UBLRu-87であってもよい。
【0157】
いくつかの実施形態において、1又は複数の薬剤的に許容される成分と組み合わされた、増殖させた抗菌培養物が提供される。いくつかの実施形態において、1又は複数の薬剤的に許容される賦形剤又は添加剤と組み合わされた増殖させた抗菌培養物が提供される。
【0158】
本明細書の文脈において、「薬剤的に許容される賦形剤」とは、増殖させた抗菌培養物、例えば凍結乾燥培養物、の投与をさらに容易にするために、医薬組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及び種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、並びにポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0159】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、抗菌剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、抗菌剤を含む。
【0160】
したがって、本発明はまた、本明細書に記載される、増殖させた抗菌培養物、例えば凍結乾燥培養物、の治療有効量を含む医薬組成物を包含する、組成物に関する。本明細書で使用される場合、増殖させた抗菌培養物、例えば凍結乾燥培養物は、目標微生物濃度を及ぼす(affect)ことができるならば、治療効果を示す。
【0161】
好ましくは、増殖させた抗菌培養物、例えば凍結乾燥培養物又は製剤は、組成物、例えば凍結乾燥組成物、が対象に投与された後に、対象における細菌関連疾患又は障害などの微生物関連疾患を治療又は予防できる目標微生物濃度を及ぼす(affect)ことができるならば、治療効果を示す。いくつかの実施形態において、疾患又は障害は病原体と関連している。
【0162】
いくつかの実施形態において、病原体はヘリコバクター属菌である。いくつかの実施形態において、病原体は、ヘリコバクター・カニス(Helicobacter canis)、ヘリコバクター・フェリス(Helicobacter felis)、ヘリコバクター・ハイルマンニー(Helicobacter heilmannii)、ヘリコバクター・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクター・ビッツォゼロニー(Helicobacter bizzozeronii)、ヘリコバクター・アシノニクス(Helicobacter acinonyx)、ヘリコバクター・フェンネリアエ(Helicobacter fenneliae)、ヘリコバクター・ラッピニ(Helicobacter rappini)、ヘリコバクター・ヘパティクス(Helicobacter hepaticus)、ヘリコバクター・プルロルム(Helicobacter pullorum)、ヘリコバクター・ビリス(Helicobacter bilis)、ヘリコバクター・ロデンティウム(Helicobacter rodentium)、ヘリコバクター・トロゴントゥム(Helicobacter trogontum)、ヘリコバクター・シナエディ(Helicobacter cinaedi)、ヘリコバクター・ムリダルム(Helicobacter muridarum)、ヘリコバクター・パメテンシス(Helicobacter pametensis)、ヘリコバクター・コレシクタス(Helicobacter cholecyctus)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)を含む群から選択される。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態において、疾患又は症状は、ヘリコバクター・カニスに関連又は起因する。
【0164】
いくつかの実施形態において、病原体はヘリコバクター・ピロリである。
【0165】
いくつかの実施形態において、病原体は、ブドウ球菌属菌、例えば、スタフィロコッカス・カピティウス・ウレアリティカム(Staphylococcus capitius urealiticum)の感染;プロテウス属菌、例えばプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)の感染;クレブシエラ属菌、例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の感染、及びマイコバクテリウム属菌、例えば、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の感染である。
【0166】
別の実施形態において、本発明の増殖させた抗菌培養物、例えば凍結乾燥培養物は、動物に、好ましくは哺乳動物に、特にヒトに、非抗生物質系抗菌剤(non-antibiotic antibiotic)それ自体として、互いの混合物として、又は、経腸的若しくは非経口的使用を可能にし、且つ、慣用の医薬賦形剤及び添加剤に加えて、増殖させた抗菌培養物、例えば凍結乾燥培養物、の有効量を有効成分として含有する医薬品製剤の形態で、直接投与することができる。
【0167】
前述したように、増殖させた抗菌培養物に加えて、培養物は、慣用の、通常不活性な担体物質、添加物、又は賦形剤をさらに含有することができる。すなわち、培養物は、例えばガレノス製剤に一般的に使用される添加物又はアジュバントを含有することもでき、例えば、充填剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、流動促進剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味剤、着色剤、着香剤(flavouring)又は芳香剤(aromatiser)、緩衝物質、さらに、溶媒若しくは溶解補助剤、又はデポー効果を達成するための薬剤、並びに、浸透圧を変更するための塩、コーティング剤、又は抗酸化剤なども含むもとができる。培養物は、2つ以上の培養物を含有することもでき、また、抗ウイルス剤、抗真菌剤、又は抗生物質などの他の治療活性物質を含有することもできる。
【0168】
したがって、本発明の培養物は、単独で、本発明の他の化合物と組み合わせて、又は他の活性化合物と、例えば前述の疾患の治療用に既に知られている有効成分と組み合わせて、使用することができ、最後の場合には有利な相加効果が認められる。
【0169】
別の態様において、本発明は、食品、飲料、栄養製品、栄養補助食品、及び動物用飼料から選択される製品を調製するプロセスを提供し、このプロセスは、1又は複数の成分を増殖させた抗菌培養物と組み合わせることを含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、増殖させた抗菌培養物製品は、不活性賦形剤、無機賦形剤、又は有機賦形剤を組み込むことができる。
【0171】
いくつかの実施形態において、丸剤、散剤、錠剤、コーティング錠、及びハードゼラチンカプセルを調製するためには、例えば、ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを使用することができる。ソフトゼラチンカプセル及び坐剤用の賦形剤は、例えば、脂肪、ワックス、半固体ポリオール及び液体ポリオール、天然油又は硬化油などである。液剤及びシロップ剤の製造に適した賦形剤は、例えば、水、アルコール、スクロース、転化糖、グルコース、ポリオールなどである。
【0172】
材料及び方法
1.ヘリコバクター・ピロリの増殖及び実験室での維持
【0173】
ヘリコバクター・ピロリを維持及び増殖させる様々な微生物学的技術及び方法が当業者には知られているだろう。
【0174】
本発明で採用された、そのような実験技術の一例は、以下のリンクで見出すことができる:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3357201/#:~:text=CULTURE%20OF%20H ELICOBACTER%20ORGANISMS%20ON,as%20horse%2C%20ox%2C%20or%20sheep
【0175】
2.ウレアーゼアウトプット試験
【0176】
ウレアーゼ活性アッセイ用キット(シグマ・アルドリッチ社)
【0177】
ウレアーゼ試験は、尿素を加水分解することでアンモニアと二酸化炭素を産生することができる生物を同定するものである。ウレアーゼ試験は主に、ウレアーゼ陽性のプロテウス族を他の腸内細菌科から区別するために使用される。
【0178】
方法1
【0179】
M9U培地による尿素分解活性アッセイは、セルベース及びセルフリーでウレアーゼ活性をスクリーニングすることができる。尿素含有増殖培地、並びに、プレートリーダー構成における細菌細胞と純粋ウレアーゼの両方からのウレアーゼ活性を連続的にリアルタイムでモニタリング及びスクリーニングする方法。既知組成のM9ベース尿素(M9U)培地は、M9Uの原理的基礎(principle foundation)を形成した確立された周知の複合尿素培地であるクリステンゼン尿素ブロス(CUB)とスチュワート尿素ブロス(SUB)の両方よりも、感度がより高く、プレートリーダー構成に適していることが分かった。さらに、プレートリーダーをベースとした方法におけるM9U培地を使用するウレアーゼ活性測定は、ウレアーゼ阻害剤の信頼できる高処理スクリーニング系を可能にする。
【0180】
細菌及び無細胞ウレアーゼの尿素分解活性の高感度リアルタイムモニタリングのためのM9ベースの尿素培地(M9U)の開発 Jens Jakob Sigurdarson,Simon Svane,Henrik Karring: https://doi.org/10.1002/mbo3.976
【0181】
方法2
【0182】
開発されたアッセイは、ウレアーゼ阻害剤を細胞環境で直接試験するための頑健性のある細胞モデルである。ウレアーゼ活性化に必要な2つのアクセサリータンパク質であるUreFとUreDとの間の相互作用に影響を与える共発現ペプチドの有効性が観察された。この現象は、結合時の折り畳みを介して生じる過程を含み、タンパク質界面における本質的に無秩序なホットスポットの重要性を示唆している。
【0183】
Targeting Helicobacter pylori urease activity and maturation: In-cell high-throughput approach for drug discovery CinziaTarsia, AlbertoDanielli, FrancescaFlorini, PaoloCinelli, StefanoCiurli, Barbara Zambelli。
【0184】
ウレアーゼ活性の検出には、2種類の培地が一般的に使用される。
【0185】
クリステンセン尿素寒天培地は、様々な微生物における、ウレアーゼ活性の検出に用いられる。スチュアート尿素ブロスは、主にプロテウス属の鑑別に用いられる。クリステンセン尿素寒天培地の場合、ウレアーゼの産生は斜面上に鮮やかなピンク色(フクシア色)として現れし、1~6時間の培養後にその色が底部(butt)まで広がることがある。
【0186】
生物体がウレアーゼ陰性である場合、培地は黄味がかった色のままである。
【0187】
スチュアート尿素ブロスの場合、ウレアーゼ産生は、ブロス全体が鮮やかなピンク色(フクシア色)になることで現れる。
【0188】
アンモニア検査-例示的予測マーカー
【0189】
アンモニウム検査キットQuantofix(シグマ・アルドリッチ社)アンモニアアッセイキット(シグマ・アルドリッチ社)。
【0190】
以下の濃度:50mg/L、100mg/L、300mg/L、及び500mg/LのN-NH4+を有する4つの溶液を、濃度1g/Lの塩化アンモニウム標準溶液から調製した。これらの溶液を電位差測定法により行われるpH分析にかけた。
【0191】
1g、2g、及び3gのクリノプチロライトのサンプルを秤量し、100mlのN-NH4+溶液を加えた。調製したサンプルを30分間、60分間、及び180分間振盪し、その後pHを測定した。次に、アンモニア性窒素の濃度を測定するため、サンプルをろ過した。
【0192】
各溶液はトリプリケートで調製した。
【0193】
水相のアンモニウム濃度は標準的な蒸留法で測定した。アンモニア性窒素を測定する前に、ろ過したサンプルを蒸留にかけ(BUCHI323)、分光光度計(ハック社)を用いてN-NH4+の濃度を測定した。
【0194】
抗菌組成物A、B、C、及びDの、アンモニア、アンモニウム、及びウレアーゼ(例示的予測マーカー)の減少試験
【0195】
図1には、本発明の抗菌組成物を用いた、インビトロにおける尿素及びアンモニア減少アッセイのデータが記載されている。
【0196】
固定床イオン交換カラム試験
地下水から硝酸塩を除去するための吸着剤として天然ゼオライト(束沸石)の実現可能性を試験するため、ガラス製カラム(60cm×0.8cm)における連続適用モードを試験した。
【0197】
天然ゼオライト(束沸石)を蒸留水中に約10分間懸濁させた後、カラム試験に用いた。硝酸溶液の流れによる吸着剤の損失を避けるため、グラスウールをカラムの底に保持した。その後、吸着剤をカラム内のグラスウール上に移した。硝酸溶液は蠕動ポンプを用いて10ml/分の流量でカラムに供給した。Journal of Water Resource and Hydraulic Engineering Dec. 2014, Vol.b, Iss. 4, PP. 74-80 - 77-飽和容量(exhaustive capacity)を測定する 、カラムの底部から50mlの排出液を分取した。
【0198】
このプロセスは、排出液中の硝酸塩量がフィード中の硝酸塩量と同じになるまで続けられた。PHはpHメーター(エリコ社製装置 モデルLI-107)を用いて測定した。希HCL溶液とNaOH溶液を用いて硝酸溶液のpHを調整することにより、pH2~7の範囲でpHの影響を調べた。
【0199】
蠕動ポンプを用い、1~5mL/分の間で流量を変えて流量の影響を調べた。初期濃度が異なることによる影響は、40~240mg/Lの範囲で濃度が異なる硝酸溶液を用いて調べた。
【0200】
各交換サービスサイクル後、濃度30g/Lの硝酸ナトリウム溶液をカラム上部からゼオライト固定床を通過させることで、再生サイクルを行った。再生プロセスは、排出液中の硝酸イオン濃度が になった時点で停止した。
【0201】
抗菌組成物A、B、C、及びDのヘリコバクター・ピロリ量を効果的に減少させる能力に関する試験
【0202】
高アンモニア/アンモニウムを用いたモデル腸試験、抗菌組成物A、B、C、及びDはそれぞれどのような効果を示すか?
【0203】
アンモニア交換能(AEC)、最適化
【0204】
NH4+交換効率に対するCa2+の阻害効果は、半飽和速度定数(half-saturation rate constant)を134.7mg/Lとする競合的阻害モノーモデルに当てはめた。Ca2+の添加はNH4+の除去率を低下させ、ゼオライトの交換平衡時間(exchange equilibrium time)を長くした。
【0205】
使用した再生剤からCa2+を炭酸カルシウムの形態で定期的に沈殿させると、Ca2+の阻害効果を軽減してNH4+の除去効率を見事に維持し、ゼオライトの実用寿命を延ばした。
【0206】
Bohart-AdamsモデルやThomasモデルと比較して、Dose-Responseモデルは破過曲線をよく予測することができ、さらにフィットしたパラメータによって、NaClO-NaCl再生と定期的なCa2+除去が、ゼオライトによる廃水からの効率的なNH4+を維持するための効果的な方法であることが確認された。
【実施例
【0207】
ヘリコバクター・ピロリの感染は、アンモニアレベル及び/又は尿素レベルの上昇と関連しており、これにより当該病原菌の一部がGITで見られる場合がある高いpH環境でも生存・増殖できることが知られている。
【0208】
しかしながら、アンモニア及び/又は尿素を除去、又はそのレベルを低下させることは、生理学的に正常な胃酸条件に曝された場合、ヘリコバクター・ピロリの生存に悪影響を及ぼす可能性がある。ヘリコバクター属菌、例えばヘリコバクター・ピロリが産生するアンモニア及び/又は尿素レベルを除去又は低減する本発明の抗菌組成物の能力を試験した。
【0209】
グラム陽性(+ve)細菌であるラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus L. reuteri)は、露出したヘリコバクター・ピロリに対して凝集し、炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウムなどの活性ミネラル塩と共に、対象から病原体を除去するのに役立つ。
【0210】
炭酸塩は胃の不快感を和らげ、胃の自然な働きのバランスを整えるのに寄与する。
【0211】
ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillius L. reuteri)は、胃の通常の胃酸条件を生存可能であり、微生物叢をより一層有利に形成する。
【0212】
対象にヘリコバクター・ピロリの以下の症状がある場合:膨満感感、胃が空の時に悪化する腹痛、悪心、息切れ、酸逆流、高アンモニア/アンモニウム値、潰瘍、胃炎、胃がん、黒いタール便。
【0213】
実施例-ヘリコバクター・ピロリ病原体感染症を治療するために使用された抗菌組成物A:
-3.5gの二重活性化ゼオライトクリノプチロライト
-10×10個の生菌ラクトバチルス・ロイテリDSM17648培養物。
【0214】
実施例-ヘリコバクター・ピロリ病原体感染症を治療するための試験で使用された抗菌組成物B:
-2gの炭酸カルシウム
-2gの炭酸マグネシウム
-3.5gの二重活性化ゼオライトクリノプチロライト
-10×10個の生菌ラクトバチルス・ロイテリDSM17648培養物。
【0215】
実施例-ヘリコバクター・ピロリ感染と関連した酸逆流及び膨満感を治療するための抗菌組成物C。
-1.5gの二重活性化ゼオライトクリノプチロライト
-5×10個の生菌ラクトバチルス・ロイテリDSM17648培養物。
【0216】
実施例-ヘリコバクター・ピロリ感染と関連した酸逆流及び膨満感を治療するための抗菌組成物D:
-1gの炭酸カルシウム
-1gの炭酸マグネシウム
-1.5gの二重活性化ゼオライトクリノプチロライト
-5×10個の生菌ラクトバチルス・ロイテリDSM17648培養物。
【0217】
抗菌組成物A、B、C、又はDは、ヒトなどの対象におけるヘリコバクター・ピロリ病原体感染症を治療するためのレジメンに用いることができる。
-選択した抗菌組成物の凍結乾燥培養物などの粉末のサシェ-水に溶かす;
-ラクツロース中の懸濁液
-錠剤形式
【0218】
動物などの対象におけるヘリコバクター・ピロリ病原体感染症を治療するためのレジメンに用いられる、抗菌組成物A、B、C、又はD。
-選択した抗菌組成物の凍結乾燥培養物などの粉末の袋-水に溶かす;
-ラクツロース中の懸濁液
【0219】
トライボメカニカル活性化ゼオライトクリノプチロライト(TMAZ(登録商標))の組成及び物理化学的性質
【0220】
化学組成SiO2、65.0~71.3%;Al、11.5~13.1%;CaO 2.7~5.2%;KO、2.2~3.4%;Fe、0.7~1.9%;MgO、0.6~1.2%;NaO、0.2~1.3%;TiO、0.1~0.3%;Si/Al比、4.8~5.4。
【0221】
実験式(Ca,K2,Na2,Mg)4Al8Si40O96×24H2O
-物理化学的特性 比質量(specific mass)、2.2~2.5g/cm;空孔率、32~40%;有効孔径、0.4nm
-イオン交換容量 総交換容量、1.2~1.5mol/kg;Ca2+、0.64~0.98mol/kg;Mg2+、0.06~0.19mol/kg;K、0.22~0.45mol/kg;Na、0.01~0.19mol/kg イオン交換選択性Cs>NH4+>Pb2+>K>Na>Mg2+>Ba2+>Cu2+>Zn2+
【0222】
吸収された化学物質 NH、 炭化水素C~C、CO、HS、SO、NO、アルデヒド
-毒性 無毒性;米国連邦規則集(21 CFR 182、 Subpart C)に基づいて、一般に安全と認められている(GRAS)。
【0223】
患者 ヘリコバクター・ピロリに対して有効な投与レジメン-レジメン期間5日間-図2-治療前と治療後のcfuを示す。
1日目~5日目
午前8時の治療前に食事を摂らない
午前8時 500mlの水中の選択した抗菌組成物(ここでは抗菌組成物Bを使用)、空腹時に服用
午前9時 何も塗らないトースト、水をたくさん飲む
午前10時 500mlの水中の抗菌組成物B
午前11時 何も塗らないトースト、水をたくさん飲む
午後12時 500mlの水中の抗菌組成物B
午後1時以降は通常通りの飲食をする。
【0224】
臨床環境におけるヒト患者などの対象に対しての効果的なインビボ試験。
【0225】
2020年5月以前、患者は健康で活動的な45歳の女性で、3人の子供の母親であった。
【0226】
以前は胃に異常はなく、3人全てを出産後すぐに正常に戻り一貫して平らな腹となった。
【0227】
2020年5月、患者はひどい膨満感感を感じ、かかりつけ医を受診した。かかりつけ医は患者に、その症状が単に年齢とホルモンに関連したものであり、検査は必要なく、腹部を手で診察するだけでよいと告げた。
【0228】
しかし、患者の視力は低下し始め、関節は硬直し痛み始め、胃の膨満感は続き、悪化し、肺を圧迫して息苦しくなった。
【0229】
2021年7月1日、X線検査により、患者の右足中足指節関節の軽度から中等度の変性が確認された。
【0230】
2021年6月29日に血液検査が行われ、血清ビタミンB12値(XE2pf)107ng/L(150~1000)で異常低値と報告され、患者は軽度の甲状腺機能低下症を有していた。
【0231】
7月12日から26日の2週間以内に、負荷投与量として、6回以上の一連のB12注射が投与された。
【0232】
2021年7月26日の便検査でヘリコバクター・ピロリ感染が確認された後、患者はNHSプロトコルの3剤併用療法(アモキシシリン500mg、クラリスロマイシン500mg、ランソプラゾール30mg)を7日間服用するよう処方された。
【0233】
患者は、ヘリコバクター・ピロリ感染治療用に処方された標準治療である抗生物質コースを完了し、2021年9月に検便を再検査した。しかし、検査結果は陽性のままで、症状の識別可能な改善は見られなかった。
【0234】
患者には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ゼオライトクリノプチロライト、及びラクトバチルス・ロイテリを併用して5日間治療を行った(セクションに詳述した抗菌組成物B。患者 ヘリコバクター・ピロリに対する投与と治療に有効なレジメン又はコース-レジメンの期間 5日間)。
【0235】
患者はこのコースを完了し、2021年10月8日に検便を再検査したところ、検査結果は陰性となった。
【0236】
11月30日 血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値5.6mlU/L(0.3~4.5) 甲状腺機能低下症 結果異常-治療前。
【0237】
1月31日 血清TSH値4.06mlU/L(0.3~4.5) 結果正常-本発明の抗菌組成物を用いた治療後。
【0238】
ヒトなどの対象の身体は、炎症反応において、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌と闘うための酸を自然に多く作り出すという仮説がある。身体はまた、酸のレベルが高くなり過ぎると、緩衝の必要があることを認識し、カルシウムやマグネシウムの貯蔵の助けを借りることで、これを達成する。しかし、長期間、例えば数週間、数ヶ月間、あるいは数年間、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染が続いて、酸が多くなり過ぎ、マグネシウム及びカルシウムの貯蔵が枯渇すると、自己免疫反応や当該病原体によるコロニー形成によって引き起こされる可能性のある胃障害に加えて、他の病気や付随する症状が引き起こされる可能性がある。本発明の非抗生物質系抗菌組成物を使用することにより、アンモニアレベル及び尿素レベルを効果的に低下させることができただけでなく、患者の生体内でヘリコバクター・ピロリを除去することもでき、また、ヘリコバクター・ピロリなどのヘリコバクター属菌の感染に関連又は付随する症状、疾患又は症状を予防することができた。同様の結果がラクトバチルス・ロイテリUBLRu-87でも期待される。
【0239】
さらなる実験研究
【0240】
様々なpHでのヘリコバクター・ピロリの生存率を調べるため、追加の実験研究を行った。
【0241】
ヘリコバクター・ピロリ株を培養する研究を実施した。
【0242】
全ての試験菌は、ブレインハートインヒュージョン寒天培地(BHIA)+5%血液(血液はおよそ2週間経過しているはずである)で培養し、10%CO2、5%O2、及び85%N2を供給されたDG250微好気性キャビネット内で、37℃で最長7日間培養した。
【0243】
各試験株について、2マクファーランド(1~10×10CFU/mL)に相当する接種菌液を5mLの滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で調製した。各接種菌懸濁液を、各増殖培地+10%[v/v]ウシ胎児血清(FBS)中に、1:10(2mL接種菌液+18mL培地)又は1:100(200μL+19.8mL培地)に希釈した。培地のみ(無菌)のコントロールも含まれた。
【0244】
接種直後に、0.5mLのサンプルを採取し、滅菌エッペンドルフチューブに入れた。1mLのサンプルから、5%血液を含有するブレインハートインヒュージョン(BHI)寒天培地上で、マイルスとミスラの方法論を用いて、総生菌数を測定した。適切な増殖が定量できるまで、微好気性条件下で約5日間プレートをインキュベートした。アンモニウムレベルの検出も行い、1mLのサンプルに2滴の試験試薬を加え、尿試験紙を使用して、サンプル中に存在するレベルを定量した(Quantofixロット315250)。
【0245】
残りのサンプルから、200μLを滅菌済み96ウェル平底微量希釈法用プレート(コーニング社;#3370)に取り、プレートリーダーで波長550nmでの吸光度を記録した。接種の2時間後、4時間後、8時間後、24時間後、48時間後、及び124時間後にサンプリングを繰り返した。結果を図3(ヘリコバクター・ピロリ株83及びATCC700824のブランク補正済み吸光度)及び図4(ヘリコバクター・ピロリ株83及びATCC700824の総生存数)に示す。
【0246】
総生細胞数(TVC)とアンモニウム濃度に対するpHの影響を調査した。
【0247】
ヘリコバクター・ピロリATCC700824を、ブレインハートインヒュージョン(BHI)+5%血液(血液はおよそ2週間経過しているはずである)で培養し、10%CO2、5%O2、及び85%N2を供給されたDG250微好気性キャビネット内で、37℃で最長7日間培養した。
【0248】
2マクファーランド(1~10×10CFU/mL)に相当する接種菌液を滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で調製し、BHI+10%[v/v]ウシ胎仔血清(FBS)及び0.1%[w/v]酵母抽出物に1:10希釈(20mL接種菌液+180mL培地)し、微好気性条件下で96時間インキュベートした。
【0249】
培養液を920mLのアリコートに分け、3500rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。細胞ペレットを、20mLの緩衝BHI+10%[v/v]ウシ胎児血清(FBS)及び0.1%[w/v]酵母抽出物に再懸濁し、5M塩酸でpH2、pH5、又はpH7に調整し、0mM、10mM、又は50mMの尿素を添加して、合計9サンプル(+各尿素濃度の無菌コントロール)を試験した。
【0250】
接種の0時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後にサンプルを取り出し、5%血液を含有するBHI寒天培地上で、マイルスとミスラの方法論を用いて、総生菌数を測定した。結果は図5で確認することができる。適切な増殖が定量できるまで、微好気性条件下で約5日間プレートをインキュベートした。アンモニウム濃度(Quantofix、ロット番号315250)及びpH(Fisherbrand、ロット番号18F0131)は、半定量的比色分析用ストリップを用いて測定した。結果は図6で確認することができる。
【0251】
本研究により、ヘリコバクター・ピロリは酸性の胃腸管内では何らかの生存メカニズムがなければ生存できないことが確認された。理論に拘束されることを望むものではないが、ヘリコバクター・ピロリは胃腸管内、特に胃内で、ペリプラズムにおいて、生存しているという仮説がある(Bury-Mone, S., Skouloubris, S., Labigne, A. and De Reuse, H. (2001), The Helicobacter pylori UreI protein: role in adaptation to acidity and identification of residues essential for its activity and for acid activation. Molecular Microbiology, 42: 1021-1034 and Wen Y, Scott DR, Vagin O, Tokhtaeva E, Marcus EA, Sachs G. Measurement of Internal pH in Helicobacter pylori by Using Green Fluorescent Protein Fluorimetry. J Bacteriol.2018 Jun 25;200(14):e00178-18. doi: 10.1128/JB.00178-18. PMID: 29735759; PMCID: PMC6018362.を参照されたい)。ペリプラズムは、細菌を、尿素の加水分解を通じて自身の環境のpHに順応させ、生存させる働きをする。この尿素の加水分解によって生じるアンモニウムの産生が、pHを調整し、ヘリコバクター・ピロリの生存にとっての最適条件を作り出す。他の研究もこの生存メカニズムを示しているが、これは、ヘリコバクター・ピロリが胃腸管内で粘液層の下に隠れて生存していると示唆した多数の文献とは異なる。本発明者は、ここでは、どちらの考え方も正しいと仮定している。そのため、胃腸管から上記細菌を根絶するための二重作用の治療を提案している。ラクトバチルス・ロイテリ(又は類似の乳酸菌)は上記細菌と結合し、上記細菌を胃腸管の粘液層から連れ出すのに役立つが、これは必ずしも効率的に体内から上記細菌を除去するものではない。クリノプチロライト又はNa-クリノプチロライトなどのゼオライトは、ヘリコバクター・ピロリとラクトバチルス・ロイテリ(又はその他の乳酸菌)を吸収する。ゼオライト、例えばクリノプチロライト、の陽イオン吸収能力は、ナトリウム、カルシウム、及び/又はマグネシウムイオンをアンモニウムと交換すると仮定される。本発明の、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の組成物は、不溶性であるため、ヘリコバクター・ピロリを連れ立って、身体から効率的に排出される。本発明の、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の組成物は、このように、胃腸管内のヘリコバクター・ピロリ感染、ウレアーゼ陽性菌、及びアンモニウムを効率的に根絶するために使用することができる、創出された非抗生物質系治療である、ヘリコバクター・ピロリに対するユニークで相乗的で効果的な治療を提供する。
【0252】
初期モデリングは、本発明の、ゼオライト(特に、ゼオライトが活性化クリノプチロライトである場合)と、ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種(ラクトバチルス・ロイテリなど)との組成物が、ゼオライト単独よりもヘリコバクター・ピロリをより迅速に除去することを可能にすることを示唆している。初期モデリングは、本発明の、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の組成物が、ゼオライト単独よりも、患者の胃腸管からヘリコバクター・ピロリをより完全に除去することを可能にすることを示唆している。
【0253】
組成物の少なくとも一部は、体温で実質的に水に不溶性であると考えられる。おそらく、ゼオライト成分の少なくともかなりの部分、あるいは全てが不溶性であり、そのことがクリアランスの助けとなっている。
【0254】
本明細書に例示として記載された開示は、本明細書に具体的に開示されていない1又は複数の要素、1又は複数の制限がない場合でも、好適に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「包含する(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡大的に、限定することなく読まれるものとする。さらに、本明細書で使用された用語及び表現は、限定ではなく説明のための用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用に際して、示されそして説明された特徴又はその一部のいかなる均等物も排除する意図は無く、特許請求された開示の範囲内で様々な変更が可能であると認識される。
図1
図2
図3
図4
図5A-C】
図6A-C】
【手続補正書】
【提出日】2025-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎動物の胃腸管における病原性のウレアーゼ活性菌の感染と関連した病状の治療で使用するための、ゼオライト及びラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種を含む抗菌組成物。
【請求項2】
脊椎動物におけるヘリコバクター属菌、ブドウ球菌属菌、プロテウス属菌、クレブシエラ属菌、及びマイコバクテリウム属菌と関連した病状の治療で使用するための、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項3】
前記ゼオライトが、ゼオライトクリノプチロライト(ZC)、活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)、好ましくは二重活性化ゼオライトクリノプチロライト(aZC)である、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項4】
前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種が、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、デルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、レビラクトバチルス・ブレビス(Levilactobacillus brevis)、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、リモシラクトバチルス・ファーメンタム(Limosilactobacillus fermentum)、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、及びラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)からなる群から選択される、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項5】
前記ラクトバチルス・ロイテリがラクトバチルス・ロイテリDSM17648である、請求項に記載の抗菌組成物。
【請求項6】
前記脊椎動物が前記抗菌組成物の治療有効量を投与され、そして、前記治療有効量が前記ゼオライト及び前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の投与レジメンによって達成される、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項7】
前記レジメンが前記ゼオライト及び前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種の1種類又は複数種類の投与方法を含む、請求項に記載の抗菌組成物。
【請求項8】
前記ラクトバチルス属の少なくとも1つの構成種が生菌である、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項9】
前記抗菌組成物が、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの生物活性物質又はミネラル、例えば、ビタミンD及びビタミンEなどのビタミン、薬剤的に許容される担体、添加物、並びにアジュバント、例えば、キトサン、α-ケトグルタル酸塩、クエン酸塩、及び乳酸塩などの抗菌性のキチン、をさらに含む、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項10】
前記脊椎動物がヒトであり、そして、前記抗菌組成物が、1又は複数のマーカーの減少をもたらす、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項11】
前記マーカーが尿素、胃内アンモニア、酸逆流、膨満感、及びウレアーゼ活性からなる群から選択される予測マーカーである、請求項10に記載の抗菌組成物。
【請求項12】
前記抗菌組成物が、ヘリコバクター・ピロリに感染した脊椎動物における胃内アンモニアレベルの減少をもたらす、請求項11に記載の抗菌組成物。
【請求項13】
前記胃内アンモニアの減少が、プラセボと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%以上である、請求項11に記載の抗菌組成物。
【請求項14】
前記胃内アンモニアの減少が、プラセボと比較して、少なくとも0.1、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍以上である、請求項11に記載の抗菌組成物。
【請求項15】
前記抗菌組成物が、ヘリコバクター属菌、ブドウ球菌属菌、プロテウス属菌、クレブシエラ属菌、及びマイコバクテリウム属菌のうちの1又は複数に感染したヒトにおいて統計的に有意な臨床的改善をもたらす、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項16】
前記抗菌組成物が、実質的に水に不溶である、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項17】
GIT疾患若しくは障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防を必要としている哺乳類及び鳥類を含む脊椎動物における、GIT疾患若しくは障害、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんの治療、軽減、又は予防のために設計された、単独、併用、又は同時投与のための、医薬品製剤の製造のための、請求項から16の何れか一項に記載の抗菌組成物の使用。
【請求項18】
前記医薬品製剤が、抗菌組成物の用量を1回投与で、又は1日当たり適切な間隔で投与される分割投与量若しくはサブ用量として投与するのに適した形態である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記医薬品製剤が、1日当り又は1投与当り、1回、2回、3回、4回、若しくはそれ以上の用量若しくはサブ用量として投与され、そして、前記医薬品製剤が、10 ~10 CFU/gのラクトバチルス・ロイテリDSM17648、及びゼオライトと、を含み、前記ゼオライトは少なくとも50mg/製剤1グラムの量で存在する、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
胃腸管内のアンモニアの減少で、好ましくは胃液中のアンモニア濃度の減少で使用するための、請求項1に記載の抗菌組成物。
【国際調査報告】