(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-17
(54)【発明の名称】水、カチオン性α-1,6-グルカンエーテル、及び有機溶媒を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20251009BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20251009BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20251009BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20251009BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20251009BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20251009BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20251009BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/40
A61K8/34
A61Q5/12
A61Q19/10
C11D7/50
C11D7/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025519750
(86)(22)【出願日】2023-10-12
(85)【翻訳文提出日】2025-04-03
(86)【国際出願番号】 US2023076672
(87)【国際公開番号】W WO2024081773
(87)【国際公開日】2024-04-18
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520346620
【氏名又は名称】ニュートリション・アンド・バイオサイエンシーズ・ユーエスエー・フォー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ガニョン、マイケル ディー
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ヘレン エス エム
(72)【発明者】
【氏名】クルース、イルッカ アイ
(72)【発明者】
【氏名】カシムラ、タケノリ
(72)【発明者】
【氏名】シヴィック、マーク ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ワルラヴェンス、ウォーター
(72)【発明者】
【氏名】デポート、カレイ ジェイ エム
(72)【発明者】
【氏名】クインティエリ、アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ニーハウス、クリスティン リン
(72)【発明者】
【氏名】ロエイ、カトリーン ヴァン
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB052
4C083AB332
4C083AC112
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC231
4C083AC232
4C083AC302
4C083AC532
4C083AC782
4C083AD131
4C083AD132
4C083CC33
4C083CC38
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA02
4H003EA19
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB16
4H003EB19
4H003ED02
(57)【要約】
(i)約20~70重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、(ii)約20~50重量%の少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、(iii)約45重量%未満の水とを含む組成物が本明細書に開示される。カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%は、α-1,6結合であり、エーテル誘導体は、少なくとも1つのエーテル結合した正帯電有機基との置換度(DoS)が約0.001~約3.0である。更に、これらの組成物を生成するための方法、及び様々な製品中の成分としてそれらを使用する方法が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約15重量%~約75重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、
(ii)約20重量%~約50重量%の少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、
(iii)約50重量%未満の水と、を含む組成物であって、
前記カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%は、α-1,6結合であり、
前記カチオン性α-グルカンエーテル誘導体は、α-グルカンにエーテル結合した少なくとも1つの正帯電有機基との置換度(DoS)が約0.001~約3.0である、組成物。
【請求項2】
前記カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のグリコシド結合の少なくとも約90%は、α-1,6結合である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カチオン性α-グルカンエーテル誘導体は、少なくとも約1%のα-1,2及び/又はα-1,3分岐を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(a)前記カチオン性エーテル誘導体のα-グルカンの重量平均分子量(Mw)は、約0.9kDa~450kDaである、又は
(b)前記カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のMwは、約1kDa~500kDaである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記DoSは、約0.01~1.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記正帯電有機基は、置換アンモニウム基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記置換アンモニウム基は、4級アンモニウム基を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記4級アンモニウム基は、トリメチルアンモニウム基を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記4級アンモニウム基は、少なくとも1つのC
10~C
16アルキル基を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記正帯電有機基は、4級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記4級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの有機溶媒は、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、及び/又はグリセロールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
(i)約25重量%~40重量%の前記少なくとも1つの有機溶媒と、
(ii)約25重量%~40重量%の前記少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、
(iii)約25重量%~40重量%の水と、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物を含む製品であって、典型的には、前記組成物は、前記製品の作製において成分/構成成分として使用された製品。
【請求項15】
前記製品は、家庭用ケア製品、パーソナルケア製品、工業製品、又は医薬品である、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記製品は、(i)ヘアシャンプー又はヘアコンディショナー、或いは(ii)皮膚洗浄剤、石鹸、又は他の皮膚洗浄製品である、請求項14に記載の製品。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物を製造する方法であって、
(a)前記カチオン性α-グルカンエーテル誘導体を含む水性組成物を提供する工程と、
(b)前記水性組成物中に、前記有機溶媒を混合する工程と、
(c)任意に、工程(b)の後に前記水性組成物中の前記カチオン性α-グルカンエーテル誘導体及び前記有機溶媒を濃縮する工程と、を含む、方法。
【請求項18】
工程(a)において提供される前記水性組成物は、前記カチオン性α-グルカンエーテル誘導体が生成されたエーテル化反応組成物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程(a)は、前記エーテル化反応組成物を1回以上の精製プロセスにかける工程を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第63/379,507号(2022年10月14日出願)及び米国仮特許出願第63/587,488号(2023年10月3日出願)の利益を主張するものであり、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、多糖誘導体の分野に含まれる。例えば、本開示は、カチオン性α-1,6-グルカンエーテル誘導体などの1つ以上のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体を含む水性組成物、及び様々な用途におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
酵素合成又は微生物の遺伝子工学を使用して新規な構造の多糖を見つけ出そうとする願望によって動機付けられ、研究者らは生分解性であり、再生可能資源原料から経済的に製造することができるオリゴ糖及び多糖を見出した。更なる研究は、このような多糖を化学的に改質(誘導体化)して、パーソナルケア、家庭用ケア、工業用ケア、医薬品及び食品等の分野で更なる有用性を有することができることを示している。例えば、α-1,3グリコシド結合を含むα-グルカンのエーテル及びエステルは、様々な用途を有することが開示されている(例えば、米国特許出願公開第2016/0304629号明細書、同第2016/0311935号明細書、同第2017/0204232号明細書、同第2014/0187767号明細書、同第2020/0308371号明細書)。α-1,6-グリコシド結合を含むα-グルカンの様々な誘導体、及びその使用のための用途も開示されている(例えば、米国特許出願公開第2018/0312781号明細書、同第2018/0237816号明細書、同第2018/0282385号明細書)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カチオン性α-1,6-グルカンエーテルは、表面沈着及び改質などの様々な有益な効果を示す。この有用性にもかかわらず、カチオン性α-1,6-グルカンエーテルを含む水性組成物は、処理及び取り扱いが困難な場合があり得る。本明細書では、この課題に対処する1つ以上のカチオン性α-1,6-グルカンエーテルを含む改質された水性組成物が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本開示は、
(i)約15重量%~約75重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、
(ii)約20重量%~約50重量%の少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、
(iii)約50重量%未満の水と、を含む組成物に関し、
この場合、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%は、α-1,6結合であり、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体は、α-グルカンにエーテル結合した少なくとも1つの正帯電有機基との置換度(DoS)が約0.001~約3.0である。
【0006】
別の実施形態では、本開示は、本開示の組成物を含む生成物に関し、典型的にはこの場合、組成物は、生成物を生成する際の成分又は構成成分として使用される。
【0007】
別の実施形態では、本開示は、本開示の組成物を生成する方法/プロセスに関する。このような方法/プロセスは:(a)本明細書のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体を含む水性組成物を提供する工程と、(b)水性組成物に、本明細書の有機溶媒を混合する工程と、(c)任意に、工程(b)の後に水性組成物中のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体及び有機溶媒を濃縮する工程と、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかの態様では液体組成物中に存在し得る様々なカチオン性エーテル化反応不純物が提示されている。
【
図2】いくつかの態様では液体組成物中に存在し得る様々な可能性のある不純物が提示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
引用した全ての特許及び非特許文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
別段の開示がなされていない限り、本明細書で使用される用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、1つ以上(即ち、少なくとも1つ)の言及される特徴を包含するものとする。
【0011】
存在する場合、特に記載しない限り、全ての範囲は、包括的であり、結合可能である。例えば、「1から5」の範囲(即ち1~5)が挙げられる場合、挙げられた範囲は、範囲「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2及び4~5」、「1~3及び5」等を含むものと解釈されるべきである。本開示における様々な範囲の数値は、特に明記しない限り、記載された範囲内の最小値及び最大値の両方が「約」という語で始まっているかのように近似値として記載される。この形式では、記述範囲の上下のわずかな変動は、典型的には、範囲内の値と実質的に同じ結果を実質的に達成するために用いることができる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間の各値及びあらゆる値を含む連続的な範囲を意図している。
【0012】
本明細書全体を通して与えられる全ての数値の上限が、全てのより低い数値の限界を、あたかもこのようなより低い数値の限界が本明細書で明示されていたかのように含むことが意図されている。本明細書全体を通して与えられる全ての数値の下限は、全てのより高い数値の限界を、あたかもこのようなより高い数値の限界が本明細書で明示されていたかのように含むであろう。本明細書全体を通して与えられる全ての数値範囲は、このようなより広い数値範囲内に入る全てのより狭い数値範囲を、あたかもこのようなより狭い数値範囲が本明細書で全て明示されていたかのように含むであろう。
【0013】
明確にするために、態様/実施形態との関連で上及び下に記載されている、本開示の特定の特徴は、単一要素においても組み合わせて提供されてもよいことが理解されるべきである。反対に、簡潔にするために、単一の態様/実施形態との関連で記載されている本開示の様々な特徴は、別個に又は任意の副次的組み合わせで提供され得る。
【0014】
用語「多糖」(又は「グリカン」)は、グリコシド結合によって互いに結合した単糖単位の長鎖で構成され、加水分解により多糖の構成単糖及び/又はオリゴ糖を与えるポリマー炭水化物分子を意味する。本明細書の多糖は、直鎖又は分岐であり得、且つ/或いはホモ多糖(1つの種類の構成要素である単糖のみで構成される)又はヘテロ多糖(2つ以上の異なる構成要素である単糖で構成される)であり得る。本明細書における多糖の例としては、グルカン(ポリグルコース)及び大豆多糖が挙げられる。
【0015】
本明細書の「グルカン」は、グルコースのポリマー(ポリグルコース)である多糖の一種である。グルカンは、例えば、約、又は少なくとも約90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、又は100重量%のグルコースモノマー単位で構成され得る。本明細書のグルカンの例は、α-グルカン及びβ-グルカンである。
【0016】
「α-グルカン」、「α-グルカンポリマー」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。α-グルカンは、α-グリコシド結合によってともに連結されたグルコースモノマー単位を含むポリマーである。典型的な態様では、本明細書のα-グルカンのグリコシド結合は、約、又は少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のα-グリコシド結合である。本明細書でのα-グルカンポリマーの一例は、α-1,6-グルカンである。
【0017】
本明細書における「α-1,6-グルカン」、「ポリα-1,6-グルカン」、「α-1,6-グルカンポリマー」、「デキストラン」等の用語は、グリコシド結合によってともに結合したグルコースモノマー単位を含む水溶性α-グルカンを指し、この場合、グリコシド結合の少なくとも約50%は、α-1,6である。いくつかの態様では、α-1,6-グルカンは、約又は少なくとも約90%、95%又は100%のα-1,6グリコシド結合を含む。α-1,6-グルカンに存在し得る他の結合としては、α-1,2、α-1,3及び/又はα-1,4結合が挙げられる。
【0018】
本明細書中で言及される「α-1,2分岐」(及び同様の用語)は、典型的には、デキストラン骨格にα-1,2-結合しているグルコースを含み、従って、本明細書のα-1,2分岐は、α-1,2,6結合と呼ばれることもできる。本明細書のα-1,2分岐は、典型的には、1つのグルコース基(任意に、ペンダントグルコースと呼ばれることができる)を有する。
【0019】
本明細書で言及される「α-1,3分岐」(及び同様の用語)は、典型的には、デキストラン骨格にα-1,3-結合しているグルコースを含み、従って、本明細書のα-1,3分岐は、α-1,3,6結合と呼ばれることもできる。本明細書のα-1,3分岐は、典型的には、1つのグルコース基(任意に、ペンダントグルコースと呼ばれることもできる)を有する。
【0020】
本明細書で言及される「α-1,4分岐」(及び同様の用語)は、典型的には、デキストラン骨格にα-1,4-結合しているグルコースを含み、従って、本明細書のα-1,4分岐は、α-1,4,6結合と呼ばれることもできる。本明細書のα-1,4分岐は、典型的には、1つのグルコース基(任意に、ペンダントグルコースと呼ばれることもできる)を有する。
【0021】
本明細書のα-グルカン中の分岐のパーセントは、分岐点に相当するα-グルカン中の全ての結合のパーセントを指す。例えば、本明細書のα-グルカン中のα-1,2分岐のパーセントは、α-1,2分岐点に相当するグルカン中の全ての結合のパーセントを指す。別段の記載がない限り、本明細書に開示される結合のパーセントは、α-グルカンの全結合、又は開示が特に考慮するα-グルカンの部分に基づく。
【0022】
「結合」、「グリコシド結合(linkage)」、「グリコシド結合(bond)」等の用語は、糖化合物(オリゴ糖及び/又は多糖)内の糖モノマーを結合する共有結合を指す。グリコシド結合の例は、1,6-α-D-グリコシド結合(本明細書では「α-1,6」結合とも呼ばれる)、1,3-α-D-グリコシド結合(本明細書では「α-1,3」結合とも呼ばれる)、1,4-α-D-グリコシド結合(本明細書では「α-1,4」結合とも呼ばれる)、及び1,2-α-D-グリコシド結合(本明細書では「α-1,2」結合とも呼ばれる)を含む。
【0023】
α-グルカン又はその誘導体のグリコシド結合プロファイルは、当技術分野において知られている任意の方法を用いて決定することができる。例えば、結合プロファイルは、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えば、13C NMR及び/又は1H NMR)を使用する方法を用いて決定され得る。用いることができるこれらの方法及び他の方法は、例えば、Food Carbohydrates:Chemistry,Physical Properties,and Applications(S.W.Cui.Ed,Chapter 3,S.W.Cui,Structural Analysis of Polysaccharides,Taylor&Francis Group LLC,Boca Raton,FL,2005)に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
本明細書で使用される用語「モル置換」(M.S.)は、本明細書のα-グルカンのモノマー単位当たりの有機基のモルを指す。α-グルカン誘導体のモル置換値は、例えば、数百又は数千でさえ、非常に高い上限を有し得ることに留意されたい。
【0025】
本明細書のα-グルカン又はα-グルカン誘導体の「分子量」は、重量平均分子量(Mw)又は数平均分子量(Mn)として表すことができ、その単位は、ダルトン(Da)又はグラム/モルである。或いはまた、分子量は、DPw(重量平均重合度)又はDPn(数平均重合度)として表すことができる。オリゴ糖などのより小さいα-グルカンポリマーの分子量は、任意に、「DP」(重合度)として提供されることができ、これは、単にα-グルカン内に含まれるモノマーの数を指し、「DP」は、個々の分子基準でポリマーの分子量を特徴付けることもできる。高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、又はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)等によって、これらの種々の分子量の測定値を計算するための種々の手法が、当技術分野において知られている。
【0026】
本明細書で使用される場合、Mwは、Mw=ΣNiMi2/ΣNiMi(式中、Miは、個々の鎖iの分子量であり、Niは、その分子量の鎖の数である)として計算することができる。SECの他に、静的光散乱、質量分光分析、MALDI-TOF(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型)、X線小角又は中性子散乱或いは超遠心分離等の他の技術によってポリマーのMwを決定することができる。本明細書で使用される場合、Mnは、Mn=ΣNiMi/ΣNi(式中、Miは、鎖iの分子量であり、Niは、その分子量の鎖の数である)として計算することができる。SECの他に、種々の束一的性質の方法、例えば、蒸気圧浸透圧測定、プロトンNMR、プロトンFTIR、又はUV-Vis等の分光分析方法による末端基定量によってポリマーのMnを決定することができる。本明細書で使用される場合、DPn及びDPwは、Mw及びMnから、それらを1つのモノマー単位のモル質量M1でそれぞれ割ることによって計算することができる。非置換グルカンポリマーの場合、M1=162である。置換(誘導体化)グルカンポリマーの場合、M1=162+Mf×DoSであり、式中、Mfは、置換基のモル質量であり、DoSは、置換度(グルカンポリマーの一グルコース単位当たりの置換基の平均数)である。
【0027】
本明細書の「α-グルカン誘導体」(及び同様の用語)は、典型的には、少なくとも1つの種類の有機基で置換されているα-グルカンを指す。いくつかの態様では、α-グルカン誘導体の置換度(DoS)は、約3.0(例えば、約0.001~約3.0)までであり得る。エーテル基である本明細書の有機基は、エーテル結合を介してα-グルカン誘導体に結合している。本明細書のα-グルカン誘導体の前駆体は、典型的には、誘導体の生成に使用される非誘導体化α-グルカンを指す(α-グルカン又は誘導体のα-グルカン部分とも呼ばれることができる)。本明細書の有機基は、典型的には、正に帯電しており(カチオン性)、一般に、このような電荷は、有機基が本明細書の水性組成物中に存在する場合に存在し得る電荷であり、水性組成物のpHを更に考慮に入れる(いくつかの態様では、pHは、4~10、5~9、6~8、又は本明細書に開示されている任意のpHであり得る)。
【0028】
本明細書で使用される用語「置換度」(DoS、又はDS)は、α-グルカン誘導体の各モノマー単位において、1つ又は複数のタイプの有機基(例えば、エーテル結合を介して)で置換されているヒドロキシル基の平均数を指す。本明細書のα-グルカン誘導体のDoSは、特定の置換基のDoS、又は異なる置換基タイプのDoS値の合計である全体のDoS(例えば、混合エーテルの場合)を参照して表すことができる。別段の開示がなされていない限り、特定の置換基タイプを参照してDoSが述べられていない場合、全体的なDoSが意味される。
【0029】
「エーテル」(例えば、α-グルカンエーテル誘導体)に関して本明細書で使用される用語は、例えば、米国特許出願公開第2016/0311935号明細書、同第2018/0237816号明細書、又は同第2020/0002646号明細書、或いは国際公開第2021/257786号パンフレットに開示されている通りであり得、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。「α-グルカンエーテル誘導体」、「α-グルカンエーテル化合物」、「α-グルカンエーテル」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書のα-グルカンエーテル誘導体は、1つ以上の有機基(例えば、カチオン性基などの荷電有機基)でエーテル化されたα-グルカンであり、誘導体は、1つ以上の有機基とのDoSが約3.0までである。α-グルカンエーテル誘導体は、本明細書では、サブ構造-CG-O-C-を含むことから「エーテル」と呼ばれ、この場合、「-CG-」は、α-グルカンエーテル誘導体のモノマー単位(典型的にはグルコース)の炭素原子(このような炭素原子は、エーテルのα-グルカン前駆体中のヒドロキシル基[-OH]に結合している)を表し、「-C-」は、有機基の炭素原子である。
【0030】
有機基は、「正帯電有機基」を指し得る。本明細書で使用される正帯電有機基とは、1つ以上の水素が別の原子又は官能基(即ち、「置換アルキル基」)で置換された1つ以上の炭素(例えば、「炭素鎖」)を指し、この場合、置換基の1つ以上は正帯電基によるものである。正帯電有機基が、正帯電基による置換に加えて置換を有する場合、このような更なる置換は、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(これによってアルデヒド基又はケトン基が形成される)、アルキル基、及び/又は更なる正帯電基によるものであり得る。正帯電有機基は、1つ以上の正帯電基を含むので、正味の正電荷を有する。「正帯電基」、「正帯電イオン基」、「カチオン性基」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。正帯電基は、カチオン(正帯電イオン)を含む。正帯電基の例として、置換アンモニウム基、カルボカチオン基、及びアシルカチオン基が挙げられる。
【0031】
「置換アンモニウム」、「置換アンモニウム基」、「置換アンモニウムイオン」、「置換アンモニウムカチオン」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書の「置換アンモニウム基」は、構造I:
【化1】
を含み、構造I中のR
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、又はアルカリル基を表す。構造IにおけるR
2、R
3及びR
4の配置は、一般に、特に重要ではなく、任意の特定の立体化学を引き起こすことを意図しない。構造I中の炭素原子(C)は、正帯電有機基の1つ以上の炭素(例えば、「炭素鎖」)の一部である。炭素原子は、本明細書のα-グルカンのグルコースモノマー単位に直接エーテル結合している、又はグルコースモノマー単位にエーテル結合している2つ以上の炭素原子の鎖の一部である。構造I中の炭素原子は、-CH
2-、-CH-(式中、一方のHが、ヒドロキシ基等の別の基で置換されている)、又は-C-(式中、両方のHが置換されている)であり得る。
【0032】
置換アンモニウム基は、構造I中のR2、R3、及びR4の組成に応じて、「1級アンモニウム基」、「2級アンモニウム基」、「3級アンモニウム基」、又は「4級アンモニウム基」であり得る。本明細書の「1級アンモニウム基」は、R2、R3、及びR4のそれぞれが水素原子である構造I(即ち-C-NH3
+)を指す。本明細書の2級アンモニウム基は、R2及びR3のそれぞれが水素原子であり、R4がアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、又はアルカリル基である構造Iを指す。本明細書の3級アンモニウム基は、R2が水素原子であり、R3及びR4のそれぞれがアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、又はアルカリール基である構造Iを指す。R2、R3及びR4の本明細書における割り当ては、完全に任意である。本明細書の4級アンモニウム基は、R2、R3、及びR4のそれぞれが独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、又はアルカリル基である(即ち、R2、R3、及びR4のいずれも水素原子でない)構造Iを指す。上記の命名法によって示される第4のメンバー(即ち、R1)は、α-グルカンのグルコースモノマー単位にエーテル結合している正帯電有機基の1つ以上の炭素(例えば、鎖)であることが理解されるであろう。
【0033】
本明細書の置換アンモニウムα-グルカンエーテルの例には、アンモニウム基をα-グルカンに結合させるヒドロキシプロピル基が含まれる。このようなエーテル化合物の正帯電有機基は、構造IIとして表すことができる:
【化2】
(式中、R
2、R
3、及びR
4のそれぞれは、1級、2級、3級、又は4級アンモニウム基のいずれかについて上記で説明した通りである)。
【0034】
本明細書における「エーテル化反応」、「エーテル化反応組成物」等の用語は、水と、本開示の少なくとも1つのα-グルカンと、エーテル化剤とを含む反応を指す。これらの構成成分は、典型的には、アルカリ性条件下で(典型的には、水酸化アルカリを含む水性溶媒中で)溶解及び/又は混合される。反応は、エーテル化剤がα-グルカンのグルコースモノマー単位の1つ以上のヒドロキシル基を本明細書の有機基でエーテル化するのに適切な条件(例えば、時間、温度、pH)下に置かれ、これによってα-グルカンエーテル化合物が得られる。開始されており、少なくともいくらかの量のα-グルカンエーテル生成物を含む反応は、同様にエーテル化反応、又は場合によっては完了したエーテル化反応と呼ばれることができる。
【0035】
本明細書における用語「アルカリ性条件」は、例えばエーテル化反応組成物の場合、少なくとも11又は12のpHの溶液又は混合物を指す。アルカリ性条件は、水性組成物に水酸化アルカリを溶解することによるなど、当技術分野で知られている任意の手段によって調製することができる。
【0036】
「エーテル化剤」、「アルキル化剤」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書のエーテル化剤は、α-グルカンの1つ以上のグルコースモノマー単位の1つ以上のヒドロキシル基を有機基でエーテル化するために使用できる薬剤を指す。従って、エーテル化剤は少なくとも1つの有機基を含む。
【0037】
本明細書において「水溶性(aqueous-soluble)」又は「水溶性(water-soluble)」(及び類似の用語)であるα-グルカン又はそのエーテル誘導体は、水又は他の水性条件に溶解(又はかなり溶解)し、任意で、この場合、水性条件は、更に、pH4~9(例えば、pH6~8)及び/又は温度約1~130℃(例えば、20~25℃)を有することが特徴である。いくつかの態様では、水溶性α-グルカン又はそのエーテル誘導体は、25℃でpH7の水に1重量%以上溶解する。対照的に、「水不溶性(aqueous-insoluble)」又は「水不溶性(water-insoluble)」(及び類似の用語)であるα-グルカン又はそのエーテル誘導体は、これらの条件下では溶解しない。いくつかの態様では、1.0グラム未満(例えば、検出できない量)の水不溶性α-グルカン又はそのエーテル誘導体が、1000ミリリットルのこのような水性条件(例えば、23℃の水)で溶解する。本開示のα-グルカン及びα-グルカンエーテル誘導体は、典型的には水溶性である。
【0038】
本明細書で使用される用語「粘度」は、流動を引き起こす傾向を示す力に(水性又は非水性の)流体が抵抗する程度の尺度を指す。本明細書中で用いることができる粘度の種々の単位として、例えば、センチポアズ(cP、cps)及びパスカル秒(Pa・s)が挙げられる。1センチポアズは、1/100ポアズであり、1ポアズは、0.100kg・m-1・s-1に等しい。本明細書において「粘度調整剤」、「粘度改質剤」等の用語は、流体又は水性組成物の粘度を変更/調整することができるものを指す。
【0039】
用語「極性有機溶媒」及び「水混和性有機溶媒」(及び同様の用語)は、本明細書では互換的に使用される。極性有機溶媒は、水又は水溶液に溶解することができる。従って、極性有機溶媒は、水又は水溶液に添加されたときに異なる相に分離しない。極性有機溶媒は、炭素と、酸素、窒素、硫黄又はリン等の少なくとも1つのヘテロ原子(即ち、非炭素原子又は非水素原子)とを含む。これは、一般に炭素原子及び水素原子のみを含む非極性有機溶媒とは対照的である。極性有機溶媒は、典型的には、約4より大きい誘電率を有する。極性有機溶媒は、極性結合による双極子を含む。
【0040】
本明細書における用語「プロトン性極性有機溶媒」(及び同様の用語)は、水素結合を形成することができる1つ以上の適切に不安定な水素原子を有する極性有機溶媒を指す。プロトン性極性有機溶媒は、一般に、電気陰性特性を有する原子に結合した水素原子を含み、例えば、1つ以上のO-H、N-H、及び/又はS-H結合が存在する。
【0041】
いくつかの態様では、「1つの繊維(fiber)」、「複数の繊維(fibers)」等の用語は、短繊維(短い長さの繊維)及び連続繊維を指し得る。本明細書の繊維は、α-1,3-グルカン、天然繊維(例えば、セルロース、綿、羊毛、絹)又は合成繊維(例えば、ポリエステル)或いは繊維を形成することができる本明細書で開示される任意の他の種類の材料を含み得る。繊維は、例えば、布地又は不織布製品などの繊維含有材料/物品/組成物に存在することができる。
【0042】
本明細書の用語「織製品」及び同様の用語は、組織化された、一貫した、且つ/又は繰返しの様式で撚り糸又は繊維を織る、編む、交錯させる、又は他の方法で絡み合わせることによって形成された製品を指す。
【0043】
「不織布」、「不織布製品」、「不織布ウェブ」等の用語は、本明細書では、典型的にランダム又は定義不可能な様式で介在する個々の繊維又はフィラメントのウェブを指す。これは、繊維又はフィラメントの定義可能な網状組織を有する編布又は織布とは対照的である。いくつかの態様では、不織布製品は、基材又は裏張り等の別の材料に結合又は取り付けられた不織布ウェブを含む。
【0044】
「布地」、「生地」、「布」等の用語は、本明細書では互換的に使用され、天然及び/又は人工繊維の網状組織を有する織布材料を指す。このような繊維は、例えば、撚り糸又は編み糸の形態であり得る。
【0045】
用語「家庭用ケア製品」及び同様の用語は、典型的には、家財及びその中身の処理、清掃、手入れ及び/又は調整に関連する製品、商品及びサービスを指す。前述のものとしては、例えば、こうしたケアに用途を有する化学薬品、組成物、製品又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
「布地ケア組成物」及び同様の用語は、任意の方法で布地を処理するために適切な任意の組成物を指す。このような組成物の例としては、洗濯用洗剤及び柔軟剤が挙げられ、これらは、洗濯ケア組成物の例である。
【0047】
本明細書の「洗剤組成物」は、典型的には少なくとも1つの界面活性剤(洗剤化合物)及び/又は1つのビルダーを含む。本明細書の「界面活性剤」は、その中に物質が溶解した液体の表面張力を低下させる傾向を示す物質を意味する。界面活性剤は、例えば、洗剤、湿潤剤、乳化剤、起泡剤及び/又は分散剤として機能し得る。
【0048】
「強力洗剤」、「万能洗剤」等の用語は、本明細書では互換的に使用され、白及び/又は色付き生地をあらゆる温度で定期的に洗濯するのに役立つ洗剤を指す。「低性能洗剤」、「上質繊維用洗剤」等の用語は、本明細書では互換的に使用され、ビスコース、ウール、シルク、マイクロファイバー、又は特別なケアを必要とするその他の布地などの繊細な布地のケアに役立つ洗剤を指す。「特別なケア」は、例えば、過剰量の水、低撹拌、及び/又は無漂白を使用する条件を含み得る。
【0049】
本明細書における「柔軟剤」、「布地コンディショナー」等の用語は、例えば、布地の柔軟性を維持するのを助け、及び/又は布地に他の有益な特徴(例えば、潤滑性、帯電防止、粘着防止、及び/又はしわ防止)を提供するために、潤滑剤及び/又は他の表面改質成分を布地に沈着させる、液体又は固体形態等の組成物を指す。本明細書において、柔軟剤は、典型的には、洗濯用洗剤で布地を洗浄した後、通常は布地を濯ぎながら布地に塗布される。
【0050】
用語「パーソナルケア製品」及び同様の用語は、典型的には、ヒトのトリートメント、洗浄、クレンジング、ケア又はコンディショニングに関連する製品、商品及びサービスを指す。前述のものとしては、例えば、こうしたケアに用途を有する化学薬品、組成物、製品又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
本明細書の「口腔ケア組成物」は、歯(複数の歯)及び/又は歯肉表面等の口腔内の軟質又は硬質表面を処理するために適切な任意の組成物である。
【0052】
用語「医療用品」及び類似の用語は、典型的には、診断、治療、及び/又は患者のケアに関連する製品、商品及びサービスを意味する。
【0053】
本明細書の用語「フィルム」、「シート」及び同様の用語は、概して薄い、連続した材料を指す。フィルムは、材料の上に層又はコーティングとして構成され得る、又は単独であり得る(例えば、材料表面に付着されない、自立型)。本明細書で使用される「コーティング」(及び同様の用語)は、材料表面を覆う層を指す。本明細書のフィルム又はコーティングを特徴付けるために使用される用語「一様な厚さ」は、(i)フィルム/コーティングの全領域の少なくとも20%であり、且つ(ii)厚さの標準偏差が、例えば、約50nm未満である連続領域を指し得る。用語「連続層」は、基材の少なくとも一部分に適用された組成物の層であって、組成物の乾燥した層は、それが適用されている表面の99%以上を被覆し、層内において、その基材表面を露出させる1%未満の孔隙を有する、層を意味する。層が適用されている表面の99%以上は、層が適用されていない基材のいかなる領域も排除する。本明細書のコーティングは、いくつかの態様では連続層を形成することができる。本明細書におけるコーティング組成物(及び同様の用語)は、基材上に層を形成する全ての固体成分、例えば、本明細書におけるα-グルカンエーテル誘導体、及び任意に、顔料、界面活性剤、分散剤、結合剤、架橋剤、及び/又は他の添加剤を指す。
【0054】
用語「工業製品」及び同様の用語は、典型的には、工業的及び/又は機関的環境で使用される製品、商品及びサービスを指すが、典型的には個々の消費者によって使用されるものではない。
【0055】
(例えばグルコシルトランスフェラーゼの)ポリペプチドアミノ酸配列に関して、本明細書で使用される「配列同一性」、「同一性」等の用語は、米国特許出願公開第2017/0002336号明細書において定義且つ決定されるものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
「乾燥した」又は「乾燥された」本明細書の組成物には、典型的には、その中に1重量%未満の水が含まれている。
【0057】
「体積によるパーセント」、「体積パーセント」、「vol%」、「v/v%」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。溶液中の溶質の体積パーセントは、次式を用いて求めることができる:[(溶質の体積)/(溶液の体積)]×100%。
【0058】
「重量によるパーセント」、「重量パーセント(重量%)」、「重量-重量パーセント(%w/w)」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。重量によるパーセントは、組成物、混合物、又は溶液中に含まれる場合の質量基準での物質のパーセントを指す。
【0059】
「重量/体積パーセント」、「w/v%」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。重量/体積パーセントは、以下の通りに計算することができる:((材料の質量[g])/(材料+材料が入れられる液体の総体積[mL]))×100%。材料は、液体中で不溶性であり得る(即ち、液体相中の固体相、例えば、分散物である)、又は液体中で可溶性であり得る(即ち、液体中に溶解される溶質である)。
【0060】
用語「単離された」は、天然に存在しない形態又は環境にある物質(又はプロセス)を意味する。単離された物質の非限定的な例としては、本明細書に開示される任意のα-グルカンエーテル誘導体が挙げられる。本明細書中で開示される実施形態は、合成物/人工物(人の介入/関与なしには製造又は実施され得ない)であり、且つ/又は天然に存在しない特性を有すると考えられる。
【0061】
本明細書で使用される用語「増加した」は、増加した量又は活性が比較される量又は活性より少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、50%、100%、又は200%多い量又は活性を指すことができる。「増大」、「上昇」、「増強」、「超」、「向上」等の用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0062】
本開示のいくつかの態様は、
(i)約15%から75重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、
(ii)約20%から50重量%の少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体(即ち、本明細書のα-グルカンのエーテル誘導体)と、
(iii)約50重量%未満の水(しかし、典型的には少なくとも約20重量%の水)と、を含む組成物に関し、
この場合、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%は、α-1,6結合であり、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体は、α-グルカンにエーテル結合した少なくとも1つの正帯電有機基との置換度(DoS)が約0.001~約3.0である。このような組成物は、水性形式での本開示のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体のより容易な処理及び取り扱いを可能にすることができる。いくつかの態様では、このような組成物は、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体を含む生成物を調製する際の成分として使用することができる。本開示の組成物は、任意に液体組成物として特徴付けることができる。
【0063】
いくつかの態様では、本開示の液体組成物は、
(i)約15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、15~75重量%、15~70重量%、15~65重量%、15~60重量%、15~55重量%、15~50重量%、15~45重量%、15~40重量%、15~35重量%、15~30重量%、15~25重量%、20~75重量%、20~70重量%、20~65重量%、20~60重量%、20~55重量%、20~50重量%、20~45重量%、20~40重量%、20~35重量%、20~30重量%、20~25重量%、25~75重量%、25~70重量%、25重量%~65重量%、25~60重量%、25~55重量%、25~50重量%、25~45重量%、25~40重量%、25~35重量%、25~30重量%、30~75重量%、30~70重量%、30重量%~65重量%、30~60重量%、30~55重量%、30~50重量%、30~45重量%、30~40重量%、30~35重量%、又は32~35重量%の少なくとも1つの本明細書の有機溶媒と、
(ii)約20重量%、25重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、45重量%、50重量%、20~50重量%、20~45重量%、20~40重量%、20~35重量%、20~30重量%、20~25重量%、25~50重量%、25~45重量%、25~40重量%、25~35重量%、25~30重量%、30~50重量%、30~45重量%、30~40重量%、30~35重量%、又は32~35重量%の少なくとも1つの本明細書のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、
(iii)約50重量%、45重量%、40重量%、39重量%、38重量%、37重量%、36重量%、35重量%、34重量%、33重量%、32重量%、31重量%、30重量%、25重量%、20重量%、20~50重量%、20~45重量%、20~40重量%、20~35重量%、20~30重量%、20~25重量%、25~50重量%、25~45重量%、25~40重量%、25~35重量%、25~30重量%、30~45重量%、30~40重量%、30~35重量%、又は32~35重量%、又は約それ未満の水と、を含む。
【0064】
上記(i)、(ii)、及び(iii)から得られる重量%の値/範囲の任意の組み合わせが、本明細書の液体組成物を特徴付けることができる。単なる例として、本明細書の液体組成物は、以下を含み得る:
(A)(i)25~40重量%の有機溶媒、(ii)25~40重量%のカチオン性α-グルカンエーテル、及び(iii)25~40重量%の水、
(B)(i)25~35重量%の有機溶媒、(ii)25~35重量%のカチオン性α-グルカンエーテル、及び(iii)25~35重量%の水、
(C)(i)30~40重量%の有機溶媒、(ii)30~40重量%のカチオン性α-グルカンエーテル、及び(iii)30~40重量%の水。
(D)(i)30~35重量%の有機溶媒、(ii)30~35重量%のカチオン性α-グルカンエーテル、及び(iii)30~35重量%の水、
(E)(i)32~35重量%の有機溶媒、(ii)32~35重量%のカチオン性α-グルカンエーテル、及び(iii)32~35重量%の水、
(F)(i)32~34重量%の有機溶媒、(ii)32~34重量%のカチオン性α-グルカンエーテル、及び(iii)32~34重量%の水、又は
(G)(i)33~34重量%の有機溶媒、(ii)33~34重量%のカチオン性α-グルカンエーテル、及び(iii)33~34重量%の水。
【0065】
いくつかの態様では、(i)、(ii)、及び(iii)の組み合わせは、約、又は少なくとも約80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、又は100重量%の組成物を構成する。従って、いくつかの態様では、(i)、(ii)、及び(iii)を含む液体組成物中に1つ以上の更なる構成成分が存在し得る。他の構成成分の例は、本明細書に開示されている任意のものであり、例えば、塩、緩衝液、酵素、糖及び/又はその他の糖、不純物、副生成物、及び/又は防腐剤の1つ以上であり得る。
【0066】
例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の有機溶媒が、液体組成物の有機溶媒成分を構成し得る。典型的には、本明細書の1つ以上の有機溶媒は、水に可溶性/混和性の極性有機溶媒であり、例えば、極性有機溶媒は、プロトン性であり得る。本明細書の適切な有機溶媒の例には、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、及び/又はグリセロールが含まれる。
【0067】
上記の(i)と、(ii)と、(iii)とを含む本開示の液体組成物は、典型的には、完全に液体の状態で存在する(即ち、固体は存在せず、カチオン性α-グルカンエーテルは完全に溶解している)。本明細書の適切な有機溶媒は、本明細書に開示された条件下で水に混和性であるため、この液体状態は、典型的には単一相で存在する。
【0068】
いくつかの態様では、(i)と、(ii)と、(iii)とを含む本開示の液体組成物は、(検出可能な)溶解した糖を有さない、又は約0.1~1.5、0.1~1.25、0.1~1.0、0.1~0.75、0.1~0.5、0.2~0.6、0.3~0.5、0.2、0.3、0.4、0.5、又は0.6重量%の溶解した糖を有する。このような溶解した糖は、例えば、スクロース、フルクトース、グルコース、ロイクロース及び/又は可溶性グルコ-オリゴ糖を含み得る。いくつかの態様では、液体組成物は、例えば、1つ以上の塩/緩衝剤(例えば、Na+、Cl-、NaCl、リン酸、トリス、クエン酸)(例えば、≦0.1、0.5、1.0、2.0、又は3.0重量%)を有し得、及び/又は約4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、4.0~10.0、4.0~9.0、4.0~8.0、5.0~10.0、5.0~9.0、5.0~8.0、6.0~10.0、6.0~9.0又は6.0~8.0のpHを有し得る。
【0069】
本明細書の(i)と、(ii)と、(iii)とを含む液体組成物の温度は、例えば、約、少なくとも約0、5、10、15、20、25、30、35、37、40、42、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、10~30、10~25、15~50、15~30、15~25、20~40、20~35、20~30、20~25、25~30、30~50、30~45、30~40、30~35、35~40、35~50、40~45、50~60、110~130、110~125、110~120、115~130、又は115~125℃、又は約それ未満であり得る。
【0070】
液体組成物構成成分(ii)は、例えば、本明細書において、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の異なるカチオン性α-グルカンエーテル誘導体を含み得る。非誘導体化α-グルカン(例えば、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体の前駆体化合物)は、典型的には、例えば、液体組成物に存在しない、及び/又は検出されない(例えば、約0.01、0.005、0.001、又は0.0005重量%、又は約それ未満のレベルまで検出されない)。
【0071】
いくつかの態様では、カチオン性α-グルカンエーテルは、約、又は少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%のα-1,6-グリコシド結合を含む(即ち、エーテルは、カチオン性α-1,6-グルカンエーテル、又はカチオン性デキストランエーテルである)。いくつかの態様では、実質的に直鎖のデキストランエーテルは、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%又はそれ未満のグリコシド分岐を含み得る(直鎖デキストランエーテルは、100%のα-1,6結合を有する)。存在する場合、デキストランエーテルからのグリコシド分岐は、典型的には短く、長さが1(ペンダント)、2、又は3である。いくつかの態様では、デキストランエーテルは、約50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0%、或いは約それ未満のα-1,4、α-1,3及び/又はα-1,2グリコシド結合を含み得る。典型的には、このような結合は、デキストランからの分岐点として、完全に又はほぼ完全に存在する。
【0072】
本明細書のデキストランエーテル誘導体のデキストラン部分は、例えば、α-1,2,α-1,3及び/又はα-1,4分岐を有することができる。いくつかの態様では、約、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、2~35%、2~30%、2~25%、2~20%、2~15%、2~10%、3~35%、3~30%、3~25%、3~20%、3~15%、3~10%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、7~13%、8~12%、9~11%、10~35%、10~30%、10~25%、10~20%、10~15%、12~20%、12~18%、14~20%、14~18%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、15~18%、15~17%、17~23%、18~22%、19~21%、20~35%、20~30%、20~25%、35~45%、37~43%、38~42%、又は39~41%、又は約それ未満の分岐デキストランエーテルの全グリコシド結合は、α-1,2、α-1,3、及び/又はα-1,4グリコシド分岐結合である。このような分岐は、典型的には、大部分(>90%又は>95%)又は全て(100%)が単一のグルコースモノマーの長さである。いくつかの態様では、α-1,2-分岐を有するデキストランは、米国特許出願公開第2017/0218093号明細書又は同第2018/0282385号明細書(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)の手順に従って酵素的に生成することができ、例えば、GTFJ18T1又はGTF9905等のα-1,2分岐酵素を、デキストランの生成中又は生成後に添加することができる。いくつかの態様では、α-1,2-分岐を生成することが知られている任意の他の酵素を使用することができる。例えば、α-1,3-分岐酵素を有するデキストランは、Vuillemin et al.(2016,J.Biol Chem.291:7687-7702)又は国際公開第2021/007264号パンフレット又は米国特許出願公開第2022/0267745号明細書に開示されるように調製されることができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
本発明のデキストランエーテル誘導体のデキストラン部分は、例えば、約、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、85、90、95、100、105、110、150、200、250、300、400、500、1000、1500、2000、2500、3000、4000、5000、6000、8~20、8~30、8~100、8~500、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、4~5、4~6、4~7、4~8、5~6、5~7、5~8、6~7、6~8、7~8、90~120、95~120、100~120、105~120、110~120、115~120、90~115、95~115、100~115、105~115、110~115、90~110、95~110、100~110、105~110、90~105、95~105、100~105、90~100、95~100、90~95、85~95、85~90、5~100、5~250、5~500、5~1000、5~1500、5~2000、5~2500、5~3000、5~4000、5~5000、5~6000、10~100、10~250、10~500、10~1000、10~1500、10~2000、10~2500、10~3000、10~4000、10~5000、10~6000、25~100、25~250、25~500、25~1000、25~1500、25~2000、25~2500、25~3000、25~4000、25~5000、25~6000、50~100、50~250、50~500、50~1000、50~1500、50~2000、50~2500、50~3000、50~4000、50~5000、50~6000、100~100、100~250、100~400、100~500、100~1000、100~1500、100~2000、100~2500、100~3000、100~4000、100~5000、100~6000、250~500、250~1000、250~1500、250~2000、250~2500、250~3000、250~4000、250~5000、250~6000、300~2800、300~3000、350~2800、350~3000、500~1000、500~1500、500~2000、500~2500、500~2800、500~3000、500~4000、500~5000、500~6000、600~1550、600~1850、600~2000、600~2500、600~3000、750~1000、750~1250、750~1500、750~2000、750~2500、750~3000、750~4000、750~5000、750~6000、900~1250、900~1500、900~2000、1000~1250、1000~1400、1000~1500、1000~2000、1000~2500、1000~3000、1000~4000、1000~5000、1000~6000、又は1100~1300、又は約それ未満のDPw、DPn、又はDPを有することができる。いくつかの態様では、デキストランエーテル誘導体のデキストラン部分の重量平均分子量(Mw)は、約、少なくとも約10万、12万5千、15万、17万5千、20万、24万、25万、50万、75万、100万、200万、300万、400万、500万、600万、700万、800万、900万、1000万、2000万、3000万、4000万、5000万、6000万、7000万、8000万、9000万、1億、1億1000万、1億2000万、1億3000万、1億4000万、1億5000万、1億6000万、1億7000万、1億8000万、1億9000万、2億、10万~20万、12万5千~17万5千、13万~17万、13万5千~16万5千、14万~16万、14万5千~15万5千、1000万~8000万、2000万~7000万、3000万~6000万、4000万~5000万、5000万~2億、6000万~2億、7000万~2億、8000万~2億、9000万~2億、1億~2億、1億1000万~2億、1億2000万~2億、5000万~1億8000万、6000万~1億8000万、7000万~1億8000万、8000万~1億8000万、9000万~1億8000万、1億~1億8000万、1億1000万~1億8000万、1億2000万~1億8000万、5000万~1億6000万、6000万~1億6000万、7000万~1億6000万、8000万~1億6000万、9000万~1億6000万、1億~1億6000万、1億1000万~1億6000万、1億2000万~1億6000万、5000万~1億4000万、6000万~1億4000万、7000万~1億4000万、8000万~1億4000万、9000万~1億4000万、1億~1億4000万、1億1000万~1億4000万、1億2000万~1億4000万、5000万~1億2000万、6000万~1億2000万、7000万~1億2000万、8000万~1億2000万、9000万~1億2000万、9000万~1億1000万、1億~1億2000万、1億1000万~1億2000万、5000万~1億1000万、6000万~1億1000万、7000万~1億1000万、8000万~1億1000万、9000万~1億1000万、1億~1億1000万、5000万~1億、6000万~1億、7000万~1億、8000万~1億、9000万~1億又は9500万~1億500万ダルトン、又は約それ未満であり得る。いくつかの態様では、デキストランエーテル誘導体のデキストラン部分のMwは、例えば、約、少なくとも約0.9、1、5、7.5、15、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、450、500、600、700、800、900、1000、1250、1500、1750、2000、0.9~450、1~500、1~2000、7.5~10、7.5~15、7.5~20、10~350、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、10~30、15~25、20~500、20~400、20~300、20~200、20~100、20~50、30~500、30~400、30~300、30~200、30~100、30~50、40~500、40~400、40~300、40~200、40~100、40~60、45~55、40~50、50~500、50~400、50~300、50~350、50~200、80~300、90~300、100~500、100~400、100~300、100~250、100~200、125~250、150~250、150~200、175~200、180~225、180~200、190~210、200~500、200~400、200~300、又は290~310kDa、又は約それ未満であり得る。デキストランの分子量は、必要に応じて、前述のデキストランのDPw、DPn、又はDPの値のいずれかに基づいて計算できる。前述のDPw、DPn、DP、又はダルトンの値/範囲のいずれも、例えば、任意に分岐している(例えば、α-1,2及び/又はα-1,3)前又は後の本明細書のデキストランを特徴付けることができる。いくつかの態様では、前述のDPw、DPn、DP、又はダルトンの値又は範囲のいずれかが、本明細書のデキストランエーテル誘導体を特徴付けることができる。本明細書のデキストランエーテルの分子量は、例えば、前述のデキストランのDPw、DPn、DP、又はダルトンの値のいずれかに基づいて、エーテルのDoS及びエーテル基の種類を更に考慮して計算することができる。
【0074】
本明細書のデキストランエーテル誘導体のデキストラン部分は、例えば、米国特許出願公開第2016/0122445号明細書、同第2017/0218093号明細書、同第2018/0282385号明細書、同第2018/0165360号明細書、又は同第2019/0185893号明細書に開示されている通りであり得(例えば、分子量、結合/分岐プロファイル、生成方法)、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、エーテル誘導体化のためのデキストランは、グルコシルトランスフェラーゼ(GTF)0768(米国特許出願公開第2016/0122445号明細書の配列番号1又は2)、GTF8117、GTF6831、又はGTF5604(これらの後者の3つのGTF酵素は、米国特許出願公開第2018/0282385号明細書のそれぞれ配列番号30、32、及び33である)、或いはGTF0768、GTF8117、GTF6831、又はGTF5604のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を含むGTFを含む、適切な反応において生成されるものであり得る。
【0075】
いくつかの態様では、本開示のα-グルカンのエーテル誘導体は、α-グルカンにエーテル結合した少なくとも1つの正帯電(カチオン性)有機基との置換度(DoS)が約3.0(例えば、0.001~3.0)までであり得る。DoSは、約、少なくとも約0.001、0.0025、0.005、0.01、0.02、0.025、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.075、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又は3.0、又は約それまでであり得る(DoSは、これらの値のいずれか2つの間の範囲として任意に表すことができる)。本明細書でのDoSの範囲のいくつかの例としては、0.001~3.0、0.001~2.5、0.001~2.0、0.001~1.5、0.001~1.0、0.001~0.5、0.001~0.4、0.001~0.3、0.001~0.2、0.001~0.175、0.001~0.15、0.001~0.125、0.001~0.1、0.01~3.0、0.01~2.5、0.01~2.0、0.01~1.5、0.01~1.0、0.01~0.8、0.01~0.5、0.01~0.4、0.01~0.3、0.01~0.2、0.01~0.175、0.01~0.15、0.01~0.125、0.01~0.1、0.03~0.7、0.04~0.6、0.05~3.0、0.05~2.5、0.05~2.0、0.05~1.5、0.05~1.0、0.05~0.5、0.05~0.8、0.05~0.4、0.05~0.3、0.05~0.2、0.05~0.175、0.05~0.15、0.05~0.125、0.05~0.1、0.1~3.0、0.1~2.5、0.1~2.0、0.1~1.5、0.1~1.0、0.1~0.8、0.1~0.5、0.1~0.4、0.1~0.3、0.1~0.2、0.1~0.175、0.1~0.15及び0.1~0.125が挙げられる。
【0076】
α-グルカンのグルコースモノマー単位には最大で3つのヒドロキシル基があるため、α-グルカンエーテル誘導体の全体的なDoSは、3.0以下であり得る。本開示のα-グルカンエーテル誘導体は、エーテル結合における少なくとも1種類の正帯電有機基とのDoS(例えば、約0.001~約3.0)を有するため、α-グルカンエーテル誘導体の全ての置換基がヒドロキシルだけであることはないことが、当業者には理解されるであろう。
【0077】
本開示のα-グルカンのエーテル誘導体は、α-グルカンにエーテル結合した本明細書の少なくとも1つの正帯電有機基で置換することができる。正帯電有機基は、例えば、米国特許出願公開第2016/0311935号明細書、同第2018/0237816号明細書、又は同第2020/0002646号明細書、又は国際公開第2021/257786号パンフレットに開示されているもののいずれかであり得、これらは参照により本明細書に組み込まれる。正帯電有機基は、例えば、置換アンモニウム基を含み得る。置換アンモニウム基の例として、構造I及びIIによって表すことができるような、1級、2級、3級、及び4級アンモニウム基がある。アンモニウム基は、例えば、アルキル基及び/又はアリール基で置換され得る。置換アンモニウム基のいくつかの態様では、1、2、又は3種類のアルキル及び/又はアリール基が存在し得る。本明細書の置換アンモニウム基のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、C25、C26、C27、C28、C29、又はC30基などの、C1~C30アルキル基であり得、各アルキル基は、2つ又は3つのアルキル置換を有する態様では、同じであり得る又は異なり得る。アルキル基は、いくつかの態様では、C1~C24、C1~C18、C6~C20、C10~C16、又はC1~C4であり得る。アリール基は、例えば、1つ以上のアルキル置換基(例えば、本明細書中で開示されるあらゆるアルキル基)で任意に置換されているC6、C6~C24、C12~C24、又はC6~C18アリール基であり得る。
【0078】
本明細書の2級アンモニウムα-グルカンエーテルは、いくつかの態様では、モノアルキルアンモニウム基を含み得る(例えば、構造Iに基づく)。2級アンモニウムα-グルカンエーテルは、いくつかの態様では、モノアルキルアンモニウムα-グルカンエーテル、例えば、モノメチル-、モノエチル-、モノプロピル-、モノブチル-、モノペンチル-、モノヘキシル-、モノヘプチル-、モノオクチル-、モノノニル-、モノデシル-、モノウンデシル-、モノドデシル-、モノトリデシル-、モノテトラデシル-、モノペンタデシル-、モノヘキサデシル-、モノヘプタデシル-、又はモノオクタデシル-アンモニウムα-グルカンエーテルであり得る。また、これらのα-グルカンエーテルは、それぞれ、メチル-、エチル-、プロピル-、ブチル-、ペンチル-、ヘキシル-、ヘプチル-、オクチル-、ノニル-、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-、トリデシル-、テトラデシル-、ペンタデシル-、ヘキサデシル-、ヘプタデシル-、又はオクタデシル-アンモニウムα-グルカンエーテルと呼ばれることができる。
【0079】
本明細書の3級アンモニウムα-グルカンエーテルは、いくつかの態様では、ジアルキルアンモニウム基を含み得る(例えば、構造Iに基づく)。3級アンモニウムα-グルカンエーテルは、いくつかの態様では、ジアルキルアンモニウムα-グルカンエーテル、例えば、ジメチル-、ジエチル-、ジプロピル-、ジブチル-、ジペンチル-、ジヘキシル-、ジヘプチル-、ジオクチル-、ジノニル-、ジデシル-、ジウンデシル-、ジドデシル-、ジトリデシル-、ジテトラデシル-、ジペンタデシル-、ジヘキサデシル-、ジヘプタデシル-、又はジオクタデシル-アンモニウムα-グルカンエーテルであり得る。
【0080】
本明細書の4級アンモニウムα-グルカンエーテルは、いくつかの態様では、トリアルキルアンモニウム基を含み得る(例えば、構造Iに基づく)。4級アンモニウムα-グルカンエーテル化合物は、いくつかの態様では、トリアルキルアンモニウムα-グルカンエーテル、例えば、トリメチル-、トリエチル-、トリプロピル-、トリブチル-、トリペンチル-、トリヘキシル-、トリヘプチル-、トリオクチル-、トリノニル-、トリデシル-、トリウンデシル-、トリドデシル-、トリトリデシル-、トリテトラデシル-、トリペンタデシル-、トリヘキサデシル-、トリヘプタデシル-、又はトリオクタデシル-アンモニウムα-グルカンエーテルであり得る。
【0081】
いくつかの態様では、正帯電有機基は、C4~C20アルキニル基を含み得る。C4~C20アルキル基は、例えば、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、又はC20アルキル基の任意の1つであり得る。いくつかの態様では、アルキル基は、C10~C14アルキル基であり得、これは、アルキル基が、C10、C11、C12、C13又はC14アルキル基のいずれか1つであり得ることを意味する。更なる例としては、例えば、C6~C18、C8~C18、C10~C18、C6~C16、C8~C16、C10~C16、C6~C14、C8~C14、C10~C14、C6~C12、C8~C12、又はC10~C12アルキル基であるアルキル基が挙げられる。例えば、C12アルキル基を開示するとは、例えば、アルキル基が12炭素長であり、飽和している(即ち、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3)ことを意味し、この標準的な意味は、従って、本明細書に開示される他のアルキル基に適用される。
【0082】
いくつかの態様では、正帯電有機基は、C4~C20アルキレン基(例えば、アルキル基に関して本明細書に開示される任意の長さの)を含み得る。アルキレン基は、例えば、1、2、3、又はそれ以上の二重結合を含み得る。アルキレン基は、いくつかの態様において、アルキレン基の炭素(i)5及び6、(ii)6及び7、(iii)8及び9、(iv)9及び10、(v)11及び12、(vi)12及び13、(vii)14及び15、及び/又は(viii)15及び16に又がる1つ以上の二重結合を含み得、この場合、炭素数は、正帯電基に直接結合した炭素から始まり数えられる(例えば、炭素-1は、本明細書の置換アンモニウム基の窒素に結合している)。アルキレン基の二重結合のいくつかの組み合わせには、以下が含まれる:(iv)及び(vi)、(iv)、(vi)及び(vii)、並びに(i)、(iii)、(v)及び(vii)(前述のリストを参照)。アルキレン基の本明細書の二重結合は、シス又はトランス配向であり得るが、典型的にはシス配向である。アルキレン基は、例えば、脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸)、又は脂質(例えば、モノ-グリセリド、ジ-グリセリド、又はトリ-グリセリド)のアシル基(例えば、本明細書の任意の脂肪酸に対応する)から誘導(推論)することができる。
【0083】
いくつかの態様では、置換アンモニウム基は、構造I及び/又はIIに関して、R2が水素原子であり、R3がメチル、エチル、プロピル又はブチルであり、R4が上記の任意のC4~C20アルキル又はアルキレン基である、3級アンモニウム基である。いくつかの態様では、置換アンモニウム基は、構造I及び/又はIIに関して、R2及びR3がそれぞれ独立してメチル、エチル、プロピル又はブチルであり(例えば、R2及びR3の両方がメチルである、又は両方がエチルである)、R4が上記の任意のC4~C20アルキル又はアルキレン基(例えば、C12アルキル)である4級アンモニウム基である。いくつかの態様では、3級又は4級アンモニウム基は、構造IIを含み、前述のR2、R3及びR4の帰属のいずれかを有する。
【0084】
いくつかの態様では、置換アンモニウム基の基の少なくとも1つは、α-グルカンへのエーテル結合において1つの炭素、又は炭素鎖(例えば、30まで)を含む。この文脈における炭素鎖は、例えば直鎖であり得る。このような炭素又は炭素鎖は、例えば、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2(CH2)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-、-CH2(CH2)4CH2-、-CH2(CH2)5CH2-、-CH2(CH2)6CH2-、-CH2(CH2)7CH2-、-CH2(CH2)8CH2-、-CH2(CH2)9CH2-、又は-CH2(CH2)10CH2-によって表され得る。いくつかの態様では、この文脈における炭素鎖は、例えば、1つ以上のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、又はブチル等の上記で開示されるあらゆるもの)で置換されること等によって分岐され得る。置換点は、炭素鎖に沿ったどこでもあり得る。分岐炭素鎖の例として、-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-CH(CH2CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH2CH3)CH2-、-CH(CH2CH2CH3)CH2-、-CH(CH2CH2CH3)CH2CH2-、及び-CH2CH(CH2CH2CH3)CH2-が挙げられ、必要に応じて、より長い分岐炭素鎖も用いられ得る。いくつかの態様では、1つ以上の炭素の鎖(例えば、上記のあらゆる直鎖又は分岐鎖)は更に、1つ以上のヒドロキシル基で置換されている。ヒドロキシ-又はジヒドロキシ(ジオール)-置換鎖の例としては、-CH(OH)-、-CH(OH)CH2-、-C(OH)2CH2-、-CH2CH(OH)CH2-、-CH(OH)CH2CH2-、-CH(OH)CH(OH)CH2-、-CH2CH2CH(OH)CH2-、-CH2CH(OH)CH2CH2-、-CH(OH)CH2CH2CH2-、-CH2CH(OH)CH(OH)CH2-、-CH(OH)CH(OH)CH2CH2、及び-CH(OH)CH2CH(OH)CH2-が挙げられる。前述の例のそれぞれにおいて、鎖の第1の炭素原子は、α-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合し、鎖の最後の炭素原子は、正帯電基(例えば、本明細書中で開示される置換アンモニウム基)に結合する。いくつかの態様では、1つ以上の正帯電有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基(R2、R3、及びR4のそれぞれがメチル基である場合、構造II)を含み得る。
【0085】
正帯電基による置換に加えて正帯電有機基の炭素鎖が置換を有する態様では、このような更なる置換は、例えば、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(これによってアルデヒド又はケトン基を形成する)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、及び/又は更なる正帯電基によるものであり得る。正帯電基は、典型的には、炭素鎖の末端炭素原子に結合している。また、正帯電基は、いくつかの態様では、イミダゾリン環含有化合物を含み得る。
【0086】
本明細書の正帯電有機基についての対イオンは、酢酸アニオン、ホウ酸アニオン、臭素酸アニオン、臭化物アニオン、炭酸アニオン、塩素酸アニオン、塩化物アニオン、亜塩素酸アニオン、リン酸二水素アニオン、フッ化物アニオン、炭酸水素アニオン、リン酸水素アニオン、硫酸水素アニオン、硫化水素アニオン、亜硫酸水素アニオン、水酸化物アニオン、次亜塩素酸アニオン、ヨウ素酸アニオン、ヨウ化物アニオン、硝酸アニオン、窒化物アニオン、亜硝酸アニオン、シュウ酸アニオン、酸化物アニオン、過塩素酸アニオン、過マンガン酸アニオン、リン酸アニオン、リン化物アニオン、亜リン酸アニオン、ケイ酸アニオン、スズ酸アニオン、亜スズ酸アニオン、硫酸アニオン、硫化物アニオン、亜硫酸アニオン、酒石酸アニオン、又はチオシアン酸アニオン等の適切なあらゆるアニオンであり得る。
【0087】
いくつかの態様では、α-グルカンエーテルは、1種類のエーテル化された正帯電有機基を含み得る。このような正帯電有機基の例は、本明細書に開示されている。任意に、1種類のエーテル化された正帯電有機基を有するα-グルカンエーテル化合物は、モノエーテルとして特徴付けられることができる。いくつかの態様では、α-グルカンエーテルは、2つ以上の異なる種類のエーテル化された正帯電有機基(即ち、混合エーテル)を含み得る。いくつかの態様では、α-グルカンエーテルは、α-グルカンに誘導体化された他の種類の有機基(例えば、α-グルカンにエーテル結合又はエステル結合した疎水性基)を有さない。
【0088】
いくつかの態様では、液体組成物は、1つ以上の不純物/副生成物を含み得る。従って、いくつかの態様では、本開示の液体組成物を成分として使用して生成される生成物も、1つ以上の不純物/副生成物を含み得る。本明細書において、特に断らない限り、用語「不純物」は、不純物(例えば、本明細書の液体組成物又はエーテル化反応組成物などの液体組成物の前駆体への不注意な導入に由来する化合物[例えば、エーテル化剤調製において存在する不純物]、例えば、防腐剤[例えば、安息香酸ナトリウム、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、ソルビン酸塩、ベンズイソチアゾリノン]などの液体組成物の前駆体への意図的な導入に由来する化合物、タンパク質/酵素[例えば、GTF/スクラーゼ]、塩[NaCl、Na2SO4]、緩衝液、及び/又は試薬[例えば、エーテル化剤])、並びに副生成物(例えば、α-1,6-グルカン酵素合成又は酵素的分岐[例えば、α-1,2及び/又はα-1,3分岐]などの本明細書のα-グルカンを生成するために使用されるグルコシルトランスフェラーゼにおける二次的な非標的生成物として生成される化合物、例えば、エーテル化反応組成物において二次的な非標的生成物として生成される化合物)の両方を指す。いくつかの態様では、不純物又は副生成物は、酵素分岐反応(例えば、α-1,2分岐及び/又はα-1,3分岐)、カチオン性エーテル化反応、及び/又は本明細書の他のプロセス(例えば、加熱/冷却、pH修正、他の化合物との反応)の作用によって、別の形態の不純物又は副生成物に変換され得る。本明細書のカチオン性α-グルカンエーテルを生成するために使用されるエーテル化反応は、典型的には、不純物を完全に除去し、及び/又は不純物を検出できないようにするために精製されるが、いくつかの態様では、このような化合物の1つ以上が存在することができる。
【0089】
いくつかの態様では、グルコシルトランスフェラーゼ(GTF)反応の副生成物は、グルコース、ロイクロース、及び/又は1つ以上のα-グルコオリゴ糖(GOS、例えば、DP2-DP7)であり得る。技術的にはそれ自体はGTF反応副生成物ではないが、GTF反応共生成物、フルクトース、及び/又は任意の未反応のスクロース基質も、いくつかの態様では不純物となり得る。本明細書のGTF反応副生成物/不純物の更なる例は、米国特許出願公開第2017/0218093号明細書、同第2018/0282385号明細書、同第2016/0122445号明細書、同第2020/0165360号明細書、同第2019/0185893号明細書、又は同第2022/0267745号明細書、又は国際公開第2021/007264号パンフレット又は同第2021/257786号パンフレット、又はVuillemin et al.(2016,J.Biol Chem.291:7687-7702)に開示されている通りであり得、これらは参照により本明細書に組み込まれる。不純物は、場合によっては、前述のGTF反応副生成物/不純物のいずれかが、可能であれば分岐GTF(例えば、α-1,2及び/又はα-1,3分岐)によって改質されたときに生成される化合物であり得る。いくつかの態様では、不純物は、エーテル化反応に持ち込まれその中で改質される(例えば、本開示のようにエーテル化される)前述の種のいずれかであり得る。
【0090】
いくつかの態様の不純物は、例えば、
図1~2のいずれかに提示されているものの1つ以上であり得、及び/又はKavaliauskaite et al.(2008,Carbohydr.Polym.73:665-675、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている通りであり得る。例えば、不純物は、Kavaliauskaite et al.(同上)のスキーム1又は
図1~2に開示されている通りであり得、及び/又はα-グルカン合成反応ベースの種と反応したこのような不純物の生成物であり得る(例えば、このような種は、本明細書に開示されるように、α-1,6-グルカン及び/又はそこからグリコシド分岐を生成する際の副生成物であり得る)。
【0091】
いくつかの態様では、本明細書に開示される不純物のいずれかなどの1つ以上の不純物は、約1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50、25、10、5、2.5、1.0、0.5、0.25、0.1、0.05、0.025、又は0.01百万分率(ppm)、又は約それ未満で存在し得る。
【0092】
本明細書のいくつかの態様は、本開示の液体組成物を生成する方法/プロセスに関する。このような方法は:
(a)少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体(例えば、本明細書に開示されている任意のもの)を含む水性組成物を提供する工程と、
(b)水性組成物に、本明細書の少なくとも1つの有機溶媒(例えば、この工程の後又は任意の工程[c]の後に生成される最終液体組成物中の有機溶媒の所望の濃度を達成するための適切な量の有機溶媒)を混合する工程と、
(c)任意に、工程(b)の後に水性組成物中の少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体及び少なくとも1つの有機溶媒を濃縮する(蒸発などによって水を除去する)工程と、を含み得る。工程(c)は、いくつかの態様において、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体及び/又は有機溶媒の特定の濃度に到達するために必要であり得る。
【0093】
工程(a)で提供される水性組成物は、例えば、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体が生成されたエーテル化反応組成物であり得る。典型的には、方法の工程(a)で投入されるエーテル化反応組成物は、停止/クエンチ及び/又は中和されている。本明細書のエーテル化反応は、例えば、以下の例に記載される通り、又は国際公開第2021/257786号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される通りであり得る。工程(a)は、いくつかの態様では、エーテル化反応組成物を1、2、3回又はそれ以上の回数の精製プロセスに供して、水性組成物中のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体の純度を高める工程を含み得る。このような精製は、例えば、透析濾過(例えば、限外濾過又はナノ濾過)及び/又は透析を含むプロセスによって実行することができる。
【0094】
本開示のいくつかの態様は、(i)少なくとも1つの有機溶媒と、(ii)少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、(iii)水と、を含む本明細書の液体組成物を含む生成物に関し、典型的には、液体組成物は、生成物の生成において成分/構成成分として使用された。液体組成物を成分として生成された本明細書の生成物は、典型的には、液体形態である、又は少なくとも液体構成成分を含む。しかしながら、いくつかの態様では、本明細書の液体組成物を部分的に使用して、乾燥又は非水性の生成物を生成することができる。
【0095】
いくつかの態様では、組成物は、約、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.2、1.25、1.4、1.5、1.6、1.75、1.8、2.0、2.25、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5重量%又はw/v%、又は約それ未満の本明細書のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体を含み得る。生成物は、これらの重量%又はw/v%の値の任意の2つの間の範囲(例えば、5~50、5~45、5~40、5~35、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、0.1~1.0、0.1~0.75、0.1~0.5、0.1~0.4、0.1~0.3、0.2~1.0、0.2~0.75、0.2~0.5、0.2~0.4、0.2~0.3、0.3~1.0、0.3~0.75、0.3~0.5、又は0.3~0.4重量%又はw/v%)を含み得る。生成物は、水である液体構成成分(即ち、液体組成物成分の有機溶媒が除去されている)を含み得る、或いは、例えば、約、又は少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、又は99重量%の水を含む液体構成成分を含み得る。液体構成成分は、例えば、溶液の形態、又はコロイド分散液又はエマルジョンなどの混合物の形態であり得る。
【0096】
本明細書の生成物の液体構成成分、又は本開示の液体組成物は、例えば、粘度が、約、少なくとも約1、5、10、100、200、300、400、500、600、700、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、1~300、10~300、25~300、50~300、1~250、10~250、25~250、50~250、1~200、10~200、25~200、50~200、1~150、10~150、25~150、50~150、1~100、10~100、25~100、又は50~100センチポアズ(cp)、又は約それ未満であり得る。粘度は、本明細書の液体で、例えば、約3℃~約80℃の間の任意の温度(例えば、4~30℃、15~30℃、15~25℃)、又は液体組成物について本明細書で開示される任意の特定の温度で測定することができる。粘度は、典型的には、大気圧(約760トール)又はその±10%である圧力にて測定されるものである。粘度は、例えば、粘度計又はレオメーターを使用して測定することができ、任意に、例えば、約0.1、0.5、1.0、5、10、50、100、500、1000、0.1~500、0.1~100、1.0~500、1.0~1000、又は1.0~100s-1(1/s)、又は約5、10、20、25、50、100、200、又は250rpm(回転/分)の剪断速度(回転剪断速度)で測定され得る。
【0097】
生成物は、場合によっては非水性(例えば、乾燥組成物)であり得る。このような実施形態の例としては、粉末、顆粒、マイクロカプセル、フレーク又は粒状物質の任意の他の形態が挙げられる。他の例としては、より大きな組成物、例えば、ペレット、バー、穀粒、ビーズ、錠剤、スティック又は他の凝集物、又は軟膏又はローション(或いは非水性又は乾燥組成物の本明細書の任意の他の形態)が挙げられる。非水性又は乾燥生成物は、典型的には、約3、2、1.0、0.5、0.25、0.10、0.05、又は0.01重量%、又は約それ以下のその中に含まれる水を有し、場合によっては約10~12重量%又は10~15重量%の水を有し得る。いくつかの態様(例えば、洗濯用洗剤又は食器洗い用洗剤に関する態様)では、乾燥生成物は、サシェ(sachet)又はポーチで提供されることができる。
【0098】
いくつかの態様では、本明細書の製品は、洗剤製品であり得る。本明細書では、このような製品の例は、食器洗い用洗剤及び布地ケア用洗剤として開示されている。
【0099】
いくつかの態様では、本明細書の生成物は、ナトリウム塩(例えば、NaCl、Na2SO4)などの1つ以上の塩を含み得る。塩の他の非限定的な例としては、(i)アルミニウム、アンモニウム、バリウム、カルシウム、クロム(II又はIII)、銅(I又はII)、鉄(II又はIII)、水素、鉛(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(II又はIII)、水銀(I又はII)、カリウム、銀、ナトリウム、ストロンチウム、スズ(II又はIV)又は亜鉛カチオンと、(ii)酢酸アニオン、ホウ酸アニオン、臭素酸アニオン、臭化物アニオン、炭酸アニオン、塩素酸アニオン、塩化物アニオン、亜塩素酸アニオン、クロム酸アニオン、シアナミドアニオン、シアン化物アニオン、重クロム酸アニオン、リン酸二水アニオン、フェリシアン化物アニオン、フェロシアン化物アニオン、フッ化物アニオン、炭酸水素アニオン、リン酸水素アニオン、硫酸水素アニオン、硫化水素アニオン、亜硫酸水素アニオン、水素化物アニオン、水酸化物アニオン、次亜塩素酸アニオン、ヨウ素酸アニオン、ヨウ化物アニオン、硝酸アニオン、窒化物アニオン、亜硝酸アニオン、シュウ酸アニオン、酸化物アニオン、過塩素酸アニオン、過マンガン酸アニオン、過酸化物アニオン、リン酸アニオン、リン化物アニオン、亜リン酸アニオン、ケイ酸アニオン、スズ酸アニオン、亜スズ酸アニオン、硫酸アニオン、硫化物アニオン、亜硫酸アニオン、酒石酸アニオン又はチオシアン酸アニオンとを有するものが挙げられる。従って、例えば、上記(i)からのカチオン及び上記(ii)からのアニオンを有する任意の塩が組成物中に含まれ得る。塩は、本明細書の水性組成物中において、例えば、約、又は少なくとも約0.01、0.025、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.5、3.0、3.5、0.01~3.5、0.5~3.5、0.5~2.5又は0.5~1.5重量%(このような重量%値は、典型的には、1つ以上の塩の合計濃度を指す)の重量%で存在し得る。
【0100】
本明細書の生成物は、任意に1つ以上の酵素(活性酵素)を含み得る。適切な酵素の例には、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素(例えば、金属脂肪分解酵素)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ(例えば、アリールエステラーゼ、ポリエステラーゼ)、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ(例えば、コリンオキシダーゼ)、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、メラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、ヌクレアーゼ及びアミラーゼが含まれる。酵素が含まれる場合、酵素は、例えば、(例えば、純粋酵素タンパク質として計算して)約0.0001~0.1重量%(例えば、0.01~0.03重量%)の活性酵素で本明細書の生成物中に含まれ得る。布地ケア又は自動食器洗浄用途では、本明細書の酵素(例えば、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、及び/又はリパーゼ等の上記のいずれか)は、例えば、布地又は食器が(例えば、洗浄液体、家庭雑排水(grey water))処理される水性組成物中に、最小で約0.01~0.1ppmの総酵素タンパク質、又は約0.1~10ppbの総酵素タンパク質(例えば、1ppm未満)から、最大で約100、200、500、1000、2000、3000、4000、又は5000ppmの総酵素タンパク質までの濃度で存在し得る。
【0101】
カチオン性α-グルカンエーテル誘導体及び/又はこのような誘導体を含む生成物は、いくつかの態様では生分解性である。このような生分解性は、例えば、二酸化炭素発生試験法(参照により本明細書に組み込まれるOECDガイドライン301B)によって判定される場合、試験の15、30、45、60、75、又は90日後、約、少なくとも約、又は最大約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、5~60%、5~80%、5~90%、40~70%、50~70%、60~70%、40~75%、50~75%、60~75%、70~75%、40~80%、50~80%、60~80%、70~80%、40~85%、50~85%、60~85%、70~85%、40~90%、50~90%、60~90%、又は70~90%、又は5%~90%の間のあらゆる値であり得る。
【0102】
本開示の生成物(例えば、[i]少なくとも1つの有機溶媒と、[ii]少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、[iii]水とを含む本明細書の液体組成物を含む生成物であり、典型的には、液体組成物は、生成物の生成において成分/構成成分として使用された)は、例えば、全ては、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2018/0022834号明細書、同第2018/0237816号明細書、同第2018/0230241号明細書、同第20180079832号明細書、同第2016/0311935号明細書、同第2016/0304629号明細書、同第2015/0232785号明細書、同第2015/0368594号明細書、同第2015/0368595号明細書、同第2016/0122445号明細書、同第2019/0202942号明細書又は同第2019/0309096号明細書、或いは国際公開第2016/133734号パンフレットのいずれかに記載されているような、家庭用ケア(ホームケア)製品、パーソナルケア製品、工業製品、医療製品、又は医薬品の形態であり得る。いくつかの態様では、製品は、前述の刊行物のいずれかに開示されている、及び/又は本開示の家庭用ケア(ホームケア)製品、パーソナルケア製品、工業製品、医療製品、又は医薬品の少なくとも1つの構成成分/成分を含み得る。
【0103】
いくつかの態様では、製品は、パーソナルケア製品、医薬品、家庭用ケア製品、又は工業製品に以下の物理的特性の1つ以上を提供するのに有用であると考えられている:例えば、増粘、凍結融解安定性、潤滑性、水分の保持及び放出、質感、稠度、形状保持性、乳化特性、結合性、懸濁性、分散性、ゲル化性、又は鉱物硬度の低減。
【0104】
本明細書のパーソナルケア製品としては、特に限定されるものではないが、例えば、スキンケア組成物、化粧品組成物、抗真菌性組成物及び抗菌性組成物が挙げられる。本明細書のパーソナルケア製品は、例えば、ローション、クリーム、ペースト、鉱油、軟膏、ポマード、ジェル、リキッド、これらの組み合わせ等の形態であり得る。本明細書に開示されるパーソナルケア製品は、必要に応じて、少なくとも1つの活性成分を含み得る。活性成分は、一般に、意図した薬理学的効果を引き起こす成分であると認識されている。
【0105】
いくつかの態様では、スキンケア製品は、水分不足に関連する皮膚のダメージに対処するために皮膚に適用されることができる。スキンケア製品は、皮膚の外観に対処するため(例えば、鱗状、ひび割れ及び/又は赤みがかった皮膚の外観を減らすため)及び/又は皮膚の触感に対処するため(例えば、皮膚の滑らかさ及び繊細さを改善しながら、皮膚の粗さ及び/又は乾燥度を減らすため)にも使用され得る。スキンケア製品は、典型的には、化粧効果を提供しながら、皮膚の病気を治療又は予防するため又は皮膚に保湿効果を提供するための少なくとも1つの活性成分、例えば、酸化亜鉛、ワセリン、白色ワセリン、鉱油、タラ肝油、ラノリン、ジメチコン、硬質脂肪、ビタミンA、アラントイン、カラミン、カオリン、グリセリン又はコロイド状オートミール及びこれらの組み合わせを含み得る。スキンケア製品は、1つ以上の天然保湿要素、例えば、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン、スクアラン、アミノ酸、コレステロール、脂肪酸、トリグリセリド、リン脂質、グリコスフィンゴ脂質、ウレア、リノール酸、グリコサミノグリカン、ムコ多糖、乳酸ナトリウム、又はピロリドンカルボン酸ナトリウムを含み得る。スキンケア製品に含まれ得る他の成分としては、限定されるものではないが、グリセリド、杏仁油、キャノーラ油、スクアラン、スクアレン、ココナツ油、コーン油、ホホバ油、ホホバワックス、レシチン、オリーブ油、ベニバナ油、ゴマ油、シアバター、大豆油、甘扁桃油、ヒマワリ油、ティーツリー油、シアバター、パーム油、コレステロール、コレステロールエステル、ワックスエステル、脂肪酸及びオレンジ油が挙げられる。スキンケア製品は、いくつかの態様では、軟膏、ローション、又は消毒剤(例えば、手の消毒剤)であり得る。
【0106】
本明細書のパーソナルケア製品は、例えば、メーキャップ、リップスティック、マスカラ、ルージュ、ファンデーション、チーク、アイライナー、リップライナー、リップグロス、他の化粧品、サンスクリーン、サンブロック、マニキュア液、ネイルコンディショナー、バスジェル、シャワージェル、ボディソープ、洗顔料、リップバーム、スキンコンディショナー、コールドクリーム、保湿剤、ボディースプレー、石鹸、ボディスクラブ、落屑剤、収れん剤、スクラッフィングローション、脱毛剤、パーマネント液、ふけ防止製剤、制汗組成物、デオドラント、シェービング製品、プレシェーブ製品、アフターシェーブ製品、クレンジング剤、スキンジェル、リンス、歯磨き組成物、練り歯磨き又はマウスウォッシュの形態でもあり得る。パーソナルケア製品の例(例えば、クレンジング剤、石鹸、スクラブ、化粧品)は、担体又は落屑剤(例えば、ホホバビーズ[ホホバエステルビーズ])(例えば、約1~10、3~7、4~6又は5重量%)を含む。このような作用物質は、任意に製品内に分散させることができる。
【0107】
パーソナルケア製品は、いくつかの態様では、皮膚洗浄剤、石鹸、皮膚洗浄製品、又は関連製品、又は皮膚に塗布して洗い流すことができる任意の製品であり得る。このような製品のいくつかの利点は、塗布後の皮膚からの濯ぎやすさの向上(例えば、皮膚上での泡立ち)、及び/又は皮膚の感触の向上、例えば、製品の使用による皮膚の荒れ及び/又は過度の乾燥の感覚の軽減など(例えば、製品を皮膚から洗い流し、任意でタオルで皮膚を乾燥した後)であり得る。
【0108】
いくつかの態様では、パーソナルケア製品は、ヘアケア製品であり得る。本明細書のヘアケア製品の例には、シャンプー、ヘアコンディショナー(リーブイン又はリンスアウト)、クリームリンス、染毛剤、ヘアカラー製品、ヘアドライヤ製品、ヘアセラム、ヘアアンチフリズ製品、ヘアスプリットエンド修復製品、ムース(例えば、ヘアスタイリングムース)、ヘアスプレー(例えば、ヘアスタイリングスプレー)、及びスタイリングジェル(例えば、ヘアスタイリングジェル)が含まれる。いくつかの実施形態では、ヘアケア製品は、リキッド、ペースト、ジェル、固体又は粉末の形態であり得る。本開示のヘアケア製品は、典型的には、ヘアケア製品を配合するために一般に使用される以下の成分:アニオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、カチオン性界面活性剤、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム及び/又は塩化ジステアリルトリメチルアンモニウム、ノニオン性界面活性剤、例えばグリセリルモノステレアラート、ソルビタンモノパルミタート及び/又はポリオキシエチレンセチルエーテル、湿潤剤、例えばプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ピログルタミン酸塩、アミノ酸及び/又はトリメチルグリシン、炭化水素、例えば液体パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクアラン及び/又はオレフィンオリゴマー、高級アルコール、例えばステアリルアルコール及び/又はセチルアルコール、過脂肪剤、ふけ防止剤、消毒剤、抗炎症剤、生薬、水溶性ポリマー、例えばメチルセルロース、ヒドロキシセルロース及び/又は部分脱アセチル化キチン、防腐剤、例えばパラベン、紫外線吸収剤、パール化剤、pH調整剤、香料、並びに顔料の1つ以上を含む。
【0109】
いくつかの態様では、生成物は、ヘアスタイリング又はヘアセッティング組成物(例えば、ヘアスプレー、ヘアジェル又はローション、ヘアムース/フォーム)(例えば、エアロゾルヘアスプレー、非エアロゾルポンプスプレー、スプリッティング、フォーム、クリーム、ペースト、非流動性ゲル、ムース、ポマード、ラッカー、ヘアワックス)等のヘアケア組成物であり得る。本明細書の少なくとも1つのα-グルカンエーテル誘導体を含むように適合させることができるヘアスタイリング/セッティング組成物/製剤は、例えば、米国特許出願公開第20090074697号明細書、国際公開第1999048462号パンフレット、米国特許出願公開第20130068849号明細書、特開平0454116号公報、米国特許第5304368号明細書、豪州特許第667246B2号明細書、米国特許第5413775号明細書、米国特許第5441728号明細書、米国特許第5939058号明細書、特開2001302458号公報、米国特許第6346234号明細書、米国特許出願公開第20020085988号明細書、米国特許第7169380号明細書、米国特許出願公開第20090060858号明細書、米国特許出願公開第20090326151号明細書、米国特許出願公開第20160008257号明細書、国際公開第2020164769号パンフレット、又は米国特許出願公開第20110217256号に開示されている通りであり得、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。ヘアスタイリング/セッティング組成物などのヘアケア組成物は、前述の文献のいずれかに開示されている1つ以上の成分/添加剤、及び/又は芳香剤/香料、アロマセラピーエッセンス、ハーブ、注入剤、抗菌剤、刺激剤(例えば、カフェイン)、エッセンシャルオイル、ヘアカラーリング剤、染色剤又は着色剤、白髪防止剤、消泡剤、日焼け止め/紫外線遮断剤(例えば、ベンゾフェノン-4)、ビタミン、酸化防止剤、界面活性剤又は他の湿潤剤、マイカ、シリカ、金属フレーク又は他の光輝効果材料、コンディショニング剤(例えば、揮発性又は非揮発性シリコーンオイル)、帯電防止剤、不透明化剤、剥離剤、浸透剤、防腐剤(例えば、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、安息香酸塩、ジアゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル)、皮膚軟化剤(例えば、パンテノール、ミリスチン酸イソプロピル)、レオロジー調整又は増粘ポリマー(例えば、アクリル酸/メタクリルアミドコポリマー、ポリアクリル酸[例えば、CARBOMER])、乳化油相、ワセリン、脂肪アルコール、ジオール及びポリオール、乳化剤(例えば、PEG-40水添ヒマシ油、Oleth-20)、保湿剤(例えば、グリセリン、カプリリルグリコール)、シリコーン誘導体、タンパク質、アミノ酸(例えば、イソロイシン)、コンディショナー、キレート剤(例えば、EDTA)、溶媒(例えば、以下を参照)、単糖(例えば、デキストロース)、二糖、オリゴ糖、pH安定化化合物(例えば、アミノメチルプロパノール)、フィルム形成剤(例えば、アクリル酸/アクリル酸ヒドロキシエステルコポリマー、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、酢酸トリエチル)、エアゾール噴射剤(例えば.プロパン、イソブタン、又はn-ブタンなどのC3-C5アルカン、モノアルキルエーテル、ジ(C1-C4アルキル)エーテルなどのジアルキルエーテル[例えば、ジメチルエーテル])、及び/又は本明細書の任意の他の適切な材料のうちの1つ以上を含み得る。ヘアスタイリング/セッティング組成物に使用されるα-グルカンエーテル誘導体は、いくつかの態様では、ヘア固定/スタイリング剤(典型的には非永久的なヘア固定であるが、耐久性がある)として機能することができ、任意に、組成物中の唯一のヘア固定剤である。本明細書の任意の更なるヘア固定/スタイリング剤としては、PVP(ポリビニルピロリドン)、オクチルアクリルアミド/アクリラート/ブチルアミノエチルメタクリラートコポリマー、ビニルカプロラクタム/PVP/ジメチルアミノエチルメタクリラートコポリマー、AMPHOMER、又は上記のような任意のフィルム形成剤が挙げられる。
【0110】
本明細書のヘアスタイリング/セッティング組成物などのヘアケア組成物中の1つ以上のα-グルカンエーテル誘導体の総含有量は、例えば、約、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、0.5~15、0.5~10、0.5~5、0.5~2、1~15、1~10、1~5、1~2、2.5~7.5、3~7、又は4~6重量%、又は約それ未満であり得る。ヘアスタイリング/ヘアセッティング組成物は、例えば、水、及び任意に水混和性(典型的には極性)有機化合物(例えば、液体又は気体)、例えばアルコール(例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール)、アルキレングリコールアルキルエーテル、及び/又はモノアルキル又はジアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル)を含む溶媒を含み得る。有機化合物が含まれる場合、それは、例えば、重量又は体積で約10%、20%、30%、40%、50%、又は60%の溶媒(残りは水)を構成することができる。本明細書のヘアスタイリング/セッティング組成物中の溶媒の量は、例えば、約50~90、60~90、70~90、80~90、50~95、60~95、70~95、80~95又は90~95重量%であり得る。
【0111】
本明細書のヘアスタイリングゲル製剤の例は、約90~95重量%(例えば、約92重量%)の溶媒(例えば、水)、0.3~1.0重量%(例えば、約0.5重量%)の増粘剤(例えば、ポリアクリル酸)、0.1~0.3重量%(例えば、約0.2重量%)のキレート剤(例えば、EDTA)(任意)、0.2~1.0重量%(例えば、約0.5重量%)の湿潤剤(例えば、グリセリン)、0.01~0.05重量%(例えば、約0.02重量%)のUV遮断剤(例えば、ベンゾフェノン-4)(任意)、0.05~0.3重量%(例えば、約0.1重量%)の防腐剤(例えば、ジアゾリジニル尿素)(任意)、0.5~1.2重量%(例えば、約0.8重量%)の乳化剤(例えば、Oleth-20)、0.1~0.3重量%(例えば、約0.2重量%)の芳香剤/香料(任意)、0.2~1.0重量%(例えば、約0.5重量%)のpH安定化化合物(例えば、アミノメチルプロパノール)、及び3~7重量%(例えば、約5重量%)の本明細書のα-グルカンエーテル誘導体(例えば、ヘア固定/スタイリング剤として)を含み得る。
【0112】
本明細書のヘアスタイリングスプレー製剤の例は、約0.2~1.0重量%(例えば、約0.5重量%)のpH安定化化合物(例えば、アミノメチルプロパノール)、0.1~0.3重量%(例えば、約0.2重量%)の芳香剤/香料(任意)、0.05~0.12重量%(例えば、約0.08重量%)の界面活性剤(例えば、エトキシル化ジメチコンポリオール)、0.05~0.12重量%(例えば、約0.08重量%)のコンディショナー(例えば、シクロメチコン)(任意)、0.05~0.3重量%(例えば、約0.2重量%)の防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム)(任意)、15~20重量%(例えば、約17重量%)の水、30~40重量%(例えば、約65重量%)のアルコール(例えば、エタノール)、40~60重量%(例えば、約45重量%)の噴射剤(例えば、ジメチルエーテル、又はジメチルエーテルとC3~C5アルカンとの約2:1の混合物[例えば、プロパンとイソブタンの混合物])、及び2~4重量%(例えば、約2.75重量%)の本明細書のα-グルカンエーテル誘導体(例えば、ヘア固定/スタイリング剤として)を含み得る。
【0113】
本開示のいくつかの態様は、本明細書のヘアケア組成物(例えば、ヘアスタイリング/セッティング組成物、シャンプー、又はコンディショナー)で処理された毛髪に関する。例えば、毛髪は、その表面に、例えば、毛髪のフィルム/コーティングに、及び/又は毛髪表面に吸着した又はその反対で沈着したα-グルカンエーテル誘導体を含み得、任意で、本明細書のヘアケア組成物の1つ以上の他の成分も存在することができる。いくつかの態様では、本開示の毛髪、例えば、α-グルカンエーテルを含むコーティングを有する毛髪は、肉眼で剥離を示さない(即ち、目立った剥離がほとんど又は全くない)。いくつかの態様では、シャンプー又はコンディショナーなどの本明細書のヘアケア組成物で処理され(従って、典型的にはα-グルカンエーテルでコーティングされ)、典型的にはその後に水で濯がれた、本開示の毛髪は、毛髪が濡れている又は乾いているかにかかわらず、櫛でとかすのに必要なエネルギー量が少なくなる(例えば、約、又は少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%低減される)(例えば、本明細書のα-グルカンエーテル誘導体を含まず、代わりに任意に現行の/従来のヘアトリートメント/コンディショニングポリマー、例えば、ポリクオタニウム-10、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-7、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含むヘアケア組成物を使用した以外は同じ方法で処理した毛髪と比較して)。毛髪の櫛通りエネルギー(hair combing energy)は、例えば、米国特許出願公開第2014/0271504号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、又は以下の例に記載されるように測定することができる。
【0114】
本開示の少なくとも1つのα-グルカンエーテル誘導体を含むパーソナルケア製剤の様々な例を以下(1~8)に開示する。
(1)セチルアルコール(1~3%)、イソプロピルミリステート(1~3%)、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol(登録商標)250HHR、0.1~1%)、α-グルカンエーテル誘導体(0.1~2%)、カリウム塩(0.1~0.5%)、Germaben(登録商標)II防腐剤(0.5%、International Specialty Productsから入手可能)、及び水である残部を含むヘアコンディショナー組成物。
(2)5~20%のラウレス硫酸ナトリウム(SLES)、1~2重量%のコカミドプロピルベタイン、1~2重量%の塩化ナトリウム、0.1~2%のα-グルカンエーテル誘導体、防腐剤(0.1~0.5%)、及び水である残部を含むヘアシャンプー組成物。
(3)α-グルカンエーテル誘導体を含む本明細書の表4に記載のヘアシャンプー組成物、但し、各成分(カチオン性α-グルカンエーテル、コカミドプロピルベタイン、C14~16オレフィンスルホン酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ナトリウム、無水クエン酸、EDTA二ナトリウム、水)の量は、表4に記載の量の5%、10%、15%、又は20%以内である。
(4)α-グルカンエーテル誘導体を含む本明細書の表6に記載のヘアシャンプー組成物、但し、各成分(カチオン性α-グルカンエーテル、コカミドプロピルベタイン、C14~16オレフィンスルホン酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ナトリウム、無水クエン酸、EDTA二ナトリウム、水)の量は、表6に記載の量の5%、10%、15%、又は20%以内である。
(5)α-グルカンエーテル誘導体を含む本明細書の表8に記載のヘアシャンプー組成物、但し、各成分(カチオン性α-グルカンエーテル、コカミドプロピルベタイン、ラウレス硫酸ナトリウム、ジメチコン、フェノキシエタノール、塩化ナトリウム、無水クエン酸、EDTA二ナトリウム、水)の量は、表8に記載された量の5%、10%、15%、又は20%以内である。
(6)1~5%のグリセリン、1~5%のステアリン酸グリコール、1~5%のステアリン酸、1~5%の鉱油、0.5~1%のアセチル化ラノリン(Lipolan(登録商標)98)、0.1~0.5%のセチルアルコール、0.2~1%のトリエタノールアミン、0.1~1重量%のGermaben(登録商標)II防腐剤、0.5~2重量%のα-グルカンエーテル誘導体、及び水である残部を含むスキンローション組成物。
(7)α-グルカンエーテル誘導体を含む本明細書の表14に記載の皮膚洗浄剤又は石鹸組成物、但し、各成分(カチオン性α-グルカンエーテル、コカミドプロピルベタイン、カプリリル/カプリルグルコシド、安息香酸ナトリウム、クエン酸、水)の量は、表14に記載の量の5%、10%、15%、又は20%以内である。
(8)α-グルカンエーテル誘導体を含む本明細書の表15に記載の皮膚洗浄剤又は石鹸組成物、但し、各成分(カチオン性α-グルカンエーテル、コカミドプロピルベタイン、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ナトリウム、水)の量は、表15に記載の量の5%、10%、15%、又は20%以内である。
【0115】
本明細書の医薬品は、例えば、エマルジョン、リキッド、エリキシル、ジェル、懸濁剤、液剤、クリーム又は軟膏の形態であり得る。また、本明細書の医薬品は、本明細書に開示されるパーソナルケア製品のいずれかの形態、例えば、抗菌又は抗真菌組成物等の形態であり得る。医薬品は、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は薬学的に許容される塩を更に含み得る。本明細書の組成物はまた、例えば、カプセル、錠剤、錠剤コーティングにおいて、並びに医薬品及び薬物のための賦形剤として使用することができる。
【0116】
本明細書の家庭用及び/又は工業用製品は、例えば、ドライウォールテープ接合化合物、モルタル、グラウト、セメントプラスター、スプレープラスター、セメントスタッコ、接着剤、ペースト、壁/天井結着剤、テープキャスティング、押出成形、射出成形及びセラミック用バインダー及び加工助剤、殺虫剤、除草剤及び肥料用スプレー粘着剤及び懸濁化/分散助剤、布地ケア製品、例えば、布地用柔軟剤及び洗濯用洗剤、硬質表面洗浄剤、空気清浄剤、ポリマーエマルジョン、ラテックス、ゲル、例えば、水性ゲル、界面活性剤溶液、塗料、例えば、水性塗料、保護コーティング、接着剤、シーラント及びコーキング剤、インク、例えば、水性インク、金属切削液、フィルム又はコーティング、或いは電気めっき、リン酸塩処理、亜鉛めっき及び/又は一般の金属洗浄作業で使用するエマルジョン系金属洗浄液の形態であり得る。いくつかの態様では、本明細書の組成物は、例えば、粘度調整剤及び/又は摩擦低減剤として流体に含まれ、このような用途には、ダウンホール動作/流体(例えば、水圧破砕及び増進石油回収における)が含まれる。
【0117】
本明細書のいくつかの態様は、(i)海水等の塩水、又は(ii)本開示の少なくとも1つの水溶性α-グルカンエーテル誘導体を有する、約2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、2.5~4.0、2.75~4.0、3.0~4.0、2.5~3.5、2.75~3.5、3.0~3.5、3.0~4.0、又は3.0~3.5重量%の1つの塩又は塩の組み合わせ(例えば、少なくともNaClを含む)を有する水溶液に関する。(i)又は(ii)のこのような水中のα-グルカンエーテル誘導体の濃度は、例えば、約、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、0.1~0.3、又は0.1~0.2重量%、又は約それ未満であり得る。このような水性組成物中の塩濃度が比較的高いにもかかわらず、いくつかの態様では、α-グルカンエーテル誘導体は、完全に又は大部分が溶液中に留まり、粘度を与えることができると考えられる。本明細書のα-グルカンエーテル誘導体によって粘度が改質された(i)又は(ii)の溶液は、このような溶液を利用するシステム(例えば、本明細書のいずれか、例えばダウンホール操作など)内でそのまま使用することができる。
【0118】
更に、いくつかの態様では、α-グルカンエーテル誘導体は、それが添加された水性組成物の粘度に重大な影響を与えない。粘度にほとんど又は全く影響しないこのことは、典型的には、本明細書の生成物を配合するのに利用することができる。例えば、α-グルカンエーテル誘導体は、生成物の粘度に扱いにくい又は望ましくない影響を与える既存の成分の代わりに使用することができる。
【0119】
いくつかの態様では、本明細書の生成物は、布地ケア組成物の形態であり得る、又は布地ケア組成物を含み得る。布地ケア組成物は、手洗い、洗濯機洗浄及び/又は他の目的、例えば、布地の浸漬及び/又は前処理等の他の目的のために使用できる。布地ケア組成物は、例えば、洗濯用洗剤、布地コンディショナー、任意の洗濯用製品、リンス用製品又は乾燥機添加製品、単位用量又はスプレーの形態を取り得る。液体形態の布地ケア組成物は、水性組成物の形態であり得る。他の実施形態では、布地ケア組成物は、例えば、顆粒状洗剤又は乾燥機添加用柔軟剤シート等の乾燥形態であり得る。布地ケア組成物の他の非限定的な例としては、顆粒状又は粉末状の万能又は強力洗浄剤、液体、ジェル又はペースト形態の万能又は強力洗浄剤、液体又は乾燥した繊細な布地(例えば、繊細な衣類)用洗剤、例えば漂白用添加物、「ステイン・スティック」又は前処理剤等の洗浄補助剤、基質積載製品、例えばドライワイプ又はウェットワイプ、パッド又はスポンジ、スプレー剤及びミスト剤、水溶性単位用量製品を挙げることができる。更なる例として、本明細書の組成物は、液体、ゲル、粉末、親水コロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、ビーズ又はトローチ、単一区画サシェ、複数区画サシェ、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態であり得る。
【0120】
本明細書の洗剤組成物は、例えば、粉末、顆粒、ペースト、バー、単位用量又は液体等の任意の有用な形態であり得る。液体洗剤は、典型的には、約70重量%までの水及び0重量%~約30重量%の有機溶媒を含む水性であり得る。液体洗剤は、水を約30重量%のみ含むコンパクトジェルの形態でもあり得る。
【0121】
洗剤組成物(例えば、布地ケア製品又は本明細書の任意の他の製品)は、典型的には、1つ以上の界面活性剤を含み、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、洗剤組成物の約0.1重量%~約60重量%の濃度で存在し、代替の実施形態では、濃度は、約1重量%~約50重量%であり、なお更なる実施形態では、濃度は、約5重量%~約40重量%である。洗剤は、通常、0重量%~約50重量%のアニオン性界面活性剤、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸塩(高級アルコール硫酸エステル塩)(AS)、アルコールエトキシサルファート(AEOS又はAES)、2級アルカンスルホナート(SAS)、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル-又はアルケニルコハク酸又は石鹸を含むであろう。加えて、洗剤組成物は、任意に、0重量%~約40重量%のノニオン性界面活性剤、例えば、(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第92/06154号パンフレットに記載されている)アルコールエトキシラート(AEO又はAE)、カルボキシル化アルコールエトキシラート、ノニルフェノールエトキシラート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミン、脂肪酸モノエタノールアミド又はポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドを含み得る。
【0122】
本明細書の洗剤組成物は、任意に、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含み得る。いくつかの態様では、酸化されたα-1,3-グルカンをコビルダーとして含めることができ、本明細書で使用するための酸化α-1,3-グルカン化合物は、米国特許出願公開第2015/0259439号明細書において開示されている。少なくとも1つのビルダーを組み込むいくつかの態様では、洗浄組成物は、ビルダーを組成物の少なくとも約1重量%、約3重量%~約60重量%又は更に約5重量%~約40重量%含む。ビルダーの例としては、アルカリ金属、ポリリン酸のアンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属カルボナート、アルミノケイ酸塩、ポリカルボン酸化合物、エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩、マレイン酸無水物とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸及びカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、例えばエチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸、並びにポリカルボン酸塩、例えばメリット酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸及びこれらの可溶塩が挙げられる。洗剤ビルダー又は錯化剤の更なる例としては、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(例えば、HoechstのSKS-6)が挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、ビルダーは、クエン酸塩及びポリリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、及び混合されたトリポリリン酸ナトリウム及びカリウム等)などの水溶性の硬質イオン錯体(例えば、金属イオン封鎖ビルダー)を形成する。任意の適切なビルダーは、当技術分野において公知のビルダーも含めて本開示で使用が見られると考えられる(例えば、欧州特許第2100949号明細書を参照)。
【0124】
いくつかの実施形態では、適切なビルダーとして、リン酸塩ビルダー及び非リン酸塩ビルダーを挙げることができる。いくつかの実施形態では、ビルダーは、リン酸塩ビルダーである。いくつかの実施形態では、ビルダーは、非リン酸塩ビルダーである。ビルダーは、組成物の0.1重量%~80重量%、5重量%~60重量%又は10重量%~50重量%の濃度で使用され得る。いくつかの実施形態では、生成物は、リン酸塩ビルダー及び非リン酸塩ビルダーの混合物を含む。適切なリン酸塩ビルダーとしては、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩又はオリゴマーポリリン酸塩、例えばこれらの化合物のアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、ビルダーは、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)であり得る。更に、組成物は、炭酸塩及び/又はクエン酸塩、好ましくは中性pH組成物を達成するのに役立つクエン酸塩を含み得る。他の適切な非リン酸塩ビルダーとしては、ポリカルボン酸及びそれらの部分又は完全中和塩のホモポリマー及びコポリマー、モノマーポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸並びにそれらの塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記化合物の塩として、アンモニウム塩及び/又はアルカリ金属塩、即ち、リチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩、例えばナトリウム塩が挙げられる。適切なポリカルボン酸としては、非環式、脂環式、複素環式及び芳香族カルボン酸が挙げられるが、いくつかの実施形態では、それらは、それぞれの場合に相互から、一部の例では2つ以下の炭素原子によって相互から分離される少なくとも2つのカルボキシル基を含み得る。
【0125】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1つのキレート剤を含み得る。適切なキレート剤としては、銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも1つのキレート剤を使用する実施形態では、組成物は、組成物の約0.1重量%~約15重量%又は更に約3.0重量%~約10重量%のキレート剤を含む。
【0126】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1つの沈着助剤を含み得る。適切な沈着助剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボン酸塩、汚れ放出ポリマー、例えばポリテレフタル酸、粘土、例えばカオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイト及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
本明細書の洗剤組成物は、1つ以上の染料移動阻害剤を含み得る。適切なポリマー染料移動阻害剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾールのコポリマー又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。更なる染料移動阻害剤としては、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾールのコポリマー並びに/又はそれらの混合物が挙げられる。そのキレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシ-エタン二リン酸(HEDP)、エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸N,N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩)(GLDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸、クエン酸及びそれらの任意の塩、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)並びに単独又は上記のいずれかと組み合わせて使用できるそれらの誘導体が挙げられる。少なくとも1つの染料移動阻害剤を使用する実施形態では、本明細書の組成物は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%又は更に約0.1重量%~約3重量%を含み得る。
【0128】
本明細書の洗剤組成物は、ケイ酸塩を含み得る。これらの実施形態のいくつかでは、ケイ酸ナトリウム(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び/又はフィロケイ酸塩)の使用が見られる。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は、組成物の約1重量%~約20重量%の濃度で存在する。一部の実施形態では、ケイ酸塩は、本組成物の約5重量%~約15重量%の濃度で存在する。
【0129】
本明細書の洗剤組成物は、分散剤を含み得る。適切な水溶性有機材料としては、その中でポリカルボン酸が2つ以下の炭素原子で相互から分離された少なくとも2つのカルボキシル基を含むホモポリマー酸又はコポリマー酸又はそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本明細書の洗剤組成物は、例えば、追加的に1つ以上の上記で開示された酵素を含み得る。いくつかの態様では、洗剤組成物は、それぞれが組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度にある1つ以上の酵素及び残りの量のクリーニング補助物質を含み得る。いくつかの他の態様では、洗剤組成物は、各酵素を組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%又は約0.005重量%~約0.5重量%の濃度でも含み得る。本明細書の洗剤組成物に含まれる酵素は、従来の安定剤、例えば、プロピレングリコール又はグリセロール等のポリオール、糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)を用いて安定化され得る。
【0131】
いくつかの態様では、洗浄剤組成物は、本明細書に開示されるα-グルカンエーテル誘導体に加えて、1つ以上の他の種類のポリマーを含み得る。本明細書で有用なポリマーの他の種類の例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デキストラン、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリカルボキシラート、例えばポリアクリラート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリラート/アクリル酸コポリマーが挙げられる。
【0132】
本明細書の洗剤組成物は、漂白系を含み得る。例えば、漂白系は、例えばテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はノナノイルオキシベンゼンスルホナート(NOBS)などの過酸形成漂白活性化剤と結合することのできる、過ホウ酸塩又は過炭酸塩などのH2O2源を含み得る。或いは、漂白系は、ペルオキシ酸(例えば、アミド、イミド又はスルホンタイプのペルオキシ酸)を含み得る。代わりに更に、漂白系は、例えば、国際公開第2005/056783号パンフレットに記載された系などのペルヒドロラーゼを含む酵素的漂白系であり得る。
【0133】
本明細書の洗剤組成物は、布地コンディショナー、粘土、起泡力増進剤、泡抑制剤、防食剤、汚れ懸濁剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、変色防止剤、蛍光増白剤又は香料等の従来の洗剤成分も含み得る。本明細書の洗剤組成物の(使用濃度で水溶液中において測定した)pHは、通常、中性又はアルカリ性(例えば、約7.0~約11.0のpH)である。
【0134】
本明細書の布地ケア製品のための適切な再沈着防止剤及び/又は粘土質汚れ除去剤の例としては、ポリエトキシ両性イオン性界面活性剤、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸又はメタクリル酸-酸化エチレン凝縮体との水溶性コポリマー(例えば、米国特許第3719647号明細書)、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース(例えば、米国特許第3597416号明細書及び同第3523088号明細書)、並びにノニオン性アルキルポリエトキシ界面活性剤、ポリエトキシアルキル4級カチオン性界面活性剤及び脂肪酸アミド界面活性剤を含む混合物(例えば、米国特許第4228044号明細書)が挙げられる。他の適切な再沈着防止剤及び粘土質汚れ除去剤の非限定的な例は、米国特許第4597898号明細書及び同第4891160号明細書、並びに国際公開第95/32272号パンフレットに開示されており、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
本明細書の目的に適合させることができる洗剤組成物の特定の形態は、例えば、米国特許出願公開第20090209445A1号明細書、同第20100081598A1号明細書、米国特許第7001878B2号明細書、欧州特許第1504994B1号明細書、国際公開第2001085888A2号パンフレット、同第2003089562A1号パンフレット、同第2009098659A1号パンフレット、同第2009098660A1号パンフレット、同第2009112992A1号パンフレット、同第2009124160A1号パンフレット、同第2009152031A1号パンフレット、同第2010059483A1号パンフレット、同第2010088112A1号パンフレット、同第2010090915A1号パンフレット、同第2010135238A1号パンフレット、同第2011094687A1号パンフレット、同第2011094690A1号パンフレット、同第2011127102A1号パンフレット、同第2011163428A1号パンフレット、同第2008000567A1号パンフレット、同第2006045391A1号パンフレット、同第2006007911A1号パンフレット、同第2012027404A1号パンフレット、欧州特許第1740690B1号明細書、国際公開第2012059336A1号パンフレット、米国特許第6730646B1号明細書、国際公開第2008087426A1号パンフレット、同第2010116139A1号パンフレット、及び同第2012104613A1号パンフレットに開示されており、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0136】
本明細書の洗濯用洗剤組成物は、任意に、強力(万能)洗濯用洗剤組成物であり得る。典型的な強力洗濯用洗剤組成物は、アニオン性洗浄性界面活性剤(直鎖又は分岐鎖又はランダム鎖の置換又は未置換アルキルスルファート、アルキルスルホナート、アルコキシル化アルキルスルファート、アルキルホスファート、アルキルホスホナート、アルキルカルボキシラート及び/又はそれらの混合物の群から選択される)、並びに任意に非イオン性界面活性剤(直鎖又は分岐鎖又はランダム鎖の置換又は未置換アルコキシル化アルコールアルキル、例えば、C8~C18エトキシル化アルキルアルコール及び/又はC6~C12アルキルフェノールアルコキシラートの群から選択される)を含む洗浄性界面活性剤(10重量/重量%~40重量/重量%)を含み、この場合、アニオン性洗浄性界面活性剤(6.0~9の親水性指数(HIc)を備える)対非イオン性洗浄性界面活性剤の重量比は1:1より大きい。適切な洗浄性界面活性剤としてはまた、カチオン性洗浄性界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル4級アンモニウム化合物、アルキル4級ホスホニウム化合物、アルキル三元スルホニウム化合物及び/又はそれらの混合物の群から選択される)、双性及び/又は両性洗浄性界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインの群から選択される)、両性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0137】
強力洗濯用洗剤組成物等の本明細書の洗剤には、任意に、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー(分岐の親水性及び疎水性を有するアルコキシル化ポリマー、例えば0.05重量%~10重量%の範囲のアルコキシル化ポリアルキレンイミン等の群から選択される)、及び/又はランダムグラフトポリマー(典型的には、不飽和C1~C6カルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、グリセロール等の飽和ポリアルコール及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む親水性骨格と、C4~C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C1~C6モノ-カルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC1~C6アルキルエステル及びそれらの混合物からなる群から選択される疎水性側鎖とからなる)からなる界面活性増強性ポリマーを含み得る。
【0138】
例えば強力洗濯用洗剤組成物等の本明細書の洗剤には、任意に、更なるポリマー、例えば汚れ放出ポリマー(アニオン性で末端キャップされたポリエステル、例えばSRP1等のランダム又はブロック構造にある糖、ジカルボン酸、ポリオール及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマー、ランダム又はブロック構造にあるエチレンテレフタラートをベースとするポリマー及びそれらのコポリマー、例えばREPEL-O-TEX SF、SF-2 AND SRP6、TEXCARE SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300 AND SRN325、MARLOQUEST SLが含まれる)が含まれ得、本明細書の再沈着防止剤(0.1重量%~10重量%)には、500~100,000Daの範囲内の分子量のカルボキシラートポリマー、例えばアクリル酸、マレイン酸(又はマレイン酸無水物)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸及びそれらの任意の混合物、ビニルピロリドン、ビニルピロリドンホモポリマー及び/又はポリエチレングリコールから選択される少なくとも1つのモノマーを含むポリマー、並びにポリマーカルボキシラート(例えば、マレアート/アクリラートランダムコポリマー又はポリアクリラートホモポリマー)が含まれる。
【0139】
例えば強力洗濯用洗剤組成物等の本明細書の洗剤には、任意に、更に飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和又は不飽和C12~C24脂肪酸(0重量%~10重量%)、沈着助剤(それらの例には、多糖、セルロースポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物(DADMAC)、及びランダム又はブロック構造にあるDAD MACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリウムハロゲン化物及びそれらの混合物とのコポリマー、カチオン性グアーガム、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアクリルアミド及びそれらの混合物が含まれる)が含まれ得る。
【0140】
強力洗濯用洗剤組成物等の本明細書の洗剤は、任意に、少なくとも1つの染料移動阻害剤を更に含み得、その例は上記に記載されている。
【0141】
例えば強力洗濯用洗剤組成物等の本明細書の洗剤は、任意に、シリコーン又は脂肪酸をベースとする泡抑制剤、色調染料(hueing dye)、カルシウムカチオン及びマグネシウムカチオン、視覚的シグナル伝達成分、消泡剤(0.001重量%~約4.0重量%)、及び/又はジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアラート、微結晶セルロース、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ゲランガム並びにそれらの混合物からなる群から選択される構造化剤/増粘剤(0.01重量%~5重量%)を含み得る。構造化剤は、構造剤とも呼ぶことができる。
【0142】
本明細書の洗剤は、例えば、強力乾燥/固体洗濯用洗剤組成物の形態であり得る。このような洗剤は、(i)洗浄性界面活性剤、例えば本明細書に開示される任意のアニオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示される任意のノニオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示される任意のカチオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示される任意の両性イオン性及び/又は両性洗浄性界面活性剤、任意の両性界面活性剤、任意の半極性非イオン性界面活性剤、並びにそれらの混合物、(ii)ビルダー、例えば任意の無リンビルダー(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のゼオライトビルダー)、任意のリン酸塩ビルダー(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のトリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸、クエン酸塩及びニトリロ三酢酸、任意のケイ酸塩(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のケイ酸ナトリウム又はカリウム又はメタケイ酸ナトリウム)、任意の炭酸塩(例えば、0重量%~80重量%未満の範囲内の炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウム)及びそれらの混合物、(iii)漂白剤、例えば任意の光漂白剤(例えば、スルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン染料及びそれらの混合物)、任意の疎水性又は親水性漂白活性化剤(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホナート、デカノイルオキシベンゼンスルホナート、デカノイルオキシ安息香酸又はそれらの塩、3,5,5-トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホナート、テトラアセチルエチレンジアミン-TAED、ノナノイルオキシベンゼンスルホナート-NOBS、ニトリルクアット及びそれらの混合物)、過酸化水素の任意の供給源(例えば、その例には過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩又は過ケイ酸塩のモノ又はテトラハイドラートナトリウム塩が含まれる無機ペルハイドラート塩)、任意の予備形成親水性及び/又は疎水性過酸(例えば、過カルボン酸及び塩、過炭酸及び塩、過イミド酸及び塩、ペルオキソ一硫酸及び塩並びにそれらの混合物)、並びに/又は(iv)任意の他の成分、例えば漂白触媒(例えば、その例にはイミニウムカチオン及びポリイオン、イミニウム両性イオン、改質アミン、改質アミンオキシド、N-スルホニルイミン、N-ホスホニルイミン、N-アシルイミン、チアジアゾールジオキシド、ペルフルオロイミン、環状糖ケトン及びそれらの混合物が含まれるイミン系漂白増強剤)並びに金属含有漂白触媒(例えば亜鉛又はアルミニウム等の補助金属カチオン及び例えばEDTA、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)等の金属イオン封鎖剤とともに、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン又はマンガンカチオン)を含み得る。
【0143】
例えば、布地のケア(例えば、洗濯)のためのもの等の本明細書の洗剤は、単位用量(例えば、サシェ又はポーチ)に含まれ得る。単位用量の形態は、液体又は固体洗剤組成物を完全に封入する水溶性外側フィルムを含み得る。単位用量は、単一の区画又は少なくとも2つ、3つ又はそれを超える(複数の)区画を含み得る。複数の区画は、重ね合わせる向き又は横並びの向きに配置され得る。本明細書の単位用量は、典型的には、水との接触前に含有物を放出することなく、その含有物の保持及び保護のために適切ないずれかの形態/形状の閉鎖構造である。
【0144】
本明細書に開示される生成物は、例えば、柔軟剤(液体柔軟剤)の形態であり得る、又はそれを含み得る。このような組成物の例は、典型的には洗濯用洗剤組成物(例えば、洗濯機における洗濯物濯ぎサイクルで使用されるような洗濯物濯ぎ)で材料含有布地を洗浄した後、本明細書の材料含有布地を洗濯する際に使用されるリンスである。柔軟剤(例えば、リンス)を含む組成物中の本明細書のα-グルカンエーテルの濃度は、例えば、約又は少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、20~80、20~70、20~60、30~80、30~70、30~60、40~80、40~70、又は40~60ppmであり得る。組成物(例えば、リンス)中の柔軟剤の濃度は、例えば、約又は少なくとも約50、75、100、150、200、300、400、500、600、50~600、50~500、50~400、50~300、50~200、100~600、100~500、100~400、100~300、100~200、10~600、50~500、50~400、50~300、50~200、200~600、200~500、200~400、又は200~300ppmであり得る。柔軟剤濃度は、(必ずしも柔軟剤の個々の構成成分に基づかずに)添加された柔軟剤組成物全体に基づくか、又は柔軟剤製剤中の1つ以上の柔軟剤に基づくことができる。本明細書の柔軟剤は、例えば、柔軟剤(例えば、ジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリド)、帯電防止剤、香料、湿潤剤、粘度調整剤(例えば、塩化カルシウム)、pH緩衝剤/緩衝剤(例えば、ギ酸)、抗菌剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤(例えば、塩化アンモニウム)、キレート剤/ビルダー(例えば、ジエチレントリアミンペンタアセタート)、消泡剤/潤滑剤(例えば、ポリジメチルシロキサン)、防腐剤(例えば、ベンズイソチアゾリノン)及び着色剤の1つ以上を更に含むことができる。いくつかの態様では、柔軟剤は、柔軟剤、粘度調整剤、pH緩衝剤/緩衝剤、ラジカル捕捉剤、キレート剤/ビルダー及び消泡剤/潤滑剤の1つ以上を更に含むことができる。柔軟剤は、いくつかの態様では、無香料及び/又は無染料であることができる、或いは約0.1重量%未満の香料及び/又は染料を有することができる。いくつかの態様では、本明細書での使用に適合させることができる柔軟剤は、米国特許出願公開第2014/0366282号明細書、同第2001/0018410号明細書、同第2006/0058214号明細書、同第2021/0317384号明細書又は同第2006/0014655号明細書、又は国際公開第2007/078782号パンフレット、同第1998/016538号パンフレット、同第1998/012293号パンフレット、同第1998007920号パンフレット、同第2000/070004号パンフレット、同第2009/146981号パンフレット、同第2000/70005号パンフレット又は同第2013087366号パンフレットのいずれかに開示される通りであり得、これらは参照により本明細書に組み込まれる。本明細書での使用に適合させることができる柔軟剤のいくつかのブランドには、所望であれば、DOWNY、DOWNY ULTRA、DOWNY INFUSIONS、ALL、SNUGGLE、LENOR及びGAINが含まれる。液体柔軟剤製品(例えば、洗濯濯ぎサイクルで使用される前の状態)は、いくつかの態様では少なくとも1つのα-グルカンエーテル誘導体を含むように配合することができる。いくつかの態様では、柔軟剤は、洗剤用の本明細書に開示されるような単位用量であり得る。
【0145】
本明細書に開示される生成物は、例えば、食器洗い用洗剤組成物の形態であり得る、又は食器洗い用洗剤組成物を含み得る。食器洗浄用洗剤の例としては、自動食器洗い機用洗剤(典型的には、食器洗浄機で使用される)及び手洗い食器用洗剤が挙げられる。食器洗い用洗剤組成物は、例えば、本明細書に開示される任意の乾燥又は液体/水性形態であり得る。食器洗い用洗剤組成物のいくつかの態様に含まれ得る成分としては、例えば、リン酸塩、酸素系又は塩素系漂白剤、非イオン性界面活性剤、アルカリ性塩(例えば、メタケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム)、本明細書で開示される任意の活性酵素、防食剤(例えば、ケイ酸ナトリウム)、消泡剤、セラミックスからの艶及び模様の除去を減速するための添加物、香料、固化防止剤(顆粒状洗剤中)、デンプン(錠剤系洗剤中)、ゲル化剤(液体/ジェル系洗剤中)、並びに/又は砂(粉末状洗剤)の1つ以上が挙げられる。
【0146】
例えば自動食器洗い機用洗剤又は液体食器洗い用洗剤等の食器洗い用洗剤は、(i)0~10重量%の量で存在する任意のエトキシル化ノニオン性界面活性剤、アルコキシル化アルコール界面活性剤、エポキシキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール又はアミンオキシド界面活性剤を含むノニオン性界面活性剤、(ii)約5~60重量%の範囲内の、任意のリン酸塩ビルダー(例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩、他のオリゴマーポリリン酸塩、ナトリウムトリポリリン酸塩-STPP)、任意の無リンビルダー(例えば、メチル-グリシン二酢酸[MGDA]及びそれらの塩又は誘導体、グルタミン-N,N-二酢酸[GLDA]及びそれらの塩又は誘導体、イミノ二コハク酸(IDS)及びそれらの塩又は誘導体、カルボキシメチルイヌリン及びそれらの塩又は誘導体、ニトリロ三酢酸[NTA]、ジエチレントリアミン五酢酸[DTPA]、B-アラニン二酢酸[B-ADA]及びそれらの塩を含むアミノ酸ベースの化合物)、ポリカルボン酸及びそれらの部分又は完全中和塩のホモポリマー及びコポリマー、0.5重量%~50重量%の範囲内のモノマーポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸及びそれらの塩、又は0.1重量%~約50重量%の範囲内のスルホン化/カルボキシル化ポリマーを含むビルダー、(iii)0.1重量%~約10重量%の範囲内の乾燥助剤(例えば、任意に3~6つの官能基-典型的には重縮合を誘導する酸、アルコール又はエステル官能基を備える更なるモノマーと一緒にポリエステル、特にアニオン性ポリエステル、ポリカルボナート-、ポリウレタン-及び/又はポリウレア-ポリオルガノシロキサン化合物又はそれらの、特に反応性環状炭酸塩及びウレアタイプの前駆体化合物)、(iv)約1重量%~約20重量%の範囲内のケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム又はカリウム、例えば二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び結晶性フィロケイ酸塩)、(v)無機漂白剤(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩等のペルハイドラート塩)及び/又は有機漂白剤(例えば、ジアシル-及びテトラアシルペルオキシド、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、及びジペルオキシヘキサデカン二酸等の有機ペルオキシ酸)、(vi)漂白活性化剤(例えば、約0.1重量%~約10重量%の範囲内の有機過酸前駆体)及び/又は漂白触媒(例えば、マンガントリアザシクロノナン及び関連錯体、Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連錯体、及びペンタミンコバルト(III)酢酸塩及び関連錯体)、(vii)0.1重量%~5重量%の範囲内の金属ケア剤(例えば、ベンザトリアゾール、金属塩及び錯体及び/又はケイ酸塩)、(viii)約0.1重量%~5重量%の範囲のガラス腐食防止剤(例えば、マグネシウム、亜鉛、又はビスマスの塩及び/又は錯体)、並びに/或いは(ix)自動食器洗い機用洗剤組成物1グラム当たり約0.01~5.0mgの範囲内の活性酵素の本明細書に開示される任意の活性酵素並びに酵素安定化剤(例えば、オリゴ糖、多糖及び無機二価金属塩)を含み得る。いくつかの態様では、食器洗い用洗剤成分又は組成物全体(しかし、本明細書のα-グルカンエーテル誘導体を含むようにそれに応じて適合されている)は、米国特許第8575083号明細書又は同第9796951号明細書、米国特許出願公開第2017/0044468号明細書、又は国際公開第2023/111170号パンフレットに開示される通りであり得、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
食器ケア用等の本明細書の洗剤は、例えば、単位用量(例えば、サシェ又はパウチ)(例えば、水溶性単位用量品)で含むことができ、布地ケア用洗剤について上述したようにすることができるが、むしろ適切な食器洗剤組成物を含み得る。
【0148】
本明細書に開示されるα-グルカンエーテル誘導体を含むように、多数の市販の洗剤製剤を適合させることができると考えられる。市販の洗剤製剤の例には、PUREX(登録商標)ULTRAPACKS(Henkel)、FINISH(登録商標)QUANTUM(Reckitt Benckiser)、CLOROX(商標)2 PACKS(Clorox)、OXICLEAN MAX FORCE POWER PAKS(Church&Dwight)、TIDE(登録商標)STAIN RELEASE、CASCADE(登録商標)ACTIONPACS、及びTIDE(登録商標)PODS(商標)(Procter&Gamble)が含まれる。
【0149】
本明細書に開示される組成物は、例えば、口腔ケア組成物の形態であり得る、又はそれを含み得る。口腔ケア組成物の例としては、何らかの形態の口腔ケア(例えば、虫歯[う蝕]、歯肉炎、歯垢、歯石及び/又は歯周疾患の治療又は予防)を提供する歯磨き剤、練り歯磨き、洗口液、口内洗浄剤、チューインガム及び可食ストリップが挙げられる。口腔ケア組成物は、舌の表面、硬口蓋又は軟口蓋、頬粘膜、歯肉及び歯表面等を含む口腔内の柔らかい又は硬い表面を全て包含する「口腔面」の治療に用いることもできる。本明細書では、「歯表面」は、例えば、天然歯の表面又はクラウン、キャップ、詰め物、ブリッジ、義歯、又は歯科用インプラント等の人工歯の硬質表面である。
【0150】
本明細書の口腔ケア組成物は、例えば、約0.01~15.0重量%(例えば、約0.1~10重量%又は約0.1~5.0重量%、約0.1~2.0重量%)の本明細書に開示されるα-グルカンエーテル誘導体を含み得る。口腔ケア組成物に含まれるα-グルカンエーテル誘導体は、ときに、増粘剤及び/又は分散剤としてその中に提供することができ、それは、組成物に所望の稠度及び/又は口当たりを付与するのに有用であり得る。本明細書の口腔ケア組成物には、例えば、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン(例えば、L-カラギーナン)、天然ゴム(例えば、カラヤ、キサンタン、アラビアゴム、トラガカント)、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウム又はコロイドシリカ等の1つ以上の他の増粘剤又は分散剤も提供することができる。
【0151】
本明細書の口腔ケア組成物は、例えば、練り歯磨き又は他の歯磨き剤であり得る。本明細書のこのような組成物及び他の任意の口腔ケア組成物は、限定はされないが、更に、虫歯予防薬、抗微生物剤又は抗菌剤、抗歯石剤又は歯石防止剤、界面活性剤、研磨剤、pH調節剤、起泡調節剤、保湿剤、香味剤、甘味料、顔料/着色剤、増白剤及び/又は他の適切な成分の1つ以上を含み得る。本明細書のα-グルカンエーテル誘導体を添加することができる口腔ケア組成物の例は、米国特許出願公開第2006/0134025号明細書、同第2002/0022006号明細書及び同第2008/0057007号明細書に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
本明細書の虫歯予防薬は、経口的に許容されるフッ化物イオン源であり得る。適切なフッ化物イオン源としては、例えば、フッ素化合物、モノフルオロリン酸塩及びフルオロケイ酸塩並びにオラフルル(N’-オクタデシルトリメチレンジアミン-N,N,N’-トリス(2-エタノール)-ジヒドロフルオリド)を含むアミンフッ化物が挙げられる。虫歯予防薬は、例えば、組成物に総計約100~20000ppm、約200~5000ppm又は約500~2500ppmのフッ化物イオンを提供する量で存在することができる。フッ化ナトリウムがフッ化物イオンの単独源である場合の口腔ケア組成物では、例えば、約0.01~5.0重量%、約0.05~1.0重量%又は約0.1~0.5重量%の量のフッ化ナトリウムが組成物中に存在し得る。
【0153】
本明細書の口腔ケア組成物の使用に適切な抗微生物剤又は抗菌剤は、例えば、フェノール化合物(例えば、4-アリルカテコール、ベンジルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン及びプロピルパラベン等のp-ヒドロキシ安息香酸エステル、2-ベンジルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カプサイシンン、カルバクロール、クレオソール、オイゲノール、グアイアコール、ヘキサクロロフェン及びブロモクロロフェン等のハロゲン化ビスフェノール、4-ヘキシルレゾルシノール、8-ヒドロキシキノリン及びその塩、サリチル酸メンチル、サリチル酸メチル及びサリチル酸フェニル等のサリチル酸エステル、フェノール、ピロカテコール、サリチルアニリド、チモール、トリクロサン及びトリクロサン一リン酸等のハロゲン化ジフェニルエーテル化合物)、銅(II)化合物(例えば、塩化銅(II)、フッ化物、硫酸塩及び水酸化物)、亜鉛イオン源(例えば、亜鉛酢酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、グリシン酸塩、酸化物及び硫酸塩)、フタル酸及びその塩(例えば、フタル酸マグネシウム一カリウム)、ヘキセチジン、オクテニジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、臭化ドミフェン、塩化アルキルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、塩化N-テトラデシル-4-エチルピリジニウム)、ヨウ素、スルホンアミド、ビスビグアニド(例えば、アレキシジン、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン)、ピペリジン誘導体(例えば、デルモピノール、オクタピノール)、マグノリア抽出物、グレープシード抽出物、ローズマリー抽出物、メンソール、ゲラニオール、シトラール、オイカリプトール、抗生物質(例えば、オウグメンチン、アモキシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、クリンダマイシン)、及び/又は参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5776435号明細書に開示された任意の抗菌剤を含む。1つ以上の抗微生物剤は、任意に、開示された口腔ケア組成物中において、例えば約0.01~10重量%(例えば、0.1~3重量%)で存在し得る。
【0154】
本明細書の口腔ケア組成物の使用に適切な抗歯石剤又は歯石防止剤としては、例えば、リン酸塩及びポリリン酸塩(例えば、ピロリン酸塩)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)、ポリオレフィンスルホン酸塩、ポリオレフィンリン酸塩、ジホスホン酸塩(例えば、アザシクロヘプタン-2,2-ジホスホン酸等のアザシクロアルカン-2,2-ジホスホン酸塩)、N-メチルアザシクロペンタン-2,3-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸(EHDP)、エタン-1-アミノ-1,1-ジホスホン酸塩並びに/又はホスホノアルカンカルボン酸及びその塩(例えば、そのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩)が挙げられる。有用な無機リン酸塩及びポリリン酸塩としては、例えば、一塩基性、二塩基性及び三塩基性リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸塩、ピロリン酸一ナトリウム、二ナトリウム、三ナトリウム及び四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、三メタリン酸ナトリウム、六メタリン酸ナトリウム又はこれらのナトリウムがカリウム又はアンモニウムで置換されたものが挙げられる。特定の実施形態における他の有用な抗歯石剤としては、アニオン性ポリカルボン酸塩ポリマー(例えば、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー等のアクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸のポリマー又はコポリマー)が挙げられる。更に他の有用な抗歯石剤としては、ヒドロキシカルボン酸等の金属イオン封鎖剤(例えば、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸及びシュウ酸並びにそれらの塩)及びアミノポリカルボン酸(例えば、EDTA)が挙げられる。1つ以上の抗歯石剤又は歯石防止剤は、開示された口腔ケア組成物中において、任意に例えば約0.01~50重量%(例えば、約0.05~25重量%又は約0.1~15重量%)で存在し得る。
【0155】
本明細書の口腔ケア組成物での使用に適切な界面活性剤は、例えば、アニオン性、非イオン性又は両性であり得る。適切なアニオン性界面活性剤としては、限定はされないが、C8~20アルキル硫酸塩の水溶性塩、C8~20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシン酸塩及びタウリン酸塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ油モノグリセリドスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。適切な非イオン性界面活性剤としては、限定はされないが、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪アルコールエトキシラート、アルキルフェノールエトキシラート、3級アミン酸化物、3級ホスフィン酸化物及びジアルキルスルホキシドが挙げられる。適切な両性界面活性剤としては、限定はされないが、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩又はホスホン酸塩等のアニオン基を有する、C8~20の2級及び3級脂肪族アミンの誘導体が挙げられる。適切な両性界面活性剤の一例は、ココアミドプロピルベタインである。1つ以上の界面活性剤は、開示された口腔ケア組成物中において、任意に例えば約0.01~10重量%(例えば、約0.05~5.0重量%又は約0.1~2.0重量%)の総量で存在する。
【0156】
本明細書の口腔ケア組成物中での使用に適切な研磨剤としては、例えば、シリカ(例えば、シリカゲル、ケイ酸、沈降シリカ)、アルミナ、不溶性リン酸塩、炭酸カルシウム及び樹脂研磨剤(例えば、尿素-ホルムアルデヒド縮合生成物)を挙げ得る。本明細書の研磨剤として有用な不溶性リン酸塩の例は、オルトリン酸塩、ポリメタリン酸塩及びピロリン酸塩であり、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸β-カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム及び不溶性ポリメタリン酸ナトリウムである。1つ以上の研磨剤は、開示された口腔ケア組成物中において、任意に例えば約5~70重量%(例えば、約10~56重量%又は約15~30重量%)の総量で存在する。特定の実施形態における研磨剤の平均粒径は、約0.1~30μ(例えば、約1~20μ又は約5~15μ)である。
【0157】
特定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1つのpH調節剤を含み得る。このような剤は、約2~10のpH範囲(例えば、約2~8、3~9、4~8、5~7、6~10又は7~9のpH範囲)に組成物のpHを酸性化する、より塩基性にする又は緩衝するために選択され得る。本明細書で有用なpH調節剤の例としては、限定はされないが、カルボン酸、ホスホン酸及びスルホン酸、酸塩(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、マレイン酸一ナトリウム)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、セスキ炭酸塩)、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸塩)、及びイミダゾールが挙げられる。
【0158】
本明細書の口腔ケア組成物での使用に適切な起泡調節剤は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。例えば、約200000~7000000(例えば、約500000~5000000又は約1000000~2500000)の平均分子量を有するPEGを含む高分子量PEGが適切である。1つ以上のPEGは、任意に、開示された口腔ケア組成物中において、例えば約0.1~10重量%(例えば、約0.2~5.0重量%又は約0.25~2.0重量%)の総量で存在する。
【0159】
特定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1つの保湿剤を含み得る。特定の実施形態における保湿剤は、グリセリン、ソルビトール、キシリトール又は低分子量PEG等の多価アルコールであり得る。最も適切な保湿剤は、本明細書の甘味料としても機能し得る。1つ以上の保湿剤は、任意に、開示された口腔ケア組成物中において、例えば約1.0~70重量%(例えば、約1.0~50重量%、約2~25重量%又は約5~15重量%)の総量で存在する。
【0160】
天然又は人工甘味料は、本明細書の口腔ケア組成物中に任意に含まれることができる。適切な甘味料の例としては、デキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ(例えば、高フルクトースコーンシロップ又は固形コーンシロップ)、部分加水分解デンプン、水素化デンプン加水分解物、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン及びその塩、ジペプチドをベースとする強力甘味料並びにシクラミン酸塩が挙げられる。1つ以上の甘味料は、任意に、開示された口腔ケア組成物中において、例えば約0.005~5.0重量%の総量で存在する。
【0161】
本明細書の口腔ケア組成物中においては、任意に天然又は人工香味剤が含まれ得る。適切な香味剤の例としては、バニリン、セージ、マジョラム、オランダセリ油、スペアミント油、シナモン油、冬緑油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、カンキツ油、果実油、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、アンズ、バナナ、ブドウ、リンゴ、イチゴ、サクランボ又はパイナップル等に由来する精油、コーヒー、ココア、コーラ、ピーナッツ又はアーモンド等のマメ又はナッツに由来する香味剤、並びに吸着及びカプセル封入香味剤が挙げられる。更に本明細書の香味剤に包含されるのは、清涼又は温熱効果等を含む、口中に芳香及び/又は他の官能効果を与える成分である。このような成分としては、限定はされないが、メンソール、酢酸メンチル、乳酸メンチル、樟脳、ユーカリ油、オイカリプトール、アネトール、オイゲノール、カッシア、オキサノン、Irisone(登録商標)、プロペニルグアエトール、チモール、リナロール、ベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミン、N,2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタンアミド、3-(1-メントキシ)-プロパン-1,2-ジオール、桂皮アルデヒドグリセロールアセタール(CGA)及びメントングリセロールアセタール(MGA)が挙げられる。1つ以上の香味剤は、任意に、開示された口腔ケア組成物中において、例えば約0.01~5.0重量%(例えば、約0.1~2.5重量%)の総量で存在する。
【0162】
特定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1つの重炭酸塩を含み得る。例えば、重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウム等の重炭酸アルカリ金属塩及び重炭酸アンモニウムを含む、経口的に許容される任意の重炭酸塩を使用することができる。1つ以上の重炭酸塩は、任意に、開示された口腔ケア組成物中において、例えば約0.1~50重量%(例えば、約1~20重量%)の総量で存在する。
【0163】
特定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1つの増白剤及び/又は着色剤を含み得る。適切な増白剤は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8540971号明細書に開示されているもの等の過酸化物である。本明細書の適切な着色剤としては、例えば、顔料、染料、レーキ及びパール剤等の特定の光沢又は反射率を付与する物質が挙げられる。本明細書の有用な着色剤の具体例としては、タルク、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色、黄色、褐色及び黒色酸化鉄、第2鉄アンモニウムフェロシアン化合物、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、チタン化マイカ、並びにオキシ塩化ビスマスが挙げられる。1つ以上の着色剤は、任意に、開示された口腔ケア組成物中において、例えば約0.001~20重量%(例えば、約0.01~10重量%又は約0.1~5.0重量%)の総量で存在する。
【0164】
本明細書の口腔ケア組成物中に任意に含まれ得る更なる構成成分としては、例えば、1つ以上の(上記の)酵素、ビタミン及び抗接着剤が挙げられる。本明細書で有用なビタミンの例としては、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB5及び葉酸が挙げられる。適切な抗接着剤の例としては、ソルブロール、フィシン及びクオラムセンシング阻害剤が挙げられる。
【0165】
本明細書におけるパーソナルケア、家庭用ケア、並びに他の製品及び成分の更なる例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8796196号明細書に開示されている任意のものであり得る。本明細書におけるパーソナルケア、家庭用ケア、並びに他の製品及び成分の例には、香料、芳香剤、空気臭低減剤、昆虫忌避剤及び殺虫剤、界面活性剤などの気泡発生剤、ペット用消臭剤、ペット用殺虫剤、ペット用シャンプー、消毒剤、硬質表面(例えば、床、タブ/シャワー、シンク、便器、ドアハンドル/パネル、ガラス/窓、自動車/自動車の外部又は内部)処理剤(例えば、洗浄剤、消毒剤及び/又はコーティング剤)、ワイプ及び他の不織布材料、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、乳化剤、皮膚軟化剤、油、医薬品、香味剤、及び懸濁化剤が含まれる。
【0166】
本開示は、本明細書の生成物で材料を処理する方法にも関する。この方法は、本明細書に開示される少なくとも1つのα-グルカンエーテル誘導体を含む水性生成物と材料を接触させることを含む。
【0167】
本明細書の接触方法で水性生成物と接触した材料は、いくつかの態様では布地を含み得る。本明細書の布地は、天然繊維、合成繊維、半合成繊維又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。本明細書の半合成繊維は、化学的に誘導体化されている天然由来の材料を使用して作製され、その1つの例は、レーヨンである。本明細書の布地種類の非限定的な例としては、(i)セルロース繊維、例えば綿(例えば、ブロードクロス、キャンバス、シャンブレー、シェニール、チンツ、コーデュロイ、クレトン、ダマスク、デニム、フランネル、ギンガム、ジャガード、ニット、マテラーゼ、オックスフォード、パーケール、ポプリン、プリッス、サテン、シャーサッカー、シアー、テリークロス、ツイル、ベルベット)、レーヨン(例えば、ビスコース、モーダル、リオセル)、リネン及びTencel(登録商標)、(ii)タンパク質性繊維、例えばシルク、ウール及び関連哺乳動物繊維、(iii)合成繊維、例えばポリエステル、アクリル、ナイロン等、(iv)ジュート、亜麻、ラミー、コイア、カポック、サイザル、ヘネッケン、アバカ、ヘンプ及びサンヘンプ由来の植物性長繊維、並びに(v)(i)~(iv)の布地の任意の組み合わせから作製された布地が挙げられる。布地種類(例えば、天然及び合成)の組み合わせを含む布地としては、例えば、綿繊維及びポリエステルの両方を備える布地が挙げられる。本明細書の1つ以上の布地を含む材料/物品としては、例えば、衣類、カーテン、ドレープ、室内装飾材料、カーペット、ベッド用リネン、浴用リネン、テーブルクロス、寝袋、テント、自動車内装などが挙げられる。天然及び/又は合成繊維を含む他の材料としては、例えば、不織布、詰め物、紙及び発泡体が挙げられる。
【0168】
布地と接触させる水性組成物は、例えば、布地ケア組成物(例えば、洗濯用洗剤、柔軟剤)であり得る。従って、特定の実施形態における処理方法は、その中で布地ケア組成物を使用する場合に布地ケア法又は洗濯法であると見なすことができる。本明細書の布地ケア組成物は、以下の布地ケアの利点(即ち、表面直接効果):しわ除去、しわ取り、防しわ性、布地摩耗減少、布地耐摩耗性、布地のけば立ち減少、布地の寿命延長、布地のカラー維持、布地の退色減少、染料移動の減少、布地の色復元、布地の汚れ減少、布地の汚れ放出、布地の形状保持、布地の平滑性増強、布地上への汚れ再沈着防止、洗濯物の灰色化防止、布地の風合/手触りの向上、及び/又は布地の縮み減少の1つ以上を達成すると考えられる。
【0169】
本明細書の布地ケア法又は洗濯法を実施するための条件(例えば、時間、温度、洗浄/濯ぎ量)の例は、国際公開第1997/003161号パンフレット並びに米国特許第4794661号明細書、同第4580421号明細書及び同第5945394号明細書に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。他の例では、布地を含む材料は、本明細書の水性組成物と、(i)少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110又は120分間に渡り、(ii)少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95℃(例えば、洗濯洗浄又は濯ぎのためには、約15~30℃の「低」温、約30~50℃の「中」温、約50~95℃の「高」温)の温度で、(iii)約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のpH(例えば、約2~12又は約3~11のpH範囲)で、(iv)少なくとも約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5又は4.0重量%の塩(例えば、NaCl)濃度で、又は(i)~(iv)の任意の組み合わせで接触させることができる。
【0170】
布地ケア法又は洗濯法における接触させる工程は、例えば、洗浄工程、浸漬工程及び/又は濯ぎ工程のいずれかを含み得る。なお更なる実施形態における材料又は布地を接触させる工程は、当技術分野において公知の任意の手段、例えば、溶解する、混合する、振とうする、スプレーする、処理する、浸漬する、フラッシュ洗浄する、上又は中に注入する、結合する、塗装する、コーティングする、塗布する、添加する、及び/又は有効量の本明細書のα-グルカンエーテル誘導体を布地又は材料と通じさせる工程によって実施できる。なお更なる実施形態では、接触させる工程は、布地を処理して実質的表面効果を付与するために使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「布地の風合」又は「手触り」は、人が布地に触ったときの官能反応を意味し、それは物理的、生理学的、心理学的、社会的、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。一実施形態では、布地の風合は、相対風合値を測定するためのPhabrOmeter(登録商標)システム(Nu Cybertek,Inc.Davis,CAから入手できる)を使用して測定できる(American Association of Textile Chemists and Colorists[AATCC test method“202-2012,Relative Hand Value of Textiles:Instrumental Method”])。
【0171】
布地を含む材料を処理するいくつかの態様では、水性生成物のα-グルカンエーテル誘導体は、布地に吸着する。この特徴により、本発明のα-グルカンエーテル誘導体は、布地ケア組成物における再沈着防止剤及び/又は灰色化防止剤として有用であると考えられる(例えば、その粘度調整効果に加えて)。本明細書の再沈着防止剤又は灰色化防止剤は、汚れが取り除かれた後に洗浄水中の衣類に汚れが再沈着しないようにするのに役立つ。更に、本発明のα-グルカンエーテル誘導体が布地に吸着すると、いくつかの態様において布地の機械的特性が向上すると考えられる。
【0172】
本発明のα-グルカンエーテル誘導体が布地に吸着することは、例えば、比色技術(例えば、Dubois et al.,1956,Anal.Chem.28:350-356;Zemljic et al.,2006,Lenzinger Berichte 85:68-76;これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる)、又は当技術分野で公知の他の任意の方法を使用して測定することができる。
【0173】
上記の処理法において接触させることのできる他の材料としては、食器用洗剤(例えば、自動食器洗い機用洗剤又は食器手洗い用洗剤)を用いて処理できる表面が挙げられる。このような材料の例としては、セラミック材料、磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、メラミン等)及び木で作られた皿、グラス、ポット、鍋、グラタン皿、調理器具及び食卓食器(本明細書では集合的に「食器類」と呼ぶ)の表面が挙げられる。従って、特定の実施形態における処理方法は、例えば、食器洗い法又は食器類洗浄法であると見なすことができる。本明細書の食器洗い又は食器類洗浄方法を実施するための条件(例えば、時間、温度、洗浄体積)の例は、米国特許第8575083号明細書及び米国特許出願公開第2017/0044468号明細書に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、食器類物品は、本明細書の水性組成物と、例えば材料含有布地と接触させることに関して上記に開示された条件のいずれかなどの適切な一連の条件下で接触させることができる。
【0174】
上記処理方法において接触させることができる他の材料としては、舌、硬口蓋及び軟口蓋、頬粘膜、歯肉及び歯の表面(例えば、天然の歯又は歯冠、キャップ、充填物、ブリッジ、義歯又は歯科用インプラント等の人工歯の硬質の表面)の表面を含む、口腔内の軟質又は硬質表面等の口腔表面が挙げられる。従って、特定の実施形態における処理方法は、例えば、口腔ケア法又はデンタルケア法であると見なすことができる。口腔表面を本明細書の水性組成物と接触させる条件(例えば、時間、温度)は、このような接触を行う使用目的に適したものでなければならない。治療方法において接触され得る他の表面には、皮膚、毛髪又は爪(即ち、任意のケラチン含有組織又は材料)などの外皮系の表面も含まれる(例えば、ボディウォッシュ、スキンコンディショナー、シャンプー、ヘアコンディショナー、ネイルコンディショナー、又は本明細書の任意の他の適切な製品と)。
【0175】
従って、本開示のいくつかの態様は、本明細書のα-グルカンエーテル誘導体を含む材料(例えば、布地、又は本明細書に開示される繊維含有製品、或いは毛髪、皮膚、又は他のケラチン含有材料などの本明細書の任意の他の材料)に関する。このような材料は、例えば、本明細書に開示される材料処理方法に従って生成することができる。材料は、α-グルカンエーテル誘導体が材料の表面に吸着される、又は他の方法でそれに接触している場合(例えば、α-グルカンエーテルが材料のコーティングに含まれている場合)、いくつかの態様では、α-グルカンエーテル誘導体を含み得る。
【0176】
本明細書の材料を処理する方法のいくつかの態様は、水性組成物と接触させた後に材料を乾燥させる乾燥工程を更に含む。乾燥工程は、接触工程の直後に、又は接触工程に続く可能性がある1つ以上の更なる工程(例えば、本明細書の水性組成物中で洗浄した後の、例えば水で濯いだ後の布地、食器類又は毛髪の乾燥)に続いて行うことができる。乾燥は、風乾(例えば、約20~25℃)、又は例えば少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、170、175、180又は200℃の温度で等、当技術分野で公知のいくつかの任意の手段で実施することができる。本明細書における乾燥させた材料は、典型的には、その材料中に3、2、1、0.5又は0.1重量%未満の水分を含む。
【0177】
本明細書の処理方法で使用される水性生成物は、本明細書に開示の任意の水性生成物/組成物であり得る。水性生成物の例としては、洗剤(例えば、洗濯用洗剤又は食器用洗剤)、柔軟剤、歯磨き粉などの含水歯磨き剤、及びヘアスタイリング、ヘアクリーニング、又はヘアコンディショニング製品などのヘアケア製品が挙げられる。
【0178】
本明細書のいくつかの態様は、毛髪の処理方法(例えば、洗浄及び/又はコンディショニング)に関する。このような方法は、例えば、少なくとも、
(a)本明細書のα-グルカンエーテル誘導体を含む水性製品(例えば、シャンプー及び/又はコンディショナー)と毛髪を接触(例えば、コーティングする)させる工程であって、典型的には、水性製品は、水で希釈された状態で(例えば、シャワー/入浴環境で使用するため)塗布され、これによって処理された毛髪(又はコーティングされた毛髪)が得られる工程と、
(b)典型的には、処理された毛髪を水(典型的には、シャワー/入浴環境で使用される温水)で濯ぐ工程と、
(c)任意で、工程(a)又は工程(b)の後に、処理された毛髪を乾燥させる工程と、を含むことができる。
【0179】
乾燥の工程(c)は、本明細書の任意の適切な乾燥プロセス、例えば、室温又は加熱された空気での空気乾燥又はブロー乾燥などによって行うことができる。乾燥は、処理された毛髪を撹拌しながら(又は撹拌せずに)、例えば乾燥しながら梳くこと又はブラッシングによって行うことができる。
【0180】
このようなヘアトリートメント方法によって得られた、湿潤状態で処理された毛髪(例えば、濯いだ状態で処理された毛髪)及び/又は乾燥した状態で処理された毛髪は、櫛でとかすのに必要なエネルギー量が少なくなり得る(例えば、約、又は少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%低減される)(例えば、本明細書のα-グルカンエーテル誘導体を含まず、代わりに任意に現行の/従来のヘアトリートメント/コンディショニングポリマー、例えば、ポリクオタニウム-10、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-7、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含むヘアケア組成物を使用した以外は同じ方法で処理した毛髪と比較して)。毛髪の櫛通りエネルギーは、例えば、米国特許出願公開第2014/0271504号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、又は以下の例に記載されるように測定することができる。いくつかの態様では、毛髪処理方法は、処理された毛髪を梳く又はブラッシングする工程(d)を更に含み、この場合、このような梳く/ブラッシングする工程は、上述のように必要な櫛通りエネルギーが少なくなる。
【0181】
本明細書の処理される毛髪は、ストレート、ウェーブ、カーリー、又はコイル状(縮れ状)の毛髪など、任意の毛髪タイプであり得る。ストレートの毛髪は、例えば、細いものから粗いもの、及び/又はカールしにくいものまでなどであり得る。ウェーブの毛髪は、例えば、細くて薄いものから、粗くて縮れたものまでなどであり得る。カールの毛髪は、例えば、ゆるいカールからコルクスクリューのカールのものまでなどであり得る。コイル状の毛髪は、例えば、きついコイル状からZ字型のコイル状のものまでなどであり得る。本明細書のα-グルカンエーテル誘導体で処理される前のいくつかの態様における毛髪は、例えば、染色、ブリーチ、又は化学処理(例えば、パーマ)されたことが一度もない未処理の毛髪であり得、或いは処理された毛髪(例えば、染色、ブリーチ、及び/又は化学処理された)であり得る。α-グルカンエーテル誘導体が毛髪表面に吸着された又はその反対で沈着された本明細書の毛髪は、例えば、前述の毛髪タイプのいずれかであり得る。
【0182】
本明細書で開示される組成物及び方法の非限定的な例としては、以下が挙げられる。
【0183】
1.組成物(典型的には液体組成物として特徴付けることができる)であって、(i)約15重量%~75重量%(例えば、約20重量%~70重量%)の少なくとも1つの有機溶媒(典型的には極性有機溶媒)と、(ii)約20重量%~50重量%の少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、(iii)約50重量%未満(例えば、約45重量%未満)の水(但し、典型的には又重量で少なくとも約20重量%の水も)とを含む組成物(典型的には液体組成物として特徴付けられ得る)であって、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%は、α-1,6結合であり(即ち、エーテルは、カチオン性α-1,6-グルカンエーテル、又はカチオン性デキストランエーテルである)、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体は、α-グルカンにエーテル結合した少なくとも1つの正帯電有機基との置換度(DoS)が約0.001~約3.0である組成物。
【0184】
2.カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のグリコシド結合の少なくとも約90%は、α-1,6結合である、実施形態1の組成物。
【0185】
3.カチオン性α-グルカンエーテル誘導体は、少なくとも約1%のα-1,2及び/又はα-1,3分岐(例えば、約、又は少なくとも約3%、3~35%、3~30%、3~25%、又は3~20%のα-1,2及び/又はα-1,3分岐)を含む、実施形態1又は2の組成物。
【0186】
4.(a)カチオン性エーテル誘導体のα-グルカンの重量平均分子量(Mw)は、約0.9kDa~450kDa(例えば、約10~350、50~350、90~300、125~250、150~250、150~200、又は175~200kDa)である、又は(b)カチオン性α-グルカンエーテル誘導体のMwは、約1kDa~500kDa(例えば、10~400、40~300、80~300、100~250、150~250、180~225、又は180~200kDa)である、実施形態1、2、又は3の組成物。
【0187】
5.DoSは、約0.01~1.5(例えば、約0.01~1.0、0.01~0.8、0.03~0.7、0.04~0.6、又は0.05~0.5)である、実施形態1、2、3、又は4の組成物。
【0188】
6.正帯電有機基は、置換アンモニウム基を含む、実施形態1、2、3、4、又は5の組成物。
【0189】
7.置換アンモニウム基は、4級アンモニウム基を含む、実施形態6の組成物。
【0190】
8.4級アンモニウム基は、トリメチルアンモニウム基を含む、実施形態7の組成物。
【0191】
9.4級アンモニウム基は、少なくとも1つのC10~C16アルキル基を含む(例えば、C10~C16アルキル基と、2つのC1~C4アルキル基とを含む)、実施形態7の組成物。
【0192】
10.正帯電有機基は、4級アンモニウムヒドロキシアルキル基(例えば、4級アンモニウムヒドロキシメチル基、4級アンモニウムヒドロキシエチル基、又は4級アンモニウムヒドロキシプロピル基)を含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、又は9の組成物。
【0193】
11.4級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシメチル基、トリメチルアンモニウムヒドロキシエチル基、又はトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基)を含む、実施形態10の組成物。
【0194】
12.少なくとも1つの有機溶媒は、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、及び/又はグリセロールを含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11の組成物。
【0195】
12b.少なくとも1つの有機溶媒は、プロピレングリコールを含む、実施形態12の組成物。
【0196】
13.(i)約25重量%~40重量%(例えば、25~35重量%、30~40重量%、30~35重量%、32~35重量%、32~34重量%、33~34重量%)の少なくとも1つの有機溶媒と、(ii)約25重量%~40重量%(例えば、25~35重量%、30~40重量%、30~35重量%、32~25重量%、32~34重量%、33~34重量%)の少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体と、(iii)約25重量%~40重量%(例えば、25~35重量%、30~40重量%、30~35重量%、32~35重量%、32~34重量%、33~34重量%)の水と、を含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は12bの組成物。
【0197】
14.典型的には、組成物は、生成物の生成において成分/構成成分として使用された、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12b、又は13の組成物を含む生成物、又は実施形態23、24、又は25の方法によって生成される組成物を含む生成物。
【0198】
15.製品は、家庭用ケア製品、パーソナルケア製品、工業製品、又は医薬品である、実施形態14の製品。
【0199】
16.製品は、(i)ヘアシャンプー又はヘアコンディショナー(又は、典型的には、毛髪に塗布して洗い流すことを意図した任意のヘアトリートメント製品)、或いは(ii)皮膚洗浄剤、石鹸、又はその他の皮膚洗浄製品(又は、典型的であるが任意に皮膚を洗浄又はクレンジングする目的で、典型的には、皮膚に塗布して洗い流すことを意図した任意のスキントリートメント製品)である、実施形態14又は15の製品。
【0200】
17.製品は、水性組成物である、又は水性組成物を含む、実施形態14、15、又は16の製品。
【0201】
18.少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、実施形態14、15、16、又は17の製品。
【0202】
19.少なくとも1つの酵素を更に含む、実施形態14、15、16、17、又は18の製品。
【0203】
20.酵素は、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、又はヌクレアーゼである、実施形態19の製品。
【0204】
21.錯化剤、汚れ除去ポリマー、界面活性剤増強ポリマー、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、布地コンディショナー、粘土、起泡力増進剤、泡抑制剤、防食剤、汚れ懸濁剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、変色防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和又は不飽和脂肪酸、染料移動阻害剤、キレート剤、色調染料、視覚的シグナル伝達成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固化防止剤、デンプン、砂、又はゲル化剤のうち少なくとも1つを更に含む、実施形態14、15、16、17、18、19、又は20の製品。
【0205】
22.製品は、液体、ゲル、粉末、ハイドロコロイド、顆粒、錠剤、ビーズ又はトローチ、単一区画サシェ、複数区画サシェ、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態である、又はそれらに含まれる、実施形態14、15、16、17、18、19、20、又は21の製品。
【0206】
23.実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は13に記載の組成物を製造する方法であって、(a)カチオン性α-グルカンエーテル誘導体を含む水性組成物を提供する工程と、(b)水性組成物に、有機溶媒(最終組成物中の有機溶媒の所望の濃度を達成するのに適切なその量)を混合する工程と、(c)工程(b)の後に水性組成物中のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体及び有機溶媒を任意に濃縮する(蒸発などによって水を除去する)工程(例えば、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体及び/又は有機溶媒の特定の濃度に達するために必要な場合)と、を含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12b、又は13による組成物(液体組成物)を生成する方法(プロセス)。
【0207】
24.工程(a)において提供される水性組成物は、カチオン性α-グルカンエーテル誘導体が生成されたエーテル化反応組成物(典型的には、停止/クエンチ/中和反応)である、実施形態23に記載の方法。
【0208】
25.工程(a)は、エーテル化反応組成物を1回以上の精製プロセス(水性組成物中のカチオン性α-グルカンエーテル誘導体の純度を高めるため)(例えば、限外濾過又はナノ濾過などの透析濾過、又は透析)にかける工程を含む、実施形態24の方法。
【0209】
26.生成物は、少なくとも1つのカチオン性α-グルカンエーテル誘導体を含むが、少なくとも1つの有機溶媒及び/又は水を必ずしも含まない、或いは必ずしも記載された重量パーセントで有機溶媒及び/又は水(又はカチオン性α-グルカンエーテル誘導体)を含まない(例えば、生成物は、生成物を生成するための成分として実施形態1の組成物を使用して生成されなかった)、実施形態14、15、16、17、18、19、20、21、又は22の製品。
【実施例】
【0210】
本開示は、以下の実施例において更に例示される。これらの実施例は、本明細書の特定の態様を示しているが、単に説明の目的でのみ示されていることが理解されるべきである。上述の考察及びこれらの実施例から、当業者であれば、開示された実施形態の本質的な特徴を確認することができ、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲において、開示された実施形態を様々な使用及び条件に適合させるために様々な変更及び修飾をなし得る。
【0211】
材料/方法
α-1,2分岐を有するα-1,6-グルカンの代表的な調製
様々な量のα-1,2分岐を含むα-1,6-グルカンを調製する方法は、米国特許出願公開第2018/0282385号明細書に開示され、これは参照により本明細書に組み込まれる。スクロース濃度、温度及びpH等の反応パラメータを調整して、様々なレベルのα-1,2-分岐及び分子量を有するα-1,6-グルカンを提供することができる。α-1,2-分岐α-1,6-グルカンの代表的な調製手順を以下に提供する(19%のα-1,2-分岐及び81%のα-1,6結合を含む)。1D1H-NMRスペクトルを使用して、グリコシド結合分布を定量化した。α-1,2-分岐を有するα-1,6-グルカンの更なる試料を同様に調製した。例えば、1つの試料は、32%のα-1,2-分岐及び68%のα-1,6結合を含み、別の試料は、10%のα-1,2-分岐及び90%のα-1,6結合を含んだ。
【0212】
グルコシルトランスフェラーゼ(デキストランスクラーゼ)GTF8117とα-1,2分岐酵素GTFJ18T1との段階的な組み合わせを使用して、以下の手順に従って、約19%のα-1,2分岐を有する可溶性α-1,6-グルカンを調製した。スクロース(450g/L)、GTF8117(9.4U/mL)及び50mM酢酸ナトリウムから構成される反応混合物(2L)をpH5.5に調整し、47℃で撹拌した。所定時間で一定分量(0.2~1mL)を抜き出し、90℃で15分間加熱することによりクエンチした。得られた熱処理された一定分量を0.45μmフィルターに通した。素通り画分をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖及び多糖の濃度を決定した。23.5時間後、反応混合物を90℃に30分間加熱した。熱処理された反応混合物の一定分量を0.45μmフィルターに通し、素通り画分を可溶性単糖/二糖、オリゴ糖及び多糖について分析した。主要な生成物は、93のDPwを有する直鎖デキストランであった。
【0213】
第2の反応混合物は、238.2gのスクロース及び210mLのα-1,2分岐酵素GTFJ18T1(5.0U/mL)を、直前に記載されたGTF8117反応から得られた残余の熱処理された反応混合物に添加することによって調製した。混合物を約2.2Lの体積にて30℃で撹拌した。一定分量(0.2~1mL)を所定の時間で取り出し、90℃で15分間加熱することによってクエンチした。得られた熱処理された一定分量を0.45μmフィルターに通した。素通り画分をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖及び多糖の濃度を決定した。95時間後、反応混合物を90℃に30分間加熱した。熱処理された反応混合物の一定分量を0.45μmフィルターに通し、素通り画分を可溶性単糖/二糖、オリゴ糖及び多糖について分析した。残りの熱処理した混合物を、1Lの遠心ボトルを使用して遠心分離した。上清を回収し、1kDa又は5kDaのMWCOカセット及び脱イオン水を含む限外濾過システムを用いて200倍以上洗浄した。洗浄したオリゴ糖/多糖生成物溶液を乾燥させた。次いで、乾燥試料を1HNMR分光法により分析して、オリゴ糖及び多糖のアノマー結合を決定した。
【0214】
例えば、上記の(又は類似の)酵素反応戦略に従って、様々な水溶性α-1,2-分岐α-1,6-グルカンを生成することができる。このタイプのα-グルカン材料は、例えば、米国特許出願公開第2018/0282385号明細書に開示された方法論に従って生成することもでき、これは参照により本明細書に組み込まれる。生成された様々なα-1,2-分岐α-1,6-グルカンの例を表1に示す。これらのα-グルカンのそれぞれにおいて、α-1,6-グルカン骨格(そこからα-1,2分岐がある)は、100%のα-1,6-グリコシド結合を有し、列挙された分子量は、α-1,6-グルカン骨格の分子量である。各α-1,2-分岐は、単一の(ペンダント)グルコース単位からなる。
【0215】
【0216】
実施例1
カチオン性α-グルカンエーテル製剤の調製
この実施例では、カチオン性α-グルカンエーテル化合物及びこの化合物を液体有機媒体中に含む製剤を作製するための反応及び処理工程について記載する。特に、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルα-1,2-分岐α-1,6-グルカンエーテルは、水と、プロピレングリコールとを更に含む製剤で調製された。このような液体製剤は、本明細書に開示されているものなどの様々な製品の作製における成分として使用することができる。
【0217】
本明細書に開示される任意のα-1,2-分岐α-1,6-グルカン(例えば、表1)は、例えば、これらのエーテル化及び処理手順の基質として使用することができる。生成可能なトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルα-1,2-分岐α-1,6-グルカンエーテル生成物の例としては、表2に示されるものが挙げられる。
【0218】
【0219】
3つの別々の反応が、それぞれ100L、100L及び500Lのジャケット付きステンレス鋼反応機で実行され、各反応機は、ピッチドブレードタービン(PBT)インペラーとミキサーを備えていた。温度は、反応機ジャケットに接続された循環水浴を使用して維持された。反応体積は、それぞれ90L、90L及び450Lであり、水溶性α-1,2-分岐α-1,6-グルカン372g/Lが投入された。外部循環ループを使用して、各反応機に水酸化ナトリウム7.65g/Lを投入した。各調製物の温度が50℃で安定したら、循環ループを使用して、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(EPTAC、48.7g/L)を各反応機に投入した。条件は5時間維持され、その後、反応は10重量%の硫酸を使用してpH5~7に中和され、これによって反応が停止された。
【0220】
中和された各反応は、5kDaカットオフポリエーテルスルホン(PES)膜と3回の透析濾過洗浄による限外濾過(UF)精製にかけられた。その後、各試料に対して別のUFが実行されて、15~18重量%の固形分のα-グルカンエーテルポリマー濃縮物が生成された。濃度は、屈折率(RI)を使用して測定され、各ポリマー濃縮物約50gが、NMRによるDoS分析と総ケルダール窒素決定のために採取された。残留EPTAC、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(CHPTAC)、及び(2,3-ジヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(DHPTAC)の誘導体化不純物分析は、イオンクロマトグラフィー(IC)分析によって決定された。プロピレングリコールは、各ポリマー濃縮物に、同じ固形分濃度(15~18重量%)で混合された。ソルビン酸カリウム防腐剤が防腐剤として添加された。
【0221】
次いで、各エーテルポリマー混合物を50~60℃のエバポレーターに入れ、約33.2重量%の水分を除去した。各混合物の約50gをサンプリングして、RI分析と真空オーブンの固形分濃度を使用して、α-グルカンエーテルポリマーとプロピレングリコールの濃度を決定した。各製剤の最終組成は、約33.3重量%のトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルα-1,2-分岐α-1,6-グルカンエーテル、約33.3重量%のプロピレングリコール、約33.3重量%の水、及びソルビン酸カリウムであった(表3A)。各製剤の粘度は、CC27スピンドルを備えたAnton Paar RheolabQCを使用して35℃で測定された(表3A)。
【0222】
【0223】
表3Bは、上記の方法論に概ね従って作製された更なるカチオン性α-グルカンエーテル製剤を示している。
【0224】
【0225】
この実施例及び本開示の液体組成物は、加工性が向上し、水分含有量が減少した。液体製剤の有機溶媒構成成分(例えば、プロピレングリコール)により、加工性が向上し、水分含有量も減少した。液体製剤が、その液体製剤を成分として含む単一単位用量(single unit dose)生成物のパッケージング(packaging)の完全性に悪影響を及ぼさないように、水分含有量を制御することが重要であった。
【0226】
実施例2
カチオン性α-1,6-グルカンエーテルを含むシャンプー製剤の使用による毛髪の櫛通り(hair combability)への影響
この実施例では、シャンプー製剤にカチオン性α-グルカンエーテル(トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルα-1,2-分岐α-1,6-グルカンエーテル)を含めると、シャンプーで洗った毛髪の櫛通りをよりよくするこうした製剤の能力に影響するかどうか、又どの程度影響するかについて記載する。毛髪の櫛通りは、シャンプーの使用中及び使用後に消費者がすぐに認識する特性の1つである。毛髪の櫛通りは、シャンプー又はその他のヘアトリートメントによる毛髪繊維のコンディショニングに関係する:コンディショニング剤によって毛髪繊維が滑らかになるほど、コンディショニングされた毛髪を梳くのに必要なエネルギーが少なくなる(即ち、櫛通りエネルギーが減少する)。
【0227】
プロトコール
前処理:
重さそれぞれ2.5g及び長さ25cmの天然の白人毛髪50束を用意した。全ての毛髪束は、10%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)溶液で1分間標準的な前洗浄処理を受け、次いで流水で濯がれた。
【0228】
ベースラインの櫛通りの測定(湿潤状態と乾燥状態):
最初に湿潤状態の櫛通りを測定した(湿潤状態のベースライン)。次いで、乾燥状態の櫛通りの試験の前に、相対湿度55±5%及び22±2℃で管理された環境で24時間、毛髪束を乾燥させた。次いで、各毛髪束の乾燥状態の櫛通りを測定した(乾燥状態のベースライン)。50本の毛髪束を10のグループに分け、様々なシャンプー処理を行った(下記)。
【0229】
最終的な櫛通りの測定(湿潤状態と乾燥状態):
シャンプー洗浄後の各毛髪束の最終的な湿潤状態の櫛通りを測定した(最終の湿潤状態)。次いで、乾燥状態の櫛通りの試験の前に、相対湿度55±5%及び22±2℃で管理された環境で24時間、毛髪束を乾燥させた。次いで、各毛髪束の乾燥状態の櫛通りを測定した(最終の乾燥状態)。
【0230】
製剤及び試験結果:シャンプー-1
トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルα-1,2-分岐α-1,6-グルカンエーテル(以下、本明細書ではカチオン性α-1,6-グルカンエーテル)及び4つの従来のヘアコンディショニングポリマー(ポリクオタニウム-10、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-7、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)を、界面活性剤としてラウレス硫酸ナトリウムと、コカミドプロピルベタイン(表4)とを含む典型的なシャンプー製剤に個別に使用した。カチオン性α-1,6-グルカンエーテルは、約33重量%の水と、33重量%のプロピレングリコールと、33重量%のエーテルとを含む組成物を使用して、製剤1B及び1Cに投入された。
【0231】
【0232】
表5に示されるように、カチオン性α-1,6-グルカンエーテル含有シャンプー(製剤1B及び1C)は、対照シャンプー(製剤1A、コンディショニングポリマーなし)と比較して、湿潤した毛髪の櫛通りエネルギーが大幅に低減したが、このことは、エーテルがシャンプーによる湿潤した毛髪の櫛通りを改善したことを意味する。また、製剤1B及び1Cは、従来のコンディショニングポリマーを含むシャンプー(製剤1D~1G)を含む全てのシャンプーよりも、乾燥状態の櫛通りへの影響において優れていた(表5)。
【0233】
【0234】
製剤及び試験結果:シャンプー-2
シャンプー-1で上記で使用したカチオン性α-1,6-グルカンエーテル及び4つの従来のヘアコンディショニングポリマーは、界面活性剤として、C14-C16オレフィンスルホン酸ナトリウム(一般的に使用される非硫酸塩アニオン)と、コカミドプロピルベタインとを含む典型的な非硫酸塩シャンプー製剤で個別に使用された(表6)。カチオン性α-1,6-グルカンエーテルは、約33重量%の水と、33重量%のプロピレングリコールと、33重量%のエーテルとを含む組成物を使用して製剤2B及び2Cに投入された。
【0235】
【0236】
表7に示されるように、カチオン性α-1,6-グルカンエーテル含有シャンプー(製剤2B及び2C)は、対照シャンプー(製剤2A、コンディショニングポリマーなし)及び従来のコンディショニングポリマーを含む全てのシャンプー(製剤2D~2G)と比較して、乾燥した毛髪での櫛通りエネルギーが大幅に低減したが、これは、このエーテルがシャンプーによる毛髪の櫛通りを改善したことを意味する。
【0237】
【0238】
製剤及び試験結果:シャンプー-3
シャンプー-1及び-2で上記で使用されたカチオン性α-1,6-グルカンエーテルを、シリコーンを含まないシャンプー製剤で試験し、コンディショニング剤としてシリコーン(ジメチコン)を含むシャンプー製剤と比較した(表8)。カチオン性α-1,6-グルカンエーテルは、約33重量%の水と、33重量%のプロピレングリコールと、33重量%のエーテルとを含む組成物を使用して、製剤3B及び3Cに投入された。
【0239】
【0240】
表9に示されるように、カチオン性α-1,6-グルカンエーテル含有シャンプー(製剤3B及び3C)は、ジメチコンとグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(製剤3A)を有する典型的なシャンプーと同様の、乾燥した毛髪に対する櫛通り効果を示したが、シリコーンを含まないシャンプー(製剤3D)よりも優れた効果を示した。この結果は、カチオン性α-1,6-グルカンエーテルが、シリコーンの代替として従来のコンディショニングポリマーよりも有望な選択肢であることを示している。
【0241】
【0242】
【0243】
更に、この実施例のカチオン性α-グルカンエーテルは、毛髪に沈着できることが示された(データは示されていない)。この沈着能力は、α-グルカンエーテル誘導体を含むシャンプーを使用することの前述の有益な効果の少なくとも一部を説明していると考えられる。この沈着能力は、例えば、皮膚及び爪などの他のケラチン含有組織にも同様に当てはまると考えられる。カチオン性α-グルカンエーテルは、上記の製剤の粘度を増加させず、従って、例えば、使用前に(例えば、発泡ポンプを介して)発泡体に変換することができる生成物を配合するのに有用であることも認められた。最終的に、カチオン性α-グルカンエーテルは、その水和を可能にするためのいかなる特別な工程も必要としなかった。
【0244】
実施例3
更なるカチオン性α-グルカンエーテル製剤の調製
カチオン改質α-1,6-グルカン(α-1,2-分岐)エーテル化合物(粉末形態、100%活性)3グラムを、ガラスバイアル内で合計7グラムの溶媒(水3.5グラムとプロピレングリコール3.5グラム)と混合し、スパチュラで混合した。α-1,6-グルカンエーテル化合物が溶媒に完全に溶解し、これによりプレミックス(PP4)10グラムが得られた。このプレミックスを用いてレオロジー測定を行った(表11)。
【0245】
【0246】
実施例4
更なるカチオン性α-グルカンエーテル製剤の調製
実施例1及び3の製剤(プレミックス)を中間体プレミックスとして使用して、プレミックスPP5、PP6及びPP7を作製した(表12)。具体的には、PP5は、60重量%の試料1(実施例1、表3A)(以下「PP1」)に40%の構造化剤を混合することによって作製し、PP6は、75重量%の試料2(実施例1、表3A)(以下「PP2」)に25%の構造化剤を混合することによって作製し、PP7は、80重量%のPP4(実施例3、表11)に20%の構造化剤を混合することによって作製した。
【0247】
【0248】
実施例5
カチオン性α-グルカンエーテル製剤を使用して水溶性単位用量物品を作製する手順
表13に記載されている成分の標準的な混合により、以下の液体洗剤基剤を生成した。
【0249】
【0250】
3.8部のカチオン性α-グルカンエーテルプレミックス、PP6(実施例4、表12)を、上記の液体洗剤基剤(表13)96.2部と混合して、可溶性単位用量物品(下記)を作製するための約1重量%のカチオン性α-グルカンエーテル化合物を含む液体洗剤組成物を得た。
【0251】
水溶性の単位用量物品を、以下の、
a.第1の水溶性フィルムを変形させて開放空洞を形成する工程と、
b.開放空洞を、カチオン改質α-1,6-グルカンエーテル化合物を含む液体洗剤組成物で充填する工程と、
c.水溶性蓋で開放空洞を閉鎖する工程であって、水溶性蓋は第2の水溶性フィルムを含む工程と、
d.第1の水溶性フィルム及び水溶性蓋をともに封止して、水溶性単位用量物品を作製する工程と、を含むプロセス工程によって作製した。
【0252】
実施例6
カチオン性α-1,6-グルカンエーテルを含む皮膚クレンジング/洗浄製剤の使用による濯ぎやすさ及び肌触りへの影響
この実施例では、皮膚クレンジング/洗浄製剤にカチオン性α-グルカンエーテル(トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルα-1,2-分岐α-1,6-グルカンエーテル)を含めると、こうした製剤の皮膚を濯ぐ能力に影響するかどうか、又どの程度影響するかについて記載する。この実施例で使用したα-グルカンエーテル誘導体は、実施例2で使用したα-グルカンエーテル誘導体と同じであった。
【0253】
訓練された官能検査のパネリストによる評価(定量的な記述的分析)を実施して、カチオン性α-グルカンエーテルを含んで又は含まないで配合された皮膚クレンジング製品を使用することの官能性についての利点を調査した。これらの製剤は、下の表14及び表15に列記される。
【0254】
【0255】
【0256】
パネリストは、製剤1Bの濯ぎやすさが製剤1Aの濯ぎやすさよりも統計的に高いことを認識した(95%の信頼区間)。濯ぎやすさの向上は、ぬるぬるした、重く/さっぱりしない感覚を残さない皮膚クレンジング製品を作るに役立つことができる。パネリストはまた、製剤1Bを使用すると製剤1Aと比較して皮膚の荒れの感覚が少なくなることも認識した(95%の信頼区間)。皮膚の荒れの知覚がこのように減少したということは、その使用の後に脱水感又は皮膚のつっぱり感を残さない皮膚クレンジング製品を作ることができることを意味する。
【0257】
表15の製剤は、一般的な石鹸成分であるラウリン酸カリウムを含んでいるため、一般に全体的に濯ぎがより容易であった。従って、これらの製剤は、濯ぎ後の肌触りについてのみ評価された。官能検査のパネリストは、製剤2Bを濯いだ直後の肌荒れの感覚が、製剤2Aを濯いだ後に経験した感覚よりも統計的に低いことを認識した(90%の信頼区間)。皮膚の荒れの知覚がこのように減少したということは、その使用の後に脱水感又は皮膚のつっぱり感を残さない石鹸製品を作ることができることを意味する。
【国際調査報告】