(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-30
(54)【発明の名称】成形装置及び成形方法、並びにそれにより成形されたパウチ型電池ケース
(51)【国際特許分類】
   B29C  51/08        20060101AFI20251023BHJP        
   B29C  51/30        20060101ALI20251023BHJP        
   B29C  43/14        20060101ALI20251023BHJP        
   H01M  50/105       20210101ALI20251023BHJP        
   H01M  50/133       20210101ALI20251023BHJP        
【FI】
B29C51/08 
B29C51/30 
B29C43/14 
H01M50/105 
H01M50/133 
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025522062
(86)(22)【出願日】2023-10-20
(85)【翻訳文提出日】2025-04-16
(86)【国際出願番号】 KR2023016405
(87)【国際公開番号】W WO2024090911
(87)【国際公開日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0140761
 
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー  エナジー  ソリューション  リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田  雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広  信哉
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ウォン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウ・チョ
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
4F208
5H011
【Fターム(参考)】
4F202AC03
4F202AG07
4F202AH42
4F202AJ08
4F202CA17
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK52
4F204AC03
4F204AG07
4F204AH42
4F204FA01
4F204FB01
4F204FN11
4F204FQ08
4F204FQ15
4F208AC03
4F208AH42
4F208AH54
4F208AR12
4F208MA06
4F208MB01
4F208MC01
4F208MC04
4F208MK01
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD13
5H011KK01
(57)【要約】
  本発明の実施形態による成形装置は、パウチフィルムにカップ部を成形することができる。前記成形装置は、第1開口が形成されたダイと、前記ダイの上側で前記パウチフィルムを固定し、前記第1開口に対応する位置に第2開口が形成されたストリッパと、前記第2開口を介して前記パウチフィルムを加圧するアッパーポンチと、前記第1開口を介して前記パウチフィルムを前記アッパーポンチの外周と前記第2開口の内周との間に加圧するロウワーポンチとを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  パウチフィルムにカップ部を成形するための成形装置において、
  第1開口が形成されたダイと、
  前記ダイの上側で前記パウチフィルムを固定するストリッパであって、前記第1開口に対応する位置に第2開口が形成された前記ストリッパと、
  前記第2開口を介して前記パウチフィルムを加圧するアッパーポンチと、
  前記第1開口を介して前記パウチフィルムを前記アッパーポンチの外周と前記第2開口の内周との間に加圧するロウワーポンチとを含む、成形装置。
【請求項2】
  前記ロウワーポンチは、前記アッパーポンチが前記第2開口に位置する状態で前記パウチフィルムを1次加圧し、
  前記アッパーポンチは、前記ロウワーポンチが前記第1開口から離脱した状態で前記パウチフィルムを2次加圧する、請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
  前記アッパーポンチは、前記アッパーポンチが前記第1開口から下方に突出する深さまで前記パウチフィルムを加圧する、請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
  前記ロウワーポンチの上面は、膨出した状態で形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項5】
  パウチフィルムにカップ部を成形するための成形方法において、
  前記パウチフィルムを、第1開口が形成されたダイと第2開口が形成されたストリッパとの間に固定する固定ステップと、
  ロウワーポンチが、前記第1開口を介して、前記パウチフィルムを、アッパーポンチの外周と前記第2開口の内周との間に1次加圧する1次加圧ステップと、
  前記アッパーポンチが、前記第2開口を介して、前記パウチフィルムを下方に2次加圧する2次加圧ステップとを含む、成形方法。
【請求項6】
  前記1次加圧ステップにおいて、前記ロウワーポンチは、前記第1開口から前記第2開口の内部に進入する、請求項5に記載の成形方法。
【請求項7】
  前記2次加圧ステップにおいて、前記ロウワーポンチは、前記第1開口から離脱する、請求項5に記載の成形方法。
【請求項8】
  前記2次加圧ステップにおいて、前記アッパーポンチは、前記第2開口から前記第1開口の内部に進入する、請求項5~7のいずれか一項に記載の成形方法。
【請求項9】
  陥没形状を有するカップ部と、
  前記カップ部の周部に位置するテラスとを含むパウチ型電池ケースであって、
  前記カップ部の周部は、
  前記テラスとダイエッジで連結される第1周部と、
  前記第1周部と連結され、前記第1周部より薄い厚さを有する第2周部と、
  前記第2周部と連結され、前記カップ部の基底部とポンチエッジで連結され、前記第2周部より厚い厚さを有する第3周部とを含む、パウチ型電池ケース。
【請求項10】
  前記第1周部の厚さと、前記第3周部の厚さ及び/又は前記ダイエッジの厚さとは、互いに対応する、請求項9に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項11】
  前記第2周部の厚さと前記ポンチエッジの厚さとは、互いに対応する、請求項9又は10に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項12】
  前記第2周部の厚さは、前記ダイエッジの厚さより薄い、請求項9に記載のパウチ型電池ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本出願は、2022年10月27日付けの韓国特許出願第10-2022-0140761号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容が本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
  本発明は、パウチフィルムを成形するための成形装置及び成形方法、並びにそれにより成形されたパウチ型電池ケースに関する。
【背景技術】
【0003】
  一般に、二次電池の種類には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などがある。このような二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、ポータブルゲームデバイス(Portable  Game  Device)、パワーツール(Power  Tool)、イーバイク(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車などの高出力が要求される大型製品と、余剰発電電力や新再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置及びバックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0004】
  このような二次電池を製造するために、まず、電極活物質スラリーを正極集電体及び負極集電体に塗布して正極及び負極を製造し、それを分離膜(Separator)の両側に積層することにより、所定形状の電極組立体(Electrode  Assembly)を形成する。そして、電池ケースに電極組立体を収納して電解質を注入した後にシールする。
【0005】
  二次電池は、電極組立体を収容するケースの材質によって、パウチ型(Pouch  Type)や缶型(Can  Type)などに分類される。パウチ型(Pouch  Type)は、柔軟なポリマー材質で製造されたパウチに電極組立体を収容する。また、缶型(Can  Type)は、金属やプラスチックなどの材質で製造されたケースに電極組立体を収容する。
【0006】
  一般に、パウチ型電池ケースは、柔軟性を有するパウチフィルムにプレス加工を行ってカップ部を形成することにより製造される。そして、カップ部が形成されると、前記カップ部の内部に電極組立体を収納してサイドをシールすることにより二次電池を製造する。
【0007】
  一般に、このようなプレス加工において、ドローイング(Drawing)成形は、ダイとストリッパとの間にパウチフィルムを挿入し、ポンチでパウチフィルムに圧力を加えてパウチフィルムを延伸することにより行われる。
【0008】
  ただし、このような従来の方式では、カップ部を深く成形すると、パウチフィルムにクラックが発生する恐れがあり、カップ部の深さを増加させるのに限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
  本発明が解決しようとする一課題は、成形工程を複数回に分けて行うことによりパウチフィルムにカップ部を深く成形することのできる成形装置及び成形方法を提供することにある。
【0010】
  本発明が解決しようとする他の課題は、前記成形装置又は前記成形方法により製造されたパウチ型電池ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
  本発明の実施形態による成形装置は、パウチフィルムにカップ部を成形することができる。前記成形装置は、第1開口が形成されたダイと、前記ダイの上側で前記パウチフィルムを固定し、前記第1開口に対応する位置に第2開口が形成されたストリッパと、前記第2開口を介して前記パウチフィルムを加圧するアッパーポンチと、前記第1開口を介して前記パウチフィルムを前記アッパーポンチの外周と前記第2開口の内周との間に加圧するロウワーポンチとを含んでもよい。
【0012】
  前記ロウワーポンチは、前記アッパーポンチが前記第2開口に位置する状態で前記パウチフィルムを1次加圧し、前記アッパーポンチは、前記ロウワーポンチが前記第1開口から離脱した状態で前記パウチフィルムを2次加圧してもよい。
【0013】
  前記アッパーポンチは、前記アッパーポンチが第1開口から下方に突出する深さまで前記パウチフィルムを加圧してもよい。
【0014】
  前記ロウワーポンチの上面は、膨出した状態で形成されてもよい。
【0015】
  本発明の実施形態による成形方法は、パウチフィルムにカップ部を成形することができる。前記成形方法は、前記パウチフィルムを、第1開口が形成されたダイと第2開口が形成されたストリッパとの間に固定する固定ステップと、ロウワーポンチが、前記第1開口を介して、前記パウチフィルムを、アッパーポンチの外周と前記第2開口の内周との間に1次加圧する1次加圧ステップと、前記アッパーポンチが、前記第2開口を介して、前記パウチフィルムを下方に2次加圧する2次加圧ステップとを含んでもよい。
【0016】
  前記1次加圧ステップにおいて、前記ロウワーポンチは、前記第1開口から前記第2開口の内部に進入してもよい。
【0017】
  前記2次加圧ステップにおいて、前記ロウワーポンチは、前記第1開口から離脱してもよい。
【0018】
  前記2次加圧ステップにおいて、前記アッパーポンチは、第2開口から前記第1開口の内部に進入してもよい。
【0019】
  本発明の実施形態によるパウチ型電池ケースは、陥没形状を有するカップ部と、前記カップ部の周部に位置するテラスとを含んでもよい。前記カップ部の周部は、前記テラスとダイエッジで連結される第1周部と、前記第1周部と連結され、前記第1周部より薄い厚さを有する第2周部と、前記第2周部と連結され、前記カップ部の基底部とポンチエッジで連結され、前記第2周部より厚い厚さを有する第3周部とを含んでもよい。
【0020】
  前記第1周部の厚さは、前記第3周部の厚さ及び/又は前記ダイエッジの厚さと互いに対応してもよい。
【0021】
  前記第2周部の厚さと前記ポンチエッジの厚さとは、互いに対応してもよい。
【0022】
  前記第2周部の厚さは、前記ダイエッジの厚さより薄くてもよい。
【発明の効果】
【0023】
  本発明の好ましい実施形態によれば、パウチフィルムにクラックが発生することなく深いカップ部を成形することができる。より詳細には、従来は、1回の加圧によりカップ部を成形していたため、パウチフィルムの特定領域のみ過度に延伸するので、クラックが発生しないようにするためにカップ部の深さを制限していた。それに対して、本発明は、パウチフィルムにおいて従来に延伸しなかった領域も延伸するように複数回にわたって成形工程を行うので、最終的にカップ部をさらに深く成形することができるという利点がある。
【0024】
  その他にも、本発明の好ましい実施形態による構成から当業者が容易に予測できる効果を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
  本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるので、本発明は、そのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
            【
図1】本発明の一実施形態による成形装置の概略図である。
 
            【
図2】本発明の一実施形態による成形装置の動作を順次示す概略図である。
 
            【
図3】本発明の一実施形態による成形装置の動作を順次示す概略図である。
 
            【
図4】本発明の一実施形態による成形装置の動作を順次示す概略図である。
 
            【
図5】本発明の一実施形態による成形装置の動作を順次示す概略図である。
 
            【
図6】本発明の他の実施形態による成形方法のフローチャートである。
 
            【
図7】本発明のさらに他の実施形態によるパウチ型電池ケースの成形過程を説明するための概略図である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0026】
  以下、添付の図面を参照して、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、以下の実施形態に制限又は限定されるものではない。
【0027】
  本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分又は本発明の要旨を不明にし得る関連公知技術についての詳細な説明は省略し、本明細書において各図面の構成要素に参照符号を付すにあたっては、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素には同一又は類似の参照符号を付す。
【0028】
  なお、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則って、本発明の技術思想に合致する意味と概念に解釈されるべきである。
【0029】
  図1は本発明の一実施形態による成形装置の概略図であり、
図2~
図5は本発明の一実施形態による成形装置の動作を順次示す概略図である。
 
【0030】
  本発明の一実施形態による成形装置は、パウチフィルム100を成形することができる。パウチフィルム100は、所定の厚さを有してもよい。パウチフィルム100は、成形性を有するラミネートシートであってもよい。より詳細には、パウチフィルム100は、両最外側に位置する一対の樹脂層と一対の樹脂層間に位置する金属層とがラミネートされたラミネートシートであってもよい。
【0031】
  本発明の一実施形態による成形装置は、ダイ10、ストリッパ20、アッパーポンチ30及びロウワーポンチ40を含んでもよい。
【0032】
  ダイ10、ストリッパ20、アッパーポンチ30及びロウワーポンチ40のうちの一部は、他の一部に対して昇降可能に構成されてもよい。一例として、ダイ10、ストリッパ20、アッパーポンチ30及びロウワーポンチ40のいずれか1つは固定され、他は前記いずれか1つに対してそれぞれ独立して昇降可能に構成されてもよい。他の例として、ダイ10、ストリッパ20、アッパーポンチ30及びロウワーポンチ40のそれぞれはそれぞれ独立して昇降可能に構成されてもよい。
【0033】
  ダイ10は、パウチフィルム100の下方に位置してもよい。ダイ10には、第1開口12が形成されてもよい。第1開口12は、ダイ10の上面から下方に貫通形成されてもよい。第1開口12は、パウチフィルム100が陥没成形される成形空間であってもよい。また、第1開口12は、後述するロウワーポンチ40が配置される空間であってもよい。
【0034】
  第1開口12の断面は、略四角形であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0035】
  ダイ10には、曲線状に形成されたエッジ11が形成されてもよい。より詳細には、ダイ10の上面と第1開口12の内周とは、曲線状に形成されたエッジ11で連結されてもよい。前記エッジ11は、所定の曲率半径を有してもよい。前記エッジ11が曲線状に形成されることにより、パウチフィルム100が第1開口12内に延伸する際に前記エッジ11に密着する部分が破断することを防止することができる。
【0036】
  ストリッパ20は、パウチフィルム100を介してダイ10に対向してもよい。ストリッパ20は、ダイ10の上側でパウチフィルム100を固定してもよい。
【0037】
  より詳細には、ダイ10及びストリッパ20の少なくとも1つが昇降可能に構成され、ダイ10とストリッパ20との間隔が変化可能であってもよい。パウチフィルム100は、ダイ10とストリッパ20とが互いに遠ざかった状態で、ダイ10とストリッパ20との間に進入し、その後、ダイ10とストリッパ20とが互いに近づくと、ダイ10とストリッパ20との間に固定されてもよい。すなわち、パウチフィルム100は、ダイ10の上面とストリッパ20の底面との間に固定されてもよい。
【0038】
  ストリッパ20には、第2開口22が形成されてもよい。第2開口22は、ストリッパ20の底面から上方に貫通形成されてもよい。第2開口22は、後述するアッパーポンチ30が配置される空間であってもよい。
【0039】
  第2開口22の断面は、略四角形であってもよいが、それに限定されるものではない。第2開口22は、第1開口12の上方に位置してもよい。第2開口22と第1開口12とは、パウチフィルム100を介して対向してもよい。
【0040】
  ストリッパ20には、曲線状に形成されたエッジ21が形成されてもよい。より詳細には、ストリッパ20の底面と第2開口22の内周とは、曲線状に形成されたエッジ21で連結されてもよい。前記エッジ21は、所定の曲率半径を有してもよい。前記エッジ21が曲線状に形成されることにより、パウチフィルム100が第2開口22内に延伸する際に前記エッジ21に密着する部分が破断することを防止することができる。
【0041】
  アッパーポンチ30は、第2開口22を介してパウチフィルム100を加圧してもよい。
【0042】
  アッパーポンチ30は、第2開口22内でダイ10に対する高さが変化可能であってもよい。より詳細には、ダイ10及びアッパーポンチ30の少なくとも1つが昇降可能に構成され、ダイ10の上面とアッパーポンチ30の底面との高さ差が変化可能であってもよい。
【0043】
  アッパーポンチ30には、曲線状に形成されたエッジ31が形成されてもよい。より詳細には、サブダイ30の上面と外周とは、曲線状に形成されたエッジ31で連結されてもよい。前記エッジ31は、所定の曲率半径を有してもよい。前記エッジ31が曲線状に形成されることにより、パウチフィルム100が第1開口12内に延伸する際に前記エッジ31に密着する部分が破断することを防止することができる。
【0044】
  ロウワーポンチ40は、第1開口12を介してパウチフィルム100をアッパーポンチ30の外周と第2開口22の内周との間に加圧してもよい。ロウワーポンチ40は、パウチフィルム100を介して、アッパーポンチ30の外周と第2開口22の内周との間を向いていてもよい。
【0045】
  ロウワーポンチ40は、第1開口12内でダイ10に対する高さが変化可能であってもよい。より詳細には、ダイ10及びロウワーポンチ40の少なくとも1つが昇降可能に構成され、ダイ10の上面とロウワーポンチ40の上面との高さ差が変化可能であってもよい。
【0046】
  ロウワーポンチ40の上面は、曲線状に形成されてもよい。ロウワーポンチ40の上面41は、所定の曲率半径を有してもよい。ロウワーポンチ40の上面41は、膨出した状態で形成されてもよい。そうすることにより、ロウワーポンチ40がパウチフィルム100を加圧する際にロウワーポンチ40の上面41に密着する部分が破断することを防止することができる。ただし、それに限定されるものではなく、ロウワーポンチ40の上面41が平坦に形成され、ロウワーポンチ40の外周及び内周と曲線状に形成されたエッジで連結されてもよい。
【0047】
  図2を参照すると、ロウワーポンチ40がパウチフィルム100を加圧する1次成形時、ロウワーポンチ40は、ダイ10の上面より上方に突出してもよい。このとき、アッパーポンチ30は、第2開口22に位置してもよい。より詳細には、アッパーポンチ30の底面は、ストリッパ20の底面と同一水平面上に位置してもよい。
 
【0048】
  図3及び
図4を参照すると、アッパーポンチ30がパウチフィルム100を加圧する2次成形時、ロウワーポンチ40は、第1開口12から離脱してもよい。よって、アッパーポンチ30は、パウチフィルム100がロウワーポンチ40と干渉する恐れがなく、パウチフィルム100を十分に下方に加圧することができる。より詳細には、アッパーポンチ30は、第1開口12から下方に突出する深さまでパウチフィルム100を加圧することができる。
 
【0049】
  以下、本発明の一実施形態による成形装置の作用について説明する。なお、以下、説明の便宜上、ダイ10が固定され、ストリッパ20、アッパーポンチ30及びロウワーポンチ40がそれぞれ独立して昇降する場合を例に挙げて説明する。
【0050】
  図1を参照すると、パウチフィルム100がダイ10とストリッパ20との間に進入した状態で、ストリッパ20がダイ10に向かって下降することにより、パウチフィルム100の外側の一部をストリッパ20とダイ10との間に固定することができる。
 
【0051】
  図2を参照すると、アッパーポンチ30は、その底面がストリッパ20の底面と同一平面上に位置するようにアラインされてもよい。その状態で、ロウワーポンチ40が第1開口12から第2開口22内に上昇して、パウチフィルム100をアッパーポンチ30の外周と第2開口22の内周との間に加圧することができる。よって、パウチフィルム100において、ダイ10とストリッパ20との間に固定された部分及びアッパーポンチ30に当接した部分は平坦に維持し、ロウワーポンチ40により加圧される部分は延伸することができる。このような加圧成形を1次成形と呼称し、そのような1次成形により、パウチフィルム100に突出部110を成形することができる。
 
【0052】
  次に、
図3及び
図4を参照すると、ロウワーポンチ40は、第1開口12から下降することができる。より詳細には、ロウワーポンチ40は、下降して第1開口12から離脱することができる。そして、アッパーポンチ30は、第2開口22から第1開口12内に下降して、パウチフィルム100を下方に加圧することができる。このような加圧成形を2次成形と呼称し、そのような2次成形により、パウチフィルム100に既に成形されていた突出部110が広がることによって、カップ部120を成形することができる。カップ部120は、突出部110が突出形成される方向と反対に陥没形成されてもよい。
 
【0053】
  次に、
図5を参照すると、アッパーポンチ30は、上昇して初期位置に戻ることができる。また、ストリッパ20も上昇することにより、ダイ10とストリッパ20との間に固定されていたパウチフィルム100をリリースすることができる。
 
【0054】
  そのような一連の過程により、パウチフィルム100におけるカップ部120の成形を完了することができる。従来は、1回の加圧によりカップ部を成形していたが、その場合、パウチフィルムの特定領域のみ過度に延伸するので、クラックが発生しないようにするためにカップ部の深さを制限していた。それに対して、本発明は、パウチフィルム100において従来に延伸しなかった領域も延伸するように複数回にわたって成形を行うので、最終的にカップ部120をさらに深く成形することができるという利点がある。
【0055】
  図6は本発明の他の実施形態による成形方法のフローチャートである。
 
【0056】
  以下、本発明の他の実施形態として、前述した成形装置を用いてパウチフィルム100を成形するための成形方法について説明する。
【0057】
  本発明の他の実施形態による成形方法は、パウチフィルム100をダイ10とストリッパ20との間に固定する固定ステップ(S10)(以下、「固定ステップ」という)と、ロウワーポンチ40がパウチフィルム100をアッパーポンチ30の外周と第2開口22の内周との間に1次加圧する1次加圧ステップ(S20)(以下、「1次成形ステップ」という)と、アッパーポンチ30がパウチフィルム100を下方に2次加圧する2次加圧ステップ(S30)(以下、「2次成形ステップ」という)とを含んでもよい。
【0058】
  各ステップS10、S20、S30は、前述した成形装置の作用についての説明を援用することができる。より詳細には、固定ステップ(S10)は、
図1を参照して説明した内容を援用し、1次成形ステップ(S20)は、
図2を参照して説明した内容を援用し、2次成形ステップ(S30)は、
図3~
図5を参照して説明した内容を援用することができる。以下、主な特徴について簡単に説明する。
 
【0059】
  固定ステップ(S10)において、パウチフィルム100は、ダイ10の上面とストリッパ20の底面との間に固定されてもよい。
【0060】
  1次成形ステップ(S20)において、ロウワーポンチ40は、パウチフィルム100を加圧しながら、第1開口12から第2開口22内に進入してもよい。より詳細には、ロウワーポンチ40は、第2開口22の内周とアッパーポンチ30の外周との間に進入してもよい。よって、ロウワーポンチ40は、パウチフィルム100に突出部110を成形することができる。
【0061】
  2次成形ステップ(S30)において、アッパーポンチ30は、パウチフィルム100を加圧しながら、第2開口22から第1開口12内に進入してもよい。より詳細には、アッパーポンチ30は、パウチフィルム100の中央部を下方に加圧して、突出部110を広げてカップ部120を成形してもよい。
【0062】
  図7は本発明のさらに他の実施形態によるパウチ型電池ケースの成形過程を説明するための概略図である。
 
【0063】
  以下、本発明のさらに他の実施形態として、前述した成形装置又は成形方法により製造されたパウチ型電池ケースについて説明する。
【0064】
  本発明のさらに他の実施形態によるパウチ型電池ケース(以下、「電池ケース」という)は、陥没形状を有するカップ部120と、前記カップ部120の周部に位置するテラス130とを含んでもよい。
【0065】
  前記カップ部120は、電極組立体(図示せず)を収容するための空間を形成することができる。テラス130は、パウチフィルム100においてダイ10とストリッパ20との間に固定されてカップ部120が形成されていない部分であってもよい。
【0066】
  前記電池ケースの製造過程において、突出部110が一次的に成形され、突出部110が広げられて突出部110の反対方向に陥没するカップ部120が二次的に成形されてもよい。
【0067】
  突出部110は、外周部111と、内周部112と、連結部113とを含んでもよい。
【0068】
  外周部111は、テラス130とストリッパエッジ114で連結されてもよい。前記ストリッパエッジ114は、曲線状に形成されてもよい。より詳細には、ストリッパエッジ114は、所定の曲率半径を有してもよい。ストリッパエッジ114は、ストリッパ20のエッジ21(
図1参照)により形成されてもよく、また、ストリッパ20のエッジ21に対応する曲率半径を有してもよい。
 
【0069】
  内周部112は、中央部101と連結エッジ115で連結されてもよい。前記中央部101は、パウチフィルム100の1次成形時、アッパーポンチ30により支持されて突出部110が形成されていない部分であってもよい。
【0070】
  前記連結エッジ115は、アッパーポンチ30により加圧される部分であってもよい。より詳細には、アッパーポンチ30に対するロウワーポンチ40の相対的移動により、アッパーポンチ30のエッジ31(
図1参照)に接触する部分が連結エッジ115として延伸してもよい。前記連結エッジ115は、曲線状に形成されてもよい。連結エッジ115は、アッパーポンチ30のエッジ31に対応する曲率半径を有してもよい。
 
【0071】
  連結部113は、外周部111と内周部112とを連結してもよい。連結部113は、ロウワーポンチ40の上面41に対応する形状を有してもよい。連結部113は、所定の曲率半径を有してもよい。連結部113は、上方に膨出した状態で形成されてもよい。
【0072】
  パウチフィルム100の1次成形時、テラス130及び中央部101は、延伸しないか又は微細に延伸することによって、残存厚さが厚くてもよい。
【0073】
  連結部113は、ロウワーポンチ40により直接加圧されて相対的に多く延伸することによって、残存厚さが薄くてもよい。同様に、連結エッジ115は、アッパーポンチ30により直接加圧されて相対的に多く延伸することによって、残存厚さが薄くてもよい。連結部113と連結エッジ115とは、同一又は同程度に延伸してもよい。よって、突出部110において連結部113及び連結エッジ115の各残存厚さは、同一又は同程度であってもよい。
【0074】
  また、外周部111及び内周部112は、連結部113及び連結エッジ115より相対的に少なく延伸してもよい。ストリッパエッジ114も、外周部111及び内周部112と同一又は同程度に延伸してもよい。よって、突出部110において、外周部111、内周部112及びストリッパエッジ114の各残存厚さは、同一又は同程度であってもよい。
【0075】
  すなわち、外周部111、内周部112及びストリッパエッジ114の各厚さは、連結部113及び連結エッジ115の各厚さより厚く、テラス130及び中央部101の厚さより薄くてもよい。
【0076】
  パウチフィルム100の2次成形時、突出部110のストリッパエッジ114及び外周部111は、カップ部120のダイエッジ123及びカップ部120の周部122の一部である第1周部122aを形成することができる。突出部110の連結部113は、カップ部120の周部122の他の一部である第2周部122bを形成することができる。突出部110の内周部112は、カップ部120の周部122のさらに他の一部である第3周部122cを形成することができる。突出部110の連結エッジ115及び中央部101は、カップ部120のポンチエッジ124及び基底部121を形成することができる。
【0077】
  よって、
図7のような断面ビューを基準として、突出部110において、ストリッパエッジ114の長さをL1、外周部111の長さをL2、連結部113の長さをL3、内周部112の長さをL4、連結エッジ115の長さをL5、中央部101の長さをL6とし、カップ部120において、ダイエッジ123の長さをL7、周部122の長さをL8、ポンチエッジの長さをL9、基底部の長さをL10とすると、2*(L1+L2+L3+L4+L5)+L6=2*(L7+L8+L9)+L10の条件式を満たしてもよい。
 
【0078】
  ただし、それに限定されるものではなく、アッパーポンチ30がカップ部120をさらに延伸する場合、2*(L1+L2+L3+L4+L5)+L6<2*(L7+L8+L9)+L10の条件式を満たしてもよい。
【0079】
  ストリッパエッジ114の長さであるL1は、テラス130とストリッパエッジ114との境界P1からストリッパエッジ114と外周部111との境界P2までの長さを意味することができる。外周部111の長さであるL2は、ストリッパエッジ114と外周部111との境界P2から外周部111と連結部113との境界P3までの長さを意味することができる。連結部113の長さであるL3は、外周部111と連結部113との境界P3から連結部113と内周部112との境界P4までの長さを意味することができる。内周部112の長さであるL4は、連結部113と内周部112との境界P4から内周部112と連結エッジ115との境界P5までの長さを意味することができる。連結エッジ115の長さであるL5は、内周部112と連結エッジ115との境界P5から連結エッジ115と中央部101との境界P6までの長さを意味することができる。中央部101の長さであるL6は、両方の連結エッジ115と中央部101との境界P6間の長さを意味することができる。
【0080】
  ダイエッジ123の長さであるL7は、テラス130とダイエッジ123との境界P1からダイエッジ123と周部122との境界P7までの長さを意味することができる。周部122の長さであるL8は、ダイエッジ123と周部122との境界P7から周部122とポンチエッジ124との境界P8までの長さを意味することができる。ポンチエッジ124の長さであるL9は、周部122とポンチエッジ124との境界P8からポンチエッジ124と基底部121との境界P9までの長さを意味することができる。基底部121の長さであるL10は、両方のポンチエッジ124と基底部121との境界P9間の長さを意味することができる。
【0081】
  そのような突出部110が広げられてカップ部120が形成されるので、カップ部120の各部分の厚さは、従来の方式で成形されたカップ部とは異なる。以下、カップ部120について説明する。
【0082】
  カップ部120は、基底部121及び周部122を含んでもよい。
【0083】
  カップ部120の周部122は、テラス130とダイエッジ123で連結されてもよい。前記ダイエッジ123は、曲線状に形成されてもよい。より詳細には、ダイエッジ123は、所定の曲率半径を有してもよい。ダイエッジ123は、ダイ10のエッジ11(
図1参照)により形成されてもよく、また、ダイ10のエッジ11に対応する曲率半径を有してもよい。
 
【0084】
  カップ部120の基底部121は、周部122とポンチエッジ124で連結されてもよい。ポンチエッジ124は、曲線状に形成されてもよい。より詳細には、ポンチエッジ124は、所定の曲率半径を有してもよい。ポンチエッジ124は、アッパーポンチ30のエッジ31(
図1参照)により形成されてもよく、また、アッパーポンチ30のエッジ31に対応する曲率半径を有してもよい。ポンチエッジ124は、先行の突出部110の成形時に形成された連結エッジ115に対応する部分であってもよい。
 
【0085】
  カップ部120の周部122は、テラス130とダイエッジ123で連結される第1周部122aと、第1周部122aと連結され、第1周部122aより薄い厚さを有する第2周部122bと、第2周部122bと連結され、基底部121とポンチエッジ124で連結され、第2周部122bより厚い厚さを有する第3周部122cとを含んでもよい。
【0086】
  第1周部122aは、突出部110の外周部111に対応することができ、第2周部122bは、突出部110の連結部113に対応することができ、第3周部122cは、突出部110の内周部112に対応することができる。前述したように、連結部113の残存厚さは外周部111及び内周部112の残存厚さより薄くてもよいので、第2周部122bの厚さt2が第1周部122aの厚さt1及び第3周部122cの厚さt3より相対的に薄くてもよい。
【0087】
  なお、前述したように、突出部110の外周部111、内周部112及びストリッパエッジ114の各残存厚さは、同一又は同程度であってもよい。よって、カップ部120の第1周部122aの厚さt1及び第3周部122cの厚さt3は、同一又は同程度、すなわち互いに対応することができる。また、カップ部120の第1周部122aの厚さt1及びダイエッジ123の厚さt5は、互いに対応することができる。さらに、カップ部120の第2周部122bの厚さt2は、ダイエッジ123の厚さt5より薄くてもよい。
【0088】
  なお、前述したように、突出部110の連結部113及び連結エッジ115の各残存厚さは、同一又は同程度であってもよい。よって、カップ部120の第2周部122bの厚さt2及びポンチエッジ124の厚さt6は、互いに対応することができる。また、ポンチエッジ124の厚さt6は、ダイエッジ123の厚さt5、第1周部122aの厚さt1、第3周部122cの厚さt3のそれぞれより薄くてもよい。
【0089】
  一方、カップ部120の基底部121は、1次成形当時の中央部101に対応する部分であってもよい。前述したように、中央部101の厚さは、突出部110の各部分より相対的に厚くてもよい。よって、カップ部120の基底部121の厚さt4は、第1~第3周部122a、122b、122cの厚さt1、t2、t3、ダイエッジ123の厚さt5、及びポンチエッジ124の厚さt6のそれぞれより厚くてもよい。
【0090】
  以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものにすぎず、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。
【0091】
  よって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、そのような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。
【0092】
  本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0093】
  10  ダイ
  12  第1開口
  20  ストリッパ
  22  第2開口
  30  アッパーポンチ
  40  ロウワーポンチ
  100  パウチフィルム
  101  中央部
  110  突出部
  111  外周部
  112  内周部
  113  連結部
  114  ストリッパエッジ
  115  連結エッジ
  120  カップ部
  121  基底部
  122  周部
  122a  第1周部
  122b  第2周部
  122c  第3周部
  123  ダイエッジ
  124  ポンチエッジ
  130  テラス
【国際調査報告】