(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-30
(54)【発明の名称】ヒートシンクアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20251023BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20251023BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20251023BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20251023BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20251023BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20251023BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20251023BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/643
H01M10/647
H01M10/617
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025526353
(86)(22)【出願日】2024-09-10
(85)【翻訳文提出日】2025-05-07
(86)【国際出願番号】 KR2024096129
(87)【国際公開番号】W WO2025058496
(87)【国際公開日】2025-03-20
(31)【優先権主張番号】10-2023-0120563
(32)【優先日】2023-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サン・ユン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ファン・シン
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031KK08
(57)【要約】
開示されるヒートシンクアセンブリは、内部の長手方向に沿って複数のリブが一体成形され、長手方向の両端の第1面および第2面が開放されるヒートシンクと、上記ヒートシンクの両端の第1面および第2面をそれぞれ閉鎖する第1エンドプラグと第2エンドプラグと、を含み、上記ヒートシンクは、上記第1エンドプラグ側から流入する冷媒がインレット流路に沿って流れ、上記第2エンドプラグ側からリターン流路に沿って方向を転換してアウトレット流路に導入された後に、上記第1エンドプラグ側に流動する冷却流路を備え、上記第2エンドプラグは、上記インレット流路からアウトレット流路に転換されるリターン流路上に流動ガイドを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の長手方向に沿って複数のリブが一体成形され、前記長手方向の両端の第1面および第2面が開放されるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの両端の前記第1面および前記第2面をそれぞれ閉鎖する第1エンドプラグおよび第2エンドプラグと、
を含み、
前記ヒートシンクは、
前記第1エンドプラグ側から流入する冷媒がインレット流路に沿って流れ、前記第2エンドプラグ側からリターン流路に沿って方向を転換してアウトレット流路に導入された後に、前記第1エンドプラグ側に流動する冷却流路を備え、
前記第2エンドプラグは、
前記インレット流路から前記アウトレット流路に転換される前記リターン流路上に流動ガイドを備える、ヒートシンクアセンブリ。
【請求項2】
前記第1エンドプラグには、
前記冷媒が流入するインレットポートと、前記冷媒が流出するアウトレットポートとが配置される、請求項1に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項3】
前記インレットポートと連結される前記インレット流路は、前記ヒートシンクの中央領域に配置され、
前記アウトレットポートは一対備えられ、前記一対のアウトレットポートと各々連結される前記アウトレット流路は、前記インレット流路の両側に配置される、請求項2に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項4】
前記第1エンドプラグは、
前記インレット流路の前記第1面を閉鎖するインレットプラグと、
前記アウトレット流路の前記第1面を閉鎖する一対のアウトレットプラグとを含む、請求項3に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項5】
前記流動ガイドは、
前記第2エンドプラグの表面から突出した突起の形態をなす、請求項1から4のいずれか一項に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項6】
前記流動ガイドは、
前記インレット流路から前記リターン流路に転換される経路のうち、前記インレット流路に最も隣接する第1アウトレット流路に対して対面配置される、請求項5に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項7】
前記流動ガイドは、
前記インレット流路から前記リターン流路に方向を転換する冷媒が前記第1アウトレット流路に向かうように誘導する傾斜面を備える、請求項6に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項8】
前記流動ガイドの傾斜面は、
前記第1アウトレット流路の幅方向に沿って始点から中央点の間に配置される、請求項7に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項9】
前記流動ガイドの傾斜面の頂点が、
前記第1アウトレット流路の幅方向の前記中央点に位置する、請求項8に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項10】
前記インレット流路から徐々に離隔する複数のアウトレット流路を含み、前記第2エンドプラグの表面と各アウトレット流路の入口との間の空間が、前記第1アウトレット流路から、前記インレット流路からより離隔した外側のアウトレット流路にいくにつれて、広くなる、請求項6に記載のヒートシンクアセンブリ。
【請求項11】
前記各アウトレット流路を形成する前記リブの端部と前記第2エンドプラグの表面との間の距離が、前記第1アウトレット流路から、前記インレット流路からより離隔した外側のアウトレット流路にいくにつれて、線形的に増加する、請求項10に記載のヒートシンクアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池を搭載するバッテリパックの底面を形成するか、または底面に装着されてバッテリパックの放熱を促進するヒートシンクアセンブリに関するものである。
【0002】
本出願は、2023年9月11日付の韓国特許出願第10-2023-0120563号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されるすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池は一次電池とは違って、再充電が可能であり、また小型および大容量化の可能性により近年多く研究開発されている。モバイル機器に対する技術開発と需要が増加し、また環境保護の時代的要求に合わせて浮上する電気車両とエネルギー貯蔵システムなどにより、エネルギー源としての二次電池の需要はさらに急激に増加している。
【0004】
二次電池は、電池ケースの形状に応じて、コイン型電池、円筒型電池、角型電池、およびパウチ型電池に分類される。二次電池において電池ケースの内部に装着される電極組立体は、電極と分離膜との積層構造からなる充放電が可能な発電素子である。
【0005】
二次電池は、長期間にわたる連続的な使用が求められるため、充放電過程中に発生する熱を効果的に制御する必要がある。二次電池の冷却が円滑になされない場合には、温度上昇が電流の増加を引き起こし、電流の増加が再び温度上昇の原因となる正帰還の連鎖反応が起こり、結局熱暴走(Thermal Runaway)の破局状態に至ることになる。
【0006】
二次電池で発生する熱を効果的に放出するために、冷媒が流動するヒートシンク(または冷却プレートとも呼ばれる)が広く使用される。ヒートシンクは、多数の二次電池集団、例えば、多数の二次電池を搭載するバッテリパックの底面に装着され、パック内部で発生する熱を冷媒で吸収して外部に放出する冷却機能を果たす。
【0007】
ヒートシンクは、その構造または製造方式によって、ブレージングヒートシンクと押出ヒートシンクに分けることができる。ブレージングヒートシンクは、2つの板材をブレージング接合して流路を形成する構造であって、流路設計の自由度は高いが、素材の物性低下により構造剛性に不利であるという短所がある。これに対し、押出成形により連続体として製造される押出ヒートシンクは、構造剛性には有利であるが、直線流路のみ具現が可能でポートが多くなり、これにより、連結のためのパイプが空間を占めるという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、流路形成のために別途のパイプを必要とせず、少ない空間を占め、単純化された流路構成で部品の数を減らすことにより差圧を改善することができるヒートシンクアセンブリを提供することにその目的がある。
【0009】
また、本発明は、複数の流路を流れる冷媒の流量を均一に誘導することにより、全体面積にわたって均一に熱を吸収することができるヒートシンクアセンブリを提供することにもう1つの目的がある。
【0010】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上述の課題に限定されず、言及されない別の課題は、下記に記載される発明の説明から通常の技術者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ヒートシンクアセンブリに関するものであって、一つの例において、内部の長手方向に沿って複数のリブが一体成形され、長手方向の両端の第1面および第2面が開放されるヒートシンクと、上記ヒートシンクの両端の第1面および第2面をそれぞれ閉鎖する第1エンドプラグと第2エンドプラグと、を含み、上記ヒートシンクは、上記第1エンドプラグ側から流入する冷媒がインレット流路に沿って流れ、上記第2エンドプラグ側からリターン流路に沿って方向を転換してアウトレット流路に導入された後に、上記第1エンドプラグ側に流動する冷却流路を備え、上記第2エンドプラグは、上記インレット流路からアウトレット流路に転換されるリターン流路上に流動ガイドを備える。
【0012】
上記第1エンドプラグには、上記冷媒が流入するインレットポートと、上記冷媒が流出するアウトレットポートとが配置されることができる。
【0013】
そして、上記インレットポートと連結されるインレット流路は、上記ヒートシンクの中央領域に配置され、上記アウトレットポートは一対備えられ、上記一対のアウトレットポートと各々連結されるアウトレット流路は、上記インレット流路の両側に配置されることができる。
【0014】
上記第1エンドプラグは、上記インレット流路の上記第1面を閉鎖するインレットプラグと、上記アウトレット流路の上記第1面を閉鎖する一対のアウトレットプラグとを含むことができる。
【0015】
そして、上記流動ガイドは、上記第2エンドプラグの表面から突出した突起の形態をなすことができる。
【0016】
そして、上記流動ガイドは、上記インレット流路から上記リターン流路に転換される経路のうち、上記インレット流路に最も隣接する第1アウトレット流路に対して対面配置されることができる。
【0017】
また、上記流動ガイドは、上記インレット流路から上記リターン流路に方向を転換する冷媒が上記第1アウトレット流路に向かうように誘導する傾斜面を備えることができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、上記流動ガイドの傾斜面は、上記第1アウトレット流路の幅方向に沿って始点から中央点の間に配置されることができる。
【0019】
例えば、上記流動ガイドの傾斜面の頂点が、上記第1アウトレット流路の幅方向の中央点に位置することができる。
【0020】
さらに、上記第1アウトレット流路から上記インレット流路から徐々に離隔する複数のアウトレット流路を含み、上記第2エンドプラグの表面と各アウトレット流路の入口との間の空間が、上記第1アウトレット流路から、上記インレット流路からより離隔した外側のアウトレット流路にいくにつれて、広くなり得る。
【0021】
このために、上上記各アウトレット流路を形成する上記リブの端部と上記第2エンドプラグの表面との間の距離が、上記第1アウトレット流路から、上記インレット流路からより離隔した外側のアウトレット流路にいくにつれて、線形的に増加することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記のような構成を有する本発明のヒートシンクアセンブリは、ヒートシンクに一体に形成される流路の長手方向の両端に機械加工を行うと共にエンドプラグが開放面を閉鎖することによりインレットとアウトレットに分割される冷却流路を容易に構成することができるようになる。
【0023】
そして、本発明のヒートシンクアセンブリは、ヒートシンクが押出成形により連続体として製造されることにより優れた構造剛性を確保することも可能である。
【0024】
また、本発明のヒートシンクアセンブリは、冷媒の流動が急激に転換されるリターン流路上に流動ガイドを備えており、これにより、複数のアウトレット流路のそれぞれに導入される冷媒の流量をより均一にしている。これにより、ヒートシンクアセンブリ全体の面積にわたって均一な冷却性能を維持することができ、局部的に冷却が脆弱な領域に位置する二次電池が性能劣化や熱暴走などの問題を引き起こす可能性が著しく低くなる。
【0025】
ただし、本発明によって得ることができる技術的効果は上述の効果に限定されず、言及されない別の効果は、下記に記載される発明の説明から通常の技術者に明確に理解されることができる。
【0026】
本明細書に添付される下記の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述される発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載される事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヒートシンクアセンブリを示す図面である。
【
図2】
図1のヒートシンクアセンブリの分解斜視図である。
【
図3】ヒートシンクの構造を詳細に示す図面である。
【
図4】
図1の「A」部分を拡大して示す図面である。
【
図5】
図1の「B」部分を拡大して示す図面である。
【
図6】
図1のヒートシンクアセンブリにおける全体的な冷媒の流動を示す図面である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るリターン流路を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができるので、特定の実施形態を以下に詳細に説明する。
【0029】
しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術的範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解されることができる。
【0030】
本発明において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書中に記載される特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されることができる。
【0031】
また、本発明において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると記載される場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あると記載される場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0032】
本発明は、ヒートシンクアセンブリに関するものであって、一つの例において、内部の長手方向に沿って複数のリブが一体成形され、長手方向の両端の第1面および第2面が開放されるヒートシンクと、上記ヒートシンクの両端の第1面および第2面をそれぞれ閉鎖する第1エンドプラグと第2エンドプラグと、を含み、上記ヒートシンクは、上記第1エンドプラグ側から流入する冷媒がインレット流路に沿って流れ、上記第2エンドプラグ側からリターン流路に沿って方向を転換してアウトレット流路に導入された後に、上記第1エンドプラグ側に流動する冷却流路を備え、上記第2エンドプラグは、上記インレット流路からアウトレット流路に転換されるリターン流路上に流動ガイドを備える。
【0033】
上記のような構成を有する本発明のヒートシンクアセンブリは、ヒートシンクに一体に形成される流路の長手方向の両端に機械加工を行うと共にエンドプラグが開放面を閉鎖することによりインレットとアウトレットに分割される冷却流路を容易に構成することができるようになる。
【0034】
そして、本発明のヒートシンクアセンブリは、ヒートシンクが押出成形により連続体として製造されることにより優れた構造剛性を確保することも可能である。
【0035】
また、本発明のヒートシンクアセンブリは、冷媒の流動が急激に転換されるリターン流路上に流動ガイドを備えており、これにより、複数のアウトレット流路のそれぞれに導入される冷媒の流量をより均一にしている。これにより、ヒートシンクアセンブリ全体の面積にわたって均一な冷却性能を維持することができ、局部的に冷却が脆弱な領域に位置する二次電池が性能劣化や熱暴走などの問題を引き起こす可能性が著しく低くなる。
【0036】
以下、添付される図面を参照して本発明のヒートシンクアセンブリ10の具体的な実施形態について詳細に説明する。参考として、以下の説明で使用される相対的な位置を指定する前後や上下左右の方向は発明の理解を助けるためのものであり、特に定義がない限り図面に示される方向を基準とする。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係るヒートシンクアセンブリ10を示す図面であり、
図2は、
図1のヒートシンクアセンブリ10の分解斜視図、そして
図3は、ヒートシンク100の構造、特に内部流路140の構造を詳細に示す図面である。
【0038】
本発明のヒートシンクアセンブリ10は、互いに対向する一対の開放面を備えるヒートシンク100、第1エンドプラグ、および第2エンドプラグ200を含む。ヒートシンク100の開放面は、長手方向Lの両端に位置する面であり、説明の便宜のために、2つの開放面は、それぞれ第1面120、第2面130と称することとする。ここで、長手方向Lは、中空部である複数の流路140が延長される方向を指し、そして幅方向Wは、複数の流路140が離隔配置される平面上で長手方向Lに直交する方向を指すと定義する。
【0039】
冷媒が流動する複数の流路140は、長手方向Lに沿って形成される中空部であり、流路140間は、リブ110によって隔離される。ヒートシンク100の長手方向Lの両端の第1面120および第2面130は開放されている。ヒートシンク100は、押出成形によって内部の長手方向Lに沿って複数の流路140が一体成形される押出成形品で製造されることができる。例示的に、
図1および
図2は、押出成形により製造されるヒートシンク100を一実施形態として示している。
【0040】
第1エンドプラグおよび第2エンドプラグ200は、それぞれヒートシンク100の両端の開放される第1面120および第2面130を閉鎖し、またヒートシンク100の内部で互いに分離されている複数の流路140が冷媒の流出入経路をなすように有機的に連結する役割を果たす。第1エンドプラグおよび第2エンドプラグ200によって形成される冷媒の流出入経路については、
図3~
図7を参照して詳細に説明されるであろう。
【0041】
ここで、図示の実施形態は、押出成形品の特性上、長手方向Lの両端が開放される構造を有するヒートシンク100を一例として提示しているが、押出成形により製造されないヒートシンク100の場合にも、複数の流路140が延長される長手方向Lの両端が開放面を形成する構造のヒートシンク100であれば、第1エンドプラグおよび第2エンドプラグ200を結合する同じ方式で本発明のヒートシンクアセンブリ10を構成することが可能であろう。
【0042】
図3には、ヒートシンク100内部の流路140の構造がより具体的に示されている。第1面120と第2面130との間で長手方向Lに延長される複数の流路140は、その両端が第1面120および第2面130から所定距離ほど離隔している。流路140が第1面120および第2面130から離隔する距離は、中空部である流路140の間を区画するリブ110を機械的に除去する切削加工によって自由に設計されることができる。リブ110の端部の一部を除去する切削加工により、エンドプラグ200が挿入される空間(深さ)が確保される。
【0043】
第1エンドプラグおよび第2エンドプラグ200は、それぞれヒートシンク100の両端の開放される第1面120および第2面130を閉鎖する。エンドプラグ200は、ヒートシンク100の第1面120および第2面130上に挿入されるのに適した厚さおよび幅を有する。ヒートシンク100に挿入されるエンドプラグ200は、溶接、例えば摩擦攪拌溶接によって密封接合されることができる。例えば、ヒートシンク100の上下面に分けて行われる摩擦攪拌溶接の溶接深さが互いに重なるようにすると、エンドプラグ200の上下左右四方に溶接面が形成されることにより、エンドプラグ200によるヒートシンク100の密封が完成する。
【0044】
複数の流路140が長手方向Lに延長され、第1エンドプラグおよび第2エンドプラグ200により第1面120および第2面130が密封されるので、冷媒が流出入するポートの位置を適切に選定することにより、ヒートシンクアセンブリ10の伝熱面積全体にわたって冷媒が流動するように構成することができる。図示の実施形態では、第1面120に冷媒が流入するインレットポート213および冷媒が流出するアウトレットポート215を共に配置し、第2面130には別途のポートなしで冷媒のリターン流路146を形成するように第2エンドプラグ220が配置されている。
【0045】
図4は、
図1の「A」部分を拡大して示す図面であり、
図3と併せて見ると、インレットポート213と連結されるインレット流路142は、ヒートシンク100の中央領域に配置され、一対のアウトレットポート215と各々連結されるアウトレット流路144は、インレット流路142の両側に配置されている。図示の実施形態では、インレット流路142は、2つ備えられており、インレット流路142の末端は、第2面130に沿って長く形成されるリターン流路146と連結され、長く延長されるリターン流路146は、両側のアウトレット流路144と連結される。
【0046】
本発明の一実施形態では、第1面120を閉鎖する第1エンドプラグ210は、インレット流路142の第1面120を閉鎖するインレットプラグ211と、アウトレット流路144の第1面120を閉鎖する一対のアウトレットプラグ212とを含んでいる。インレットプラグ211とインレット流路142の入口との間には一定の空間が形成されており、この空間上にインレットポート213が配置される。これにより、インレットポート213に流入する冷媒は、インレット流路142の上流側空間を満たした後に、各インレット流路142に分岐して均一に流れる。これと同様に、アウトレットプラグ212とアウトレット流路144の出口との間に形成される空間上にアウトレットポート215が配置される。
【0047】
図5は、
図1の「B」部分を拡大して示す図面であり、リターン流路146を示している。ヒートシンク100の第2面130は、第2エンドプラグ220で閉鎖されており、各流路142、144の末端、すなわち第2面130と対向するインレット流路142出口およびアウトレット流路144の入口も第2エンドプラグ220に対して所定距離を離隔しており、このように第2エンドプラグ220に沿って形成される空間がリターン流路146を形成する。例示的な
図5の実施形態では、リターン流路146は、第2面130から離隔する距離が一定である、すなわち断面積の実質的な変化がないように示されている。
【0048】
そして、
図5に具体的に示されるように、第2エンドプラグ220は、インレット流路142からアウトレット流路144に転換されるリターン流路146上に流動ガイド230を備える。図示の実施形態では、流動ガイド230は、第2エンドプラグ220の表面から突出した突起の形態をなしている。このような流動ガイド230の役割は、インレット流路142に最も隣接するアウトレット流路144、すなわち第1アウトレット流路144-1に導入される冷媒の流量を十分に確保するためのものである。
【0049】
インレット流路142の出口から出る冷媒は、第2エンドプラグ220に衝突した後に、両側のリターン流路146にその方向が急激に転換される。リターン流路146側に転換される冷媒は、第1アウトレット流路144-1から始まり連続して配置される各アウトレット流路144の入口に順次流入する。理想的には、各アウトレット流路144に導入される冷媒の流量は均一であることが最も好ましいが、実際には均一ではない。
【0050】
特に、問題となるのは、インレット流路142に最も隣接する第1アウトレット流路144-1に導入される冷媒の流量が著しく低下することである。第1アウトレット流路144-1周辺での冷媒の流動は、第2エンドプラグ220に当たって90°近く冷媒の流動が転換された直後であるため、最も不安定である。このように不安定な流動パターンにより、第1アウトレット流路144-1に十分な量の冷媒が導入されない傾向が発生する。さらにひどい場合には、強い乱流の流動による圧力降下により第1アウトレット流路144-1では、冷媒の逆流現象が発生することもあり得る。
【0051】
第2エンドプラグ220に備えられる流動ガイド230は、流量分配問題を解決するためのものであり、特に最も流量が不足して不安定な第1アウトレット流路144-1に向かう冷媒の流動を促進する役割を果たす。このために、流動ガイド230は、インレット流路142からリターン流路146に転換される経路のうち、インレット流路142に最も隣接する第1アウトレット流路144-1に対して対面配置される。第1アウトレット流路144-1の入口に対面配置される流動ガイド230により、リターン流路146側に方向を転換する冷媒の一部は流動ガイド230に当たった後に、第1アウトレット流路144-1に向かうように流動方向が強制される。
【0052】
効果的な冷媒の方向転換のために、流動ガイド230は、インレット流路142からリターン流路146に方向を転換する冷媒が第1アウトレット流路144-1に向くように誘導する傾斜面232を備えることができる。そして、第1アウトレット流路144-1に向かうように方向を変える冷媒が第1アウトレット流路144-1内に円滑に流入するように、流動ガイド230の傾斜面232は、第1アウトレット流路144-1の幅方向Wに沿って始点から中央点の間に配置されることができる。例えば、
図5の部分拡大図に示されるように、流動ガイド230の傾斜面232の頂点234が第1アウトレット流路144-1の幅方向Wの中央点に位置することができる。第1アウトレット流路144-1に向かう冷媒の流動が第1アウトレット流路144-1の入口中央に向かうことにより、効果的な冷媒の流入を図ることができる。
【0053】
図6は、
図1のヒートシンクアセンブリ10における全体的な冷媒の流動を示す図面である。上述のように、ヒートシンク100の第1面120において、インレットポート213と連結されるインレット流路142は、ヒートシンク100の中央領域に配置され、一対のアウトレットポート215と各々連結されるアウトレット流路144は、インレット流路142の両側に配置されている。そして、ヒートシンク100の第2面130には、第2エンドプラグ220がリターン流路146を形成している。
【0054】
このような流路140の配置構造により、第1エンドプラグ210側のインレットポート213に流入する冷媒は、中央のインレット流路142に沿って流れ、第2エンドプラグ220側でリターン流路146に沿って方向を転換する。方向が転換される冷媒は、リターン流路146に沿って流れながら順番にアウトレット流路144に導入され、アウトレット流路144に沿って流動する冷媒は、第1エンドプラグ210側のアウトレットポート215を通って外へ抜け出る。
【0055】
そして、リターン流路146を流れる冷媒が各アウトレット流路144に導入されるときに、第2エンドプラグ220に備えられる流動ガイド230により、冷媒流入が最も不足していた第1アウトレット流路144-1の流量が良好に確保される。このような流動ガイド230の助けにより、各アウトレット流路144を流れる冷媒の流量が従来よりも均一になり、ヒートシンク100の全体面積にわたって均一な流量で冷媒が流動することにより、特定領域に偏りのない均一な冷却特性を得ることができるようになる。
【0056】
(第2実施形態)
第1実施形態では、リターン流路146上で冷媒の逆流現象が発生することもある第1アウトレット流路144-1に対する流量確保のための第2エンドプラグ220の構成を中心に本発明を説明した。第2実施形態では、各アウトレット流路144に導入される冷媒の流量をより均一に誘導することができる追加の構成について説明する。
【0057】
リターン流路146を流れる冷媒は、第1アウトレット流路144-1から始まり連続する複数のアウトレット流路144内に順次分配される。インレット流路142の出口から流出する冷媒の流量はほぼ一定であるので、第1アウトレット流路144-1では流動特性上冷媒流入が円滑ではないが、概してインレット流路142に隣接するアウトレット流路144側に先ず冷媒が分配されるため、リターン流路146の下流側に向かうにつれて徐々に冷媒流量が減少する傾向がある。第2実施形態は、このような流量の不均一な分配を解消または緩和するための構成に関するものである。
【0058】
図7は、第2実施形態に係るリターン流路146を示す図面である。
図7を参照すると、インレット流路142から徐々に離隔する複数のアウトレット流路144を含み、第2エンドプラグ220の表面と各アウトレット流路144の入口との間の空間が、第1アウトレット流路144-1から、インレット流路142からより離隔した外側のアウトレット流路144にいくにつれて、広くなるように構成されている。第2エンドプラグ220の表面と各アウトレット流路144の入口との間の空間は、アウトレット流路144の入口を形成する第2面130におけるリブ110の長さによって決定される。すなわち、第2面130を介して機械的に加工されるアウトレット流路144のリブ110の端部に対する切削深さを調節することによって、
図7の構成を具現することができる。
【0059】
図示の実施形態では、各アウトレット流路144を形成するリブ110の端部と第2エンドプラグ220の表面との間の距離が、第1アウトレット流路144-1から外側のアウトレット流路144にいくにつれて、線形的に増加するように構成されている。リブ110の端部と第2エンドプラグ220の表面との間の距離が線形的に増加することによって、第2エンドプラグ220の表面と各アウトレット流路144の入口との間の空間がインレット流路142から離れるにつれて線形的に拡張される。
【0060】
このような構成により、第2エンドプラグ220の表面と各アウトレット流路144の入口との間の空間が狭いときには、流速が速いほど少ない量の冷媒がアウトレット流路144に導入され、一方、その空間が広いときには、流速が遅くなるほどさらに長くなった時間の間、十分な量の冷媒がアウトレット流路144に導入される。
【0061】
したがって、第2エンドプラグ220の流動ガイド230により第1アウトレット流路144-1に対する流量が確保され、またインレット流路142の出口からの距離を考慮して差等的な流量分配を具現することによって、アウトレット流路144全体に分配される流量はさらに均一になり、これにより、ヒートシンクアセンブリ10の冷却性能も全体面積にわたって均一な冷却性能を発揮することができるようになる。
【0062】
以上、図面と実施形態などによって本発明をより詳細に説明した。しかしながら、本明細書に記載される図面または実施形態などに記載される構成は本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得る。
【符号の説明】
【0063】
10:ヒートシンクアセンブリ
100:ヒートシンク
110:リブ
120:第1面
130:第2面
140:流路
142:インレット流路
144:アウトレット流路
144-1:第1アウトレット流路
146:リターン流路
200:エンドプラグ
210:第1エンドプラグ
211:インレットプラグ
212:アウトレットプラグ
213:インレットポート
215:アウトレットポート
220:第2エンドプラグ
230:流動ガイド
232:傾斜面
234:頂点
L:長手方向
W:幅方向
【国際調査報告】