(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2026-03-19
(54)【発明の名称】化学強化ガラスシート物品に内孔を作る方法
(51)【国際特許分類】
C03B 33/09 20060101AFI20260312BHJP
C03B 33/04 20060101ALI20260312BHJP
C03C 23/00 20060101ALI20260312BHJP
C03C 21/00 20060101ALI20260312BHJP
B23K 26/382 20140101ALI20260312BHJP
B23K 26/55 20140101ALI20260312BHJP
【FI】
C03B33/09
C03B33/04
C03C23/00 D
C03C21/00 101
B23K26/382
B23K26/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025542299
(86)(22)【出願日】2024-03-13
(85)【翻訳文提出日】2025-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2024056720
(87)【国際公開番号】W WO2024189107
(87)【国際公開日】2024-09-19
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100235612
【氏名又は名称】風早 宏基
(72)【発明者】
【氏名】ドラッグマン, シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】ランブリット, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】レ クアン, トリ
【テーマコード(参考)】
4E168
4G015
4G059
【Fターム(参考)】
4E168AD11
4E168AD18
4E168AE01
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA43
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA54
4E168GA04
4E168JA14
4E168KA06
4G015FA06
4G015FA09
4G015FB01
4G015FC05
4G059AA01
4G059AA08
4G059AC16
4G059AC30
(57)【要約】
本発明は、厚さTを有するガラスシート物品(10)に内孔(1)を作る方法であって、内側部分(2)は、分離線(3)に沿ってガラスシート物品から分離される、方法に関する。方法は、以下の順において、少なくとも、繊維化のステップであって、繊維状の欠陥が、分離線に沿って隣接して整列されたサブミクロン中空チャネルの形態でガラスシート物品の容積内に作られ、欠陥は、超短パルスレーザーのレーザーパルスによって作られ、ガラスシート物品の材料は、レーザーパルスに対して透過性であり、レーザーパルスは、ガラスシート物品の容積内でプラズマを生じさせ、プラズマは、繊維状の欠陥を引き起こし、ガラスシート物品におけるレーザーパルスの入射点は、分離線に沿ってその表面にわたって変位されて、分離線に沿って隣接して整列された繊維状の欠陥を導入する、ステップと、続いて、ガラスシート物品の化学強化のステップと、その後、内側部分にアブレーションレーザーを照射して、少なくとも1つのセグメント(4)を除去することにより、分離線に沿った隣接して整列された繊維状の欠陥においてガラスシート物品から内側部分を分離するステップであって、少なくとも1つのセグメントは、分離線に位置する2つの端点を有し、実質的に厚さTを有し、且つ150μm以上の幅W(W≧150μm)を有する、ステップとを含む。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さTを有するガラスシート物品(10)に内孔(1)を作る方法であって、内側部分(2)は、分離線(3)に沿って前記ガラスシート物品から分離され、前記方法は、以下の順において、少なくとも、
a)繊維化のステップであって、繊維状の欠陥が、前記分離線に沿って隣接して整列されたサブミクロン中空チャネルの形態で前記ガラスシート物品の容積内に作られ、前記欠陥は、超短パルスレーザーのレーザーパルスによって作られ、前記ガラスシート物品の材料は、前記レーザーパルスに対して透過性であり、前記レーザーパルスは、前記ガラスシート物品の前記容積内でプラズマを生じさせ、前記プラズマは、前記繊維状の欠陥を引き起こし、前記ガラスシート物品における前記レーザーパルスの入射点は、前記分離線に沿ってその表面にわたって変位されて、前記分離線に沿って隣接して整列された前記繊維状の欠陥を導入する、ステップ、
b)前記ガラスシート物品の化学強化のステップ、
e)前記内側部分にアブレーションレーザーを照射して、少なくとも1つのセグメント(4)を除去することにより、前記分離線に沿った前記隣接して整列された繊維状の欠陥において前記ガラスシート物品から前記内側部分を分離するステップであって、前記少なくとも1つのセグメントは、前記分離線に位置する2つの端点を有し、実質的に前記厚さTを有し、且つ150μm以上の幅W(W≧150μm)を有する、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
厚さTを有し、且つ内孔(1)を含む少なくとも1つのガラスシート物品(10)をガラス基板(20)から製造する方法であって、前記方法は、以下の順において、
a1)分離線に沿って前記少なくとも1つのガラスシート物品を作るための繊維化のステップ、ただし、前記分離線は、前記ガラス基板を前記少なくとも1つのガラスシート物品に分割するためのものである、
a2)分離される内側部分を画定する分離線(3)に沿って前記ガラスシート物品から内側部分(2)を分離するための繊維化のステップであって、繊維状の欠陥が、前記分離線に沿って隣接して整列されたサブミクロン中空チャネルの形態で前記ガラス基板の容積内に作られ、前記欠陥は、超短パルスレーザーのレーザーパルスによって作られ、前記ガラス基板の材料は、前記レーザーパルスに対して透過性であり、前記レーザーパルスは、前記ガラス基板の前記容積内でプラズマを生じさせ、前記プラズマは、前記繊維状の欠陥を引き起こし、前記ガラス基板における前記レーザーパルスの入射点は、前記分離線に沿ってその表面にわたって変位されて、前記分離線に沿って隣接して整列された前記繊維状の欠陥を導入する、ステップ、
b)前記ガラス基板(20)の化学強化のステップ、及び
e)e1)前記ガラスシート物品(10)を前記ガラス基板(20)から分離するための分離ステップ、
e2)前記内側部分にアブレーションレーザーを照射して、少なくとも1つのセグメントを除去することにより、前記分離線(3)に沿った前記隣接して整列された繊維状の欠陥において前記ガラスシート物品から前記内側部分(2)を分離するステップであって、前記少なくとも1つのセグメントは、前記分離線に位置する2つの端点を有し、実質的に前記厚さTを有し、且つ150μm以上の幅W(W≧150μm)を有する、ステップ
を含む方法。
【請求項3】
前記繊維が相互結合されている前記分離線に沿って行われる劈開ステップd)をさらに含み、前記劈開ステップは、前記分離ステップe)の直前に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学強化のステップb)の後で、かつ存在する場合には前記劈開ステップd)の前に行われる、前記ガラスシート物品又はガラスシート基板のコーティングステップc)をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記内孔は、300mm
2以下(S≦300mm
2)、好ましくは150mm
2以下(S≦150mm
2)、好ましくは120mm
2以下(S≦120mm
2)、より好ましくは80mm
2以下(S≦80mm
2)の表面積を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記内孔は、3mm
2以上(S≧3mm
2)、好ましくは5mm
2以上(S≧5mm
2)の表面積を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記内側部分内の前記少なくとも1つのセグメントは、200μm以上(W≧200μm)、好ましくは250μm以上(W≧250μm)の幅を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記内側部分内に少なくとも2つのセグメントがある、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセグメントは、前記内側部分の外周の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%に沿って、より好ましくは100%に沿って延びる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガラスシート物品は、少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.3mm、より好ましくは少なくとも0.5mmの厚さ、及び20mm未満、好ましくは10mm未満、より好ましくは2mm未満、より好ましくは1.5mm未満、より好ましくは1mm未満の厚さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によって得られるガラスシート物品。
【請求項12】
ソーダ石灰珪酸塩ガラス組成物、アルミノ珪酸塩ガラス組成物、又はアルカリアルミノ珪酸塩ガラス組成物を有する、請求項11に記載のガラスシート物品。
【請求項13】
前記ガラスシート物品は、70×10
-7/℃~100×10
-7/℃、好ましくは80×10
-7/℃~95×10
-7/℃のCTEを有する、請求項11又は12に記載のガラスシート物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学強化ガラスシート物品に内孔を作るためのレーザーを使用した方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置のためのカバーガラス、建築資材のためのグレイジング、車両のためのグレイジングなどの分野では、安全上の理由から及びそのようなグレイジングに求められる安全規則に従うために、高い強度が必要とされることが多い。したがって、グレイジングは、多くの場合、高応力抵抗のグレイジング又はカバーを得るために化学強化処理を受ける。化学強化処理では、元の原子より大きい原子直径を有するアルカリ金属イオンがガラス基板の表面に導入される。したがって、圧縮応力層がガラス基板の表面に形成され、それによりガラス基板の強度を向上させる。
【0003】
多くのガラス品目が最初に最終形状に切断され、その後、化学強化される従来の方法は、十分に慎重な取り扱いがなされない場合、多量の傷及び損傷が生じる。これらの欠点を回避するために、ガラス製品をその最終形状に切断する前に、サイズの大きいガラスを強化することなど、いくつかの方法が開発されている。
【0004】
例えば、特許欧州特許第3345877B号明細書は、繊維化と化学強化とを組み合わせる方法を記載しており、化学強化処理は、大きいサイズのガラス材料に予め施され、大きいサイズのガラス材料は、続いて、繊維化によって切断されて、化学強化ガラス物品を製造する。国際公開第2019/154782号パンフレットは、ガラス物品をガラス基板から分割するための繊維化、次いでガラス基板の化学強化、次いでコーティングのステップを含む、コーティングガラス物品を製造する方法を提案している。
【0005】
実際に、繊維化技術は、多くの場合、より大きいガラスパネルからガラス物品を作るために使用される。ガラスパネルから製造されるガラス物品の外形は、繊維化分離線によって成形される。加えて、ガラスパネルからのガラス物品の除去を円滑にするために、ガラス物品の外形の周りに繊維化破断線がさらに作られる。いくつかの分離技術が使用されている。典型的な技術は、亀裂が繊維化分離線に沿って伝播するように、制御された位置において機械装置(ダイヤモンド工具、切削砥石など)で亀裂を開始することである。繊維化分離線に沿って制御された亀裂伝播を提供するために、繊維化分離線の近くに追加的な空隙を作ることが知られている。適切な位置での最初の亀裂開始は、初期ガラスパネルからのガラス物品の分離を誘導する。この技術により、ガラス物品をその品質に影響を及ぼさずに得ることができるにも関わらず、この機械的分離は、ガラス物品が由来する初期ガラスパネルの破壊を伴い、内孔を作るために使用できない。
【0006】
別の技術は、基板を曲げることにより、シートガラス基板に応力を生じさせるものであり、材料は、その容積の半分では伸張され、それによりその半分に引張応力をもたらす一方、容積の他方の半分では圧縮され、それによりそこに圧縮応力をもたらす。しかしながら、ガラス基板の屈曲は、特に小さいサイズの内側部分の除去に適していない。
【0007】
実際に、ガラスが、欠陥線の形成後に自己分離を開始するのに十分な内部応力を有する場合でも、切断形状のジオメトリは、内部ガラス部品が解放されることを妨げ得る。これは、単純な孔又はスロットなど、ほとんどの閉鎖又は内部外形に当てはまる。孔の内側部分は、ガラスシートに存在する圧縮力に起因して適所にとどまる。亀裂は、穿設欠陥間に伝播し得るが、内部部片がマザーシートから落下することを可能にする余地は、存在しない。
【0008】
機械的分離技術は、それにも関わらず、ガラス内部を、それにいくらかの圧力をかけることによって取り外すために使用され得る。しかしながら、そのような機械的分離技術を使用するとき、内側部分及び内孔のエッジは、互いに擦れ合い、極めて鋭いエッジを要求する用途に適していない低品質のエッジを提供する。
【0009】
ガラス物品の内側部分を取り外してそのような内孔を作るために、他の技術も当技術分野で設計されており、典型的には熱圧縮に基づく。例えば、米国特許出願公開第2018134606号明細書は、少なくとも2ミリメートルの厚さを有するシートガラス要素から一部を分離する方法を開示している。方法は、分離線に沿って繊維状の損傷を作ることと、分離線に沿って主要部からその部分を引き離すように膨張及び/又は収縮を引き起こすために、ガラスシート要素を加熱及び/又は冷却することとを含む。
【0010】
しかしながら、小さいサイズの内孔を作るために、熱圧縮に基づく分離技術を使用できないことが分かっている。実際に、そのような技術は、主要部の膨張及び/又は除去される部分の収縮に基づき、これらの部分は、そのサイズを互いに異なって変化させる。しかしながら、除去される部分が小さい例では、ガラス物品と、除去される内側部分との間の温度差は、主要部を破壊しないとしても、効果的に使用するには大きすぎる。
【0011】
したがって、化学強化ガラス物品内において、高品質エッジを有する小さい内孔を作るための好適な方法を見出すことが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
実施形態の他の態様及び利点は、説明される実施形態の原理を例として示す添付図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになる。
【0013】
本発明は、厚さTを有するガラスシート物品に内孔を作る方法であって、内側部分は、分離線に沿ってガラスシート物品から分離される、方法に関する。方法は、以下の順において、少なくとも、
a)繊維化のステップであって、繊維状の欠陥が、分離線に沿って隣接して整列されたサブミクロン中空チャネルの形態でガラスシート物品の容積内に作られ、欠陥は、超短パルスレーザーのレーザーパルスによって作られ、ガラスシート物品の材料は、レーザーパルスに対して透過性であり、レーザーパルスは、ガラスシート物品の容積内でプラズマを生じさせ、プラズマは、繊維状の欠陥を引き起こし、ガラスシート物品におけるレーザーパルスの入射点は、分離線に沿ってその表面にわたって変位されて、分離線に沿って隣接して整列された繊維状の欠陥を導入する、繊維化のステップ、
b)ガラスシート物品の化学強化のステップ、
e)内側部分にアブレーションレーザーを照射して、少なくとも1つのセグメントを除去することにより、分離線に沿った隣接して整列された繊維状の欠陥においてガラスシート物品から内側部分の分離するステップであって、少なくとも1つのセグメントは、分離線に位置する2つの端点を有し、実質的に厚さTを有し、且つ150μm以上の幅W(W≧150μm)を有する、ステップ
を含む。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、厚さTを有し、且つ内孔を含むガラスシート物品がより大きいガラス基板から製造される、対応する方法に関する。方法は、以下の順において、
a1)分離線に沿って少なくとも1つのガラスシート物品を作るための繊維化のステップ、ただし、分離線は、ガラス基板を少なくとも1つのガラスシート物品に分割するためのものである、
a2)分離される内側部分を画定する分離線に沿ってガラスシート物品から内側部分を分離するための繊維化のステップであって、繊維状の欠陥が、分離線に沿って隣接して整列されたサブミクロン中空チャネルの形態でガラス基板の容積内に作られ、欠陥は、超短パルスレーザーのレーザーパルスによって作られ、ガラス基板の材料は、レーザーパルスに対して透過性であり、レーザーパルスは、ガラス基板の容積内でプラズマを生じさせ、プラズマは、繊維状の欠陥を引き起こし、ガラス基板におけるレーザーパルスの入射点は、分離線に沿ってその表面にわたって変位されて、分離線に沿って隣接して整列された繊維状の欠陥を導入する、ステップと、
b)ガラス基板の化学強化のステップと、
e)e1)ガラスシート物品をガラス基板から分離するための分離ステップと、
e2)内側部分にアブレーションレーザーを照射して、少なくとも1つのセグメントを除去することにより、分離線に沿った隣接して整列された繊維状の欠陥においてガラスシート物品から内側部分を分離するステップであって、少なくとも1つのセグメントは、分離線に位置する2つの端点を有し、実質的に厚さTを有し、且つ150μm以上の幅W(W≧150μm)を有する、ステップと
を含む。
【0015】
両方の実施形態では、方法は、好ましくは、繊維が相互結合されている分離線に沿って行われる劈開ステップd)をさらに含み、そのような劈開ステップは、分離ステップe)の直前に行われる。好ましくは、ガラスシート物品又はガラスシート基板のコーティングステップc)は、化学強化のステップb)の後で、かつ存在する場合には劈開ステップd)の前に行われる。
【0016】
ガラスシート物品に作られた内孔は、好ましくは、300mm2以下(S≦300mm2)、好ましくは150mm2以下(S≦150mm2)、好ましくは120mm2以下(S≦120mm2)、より好ましくは80mm2以下(S≦80mm2)の表面積を有する。内孔は、典型的には、3mm2以上(S≧3mm2)、好ましくは5mm2以上(S≧5mm2)の表面積を有する。
【0017】
分離ステップe1)では、アブレーションレーザーは、内側部分内において、好ましくは200μm以上(W≧200μm)、好ましくは250μm以上(W≧250μm)である少なくとも1つのセグメントを除去する。一実施形態では、内側部分内に少なくとも2つのセグメントがある。好ましい実施形態では、少なくとも1つのセグメントは、内側部分の外周の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%に沿って、より好ましくは100%に沿って延びる。
【0018】
本発明は、本発明の方法によって得られるガラスシート物品にさらに関する。ガラスシート物品は、好ましくは、少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.3mm、より好ましくは少なくとも0.5mmの厚さ、及び好ましくは20mm未満、好ましくは10mm未満、より好ましくは2mm未満、より好ましくは1.5mm未満、より好ましくは1mm未満の厚さを有する。好ましくは、ガラスシート物品は、ソーダ石灰珪酸塩ガラス組成物、アルミノ珪酸塩ガラス組成物又はアルカリアルミノ珪酸塩ガラス組成物を有する。ガラスシート物品は、典型的には、70×10-7/℃~100×10-7/℃、好ましくは80×10-7/℃~95×10-7/℃のCTEを有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1a】
図1aは、本発明の一実施形態による、内孔を含むガラスシート物品の上面図を示す。
【
図1b】
図1bは、同じガラスシート物品を示し、内孔を作るために除去される内側部分、分離線及びアブレーションセグメントが示されている。
【0020】
【
図2】本発明の別の実施形態による、内孔を含むガラスシート物品を含むガラス基板の上面図を示す。
【0021】
【
図3a-3e】異なるアブレーションセグメントを備える、除去される内側部分の本発明のいくつかの実施形態を示す。
図3aは、内側部分の外周の100%に沿って延びるアブレーションセグメントを備える、長方形を有する内側部分の上面図を示す。
図3bは、内側部分の最も長い直径に沿ったアブレーションセグメントを備える、楕円形を有する内側部分の上面図を示す。
図3cは、2つの垂直アブレーションセグメントを備える、円形を有する内側部分の上面図を示す。
図3dは、内側部分の外周の50%に沿って延びる月形のアブレーションセグメントを備える、円形を有する内側部分の上面図を示す。
図3eは、内側部分の外周の100%に沿って延びるアブレーションセグメントを備える、円形を有する内側部分の上面図を示す。
【0022】
【
図4】本発明の第1の態様による方法の概略図である。
【0023】
【
図5】本発明の第2の態様による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的は、高品質の内孔を含む化学強化ガラスシート物品を提供することである。現在利用可能な製造技術は、必要とされる品質を提供せず、且つ/又は小さい内孔を作るために好適ではない。意外にも、本発明の製造方法は、先行技術の欠点を克服することが分かった。
【0025】
本発明の目的は、ガラス物品の残りの主要部における有害な亀裂のリスクを最小限にしながら、化学強化ガラスシート物品からの内側部分の効率的で高品質の分離を可能にすることである。さらなる目的は、化学強化された、任意選択的に内孔を含むガラス物品の単純で効果的で速い製造方法を提供することである。高品質により、内孔のエッジは、鋭く、少なくとも部分的に強化され、コーティングステップが本発明の製造プロセスに追加されたときにコーティング材料なしでなければならないことが本明細書で理解される。
【0026】
繊維化、化学強化、潜在的にコーティングの同じステップでそのようなガラスシート物品がはるかにより大きいガラス基板から製造される、本発明の製造方法が使用され、時間及びコスト効率的であるのみならず、ガラスシート物品内の多数の内孔の存在にも関わらず、大きいガラスシートの剛性を維持し、それにより取り扱い及び輸送を大幅に容易にすることがさらに分かった。
【0027】
図1a及び1bに示されるとおり、本発明は、第1の実施形態では、厚さTを有するガラスシート物品(10)に内孔(1)を作る方法に関し、内側部分(2)は、分離線(3)に沿ってガラスシート物品から分離される。分離線(3)は、ガラスシート物品を、分離される内側部分と、ガラスシート物品の残りの主要部とに分割する。
【0028】
ガラスシート物品に内孔を作ることは、閉鎖ループの形態の分離線に沿った内側部分の分離を含む。内孔は、任意の形状であり得る。内孔の形状が直線を含む場合、そのような線は、好ましくは、閉鎖ループを形成するように湾曲した角度によってつなげられる。好ましくは、内孔は、楕円形、より好ましくは円形となる。ガラスシート物品は、同じ又は異なる形状及び同じ又は異なるサイズの1つ又は複数の内孔を含み得る。
【0029】
本発明は、ガラスシート物品における小さいサイズの内孔の作成に特に有用である。小さいサイズにより、典型的には300mm2未満、好ましくは150mm2未満、好ましくは120mm2未満、より好ましくは80mm2未満の表面積を有するものとして理解される。典型的には、本発明の方法は、少なくとも3mm2、好ましくは少なくとも5mm2の表面積の円形の内孔を作るために使用される。
【0030】
図4に示されるとおり、第1の実施形態では、本発明の方法は、最初に繊維化のステップ(ステップa))、続いて化学強化のステップ(ステップb)を含み、その後、任意選択的にコーティングのステップ(ステップc))及び好ましくは劈開のステップ(ステップd))並びに最後に分離のステップ(ステップe))が続き得る。
【0031】
対応して、本発明の方法は、第1のステップとして繊維化を含む。ガラスシート物品は、レーザーパルスによって繊維化され、すなわち少なくとも1つの画定された分離線に沿って微小穿孔される。そのような分離線は、閉鎖ループを描き、除去される内側部分の内側の輪郭を画定する。続いて、化学強化ステップがガラスシート物品で行われる。方法は、任意選択的に、その後、コーティングのステップを含み得る。劈開ステップは、好ましくは、内側の輪郭の分離線に沿って行われ、これにより内側の輪郭が、主要部から切り離されることなく、主要部から分離されるように繊維が相互結合されている。
【0032】
本発明の方法は、最後に分離ステップを含み、内側部分(2)は、内側部分にアブレーションレーザーを照射して、そのような内側部分の少なくとも1つのセグメント(4)を除去することにより、ガラス物品(10)から分離される。内側部分のセグメントのアブレーションは、内側部分がより小さくなるように十分に大きくなければならず、それにより内側部分を解放する。この特定のアブレーションステップにより、ガラスシート物品部内で作られた内孔のエッジは、繊維化ステップを介して得られる極めて高いエッジ品質を維持し得る。さらに、エッジは、先行して行われた化学強化ステップの利益を得る。
【0033】
繊維化のステップ(a)
レーザー繊維化は、ガラスシートからガラス物品を切り出すための技術である。繊維の形態の不可逆的な損傷は、高エネルギーレーザーパルスによってガラス基板で引き起こされ、整列された一連のそのような損傷によってガラスを分離することが可能となる。繊維は、いくつかの地点でプラズマが発火するまでエネルギー密度が高くなるまで、カー効果に起因してガラス内部で自己収束を引き起こす超短レーザーパルスによって作られる。プラズマ爆発が生じ、その間、ガラスは、このプラズマ発生場所の周りで不可逆的な損傷を受ける。そこから、さらなる放射線が発せられ、自己収束を受け、別のプラズマ爆発で終了する。この効果は、強度に依存して数回繰り返される。
【0034】
したがって、ガラスシート物品に内孔を作る方法の第1のステップa)は、繊維化のステップであり、繊維状の欠陥が、分離線に沿って隣接して整列されたサブミクロン中空チャネルの形態でガラスシート物品の容積内に作られ、欠陥は、超短パルスレーザーのレーザーパルスによって作られ、ガラスシート物品の材料は、レーザーパルスに対して透過性であり、レーザーパルスは、ガラスシート物品の容積内でプラズマを生じさせ、プラズマは、繊維状の欠陥を引き起こし、ガラスシート物品におけるレーザーパルスの入射点は、分離線に沿ってその表面にわたって変位されて、分離線に沿って隣接して整列された繊維状の欠陥を導入する。
【0035】
本発明の繊維化ステップの詳細は、2022年3月23日にAGC Incに付与された欧州特許第3345877B号明細書において、
図3~
図7を参照してステップS130下で[0037]~[0074]に詳述されており、この文献は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書において以下で要約される。
【0036】
ガラス材料の第1の主面に面内空隙領域を形成するために、ガラス材料にレーザーが照射される。2つ以上の内部空隙列が面内空隙領域から第2の主面に向かって形成される。「面内空隙領域」は、予め決められた配置構成で形成された2つ以上の表面空隙を示す。さらに、「内部空隙列」は、第1の主面から第2の主面に向かってガラス材料の内側に形成された1つの空隙又は2つ以上の空隙を有する線形領域を示す。
【0037】
各表面空隙は、第1の主面でのレーザーの照射位置に対応し、且つ例えば1~5μmの直径を有する。表面空隙の直径は、レーザー照射条件、ガラス材料のタイプなどと共に変わる。隣接する表面空隙の中心間の距離Pは、ガラス材料の組成及び厚さ、レーザー加工条件などに基づいて決定され得る。例えば、隣接する表面空隙の中心間の距離Pは、2~10μmの範囲であり得る。表面空隙の中心間の距離Pは、全ての位置で等しい必要はなく、場所に応じて変わり得る。すなわち、表面空隙は、不規則な間隔で配置され得る。内部空隙の形状、サイズ及びピッチは、特に特定されない。空隙は、例えば、Y方向から見ると、例えば円、楕円、長方形、三角形などの形状を有し得る。さらに、Y方向から見たときの空隙の最大寸法(典型的には内部空隙列の延在方向に沿った空隙の長さに対応する)は、例えば、0.1~1000μmの範囲であり得る。内部空隙列の各々は、表面空隙の対応する1つを有する。
【0038】
上記から理解されるとおり、面内空隙領域は、実際には、連続的な「線」として形成されない領域であるが、それぞれの表面空隙を接続することによって形成される仮想線形領域を表す。同様に、内部空隙列は、実際には、連続的な「線」として形成されない領域であるが、それぞれの空隙を接続することによって形成される仮想線形領域を表す。
【0039】
上述の面内空隙領域及び内部空隙列は、ガラス材料の第1の主面にレーザーを照射することによって形成され得る。より具体的には、最初に、第1の主面から第2の主面への表面空隙を含む第1の内部空隙列を形成するために、レーザーがガラス材料の第1の主面の第1の位置に当てられる。次に、第1の主面から第2の主面への第2の表面空隙を含む第2の内部空隙列を形成するために、レーザーがガラス材料の第1の主面の第2の位置に当てられるように、ガラス材料に対してレーザーを当てる位置が変更される。面内空隙領域及び対応する内部空隙列は、この操作を繰り返すことによって形成され得る。
【0040】
第2の主面の十分に近くに空隙を有する内部空隙列がレーザーを一度当てることによって形成されない場合、すなわち第2の主面に最も近い空隙が第2の主面から十分に離れた位置にある(例えば、第2の主面に最も近い空隙が、第1の主面からガラス材料の厚さの半分以下の距離を有する)場合、レーザーは、実質的に同じ位置に2回以上当てられ得る。「実質的に同じ(レーザーを当てる)位置」は、2つの位置が完全に合致する場合を示すのみならず、2つの位置が互いに僅かにずれ得る場合も示す(例えば、最大で3μmの逸脱)ことに留意されたい。例えば、第1の面内空隙領域及び対応する内部空隙列を形成するために、レーザーがガラス材料の第1の主面に平行な第1の方向に沿って2回以上当てられ(第1のパス)、続いて、レーザーが、第1のパスと実質的に同じ方向及び実質的に同じ位置に当てられ(第2のパス)、それにより第1の面内空隙領域に対応する「より深い」内部空隙列を形成する。
【0041】
内部空隙列を構成する空隙のうち、第2の主面に最も近い空隙の中心からの第2の主面の距離は、好ましくは、0~10μmの範囲であり得るが、そのような距離は、ガラス材料の厚さと共に変わり得る。
【0042】
特に、密集したミクロン中空チャネル、すなわち直径が5ミクロン未満の中空チャネルが製造される。レーザーパルスによって作られる繊維状の損傷は、好ましくは、少なくとも200ミクロン、より好ましくは少なくとも500ミクロンの長さを有する。この目的のために、好適なパルスエネルギー及びパルス持続時間が選択される。特定された繊維状の損傷の最も短い長さは、それらが部分の分離を促すために有利である。
【0043】
長い繊維状の損傷の発生にとって特に有利であるのは、超短パルスレーザーのいわゆるバーストモードでの動作である。この動作モードでは、レーザーパルスは、単一のパルスとして放出されず、パルスパケット、いわゆるバーストを形成する、間断なく放出される一連のパルスとして放出される。相応して、本発明の一実施形態は、時間的連続におけるバースト又はパルスパケットの形態のレーザーパルスの放出の形態における超短パルスレーザーの動作を検討し、そのようなバーストの各々は、好ましくは、繊維状の損傷のそれぞれの1つを発生させる。そのようなパルスパケットは、概して、従来の単発動作における単一のパルスより僅かに高いエネルギーを有する。しかしながら、バーストのパルスは、単一のパルスより著しく低いエネルギーを含む。さらに、パルスのパルスエネルギーは、典型的には、バースト内で減少する。
【0044】
本発明による好適なレーザー源は、1064ナノメートルの波長を有するネオジウムドープイットリウムアルミニウムガーネットレーザーである。レーザー源は、特に10kHz~1MHz、好ましくは30kHz~300kHz、最も好ましくは35kHz~200kHzの繰り返しレートで動作する。走査速度は、好ましくは、繰り返しレートに依存して、隣接する繊維状の損傷間の間隔が2ミクロン~10ミクロンの範囲であるように選択され得る。
【0045】
この場合、レーザーパルスの好適なパルス継続時間は、100ピコ秒未満、好ましくは100ピコ秒未満の範囲である。パルス継続時間は、30ピコ秒未満でもあり得る。最も好ましくは、レーザー源は、30~500ワットの範囲の典型的な出力で動作する。本発明の有利な一実施形態によると、繊維状の損傷を達成するために、200マイクロジュールを超えるパルスエネルギー及びさらに有利には400マイクロジュールを超える総バーストエネルギーがバーストにおいて印加される。
【0046】
超短パルスレーザーがバーストモードで動作する場合、繰り返しレートは、繰り返されるバースト放出のレートである。パルス継続時間は、レーザーが単一パルスモードで動作するか又はバーストモードで動作するかと本質的に無関係である。バースト内のパルスは、典型的には、単一パルスモードにおけるパルスと同様のパルス長を有する。
【0047】
ごく少量を除いて、本発明のために用いられる微穿孔中に材料は、分離シームから除去されない。繊維状の損傷が導入されたとき、分離される両方の部分は、依然として互いに実質的に接続されている。微穿孔が達成されると、予め決められた破断線が分離線に沿って材料に存在し、分離線に沿って、材料は、依然として分離されていないが、材料で好適な応力が誘発されると容易に分離され得る。特に、劈開ステップがこの目的のために好適である。
【0048】
繊維化ステップa)による精度の高い分離プロセスに起因して、極めて高いエッジ品質が切断エッジで達成される。ガラスエッジの品質は、ガラス要素の曲げ強さにとって非常に重要であるため、高いエッジ品質はまた、ガラス物品の主要部の曲げ強さの増大をもたらす。実際に、欠け、刻み目及び他のむらが可能な限り少ない、好ましくは存在しない可能な限り滑らかなガラスは、ガラス破損のリスクの低減に寄与する。特に、エッジは、10ミクロン未満の欠け、より好ましくは5ミクロン未満の欠け及び30ミクロン未満、好ましくは20ミクロン、より好ましくは10ミクロンのRz値の粗さによって特徴付けられる。
【0049】
化学強化のステップ - ステップ(b)
本発明のガラス物品に内孔を作る方法は、繊維化ステップa)の直後及び分離ステップe)の前で、かつ在在する場合にはコーティングステップc)及び/又は劈開ステップd)の前に化学強化のステップb)をさらに含む。
【0050】
本発明の好ましい化学強化のステップの詳細は、2022年3月23日にAGC Incに付与された欧州特許第3345877B号明細書におけるステップS120下の[0075]~[0089]に提供されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
化学強化処理の条件は、特に限定されない。化学強化は、例えば、少なくとも1つの分離線が少なくとも1つのガラス物品の輪郭線を画定するガラスシート物品を1分~72時間にわたって380℃~500℃の溶融塩で浸漬することによって行われ得る。
【0052】
溶融塩として硝酸塩が使用され得る。例えば、ガラスシート物品に含まれるリチウムイオンをより大きいアルカリ金属イオンと置換する場合、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム及び硝酸セシウムの少なくとも1つを含む溶融塩が使用され得る。さらに、ガラスシート物品に含まれるナトリウムイオンをより大きいアルカリ金属イオンと置換する場合、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム及び硝酸セシウムの少なくとも1つを含む溶融塩が使用され得る。さらに、ガラスシート物品に含まれるカリウムをより大きいアルカリ金属イオンと置換する場合、硝酸ルビジウム及び硝酸セシウムの少なくとも1つを含む溶融塩が使用され得る。さらに、1つ又は複数の種類の塩、例えば炭酸カリウムが溶融塩にさらに追加され得る。この場合、10nm~1μmの厚さを有する低密度層がガラスシート物品の表面に形成され得る。
【0053】
少なくとも1つの分離線が内側部分の輪郭線を画定するガラスシート物品に化学強化処理を行うことにより、圧縮応力層がガラスシート物品の表面及び内孔のエッジの両方に形成され得る。圧縮応力層の厚さは、置換のためのアルカリ金属イオンの浸透深さに対応する。例えば、硝酸カリウムを使用してナトリウムイオンをカリウムイオンと置換する場合、圧縮応力層の厚さは、ソーダ石灰ガラスについて8μm~27μmであり得、アルミノ珪酸塩ガラスのための圧縮応力層の厚さは、10μm~100μmである。アルミノ珪酸塩ガラスの場合、アルカリ金属イオンの浸透深さは、好ましくは、10μm以上、より好ましくは20μm以上である。
【0054】
したがって、ガラスシート物品が化学強化されているため、従来の製造方法に比べてガラスシート物品の傷のない外観及び強度の製造を確実にすることがより容易である。したがって、生産収率が増加し得る。さらに及びより具体的には、その内孔を備えたガラス物品は、分離線を通した内側部分の分離後、同様に化学的に強化されたエッジを有する。したがって、ガラス物品にとって十分な強度が得られる。したがって、化学強化の品質が内孔エッジで向上し、損失のレベル及びより具体的にはエッジ効果が低減する。
【0055】
任意選択的であるが、好ましいコーティングステップc)
本発明の好ましい実施形態では、プロセスは、化学強化ステップb)の後及び分離ステップe)の前で、かつ存在する場合にはステップd)の前にコーティングの追加的なステップc)を含む。
【0056】
実際に、本発明の1つの好ましい実施形態では、内側部分がガラスシート物品から少なくとも1つの分離線を通して分離される前に、ガラスシート物品は、コーティング処理を受ける。実際に、そのようなコーティングステップが、ガラスシート物品の残りの部分からの内側部分の分離前に行われるとき、内孔がコーティングステップ前に作られている場合、コーティングが内孔のエッジに沿って滴ることを回避しながら、ガラスシートの残りの部分を分離線までコーティングすることが可能になることが分かった。本発明の方法は、極めて効率的であり、単純で速い製造プロセスにおいて、極めて鋭く滑らかなエッジ、部分的に強化されたエッジのみならず、極めて滑らかなコーティング面も提供し得る。
【0057】
本発明の一実施形態によると、ガラスシート物品は、少なくとも1つの透明で導電性の薄層でコーティングされる。本発明による透明で導電性の薄層は、例えば、SnO2:F、SnO2:Sb又はITO(インジウムスズ酸化物)、ZnO:Al又は同様にZnO:Gaに基づく層であり得る。
【0058】
本発明の別の有利な実施形態によると、ガラスシート物品は、少なくとも1つの反射防止層でコーティングされる。本発明による反射防止層は、例えば、低屈折率を有する多孔質シリカに基づく層であり得るか、又はこれは、いくつかの層(スタック)、特に低及び高屈折率を有し、且つ低屈折率を有する層で終了する誘電性材料の交互の層のスタックからなり得る。反射を回避するために、織り目加工されたガラスシート物品も使用され得る。エッチング又はコーティング技術も使用され得る。
【0059】
別の実施形態によると、ガラスシート物品は、少なくとも1つの指紋防止層でコーティングされるか、又は指紋を減らすか若しくは防ぐように処理されている。そのような層又はそのような処理は、反対側の面に積層された透明で導電性の薄層と組み合わされ得る。そのような層は、同じ面に積層された反射防止層と組み合わされ得、指紋防止層は、スタックの外側にあり、したがって反射防止層を覆う。
【0060】
別の実施形態によると、ガラスシート物品は、デジタル又はシルクスクリーン印刷物品、エッチング物品である。
【0061】
別の実施形態によると、ガラスシート物品は、顔料/エナメル、抗菌性ガラスコーティングなどでコーティングされる。本発明によると、「コーティングされた/コーティング」という用語は、コーティング自体及び表面材料の(そのTg未満の「ガラス越しに見える」温度での)物理化学の追加又は削除、修正により、ガラスの表面の特性(機械的、化学的、光エネルギー的、生物的、電気的、審美的特性など)を修正することができる顔料又は表面処理であり得る。
【0062】
別の実施形態によると、ガラスシート物品は、非網羅的なコーティングの以下のリストの中から選択されるコーティングでコーティングされる:low-eコーティング、太陽制御コーティング、ダイヤモンド状コーティング、自己洗浄コーティング(Tio2など)、イオン注入コーティング、ラッカー塗装(ラコベルタイプ)、銀又は誘電性コーティング、導電性インク、赤外線透過インク、半透明インク、蛍光性又はアップコンバージョン材料、「メッシュ」の積層(銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ)、表面の(ナノ)レーザー組織構造、安全フィルム、両面接着剤、ゾルゲルコーティング(全てのそれらの機能、すなわち色の変更、酵素の統合などを備える)、太陽タイプコーティング及び薄いフィルム等、酸攻撃、研磨、表面の彫刻など。
【0063】
所望の用途及び/又は特性に従い、コーティングは、ガラスシート物品の一方及び/又は両方の表面に提供され得る。いくつかのコーティングの組合せも、シルクスクリーン印刷及びコーティング自体などとしてガラスシート物品の一方及び/又は他方の面に積層され得る。
【0064】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、ガラスシート物品は、面1(当業者によく知られている用語)における防幻、反射防止及び指紋防止コーティングと、面2における多色刷りシルクスクリーン印刷安全フィルムとを設けられる。
【0065】
任意選択的であるが、好ましい劈開ステップ(d)
好ましい実施形態では、本発明の方法は、劈開ステップd)をさらに含む。劈開は、分離線に沿って隣接して整列された繊維状の損傷が導入されると生じる。レーザー放射、好ましくは二酸化炭素レーザーの入射点は、隣接する繊維状の損傷間の亀裂形成を引き起こすために、局所的引張応力が分離線に沿ってガラスで引き起こされるように分離線に沿ってガラス物品の表面にわたって変位される。この劈開方法ステップは、材料に生じた引張応力を増大させるために、加熱に続く局所的冷却によっても促され得る。劈開ステップは、暫定的な分離のために使用される。これにより、分離線の少なくともその一部に沿った切断を、その部分を主要部から引き離すことなしに引き起こすように、分離線に沿って繊維状の損傷を接続する亀裂の形成を開始することが可能となる。繊維構造自体及び劈開ステップによって引き起こされた追加的な亀裂の両方は、分離線に沿って延在する材料の暫定的な損傷である。
【0066】
アブレーションステップe)
本発明の方法の最終的な必要とされるステップは、
図1bに示される、分離線(3)に沿った隣接して整列された繊維状の欠陥におけるガラスシート物品(10)からの内側部分(2)の分離である。分離は、アブレーションレーザーを照射して、内側部分(2)内の少なくとも1つのセグメント(4)を除去することによって達成される。セグメントは、分離線(3)に位置する2つの端点を有する。これは、分離線に沿った隣接して整列された繊維状の欠陥において内側部分が主要部から切り離されるように、ガラスシート物品と実質的に同じ厚さTを有し、且つ≧150μm以上の幅を有する。
【0067】
ガラスシート物品は、長手方向軸X及び垂直軸Yによって画定された平面Pに沿って延びる。厚さは、平面Pに垂直な方向に測定される。幅は、平面Pに沿って測定される。好ましい実施形態では、セグメント(4)は、200μm以上(W≧200μm)、好ましくは250μm以上(W≧250μm)の幅を有する。セグメントは、月形などでその長さに沿って同じ幅を有しないことが想定され得る。この例では、アブレーションセグメントの最小限の幅は、150μm以上であることが求められる。典型的には、セグメントは、500μm以下(W≦500μm)、好ましくは450μm以下(W≦450μm)、より好ましくは400μm以下(W≦400μm)の幅を有する。セグメントの幅がより大きくなると、分離ステップにより時間がかかることが分かる。
【0068】
本発明のプロセスのアブレーションステップの目的は、ガラスシート物品の残りの部分と内側部分との間の圧縮力に対抗するために、内側部分の容積を減少させることである。実際に、ガラスが、欠陥線の形成後に自己分離を開始するのに十分な内部応力を有する場合でも、切断形状のジオメトリは、内側部分が解放されることを妨げ得る。これは、単純な穴又はスロットなど、ほとんどの閉鎖又は内部外形に当てはまる。孔の内側部分は、ガラスシートに存在する圧縮力に起因して適所にとどまる。亀裂は、穿設欠陥間に伝播し得るが、ガラスシート物品から部片が落下することを可能にする余地は、存在しない。
【0069】
除去される内側部分の形状に依存して、速度をさらに上昇させ、内側部分の除去の容易さをさらに増大させるために、除去されるセグメントのためのいくつかの実施形態が検討され得る。例えば、内側部分にわたって2つ以上のセグメントが検討され得る。別の実施形態では、除去されるセグメントは、内側部分の外周の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも100%に沿って延びる。
【0070】
図3は、本発明のガラスシート物品の異なる実施形態を示し、内側部分は、形状並びにアブレーションセグメントの形状及びサイズが異なる。全ての図は、例示のみを目的とするとみなされるべきである。特に、
図1b及び
図3は、分離線、内側部分及びセグメントを示すために非常に概略的である。
【0071】
図3aは、湾曲した角度のある長方形を有する内側部分と、内側部分の外周の100%に沿って延びるアブレーションセグメントとを備えたガラスシート物品を示す。
図3bは、楕円形と、内側部分の最も長い直径に沿った単一のアブレーションセグメントとを有する内側部分を備えたガラスシート物品を示す。
図3cdeは、円形を有する内側部分を備えたガラスシート物品の3つの異なる実施形態を示す。
図3cは、円形の内側部分の2つの直径に沿って延びる2つのアブレーションセグメントを備えた実施形態を示す。この例では、2つのセグメントは、互いに垂直であるが、セグメント間の任意の角度が本明細書で想定され得る。
図3dは、円形の内側部分の外周の50%に沿って延びる単一のアブレーションセグメントを備えた実施形態を示し、アブレーションセグメントは、月形を有する。この例では、アブレーションセグメントは、その長さに沿って同じ幅を有しない。
図3eは、円形の内側部分の外周全体に沿って延びる単一のアブレーションセグメントを備えた実施形態を示す。
【0072】
レーザーによるガラスアブレーションは、ガラス面から材料を取り除くためにレーザーが使用されるプロセスである。レーザーは、ガラスを高温まで加熱し、それを蒸発させ、同時に少量の材料を除去する。アブレーションは、ガラスの蒸発をもたらす迅速な溶融を引き起こすのに十分な強さのレーザービームで達成される。アブレーションプロセスは、厚さTが除去されるまで層毎に行われる。典型的には、アブレーションレーザーシステムは、193nm~1070nmの範囲内の波長、1μs未満、理想的には100ns未満のパルス継続時間を有する。レーザーシステムの平均出力は、一般に、数百ワットである。レーザーは、100Hzを超える繰り返し周波数及び100μm未満のガラス面でのレーザースポット直径で動作し得る。レーザーシステムの走査速度は、典型的には、50mm/sを超える。
【0073】
ガラス基板からのガラスシート物品の製造
ガラスシート物品は、当技術分野で既知の任意の方法で製造され得る。しかしながら、ガラスシート物品は、繊維化/化学強化/分離を使用する同様の製造方法によってガラス基板から製造され、典型的には多数のガラスシート物品が大きいガラス基板から製造され得ることが好ましい。
【0074】
したがって、第2の実施形態では、本発明は、厚さTを有し、且つ内孔(1)を含む少なくとも1つのガラスシート物品(10)をガラス基板(20)から製造する方法に関する。
図5に示されるとおり、そのような製造方法は、最初に繊維化のステップ(ステップa))、続いて化学強化のステップ(ステップb)を含み、その後、任意選択的にコーティングのステップ(ステップc))及び好ましくは劈開のステップ(ステップd))並びに最後に分離のステップ(ステップe))が続き得る。ガラスシート物品に言及して上述された異なるステップの説明は、本明細書において必要な変更を加えてガラス基板に適用される。
【0075】
実際に、ガラス基板が化学強化を受ける前に内孔がガラスシート物品に作られると、これは、ガラス基板の剛性を低下させ、且つ化学強化コーティング、取り扱い及び輸送などの全ての後続の処理ステップ中の破損のリスクを著しく高めることが分かった。したがって、本発明の第2の実施形態は、これらの欠点を回避し、且つ内孔を含む高品質ガラスシート物品の製造のための効率的な方法を提供する。
【0076】
ステップa)の繊維化プロセスは、ガラスシート物品に内孔を作る方法に関連して上述されたのと同じステップである。このステップは、ガラス基板を、分離される少なくとも1つのガラスシート物品と、基板の残りの部分とに分割する意図された分離線に沿って少なくとも1つのガラスシート物品を製造するための繊維化a1)のサブステップを含む。このステップは、分離される内側部分を画定する意図された分離線(3)に沿ってガラスシート物品から内側部分(2)を分離するための繊維化a2)のサブステップも含む。プロセス効率のために、ガラス基板からガラスシート物品を分割する分離線及び内側部分の分離のための分離線が同時に実施されることが好ましい。しかしながら、サブステップa1)及びa2)は、任意の順序で別個に行われることが想定され得る。
【0077】
上述のとおり、化学強化のステップb)は、ガラス基板の表面で行われる。ガラス基板を、分離される少なくとも1つのガラスシート物品に分割する分離線及び分離される内側部分を画定する分離線があるガラス基板に化学強化処理を施すことにより、ガラスシート物品の両面及びガラスシート物品のエッジ及び内孔のエッジに圧縮応力層が形成され得る。
【0078】
第3の、任意選択的であるが、好ましいコーティングステップc)は、ガラス基板の表面で行われ得る。ガラスシート物品/内孔がコーティングステップ前に作られている場合、そのようなコーティングステップが、ガラスシート物品の残りの部分からの内側部分の分離前及びガラス基板からの異なるガラスシート物品の分離前に行われるとき、ガラスシート物品のエッジ/内孔に沿ってコーティングが滴ることを回避しながら、ガラスシート物品の、そのエッジの周り及び内孔のエッジの周りでの分離線までのコーティングが可能となることが分かった。したがって、本発明の方法は、極めて鋭く滑らかなエッジ、部分的に強化されたエッジのみならず、極めて滑らかなコーティング面を、極めて効率的であり、単純で速い製造プロセスにおいて提供することができる。
【0079】
第4の、任意選択的であるが、好ましいステップは、ガラスシート物品(10)を形成する分離線(3)の劈開ステップd1)(ステップd1))及びガラスシート物品(10)に内孔(1)を形成する分離線(3)の劈開ステップd2)を含む劈開ステップd)である。プロセス効率のために、ガラス基板(20)からガラスシート物品(10)を分割する分離線及び意図された内側部分の分離のための分離線が同時に行われることが好ましい。しかしながら、サブステップd1)及びd2)は、任意の順序で別個に行われることが想定され得る。劈開ステップd)に関して、上述の同じ技術が本明細書で適用される。
【0080】
本発明の第2の実施形態の方法の最終的なステップは、ガラス基板(20)からガラスシート物品(10)を分離するための分離ステップe1)を含む分離ステップe)である。任意の分離技術が使用され得る。分離ステップe)は、アブレーションレーザーを照射して、内側部分内の少なくとも1つのセグメントを除去することにより、分離線に沿った隣接して整列された繊維状の欠陥(3)においてガラスシート物品(10)から内側部分(2)を分離するステップe2)をさらに含み、少なくとも1つのセグメントは、分離線に位置する2つの端点を有し、実質的に厚さTを有し、且つ150μm以上の幅W(W≧150μm)を有する。ガラス基板からガラスシート物品を分離するために使用される分離技術に依存して、ステップe1)及びe2)は、同時に又は任意の順序で順に行われ得る。
【0081】
ガラス基板からのガラスシート物品の分離は、好ましくは、ガラスシート物品の外形の周りに作られた解放線の繊維化のプロセスによって達成される。解放線a3)の繊維化ステップは、別個に、又はガラス基板を、分離される少なくとも1つのガラスシート物品に分割する分離線に沿った少なくとも1つのガラスシート物品の製造のための繊維化ステップa1)中及び/若しくは分離される内側部分を画定する分離線(3)に沿ったガラスシート物品からの内側部分の分離のためのステップa2)中に行われ得る。実際に、繊維化ステップa1)、a2)及び/又はa3)は、同時に又は任意の順序で順に行われ得る。好ましい実施形態では、繊維化ステップa1)及びステップa2)は、単一のステップで同時に行われ、繊維化ステップa3)、その後、化学強化のステップが続く。代替的に、解放線a3)の繊維化ステップは、ガラス物品からの内側部分の分離ステップe1)の直前又は直後に行われ得る。
【0082】
第2の実施形態の提案された方法により、内孔を備える、化学強化された、好ましくはコーティングされたガラスシート物品を単純な方法から製造することができ、化学強化及び任意選択的なコーティングプロセスは、より大きいガラス基板に連続的に直接施され得る。ガラスシート物品は、ガラス物品の必要とされるサイズ及び形状に応じて決められた分離線に従い、大きいサイズのガラスから分離される。内側部分は、アブレーション分離ステップe2)に従い、内孔の必要とされるサイズ及び形状に応じて決められた分離線に従って分離される。したがって、ガラス物品の強化、好ましいコーティング及び分離がより良好に制御される。この方法によるコーティング積層は、- 使用される場合、大きいサイズのガラスパネルで行われる場合よりはるかに容易でもある。したがって、生産収率が増加し、製造コストが低減される。この方法により、端から端までのコーティング及び塗装積層が容易に製造可能である。さらに、本発明の方法は、コーティング材料及びガラス基板の消費を実質的に節約するための手段を提供する。
【0083】
さらに、本発明の方法は、コールドベントされ得る化学強化コーティングガラス物品を得るための手段を提供する。本発明による方法は、コーティングされた化学強化ガラスを製造するための従来の方法より費用がかからず、より効率的である。名称が示すとおり、コールドベントは、工場の自然温度で行われる。プロセスは、ガラスを、ガラスを所望のフレーム形状に機械的に曲げるフレームに入れることによって始まる。フレーム設置プロセスでは、ガラスは、フレームに直接糊付けされるか又はねじで取り付けられる。フレームは、したがって、車両又は建物への設置の準備ができている。ガラスが薄いほど、機械的観点からそれを曲げることが容易となる。形状は、しかしながら、ねじれた設計を有し得る。この方法により、ガラス物品の端面がイオン交換により強くなるため、コールドベント動作が強化される。
【0084】
コールドベントは、例えば、ガラスコンソール、ダッシュボード、ドアのためのトリム要素、ピラー、フロントガラス、サイドウィンドウ、リアウィンドウ、サンルーフ、分離壁など、車両のインテリア及びエクステリアグレイジング部のためのガラス物品を曲げるために認識されている。本発明によると、強化及び好ましくはコーティング後、ガラス物品の表面のカリウムのレベルは、ガラス物品のエッジ及び内孔に存在するカリウムのレベルより高い。ガラス物品の端面におけるカリウムのレベルは、化学強化中に増加する。したがって、ガラス物品の端面は、外部の負荷/応力に対してより耐性がある。したがって、張力で圧力を加えられ得るガラス物品の面がより良好に強化され(特にコールドベントにおいて)、圧縮は、中央の張力を制限するために圧縮の必要がない場所で制限される。
【0085】
ガラス特性
好ましい実施形態では、ガラスシート物品及びガラス基板は、70×10-7/℃~100×10-7/℃(70×10-7/℃≦CET≦100×10-7/℃)、好ましくは80×10-7/℃~95×10-7/℃(80×10-7/℃≦CET≦95×10-7/℃)に含まれる熱膨張係数CETを有する。ガラスの熱膨張係数は、対応するガラス要素の寸法が温度変化の結果としての膨張又は収縮によってどのように変化するかを示すパラメータである。熱膨張係数は、線形熱膨張a=(1/L)(ΔL/ΔT)の係数を指し、ΔTは、温度差を指し、ΔLは、元の長さLに対する線形寸法に沿った変化を指す。
【0086】
典型的には、ガラスシート物品/ガラス基板の厚さは、少なくとも0.1mm(T≧0.1mm)、好ましくは少なくとも0.3mm(T≧0.3mm)、より好ましくは少なくとも0.5mm(T≧0.5mm)である。典型的には、ガラスシート物品/ガラス基板の厚さは、20.0mm以下(T≦20.0mm)、好ましくは10.0mm以下(T≦10.0mm)、より好ましくは2mm以下(T≦2.0mm)、より好ましくは1.5mm以下(T≦1.5mm)、より好ましくは1mm以下(T≦1mm)である。シートガラス要素からの一部のレーザーを使用した分離のための本発明の方法は、前述の厚さを有するシート状要素に特に好適である。実際に、ガラスシート物品が薄いほど、プロセスが迅速であることが分かった。ガラス物品が薄いほど、より小さい内孔が実現され得ることがさらに分かった。
【0087】
ガラスシート物品
本発明は、上述の方法によって得られるガラス物品にも関する。安全上の理由から高強度が必要とされることが多く、そのようなグレイジングのために必要とされる安全規則に従うことが必要とされることが多い電子装置のためのカバーガラス、建築資材のためのグレイジング、車両のためのグレイジングなどの分野でガラス物品が使用され得る。
【0088】
特に、本発明は、車両のインテリアのための装飾パネルを提案する。本発明による装飾的パネルは、より良好な審美性を提供するか、又は車両のインテリアのいくつかの部分を固定若しくは保護するために車両のインテリアの任意の部分に取り付けられる。そのような装飾的パネルは、ドア、ドアハンドル外形、ダッシュボード又はセンターコンソールの一部(センターコンソールは、ダッシュボードに向かって延び得る助手席間のコンソールを意味する)、シートの背もたれ(ヘッドレストの背もたれを含む)、ルーフ、アームレストなどを(完全に又は部分的に)覆うために取り付けられ得る。車両は、任意の種類の車両、例えば(限定しないが)乗用車、バン、ローリー、モーターバイク、バス、トラム、列車、ドローン、航空機、ヘリコプターなどを指す。
【実施例】
【0089】
それぞれ2つの内孔を含む45個のガラス物品が以下の方法で作られた。長さ1000mm、幅1000mm及び厚さ1.3mmを有するアルミノ珪酸塩ガラスで作られたガラス基板が用意された。内孔は、20mm
2の表面積を有する。ガラス基板は、組成全体の重量パーセンテージで表される以下の組成を有する。
【0090】
繊維化ステップa)
ガラスシート物品内の内孔及びガラス基板内のガラスシート物品を単一の繊維化ステップによって作った。垂直方向及び水平方向に2つ以上の面内空隙領域を形成するために、ガラス基板に対してレーザーが主面側の方向に照射された。ピコ秒のオーダーの短パルスレーザーを放出することができるレーザー、Coherent(ドイツ)によって製造されたHyper Rapid NXが使用された。レーザーの1つのバーストの周波数は、80kHzであり、パルス幅は、9ピコ秒であった。レーザー照射は、各面内空隙領域で一度のみ達成された(したがって1パスレーザー照射)。各面内空隙領域では、表面空隙の中心間の中心から中心までの距離は、5μmに設定された。ガラス基板におけるガラスシート物品の分離線及びガラスシート物品における内孔の分離線は、同時に作られた。
【0091】
化学強化ステップb)
化学強化は、450℃の溶融塩に2時間ガラス基板を浸漬することによって行われた。化学強化処理の結果は、ガラス基板における予めの分割がないことを示した。
【0092】
コーティングステップc)
洗浄後、2つの層のシルクスクリーンプリンティングがガラス基板の一方の側に行われた。インクは、黒色有機であった。硬化条件は、予硬化として100℃で15分間、最終硬化として150℃で20分間であった。ガラス基板の他方の側では、反射防止コーティングが反射防止機能層のデジタルスパッタリング処理によって真空チャンバ内に追加され、耐指紋性有機材料が蒸発によって反射防止機能層の頂部に積層された。
【0093】
追加的なステップ
化学強化及びコーティング面処理後、分離ステップe1)のための追加的な解放線が、上述と同じレーザー及び条件で作られた。これらの追加的な解放線は、化学強化ガラスの中央張力によって自己劈開された。
【0094】
劈開ステップd)
ガラス基板におけるガラスシート物品の分離線及びガラスシート物品における内孔の分離線は、Coherentによって製造されたDiamond J5であるCO2レーザーによって相互結合された。CO2レーザーは、反射防止及び耐指紋性コーティング側から照射された。平均出力は、25Wであり、推定焦点直径は、5mmであった。
【0095】
分離ステップe)
ガラスシート物品は、最初に、上記のステップで作られた解放線の機械的破断によってガラス基板から分離された。
【0096】
ガラスシート物品における内孔の分離のために、内側部分のセグメントは、アブレーションレーザーによって除去された。内側部分をガラスシート物品から落下させ、内孔を作るための空間をもたらすために、ナノ秒パルスグリーンレーザーで内側部分の外周の100%の周りの150μmの厚さのセグメントを照射した。レーザー平均出力は、50Wであり、その推定焦点直径は、30umであった。
【国際調査報告】