特表-13146467IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月3日
【発行日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】動力装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 48/11 20120101AFI20151113BHJP
   F16H 48/34 20120101ALI20151113BHJP
【FI】
   F16H48/11
   F16H48/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】62
【出願番号】特願2014-507752(P2014-507752)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年3月19日
(11)【特許番号】特許第5809350号(P5809350)
(45)【特許公報発行日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-70991(P2012-70991)
(32)【優先日】2012年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-170972(P2012-170972)
(32)【優先日】2012年8月1日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105119
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 孝治
(72)【発明者】
【氏名】本多 健司
(72)【発明者】
【氏名】芝端 康二
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FA36
3J027FA37
3J027FB01
3J027HA01
3J027HA03
3J027HB02
3J027HB04
3J027HB16
3J027HC02
3J027HC04
3J027HC12
3J027HC14
(57)【要約】
装置の小型化を図ることができる動力装置を提供する。動力装置1は、互いに一体に設けられた第1および第2ピニオンギヤP1、P2で構成された2連ピニオンギヤ14と、第1ピニオンギヤP1に噛み合うピニオンギヤPと、2連ピニオンギヤ14およびピニオンギヤPを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材13と、ピニオンギヤPに噛み合う、回転自在のサンギヤSと、第1ピニオンギヤP1に噛み合うとともに、2つの回転軸の一方SRRに連結された、回転自在の第1リングギヤR1と、第2ピニオンギヤP2に噛み合うとともに、2つの回転軸の他方SRLに連結された、回転自在の第2リングギヤR2と、キャリア部材13に連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置11と、サンギヤSに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置12を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在のサンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記キャリア部材に連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項2】
互いに差回転が可能な第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する差動装置と、
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置と、をさらに備え、
前記第1回転要素は、前記第1リングギヤと前記2つの回転軸の前記一方との間の回転エネルギの伝達経路に連結され、前記第2回転要素は、前記第2リングギヤと前記2つの回転軸の前記他方との間の回転エネルギの伝達経路上に設けられるとともに、前記第3回転要素は、前記エネルギ出力装置に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の動力装置。
【請求項3】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持するとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第1および第2ピニオンギヤの一方に噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項4】
前記第1および第2ピニオンギヤの他方に噛み合う、回転自在の第2リングギヤをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の動力装置。
【請求項5】
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、
前記第2リングギヤは、前記エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする、請求項4に記載の動力装置。
【請求項6】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合う第3ピニオンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う第4ピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤ、前記第3および第4ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記第3ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第4ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項7】
前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤは、互いに同じ径および同じ歯数を有することを特徴とする、請求項6に記載の動力装置。
【請求項8】
前記第1リングギヤと前記第2リングギヤは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする、請求項7に記載の動力装置。
【請求項9】
前記第1サンギヤと前記第2サンギヤは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする、請求項8に記載の動力装置。
【請求項10】
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、
前記キャリア部材は、前記エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする、請求項6ないし9のいずれかに記載の動力装置。
【請求項11】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項12】
前記第1および第2エネルギ入出力装置が回転電機であることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の動力装置。
【請求項13】
前記2つの回転軸は、輸送機関を推進するための2つの被駆動部に連結されていることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれかに記載の動力装置。
【請求項14】
前記2つの被駆動部の一方は、前記輸送機関の進行方向に対して、左右方向の一方の側に配置され、前記2つの被駆動部の他方は、前記左右方向の他方の側に配置されていることを特徴とする、請求項13に記載の動力装置。
【請求項15】
前記輸送機関は車両であって、前記被駆動部は前記車両の車輪であることを特徴とする、請求項13または14に記載の動力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の動力装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この従来の動力装置は、車両の左右の出力軸を駆動するためのものであり、動力源としての第1回転電機および第2回転電機と、第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤを一体に有する2連ピニオンギヤと、2連ピニオンギヤを回転自在に支持するキャリアと、第1ピニオンギヤに噛み合う第1サンギヤと、第2ピニオンギヤに噛み合う第2サンギヤおよびリングギヤを備えている。これらのリングギヤ、キャリア、第1および第2サンギヤは、共線図において、それらの回転数が互いに一つの直線上に位置する共線関係にあり、左側からこの順で並んでいる。
【0003】
また、この従来の動力装置では、第1および第2回転電機の間のトルク差を増大させて左右の駆動輪に伝達するために、リングギヤ、キャリア、第1および第2サンギヤから成る4つの回転要素と、左右の出力軸、第1および第2回転電機との間の連結関係が、次のように設定されている。すなわち、これらの4つの回転要素のうち、共線図において両外側にそれぞれ位置する2つの回転要素、すなわちリングギヤおよび第2サンギヤが、第1および第2回転電機にそれぞれ連結されている。また、共線図において内側に位置する2つの回転要素、すなわちキャリアおよび第1サンギヤが、左右の出力軸にそれぞれ連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−237019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の動力装置では、第1および第2回転電機の間のトルク差を増大させて左右の駆動輪に伝達することを目的としており、この目的を達成する上で、第1サンギヤを右出力軸に連結することは不可欠である。このため、第1サンギヤには、右出力軸を駆動するために、比較的大きなトルクが伝達される。これに対して、図19に示すように第1サンギヤの噛合い半径rsが比較的小さいことと、第1サンギヤから右出力軸に伝達されるトルクが、この噛合い半径rsと第1サンギヤに作用する接線方向の噛合い反力fsとの積で表されることから、第1サンギヤには、大きなトルクが右出力軸に伝達されるのに伴って非常に大きな噛合い反力fsが作用する。このため、そのような噛合い反力fsに耐えられるように、第1サンギヤの歯幅を大きな値に設定しなければならず、それにより動力装置が大型化してしまう。
【0006】
また、図19に示すように、2連ピニオンギヤの第1ピニオンギヤを支持する軸受け(以下「ピニオン軸受け」という)には、第1ピニオンギヤの回転に伴って遠心力gpが作用する。さらに、第1ピニオンギヤには、第1サンギヤから右出力軸への大きなトルクの伝達に伴って、第1サンギヤからの比較的大きな法線方向の噛合い反力psが作用し、この噛合い反力psは、ピニオン軸受けに対し、上記の遠心力gpと同じ方向に作用する。なお、図19には、便宜上、遠心力gpおよび噛合い反力psを、同図の右下に位置する第1ピニオンギヤについてのみ示している。このように、ピニオン軸受けには、第1ピニオンギヤの回転に伴う遠心力gpと、第1サンギヤからの大きな噛合い反力psとを合わせた非常に大きな合力が作用するので、ピニオン軸受けは、その十分な耐久性を確保するために、大型化せざるを得ない。したがって、このことによっても動力装置が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、装置の小型化を図ることができる動力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、互いに差回転が可能な2つの回転軸(実施形態における(以下、本項において同じ)左右の出力軸SRL、SRR、SFL、SFR)を駆動するための動力装置1、41であって、互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤP1および第2ピニオンギヤP2で構成された2連ピニオンギヤ14と、第1ピニオンギヤP1に噛み合うピニオンギヤPと、2連ピニオンギヤ14およびピニオンギヤPを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材13と、ピニオンギヤPに噛み合う、回転自在のサンギヤSと、第1ピニオンギヤP1に噛み合うとともに、2つの回転軸の一方(右出力軸SRR、SFR)に連結された、回転自在の第1リングギヤR1と、第2ピニオンギヤP2に噛み合うとともに、2つの回転軸の他方(左出力軸SRL、SFL)に連結された、回転自在の第2リングギヤR2と、キャリア部材13に連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置(第1回転電機11)と、サンギヤSに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置(第2回転電機12)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、2連ピニオンギヤおよびピニオンギヤが、キャリア部材に回転自在に支持されており、2連ピニオンギヤの第1ピニオンギヤがピニオンギヤに噛み合っている。また、ピニオンギヤはサンギヤに噛み合っており、2連ピニオンギヤの第1および第2ピニオンギヤは、第1および第2リングギヤにそれぞれ噛み合っている。以上から、サンギヤ、第1リングギヤ、第2リングギヤおよびキャリア部材の回転数は、いわゆる共線関係にあり、共線図において一つの直線上に並ぶ。また、この共線図において、キャリア部材およびサンギヤは、両外側にそれぞれ位置するとともに、第1および第2リングギヤは内側に位置する。
【0010】
また、キャリア部材およびサンギヤは、第1および第2エネルギ入出力装置にそれぞれ連結されるとともに、第1および第2リングギヤは、2つの回転軸の一方(以下「一方の回転軸」という)および他方(以下「他方の回転軸」という)にそれぞれ連結されている。以上により、第1および第2エネルギ入出力装置から出力された回転エネルギを、キャリア部材、サンギヤ、第1および第2リングギヤなどを介して2つの回転軸に伝達し、両回転軸を適切に駆動することができる。この場合、上述したようにキャリア部材、サンギヤ、第1および第2リングギヤの回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2エネルギ入出力装置における回転エネルギの入出力を制御することによって、2つの回転軸に分配される回転エネルギ(トルク)を適切に制御することができる。
【0011】
さらに、前述した従来の動力装置と異なり、一方および他方の回転軸に、サンギヤではなく、第1および第2リングギヤがそれぞれ連結されている。図20に示すように、第1リングギヤの噛合い半径rrは比較的大きいことと、第1リングギヤから一方の回転軸に伝達されるトルクが、この噛合い半径rrと第1リングギヤに作用する噛合い反力FRとの積で表されることから、前述した従来の第1サンギヤと比較して、一方の回転軸へのトルクの伝達に伴って第1リングギヤに作用する噛合い反力FRは小さくなる。このことは、第2リングギヤについても、その噛合い半径が比較的大きいことから同様に当てはまる。したがって、第1および第2リングギヤの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、それにより動力装置の小型化を図ることができる。
【0012】
また、前述したように、共線図においてキャリア部材およびサンギヤが第1および第2リングギヤの両外側にそれぞれ位置することから明らかなように、第1および第2エネルギ入出力装置からキャリア部材およびサンギヤにそれぞれ伝達されたトルクは、増大した状態で2つの回転軸に伝達される。このため、キャリア部材を小型化できるとともに、サンギヤの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0013】
さらに、図20に示すように、第1ピニオンギヤを支持する軸受け(以下「第1ピニオン軸受け」という)には、第1ピニオンギヤの回転に伴って遠心力GPが作用する。また、第1ピニオンギヤには、第1リングギヤから一方の回転軸へのトルクの伝達に伴って、第1リングギヤからの噛合い反力PRが作用し、この噛合い反力PRは、第1ピニオン軸受けに対し、上記の遠心力GPと反対の方向に作用する。その結果、第1ピニオン軸受けに対し、遠心力GPと噛合い反力PRが互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来のピニオン軸受けと比較して、第1ピニオン軸受けの小型化を図ることができる。なお、図20には、便宜上、遠心力GPおよび噛合い反力PRを、同図の右側に位置する第1ピニオンギヤについてのみ示している。
【0014】
このことは、第2ピニオンギヤを支持する軸受け(以下「第2ピニオン軸受け」という)についても、同様に当てはまる。すなわち、第2ピニオン軸受けには、第2ピニオンギヤの回転に伴って遠心力が作用する。また、第2ピニオンギヤには、第2リングギヤから他方の回転軸へのトルクの伝達に伴って、第2リングギヤからの噛合い反力が作用する。これらの遠心力と噛合い反力は、第2ピニオン軸受けに対し、互いに相殺しあうように作用するので、第2ピニオン軸受けの小型化を図ることができる。以上の第1および第2ピニオン軸受けの小型化によっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0015】
なお、図20は、第1ピニオンギヤおよびピニオンギヤがそれぞれ3つの場合の例であるが、これに限らないことはいうまでもない。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の動力装置41において、互いに差回転が可能な第1回転要素(サンギヤSD)、第2回転要素(キャリアCD)および第3回転要素(リングギヤRD)を有する差動装置Dと、回転エネルギを出力可能に構成され、第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置(エンジン3)と、をさらに備え、第1回転要素は、第1リングギヤR1と2つの回転軸の一方(右出力軸SFR)との間の回転エネルギの伝達経路(フランジ17)に連結され、第2回転要素は、第2リングギヤR2と2つの回転軸の他方(左出力軸SFL)との間の回転エネルギの伝達経路上に設けられるとともに、第3回転要素は、エネルギ出力装置に連結されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、差動装置の第1〜第3回転要素が、互いに差回転が可能に構成されている。また、第1回転要素は、第1リングギヤと2つの回転軸の一方との間の回転エネルギの伝達経路に連結され、第2回転要素は、第2リングギヤと2つの回転軸の他方との間の回転エネルギの伝達経路上に設けられるとともに、第3回転要素は、エネルギ出力装置に連結されている。さらに、このエネルギ出力装置は、第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられている。以上により、2つの回転軸に、第1および第2エネルギ入出力装置からの回転エネルギに加え、エネルギ出力装置からの回転エネルギが伝達されるので、第1および第2エネルギ入出力装置に必要とされる回転エネルギを低減できる。これにより、両装置の小型化を図ることができる。
【0018】
前記目的を達成するため、請求項3に係る発明は、互いに差回転が可能な2つの回転軸(実施形態における(以下、本項において同じ)左右の出力軸SRL、SRR)を駆動するための動力装置51、61であって、互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤP1Aおよび第2ピニオンギヤP2Aで構成された2連ピニオンギヤ102と、第1ピニオンギヤP1Aに噛み合うピニオンギヤPAと、2連ピニオンギヤ102およびピニオンギヤPAを回転自在に支持するとともに、2つの回転軸の一方(右出力軸SRR)に連結された、回転自在のキャリア部材101と、ピニオンギヤPAに噛み合う、回転自在の第1サンギヤS1Aと、第2ピニオンギヤP2Aに噛み合う、回転自在の第2サンギヤS2Aと、第1および第2ピニオンギヤP1A、P2Aの一方に噛み合うとともに、2つの回転軸の他方(左出力軸SRL)に連結された、回転自在の第1リングギヤR1Aと、第1サンギヤS1Aに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置(第1回転電機11)と、第2サンギヤS2Aに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置(第2回転電機12)と、を備えることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、2連ピニオンギヤおよびピニオンギヤが、キャリア部材に回転自在に支持されており、2連ピニオンギヤの第1ピニオンギヤがピニオンギヤに、ピニオンギヤが第1サンギヤに、第2ピニオンギヤが第2サンギヤに、それぞれ噛み合っている。また、2連ピニオンギヤの第1および第2ピニオンギヤに噛み合う第1リングギヤが設けられている。以上から、第1サンギヤ、第1リングギヤ、キャリア部材および第2サンギヤの回転数は、いわゆる共線関係にあり、共線図において、一つの直線上にこの順で並び、第1および第2サンギヤが、第1リングギヤおよびキャリア部材の両外側にそれぞれ位置する。
【0020】
また、第1および第2サンギヤは、第1および第2エネルギ入出力装置にそれぞれ連結されるとともに、キャリア部材および第1リングギヤは、一方の回転軸(2つの回転軸の一方)および他方の回転軸(2つの回転軸の他方)にそれぞれ連結されている。以上により、第1および第2エネルギ入出力装置から出力された回転エネルギを、第1サンギヤ、第2サンギヤ、第1リングギヤおよびキャリア部材などを介して2つの回転軸に伝達し、両回転軸を適切に駆動することができる。この場合、上述したように第1サンギヤ、第1リングギヤ、キャリア部材および第2サンギヤの回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2エネルギ入出力装置における回転エネルギの入出力を制御することによって、2つの回転軸に分配される回転エネルギ(トルク)を適切に制御することができる。
【0021】
さらに、前述した従来の動力装置と異なり、他方の回転軸に、サンギヤではなく、第1リングギヤが連結されている。請求項1の説明から明らかなように、前述した従来の第1サンギヤと比較して、他方の回転軸へのトルクの伝達に伴って第1リングギヤに作用する噛合い反力は小さくなる。したがって、第1リングギヤの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、それにより動力装置の小型化を図ることができる。
【0022】
また、前述したように、共線図において第1および第2サンギヤが第1リングギヤおよびキャリア部材の両外側にそれぞれ位置することから明らかなように、第1および第2エネルギ入出力装置から第1および第2サンギヤにそれぞれ伝達されたトルクは、増大した状態で2つの回転軸に伝達される。このため、第1および第2サンギヤの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0023】
さらに、第1および第2ピニオンギヤの一方が第1リングギヤに噛み合っていることから、請求項1に係る発明と同様、この第1および第2ピニオンギヤの一方について、回転に伴う遠心力と噛合い反力が互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来のピニオン軸受けと比較して、第1および第2ピニオンギヤの一方を支持する軸受けの小型化を図ることができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0024】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の動力装置61において、第1および第2ピニオンギヤP1A、P2Aの他方に噛み合う、回転自在の第2リングギヤR2Aをさらに備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、第1および第2ピニオンギヤに噛み合う第2リングギヤをさらに備えている。請求項3で述べた構成から明らかなように、第1サンギヤ、第1および第2リングギヤの一方、第1および第2リングギヤの他方、キャリア部材、および第2サンギヤの回転数は、いわゆる共線関係にあり、共線図において一つの直線上に並ぶ。このように、回転数が互いに共線関係にある5つの回転要素を構成することができる。
【0026】
また、請求項1の場合と同様、第1および第2ピニオンギヤの双方について、回転に伴う遠心力と噛合い反力が互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来のピニオン軸受けと比較して、第1および第2ピニオンギヤを支持する軸受けの小型化を図ることができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0027】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の動力装置61において、回転エネルギを出力可能に構成され、第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、第2リングギヤR2Aは、エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、請求項4の説明で述べた、回転数が互いに共線関係にある5つの回転要素、すなわち第1サンギヤ、第1および第2リングギヤの一方、第1および第2リングギヤの他方、キャリア部材、および第2サンギヤのうち、第1リングギヤが他方の回転軸に、第2リングギヤがエネルギ出力装置に、それぞれ機械的に連結されている。これにより、2つの回転軸に、第1および第2エネルギ入出力装置からの回転エネルギに加え、エネルギ出力装置からの回転エネルギが伝達されるので、第1および第2エネルギ入出力装置に必要とされる回転エネルギを低減でき、ひいては、両装置の小型化を図ることができる。
【0029】
前記目的を達成するため、請求項6に係る発明は、互いに差回転が可能な2つの回転軸(実施形態における(以下、本項において同じ)左右の出力軸SRL、SRR)を駆動するための動力装置71であって、互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤP1C、P1cおよび第2ピニオンギヤP2C、P2cで構成された2連ピニオンギヤ106、301と、第1ピニオンギヤP1C、P1cに噛み合う第3ピニオンギヤP3C、P3cと、第2ピニオンギヤP2C、P2cに噛み合う第4ピニオンギヤP4C、P4cと、2連ピニオンギヤ106、301、第3および第4ピニオンギヤP3C、P3c、P4C、P4cを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材105、302と、第3ピニオンギヤP3C、P3cに噛み合う、回転自在の第1サンギヤS1C、S1cと、第1ピニオンギヤP1C、P1cに噛み合うとともに、2つの回転軸の一方(右出力軸SRR)に連結された、回転自在の第1リングギヤR1C、R1cと、第2ピニオンギヤP2C、P2cに噛み合う、回転自在の第2サンギヤS2C、S2cと、第4ピニオンギヤP4C、P4cに噛み合うとともに、2つの回転軸の他方(左出力軸SRL)に連結された、回転自在の第2リングギヤR2C、R2cと、第1サンギヤS1C、S1cに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置(第1回転電機11)と、第2サンギヤS2C、S2cに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置(第2回転電機12)と、を備えることを特徴とする。
【0030】
この構成によれば、2連ピニオンギヤ、第3および第4ピニオンギヤが、キャリア部材に回転自在に支持されており、2連ピニオンギヤの第1および第2ピニオンギヤが、第3および第4ピニオンギヤにそれぞれ噛み合っている。また、第3ピニオンギヤが第1サンギヤに、第1ピニオンギヤが第1リングギヤに、それぞれ噛み合うとともに、第2ピニオンギヤが第2サンギヤに、第4ピニオンギヤが第2リングギヤに、それぞれ噛み合っている。以上から、第1サンギヤ、第1リングギヤ、キャリア部材、第2リングギヤおよび第2サンギヤの回転数は、いわゆる共線関係にあり、共線図において、一つの直線上にこの順で並び、第1および第2サンギヤが、第1および第2リングギヤの両外側にそれぞれ位置する。
【0031】
また、第1および第2サンギヤは、第1および第2エネルギ入出力装置にそれぞれ連結されるとともに、第1および第2リングギヤは、一方の回転軸(2つの回転軸の一方)および他方の回転軸(2つの回転軸の他方)にそれぞれ連結されている。以上により、第1および第2エネルギ入出力装置から出力された回転エネルギを、第1および第2サンギヤ、ならびに、第1および第2リングギヤなどを介して2つの回転軸に伝達し、両回転軸を適切に駆動することができる。この場合、上述したように第1サンギヤ、第1リングギヤ、キャリア部材、第2リングギヤおよび第2サンギヤの回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2エネルギ入出力装置における回転エネルギの入出力を制御することによって、2つの回転軸に分配される回転エネルギ(トルク)を適切に制御することができる。
【0032】
さらに、前述した従来の動力装置と異なり、一方および他方の回転軸に、サンギヤではなく、第1および第2リングギヤがそれぞれ連結されているので、請求項1に係る発明と同様、第1および第2リングギヤの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、それにより動力装置の小型化を図ることができる。
【0033】
また、前述したように、共線図において第1および第2サンギヤが第1および第2リングギヤの両外側にそれぞれ位置することから明らかなように、第1および第2エネルギ入出力装置から第1および第2サンギヤにそれぞれ伝達されたトルクは、増大した状態で2つの回転軸に伝達される。このため、第1および第2サンギヤの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0034】
さらに、第1および第4ピニオンギヤが第1および第2リングギヤにそれぞれ噛み合っているので、請求項1に係る発明と同様、第1および第4ピニオンギヤを支持する軸受けの小型化を図ることができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0035】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の動力装置71において、第1ピニオンギヤP1C、P1cと第2ピニオンギヤP2C、P2cは、互いに同じ径および同じ歯数を有することを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、第1ピニオンギヤと第2ピニオンギヤは、それらの径同士および歯数同士がそれぞれ同じになっている。これにより、例えば、第1および第2ピニオンギヤの双方を平歯車で構成する場合には両ギヤを同じカッタで、はすば歯車で構成する場合には両ギヤをねじれ方向のみが異なる同じ諸元のカッタで、それぞれ加工することができるので、その生産性に優れている。また、この場合、第1および第2ピニオンギヤを、軸線方向に比較的長い単一のピニオンギヤで構成することができる。それにより、生産性をさらに向上させることができる。
【0037】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の動力装置71において、第1リングギヤR1C、R1cと第2リングギヤR2C、R2cは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする。
【0038】
この構成によれば、第1および第2ピニオンギヤの歯数同士と、第1および第2リングギヤの歯数同士が、それぞれ同じになっている。これにより、後述する式(7)から明らかなように、共線図(後述する図16参照)におけるキャリア部材から第1リングギヤまでの距離と、キャリア部材から第2リングギヤまでの距離が互いに等しくなり、キャリア部材から第1および第2リングギヤに分配されるトルクの分配比を1:1にすることができる。
【0039】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の動力装置71において、第1サンギヤS1C、S1cと第2サンギヤS2C、S2cは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする。
【0040】
この構成によれば、第1および第2リングギヤの歯数同士と、第1および第2サンギヤの歯数同士と、第1および第2ピニオンギヤの歯数同士と、第3および第4ピニオンギヤの歯数同士は、それぞれ同じになっている。これにより、後述する式(5)および(6)から明らかなように、図16に示す第1および第2レバー比αB、βBを互いに同じ値に容易に設定することができる。この第1レバー比αBは、第2サンギヤに伝達されたトルクに対する、第2サンギヤを介して第1および第2リングギヤに伝達されるトルクの比を表しており、第2レバー比βBは、第1サンギヤに伝達されたトルクに対する、第1サンギヤを介して第1および第2リングギヤに伝達されるトルクの比を表している。したがって、第1および第2エネルギ入出力装置から2つの回転軸に分配される回転エネルギを、より適切に制御することができる。
【0041】
請求項10に係る発明は、請求項6ないし9のいずれかに記載の動力装置71において、回転エネルギを出力可能に構成され、第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、キャリア部材105は、エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする。
【0042】
この構成によれば、回転数が互いに共線関係にある第1サンギヤ、第1リングギヤ、キャリア部材、第2リングギヤおよび第2サンギヤのうちのキャリア部材が、エネルギ出力装置に連結されている。これにより、2つの回転軸に、第1および第2エネルギ入出力装置からの回転エネルギに加え、エネルギ出力装置からの回転エネルギが伝達されるので、第1および第2エネルギ入出力装置に必要とされる回転エネルギを低減でき、ひいては、両装置の小型化を図ることができる。
【0043】
前記目的を達成するため、請求項11に係る発明は、互いに差回転が可能な2つの回転軸(実施形態における(以下、本項において同じ)左右の出力軸SRL、SRR)を駆動するための動力装置81であって、互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤP1Dおよび第2ピニオンギヤP2Dで構成された2連ピニオンギヤ202と、第1ピニオンギヤP1Dに噛み合うピニオンギヤPDと、2連ピニオンギヤ202およびピニオンギヤPDを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材201と、ピニオンギヤPDに噛み合う、回転自在の第1サンギヤS1Dと、第1ピニオンギヤP1Dに噛み合うとともに、2つの回転軸の一方(右出力軸SRR)に連結された、回転自在の第1リングギヤR1Dと、第2ピニオンギヤP2Dに噛み合う、回転自在の第2サンギヤS2Dと、第2ピニオンギヤP2Dに噛み合うとともに、2つの回転軸の他方(左出力軸SRL)に連結された、回転自在の第2リングギヤR2Dと、第1サンギヤS1Dに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置(第1回転電機11)と、第2サンギヤS2Dに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置(第2回転電機12)と、を備えることを特徴とする。
【0044】
この構成によれば、2連ピニオンギヤおよびピニオンギヤが、キャリア部材に回転自在に支持されており、2連ピニオンギヤの第1ピニオンギヤがピニオンギヤに、ピニオンギヤが第1サンギヤに、第2ピニオンギヤが第2サンギヤに、それぞれ噛み合っている。また、第1および第2ピニオンギヤが、第1および第2リングギヤにそれぞれ噛み合っている。以上から、第1サンギヤ、第1および第2リングギヤの一方、第1および第2リングギヤの他方、キャリア部材および第2サンギヤの回転数は、いわゆる共線関係にあり、共線図において、一つの直線上にこの順で並び、第1および第2サンギヤは、第1および第2リングギヤの両外側にそれぞれ位置する。
【0045】
また、第1および第2サンギヤは、第1および第2エネルギ入出力装置にそれぞれ連結されるとともに、第1および第2リングギヤは、一方の回転軸(2つの回転軸の一方)および他方の回転軸(2つの回転軸の他方)にそれぞれ連結されている。以上により、第1および第2エネルギ入出力装置から出力された回転エネルギを、第1および第2サンギヤ、ならびに第1および第2リングギヤなどを介して2つの回転軸に伝達し、両回転軸を適切に駆動することができる。この場合、上述したように第1サンギヤ、一方のリングギヤ、他方のリングギヤ、キャリア部材および第2サンギヤの回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2エネルギ入出力装置における回転エネルギの入出力を制御することによって、2つの回転軸に分配される回転エネルギ(トルク)を適切に制御することができる。
【0046】
さらに、前述した従来の動力装置と異なり、一方および他方の回転軸に、サンギヤではなく、第1および第2リングギヤがそれぞれ連結されているので、請求項1に係る発明と同様、第1および第2リングギヤの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、それにより動力装置の小型化を図ることができる。
【0047】
また、前述したように、共線図において第1および第2サンギヤが第1および第2リングギヤの両外側にそれぞれ位置することから明らかなように、第1および第2エネルギ入出力装置から第1および第2サンギヤにそれぞれ伝達されたトルクは、増大した状態で2つの回転軸に伝達される。このため、第1および第2サンギヤの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0048】
さらに、第1および第2ピニオンギヤが第1および第2リングギヤにそれぞれ噛み合っているので、請求項1に係る発明と同様、第1および第2ピニオンギヤを支持する軸受けの小型化を図ることができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【0049】
請求項12に係る発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の動力装置1、41、51、61、71、81において、第1および第2エネルギ入出力装置が回転電機であることを特徴とする。
【0050】
この構成によれば、第1および第2のエネルギ入出力装置として一般的な回転電機を用いるので、格別の装置を用いることなく、動力装置を容易かつより安価に構成することができる。
【0051】
請求項13に係る発明は、請求項1ないし12のいずれかに記載の動力装置1、41、51、61、71、81において、2つの回転軸は、輸送機関(車両VFR、車両VAW)を推進するための2つの被駆動部(左右の後輪WRL、WRR、左右の前輪WFL、WFR)に連結されていることを特徴とする。
【0052】
この構成によれば、2つの回転軸が輸送機関を推進するための2つの被駆動部に連結されているので、請求項1、3、6、11に係る発明の作用・効果から明らかなように、2つの被駆動部に分配される回転エネルギ(トルク)を適切に制御することができ、ひいては、輸送機関の移動性を高めることができる。
【0053】
請求項14に係る発明は、請求項13に記載の動力装置1、41、51、61、71、81において、2つの被駆動部の一方は、輸送機関の進行方向に対して、左右方向の一方の側に配置され、2つの被駆動部の他方は、左右方向の他方の側に配置されていることを特徴とする。
【0054】
この構成によれば、輸送機関の進行方向に対して、2つの被駆動部の一方が左右方向の一方の側に、他方が左右方向の他方の側に、それぞれ配置されているので、前述した請求項1の作用・効果から明らかなように、輸送機関の旋回性を高めることができる。
【0055】
請求項15に係る発明は、請求項13または14に記載の動力装置1、41、51、61、71、81において、輸送機関は車両であって、被駆動部は車両の車輪であることを特徴とする。
【0056】
この構成によれば、車両について、請求項13または14に係る発明による効果を有効に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の第1実施形態による動力装置を、これを適用した車両の左右の後輪とともに概略的に示す図である。
図2図1に示す動力装置のECUなどを示すブロック図である。
図3図1に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、車両の直進時で且つ減速走行以外の走行状態について示す共線図である。
図4図1に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、車両の直進時で且つ減速走行中について示す共線図である。
図5図1に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、右旋回用の第3ヨーモーメント増大制御中について示す共線図である。
図6図1に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、右旋回用の第3ヨーモーメント低減制御中について示す共線図である。
図7】本発明の第2実施形態による動力装置を、これを適用した車両の左右の前輪とともに概略的に示す図である。
図8図7に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、右旋回用の第3ヨーモーメント増大制御について示す共線図である。
図9】第2実施形態の第1変形例による動力装置を適用したFR式の車両を概略的に示す図である。
図10】第2実施形態の第2変形例による動力装置を適用した全輪駆動式の車両を概略的に示す図である。
図11】本発明の第3実施形態による動力装置を、これを適用した車両の左右の後輪とともに示す概略的に示す図である。
図12図11に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、右旋回用の第3ヨーモーメント増大制御について示す共線図である。
図13】本発明の第4実施形態による動力装置を、これを適用した車両の左右の後輪とともに示す概略的に示す図である。
図14図13に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、右旋回用の第3ヨーモーメント増大制御について示す共線図である。
図15】本発明の第5実施形態による動力装置を、これを適用した車両の左右の後輪とともに示す概略的に示す図である。
図16図15に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、右旋回用の第3ヨーモーメント増大制御について示す共線図である。
図17】本発明の第6実施形態による動力装置を、これを適用した車両の左右の後輪とともに示す概略的に示す図である。
図18図17に示す動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を、右旋回用の第3ヨーモーメント増大制御について示す共線図である。
図19】従来技術の課題を説明するための図である。
図20】本発明による効果を説明するための図である。
図21】第5実施形態による歯車装置の変形例を概略的に示す図である。
図22図21のA−A線に沿う切断部を示す端面図である。
図23図21のB−B線に沿う切断部を示す端面図である。
図24図21のC−C線に沿う切断部を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1に示す第1実施形態による動力装置1は、四輪の車両(図示せず)の左右の出力軸SRL、SRRを駆動するためのものであり、車両の後部に搭載されている。これらの左右の出力軸SRL、SRRは、互いに同軸状に配置されるとともに、左右の後輪WRL、WRRにそれぞれ連結されている。また、車両の前部には、動力源としての内燃機関(以下「エンジン」という。図示せず)が搭載されている。このエンジンは、ガソリンエンジンであり、車両の左右の前輪に変速機(いずれも図示せず)などを介して連結されており、左右の前輪を駆動する。
【0059】
動力装置1は、歯車装置GS、動力源としての第1回転電機11および第2回転電機12を備えている。歯車装置GSは、第1および第2回転電機11、12と左右の出力軸SRL、SRRとの間でトルクを伝達するためのものであり、キャリア部材13、2連ピニオンギヤ14、サンギヤS、ピニオンギヤP、第1リングギヤR1および第2リングギヤR2などで構成されている。これらのキャリア部材13、サンギヤS、第1および第2リングギヤR1、R2は、左右の出力軸SRL、SRRと同軸状に配置されている。
【0060】
キャリア部材13は、ドーナツ板状の第1基部13aおよび第2基部13bと、両基部13a、13bと一体の4つの第1支軸13cおよび第2支軸13d(いずれも2つのみ図示)で構成されている。また、キャリア部材13は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されており、その内側には、後述する第1回転軸15および右出力軸SRRが相対的に回転自在に配置されている。
【0061】
第1および第2基部13a、13bは、互いに同軸状に配置されており、左右の出力軸SRL、SRRの軸線方向に互いに対向している。第1および第2支軸13c、13dは、第1および第2基部13a、13bの間に設けられており、左右の出力軸SRL、SRRの軸線方向に延びている。また、第1支軸13cは第1基部13aの径方向の外端部に、第2支軸13dは内端部に、それぞれ位置している。さらに、4つの第1支軸13cは、第1基部13aの周方向に互いに等間隔に位置しており、このことは、4つの第2支軸13dについても同様である。
【0062】
前記2連ピニオンギヤ14は、互いに一体に形成された第1ピニオンギヤP1および第2ピニオンギヤP2で構成されている。2連ピニオンギヤ14の数は、上述した第1支軸13cと同じ値4であり(2つのみ図示)、各2連ピニオンギヤ14は、第1支軸13cに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されている。なお、2連ピニオンギヤ14および第1支軸13cの数は値4に限らず、任意である。第1および第2ピニオンギヤP1、P2は、第1支軸13cの左部および右部にそれぞれ位置しており、互いに異なるピッチ円直径を有している。
【0063】
また、前記サンギヤS、ピニオンギヤPおよび2連ピニオンギヤ14の第1ピニオンギヤP1は、径方向に、内側からこの順で並んでおり、サンギヤSは、中空の第1回転軸15に一体に取り付けられている。この第1回転軸15は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されており、その内側には右出力軸SRRが、外側にはキャリア部材13が、それぞれ相対的に回転自在に配置されている。ピニオンギヤPの数は、キャリア部材13の第2支軸13dと同じ値4に設定されており(2つのみ図示)、各ピニオンギヤPは、第2支軸13dに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されている。また、ピニオンギヤPは、サンギヤSおよび第1ピニオンギヤP1の双方に噛み合っている。なお、ピニオンギヤPおよび第2支軸13dの数は値4に限らず、任意である。
【0064】
前記第1リングギヤR1は、いわゆる内歯歯車で構成され、サンギヤSの外周に設けられており、第1ピニオンギヤP1に噛み合っている。また、第1リングギヤR1は、中空の第2回転軸16とフランジ17を介して右出力軸SRRに取り付けられており、右出力軸SRRと一体に回転自在である。第2回転軸16の内側には、キャリア部材13および第1回転軸15が、相対的に回転自在に配置されている。
【0065】
前記第2リングギヤR2は、第1リングギヤR1と同様の内歯歯車で構成されており、2連ピニオンギヤ14の第2ピニオンギヤP2に噛み合っている。また、第2リングギヤR2は、中空の第3回転軸18とフランジ19を介して左出力軸SRLに取り付けられており、左出力軸SRLと一体に回転自在である。第3回転軸18の内側には、第2回転軸16、キャリア部材13、第1回転軸15および右出力軸SRRが、相対的に回転自在に配置されている。
【0066】
前記第1回転電機11は、ACモータであり、複数の鉄芯やコイルなどで構成された第1ステータ11aと、複数の磁石などで構成された第1ロータ11bを有している。第1回転電機11は、左右の出力軸SRL、SRRと同軸状に配置されており、歯車装置GSと右後輪WRRの間に位置している。この第1ステータ11aは、不動のケースCAに固定されている。第1ロータ11bは、第1ステータ11aに対向するように配置されるとともに、キャリア部材13に一体に取り付けられており、キャリア部材13と一体に回転自在である。第1回転電機11では、第1ステータ11aに電力が供給されると、供給された電力は、動力に変換され、第1ロータ11bに出力される。また、第1ロータ11bに動力が入力されると、この動力は、電力に変換され(発電)、第1ステータ11aに出力される。
【0067】
また、第1ステータ11aは、第1パワードライブユニット(以下「第1PDU」という)21を介して、充電・放電可能なバッテリ23に電気的に接続されており、バッテリ23との間で電気エネルギを授受可能である。この第1PDU21は、インバータなどの電気回路で構成されている。図2に示すように、第1PDU21には、後述するECU2が電気的に接続されている。このECU2は、第1PDU21を制御することによって、第1ステータ11aに供給する電力と、第1ステータ11aで発電する電力と、第1ロータ11bの回転数を制御する。
【0068】
前記第2回転電機12は、第1回転電機11と同様、ACモータであり、第2ステータ12aおよび第2ロータ12bを有している。また、第2回転電機12は、左右の出力軸SRL、SRRと同軸状に配置されており、第1回転電機11と右後輪WRRの間に位置している。これらの第2ステータ12aおよび第2ロータ12bはそれぞれ、第1ステータ11aおよび第1ロータ11bと同様に構成されている。また、第2ロータ12bは、前述した第1回転軸15に一体に取り付けられており、サンギヤSと一体に回転自在である。さらに、第2回転電機12は、第1回転電機11と同様、第2ステータ12aに供給された電力を動力に変換し、第2ロータ12bに出力可能であり、第2ロータ12bに入力された動力を電力に変換し、第2ステータ12aに出力可能である。
【0069】
また、第2ステータ12aは、第2パワードライブユニット(以下「第2PDU」という)22を介してバッテリ23に電気的に接続されており、バッテリ23との間で電気エネルギを授受可能である。この第2PDU22は、第1PDU21と同様、インバータなどの電気回路で構成されており、第2PDU22には、ECU2が電気的に接続されている。ECU2は、第2PDU22を制御することによって、第2ステータ12aに供給する電力と、第2ステータ12aで発電する電力と、第2ロータ12bの回転数を制御する。
【0070】
以下、第1ステータ11a(第2ステータ12a)に供給された電力を動力に変換し、第1ロータ11b(第2ロータ12b)から出力することを適宜「力行」という。また、第1ロータ11b(第2ロータ12b)に入力された動力を用いて第1ステータ11a(第2ステータ12a)で発電し、当該動力を電力に変換することを適宜「回生」という。
【0071】
以上のように、動力装置1では、キャリア部材13および第1ロータ11bは、互いに直結されているので、両者13、11bの回転数は互いに等しい。また、第1リングギヤR1は、第2回転軸16およびフランジ17を介して右出力軸SRRに連結されているので、第1リングギヤR1の回転数および右出力軸SRRの回転数は、互いに等しい。さらに、第2リングギヤR2は、第3回転軸18およびフランジ19を介して左出力軸SRLに連結されているので、第2リングギヤR2の回転数および左出力軸SRLの回転数は、互いに等しい。また、サンギヤSおよび第2ロータ12bは、第1回転軸15を介して互いに連結されているので、サンギヤSの回転数および第2ロータ12bの回転数は、互いに等しい。
【0072】
さらに、歯車装置GSが前述したように構成されているため、キャリア部材13の回転数、第1リングギヤR1の回転数、第2リングギヤR2の回転数、およびサンギヤSの回転数は、共線図において、互いに同じ一つの直線上に位置する共線関係にあり、キャリア部材13およびサンギヤSは、第1および第2リングギヤR1、R2の両外側にそれぞれ位置する。以上から、動力装置1における各種の回転要素の間の回転数の関係は、例えば図3に示す共線図のように表される。同図および後述する他の共線図では、値0を示す横線から縦線上の白丸までの距離が、各回転要素の回転数に相当する。図3から明らかなように、左右の出力軸SRL、SRRは、互いに差回転が可能である。
【0073】
また、図3におけるαおよびβはそれぞれ、第1レバー比および第2レバー比であり、次式(1)および(2)で表される。
α={ZR1(ZP1×ZR2−ZS×ZP2)}
/{ZS(ZP2×ZR1−ZP1×ZR2)} ……(1)
β=(ZP1×ZR2)/(ZP2×ZR1−ZP1×ZR2)
……(2)
ここで、ZR1は第1リングギヤR1の歯数であり、ZP1は第1ピニオンギヤP1の歯数、ZR2は第2リングギヤR2の歯数である。また、ZSはサンギヤSの歯数であり、ZP2は第2ピニオンギヤP2の歯数である。
【0074】
本実施形態では、第1リングギヤR1の歯数ZR1、第1ピニオンギヤP1の歯数ZP1、第2リングギヤR2の歯数ZR2、サンギヤSの歯数ZSおよび第2ピニオンギヤP2の歯数ZP2(以下「各ギヤの歯数」という)は、次のように設定されている。すなわち、左右の後輪WRL、WRRの差回転が可能な範囲内で第1および第2ロータ11b、12bの一方が逆転しないことを条件として、第1および第2レバー比α、βが比較的大きな値(例えば値2.5)になるように、各ギヤの歯数は設定されている。また、式(1)および(2)から明らかなように、ZP1×ZR2−ZS×ZP2>0と、ZP2×ZR1−ZP1×ZR2>0が成立するように、各ギヤの歯数は設定されている。
【0075】
なお、図3などに示す共線図において、キャリア部材13およびサンギヤSは、歯車装置GSの構成上、必然的に、第1および第2リングギヤR1、R2の両外側にそれぞれ位置する。一方、第1および第2リングギヤR1、R2は、必ずしも図3に示すように右側および左側にそれぞれ位置するのではなく、各ギヤの歯数の設定によっては、逆に左側および右側にそれぞれ位置する。
【0076】
また、図2に示すように、ECU2には、操舵角センサ31から車両のハンドル(図示せず)の操舵角θを表す検出信号が、車速センサ32から車両の車速VPを表す検出信号が、アクセル開度センサ33から車両のアクセルペダル(図示せず)の操作量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、入力される。ECU2にはさらに、電流電圧センサ34から、バッテリ23に入出力される電流・電圧値を表す検出信号が入力される。ECU2は、電流電圧センサ34からの検出信号に基づいて、バッテリ23の充電状態を算出する。
【0077】
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどから成るマイクロコンピュータで構成されている。ECU2は、上述した各種のセンサ31〜34からの検出信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムに従って、第1および第2回転電機11、12を制御する。これにより、動力装置1の各種の動作が行われる。以下、車両の直進時および左右の旋回時における動力装置1の動作について説明する。
【0078】
・直進時
車両の直進時で、かつ定速走行中または加速走行中には、第1および第2回転電機11、12の双方で力行を行うとともに、バッテリ23から第1および第2ステータ11a、12aに供給される電力を制御する。図3は、この場合における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示している。同図において、TM1およびTM2はそれぞれ、第1および第2回転電機11、12での力行に伴って第1および第2ロータ11b、12bに発生した出力トルク(以下、それぞれ「第1モータ出力トルク」「第2モータ出力トルク」という)である。また、RLM1およびRRM1はそれぞれ、第1回転電機11での力行に伴って左出力軸SRLおよび右出力軸SRRに作用する反力トルクであり、RLM2およびRRM2はそれぞれ、第2回転電機12での力行に伴って左出力軸SRLおよび右出力軸SRRに作用する反力トルクである。
【0079】
この場合、左出力軸SRLに伝達されるトルク(以下「左出力軸伝達トルク」という)は、RLM2−RLM1(RLM2>RLM1)で表されるともに、右出力軸SRRに伝達されるトルク(以下「右出力軸伝達トルク」という)は、RRM1−RRM2(RRM1>RRM2)で表され、左右の出力軸SRL、SRRが、左右の後輪WRL、WRRとともに正転方向に駆動される。また、左右の出力軸伝達トルクが互いに同じ要求トルクになるように、第1および第2ステータ11a、12aに供給する電力が制御される。この要求トルクは、検出されたアクセル開度APに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。また、上述した第1および第2回転電機11、12の力行を実行するための実行条件は、例えば、第1および第2回転電機11、12によるエンジンのアシスト中(以下「モータアシスト中」という)、または、エンジンを用いずに第1および第2回転電機11、12のみによる車両の駆動中(以下「EV走行中」という)であり、かつ、算出されたバッテリ23の充電状態が下限値よりも大きいという条件である。この場合、バッテリ23の充電状態が下限値よりも大きいということは、バッテリ23が放電可能であることを表している。
【0080】
また、車両の直進時で、かつ減速走行中には、第1および第2回転電機11、12の双方で回生を行い、回生した電力をバッテリ23に充電するとともに、当該回生電力を制御する。図4は、この場合における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示している。同図において、TG1およびTG2はそれぞれ、第1および第2回転電機11、12の回生に伴って第1および第2ロータ11b、12bに発生した制動トルク(以下、それぞれ「第1モータ制動トルク」「第2モータ制動トルク」という)である。また、RLG1およびRRG1はそれぞれ、第1回転電機11の回生に伴って左出力軸SRLおよび右出力軸SRRに作用する反力トルクであり、RLG2およびRRG2はそれぞれ、第2回転電機12の回生に伴って左出力軸SRLおよび右出力軸SRRに作用する反力トルクである。
【0081】
この場合、左出力軸伝達トルクは、−RLG2+RLG1(RLG2>RLG1)で表されるとともに、右出力軸伝達トルクは、−RRG1+RRG2(RRG1>RRG2)で表され、左右の出力軸SRL、SRRに制動トルクが作用し、車両が減速される。また、左右の出力軸SRL、SRRに作用する制動トルクが互いに同じになるように、第1および第2回転電機11、12で回生する電力が制御される。さらに、上述した第1および第2回転電機11、12の回生を実行するための実行条件は、例えば、バッテリ23の充電状態が上限値よりも小さいという条件である。この場合、バッテリ23の充電状態が上限値よりも小さいということは、バッテリ23が充電可能であることを表している。
【0082】
・右旋回時
車両の右旋回時において、車両を右旋回させる右回りのヨーモーメントを増大させるときには、右旋回用のヨーモーメント増大制御が実行され、このヨーモーメント増大制御として、第1〜第4ヨーモーメント増大制御が用意されている。以下、これらの第1〜第4ヨーモーメント増大制御について順に説明する。まず、第1ヨーモーメント増大制御中には、第1および第2回転電機11、12の双方で力行を行うとともに、第2モータ出力トルクTM2が第1モータ出力トルクTM1よりも大きくなるように、第1および第2ステータ11a、12aに供給される電力を制御する。
【0083】
これにより、前述した図3に示すトルクの釣り合い関係から明らかなように、左出力軸伝達トルクが右出力軸伝達トルクよりも大きくなる結果、車両の右回りのヨーモーメントが増大する。この場合、第1および第2ステータ11a、12aに供給する電力は、検出された操舵角θや車速VP、アクセル開度APに応じて制御される。なお、第1ヨーモーメント増大制御を実行するための実行条件は、例えば、モータアシスト中(第1および第2回転電機11、12によるエンジンのアシスト中)またはEV走行中(第1および第2回転電機11、12のみでの車両の駆動中)であり、かつバッテリ23の充電状態が下限値よりも大きいという条件である。
【0084】
第2ヨーモーメント増大制御中には、第1および第2回転電機11、12の双方で回生を行うとともに、両回転電機11、12で回生した電力をバッテリ23に充電する。この場合、第1モータ制動トルクTG1が第2モータ制動トルクTG2よりも大きくなるように、第1および第2回転電機11、12で回生される電力を制御する。
【0085】
これにより、前述した図4に示すトルクの釣り合い関係から明らかなように、右出力軸SRRに作用する制動トルクが左出力軸SRLのそれよりも大きくなる結果、車両の右回りのヨーモーメントが増大する。この場合、第1および第2回転電機11、12で回生する電力は、操舵角θや車速VPなどに応じて制御される。なお、第2ヨーモーメント増大制御を実行するための実行条件は、例えば、車両の減速走行中であり、かつバッテリ23の充電状態が上限値よりも小さいという条件である。
【0086】
第3ヨーモーメント増大制御中には、第1回転電機11で回生を行うとともに、第2回転電機12で力行を行う。図5は、この場合における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示している。図3を用いて前述したように、図5におけるTM2は、第2モータ出力トルクであり、RLM2およびRRM2はそれぞれ、第2回転電機12での力行に伴って左出力軸SRLおよび右出力軸SRRに作用する反力トルクである。また、図4を用いて前述したように、図5におけるTG1は、第1モータ制動トルクであり、RLG1およびRRG1はそれぞれ、第1回転電機11の回生に伴って左出力軸SRLおよび右出力軸SRRに作用する反力トルクである。
【0087】
この場合、左出力軸伝達トルクは、RLG1+RLM2で表されるとともに、右出力軸伝達トルクは、−(RRG1+RRM2)で表される。このように、左出力軸伝達トルクが増大するとともに、右出力軸SRRに制動トルクが作用する結果、車両の右回りのヨーモーメントが増大する。この場合にも、操舵角θや車速VP、アクセル開度APに応じて、第1回転電機11で回生する電力および第2ステータ12aに供給する電力が制御される。
【0088】
なお、第3ヨーモーメント増大制御を実行するための実行条件は、例えば、次の第1増大条件または第2増大条件である。
第1増大条件:エンジンによる車両の駆動中であり、かつバッテリ23の充電状態が上限値以上であること。
第2増大条件:エンジンによる車両の駆動中であり、充電状態が上限値よりも小さく、かつ第1回転電機11に要求される制動トルクが所定の第1上限トルク以上であること。
【0089】
この場合、第1増大条件の成立時であり、バッテリ23の充電状態が上限値以上のときには、バッテリ23を充電できないので、第1回転電機11で回生した電力がすべて、バッテリ23に充電されずに、第2ステータ12aに供給される。一方、第2増大条件の成立時には、第1回転電機11で回生した電力の一部がバッテリ23に充電されるとともに、残りが第2ステータ12aに供給される。この場合、要求される制動トルクに対する第1モータ制動トルクTG1の不足分を補うように、第2モータ出力トルクTM2が制御される。
【0090】
第4ヨーモーメント増大制御中には、第2回転電機12に対してゼロトルク制御を実行するとともに、第1回転電機11で回生を行い、第1回転電機11で回生した電力をバッテリ23に充電する。このゼロトルク制御は、第2回転電機12で回生が行われることによる引きずり損失が発生するのを回避するためのものである。この場合、第1モータ制動トルクTG1のみが発生するので、図5から明らかなように、左出力軸伝達トルクはRLG1で表されるとともに、右出力軸伝達トルクは−RRG1で表される。このように、左出力軸伝達トルクが増大するとともに、右出力軸SRRに制動トルクが作用する結果、車両の右回りのヨーモーメントが増大する。この場合にも、操舵角θや車速VP、アクセル開度APに応じて、第1回転電機11で回生する電力が制御される。なお、第4ヨーモーメント増大制御を実行するための実行条件は、例えば、エンジンによる車両の駆動中であり、バッテリ23の充電状態が上限値よりも小さく、かつ第1回転電機11に要求される制動トルクが前記第1上限トルクよりも小さいという条件である。
【0091】
また、車両の右旋回時において、車両を右旋回させる右回りのヨーモーメントを低減するときには、右旋回用のヨーモーメント低減制御が実行され、このヨーモーメント低減制御として、第1〜第4ヨーモーメント低減制御が用意されている。以下、これらの第1〜第4ヨーモーメント低減制御について順に説明する。まず、第1ヨーモーメント低減制御中には、第1および第2回転電機11、12の双方で力行を行うとともに、第1モータ出力トルクTM1が第2モータ出力トルクTM2よりも大きくなるように、第1および第2ステータ11a、12aに供給される電力を制御する。
【0092】
これにより、前述した図3に示すトルクの釣り合い関係から明らかなように、右出力軸伝達トルクが左出力軸伝達トルクよりも大きくなる結果、車両の右回りのヨーモーメントが低減される。この場合、第1および第2ステータ11a、12aに供給する電力は、操舵角θや車速VP、アクセル開度APに応じて制御される。なお、第1ヨーモーメント低減制御を実行するための実行条件は、例えば、モータアシスト中またはEV走行中であり、かつバッテリ23の充電状態が下限値よりも大きいという条件である。
【0093】
第2ヨーモーメント低減制御中には、第1および第2回転電機11、12の双方で回生を行うとともに、両回転電機11、12で回生した電力をバッテリ23に充電する。この場合、第2モータ制動トルクTG2が第1モータ制動トルクTG1よりも大きくなるように、第1および第2回転電機11、12で回生される電力を制御する。
【0094】
これにより、前述した図4に示すトルクの釣り合い関係から明らかなように、左出力軸SRLに作用する制動トルクが右出力軸SRRに作用する制動トルクよりも大きくなる結果、車両の右回りのヨーモーメントが低減される。この場合、第1および第2回転電機11、12で回生する電力は、操舵角θや車速VPに応じて制御される。なお、第2ヨーモーメント低減制御を実行するための実行条件は、例えば、車両の減速走行中であり、かつバッテリ23の充電状態が上限値よりも小さいという条件である。
【0095】
第3ヨーモーメント低減制御中には、第1回転電機11で力行を行うとともに、第2回転電機12で回生を行う。図6は、この場合における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示している。図3を用いて前述したように、図6におけるTM1は、第1モータ出力トルクであり、RLM1およびRRM1はそれぞれ、第1回転電機11での力行に伴って左出力軸SRLおよび右出力軸SRRに作用する反力トルクである。また、図4を用いて前述したように、図6におけるTG2は、第2モータ制動トルクであり、RLG2およびRRG2はそれぞれ、第2回転電機12の回生に伴って左出力軸SRLおよび右出力軸SRRに作用する反力トルクである。
【0096】
この場合、左出力軸伝達トルクは、−(RLM1+RLG2)で表されるとともに、右出力軸伝達トルクは、RRM1+RRG2で表される。このように、左出力軸SRLに制動トルクが作用するとともに、右出力軸伝達トルクが増大する結果、車両の右回りのヨーモーメントが低減される。この場合にも、操舵角θや車速VPに応じて、第1ステータ11aに供給する電力および第2回転電機12で回生する電力が制御される。
【0097】
なお、第3ヨーモーメント低減制御を実行するための実行条件は、例えば、次の第1低減条件または第2低減条件である。
第1低減条件:車両の減速走行中であり、かつバッテリ23の充電状態が上限値以上であること。
第2低減条件:車両の減速走行中であり、充電状態が上限値よりも小さく、かつ第2回転電機12に要求される制動トルクが所定の第2上限トルク以上であること。
【0098】
この場合、第1低減条件の成立時で、バッテリ23の充電状態が上限値以上のときには、バッテリ23を充電できないので、第2回転電機12で回生した電力がすべて、バッテリ23に充電されずに、第1ステータ11aに供給される。一方、第2低減条件の成立時には、第2回転電機12で回生した電力の一部がバッテリ23に充電されるとともに、残りが第1ステータ11aに供給される。この場合、要求される制動トルクに対する第2モータ制動トルクTG2の不足分を補うように、第1モータ出力トルクTM1が制御される。
【0099】
第4ヨーモーメント低減制御中には、第1回転電機11に対してゼロトルク制御を実行するとともに、第2回転電機12で回生を行い、第2回転電機12で回生した電力をバッテリ23に充電する。この場合、第2モータ制動トルクTG2のみが発生するので、図6から明らかなように、左出力軸伝達トルクは−RLG2で表されるとともに、右出力軸伝達トルクはRRG2で表される。このように、左出力軸SRLに制動トルクが作用するとともに、右出力軸伝達トルクが増大する結果、車両の右回りのヨーモーメントが低減される。この場合にも、操舵角θや車速VPに応じて、第2回転電機12で回生する電力が制御される。なお、第4ヨーモーメント低減制御を実行するための実行条件は、例えば、車両の減速走行中であり、バッテリ23の充電状態が上限値よりも小さく、かつ第2回転電機12に要求される制動トルクが前記第2上限トルクよりも小さいという条件である。
【0100】
なお、車両の左旋回時、車両を左旋回させる左回りのヨーモーメントを増大させるときには、左旋回用のヨーモーメント増大制御が実行され、左回りのヨーモーメントを低減するときには、左旋回用のヨーモーメント低減制御が実行される。これらの左旋回用のヨーモーメント増大制御およびヨーモーメント低減制御はそれぞれ、前述した右旋回用のヨーモーメント増大制御およびヨーモーメント低減制御とほぼ同様にして実行されるので、その詳細な説明については省略する。
【0101】
また、本実施形態における各種の要素と、本発明における各種の要素との対応関係は次のとおりである。すなわち、本実施形態における右出力軸SRRおよび左出力軸SRLが、本発明における2つの回転軸の一方および他方にそれぞれ相当するとともに、本実施形態における第1および第2回転電機11、12が、本発明における第1および第2エネルギ入出力装置にそれぞれ相当する。また、本実施形態における左右の後輪WRL、WRRが、本発明における2つの被駆動部に相当する。
【0102】
以上のように、第1実施形態によれば、2連ピニオンギヤ14およびピニオンギヤPが、キャリア部材13に回転自在に支持されており、2連ピニオンギヤ14の第1ピニオンギヤP1がピニオンギヤPに噛み合っている。また、ピニオンギヤPはサンギヤSに噛み合っており、2連ピニオンギヤ14の第1および第2ピニオンギヤP1、P2は、第1および第2リングギヤR1、R2にそれぞれ噛み合っている。
【0103】
さらに、これらのキャリア部材13およびサンギヤSは、第1および第2回転電機11、12にそれぞれ連結されるとともに、第1および第2リングギヤR1、R2は、右出力軸SRRおよび左出力軸SRLにそれぞれ連結されている。以上により、第1および第2モータ出力トルクTM1、TM2ならびに第1および第2モータ制動トルクTG1、TG2を、キャリア部材13、サンギヤS、第1および第2リングギヤR1、R2などを介して左右の出力軸SRL、SRRに伝達し、両出力軸SRL、SRRを適切に駆動(制動)することができる。この場合、図3などを用いて説明したようにキャリア部材13、サンギヤS、第1および第2リングギヤR1、R2の回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2回転電機11、12を制御することによって、左右の出力軸SRL、SRRに分配されるトルクを適切に制御することができ、ひいては、車両の旋回性を含めた走行性を高めることができる。
【0104】
さらに、前述した従来の動力装置と異なり、右出力軸SRRおよび左出力軸SRLに、第1および第2リングギヤR1、R2がそれぞれ連結されているので、両ギヤR1、R2の歯幅を比較的小さな値に設定することができ、それにより動力装置1の小型化を図ることができる。また、共線図(図3など)においてキャリア部材13およびサンギヤSが第1および第2リングギヤR1、R2の両外側にそれぞれ位置することから、第1および第2回転電機11、12からキャリア部材13およびサンギヤSにそれぞれ伝達されたトルクは、増大した状態で左右の出力軸SRL、SRRに伝達される。このため、キャリア部材13を小型化できるとともに、サンギヤSの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、このことによっても、動力装置1の小型化を図ることができる。
【0105】
さらに、前述した図20を用いて説明したように、第1ピニオンギヤP1を支持する軸受け(以下「第1軸受け」という)には、第1ピニオンギヤP1の回転に伴って遠心力が作用する。また、第1ピニオンギヤP1には、第1リングギヤR1から右出力軸SRRへのトルクの伝達に伴って、第1リングギヤR1からの噛合い反力が作用し、この噛合い反力は、第1軸受けに対し、上記の遠心力と反対の方向に作用する。その結果、第1軸受けに対し、これらの遠心力と噛合い反力が互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来のピニオン軸受けと比較して、第1軸受けの小型化を図ることができる。
【0106】
このことは、第2ピニオンギヤP2を支持する軸受け(以下「第2軸受け」という)についても、同様に当てはまる。すなわち、第2軸受けには、第2ピニオンギヤP2の回転に伴って遠心力が作用する。また、第2ピニオンギヤP2には、第2リングギヤR2から左出力軸SRLへのトルクの伝達に伴って、第2リングギヤR2からの噛合い反力が作用する。これらの遠心力と噛合い反力は、第2軸受けに対し、互いに相殺しあうように作用するので、第2軸受けの小型化を図ることができる。以上の第1および第2軸受けの小型化によっても、動力装置1の小型化を図ることができる。
【0107】
次に、図7を参照しながら、本発明の第2実施形態による動力装置41について説明する。この動力装置41は、第1実施形態と異なり、左右の後輪WRL、WRRにそれぞれ連結された左右の出力軸SRL、SRRではなく、左右の前輪WFL、WFRにそれぞれ連結された左右の出力軸SFL、SFRを駆動するためのものであり、第1実施形態と比較して、前述した歯車装置GSなどに加え、動力源としてのエンジン3と、変速機4および差動装置Dをさらに備えることが、主に異なっている。図7において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0108】
エンジン3は、ガソリンエンジンであり、四輪の車両の前部に搭載されている。エンジン3のクランク軸(図示せず)には、変速機4が連結されている。変速機4は、有段式の自動変速機であり、その動作がECU2により制御されることによって、エンジン3の動力を変速した状態で出力軸4aに出力する。
【0109】
差動装置Dは、いわゆるダブルピニオン式の遊星歯車装置であり、サンギヤSDと、サンギヤSDの外周に設けられたリングギヤRDと、サンギヤSDに噛み合う複数の第1ピニオンギヤPD1と、第1ピニオンギヤPD1およびリングギヤRDに噛み合う複数の第2ピニオンギヤPD2と、第1および第2ピニオンギヤPD1,PD2を回転自在に支持するキャリアCDを有している。差動装置D、歯車装置GS、第1および第2回転電機11、12は、左右の出力軸SFL、SFRと同軸状に配置されており、左右の前輪WFL、WFRの間に左側からこの順で並んでいる。
【0110】
また、差動装置DのリングギヤRDの外周部には、外歯ギヤGが形成されており、この外歯ギヤGは、変速機4の出力軸4aに一体に取り付けられたギヤ4bに噛み合っている。このように、リングギヤRDは、変速機4を介してエンジン3に連結されている。
【0111】
さらに、差動装置DのサンギヤSDは、回転軸を介して前述したフランジ17に一体に取り付けられている。フランジ17は、右出力軸SFRに一体に取り付けられており、第1実施形態と同様、第2回転軸16を介して第1リングギヤR1に連結されている。このように、サンギヤSDは、第1リングギヤR1と右出力軸SFRとの間の回転エネルギの伝達経路に連結されている。
【0112】
また、差動装置DのキャリアCDの左端部は、左出力軸SFLに一体に取り付けられており、キャリアCDの右端部は、前述したフランジ19および第3回転軸18を介して第2リングギヤR2に連結されている。このように、キャリアCDは、第2リングギヤR2と左出力軸SFLとの間の回転エネルギの伝達経路上に設けられている。
【0113】
以上の構成の差動装置Dでは、エンジントルクが、変速機4を介してリングギヤRDに伝達されると、リングギヤRDに伝達されたトルクは、第2および第1ピニオンギヤPD2,PD1を介して、サンギヤSDおよびキャリアCDに、1:1のトルク分配比で分配される。キャリアCDに分配されたトルクは、左出力軸SFLを介して左前輪WFLに伝達され、サンギヤSDに分配されたトルクは、右出力軸SFRを介して右前輪WFRに伝達される。
【0114】
以上のように、動力装置41では、第2リングギヤR2およびキャリアCDは、第3回転軸18とフランジ19を介して互いに連結されており、キャリアCDは、左出力軸SFLに直結されている。したがって、第2リングギヤR2、キャリアCDおよび左出力軸SFLの回転数は互いに等しい。また、第1リングギヤR1は、第2回転軸16およびフランジ17を介して右出力軸SFRに連結されており、差動装置DのサンギヤSDは、回転軸およびフランジ17を介して右出力軸SFRに連結されている。したがって、第1リングギヤR1、サンギヤSDおよび右出力軸SFRの回転数は互いに等しい。
【0115】
また、歯車装置GSのキャリア部材13、第1回転電機11の第1ロータ11b、第1リングギヤR1、第2リングギヤR2、歯車装置GSのサンギヤS、および第2回転電機12の第2ロータ12bの間の回転数の関係は、第1実施形態と同様である。また、差動装置Dがダブルピニオン式の遊星歯車装置であることから明らかなように、キャリアCD、リングギヤRDおよびサンギヤSDは、互いに差回転が可能であり、共線図において、それらの回転数が同じ一つの直線上に位置する共線関係にあり、左側からこの順で並ぶ。
【0116】
以上から、動力装置41における各種の回転要素の間の回転数の関係は、例えば図8に示す共線図のように表される。同図に示すように、差動装置DのキャリアCD、リングギヤRD、サンギヤSD、歯車装置GSのサンギヤS、第2リングギヤR2、第1リングギヤR1、およびキャリア部材13によって、回転数が互いに共線関係にある5つの回転要素が構成される。また、図8から明らかなように、左右の出力軸SFL、SFRは、互いに差回転が可能である。なお、図8では、歯車装置GSのサンギヤSおよび差動装置DのサンギヤSDを明確にするために、両者S、SDの符号のみをカッコ書きで表記している。
【0117】
また、図8は、右旋回用の第3ヨーモーメント増大制御における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示している。同図において、TEは、エンジン3から変速機4を介してリングギヤRDに伝達されるトルクであり、RLEおよびRREは、エンジン3からリングギヤRDへのトルクの伝達に伴って左出力軸SFLおよび右出力軸SFRにそれぞれ作用する反力トルクである。その他のパラメータ(第1モータ制動トルクTG1など)については、第1実施形態と同様である。前述したようにリングギヤRDに伝達されたトルクがキャリアCDおよびサンギヤSDに1:1のトルク分配比で分配されることから明らかなように、これらの反力トルクRLEおよびRREは互いに等しい。
【0118】
この場合、左出力軸SFLに伝達されるトルクは、RLE+RLG1+RLM2で表されるとともに、右出力軸SFRに伝達されるトルクは、RRE−(RRG1+RRM2)で表される。このように、左出力軸SFLに伝達されるトルクが右出力軸SFRに伝達されるトルクよりも大きくなり、それにより、車両の右回りのヨーモーメントが増大する。
【0119】
この図8と、前述した第1実施形態の右旋回用の第3ヨーモーメント増大制御におけるトルクの釣り合い関係などを示す図5との比較から明らかなように、第3ヨーモーメント増大制御における動作は、第1実施形態と比較して、変速機4で変速されたエンジン3のトルクが差動装置Dによって左右の出力軸SFL、SFRに分配されることだけが異なっている。このことは、直進時や第1ヨーモーメント増大制御などにおける各種の動作についても同様であるので、動力装置41の動作の説明については省略する。
【0120】
また、第2実施形態における各種の要素と、本発明における各種の要素との対応関係は、次のとおりである。すなわち、本実施形態におけるサンギヤSD、キャリアCDおよびリングギヤRDが、本発明における第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素にそれぞれ相当するとともに、本実施形態におけるエンジン3が、本発明におけるエネルギ出力装置に相当する。また、本実施形態におけるフランジ17が、本発明における第1リングギヤと2つの回転軸の一方との間の回転エネルギの伝達経路に相当する。その他の対応関係については、第1実施形態と同様である。
【0121】
以上のように、第2実施形態によれば、差動装置DのサンギヤSDが、歯車装置GSの第1リングギヤR1と右出力軸SFRとの間の回転エネルギの伝達経路に連結され、キャリアCDが、歯車装置GSの第2リングギヤR2と左出力軸SFLとの間の回転エネルギの伝達経路上に設けられるとともに、差動装置DのリングギヤRDがエンジン3に連結されている。これにより、左右の出力軸SFL、SFRに、第1および第2モータ出力トルクTM1、TM2に加え、エンジン3のトルクが伝達されるので、第1および第2回転電機11、12に必要とされるトルクを低減できる。これにより、第1および第2回転電機11、12の小型化を図ることができる。その他、第1実施形態による効果を同様に得ることができる。
【0122】
また、図9は、第2実施形態の第1変形例を示しており、この第1変形例は、動力装置をFR(フロントエンジン−リヤドライブ)式の車両VFRに適用した例である。この車両VFRでは、差動装置D、歯車装置GS、第1および第2回転電機(いずれも図示せず)は、車両VFRの後部に配置されており、差動装置Dの前述したリングギヤ(図示せず)は、プロペラシャフトPSを介して変速機4に連結されている。また、左右の出力軸SRL、SRR、差動装置D、歯車装置GS、第1および第2回転電機の間の連結関係は、第2実施形態と比較して、前側の左右の出力軸SFL、SFRを後ろ側の左右の出力軸SRL、SRRに置き換えた点のみが異なっており、その他は同様である。
【0123】
なお、この第1変形例では、車両VFRが、本発明における輸送機関に相当する。
【0124】
以上の構成により、エンジン3のトルクは、変速機4、プロペラシャフトPS、および差動装置Dを介して左右の出力軸SRL、SRRに伝達され、さらに左右の後輪WRL、WRRに伝達される。また、第1および第2モータ出力トルクならびに第1および第2モータ制動トルクは、歯車装置GSおよび差動装置Dを介して左右の出力軸SRL、SRRに伝達され、さらに左右の後輪WRL、WRRに伝達される。以上により、この場合にも、第2実施形態による効果を同様に得ることができる。
【0125】
さらに、図10は、第2実施形態の第2変形例を示しており、この第2変形例は、動力装置を全輪駆動式の車両VAWに適用した例である。この車両VAWでは、前側の左右の出力軸SFL、SFRは、フロントデフDF、センターデフDCおよび変速機4を介して、エンジン3に連結されている。また、差動装置D、歯車装置GS、第1および第2回転電機(いずれも図示せず)は、車両VAWの後部に配置されており、差動装置Dのリングギヤ(図示せず)は、プロペラシャフトPSおよびセンターデフDCを介して変速機4に連結されている。また、左右の出力軸SRL、SRR、差動装置D、歯車装置GS、第1および第2回転電機の間の連結関係は、上述した第1変形例と同様である。
【0126】
なお、この第2変形例では、車両VAWが、本発明における輸送機関に相当する。
【0127】
以上の構成により、エンジン3のトルクは、変速機4を介してセンターデフDCに伝達され、フロントデフDFおよびプロペラシャフトPSに分配される。フロントデフDFに分配されたトルクは、左右の出力軸SFL、SFRに伝達され、さらに左右の前輪WFL、WFRに伝達される。プロペラシャフトPSに分配されたトルクは、差動装置Dを介して左右の出力軸SRL、SRRに伝達され、さらに左右の後輪WRL、WRRに伝達される。また、第1および第2モータ出力トルクならびに第1および第2モータ制動トルクは、歯車装置GSおよび差動装置Dを介して左右の出力軸SRL、SRRに伝達され、さらに左右の後輪WRL、WRRに伝達される。以上により、この場合にも、第2実施形態による効果を同様に得ることができる。
【0128】
なお、第2実施形態の第1および第2変形例では、エンジン3および変速機4を、車両VFR、VAWの前部に配置しているが、車両の後部に配置してもよい。
【0129】
次に、図11および図12を参照しながら、本発明の第3実施形態による動力装置51について説明する。この動力装置51は、第1実施形態と比較して、歯車装置GSAの構成が主に異なっている。図11および図12において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0130】
図11に示す歯車装置GSAは、キャリア部材101、第1サンギヤS1A、ピニオンギヤPA、2連ピニオンギヤ102、第1リングギヤR1A、および第2サンギヤS2Aを有している。歯車装置GSAは、左右の出力軸SRL、SRRと同軸状に配置されており、左右の後輪WRL、WRRの間に位置している。
【0131】
キャリア部材101は、円板状の基部101aと、基部101aに一体に設けられた4つの第1支軸101bおよび第2支軸101c(いずれも2つのみ図示)で構成されている。また、キャリア部材101は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されており、その内側には、後述する第1および第3回転軸52、54が相対的に回転自在に配置されている。基部101aは、右出力軸SRRに同軸状に一体に取り付けられており、それにより、キャリア部材101は、右出力軸SRRと一体に回転自在である。
【0132】
第1支軸101bは基部101aの径方向の中央に、第2支軸101cは基部101aの径方向の外端部に、それぞれ配置されており、両者101bおよび101cはいずれも、左右の出力軸SRL、SRRの軸線方向に、右後輪WRR側に延びている。また、4つの第1支軸101bは、基部101aの周方向に互いに等間隔に位置しており、このことは4つの第2支軸101cについても同様である。
【0133】
前記2連ピニオンギヤ102は、互いに一体に形成された第1ピニオンギヤP1Aおよび第2ピニオンギヤP2Aで構成されている。2連ピニオンギヤ102の数は、上述した第2支軸101cと同じ値4であり(2つのみ図示)、各2連ピニオンギヤ102は、第2支軸101cに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されている。また、第1および第2ピニオンギヤP1A、P2Aは、互いに異なるピッチ円直径を有している。なお、2連ピニオンギヤ102および第2支軸101cの数は値4に限らず、任意である。
【0134】
また、第1サンギヤS1A、ピニオンギヤPA、2連ピニオンギヤ102の第1ピニオンギヤP1Aおよび第1リングギヤR1Aは、径方向に内側からこの順で並んでいる。第1サンギヤS1Aは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第1回転軸52を介して、第1ロータ11bに連結されており、第1ロータ11bと一体に回転自在である。第1回転軸52の内側および外側にはそれぞれ、右出力軸SRRおよび第3回転軸54が相対的に回転自在に配置されている。
【0135】
また、ピニオンギヤPAの数は、キャリア部材101の前述した第1支軸101bと同じ値4(2つのみ図示)である。各ピニオンギヤPAは、第1支軸101bに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されており、第1サンギヤS1Aおよび第1ピニオンギヤP1Aの双方に噛み合っている。なお、ピニオンギヤPAおよび第1支軸101bの数は値4に限らず、任意である。第1リングギヤR1Aは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第2回転軸53およびフランジを介して、左出力軸SRLに連結されており、左出力軸SRLと一体に回転自在である。第2回転軸53の内側には、キャリア部材101が相対的に回転自在に配置されている。
【0136】
前記第2サンギヤS2Aおよび2連ピニオンギヤ102の第2ピニオンギヤP2Aは、径方向に内側からこの順で並んでおり、これらの歯車組は、上述した第1サンギヤS1A、ピニオンギヤPA、第1ピニオンギヤP1Aおよび第1リングギヤR1Aから成る歯車組と第2回転電機12との間に配置されている。第2サンギヤS2Aは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第3回転軸54を介して、第2ロータ12bに連結されており、第2ロータ12bと一体に回転自在である。第2ピニオンギヤP2Aは、第2サンギヤS2Aに噛み合っている。
【0137】
以上の構成により、第1サンギヤS1A、第1リングギヤR1A、キャリア部材101、および第2サンギヤS2Aは、互いの間で動力を伝達可能であるとともに、それらの回転数が互いに共線関係にある。また、キャリア部材101を固定した状態で、第1サンギヤS1Aを回転させたときには、第1リングギヤR1Aは第1サンギヤS1Aの回転方向と同方向に回転し、第2サンギヤS2Aは、第1サンギヤS1Aの回転方向と逆方向に回転する。この場合、各ギヤの歯数の関係から、第1サンギヤS1Aの回転数は第1リングギヤR1Aの回転数よりも高くなる。以上から、回転数の関係を表す共線図において、第1サンギヤS1A、第1リングギヤR1A、キャリア部材101および第2サンギヤS2Aは、この順で並ぶ。
【0138】
また、第1サンギヤS1Aおよび第1ロータ11bは、第1回転軸52を介して互いに連結されているので、第1サンギヤS1Aおよび第1ロータ11bの回転数は、互いに等しい。さらに、第1リングギヤR1Aは、第2回転軸53およびフランジを介して左出力軸SRLに連結されているので、第1リングギヤR1Aおよび左出力軸SRLの回転数は、互いに等しい。また、キャリア部材101は、右出力軸SRRに直結されているので、キャリア部材101および右出力軸SRRの回転数は、互いに等しい。さらに、第2サンギヤS2Aおよび第2ロータ12bは、第3回転軸54を介して互いに連結されているので、第2サンギヤS2Aおよび第2ロータ12bの回転数は、互いに等しい。
【0139】
以上から、第3実施形態による動力装置51における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係は、例えば図12に示す共線図のように表される。同図における各種のパラメータは、第1実施形態で述べたとおりである。また、図12から明らかなように、左右の出力軸SRL、SRRは、互いに差回転が可能である。さらに、この図12と、第1実施形態による動力装置1における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示す図5との比較から明らかなように、この第3実施形態による動力装置51は、第1実施形態による動力装置1と同様に動作する。
【0140】
また、図12におけるαAおよびβAはそれぞれ、第1レバー比および第2レバー比であり、次式(3)および(4)で表される。
αA=(ZR1A−ZS1A)/ZS1A ……(3)
βA=(ZR1A×ZP2A)/(ZS2A×ZP1A) ……(4)
ここで、ZR1Aは第1リングギヤR1Aの歯数であり、ZS1Aは第1サンギヤS1Aの歯数、ZP2Aは第2ピニオンギヤP2Aの歯数、ZS2Aは第2サンギヤS2Aの歯数、ZP1Aは第1ピニオンギヤP1Aの歯数である。
【0141】
これらの第1リングギヤR1Aの歯数ZR1A、第1サンギヤS1Aの歯数ZS1A、第2ピニオンギヤP2Aの歯数ZP2A、第2サンギヤS2Aの歯数ZS2A、および第1ピニオンギヤP1Aの歯数ZP1Aは、左右の出力軸SRL、SRRの差回転が可能な範囲内で第1および第2ロータ11b、12bの一方が逆転しないことを条件として、第1および第2レバー比αA、βAが比較的大きな値になるように、設定されている。
【0142】
また、第3実施形態における各種の要素と、本発明における各種の要素との対応関係は次のとおりである。すなわち、本実施形態における右出力軸SRRおよび左出力軸SRLが、本発明における2つの回転軸の一方および他方にそれぞれ相当し、本実施形態における第1および第2回転電機11、12が、本発明における第1および第2エネルギ入出力装置にそれぞれ相当する。また、本実施形態における左右の後輪WRL、WRRが、本発明における2つの被駆動部に相当する。
【0143】
以上のように、第3実施形態によれば、2連ピニオンギヤ102およびピニオンギヤPAが、キャリア部材101に回転自在に支持されており、2連ピニオンギヤ102の第1ピニオンギヤP1AがピニオンギヤPAに、ピニオンギヤPAが第1サンギヤS1Aに、それぞれ噛み合っている。また、2連ピニオンギヤ102の第1および第2ピニオンギヤP1A、P2Aが、第1リングギヤR1Aおよび第2サンギヤS2Aに、それぞれ噛み合っている。さらに、これらの第1および第2サンギヤS1A、S2Aは、第1および第2回転電機11、12にそれぞれ連結されるとともに、キャリア部材101および第1リングギヤR1Aは、右出力軸SRRおよび左出力軸SRLにそれぞれ連結されている。
【0144】
以上により、第1および第2モータ出力トルクTM1、TM2ならびに第1および第2モータ制動トルクTG1、TG2を、第1サンギヤS1A、第2サンギヤS2A、第1リングギヤR1Aおよびキャリア部材101などを介して左右の出力軸SRL、SRRに伝達し、両出力軸SRL、SRRを適切に駆動(制動)することができる。この場合、図12を用いて説明したように第1サンギヤS1A、第1リングギヤR1A、キャリア部材101および第2サンギヤS2Aの回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2回転電機11、12を制御することによって、左右の出力軸SRL、SRRに分配されるトルクを適切に制御することができ、ひいては、車両の旋回性を含めた走行性を高めることができる。
【0145】
さらに、前述した従来の動力装置と異なり、左出力軸SRLに、第1リングギヤR1Aが連結されているので、第1リングギヤR1Aの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、それにより動力装置51の小型化を図ることができる。また、共線図(図12)において第1および第2サンギヤS1A、S2Aが第1リングギヤR1Aおよびキャリア部材101の両外側にそれぞれ位置することから、第1および第2回転電機11、12から第1および第2サンギヤS1A、S2Aにそれぞれ伝達されたトルクは、増大した状態で左右の出力軸SRL、SRRに伝達される。このため、第1および第2サンギヤS1A、S2Aの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、このことによっても、動力装置51の小型化を図ることができる。
【0146】
さらに、第1ピニオンギヤP1Aが第1リングギヤR1Aに噛み合っていることから、前述した図20を用いて説明したように、第1ピニオンギヤP1Aを支持する軸受けに対して、回転に伴う遠心力と噛合い反力とが互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来の場合と比較して、この軸受けの小型化を図ることができ、ひいては、動力装置51の小型化を図ることができる。
【0147】
なお、第3実施形態では、第1リングギヤR1Aを、第1ピニオンギヤP1Aに噛み合わせているが、第2ピニオンギアP2Aに噛み合わせてもよい。
【0148】
次に、図13および図14を参照しながら、本発明の第4実施形態による動力装置61について説明する。この動力装置61は、第3実施形態と比較して、第2ピニオンギヤP2Aに噛み合う第2リングギヤR2Aと、第2実施形態で述べたエンジンおよび変速機(いずれも図示せず)をさらに備える点が、主に異なっている。図13および図14において、第1〜第3実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1〜第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0149】
歯車装置GSBの第2リングギヤR2Aは、第2ピニオンギヤP2Aの径方向の外方に配置されており、その外周部には、ギヤGAが形成されている。このギヤGAは、変速機の出力軸4aのギヤ4bに噛み合っている。また、第1リングギヤR1Aのピッチ円直径は、第2リングギヤR2Aよりも大きな値に、第1ピニオンギヤP1Aのピッチ円直径は、第2ピニオンギヤP2Aよりも大きな値に、それぞれ設定されている。
【0150】
以上の構成により、第1サンギヤS1A、第1リングギヤR1A、第2リングギヤR2A、キャリア部材101および第2サンギヤS2Aは、互いの間で動力を伝達可能であるとともに、それらの回転数が互いに共線関係にある。また、キャリア部材101を固定した状態で、第1サンギヤS1Aを回転させたときには、第1および第2リングギヤR1A、R2Aはいずれも、第1サンギヤS1Aの回転方向と同方向に回転し、第2サンギヤS2Aは、第1サンギヤS1Aの回転方向と逆方向に回転する。
【0151】
この場合、各ギヤの歯数の関係から、第1サンギヤS1Aの回転数、第1リングギヤR1Aの回転数および第2リングギヤR2Aの回転数の間に、「第1サンギヤS1Aの回転数>第1リングギヤR1Aの回転数>第2リングギヤR2Aの回転数」という関係が成立する。以上から、回転数の関係を表す共線図において、第1サンギヤS1A、第1リングギヤR1A、第2リングギヤR2A、キャリア部材101および第2サンギヤS2Aは、この順で並ぶ。
【0152】
また、第1サンギヤS1Aおよび第1ロータ11bは、第1回転軸52を介して互いに連結されているので、第1サンギヤS1Aおよび第1ロータ11bの回転数は、互いに等しい。さらに、第1リングギヤR1Aは、第2回転軸53およびフランジを介して左出力軸SRLに連結されているので、第1リングギヤR1Aおよび左出力軸SRLの回転数は、互いに等しい。また、キャリア部材101は、右出力軸SRRに直結されているので、キャリア部材101および右出力軸SRRの回転数は、互いに等しい。さらに、第2サンギヤS2Aおよび第2ロータ12bは、第3回転軸54を介して互いに連結されているので、第2サンギヤS2Aおよび第2ロータ12bの回転数は、互いに等しい。また、エンジンの運転中、第2リングギヤR2Aには、エンジンから変速機を介してトルクが伝達される。
【0153】
以上から、第4実施形態による動力装置61における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係は、例えば図14に示す共線図のように表される。同図における各種のパラメータは、第1および第2実施形態で述べたとおりである。また、図14から明らかなように、左右の出力軸SRL、SRRは、互いに差回転が可能である。さらに、この図14と、第1および第2実施形態による動力装置1、41における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示す図5および図8との比較から明らかなように、この第4実施形態による動力装置61は、第1および第2実施形態による動力装置1、41と同様に動作する。
【0154】
なお、図14に示す共線図における第1および第2リングギヤR1A、R2Aの並び順は、それらの歯数の関係によって互いに入れ替わる。
【0155】
以上により、第4実施形態によれば、第3実施形態による効果を同様に得ることができる。また、図14に示すように、回転数が互いに共線関係にある5つの回転要素(第1サンギヤS1A、第1リングギヤR1A、第2リングギヤR2A、キャリア部材101および第2サンギヤS2A)を構成することができる。この場合、第2実施形態と異なり、差動装置Dを用いることなく、歯車装置GSBのみで、5つの回転要素を構成できるので、その分、動力装置61のさらなる小型化を図ることができる。
【0156】
また、第1および第2ピニオンギヤP1A、P2Aをそれぞれ支持する軸受けに対して、回転に伴う遠心力と噛合い反力が互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来の場合と比較して、これらの軸受けの小型化を図ることができ、このことによっても、動力装置61のさらなる小型化を図ることができる。
【0157】
さらに、左右の出力軸SRL、SRRに、第1および第2回転電機11、12からの回転エネルギに加え、エンジンからの回転エネルギが伝達されるので、第1および第2回転電機11、12に必要とされる回転エネルギを低減でき、ひいては、両装置の小型化を図ることができる。
【0158】
なお、第4実施形態では、第1リングギヤR1Aを第1ピニオンギヤP1Aに、第2リングギヤR2Aを第2ピニオンギヤP2Aに、それぞれ噛み合わせているが、これとは逆に、第1リングギヤR1Aを第2ピニオンギヤP2Aに、第2リングギヤR2Aを第1ピニオンギヤP1Aに、それぞれ噛み合わせてもよい。
【0159】
次に、図15および図16を参照しながら、本発明の第5実施形態による動力装置71について説明する。この動力装置71は、第1実施形態と比較して、歯車装置GSCの構成と、第2実施形態で述べたエンジンおよび変速機(いずれも図示せず)をさらに備える点が、主に異なっている。図15および図16において、第1および第2実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1〜第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0160】
図15に示す歯車装置GSCは、キャリア部材105、2連ピニオンギヤ106、第1サンギヤS1C、第3ピニオンギヤP3C、第1リングギヤR1C、第2サンギヤS2C、第4ピニオンギヤP4Cおよび第2リングギヤR2Cを有している。歯車装置GSCは、左右の出力軸SRL、SRRと同軸状に配置されており、左右の後輪WRL、WRRの間に位置している。
【0161】
キャリア部材105は、ドーナツ板状の第1基部105aおよび第2基部105bと、両基部105aおよび105bに一体に設けられた4つの第1支軸105c、第2支軸105dおよび第3支軸105e(いずれも2つのみ図示)で構成されている。また、キャリア部材105は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されており、その内側には、後述する第1および第3回転軸72、74が、相対的に回転自在に配置されている。
【0162】
第1および第2基部105a、105bは、左右の出力軸SRL、SRRと同軸状に配置されている。第2基部105bは、第1基部105aと比較して、径方向の外側で、かつ右後輪WRR側に配置されており、中空の回転軸の一端部に一体に取り付けられている。この回転軸の他端部には、ギヤGCが一体に設けられており、このギヤGCは、変速機の出力軸4aのギヤ4bと噛み合っている。また、回転軸の内側には、第3回転軸74が相対的に回転自在に配置されている。
【0163】
第1〜第3支軸105c〜105eは、径方向に内側からこの順で並んでいる。第1支軸105cは、第1基部105aの径方向の内端部に取り付けられており、左右の出力軸SRL、SRRの軸線方向に、右後輪WRR側に延びている。第2支軸105dは、第1および第2基部105a、105bの間に設けられており、左右の出力軸SRL、SRRの軸線方向に延びている。第3支軸105eは、第2基部105bの径方向の外端部に取り付けられており、左右の出力軸SRL、SRRの軸線方向に、左後輪WRL側すなわち第1支軸105cとは反対側に延びている。
【0164】
前記2連ピニオンギヤ106は、互いに一体に形成された第1ピニオンギヤP1Cおよび第2ピニオンギヤP2Cで構成されている。2連ピニオンギヤ106の数は、上述した第2支軸105dと同じ値4であり(2つのみ図示)、各2連ピニオンギヤ106は、第2支軸105dに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されている。また、第1および第2ピニオンギヤP1C、P2Cは、互いに異なるピッチ円直径を有している。なお、2連ピニオンギヤ106および第2支軸105dの数は値4に限らず、任意である。
【0165】
また、第1サンギヤS1C、第3ピニオンギヤP3C、2連ピニオンギヤ106の第1ピニオンギヤP1Cおよび第1リングギヤR1Cは、径方向に内側からこの順で並んでいる。第1サンギヤS1Cは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第1回転軸72を介して、第1ロータ11bに連結されており、第1ロータ11bと一体に回転自在である。第1回転軸72の内側および外側にはそれぞれ、右出力軸SRRおよび第3回転軸74が相対的に回転自在に配置されている。
【0166】
また、第3ピニオンギヤP3Cの数は、キャリア部材105の前述した第1支軸105cと同じ値4(2つのみ図示)である。各第3ピニオンギヤP3Cは、第1支軸105cに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されており、第1サンギヤS1Cおよび第1ピニオンギヤP1Cの双方に噛み合っている。なお、第3ピニオンギヤP3Cおよび第1支軸105cの数は値4に限らず、任意である。第1リングギヤR1Cは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第2回転軸73およびフランジを介して、右出力軸SRRに連結されており、右出力軸SRRと一体に回転自在である。また、第2回転軸73の内側および外側にはそれぞれ、キャリア部材105および後述する第4回転軸75が相対的に回転自在に配置されている。
【0167】
前記第2サンギヤS2C、2連ピニオンギヤ106の第2ピニオンギヤP2C、第4ピニオンギヤP4Cおよび第2リングギヤR2Cは、径方向に内側からこの順で並んでおり、これらの歯車組は、上述した第1サンギヤS1C、第3ピニオンギヤP3C、第1ピニオンギヤP1Cおよび第1リングギヤR1Cから成る歯車組と第2回転電機12との間に配置されている。第2サンギヤS2Cは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第3回転軸74を介して、第2ロータ12bに連結されており、第2ロータ12bと一体に回転自在である。2連ピニオンギヤ106の第2ピニオンギヤP2Cは、第2サンギヤS2Cおよび第4ピニオンギヤP4Cの双方に噛み合っている。
【0168】
また、第4ピニオンギヤP4Cの数は、キャリア部材105の前述した第3支軸105eと同じ値4(2つのみ図示)である。各第4ピニオンギヤP4Cは、第3支軸105eに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されており、第2ピニオンギヤP2Cおよび第2リングギヤR2Cの双方に噛み合っている。なお、第4ピニオンギヤP4Cおよび第3支軸105eの数は値4に限らず、任意である。第2リングギヤR2Cは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第4回転軸75およびフランジを介して、左出力軸SRLに連結されており、左出力軸SRLと一体に回転自在である。
【0169】
以上の構成により、第1サンギヤS1C、第1リングギヤR1C、キャリア部材105、第2リングギヤR2Cおよび第2サンギヤS2Cは、互いの間で動力を伝達可能であるとともに、それらの回転数が互いに共線関係にある。また、キャリア部材105を固定した状態で、第1サンギヤS1Cを回転させたときには、第1リングギヤR1Cは、第1サンギヤS1Cの回転方向と同方向に回転するとともに、第2サンギヤS2Cおよび第2リングギヤR2Cは、第1サンギヤS1Cの回転方向と逆方向に回転する。この場合、各ギヤの歯数の関係から、第1サンギヤS1Cの回転数は、第1リングギヤR1Cの回転数よりも高くなるとともに、第2サンギヤS2Cの回転数は、第2リングギヤR2Cの回転数よりも低くなる。以上から、回転数の関係を表す共線図において、第1サンギヤS1C、第1リングギヤR1C、キャリア部材105、第2リングギヤR2Cおよび第2サンギヤS2Cは、この順で並ぶ。
【0170】
また、第1サンギヤS1Cおよび第1ロータ11bは、第1回転軸72を介して互いに連結されているので、第1サンギヤS1Cおよび第1ロータ11bの回転数は、互いに等しい。さらに、第1リングギヤR1Cは、第2回転軸73およびフランジを介して右出力軸SRRに連結されているので、第1リングギヤR1Cおよび右出力軸SRRの回転数は、互いに等しい。また、第2リングギヤR2Cは、第4回転軸75およびフランジを介して左出力軸SRLに連結されているので、第2リングギヤR2Cおよび左出力軸SRLの回転数は、互いに等しい。また、第2サンギヤS2Cおよび第2ロータ12bは、第3回転軸74を介して互いに連結されているので、第2サンギヤS2Cおよび第2ロータ12bの回転数は、互いに等しい。さらに、エンジンの運転中、キャリア部材105には、エンジンから変速機を介してトルクが伝達される。
【0171】
以上から、第5実施形態による動力装置71における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係は、例えば図16に示す共線図のように表される。同図における各種のパラメータは、αBおよびβBを除いて、第1および第2実施形態で述べたとおりである。また、図16から明らかなように、左右の出力軸SRL、SRRは、互いに差回転が可能である。さらに、この図16と、第1および第2実施形態による動力装置1、41における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示す図5および図8との比較から明らかなように、この動力装置71は、第1および第2実施形態による動力装置1、41と同様に動作する。
【0172】
また、図16におけるαBおよびβBはそれぞれ、第1レバー比および第2レバー比であり、次式(5)および(6)で表される。
αB={(ZR2C−ZS2C)/(ZS2C×ZR2C×ZP1C)}
×{(ZR1C×ZR2C×ZP1C×ZP2C)
/(ZR1C×ZP2C+ZR2C×ZP1C)} ……(5)
βB={(ZR1C−ZS1C)/(ZS1C×ZR1C×ZP2C)}
×{(ZR1C×ZR2C×ZP1C×ZP2C)
/(ZR1C×ZP2C+ZR2C×ZP1C)} ……(6)
ここで、ZR2Cは第2リングギヤR2Cの歯数であり、ZS2Cは第2サンギヤS2Cの歯数、ZP1Cは第1ピニオンギヤP1Cの歯数である。また、ZR1Cは第1リングギヤR1Cの歯数であり、ZP2Cは第2ピニオンギヤP2Cの歯数、ZS1Cは、第1サンギヤS1Cの歯数である。
【0173】
これらの第2リングギヤR2Cの歯数ZR2C、第2サンギヤS2Cの歯数ZS2C、第1ピニオンギヤP1Cの歯数ZP1C、第1リングギヤR1Cの歯数ZR1C、第2ピニオンギヤP2Cの歯数ZP2C、および第1サンギヤS1Cの歯数ZS1Cは、左右の後輪WRL、WRRの差回転が可能な範囲内で第1および第2ロータ11b、12bの一方が逆転しないことを条件として、第1および第2レバー比αB、βBが比較的大きな値になるように、設定されている。
【0174】
また、共線図(図16)におけるキャリア部材105から第1リングギヤR1Cまでの距離と、キャリア部材105から第2リングギヤR2Cまでの距離が互いに等しく、キャリア部材105から左右の出力軸SRL、SRRに分配されるトルクの分配比は、1:1である。このため、第1および第2リングギヤR1C、R2Cの歯数ZR1C、ZR2Cならびに第1および第2ピニオンギヤP1C、P2Cの歯数ZP1C、ZP2Cの間には、次式(7)が成立する。
1/(ZR2C×ZP1C)=1/(ZR1C×ZP2C)
……(7)
【0175】
また、第1および第2リングギヤR1C、R2Cの歯数ZR1C、ZR2C同士と、第1および第2サンギヤS1C、S2Cの歯数ZS1C、ZS2C同士と、第1および第2ピニオンギヤP1C、P2Cの歯数ZP1C、ZP2C同士と、第3および第4ピニオンギヤP3CおよびP4Cの歯数ZP3C、ZP4C同士は、それぞれ同じ値に設定されている。これにより、前記式(5)および(6)から明らかなように、第1および第2レバー比αB、βBは、互いに同じ値に設定されている。また、第1および第2ピニオンギヤP1C、P2Cの径同士が、同じ値に設定されている。
【0176】
また、第5実施形態における各種の要素と、本発明における各種の要素との対応関係は、次のとおりである。すなわち、本実施形態における右出力軸SRRおよび左出力軸SRLが、本発明における2つの回転軸の一方および他方にそれぞれ相当するとともに、本実施形態における第1および第2回転電機11、12が、本発明における第1および第2エネルギ入出力装置にそれぞれ相当する。また、本実施形態における左右の後輪WRL、WRRが、本発明における2つの被駆動部に相当する。
【0177】
以上のように、第5実施形態によれば、2連ピニオンギヤ106、第3および第4ピニオンギヤP3C、P4Cが、キャリア部材105に回転自在に支持されており、2連ピニオンギヤ106の第1および第2ピニオンギヤP1C、P2Cが、第3および第4ピニオンギヤP3C、P4Cにそれぞれ噛み合っている。また、第3ピニオンギヤP3Cが第1サンギヤS1Cに、第1ピニオンギヤP1Cが第1リングギヤR1Cに、それぞれ噛み合うとともに、第2ピニオンギヤP2Cが第2サンギヤS2Cに、第4ピニオンギヤP4Cが第2リングギヤR2Cに、それぞれ噛み合っている。
【0178】
さらに、第1および第2サンギヤS1C、S2Cは、第1および第2回転電機11、12にそれぞれ連結されるとともに、第1および第2リングギヤR1、R2は、右出力軸SRRおよび左出力軸SRLにそれぞれ連結されている。以上により、第1および第2モータ出力トルクTM1、TM2ならびに第1および第2モータ制動トルクTG1、TG2を、第1および第2サンギヤS1C、S2C、ならびに第1および第2リングギヤR1C、R2Cなどを介して右出力軸SRRおよび左出力軸SRLに伝達し、両出力軸SRL、SRRを適切に駆動(制動)することができる。
【0179】
この場合、図16を用いて説明したように第1サンギヤS1C、第1リングギヤR1C、キャリア部材105、第2リングギヤR2Cおよび第2サンギヤS2Cの回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2回転電機11、12を制御することによって、左右の出力軸SRL、SRRに分配されるトルクを適切に制御することができ、ひいては、車両の旋回性を含めた走行性を高めることができる。
【0180】
また、前述した従来の動力装置と異なり、右出力軸SRRおよび左出力軸SRLに、第1および第2リングギヤR1C、R2Cがそれぞれ連結されているので、第1実施形態と同様、両ギヤR1C、R2Cの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、それにより動力装置71の小型化を図ることができる。
【0181】
また、共線図(図16)において第1および第2サンギヤS1C、S2Cが第1および第2リングギヤR1C、R2Cの両外側にそれぞれ位置することから、第1および第2回転電機11、12から第1および第2サンギヤS1C、S2Cにそれぞれ伝達されたトルクは、増大した状態で左右の出力軸SRL、SRRに伝達される。このため、第1および第2サンギヤS1C、S2Cの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、このことによっても、動力装置71の小型化を図ることができる。
【0182】
さらに、第1および第4ピニオンギヤP1C、P4Cが第1および第2リングギヤR1C、R2Cにそれぞれ噛み合っていることから、両ピニオンギヤP1C、P4Cを支持する軸受けに対して、回転に伴う遠心力と噛合い反力が互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来の場合と比較して、これらの軸受けの小型化を図ることができる。
【0183】
また、第4実施形態と同様、図16に示すように、回転数が互いに共線関係にある5つの回転要素(第1サンギヤS1C、第1リングギヤR1C、キャリア部材105、第2リングギヤR2Cおよび第2サンギヤS2C)を構成することができる。この場合、第2実施形態と異なり、差動装置Dを用いることなく、歯車装置GSCのみで、5つの回転要素を構成できるので、その分、動力装置71のさらなる小型化を図ることができる。
【0184】
さらに、左右の出力軸SRL、SRRに、第1および第2回転電機11、12からの回転エネルギに加え、エンジンからの回転エネルギが伝達されるので、第1および第2回転電機11、12に必要とされる回転エネルギを低減でき、ひいては、両装置の小型化を図ることができる。
【0185】
また、第1ピニオンギヤP1Cと第2ピニオンギヤP2Cは、それらの径同士および歯数ZP1C、ZP2C同士がそれぞれ同じになっている。これにより、例えば、第1および第2ピニオンギヤP1C、P2Cの双方を平歯車で構成する場合には両ギヤを同じカッタで、はすば歯車で構成する場合には両ギヤをねじれ方向のみが異なる同じ諸元のカッタで、それぞれ加工することができるので、その生産性に優れている。
【0186】
なお、歯車装置GSCでは、第1および第2ピニオンギヤP1C、P2Cを、互いに一体の独立のギヤとしてそれぞれ構成しているが、軸線方向に比較的長い単一のピニオンギヤで構成してもよい。その場合には、生産性をさらに向上させることができる。
【0187】
図21図24は、第5実施形態による歯車装置GSCの変形例を示している。以下、この変形例について、図21の左側を「左」、右側を「右」として、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。この変形例では、第1および第2サンギヤS1c、S2cの径同士および歯数同士と、第1および第2リングギヤR1c、R2cの径同士および歯数同士と、2連ピニオンギヤ301の第1および第2ピニオンギヤP1c、P2cの径同士および歯数同士と、第3および第4ピニオンギヤP3c、P4cの径同士および歯数同士は、それぞれ同じ値に設定されている。また、第1および第2ピニオンギヤP1c、P2cの径は、第3および第4ピニオンギヤP3c、P4cの径よりも大きい。
【0188】
なお、図21では、図示の便宜上、第1および第2サンギヤS1c、S2cの径同士と、第1および第2リングギヤR1c、R2cの径同士が、それぞれ異なる大きさに描かれている。また、図22図24では、便宜上、ギヤ部分の切断面のみを示し、軸部分の切断面は省略している。
【0189】
図21図24に示すように、第5実施形態と同様、第1サンギヤS1cは、第3ピニオンギヤP3cに噛み合っており、第1ピニオンギヤP1cは、第3ピニオンギヤP3cおよび第1リングギヤR1cの双方に噛み合っている。また、第2サンギヤS2cは、第2ピニオンギヤP2cに噛み合っており、第4ピニオンギヤP4cは、第2ピニオンギヤP2cおよび第2リングギヤR2cの双方に噛み合っている。
【0190】
また、第1〜第4ピニオンギヤP1c〜P4cは、各3個づつ設けられており(便宜上、図21にはそれぞれ2個のみ、図22図24にはそれぞれ1個のみ図示)、キャリア部材302に回転自在に支持されている。このキャリア部材302の構成は、第5実施形態のキャリア部材105と基本的に同じであるので、その詳細な説明は省略する。さらに、第1および第2サンギヤS1c、S2c、キャリア部材302、ならびに第1および第2リングギヤR1c、R2cは、同一軸線上に配置されている。
【0191】
2連ピニオンギヤ301は軸線方向に比較的大きく延びており、第3ピニオンギヤP3cは、2連ピニオンギヤ301よりも短く、かつ、第1サンギヤS1c、第1ピニオンギヤP1cおよび第1リングギヤR1cよりも長い長さで、軸線方向に延びている。また、第3ピニオンギヤP3cは、第2サンギヤS2cおよび第2ピニオンギヤP2cの双方と径方向に重ならないように配置されている。第1サンギヤS1cは、第1ピニオンギヤP1cおよび第1リングギヤR1cの双方と径方向に重ならないように配置されている。また、第1サンギヤS1cは第3ピニオンギヤP3cの右側の部位に、第1ピニオンギヤP1cは第3ピニオンギヤP3cの左側の部位に、それぞれ噛み合っている。
【0192】
さらに、第2リングギヤR2cは、第1サンギヤS1cと径方向に重なるように配置されており、第2サンギヤS2cおよび第2ピニオンギヤP2cの双方と径方向に重ならないように配置されている。第4ピニオンギヤP4cは、2連ピニオンギヤ301よりも短く、かつ、第2サンギヤS2c、第2ピニオンギヤP2cおよび第2リングギヤR2cよりも長い長さで、軸線方向に延びている。また、第4ピニオンギヤP4cは、第1ピニオンギヤP1cおよび第1リングギヤR1cの双方と径方向に重ならないように配置されている。第2ピニオンギヤP2cは第4ピニオンギヤP4cの右側の部位に、第2リングギヤR2cは第4ピニオンギヤP4cの左側の部位に、それぞれ噛み合っている。
【0193】
以上のように、第1サンギヤS1cおよび第1ピニオンギヤP1cが、径方向に互いに重ならないように配置されている(図22および図23参照)ので、第1および第2サンギヤS1c、S2cの径同士と、互いに一体の第1および第2ピニオンギヤP1c、P2cの径同士がそれぞれ同じであり、かつ第2サンギヤS2cおよび第2ピニオンギヤP2cが互いに噛み合っていても、第1サンギヤS1cおよび第1ピニオンギヤP1cが互いに噛み合うことはない。
【0194】
また、第3ピニオンギヤP3c、第2サンギヤS2cおよび第2ピニオンギヤP2cが、径方向に互いに重ならないように配置されている(図22図24参照)。このため、第1および第2サンギヤS1c、S2cの径同士と、互いに一体の第1および第2ピニオンギヤP1c、P2cの径同士がそれぞれ同じであり、かつ、第3ピニオンギヤP3cが第1サンギヤS1cおよび第1ピニオンギヤP1cの双方に噛み合っていても、第3ピニオンギヤP3c、第2サンギヤS2cおよび第2ピニオンギヤP2cが互いに噛み合うことはない。
【0195】
さらに、第2リングギヤR2cおよび第2ピニオンギヤP2cが、径方向に互いに重ならないように配置されている(図23および図24参照)ので、第1および第2リングギヤR1c、R2cの径同士と、互いに一体の第1および第2ピニオンギヤP1c、P2cの径同士がそれぞれ同じであり、かつ、第1ピニオンギヤP1cおよび第1リングギヤR1cが互いに噛み合っていても、第2リングギヤR2cおよび第2ピニオンギヤP2cが互いに噛み合うことはない。
【0196】
また、第4ピニオンギヤP4c、第1ピニオンギヤP1cおよび第1リングギヤR1cが、径方向に互いに重ならないように配置されている(図22図24参照)。このため、互いに一体の第1および第2ピニオンギヤP1c、P2cの径同士と、第1および第2リングギヤR1c、R2cの径同士がそれぞれ同じであり、かつ、第4ピニオンギヤP4cが第2ピニオンギヤP2cおよび第2リングギヤR2cの双方に噛み合っていても、第4ピニオンギヤP4c、第1ピニオンギヤP1cおよび第1リングギヤR1cが互いに噛み合うことはない。
【0197】
以上のように、この変形例によれば、第5実施形態と同様、第1および第2ピニオンギヤP1c、P2cの径同士および歯数同士が、それぞれ同じ値に設定されているので、その生産性に優れている。同様に、第1および第2サンギヤS1c、S2cの径同士および歯数同士と、第1および第2リングギヤR1c、R2cの径同士および歯数同士が、それぞれ同じ値に設定されているので、それらの生産性に優れている。
【0198】
次に、図17および図18を参照しながら、本発明の第6実施形態による動力装置81について説明する。この動力装置81は、第1実施形態と比較して、歯車装置GSDの構成が主に異なっている。図17および図18において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0199】
歯車装置GSDは、基本的には、第4実施形態による歯車装置GSBと同様に構成されており、キャリア部材201、第1サンギヤS1D、ピニオンギヤPD、2連ピニオンギヤ202、第1リングギヤR1D、第2サンギヤS2Dおよび第2リングギヤR2Dを有している。歯車装置GSDは、左右の出力軸SRL、SRRと同軸状に配置されており、左右の後輪WRL、WRRの間に位置している。
【0200】
キャリア部材201は、ドーナツ板状の基部201aと、基部201aに一体に設けられた4つの第1支軸201bおよび第2支軸201c(いずれも2つのみ図示)で構成されている。また、キャリア部材201は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されており、その内側には、後述する第1および第3回転軸82、84が相対的に回転自在に配置されている。
【0201】
第1支軸201bは基部201aの径方向の内端部に、第2支軸201cは基部201aの径方向の外端部に、それぞれ配置されており、両者201bおよび201cはいずれも、左右の出力軸SRL、SRRの軸線方向に、右後輪WRR側に延びている。また、4つの第1支軸201bは、基部201aの周方向に互いに等間隔に位置しており、このことは4つの第2支軸201cについても同様である。
【0202】
前記2連ピニオンギヤ202は、互いに一体に形成された第1ピニオンギヤP1Dおよび第2ピニオンギヤP2Dで構成されている。2連ピニオンギヤ202の数は、上述した第2支軸201cと同じ値4であり(2つのみ図示)、各2連ピニオンギヤ202は、第2支軸201cに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されている。また、第1および第2ピニオンギヤP1D、P2Dは、互いに異なるピッチ円直径を有している。なお、2連ピニオンギヤ202および第2支軸201cの数は値4に限らず、任意である。
【0203】
また、第1サンギヤS1D、ピニオンギヤPD、2連ピニオンギヤ202の第1ピニオンギヤP1Dおよび第1リングギヤR1Dは、径方向に内側からこの順で並んでいる。第1サンギヤS1Dは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第1回転軸82を介して、第1ロータ11bに連結されており、第1ロータ11bと一体に回転自在である。第1回転軸82の内側および外側にはそれぞれ、右出力軸SRRおよび第3回転軸84が相対的に回転自在に配置されている。
【0204】
また、ピニオンギヤPDの数は、キャリア部材201の前述した第1支軸201bと同じ値4(2つのみ図示)である。各ピニオンギヤPDは、第1支軸201bに、軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されており、第1サンギヤS1Dおよび第1ピニオンギヤP1Dの双方に噛み合っている。なお、ピニオンギヤPDおよび第1支軸201bの数は値4に限らず、任意である。第1リングギヤR1Dは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第2回転軸83およびフランジを介して、右出力軸SRRに連結されており、右出力軸SRRと一体に回転自在である。第2回転軸83の内側および外側には、キャリア部材201および後述する第4回転軸85が相対的に回転自在に配置されている。
【0205】
前記第2サンギヤS2D、2連ピニオンギヤ202の第2ピニオンギヤP2Dおよび第2リングギヤR2Dは、径方向に内側からこの順で並んでおり、これらの歯車組は、上述した第1サンギヤS1D、ピニオンギヤPD、第1ピニオンギヤP1Dおよび第1リングギヤR1Dから成る歯車組と第2回転電機12との間に配置されている。第2サンギヤS2Dは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第3回転軸84を介して、第2ロータ12bに連結されており、第2ロータ12bと一体に回転自在である。
【0206】
2連ピニオンギヤ202の第2ピニオンギヤP2Dは、第2サンギヤS2Dおよび第2リングギヤR2Dの双方に噛み合っている。第2リングギヤR2Dは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持された中空の第4回転軸85およびフランジを介して、左出力軸SRLに連結されており、左出力軸SRLと一体に回転自在である。また、第2リングギヤR2Dのピッチ円直径が、第1リングギヤR1Dよりも大きな値に、第2ピニオンギヤP2Dのピッチ円直径が、第1ピニオンギヤP1Dよりも大きな値に、それぞれ設定されている。
【0207】
以上の構成により、第1サンギヤS1D、第2リングギヤR2D、第1リングギヤR1D、キャリア部材201、第2サンギヤS2Dは、互いの間で動力を伝達可能であるとともに、それらの回転数が互いに共線関係にある。また、キャリア部材201を固定した状態で、第1サンギヤS1Dを回転させたときには、第1および第2リングギヤR1D、R2Dはいずれも、第1サンギヤS1Dの回転方向と同方向に回転し、第2サンギヤS2Dは、第1サンギヤS1Dの回転方向と逆方向に回転する。
【0208】
この場合、各ギヤの歯数の関係から、第1サンギヤS1Dの回転数、第2リングギヤR2Dの回転数および第1リングギヤR1Dの回転数の間に、「第1サンギヤS1Dの回転数>第2リングギヤR2Dの回転数>第1リングギヤR1Dの回転数」という関係が成立する。以上から、回転数の関係を表す共線図において、第1サンギヤS1D、第2リングギヤR2D、第1リングギヤR1D、キャリア部材201および第2サンギヤS2Dは、この順で並ぶ。
【0209】
また、第1サンギヤS1Dおよび第1ロータ11bは、第1回転軸82を介して互いに連結されているので、第1サンギヤS1Dおよび第1ロータ11bの回転数は、互いに等しい。さらに、第1リングギヤR1Dは、第2回転軸83およびフランジを介して右出力軸SRRに連結されているので、第1リングギヤR1Dおよび右出力軸SRRの回転数は、互いに等しい。また、第2リングギヤR2Dは、第4回転軸85およびフランジを介して左出力軸SRLに連結されているので、第2リングギヤR2Dおよび左出力軸SRLの回転数は、互いに等しい。さらに、第2サンギヤS2Dおよび第2ロータ12bは、第3回転軸84を介して互いに連結されているので、第2サンギヤS2Dおよび第2ロータ12bの回転数は、互いに等しい。
【0210】
以上から、第6実施形態による動力装置81における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係は、例えば図18に示す共線図のように表される。同図における各種のパラメータは、αCおよびβCを除いて、第1および第2実施形態で述べたとおりである。また、図18から明らかなように、左右の出力軸SRL、SRRは、互いに差回転が可能である。さらに、この図18と、第1実施形態の動力装置における各種の回転要素の間の回転数の関係およびトルクの釣り合い関係を示す図5との比較から明らかなように、この第6実施形態による動力装置81は、第1実施形態による動力装置1と同様に動作する。
【0211】
また、図18におけるαCおよびβCはそれぞれ、第1レバー比および第2レバー比であり、次式(8)および(9)で表される。
αC={ZR1D(ZR2D×ZP1D−ZS1D×ZP2D)}
/{ZS1D(ZR1D×ZP2D−ZR2D×ZP1D)
……(8)
βC={ZR2D(ZR1D×ZP2D+ZS2D×ZP1D)}
/{ZS2D(ZR1D×ZP2D−ZR2D×ZP1D)}
……(9)
【0212】
ここで、ZR1Dは第1リングギヤR1Dの歯数であり、ZR2Dは、第2リングギヤR2Dの歯数、ZP1Dは第1ピニオンギヤP1Dの歯数、ZS1Dは第1サンギヤS1Dの歯数、ZP2Dは第2ピニオンギヤP2Dの歯数、ZS2Dは第2サンギヤS2Dの歯数である。なお、図18に示す共線図における第1および第2リングギヤR1D、R2Dの並び順は、それぞれの歯数の設定によって互いに入れ替わる。
【0213】
また、第6実施形態における各種の要素と、本発明における各種の要素との対応関係は、第5実施形態と同様である。
【0214】
以上のように、第6実施形態によれば、2連ピニオンギヤ202およびピニオンギヤPDが、キャリア部材201に回転自在に支持されており、2連ピニオンギヤ202の第1ピニオンギヤP1DがピニオンギヤPDに、ピニオンギヤPDが第1サンギヤS1Dに、第2ピニオンギヤP2Dが第2サンギヤS2Dに、それぞれ噛み合っている。また、第1および第2ピニオンギヤP1D、P2Dが、第1および第2リングギヤR1D、R2Dにそれぞれ噛み合っている。
【0215】
また、第1および第2サンギヤS1D、S2Dは、第1および第2回転電機11、12にそれぞれ連結されるとともに、第1および第2リングギヤR1D、R2Dは、右出力軸SRRおよび左出力軸SRLにそれぞれ連結されている。以上により、第1および第2回転電機11、12から出力された回転エネルギを、第1サンギヤS1D、第2サンギヤS2D、第2リングギヤR2Dおよび第1リングギヤR1Dなどを介して左右の出力軸SRL、SRRに伝達し、両出力軸SRL、SRRを適切に駆動(制動)することができる。
【0216】
この場合、上述したように第1サンギヤS1D、第2リングギヤR2D、第1リングギヤR1D、キャリア部材202および第2サンギヤS2Dの回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2回転電機11、12における回転エネルギの入出力を制御することによって、左右の出力軸SRL、SRRに分配される回転エネルギ(トルク)を適切に制御することができ、ひいては、車両の旋回性を含めた走行性を高めることができる。
【0217】
さらに、前述した従来の動力装置と異なり、左右の出力軸SRL、SRRに、サンギヤではなく、第2および第1リングギヤR2D、R1Dがそれぞれ連結されているので、第1実施形態と同様、第1および第2リングギヤR1D、R2Dの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、それにより動力装置81の小型化を図ることができる。
【0218】
また、前述したように、共線図において第1および第2サンギヤS1D、S2Dが第2および第1リングギヤR2D、R1Dの両外側にそれぞれ位置することから明らかなように、第1および第2回転電機11、12から第1および第2サンギヤS1D、S2Dにそれぞれ伝達されたトルクは、増大した状態で左右の出力軸SRL、SRRに伝達される。このため、第1および第2サンギヤS1D、S2Dの歯幅を比較的小さな値に設定することができ、このことによっても、動力装置81の小型化を図ることができる。
【0219】
さらに、第1および第2ピニオンギヤP1D、P2Dが第1および第2リングギヤR1D、R2Dにそれぞれ噛み合っているので、第1実施形態と同様、第1および第2ピニオンギヤP1D、P2Dを支持する軸受けの小型化を図ることができ、このことによっても、動力装置81の小型化を図ることができる。
【0220】
なお、第1、第3および第6実施形態では、左右の前輪をエンジンで駆動するとともに、左右の後輪WRL、WRR(左右の出力軸SRL、SRR)を動力装置1、51、81で駆動するように車両を構成しているが、これとは逆に、左右の前輪にそれぞれ連結された左右の出力軸を本発明による動力装置で駆動するとともに、左右の後輪WRL、WRRをエンジンで駆動するように、車両を構成してもよい。また、第1、第3および第6実施形態は、エンジンが搭載された車両に、本発明による動力装置1、51、81を適用した例であるが、本発明は、これに限らず、エンジンが搭載されていない車両にも適用可能である。
【0221】
また、第4および第5実施形態では、動力装置61、71を、左右の後輪WRL、WRRに連結された左右の出力軸SRL、SRRを駆動するように構成しているが、第2実施形態と同様、左右の後輪WRL、WRRに連結された左右の出力軸SRL、SRRを駆動するように構成してもよく、あるいは、第2実施形態の第1および第2変形例と同様に構成してもよい。さらに、第4実施形態では第2リングギヤR2Aを、第5実施形態ではキャリア部材105を、本発明のエネルギ出力装置に相当するエンジンに連結しているが、エンジンに連結しなくてもよい。
【0222】
なお、本発明は、説明した第1〜第6実施形態(変形例を含む。以下、総称する場合「実施形態」という)に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第1、第2、第5および第6実施形態では、第1リングギヤR1、R1C、R1Dを右出力軸SRR(SFR)に、第2リングギヤR2、R2C、R2Dを左出力軸SRL(SFL)に、それぞれ連結しているが、これとは逆に、第1リングギヤR1、R1C、R1Dを左出力軸SRL(SFL)に、第2リングギヤR2、R2C、R2Dを右出力軸SRR(SFR)に、それぞれ連結してもよい。この場合、第2実施形態で述べた差動装置DのサンギヤSDは、第1リングギヤR1と左出力軸SRL(SFL)との間の回転エネルギの伝達経路に連結され、キャリアCDは、第2リングギヤR2と右出力軸SRR(SFR)との間の回転エネルギの伝達経路上に設けられる。
【0223】
また、第3および第4実施形態では、第1リングギヤR1Aを左出力軸SRLに、キャリア部材101を右出力軸SRRに、それぞれ連結しているが、これとは逆に、第1リングギヤR1Aを右出力軸SRRに、キャリア部材101を左出力軸SRLに、それぞれ連結してもよい。さらに、実施形態では、第1および第2ピニオンギヤP1、P1A、P1C、P1D、P2、P2A、P2C、P2Dを、互いに一体に形成しているが、別個に形成した後に、互いに一体に連結してもよい。
【0224】
また、実施形態では、本発明における第1および第2エネルギ入出力装置は、第1および第2回転電機11、12であるが、回転エネルギを入出力可能な他の装置、例えば、油圧モータなどでもよい。さらに、実施形態では、第1および第2回転電機11、12として、ACモータを用いているが、回転エネルギと電気エネルギの間でエネルギを変換可能な他の装置、例えばDCモータを用いてもよい。
【0225】
また、実施形態では、バッテリ23が第1および第2回転電機11、12に共用されているが、バッテリを別個に設けてもよい。さらに、実施形態では、第1および第2回転電機11、12で回生した電力を、バッテリ23に充電しているが、キャパシタに充電してもよい。あるいは、第1および第2回転電機11、12とは異なる他の回転電機と、この他の回転電機に連結されたフライホイールとを用い、第1および第2回転電機11、12で回生した電力を他の回転電機で動力に変換するとともに、変換された動力を、運動エネルギとしてフライホイールに蓄積してもよい。あるいは、第1および第2回転電機11、12で回生した電力を、他の回転電機やアクチュエータに直接、供給してもよい。あるいは、第1および第2回転電機11、12に代えて、上述したように回転エネルギを圧力エネルギに変換可能な油圧モータを用いるとともに、この油圧モータで変換された圧力エネルギをアキュームレータに蓄積してもよい。
【0226】
また、第2実施形態では、ダブルピニオン式の遊星歯車装置である差動装置Dを用いているが、互いに差回転が可能な第1〜第3回転要素を有する他の装置、例えば、シングルピニオン式の遊星歯車装置や、次のようなタイプの差動装置を用いてもよい。すなわち、一対のサイドギヤと、両サイドギヤに噛み合う複数のピニオンギヤと、これらのピニオンギヤを回転自在に支持するキャリアを有し、キャリアに伝達されたトルクを一対のサイドギヤの各々に1:1の分配比で分配するタイプの差動装置を用いてもよい。さらに、実施形態では、本発明による動力装置1、41、51、61、71、81を、左右の出力軸SRL、SRR(SFL、SFR)を駆動するように構成しているが、車両の前後の駆動輪に連結された前後の出力軸を駆動するように構成してもよい。
【0227】
また、第2、第4および第5実施形態では、本発明におけるエネルギ出力装置として、ガソリンエンジンであるエンジン(3)を用いているが、回転エネルギを出力可能な他の装置、例えば、ディーゼルエンジンや、LPGエンジン、CNG(Compressed Natural Gas)エンジン、外燃機関、回転電機、油圧モータなどを用いてもよい。さらに、実施形態では、左右の出力軸SRL、SRR(SFL、SFR)を、左右の後輪WRL、WRR(左右の前輪WFL、WFR)にそれぞれ直接、連結しているが、ギヤなどを介して連結してもよい。また、実施形態は、本発明を車両に適用した例であるが、本発明は、これに限らず、例えば船舶や航空機などにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【産業上の利用の可能性】
【0228】
本発明は、装置の小型化を図る上で、極めて有用である。
【符号の説明】
【0229】
1 動力装置
3 エンジン(エネルギ出力装置)
SRR 右出力軸(2つの回転軸の一方)
SRL 左出力軸(2つの回転軸の他方)
VFR 車両(輸送機関)
VAW 車両(輸送機関)
WRL 左後輪(2つの被駆動部)
WRR 右後輪(2つの被駆動部)
WFL 左前輪(2つの被駆動部)
WFR 右前輪(2つの被駆動部)
13 キャリア部材
14 2連ピニオンギヤ
P1 第1ピニオンギヤ
P2 第2ピニオンギヤ
P ピニオンギヤ
S サンギヤ
R1 第1リングギヤ
R2 第2リングギヤ
11 第1回転電機(第1エネルギ入出力装置)
12 第2回転電機(第2エネルギ入出力装置)
17 フランジ(第1リングギヤと2つの回転軸の一方との間の
回転エネルギの伝達経路)
41 動力装置
SFR 右出力軸(2つの回転軸の一方)
SFL 左出力軸(2つの回転軸の他方)
D 差動装置
SD サンギヤ(第1回転要素)
CD キャリア(第2回転要素)
RD リングギヤ(第3回転要素)
51 動力装置
61 動力装置
P1A 第1ピニオンギヤ
P2A 第2ピニオンギヤ
102 2連ピニオンギヤ
PA ピニオンギヤ
101 キャリア部材
S1A 第1サンギヤ
S2A 第2サンギヤ
R1A 第1リングギヤ
R2A 第2リングギヤ
71 動力装置
P1C 第1ピニオンギヤ
P2C 第2ピニオンギヤ
106 2連ピニオンギヤ
P3C 第3ピニオンギヤ
P4C 第4ピニオンギヤ
105 キャリア部材
S1C 第1サンギヤ
R1C 第1リングギヤ
S2C 第2サンギヤ
R2C 第2リングギヤ
P1c 第1ピニオンギヤ
P2c 第2ピニオンギヤ
301 2連ピニオンギヤ
P3c 第3ピニオンギヤ
P4c 第4ピニオンギヤ
302 キャリア部材
S1c 第1サンギヤ
R1c 第1リングギヤ
S2c 第2サンギヤ
R2c 第2リングギヤ
81 動力装置
P1D 第1ピニオンギヤ
P2D 第2ピニオンギヤ
202 2連ピニオンギヤ
PD ピニオンギヤ
201 キャリア部材
S1D 第1サンギヤ
R1D 第1リングギヤ
S2D 第2サンギヤ
R2D 第2リングギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24

【手続補正書】
【提出日】2013年7月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在のサンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記キャリア部材に連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項2】
互いに差回転が可能な第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する差動装置と、
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置と、をさらに備え、
前記第1回転要素は、前記第1リングギヤと前記2つの回転軸の前記一方との間の回転エネルギの伝達経路に連結され、前記第2回転要素は、前記第2リングギヤと前記2つの回転軸の前記他方との間の回転エネルギの伝達経路上に設けられるとともに、前記第3回転要素は、前記エネルギ出力装置に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の動力装置。
【請求項3】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持するとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第1および第2ピニオンギヤの一方に噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、を備え、
前記第1および第2ピニオンギヤの他方に噛み合う、回転自在の第2リングギヤをさらに備えることを特徴とする動力装置。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、
前記第2リングギヤは、前記エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする、請求項3に記載の動力装置。
【請求項6】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合う第3ピニオンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う第4ピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤ、前記第3および第4ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記第3ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第4ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項7】
前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤは、互いに同じ径および同じ歯数を有することを特徴とする、請求項6に記載の動力装置。
【請求項8】
前記第1リングギヤと前記第2リングギヤは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする、請求項7に記載の動力装置。
【請求項9】
前記第1サンギヤと前記第2サンギヤは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする、請求項8に記載の動力装置。
【請求項10】
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、
前記キャリア部材は、前記エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする、請求項6ないし9のいずれかに記載の動力装置。
【請求項11】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項12】
前記第1および第2エネルギ入出力装置が回転電機であることを特徴とする、請求項1、2、3、5、6、7、8、9、10及び11のいずれかに記載の動力装置。
【請求項13】
前記2つの回転軸は、輸送機関を推進するための2つの被駆動部に連結されていることを特徴とする、請求項1、2、3、5、6、7、8、9、10、11及び12のいずれかに記載の動力装置。
【請求項14】
前記2つの被駆動部の一方は、前記輸送機関の進行方向に対して、左右方向の一方の側に配置され、前記2つの被駆動部の他方は、前記左右方向の他方の側に配置されていることを特徴とする、請求項13に記載の動力装置。
【請求項15】
前記輸送機関は車両であって、前記被駆動部は前記車両の車輪であることを特徴とする、請求項13または14に記載の動力装置。

【手続補正書】
【提出日】2014年9月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在のサンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記キャリア部材に連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項2】
互いに差回転が可能な第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する差動装置と、
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置と、をさらに備え、
前記第1回転要素は、前記第1リングギヤと前記2つの回転軸の前記一方との間の回転エネルギの伝達経路に連結され、前記第2回転要素は、前記第2リングギヤと前記2つの回転軸の前記他方との間の回転エネルギの伝達経路上に設けられるとともに、前記第3回転要素は、前記エネルギ出力装置に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の動力装置。
【請求項3】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持するとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第1および第2ピニオンギヤの一方に噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、を備え、
前記第1および第2ピニオンギヤの他方に噛み合う、回転自在の第2リングギヤをさらに備えることを特徴とする動力装置。
【請求項4】
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、
前記第2リングギヤは、前記エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする、請求項3に記載の動力装置。
【請求項5】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合う第3ピニオンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う第4ピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤ、前記第3および第4ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記第3ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第4ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項6】
前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤは、互いに同じ径および同じ歯数を有することを特徴とする、請求項5に記載の動力装置。
【請求項7】
前記第1リングギヤと前記第2リングギヤは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする、請求項6に記載の動力装置。
【請求項8】
前記第1サンギヤと前記第2サンギヤは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする、請求項7に記載の動力装置。
【請求項9】
回転エネルギを出力可能に構成され、前記第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、
前記キャリア部材は、前記エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする、請求項5ないし8のいずれかに記載の動力装置。
【請求項10】
互いに差回転が可能な2つの回転軸を駆動するための動力装置であって、
互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤおよび第2ピニオンギヤで構成された2連ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記2連ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材と、
前記ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第1サンギヤと、
前記第1ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の一方に連結された、回転自在の第1リングギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合う、回転自在の第2サンギヤと、
前記第2ピニオンギヤに噛み合うとともに、前記2つの回転軸の他方に連結された、回転自在の第2リングギヤと、
前記第1サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置と、
前記第2サンギヤに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置と、
を備えることを特徴とする動力装置。
【請求項11】
前記第1および第2エネルギ入出力装置が回転電機であることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれかに記載の動力装置。
【請求項12】
前記2つの回転軸は、輸送機関を推進するための2つの被駆動部に連結されていることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の動力装置。
【請求項13】
前記2つの被駆動部の一方は、前記輸送機関の進行方向に対して、左右方向の一方の側に配置され、前記2つの被駆動部の他方は、前記左右方向の他方の側に配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の動力装置。
【請求項14】
前記輸送機関は車両であって、前記被駆動部は前記車両の車輪であることを特徴とする、請求項12または13に記載の動力装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
前記目的を達成するため、請求項3に係る発明は、互いに差回転が可能な2つの回転軸(実施形態における(以下、本項において同じ)左右の出力軸SRL、SRR)を駆動するための動力装置61であって、互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤP1Aおよび第2ピニオンギヤP2Aで構成された2連ピニオンギヤ102と、第1ピニオンギヤP1Aに噛み合うピニオンギヤPAと、2連ピニオンギヤ102およびピニオンギヤPAを回転自在に支持するとともに、2つの回転軸の一方(右出力軸SRR)に連結された、回転自在のキャリア部材101と、ピニオンギヤPAに噛み合う、回転自在の第1サンギヤS1Aと、第2ピニオンギヤP2Aに噛み合う、回転自在の第2サンギヤS2Aと、第1および第2ピニオンギヤP1A、P2Aの一方に噛み合うとともに、2つの回転軸の他方(左出力軸SRL)に連結された、回転自在の第1リングギヤR1Aと、第1サンギヤS1Aに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置(第1回転電機11)と、第2サンギヤS2Aに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置(第2回転電機12)と、を備え、第1および第2ピニオンギヤP1A、P2Aの他方に噛み合う、回転自在の第2リングギヤR2Aをさらに備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
さらに、第1および第2ピニオンギヤの一方が第1リングギヤに噛み合っていることから、請求項1に係る発明と同様、この第1および第2ピニオンギヤの一方について、回転に伴う遠心力と噛合い反力が互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来のピニオン軸受けと比較して、第1および第2ピニオンギヤの一方を支持する軸受けの小型化を図ることができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
また、前述した構成によれば、第1および第2ピニオンギヤに噛み合う第2リングギヤをさらに備えている。以上の構成から明らかなように、第1サンギヤ、第1および第2リングギヤの一方、第1および第2リングギヤの他方、キャリア部材、および第2サンギヤの回転数は、いわゆる共線関係にあり、共線図において一つの直線上に並ぶ。このように、回転数が互いに共線関係にある5つの回転要素を構成することができる。
また、請求項1の場合と同様、第1および第2ピニオンギヤの双方について、回転に伴う遠心力と噛合い反力が互いに相殺しあうように作用するので、前述した従来のピニオン軸受けと比較して、第1および第2ピニオンギヤを支持する軸受けの小型化を図ることができ、このことによっても、動力装置の小型化を図ることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
請求項に係る発明は、請求項に記載の動力装置61において、回転エネルギを出力可能に構成され、第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、第2リングギヤR2Aは、エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
この構成によれば、請求項の説明で述べた、回転数が互いに共線関係にある5つの回転要素、すなわち第1サンギヤ、第1および第2リングギヤの一方、第1および第2リングギヤの他方、キャリア部材、および第2サンギヤのうち、第1リングギヤが他方の回転軸に、第2リングギヤがエネルギ出力装置に、それぞれ機械的に連結されている。これにより、2つの回転軸に、第1および第2エネルギ入出力装置からの回転エネルギに加え、エネルギ出力装置からの回転エネルギが伝達されるので、第1および第2エネルギ入出力装置に必要とされる回転エネルギを低減でき、ひいては、両装置の小型化を図ることができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
前記目的を達成するため、請求項に係る発明は、互いに差回転が可能な2つの回転軸(実施形態における(以下、本項において同じ)左右の出力軸SRL、SRR)を駆動するための動力装置71であって、互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤP1C、P1cおよび第2ピニオンギヤP2C、P2cで構成された2連ピニオンギヤ106、301と、第1ピニオンギヤP1C、P1cに噛み合う第3ピニオンギヤP3C、P3cと、第2ピニオンギヤP2C、P2cに噛み合う第4ピニオンギヤP4C、P4cと、2連ピニオンギヤ106、301、第3および第4ピニオンギヤP3C、P3c、P4C、P4cを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材105、302と、第3ピニオンギヤP3C、P3cに噛み合う、回転自在の第1サンギヤS1C、S1cと、第1ピニオンギヤP1C、P1cに噛み合うとともに、2つの回転軸の一方(右出力軸SRR)に連結された、回転自在の第1リングギヤR1C、R1cと、第2ピニオンギヤP2C、P2cに噛み合う、回転自在の第2サンギヤS2C、S2cと、第4ピニオンギヤP4C、P4cに噛み合うとともに、2つの回転軸の他方(左出力軸SRL)に連結された、回転自在の第2リングギヤR2C、R2cと、第1サンギヤS1C、S1cに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置(第1回転電機11)と、第2サンギヤS2C、S2cに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置(第2回転電機12)と、を備えることを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
請求項に係る発明は、請求項に記載の動力装置71において、第1ピニオンギヤP1C、P1cと第2ピニオンギヤP2C、P2cは、互いに同じ径および同じ歯数を有することを特徴とする。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
請求項に係る発明は、請求項に記載の動力装置71において、第1リングギヤR1C、R1cと第2リングギヤR2C、R2cは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
請求項に係る発明は、請求項に記載の動力装置71において、第1サンギヤS1C、S1cと第2サンギヤS2C、S2cは、互いに同じ歯数を有することを特徴とする。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
請求項に係る発明は、請求項ないしのいずれかに記載の動力装置71において、回転エネルギを出力可能に構成され、第1および第2エネルギ入出力装置とは別個に設けられたエネルギ出力装置をさらに備え、キャリア部材105は、エネルギ出力装置に機械的に連結されていることを特徴とする。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
前記目的を達成するため、請求項10に係る発明は、互いに差回転が可能な2つの回転軸(実施形態における(以下、本項において同じ)左右の出力軸SRL、SRR)を駆動するための動力装置81であって、互いに一体に設けられた第1ピニオンギヤP1Dおよび第2ピニオンギヤP2Dで構成された2連ピニオンギヤ202と、第1ピニオンギヤP1Dに噛み合うピニオンギヤPDと、2連ピニオンギヤ202およびピニオンギヤPDを回転自在に支持する、回転自在のキャリア部材201と、ピニオンギヤPDに噛み合う、回転自在の第1サンギヤS1Dと、第1ピニオンギヤP1Dに噛み合うとともに、2つの回転軸の一方(右出力軸SRR)に連結された、回転自在の第1リングギヤR1Dと、第2ピニオンギヤP2Dに噛み合う、回転自在の第2サンギヤS2Dと、第2ピニオンギヤP2Dに噛み合うとともに、2つの回転軸の他方(左出力軸SRL)に連結された、回転自在の第2リングギヤR2Dと、第1サンギヤS1Dに連結された、回転エネルギを入出力可能な第1エネルギ入出力装置(第1回転電機11)と、第2サンギヤS2Dに連結された、回転エネルギを入出力可能な第2エネルギ入出力装置(第2回転電機12)と、を備えることを特徴とする。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の動力装置1、41、61、71、81において、第1および第2エネルギ入出力装置が回転電機であることを特徴とする。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
請求項12に係る発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の動力装置1、41、61、71、81において、2つの回転軸は、輸送機関(車両VFR、車両VAW)を推進するための2つの被駆動部(左右の後輪WRL、WRR、左右の前輪WFL、WFR)に連結されていることを特徴とする。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の動力装置1、41、61、71、81において、2つの被駆動部の一方は、輸送機関の進行方向に対して、左右方向の一方の側に配置され、2つの被駆動部の他方は、左右方向の他方の側に配置されていることを特徴とする。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
請求項14に係る発明は、請求項12または13に記載の動力装置1、41、61、71、81において、輸送機関は車両であって、被駆動部は車両の車輪であることを特徴とする。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
この構成によれば、車両について、請求項12または13に係る発明による効果を有効に得ることができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0211
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0211】
また、図18におけるαCおよびβCはそれぞれ、第1レバー比および第2レバー比であり、次式(8)および(9)で表される。
αC={ZR1D(ZR2D×ZP1D−ZS1D×ZP2D)}
/{ZS1D(ZR1D×ZP2D−ZR2D×ZP1D) ……(8)
βC={ZR2D(ZR1D×ZP2D+ZS2D×ZP1D)}
/{ZS2D(ZR1D×ZP2D−ZR2D×ZP1D)} ……(9)
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0216
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0216】
この場合、上述したように第1サンギヤS1D、第2リングギヤR2D、第1リングギヤR1D、キャリア部材20および第2サンギヤS2Dの回転数が互いに共線関係にあるので、第1および第2回転電機11、12における回転エネルギの入出力を制御することによって、左右の出力軸SRL、SRRに分配される回転エネルギ(トルク)を適切に制御することができ、ひいては、車両の旋回性を含めた走行性を高めることができる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0221
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0221】
また、第4および第5実施形態では、動力装置61、71を、左右の後輪WRL、WRRに連結された左右の出力軸SRL、SRRを駆動するように構成しているが、第2実施形態と同様、左右の輪WL、WRに連結された左右の出力軸SL、SRを駆動するように構成してもよく、あるいは、第2実施形態の第1および第2変形例と同様に構成してもよい。さらに、第4実施形態では第2リングギヤR2Aを、第5実施形態ではキャリア部材105を、本発明のエネルギ出力装置に相当するエンジンに連結しているが、エンジンに連結しなくてもよい。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0229
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0229】
1 動力装置
3 エンジン(エネルギ出力装置)
SRR 右出力軸(2つの回転軸の一方)
SRL 左出力軸(2つの回転軸の他方)
VFR 車両(輸送機関)
VAW 車両(輸送機関)
WRL 左後輪(2つの被駆動部)
WRR 右後輪(2つの被駆動部)
WFL 左前輪(2つの被駆動部)
WFR 右前輪(2つの被駆動部)
13 キャリア部材
14 2連ピニオンギヤ
P1 第1ピニオンギヤ
P2 第2ピニオンギヤ
P ピニオンギヤ
S サンギヤ
R1 第1リングギヤ
R2 第2リングギヤ
11 第1回転電機(第1エネルギ入出力装置)
12 第2回転電機(第2エネルギ入出力装置)
17 フランジ(第1リングギヤと2つの回転軸の一方との間の
回転エネルギの伝達経路)
41 動力装置
SFR 右出力軸(2つの回転軸の一方)
SFL 左出力軸(2つの回転軸の他方)
D 差動装置
SD サンギヤ(第1回転要素)
CD キャリア(第2回転要素)
RD リングギヤ(第3回転要素)
61 動力装置
P1A 第1ピニオンギヤ
P2A 第2ピニオンギヤ
102 2連ピニオンギヤ
PA ピニオンギヤ
101 キャリア部材
S1A 第1サンギヤ
S2A 第2サンギヤ
R1A 第1リングギヤ
R2A 第2リングギヤ
71 動力装置
P1C 第1ピニオンギヤ
P2C 第2ピニオンギヤ
106 2連ピニオンギヤ
P3C 第3ピニオンギヤ
P4C 第4ピニオンギヤ
105 キャリア部材
S1C 第1サンギヤ
R1C 第1リングギヤ
S2C 第2サンギヤ
R2C 第2リングギヤ
P1c 第1ピニオンギヤ
P2c 第2ピニオンギヤ
301 2連ピニオンギヤ
P3c 第3ピニオンギヤ
P4c 第4ピニオンギヤ
302 キャリア部材
S1c 第1サンギヤ
R1c 第1リングギヤ
S2c 第2サンギヤ
R2c 第2リングギヤ
81 動力装置
P1D 第1ピニオンギヤ
P2D 第2ピニオンギヤ
202 2連ピニオンギヤ
PD ピニオンギヤ
201 キャリア部材
S1D 第1サンギヤ
R1D 第1リングギヤ
S2D 第2サンギヤ
R2D 第2リングギヤ
【国際調査報告】