特表-13146819IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 再表WO2013146819-二次電池 図000013
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月3日
【発行日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20151117BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20151117BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20151117BHJP
【FI】
   H01M10/0567
   H01M10/0568
   H01M10/052
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2014-507931(P2014-507931)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-78143(P2012-78143)
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 信作
(72)【発明者】
【氏名】井上 和彦
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ02
5H029HJ10
(57)【要約】
本発明は、スルホン酸エステル化合物と、末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物とを含む、リチウム二次電池用電解液、およびこれを用いたリチウム二次電池に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホン酸エステル化合物と、末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物とを含む、リチウム二次電池用電解液。
【請求項2】
前記スルホン酸エステル化合物がジスルホン酸エステル化合物である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項3】
前記スルホン酸エステル化合物が環状ジスルホン酸エステル化合物である、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項4】
前記末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物が、末端に不飽和結合を2つ以上有するスルホン酸エステル化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項5】
前記末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物が、末端に不飽和結合を2つ以上有するジスルホン酸エステル化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項6】
前記スルホン酸エステル化合物と前記末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物との合計が、0.03〜0.2mol/Lである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項7】
前記スルホン酸エステル化合物と前記末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物との比が1:9〜9:1である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項8】
前記スルホン酸エステル化合物が、下記式(1)
【化1】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキレン鎖である。)
で表される化合物であり、
前記末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物が、下記式(2):
【化2】
(式中、R3は炭素数1〜5のアルキレン鎖である。)
で表される化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項9】
さらに支持塩として1MのLiPFを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電解液を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用電解液、およびこれを用いた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パソコン、携帯電話、電気自動車などの急速な市場拡大に伴い、高エネルギー密度の二次電池が求められている。高エネルギー密度の二次電池を得る手段として、容量の大きな負極材料を用いる方法や、安定性に優れた非水電解液を使用する方法などが挙げられる。
【0003】
リチウム二次電池においては、エチレンカーボネート(EC)等のカーボネート系の溶媒が好適に用いられている。しかし、例えば負極に黒鉛等の炭素材料が用いられた場合、電解液が負極で分解し、電池特性が低下するという問題があった。
【0004】
特許文献1および2には、電池のサイクル特性および電気容量等を向上させるために、ジスルホン酸エステル誘導体を添加剤として含有する電解液が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−133304号公報
【特許文献2】特開2001−313071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2に記載の電解液を用いた二次電池では、サイクルを多く重ねた場合の容量維持率、放電容量がともに不十分であった。なお、特許文献1および特許文献2の実施例においては、電解液中に1種類の添加剤を用いた場合のみが示されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スルホン酸エステル化合物と、末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物とを含むリチウム二次電池用電解液およびこれを用いた二次電池に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サイクル特性が向上したリチウム二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の非水電解液二次電池のラミネート外装型構造の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の非水電解液を用いた二次電池の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の非水電解液を用いた二次電池の概略構成図の一例である。本発明に係る電池は、たとえば図1のような構造を有する。正極は、正極活物質を含有する層1が正極集電体3上に成膜して成る。負極は、負極活物質を含有する層2が負極集電体4上に成膜して成る。これらの正極と負極は、多孔質セパレータ5を介して対向配置されている。多孔質セパレータ5は、負極活物質を含有する層2に対して略平行に配置されている。本発明の二次電池は、これら正極および負極が対向配置された電極素子と、電解液とが外装体6および7に内包されている。本実施の形態に係る非水電解液二次電池の形状としては、特に制限はないが、例えば、ラミネート外装型、円筒型、角型、コイン型などがあげられる。
【0011】
<電解液>
本実施形態における電解液は、非水電解液中に、添加剤として、スルホン酸エステル化合物と、末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物とを含有する。
【0012】
非水電解液としては特に限定されないが、例えばリチウム塩を非水溶媒に溶解した溶液を用いることができる。
【0013】
リチウム塩としては、LiPF、リチウムイミド塩、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF等が挙げられる。リチウムイミド塩としては、LiN(C2k+1SO)(C2m+1SO)(kおよびmは、それぞれ独立して1または2である)が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0014】
非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、γ−ラクトン、環状エーテルおよび鎖状エーテルからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を用いることができる。環状カーボネートとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。脂肪族カルボン酸エステルとしては、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。γ−ラクトンとしては、γ−ブチロラクトンおよびその誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランおよびその誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。鎖状エーテルとしては、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、エチルエーテル、ジエチルエーテル、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)が挙げられる。非水溶媒としては、これら以外にも、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルオニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−プロパンスルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、およびこれらの誘導体(フッ素化物を含む)を用いることもできる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0015】
非水電解液中のリチウム塩の濃度としては、0.7mol/L以上、1.5mol/L以下であることが好ましい。リチウム塩の濃度を0.7mol/L以上とすることにより、十分なイオン導電性が得られる。また、リチウム塩の濃度を1.5mol/L以下とすることにより、粘度を低くすることができ、リチウムイオンの移動が妨げられない。
【0016】
本実施形態においては、非水電解液中に、添加剤として、スルホン酸エステル化合物(以下、「化合物A」と記載することもある。)と、末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物(以下、「化合物B」と記載することもある。)とを含有する。なお、本明細書において、単に「スルホン酸エステル化合物」または「化合物A」と記載したときは、特に明示がない限り、末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物は含まないものとする。
【0017】
(化合物A)
本実施形態におけるスルホン酸エステル化合物(化合物A)は、少なくとも1つの−SO−O−構造を有し、1つの−SO−O−構造において、S原子は3つのO原子と炭素原子とに結合し、1つのO原子はS原子と炭素原子とに結合している。これらのうち、スルホン酸エステル化合物は、1つ以上の−SO−O−構造と、1つ以上のアルキル基および/またはアルキレン鎖とを含むことが好ましく、−SO−O−構造と、アルキル基および/またはアルキレン鎖の炭素とが直接結合していることがより好ましく、−SO−O−構造と、アルキル基および/またはアルキレン鎖のみから成ることがさらに好ましい。アルキル基は、スルホン酸エステル化合物が鎖状である場合にその末端基として存在する。アルキレン鎖は、スルホン酸エステル化合物が、2つ以上の−SO−O−構造を含む場合にそれらの間の連結基として、または、環状構造の場合に存在する。電解液中に化合物Aを含有することにより、電解液の還元反応を防ぐ皮膜を負極表面に形成することができる。
【0018】
本実施形態において、スルホン酸エステル化合物は、鎖状構造であっても環状構造であってもよいが、負極表面での反応性が向上するため環状構造であることが好ましい。また、スルホン酸エステル化合物は、−SO−O−構造を1つ以上有すればよいが、2つ以上有すると負極表面での反応性が向上するため好ましく、例えば、−SO−O−構造を2つ有するジスルホン酸エステル化合物であることがより好ましい。本実施形態においては、例えば、下記式(1)で表される環状ジスルホン酸エステル化合物であることが好ましく、式(1)中、R1およびR2がそれぞれメチレン基である化合物がより好ましい。なお、電解液中、化合物Aは、1種類のみ用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0019】
【化1】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキレン鎖である。)
【0020】
(化合物B)
本実施形態における末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物(化合物B)は、分子の末端に二重結合または三重結合である不飽和結合を2つ以上含む。不飽和結合は、好ましくは炭素−炭素不飽和結合である。分子内に不飽和結合を有することにより、負極が炭素を含む場合、炭素負極への親和性が向上し、吸着しやすくなる。また、化合物Bが負極上で重合するため、充放電に伴う活物質の膨張収縮が生じても、活物質表面から剥離しにくくなるため、安定な皮膜を形成できる。
【0021】
化合物Bとしては、例えば、末端に不飽和結合を2つ以上有するスルホン酸エステル化合物が好ましい。本実施形態における末端に不飽和結合を2以上有するスルホン酸エステル化合物は、末端に不飽和結合を2以上有するとともに、少なくとも1つの−SO−O−構造を有し、1つの−SO−O−構造において、S原子は3つのO原子と炭素原子とに結合し、1つのO原子はS原子と炭素原子とに結合している。これらのうち、化合物Bは、2つ以上の不飽和結合と、1つ以上の−SO−O−構造と、1つ以上のアルキル基および/またはアルキレン鎖とを含むことが好ましく、−SO−O−構造と、アルキル基および/またはアルキレン鎖の炭素とが直接結合していることがより好ましく、2つ以上の不飽和結合と、−SO−O−構造と、アルキル基および/またはアルキレン鎖のみから成ることがさらに好ましい。アルキル基は、化合物Bが鎖状である場合にその末端基として存在する。
【0022】
末端に不飽和結合を2つ以上有するスルホン酸エステル化合物は、−SO−O−構造を1つ以上有すればよいが、2つ以上有することが好ましい。本実施形態においては、例えば、下記式(2)で表される二重結合を2つ有するジスルホン酸エステル化合物が好ましく、下記式においてR3がメチレン基であるビスアリルメタンスルホン酸エステルがより好ましい。
【0023】
【化2】
(式中、R3は炭素数1〜5のアルキレン鎖である。)
【0024】
上記以外の末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物(化合物B)として、例えば下記式(3−1)で表される1,3,5−トリエチニルベンゼン、式(3−2)で表されるトリプロパルギルアミン、式(3−3)で表されるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、式(3−4)で表されるトリアリルシアヌレート(TAC)、式(3−5)で表されるテトラアリルペンタエリスリスルホン酸エステル、および式(3−6)で表されるトリアルキニルホスホン酸エステル等が挙げられる。電解液中、化合物Bは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
上述のとおり、本実施形態においては、電解液中に、スルホン酸エステル化合物(化合物A)と、末端に不飽和結合を2つ以上有する化合物(化合物B)とを添加剤として含む。化合物Aと化合物Bとを併用すると、化合物Bは分子内に不飽和結合を2つ以上有することにより架橋構造を形成できるため、化合物Aにより形成された電解液の還元反応を防ぐ皮膜をさらに安定化できる。
【0032】
また、本実施形態においては、特に限定はされないが、化合物Aと化合物Bはそれぞれ−SO−O−構造を有することが好ましい。化合物Aと化合物Bとが同じ−SO−O−構造を有すると、化合物Aと化合物Bとの親和性が向上するため、負極表面への吸着を誘導することが出来る。そして、この化合物Aと化合物Bとの親和性の向上により、化合物Bによる架橋構造と化合物Aによる皮膜とが均一な複合膜を形成するため、リチウムイオンが均一に皮膜を透過することが出来、活物質への挿入脱離がスムーズになる。これにより、内部抵抗の低減と活物質のダメージが小さくなるため、電池の寿命が向上する。本実施形態においては、例えば、化合物Aとしてジスルホン酸エステル化合物、化合物Bとして二重結合を2つ有するスルホン酸エステル化合物を併用することが好ましく、上記式(1)で表される環状ジスルホン酸エステル化合物と式(2)で表される末端に二重結合を2つ有するジスルホン酸エステル化合物とを併用することがより好ましい。
【0033】
化合物Aと化合物Bの合計含有量は、特に限定はされないが、電解液中、0.01mol/L以上0.2mol/L以下が好ましく、0.03mol/L以上0.2mol/L以下がより好ましく、0.1mol/Lが特に好ましい。また、化合物Aと化合物Bとの混合比率は、特に限定はされないが、1:9〜9:1が好ましい。
【0034】
また、本実施形態において、電解液には、必要に応じて、上記化合物Aおよび化合物B以外のその他の添加剤も含めることができる。その他の添加剤としては、例えば、過充電防止剤、界面活性剤、ゲル化剤等が挙げられる。
【0035】
<負極>
負極は、負極集電体上に、負極活物質と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。図1の非水電解液二次電池において、負極活物質を含有する層2に用いる負極活物質には、たとえばリチウム金属、リチウム合金、およびリチウムを吸蔵、放出できる材料、からなる群から選択される一または二以上の物質を用いることができる。リチウムイオンを吸蔵、放出する材料としては、炭素材料または酸化物を用いることができる。
【0036】
炭素材料としては、リチウムを吸蔵する黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブなど、あるいはこれらの複合酸化物を用いることができる。このうち、特に黒鉛材料または非晶質炭素であることが好ましい。特に、黒鉛材料は、電子伝導性が高く、銅などの金属からなる集電体との接着性と電圧平坦性が優れており、高い処理温度によって形成されるため含有不純物が少なく、負極性能の向上に有利であり、好ましい。また、酸化物としては、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、酸化リン(リン酸)、酸化ホウ酸(ホウ酸)のいずれか、あるいはこれらの複合物を用いてもよく、特に酸化シリコンを含むことが好ましい。構造としてはアモルファス状態であることが好ましい。これは、酸化シリコンが安定で他の化合物との反応を引き起こさないため、またアモルファス構造が結晶粒界、欠陥といった不均一性に起因する劣化を導かないためである。
【0037】
リチウム合金は、リチウムおよびリチウムと合金形成可能な金属により構成される。例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、Laなどの金属とリチウムとの2元または3元以上の合金により構成される。リチウム金属やリチウム合金としては、特にアモルファス状のものが好ましい。これは、アモルファス構造により結晶粒界、欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくいためである。リチウム金属またはリチウム合金は、融液冷却方式、液体急冷方式、アトマイズ方式、真空蒸着方式、スパッタリング方式、プラズマCVD方式、光CVD方式、熱CVD方式、ゾルーゲル方式、などの適宜な方式で形成することができる。
【0038】
負極用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜25質量部が好ましい。
【0039】
負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
【0040】
負極は、負極集電体上に、負極活物質と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。負極活物質層の形成方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケル、銅、銀、またはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。
【0041】
図1の二次電池の負極において、遷移金属カチオンとイミドアニオンからなる錯体を非水電解液との界面に存在させてもよい。負極は、金属、合金相の体積変化に対する柔軟性、イオン分布の均一性、物理的・化学的安定性に優れたものとなるので好ましい。その結果、デンドライト生成やリチウムの微粉化を効果的に防止することができ、サイクル効率と寿命が向上する。また、負極として炭素材料や酸化物材料を用いたときにその表面に存在するダングリングボンドは化学的活性が高く、容易に溶媒を分解させることになる。この表面に、遷移金属カチオンとイミドアニオンからなる錯体を吸着させることによって、溶媒の分解が抑制され、不可逆容量が大きく減少するため、充放電効率を高く維持することができる。さらに、皮膜が機械的に壊れた際には、その壊れた箇所において、負極表面のリチウムと負極表面に吸着したイミドアニオンとの反応生成物であるフッ化リチウムが、皮膜を修復する機能を有しており、皮膜が破壊された後においても、安定な表面化合物の生成を導く効果を有している。
【0042】
<正極>
図1の二次電池において、正極活物質を含有する層1に用いる正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnなどのリチウム含有複合酸化物があげられる。また、これらのリチウム含有複合酸化物の遷移金属部分を他元素で置き換えたものでもよい。また、金属リチウム対極電位で4.2V以上にプラトーを有するリチウム含有複合酸化物を用いることもできる。リチウム含有複合酸化物としては、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物、オリビン型リチウム含有複合酸化物、逆スピネル型リチウム含有複合酸化物等が例示される。リチウム含有複合酸化物は、例えば下記の式(4)で表される化合物とすることができる。
Li(MMn2−x)O (4)
(ただし、式(4)において、0<x<2であり、また、0<a<1.2である。また、Mは、Ni、Co、Fe、CrおよびCuよりなる群から選ばれる少なくとも一種である。)
【0043】
正極は、これらの活物質を、カーボンブラック等の導電性物質、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等の結着剤とともにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の溶剤中に分散混練し、これをアルミニウム箔等の正極集電体上に塗布することにより得ることができる。
【0044】
二次電池の製造方法として、図1の二次電池の製造方法を一例として説明する。図1の非水電解液二次電池は、乾燥空気または不活性ガス雰囲気において、負極および正極を、多孔質セパレータ5を介して積層、あるいは積層したものを捲回した後に、電池缶や、合成樹脂と金属箔との積層体からなる可とう性フィルム等の外装体に収容し、添加剤として上記化合物Aおよび化合物Bを含む非水電解液を含浸させる。そして、外装体を封止または封止後に、非水電解液二次電池の充電を行うことにより、負極上に良好な皮膜を形成させることができる。なお、多孔質セパレータ5としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、フッ素樹脂等の多孔性フィルムが用いられる。外装体としては、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択することができる。例えば、積層ラミネート型の二次電池の場合、外装体としては、アルミニウム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミニウムラミネートフィルムを用いることが好ましい。
【実施例】
【0045】
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明する。
【0046】
<実施例1>
(電池の作製)
本実施例の電池の作製について説明する。正極集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を用い、正極活物質としてLiMnを用いた。また、負極集電体として厚み10μmの銅箔を用い、この銅箔上に負極活物質として黒鉛を用いた。そして、負極と正極とをポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、二次電池を作製した。
【0047】
(非水電解液の作製)
非水電解液の溶媒としてECとDECの混合溶媒(体積比:30/70)を用い、支持電解質としてLiPFを1mol/Lとなるように溶解した。
【0048】
スルホン酸エステル化合物として、式(1)で表され、R1およびR2がそれぞれメチレン基である環状ジスルホン酸エステル(以下、「化合物A1」とする)を0.025mol/Lと、末端に2つ以上の不飽和結合を有する化合物として式(2)で表され、R3がメチレン基であるビスアリルメタンスルホン酸エステル(以下、「化合物B1」とする)を0.075mol/L加え、合計混合濃度を0.1mol/Lとした。これら添加剤が加えられた非水電解液を用いて非水二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。
【0049】
充放電サイクル試験は、恒温槽の温度を55℃に設定し、充放電条件をCCCV充電レート1.0C、CC放電レート1.0C、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0Vとして充放電500サイクルを行った。初回放電容量に対する500サイクル後の放電容量の比率を容量維持率(%)として算出した。500サイクル後の放電容量と、容量維持率の結果を表1に示す。
【0050】
<実施例2>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1を0.05mol/L、化合物B1を0.05mol/L加え、合計混合濃度を0.1mol/Lとした以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0051】
<実施例3>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1を0.075mol/L、化合物B1を0.025mol/L加え、合計混合濃度を0.1mol/Lとした以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0052】
<実施例4>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1を0.025mol/L、化合物B1を0.025mol/L加え、合計混合濃度を0.05mol/Lとした以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0053】
<実施例5>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1を0.1mol/L、化合物B1を0.1mol/L加え、合計混合濃度を0.2mol/Lとした以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0054】
<比較例1>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1は加えず、化合物B1を0.025mol/L加えた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0055】
<比較例2>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1は加えず、化合物B1を0.05mol/L加えた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0056】
<比較例3>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1は加えず、化合物B1を0.1mol/L加えた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0057】
<比較例4>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1は加えず、化合物B1を0.15mol/L加えた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0058】
<比較例5>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1は加えず、化合物B1を0.2mol/L加えた以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。本比較例においては、化合物B1を高濃度に含むことにより電解液粘度が高くなり、ガス発生量が増大して測定が不能となった。
【0059】
<比較例6>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1を0.025mol/L加え、化合物B1を加えなかった以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0060】
<比較例7>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1を0.05mol/L加え、化合物B1を加えなかった以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0061】
<比較例8>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1を0.1mol/L加え、化合物B1を加えなかった以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0062】
<比較例9>
非水電解液に用いる添加剤として、化合物A1を0.15mol/L加え、化合物B1を加えなかった以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0063】
<比較例10>
非水電解液に用いる添加剤として化合物A1および化合物B1を加えなかった以外は、実施例1と同様に二次電池を作製し、充放電サイクル試験を500サイクル行った。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
(サイクル試験の評価結果)
上述のとおり、充放電サイクル寿命の向上を目的として、非水電解液の溶媒としてECとDECの混合溶媒(体積比:30/70)中に、支持電解質としてLiPFを1mol/Lを加え、さらに、添加剤として化合物A1と化合物B1の混合比率を割り付けて加えたもの(実施例1〜5)を用いてサイクル試験を行った。比較対象として化合物A1のみ混合した場合(比較例6〜9)、化合物B1のみ混合した場合(比較例1〜5)、または化合物A1も化合物B1も混合しない場合(比較例10)についても、同時にサイクル試験を行った。
【0066】
実施例1〜5と比較例1〜10とを比較すると、放電容量及び容量維持率共に実施例1〜5の方が上回っている。一方、比較例1〜9と比較例10とを比較すると、化合物A1のみ、または化合物B1のみを単独で用いた場合であっても、添加剤を用いない場合よりはサイクル寿命を向上させる効果はある。しかし、実施例1〜5で示すように、化合物A1と化合物B1とを併用した場合にサイクル寿命を向上させる効果が顕著であることがわかった。また、電解液1L中、化合物A1を0.05mol/L、化合物B1を0.05mol/L加え、合計を0.1mol/Lとした場合、サイクル寿命の向上に特に効果があることが示された。
【符号の説明】
【0067】
1 正極活物質層
2 負極活物質層
3 正極集電体
4 負極集電体
5 多孔質セパレータ
6 ラミネート外装体
7 ラミネート外装体
8 負極タブ
9 正極タブ
図1
【国際調査報告】