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再表2013-147099トリアリールメタン系化合物、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置
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  • 再表WO2013147099-トリアリールメタン系化合物、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置 図000039
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月3日
【発行日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】トリアリールメタン系化合物、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/12 20060101AFI20151117BHJP
   C09B 11/00 20060101ALI20151117BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20151117BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20151117BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20151117BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   C09B11/12CSP
   C09B11/00 E
   C09B67/46 A
   C09D17/00
   G02B5/20 101
   G03F7/004 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】55
【出願番号】特願2014-508069(P2014-508069)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2012-77457(P2012-77457)
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子
(74)【代理人】
【識別番号】100129160
【弁理士】
【氏名又は名称】古館 久丹子
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】西村 政昭
(72)【発明者】
【氏名】志賀 靖
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宗賢
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 夕起
【テーマコード(参考)】
2H125
2H148
4J037
【Fターム(参考)】
2H125AC36
2H125AC44
2H125AC46
2H125AC49
2H125AC54
2H125AC72
2H125AD02
2H125AD06
2H125AD14
2H125AM22P
2H125AM99P
2H125AN23P
2H125AN38P
2H125AN39P
2H125AN66P
2H125AN72P
2H125AN79P
2H125BA01P
2H125BA09P
2H125BA13P
2H125BA17P
2H125BA32P
2H125CA17
2H125CB05
2H125CC01
2H125CC13
2H148BE03
2H148BE10
2H148BE14
2H148BE15
2H148BG01
2H148BG06
2H148BH03
2H148BH11
4J037CB10
4J037CB28
4J037CC16
4J037EE08
4J037EE24
4J037EE28
(57)【要約】
本発明は、輝度と電圧保持率が両立した画素が得られる着色樹脂組成物を提供することを課題とする。また本発明は、輝度が高く、且つ電圧保持率が高い画素を含むカラーフィルタ、並びに高品質な液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。本発明は(A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有し、該(A)染料が以下の式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物に関する。

(式中R〜R、M、nは請求項1記載の意味を表す。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される、トリアリールメタン系化合物。
【化1】
(上記式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。隣接するR〜R同士が連結して環を形成してもよく、該環は、置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、水素原子、又は任意の置換基を表す。
但し、RとRの少なくとも一つは、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。
は、カチオンを表す。
nは、0〜4の整数を表す。)
【請求項2】
前記式(I)において、Rが水素原子であり、Rがハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である、請求項1に記載のトリアリールメタン系化合物。
【請求項3】
前記式(I)で表される化合物が、下記式(II)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のトリアリールメタン系化合物。
【化2】
(上記式(II)中、n、M、R〜R、R及びRは、前記式(I)における定義と同義である。
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は任意の置換基を表す。
mは、1〜8の整数を表す。)
【請求項4】
(A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有し、
(A)染料が、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトリアリールメタン系化合物を含有する、着色樹脂組成物。
【請求項5】
更に、(D)重合性モノマーを含有する、請求項4に記載の着色樹脂組成物。
【請求項6】
更に、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも一方を含有する、請求項4又は5に記載の着色樹脂組成物。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有する、カラーフィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載のカラーフィルタを有する、液晶表示装置。
【請求項9】
請求項7に記載のカラーフィルタを有する、有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアリールメタン系化合物、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置及び有機EL(Electroluminescence)表示装置を始めとするフラットパネルディスプレイは、幅広く使用されており、これらのディスプレイにはカラーフィルタが使用されている。
省エネルギー化という時代の流れを汲んで、カラーフィルタとしては更なる高輝度化及び高コントラスト化が求められている。
カラーフィルタには顔料を用いた着色樹脂組成物が主に使用されているが、高輝度及び高コントラストとするために、例えば、非特許文献1では顔料粒子の粒径をその呈色波長の1/2以下にまで微分散する方法が開示されている。
【0003】
一方、着色剤として、染料の開発も行われている。
例えば、特許文献1では、トリアリールメタン誘導体を染料として用いることが開示されている。また、特許文献2及び3では、トリアリールメタン塩において、更にアニオンを特定構造することについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2008−304766号公報
【特許文献2】日本国特開2011−132492号公報
【特許文献3】日本国特開2011−133844号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】橋爪清、「色材協会誌」、1967年12月、p608
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に開示される方法に関し、特に青色顔料は他の赤色、緑色顔料に比較して呈色波長が短いため、この場合にはさらなる微分散を必要とし、コストアップ並びに分散後の安定性が問題となる。
また、トリアリールメタン塩を改良した特許文献1〜3では、得られる画素の輝度と電圧保持率の両立が難しいことを見出した。
そこで本発明は、輝度と電圧保持率が両立した画素が得られる新規なトリアリールメタン系化合物を提供することを課題とする。
更に、本発明は、輝度が高く、且つ電圧保持率が高い画素を形成し得る、新規なトリアリールメタン系化合物を含む着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
また本発明は、輝度が高く、且つ電圧保持率が高い画素を含むカラーフィルタ、並びに高品質な液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討を行った結果、特定の構造を有する新規なトリアリールメタン系化合物を用いることで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記式(I)で表されることを特徴とする、トリアリールメタン系化合物(以下、単に「化合物(I)」と称する場合がある)、化合物(I)を含む着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
[1]下記式(I)で表される、トリアリールメタン系化合物。
【0008】
【化1】
【0009】
(上記式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。隣接するR〜R同士が連結して環を形成してもよく、該環は、置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、水素原子、又は任意の置換基を表す。
但し、RとRの少なくとも一つは、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。
は、カチオンを表す。
nは、0〜4の整数を表す。)
[2]前記式(I)において、Rが水素原子であり、Rがハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である、[1]に記載のトリアリールメタン系化合物。
[3]前記式(I)で表される化合物が、下記式(II)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載のトリアリールメタン系化合物。
【0010】
【化2】
【0011】
(上記式(II)中、n、M、R〜R、R及びRは、前記式(I)における定義と同義である。
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は任意の置換基を表す。
mは、1〜8の整数を表す。)
[4](A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有し、
(A)染料が、[1]〜[3]のいずれか一に記載のトリアリールメタン系化合物を含有する、着色樹脂組成物。
[5]更に、(D)重合性モノマーを含有する、[4]に記載の着色樹脂組成物。
[6]更に、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも一方を含有する、[4]又は[5]に記載の着色樹脂組成物。
[7][4]〜[6]のいずれか一に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有する、カラーフィルタ。
[8][7]に記載のカラーフィルタを有する、液晶表示装置。
[9][7]に記載のカラーフィルタを有する、有機EL表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、輝度と電圧保持率が両立した画素が得られる新規なトリアリールメタン系化合物を提供することが可能となる。
更に、本発明によれば、輝度が高く、且つ電圧保持率が高い画素を形成し得る、新規なトリアリールメタン系化合物を含む着色樹脂組成物を提供することが可能となる。
また本発明は、輝度が高く、且つ電圧保持率が高い画素を含むカラーフィルタ、並びに高品質な液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
図2図2は、実施例における、液晶の配向により出現するダイレクトピーク図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一方」、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一方」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一方」を意味するものとする。
【0015】
また「全固形分」とは、後記する溶剤成分以外の本発明の着色樹脂組成物の全成分を意味するものとする。
更に、「芳香族環」とは、「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を意味するものとする。
また、「C.I.ピグメントグリーン」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0016】
まず、本発明における化合物(I)について詳説する。
[化合物(I)について]
本発明のトリアリールメタン系化合物は、下記式(I)で表される。
【0017】
【化3】
【0018】
(上記式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。隣接するR〜R同士が連結して環を形成してもよく、該環は、置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、水素原子、又は任意の置換基を表す。
但し、RとRの少なくとも一つは、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。
は、カチオンを表す。
nは、0〜4の整数を表す。)
【0019】
なお、上記式(I)中、[]外に示した−SO基および−(SO基は、[]内の芳香環、R〜R、またはR〜Rが有する置換基が、−SO基又は−(SO基でそれぞれ置換されていることを示す。
【0020】
(R〜Rについて)
〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
〜Rにおけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であって、その炭素数が通常1以上、また、通常10以下のものが挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0021】
〜Rにおける芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が5〜18であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
【0022】
また、芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が3〜10であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
【0023】
隣接するR〜R同士(具体的には、RとR、RとR、RとR)は連結して環を形成してもよく、更に該環は、置換基を有していてもよい。
また、該環はヘテロ原子で架橋された環であってもよく、この具体例として、例えば以下の構造が挙げられる。
【0024】
【化4】
【0025】
化学的安定性の点から、R〜Rとして好ましくは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基であるか、或いは隣接するR〜Rが互いに連結して環を形成する場合である。これらの置換基は輝度の点でも好ましい。化合物(I)の耐熱性を向上し、得られるカラーフィルタの耐熱性が優れる点で、より好ましくは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。
【0026】
〜Rが、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である場合、超共役によりカチオン内の電荷が分散し、カチオンが安定化するものと推測される。
より具体的には、R〜Rにおけるアルキル基の炭素数は、トリアリールメタン骨格のコンフォメーションに影響し難い点(輝度への影響が少ない)及びN上の置換基が脱離し難い点(化合物(I)が安定である)で、好ましくは8以下、更に好ましくは4以下、また好ましくは2以上である。
更に、R及びRは、化合物(I)が分解し難い点および色調(輝度が高い)の観点で、Rが水素原子で、Rがアルキル基であることが好ましい。Rにおけるアルキル基の炭素数は、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。
また、隣接するR〜Rが互いに連結して環を形成する場合、N上の置換基が脱離しにくいため安定である。
〜Rが、置換基を有していてもよいフェニル基である場合、共役系が延長する為、カチオン内の電荷が分散して、カチオンが安定化する。このように、カチオンが安定化した結果、得られるカラーフィルタの耐熱性がより優れるものとなると考えることができる。
〜Rにおけるアルキル基、芳香族環基及び互いに連結して形成される環が有していてもよい置換基としては、例えば、下記(置換基群W)のものが挙げられる。
【0027】
(置換基群W)
フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基。
中でも、R〜Rにおけるアルキル基、芳香族環基及び互いに連結して形成される環が有していてもよい置換基として、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシル基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、及びフッ素原子である。
【0028】
(R及びRについて)
及びRは、水素原子、又は任意の置換基を表す。
前記任意の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基などが挙げられる。
但し、R及びRの少なくとも一つは、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。
つまり、式(I)中のベンゼン環において、トリアリールメタン構造の中央に位置する炭素原子との結合に対し、o−位に嵩高い基が結合するとトリアリールメタン構造の中央近辺を立体的に保護するため、化合物(I)の耐熱性が向上する。
【0029】
更に、化合物(I)の分子コンフォメーション変化による吸収スペクトル変化、及びこれによる得られる画素の輝度低下が起き難い点で、R及びRにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、特に好ましくは4以下、また通常1以上である。
及びRにおける好ましい態様としては、Rが水素原子、Rがアルキル基であることが好ましく、特に好ましくはRが水素原子、Rがメチル基であることが好ましい。
また、R及びRは、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、前記(置換基群W)の項に記載のものが挙げられる。
及びRにおけるアルキル基が置換基を有している場合、好ましくはハロゲン原子である。つまり、トリフルオロメチル基などのフルオロメチル基などが好ましく挙げられる。
【0030】
(M及びnについて)
はカチオンを表し、例えば、水素イオン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、3級アンモニウムカチオンまたは4級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0031】
アルカリ金属カチオンのアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。またアルカリ土類金属カチオンのアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどが挙げられる。
3級アンモニウムカチオンは、NHR(Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は、置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。尚、複数含まれるRは、同じでもよく、又異なっていてもよい。)で表される。
【0032】
前記Rにおける該アルキル基の好ましい炭素数、及び該アルキル基が有していてもよい置換基の例は、前記R〜Rのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該芳香族環基の好ましい炭素数、及び該芳香族環基が有していてもよい置換基の例は、前記R〜Rの芳香族環基の場合に例示したものと同様である。具体的には、炭素数1〜6の低級アルキルアンモニウムカチオン(例えば、メチルアンモニウムカチオン、エチルアンモニウムカチオン、ジエチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン等)、ヒドロキシ基が置換した炭素数1〜6のアルキルアンモニウムカチオン(例えば、エタノールアンモニウムカチオン、ジエタノールアンモニウムカチオン、トリエタノールアンモニウムカチオン等)、カルボキシ置換された炭素数1〜6のアルキルアンモニウムカチオン(例えば、カルボキシメチルアンモニウムカチオン、カルボキシエチルアンモニウムカチオン、カルボキシプロピルアンモニウムカチオン、ジカルボキシメチルアンモニウムカチオン等)、芳香族環基とアルキル基が置換したアンモニウムカチオン(例えば、N,N−ジエチルフェニルアンモニウムカチオン等)等が挙げられる。
【0033】
4級アンモニウムカチオンは、Nで表され、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は、置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。尚、複数含まれるRは、同じでもよく、又異なっていてもよい。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R〜Rのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該芳香族環基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R〜Rの芳香族環基の場合に例示したものと同様である。
【0034】
具体的には、炭素数1〜6の4級アルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン等)等が挙げられる。
尚、Mのカチオンの種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。また、化合物の一分子内に複数種混在してもよいし、着色樹脂組成物中に複数種混在していてもよい。Mとして好ましいものとしては、着色樹脂組成物に用いる有機溶剤への溶解性の観点から、水素イオン、アルカリ金属カチオン、3級アンモニウムカチオン、4級アンモニウムカチオンが好ましく、さらに好ましくは、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、無置換のアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオンが好ましい。
【0035】
nは、0〜4の整数を表す。
nが大きいほど、化合物(I)は親水性基のスルホ基が多く置換することになり、耐熱性、耐光性が向上し、化合物(I)の疎水性の液晶への溶解性も低下するため電圧保持率も向上するが、着色樹脂組成物に用いる有機溶剤への溶解性が高い点で、好ましくは0〜2である。
【0036】
(−SO基の置換位置について)
化合物(I)において、[]外の−SO基は、[]内の芳香環、R〜R、またはR〜Rが有する置換基に置換していることを示す。−SO基の好ましい置換位置は、トリアリールメタン骨格を形成するナフタレン環上の水素原子またはR上の置換基の水素原子である。
トリアリールメタン骨格を形成するナフタレン環上に−SO基が置換することが好ましい理由は次のとおりである。ナフタレン環上に−SO基が置換した化合物(I)が分子間で造塩した場合、もう一方の分子の窒素原子または中心炭素原子とイオン結合をするが、このとき、化合物(I)の−SO基がナフタレン環上にあることにより、化合物(I)のナフタレン環はもう一方の分子の有する芳香環と距離が近くなる。よって、2分子間には、イオン結合に加えて、π−π相互作用が生じるため、分子間力が強くなり、耐熱性および電気信頼性が高くなる。また、ナフタレン環上に−SO基が位置することにより、同一分子の中心炭素と−SO基の位置が近くなり、分子内での強固な造塩の効果も期待出来る。さらに、特にナフタレン環の窒素原子が置換していない方の環に−SO基が置換した場合には、トリアリールメタン骨格の共役系への寄与が小さく、発色に与える影響が小さく、輝度の面からも好ましい。
次に、R上の置換基に−SO基が置換することが好ましい理由は次のとおりである。R上の置換基への−SO基の導入はR〜Rの置換基に導入する場合と比べて、合成上の制約が小さく、比較的容易であるとともに、Rの置換基上の−SO基は分子内または分子間でイオン結合を形成する際、比較的自由な位置を取ることができ、強固なイオン結合を形成できる位置に配置しやすい。特に、Rがアルキル基である場合には、置換基の自由度が高いため、分子内および分子間でのイオン結合をするのに好ましい位置に−SO基が位置しやすいことから強固なイオン結合が形成されるため、耐熱性および電気信頼性の点で好ましい。また、トリアリールメタン骨格の共役系への寄与が小さく、発色に与える影響が小さく、得られる画素の輝度の面からも好ましい。
尚、式(I)中、−SO基や−SO基の結合手が[]にかかる表記であるのは、置換位置が複数あるということや、合成上、置換位置が異なる化合物の混合物として得られること等を意味する。
【0037】
[式(II)で表される化合物]
化合物(I)は、得られる画素の輝度及び電圧保持率に優れる点で、下記式(II)で表される化合物(以下、「化合物(II)」と称する)であることが好ましい。
【0038】
【化5】
【0039】
(上記式(II)中、n、M、R〜R、R及びRは、前記式(I)におけると同義である。
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は任意の置換基を表す。
mは、1〜8の整数を表す。)
【0040】
(R11及びR12について)
11及びR12における任意の置換基としては、前記(置換基群W)の項に記載のものが挙げられるが、合成が容易である点で、水素原子であることが好ましい。
また、一分子中に複数含まれる、R11同士及びR12同士は、各々、同一でもよく、また異なっていてもよいが、合成が容易である点で、同一である方が好ましい。
更に、R11及びR12は、同一でもよく、また異なっていてもよいが、合成が容易である点で、同一である方が好ましい。
【0041】
(mについて)
mは、通常1以上、好ましくは2以上、また通常8以下、好ましくは5以下である。
上記範囲内であると、−(CR1112−基の末端に有するSOの自由度が高くなり、分子間でのイオン結合がしやすくなること及び分子内の中心炭素原子とのイオン結合がし易くなることで、耐熱性および電圧保持率が良好になる点で好ましい。
【0042】
[分子量]
本発明における化合物(I)の分子量は、通常450以上、好ましくは500以上、また通常5000以下、好ましくは2000以下である。
【0043】
上記範囲内であると、合成が容易である点で好ましい。
[具体例]
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
【化9】
【0048】
<化合物(I)の合成方法について>
化合物(I)は、例えば「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968年)、「理論製造 染料化学」(細田豊著、技報堂、1957年)に記載の方法に準じて合成することができるが、この方法に限らない。
具体的には、(i)スルホ基を有する化合物からトリアリールメタン骨格を構築する方法と(ii)トリアリールメタン骨格を構築した後にスルホ基を導入する方法がある。
(i)の場合、トリアリールメタン骨格となるベンゼン環またはナフタレン環に直接スルホ基が置換している原料または、トリアリールメタン骨格となるベンゼン環またはナフタレン環が有する置換基にスルホ基が置換している原料から常法によりトリアリールメタン骨格を構築する方法がある。
(ii)の場合、常法によりトリアリールメタン骨格を構築し、硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸等を用いてスルホン化を行い、スルホ基を導入する方法と、トリアリールメタン骨格を有する化合物とヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン等を反応して、スルホ基を有する置換基を導入する方法がある。
【0049】
<化合物(I)の用途>
本発明の化合物(I)における用途は、特に制限されず種々の用途に用いることができる。中でも、本発明の化合物(I)は、得られる画素の輝度及び電圧保持率が高く、更に、化合物(I)の耐熱性が高い点で、カラーフィルタに用いられることが好ましい。
即ち、本発明の化合物(I)は、カラーフィルタ用染料として用いられることが好ましい。
以下、カラーフィルタ用染料に用いられる場合として、化合物(I)を含む着色樹脂組成物について説明する。
【0050】
<着色樹脂組成物>
本発明の着色樹脂組成物は、(A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有し、(A)染料が化合物(1)を含有し、更に好ましくは、(D)重合性モノマー、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも一方、を含有し、必要に応じてその他の成分を含む。
【0051】
まず、(A)染料について詳説する。
[(A)染料について]
本発明の着色樹脂組成物は、(A)染料に化合物(I)を含むが、本発明の効果を損なわない限り、化合物(I)以外のその他の染料を含有していてもよい。
その他の染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、シアニン系染料、トリアリールメタン系染料、ジピロメテン系染料、キサンテン系染料等が好ましく挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー25、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.バットブルー5、日本国特開2002−14222号公報、日本国特開2005−134759号公報、日本国特開2010−191358号公報、日本国特開2011−148950号公報に記載のもの等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
また、トリアリールメタン系染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー86、C.I.アシッドブルー88、C.I.アシッドブルー108、国際公開第2009/107734号、国際公開第2011/162217号などに記載のものが挙げられる。
更に、シアニン系染料としては、例えば、国際公開第2011/162217号に記載のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
ジピロメテン系染料としては、例えば、日本国特開2008−292970号公報、日本国特開2010−84009号公報、日本国特開2010−84141号公報、日本国特開2010−85454号公報、日本国特開2011−158654号公報、日本国特開2012−158739号公報、日本国特開2012−224852号公報、日本国特開2012−224849号公報、日本国特開2012−224847号公報、日本国特開2012−224846号公報などに記載のものが挙げられる。
キサンテン系染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド50、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289、日本国特許第3387541号公報、日本国特開2010−32999号公報、日本国特許第4492760号公報、「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968年)326頁〜348頁に記載のものなどが挙げられる。
特に青色画素を形成する際には、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、ジピロメテン系染料、シアニン系染料、フタロシアニン系染料が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物中には、(A)染料として、化合物(I)の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
更に、化合物(I)以外のその他の染料の1種又は2種以上が含まれていてもよい。
【0052】
(含有量)
本発明の着色樹脂組成物における全(A)染料の含有量は、全固形分中、好ましくは0.01重量%以上、又は好ましくは50重量%以下である。
また、着色樹脂組成物における化合物(I)の含有量は、全固形分中、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、また通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
上記上限以下であると、塗膜の硬化性が低下し難く、膜強度が十分であるため好ましい。また、上記下限以上であると、着色力が十分であることから、所望の濃度の色度が得られ易く、また膜厚が厚くなり難いため好ましい。
【0053】
尚、本発明の着色樹脂組成物において、化合物(I)の含有量は、全(A)染料の固形分中、30重量%以上であることが好ましい。
【0054】
[(B)溶剤]
本発明の着色樹脂組成物に含有される(B)溶剤は、着色樹脂組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、粘度を調節する機能を有する。
【0055】
(B)溶剤としては、着色樹脂組成物を構成する各成分を溶解または分散させることができるものであればよく、沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価または多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状または環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
上記溶剤中、本発明における(A)染料の溶解性の点から、グリコールモノアルキルエーテル類が好ましい。中でも、特に着色樹脂組成物中の各種構成成分の溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
また、例えば任意成分として後述する(F)顔料を含む場合には、塗布性、表面張力などのバランスがよく、着色樹脂組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、溶剤としてさらにグリコールアルキルエーテルアセテート類を混合して使用することがより好ましい。尚、顔料を含む着色樹脂組成物中では、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、顔料を凝集させる傾向があり、着色樹脂組成物の粘度を上げる等、保存安定性を低下させる場合がある。このため、グリコールモノアルキルエーテル類の使用量は過度に多くない方が好ましく、(B)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0057】
また、最近の大型基板等に対応したスリットコート方式への適性という観点からは、150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも好ましい。この場合、このような高沸点溶剤の含有量は、(B)溶剤全体に対して3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で染料成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
【0058】
なお、沸点150℃以上の溶剤は、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
本発明の着色樹脂組成物は、インクジェット法によるカラーフィルタ製造に供してもよいが、インクジェット法によるカラーフィルタ製造においては、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微小であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶剤の沸点は高い方が好ましく、具体的には、(B)溶剤が沸点180℃以上の溶剤を含むことが好ましい。特に、沸点が200℃以上、とりわけ沸点が220℃以上の溶剤を含有することが好ましい。また、沸点180℃以上である高沸点溶剤は、(B)溶剤中50重量%以上であることが好ましい。このような高沸点溶剤の割合が50重量%未満である場合には、インク液滴からの溶剤の蒸発防止効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0059】
本発明の着色樹脂組成物において、(B)溶剤の含有量に特に制限はないが、その上限は通常99重量%とする。組成物中の(B)溶剤の含有量が99重量%を超える場合は、(B)溶剤を除く各成分の濃度が小さくなり過ぎて、塗布膜を形成し難くなる場合がある。一方、(B)溶剤の含有量の下限値は、塗布に適した粘性等を考慮して、通常75重量%、好ましくは80重量%、更に好ましくは82重量%である。
【0060】
[(C)バインダー樹脂]
(C)バインダー樹脂は、着色樹脂組成物の硬化手段により好ましいものが異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば日本国特開平7−207211号公報、日本国特開平8−259876号公報、日本国特開平10−300922号公報、日本国特開平11−140144号公報、日本国特開平11−174224号公報、日本国特開2000−56118号公報、日本国特開2003−233179号公報などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
【0061】
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、又は該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(C−1)」と称す場合がある。)
【0062】
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
【0063】
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
【0064】
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
尚、樹脂(C−2)〜(C−5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであれば何でもよく、各々、日本国特開2009−025813号公報の同項目として記載のものと同様である。好ましい態様も同様である。
【0065】
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0066】
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3、4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、例えば、ビニル芳香族類、ジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ビニル化合物類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、モノマレイミド類などが挙げられるが、特に下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0068】
下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
【0069】
【化10】
【0070】
上記式(7)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は下記式(8)で表される構造を示す。
【0071】
【化11】
【0072】
上記式(8)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。尚、R96とR98とが、互いに連結して環を形成していてもよい。
96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造としては、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
【0073】
【化12】
【0074】
尚、前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
【0075】
上記モノマー群から選択された少なくとも1種に由来する繰返し単位の含有量が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
【0076】
上記範囲内であると、後述の重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が十分であり、また、耐熱性や膜の強度が十分であるため好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0077】
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0078】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0079】
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0080】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
【0081】
上記範囲内であると、現像時の残膜率及び溶解性が十分であるため好ましい。
尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば日本国特開平8−297366号公報や日本国特開2001−89533号公報に記載されている。
【0082】
上述のバインダー樹脂(C−1)の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。上記範囲内であると、耐熱性や膜強度、更に現像液に対する溶解性が良好である点で好ましい。
また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
【0083】
なお、バインダー樹脂(C−1)の酸価は、通常10〜200mg−KOH/g、好ましくは15〜150mg−KOH/g、更に好ましくは25〜100mg−KOH/gである。酸価が低くなりすぎると、現像液に対する溶解性が低下する場合がある。逆に、高すぎると、膜荒れが生じることがある。
着色樹脂組成物における(C)バインダー樹脂の含有量は、全固形分中、通常0.1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%である。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
【0084】
[(D)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、(D)重合性モノマーを含有することが好ましい。
(D)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
【0085】
エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述する光重合開始成分の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(D)重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
(D)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
【0086】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0087】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、単一物であってもよく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0088】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ〔1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0089】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0090】
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能単量体が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールのうち少なくとも一方であるものである。
【0091】
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、必要に応じて(D)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。
【0092】
上記範囲内であると、現像溶解特性が低下しにくく、また製造や取り扱いが容易である。更に、光重合性能が落ち難く、画素の表面平滑性等の硬化性が良好であるため好ましい。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0093】
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(D)重合性モノマーの含有量は、全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
また、(D)重合性モノマーの前記(A)染料に対する比率は、重量比で、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が起き難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が起き難いため好ましい。
【0094】
[(E)光重合開始成分、熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(D)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始成分及び熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始成分のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始成分としての(E)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に「(E1)成分」とも称する)に重合加速剤(以下、任意に「(E2)成分」とも称する)、増感色素(以下、任意に「(E3)成分」とも称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
【0095】
[(E)光重合開始成分]
本発明における(E)光重合開始成分は、通常、(E1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(E2)重合加速剤及び(E3)増感色素等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0096】
光重合開始成分を構成する(E1)光重合開始剤としては、例えば、日本国特開昭59−152396号公報、日本国特開昭61−151197号公報等に記載のチタノセン誘導体類;日本国特開平10−300922号公報、日本国特開平11−174224号公報、日本国特開2000−56118号公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;日本国特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;日本国特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
【0097】
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
【0098】
また、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン−1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(o−アセチルオキシム)、及び下記式(XI)で表される化合物等が挙げられる。
【0099】
【化13】
【0100】
(式(XI)中、R101は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数3〜20のヘテロアリール基または炭素数4〜25のヘテロアリールアルキル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。あるいは、R101はXまたはZと結合し、環を形成していてもよい。
102は、炭素数2〜20のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基または炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。
Xは、置換基を有していてもよい、2個以上の環が縮合してなる、2価の芳香族炭化水素環基及び芳香族複素基のうち少なくとも一方を示す。
Zは、置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。)
【0101】
なお、前記式(XI)で表される化合物の中でも、Xが置換基を有していてもよいカルバゾール環である化合物が好ましく、具体的には下記式(XII)で表される化合物などが挙げられ、中でも下記式(XIII)で表される化合物が特に好ましい。
【0102】
【化14】
【0103】
(式中、R101、R102及びZは、前記式(XI)における定義と同義である。R103〜R109は各々独立に水素原子または任意の置換基を示す。)
【0104】
【化15】
【0105】
(式中、R101aは、炭素数1〜3のアルキル基、または下記式(XIIIa)で表される基を示す。
【0106】
【化16】
【0107】
(式中、R103及びR104は各々独立に、水素原子、フェニル基またはN−アセチル−N−アセトキシアミノ基を示す。
*は、結合部位を表す。)
【0108】
102aは、炭素数2〜4のアルカノイル基を示し、Xは、窒素原子が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい3,6−カルバゾリル基を示す。Zは、アルキル基で置換されていてもよいフェニル基またはモルホリノ基で置換されていてもよいナフチル基を示す。)
【0109】
オキシム系開始剤としては市販品を用いてもよい。市販品の例としては、OXE−01、OXE―02(BASF社製)、TRONLYTR−PBG−304、TRONLYTR−PBG−309、TRONLYTR−PBG−305(常州強力電子新材料有限公司社(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製)が挙げられる。
【0110】
光重合開始剤としては、その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。これらの開始剤として市販品を用いてもよい。
【0111】
市販品としては、例えば、IRGACURE 651、IRGACURE 184、DAROCURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 379EG、LUCIRIN TPO、IRGACURE 819、IRGACURE 784(いずれも、BASF社製)等が挙げられる。
【0112】
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類がより好ましい。特に、オキシムエステル系誘導体類が好ましい。
必要に応じて用いられる(E2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
【0113】
これらの(E1)光重合開始剤及び(E2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(E3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば日本国特開平4−221958号公報、日本国特開平4−219756号公報等に記載のキサンテン系色素;日本国特開平3−239703号公報、日本国特開平5−289335号公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;日本国特開平3−239703号公報、日本国特開平5−289335号公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;日本国特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;日本国特開昭47−2528号公報、日本国特開昭54−155292号公報、日本国特公昭45−37377号公報、日本国特開昭48−84183号公報、日本国特開昭52−112681号公報、日本国特開昭58−15503号公報、日本国特開昭60−88005号公報、日本国特開昭59−56403号公報、日本国特開平2−69号公報、日本国特開昭57−168088号公報、日本国特開平5−107761号公報、日本国特開平5−210240号公報、日本国特開平4−288818号公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
【0114】
(E3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)光重合開始成分の含有量は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。
上記範囲内であると、露光光線に対する感度が良好で、また未露光部分の現像駅に対する溶解性も良好で、現像不良などを誘起し難い点で好ましい。
【0115】
[(E)熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい(E)熱重合開始成分の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号等に記載の熱重合開始成分を用いることができる。
これらの熱重合開始成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0116】
[その他の任意成分]
本発明の着色樹脂組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、有機カルボン酸及び有機カルボン酸無水物のうち少なくとも一方、熱硬化性化合物、可塑剤、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を含有していてもよい。これら任意成分としては、例えば日本国特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。また、後述の(F)顔料を含有する場合には、分散剤や分散助剤を含有してもよい。
【0117】
[(F)顔料]
本発明の着色樹脂組成物は、得られるカラーフィルタの耐熱性の向上等の目的で、本発明の効果を損わない範囲で、(F)顔料を含有していてもよい。
(F)顔料としては、例えばカラーフィルタの画素等を形成する場合には、青色、紫色等各種の色の顔料を使用することができる。また、その化学構造としては、例えばフタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。この他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。
【0118】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。
【0119】
これらの中でも、青色の銅フタロシアニン顔料が好ましく、該銅フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6などが好ましく挙げられ、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
この為、本発明の着色樹脂組成物が、青色顔料を含む場合、青色顔料の全含有量に対して、80重量%以上、特に90重量%以上、とりわけ95〜100重量%が、C.I.ピグメントブルー15:6であることが好ましい。
【0120】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。
これらの中でも、紫色のジオキサジン顔料が好ましく、該ジオキサジン顔料として、C.I.ピグメントバイオレット19、23などが好ましく挙げられ、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0121】
この為、本発明の着色樹脂組成物が、紫色顔料を含む場合、紫色顔料の全含有量に対して、80重量%以上、特に90重量%以上、とりわけ95〜100重量%が、C.I.ピグメントバイオレット23であることが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
【0122】
本発明の着色樹脂組成物に用いる(F)顔料は、高いコントラストの画素を形成しうる点から平均一次粒径の小さいものが好ましく、具体的には、平均一次粒径が40nm以下であることが好ましく、35nm以下であることがより好ましい。
特に、青色の銅フタロシアニン顔料についても同様に、好ましくは平均一次粒径が40nm以下であり、より好ましくは35nm以下、更に好ましくは20〜30nmである。
【0123】
また、ジオキサジン顔料については、平均一次粒径は好ましくは40nm以下、より好ましくは25〜35nmである。着色樹脂組成物中で顔料が凝集し難い点からは、平均一次粒径が小さすぎない方が好ましい。
なお、ここで、(F)顔料の平均一次粒径は以下の方法により測定・算出された値である。
【0124】
まず、(F)顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。この像から、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。
【0125】
得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し、平均粒径を求める。
個々の顔料粒子の粒径:X、X、X、X、・・・・、X、・・・・・・X(mは粒子の個数)
【0126】
【数1】
【0127】
{配合量}
本発明において、(F)顔料を含む場合、着色樹脂組成物における顔料の含有量は、全固形分中、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
また、前記(A)染料100重量部に対する含有量は、通常2000重量部以下、好ましくは1000重量部以下である。
上記範囲内とすることで、染料(I)による透過率に大きな影響をすることなく、得られる画素の耐熱性がより良好になり易い点で好ましい。
【0128】
[分散剤]
本発明の着色樹脂組成物が、(F)顔料を含む場合、更に分散剤を含有することが好ましい。
本発明における分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を問わない。
例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、ブロック共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、ブロック共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特にブロック共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
【0129】
具体的には、窒素原子含有官能基を有するBブロックとして、側鎖に4級アンモニウム塩基及びアミノ基のうち少なくとも一方を有する単位構造が挙げられ、一方、親溶剤性のAブロックとして、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さない単位構造が挙げられる。
係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、4級アンモニウム塩基及びアミノ基のうち少なくとも一方を有する単位構造を有し、顔料吸着機能を持つ部位である。
【0130】
又、係るBブロックとして、4級アンモニウム塩基を有する場合、当該4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
このようなブロック共重合体としては、例えば、日本国特開2009−025813号公報に記載のものが挙げられる。
【0131】
また、本発明の着色樹脂組成物は、上記した以外の分散剤を含んでいてもよい。その他の分散剤としては、例えば、例えば日本国特開2006−343648号公報に記載のものが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物が、(F)顔料を含有する場合、分散剤の全固形分中の含有量は、(F)顔料の総含有量の2〜1000重量%、特に5〜500重量%、とりわけ10〜250重量%の範囲内となるように用いることが好ましい。
上記範囲内とすることで、染料(I)の耐熱性に影響を及ぼすことなく、良好な顔料分散性を確保することができ、また顔料の分散安定性がより良好となる点で好ましい。
【0132】
[分散助剤]
本発明の着色樹脂組成物には、分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば日本国特開2001−220520号公報、日本国特開2001−271004号公報、日本国特開2002−179976号公報、日本国特開2007−113000号公報、及び日本国特開2007−186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
【0133】
尚、本発明の着色樹脂組成物における分散助剤の含有量は、顔料の総固形分量に対して通常0.1重量%以上、又、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量を上記の範囲に制御することにより、分散助剤としての効果が発揮され、又、分散性及び分散安定性がより良好である点で好ましい。
【0134】
[分散樹脂]
本発明の着色樹脂組成物には、前記(C)バインダー樹脂もしくはその他のバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
具体的には、後述する[着色樹脂組成物の調製方法]において、前述の分散剤等の成分とともに、(C)バインダー樹脂を含有させることにより、該(C)バインダー樹脂が、分散剤との相乗効果で(F)顔料の分散安定性に寄与する。結果として分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
このように、分散処理工程に使用される(C)バインダー樹脂を、分散樹脂と称することがある。分散樹脂は、着色樹脂組成物中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
【0135】
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において、着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、化合物(I)を含む(A)染料及び(C)バインダー樹脂を、(B)溶剤及び必要に応じて用いられる任意成分と共に混合することで調製できる。
また、(F)顔料を含む場合の調製方法としては、(F)顔料を含む溶剤中、分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液を調製する。該顔料分散液に、化合物(I)を含む(A)染料、(C)バインダー樹脂、必要に応じて、(D)重合性モノマー、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも一方、などを添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0136】
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解或いは分散された状態である。このような着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置について、説明する。
【0137】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィー法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0138】
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
本発明では特に、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素が、青色の画素であることが好ましい。
【0139】
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などによる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
【0140】
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
【0141】
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
露光の際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0142】
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
【0143】
放射線の露光量は、10〜10,000J/mが好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−エタノールアミン、ジ−エタノールアミン、トリ−エタノールアミン、モノ−メチルアミン、ジ−メチルアミン、トリ−メチルアミン、モノ−エチルアミン、ジ−エチルアミン、トリ−エチルアミン、モノ−イソプロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−イソプロパノールアミン、ジ−イソプロパノールアミン、トリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
【0144】
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
【0145】
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
【0146】
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレイ、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソグラフィー法による柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
【0147】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
【0148】
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
【0149】
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【実施例】
【0150】
次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0151】
<染料の合成>
(合成例1:染料Aの合成)
【0152】
【化17】
【0153】
(化合物2の合成)
1−アミノナフタレン(14.3g)を1−プロパノール(300ml)に溶解し、1,3−プロパンスルトン(12.2g)のメタノール(20ml)溶液を加え、2時間加熱還流した。生じた沈殿を濾取し、1−プロパノールで洗浄して、化合物2(12.3g)を得た。
【0154】
(染料Aの合成)
化合物1(日本国特開2011−70171号公報に記載の方法で合成)(8.05g)と2−プロパノール(100ml)の混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(1.0g)を加え、18.5時間加熱還流した。水素化ホウ素ナトリウム(1.0g)を追加し、さらに1.5時間加熱還流した。減圧濃縮し、テトラヒドロフラン(50ml)を加え、2時間加熱還流した。減圧濃縮し、1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、トルエンで抽出し、飽和食塩水洗浄し、無水硫酸ナトリウム乾燥し、油状物を得た。
得られた油状物(全量)に、化合物2(3.71g)及び2N塩酸(40ml)を加え、2時間加熱還流した。水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性にしたら、タール状の不溶物が生じた。上澄み液をデカンテーションで除いた後、減圧濃縮し、水を加えて攪拌した後、水をデカンテーションで除き、得られた固体を乾燥した。
得られた固体(全量)に、メタノール(100ml)及びクロラニル(3.44g)を加え、50℃で2時間攪拌した。減圧濃縮し、クロロホルムおよび水を加え、クロロホルム層を分離し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム〜クロロホルム/メタノール=10/1)で精製して、染料A(1.30g)を得た。
【0155】
化合物同定法:質量分析
イオン化モード:LDI
Posi m/z=586[M+H]
Neg m/z=585[M]
この化合物の10ppmプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=4/6溶液中での極大吸収波長(λmax)は639nmで、グラム吸光係数は125であった。
【0156】
(合成例2:染料Bの合成)
(化合物11の合成)
【0157】
【化18】
【0158】
1,7−クレーブ酸(2.23g、東京化成工業製)、1,1,1−トリフルオロ−4−ヨードブタン(2.98g、東京化成工業製)、炭酸カリウム(2.76g、和光純薬工業製)とN−メチルピロリドン(22mL)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で10時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、水(150mL)と混合し、濃塩酸にてpH=5.3に調整したのち、酢酸エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、乾燥剤をろ別し、溶媒を留去した。得られた結晶をジイソプロピルエーテルで懸洗し、減圧ろ過にて溶媒と分離し、さらに、得られた固体を減圧下50℃で残留溶剤を除き、白色固体の化合物11を得た(2.79g)。
この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。
LCMS(ESI,posi)m/z 334(M+H,C1415NOS)
【0159】
(染料Bの合成)
【0160】
【化19】
【0161】
化合物1(8.46g)をTHF(68mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウム(3mol/L、THF溶液、9.2mL)を加え、窒素雰囲気下、50℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L、10mL)を加えて撹拌後、水(300mL)と混合し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤をろ別し、溶媒を留去することにより油状物を得た(7.96g)。
上記反応で得られた油状物(2.04g)と化合物11(2.06g)を酢酸(26mL)に溶解し、室温で5時間撹拌した。反応液を水(150mL)と混合し、水酸化ナトリウム水溶液(20重量%)でpHを6.5に調整し、固体を析出させた。得られた固体をろ別し、減圧下50℃で乾燥し、薄青色固体を得た(3.16g)。このうち2.5gをシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=93/7〜78/22)で精製し、薄青色固体を得た(1.66g)。この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。
LCMS(ESI,posi)m/z 656(M+H,C3645S)
上記反応で得られた薄青色固体(1.64g)、クロラニル(0.61g)とメタノール(33mL)を混合し、室温で4時間、45℃で8時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、溶媒を留去した。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=95/5〜82/18)で精製し、濃青色固体の染料Bを得た(0.82g)。
この化合物の10ppmプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=35/65溶液中での極大吸収波長(λmax)は633nmで、グラム吸光係数は126であった。この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。
LCMS(ESI,posi)m/z 654(M+H,C3643S)
【0162】
(合成例3:染料Cの合成)
(化合物12の合成)
【0163】
【化20】
【0164】
1,6−クレーブ酸(3.35g、東京化成工業製)、1,1,1−トリフルオロ−4−ヨードブタン(3.57g、東京化成工業製)、炭酸カリウム(2.07g、和光純薬工業製)とN−メチルピロリドン(27mL)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で8時間撹拌した。その後1,1,1−トリフルオロ−4−ヨードブタン(0.71g)を添加してさらに80℃で2時間加熱した。
反応液を室温まで冷却後、水(150ml)と混合し、濃塩酸にてpH=4に調整したのち、酢酸エチルにて抽出した。抽出層はエバポレーターで溶媒を留去し、析出した結晶をジイソプロピルエーテルで懸洗し、減圧ろ過にて溶媒と分離し、さらに、得られた固体を減圧下50℃で残留溶剤を除き、白色固体の化合物12を得た(2.43g)。
この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。LCMS(ESI,posi)m/z 334(M+H,C1415NOS)
【0165】
(染料Cの合成)
【0166】
【化21】
【0167】
化合物1(2.71g)をTHF(22mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウム(3mol/L、THF溶液、2.9mL)を加え、窒素雰囲気下、50℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L、6mL)を加えて撹拌後、水(150mL)と混合し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤をろ別し、溶媒を留去することにより油状物を得た(2.74g)。
上記反応で得られた油状物(2.38g)と化合物12(2.31g)を酢酸(19mL)に溶解し、室温で1時間撹拌して一晩置いた。翌日、反応液を水(200mL)と混合し、水酸化ナトリウム水溶液(20重量%)でpHを4.1に調整し、固体を析出させた。得られた固体をろ別し、減圧下50℃で乾燥し、薄青色固体を得た(3.77g)。この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。
LCMS(ESI,posi)m/z 656(M+H,C3645S)
上記反応で得られた薄青色固体(1.44g)、クロラニル(0.54g)とメタノール(29mL)を混合し、室温で4時間、55℃で4.5時間撹拌した。その後、クロラニル(0.27g)を添加してさらに10.75時間加熱した。反応液を室温まで冷却後、反応液を濾過し、不溶物を除去した後、溶媒を留去した。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=95/5〜85/15)で精製し、濃青色固体の染料Cを得た(0.31g)。
この化合物の10ppmプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=35/65溶液中での極大吸収波長(λmax)は639nmで、グラム吸光係数は111であった。この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。
LCMS(ESI,posi)m/z 654(M+H,C3643S)
【0168】
(合成例4:染料Dの合成)
(化合物13の合成)
【0169】
【化22】
【0170】
1,8−クレーブ酸(3.35g、東京化成工業製)、1,1,1−トリフルオロ−4−ヨードブタン(3.57g、東京化成工業製)、炭酸カリウム(2.07g、和光純薬工業製)とN−メチルピロリドン(27mL)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で7.5時間撹拌した。その後、1,1,1−トリフルオロ−4−ヨードブタン(0.89g)を添加してさらに3.75時間加熱した。反応液を室温まで冷却後、水(150mL)と混合し、濃塩酸にてpH=1.3に調整して析出した固体をろ別し、減圧下50℃で乾燥させ、白色固体の化合物13を得た(4.23g)。
この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。 LCMS(ESI,posi)m/z 334(M+H,C1415NOS)
【0171】
(染料Dの合成)
【0172】
【化23】
【0173】
化合物1(1.69g)をTHF(14mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウム(3mol/L、THF溶液、1.8mL)を加え、窒素雰囲気下、50℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L、6mL)を加えて撹拌後、水(100mL)と混合し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤をろ別し、溶媒を留去することにより油状物を得た(1.76g)。
上記反応で得られた油状物(1.57g)と化合物13(1.53g)を酢酸(23mL)に溶解し、室温で1.5時間撹拌して一晩おいた。翌日、反応液を水(150mL)と混合し、水酸化ナトリウム水溶液(20重量%)でpHを3.83に調整し、固体を析出させた。得られた固体をろ別し、減圧下50℃で乾燥し、薄青色固体を得た(2.5g)。
この粗生成物(2.5g)と同様の合成法で合成した粗生成物(0.8g)を合わせてシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=98/2〜90/10)で精製し、薄青色固体を得た(1.89g)。この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。
LCMS(ESI,posi)m/z 656(M+H,C3645S)
上記反応で得られた薄青色固体(1.89g)、クロラニル(0.71g)とメタノール(30mL)を混合し、45℃で4時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、不溶物をろ過で除去し、溶媒を留去した。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=98/2〜92/8)で精製し、濃青色固体の染料Dを得た(0.75g)。
この化合物の10ppmプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=35/65溶液中での極大吸収波長(λmax)は648nmで、グラム吸光係数は104であった。この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示した。
LCMS(ESI,posi)m/z 654(M+H,C3643S)
【0174】
(参考合成例1:比較染料1)
【0175】
【化24】
【0176】
化合物21(6.0g、25mmol、国際公開第2008/003604号に記載の方法で合成)、化合物22(6.4ml、50mmol、東京化成から購入)、炭酸カリウム(6.9g、50mmol)、N−メチル−2−ピロリドン(25ml)の混合物を110〜125℃で4時間加熱撹拌した。室温に冷却後水を加え、トルエンで抽出し、トルエン層を希塩酸および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、薄茶色オイル(9.2g)を得た。このものをエタノール(40ml)に溶解し、水酸化ナトリウム(2g、52.3mmol)の水(25ml)溶液を加え、85℃で1時間撹拌した。放冷して、トルエンで抽出し、トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、化合物23(5.95g、収率94%)を白色粉末で得た。
【0177】
【化25】
【0178】
化合物1(1.47g、4.34mmol、国際公開第2009/107734号に記載の方法で合成)、化合物23(1.1g、4.34mmol)、トルエン(30ml)、オキシ塩化リン(0.6ml)の混合物を4時間加熱還流した後、室温に冷却し、水を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶剤:クロロホルム/メタノール=15/1〜10/1)で精製し、得られた固体をヘキサンで洗浄して化合物25(1.32g、収率50%)を得た。
【0179】
【化26】
【0180】
化合物25(8.9g、14.6mmol)、化合物26(4.2g、14.6mmol、東京化成から購入)、メタノール(50ml)の混合物を50℃で1.5時間撹拌した後、減圧濃縮し、得られた固体をメタノール/水=1/2で洗浄し、比較染料1(11.5g、収率92.3%)を得た。
【0181】
(参考合成例2:比較染料2)
【0182】
【化27】
【0183】
化合物25(1.95g)、C.I.アシッドブルー80(アルドリッチ社製:1.36g)、メタノール(25mL)の混合物を、50℃で30分間攪拌した後、減圧濃縮し、得られた固体を水/メタノール=2/1の混合溶剤で洗浄して、比較染料2(2.22g)を得た。
【0184】
<樹脂の合成>
(参考合成例3:樹脂Aの合成)
【0185】
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部、トリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)66重量部および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部の混合液を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃で3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂溶液のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価80mg−KOH/gであった。この樹脂溶液に固形分が44重量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、樹脂Aとして用いた。
【0186】
(参考合成例4:樹脂Bの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン5.2重量部、グリシジルメタクリレート132重量部、トリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)4.4重量部および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部の混合液を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸67.0重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール1.1重量部およびハイドロキノン0.19重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)15.2重量部、トリエチルアミン0.2重量部を加え、100℃で3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂溶液のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約9000、酸価25mg−KOH/gであった。この樹脂溶液に固形分が40重量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、樹脂Bとして用いた。
【0187】
(参考合成例5:樹脂Cの合成)
「NC3000H」(日本化薬社製)(エポキシ当量288、軟化点69℃)400重量部、アクリル酸102重量部、p−メトキシフェノール0.3重量部、トリフェニルホスフィン5重量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264重量部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が3mg−KOH/g以下になるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで9時間を要した(酸価2.2mg−KOH/g)。次いで、更にテトラヒドロ無水フタル酸151重量部を添加し、95℃で4時間反応させ、酸価102mg−KOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)3900の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に固形分が44重量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、樹脂Cとして用いた。
【0188】
<着色樹脂組成物の調製>
前記合成例1〜4で得られた染料A、B、C及びD、参考合成例1及び2で得られた比較染料1及び2、並びに参考合成例3で得られた樹脂A、さらに他の成分を混合して下記表1に記載された組成となるように着色樹脂組成物を調製した。
表1の数値は、いずれも添加する各成分の重量部を表す。
混合に際しては、各成分が十分に混合するまで1時間以上攪拌し、最後に5μmの駒型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
【0189】
前記合成例1〜4で得られた染料A、B、C及びD、参考合成例1及び2で得られた比較染料1及び2、並びに参考合成例4及び5で得られた樹脂B及びC、さらに他の成分を混合して下記表2に記載された組成となるように着色樹脂組成物を調製した。
表2の数値は、いずれも添加する各成分の重量部を表す。
混合に際しては、各成分が十分に混合するまで1時間以上攪拌し、最後に5μmの駒型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
【0190】
【表1】
【0191】
表1中の各化合物は、各々以下の通りである。
PBG−305:TRONLYTR−PBG−305 常州強力電子新材料有限公司社(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
F475 DIC社製:パーフルオロアルキル基含有オリゴマー
Irganox1010 BASF社製:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
JPP−100 城北化学工業社製:テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスファイト
【0192】
【表2】
【0193】
尚、表2中の各化合物は、各々以下の通りである。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
PET−P:ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオナート)
IRGACURE 907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロペン−1−オン
EABF:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
化合物X:3−(2−アセトキシイミノ−1,5−ジオキソ−5−メトキシヘペンチル)−9−エチル−6−(o−トルオイル)−9H−カルバゾール
F475 DIC社製:パーフルオロアルキル基含有オリゴマー
Irganox1010 BASF社製:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
JPP−100 城北化学工業社製:テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスファイト
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0194】
<評価>
[1]着色樹脂組成物より作製した膜の輝度および耐熱性の評価(実施例1〜4及び比較例1及び2)
前記表1の通り調製した着色樹脂組成物を5cm角に切断したガラス基板上に、スピンコート法により乾燥後のsy値が0.120となるように塗布し、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて80℃3分間プリベークした。その後、60mJ/cmの露光量にて全面露光した。続いて、クリーンオーブンにて200℃で30分間焼成し、分光光度計U−3310(日立製作所製)にて、分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度(C光源)を算出した。
結果を表3に纏めた。
【0195】
【表3】
【0196】
[2]液晶による、電圧保持率及びイオン密度の測定(実施例5〜16及び比較例3〜6)
実施例及び比較例の染料を含んだ上記の割合と組成とで調合した着色樹脂組成物を、ITO(インジウム−酸化錫合金)電極を全面に蒸着したガラス基板上(イーエッチシー製評価用ガラスITOベタMN−1392)に、塗布膜の厚さが2〜3μm(熱硬化後の膜厚が約2μm)になるように回転数を設定し(300rpm〜700rpm)スピンコーターを用いて塗布し80℃のホットプレートで3分間プリベークをした後1分間真空チャンバー内で乾燥した。
次いで、高圧水銀ランプを用い、電極となる外周にフォトマスクを施し、塗膜に303nm、313nm、334nm、365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線30mW、62mJ/cmの露光量で露光し、さらに、200℃で60分間ポストベーク(以下で「硬化温度」ともいう。)を行い塗膜を硬化させて、液晶評価用の青色画素基板(以下で「レジスト膜」ともいう。)を得た。
青色画素を形成した基板とITO電極を所定形状に蒸着しただけの電極基板(イーエッチシー製評価用ガラスSZ−B11MIN(B)MN11396)とを、水と45℃の温水とで洗浄した後105℃のオーブンで乾燥し、5μmのガラスビーズを混合したシール剤で貼り合わせたのち(ギャップは5μm)、180℃のオーブンで2時間アニールして得たセルに、液晶MLC−7021−000(メルク社製)を注入して、電極面積は1cmの液晶セルを作製した。
次いで、液晶セルの電圧保持率を、液晶物性評価システム6254型(東陽テクニカ社製)により25℃で測定した。このときの印加電圧は5.0Vの方形波、測定周波数は60Hzと2Hzと0.6Hzである。ここで電圧保持率とは、通常、面積比と電圧比の2とおりの表し方が知られているが、本件では面積比の値を採用した(0ミリ秒の電圧を観測時間16.7ミリ秒(60Hzの測定の場合)、あるいは、観測時間0.5秒間(2Hzの測定の場合),あるいは1.67秒(0.6Hzの場合)維持したとして得られる面積に対して、0ミリ秒後から16.7ミリ秒まで(60Hzの例)の電圧の軌跡と電圧ゼロレベルとで囲まれた面積の比)。
イオン密度は、電圧保持率と同じ装置を用いて測定した。周波数0.1Hz、±10Vの三角波を印加し、電流の時間変化を算出した波形として出力される。波形の中の液晶のダイレクタピークはあらかじめ液晶だけの上記セルで測定しておき、ついで、各例の液晶セルについて測定する。イオン波形の中に見られる液晶のダイレクタピークと不純物イオンピーク、及び、不純物イオン密度の求め方について図2に示した。
電圧保持率は、60Hzで好ましくは85%以上、2Hzで好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは80%以上であり、理想的には90%以上である。
また、2Hz以下の電圧保持率はイオン性不純物に極めて敏感な特性である。かかる2Hz以下の電圧保持率は、イオン性の介入などをイオン密度測定結果(イオン密度や、液晶ダイレクタピーク電流/不純物イオンピーク電流)や60Hzでの電圧保持率や液晶の挙動観察と合わせてその好ましい範囲を考慮する。
更に、0.6Hzでの電圧保持率はイオン性不純物の影響がより大きく反映される。何故ならば、0.6Hzの場合、レジスト膜表面の不純物イオンが液晶内を移動するのに十分なほど電圧変化を計測する時間が非常に長いためである。
イオン密度を測定することにより、レジスト膜に由来するイオン性不純物の影響を知ることができる。すなわち、プラス側およびマイナス側に電圧を印加した場合、いずれにおいてもイオン密度が高いほど、液晶中にイオン性不純物を含み、液晶セルへの電圧印加および液晶セルの電圧保持を阻害する因子を含むことを表す。すなわち、イオン密度が小さいほど電気特性は良好である。なお、液晶のみの場合には0nCであった。
液晶評価結果を表4(表1の着色樹脂組成物)と表5(表2の着色組成物)に纏めた。
【0197】
尚、表中、電圧保持率が、「電流リークで数値化不能」とは、液晶の応答速度より短い時間、即ち、電圧印加直後1ミリ秒以下で電圧が2V未満まで降下するため、液晶セルが動作するにたる電圧が液晶セルにかからない現象のことを言い、)、電気特性が著しく低いことを指す。
また、イオン密度が「電流リークで測定不可」とは、電圧保持率が、「電流リークで測定不可」となるセルにおいて、電気特性が著しく低いため、イオン密度の正しい測定ができないことを指す。
「イオン密度高すぎて測定不可」とは、電流リークがあるために液晶が応答しないために液晶のダイレクタピークがイオン密度に現れず、また、発生する電流がおおきすぎるためにイオンピークが埋もれて判別できないという、装置によるイオン密度測定限界を超えていることを示し、電気特性が低いことを表す。
【0198】
【表4】
【0199】
【表5】
【0200】
表3に示すが如く、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素は輝度が高い、良好な青色画素である。また、表4及び表5に示すが如く、本発明の着色樹脂組成物を用いた青色画素基板(レジスト膜)から成る当該液晶セルは、電圧保持率も高く、イオン密度が小さく、良好な電気特性を有する。特に、200℃という温度は、樹脂組成物の硬化温度としてはやや低く、イオン性成分が液晶中あるいは液晶とレジスト膜との界面に溶出して液晶評価特性には不利な傾向である。そのような200℃というやや低めの硬化温度によっても、実施例化合物を有するレジスト膜から成る液晶セルのイオン密度は低く、イオン性不純物の溶出が比較例に比べて抑制される傾向がある。その結果、電圧保持率が高く良好である。特に染料Bの化合物を含む着色樹脂組成物(実施例6、8、10、14)ではイオン密度が高々1nC未満であり、0.2Hzでの電圧保持率が85%を超えている。つまり、電気特性がよく且つ電圧保持率も高いことが判る。
以上のように、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを含む液晶表示装置及び有機EL表示装置は高品質である。
【0201】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2012年3月29日出願の日本特許出願(特願2012−077457)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明によれば、輝度と電圧保持率が両立した画素が得られる新規なトリアリールメタン系化合物を提供することが可能となる。更に、本発明によれば、輝度が高く、且つ電圧保持率が高い画素を形成し得る、新規な着色樹脂組成物を提供することが可能となる。また本発明は、輝度が高く、且つ電圧保持率が高い画素を含むカラーフィルタ、並びに高品質な液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することが可能となる。したがって本発明は、カラーフィルタ、並びに液晶表示装置及び有機EL表示装置等への応用において有用である。
【符号の説明】
【0203】
100 有機EL素子
10 透明支持基板
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
500 有機発光体
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極
a 不純物ピーク
b 不純物ピーク
c 最大イオン密度
d 液晶のダイレクタピーク電流(不純物ピークの極性)
e 不純物ピーク電流(不純物ピークのうち最大のものを選択)
f 液晶のダイレクタピーク
図1
図2
【国際調査報告】