特表-13147143IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月3日
【発行日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】樹脂組成物及びその成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 51/04 20060101AFI20151117BHJP
   C08L 25/12 20060101ALI20151117BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   C08L51/04
   C08L25/12
   C08L67/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2014-508087(P2014-508087)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年3月29日
(11)【特許番号】特許第5812506号(P5812506)
(45)【特許公報発行日】2015年11月17日
(31)【優先権主張番号】特願2012-80446(P2012-80446)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田神保町一丁目105番地
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 晃子
【住所又は居所】東京都千代田区神田神保町一丁目105番地
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 朋幸
【住所又は居所】東京都千代田区神田神保町一丁目105番地
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BC06X
4J002BG10X
4J002BN15W
4J002CF05Y
4J002CF06Y
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
(A)ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフトさせたグラフト共重合体と、(B)芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体を重合させた重合体と、(C)少なくとも脂環式ジオールと芳香族ジカルボン酸が含まれるポリエステルとを含む熱可塑性樹脂組成物であって、(A)〜(C)成分の合計量を100質量%としたとき、(A)成分が15〜50質量%、(B)成分と(C)成分の合計量が50〜85質量%であり、上記(A)成分の線膨張係数が12.5×10−5〜19×10−5/℃である、上記熱可塑性樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフトさせたグラフト共重合体と、(B)芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体を重合させた重合体と、(C)少なくとも脂環式ジオールと芳香族ジカルボン酸が含まれるポリエステルとを含む熱可塑性樹脂組成物であって、(A)〜(C)成分の合計量を100質量%としたとき、(A)成分が15〜50質量%、(B)成分と(C)成分の合計量が50〜85質量%であり、上記(A)成分の線膨張係数が12.5×10−5〜19×10−5/℃である、上記熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(C)成分中の脂環式ジオールが、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(TMCD)と、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)とを含み、前記(C)成分中の芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)〜(C)成分の合計量を100質量%としたとき、前記(A)、(B)成分の合計量が20〜80質量%、(C)成分が80質量%〜20質量%である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)成分中に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体の合計量として100質量%が含まれるとき、シアン化ビニル系単量体の配合量が、30〜45質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)成分中に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体の合計量として100質量%が含まれるとき、アクリル酸エステル系単量体単位成分を1〜15質量%含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
着色剤として、カーボンブラック及び/又は染料をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体。
【請求項8】
前記射出成形体が筐体である、請求項7に記載の射出成形体。
【請求項9】
前記射出成形体が無塗装である、請求項7又は8に記載の射出成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装することなく射出成形のみで高い耐衝撃性と高品位な外観を合わせ持ち、流動性、耐薬品性にも優れる樹脂組成物及びその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)は、流動性や耐衝撃性、耐薬品性、さらに表面外観にも優れるバランスのとれた樹脂であることから、自動車用材料やOA機器、家電製品、玩具の筐体等の様々な分野で使用されてきている。
【0003】
その中でも、携帯機器の筐体や家電機器の筐体、自動車の内装部品など、高い耐衝撃性が要求される分野においては、耐衝撃性に特に優れた芳香族ポリカーボネートとのアロイ(PC/ABS)が極めて広く用いられており、特に、電子機器分野においては、携帯機器が急激に普及し、樹脂の使用量を低減することによる軽量化を図るため、製品肉厚を薄肉化する傾向が急速に高まっている。例えば特許文献1には、耐衝撃性を維持しながら成形流動性を改良した技術が開示されている。
【0004】
一方、近年、射出成形・金型技術の進歩により金型の表面転写性が向上し、またウェルドレス成形がハイサイクルで可能となったため、高品位な外観を得ることができるようになってきた。この成形技術の進歩により、塗装にはVOC排出による環境汚染問題や塗装はがれによる外観悪化の問題が伴うことや、塗装コストが高いということから、無塗装化が好まれるケースが増えてきている。
【0005】
無塗装化にあたり、樹脂材料そのものの色が重要視されるようになり、上記携帯機器や家電機器の筐体において、高級感のある外観の材料の一つとして漆黒調を有する樹脂材料の採用が増加してきている。例えば、特許文献2にはABS樹脂に特定の有機染料を用いた着色処方で黒に染色し、漆黒性を得る技術が開示されている。なお、このような優れた着色性を備えた成形品を得るためには、高い全光線透過率が必要であり、特許文献3には、樹脂自体の全光線透過率が50%以上であることが求められ、全光線透過率が30%未満の場合には、着色性が十分ではないということが記載されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−147703
【特許文献2】特開2005−132970
【特許文献3】特許第4731948号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1にあるようなPC/ABSでは、優れた色調の外観を得ることができないため、射出成形のみで高い耐衝撃性と高品位な外観という相反関係にある2つの特性を併せ持った材料を得ることができなかった。また、PC/ABSはアルカリ及び/又は高熱高湿環境下において加水分解が起こりやすいことから、使用用途が限られていた。また、特許文献2、3には、高い漆黒性や透明性、漆黒性が得られるものの、耐衝撃性は低く、高い耐衝撃性と高品位な外観を併せ持った材料は得られていなかった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてされたものであり、塗装することなく射出成形のみで高い耐衝撃性と高品位な外観を合わせ持ち、流動性、耐薬品性にも優れる樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した。その結果、(A)ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフトさせたグラフト共重合体と、(B)芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体を重合させた重合体と、(C)少なくとも脂環式ジオールと芳香族ジカルボン酸が含まれるポリエステルとを含む熱可塑性樹脂組成物であって、(A)〜(C)成分の合計量を100質量%としたとき、(A)成分が15〜50質量%、(B)と(C)成分の合計量が85〜50質量%であり、上記(A)成分の線膨張係数が12.5×10−5〜19×10−5/℃である樹脂組成物とすることによって、本課題を解決した。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) (A)ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフトさせたグラフト共重合体と、(B)芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体を重合させた重合体と、(C)少なくとも脂環式ジオールと芳香族ジカルボン酸が含まれるポリエステルとを含む熱可塑性樹脂組成物であって、(A)〜(C)成分の合計量を100質量%としたとき、(A)成分が15〜50質量%、(B)成分と(C)成分の合計量が50〜85質量%であり、上記(A)成分の線膨張係数が12.5×10−5〜19×10−5/℃である、上記熱可塑性樹脂組成物。
(2) 前記(C)成分中の脂環式ジオールが、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(TMCD)と、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)とを含み、前記(C)成分中の芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸を含む、(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3) 前記(A)〜(C)成分の合計量を100質量%としたとき、前記(A)、(B)成分の合計量が20〜80質量%、(C)成分が80質量%〜20質量%である、(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4) 前記(B)成分中に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体の合計量として100質量%が含まれるとき、シアン化ビニル系単量体の配合量が、30〜45質量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5) 前記(B)成分中に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体の合計量として100質量%が含まれるとき、アクリル酸エステル系単量体単位成分を1〜15質量%含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6) 着色剤として、カーボンブラック及び/又は染料をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体。
(8) 前記射出成形体が筐体である、(7)に記載の射出成形体。
(9) 前記射出成形体が無塗装である、(7)又は(8)に記載の射出成形体。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、塗装することなく射出成形のみで、高い耐衝撃性と高品位な外観、さらに流動性と耐薬品性を合わせ持つことができる樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
<グラフト共重合体(A)、重合体(B)>
本実施形態に係る(A)ゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフトさせたグラフト共重合体に用いられるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム、及びこれらの水素添加物、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴム等が挙げられ、これらは単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
この中で耐衝撃性の点から特に好ましいのは、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体が好ましく用いられる。
【0013】
ゴム質重合体は、均一な組成であっても良いし、異なる組成の重合体を含むものでも良く、また、連続的に組成が変化しているものでも良い。
【0014】
本実施形態に係る、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)、及び、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体を重合させた重合体(B)における芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレンが挙げられ、これらは単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。この中で特に好ましいのは、スチレン、及びα−メチルスチレンである。
【0015】
本実施形態に係る、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)、及び芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体を重合させた重合体(B)におけるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられ、これらは単独又は二種を組み合わせて使用することができる。
【0016】
本実施形態に係る、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)、及び芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体を重合させた重合体(B)におけるその他の共重合可能な単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられ、この中でより好ましいのは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレートであり、特に好ましいのは、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルである。これらを含むことにより、流動性及び透明性に優れたものとなる。
【0017】
本発明において、グラフト共重合体(A)のグラフト率は、好ましくは200%以下であり、より好ましくは50〜190%、さらに好ましくは60〜170%である。グラフト率をこの範囲とすることで、グラフト共重合体(A)の線膨張係数を12.5×10−5〜19×10−5/℃に制御することができる。
【0018】
本発明において、グラフト共重合体(A)が特定の線膨張係数を有することが必須である。(A)成分の線膨張係数は、12.5×10−5〜19×10−5/℃、好ましくは、12.5×10−5〜17×10−5/℃である。線膨張係数を19×10−5/℃以下とすることで、優れた鮮映性及び透明性を発現することができる。鮮映性とは、表面に写りこんだ像の鮮明性のことであり、例えば、ピアノに写りこむ像や、高級な黒塗り自動車に写りこむ像を思い浮かべればよく、これらには高級感を強く感じ取ることができる。透明性は、ベース樹脂が透明であるほど発色性が良くなり、同時に色の深みも発現するため、これも高級感のある色調を得ることができる。また12.5×10−5/℃以上とすることで、十分な耐衝撃性が得られる。
【0019】
(A)成分の線膨張係数の測定は、グラフト共重合体(A)を含む組成物や射出成形体から、グラフト共重合体(A)以外の樹脂成分を溶解するがグラフト共重合体(A)を溶解しない溶媒を選択し、不溶分(E)を取り出し、測定に供する。溶媒としては、例えば、塩化メチレンやクロロホルムを好適に用いることができる。
【0020】
不溶分(E)は遠心分離機等により取り出すことができ、真空乾燥させた不溶分(E)をコンプレッション等で成形する。コンプレッション成形条件としては、例えば、不溶分(E)をアルミ板、及び/又は、金属板で上下から挟み込んだものを、230℃の加熱板で溶融させ、4mm厚にコンプレッションし、その後40℃の冷却用板にて固化させることがあげられる。その成形体を精密カットソーにより、縦4mmt×横5mm×高さ10mmに切削した後、熱膨張測定装置(TMA)にてASTM D696に準じて測定すれば(A)成分の線膨張係数を知ることができる。
【0021】
グラフト率は、グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体の質量を(A1)、グラフト共重合したグラフト成分の質量を(A2)としたとき、((A2)/(A1))×100〔%〕で定義できる。
【0022】
上記グラフト率は、線膨張係数の測定の場合と同様の方法によりグラフト共重合体(A)を含む組成物や射出成形体から、グラフト共重合体(A)以外の樹脂成分を溶解するが(A)成分を溶解しない溶媒を選択し、不溶分(E)を取り出せばよい。遠心分離機により不溶分(E)と可溶分とに分離し、取り出した不溶分(E)をフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)等によりゴム成分及びその他の成分を分析し、その結果を元にして求めることができる。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂組成物のグラフト共重合体(A)は、重合体(B)の連続相の中に分散した形態をとっている。その形状は、不定形、棒状、平板状、粒子状等をとりうるが、耐衝撃性の点から、より好ましいのは粒子状である。これらが連続相中に一つ一つが独立して分散する場合、いくつかの集合体が分散する場合のいずれもとりうるが、耐衝撃性の点で一つ一つが独立した方が好ましい。
【0024】
熱可塑性樹脂組成物中に分散するゴム質重合体の大きさは、体積平均粒子径として、射出成形体を製造する際の離型効果の点で0.1μm以上、及び射出成形体表面の鮮映性の点で1.2μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.15〜0.8μm、さらに好ましくは0.15〜0.6μm、特に好ましくは0.2〜0.4μmである。体積平均粒子径は、射出成形体から超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行い、超薄切片の任意の50μm×50μmの範囲について画像解析して求めることができる。
【0025】
なお、ここで体積平均粒子径とは、ゴム質重合体の形状が球状の場合はその直径に相当し、球状で無い場合は、最長径と最短径との平均値とする。
【0026】
上記ゴム質重合体(A1)は、例えばゴム質重合体の内部で樹脂成分が相分離した、オクルージョンを含んだ構造のように、ゴム分と樹脂成分を含む不均一な構造体である場合がある。オクルージョンを含む粒子の場合のゴム質重合体部分の体積平均粒子径は、オクルージョンを含めた状態で測定する。
【0027】
グラフト共重合体(A)を製造する方法としては、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、溶液重合等の公知の方法によって製造することができる。このうち、乳化重合により製造する際には、レドックス開始剤・触媒系、或いは熱分解型の開始剤を用いる方法が挙げられるが、レドックス開始剤・触媒系は、グラフト率の制御が容易であるため、得られた樹脂組成物は機械的強度に優れるという利点があり、さらに、最終重合率が上がりやすいために組成物中の未反応の単量体、及びオリゴマー量を低く抑えることができるため、より好ましい。この際、自動的にグラフト共重合体(A)の他に、グラフトしていない共重合体が生成してくる(本発明における(B)に相当)。本願実施例においては、グラフト共重合体(A)として、このグラフト未反応成分(B)を含めた(a)を添加している。すなわち、(a)=(A)+グラフト未反応成分の(B)である。
【0028】
重合体(B)を製造する方法としては、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、溶液重合等の方法によって製造することができる。
【0029】
本実施形態における重合体(B)には、上記のように(A)成分を製造する際に副生成物として製造されるグラフト未反応成分(B)も含まれる。これら全ての(B)成分全体の還元粘度(ηsp/c)は、0.3〜1.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.35〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.35〜0.9dl/g、特に好ましくは0.35〜0.6dl/gである。重合体(B)の還元粘度がこの範囲にあると、成形流動性及び耐衝撃性のバランスに優れた組成物を得ることができる。
【0030】
重合体(B)の還元粘度を組成物や射出成形体から調べるには、例えば、(A)成分を溶解せず、その他成分を溶解する溶媒を用いて、まず(A)成分を分離し、残った(B)成分と(C)成分の混合溶液に、(B)成分はよく溶解するが(C)成分は溶解しない溶媒を加えて(C)成分を再沈させることで(C)成分と(B)成分に分離し、その内の(B)成分0.50gを2−ブタノン100mlにて溶解した溶液を、〜30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得ることができる。
【0031】
本実施形態における(B)成分が、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との共重合体、又は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アクリル酸エステル系単量体からなる3元共重合体である場合には、これら共重合体又は3元共重合体(B)100質量%に対するシアン化ビニル系単量体の配合量は、15〜45質量%であることが好ましい。より好ましくは25〜45質量%、さらに好ましくは30〜45質量%、特に好ましくは35〜45質量%である。この範囲とすることで、透明性及び耐薬品性が良好となる。
アクリル酸エステル系単量体を含む場合においては、アクリル酸エステル系単量体の配合量は、(B)成分を100質量%としたとき1〜15質量%であることが好ましい。よりこのましくは3〜10質量%である。ここで、アクリル酸エステル系単量体を含む方が流動性を向上させると共に、透明性及び漆黒性の良好な射出成形体が得易くなる。中でも特に、アクリル酸ブチルやメタクリル酸ブチルが好ましく使用される。
【0032】
上記シアン化ビニル系単量体の配合量を組成物や射出成形体から調べるには、上記同様に(B)成分を抽出し、取り出した(B)成分をフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により求めることができる。
<ポリエステル(C)>
本実施形態においては、(C)成分として、少なくとも脂環式ジオールと芳香族ジカルボン酸が含まれるポリエステルを含む。本実施形態において、(C)成分を含むことにより、高品位な外観と高い耐衝撃性、さらに耐薬品性にも優れたものを得ることができる。
【0033】
本実施形態でいう少なくとも脂環式ジオールと芳香族ジカルボン酸が含まれるポリエステル(C)とは、脂環式ジオール化合物及び/又は脂環式ジオール化合物からの誘導体を含むジオール類と、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸からの誘導体を含むジカルボン酸類との縮重合体であることが好ましい。
【0034】
本実施形態に係るジオール類としては、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環式ジオールが挙げられるが、その中でも1,4−シクロヘキサンジメタノール及び/又は2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが好ましい。
【0035】
ここで、ジオール類全体を100mol%としたとき、1,4−シクロヘキサンジメタノールが20〜70mol%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが30〜80mol%であることが好ましい。より好ましくは、1,4−シクロヘキサンジメタノールが30〜60mol%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが40〜70mol%である。
【0036】
本実施形態に係るジオール類は、シス、トランス、又はこれらの混合物を用いることができる。
【0037】
本実施形態に係るジオール類として、本実施形態の効果を損なわない範囲において、脂環式ジオール以外にも別のジオール類を含有してもよいが、本効果を維持するためには、脂環式以外の別のジオール類は5mol%以下であることが好ましい。脂環式以外の別のジオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びp−キシレングリコールが挙げられる。
【0038】
本実施形態に係わるジカルボン酸類としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、が挙げられるが、その中でもテレフタル酸が好ましい。
【0039】
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて種々の樹脂を、任意の方法により配合することができる。そのような樹脂としては、芳香族ポリカーボネートや非晶性ポリエステルがあげられる。これらの配合量としては、上記(A)〜(C)成分の合計100質量%に対して、それぞれ25質量%を超えない範囲であることが好ましい。より好ましくは10質量%以下である。
【0040】
本実施形態において、(A)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体と、(B)芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群から選ばれる少なくとも二種の単量体を重合させた重合体と、(C)少なくとも脂環式ジオールと芳香族ジカルボン酸が含まれるポリエステルの好ましい配合量は、(A)〜(C)成分の合計量を100質量%としたとき、好ましくは(A)成分と(B)成分の合計量を20〜80質量%、より好ましくは、30〜70質量%、更に好ましくは35〜65質量%、好ましくは(C)成分を80〜20質量%、より好ましくは70〜30質量%、更に好ましくは65〜35質量%含む。(A)成分と(B)成分の合計配合量が20質量%以上であれば、流動性と耐衝撃性に優れ、80質量%以下であれば、耐衝撃性に優れる。
【0041】
本実施形態において、(A)成分の好ましい配合量としては、(A)〜(C)成分の合計量を100質量%としたとき、15〜50質量%であり、好ましくは15〜40質量%、より好ましくは20〜40質量%である。15質量%以上とすることで、耐衝撃性及び押出安定性に劣ることはなく、50質量%以下とすることで透明性及び流動性に劣ることもない。
【0042】
(A)成分の量及び、(A)成分と(B)成分の合計量、(C)成分の量を組成物や射出成形体から調べるには、例えば、(A)成分を溶解せず、その他成分を溶解する溶媒を用いて、まず(A)成分を分離し、残った(B)成分と(C)成分の混合溶液に、(B)成分はよく溶解するが(C)成分は溶解しない溶媒を加えて(C)成分を再沈させることで(C)成分と(B)成分に分離し、それぞれの質量を測定する方法を用いることができる。溶媒としては、例えば、(A)成分を溶解せず、その他成分を溶解する溶媒は塩化メチレンやクロロホルムを用いることができ、(B)成分はよく溶解するが(C)成分は溶解しない溶媒はアセトンを用いることができる。もし、樹脂組成物や射出成形体が上記以外の材料を含む場合であっても、それぞれの組成から適切な溶媒を選び、上記操作を容易に実施できる。
<添加剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて種々の添加剤を、任意の方法により配合することができる。そのような添加剤としては、可塑剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。これらの添加剤の配合量としては、樹脂組成物に対して、それぞれ10質量%を超えない範囲であることが好ましい。
高品位な外観を得るためには、着色剤として黒度の高いカーボンブラックや染料を使用することが好ましい。黒度の高いカーボンブラックとは、「三菱カーボンブラック#960」(三菱化学社製);PVC黒度=28よりも黒度が高いものが好ましく、「三菱カーボンブラック#980」(三菱化学社製);PVC黒度=36以上が好ましい。ここでPVC黒度とは、カーボンブラックとPVC樹脂を混練したコンパウンドの黒度を表す相対値であり、絶対値を示したものではない。点数の高い方が、PVC樹脂漆黒度が高いといえる。染料料を使用する場合には、数種類を併用することが好ましい。例えば、有機染料を併用することが好ましく、本発明の漆黒を得るためには、三種以上の有機染料を併用することが好ましい。例えば、以下の各色の染顔料の中から、三種以上の色を選択することが好ましい。
赤;S.R.179、S.R.111、D.R.60、S.R.145、D.R.191、S.R.52、S.R.150、S.R.149、S.R.24、V.R41
青;S.B.35、D.B.14、S.B.97、S.B.87、D.B.60
黄;D.Y.54(S.Y.114)、D.Y.157、D.Y.160、D.Y.105、S.Y.16、S.Y.93、D.Y201
緑;S.G.3
紫;D.V.28、S.V.13、D.V.26、S.V.36
上記は、各染料のColor Index (C.I.)Noを示す。
<製造方法>
次に、本実施形態の樹脂組成物の製造方法の一例を、以下に説明する。
【0043】
本実施形態の樹脂組成物の製造方法としては、例えば、
(1)(A)〜(C)成分を一括して二軸押出機に供給し溶融混練する方法、
(2)上流側供給口と下流側供給口を備えた二軸押出機を用い、上流側供給口より(A)成分と(B)成分を供給し溶融混練した後、下流側供給口より(C)成分を供給し溶融混練する方法、
(3)上流側供給口と下流側供給口を備えた二軸押出機を用い、上流側供給口より(C)成分を供給し溶融混練した後、下流側供給口より(A)成分と(B)成分を供給し溶融混練する方法、
(4)上流側供給口と下流側供給口を備えた二軸押出機を用い、上流側供給口より(A)成分と(C)成分を供給し溶融混練した後、下流側供給口より(B)成分を供給し溶融混練する方法、
(5)上流側供給口と2箇所の下流側供給口を備えた二軸押出機を用い、上流側供給口より(A)成分の一部と(C)成分を供給し溶融混練した後、下流側供給口より残りの(A)成分と(B)成分を溶融混練する方法、
等が挙げられる。
【0044】
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分を特定量で配合すること、及び、上記(A)成分の線膨張係数を12.5×10−5〜19×10−5/℃の範囲とすることによって、高品位な外観(透明性、鮮映性及び漆黒性)と耐衝撃性、流動性、耐薬品性の相反する特性を併せ持つことができる。
<成形体の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物の特徴は、塗装することなく射出成形のみで、高品位な外観を持つ成形体を作製することができるところにある。このような高外観の成形体の製造方法としては、例えば、射出成形機を用いて、シリンダー温度=270℃、金型温度=70℃の一般的な射出成形によって得ることができる。また、金型温度を80℃と130℃とに加熱/冷却を繰り返すヒートアンドクール成形が好ましく、高外観の成形体をより容易に得ることができる。これは、特に薄肉成形体の場合に好ましく使用される。
【0045】
本実施形態の高品位な外観を持つ成形体を得るためには、射出速度はより速いが好ましく、射出圧力は高すぎない方が好ましい。射出速度の速い方が成形体表面の状態を均一にすることができ、射出圧力による成形体表層のゴム質重合体の偏平を制御することによって、より漆黒性及び発色性が高いものを得ることができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例によって本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0047】
使用した原料は以下のとおりである。
(使用した原料)
1.(a)ABS(グラフト未反応成分を含む)
アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体;
(a−1)グラフト共重合体(A)69質量%(ブタジエン30質量%、グラフト率130%)、グラフト未反応共重合体(B)31質量%(シアン化ビニル系単量体の配合量;20質量%)、還元粘度0.39dl/g、ゴム質重合体の体積平均粒子径250nm。
(a−2)グラフト共重合体(A)54質量%(ブタジエン40質量%、グラフト率35%)、グラフト未反応共重合体(B)46質量%(シアン化ビニル系単量体の配合量;25質量%)、還元粘度0.38dl/g、ゴム質重合体の体積平均粒子径250nm。
(a−3)グラフト共重合体(A)78質量%(ブタジエン30質量%、グラフト率160%)、グラフト未反応共重合体(B)22質量%(シアン化ビニル系単量体の配合量;40質量%)、還元粘度0.5dl/g、ゴム質重合体の体積平均粒子径250nm。
2.(B)AS;
アクリロニトリル・スチレン共重合体
(B−1)アクリロニトリル20質量%、スチレン80質量%、還元粘度0.67dl/g。
(B−2)アクリロニトリル25質量%、スチレン75質量%、還元粘度0.62dl/g。
(B−3)アクリロニトリル30質量%、スチレン70質量%、還元粘度0.58dl/g。
(B−4)アクリロニトリル34質量%、スチレン66質量%、還元粘度0.61dl/g。
(B−5)アクリロニトリル39質量%、スチレン51質量%、アクリル酸ブチル質量10%、還元粘度0.42dl/g。
3.(C)ポリエステル;
(C−1)商品名「Tritan TX2000」、EASTMAN社製
グリコール成分として、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む。
芳香族ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を含む。
(C−2)商品名「PCT−G DN001」、EASTMAN社製
グリコール成分として、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む。
芳香族ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を含む。
(C−3)商品名「PET−G GN001」、EASTMAN社製
グリコール成分として、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む。
芳香族ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を含む。
4.(D)芳香族ポリカーボネート;
商品名「パンライト L−1250Y」、帝人社製
各物性の評価方法は以下のとおりである。
(評価方法)
<線膨張係数の測定>
樹脂組成物ペレットとクロロホルムを振とう機で、2時間振とうさせた。振とう後、遠心分離機にて、回転数20000rpmで60分間遠心分離した。遠心分離終了後、デカンテーションした。この操作を3度行い、沈殿物(クロロホルム不溶分(E))を取り出した。この沈殿物を80℃で30分間乾燥した後、デシケーター中で30分以上放冷し、これをアルミ板、及び、金属板で上下から挟み込んだものを、230℃の加熱板で溶融させ、4mm厚にコンプレッションし固め、その成形体を精密カットソーを用いて、縦4mmt×横5mm×高さ10mmに切削した。これを熱膨張測定装置(TMA)にてASTM D696に準じて評価した。測定は、3点の加算平均をもって線膨張係数の値とした。
<全光線透過率及びHazeの測定>
射出成形機を用いて、シリンダー温度=250℃、金型温度=60℃にて5cm×9cm、厚み2.5mmの平板を射出成形した。この平板を用いて、ASTM D1003に準じて評価した。測定は、3点の加算平均をもって全光線透過率及びHazeの値とした。
<鮮映性の測定>
射出成形機を用いて、シリンダー温度=250℃、金型温度=60℃にて5cm×9cm、厚み2.5mmの平板を射出成形した。この平板を用いて、写像性測定装置(スガ試験機(株)、ICM−10P型、スリット間隔0.125mm、反射角度60°)を用いて測定した。測定は、5点の加算平均をもって鮮映性の値とした。
<シャルピー衝撃強度の測定>
射出成形機を用いて、シリンダー温度=250℃、金型温度=60℃にて、ISO294に準じて厚み4mmの多目的試験片A型(長さ150mm、狭い部分の幅10.0mm)を成形した。得られた試験片を80×10×4mmの形状に加工し、加工した試験片にノッチを付与して、ISO179に準じてシャルピー衝撃強度を測定した。測定は、10点の加算平均をもってシャルピー衝撃値とした。
<流動性の測定>
得られた樹脂組成物ペレットを、ISO1133に準じて220℃、10kg荷重の条件において測定した。測定は、3点の加算平均をもってMVR値とした。
<耐薬品性の測定>
射出成形機を用いて、シリンダー温度=250℃、金型温度=60℃にてゲート側から厚みが3mm、2mm、1mmとなっている3段プレートを射出成形した。このプレートの厚み1mmの部分に垂直に市販のアクリルラッカー{主溶剤「ブチルアセテート」;60%、助溶剤「エチルベンゼン、キシレン、イソプロパノール」;40%)}を塗布し、48時間恒温恒湿室に放置した後、その後の表面性状について見た目で以下のように判定した。
◎(優良);表面に光沢があり、周囲の物体が鮮明に移りこむ。
○(良);表面の光沢に劣り、移り込む周囲の物体の輪郭が鮮明でない。
×(不可);表面の光沢がなく、周囲の物体の移り込みがない。
<漆黒性の測定>
後述する実施例1〜11、比較例1〜4の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対し、カーボンブラックを1質量部練り込んだ後、射出成形機を用いて、シリンダー温度=270℃、金型温度=70℃にて5cm×9cm、厚み2.5mmの平板を射出成形した。カーボンブラックは、「三菱カーボンブラック#980」(三菱化学社製);PVC黒度=28を用いた。
この平板を多光源分光測色計「MSC−5N−GV5」(スガ試験機(株)製)用いて、d/8反射(正反射光を除く)、測定孔φ15、C光源/2°視野、L表色系にて、Lを測定した。測定は、2点の加算平均をもってL値とした。
【0048】
(実施例1〜6、8〜11)
2軸押出機(東芝機械製「TEM−58SS」)を用いて以下のとおりに樹脂組成物を作製した。供給口は、上流側に1ヶ所とし、充分に乾燥して水分除去を行った(a)、(B)、(C)成分を供給した。その際の押出機のシリンダー温度は、全段250℃に設定した。また、この時の混練物の吐出量は300kg/時間、スクリュー回転数は250rpmであった。
【0049】
この時の原材料の種類、配合割合を表1に示す。得られたペレットを用いて上述の各評価を行った結果を表1に示す。
【0050】
(実施例7)
(D)成分として、芳香族ポリカーボネート樹脂を加え、(B)成分は(a)成分に含まれるグラフト未反応共重合体(B)のみを用いた以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
【0051】
この時の原材料の種類、配合割合を表1に示す。得られたペレットを用いて上述の各評価を行った結果を表1に示す。
(比較例1)
2軸押出機(東芝機械製「TEM−58SS」)を用いて以下のとおりに樹脂組成物を作製した。供給口は、上流側に1ヶ所とし、充分に乾燥して水分除去を行った(a)、(B)成分を供給した。その際の押出機のシリンダー温度は、全段250℃に設定した。また、この時の混練物の吐出量は300kg/時間、スクリュー回転数は250rpmであった。
【0052】
この時の原材料の種類、配合割合を表1に示す。得られたペレットを用いて上述の各評価を行った結果を表1に示す。
(比較例2)
(D)成分を加えて供給した以外は、比較例1と同様にしてペレットを得た。
【0053】
この時の原材料の種類、配合割合を表1に示す。得られたペレットを用いて上述の各評価を行った結果を表1に示す。
(比較例3、4)
(D)成分の代わりに(C)成分を加えて供給した以外は、比較例2と同様にしてペレットを得た。
【0054】
この時の原材料の種類、配合割合を表1に示す。得られたペレットを用いて上述の各評価を行った結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

本実施形態の実施例1〜11では、比較例1、2、3と比較して、透明性、鮮映性に優れている。比較例4と比較して、耐衝撃性に優れている。本実施形態においては、これら物性バランスが良好であり、さらには、耐薬品性にも優れることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の樹脂組成物は、透明性、鮮映性、及び漆黒性に優れることによる高発色性(高品位な外観)と高い耐衝撃性を合わせ持ち、さらに流動性、耐薬品性についても良好であることから、電気電子機器の筐体や自動車外装部品等への産業上利用可能性を有する。
【国際調査報告】