特表-13150870IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2013-150870ポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸およびレッグニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月10日
【発行日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】ポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸およびレッグニット
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/90 20060101AFI20151120BHJP
   D02G 1/02 20060101ALI20151120BHJP
   D02G 3/32 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   D01F6/90 301
   D02G1/02
   D02G3/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2013-526659(P2013-526659)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2012-84682(P2012-84682)
(32)【優先日】2012年4月3日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号
(72)【発明者】
【氏名】高永 秀敏
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区堀越1丁目1番1号 東レ株式会社愛知工場内
(72)【発明者】
【氏名】井田 隆史
【住所又は居所】石川県能美市北市町リ1番地 東レ株式会社石川工場内
(72)【発明者】
【氏名】河野 健明
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区堀越1丁目1番1号 東レ株式会社愛知工場内
(72)【発明者】
【氏名】溝田 順一
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区堀越1丁目1番1号 東レ株式会社愛知工場内
(72)【発明者】
【氏名】山中 健志
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区堀越1丁目1番1号 東レ株式会社愛知工場内
【テーマコード(参考)】
4L035
4L036
【Fターム(参考)】
4L035BB31
4L035EE01
4L035FF07
4L035JJ03
4L035KK01
4L035LC02
4L036MA06
4L036PA05
4L036PA14
4L036RA25
4L036UA25
(57)【要約】
平均粒径1〜20μmであり、ファーネス法カーボンブラックがポリアミド中に1〜5質量%含有し、かつ単繊維繊度が0.8〜2dtexであることを特徴とするポリアミド原着糸。前記ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸。前記ポリアミド黒原着糸または前記仮撚糸を巻糸に用いたカバリング弾性糸。前記ポリアミド黒原着糸、前記仮撚糸、前記カバリング弾性糸の少なくとも1種を少なくともレッグ部の一部に用いたレッグニット。
柔らかい風合いを持ち、深い黒発色が可能なストッキングまたはタイツを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラックを1〜5質量%含有するポリアミド黒原着糸であって、ポリアミド中のカーボンブラックの平均粒径が1〜20μmかつポリアミド黒原着糸の単繊維繊度が0.8〜2dtexであるポリアミド黒原着糸。
【請求項2】
ポリアミドがナイロン6である請求項1記載のポリアミド黒原着糸。
【請求項3】
請求項1または2記載のポリアミド黒原着糸の乾熱収縮応力のCV値が4.0%以下であるポリアミド黒原着糸。
【請求項4】
請求項1から3記載のポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸。
【請求項5】
請求項1から3記載のポリアミド黒原着糸または請求項4記載の仮撚糸を巻糸として用いたカバリング弾性糸。
【請求項6】
請求項1から3記載のポリアミド黒原着糸、請求項4記載の仮撚糸、請求項5記載のカバリング弾性糸の少なくとも1種を少なくともレッグ部の一部に用いたレッグニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔らかい風合いを持ちかつ、深い黒発色が可能なポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸およびレッグニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ストッキングやタイツ等のレッグニットは、ナイロン6やナイロン66に代表されるポリアミド糸が主に使用されている。従来より、レッグニット製品の柔らかさを得るために、ポリアミド糸の単繊維繊度を細くすることが一般的に行われてきた。しかしながら、単繊維繊度を細くすると、柔らかさは得られるものの、光の乱反射によりレッグニット製品の外観が白っぽくなり、濃色が得られにくくなること、着用中に単繊維が切れピリング等が発生し耐久性および外観が悪くなることなど外観に関する問題点が生じている。特に、タイツの消費者ニーズとしては、柔らかい風合い、耐久性がある、リーズナブルな市場価格であることに加えて、カラー(発色性)が重要なファクターであり、タイツカラーの主流である深い黒発色が可能なポリアミド糸が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
この問題を解決するために、特許文献1ではポリアミド糸中にカーボンブラックを含有させることにより黒発色性の良い極細繊維が得られることを例示している。
【特許文献1】特開2002−146624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の方法では、海島複合糸の海成分を除去することにより単繊維繊度0.0001〜0.06dtexの極細ポリアミド糸を得ており、ストッキングやタイツ等のレッグニット製品においては、柔らかい風合いは得られるものの、一方で、深い黒発色が得られないこと、ピリングの発生(耐久性、外観)、海成分除去にかかるコスト上昇等の問題があった。また、海成分であるPEをトルエン等で溶出する必要があるため、カバリング糸の芯糸となるスパンデックス等の弾性糸が劣化し、強度が弱くなったり、ストレッチ性が損なわれる問題があった。
【0005】
本発明においては、上述したような従来の問題を解決し、柔らかい風合いを持ち、深い黒発色が可能なポリアミド黒原着糸を提供することを課題とする。さらには、深い黒発色が可能なポリアミド黒原着仮撚糸、カバリング弾性糸、レッグニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のポリアミド黒原着糸は次の構成を有する。すなわち、
カーボンブラックを1〜5質量%含有するポリアミド黒原着糸であって、ポリアミド中のカーボンブラックの平均粒径が1〜20μmかつポリアミド黒原着糸の単繊維繊度が0.8〜2dtexであるポリアミド黒原着糸、である。
【0007】
また、本発明の仮撚糸は次の構成を有する。すなわち、
上記ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸、である。
【0008】
本発明のカバリング弾性糸は次の構成を有する。すなわち、
上記ポリアミド黒原着糸または上記仮撚糸を巻糸として用いたカバリング弾性糸、である。
【0009】
本発明のレッグニットは次の構成を有する。すなわち、
上記ポリアミド黒原着糸、上記仮撚糸上記カバリング弾性糸の少なくとも1種を少なくともレッグ部の一部に用いたレッグニット、である。
【0010】
なお、本発明のポリアミド黒原着糸は、ポリアミドがナイロン6であることが好ましい。
【0011】
本発明のポリアミド黒原着糸は乾熱収縮応力のCV値が4.0%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、柔らかい風合いを持ち、深い黒発色が可能な、ストッキングやタイツ等のレッグニットに好適なポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】
本発明のポリアミド黒原着糸を構成するポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体からなる樹脂であって、かかるポリアミドとしては、製糸性、機械特性に優れており、主としてポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が好ましく、カーボンブラックを含有させる場合は、ゲル化し難しく、製糸性が良いことからポリカプロアミド(ナイロン6)がさらに好ましい。ここで言う「主として」とは、ポリカプロアミドを構成するε−カプロラクタム単位として全モノマー単位中80モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90モル%以上である。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミン等の単位が挙げられる。
【0015】
また、ポリアミド黒原着糸に用いるポリアミドの重合度は、仮撚り加工、織編物、繊維製品の要求特性、またはそれらを安定して得るために適当な範囲より適宜選択して良いが、好ましくは25℃での98%硫酸相対粘度で2.0〜3.6の範囲であり、さらに好ましくは2.4〜3.3の範囲である。
【0016】
本発明のポリアミド黒原着糸に使用するカーボンブラックの種類としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が例示され、特に限定されるものではないが、ファーネスブラックであることが好ましい。カーボンブラックの製法には、熱分解法としてアセチレンブラックやサーマルブラック、不完全燃焼法として油煙の採取(いわゆるランプブラック)やファーネスブッラクに区分され、この製法の違いによってカーボンブラックの特徴に違いを与える。2,000℃近傍の反応環境を維持しなければならない熱分解法は、製造に多くのエネルギーを必要とするため、コストおよび製造時の環境面で実用性は低い。一方、不完全燃焼法はコストおよび製造時の環境面で実用性が高い。また、不完全燃焼法の代表格であるファーネス法は、粒子径やストラクチャーの大きさを制御することが容易であり、ポリアミド黒原着糸の色目や製糸性からファーネス法で得られるファーネスブラックを使用することが好ましいのである。特に、小粒子径ファーネスブラックの製造には、オイルファーネス法により得られるファーネスブラックであることがさらに好ましい。
【0017】
また、カーボンブラックは、その製造段階で、ストラクチャーが形成される。ストラクチャーはカーボンブラックの最小単位であり、その指標は、DBP吸油量で示すことができる。ここで言う吸油量とは、JIS K 6217−4(2008年)に準じて測定される値である。本発明のポリアミド黒原着糸に使用するカーボンブラックのDBP吸油量は10〜300ml/100gであることが好ましい。DBP吸油量が上記好ましい範囲であると、ポリアミド黒原着糸とした場合、深い黒発色を出すことが容易で、一方、ポリアミドポリマーへの分散性が良好で、ポリアミド黒原着糸の製造時に粗大粒子が増えることもなく、製糸性が良好で、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度に優れる。
【0018】
本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックは、平均粒径1〜20μmであることが必要である。ここで言う平均粒径とは、一般的に粗粒と呼ばれる粒子径の大きなストラクチャーであり、測定方法は光学顕微鏡を用いて、ポリアミド黒原着糸の融点+20℃に加熱したプレパラートにポリアミド黒原着糸の試料0.1gを載せ、スライドガラスで挟みフィルム状に広げ倍率500倍で撮影し、カーボンブラックのストラクチャーの最も長い長径を、1試料から任意に20個測定し、20個の平均値を算出した値である。この際、撮影した写真は粒径測定しやすいサイズに拡大してもよい。平均粒径20μmを超えると、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなり、レッグニットとした際に毛羽等の混入により製品品位が悪くなるばかりでなく、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が低下する。1μm未満では、糸の動摩擦係数が高くなり着用時に、つま先やかかと、膝などの摩擦が多い部分でピリングが多く発生する。好ましくは1〜10μmである。本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックの平均粒径を1〜20μmとするためには、ポリアミド黒原着チップ製造時、ポリアミド黒原着糸製造時にカーボンブラックを含有する溶融ポリマーの濾過を行うことにより可能となる。その濾過の方法は特に限定されるものではないが、溶融ポリマー通路や紡糸パック等でフィルターを設置することが好ましい。紡糸パック内にフィルターを設置することがさらに好ましく、紡糸パック内で用いるフィルターは10〜20μmカットがより好ましい。
【0019】
また、カーボンブラックをポリアミド溶融ポリマーに含有させる時に、カーボンブラック粒子が、2次粒子や3次粒子となり粗粒となりやすい。このため、紡糸パック内のみにフィルターを設置するだけではカーボンブラックが詰まりやすく、濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなって生産性が低下しやすくなる。ポリアミドにカーボンブラックを含有させる好ましい溶融紡糸方法として、紡糸パック内にフィルターを設置することに加えて、ポリアミド中に高濃度にカーボンブラックを含有したマスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップをブレンドして溶融紡糸することが好ましい。さらには、そのマスターチップ製造時にフィルターを設置することで、粗粒を排除し、ポリアミド黒原着糸製造において濾過圧上昇を抑え、パックライフを長くすることが可能となり生産性を向上させることが可能となる。尚、マスターチップ製造時に用いるフィルターは好ましくは20〜50μmカットである。
【0020】
本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックの含有量は、1〜5質量%であることが必要である。ここで言う含有量とは、TG−DTAを用いて、温度範囲:室温〜900℃、昇温速度:100℃/min、大気流量:20ml/分の条件でポリアミド黒原着糸の重量変化を計測し、650〜900℃の領域で減量した比率から算出した値をカーボンブラックの消失量とみなし、ポリアミド黒原着糸中のカーボンブラック含有量とする。含有量が1質量%未満では、ストッキングやタイツ等のレッグニット製品にした時に深い黒発色が得られない。含有量が5質量%を超えると、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなるばかりでなく、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が低下する。好ましい含有量は2〜4質量%である。
【0021】
また、本発明の目的を損なわない範囲の量、種類であれば、耐熱性などの生産性向上のための添加剤が配合されていてもよいし、艶消し、吸湿、抗菌、紫外線遮蔽、保温等の機能を持たせる添加剤が配合されてもよい。しかしながら、製糸性やストッキングやタイツ等のレッグニット等の製品の耐久性、黒発色性が低下してしまうため、1μmを超える無機粒子の添加は好ましくなく、白色顔料も含めて無機粒子の添加は限定されるものではないが、ポリアミド黒原着糸に対して、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%未満であることがより好ましい。
【0022】
本発明のポリアミド黒原着糸は、ポリアミド黒原着糸の乾熱収縮応力のCV値が4.0%以下であることが好ましい。乾熱収縮応力のCV値はポリアミド黒原着糸の長さ方向の収縮バラツキであり、乾熱収縮応力のCV値が上記好ましい範囲であると、仮撚り加工時に加工張力が変動しにくく、未解撚等の捲縮斑が発生せず、レッグニット等の製品の生地面の品位が良好になり、一方、精練や足形セット等の熱処理において収縮斑が発生せず、生地面の品位が良好になる。CV値を4.0%以下とするためには、ポリアミド黒原着糸に含有するカーボンブラックの含有量のバラツキを少なくすることが好ましい。ポリアミド黒原着糸に含有するカーボンブラックの含有量のバラツキを少なくするには、例えばポリアミド中に高濃度にカーボンブラックを含有したマスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップをブレンドして溶融紡糸する場合、2軸のエクストルーダーによる混練や、スタティックミキサー、ハイミキサー等のポリマー配管内に設置した混練装置等を用いることで、高濃度のカーボンブラックを充分に混練させることでき、カーボンブラックの含有量のバラツキを少なくすることが可能である。カーボンブラックの含有量のバラツキは上記するTG−DTAを用いて単繊維のカーボンブラックの含有量を測定し、好ましい範囲としては、CV値で10%以下である。
【0023】
本発明のポリアミド黒原着糸は、単繊維繊度が0.8〜2dtexであることが必要である。従来より、レッグニット製品の柔らかい風合いを得るために、単繊維繊度を細くすることが一般的に行われているが、単繊維繊度が0.8dtex未満では、柔らかい風合いが得られるものの、着用中に単繊維が切れピリング等が発生し耐久性および外観が悪くなる。また、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなる。単繊維繊度2dtexを越えると、風合いが硬くなる。好ましくは、0.8〜1.5dtexである。また、総繊度は特に限定されるものではないが、レッグニット製品として使用する場合、8〜155dtexが好ましい。
【0024】
本発明のポリアミド黒原着糸は、強度が2cN/dtex以上であることが好ましく、2〜6cN/dtexであることがより好ましい。強度を2cN/dtex以上とすることで、仮撚糸、カバリング弾性糸等次工程での加工時の糸切れ、レッグニット製品とした時の耐久性(ピリング性)が実用レベルになる。また、ポリアミド黒原着糸の強度の上限は限定するものではないが、強度を高くすると伸度が低くなり、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなるため、6cN/dtex以下とすることが、製糸性の点から好ましい。
【0025】
本発明のポリアミド黒原着糸の製造方法について説明する。
【0026】
本発明のポリアミド黒原着糸は、生産性、コストの観点から、溶融紡糸による製造が最も優れている。また、溶融紡糸による製造方法について、紡糸−延伸工程を連続して行う方法(直接紡糸延伸法)、未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸する方法(2工程法)、あるいは紡糸速度を3,000m/min以上のように高速として実質的に延伸工程を省略する方法(高速紡糸法)等、いずれの方法においても製造可能であるが、仮撚糸として用いる場合は、高い捲縮性が得られ、コストに優れる高速紡糸法が好ましい。以下に高速紡糸法での製造について例示する。
【0027】
まず溶融部について説明する。ポリアミドを溶融するに際し、プレッシャーメルター法あるいはエクストルーダー法が挙げられるが、両者とも特に限定されるものではない。溶融温度は、ポリアミドポリマーの融点+20℃〜融点+60℃が好ましい。例えば、ナイロン6ポリマーを用いる場合、融点は225℃であるから、溶融温度245〜285℃が好ましい。
【0028】
カーボンブラックを含有させる方法は、ポリアミド中に高濃度にカーボンブラックを含有したマスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップをブレンドして溶融紡糸する方法や、カーボンブラックをフィーダー等により直接含有する方法が挙げられる。マスターチップのカーボンブラックの含有量は、10〜30質量%であることが好ましい。マスターチップのカーボンブラックの含有量を10質量%以上とすることで、ポリアミド黒原着糸の製造コストの点から好ましく、30質量%以下とすることで、カーボンブラックの凝集の点から好ましい。
【0029】
紡糸パックへ流入したカーボンブラックを含有したポリアミドは、公知の紡糸口金により吐出される。また、紡糸温度(いわゆるポリマー配管や紡糸口金まわりの保温温度)は、ポリアミドポリマーの融点+20℃〜融点+60℃が好ましい。
【0030】
前述のとおりカーボンブラックは溶融ポリマー中でも凝集しやすいため、紡糸パック内にフィルターを設置することが好ましい。
【0031】
紡糸口金から吐出されたポリアミド黒原着糸は、冷却、固化され、油剤が付与された後、引き取られる。ポリアミド原着糸の伸度が50〜70%の範囲となるように適宜延伸倍率を設定し、紡糸工程で熱セットをせずに巻取速度3,000〜5,000m/minの範囲で巻き取るのが好ましい。また、巻き取りまでの工程で公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回付与することで交絡数を上げることも可能である。さらには、巻き取り直前に、追加で油剤を付与するのも可能である。
【0032】
本発明の仮撚糸およびその製造方法について説明する。
【0033】
本発明の仮撚糸は、上記ポリアミド黒原着糸を仮撚加工して得られるが、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工して仮撚糸とする方法も特に限定されるものではない。施撚方法としてもスピンドル方式や3軸ツイスター方式、ベルトニップ方式など限定されるものではない。捲縮を強めたいときにはスピンドル方式を用いることが好ましいし、加工速度を上げて生産コストを下げたいときには摩擦仮撚方式である3軸ツイスター、ベルトニップを用いることが好ましい。加熱方式も限定されるものではなく、熱板や高温ショートヒーターを用いれば良く、設定温度としては、狙いとする風合いに合わせ自由に設定できるが、一つの目安として熱板を用いた場合、ポリカプロアミド(ナイロン6)で170〜190℃、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)で180〜200℃とすることが推奨される。冷却方法としても冷却板を用いても、空冷、水冷などが挙げられ、限定されないが、効率と糸のダメージを考えて、冷却板を用いることが好ましい。好ましい仮撚糸の捲縮特性は3〜50%である。加工糸の捲縮特性が上記好ましい範囲であると、レッグニットとした際にソフト性に優れる一方、仮撚り加工時に撚りを多く掛ける必要が無く、毛羽が発生しにくい。なお、ここで言う捲縮特性とは、後述する測定方法により測定を行い算出した値であり、仮撚糸の嵩高性の指標とするものである。
【0034】
本発明のカバリング弾性糸およびその製造方法について説明する。
【0035】
本発明のカバリング弾性糸の巻糸としては、ポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸から選択して用いることができる。
【0036】
カバリング弾性糸の芯糸をなす弾性糸としては、ポリウレタン系弾性糸、ポリアミド系エラストマ弾性糸、ポリエステル系エラストマ弾性糸、天然ゴム系糸、合成ゴム系糸、ブタジエン系糸等が用いられるが、レッグニット用としてその弾性特性、熱特性、耐久性等からより好ましいのは、ポリウレタン系弾性糸及びポリアミド系エラストマ弾性糸である。また、弾性糸にカーボンブラック等を含有させ、黒色の弾性糸を用いるとレッグニットとした場合、より深い黒色が得られ好ましい。
【0037】
カバリング弾性糸の太さは、レッグニットの用途、締め付け圧の設定により異なるが、一般に8〜80dtex程度であれば好ましい。より好ましいのは11〜44dtexである。カバリング弾性糸の太さが上記好ましい範囲であると、糸強力が十分に優れるのでカバリング弾性糸製造時及びレッグニット編立て時に芯糸切れ等のトラブルを生じにくく、レッグニットとしての伸縮性、耐久性が十分となる一方、締付け力が強くなり過ぎることはなく、圧迫感や、粗硬感もない。
【0038】
カバリング数としてはポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸の巻糸の繊度、収縮率や製品風合い、耐ピリング性、耐スナッグ性を考慮して設計すればよく、黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸をシングルカバリングする時には、(56/加工糸繊度)1/2×500〜(56/加工糸繊度)1/2×1000T/mを目安に設計することが好ましく、例えば、56dtexの仮撚糸をシングルカバリングする時には500〜1,000T/mが好ましい。また、ドラフト倍率も狙いとする着圧に合わせて設計すればよく、例えば、2.5〜3.5倍に設定することが好ましい。カバリングは風合いの柔らかさ、伸縮性からシングルカバリングが好ましい。
【0039】
かくして得られる本発明のポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸、カバリング弾性糸は、レッグニットに好ましく用いることができる。
【0040】
本発明のレッグニットについて説明する。
【0041】
本発明のレッグニットを構成する編組織としては平編、ゴム編、パール編およびこれらの変化編組織により作られたものなど限定されるものではない。基本組織で構成された部分を有することがより好ましく、なかでも平編みで構成された部分を有していることがさらに好ましい。
【0042】
本発明のレッグニットは、ポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸の少なくとも一種を少なくともレッグ部の一部に用いることが好ましい。なお、前記レッグ部は、足の付け根(ガーター部)からつま先(ソール部)までの部分を指す。
【0043】
使用糸としては、ポリアミド黒原着糸またはポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸を巻糸としたカバリング弾性糸のみを用いたいわゆるゾッキタイプでも、ポリアミド黒原着糸またはポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸を巻糸としたカバリング弾性糸と、ポリアミド黒原着糸やポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸とを交互に編成した交編タイプでも問題ない。なお、レッグニットを構成する使用糸としてはたとえば縫い糸など必要に応じた糸を用いることは限定されない。
【0044】
また、使用する編機として制限はないが、靴下編機が好ましく用いられる。
【0045】
ここで本発明の対象とするレッグニットとは、ストッキング、タイツ、レギンス、トレンカ、スパッツ、フットカバーや靴下等が挙げられるが、口ゴム、身部、足部の3部位からなるソックス類、身部がストッキングよりも著しく長いストッキング類、上部にパンティー部がついたタイツ、パンティーストッキング類が挙げられる。
【0046】
また、レッグニットが、パンティー部とレッグ部からなり、本発明のポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸をそのパンティー部、レッグ部の全てに用いたレッグニットである場合、レッグニットがレッグ部のみからなり、そのレッグ部の全てに本発明のポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸を用いる場合には染色工程を省くことが可能である。染色工程をさらに細分化すると、精練工程、染色工程、仕上げ工程があり、この染色工程を省くことが可能となるのである。この染色工程の製造コストには、染料代だけでなく、高温で長時間染色する時間代と加工代が含まれており、時間短縮だけではなく、染料代や燃料代を含めた製造コストの削減により、合理的な市場価格で消費者にレッグニットを提供することが可能となる。また、従来、ポリアミド糸を黒色で染色する場合において、深い黒発色を得ようとする場合は、染料濃度を上げる必要があるが、柔らかさを得るために単繊維繊度を細くし、染料濃度を上げると、洗濯堅牢度が悪化する問題がある。しかしながら本発明では染色工程を省くことができるだけでなく、それに高濃度の染料を用いることに伴う洗濯堅牢度の悪化の問題もなく、持続性のある深い黒発色のあるレッグニットが得られる。
【0047】
また、仕上げは、公知の仕上げ剤(柔軟剤)を施し製品としてもよい。このとき、抗菌やUVカット等機能剤を付与しても良い。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、本発明のポリアミド黒原着糸の物性の測定方法は以下の通りである。
A.カーボンブラックの平均粒径(μm)
光学顕微鏡を用いて、ナイロン6の場合は245℃、ナイロン66の場合は275℃に加熱したプレパラートに、ポリアミド黒原着糸の試料0.1gを載せ、スライドガラスで挟みフィルム状に広げ倍率500倍で撮影し、カーボンブラックのストラクチャーの最も長い長径を1試料から任意に20個測定し、20個の平均値を算出した。
B.カーボンブラックの含有量(質量%)
TG−DTA(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 熱重量測定装置SII TG/DTA 6200)、ポリアミド黒原着糸の試料1.4mgを用いて、温度範囲:室温〜900℃、昇温速度:100℃/min、大気流量:20ml/分の条件でポリアミド黒原着糸の重量変化を計測し、650〜900℃の領域で減量した比率から算出した値である。測定は4回行い、平均値をカーボンブラックの含有量とした。
C.硫酸相対粘度(η
ポリアミドチップ(試料)0.25gを、濃度98質量%の硫酸100mlに溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T)を測定した。引き続き、濃度98質量%の硫酸のみの流下時間(T)を測定した。Tに対するTの比、すなわちT/Tを硫酸相対粘度とした。
D.製糸性
ポリアミド黒原着糸を製糸するときの1ton当たりの糸切れについて、次の基準をもって示した。
【0049】
a:糸切れ2回未満、
b:糸切れ2以上4回未満、
c:糸切れ4以上6回未満、
d:糸切れ6以上8回未満、
e:糸切れ8回以上。
E.繊度、単繊維繊度
ポリアミド黒原着糸は0.35mN×表示dtex、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸は8.82mN×表示dtexの張力を与えながら枠周1.125mの検尺機にて200回巻カセを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてカセ重量を量り公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。測定は4回行い、平均値を繊度とした。また、得られた繊度をフィラメント数で割り返した値を単繊維繊度とした。
F.強度、伸度
ポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸試料を、(株)オリエンテック製テンシロン(TENSILON)UCT−100でJIS L 1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を繊度で割り返した値を強度とした。測定は10回行い、平均値を強度および伸度とした。なお、つかみ間隔50cm、引張速度50cm/minである。
G.捲縮特性
ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸に0.098cN/dtexの張力を与えながら周長1.125m、10回巻きのかせを5本とる。20℃、60%RHの環境下で24時間放置する。1.76×10−3cN/dtexの処理荷重(水中での荷重)を掛けた状態で98℃±1℃の熱水中で20分処理する。熱処理したかせは、20℃、60%RHの環境下で24時間放置して乾燥させる。予め、シリンダー中に水をいれ、20℃、60%RHの環境下で24時間放置させておく。かせサンプルに1.76×10−3cN/dtexの初荷重(水中での荷重)を掛けた状態でかせをすべて水中に入れる。その後、0.088cN/dtexの荷重(水中での荷重)をさらに掛けて0.08976cN/dtexの定荷重(水中での荷重)とし、2分後のかせの長さa(mm)を測定する。速やかに定荷重を取り除き、初荷重のみの2分後のかせの長さb(mm)を測定する。捲縮特性は次式で算出し、5本の平均値をもって評価する。
【0050】
捲縮特性(%)=[(a−b)/a]×100
H.沸騰水収縮率
ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸に0.098cN/dtexの張力を与えながら周長1.125m、10回のかせを5本とる。20℃、60%RHの環境下で24時間放置する。0.09cN/dtex荷重下で初長L0を求める。次に無荷重下沸水中で30分間処理した後、風乾する。次いで0.09cN/dtex荷重下で処理後の長さLを求め次式で算出し、5本の平均値をもって評価する。
【0051】
沸騰水収縮率(%)=[(L−L)/L]×100
I.ソフト性
ゾッキタイツ試料を、ガータ部下部10cm部について、検査者(30人)の触感によってソフト性(柔らかい風合い)について、3段階判定した。
【0052】
a:比較例7と同等のソフト性
b:比較例7よりやや劣るソフト性
c:比較例7より大きく劣るソフト性
J.色目
ゾッキタイツ試料を、ガータ部下部10cm部について、検査者(30人)の視覚によって、色目(深い黒発色性)について、5段階判定した。
【0053】
a:比較例7より深い黒色で、色目が非常に良い
b:比較例7より黒色で、色目が良い
c:比較例7と同等の色目
d:比較例7よりやや白っぽく、色目があまり良くない
e:比較例7より白っぽく、色目が悪い
K.ピリング性
ゾッキタイツ試料を、ガータ部下部10cm部について、JIS L 1076(2012)アピアランス・リテンションC法に準じピリング評価を実施し、等級を判定した。
【0054】
N:ピルの数が標準写真のN号程度のもの
L:ピルの数が標準写真のL号程度のもの
M:ピルの数が標準写真のM号程度のもの
H:ピルの数が標準写真のH号程度のもの又はその程度を越えるもの
L.乾熱収縮応力のCV(%)
東レエンジニアリング(株)製FTA−500を用い、ポリアミドフィラメントの供給速度10m/分、リラックス1%の条件で、長さ15.5cmの100℃に加熱した乾熱処理装置に通して10分間測定を行うことにより求めた乾熱収縮応力の標準偏差を平均値で除した値で示した。
〔実施例1〕
(ポリアミド黒原着糸の製造)
ポリアミドとして、硫酸相対粘度(η)が2.6、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。
【0055】
得られたナイロン6チップにファーネス法カーボンブラック含有量が15質量%となるように2軸混練機で混練し、30μmカットのフィルターを通過後、吐出を行うようにして、マスターチップを製造し、水分率300ppm以下となるよう常法にて乾燥した。得られたカーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとカーボンブラックを含有しないナイロン6チップを、1:4の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%)し、265℃の溶融温度で溶融し、スタティックミキサー25段を設置したポリマー配管を通過させ、10μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施し、紡糸温度260℃にて紡糸口金より吐出させた。紡糸口金は、ホール数が68、丸形、1糸条/口金のものを使用した。紡糸口金より吐出後、18℃の冷風で冷却、給油した後に、交絡を施した後、第1ゴデッドロール、第2ゴデッドロールを介して1.2倍に延伸して巻取速度4,000m/分で巻き取りを行い、96dtex、68フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
(仮撚糸の製造)
上記ナイロン6黒原着糸を、(株)石川製作所製仮撚機IVF805を用いて、加工速度500m/min、延伸倍率1.23倍、ヒーター温度180℃、D/Y比1.7(解撚張力/加撚張力=1.04)に設定して仮撚加工を行い、78.1dtex、68フィラメントの仮撚糸を得た。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性について評価した。その結果を表1に示す。
(カバリング弾性糸の製造)
上記仮撚糸を巻糸とし、芯糸として“モビロン”(登録商標)22dtex、Gタイプ(日清紡テキスタイル(株)製)を用いてカバリング数600T/m、ドラフト3.0倍にてS撚、Z撚のシングルカバリング糸を用意した。
(ゾッキタイツの製造)
永田精機(株)製MODEL KT−S4(針数380本)に上記シングルカバリング糸を仕掛けてゾッキタイツを編成した。編成したゾッキタイツを真空80℃で10分間プリセットを施し、98℃で30分間精練し、柔軟処理後にアルミ板の足形で110℃×30秒熱セットを施してゾッキタイツを得た。得られたゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例2〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、1:14の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が1質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0056】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同等の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、33:67の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が5質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0057】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例4〕
15μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0058】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例5〕
20μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0059】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例6〕
紡糸口金のホール数が96、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、96dtex、96フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0060】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例7〕
紡糸口金のホール数が52、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、96dtex、52フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0061】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例8〕
紡糸口金の、ホール数が68、丸形、2糸条/口金のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、48dtex、34フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0062】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例9〕
紡糸口金の、ホール数が78、丸形、3糸条/口金のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、43dtex、26フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0063】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例10〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度(η)が2.8、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン66チップを水分率0.11質量%中心となるよう常法にて乾燥した。
【0064】
得られたナイロン66チップにファーネス法カーボンブラック含有量が15質量%となるように混練し、30μmカットのフィルターを設置しマスターチップを製造し、水分率0.11質量%中心となるよう常法にて乾燥した。得られたカーボンブラック含有のナイロン66マスターチップとナイロン66チップを、1:4の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%)し、290℃の溶融温度で溶融し、10μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施し、紡糸温度290℃にて紡糸口金より吐出させた以外は実施例1と同様の方法でナイロン66黒原着糸を製造し、96dtex、68フィラメントのナイロン66黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
【0065】
得られたナイロン66黒原着糸を用いて、仮撚加工のヒーター温度を190℃とした以外は仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
〔比較例1〕
1μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
【0068】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例2〕
30μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
【0069】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例3〕
紡糸口金のホール数が320、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、96dtex、320フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
【0070】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例4〕
紡糸口金のホール数が20、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、96dtex、20フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
【0071】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例5〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、3:97の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が0.5質量%)となる以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
【0072】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例6〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、47:53の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が7質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
【0073】
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例7〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度(η)が2.6、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン6チップのみを用いた(カーボンブラック含有量が0質量%)以外は、実施例1と同様の方法でナイロン6糸を製造した。得られたナイロン6糸の、製糸性、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
【0074】
得られたナイロン6糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸を実施例1と同様の方法で製造した。また、実施例1と同様にゾッキタイツを編成した。編成したゾッキタイツを真空80℃で10分間プリセットを施し、98℃で30分間精練し、Mitsui Nylon Black GL(三井東圧化学(株)製)4質量%、98℃で60分間の条件で染色し、柔軟処理後にアルミ板の足形で110℃×30秒熱セットを施しゾッキタイツを得た。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、ゾッキタイツのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
表1(実施例1〜10)の結果から、本発明のポリアミド黒原着糸は、カーボンブラック含有量、平均粒径、単繊維繊度を最適化することにより、柔らかい風合い(ソフト性)を持ち、深い黒発色(色目)、耐久性(ピリング性)の良好なゾッキタイツが得られることがわかる。実施例10はナイロン66を用いた事により、ナイロン6に比べ製糸時の糸切れが若干低下したことがわかる。これにより、レッグニットとしたときに、原糸の毛羽が混入し、製品品位は若干低下した。
【0077】
比較例1は、平均粒径の小さいカーボンブラックが存在することによりタイツ表面の動摩擦係数が高くなり、ピリング性に劣るものであった。
【0078】
比較例2は、平均粒径の大きいカーボンブラックが存在することにより、紡糸パック内の濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなるばかりでなく、糸切れも頻発し製糸性に劣る結果であった。また、得られたナイロン黒原着糸の強度が、1.5cN/dtexと低い値となり、ピリング性にやや劣るものであった。
【0079】
比較例3は、単繊維繊度が細く、糸切れが頻発し製糸性に劣るばかりでなく、ピリング性に劣る結果であった。
【0080】
比較例4は、単繊維繊度が太く、硬い風合いとなり、柔らかい風合い(ソフト性)に劣るものであった。
【0081】
比較例5は、カーボンブラック含有量が少ないことにより、光が透過しやすく白っぽくなり、色目(深い黒発色)に劣るものであった。
【0082】
比較例6は、カーボンブラック含有量が多いことにより、紡糸パック内の濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなるばかりでなく、糸切れも頻発し製糸性に劣る結果であった。また、得られたナイロン黒原着糸の強度が、0.9cN/dtexと低い値となり、ピリング性にやや劣るものであった。
【0083】
比較例7は、従来のゾッキタイツであり、黒染色を施している。柔らかい風合いは得られるものの、光の乱反射により白っぽくなり、色目(深い黒発色)に劣るものであった。
本発明のポリアミド黒原着糸を用いたゾッキタイツは、黒染色を施していないため、染色工程の加工賃を省くことができコストダウンを可能とするだけでなく、環境負荷の少ないものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明のポリアミド黒原着糸は柔らかい風合いを持ち、深い黒発色が可能で、これを仮撚り加工した加工糸や、弾性糸にカバリングしたカバリング弾性糸はストッキングまたはタイツに好ましく適用できる。
【国際調査報告】