特表-13161095IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2013-161095凹凸構造を有する結晶基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月31日
【発行日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】凹凸構造を有する結晶基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20151124BHJP
   H01L 33/20 20100101ALI20151124BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20151124BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20151124BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20151124BHJP
   B29K 61/04 20060101ALN20151124BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20151124BHJP
   B29L 11/00 20060101ALN20151124BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
   H01L33/00 170
   H01L21/30 502D
   B29C59/02 Z
   B29K23:00
   B29K61:04
   B29L9:00
   B29L11:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
【出願番号】特願2012-544774(P2012-544774)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年8月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-101005(P2012-101005)
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高田 進
(72)【発明者】
【氏名】倉世古 絵美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 基之
【テーマコード(参考)】
4F209
5F004
5F141
5F146
5F241
【Fターム(参考)】
4F209AA03
4F209AA37
4F209AA40
4F209AF01
4F209AG03
4F209AG05
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5F004DB14
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5F004DB23
5F004EA03
5F004EB08
5F141AA42
5F141CA40
5F141CA67
5F146AA32
5F241AA42
5F241CA40
5F241CA67
(57)【要約】
本発明の目的は、簡易な製造プロセスで、結晶基板の表面のパターン加工の微細化や、結晶基板の大径化に優れた、凹凸構造を有する結晶基板の製造方法を提供することにある。
工程(A)〜(C)を含む凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
(A)凹部の幅wが0.05〜100μm、凹部の深さdが0.05〜10μm、前記凹部の深さdと前記凹部の幅wとの比d/wが1.5以下である凹凸形状を表面に有する支持体フィルムの凹凸形状を有する面に、残膜厚みhが0.01〜1μmとなるように凹凸膜を形成する転写フィルム形成工程
(B)前記転写フィルムを結晶基板の上に積層した後、前記凹凸膜を結晶基板上に転写して凹凸膜付き結晶基板とする転写工程
(C)前記凹凸膜付き結晶基板をエッチングして結晶基板の表面に凹凸構造を形成するエッチング工程
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程(A)〜(C)を含む凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
(A)凹部の幅wが0.05〜100μm、凹部の深さdが0.05〜10μm、前記凹部の深さdと前記凹部の幅wとの比d/wが1.5以下である凹凸形状を表面に有する支持体フィルムの凹凸形状を有する面に、残膜厚みhが0.01〜1μmとなるように凹凸膜を形成する転写フィルム形成工程
(B)前記転写フィルムを結晶基板の上に積層した後、前記凹凸膜を結晶基板上に転写して凹凸膜付き結晶基板とする転写工程
(C)前記凹凸膜付き結晶基板をエッチングして結晶基板の表面に凹凸構造を形成するエッチング工程
【請求項2】
前記凹部の深さdと前記残膜厚みhとの比d/hが0.5以上である請求項1に記載の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
【請求項3】
前記凹凸膜の残膜厚みの均一性が25%以下となるように前記凹凸形状を表面に有する支持体フィルムの凹凸形状を有する面に凹凸膜を形成する請求項1または2に記載の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
【請求項4】
前記凹凸膜が、ノボラック系樹脂またはポリイミド系樹脂を主成分とする請求項1から3のいずれかに記載の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
【請求項5】
前記凹凸膜付き結晶基板をドライエッチングする請求項4に記載の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
【請求項6】
前記凹凸膜が、シロキサンオリゴマーを含み、X線光電子分光(XPS)測定による炭素、酸素、ケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の割合が5〜33atom%である請求項1から3のいずれかに記載の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
【請求項7】
前記凹凸膜付き結晶基板をウェットエッチングする請求項6に記載の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
【請求項8】
前記支持体フィルムの凹凸形状を有する表面の表面自由エネルギーが23〜70mN/mである請求項1から請求項7のいずれかに記載の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
【請求項9】
前記支持体フィルムの凹凸形状を有する表面の材質が、ポリオレフィン系樹脂またはアクリル系樹脂を主成分とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の製造方法により得られた凹凸構造を有する結晶基板から個片化されたチップを備えた発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸構造を有する結晶基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
凹凸構造を有する結晶基板の製造方法について、以下の(A)、(B)のような方法が知られている。
(A)リソグラフィー技術
リソグラフィー技術は、エネルギー線を通過させるパターンが形成されたマスクを介して露光及び現像することにより、レジストをパターン加工するプロセスである。
【0003】
リソグラフィー技術によるレジスト膜18のパターン加工方法は、結晶基板13の表面に遠心力を利用して塗布液を薄く引き延ばすスピンコート法でレジスト膜18を成膜する工程(図8−aに、レジスト膜18を成膜した状態を示す)と、露光装置を用いてレジスト膜18を露光・現像する工程(図8−bに、現像した後のパターン加工されたレジスト膜18つきの結晶基板13を示す)とからなる。リソグラフィー技術でパターン加工されたレジスト膜18をマスクとして結晶基板13のエッチングを行うことで、凹凸構造を有する結晶基板15が形成される。その後、凹凸構造を有する結晶基板15の表面に残存するレジスト膜18を除去する(図8−cに、残存するレジスト膜18を除去した凹凸構造を有する結晶基板15を示す)。以上のようにして、凹凸構造を有する結晶基板を製造する。
【0004】
一般に、半導体デバイスに用いられる結晶基板の表面のパターン加工の精度は、レジスト膜に形成されるパターンの最小線幅に制約される。レジストの最小線幅の微細化に伴い、露光装置の光学系の焦点深度は実質的に浅くなることが知られている。焦点深度とは、光学系の合焦点前後の、実質的に焦点があっているとみなせる範囲をいう。
【0005】
このように、パターン加工におけるレジストの最小線幅の微細化に伴い、リソグラフィー技術においては、結晶基板の平坦度が低い部位では、レジスト膜の厚みが不均一になり、レジスト膜の表面が露光装置の光学系の焦点深度の範囲から外れたり、レジスト膜の凹凸構造の厚みや幅が不均一になるため、結晶基板のエッチングを行うと、結晶基板の表面に形成される凹凸構造の高さや幅が不均一になり、所望の寸法にならない部位では製品の歩留まりや性能が低下する。
【0006】
また、結晶基板の大径化に伴い、結晶基板の表面の平坦度は一般的に低くなるので、かかる点においても製品歩留まり低下や製品性能低下といった悪影響を及ぼすことが一般的に知られている。この様な結晶基板の表面の平坦度を表す指標として、(i)結晶基板全体の最大厚みに対する最小厚みの割合であるTTV(total thickness variation)、(ii)結晶基板の局所的な突起や窪みの高さであるLTV(local thickness variation)、(iii)結晶基板の反り量がある(非特許文献1)。例えば、発光ダイオードの発光層の成長に通常用いられるサファイア結晶基板の厚みは、50〜1000μm、TTVは1〜25μm、LTVは1〜15μm、反り量は−25〜25μmである。
(B)インプリント技術
インプリント技術は、型の押し付けという極めて単純なプロセスにより、レジストをパターン加工するプロセスである。インプリント技術には、熱インプリントやUV(紫外線)インプリントがある。
【0007】
熱インプリント技術によるレジスト膜18のパターン加工方法は、結晶基板13の表面に遠心力を利用して塗布液を薄く引き延ばすスピンコート法で熱可塑性もしくは熱硬化性をもつレジスト膜18を成膜する工程(図9−aに、レジスト膜18を成膜した状態を示す)と、型とレジスト膜18をレジスト膜18のガラス転移温度以上に加熱し、型をレジスト膜18に押し付け、型とレジスト膜18をレジスト膜18のガラス転移温度以下に冷却し、型をレジスト膜18から離型する工程(図9−bに、離型した後のパターン加工されたレジスト膜18つきの結晶基板13を示す)とからなる。
【0008】
UV(紫外線)インプリント技術によるレジスト膜18のパターン加工方法は、結晶基板13の表面に遠心力を利用して塗布液を薄く引き延ばすスピンコート法でUV(紫外線)硬化性をもつレジスト膜18を成膜する工程(図9−aに、レジスト膜18を成膜した状態を示す)と、型をレジスト膜18に押し付け、UV(紫外線)を照射してレジスト膜18を硬化させ、型をレジスト膜18から離型する工程(図9−bに、離型した後のパターン加工されたレジスト膜18つきの結晶基板13を示す)とからなる。
【0009】
インプリント技術でパターン加工されたレジスト膜18をマスクとして結晶基板13のエッチングを行うことで、凹凸構造を有する結晶基板15が形成される。その後、凹凸構造を有する結晶基板15の表面に残存するレジスト膜18を除去する(図9−cに、残存するレジスト膜18を除去した凹凸構造を有する結晶基板15を示す)。以上のようにして、凹凸構造を有する結晶基板を製造する(特許文献1)。しかし、インプリント技術は、結晶基板の平坦度が低い部位では、型が結晶基板に追従できず、レジスト膜の厚みが不均一になる。レジスト膜の厚みが不均一になるため、結晶基板のエッチングを行うと、結晶基板の表面に形成される凹凸構造の高さが不均一になり、所望の寸法にならない部位では製品の歩留まりや性能が低下する。
【0010】
以上のように(A)、(B)いずれの方法においても結晶基板の平坦度は、凹凸構造を有する結晶基板の製造方法において、その収率や製品の性能にとって大きな影響を持っている。
【0011】
かかる点に対して、結晶基板の突起部を選択的に研磨する技術が提案されている。
【0012】
すなわち、結晶基板の表面の突起部を検出し、局所的な機械研磨により突起部を平坦化し、粉塵除去のため洗浄・乾燥した後に、レジストをパターン加工するプロセスである(特許文献2)。しかし、結晶基板の局所的な突起部を選択的に研磨する技術は、結晶基板の突起部のみ選択的に研磨する煩雑かつ生産性の低い工程が必要で、利用できる応用範囲が限られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】弾性表面波デバイス用単結晶ウェハ−規格と利用ガイド−,2005年12月,日本水晶デバイス工業会,p.5-6
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−54882号公報
【特許文献2】特開2011−96935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、簡易な製造プロセスで、結晶基板が大径化しても、結晶基板の表面のパターン加工の微細化が可能となる凹凸構造を有する結晶基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した目的を達成する本発明の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法は、工程(A)〜(C)を含むことを特徴とするものである。
(A)凹部の幅wが0.05〜100μm、凹部の深さdが0.05〜10μm、前記凹部の深さdと前記凹部の幅wとの比d/wが1.5以下である凹凸形状を表面に有する支持体フィルムの凹凸形状を有する面に、残膜厚みhが0.01〜1μmとなるように凹凸膜を形成する転写フィルム形成工程
(B)前記転写フィルムを結晶基板の上に積層した後、前記凹凸膜を結晶基板上に転写して凹凸膜付き結晶基板とする転写工程
(C)前記凹凸膜付き結晶基板をエッチングして結晶基板の表面に凹凸構造を形成するエッチング工程
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡易な製造プロセスで、結晶基板が大径化しても、結晶基板の表面のパターン加工の微細化が可能である凹凸構造を有する結晶基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の製造方法の、各工程における転写フィルムおよび/または結晶基板の断面の模式図である。
図2】本発明の製造方法の、転写フィルム形成工程を説明するための模式図である。
図3】本発明の製造方法の、転写工程を説明するための模式図である。
図4】本発明の製造方法の、エッチング工程を説明するための模式図である。
図5】凹凸形状を表面に有する支持体フィルムの凹凸形状の評価における、凹部の幅と凹部の深さの測定選択位置と測定方向を示す模式図である。
図6】接触角の評価における、測定点の位置を示す断面の模式図である。
図7】凹凸膜の残膜厚みの評価における、残膜厚みの測定選択位置と測定方向を示す断面の模式図である。
図8】従来技術の製造方法の、リソグラフィー技術の各工程におけるレジストおよび/または結晶基板の断面の模式図である。
図9】従来技術の製造方法の、インプリント技術の各工程におけるレジストおよび/または結晶基板の断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面等を参照しながら、凹凸構造を有する結晶基板の製造方法についてさらに詳しく説明する。
【0020】
本発明の凹凸構造を有する結晶基板の製造方法は、工程(A)〜(C)から構成され、結晶基板の表面に凹凸構造を形成するものである。
【0021】
本明細書では、各工程の概略を図1に示す各工程における転写フィルムおよび/または結晶基板の断面の模式図により示した後、各工程ごとに詳細を説明する。
【0022】
工程(A)は、特定の凹凸形状を表面に有する支持体フィルム(以降、支持体フィルムと略記することもある)の凹凸形状を有する面に、特定の残膜厚みを有する凹凸膜を形成する転写フィルム形成工程である。図1−aは、支持体フィルム6の凹凸形状を有する面に凹凸膜10を形成した状態を模式的に示している。
【0023】
工程(B)は、前記転写フィルムを結晶基板の上に積層した後、前記凹凸膜を結晶基板上に転写して凹凸膜付き結晶基板とする転写工程である。図1−bは、支持体フィルム6を剥離して凹凸膜付き結晶基板14とした状態を模式的に示している。なお、本図において、符号13で示される結晶基板の凹凸膜10を転写する側の面の凹凸を説明のため強調しているが、本発明を適用する発光ダイオードの発光層の成長に通常用いられるサファイア結晶基板(厚み:50〜1000μm、TTV:1〜25μm、LTV:1〜15μm、反り量:−25〜25μm)を模式化したものである。
【0024】
工程(C)は、前記凹凸膜付き結晶基板をエッチングして結晶基板の表面に凹凸構造を形成するエッチング工程である。図1−cは、凹凸構造を有する結晶基板15を形成した状態を模式的に示している。
【0025】
[工程(A) 転写フィルム形成工程]
本発明を構成する転写フィルム形成工程を、図2を参照して説明する。転写フィルム形成工程では、凹凸形状を表面に有する支持体フィルム6の凹凸形状7を有する面に、凹凸膜10を形成する。
【0026】
本発明に用いられる支持体フィルム6は、少なくとも一方の表面に、凹部の幅wが0.05〜100μm、凹部の深さdが0.05〜10μm、前記凹部の深さdと前記凹部の幅wとの比d/w(以降、d/wと略記することもある)が1.5以下である凹凸形状7を表面に有するものである。また、好ましい凹部の幅wは0.1〜5μmであり、好ましい凹部の深さdは0.1〜3μmであり、好ましいd/wは1.2以下である。支持体フィルム6の凹部の幅が0.05μmより狭いと支持体フィルム6の材質である樹脂の湿温膨張により寸法精度の管理が困難となり、支持体フィルム6の凹部の幅が100μmより広いと凹凸膜10を結晶基板の上に転写する際の離型が困難となる。ここで支持体フィルム6の凹部の幅wが0.05〜100μmであるとは、支持体フィルム6の各凹部の幅の平均値が、0.05〜100μmの範囲にあることをいう。支持体フィルム6の凹部の深さdが0.05μmより浅いと結晶基板の表面の凹凸構造を所望の高さにエッチング加工することが困難となり、支持体フィルム6の凹部の深さdが10μmより深いと凹凸膜にクラックが発生して結晶基板の表面の凹凸構造を所望の寸法にエッチング加工することが困難となる。ここで支持体フィルム6の凹部の深さdが0.05〜10μmであるとは、支持体フィルム6の各凹部の深さの平均値が、0.05〜10μmの範囲にあることをいう。
【0027】
支持体フィルム6の凹部の深さdと前記凹部の幅wとの比d/wが1.5より大きいと転写工程で凹凸膜10の結晶基板への転写が困難となる。ここでd/wが1.5以下であるとは、支持体フィルム6の凹部の深さd(各凹部の平均値)を支持体フィルム6の凹部の幅w(各凹部の平均値)で除した値が1.5以下の範囲にあることをいう。
【0028】
以下に前記凹部の幅w、および、前記凹部の深さdと前記凹部の幅wとの比d/wの定義および求め方について説明する。前記、w、dを求めるために取得する個別値をそれぞれ、w、d、と記すこととする。
【0029】
図2−aは、凹凸形状を表面に有する支持体フィルム6の凹部を含む断面を示している。ここで凹部の幅wは凹部の開口部の幅であり図2aの符号8で表される距離である。また、凹部の深さdは凹部の開口部から凹部の底までの深さであり、図2aの符号9で表される距離である。
【0030】
なお、図2−aでは、前記凹部の幅wと前記凹部の深さdとを測る典型的な例について説明したが、実際の系において、凹凸形状のどの部分について前記説明の測定を行うかを図5を基に説明する。なお、図5の下段は平面図、上段は下段の平面図中の破線に沿って切断した断面図である。
【0031】
(1)支持体フィルムの凹部の幅w
(1−1) 支持体フィルムの凹部の幅wの採り方は、凹部を有する表面を法線方向からみたときに、支持体フィルムのもう一方の面と平行な面に投影される、凹部の輪郭を基に次のように特定する。
【0032】
(i)凹部がライン状に配置されている場合(図5−a、図5−c)
図5−aのように凹部が直線状である場合には凹部の延びる方向に対して垂直な方向に凹部の幅wを算出し、それぞれを各ライン状の凹部の幅wとする。
【0033】
図5−cのように凹部がラインが折れ線や曲線(図示していないが考え方は同じ)である場合には、それぞれのライン状の凹部について斜線で示す凹部の投影領域16の面積を、凹部の投影中心線17の長さで除した値を算出し、それぞれを各ライン状の凹部の幅wとする。なお、図5−aについても本方法で凹部の幅wを採ってもよい。
【0034】
(ii)凹部が離散的に配置されている場合(図5−b、図5−d)
図5−bのように凹部が真円である場合には凹部の直径を、凹部の幅wとする。
【0035】
図5−dのように凹部が不等径や多角形(図示していないが考え方は同じ)である場合には、斜線で示す凹部の面積と、等しい面積の円の直径を、凹部の幅wとする。
【0036】
(1−2)平均値は、凹部のwの個別値12点の算術平均を採るものとする。かかる平均に供する12点の凹部の選択は、以下のように行う。
【0037】
(i)凹部がライン状に配置されている場合(図5−a、図5−c)
走査型電子顕微鏡(以降、SEMと略記することもある)により凹部が幅方向に30列視野に入る倍率で撮像し、その画像の中央部から1列おきに12列の凹部を選択する。
【0038】
(ii)凹部が離散的に配置されている場合(図5−b、図5−d)
SEMにより50から70の凹部が視野に入る倍率で撮像し、その画像を、横方向に4分割縦方向に3分割した12の領域に分割し、各領域の中央に最も近い凹部を測定対象として選択する。
【0039】
(2)支持体フィルムの凹部の深さdと前記凹部の幅wとの比d/w
以下(2−1)、(2−2)に従い凹部の深さd(各凹部の平均値)を求め、上記(1)にて得る凹部の幅w(各凹部の平均値)で除し算出する。
【0040】
(2−1) 支持体フィルムの凹部の深さdの採り方は、以下のように特定する。
【0041】
(i)凹部がライン状に配置されている場合(図5−a、図5−c)
それぞれのライン状の凹部について凹部の投影中心線17に沿って、各測定点が5μm以上離れる様に10箇所位置を決め各位置でのdを測定したものを平均し、それぞれを各ライン状の凹部の深さdとする。
【0042】
(ii)凹部が離散的に配置されている場合(図5−b、図5−d)
それぞれの凹部について最深部となる位置での深さを測定し、それぞれを各凹部の深さdとする。
【0043】
(2−2)平均値は、凹部のdの個別値12点の算術平均を採ったものとする。かかる平均に供する12点の凹部の選択は、以下のように行う。
【0044】
(i)凹部がライン状に配置されている場合(図5−a、図5−c)
原子間力顕微鏡(以降、AFMと略記することもある)により凹部が幅方向に30列視野に入る倍率で撮像し、その画像の中央部から1列おきに12列の凹部を選択する。
【0045】
(ii)凹部が離散的に配置されている場合(図5−b、図5−d)
AFMにより50から70の凹部が視野に入る倍率で撮像し、その画像を、横方向に4分割縦方向に3分割した12の領域に分割し、各領域の中央に最も近い凹部を測定対象として選択する。
【0046】
支持体フィルム6の凹凸形状7を有する表面の形成方法は、特に制限はないが、例えば熱インプリント、UV(紫外線)インプリント、エッチング、コーティング、自己組織化等を適用することができる。
【0047】
支持体フィルム6の厚さは、5〜400μmであることが好ましく、20〜300μmであることがより好ましい。5μmより薄いと剛性が低いためヨレ易く取り扱いが難しい場合がある。400μmより厚いと剛性が高いため結晶基板の表面の凹凸や反りへの追従性が低く取り扱いが難しい場合がある。支持体フィルム6の厚さとは、体積平均厚さのことであり、支持体フィルム6の体積を支持体フィルム6の面積で除して得られる。
【0048】
支持体フィルム6の材質は、工程中の耐溶剤性や耐熱性に問題なければ特に制限はないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル、イソフタル酸共重合ポリエステル、スピログリコール共重合ポリエステル、フルオレン共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン共重合等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂やその他のポリメタクリル酸エステル樹脂およびそれらの置換体、また、グルタル酸無水物、グルタル酸イミド、マレイン酸無水物、など、およびこれらの環状構造を有する共重合体等の熱可塑性のアクリル系樹脂、多官能(メタ)アクリル化合物、ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、アリル化合物、(メタ)アクリル酸の金属塩等の紫外線硬化型のアクリル系樹脂(なお、熱可塑性のアクリル系樹脂と紫外線硬化型のアクリル系樹脂を総称して単に、アクリル系樹脂と記すものとする)、ポリウレタン、ポリカーボネート、ハイインパクトポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル系共重合体、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・メタクリル酸共重合体、α−メチルスチレンまたはマレイミドを共重合してなる耐熱性スチレン、さらには、スチレン・アクリロニトリル系共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル系共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、およびこれらを成分とする共重合体、またはこれら樹脂の混合物等の樹脂を用いることができる。
【0049】
これらのうち、支持体フィルム6の凹凸形状7を有する表面は、転写フィルム形成工程での凹凸膜を形成する際のコーティング溶液の塗工性と、次の転写工程での離型性を両立できる観点から、ポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂を主成分とするものであることが好ましい。ここで、主成分とは、含有率が50質量%以上の成分であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上の成分である。ポリオレフィン系樹脂の中では、環状ポリオレフィン共重合体がより好ましく、アクリル系樹脂としては紫外線硬化型のアクリル系樹脂がより好ましい。加えて、塗工性や離型性をさらに調整するために、下地調整剤や下塗り剤、シリコーン系やフッ素系の離型コート剤などの塗布や、金やプラチナといった貴金属の薄膜の形成を行ってもよい。
【0050】
支持体フィルム6の凹凸形状7を有する表面の表面自由エネルギーは、23〜70mN/mが好ましく、25〜60mN/mがより好ましく、40〜50N/mが特に好ましい。表面自由エネルギーが23mN/mより小さいと凹凸膜10を形成する際のコーティング溶液の塗工時にハジキが発生する場合があり、70mN/mより大きいと転写工程で凹凸膜10の結晶基板への転写が困難になる場合がある。
【0051】
本発明において支持体フィルムの表面自由エネルギーとは、拡張Fowkes式とYoungの式より導かれる下記式(1)に、表面自由エネルギーおよびその各成分(分散力成分、極性力成分、水素結合成分)が既知の4種類の液体について、各成分の値と、表面自由エネルギー算出対象表面での接触角の値を代入し、連立方程式を解くことによって得られる測定表面の各成分の値の和で表されるものである。
【0052】
【数1】
【0053】
γ、γ、γは、それぞれ測定液の分散力、極性力、水素結合の各成分の値(既知)、θは測定面上での測定液の接触角、また、γ、γ、γは、それぞれフィルム表面の分散力、極性力、水素結合の各成分の値を表す。なお、表面自由エネルギーおよびその各成分が既知の4種類の液体としては、純水、エチレングリコール、ホルムアミド、ヨウ化メチレンを用いる。各成分の値は、表1に示す値を用いる。
【0054】
なお、本発明における表面自由エネルギーの各成分の値は、各成分の値が既知の標準サンプルを用いて測定環境による表面自由エネルギーへの影響を排除した値を用いるものとする。すなわち、測定サンプルおよび標準サンプルそれぞれについて接触角測定とその測定データからの表面自由エネルギーの算出を行って、それぞれの実測データ(暫定値)を得、標準サンプルの実測データ(暫定値)と標準値の差によって、測定サンプルの実測データ(暫定値)を補正することにより測定環境による表面自由エネルギーへの影響を相殺する。具体的な手順については、実施例に記載する。
【0055】
本発明を構成する転写フィルム形成工程では、上述の支持体フィルム6の凹凸形状を有する面に、後述する残膜厚みを有する様に凹凸膜を形成する。図2―bは、支持体フィルム6の凹凸形状を有する面に凹凸膜10を形成した状態を示している。支持体フィルム6の凹凸形状を有する面に凹凸膜10を形成する方法は、凹凸膜10の厚み調整がしやすいため、凹凸膜10の材質を含むコーティング溶液を塗工して乾燥する方法が好ましい。
【0056】
凹凸膜10は、(i)ノボラック系樹脂またはポリイミド系樹脂を主成分とする材質、または、(ii)シロキサンオリゴマーを含み、X線光電子分光(XPS)測定による炭素、酸素、ケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の割合が5〜33atom%である材質からなることが好ましい。
【0057】
凹凸膜10が、(i)ノボラック系樹脂、またはポリイミド系樹脂を主成分とする材質からなる場合、エッチング工程での耐熱性が確保され、エッチングレートと選択比に優れたレジストマスクを得ることができるため好ましい。ここで、主成分とは、含有率が50質量%以上の成分であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上の成分である。
【0058】
凹凸膜10の材質として好ましい(i)の材質に用いられるノボラック系樹脂は、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを原料として公知の方法で重縮合することにより得られる樹脂の総称である。本発明に好適に用いられる凹凸膜10の原料のフェノール化合物としては、フェノールの他に、例えば、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、等のクレゾール化合物、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール化合物、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール等のトリメチルフェノール化合物、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール化合物、2,3−ジエチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール等のジエチルフェノール化合物、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール化合物のほか、メチレンビスフェノール、メチレンビスp−クレゾールなどのビスフェノール化合物、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、4−メチルレゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログルシン等の多価フェノール化合物、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、2,3−ジクロロフェノール等のハロゲン置換フェノール化合物、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、p−ブトキシフェノール等のアルコキシ置換フェノール化合物、α−ナフトール、β−ナフトール等のナフトール化合物などが挙げられる。これらのフェノール化合物は、単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。
【0059】
また、本発明に好適に用いられる凹凸膜10の原料のアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド(ホルマリン)、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、サリチルアルデヒド等を好ましいものとして挙げることができる。これらのうち、ホルマリンが特に好適に用いることができる。これらのアルデヒド化合物も単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。このアルデヒド化合物の使用量は、フェノール化合物1モルに対し、0.6〜3モルが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5モルである。
【0060】
フェノール化合物とアルデヒド化合物との重縮合反応には、通常、酸触媒が使用される。この酸触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも、シュウ酸を用いることが好ましい。シュウ酸は、高温加熱することで分解してガス化するため、容易にフェノール樹脂中から除去することができる。
【0061】
重縮合反応においては、反応媒質を用いることが好ましく、通常、反応媒質として水が使用されるが、反応初期から不均一系になる場合は、反応媒質として親水性溶媒または親油性溶媒が用いられる。親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール化合物やテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物が挙げられる。親油性溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン化合物が挙げられる。
【0062】
また、支持体フィルム6の凹凸形状7への充填を良くして、より微細な凹凸膜10の形状を得る目的で、アクリル樹脂を含んでいてもよい。アクリル樹脂としては、例えばアルカリ可溶性基を有するモノマーであるヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびこれらの誘導体を重合して得られるアクリル樹脂等を用いることができる。また、アルカリ可溶性基を有するモノマーとアルカリ可溶性のないアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、ヒドロキシスチレンエステル、スチレン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルエステル、およびこれらの誘導体等をアルカリ可溶性が保たれる範囲で共重合してもよい。特に、アルカリ可溶樹脂として、ポリヒドロキシスチレンを用いることが好ましい。具体的には、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレン等のヒドロキシスチレン化合物の単独または2種以上をラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤またはカチオン重合開始剤の存在下で重合したものを用いることができる。アクリル樹脂の含有量は、凹凸膜10の樹脂の合計量に対し、アクリル樹脂を5〜40質量部の範囲内で含むことが好ましい。5質量部より少ないと支持体フィルム6の凹凸形状7への充填が良くならず微細な凹凸形状を得られない場合があり、40質量部より多いとエッチング工程で凹凸膜10の耐熱性が得られず結晶基板に凹凸構造が形成されない場合がある。
【0063】
また、支持体フィルム6との濡れ性を向上させる目的で、界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル化合物、エタノールなどのアルコール化合物、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル化合物を含有してもよい。また、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを含有することもできる。
【0064】
また、熱処理による凹凸膜10の変形を抑制する目的で、無機粒子を含んでもよい。好ましい具体例としては酸化珪素、酸化チタン、チタン酸バリウム、アルミナ、タルクなどが挙げられるがこれらに限定されない。これら無機粒子の一次粒子径は100nm以下、より好ましくは60nm以下が好ましい。無機粒子の一次粒子径が100nmより大きいと、支持体フィルム6の凹凸形状7への充填が悪化して凹凸膜10の形成が損なわれる場合がある。
【0065】
また、結晶基板との接着性を高める目的で、シラン化合物を含有することができる。シラン化合物の具体例としては、N−フェニルアミノエチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノエチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノブチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノブチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−エチル−[(トリエトキシシリルプロポキシ)メチル]オキセタン、p−トリメトキシシリルアニリン、m−トリメトキシシリルアニリン、p−トリメトキシシリルアセトアニリド、m−トリメトキシシリルアセトアニリド等を用いることができるがこれらに限定されない。シラン化合物の含有量は、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。また、熱硬化後の膜の機械特性の観点から30質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。1質量部より少ないと接着性を高める効果が得られない場合があり、30質量部より大きいと支持体フィルム6への濡れ性が悪化して凹凸膜10の形成が損なわれる場合がある。
【0066】
凹凸膜10の材質として好ましい(i)の材質に用いられるポリイミド系樹脂は、主鎖にイミド環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環などの環状構造を有する樹脂および/またはその前駆体を指す。具体的には、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリベンゾチアゾールからなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物、または、前記群より選ばれるいずれかの前駆体またはそれらの共重合体である。これらポリイミド系樹脂の前駆体としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド、ポリイソイミドなどを挙げることができる。例えば、ポリアミド酸は、テトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどとジアミン、対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンを反応させて得ることができる。ポリイミドは、例えば、上記の方法で得たポリアミド酸を、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、ポリヒドロキシアミドを挙げることができる。例えば、ポリヒドロキシアミドは、ビスアミノフェノールとジカルボン酸、対応するジカルボン酸クロリド、ジカルボン酸活性エステルなどを反応させて得ることができる。ポリベンゾオキサゾールは、例えば、上記の方法で得たポリヒドロキシアミドを、加熱あるいは無水リン酸、塩基、カルボジイミド化合物などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。ポリアミドイミド前駆体は、例えば、トリカルボン酸、対応するトリカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物ハライドなどとジアミンやジイソシアネートを反応させて得ることができる。ポリアミドイミドは、例えば、上記の方法で得た前駆体を、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することにより得ることができる。
【0067】
また、耐熱性を低下させない範囲で、シロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよく、これにより結晶基板との接着性を向上させることができる。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
【0068】
また、樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、主鎖末端をモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止してもよい。末端封止剤として用いられるモノアミンの導入割合は、全アミン成分に対して、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、好ましくは60モル%以下、特に好ましくは50モル%以下である。末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物の導入割合は、ジアミン成分に対して、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、特に好ましくは90モル%以下である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。モノアミンとしては、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。酸無水物としては、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸化合物およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸化合物の一方のカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
【0069】
また、支持体フィルム6との濡れ性を向上させる目的で、界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル化合物、エタノールなどのアルコール化合物、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エ−テル化合物を含有してもよい。
【0070】
さらに、熱処理による凹凸膜10の変形を抑制する目的で、無機粒子を含んでもよい。好ましい具体例としては酸化珪素、酸化チタン、チタン酸バリウム、アルミナ、タルクなどが挙げられるがこれらに限定されない。これら無機粒子の一次粒子径は100nm以下、より好ましくは60nm以下が好ましい。無機粒子の一次粒子径が100nmより大きいと、支持体フィルム6の凹凸形状7への充填が悪化して凹凸膜10の形成が損なわれる場合がある。
【0071】
加えて、結晶基板との接着性を高める目的で、保存安定性を損なわない範囲で樹脂組成物にシリコン成分として、トリメトキシアミノプロピルシラン、トリメトキシエポキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメトキシチオールプロピルシランなどのシランカップリング剤を含有してもよい。好ましい含有量は、ポリイミド系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部である。0.01質量部より少ないと接着性を高める効果が得られない場合があり、5質量部より大きいと支持体フィルム6への濡れ性が悪化して凹凸膜10の形成が損なわれる場合がある。
【0072】
凹凸膜10が、(ii)シロキサンオリゴマーを含み、X線光電子分光(XPS)測定による炭素、酸素およびケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の割合が5〜33atom%である場合、エッチング工程でのエッチング液への耐性が確保され、エッチングレートと選択比に優れたレジストマスクを得ることができるため好ましい。かかる場合において、ケイ素原子数の割合が5atom%未満の場合、凹凸膜10に含まれるシロキサンオリゴマー中のシロキサン結合が少なく、凹凸膜10はエッチング工程で結晶基板より早くエッチング液に侵食されて結晶基板に凹凸構造を形成できない場合があり、ケイ素原子数の割合が33atom%を超えると凹凸膜10に含まれるシロキサンオリゴマーの構造がガラスに非常に近くなり、転写工程の結晶基板と凹凸膜10の密着性が低下する場合がある。かかる点から、X線光電子分光(XPS)測定による炭素、酸素およびケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の割合が8〜32atom%であることがより好ましい。また、凹凸膜10のシロキサンオリゴマーは、50〜99質量%であることが好ましい。ここで、シロキサンオリゴマーとは、2つ以上の連続したシロキサン結合を有しポリオルガノシロキサン骨格を構造内に含むシロキサン化合物を指す。また、該シロキサンオリゴマーには、部分構造としてケイ素原子に直接結合する有機官能基をもたないシリカ構造を一部含んでいてもよい。該シロキサンオリゴマーの質量平均分子量は、特に制限されないが、GPCで測定されるポリスチレン換算で500〜100000であることが好ましい。シロキサンオリゴマーは、下記一般式(I)で表されるオルガノシランの1種類以上を加水分解・重縮合反応させることによって合成されるシロキサンゾルを、加熱加圧によって硬化して合成される。
【0073】
(R1)−Si−(OR2)4−n (I)
式中、R1は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基および炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基および炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。
【0074】
なお、転写フィルム形態での保管期間中の凹凸膜10のクラック発生や、転写工程の結晶基板に転写した凹凸膜10の加熱処理におけるクラックの防止の観点から、本発明において、シロキサンオリゴマーはn=1〜3のオルガノシランを5〜100モル%含むモノマーを加水分解・重縮合反応して得られるものであることが好ましい。
【0075】
一般式(I)で表されるオルガノシランにおいて、R1のアルキル基、アルケニル基またはアリール基は、いずれも無置換体および置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、[(3−エチル3−オキセタニル)メトキシ]プロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基などが挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基などが挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0076】
一般式(I)で表されるオルガノシランにおいて、R2のアルキル基、アシル基またはアリール基は、いずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピノイル基、ブチロイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基などが挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0077】
一般式(I)のnは0から3の整数を表す。n=0の場合は4官能性シラン、n=1の場合は3官能性シラン、n=2の場合は2官能性シラン、n=3の場合は1官能性シランである。
【0078】
一般式(I)で表されるオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどの3官能性シラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどの2官能性シラン;トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。
【0079】
これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよいが、硬化後の凹凸膜のクラック防止および転写フィルムの柔軟性の観点から、3官能性シランと2官能性シランを組み合わせることが好ましい。また、凹凸膜中には、擦過性や硬度向上のために、シリカ粒子を添加してもよい。
【0080】
凹凸膜10を形成するのに使用するコーティング溶液には、転写フィルム形成工程の支持体フィルムへの塗工性の向上を目的としたレベリング剤、転写工程の支持体フィルム6との離型性の向上を目的とした離型剤、転写工程の結晶基板との密着性の向上を目的としたシランカップリング剤、転写工程の熱処理時の耐クラック性の向上を目的としたアクリル樹脂等、エッチング工程の選択比の向上を目的とした粒子やフィラー等を配合することで、これらを形成される凹凸膜10中に添加することができることから好ましい。
【0081】
コーティング溶液に用いる溶媒は、塗工に用いるのに適切な濃度の溶液が得られる溶解性を有するものであれば特に制限はないが、フィルム上でハジキが発生しにくいという点から有機溶媒であることが好ましく、例えば、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどの高沸点アルコール化合物、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル化合物、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン化合物、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物、エチルアセテート、ブチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのエステル化合物、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができるが、凹凸膜10のを形成する樹脂の溶解性と支持体フィルムへの塗布性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ブチルアセテートが好ましい。
【0082】
支持体フィルム6の凹凸形状を有する面にコーティング溶液を塗工する方法は、特に制限はないが、例えばグラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、ダイコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコート、ディップコート等を用いることができる。
【0083】
塗工後に凹凸膜10を形成するために乾燥する方法は、特に制限はないが、例えば加熱乾燥、減圧乾燥等を用いることができる。加熱乾燥する場合は、20℃以上180℃以下が好ましい。20℃より低温では、乾燥に長時間かかり生産性が低くなる場合がある。180℃より高温では、凹凸膜10を結晶基板上に転写する際の離型が困難になる場合がある。減圧乾燥する場合は、10kPa以下まで減圧することが好ましい。10kPaより高圧では、乾燥に長時間かかり生産性が低くなる場合がある。加熱乾燥と減圧乾燥を組み合わせてもよい。
【0084】
形成された凹凸膜10の凹凸形状は、支持体フィルム6の凹凸形状の凹部を略反転させたものである。すなわち、凹凸膜10の凸部の幅は支持体フィルム6の凹部の幅に対応し、凹凸膜10の凸部の高さは支持体フィルム6の凹部の深さに対応する。凹凸膜10の凸部の好ましい幅の範囲は、支持体フィルム6の凹部の幅8であるwの範囲と同じである。凹凸膜10の凸部の高さと凸部の幅との比の好ましい範囲は、支持体フィルム6の凹部の深さ9であるdと凹部の幅8であるwとの比d/wの範囲と同じである。図2bは、支持体フィルム6の凹凸形状の表面に凹凸膜10を形成した転写フィルム12の断面を示している。ここで凹凸膜の凸部の幅は凸部の裾の幅であり図2bの符号20で表される距離であり、凸部の高さは凸部の頂部から凸部の底までの距離であり、図2bの符号21で表される部分をいう。
【0085】
本発明の製造方法において転写フィルム形成工程では、乾燥後の凹凸膜10の残膜厚みhが、0.01〜1μmとなるように凹凸膜の形成を行う。乾燥後の凹凸膜10の残膜厚みhが0.01μmより薄いと転写フィルム12から結晶基板への凹凸膜10の転写性を損ない、1μmより厚いとエッチング工程での残膜処理時間が長くなり生産性を損なうためである。かかる観点から、乾燥後の凹凸膜10の残膜厚みhが0.011〜0.5μmとなるように凹凸膜の形成を行うことが好ましい。ここで残膜厚みが、0.01〜1μmであるとは、乾燥後の凹凸膜10の残膜厚みの平均値(求め方は後述する)が、0.01〜1μmの範囲にあることをいう。
【0086】
本発明の製造方法において転写フィルム形成工程では、支持体フィルム6の凹部の深さ(d)9と、乾燥後の凹凸膜10の残膜厚みhとの比d/h(以降、d/hと略記することもある)が0.5以上となるように凹凸膜の形成を行うことが好ましく、d/hが0.8以上となるように凹凸膜の形成を行うことがより好ましい。d/hが0.5より小さいと、エッチング工程の凹凸膜10の残膜を除去するステップで凹凸膜の平坦化が進行し、結晶基板に凹凸構造を形成できない場合があるためである。ここでd/hが0.5以上であるとは、支持体フィルム6の凹部の深さd(各凹部の平均値)と乾燥後の凹凸膜10の残膜厚みh(各残膜厚みの平均)の比d/hが、0.5以上であることをいう。
【0087】
以下に前記残膜厚みhの定義および求め方について説明する。なお、本説明においても、支持体フィルムの凹部の幅wおよび凹部の深さdの場合におけるのと同様、残膜厚みh(平均値)を求めるための各測定点における個別値を残膜厚みhと記すこととする。残膜厚みhは、凹凸膜10の各凹部における支持体フィルム6側の凹凸膜10の表面の凹部の底と、支持体フィルム6と反対側の凹凸膜10の表面の間の厚みであり、図2bにおいて符号11で表される厚みであり、断面のSEM観察像より測定することができる。ただし、実際に測定するサンプルにおいては、たとえば図7に示すような凹凸が形成されている場合に残膜厚みhを測定すべき凹部の底を通る断面を得ることは容易ではない。従って、本発明においては、凹凸の繰り返し数が50以上となる測定用の断面からサンプルを作製し、最も薄い凹部をその断面における残膜厚みhとし、水準あたり10サンプル同様の測定を行って得た10点の平均をその水準の残膜厚みhとする。
【0088】
凹凸膜10の残膜厚みhは、コーティング溶液の濃度および/または塗布厚みを変更することで調整することができる。残膜厚みhの調整がより容易である点で、コーティング溶液の固形分濃度は0.1質量%〜20質量%が好ましい。0.1質量%より少ないと、残膜が形成されず転写工程で転写しない場合がある。20質量%より多いと、凹凸膜10の残膜厚みhが厚くなる場合がある。
【0089】
乾燥後の凹凸膜10の残膜厚みの均一性は、25%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。残膜厚みの均一性とは、凹凸膜10の各凹部における残膜厚みの最大と最小の差を、凹凸膜10の残膜厚み(平均)で除して百分率表示した値である。かかる残膜厚みの均一性が25%を超えると、エッチングし結晶基板の表面に凹凸構造を形成したときに凹凸構造の寸法が不均一になる場合がある。
【0090】
凹凸膜10の残膜厚みの均一性は、支持体フィルムの凹凸形状を有する面の凸部の上面の面精度(凸部の上面が同一面にあること)と凹凸膜を形成するためのコーティング溶液を塗布する際に塗布後の表面の平坦性を制御することで調整できる。支持体フィルムの凹凸形状を有する面の凸部の上面の面精度は、支持体の凹凸形状を有する面を賦形する型の精度に依存するが、通常問題となることはなく、コーティング溶液を塗布する際に塗布後の表面の平坦性を確保することが重要である。かかる観点で、コーティング溶液の粘度は1mPa・s〜100mPa・sが好ましい。コーティング溶液の粘度が1mPa・sより小さいと、残膜が形成されず転写工程で転写しない場合がある。100mPa・sより大きいと、凹凸膜10の支持体フィルム6と接しない側の表面がうねり、残膜厚みの均一性が損なわれる場合がある。
【0091】
[工程(B) 転写工程]
本発明を構成する転写工程を、図3を参照して説明する。転写工程では、転写フィルム12を結晶基板13の上に積層した後、凹凸膜10を結晶基板13の上に転写して凹凸膜付き結晶基板14とする。なお、本図において、符号13で示される結晶基板の凹凸膜10を転写する側の面の凹凸を説明のため強調しているが、図1bと同様に、本発明を適用する発光ダイオードの発光層の成長に通常用いられるサファイア結晶基板(厚み:50〜1000μm、TTV:1〜25μm、LTV:1〜15μm、反り量:−25〜25μm)を模式化したものである。
【0092】
本発明に用いられる結晶基板13は、単結晶の塊を切り出されてなる基板であり、少なくとも凹凸構造を形成する側の表面が鏡面加工されているものが好ましい。
【0093】
結晶基板13の厚みは、50〜1000μmが好ましく、80〜300μmがより好ましい。50μmより薄いと、結晶基板13が割れる場合がある。1000μmより厚いと、転写フィルム12を結晶基板13の上に積層する際、結晶基板13の反りがある場合に、結晶基板13の反りが緩和されず転写フィルム12が結晶基板13の表面に追従できない場合がある。
【0094】
本発明の製造方法が対象とする結晶基板13の材質は、特に制限されないが、例えばサファイア単結晶(Al23)、スピネル単結晶(MgAl24)、ZnO単結晶、LiAlO2単結晶、LiGaO2単結晶ならびにMgO単結晶などの酸化物単結晶、SiC単結晶、Si単結晶、Si多結晶、GaAs単結晶、InGaAlP単結晶、AlN単結晶ならびにGaN単結晶などの窒化物半導体単結晶およびZrB2などのホウ化物単結晶等が挙げられる。これらのうち、半導体デバイス用に用いられる結晶基板、とりわけ、発光ダイオードの発光層の成長に用いられる結晶基板の微細加工方法が求められていることから、かかる用途に用いられる半導体結晶層をエピタキシャル成長させるための結晶基板であるサファイア単結晶、SiC単結晶およびGaN単結晶を適用対象とすることが好ましい。
【0095】
転写工程に用いる結晶基板13および/または転写フィルム12の接着させる表面は、事前に洗浄および/または活性化処理を施すことが好ましい。洗浄とは表面の有機汚染物質を除去することであり、活性化処理とは表面に酸素原子を導入することである。洗浄することで表面の有機汚染物質を少なくするおよび/または活性化処理により酸素原子を導入し表面の水酸基を多くすると反応性が高くなると考えられる。そして、結晶基板13と転写フィルム12を接着させる表面の反応性が高くなると、凹凸膜10の転写性がより良好になる。
【0096】
洗浄および/または活性化処理する方法は、特に制限はないが、例えばプラズマ処理、UV(紫外線)オゾン処理、コロナ処理等を用いれば、洗浄および活性化処理が同時にできることから好ましい。これらのうち、短時間で容易に処理を行うことができることから、プラズマ処理、UV(紫外線)オゾン処理が好ましい。プラズマ処理は、2枚の対向する電極間に高電圧を印加して電界を発生させ、電界の作用により電極間に存在するガスをプラズマ化し、プラズマ化されたガスによって表面の処理をするものであり、このときに用いるガスの組成は、特に制限はないが、例えば酸素を15〜100質量%含むガスが好ましい。プラズマ処理を行う際の圧力は、例えば大気圧、減圧、真空で処理できるが、プラズマ化されたガスの失活を抑制できる観点で、減圧状態で処理することが好ましい。UV(紫外線)オゾン処理は、UV(紫外線)により生成されるオゾンにより表面の洗浄と活性化をするものであり、UV(紫外線)の光源として、オゾンを生成するためにエネルギーの高い短波長が必要であることから、低圧水銀ランプ、キセノンエキシマランプを用いることが好ましい。
【0097】
転写工程において、転写フィルム12を結晶基板13の上に積層する際には、転写フィルム12の凹凸膜10を形成した側の表面を、結晶基板13の凹凸構造を形成する側の表面に接着させる。図3−aは、転写フィルム12を結晶基板13の上に積層する工程を示している。
【0098】
積層する方法は、特に制限されないが、例えばローラー、ニップローラー、プレス等を用いることができる。積層する際に加圧する圧力は、1kPa〜50MPaが好ましく、5kPa〜10MPaがより好ましい。1kPaより小さいと、凹凸膜10と結晶基板13の接着が不十分になり、転写する際に支持体フィルムのみを剥離することができない場合がある。50MPaより大きいと、結晶基板13が割れる場合がある。
【0099】
加圧する際には、少なくとも転写フィルム12と加圧機構との間に、緩衝材を用いることが好ましい。緩衝材を使用すると、結晶基板13の表面の凹凸や反りに、転写フィルム12が追従することができて密着性が良好になる。緩衝材は、特に制限されないが、例えばフッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ネオプレン、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、ウレタンゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エボナイト、ゴムメーカ各社から上記ゴムに特殊な処方を用いたもの、じん性を向上させた硬質耐圧樹脂(例:ポリエステル樹脂)などを用いることができる。
【0100】
積層する工程の温度は、20〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。20℃より低温では、支持体フィルム12の軟化が弱く結晶基板の表面への追従が不十分な場合がある。200℃より高温では、支持体フィルム6が軟化し過ぎて凹凸膜10との密着性が強まり転写性が低くなる場合がある。ここで転写性とは、結晶基板の上に転写した凹凸膜10の面積を、転写フィルム6と結晶基板13が接着した面積で除して百分率表示した値である。
【0101】
転写工程において、凹凸膜10を結晶基板13に転写して凹凸膜付き結晶基板14とする際には、結晶基板13の凹凸構造を形成する側の表面に接着した転写フィルム12から支持体フィルム6を剥離して、結晶基板13の凹凸構造を形成する側の表面の上に凹凸膜10を転写させる。図3−bは、支持体フィルム6を剥離した後の凹凸膜付き結晶基板14とした状態を示している。
【0102】
支持体フィルム6の剥離前もしくは剥離後に、UV(紫外線)や熱により凹凸膜10の化学反応を進めてもよい。反応を進めることで、凹凸膜10の耐エッチング性が向上して、凹凸構造を有する結晶基板15の凹凸構造の寸法精度がより高くなるため好ましい。
【0103】
凹凸膜10がノボラック系材料、もしくはポリイミド系材料の場合における熱処理温度は、100℃以上300℃以下が好ましく、130℃以上250℃以下がより好ましい。100℃より低温では、化学反応が十分に進まない場合がある。300℃より高温では、凹凸膜10の形状が崩れる場合がある。
【0104】
凹凸膜10がシロキサン化合物の場合における熱処理温度は、150〜1000℃が好ましく、180〜900℃がより好ましく、200〜800℃がさらに好ましい。150℃より低温では、十分に化学反応が進みにくい場合がある。1200℃より高温では、凹凸膜10の形状が崩れる場合や、クラックが発生する場合がある。
【0105】
熱処理を行う際には、最高温度に達するまでに、低い温度で一定時間保持するプレベークを行い、凹凸膜10の形状の崩れを防止することも好ましい。
【0106】
凹凸膜付き結晶基板14の凹凸形状の凸部は、支持体フィルム6の凹凸形状の凹部を略反転させたものである。凹凸膜付き結晶基板14の凹凸膜10の凸部の好ましい幅の範囲は、支持体フィルム6の凹部の幅8であるwの範囲と同じである。凹凸膜付き結晶基板14の凹凸膜10の凸部の高さと凸部の幅との比の好ましい範囲は、支持体フィルム6の凹部の深さ9であるdと凹部の幅8であるwとの比d/wの範囲と同じである。凹凸膜10の凸部の高さと残膜厚みhとの比の好ましい範囲は、支持体フィルム6の凹部の深さ9であるdと凹凸膜の残膜厚みhとの比d/hの範囲と同じである。
【0107】
図3bは、凹凸膜付き結晶基板14の断面を示している。ここで凹凸膜10の凸部の幅は凸部の裾の幅であり図3bの符号22で表される距離であり、凸部の高さは凸部の頂部から凸部の底までの距離であり、図3bの符号23で表される部分をいう。また、結晶基板13の表面の凹凸や反りに追従して接着した影響により、凹凸膜10の凸部の幅及び凸部の高さは、転写フィルム12の形態時の寸法に対して10%を超えない範囲で変化する場合がある。加えて、凹凸膜付き結晶基板14の熱処理時に凹凸膜の硬化収縮した影響により、凹凸膜10の凸部の幅は転写フィルム12の形態時の寸法に対して50%を超えない範囲で変化する場合があり、凸部の高さは転写フィルム12の形態時の寸法に対して50%を上回らない範囲で小さくなる場合がある。
【0108】
[工程(C) エッチング工程]
本発明を構成するエッチング工程を、図4を参照して説明する。エッチング工程では凹凸膜付き結晶基板14をエッチングして、凹凸構造を有する結晶基板15を形成する。なお、本図において、符号13で示される結晶基板の凹凸膜10を転写する側の面の凹凸を説明のため強調しているが、図1bや図3と同様に、本発明を適用する発光ダイオードの発光層の成長に通常用いられるサファイア結晶基板(厚み:50〜1000μm、TTV:1〜25μm、LTV:1〜15μm、反り量:−25〜25μm)を模式化したものである。
【0109】
凹凸膜10が(i)ノボラック系樹脂またはポリイミド系樹脂を主成分とする材質の場合にエッチング工程において適用するエッチング方法は、プラズマエッチング法、リアクティブイオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法、マグネトロンRIE法、イオンミーリング法等のドライエッチングを用いることが好ましい。これらのうち、半導体デバイス用に用いられる結晶基板、とりわけ、発光ダイオードの発光層の成長に用いられる結晶基板の微細加工方法が求められていることから、かかる用途に用いられる半導体結晶層をエピタキシャル成長させる結晶基板として好適に用いられるサファイア単結晶、SiC単結晶およびGaN単結晶を適用対象として異方性エッチングするのに好適な、リアクティブイオンエッチング(RIE)法がより好ましい。
【0110】
ドライエッチングによるエッチング工程は、凹凸膜付き結晶基板14に転写された凹凸膜10aの残膜をエッチングして除去するステップ(図4−aから図4−bに至るステップ)と、結晶基板をエッチングして凹凸構造を有する結晶基板15とするステップ(図4−bから図4−cに至るステップ)から構成され、それぞれのステップでは異なるガスを使用してもよいし、同じガスを使用してもよい。
【0111】
結晶基板をドライエッチングする際に用いるガスは、特に制限されないが、例えば塩素(Cl)系またはハロゲン系であるCl、SiCl、BCl、HBr、SF、CHF、C、CF、C、C等や、Oを含有するO、CO、NOや、不活性のAr等を用いることができる。これらのうち、半導体デバイス用に用いられる結晶基板、とりわけ、発光ダイオードの発光層の成長に用いられる結晶基板の微細加工方法が求められていることから、かかる用途に用いられる半導体結晶層をエピタキシャル成長させる凹凸構造を有する結晶基板15として好適に用いられるサファイア単結晶、SiC単結晶およびGaN単結晶を適用対象として、良好なエッチングレートを得られる点で、サファイア単結晶とGaN単結晶の場合にはCl、BCl、SiClのうち少なくとも1つ以上を含むガスが好ましく、SiC単結晶の場合にはFを含むガスにOを含むガスを添加した混合ガスを少なくとも含むガスが好ましい。
【0112】
このようにして得られた凹凸構造を有する結晶基板は、個片化してチップとして用いられる。かかるチップは例えば発光ダイオードに代表される発光素子として好ましく用いられる。
【0113】
凹凸膜10が(ii)シロキサンオリゴマーを含み、X線光電子分光(XPS)測定による炭素、酸素、ケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の割合が5〜33atom%である材質の場合にエッチング工程において適用するエッチング方法は、ウェットエッチング法を用いることができる。
【0114】
ウェットエッチング工程は、凹凸膜付き結晶基板14に転写された凹凸膜10aの残膜をエッチングして除去するステップ(図4−aから図4−bに至るステップ)と、結晶基板をエッチングして凹凸構造を有する結晶基板15とするステップ(図4−bから図4−cに至るステップ)から構成され、それぞれのステップでは異なるエッチング液を使用してもよいし、同じエッチング液を使用してもよい。凹凸膜10aの残膜をウェットエッチングする工程のエッチング液は、特に制限されないが、フッ酸を含むエッチング液が好ましい。結晶基板をウェットエッチングする工程のエッチング液は、特に制限されないが、サファイア単結晶の場合には塩酸、硝酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、硫酸、リン酸、または硫酸とリン酸とを含む混合物などのうち少なくとも1つ以上を含むエッチング液が好ましく、GaN単結晶の場合にはリン酸、硫酸、水酸化カリウムなどのうち少なくとも1つ以上を含むエッチング液が好ましく、SiC単結晶の場合には水酸化カリウムを含むエッチング液が好ましい。
【実施例】
【0115】
本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0116】
[各特性の評価]
(1)支持体フィルムの表面自由エネルギー
以下の(1−1)〜(1−3)に従い、測定を行った。
【0117】
(1−1)支持体フィルムの接触角測定と表面自由エネルギーの暫定値
表面自由エネルギー算出のための接触角測定は、協和界面科学株式会社製接触角計CA−X型で、手動3測定点計測による液滴法(θ/2法)で行なった。まず、支持体フィルムの表面が水平になるように試料台にセットし、測定液として純水を用い、シリンジを用いて純水0.4μLの液滴をサンプルの測定表面に付着させた。付着させてから5秒後に、液滴画像をフリーズさせて、その液滴の接触角を測定した。接触角は手動3測定点計測によるため、図6に示すような試料5の上の液滴1の両端の点2と、頂点3を選択して、その液滴の接触角4を算出した。測定は5回繰り返し、その平均値を接触角とした。ただし、測定表面に汚れやキズがある場合は正確な値を得ることができないため、測定した5回の接触角の標準偏差が3.0を超えた場合は再度測定するものとした。エチレングリコール、ホルムアミド、ヨウ化メチレンの3種類の測定液についても純水で行ったのと同様にして、接触角を測定した。測定液の表面エネルギーの各成分の値は表1に示すものを用いた。上記4種類の液体の接触角測定値を下記式(1)に代入して、支持体フィルムの表面自由エネルギーの各成分の暫定値([γ]SE,[γ]SE,[γ]SE)を計算した。
【0118】
【数2】
【0119】
【表1】
【0120】
(1−2)標準フィルムの接触角測定と表面自由エネルギーの暫定値
厚さ100μmの東レ株式会社製ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)型番U426の表面を標準フィルムとした。標準フィルムの表面を、前記(i)と同じ測定環境下および方法で、標準フィルムの表面自由エネルギーの各成分の暫定値([γ]RE,[γ]RE,[γ]RE)を計算した。
【0121】
(1−3)支持体フィルムの表面自由エネルギーの決定
液滴法による接触角は測定環境による変動が大きいので、この変動を排除するための補正を行った。標準サンプルの表面エネルギーの各成分の標準値は、分散力成分([γ]RT)が27.1mN/m、極性力成分([γ]RT)が10.8mN/m、水素結合成分([γ]RT)が7.0mN/mとした。これらの値を下記式(2)〜(4)に代入して、支持体フィルムの表面エネルギーの各成分の値([γ]ST,[γ]ST,[γ]ST)を決定した。
【0122】
【数3】
【0123】
なお、標準フィルムの各成分の標準値([γ]RT,[γ]RT,[γ]RT)は室温30℃相対湿度35%、室温23℃相対湿度32%、室温24℃相対湿度28%の3環境下でそれぞれ前記(1−1)の方法で計算した表面自由エネルギーの各成分を平均した値である。
【0124】
(2)支持体フィルムの凹凸形状の評価
支持体フィルムの凹凸形状の評価手順を(2−1)〜(2−3)で説明する。
【0125】
(2−1)支持体フィルムの凹部の幅w
本文中に示す方法により支持体フィルムの凹凸形状を有する表面の12個の凹部について、凹部の頂部の幅を測定し、その算術平均値を、支持体フィルムの凹部の幅wとした。測定には日立ハイテクノロジーズ社製SEM型番S−3400Nを用いた。測定の倍率は凹部の幅wが、0.01μm以上1μm未満の場合は50000倍、1μm以上2μm未満の場合は20000倍、2μm以上5μm未満の場合は5000倍とした。
【0126】
(2−2)支持体フィルムの凹部の深さd
本文中に示す方法により支持体フィルムの凹凸形状を有する表面の12個の凹部について、測定し、その算術平均値を、支持体フィルムの凹部の深さdとした。計測にはデジタルインスツルメンツ社製AFM型番NanoScopeIIIa/MMを下記条件で用いた。
スキャナ:AS−130(J−Scanner)
プローブ:NCH−W型 単結晶シリコン(ナノワールド社製)
走査モード:タッピングモード
走査範囲:□10μm
走査速度:0.3Hz
(2−3)支持体フィルムの比d/w
支持体フィルムの凹部の深さdを、支持体フィルムの凹部の幅wで除した値を、支持体フィルムの凹部の深さdと凹部の幅wとの比d/wとした。
【0127】
(3)支持体フィルムの凹凸膜の塗工性の評価
転写フィルム形成工程で行なわれる凹凸膜の形成は、凹凸形状を表面に有する支持体フィルムの凹凸形状を有する面に、凹凸膜の残膜厚みの平均が、表2に記載の寸法になるよう、ミカサ株式会社製スピンコーター型番1H−DX2を使用して、凹凸膜の材質を含むコーティング溶液をコーティングした。塗工性は次の基準で評価した。
A:ハジキがなく、塗工性良好。
B:ハジキがあるが、塗工可能。
C:塗工不可能。
【0128】
(4)凹凸膜の残膜厚み関連の評価
凹凸膜の残膜厚みの評価手順を(4−1)〜(4−6)で説明する。
【0129】
(4−1)測定試料の作製
ガラス基板上に、後述する(6−1)〜(6−2)と同様の方法で凹凸膜を転写して凹凸膜付きガラス基板を作製し、これを割断して凹凸の繰り返し数が50以上となる断面を形成した。かかる測定用試料を水準あたり、10サンプル準備した。
【0130】
(4−2)凹凸膜の残膜厚みh(個別値)の測定
測定には日立ハイテクノロジーズ社製SEM型番S−3400Nを用いた。倍率は、残膜厚みが0.01μm以上0.5μm未満の場合は50000倍、0.5μm以上1μmの場合は20000倍とした。1サンプルあたり、50の凹凸膜の凹部について断面を観察し、凹凸膜の支持体フィルムと反対側の表面の法線方向において、支持体フィルム側の凹凸膜の表面の凹部の底と、支持体フィルムと反対側の凹凸膜の表面のなす最小距離を、凹凸膜の残膜厚みhとした。
【0131】
(4−3)凹凸膜の残膜厚みh(平均)の算出
10サンプルについて、各サンプルごとに求めた凹凸膜の残膜厚みhを平均し、凹凸膜の残膜厚みhとした。
【0132】
(4−4)凹凸膜の残膜厚みの差
10サンプルについて、各サンプルごとに求めた凹凸膜の残膜厚みの最大値と最小値の差を、各サンプルにおける凹凸膜の残膜厚みの差とし、10サンプルの平均を凹凸膜の残膜厚みの差とした。
【0133】
(4−5)凹凸膜の残膜厚みの均一性
凹凸膜の残膜厚みの差を、凹凸膜の残膜厚みhで除して百分率表示し、凹凸膜の残膜厚みの均一性とした。
【0134】
(4−6)凹部の深さdと残膜厚みhとの比d/h
支持体フィルムの凹部の深さdを、凹凸膜の残膜厚みhで除した値を、凹部の深さdと残膜厚みhとの比d/hとした。
【0135】
(5)XPS(X線光電子分光)による凹凸膜の元素分析(炭素、酸素、ケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の割合の評価)
凹凸膜の炭素、酸素、ケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の割合は、アルバック−ファイ株式会社製走査型X線光電子分光分析装置PHI Quantera SXM(X線源AlKα)により測定した。測定データはC1s結合エネルギーに対応するピークを284.4eVに補正し、Si2pに対応する102〜103eV付近のピークおよびO1sに対応する530〜535eV付近のピークに着目して相対感度係数(RSF)を用いて定量した。
【0136】
(6)凹凸膜の転写性の評価
転写工程は、以下に示す(6−1)〜(6−2)の手順で支持体フィルムから結晶基板に凹凸膜を転写させ、(6−3)の手順で凹凸膜の転写面積率を評価した
(6−1)結晶基板の準備
結晶基板の鏡面加工された表面をブロワーにて埃を除去し、アズワン株式会社製3周波超音波洗浄機型番VS−100IIIを用いてエタノールに浸漬した状態で45kHzで10分間の超音波洗浄をした。乾燥させた後に、株式会社魁半導体製卓上真空プラズマ装置YHS−RWを用いて15000VACで5分間プラズマ処理した。
【0137】
(6−2)支持体フィルムから結晶基板への凹凸膜の転写工程
東レフィルム加工株式会社製フッ素フィルム“トヨフロン”(登録商標)型番F(材質:FEP、厚み100μm)、結晶基板、転写フィルム、東レフィルム加工株式会社製フッ素フィルム“トヨフロン”(登録商標)型番F(材質:FEP、厚み100μm)、株式会社金陽社製“キンヨーボード”(登録商標)型番F200の順で重畳して積層体とした。このとき、結晶基板の鏡面加工された表面と転写フィルムの凹凸膜の表面が接する向きで、結晶基板の外縁より転写フィルムの外縁が外側に位置するように積層した。次に、ミカドテクノス株式会社製“2ton真空ヒータープレス”型番MKP−150TV−WHを用いて積層体を、温度25℃、圧力1MPa、時間30秒で加圧した。次に、加圧を止め、温度25℃で転写フィルムの支持体フィルムを剥離して、凹凸膜を結晶基板に転写した。次に、ホットプレートで熱処理して、凹凸膜付き結晶基板を得た。なお、ホットプレートでの熱処理条件については、各実施例ごとに記載する。
【0138】
(6−3)凹凸膜の転写面積率
結晶基板の上に転写した凹凸膜の面積を、転写フィルムと結晶基板の接着面積で除して百分率表示し、転写面積率とした。転写面積率が、50%以上であるものを転写性が良好と判断し、凹凸膜が転写された領域について次項の評価を行った。
【0139】
(7)結晶基板の表面の凹凸構造の観察
凹凸膜の材質により(7−1−1)または(7−1−2)のエッチングおよび凹凸膜除去の処理を行った後、(7−2)の凹凸構造の観察を行った。なお、以下の評価において、評価対象とした凹凸膜が転写された領域は、結晶基板の位置合わせのために外周部に設けられている直線上の切り欠き部(一般にオリフラと呼ばれる)を基準にマッピングすることにより特定した。
【0140】
(7−1−1)凹凸膜がノボラック系樹脂またはポリイミド系樹脂を主成分とする材質の場合
サムコ株式会社製リアクティブイオンエッチング装置RIE−10Nを用いて、凹凸膜付き結晶基板にBClガスを用いてドライエッチング処理を行った後、凹凸膜を除去した。
【0141】
(7−1−2)凹凸膜シロキサンオリゴマーを含み、X線光電子分光(XPS)測定による炭素、酸素、ケイ素の各原子数の合計に対するケイ素原子数の割合が5〜33atom%である材質の場合
凹凸膜付き結晶基板にフッ酸を用いてウェットエッチング処理を行い凹凸膜の残膜を除去した。次いで、凹凸膜付き結晶基板に硫酸とリン酸とを含む混合物を用いてウェットエッチング処理を行った後、凹凸膜を除去した。
【0142】
(7−2)凹凸構造の観察
凹凸膜を除去した後の結晶基板の表面を、AFM(デジタルインスツルメンツ社製、型番NanoScopeIIIa/MM)で観察した。
評価は以下の通りである。
A:凹凸膜と同じ周期の凹凸構造が凹凸膜が転写された領域の90%以上の範囲に形成された。
B:凹凸構造が形成されなかったか、または、凹凸膜と同じ周期の凹凸構造が形成されたものの凹凸膜が転写された領域の90%未満の範囲であった。
C:凹凸膜の転写率が低い/凹凸膜にひびが生じた等の問題によりエッチングを実施せず。
【0143】
(8)総合評価
(6−3)凹凸膜の転写面積率の評価と、(7)結晶基板の表面の凹凸構造の評価から、以下のように判定した
A:凹凸膜の転写面積率が80%以上であり、結晶基板の凹凸構造がAであるもの。
B:凹凸膜の転写面積率が50%以上80%未満であり、結晶基板の凹凸構造がAであるもの。
C:凹凸膜の転写面積率が50%未満である。および/または、結晶基板の凹凸構造がBもしくはCであるもの。
【0144】
[実施例1]
熱インプリントまたはUVインプリントによる支持体フィルムの準備(以降、支持体フィルム形成工程と記す):環状ポリオレフィン系樹脂である日本ゼオン株式会社製“ゼオノア”(登録商標)フィルム型番ZF14の厚さ100μmのフィルムの片面に、熱インプリントで凹凸形状を賦形して、凹凸形状を表面に有する支持体フィルムを得た。熱インプリントの型は、凸部の幅0.25μm、凸部の高さ0.3μm、凸周期0.3μmの回転楕円体を離散的に配置した形状(以降、回転楕円体を離散的に配置した形状を「モスアイ形状」と記す)をもつNi(ニッケル)電鋳を使用した。熱インプリントは、プレス温度180℃及びプレス圧力2MPaで30秒保持し、100℃以下まで冷却し、プレスを開放して型と形成した支持体フィルムを離型した。
【0145】
次に、転写フィルム形成工程として、凹凸膜の材質であるノボラック系樹脂をPGPE(プロピレングリコールモノプロピルエーテル)溶剤で固形分濃度3質量%に希釈したコーティング溶液を、支持体フィルムの凹凸形状を有する面に液滴し、スピンコーターを用いて5000rpmで塗工し、ホットプレートを用いて90℃30秒で乾燥させて、支持体フィルムの凹凸形状を有する面に凹凸膜を形成して転写フィルムを得た。塗工性はハジキがなく良好であった。
【0146】
次に、転写工程として、上記(6)に記載の方法で、φ2インチのサファイア単結晶基板の上に凹凸膜を転写し、ホットプレートを用いて最高温度200℃で熱処理して、凹凸膜付き結晶基板を得た。凹凸膜の転写面積率は90%であった。
【0147】
次に、エッチング工程として、上記(7)に記載の方法で、凹凸膜付き結晶基板を(7−1−1)に従いドライエッチング処理して、レジストを除去した。
(7−2)に従い結晶基板の表面をAFMで観察したところ、結晶基板の表面に凹凸膜と同じ周期の凹凸構造が形成されていることが確認できた。
【0148】
[実施例2]
転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を10質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0149】
[実施例3]
転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を5質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0150】
[実施例4]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅2μm、凸部の高さ3μm、凸周期6μmの円柱を離散的に配置した形状(以降、円柱を離散的に配置した形状を「ピラー形状」と記す)をもつNi(ニッケル)電鋳に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を5質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0151】
[実施例5]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅5μm、凸部の高さ2.5μm、凸周期5μmのライン状のプリズム形状をもつCu(銅)金型に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を5質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0152】
[実施例6]
転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質をポリイミド系樹脂、コーティング溶液の固形分濃度を5質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0153】
[実施例7]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅5μm、凸部の高さ2.5μm、凸周期5μmのライン状のプリズム形状をもつCu(銅)金型に変え、転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質をポリイミド系樹脂、コーティング溶液の固形分濃度を5質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0154】
[実施例8]
支持体フィルム形成工程において、東レ株式会社製ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)型番U34の厚さ100μmのフィルムの片面に、東亞合成株式会社製紫外線硬化型アクリル系樹脂“アロニックス” (登録商標)UV3701を厚さ5μmになるように塗工し、UVインプリントで凹凸形状を賦形して、凹凸形状を表面に有する支持体フィルムを得た。UVインプリントの型は、凸部の幅5μm、凸部の高さ2.5μm、凸周期5μmのライン状のプリズム形状をもつCu(銅)金型を使用した。
転写フィルム形成工程では、コーティング溶液の固形分濃度を5質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmとした。
上記以外については、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0155】
[実施例9]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅100μm、凸部の高さ0.5μm、凸周期100.5μmのライン状の矩形形状をもつSi(シリコン)金型に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を2質量%、スピンコーターの塗工を5000rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0156】
[実施例10]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅20μm、凸部の高さ10μm、凸周期20μmのライン状のプリズム形状をもつCu(銅)金型に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を15質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0157】
[実施例11]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅0.05μm、凸部の高さ0.05μm、凸周期0.5μmのライン状の矩形形状をもつSi(シリコン)金型に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を3質量%、スピンコーターの塗工を5000rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0158】
[実施例12]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅0.25μm、凸部の高さ0.1μm、凸周期0.3μmのモスアイ形状をもつNi(ニッケル)電鋳に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0159】
[実施例13]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅0.1μm、凸部の高さ0.15μm、凸周期0.3μmのモスアイ形状をもつNi(ニッケル)電鋳に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0160】
[実施例14]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅0.25μm、凸部の高さ0.25μm、凸周期0.3μmのモスアイ形状をもつNi(ニッケル)電鋳に変え、転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質を東京応化工業株式会社製OCNL505シロキサンゾル、コーティング溶液の固形分濃度を5質量%、ホットプレートを用いた乾燥を90℃10秒に変え、転写工程の、熱処理の最高温度を800℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0161】
[実施例15]
転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を10質量%に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0162】
[実施例16]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅0.25μm、凸部の高さ0.1μm、凸周期0.3μmのモスアイ形状をもつNi(ニッケル)電鋳に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を4質量%に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0163】
[実施例17]
支持体フィルム形成工程として、環状ポリオレフィン系樹脂であるポリプラスチックス株式会社製“TOPAS”(登録商標)型番6013の樹脂を溶融押出法で製膜した厚さ60μmのフィルムを用いた以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0164】
[実施例18]
支持体フィルム形成工程として、東レ株式会社製ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)型番U34の厚さ100μmのフィルムの片面に、東亞合成株式会社製紫外線硬化型アクリル系樹脂“アロニックス” (登録商標)UV3701を厚さ5μmになるように塗工し、UVインプリントで凹凸形状を賦形して、凹凸形状を表面に有する支持体フィルムを得た以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0165】
[実施例19]
転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質を、テトラメトキシシランを縮合させたシロキサンゾル、ホットプレートを用いた乾燥を90℃90秒に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0166】
[実施例20]
転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質を、フェニルトリエトキシシランを縮合させたシロキサンゾル、ホットプレートを用いた乾燥を90℃90秒に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0167】
[実施例21]
転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質を、フェニルトリエトキシシランを縮合させたシロキサンゾル、ホットプレートを用いた乾燥を90℃90秒に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0168】
[実施例22]
転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質を、テトラメトキシシランを縮合させたシロキサンゾル、ホットプレートを用いた乾燥を90℃90秒に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0169】
[実施例23]
転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質を、フェニルトリエトキシシランを縮合させたシロキサンゾル、ホットプレートを用いた乾燥を90℃90秒に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0170】
[実施例24]
支持体フィルム形成工程として、東レ株式会社製ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)型番U34の厚さ100μmのフィルムの片面に、大日精化工業株式会社製紫外線硬化型アクリル系樹脂セイカビームEX−T003を厚さ5μmになるように塗工し、UVインプリントで凹凸形状を賦形して、凹凸形状を表面に有する支持体フィルムを得た以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0171】
[実施例25]
支持体フィルム形成工程として、東レ株式会社製ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)型番U34の厚さ100μmのフィルムの片面に、大日精化工業株式会社製紫外線硬化型アクリル系樹脂セイカビームEX−T003を100質量部に対して、ビックケミー・ジャパン株式会社製DYK−340を0.2質量部添加した樹脂を厚さ5μmになるように塗工し、UVインプリントで凹凸形状を賦形して、凹凸形状を表面に有する支持体フィルムを得た以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0172】
[実施例26]
支持体フィルム形成工程として、東レ株式会社製ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)型番U34の厚さ100μmのフィルムの片面に、富士化成工業株式会社製紫外線硬化型アクリル系樹脂ZX−101を100質量部に対して、チバジャパン株式会社製イルガキュア250を3質量部添加した樹脂を厚さ5μmになるように塗工し、UVインプリントで凹凸形状を賦形して、凹凸形状を表面に有する支持体フィルムを得た以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0173】
[実施例27]
支持体フィルム形成工程として、東レ株式会社製ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)型番U34の厚さ100μmのフィルムの片面に、大日精化工業株式会社製紫外線硬化型アクリル系樹脂セイカビームEX−T003を100質量部に対して、ビックケミー・ジャパン株式会社製DYK−340を0.5質量部添加した樹脂を厚さ5μmになるように塗工し、UVインプリントで凹凸形状を賦形して、凹凸形状を表面に有する支持体フィルムを得た以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。
【0174】
[比較例1]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅0.2μm、凸部の高さ0.35μm、凸周期0.3μmのモスアイ形状を有するNi(ニッケル)電鋳に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を5質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、転写フィルムを得た。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。
【0175】
次に、転写工程として、上記(6)に記載の方法で、凹凸膜を転写したところ、転写面積率は5%であった。
【0176】
支持体フィルムの凹部の深さdと凹部の幅wとの比d/wが1.8と大きく、転写工程で支持体フィルムと凹凸膜の剥離性が悪くなったため、結晶基板に転写困難になったと考えられる。
【0177】
[比較例2]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅25μm、凸部の高さ12.5μm、凸周期25μmのライン状のプリズム形状をもつCu(銅)金型に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を15質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、転写フィルムを得た。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。
【0178】
次に、転写工程として、上記(6)に記載の方法で、凹凸膜を転写したところ、転写面積率は85%であったが、熱処理で凹凸膜にクラックが生じた。
【0179】
支持体フィルムの凹部の深さが12.5μmと大きく、凹凸膜が厚く形成されたためクラックが生じたと考えられる。
【0180】
[比較例3]
転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を2質量%、スピンコーターの塗工を5000rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、転写フィルムを得た。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。
【0181】
次に、転写工程として、上記(6)に記載の方法で、凹凸膜を転写したところ、転写面積率は15%であった。
【0182】
転写フィルムの凹凸膜の残膜が薄いため、転写フィルム形成工程の塗工で、凹凸膜の残膜が形成されずに支持体フィルムの表面が露出した部分が形成されて、転写工程でサファイアと凹凸膜の密着性が阻害されたため、結晶基板に転写困難になったと考えられる。
【0183】
[比較例4]
転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を20質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。
【0184】

転写工程の凹凸膜の転写面積率は90%であった。
【0185】
結晶基板の表面をAFMで観察したところ、結晶基板の表面に凹凸構造が形成されていないことが確認できた。
【0186】
転写フィルムの凹凸膜の残膜が厚いので、凹凸膜の残膜を除去するエッチング工程で凸部の平坦化が進行したため、結晶基板をエッチングする工程で凹凸構造が形成されなかったものと考えられる。
【0187】
[比較例5]
転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を10質量%、スピンコーターの塗工を500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。転写工程の凹凸膜の転写面積率は90%であった。
【0188】
結晶基板の表面をAFMで観察したところ、結晶基板の表面に凹凸構造が形成されない部位があることが確認できた。
【0189】
転写フィルムの凹凸膜の残膜厚みの均一性が低いため、凹凸膜の残膜が厚い部位では凹凸膜の残膜を除去するエッチング工程で凸部の痩せ細りが進行して、結晶基板をエッチングする工程で凹凸構造の形成されない部位が生じたと考えられる。
【0190】
[比較例6]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅0.03μm、凸部の高さ0.02μmの半球状の形状が離散したパターンを有する金粒子コロイド単層膜付きガラス基板に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を1質量%、スピンコーターの塗工を5000rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、転写フィルムを得た。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。
【0191】
転写工程の凹凸膜の転写面積率は90%であった。
【0192】
結晶基板の表面をAFMで観察したところ、結晶基板の表面に凹凸構造が形成されていないことが確認できた。
【0193】
支持体フィルムの凹部の深さが0.02μmと小さく、凹凸膜の残膜を除去するエッチング工程で凸部の平坦化が進行したため、結晶基板をエッチングする工程で凹凸構造が形成できなかったものと考えられる。
【0194】
[比較例7]
支持体フィルム形成工程の、熱インプリントの型を、凸部の幅250μm、凸部の高さ2μm、凸周期500μmのライン状の矩形形状をもつSi(シリコン)金型に変え、転写フィルム形成工程の、コーティング溶液の固形分濃度を10質量%、スピンコーターの塗工を1500rpmに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。
【0195】
転写工程の凹凸膜の転写面積率は20%であった。
【0196】
支持体フィルムの凹部の幅wが250μmと大きく、転写工程で支持体フィルムと凹凸膜の剥離性が悪くなったため、結晶基板に転写困難になったものと考えられる。
【0197】
[比較例8]
転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質を、テトラメトキシシランを縮合させたシロキサンゾル、ホットプレートを用いた乾燥を90℃90秒に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。
【0198】
転写工程の凹凸膜の転写面積率は20%であった。
【0199】
凹凸膜のケイ素原子数の割合が33.1atom%と大きく、転写工程で凹凸膜と結晶基板の接着力が弱くなったため、結晶基板に転写困難になったものと考えられる。
【0200】
[比較例9]
転写フィルム形成工程の、凹凸膜の材質を、フェニルトリエトキシシランを縮合させたシロキサンゾル、ホットプレートを用いた乾燥を90℃90秒に変えたこと以外は、実施例14と同様の方法で、結晶基板の表面に凹凸構造を形成した。転写フィルム形成工程の塗工性はハジキがなく良好であった。
【0201】
転写工程の凹凸膜の転写面積率は100%であった。
【0202】
結晶基板の表面をAFMで観察したところ、結晶基板の表面に凹凸構造が形成されていないことが確認できた。
【0203】
凹凸膜の凹凸膜のケイ素原子数の割合が4atom%と小さく、エッチング工程で凹凸膜がエッチングマスクの機能を果たさずに溶解したため、結晶基板をエッチングする工程で凹凸構造が形成できなかったものと考えられる。
【0204】
以上の結果を表2にまとめる。
【0205】
【表2-1】
【0206】
【表2-2】
【0207】
【表2-3】
【符号の説明】
【0208】
1: 液滴
2: 液滴の両端の点
3: 液滴の頂点
4: 液滴の接触角
5: 試料
6: 支持体フィルム
7: 支持体フィルムの凹凸形状
8: 支持体フィルムの凹部の幅
9: 支持体フィルムの凹部の深さ
10:凹凸膜
11:凹凸膜の残膜厚み
12:転写フィルム
13:結晶基板
14:凹凸膜付き結晶基板
15:凹凸構造を有する結晶基板
16:支持体フィルムの凹部の投影領域
17:支持体フィルムの凹部の投影中心線
18:レジスト膜
19:凹凸膜の断面
20:転写フィルムの凹凸膜の凸部の幅
21:転写フィルムの凹凸膜の凸部の高さ
22:凹凸膜付き結晶基板の凹凸膜の凸部の幅
23:凹凸膜付き結晶基板の凹凸膜の凸部の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】