特表-13161288IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月31日
【発行日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】建設車両用タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた建設車両用空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 7/00 20060101AFI20151124BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20151124BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20151124BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20151124BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20151124BHJP
   C08L 45/00 20060101ALI20151124BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   C08L7/00
   C08L9/06
   C08K3/04
   C08K3/36
   C08L91/00
   C08L45/00
   B60C1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2014-506382(P2014-506382)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年4月24日
(11)【特許番号】特許第5626494号(P5626494)
(45)【特許公報発行日】2014年11月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-100597(P2012-100597)
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【住所又は居所】東京都港区新橋5丁目36番11号
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】若松 浩史
【住所又は居所】神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株式会社 平塚製造所内
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC011
4J002AC082
4J002AC112
4J002BK003
4J002DA036
4J002DA037
4J002DJ018
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD018
4J002GN01
(57)【要約】
スチレン含量が10〜30質量%であるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム10〜50質量部、および、天然ゴムを含むイソプレン系ゴム90〜50質量部からなるジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を30〜50質量部、窒素吸着比表面積が60〜90m/gであるカーボンブラック(B)を5〜20質量部、シリカを5〜20質量部、軟化点が100〜130℃である芳香族変性テルペン樹脂を1〜10質量部配合し、フィラーの合計量が70質量部以下であり、かつカーボンブラック(A)の配合量が下記式を満たす建設車両用タイヤ用ゴム組成物。0.55≦(前記カーボンブラック(A)の質量部/前記フィラーの合計質量部)≦0.65
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン含量が10〜30質量%であるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)10〜50質量部、および、天然ゴムを含むイソプレン系ゴム90〜50質量部からなるジエン系ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を30〜50質量部、
窒素吸着比表面積(NSA)が60〜90m/gであるカーボンブラック(B)を5〜20質量部、
シリカを5〜20質量部、
軟化点が100〜130℃である芳香族変性テルペン樹脂を1〜10質量部配合し、
前記カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤からなるフィラーの合計量が70質量部以下であり、かつ
前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が下記式を満たすことを特徴とする建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
0.55≦(前記カーボンブラック(A)の質量部/前記フィラーの合計質量部)≦0.65
【請求項2】
前記SBRが、ブタジエン中のビニル含量が60質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記SBRが、分子末端部分に水酸基、N-アルキル置換アミノケトン基またはN-アルキル置換アミノチオケトン基を有する末端変性SBRであることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記シリカのBET比表面積(ISO5794/1に準拠して測定)が、150〜250m/gであることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、35〜45質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
前記窒素吸着比表面積(NSA)が60〜90m/gであるカーボンブラック(B)の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
前記シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項8】
前記芳香族変性テルペン樹脂の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、3〜8質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項9】
前記フィラーの合計量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、50〜65質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のゴム組成物をキャップトレッドに使用した建設車両用空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設車両用タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた建設車両用空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、優れた耐カット性、発熱性、耐摩耗性を有する建設車両用タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた建設車両用空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
悪路、重荷重条件での走行を伴う建設車両用タイヤのキャップトレッドにおいては、耐カット性、低発熱性、耐摩耗性のすべての特性を高次元でバランスすることが要求される。
例えば耐カット性の向上には各種樹脂を配合したり(例えば特許文献1参照)、高スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを配合したり(例えば特許文献2参照)、充填剤を増量する等の手段が有効であるが、このような手段では低発熱性が得られず、また耐摩耗性も悪化してしまう。
このように、耐カット性と低発熱性または耐摩耗性とは二律背反の関係にあり、さらに、低発熱性と耐摩耗性との間にも二律背反の関係が存在する。したがって、前記3つの特性を同時に満足させることは当業界において困難な課題と認識されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2890328号公報
【特許文献2】特許第2779220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、優れた耐カット性、発熱性、耐摩耗性を有する建設車両用タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた建設車両用空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のジエン系ゴムに特定比表面積を有するカーボンブラック、シリカおよび芳香族変性テルペン樹脂を特定量配合し、フィラー中のカーボンブラックの配合量を特定範囲に設定することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.スチレン含量が10〜30質量%であるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)10〜50質量部、および、天然ゴムを含むイソプレン系ゴム90〜50質量部からなるジエン系ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を30〜50質量部、
窒素吸着比表面積(NSA)が60〜90m/gであるカーボンブラック(B)を5〜20質量部、
シリカを5〜20質量部、
軟化点が100〜130℃である芳香族変性テルペン樹脂を1〜10質量部配合し、
前記カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤からなるフィラーの合計量が70質量部以下であり、かつ
前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が下記式を満たすことを特徴とする建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
0.55≦(前記カーボンブラック(A)の質量部/前記フィラーの合計質量部)≦0.65
2.前記SBRが、ブタジエン中のビニル含量が60質量%以上であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
3.前記SBRが、分子末端部分に水酸基、N-アルキル置換アミノケトン基またはN-アルキル置換アミノチオケトン基を有する末端変性SBRであることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
4.前記シリカのBET比表面積(ISO5794/1に準拠して測定)が、150〜250m/gであることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
5.前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、35〜45質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
6.前記窒素吸着比表面積(NSA)が60〜90m/gであるカーボンブラック(B)の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
7.前記シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
8.前記芳香族変性テルペン樹脂の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、3〜8質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
9.前記フィラーの合計量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、50〜65質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
10.前記1に記載のゴム組成物をキャップトレッドに使用した建設車両用空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特定の組成のジエン系ゴムに特定比表面積を有するカーボンブラック、シリカおよび芳香族変性テルペン樹脂を特定量配合し、フィラー中のカーボンブラックの配合量を特定範囲に設定したので、優れた耐カット性、発熱性、耐摩耗性を有する建設車両用タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた建設車両用空気入りタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、スチレン含量が10〜30質量%であるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)10〜50質量部、および、天然ゴムを含むイソプレン系ゴム90〜50質量部からなる。
前記SBRにおいて、スチレン含量が前記範囲外では、低発熱性を得ることができない。なお、前記SBRは、ブタジエン中のビニル含量が60質量%以上であることが好ましい。ビニル含量が60質量%以上であることによって、さらなる低発熱性を得ることができる。さらに好ましいスチレン含量は15〜25質量%であり、ビニル含量は60〜70質量%である。なお、SBRの分子量はとくに制限されない。
また、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに、SBRの配合量が10質量部未満であると(すなわちイソプレン系ゴムが90質量部超)、耐カット性が悪化し、また低発熱性を得ることができない。逆にSBRの配合量が50質量部を超えると(すなわちイソプレン系ゴムが50質量部未満)、低発熱性を得ることができず、耐摩耗性も悪化する。ジエン系ゴムにおいて、さらに好ましいSBRの配合量は、20〜40質量部である。
なお、イソプレン系ゴムとしては前記の天然ゴム(NR)以外に、合成イソプレンゴム(IR)を使用することができる。
【0008】
また本発明の効果、すなわち耐カット性、発熱性、耐摩耗性を高めるという観点から、前記SBRは分子末端部分に水酸基、N-アルキル置換アミノケトン基またはN-アルキル置換アミノチオケトン基を有する末端変性SBRであることが好ましい。
かかる末端変性SBRは知られており、例えば特許公報第3488926号などに記載された方法で製造することができ、日本ゼオン(株)製Nipol NS116などの市販品を用いることもできる。
【0009】
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を使用する。窒素吸着比表面積(NSA)は、JIS K6217−2に準拠して測定された値である。窒素吸着比表面積(NSA)が90m/g未満であると、耐カット性が悪化し、逆に130m/gを超えると、発熱性が悪化する。更に好ましい窒素吸着比表面積(NSA)は100〜120m/gである。
【0010】
また本発明のゴム組成物は、窒素吸着比表面積(NSA)が60m/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)を配合する。この窒素吸着比表面積(NSA)が60m/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)を配合することにより、耐カット性と発熱性のバランスを調整する事が出来るという効果が奏される。
【0011】
(シリカ)
本発明で使用されるシリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカおよび沈降シリカなど、従来からタイヤ用ゴム組成物において使用することが知られている任意のシリカを単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
なお本発明では、本発明の効果がさらに向上するという観点から、シリカのBET比表面積(ISO5794/1に準拠して測定)は、150〜250m/gであるのが好ましい。
【0012】
(芳香族変性テルペン樹脂)
本発明のゴム組成物に配合される芳香族変性テルペン樹脂としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネンなどのテルペン樹脂と、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデンなどの芳香族化合物とを重合させて得られる芳香族変性テルペン樹脂が有効に使用される。当該芳香族化合物の芳香族変性テルペン樹脂中での含有量は、10〜50質量%であることが好ましい。また、芳香族変性テルペン樹脂の軟化点は100〜130℃が好ましい。この軟化点の範囲によれば、本発明の効果、すなわち耐カット性、発熱性、耐摩耗性を一層高めることができる。
【0013】
(フィラー)
本発明のゴム組成物は、各種フィラーを配合することができる。フィラーとしてはとくに制限されず、用途により適宜選択すればよいが、例えば前記のカーボンブラックおよびシリカ以外に、クレー、タルク、炭酸カルシウム等のその他の無機充填剤が挙げられる。なお、本発明で言うフィラーとは、カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤を意味する。
【0014】
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、前記のジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を30〜50質量部、窒素吸着比表面積(NSA)が60m/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)を5〜20質量部、シリカを5〜20質量部、軟化点が100〜130℃である芳香族変性テルペン樹脂を1〜10質量部配合し、前記カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤からなるフィラーの合計量が70質量部以下であり、かつ
前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が下記式を満たすことを特徴とする。
0.55≦(前記カーボンブラック(A)の質量部/前記フィラーの合計質量部)≦0.65
窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が30質量部未満であると、耐カット性、耐摩耗性を共に改善することができない。逆に50質量部を超えると、発熱性が悪化する。
窒素吸着比表面積(NSA)が60m/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)の配合量が5質量部未満であると、耐カット性、耐摩耗性を共に改善することができない。20質量部を超えると、発熱性が悪化する。
シリカの配合量が5質量部未満であると、耐カット性が悪化する。逆に20質量部を超えると、低発熱性が得られず、耐摩耗性も悪化する。
芳香族変性テルペン樹脂の配合量が1質量部未満では、添加量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に10質量部を超えると、低発熱性が得られず、耐摩耗性も悪化する。
カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤の合計量が70質量部を超えると、発熱性が悪化する。
上記式において、(前記カーボンブラック(A)の質量部/前記フィラーの合計質量部)が0.55未満であると、発熱性が悪化する。また0.65を超えると、発熱性が悪化する。
【0015】
窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、35〜45質量部がさらに好ましい。
窒素吸着比表面積(NSA)が60〜90m/gであるカーボンブラック(B)の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部がさらに好ましく、8〜10質量部がとくに好ましい。
シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部がさらに好ましい。
芳香族変性テルペン樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、3〜8質量部がさらに好ましい。
カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤の合計量は、50〜65質量部がさらに好ましい。
【0016】
本発明のゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、加硫助剤、加工助剤などの建設車両用タイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0017】
また本発明のゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに使用することができる。本発明のゴム組成物は、優れた耐カット性、発熱性、耐摩耗性を有することから、これを建設車両用空気入りタイヤのキャップトレッドに使用するのがとくに好ましい。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0019】
標準例、実施例1〜4および比較例1〜11
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物に加硫系を加えてロールミルで混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
【0020】
耐カット性:縦100mm、横100mmおよび高さ40mmの加硫ゴム試験片に、先端の角度が90°、長さ40mmおよび径4mmの針を高さ150mmから荷重29.4Nで落下させ、針の刺さった深さを、標準例を100として、すなわち、次式:(比較例1の針の刺さった深さ)/(他の比較例または実施例の針の刺さった深さ)×100を用いて、指数で表わした。数値が大きいほど、耐カット性が良好である。
発熱性:JIS K6394に準拠して、(株)東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で60℃におけるtanδを測定した。結果は、標準例を100として指数で表わした。指数が大きいほど低発熱性であり、破壊耐久性に優れることを示す。
耐摩耗性:加硫ゴム試験片に対し、JIS K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を使用して、温度20℃、荷重39N、スリップ率30%、時間4分の条件で摩耗量を測定した。結果は、標準例を100として指数で表わした。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
結果を表1に併せて示す。
【0021】
【表1】
【0022】
*1:NR(RSS#3)
*2:SBR−1(日本ゼオン(株)製Nipol 1502、スチレン含量=23.5質量%、ブタジエン中のビニル含量=15.0質量%)
*3:SBR−2(旭化成ケミカルズ製アサプレンE10、スチレン含量=42.1質量%、ブタジエン中のビニル含量=34.5質量%)
*5:SBR−4(日本ゼオン(株)製Nipol NS116、スチレン含量=20.1質量%、ブタジエン中のビニル含量=66.5質量%、分子末端部分にN-アルキル置換アミノケトン基を有する末端変性SBR)
*6:カーボンブラック−1(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN220、窒素吸着比表面積(NSA)=111m/g)
*7:カーボンブラック−2(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN339、窒素吸着比表面積(NSA)=88m/g)
*8:カーボンブラック−3(キャボットジャパン(株)製ショウブラックS118、窒素吸着比表面積(NSA)=135m/g)
*9:シリカ(UNITED SILICA INDUSTRIAL製、ULTRASIL VN-3G、BET比表面積=171m/g)
*10:樹脂−1(ハリマ化成(株)製ハリタックAQ−90A、トール油ロジン)
*11:樹脂−2(ヤスハラケミカル(株)製TO−125、芳香族変性テルペン樹脂、テルペン成分=ジペンテンおよびリモネン、変性芳香族化合物成分=スチレン含有)
*12:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*13:ステアリン酸(日油(株)製)
*14:老化防止剤(住友化学(株)製アンチゲン6C)
*15:シランカップリング剤(エボニックデグッサジャパン(株)製Si69)
*16:オイル(昭和シェル石油(株)製エクストラクト4号S)
*17:硫黄(軽井沢精錬所(株)製油処理硫黄)
*18:加硫促進剤−1(三新化学工業(株)製サンセラーCM−PO)
*19:加硫促進剤−2(三新化学工業(株)製サンセラーD−G)
【0023】
上記の表1から明らかなように、実施例1〜4で調製されたゴム組成物は、特定の組成のジエン系ゴムに特定比表面積を有するカーボンブラック、シリカおよび芳香族変性テルペン樹脂を特定量配合し、フィラー中のカーボンブラックの配合量を特定範囲に設定しているので、標準例に対し、優れた耐カット性、低発熱性、耐摩耗性を示した。
これに対し、比較例1は、芳香族変性テルペン樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性、耐摩耗性が悪化した。
比較例2は、SBRのスチレン含量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例3は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が本発明で規定する下限を下回っているので、耐カット性、耐摩耗性が悪化した。
比較例4は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例5は、窒素吸着比表面積(NSA)が60〜90m/gであるカーボンブラック(B)を配合していないので、発熱性が悪化した。
比較例6は、窒素吸着比表面積(NSA)が60〜90m/gであるカーボンブラック(B)の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例7は、SBRを配合していないので、耐カット性、耐摩耗性が悪化した。
比較例8は、SBRの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例9は、シリカの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性、耐摩耗性が悪化した。
比較例10は、フィラーの合計量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例11は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を配合していないので、発熱性が悪化した。
比較例12は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が本発明で規定する式の上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例13は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が本発明で規定する式の下限未満であるので、発熱性が悪化した。

【手続補正書】
【提出日】2014年7月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のジエン系ゴムに特定比表面積を有するカーボンブラック、シリカおよび芳香族変性テルペン樹脂を特定量配合し、フィラー中のカーボンブラックの配合量を特定範囲に設定することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.スチレン含量が10〜30質量%であるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)10〜50質量部、および、天然ゴムを含むイソプレン系ゴム90〜50質量部からなるジエン系ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を30〜50質量部、
窒素吸着比表面積(NSA)が60/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)を5〜20質量部、
シリカを5〜20質量部、
軟化点が100〜130℃である芳香族変性テルペン樹脂を1〜10質量部配合し、
前記カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤からなるフィラーの合計量が70質量部以下であり、かつ
前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が下記式を満たすことを特徴とする建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
0.55≦(前記カーボンブラック(A)の質量部/前記フィラーの合計質量部)≦0.65
2.前記SBRが、ブタジエン中のビニル含量が60質量%以上であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
3.前記SBRが、分子末端部分に水酸基、N-アルキル置換アミノケトン基またはN-アルキル置換アミノチオケトン基を有する末端変性SBRであることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
4.前記シリカのBET比表面積(ISO5794/1に準拠して測定)が、150〜250m/gであることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
5.前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、35〜45質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
6.前記窒素吸着比表面積(NSA)が60/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
7.前記シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
8.前記芳香族変性テルペン樹脂の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、3〜8質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
9.前記フィラーの合計量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、50〜65質量部であることを特徴とする前記1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
10.前記1に記載のゴム組成物をキャップトレッドに使用した建設車両用空気入りタイヤ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、35〜45質量部がさらに好ましい。
窒素吸着比表面積(NSA)が60/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部がさらに好ましく、8〜10質量部がとくに好ましい。
シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部がさらに好ましい。
芳香族変性テルペン樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、3〜8質量部がさらに好ましい。
カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤の合計量は、50〜65質量部がさらに好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
上記の表1から明らかなように、実施例1〜4で調製されたゴム組成物は、特定の組成のジエン系ゴムに特定比表面積を有するカーボンブラック、シリカおよび芳香族変性テルペン樹脂を特定量配合し、フィラー中のカーボンブラックの配合量を特定範囲に設定しているので、標準例に対し、優れた耐カット性、低発熱性、耐摩耗性を示した。
これに対し、比較例1は、芳香族変性テルペン樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性、耐摩耗性が悪化した。
比較例2は、SBRのスチレン含量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例3は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が本発明で規定する下限を下回っているので、耐カット性、耐摩耗性が悪化した。
比較例4は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例5は、窒素吸着比表面積(NSA)が60/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)を配合していないので、発熱性が悪化した。
比較例6は、窒素吸着比表面積(NSA)が60/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例7は、SBRを配合していないので、耐カット性、耐摩耗性が悪化した。
比較例8は、SBRの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例9は、シリカの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性、耐摩耗性が悪化した。
比較例10は、フィラーの合計量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例11は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を配合していないので、発熱性が悪化した。
比較例12は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が本発明で規定する式の上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例13は、窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が本発明で規定する式の下限未満であるので、発熱性が悪化した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン含量が10〜30質量%であるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)10〜50質量部、および、天然ゴムを含むイソプレン系ゴム90〜50質量部からなるジエン系ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)を30〜50質量部、
窒素吸着比表面積(NSA)が60/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)を5〜20質量部、
シリカを5〜20質量部、
軟化点が100〜130℃である芳香族変性テルペン樹脂を1〜10質量部配合し、
前記カーボンブラック、シリカおよびその他の無機充填剤からなるフィラーの合計量が70質量部以下であり、かつ
前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が下記式を満たすことを特徴とする建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
0.55≦(前記カーボンブラック(A)の質量部/前記フィラーの合計質量部)≦0.65
【請求項2】
前記SBRが、ブタジエン中のビニル含量が60質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記SBRが、分子末端部分に水酸基、N-アルキル置換アミノケトン基またはN-アルキル置換アミノチオケトン基を有する末端変性SBRであることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記シリカのBET比表面積(ISO5794/1に準拠して測定)が、150〜250m/gであることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記窒素吸着比表面積(NSA)が90〜130m/gであるカーボンブラック(A)の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、35〜45質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
前記窒素吸着比表面積(NSA)が60/g以上90m/g未満であるカーボンブラック(B)の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
前記シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜15質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項8】
前記芳香族変性テルペン樹脂の配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、3〜8質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項9】
前記フィラーの合計量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、50〜65質量部であることを特徴とする請求項1に記載の建設車両用タイヤ用ゴム組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のゴム組成物をキャップトレッドに使用した建設車両用空気入りタイヤ。
【国際調査報告】