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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月31日
【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】穿孔機に用いられるプラグ
(51)【国際特許分類】
   B21B 25/00 20060101AFI20151201BHJP
   B21B 19/04 20060101ALI20151201BHJP
   C23C 4/00 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   B21B25/00 A
   B21B19/04
   C23C4/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2013-517507(P2013-517507)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年3月26日
(11)【特許番号】特許第5464300号(P5464300)
(45)【特許公報発行日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-98919(P2012-98919)
(32)【優先日】2012年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-107275(P2012-107275)
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100123906
【弁理士】
【氏名又は名称】竹添 忠
(74)【代理人】
【識別番号】100171767
【弁理士】
【氏名又は名称】吉永 元貴
(72)【発明者】
【氏名】日高 康善
(72)【発明者】
【氏名】東田 泰斗
(72)【発明者】
【氏名】下田 一宗
【テーマコード(参考)】
4K031
【Fターム(参考)】
4K031AA02
4K031AB02
4K031CA03
4K031DA01
4K031DA03
4K031DA04
(57)【要約】
ビレットを穿孔圧延する穿孔機に用いられるプラグの寿命を長くする。プラグ(10)は、ビレット(36)を穿孔圧延する穿孔機(30)に用いられる。プラグ(10)は、プラグ本体(12)と、肉盛層(14)と、溶射皮膜(16)とを備える。肉盛層(14)は、プラグ本体(12)の表面に形成される。溶射皮膜(16)は、プラグ本体(12)の表面のうち、肉盛層(14)の後端からプラグ本体(12)の最大外径の位置までの領域を少なくとも覆う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビレットを穿孔圧延する穿孔機に用いられるプラグであって、
プラグ本体と、
前記プラグ本体の表面に形成される肉盛層と、
前記プラグ本体の表面のうち、前記肉盛層の後端から前記プラグ本体の最大外径の位置までの領域を少なくとも覆う溶射皮膜とを備える、プラグ。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグであって、
前記肉盛層は、前記プラグ本体の先端部分を覆う、プラグ。
【請求項3】
請求項2に記載のプラグであって、
前記プラグ本体は、
前記先端部分を含む第1本体部と、
前記第1本体部の後端よりも大きな外径を有し、前記第1本体部の後端から延びる第2本体部とを備え、
前記肉盛層が、前記第1本体部の表面に形成され、
前記溶射皮膜が、前記第2本体部の表面に形成される、プラグ。
【請求項4】
請求項1に記載のプラグであって、
前記プラグ本体は、
前記プラグ本体の先端部分を含む第1本体部と、
前記第1本体部の後端から延びる第2本体部とを備え、
前記肉盛層が前記第2本体部の表面に形成される、プラグ。
【請求項5】
請求項4に記載のプラグであって、
前記プラグ本体は、
前記第2本体部の後端から延びる第3本体部をさらに備え、
前記第2本体部の先端の外径が、前記第1本体部の後端の外径よりも小さく、
前記第3本体部が、前記第2本体部の後端よりも大きな外径を有し、
前記溶射皮膜が、前記第3本体部の表面に形成される、プラグ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のプラグであって、
前記肉盛層の表面と前記溶射皮膜の表面とが滑らかに繋がっている、プラグ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のプラグであって、
前記肉盛層が炭化物を含有する、プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグに関し、さらに詳しくは、ビレットを穿孔圧延する穿孔機に用いられるプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
穿孔機は、マンネスマン法による継目無鋼管の製造に利用される。穿孔機は、一対の傾斜ロールとプラグとを備える。プラグは、一対の傾斜ロールの間であって、パスライン上に配置される。穿孔機は、傾斜ロールによりビレットを周方向に回転させながらプラグに押し込み、ビレットを穿孔圧延して中空素管にする。
【0003】
穿孔機は、加熱されたビレットを穿孔圧延する。そのため、ビレットに押し込まれるプラグは、高温に晒されるとともに、高い圧力を受ける。したがって、プラグには、溶損や焼付が発生し易い。
【0004】
一般に、プラグの母材表面には、酸化スケールが形成される。酸化スケールは、ビレットからの熱を遮断して溶損の発生を抑制する。酸化スケールは、さらに、焼付の発生を抑制する。
【0005】
しかしながら、酸化スケールは、ビレットを穿孔圧延する度に摩耗する。酸化スケールがなくなると、プラグの母材温度が上昇し、プラグが溶損する。
【0006】
プラグの寿命(使用回数)を向上させるために、酸化スケール以外の被膜をプラグの母材表面に形成することが提案されている。
【0007】
特許第4279350号公報には、鉄線材をアーク溶射して酸化物およびFeで構成される溶射皮膜をプラグの母材表面に形成することが開示されている。
【0008】
また、特許第2776266号公報、特許第3891679号公報及び特開2009−101408号公報参照には、肉盛層をプラグの母材表面に形成することが開示されている。
【発明の開示】
【0009】
しかしながら、近年では、プラグの更なる長寿命化が要求されている。
【0010】
本発明の目的は、ビレットを穿孔圧延する穿孔機に用いられるプラグであって、その寿命が長いプラグを提供することである。
【0011】
本発明の実施の形態によるプラグは、ビレットを穿孔圧延する穿孔機に用いられる。プラグは、プラグ本体と、肉盛層と、溶射皮膜とを備える。肉盛層は、プラグ本体の表面に形成される。溶射皮膜は、プラグ本体の表面のうち、肉盛層の後端からプラグ本体の最大外径の位置までの領域を少なくとも覆う。
【0012】
本発明の実施の形態によるプラグは、寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態によるプラグの縦断面図である。
図2図2は、図1に示すプラグが用いられる穿孔機の構成を示す模式図である。
図3図3は、図2におけるプラグの肉盛層と傾斜ロールのゴージ部との関係を示す模式図である。
図4図4は、本発明の第2の実施の形態によるプラグの縦断面図である。
図5図5は、試験番号12〜18に係るプラグの縦断面図である。
図6図6は、試験番号19,20に係るプラグの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態によるプラグは、ビレットを穿孔圧延する穿孔機に用いられる。プラグは、プラグ本体と、肉盛層と、溶射皮膜とを備える。肉盛層は、プラグ本体の表面に形成される。溶射皮膜は、プラグ本体の表面のうち、肉盛層の後端からプラグ本体の最大外径の位置までの領域を少なくとも覆う。
【0015】
ビレットを穿孔圧延するとき、プラグ本体はビレットに接触する。そのため、プラグ本体は溶損し易い。この溶損し易い部分に、熱間強度の高い肉盛層が設けられる。そのため、プラグ本体の熱間強度が向上する。その結果、プラグ本体が溶損し難くなる。
【0016】
一方、プラグの表面全体に肉盛層が形成されれば、焼付が発生し易くなる。そこで、本実施形態によるプラグでは、プラグ側面に溶射皮膜が形成される。溶射皮膜は、肉盛層よりも優れた耐焼付性を有する。そのため、本実施形態によるプラグは、肉盛層が溶損を抑制し、溶射皮膜が焼付きを抑制する。その結果、プラグの寿命が向上する。
【0017】
好ましくは、肉盛層は、プラグ本体の先端部分を覆う。中実ビレットを穿孔圧延する場合、プラグ本体の先端部分はビレットに接触する。そのため、プラグ本体の先端部分は溶損し易い。この溶損し易い部分が肉盛層で覆われる。その結果、プラグの先端部分が溶損し難くなる。
【0018】
好ましくは、プラグ本体は、第1本体部と、第2本体部とを備える。第1本体部は、先端部分を含む。第2本体部は、第1本体部の後端よりも大きな外径を有し、第1本体部の後端から延びる。肉盛層は、第1本体部の表面に形成される。溶射皮膜は、第2本体部の表面に形成される。
【0019】
この場合、肉盛層を溶射皮膜より厚く形成しても、肉盛層と溶射皮膜との境界に段差が形成され難くなる。
【0020】
好ましくは、プラグ本体は、第1本体部と、第2本体部とを備える。第1本体部は、プラグ本体の先端部分を含む。第2本体部は、第1本体部の後端から延びる。肉盛層は、第2本体部の表面に形成される。
【0021】
この場合、例えば、中空ビレットを穿孔圧延するために用いることができる。
【0022】
好ましくは、プラグ本体は、第3本体部をさらに備える。第3本体部は、第2本体部の後端から延びる。第2本体部の先端の外径は、第1本体部の後端の外径よりも小さい。第3本体部は、第2本体部の後端よりも大きな外径を有する。溶射皮膜は、第3本体部の表面に形成される。
【0023】
この場合、第1本体部と第3本体部との間には、第2本体部の表面によって底面が形成され、プラグ本体の中心軸線周りに延びる凹溝が形成される。この凹溝に肉盛層が配置される。そのため、肉盛層を溶射皮膜より厚くしても、肉盛層と溶射皮膜との境界に段差が形成され難くなる。
【0024】
好ましくは、肉盛層の表面と溶射皮膜の表面とが滑らかに繋がっている。この場合、肉盛層と溶射皮膜との境界に段差が生じないため、穿孔圧延後の中空素管の内面に傷が発生し難くなる。
【0025】
好ましくは、肉盛層が炭化物を含有する。この場合、肉盛層の熱間強度がさらに向上する。
【0026】
以下、本発明の実施の形態によるプラグについて、図面を参照しながら説明する。図中同一又は相当部分には、同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0027】
[実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態によるプラグ10の縦断面図である。プラグ10は、例えば、中実のビレットを穿孔圧延するときに用いられる。図1に示すように、プラグ10は、プラグ本体12と、肉盛層14と、溶射皮膜16とを備える。
【0028】
[プラグ本体]
プラグ本体12は、第1本体部22と、第2本体部24と、後端部26とを備える。
【0029】
第1本体部22は、プラグ本体12の先端部分を含む。第1本体部22の横断面は、円形状である。第1本体部22の外径は、プラグ10の先端から後端に向かって大きくなる。
【0030】
第2本体部24は、第1本体部22の後端よりも大きな外径を有する。第2本体部24は、第1本体部22の後端からプラグ10の軸方向に延びる。
【0031】
第2本体部24の横断面は、円形状であり、第2本体部24の先端の外径は、第1本体部22の後端の外径よりも大きい。第2本体部24は、第1本体部22と同軸に配置される。そのため、第2本体部24と第1本体部22との境界には、段差が形成される。第2本体部24の先端面24FSは、円環形状を有する。
【0032】
第2本体部24の外径は、プラグ10の先端から後端に向かって大きくなる。第2本体部24の後端の外径は、プラグ本体12の最大外径である。
【0033】
後端部26は、第2本体部24の後側で第2本体部24に隣接して設けられる。後端部26の外径は、プラグ10の先端から後端に向かって小さくなる。
【0034】
[プラグ本体の保護膜]
上述のプラグ本体12には、その前部と後部とで異なる保護膜(肉盛層14及び溶射皮膜16)が形成される。
【0035】
[肉盛層]
肉盛層14は、プラグ本体12の表面に形成される。肉盛層14は、少なくともプラグ本体12の先端部分を覆う。図1に示す例では、肉盛層14は、第1本体部22の表面22Sの全体及び第2本体部24の先端面24FSを覆う。肉盛層14は、例えば、プラズマ粉体肉盛溶接(PTA:Plasma Transferred Arc)法、MIG(Metal Inert Gas)溶接法、TIG(Tungsten Insert Gas)溶接法といった周知の肉盛溶接によって形成される。肉盛層14の厚さは、例えば、1mm以上である。肉盛層14の厚さは1〜20mmが好ましく、より好ましくは2〜10mmである。5mmより厚くする場合は、例えば、肉盛層を複数層形成する。各層の厚さは、例えば、2〜5mmである。肉盛層を複数層形成した後、一番上の肉盛層の表面を切削して、目的の厚さに整えればよい。2mmより薄くする場合には、厚さが2mm以上の肉盛層を形成した後、当該肉盛層の表面を切削して、目的の厚さにすればよい。肉盛層14が薄すぎると、熱間強度を向上させる効果が得られにくくなる。肉盛層14が厚すぎると、肉盛層14にクラックが入るおそれがある。また、肉盛層14の形成に時間がかかり、製造コストが高くなる。肉盛層14の厚さは、一定である必要はない。例えば、肉盛層14の先端部が他の部分より厚くてもよい。肉盛層14の後端の外径は、第2本体部24の先端の外径よりも大きい。
【0036】
肉盛層14は、例えば、遷移金属を主成分とする合金である。この合金は、例えば、コバルト(Co)を主成分とし、クロム(Cr)及びタングステン(W)を含む合金(ステライト合金)である。
【0037】
肉盛層14は、遷移金属の炭化物を含んでいてもよい。遷移金属の炭化物は、例えば、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、炭化バナジウム(VC)、炭化クロム(CrC)等である。遷移金属の炭化物は、例えば、20〜50体積%含まれる。遷移金属の炭化物の平均粒径は、例えば、65〜135μmである。
【0038】
[溶射皮膜]
溶射皮膜16は、プラグ本体12の表面のうち、肉盛層14の後端からプラグ本体12の最大外径の位置までの領域を少なくとも覆う。図1に示す例では、溶射皮膜16は、第2本体部24の側面24SS及び後端部26の側面26SSを覆う。溶射皮膜16は、例えば、アーク溶射、プラズマ溶射、フレーム溶射、高速フレーム溶射といった周知の溶射によって形成される。溶射皮膜16の厚さは、例えば、400μm〜800μmである。
【0039】
溶射皮膜16の組成は、特に限定されない。好ましくは、溶射皮膜16は、鉄(Fe)及び鉄酸化物(例えば、FeやFeO等)からなる。この場合、溶射皮膜16は、例えば、鉄線材をアーク溶射することで形成される。溶射皮膜16は、さらに、鉄系酸化物以外の酸化物(例えば、タングステン酸化物(WO))を含んでもよい。
【0040】
好ましくは、鉄及び鉄酸化物からなる溶射皮膜16において鉄酸化物が占める割合は、55〜80体積%である。溶射皮膜16において鉄酸化物が占める割合は、例えば、プラグ本体12側よりも表層側のほうが高い。この場合、溶射皮膜16において鉄酸化物が占める割合は、例えば、プラグ本体12との境界部で40体積%以下であり、表層部で55〜80体積%である。溶射皮膜16において鉄酸化物が占める割合を変化させるには、例えば、アーク溶射装置の溶射ノズルからプラグ本体12までの距離(溶射距離)を変化させればよい。
【0041】
図1に示す例では、溶射皮膜16の先端の外径と、肉盛層14の後端の外径とは同じである。つまり、肉盛層14の表面と溶射皮膜16の表面とが滑らかに繋がっている。
【0042】
[プラグの製造方法]
プラグ10の製造方法の一例を示す。ただし、プラグ10の製造方法は、以下の製造方法に限定されない。
【0043】
先ず、プラグ本体12を準備する。続いて、PTA法により、肉盛層14を第1本体部22の表面22Sに形成する。続いて、溶射皮膜16を形成する領域(第2本体部24の側面24SS及び後端部26の側面26SS)にショットブラストを施す。これにより、表面が荒くなり、溶射皮膜16が付きやすくなる。続いて、鉄線材をアーク溶射することにより、プラグ本体12の側面のうち肉盛層14が形成された領域を除いた領域に溶射皮膜16を形成する。その結果、プラグ10が製造される。
【0044】
図2は、プラグ10を備えた穿孔機30の構成を示す模式図である。穿孔機30において、プラグ10は、芯金34の先端に取り付けられ、一対の傾斜ロール32,32の間であって、且つ、パスラインPL上に配置される。穿孔圧延時、プラグ10は、中実のビレット36に押し込まれ、高温に晒されるとともに、高い圧力を受ける。
【0045】
プラグ10の先端部分は、肉盛層14で覆われている。肉盛層14は、溶射皮膜や酸化スケールよりも高い熱間強度を有する。そのため、ビレット36を穿孔圧延しても、プラグ10の先端部分は溶損し難くなる。
【0046】
さらに、プラグ10の先端部分以外の側面には、溶射皮膜16が形成されている。溶射皮膜は、肉盛層よりも大きな耐焼付性を有する。そのため、プラグ10は、プラグ本体12の表面全体を肉盛層で覆う場合よりも、焼き付き難くなる。
【0047】
上述のように、プラグ10では、肉盛層により先端部分の溶損を抑制し、溶射皮膜により焼付が抑制される。そのため、プラグ10の寿命が長くなる。
【0048】
一般的に、肉盛層は、溶射皮膜よりも厚く形成される。プラグ10では、第1本体部22の後端の外径は、第2本体部24の前端の外径よりも小さい。そのため、肉盛層14の表面と溶射皮膜16の表面との境界に段差が形成されず、プラグ10では、肉盛層14の表面と溶射皮膜16の表面とが滑らかに繋がっている。そのため、ビレット36を穿孔圧延することで得られる中空素管の内面に傷が発生し難い。
【0049】
一般的に、ビレットを穿孔圧延する穿孔機に用いられるプラグは、圧延部と、リーリング部とを備える。圧延部は、肉厚圧下の大部分を受け持つ。リーリング部は、肉厚を平滑に仕上げる。図1に示す例では、第1本体部22及びその表面を覆う肉盛層14が圧延部101と一致し、第2本体部24及びその側面を覆う溶射皮膜16がリーリング部102と一致する。しかしながら、これらは必ずしも一致する必要はない。要するに、肉盛層14は、ビレット36を穿孔圧延するときに溶損しやすい部分に形成すればよい。溶損しやすい部分は、圧延部である。特に溶損しやすい部分は、圧延部の先端部分、および、圧延部において傾斜ロール32のゴージ部321に対向する部分(パスラインPLに直交する方向でゴージ部に対向する部分)である。図3に示すように、一対の傾斜ロール32,32の間隔は、ゴージ部321,321の間(図3中の1点鎖線で示す位置GL)で最も短くなる。一般的には、圧延部においてゴージ部321に対向する位置GLから、パスライン方向に前後数cm(例えば、前後にそれぞれ3cm)の幅WPで溶損が起こりやすい。したがって、肉盛層14は、プラグの先端から位置GLよりも所定距離後方(例えば、3cm)の位置までを少なくとも覆う領域に形成するのが好ましい。なお、肉盛層14は、プラグの焼き付き防止の観点から、リーリング部には形成しないほうが好ましい。
【0050】
図1では、溶射皮膜16は、第2本体部24及び後端部26の表面全体に形成されている。しかしながら、上述のとおり、溶射皮膜16は、肉盛層14の後端からプラグ本体12の最大外径の位置までの領域を少なくとも覆えば足りる。
【0051】
[第2の実施形態]
本発明の実施の形態によるプラグは、肉盛層が本体部の表面に形成されていればよい。その一例を、図4に示す。
【0052】
図4は、本発明の第2の実施形態によるプラグ50を示す。プラグ50は、中空のビレットを穿孔圧延するときに用いられる。つまり、プラグ50は、エロンゲータ(第2穿孔機)に用いられる。換言すれば、プラグ50が用いられる穿孔機には、エロンゲータが含まれる。
【0053】
プラグ50では、プラグ本体12の代わりに、プラグ本体12Aを備える。プラグ本体12Aは、第1本体部22及び第2本体部24の代わりに、第1本体部52、第2本体部54及び第3本体部56を備える。
【0054】
第1本体部52は、プラグ本体12Aの先端部分を含む。第1本体部52の横断面は、円形状である。第1本体部52の外径は、プラグ50の先端から後端に向かって大きくなる。
【0055】
第2本体部54は、第1本体部52の後端からプラグ50の軸方向に延びる。第2本体部54の横断面は、円形状であり、第2本体部54の先端の外径は、第1本体部52の後端の外径よりも小さい。第2本体部54は、第1本体部52と同軸に配置される。そのため、第2本体部54と第1本体部52との境界には、段差が形成される。第1本体部52の後端面52BSは、円環形状を有する。第2本体部54の外径は、プラグ50の先端から後端に向かって大きくなる。
【0056】
第3本体部56は、第2本体部54の後端よりも大きな外径を有する。第3本体部56は、第2本体部54の後端からプラグ50の軸方向に延びる。第3本体部56の横断面は、円形状であり、第3本体部56の先端の外径は、第2本体部54の後端の外径よりも大きい。第3本体部56は、第2本体部54と同軸に配置される。そのため、第3本体部56と第2本体部54との境界には、段差が形成される。第3本体部56の先端面56FSは、円環形状を有する。第3本体部56の外径は、プラグ50の先端から後端に向かって大きくなる。第3本体部56の後端の外径は、プラグ本体12Aの最大外径である。第3本体部56の後側には、第3本体部56に隣接して後端部26が設けられる。
【0057】
第1本体部52と第3本体部56との間には、凹溝58が形成される。凹溝58は、プラグ本体12Aの中心軸線周りで周方向に延びる。凹溝58の底面は、第2本体部54の表面によって形成される。本実施形態では、肉盛層14は凹溝58の底面全体を覆う。肉盛層14は、中空のビレットを穿孔圧延するときにビレットと接触する位置に設けられる。
【0058】
図4に示す例では、溶射皮膜16の先端の外径と、肉盛層14の後端の外径とは同じである。つまり、肉盛層14の表面と溶射皮膜16の表面とが滑らかに繋がっている。溶射皮膜16は、第3本体部56の側面56SSと後端部26の側面26SSとを覆う。
【0059】
図4に示す例では、第1本体部52の後端の外径と、肉盛層14の先端の外径とは同じである。つまり、肉盛層14の表面と第1本体部52の表面とが滑らかに繋がっている。
【0060】
このようなプラグ50においても、肉盛層により溶損を抑制し、溶射皮膜により焼付を抑制する。そのため、プラグ50の寿命が長くなる。
【実施例】
【0061】
表1に示す試験番号1〜20のプラグを準備した。
【0062】
【表1】
【0063】
[プラグ]
表1を参照して、試験番号1〜11のプラグでは、図1に示すとおり、圧延部101に肉盛層が形成され、圧延部101以外の部分(リーリング部102及び逃げ部103)に溶射皮膜が形成された。試験番号2〜6、8〜11の肉盛層は、炭化物(NbC又はWC)を表1に示す含有量で含有した。試験番号1及び7の肉盛層は、炭化物を含有しなかった。試験番号1〜11の肉盛層はいずれも、PTA法により形成された。肉盛層の厚さはいずれも、3.0mmであった。
【0064】
試験番号1〜11の溶射皮膜はいずれも、鉄及び鉄酸化物からなり、鉄ワイヤを同じ条件でアーク溶射することにより形成された。溶射皮膜中の鉄酸化物の含有率は、70%であり、溶射皮膜の厚さはいずれも、400μmであった。
【0065】
試験番号12〜18のプラグでは、図5に示すとおり、後端面を除くプラグ本体201の表面全体に保護皮膜202が形成された。試験番号12〜16では、保護皮膜202は肉盛層であった。これらの肉盛層は、PTA法により形成され、厚さはいずれも3.0mmであった。
【0066】
試験番号17及び18では、保護皮膜202は溶射皮膜であった。溶射皮膜は試験番号1〜11の溶射皮膜と同じ方法で形成され、鉄及び鉄酸化物からなり、鉄酸化物の含有率、溶射皮膜の厚さはいずれも試験番号1〜11と同じであった。
【0067】
試験番号19及び20では、図6に示すとおり、後端面を除くプラグ本体301の表面全体に酸化スケール302が形成された。試験番号19の酸化スケールの厚さは1000μmであり、試験番号20の酸化スケールの厚さは500μmであった。
【0068】
[試験方法]
試験番号1〜20のプラグを用いて、複数のビレットを穿孔圧延した。各ビレットは、JIS規格のSUS310Sに相当する化学組成を有し、直径は70mmであり、長さは100mmであった。
【0069】
ビレットを1本圧延するごとに、プラグ表面を目視観察し、溶損、焼付きの有無を確認した。n本目(nは自然数)の圧延後にプラグ表面に溶損又は焼付きが発生した場合、n−1本を、そのプラグが圧延可能なビレット本数(以下、パス回数という)と定義した。なお、n本目の穿孔圧延途中でプラグがビレットに焼き付いて貫通しなかった場合、パス回数はn−1回と定義した。
【0070】
[試験結果]
表1に試験結果を示す。
【0071】
試験番号1〜11では、パス回数が6回以上と多かった。特に、試験番号2〜6、8〜11では、肉盛層中の炭化物含有量が20〜50%であった。そのため、炭化物を含有しない試験番号1及び7と比較して、パス回数が多かった。さらに、試験番号3、4、6、9及び11では、肉盛層中の炭化物含有量が35〜50%であった。そのため、炭化物含有量が35%未満である試験番号2、5、8及び10と比較して、パス回数が多かった。なお、試験番号1〜11では、いずれも、肉盛層にクラックが発生したため、試験を終了した。
【0072】
一方、試験番号12〜16では、パス回数が2回以下と低かった。これらの試験番号では、プラグ本体全体に肉盛層が形成されたため、表1に記載のパス回数を超えると、穿孔圧延中にプラグがビレットに焼き付いて貫通しなかった。
【0073】
試験番号17〜20では、パス回数が3回以下と低かった。これらの試験番号では、プラグ本体全体に溶射皮膜又は酸化スケールが形成された。そのため、プラグの先端部分が溶損した。
【0074】
以上、本発明の実施形態について、詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施形態によって、何等、限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6

【手続補正書】
【提出日】2013年9月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビレットを穿孔圧延する穿孔機に用いられるプラグであって、
プラグ本体と、
前記プラグ本体の表面に肉盛溶接によって形成され、遷移金属を主成分とする合金を含有する肉盛層と、
前記プラグ本体の表面のうち、前記肉盛層の後端から前記プラグ本体の最大外径の位置までの領域を少なくとも覆う溶射皮膜とを備える、プラグ。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグであって、
前記肉盛層は、前記プラグ本体の先端部分を覆う、プラグ。
【請求項3】
請求項2に記載のプラグであって、
前記プラグ本体は、
前記先端部分を含む第1本体部と、
前記第1本体部の後端よりも大きな外径を有し、前記第1本体部の後端から延びる第2本体部とを備え、
前記肉盛層が、前記第1本体部の表面に形成され、
前記溶射皮膜が、前記第2本体部の表面に形成される、プラグ。
【請求項4】
請求項1に記載のプラグであって、
前記プラグ本体は、
前記プラグ本体の先端部分を含む第1本体部と、
前記第1本体部の後端から延びる第2本体部とを備え、
前記肉盛層が前記第2本体部の表面に形成される、プラグ。
【請求項5】
請求項4に記載のプラグであって、
前記プラグ本体は、
前記第2本体部の後端から延びる第3本体部をさらに備え、
前記第2本体部の先端の外径が、前記第1本体部の後端の外径よりも小さく、
前記第3本体部が、前記第2本体部の後端よりも大きな外径を有し、
前記溶射皮膜が、前記第3本体部の表面に形成される、プラグ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のプラグであって、
前記肉盛層の表面と前記溶射皮膜の表面とが滑らかに繋がっている、プラグ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のプラグであって、
前記肉盛層がさらに、遷移金属の炭化物を含有する、プラグ。
【国際調査報告】