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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月31日
【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】圧延装置および圧延監視方法
(51)【国際特許分類】
   B21C 51/00 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   B21C51/00 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2013-538393(P2013-538393)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年4月23日
(11)【特許番号】特許第5429433号(P5429433)
(45)【特許公報発行日】2014年2月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-99124(P2012-99124)
(32)【優先日】2012年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健作
(72)【発明者】
【氏名】木之本 剛
(72)【発明者】
【氏名】小野 源治
(72)【発明者】
【氏名】和泉 亮
(72)【発明者】
【氏名】立石 康博
(72)【発明者】
【氏名】狩野 竜一
(57)【要約】
圧延スタンドに噛み込まれる鋼板の挙動等の圧延状況を認識でき、安定して圧延作業を行うことが可能な圧延装置を提供する。
圧延装置(10)は、一対の圧延ロール(12)を備えた複数の圧延スタンド(11)と、隣接する圧延スタンド(11A、11B)間に配置され、圧延方向下流側に位置する記圧延スタンド(11A)の上流側から圧延スタンド(11B)の一対の圧延ロール(12B)に噛み込まれる鋼板(1)を撮像する撮像手段(15)と、を備え、撮像手段(15)は、圧延スタンド(11B)の圧延方向(Z)上流側において鋼板(1)の通過可能領域(P)の板幅方向中央部分に、下記式1の関係を満たすように配置される。
2×L×tan(α/2)>Wmax ・・・(1)
ここで、Lは圧延方向下流側に位置する圧延スタンド(11B)と撮像手段(15)との圧延方向距離であり、αは撮像手段の水平視野角であり、Wmaxは鋼板(1)の最大幅である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の圧延ロールを備えた複数の圧延スタンドと、
隣接する前記圧延スタンド間に配置され、圧延方向下流側に位置する前記圧延スタンドの上流側から当該圧延スタンドの前記一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板を撮像する撮像手段と、
を備え、
前記撮像手段は、前記圧延方向下流側に位置する圧延スタンドの圧延方向上流側において、前記鋼板の通過可能領域の板幅方向中央部分に、下記式1の関係を満たすように配置される、圧延装置。
2×L×tan(α/2)>Wmax ・・・(1)
ここで、Lは、前記圧延方向下流側に位置する圧延スタンドと前記撮像手段との圧延方向距離であり、αは前記撮像手段の水平視野角であり、Wmaxは前記鋼板の最大幅である。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記通過可能領域の板幅方向中心から前記板幅方向に0.5mの範囲内に配置される、請求項1に記載の圧延装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記鋼板の圧延方向に対して傾斜角度θで前記一対の圧延ロールに噛み込まれる前記鋼板を撮像する高さ位置に配置されており、当該傾斜角度θは20°以下である、請求項1または2に記載の圧延装置。
【請求項4】
前記撮像手段の水平視野角αは50°以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧延装置。
【請求項5】
一対の圧延ロールを備えた複数の圧延スタンドによって圧延される鋼板の圧延状況を監視する圧延監視方法であって、
隣接する前記圧延スタンド間に配置され、圧延方向下流側に位置する前記圧延スタンドの圧延方向上流側において、前記鋼板の通過可能領域の板幅方向中央部分に、下記式1の関係を満たすように配置された撮像手段によって、前記圧延方向下流側に位置する圧延スタンドの前記一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板を撮像し、
前記撮像手段により撮像し取得された、前記一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板の映像を、表示装置に表示させる、圧延監視方法。
2×L×tan(α/2)>Wmax ・・・(1)
ここで、Lは前記圧延方向下流側に位置する圧延スタンドと前記撮像手段との圧延方向距離であり、αは前記撮像手段の水平視野角であり、Wmaxは前記鋼板の最大幅である。
【請求項6】
前記鋼板の映像を画像解析し、
前記画像解析により前記鋼板の特定の圧延状況を検知する検知条件を満たすと判定したとき、警報を発する、請求項5に記載の圧延監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延される鋼板の挙動等を監視して安定した圧延を実施する圧延装置および鋼板の圧延監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一対の圧延ロールを備えた圧延スタンドによって鋼板を圧延する場合、鋼板の通過位置が、圧延ロールの幅方向で変動する「蛇行」が生じることがある。圧延スタンドの入側には、鋼板の幅方向位置を案内するサイドガイドが配設されており、鋼板が大きく蛇行した場合には、鋼板がサイドガイドに接触してしまうことがあった。
【0003】
鋼板とサイドガイドとが接触した場合には、鋼板の一部が破片となって飛散し、その破片が鋼板に押し込まれ、鋼板に欠陥が生じるおそれがあった。また、前述の破片が圧延ロールに押し込まれ、ロール表面に疵が生じた場合には、その後圧延される鋼板に対してロール疵が転写されてしまうおそれがあった。この場合、圧延ロールを交換する必要があり、圧延作業を効率的に行うことができなくなるといった問題もあった。
【0004】
そこで、従来、例えば特許文献1、2に示すように、鋼板の蛇行を測定して制御する方法が提案されている。特許文献1には、圧延スタンドの幅方向の圧延荷重差に基づいて蛇行を検出し、ロールギャップの調整等を行う方法が提案されている。また、特許文献2には、圧延方向に並べられた複数の圧延スタンドを有する熱延鋼板の仕上圧延機において、圧延スタンド間を通過する鋼板を撮像装置によって撮像し、鋼板の蛇行量を測定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−042615号公報
【特許文献2】特開2004−141956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1においては、圧延ロールの幅方向の荷重差に基づいて蛇行量を計算していることから、圧延ロール自体の形状や板自体の幅方向厚み分布等の影響が大きく、蛇行量を精度良く検知することができなかった。また、特許文献2においては、圧延スタンド間を通過する鋼板を撮像装置によって撮像していることから、圧延スタンド間における蛇行量を測定することができるものの、圧延スタンドに噛み込まれる位置における蛇行量を測定することはできなかった。
【0007】
さらに、圧延スタンドの入側では、鋼板が幅方向に蛇行するのみでなく、厚さ方向にも変動して、鋼板が変形することがある。特許文献1、2に記載した技術では、このような鋼板の変形を十分に評価することができなかった。このため、圧延スタンドに設けられたサイドガイドと鋼板との接触を確実に防止することができず、鋼板の圧延を安定して行うことができなかった。
【0008】
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、オペレータが圧延スタンドに噛み込まれる鋼板の挙動等の圧延状況を認識できるようにし、安定して圧延作業を行うことが可能な圧延装置および鋼板の圧延監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る圧延装置は、一対の圧延ロールを備えた複数の圧延スタンドと、隣接する前記圧延スタンド間に配置され、圧延方向下流側に位置する前記圧延スタンドの圧延方向上流側から当該圧延スタンドの前記一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板を撮像する撮像手段と、を備え、前記撮像手段は、前記圧延方向下流側に位置する圧延スタンドの圧延方向上流側において、前記鋼板の通過可能領域の板幅方向中央部分に、下記式1を満たすように配置される。
2×L×tan(α/2)>Wmax ・・・(1)
ここで、Lは前記圧延スタンドと前記撮像手段との圧延方向距離であり、αは前記撮像手段の水平視野角であり、Wmaxは前記鋼板の最大幅である。
【0010】
上記構成の圧延装置は、前記一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板を撮像する撮像手段を備える。オペレータは、撮像手段により取得された映像から圧延スタンドに噛み込まれる位置において鋼板が蛇行したり変形したりしていることを認識できる。このように、映像から鋼板の挙動等の圧延状況を把握することが可能となる。そして、オペレータは、認識した鋼板の圧延状況に基づき、例えば圧延スタンドに設けられたサイドガイドと鋼板との接触を抑制する操作を行うことができる。また、前記撮像手段を上記範囲に配置することで、一台の撮像手段によって、前記一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板を撮像することができる。このような圧延装置を用いることで、鋼板の蛇行制御及び形状制御を安定して実施することができ、高品質な圧延鋼板を製造することが可能となる。
【0011】
ここで、前記撮像手段は、前記通過可能領域の板幅方向中心から板幅方向に0.5mの範囲内に配置されてもよい。撮像手段を上記範囲に配置することで、一台の撮像手段によって、前記一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板を撮像することが可能となる。オペレータは撮像手段により取得された映像から一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板の挙動を確実に把握することができ、鋼板の挙動を直感的に把握することができる。
【0012】
また、前記撮像手段は、前記鋼板の圧延方向に対して傾斜角度θで前記一対の圧延ロールに噛み込まれる前記鋼板を撮像する高さ方向に配置されており、当該傾斜角度θは20°以下であってもよい。撮像手段を上記位置に配置することで、前記一対の圧延ロールに噛み込まれる前記鋼板を撮像することが可能となる。オペレータは撮像手段により取得された映像から一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板の挙動を精度良く把握することができる。
【0013】
さらに、前記撮像手段の水平視野角αは50°以下であってもよい。このような撮像手段を用いることで、撮像した映像の歪みが少なくなり、取得された映像から前記一対の圧延ロールに噛み込まれる前記鋼板の挙動を精度良く把握することができる。
【0014】
本発明の鋼板の圧延監視方法は、一対の圧延ロールを備えた複数の圧延スタンドによって圧延される鋼板の圧延状況を監視する鋼板の圧延監視方法であって、隣接する前記圧延スタンド間に配置され、圧延方向下流側に位置する前記圧延スタンドの圧延方向上流側において、前記鋼板の通過可能領域の板幅方向中央部分に、下記式1を満たすように配置された撮像手段によって、前記一対の圧延ロールに噛み込まれる鋼板を撮像し、
前記撮像手段により撮像し取得された、前記一対の圧延ロールに噛み込まれる前記鋼板の映像を、表示装置に表示させる。
2×L×tan(α/2)>Wmax ・・・(1)
ここで、Lは前記圧延スタンドと前記撮像手段との圧延方向距離であり、αは前記撮像手段の水平視野角であり、Wmaxは前記鋼板の最大幅である。
【0015】
この構成の鋼板の圧延監視方法によれば、前記撮像手段によって、前記一対の圧延ロールに噛み込まれる前記鋼板が撮像される。オペレータは、撮像手段によって取得された映像から鋼板の圧延状況を把握することができ、鋼板の蛇行や変形に応じて圧延条件を調整することができ、鋼板の圧延作業を安定して実施することができる。
【0016】
また、上記圧延監視方法では、鋼板の映像を画像解析し、画像解析により鋼板の特定の圧延状況を検知する検知条件を満たすと判定したとき、警報を発してもよい。撮影された映像を画像解析して鋼板の特定の圧延状況を自動検知可能とすることで、オペレータの監視負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、オペレータが圧延スタンドに噛み込まれる鋼板の挙動等の圧延状況を認識できるようにし、安定して圧延作業を行うことが可能な圧延装置および鋼板の圧延監視方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る圧延装置の側面説明図である。
図2】同実施形態に係る圧延装置の上面説明図である。
図3】同実施形態に係る圧延装置に備えられた撮像カメラユニットの概略説明図である。
図4】同実施形態に係る圧延装置に備えられた撮像カメラユニットによって撮像される映像の概略説明図である。
図5】同実施形態に係る撮像カメラユニットによって撮像された映像を用いて監視される鋼板の挙動の一例を示す概略説明図であって、鋼板のボトム部が折れ曲がった状態を示す。
図6】同実施形態に係る撮像カメラユニットによって撮像された映像を用いて監視される鋼板の挙動の他の一例を示す概略説明図であって、鋼板がサイドガイドに接触した状態を示す。
図7】同実施形態に係る撮像カメラユニットによって撮像された映像を用いて鋼板の板尖り形状が監視される例を示す概略説明図である。
図8】同実施形態に係る撮像カメラユニットによって撮像された映像を用いて鋼板の穴開き予兆が監視される例を示す概略説明図である。
図9】同実施形態に係る撮像カメラユニットによって撮像された映像を用いて設備トラブルによる水漏れが監視される例を示す概略説明図である。
図10図9に示す状況を表す圧延装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態である圧延装置および鋼板の圧延監視方法について、添付した図面を参照して説明する。本実施形態である圧延装置10及び鋼板の圧延監視方法は、鋼板1の熱間圧延ラインにおける仕上圧延工程で用いられるものである。
【0020】
この圧延装置10は、圧延方向Zに直列に配列された複数の圧延スタンド11から構成とされている。図1及び図2には、複数の圧延スタンド11のうち隣接する2つの圧延スタンド11A、11Bを示している。圧延スタンド11(11A、11B)は、上下に配設された一対の圧延ロール12(12A、12B)を備えており、圧延スタンド11(11A、11B)の入側には、通過する鋼板1の幅方向位置を案内するサイドガイド13(13A、13B)が配設されている。
【0021】
そして、上述の2つの圧延スタンド11A、11Bの間には、圧延方向Z下流側に位置する圧延スタンド11Bを撮像する撮像手段として撮像カメラユニット15が配設されている。この撮像カメラユニット15は、上述した圧延スタンド11Bの圧延方向Z上流側に位置しており、この圧延スタンド11Bの一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像する。
【0022】
ここで、撮像カメラユニット15は、図2に示すように、圧延スタンド11Bの圧延方向Z上流側において鋼板1が通過する通過可能領域Pの板幅方向中央部部分に設けられる。なお、この通過可能領域Pの板幅方向中央部分は、図2に示すように、例えば通過可能領域Pの板幅方向中心Cから板幅方向に0.5mの範囲としてもよい。
【0023】
また、撮像カメラユニット15は、下記式(1)の関係を満たすように配置される。
2×L×tan(α/2)>Wmax ・・・(1)
ここで、Lは圧延スタンド11B(圧延ロール12Bのロール中心)と撮像カメラユニット15との圧延方向Z距離であり、αは撮像カメラユニット15の水平視野角であり、Wmaxは鋼板1の最大幅である。
【0024】
撮像カメラユニット15の水平視野角αは、例えば50°以下としてもよい。本実施形態では、撮像カメラユニット15の水平視野角αは50°に設定されている。
【0025】
さらに、撮像カメラユニット15は、図1に示すように、鋼板1の圧延方向Zに対して傾斜角度θで、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像する高さ位置に配置される。傾斜角度θは、例えば20°以下としてもよい。本実施形態では、鋼板1の圧延方向Zは水平方向である。したがって、撮像カメラユニット15の鋼板1の通過位置からの高さHは、下記式(2)で表される。
H=L×tanθ ・・・(2)
【0026】
また、撮像カメラユニット15は、図1に示すように、圧延方向Zに隣接する2つの圧延スタンド11A、11Bの間に配置される。ここで、圧延スタンド11A、11B間の距離をL、圧延ロール12の直径をRとする。このとき、撮像カメラユニット15は、圧延方向Z上流側の圧延スタンド11Aより圧延方向Z下流側に2R離れた位置からL/2離れた位置までの間に配置してもよい。撮像カメラユニット15をかかる範囲より圧延方向Z上流側の圧延スタンド11Aに近づけて配置すると、圧延スタンド11Aに接触する等配置が困難である。また、撮像カメラユニット15をかかる範囲より圧延方向Z下流側の圧延スタンド11Bに近づけて配置すると、鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込む部分を撮像範囲内に含めるのが困難となる。
【0027】
以上より、図1および図2に示すように、撮像カメラユニット15は上記範囲で規定される設置領域S内に配置されることが望ましい。撮像カメラユニット15を設置領域S内に配置することで、少なくとも鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込む部分が撮像範囲内に含まれる映像を取得することができる。さらに、撮像カメラユニット15を、鋼板1の噛み込み部分に加えてサイドガイド13Bを含む範囲m1が映像に含まれるように配置するとよい。このように配置された撮像カメラユニット15により取得された映像から、オペレータは、圧延装置10における圧延時の鋼板1の挙動や圧延装置10の設備トラブル等、様々な圧延状況を認識することが可能となる。
【0028】
なお、撮像カメラユニット15は、圧延装置10に少なくとも1つ配置されていればよい。このとき、複数の圧延スタンド11のうち圧延方向Z最下流に位置する圧延スタンド11の一対の圧延ロール12に鋼板1が噛み込む部分を撮像可能な位置に撮像カメラユニット15を設けるのがよい。また、複数の圧延スタンド11間にそれぞれ撮像カメラユニット15を配置すると、各撮像カメラユニット15によって撮像された映像の比較や解析ができる。これにより、各圧延スタンド11での圧延状況や圧延される鋼板1の変化等も認識できる。
【0029】
次に、図3に基づいて、本実施形態である圧延装置10に備えられた撮像カメラユニット15について説明する。鋼板1を圧延する熱間圧延ラインの環境は、粉塵、蒸気等が多く発生し、熱負荷も大きい。そこで、撮像カメラユニット15には、過酷な環境下においても作動し得る耐久性が要求される。
【0030】
本実施形態に係る撮像カメラユニット15は、図3に示すように、ケース本体部20と、ケースレンズ部30と、カメラ本体16と、ケース本体部20に対してエアを供給するエア供給部18と、を備える。
【0031】
ケース本体部20は、カメラ本体16を固定する固定部21と、カメラ本体16の前方に配置されたカメラ窓部22と、カメラ本体16の配線が挿通される挿通孔23と、を備える。ここで、固定部21は、カメラ本体16が振動等によって位置ズレしないように、カメラ本体16を強固に固定可能に構成されている。また、ケース本体部20は、耐久性向上の観点から、例えばステンレス鋼からなり、その肉厚は1cm以上である。なお、ケース本体部20において、挿通孔23を通るケーブルの加熱防止のため、1つの開口をエア供給部18かつ挿通孔23として共通して使用する場合もある。
【0032】
ケースレンズ部30は、ケース本体部20に対して着脱可能に連結されるフランジ部31と、ケース本体部20のカメラ窓部22に連通するレンズ孔部32と、このレンズ孔部32内に配設されたレンズ33と、を備える。なお、このケースレンズ部30に対しても、エアが供給される。
【0033】
この撮像カメラユニット15は、カメラ本体16により、レンズ33、レンズ孔部32及びカメラ窓部22を介して、圧延スタンド11Bに噛み込まれる鋼板1を撮像する。
【0034】
上述のような構成の圧延装置10は、圧延方向Z上流側から圧延方向Z下流側に向かって鋼板1を走行させ、複数の圧延スタンド11において鋼板1を圧延する。このとき、上述のように隣接する圧延スタンド11間に配設された撮像カメラユニット15により、圧延方向Z下流側の圧延スタンド11の一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像する。撮像カメラユニット15により撮像された映像は、表示装置(図示せず。)に表示される。オペレータは、表示装置に表示された映像を見ながら鋼板1の挙動を監視する。
【0035】
表示装置に表示される映像の一例を図4に示す。表示装置には、例えば図4の表示領域M内の部分が表示される。撮像カメラユニット15により撮像される映像には、走行する鋼板1が通過する一対の圧延ロール12Bの噛み込み部分と、当該一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1と、鋼板1の板幅方向両側に配置されたサイドガイド13Bとが表示される。すなわち、撮像カメラユニット15は、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1とサイドガイド13Bとの位置関係が把握できるような映像を撮像可能な位置に配置されている。
【0036】
オペレータは、この撮像カメラユニット15により取得された映像から、鋼板1の蛇行、変形を把握し、上流側の圧延スタンド11Aのレベリング設定、ベンダーの設定、サイドガイド13A、13Bの設定等を調整する。このようにして、鋼板1の仕上圧延が実施される。
【0037】
撮像カメラユニット15により取得された映像より、オペレータは、例えば以下のような鋼板1の挙動を把握することができる。
【0038】
[利用例1]
熱間圧延ラインを走行する鋼板1が蛇行すると、鋼板1のボトム部において、例えば図5に示すように、鋼板1が板幅方向の一端がサイドガイド13Bに接触して折れ曲がり、局所的に重なりながら圧延ロール12Bに噛み込まれることがある。この現象を絞りという。このような現象が発生すると、圧延ロール12Bに疵がつくためロール組替が必要となり、操業が休止される。
【0039】
従来、サイドガイド13Bから一対の圧延ロール12Bが対向している鋼板1の噛み込み部分内における鋼板1の走行状態は、直接監視できる手段がなかったため把握できなかった。このため、従来は、例えばルーパーに設けられたロードセルに対する板幅方向の荷重差や、圧延スタンド11Bに設けられたロードセルに対する板幅方向の荷重差に基づいて、鋼板1が蛇行していないか判断されていた。あるいは、走行する鋼板1を側方あるいは上方から撮像手段により撮像した映像に基づいて、鋼板1が蛇行していないか判断されていた。
【0040】
しかし、ルーパーのロードセルの荷重差から鋼板1の蛇行の絶対量は取得できない。また、鋼板1の尾端が通過する場合等、鋼板1がルーパーから離れた場合には、当該ロードセルの荷重差を取得できないため、鋼板1の蛇行を判定できない。一方、圧延スタンド11Bのロードセルの荷重差を用いた場合には、その荷重差が鋼板1の蛇行とウェッジ(板幅方向の板厚差)とのいずれに起因するものかを切り分けることができない。
【0041】
また、鋼板1を側方あるいは上方から撮像した映像を用いた場合、鋼板1を上方から撮像可能な範囲は、例えば図2の範囲m0のように隣接する圧延スタンド11A、11B間を走行する鋼板1を撮像する範囲である。鋼板1を側方から撮像する場合も、圧延ロール12Bの鋼板1の噛み込み部分を撮像可能な位置に撮像手段を配置するのは困難であるため、取得される映像は圧延スタンド11A、11B間を走行する鋼板1を撮像した映像となる。このため、鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる噛み込み部分は映像には含まれない。したがって、これらの映像から一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1の挙動が推定され、推定に基づき鋼板1が蛇行しているか判断される。しかし、推定された鋼板1の挙動と実際の鋼板1の挙動とは誤差もあり、鋼板1の蛇行を正確に把握できないこともある。
【0042】
これに対して、本実施形態に係る圧延装置10のように撮像カメラユニット15を配置することにより、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像できる。したがって、撮像された映像には実際に鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる部分が含まれており、オペレータは映像に基づきその鋼板1の挙動を正確に把握することができる。例えば図5に示すように、鋼板1がサイドガイド13Bの設置位置に進入し、板幅方向の一端がサイドガイド13Bに接触して座屈し、折れ曲がりながら一対の圧延ロール12Bに噛み込まれていく挙動を確認することもできる。このような挙動は、サイドガイド13Bに対して圧延方向Z上流側の範囲を撮像した映像からは推定困難な挙動である。
【0043】
[利用例2]
熱間圧延ラインを走行する鋼板1が蛇行すると、鋼板1のトップ部、ミドル部およびボトム部のいずれの部位においても、例えば図6に示すような、鋼板1が板幅方向の一端がサイドガイド13Bに接触することがある。鋼板1とサイドガイド13Bとが接触すると鋼板1の破片が飛び散る。飛び散った破片が鋼板1とともに一対の圧延ロール12Bにより圧延されると、鋼板1に飛び込み疵が生じてしまう。
【0044】
従来、鋼板1とサイドガイド13Bとの接触は、走行する鋼板1を側方あるいは上方から撮像手段により撮像した映像に基づいて判断されていた。しかし、撮像手段は、隣接する圧延スタンド11A、11B間であってサイドガイド13Bに対して圧延方向Z上流側にしか配置できない。このため、鋼板1がサイドガイド13Bの間を通過する部分は映像には含まれない。したがって、これらの映像からサイドガイド13Bに対する鋼板1の挙動が推定され、推定に基づき鋼板1がサイドガイド13Bに接触度合が判断される。しかし、推定された鋼板1の挙動と実際の鋼板1の挙動とは誤差もあり、サイドガイド13Bに対する鋼板1の接触度合を正確に把握できないこともある。
【0045】
これに対して、本実施形態に係る圧延装置10のように撮像カメラユニット15を配置することにより、サイドガイド13Bの間を通過する鋼板1を撮像できる。したがって、撮像された映像には実際に鋼板1がサイドガイド13Bの間を通過する部分が含まれており、オペレータは映像に基づきその鋼板1の挙動を正確に把握することができる。例えば図6に示すように、鋼板1がサイドガイド13Bの設置位置に進入した際に、板幅方向の一端がサイドガイド13Bに接触して破板が火花を伴って飛び散る様子を鮮明に視認できる。このような挙動は、サイドガイド13Bに対して圧延方向Z上流側の範囲を撮像した映像からは推定困難な挙動である。
【0046】
なお、この鋼板1の火花の発生は、撮像カメラユニット15により撮影された映像を画像解析して自動認識することが望ましい。通常、撮影された映像では、鋼板1の通過可能領域以外の部分は温度が低いため黒色で表示される。このため、火花が発生するとその黒色部分に火花が赤色のスポットとして現れる。この赤色のスポットを画像解析して検出することで、火花の発生を自動認識することができる。すなわち、映像中の赤色のスポットが鋼板1の火花発生を検知するための検知条件となる。
【0047】
撮像カメラユニット15により撮像された映像の画像解析は、例えば映像を解析して鋼板1の圧延状況を監視する監視装置(図示せず。)により行われる。監視装置により監視される鋼板1の圧延状況には、圧延装置10における圧延時の鋼板1の挙動や圧延装置10の設備トラブル等、様々な状況が含まれる。監視装置は、例えばコンピュータにより実現され、コンピュータが備えるCPUが画像解析プログラムを実行することにより、コンピュータは監視装置として機能する。画像解析プログラムは、コンピュータが備える記憶装置に格納されていてもよく、コンピュータで読み取り可能な磁気ディスクや光ディスク等の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0048】
監視装置は、例えば撮像カメラユニット15により撮像された映像を解析し、映像中の赤色のスポットの発生を検出したとき、オペレータに対して警報を発する。警報は、例えば表示装置に警報内容を表示させて通知してもよく、スピーカ等の音声出力装置(図示せず。)等を用いて音声で通知してもよい。オペレータは、監視装置からの警告を受けて、鋼板1の圧延装置10における圧延状況を確認し、必要に応じて設定等を調整してもよい。このように、撮影された映像を画像解析して鋼板1の特定の挙動、例えば鋼板1の火花発生を自動検知可能とすることで、オペレータの監視負荷を軽減することができる。
【0049】
[利用例3]
通常、鋼板1のトップ部あるいはボトム部の板尖り形状に異常があると、板尖り形状が異常である部位の圧延スタンド11への通板が不安定となる。板尖り形状に異常がある場合には、フィッシュテール、タン、片尖り等の形状に応じて適切なレベリング操作やベンダー操作が必要となる。このため、鋼板1の板尖り形状を正確に認識できることが要求されている。
【0050】
従来、鋼板1の板尖り形状は、走行する鋼板1を側方あるいは上方から撮像手段により撮像した映像に基づいて判断されていた。しかし、鋼板1は高速に走行しているため、撮像手段により撮像された映像を目視して走行する鋼板1の板尖り形状を認識するのは難しい。
【0051】
そこで、本実施形態に係る圧延装置10のように撮像カメラユニット15を配置することにより、鋼板1の板尖り形状を認識しやすい映像を撮像できる。すなわち、撮像カメラユニット15は、鋼板1の圧延方向Zに対して傾斜角度θで、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像する高さ位置に配置されている。傾斜角度θは20°以下である。例えば傾斜角度θが20°である場合、撮像カメラユニット15により撮像された映像での鋼板1の通板速度は、実際の鋼板1の通板速度の約0.34倍(すなわち、sin20°倍)となる。
【0052】
したがって、例えば図7に示すように鋼板1を斜め上方から撮像した映像を監視するオペレータには、鋼板1は実際の鋼板1の通板速度より遅く走行しているように見えるため、鋼板1の板尖り形状を認識しやすくなる。これにより、オペレータは、板尖り形状を正確に認識できるようになり、鋼板1のトップ部およびボトム部におけるレベリング操作やベンダー操作を容易に行うことができる。
【0053】
[利用例4]
通板中の鋼板1に穴が開くと、仕上半成等の重大なトラブルにつながる。このようなトラブルによる被害を最小化するため、鋼板1の穴が開きそうな部分もしくは穴が開いた部分を早期に検出可能にすることが求められている。
【0054】
鋼板1の穴が開いた部分は他の部分より温度が低い。このため、これらの色は異なっている。従来は、この色の違いを利用して、走行する鋼板1を側方あるいは上方から撮像手段により撮像した映像に基づいて鋼板1の穴開き部分が判断されていた。しかし、このような判断に基づいて鋼板1に穴が検出されたときには、既に修復困難である場合が多かった。
【0055】
一方、実施形態に係る圧延装置10のように撮像カメラユニット15を配置することにより、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像できる。本願発明者らは、撮像カメラユニット15により撮像された映像から、例えば図8に示すように、鋼板1に穴が開く前に、鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる部分から水が噴き出している現象が生じていることを見出した。かかる知見より、オペレータは、鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる部分付近を注視して映像を監視することで、鋼板1に穴が開く予兆を検知できる。鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる部分から水が噴き出す気配を察知したオペレータは、早期にレベリング操作やベンダー操作を行うことで鋼板1の穴開きを防止することができる。
【0056】
なお、この鋼板1の穴開きによる水の噴き出しの発生は、撮像カメラユニット15により撮影された映像を画像解析して自動認識することが望ましい。鋼板1の穴が開いた部分は他の部分より温度が低い。そこで、撮像カメラユニット15により撮像された映像を画像解析し、赤色の鋼板1において黒色化した部分を映像から特定することで、鋼板1の穴開き部分を自動認識できる。映像の画像解析は、上述の監視装置(図示せず。)により行うことができる。
【0057】
監視装置は、例えば撮像カメラユニット15により撮像された映像を解析し、映像中の鋼板1部分から黒色化領域を特定する。そして、監視装置は、単位面積当たりの黒色化領域の面積を算出する。単位面積当たりの黒色化領域の面積が所定の閾値を超えたとき、監視装置は鋼板1からの水の噴き出しが発生していると判定し、オペレータに対して警報を発する。すなわち、映像中の黒色領域の割合が鋼板1の穴開きを検知するための検知条件となる。このように、撮影された映像を画像解析して鋼板1の圧延状況、例えば鋼板1の穴開きによる水の噴き出しを自動検知可能とすることで、オペレータの監視負荷を軽減することができる。
【0058】
[利用例5]
圧延装置10では、装置内配管の故障等の設備トラブルによって水漏れが発生する場合がある。漏れた水が例えば図9に示すように鋼板1上にかかってしまうと、鋼板1の温度が局所的に低下して重大なトラブルを引き起こす。このようなトラブルによる被害を最小化するため、水漏れ等の設備トラブルを早期に発見することが求められている。
【0059】
従来は、設備トラブルによる水漏れは、走行する鋼板1を側方あるいは上方から撮像手段により撮像した映像から認識できる鋼板1上の水の有無に基づいて判断されていた。ここで、設備トラブルによる水漏れが発生したとき、鋼板1上に漏れた水は、図10に示すようにルーパー17の位置を分水嶺として圧延スタンド11B側へ流れる。しかし、撮像手段は、隣接する圧延スタンド11A、11B間であってサイドガイド13Bに対して圧延方向Z上流側にしか配置できない。このため、大量の水漏れが発生しない限り、鋼板1上に漏れた水が映像に現れることはなく、設備トラブルによる水漏れを早期に発見することは困難であった。
【0060】
一方、実施形態に係る圧延装置10のように撮像カメラユニット15を配置することにより、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像できる。したがって、撮像された映像からは、例えば図9に示すような、設備トラブルにより鋼板1上に漏れた水が、鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる部分へ流れる様子を認識することができる。オペレータは、映像を監視時に、鋼板1が一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる部分付近の鋼板1上に水があるかを注視することで、設備トラブルによる水漏れを早期に発見することができる。
【0061】
なお、設備トラブルによる水漏れの発生は、撮像カメラユニット15により撮影された映像を画像解析して自動認識することが望ましい。設備トラブルにより鋼板1上に水が漏れると、鋼板1の水に濡れた部分は他の部分より温度が低くなり、映像中に黒色領域として現れる。そこで、撮像カメラユニット15により撮像された映像を画像解析し、赤色の鋼板1において黒色化した部分を映像から特定することで、鋼板1の水濡れを自動認識できる。映像の画像解析は、上述の監視装置(図示せず。)により行うことができる。
【0062】
監視装置は、上記利用例4と同様、映像を解析し、映像中の鋼板1部分から黒色化領域を特定する。そして、監視装置は、単位面積当たりの黒色化領域の面積を算出し、当該面積が所定の閾値を超えたとき、監視装置は鋼板1の水濡れが発生していると判定し、オペレータに対して警報を発する。すなわち、映像中の黒色領域の割合が鋼板1への水漏れを検知するための検知条件となる。このように、撮影された映像を画像解析して鋼板1の圧延状況、例えば鋼板1の水濡れを自動検知可能とすることで、オペレータの監視負荷を軽減することができる。
【0063】
以上、本実施形態に係る圧延装置10の構成及び鋼板の圧延監視方法について説明した。圧延スタンド10は、圧延方向Z下流側の圧延スタンド11Bの一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像する撮像カメラユニット15を備えている。これにより、例えば図4に示すような一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1の映像を取得することができる。オペレータは、当該映像に基づき、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1の挙動を把握することが可能となる。オペレータは、この鋼板1の挙動を考慮して、上流側の圧延スタンド11Aのレベリング設定等を調整することにより、サイドガイド13Bと鋼板1とが接触することを抑制することができ、鋼板1の圧延を安定して実施することができる。
【0064】
また、撮像カメラユニット15は、圧延スタンド11Bの圧延方向Z上流側において鋼板1の通過可能領域Pの板幅方向中央部分に、上記式(1)の関係を満たすように配置される。これにより、1台の撮像カメラユニット15によって、例えば図4に示すような一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1の映像を取得することができる。オペレータは、当該映像に基づき、鋼板1の挙動を正確に把握することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、撮像カメラユニット15は、図2に示すように、通過可能領域Pの板幅方向中心Cから板幅方向に0.5mの範囲内に配置される。これにより、撮像カメラユニット15によって鋼板1の挙動を直感的に把握可能な映像を取得できる。
【0066】
さらに、本実施形態では、撮像カメラユニット15は、図1に示すように、鋼板1の圧延方向Zに対して傾斜角度θで、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像する高さ位置に配置されており、当該傾斜角度θは20°以下である。すなわち、撮像カメラユニット15は、鋼板1の通過位置からの高さHが上記式(2)の関係を満たすように配置される。これにより、撮像カメラユニット15によって一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を確実に撮像でき、鋼板1の挙動を精度良く把握可能な映像を取得することができる。また、圧延方向Z下流側の圧延スタンド11Bの上方に障害物があった場合であっても、この障害物に遮られることなく、撮像カメラユニット15は一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1を撮像できる。
【0067】
また、撮像カメラユニット15の水平視野角αは50°以下であり、本実施形態では、水平視野角αは50°に設定されている。これにより、撮像された映像の歪みが少なく、一対の圧延ロール12Bに噛み込まれる鋼板1の挙動を精度良く把握可能な映像を取得できる。
【0068】
さらに、本実施形態においては、撮像カメラユニット15は、ケース本体部20と、ケースレンズ部30と、カメラ本体16と、ケース本体部20に対してエアを供給するエア供給部18と、を備える。ケース本体部20は、例えばステンレス鋼からなり、その肉厚は1cm以上である。このような構成により、熱負荷等によってカメラ本体16が早期に劣化することを抑制できる。よって、鋼板1の熱間圧延ラインの仕上圧延機の圧延スタンド11間に常時設置することができ、オペレータは圧延中の鋼板1の挙動を把握することが可能となる。
【0069】
また、ケースレンズ部30は、ケース本体部20に対して着脱可能である。したがって、レンズ33が汚れた場合にはケースレンズ部30のみを交換すればよく、メンテナンス性が大幅に向上する。さらに、ケース本体部20及びケースレンズ部30は、エアが供給されるように構成されている。したがって、カメラ本体16やレンズ33が熱負荷、粉塵、蒸気等によって早期に劣化することを抑制できる。
【0070】
以上、本実施形態である圧延装置及び鋼板の圧延監視方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0071】
例えば、撮像カメラユニットの構造は、本実施形態で例示したものに限定されることはなく、他の構成の撮像カメラユニットであってもよい。ただし、鋼板の熱間圧延ラインの仕上圧延機等に適用する場合には、熱負荷、粉塵、蒸気等に対して耐久性を有する構造とする必要がある。
【0072】
また、圧延スタンドの構造やサイドガイドの構造についても、本実施形態に例示したものに限定されることはなく、他の構造の圧延スタンド及びサイドガイドであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 鋼板
10 圧延装置
11 圧延スタンド
12 圧延ロール
15 撮像カメラユニット(撮像手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】