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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年11月7日
【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】直流遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/59 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   H01H33/59 D
   H01H33/59 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】特願2012-542288(P2012-542288)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年5月1日
(11)【特許番号】特許第5214066号(P5214066)
(45)【特許公報発行日】2013年6月19日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】田畠 和順
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘基
(72)【発明者】
【氏名】菊池 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】亀井 健次
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 雄作
(72)【発明者】
【氏名】平塚 正樹
(72)【発明者】
【氏名】常世田 翔
(72)【発明者】
【氏名】武田 敏信
【テーマコード(参考)】
5G028
【Fターム(参考)】
5G028AA08
5G028FB01
5G028FB03
5G028FB06
5G028FB07
5G028FC01
(57)【要約】
電流遮断責務を軽減し、設備の小型化、低コスト化が可能な直流遮断器を得ること。直流線路1に挿入された開閉部2と、第1の限流素子4、および、直流線路に流れる直流電流に共振性電流を重畳して電流零点を形成し、その電流零点で直流電流を遮断する遮断部5の直列回路からなり、開閉部2に並列に接続され、当該開閉部2の開極後において直流電流の流路となる転流回路3と、を備え、開閉部2の開極後に、遮断部5による電流遮断を実施する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流線路に流れる直流電流に共振性電流を重畳して電流零点を形成し、該電流零点で前記直流電流を遮断する遮断部を具備した直流遮断器であって、
前記直流線路に挿入された開閉部と、
第1の限流素子および前記遮断部の直列回路からなり、前記開閉部の開極後において前記直流電流の流路となる転流回路と、
を備え、
前記開閉部の開極後に、前記遮断部による電流遮断を実施するようにしたことを特徴とする直流遮断器。
【請求項2】
前記第1の限流素子は、リアクトルであることを特徴とする請求項1に記載の直流遮断器。
【請求項3】
前記第1の限流素子は、可飽和リアクトルであり、前記開閉部が開極して前記直流電流が前記転流回路に転流した直後に、低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に制御されることを特徴とする請求項1に記載の直流遮断器。
【請求項4】
前記開閉部と共に前記直流線路に直列に挿入され、定常時にはインピーダンスが略零となり、過大な電流が流れた時に瞬間的にインピーダンスが大きくなる第2の限流素子をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の直流遮断器。
【請求項5】
前記第2の限流素子は、過大な電流が流れた時に瞬間的に超伝導状態から常伝導状態に転移する超伝導限流器であることを特徴とする請求項4に記載の直流遮断器。
【請求項6】
前記開閉部は、半導体スイッチ素子であることを特徴とする請求項1に記載の直流遮断器。
【請求項7】
前記開閉部は、前記半導体スイッチ素子が逆並列に接続され構成されたことを特徴とする請求項6に記載の直流遮断器。
【請求項8】
前記第1の限流素子および前記遮断部の直列回路からなる前記転流回路を複数有し、
前記各転流回路は、前記開閉部および前記各転流回路の前記各遮断部に対応してそれぞれ並列に接続して構成され、
前記第1の限流素子の直列接続数の少ない前記遮断部から順次電流遮断を実施することを特徴とする請求項1に記載の直流遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧・大電流の直流電流を遮断する直流遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電流を遮断する直流遮断器においては、直流電流は交流電流と異なり電流零点が存在しないため、コンデンサとリアクトルからなる転流回路から共振性電流を重畳することで電流零点を形成し、その電流零点で直流電流の遮断を行っている。このような電流零点の形成手法としては、遮断部と並列にコンデンサとリアクトルからなる転流回路を接続し、予め充電されたコンデンサの電荷を放電することによりリアクトルとの共振性電流を直流電流に重畳することで電流零点を形成する強制転流方式や(例えば、特許文献1)、遮断部と並列にコンデンサとリアクトルからなる転流回路を接続し、アークと転流回路の相互作用に基づく自励発振現象により電流零点を形成する自励転流方式などがある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−34525号公報
【特許文献2】特開昭58−57229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、いずれの方式においても、電流遮断責務の過酷化に伴い、転流回路中のコンデンサ等の設備が大型化、高コスト化する、という問題があった。という課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電流遮断責務を軽減し、設備の小型化、低コスト化が可能な直流遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる直流遮断器は、直流線路に流れる直流電流に共振性電流を重畳して電流零点を形成し、該電流零点で前記直流電流を遮断する遮断部を具備した直流遮断器であって、前記直流線路に挿入された開閉部と、第1の限流素子および前記遮断部の直列回路からなり、前記開閉部の開極後において前記直流電流の流路となる転流回路と、を備え、前記開閉部の開極後に、前記遮断部による電流遮断を実施するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、直流遮断器の電流遮断責務を軽減することができ、設備の小型化、低コスト化が実現可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。
図2図2は、実施の形態1にかかる直流遮断器におけるリアクトルの有無による事故電流の挙動を示す図である。
図3図3は、実施の形態2にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。
図4図4は、実施の形態3にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。
図5図5は、実施の形態4にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。
図6図6は、実施の形態5にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。
図7図7は、実施の形態6にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかる直流遮断器について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。実施の形態1にかかる直流遮断器は、図1に示すように、直流線路1に挿入された開閉部2と、第1の限流素子であるリアクトル4および遮断部5の直列回路からなり、開閉部2に並列に接続され、開閉部2の開極後において直流電流の流路となる転流回路3とを備えている。なお、本実施の形態では、遮断部5は、上述した自励転流方式や強制転流方式の電流零点形成手段を有しており、直流電流の遮断が可能である。また、開閉部2は、遮断部5よりも高速動作が可能であり、図示しない制御回路からの開極指令により開極に至るまでの時間が遮断部5よりも短いものを想定し、定常時には、開閉部2および遮断部5は閉制御されている。
【0011】
つぎに、実施の形態1にかかる直流遮断器の直流電流遮断時の動作について、図1および図2を参照して説明する。図2は、実施の形態1にかかる直流遮断器におけるリアクトルの有無による事故電流の挙動を示す図である。図2に示す例では、時刻t1(=0.1s)において直流線路1に事故(ここでは、例えば図1に示す直流遮断器の右端側の地絡事故)が発生した例を示している。
【0012】
図2に示すように、時刻t1(=0.1s)において直流線路1に上述した地絡事故が発生すると、直流線路1に事故電流が流れ始める。
【0013】
このとき、図示しない制御回路から開閉部2および遮断部5に開極指令が出力され、時刻t2において開閉部2が開制御されると、転流回路3に事故電流が転流される。このとき、リアクトル4がある場合には、一旦直流線路1に流れる事故電流値が略零となり、転流回路3、つまり、リアクトル4および遮断部5からなる直列回路を介して流れる事故電流が徐々に大きくなる(図2中の実線で示す線)。
【0014】
その後、時刻t3(=0.2s)において遮断部5による電流遮断が実施され、事故電流の遮断が完了する。
【0015】
ここで、リアクトル4がない場合には、時刻t1(=0.1s)において地絡事故が発生した時点からリアクトル4がある場合よりも急峻に事故電流が立ち上がることとなるが(図2中の破線で示す線)、本実施の形態では、リアクトル4のインダクタンスにより事故電流の立ち上がりを遅くすることができるので、事故電流遮断時刻t3(=0.2s)における事故電流瞬時値は、リアクトル4がない場合よりも小さくなり、遮断部5の電流遮断責務を軽減することが可能である。なお、電流遮断後の遮断部5の極間に発生する過電圧については、例えば、遮断部5に並列にサージアブソーバを接続して吸収するようにすればよい。
【0016】
以上説明したように、実施の形態1の直流遮断器によれば、直流線路に挿入され、定常時において直流電流の流路となる開閉部と、リアクトルおよび遮断部からなり、開閉部に並列に接続され、開閉部の開極後において直流電流の流路となる転流回路とを備え、開閉部の開極後に、遮断部による電流遮断を実施するようにしたので、電流遮断時刻において遮断部に流れる電流瞬時値が小さくなり、遮断部の電流遮断責務を軽減することができる。これにより、遮断部を構成するコンデンサ等の設備を小型化することができ、延いては、直流遮断器の小型化、低コスト化が実現可能となる。
【0017】
なお、開閉部および遮断部への開極指令の出力タイミングについては、開閉部の開極後に遮断部が開極するようなタイミングであればよく、これらの開閉部および遮断部への開極指令の出力タイミングにより、本発明が限定されるものではないことは言うまでもない。
【0018】
また、上述した実施の形態1では、電流遮断後の遮断部の両端に発生する過電圧をサージアブソーバにより吸収する例について説明したが、遮断部の耐電圧やその他回路条件によっては、サージアブソーバを具備しない構成であってもよい。
【0019】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0020】
本実施の形態では、図3に示すように、第1の限流素子として、実施の形態1において説明したリアクトル4に代えて、可飽和リアクトル8を挿入した構成としている。
【0021】
定常時には、可飽和リアクトル8を飽和状態としておくことで、低インピーダンス状態とし、直流線路1での事故発生時には、開閉部2を開制御した後に、可飽和リアクトル8を制御して不飽和状態とすることで、高インピーダンス状態とする。これにより、事故電流を転流回路3に転流する際には、可飽和リアクトル8が低インピーダンス状態であるので、開閉部2が開極する際の責務を軽減することができ、転流回路3への事故電流の転流が容易となる。また、開閉部2を開制御した後、つまり、転流回路3に事故電流が転流した後に可飽和リアクトル8を高インピーダンス状態とすることで、実施の形態1と同様に、遮断部5の電流遮断責務を軽減することが可能である。
【0022】
以上説明したように、実施の形態2の直流遮断器によれば、第1の限流素子として、可飽和リアクトルを挿入した構成とし、定常時には、可飽和リアクトルを飽和状態として低インピーダンス状態とするようにしたので、事故電流を転流回路に転流する際には、開閉部が開極する際の責務を軽減することができ、転流回路への事故電流の転流が容易となる。
【0023】
また、転流回路に事故電流が転流した後に、第1の限流素子である可飽和リアクトルを高インピーダンス状態とすることにより、事故電流遮断時刻における事故電流瞬時値が小さくなるので、実施の形態1と同様に、遮断部の電流遮断責務を軽減することができ、遮断部を構成するコンデンサ等の設備の小型化、延いては、直流遮断器の小型化、低コスト化が実現可能となる。
【0024】
なお、上述した実施の形態2では、第1の限流素子として、実施の形態1において説明したリアクトルに代えて、可飽和リアクトルを挿入した例について説明したが、この第1の限流素子としては、上述したようにインピーダンスの制御が可能な素子であれば、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0025】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0026】
本実施の形態では、図4に示すように、実施の形態1において説明した開閉部2と共に、第2の限流素子6を直流線路1に直列に挿入した構成としている。
【0027】
本実施の形態では、第2の限流素子6として、定常時(例えば、直流電流値が2000A程度)にはインピーダンスが略零となり、事故発生時における事故電流(例えば、50kA以上)が流れようとした場合には、インピーダンスが大きくなるような素子、例えば、過大な電流が流れた時に瞬間的に超伝導状態から常伝導状態に転移する超伝導限流器等を想定している。
【0028】
このように構成することにより、事故発生時において開閉部2に流れる事故電流が瞬時に抑制され、開閉部2が開極する際の責務を軽減することができ、転流回路3への事故電流の転流が容易となる。また、転流回路3に事故電流が転流した後には、実施の形態1と同様に、第1の限流素子であるリアクトル4の作用により、事故電流遮断時刻における事故電流瞬時値が小さくなり、遮断部5の電流遮断責務を軽減することが可能である。
【0029】
以上説明したように、実施の形態3の直流遮断器によれば、開閉部と共に、定常時にはインピーダンスが略零となり、事故発生時における事故電流が流れようとした場合には、インピーダンスが大きくなる第2の限流素子を直流線路に直列に挿入した構成とすることにより、事故発生時において開閉部に流れる事故電流が瞬時に抑制されるので、実施の形態2と同様に、開閉部が開極する際の責務を軽減することができ、転流回路への事故電流の転流が容易となる。
【0030】
また、実施の形態1と同様に、転流回路に事故電流が転流した後には、第1の限流素子であるリアクトルの作用により、事故電流遮断時刻における事故電流瞬時値が小さくなるので、遮断部の電流遮断責務を軽減することができ、遮断部を構成するコンデンサ等の設備の小型化、延いては、直流遮断器の小型化、低コスト化が実現可能となる。
【0031】
また、実施の形態3の構成を実施の形態2の構成に対して適用することも可能であり、第1の限流素子である可飽和リアクトルと遮断部とを直列接続して転流回路を構成し、第2の限流素子と開閉部とを直列接続した構成としてもよい。これにより、転流回路3への事故電流の転流がさらに容易となる。
【0032】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0033】
本実施の形態では、図5に示すように、開閉部2として、GTO(Gate Turn−Off thyristor:ゲートターンオフサイリスタ)7を用いた構成としている。このGTO7のような半導体スイッチ素子を用いることにより、確実に遮断部5による電流遮断時刻よりも前にオフ制御され、転流回路3に事故電流を転流させることができる。
【0034】
定常時には、GTO7をオン制御し、直流線路1での事故発生時には、GTO7をオフ制御して、事故電流を転流回路3に転流する。転流回路3に事故電流が転流した後には、実施の形態1乃至3と同様に、第1の限流素子の作用により、事故電流遮断時刻における事故電流瞬時値が小さくなり、遮断部5の電流遮断責務を軽減することが可能である。
【0035】
なお、図5に示す例では、開閉部2として、GTO7を用いた構成を示したが、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の半導体スイッチ素子を用いて構成してもよく、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0036】
以上説明したように、実施の形態4の直流遮断器によれば、開閉部として、GTOやIGBT等の半導体スイッチ素子を用いた構成としたので、確実に遮断部による電流遮断時刻よりも前に転流回路に事故電流を転流させることができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態4では、実施の形態1において説明した開閉部として、半導体スイッチ素子を用いる例について説明したが、実施の形態4の構成を実施の形態2乃至3の構成に対して適用することも可能であり、上述した各実施の形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0038】
実施の形態5.
図6は、実施の形態5にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。なお、実施の形態5と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0039】
実施の形態4では、直流電流が左端側から右端側に流れることを想定した構成であるが、本実施の形態では、図6に示すように、開閉部2として、GTO7a,7bを逆並列に接続した構成とし、双方向の通電を可能としている。
【0040】
定常時には、GTO7a,7bをオン制御し、直流線路1での事故発生時には、GTO7a,7bをオフ制御して、事故電流を転流回路3に転流する。転流回路3に事故電流が転流した後には、実施の形態1乃至4と同様に、第1の限流素子の作用により、事故電流遮断時刻における事故電流瞬時値が小さくなり、遮断部5の電流遮断責務を軽減することが可能である。
【0041】
なお、図6に示す例では、開閉部2として、GTO7a,7bを用いた構成を示したが、実施の形態4と同様に、例えば、IGBT等の半導体スイッチ素子を用いて構成してもよく、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0042】
以上説明したように、実施の形態5の直流遮断器によれば、開閉部として、GTOやIGBT等の半導体スイッチ素子を逆並列に接続して構成したので、通電方向に依らず、確実に遮断部による電流遮断時刻よりも前に転流回路に事故電流を転流させることができる。
【0043】
なお、上述した実施の形態5では、実施の形態4において説明した半導体スイッチ素子を逆並列に接続して開閉部を構成した例について説明したが、実施の形態5の構成を実施の形態1乃至3の構成に対して適用することも可能であり、上述した各実施の形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0044】
実施の形態6.
図7は、実施の形態6にかかる直流遮断器の一構成例を示す図である。本実施の形態では、各リアクトル4−1〜4−nおよび各遮断部5−1〜5−nのn個の各直列回路からなる各転流回路3−1〜3−nを有し、これら各転流回路3−1〜3−nを開閉部2および各遮断部5−1〜5−nに対応してそれぞれ並列に接続して構成している。
【0045】
本実施の形態にかかる直流遮断器では、直流線路1での事故発生時には、開閉部2の開極後、遮断部5−1、5−2、・・・、5−nの順に電流遮断を実施する。これにより、各遮断部5−1〜5−nの電流遮断時における事故電流瞬時値を低く抑制することができ、各遮断部5−1〜5−nの電流遮断責務を低減することができる。
【0046】
まず、開閉部2を開極し、事故電流を各転流回路3−1〜3−nに転流させる。これにより、事故電流は、リアクトル4−1〜4−nの各インピーダンスの加算分に応じて、各遮断部5−1〜5−nに分担される。つまり、遮断部5−1に流れる事故電流は、リアクトル4−1のみを流れるので最も大きく、遮断部5−nに流れる事故電流は、各リアクトル4−1〜4−nを流れるので最も小さくなる。
【0047】
つぎに、遮断部5−1が電流遮断すると、事故電流は各転流回路3−2〜3−nに転流し、事故電流は各遮断部5−2〜5−nに分担される。これにより、事故電流の分担数が減少した分、各遮断部5−2〜5−nに流れる事故電流はそれぞれ大きくなるが、遮断部5−2に流れる事故電流は、リアクトル4−1,4−2を流れるため、分担数の減少分による事故電流の増加分と相殺されることとなり、遮断部5−2の電流遮断時における事故電流瞬時値の上昇は低く抑制される。その後、順次各遮断部5−3、5−4、・・・、5−nによる電流遮断を行うことにより、事故電流の遮断が完了する。
【0048】
上述した手法により順次各遮断部5−1〜5−nの電流遮断を実施することにより、各遮断部5−1〜5−nの電流遮断時における事故電流瞬時値を低く抑制することができ、各遮断部5−1〜5−nの電流遮断責務を低減することができる。また、開閉部2から複数の転流回路3−1〜3−nに事故電流を転流させることとなるので、より開閉部2から転流回路3−1〜3−nへの事故電流の転流が容易となる。
【0049】
以上説明したように、実施の形態6の直流遮断器によれば、リアクトルおよび遮断部の直列回路からなる転流回路を複数有し、これら各転流回路を開閉部および各転流回路の各遮断部に対応してそれぞれ並列に接続して構成したので、開閉部から複数の転流回路に事故電流を転流させることとなり、より開閉部から転流回路への事故電流の転流が容易となる。
【0050】
また、リアクトルの直列接続数の少ない遮断部から順次電流遮断を実施するようにしたので、各遮断部の電流遮断時における事故電流瞬時値を低く抑制することができ、各遮断部の電流遮断責務を低減することができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態6では、実施の形態1において説明したリアクトルおよび遮断部の直流回路からなる転流回路を複数有する構成例について説明したが、実施の形態2乃至5の構成に対して適用することも可能であり、上述した各実施の形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0052】
また、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 直流線路
2 開閉部
3,3−1,3−2,・・・,3−n 転流回路
4,4−1,4−2,・・・,4−n リアクトル(第1の限流素子)
5,5−1,5−2,・・・,5−n 遮断部
6 第2の限流素子
7 GTO(半導体スイッチ素子)
8 可飽和リアクトル(第1の限流素子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7

【手続補正書】
【提出日】2012年12月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流線路に流れる直流電流に共振性電流を重畳して電流零点を形成し、該電流零点で前記直流電流を遮断する遮断部を具備した直流遮断器であって、
前記直流線路に挿入された開閉部と、
リアクトルである第1の限流素子および前記遮断部の直列回路からなり、前記開閉部の開極後において前記直流電流の流路となる転流回路と、
前記開閉部と共に前記直流線路に直列に挿入され、定常時にはインピーダンスが略零となり、過大な電流が流れた時に瞬間的にインピーダンスが大きくなる第2の限流素子と、
を備え、
前記開閉部の開極後に、前記遮断部による電流遮断を実施するようにしたことを特徴とする直流遮断器。
【請求項2】
前記第1の限流素子は、可飽和リアクトルであり、前記開閉部が開極して前記直流電流が前記転流回路に転流した直後に、低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に制御されることを特徴とする請求項1に記載の直流遮断器。
【請求項3】
前記第2の限流素子は、過大な電流が流れた時に瞬間的に超伝導状態から常伝導状態に転移する超伝導限流器であることを特徴とする請求項1または2に記載の直流遮断器。
【請求項4】
前記開閉部は、半導体スイッチ素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の直流遮断器。
【請求項5】
前記開閉部は、前記半導体スイッチ素子が逆並列に接続され構成されたことを特徴とする請求項に記載の直流遮断器。
【請求項6】
前記第1の限流素子および前記遮断部の直列回路からなる前記転流回路を複数有し、
前記各転流回路は、前記開閉部および前記各転流回路の前記各遮断部に対応してそれぞれ並列に接続して構成され、
前記第1の限流素子の直列接続数の少ない前記遮断部から順次電流遮断を実施することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の直流遮断器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる直流遮断器は、直流線路に流れる直流電流に共振性電流を重畳して電流零点を形成し、該電流零点で前記直流電流を遮断する遮断部を具備した直流遮断器であって、前記直流線路に挿入された開閉部と、リアクトルである第1の限流素子および前記遮断部の直列回路からなり、前記開閉部の開極後において前記直流電流の流路となる転流回路と、前記開閉部と共に前記直流線路に直列に挿入され、定常時にはインピーダンスが略零となり、過大な電流が流れた時に瞬間的にインピーダンスが大きくなる第2の限流素子と、を備え、前記開閉部の開極後に、前記遮断部による電流遮断を実施するようにしたことを特徴とする。
【国際調査報告】