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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年11月14日
【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20151201BHJP
   H02M 7/487 20070101ALI20151201BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
   H02M7/487
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2014-514304(P2014-514304)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年5月10日
(11)【特許番号】特許第5823609号(P5823609)
(45)【特許公報発行日】2015年11月25日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 耕太郎
【テーマコード(参考)】
5H007
【Fターム(参考)】
5H007AA17
5H007BB06
5H007CA01
5H007CA02
5H007CA03
5H007CB02
5H007CB04
5H007CB05
5H007CC06
5H007DB01
5H007FA13
(57)【要約】
自励半導体素子(G1,G2)の制御信号をオフ制御からオン制御に切替えるときには、制御回路が自励半導体素子(G2)に制御電圧を印加してからターンオン時間(2×Δt)後に、自励半導体素子(G1)をオン制御し、自励半導体素子(G1,G2)の制御信号をオン制御からオフ制御に切替えるときには、制御回路は、自励半導体素子(G1)に制御電圧を印加してからターンオフ時間(2×Δt)後に、自励半導体素子(G2)の制御信号をオフ制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の交流電圧を、第1〜第3の電位の3レベルを有する直流電圧に変換する3レベル変換器を備え、
前記3レベル変換器は、
第1〜第3の入力端(P,C,N)と、
前記直流電圧を出力する出力端(X)とを含み、
前記第2の入力端(C)は、前記第1〜第3の電位のうち中間電位が与えられ、
前記第1の入力端(P)と前記出力端(X)との間に順に直列接続された第1および第2のスイッチング半導体素子(G1,G2)と、
前記第1の入力端(P)と前記出力端(X)との間に、前記第1および第2のスイッチング半導体素子(G1,G2)の導通する電流の向きと逆方向に順に直列接続された第1および第2の還流ダイオード(DF1,DF2)と、
アノードが前記第2の入力端(C)に接続され、カソードが前記第1のスイッチング半導体素子(G1)と前記第2のスイッチング半導体素子(G2)との接続ノードおよび前記第1の還流ダイオード(DF1)と前記第2の還流ダイオード(DF2)との接続ノードに接続される第1の結合ダイオード(DC1)と、
前記出力端(X)と前記第3の入力端(N)との間に順に直列接続された第3および第4のスイッチング半導体素子(G3,G4)と、
前記出力端(X)と前記第3の入力端(N)との間に、前記第3および第4のスイッチング半導体素子(G3,G4)の導通する電流の向きと逆方向に順に直列接続された第3および第4の還流ダイオード(DF3、DF4)と、
カソードが前記第2の入力端(C)に接続され、アノードが前記第3のスイッチング半導体素子(G3)と前記第4のスイッチング半導体素子(G4)との接続ノードおよび前記第3の還流ダイオード(DF3)と前記第4の還流ダイオード(DF3)との接続ノードに接続される第2の結合ダイオード(DC2)とを含み、
前記第1〜第4のスイッチング半導体素子(G1〜G4)のオン/オフのスイッチングを制御する制御回路(100)とをさらに備え、
前記第1および第2のスイッチング半導体素子(G1,G2)の制御信号をオフ制御からオン制御に切替えるときには、前記制御回路(100)は前記第2のスイッチング半導体素子(G2)に制御電圧を印加してからターンオン時間後に、前記第1のスイッチング半導体素子(G1)をオン制御し、
前記第1および第2のスイッチング半導体素子(G1,G2)の制御信号をオン制御からオフ制御に切替えるときには、前記制御回路(100)は前記第1のスイッチング半導体素子(G1)に制御電圧を印加してからターンオフ時間後に、前記第2のスイッチング半導体素子(G2)の制御信号をオフ制御する、電力変換装置。
【請求項2】
前記第2の電位は、前記第1の電位より低く、前記第3の電位より高い前記中間電位であり、
前記第3および第4のスイッチング半導体素子(G3,G4)の制御信号をオフ制御からオン制御に切替えるときには、前記制御回路は前記第3のスイッチング半導体素子(G3)に制御電圧を印加してからターンオン時間後に、前記第4のスイッチング半導体素子(G4)をオン制御し、
前記第3および第4のスイッチング半導体素子(G3,G4)の制御信号がオン制御からオフ制御に切替えるときには、前記制御回路は前記第4のスイッチング半導体素子(G4)に制御電圧を印加してからターンオフ時間後に、前記第3のスイッチング半導体素子(G3)の制御信号をオフ制御する、請求の範囲第1項に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第3のスイッチング半導体素子(G3)の制御信号と前記第2のスイッチング半導体素子(G2)の制御信号との関係は排他的である、請求の範囲第2項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、特に、低周波数・低電圧を出力する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、スイッチング半導体素子をオン/オフ制御することによって正弦波電流を供給し可変速揚水発電機等の負荷を可変速駆動する電力変換装置において、電力変換装置(たとえば、3レベル変換器)の出力周波数が低周波になった場合、正弦波状の電流が正または負に導通する時間が長くなる。これにより、スイッチング半導体素子の導通時間が長くなり、スイッチング半導体素子のジャンクション温度はこの間上昇し続け最後には過熱で破損するおそれがある。
【0003】
上記のようなスイッチング半導体素子を過熱による保護する技術として、下記のものがある。
【0004】
特開2008−178188号公報(特許文献1)は、出力周波数が低周波になったとき、システムから要求される一定負荷条件での運転継続時間を長くすると共に、システムから要求される負荷条件と相違があっても運転継続可能な電力変換装置を提供することを目的としている。特開2008−178188号公報(特許文献1)に開示された発明は、複数個のスイッチング半導体素子を有し、これらのスイッチング半導体素子をオンオフ制御することにより交流電動機に正弦波電流を供給する電力変換器を備えた電力変換装置において、電力変換器の出力周波数が所定値以下の低周波になったとき、演算で求めたスイッチング素子の熱負荷相当に比例して出力周波数を増加させる周波数補正手段を備えるように構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−178188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2008−178188号公報(特許文献1)に開示された発明では、周波数補正手段をさらに設けるため、電力変換装置の面積の増大およびコスト増に繋がる問題があった。
【0007】
また、上述したように、3レベル変換器は、2つの半導体素子が直列に接続される2レベル変換器に比較して、低周波数・低変調率で運転すると、一部の半導体素子温度が高くなるおそれがある。一方、従来の2レベル変換器を使用した場合には、2つの半導体素子間の電圧範囲の調整が難しいという問題があった。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、従来の周波数補正手段を設けることなく、周波数・低電圧を出力する電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
交流電源の交流電圧を、第1〜第3の電位の3レベルを有する直流電圧に変換する3レベル変換器を備え、3レベル変換器は、第1〜第3の入力端と、直流電圧を出力する出力端とを含み、第2の入力端は、第1〜第3の電位のうち中間電位が与えられ、第1の入力端と出力端との間に順に直列接続された第1および第2のスイッチング半導体素子と、第1の入力端と出力端との間に、第1および第2のスイッチング半導体素子の導通する電流の向きと逆方向に順に直列接続された第1および第2の還流ダイオードと、アノードが第2の入力端に接続され、カソードが第1のスイッチング半導体素子と第2のスイッチング半導体素子との接続ノードおよび第1の還流ダイオードと第2の還流ダイオードとの接続ノードに接続される第1の結合ダイオードと、出力端と第3の入力端との間に順に直列接続された第3および第4のスイッチング半導体素子と、出力端と第3の入力端との間に、第3および第4のスイッチング半導体素子の導通する電流の向きと逆方向に順に直列接続された第3および第4の還流ダイオードと、カソードが第2の入力端に接続され、アノードが第3のスイッチング半導体素子と第4のスイッチング半導体素子との接続ノードおよび第3の還流ダイオードと第4の還流ダイオードとの接続ノードに接続される第2の結合ダイオードとを含み、第1〜第4のスイッチング半導体素子のオン/オフのスイッチングを制御する制御回路をさらに備え、第1および第2のスイッチング半導体素子の制御信号をオフ制御からオン制御に切替えるときには、制御回路は第2のスイッチング半導体素子に制御電圧を印加してからターンオン時間後に、第1のスイッチング半導体素子をオン制御し、第1および第2のスイッチング半導体素子の制御信号をオン制御からオフ制御に切替えるときには、制御回路は第1のスイッチング半導体素子に制御電圧を印加してからターンオフ時間後に、第2のスイッチング半導体素子の制御信号をオフ制御する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電力変換装置(3レベル変換器)の1アームを構成する2つの半導体素子をほぼ同時に点弧・消弧することにより、3レベル変換器と同じ出力電圧が可能で、かつ、他の半導体素子と比較して極端に発熱が大きい半導体素子を減少させ、出力電流を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態にかかる電力変換装置の構成および動作を説明するための図である。
図2】実施の形態にかかる電力変換装置の動作を説明するための図である。
図3】実施の形態にかかる電力変換装置の動作を説明するための図である。
図4】直流電圧0Vを出力する場合の自励半導体素子G1〜G4の点弧パターンを示す図である。
図5図4に示される点弧パターン時における各素子に流れる電流を説明するための図である。
図6】直流電圧0Vを出力する場合の自励半導体素子G1〜G4の参考例の点弧パターンを示す図である。
図7図6に示される点弧パターン時における各素子に流れる電流を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
[実施の形態]
(電力変換装置の構成)
図1は、実施の形態にかかる電力変換装置の構成および動作を説明するための図である。図1を参照して、この電力変換装置は、いわゆる3レベル変換器とも呼ばれている。電力変換装置は、自励半導体素子G1〜G4と、自励半導体素子G1〜G4に逆並列接続される還流ダイオードDF1〜DF4と、結合ダイオードDC1,DC2と、直流電圧回路である平滑コンデンサC1,C2とを含む。なお、自励半導体素子としてGCT(Gate Commutated Turn−off)サイリスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor),MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)などゲート信号によってON/OFFを切り替えることができる素子であればよい。
【0014】
具体的には、電力変換装置は、端子Pと端子Xとの間に順に直列接続された自励半導体素子G1,G2と、端子Pと端子Xとの間に、自励半導体素子G1,G2の導通する電流の向きと逆方向に順に直列接続された還流ダイオードDF1,DF2と、アノードが端子Cに接続され、カソードが自励半導体素子G1と自励半導体素子G2との接続ノードおよび還流ダイオードDF1と還流ダイオードDF2との接続ノードに接続される結合ダイオードDC1と、端子Xと端子Nとの間に順に直列接続された自励半導体素子G3,G4と、端子Xと端子Nとの間に、自励半導体素子G3,G4の導通する電流の向きと逆方向に順に直列接続された還流ダイオードDF3,DF4と、カソードが端子Cに接続され、アノードが自励半導体素子G3と自励半導体素子G4との接続ノードおよび還流ダイオードDF3と還流ダイオードDF4との接続ノードに接続される結合ダイオードDC2とを含む。
【0015】
(電力変換装置の動作)
端子P,C,Nは様々な電位を取ることができるが、理解を容易にするために、下記の説明では、端子Cには、中間電位を与えることにする。すなわち、端子Cに与えられる電位は、最も高い電位より低く、最も低い電位より高い中間電位が与えられる。
【0016】
再び図1を参照して、電力変換装置において、(1)端子Pの電圧を端子Xに与える場合の制御および(2)端子Xの電圧を端子Pに与える場合の制御について説明する。
【0017】
まず、(1)の場合には、破線の経路PATH1上に設けられている素子をオン制御し、それ以外はオフ制御にすることにより、端子Xに端子Pの電圧を与えることができる。具体的には、経路PATH1上に自励半導体素子G1,G2をオン制御し、それ以外の素子をオフ制御することにより、端子Xは端子Pの電圧を受けることができる。
【0018】
次に、(2)の場合には、破線の経路PATH2上に設けられている素子をオン制御し、それ以外はオフ制御にすることにより、端子Pに端子Xの電圧を与えることができる。具体的には、経路PATH2上に還流ダイオードDF1,DF2をオン制御し、それ以外の素子をオフ制御することにより、端子Pは端子Xの電圧を受けることができる。
【0019】
図2は、実施の形態にかかる電力変換装置の動作を説明するための図である。図2を参照して、電力変換装置において、(3)端子Cの電圧を端子Xに与える場合の制御および(4)端子Xの電圧を端子Cに与える場合の制御について説明する。
【0020】
(3)の場合には、破線の経路PATH3上に設けられている素子をオン制御し、それ以外はオフ制御にすることにより、端子Xに端子Cの電圧を与えることができる。具体的には、経路PATH3上に自励半導体素子G2および結合ダイオードDC1をオン制御し、それ以外の素子をオフ制御することにより、端子Xは端子Cの電圧を受けることができる。
【0021】
(4)の場合には、破線の経路PATH4上に設けられている素子をオン制御し、それ以外はオフ制御にすることにより、端子Cに端子Xの電圧を与えることができる。具体的には、経路PATH4上に自励半導体素子G3および結合ダイオードDC2をオン制御し、それ以外の素子をオフ制御することにより、端子Cは端子Xの電圧を受けることができる。
【0022】
図3は、実施の形態にかかる電力変換装置の動作を説明するための図である。図3を参照して、電力変換装置において、(5)端子Nの電圧を端子Xに与える場合の制御および(6)端子Xの電圧を端子Nに与える場合の制御について説明する。
【0023】
(5)の場合には、破線の経路PATH5上に設けられている素子をオン制御し、それ以外はオフ制御にすることにより、端子Xに端子Nの電圧を与えることができる。具体的には、経路PATH5上に還流ダイオードDF3,DF4をオン制御し、それ以外の素子をオフ制御することにより、端子Xは端子Nの電圧を受けることができる。
【0024】
(6)の場合には、破線の経路PATH6上に設けられている素子をオン制御し、それ以外はオフ制御にすることにより、端子Nに端子Xの電圧を与えることができる。具体的には、経路PATH6上に自励半導体素子G3、G4をオン制御し、それ以外の素子をオフ制御することにより、端子Nは端子Xの電圧を受けることができる。
【0025】
(制御信号)
ここで、本実施の形態の電力変換装置を構成する自励半導体素子G1〜G4の具体的な制御信号について検討する。
【0026】
図4は、直流電圧0Vを出力する場合の自励半導体素子G1〜G4の点弧パターンを示す図である。図4を参照して、自励半導体素子G1〜G4の制御信号と合成出力波形が示されている。
【0027】
ここで、時刻t1に、自励半導体素子G1,G2はほぼ同時にオン制御されるが、自励半導体素子G2をオンしてから自励半導体素子G1がオンされることが好ましい。すなわち、自励半導体素子G2の物理特性で定まる立ち上り時間(ターンオン時間)後に自励半導体素子G1をオンされるように制御する。
【0028】
そして、時刻t1〜時刻t2間に、自励半導体素子G1,G2はオン制御され、一方、自励半導体素子G3,G4はオフ制御される。このとき、自励半導体素子G1,G2のオン制御期間はほぼ等しい。したがってこの時刻t1〜時刻t2間に、経路PATH1,PATH2を通して、端子Pの電圧が端子Xに供給される。
【0029】
そして、時刻t2に、自励半導体素子G1,G2はほぼ同時にオフ制御されるが、自励半導体素子G1をオフしてから自励半導体素子G2がオフされることが好ましい。すなわち、自励半導体素子G1の物理特性で定まる立ち下がり時間(ターンオフ時間)後に自励半導体素子G2をオフされるように制御する。
【0030】
次に、時刻t2に、自励半導体素子G3,G4はほぼ同時にオン制御されるが、自励半導体素子G3をオンしてから自励半導体素子G4がオンされることが好ましい。すなわち、自励半導体素子G3の物理特性で定まる立ち上り時間(ターンオン時間)後に自励半導体素子G4をオンされるように制御する。
【0031】
時刻t2〜時刻t3間に、自励半導体素子G3,G4はオン制御され、一方、自励半導体素子G1,G2はオフ制御される。このとき、自励半導体素子G3,G4のオン制御期間はほぼ等しい。したがってこの時刻t2〜時刻t3間に、経路PATH5,PATH6を通して、端子Xの電圧が端子Nに供給される。
【0032】
そして、時刻t3に、自励半導体素子G3,G4はほぼ同時にオフ制御されるが、自励半導体素子G4をオフしてから自励半導体素子G3がオフされることが好ましい。すなわち、自励半導体素子G4の物理特性で定まる立ち下がり時間(ターンオフ時間)後に自励半導体素子G3をオフされるように制御する。
【0033】
以上のように、自励半導体素子G1〜G4の各オン制御期間はほぼ等しく、かつ、周期T(時刻t1〜時刻t3の間)を有する。また、自励半導体素子G3の制御信号と自励半導体素子G2の制御信号との関係は排他的である。
【0034】
上述した自励半導体素子G1〜G4を制御することにより、周期Tの合成出力波形を取得することができる。この合成出力波形は、端子P,Nの電圧しか出力されていない。言い換えると、本実施の形態の電力変換装置は、端子Cの電圧は出力されず、いわゆる2レベル変換器とほぼ同じ動作を行なう。しかしながら、従来の2レベル変換器と比較して、出力電圧の高調波成分が増加するものの、電圧の分担の問題は解消される。
【0035】
次に、図4で説明した点弧パターンでの電力変換装置の各素子の通流状態について検討する。
【0036】
図5は、図4に示される点弧パターン時における各素子に流れる電流を説明するための図である。図5を参照して、自励半導体素子G1〜G4の制御信号と、還流ダイオードDF1〜DF4に流れる電流と、結合ダイオードDC1,DC2に流れる電流と、端子Xでの出力電流とが上から順に示される。ここで、図5には、端子P,C,Nから端子Xに電流が流れる方向をプラスとして、各電流値が示される。
【0037】
図4図5を参照して、時刻t1〜時刻t2間において、自励半導体素子G1,G2がオンし、自励半導体素子G3,G4がオフしているため、経路PATH1およびPATH2上に電流が流れる。従って、自励半導体素子G1,G2には、経路PATH1を通して、端子Xに電流が流れる。
【0038】
一方、時刻t2〜t3間において、自励半導体素子G1,G2がオフし、自励半導体素子G3,G4がオンしているため、経路PAHT5およびPATH6上に電流が流れる。従って、還流ダイオードDF3,DF4には、経路PATH5を通して、端子Xに電流が流れる。
【0039】
ここで、時刻t2および時刻t3において、瞬間的に自励半導体素子G2,G3がオンし、自励半導体素子G1,G4がオフするため、経路PATH3およびPATH4上に電流が流れる。従って、結合ダイオードDC1に瞬間的な電流が流れる。以上説明したような動作が周期T(時刻t1〜時刻t3の間)で繰り返し行なわれる。
【0040】
ここで、本実施の形態の電力変換装置の理解を深めるために、参考例と比較して説明する。なお、参考例の構成は、本願の実施の形態の構成と同じであるが、自励半導体素子G1〜G4への入力波形の与え方が異なる。
【0041】
(参考例)
図6は、直流電圧0Vを出力する場合の自励半導体素子G1〜G4の参考例の点弧パターンを示す図である。これは、従来の3レベル変換器で用いられる点弧パターンである。図4の制御信号と比較して、図6の制御信号について説明する。なおこの制御信号が入力される電力変換装置の構成は、図1に示される実施の形態の電力変換装置と同じ構成である。
【0042】
図6を参照して、自励半導体素子G1,G3のオン/オフ制御信号への印加電圧については排他的に用いられ、また、自励半導体素子G2,G4のオン/オフ制御信号への印加電圧についても排他的に用いられる。
【0043】
さらに、自励半導体素子G1のオン制御される時間は自励半導体素子G2のオン制御される時間に包含され、また、自励半導体素子G4のオン制御される時間は自励半導体素子G3のオン制御される時間に包含される。たとえば、(1)自励半導体素子G2の立ち上がり時刻t02から自励半導体素子G1の立ち上がり時刻t11までの時間、(2)自励半導体素子G1の立ち下がり時刻t12から自励半導体素子G2の立ち下がり時刻t21までの時間、(3)自励半導体素子G3の立ち上がり時刻t12から自励半導体素子G4の立ち上がり時刻t21までの時間、および(4)自励半導体素子G4の立ち下がり時刻t22から自励半導体素子G2の立ち下がり時刻t31までの時間は、合成出力波形の高調波成分を最小にするように設定される。
【0044】
具体的には、時刻t02に自励半導体素子G2がオン制御される。さらに、時間2×Δt遅れた時刻t11に自励半導体素子G1がオン制御される。
【0045】
そして、その後自励半導体素子G1,G2は時刻t12までともにオン制御される。時刻t12になると自励半導体素子G1がオフ制御される。同時に自励半導体素子G3がオン制御される。
【0046】
従って、時刻t12〜時刻t21までの間は、自励半導体素子G2,G3はオン制御される。時刻t21に、自励半導体素子G2がオフ制御されると同時に自励半導体素子G4がオン制御される。
【0047】
次に、時刻t12に、自励半導体素子G3がオン制御され、その後時刻t21に自励半導体素子G4がオン制御される。時刻t21〜時刻t22までの間は、自励半導体素子G3,G4がともにオン制御される。
【0048】
また、時刻t22になると、自励半導体素子G4がオフ制御されると同時に自励半導体素子G2がオン制御される。
【0049】
以上時刻t02から時刻t22までの時間を1周期Tとすると、この周期Tごとに上記のような点弧パターンを制御回路100が自励半導体素子G1〜G4に与える。
【0050】
このような制御信号を入力することにより、図6に示すような合成出力波形が得られる。なお、この合成出力波形の高調波成分は最小となっている。
【0051】
具体的には、時刻t11〜時刻t12までは、自励半導体素子G1,G2がオン制御のため、経路PATH1、PATH2を用いて、端子Xは端子Pの電圧を受ける。
【0052】
次に、時刻t12〜t21までは、自励半導体素子G2、G3がオン制御のため、経路PATH3,PATH4を用いて、端子Xは端子Cの電圧を受ける。
【0053】
さらに、時刻t21〜時刻t22までは、自励半導体素子G3、G4がオン制御のため、経路PATH5,PATH6を用いて、端子Xは端子Cの電圧を受ける。
【0054】
時刻t22〜時刻t31までは、時刻t12〜時刻t21と同様な状態であるため、端子Xは端子Cの電圧を受ける。
【0055】
次に、図6で説明した点弧パターンでの電力変換装置の各素子の通流状態について検討する。
【0056】
図7は、図6に示される点弧パターン時における各素子に流れる電流を説明するための図である。図5と比較して、図7を説明する。図6図7を参照して、時刻t02〜時刻t11間において、自励半導体素子G2,G3がオンし、自励半導体素子G1,G4がオフしているため、経路PATH3上に電流が流れる。従って、自励半導体素子G2には、経路PATH3を通して、端子Xに電流が流れる。このとき、経路PAHT3上の結合ダイオードDC1にも通流する。
【0057】
一方、時刻t11〜t12間において、自励半導体素子G1,G2がオンし、自励半導体素子G3,G4がオフしているため、経路PAHT1上に電流が流れる。従って、自励半導体素子G1、G2には、経路PATH1を通して、端子Xに電流が流れる。
【0058】
次に、時刻t12〜時刻t21において、再び自励半導体素子G2,G3がオンし、自励半導体素子G1,G4がオフするため、経路PATH3上に電流が流れる。従って、結合ダイオードDC1に再度電流が流れる。
【0059】
そして、時刻t21〜時刻t22間において、自励半導体素子G3,G4がオンし、自励半導体素子G1,G2がオフするため、経路PATH5上に電流が流れる。
【0060】
以上説明したような動作が周期T(時刻t02〜時刻t22の間)で繰り返し行なわれる。
【0061】
ここで、図5図7を参照して、図7に示すように自励半導体素子G2および結合ダイオードDC1は、他の素子である自励半導体素子G3,G4、結合ダイオードDC2などと比較して、電流が印加される時間が長く、その印加される回数も多い。このため、自励半導体素子G2あるいは結合ダイオードDC1の寿命は、他の素子よりも早くなるため、たとえば、従来の電力変換装置を搭載している可変速揚水発電機は、頻繁に修理・交換を行なうことになり、効率が悪い。
【0062】
一方、本実施の形態の電力発電装置は、自励半導体素子G1,G2のオン/オフ制御をほぼ同時に行ない、自励半導体素子G1,G2のオン/オフ制御と排他的に自励半導体素子G3,G4のオン/オフ制御をほぼ同時に行なうことにより、図5に示すように通流する素子(たとえば、自励半導体素子G1,G2および還流ダイオードDF3、DF4)の負荷はほぼ同じとなる。さらに、消費電力の低減も図れる。
【0063】
従って、従来の参考例と異なり、これらの素子の各々はほぼ同時期に寿命を迎える可能性が高く、本実施の形態の電力変換装置を搭載している可変速揚水発電機は、効率よく、修理・交換を行なえる。
【0064】
最後に図等を用いて実施の形態を総括する。
実施の形態は、図1図3に示すように、交流電源の交流電圧を、第1〜第3の電位の3レベルを有する直流電圧に変換する3レベル変換器を備え、3レベル変換器は、端子P,C,Nと、直流電圧を出力する端子Xとを含み、端子Cは、第1〜第3の電位のうち中間電位が与えられ、端子Pと端子Xとの間に順に直列接続された自励半導体素子G1,G2と、端子Pと端子Xとの間に、自励半導体素子G1,G2の導通する電流の向きと逆方向に順に直列接続された還流ダイオードDF1,DF2と、アノードが端子Cに接続され、カソードが自励半導体素子G1と自励半導体素子G2との接続ノードおよび還流ダイオードDF1と還流ダイオードDF2との接続ノードに接続される結合ダイオードDC1と、端子Xと端子Nとの間に順に直列接続された自励半導体素子G3,G4と、端子Xと端子Nとの間に、自励半導体素子G3,G4の導通する電流の向きと逆方向に順に直列接続された還流ダイオードDF3,DF4と、カソードが端子Cに接続され、アノードが自励半導体素子G3と自励半導体素子G4との接続ノードおよび還流ダイオードDF3と還流ダイオードDF4との接続ノードに接続される結合ダイオードDC2とを含み、自励半導体素子G1〜G4のオン/オフのスイッチングを制御する制御回路100をさらに備え、自励半導体素子G1,G2の制御信号をオフ制御からオン制御に切替えるときには、制御回路100が自励半導体素子G2に制御電圧を印加してからターンオン時間後に、自励半導体素子G1をオン制御し、自励半導体素子G1,G2の制御信号をオン制御からオフ制御に切替えるときには、制御回路100は、自励半導体素子G1に制御電圧を印加してからターンオフ時間後に、自励半導体素子G2の制御信号をオフ制御する。
【0065】
好ましくは、第2の電位は、第1の電位より低く、第3の電位より高い中間電位であり、自励半導体素子G3,G4の制御信号をオフ制御からオン制御に切替えるときには、制御回路100は、自励半導体素子G3に制御電圧を印加してからターンオン時間後に、自励半導体素子G4をオン制御し、自励半導体素子G3,G4の制御信号をオン制御からオフ制御に切替えるときには、制御回路100が自励半導体素子G4に制御電圧を印加してからターンオフ時間後に、自励半導体素子G3の制御信号をオフ制御する。
【0066】
さらに好ましくは、自励半導体素子G3の制御信号と自励半導体素子G2の制御信号との関係は排他的である。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
100 制御回路、C,N,P,X 端子、C1,C2 平滑コンデンサ、DC1,DC2 結合ダイオード、DF1〜DF4 還流ダイオード、G1〜G4 自励半導体素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】