特表-13065792IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年5月10日
【発行日】2015年4月2日
(54)【発明の名称】クロスフローファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 17/04 20060101AFI20150306BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20150306BHJP
   F24F 1/00 20110101ALI20150306BHJP
【FI】
   F04D17/04 B
   F04D29/58 R
   F24F1/00 311
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2013-541840(P2013-541840)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年11月1日
(31)【優先権主張番号】201110346484.1
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田 傑
(72)【発明者】
【氏名】欧陽 華
(72)【発明者】
【氏名】李 游
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 弘宣
(72)【発明者】
【氏名】鄭 志明
(72)【発明者】
【氏名】田中 英志
【テーマコード(参考)】
3H130
3L049
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB02
3H130AB12
3H130AB26
3H130AB54
3H130AC11
3H130BA07C
3H130BA66C
3H130BA68C
3H130CB01
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DJ01Z
3H130EA07C
3H130EA08C
3H130EB01C
3H130EB03C
3H130EB04C
3H130EB05C
3L049BC01
3L049BD02
(57)【要約】
複数の羽根の間の流路幅の低減を抑え、ファンによる電力の損失が少ないクロスフローファンを提供する。クロスフローファン10は、円形支持プレート50と、複数の羽根100とを備えている。羽根100の圧力面円弧Rpの半径rpは負圧面円弧Rsの半径rsより大きく、内周側円弧Riの半径riは外周側円弧Roの半径roより大きい。また、羽根の厚さの最大肉厚部位が長手方向において内周側円弧Riから40〜60%の位置にある。羽根100は、内周側円弧Riが支持プレートの内周側に位置し、外周側円弧Roが支持プレートの外周側に位置するように配置されており、複数の羽根の間の流路幅が支持プレートの内周側から外周側に向かって漸次減少する構造になっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持プレート部(50)と、
所定の間隔で前記支持プレートに複数配置した羽根(100)で形成され、前記羽根の長手方向の断面形状は、凸状の負圧面を形成する負圧面円弧(Rs)と、凹状の圧力面を形成する圧力面円弧(Rp)と、前記負圧面円弧(Rs)の第一端と前記圧力面円弧(Rp)の第一端とを連結する内周側円弧(Ri)と、前記負圧面円弧(Rs)の第二端と前記圧力面円弧(Rp)の第二端とを連結する外周側円弧(Ro)と、を備え、前記圧力面円弧(Rp)の半径(rp)は前記負圧面円弧(Rs)の半径(rs)より大きく、前記内周側円弧(Ri)の半径(ri)は前記外周側円弧(Ro)の半径(ro)より大きく、前記羽根の厚さは、最大肉厚部位が長手方向において前記内周側円弧(Ri)から40〜60%の位置にある翼部(11)と、を備え、
前記羽根(100)は、前記内周側円弧(Ri)が前記支持プレートの内周側に位置し、前記外周側円弧(Ro)が前記支持プレートの外周側に位置するように配置され、
前記複数の羽根の間の流路幅が前記支持プレートの内周側から外周側に向かって漸次減少する、
クロスフローファン。
【請求項2】
前記負圧面は単一負圧面円弧(Rs)で構成され、
前記圧力面は、複数の圧力面円弧(Rp1、Rp2、…Rpn)により構成され、
前記複数の圧力面円弧(Rp1、Rp2、…Rpn)の半径(rp1、rp2、…rpn)はそれぞれ前記負圧面円弧(Rs)の半径(rs)より大きい、
請求項1に記載のクロスフローファン。
【請求項3】
前記複数の圧力面円弧(Rp1、Rp2、…Rpn)の半径(rp1、rp2、…rpn)の大きさは、rp2>rp3>…>rpn>rp1であり、
前記羽根の厚さは、前記最大肉厚部位から前記外周側円弧(Ro)側に向けて段階的に小さくなっている、
請求項2に記載のクロスフローファン。
【請求項4】
前記複数の羽根の間の流路幅の最大減少率は、20%以下である、
請求項1〜3のいずれかに記載のクロスフローファン。
【請求項5】
請求項4に記載のクロスフローファン(10)と、
熱交換器(8)と、
ケーシング(6)と、
を備えた空気調和装置の室内機(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の室内機(1)と、
室外機(2)と、
前記室内機と前記室外機とを連結する配管(3)と、
を備えた空気調和装置(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロスフローファン及びクロスフローファンを備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室内機の送風機には、クロスフローファンが使われている。クロスフローファンは、円形のプレートとプレートの外周に配置される複数の羽根とを有する羽根車を備えている。図15は、特許文献1及び特許文献2に開示されているクロスフローファンの羽根の断面形状である。図15に示すように、羽根500の断面形状は、中央線(一点鎖線)を中心に左右対称で中心が厚く両端が薄い三日月形状である。このような断面が三日月形状のクロスフローファンは羽根の外周側円弧Roと内周側円弧Riの半径が等しく、羽根の凸面側円弧Rsと凹面側円弧Rpとがそれぞれ単一円弧により構成され、Rp>Rsになっている。しかし、クロスフローファンの羽根として、断面が三日月形状を採用した場合、図16に示すように、複数の羽根間の流路において、羽根の内周側においての流路の直径Diが羽根の外周側における流路の直径Do’に減少され、羽根の内周側から外周側にかけての流路幅の変化が大きいため,空気流の速度の変動が大きくなる。具体的には、図17に示すように、外周側の流路幅が24.3%狭くなり,吹出し側では流速が大きくなる。よって、空気流の乱れが大きく,空気の流れが流路に沿って流れにくくなり,吹出し側負圧面で流れの剥離が発生する。その結果、ファンによる電力の損失が増加する。
【0003】
また、特許文献3に開示されているクロスフローファンでは、高圧損時での翼面の流れの剥離による騒音やモータ入力の増加を抑えるため、翼弦長を等分割した場合に分割線に対して非対称な流線形をなし、ファン内周側断面積Saとファン外周側断面積Sbとの比率:Sa/Sb = 1.3〜1.6、ファン内周側先端Rの寸法Raとファン内周側先端Rの寸法Rbの比率:Rb/Ra = 0.1〜0.8、弦長の中央において翼断面厚さが最大になるクロスフローファンの羽根形状が開示されている。しかし、このような形状の羽根においては、隣接羽根間の流路幅が内周側から外周側に向かって漸次減少せず、空気流の速度の変動が安定しない部分が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭57−157788号公報
【特許文献2】特開平2−169896号公報
【特許文献3】特許第4583095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、ファンの外周側における隣接羽根間の流路幅を大きくし、羽根の内周側から外周側にかけての隣接羽根間の流路幅の減少率を小さくすることで,羽根の内周側から外周側にかけての空気の速度の変動を低減し、ファンによる電力の損失が少ないクロスフローファンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1側面に係るクロスフローファンは、支持プレート部と、複数の羽根により形成された翼部と備えている。複数の羽根は、所定の間隔で支持プレート部に配置されている。羽根の長手方向の断面形状は、凸状の負圧面を形成する負圧面円弧と、凹状の圧力面を形成する圧力面円弧と、負圧面円弧の第一端と圧力面円弧の第一端とを連結する内周側円弧と、負圧面円弧の第二端と圧力面円弧の第二端とを連結する外周側円弧と、を備えている。また、圧力面円弧の半径は負圧面円弧の半径より大きく、内周側円弧の半径は外周側円弧の半径より大きく、羽根の厚さの最大肉厚部位が長手方向において内周側円弧から40〜60%の位置にある。また、羽根は、内周側円弧が支持プレートの内周側に位置し、外周側円弧が支持プレートの外周側に位置するように配置されており、複数の羽根の間の流路幅が支持プレートの内周側から外周側に向かって漸次減少する。
このような構造により、羽根の外周側が薄くなり、ファンの外周側における隣接羽根間の流路幅を大きくすることができる。また、羽根の内周側から外周側の全般において隣接羽根間の流路幅が漸次減少し、羽根の内周側から外周側にかけての空気の速度の変動を低減でき、ファンの送風性能の低下を抑制することができる。
【0007】
本発明の第2側面に係るクロスフローファンは、本発明の第1側面のクロスフローファンであって、羽根の負圧面は単一負圧面円弧Rsで構成され、圧力面は複数の圧力面円弧Rp1、Rp2、…Rpnにより構成されており、複数の圧力面円弧Rp1、Rp2、…Rpnの半径rp1、rp2、…rpnはそれぞれ負圧面円弧Rsの半径rsより大きい。
この場合、羽根の圧力面は複数の円弧により構成され、これらの複数の円弧の半径は、それぞれ負圧面円弧の半径より大きい。従って、羽根の内周側における複数の羽根の間の流路幅の減少率がより小さくになり、羽根の内周側から外周側にかけての空気の速度の変動を低減でき、ファンの送風性能の低下を抑制することができる。
【0008】
本発明の第3側面に係るクロスフローファンは、本発明の第2側面のクロスフローファンであって、複数の圧力面円弧Rp1、Rp2、…Rpnの半径rp1、rp2、…rpnの大きさは、rp2>rp3>…>rpn>rp1であり、羽根の厚さは最大肉厚部位から外周側円弧Ro側に向けて段階的に小さくなっている。
この場合、羽根の圧力面は複数の円弧により構成され、羽根の厚さは最大肉厚部位から外周側円弧Ro側に向けて段階的に小さくなっている。従って、羽根の内周側から外周側に向けての複数の羽根の間の流路幅の減少率がより小さくになり、羽根の内周側から外周側にかけての空気の速度の変動を低減でき、ファンの送風性能の低下を抑制することができる。
【0009】
本発明の第4側面に係るクロスフローファンは、本発明の第1〜3側面のいずれかに記載のクロスフローファンであって、複数の羽根の間の流路幅の最大減少率は、20%以下である。
【0010】
本発明の第5側面に係る空気調和気の室内機は、請求項4に記載のクロスフローファンと、熱交換器と、ケーシングとを備えている。
【0011】
本発明の第6側面に係る空気調和装置は、本発明の第5側面に係る室内機と、室外機と、室内機と室外機とを連結する配管とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るクロスフローファンでは、複数の羽根の間の流路幅の減少率を低減させることで、羽根の内周側から外周側にかけての空気の速度の変動を低減でき、ファンの送風性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るクロスフローファンの備える空気調和装置の外観斜視図。
図2】本発明の実施形態に係るクロスフローファンを備える室内機の概略断面図。
図3】本発明の実施形態に係るクロスフローファンの外観斜視図。
図4】羽根車を示す斜視図。
図5】実施例1の羽根の概略断面図。
図6】実施例1の羽根を備えた複数羽根間の流路を表す概略断面図。
図7】実施例1の羽根を備えた複数羽根間の流路幅の変化を表す概略図。
図8】実施例2の羽根の概略断面図。
図9】実施例2の羽根を備えた複数羽根間の流路幅の変化を表す概略図。
図10】実施例3の羽根の概略断面図。
図11】実施例3の羽根を備えた複数羽根間の流路幅の変化を表す概略図。
図12a】従来の三日月形状羽根を備えた複数羽根間の絶対速度を表す概略図。
図12b】実施例1の形状の羽根を備えた複数羽根間の絶対速度を表す概略図。
図13a】従来の三日月形状羽根を備えた複数羽根間の相対速度を表す概略図。
図13b】実施例1の形状の羽根を備えた複数羽根間の相対速度を表す概略図。
図14】クロスフローファンへのモータ入力と風量との関係を表す概略図。
図15】従来の三日月形状羽根の概略断面図。
図16】従来の三日月形状羽根を備えた複数羽根間の流路を表す概略断面図。
図17】従来の三日月形状羽根を備えた複数羽根間の流路幅の変化を表す概略図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係るクロスフローファンを備える機器の一例としての空気調和装置及び室内機について、図1を用いて説明する。
【0015】
実施例1
<空気調和装置の全体構成>
本発明の一実施形態であるクロスフローファンを搭載した空気調和装置の外観を図1に示す。
この空気調和装置は、調和された空気を室内に供給するための装置である。空気調和装置は、室内の壁面などに取り付けられる室内機1と、室外に設置される室外機2とを備えている。
室内機1内には室内熱交換器が収納され、室外機2内には図示しない室外熱交換器が収納される。また、室内熱交換器と室外熱交換器が冷媒配管3により接続されることにより冷媒回路を構成している。
【0016】
<室内機の構成>
図2に示す室内機1は、室内の壁面等に取り付けられる壁掛け型の室内機であって、主として、室内機ケーシング5と、室内熱交換器8と、クロスフローファン10とを備えている。
室内機ケーシング5には、室内熱交換器8およびクロスフローファン10等が収納されている。また、室内機ケーシング5には、空調のための空気取込口6と空気吹出口4とが形成されている。
空気取込口6は室内機ケーシング5の上部および前部に設けられており、室内の空気を室内機ケーシング5の内側に取り込むための開口である。
空気吹出口4は、室内機ケーシング5の前面下部に設けられている。また、空気吹出口4近傍には、空気吹出口4を覆うように水平フラップ7が設けられている。水平フラップ7は、フラップモータ(図示せず)によって回転駆動され、空気の案内方向を変更したり、空気吹出口4を開閉したりする。
【0017】
室内熱交換器8は、長手方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管から挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内熱交換器8は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
クロスフローファン10は、駆動機構としてのモータ(図示せず)と、モータにより空気を図4に示すA1方向に回転駆動する羽根車11とを有している。また、クロスフローファン10は、空気取込口6から室内機ケーシング5内に空気を吸入し、室内熱交換器8を通過させた後に、空気吹出口4から室内機ケーシング5外に空気を吹き出すことができるように配置されている。具体的には、クロスフローファン10は、室内機ケーシング5内における空気の流れ方向において、室内熱交換器8と空気吹出口4との間に配置されている。また、羽根車11の背面側には、案内部9が配置されている。案内部9は、室内熱交換器8と羽根車11との間の空間S1から羽根車11を貫流した後に羽根車11と空気吹出口4との間の空間S2に吹き出された空気流を空気吹出口4に案内する。さらに、羽根車11の前面側には、空間S2に吹き出された空気流が空間S1に逆流することを防止するための舌部15が設けられている。
【0018】
このように、この室内機1では、クロスフローファン10の羽根車11を回転駆動することによって、室内機ケーシング5内の空気が羽根車11の回転軸線Oに対して直交するように貫流して空気吹出口4から吹き出される流れである空間S1から空間S2に向かう空気流を生じさせることができる。これにより、この室内機1では、空気取込口6から室内機ケーシング5内に空気が吸入されることとなり、この室内機ケーシング5に吸入された空気は、室内熱交換器8を通過することによって冷却または加熱され、クロスフローファン10の羽根車11を介して、空気吹出口4から室内機ケーシング5外に吹き出される。
次に、クロスフローファン10の羽根車11の構成について説明する。
【0019】
<羽根車の構成>
クロスフローファン10は、図3に示すように、クロスフローファン10の回転軸線O方向である回転軸方向に細長いロータ状の外観形状を有している。また、クロスフローファン10は、主として、第1端面に設けられた円板状の円形支持プレート12、第2端面に設けられた円板状の円形支持プレート50と、複数の羽根車11と、複数の羽根車11の間に設けられた円板状の円形支持プレート51と、を有しており、これらが相互に接合されて構成されている。なお、円形支持プレート12は、回転軸方向の第一端を構成しており、円板状の円形支持プレート50は、回転軸方向の第2端を構成している。円形支持プレート12は、羽根車11の回転軸(すなわち、回転軸線O)を中心として回転する。また、円形支持プレート12の中央には、クロスフローファン10の回転軸としての軸部58が設けられている。
【0020】
また、複数の羽根車11は、第1端面に設けられた円板状の円形支持プレート12と第2端面に設けられた円板状の円形支持プレート50との間に1つ以上(ここでは、9つ)配置されている。
図3および図4に示すように、円板状の円形支持プレート50には、複数の羽根100が設けられたおり、円形支持プレート50は、クロスフローファン10の回転軸(すなわち、回転軸線O)を中心として回転する。また、複数の羽根100は、円形支持プレート50の円周方向に配置されている。また、各羽根100は、円形支持プレート50において、クロスフローファン10の回転方向(ここでは、図4に示すA1方向)に向かって所定角度傾斜するように配置されている。
本願発明において、羽根を除く他の構成はいずれかの実施例でも同じ構造であるため、下記の各実施例では、他の構成に関する記載は省略し、羽根の構成のみについて記載する。
【0021】
<羽根の構成>
図4図6に示すように、実施例1に係る羽根100は、支持プレート50に所定の間隔で複数配置されている。羽根の長手方向の断面形状は、凸状の負圧面を形成する負圧面円弧Rsと、凹状の圧力面を形成する圧力面円弧Rpと、負圧面円弧Rsの第一端と圧力面円弧Rpの第一端とを連結する内周側円弧Riと、負圧面円弧Rsの第二端と圧力面円弧Rpの第二端とを連結する外周側円弧Roと、を備えている。圧力面円弧Rpの半径rpは負圧面円弧Rsの半径rsより大きく、内周側円弧Riの半径riは外周側円弧Roの半径roより大きい。また、羽根の厚さの最大肉厚部位が長手方向において内周側円弧Riから40〜60%の位置にある。羽根100は、内周側円弧Riが支持プレートの内周側に位置し、外周側円弧Roが支持プレートの外周側に位置するように配置されており、複数の羽根の間の流路幅が支持プレートの内周側から外周側に向かって漸次減少する構造になっている。
【0022】
<特徴>
実施例1に係る羽根100は、圧力面円弧Rpの半径rpは負圧面円弧Rsの半径rsより大きく、内周側円弧Riの半径riは外周側円弧Roの半径roより大きい。即ち、ri>ro、rp>rsである。その結果、図5に示す羽根100は、外周側の圧力面の厚さの一部が薄くなり、図13で示す断面が三日月形状の羽根500と比べて、羽根100の外周側の圧力面の厚さがカットされている。その結果、図6に示すように、羽根100の内周側においての流路の直径Diが羽根の外周側における流路の直径Doに減少されている。しかし、羽根100の外周側の圧力面の厚さがカットされているため、羽根100の外周側における流路の直径Doは、従来の断面が三日月形状の羽根500の外周側における流路の直径Do’に比べて大きい。従って、実施例1に係る羽根100の内周側から外周側にかけての流路幅の変化は、従来の三日月形状の羽根500の内周側から外周側にかけての流路幅の変化より小さく,速度の変動も小さくなる。具体的には、図7に示すように、実施例1に係る羽根100の外周側の複数の羽根の間の流路幅の最大減少率は20%以下であり、且つ羽根500の内周側から外周側にかけての流路幅より13.7%大きくなっている。その結果、吹出し側では流速の増大が小さくなり、よって、空気流の乱れが小さくなり、吹出し側負圧面で流れの剥離が発生し難くなっている。その結果、ファンによる電力の損失が減少する。
【0023】
実施例2
<羽根の構成>
実施例2に係る羽根200は、図8に示すように、圧力面円弧Rpが二円弧により構成されている。圧力面Rpは、内周側に位置する第1圧力面円弧Rp1と、外周側に位置する第2圧力面円弧Rp2により構成されており、内周側に位置する第1圧力面円弧Rp1の半径rp1、外周側に位置する第2圧力面円弧Rp2の半径rp2は、それぞれ負圧面円弧Rsの半径rsより大きく、内周側に位置する第1圧力面円弧Rp1の半径rp1は外周側に位置する第2圧力面円弧Rp2の半径rp2より小さい。即ち、ri>ro、rp2>rp1>rsである。また、羽根の厚さの最大肉厚部位が長手方向において内周側円弧Riから40〜60%の位置にある。羽根100は、内周側円弧Riが支持プレートの内周側に位置し、外周側円弧Roが支持プレートの外周側に位置するように配置されており、複数の羽根の間の流路幅が支持プレートの内周側から外周側に向かって漸次減少する構造になっている。
【0024】
<特徴>
実施例2に係る羽根200は、圧力面円弧Rpが二円弧により構成されている。その結果、圧力面円弧Rpが単一円弧により構成されている実施例1に係る羽根100と比べて、羽根200の外周側の圧力面の厚さがより薄くなるようにカットされている。その結果、実施例2に係る羽根200の内周側から外周側にかけての流路幅の変化は、従来の三日月形状の羽根500の内周側から外周側にかけての流路幅の変化よりさらに小さくなり、速度の変動もより小さくなる。具体的には、図9に示すように、実施例2に係る羽根200の外周側の複数の羽根の間の流路幅の最大減少率は20%以下であり、且つ羽根500の内周側から外周側にかけての流路幅より13.7%大きくなっている。しかし、実施例2に係る羽根200は内周側においては実施例1に係る羽根100より流路幅の減少が小さくなっている。その結果、羽根の内周側から外周側までの長さ方向全体において、空気流の乱れが小さくなり、吹出し側負圧面で流れの剥離が発生し難くなっている。その結果、ファンによる電力の損失が減少する。
【0025】
実施例3
<羽根の構成>
実施例3に係る羽根300は、図10に示すように、圧力面Rpは、三円弧により構成されている。内周側に位置する第1圧力面円弧Rp1と、外周側に位置する第3圧力面円弧Rp3と、内周側と外周側との間に位置する第2圧力面円弧Rp2により構成されており、内周側に位置する第1圧力面円弧Rp1の半径rp1、内周側と外周側との間に位置する第2圧力面円弧Rp2の半径rp2、外周側に位置する第3圧力面円弧Rp3の半径rp3は、それぞれ負圧面円弧Rsの半径rsより大きく、内周側に位置する第1圧力面円弧Rp1の半径rp1は外周側に位置する第3圧力面円弧Rp3の半径rp3より小さく、内周側と外周側の間に位置する第2圧力面円弧Rp2の半径rp2は外周側に位置する第3圧力面円弧Rp3の半径rp3より大きい。即ち、ri>ro、rp2>rp3>rp1>rsである。また、羽根の厚さの最大肉厚部位が長手方向において内周側円弧Riから40〜60%の位置にある。羽根100は、内周側円弧Riが支持プレートの内周側に位置し、外周側円弧Roが支持プレートの外周側に位置するように配置されており、複数の羽根の間の流路幅が支持プレートの内周側から外周側に向かって漸次減少する構造になっている。
【0026】
<特徴>
実施例3に係る羽根300は、圧力面円弧Rpが三円弧により構成されている。その結果、圧力面円弧Rpが単一円弧、二円弧により構成されている実施例1に係る羽根100、実施例2に係る羽根200と比べて、外周側の圧力面の厚さがより薄くなるようにカットされている。その結果、実施例3に係る羽根300の内周側から外周側にかけての流路幅の変化は、従来の三日月形状の羽根500の内周側から外周側にかけての流路幅の変化よりさらに小さくなり、速度の変動もより小さくなる。具体的には、図11に示すように、実施例3に係る羽根300の外周側の複数の羽根の間の流路幅の最大減少率は20%以下であり、且つ羽根500の内周側から外周側にかけての流路幅より13.7%大きくなっている。しかし、実施例3に係る羽根300は内周側においては実施例1に係る羽根100、実施例2に係る羽根200より流路幅の減少が小さくなっている。その結果、羽根の内周側から外周側までの長さ方向全体において、空気流の乱れが小さくなり、吹出し側負圧面で流れの剥離が発生し難くなっている。その結果、ファンによる電力の損失が減少する。
【0027】
<発明の効果>
本発明は、クロスフローファンの羽根の外周側の圧力面の厚さがカットされ、複数の羽根の間の流路幅が支持プレートの内周側から外周側に向かって漸次減少する構造になっている。その結果、羽根の内周側から外周側までの長さ方向全体において、空気流の乱れが小さくなり、吹出し側負圧面で流れの剥離が発生し難くなっている。その結果、ファンによる電力の損失が減少する。
クロスフローファン10の外径が90mm、クロスフローファン10の回転速度が1200rpm、最大送風量が10.4m3/minの場合を例として、実施例1に係る羽根100を採用した場合と、従来の三日月形状の羽根500を採用した場合とにおける、クロスフローファン10の吹き出し側の複数の羽根間の空気流の絶対速度、相対速度について実験を行い、クロスフローファンへのモータ入力と風量との関係についても調べた。
【0028】
複数の羽根間の空気流の計算結果から得られた流体速度ベクトルの分布状態を絶対速度ベクトル図で表すと、従来の三日月形状の羽根500を採用した際の結果は図12a、実施例1に係る羽根100を採用した際の結果は図12bに示す通りである。ここでは、実施例1に係る羽根100を採用した際は、従来の三日月形状の羽根500を採用した際と比べて、複数の羽根間の流速が低下したため、吹出し口における空気流の流速が低下し,吹出し流路内での損失が低減できる。
また、複数の羽根間の空気流の計算結果から得られた流体速度ベクトルの分布状態を相対速度ベクトル図で表すと、従来の三日月形状の羽根500を採用した際の結果は図13a、実施例1に係る羽根100を採用した際の結果は図13bに示す通りである。ここでは、実施例1に係る羽根100を採用した際は、従来の三日月形状の羽根500を採用した際と比べて、複数の羽根間流路幅が広がっているため、羽根間における流速を低下させることができ、摩擦や流路の縮小による損失などが低減できる。
【0029】
さらに、クロスフローファンへのモータ入力と風量との関係についての実験結果は、図14に示すように、実施例1に係る羽根100を採用した場合は、従来の三日月形状の羽根500を採用した場合と比べて、モータの入力は5%低減した。
【符号の説明】
【0030】
1 室内機
2 室外機
3 配管
4 空気調和装置
6 室内機のケーシング
8 室内機の熱交換器
10 クロスフローファン
11 羽根車
50 円盤状支持プレート
100,200,300,500 羽根
Rp 圧力面円弧
Rs 負圧面円弧
Ri 内周側円弧
Ro 外周側円弧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】