特表-13088897IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年6月20日
【発行日】2015年4月27日
(54)【発明の名称】環境調整装置及び環境システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20150331BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20150331BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20150331BHJP
【FI】
   F24F11/02 103A
   F24F11/02 103D
   F24F11/02 A
   H05B37/02 Z
   G06Q50/16 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2013-549174(P2013-549174)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年11月14日
(31)【優先権主張番号】特願2011-270905(P2011-270905)
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511108057
【氏名又は名称】ステラグリーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】多久島 朗
【テーマコード(参考)】
3K273
3L260
5L049
【Fターム(参考)】
3K273PA04
3K273QA07
3K273QA28
3K273QA30
3K273RA11
3K273RA15
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3K273RA17
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3K273SA60
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3K273UA15
3K273UA21
3L260AA08
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3L260BA05
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3L260CB63
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3L260FA03
3L260FA06
3L260FC38
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3L260JA18
3L260JA19
3L260JA20
3L260JA24
5L049CC29
(57)【要約】
本発明の環境調整装置は、空間内の環境に関する環境情報を検出する環境情報検出部と、前記環境情報に基づいて前記空間内の環境を調整する環境調整部と、前記空間内に配置された物品に対応して前記物品の近傍に配置された識別情報提供部より提供される物品識別情報に対するアクセス回数を計数する計数部と、前記物品識別情報が提供される位置情報及び前記物品識別情報に対するアクセス回数を記憶する記憶部と、前記物品識別情報に対するアクセス回数に基づいて前記環境情報の検出値を補正する環境補正部と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の環境に関する環境情報を検出する環境情報検出部と、
前記環境情報に基づいて前記空間内の環境を調整する環境調整部と、
前記空間内に配置された物品に対応して前記物品の近傍に配置された識別情報提供部より提供される物品識別情報に対するアクセス回数を計数する計数部と、
前記物品識別情報が提供される位置情報及び前記物品識別情報に対するアクセス回数を記憶する記憶部と、
前記物品識別情報に対するアクセス回数に基づいて前記環境情報の検出値を補正する環境補正部と、を備えることを特徴とする環境調整装置。
【請求項2】
前記環境補正部は、前記物品識別情報に対するアクセス回数が多ければ前記環境情報の検出値を低く補正することを特徴とする請求項1に記載の環境調整装置。
【請求項3】
前記環境補正部は、
前記アクセス回数に基づいて、前記空間内の領域における人の存在位置及び滞在状況を予測し、当該予測の結果に応じて前記空間内の前記物品が配置された領域における前記環境情報の検出値を補正して前記環境調整部による前記環境の調整の程度を変更することを特徴とする請求項1記載の環境調整装置。
【請求項4】
前記物品識別情報を受信する物品識別情報受信部と、
前記受信された物品識別情報を提供する識別情報提供部に対応する物品に関する物品情報を提供する物品情報提供部を備えることを特徴とする請求項1に記載の環境調整装置。
【請求項5】
前記物品識別情報を受信する物品識別情報受信部と、
前記受信された物品識別情報を提供する識別情報提供部に対応する物品に関する物品情報を提供する物品情報提供部を備えることを特徴とする請求項3に記載の環境調整装置。
【請求項6】
前記物品情報提供部は、前記物品に関するネットワーク上の情報を物品情報として提供する請求項4に記載の環境調整装置。
【請求項7】
前記環境調整部による環境の調整は、前記空間内の温度、湿度、照度、および照明の色温度のいずれか一以上を含む請求項1から6のいずれかに記載の環境調整装置。
【請求項8】
環境調整装置と、サーバ装置とを備える環境システムであり、
前記サーバ装置は、
携帯端末が取得した前記物品識別情報を受信する識別情報受信部と、
前記受信された物品識別情報を提供する識別情報提供部に対応する物品に関するネットワーク上の情報を前記携帯端末へ返信する返信部と、
前記識別情報受信部による物品識別情報をその物品識別情報に対するアクセス回数として計数して記憶する計数記憶部と、
前記計数記憶部に記憶されているアクセス回数を前記環境調整装置へ送信するアクセス回数送信部とを備え、
前記環境調整装置は、
請求項1から7のいずれかに記載の環境調整装置であることを特徴とする環境システム。
【請求項9】
前記識別情報受信部は前記携帯端末が前記物品識別情報を撮影して取得したものであることを特徴とする請求項8に記載の環境システム。
【請求項10】
前記識別情報受信部は前記携帯端末が、前記物品識別情報により識別される物品の近傍に配置された識別マーカーより近距離無線通信を行って、取得したものであることを特徴とする請求項8に記載の環境システム。
【請求項11】
前記環境調整装置は、送信されるアクセス回数が多ければ、空間内の環境に関する環境情報の検出値を低く補正することを特徴とする請求項8に記載の環境システム。
【請求項12】
環境情報検出部と環境調整部と係数部と記憶部と環境補正部とを備える環境調整装置の動作方法であり、
前記環境情報検出部は、空間内の環境に関する環境情報を検出し、
前記環境調整部は、前記環境情報に基づいて前記空間内の環境を調整し、
前記係数部は、前記空間内に配置された物品に対応して前記物品の近傍に配置された識別情報提供部より提供される物品識別情報に対するアクセス回数を計数し、
前記記憶部は、前記物品識別情報が提供される位置情報及び前記物品識別情報に対するアクセス回数を記憶し、
前記環境補正部は、前記物品識別情報に対するアクセス回数に基づいて前記環境情報の検出値を補正することを含むことを特徴とする、環境調整装置の動作方法。
【請求項13】
前記環境補正部は、前記物品識別情報に対するアクセス回数が多ければ前記環境情報の検出値を低く補正することを特徴とする請求項12に記載の、環境調整装置の動作方法。
【請求項14】
前記環境補正部は、前記アクセス回数に基づいて、前記空間内の領域における人の存在位置及び滞在状況を予測し、当該予測の結果に応じて前記空間内の前記物品が配置された領域における前記環境情報の検出値を補正して前記環境調整部による前記環境の調整の程度を変更することを特徴とする請求項12に記載の、環境調整装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗などの施設における特定空間内の環境を調整する環境調整装置及び環境システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定空間内に設置される空調設備では、当該空間内に設置された温度計の検出値により目標の温度に自動的に調整することが行われている。この空調設備に関する様々な発明が提案されている。
【0003】
上記空調設備に関する発明としては、例えば、特許文献1により提案された空調制御システムがある。この空調制御システムでは、複数の利用者が出入りする一以上の領域において利用者の入出時間情報を取得し、この入出時間情報に基づき、領域における利用者ごとの滞在時間を演算し、利用者ごとの個別適温情報と滞在時間に関する優先度とにより領域の空調設定温度を調整している。
【0004】
また、特許文献2により提案された環境制御システムでは、利用者の通信端末から送信される位置情報、温度情報及び指示情報に基づいて、各利用者近傍の温度を増減させる制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−132621号公報
【特許文献2】特開2009−103347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記空調制御システム及び環境制御システムでは、利用者の滞在時間や利用者の通信端末から送信される位置情報及び温度情報に基づいて、ある領域や各利用者近傍の温度を調整するだけであった。すなわち、従来からの温度検出による温度調整の制御処理に利用者に関する制御パラメータを追加しただけであった。このため、店舗等の特定空間内に設置される空調設備では、物品及び利用者の双方を考慮した空調設備の制御処理が必要であるが、上記空調制御システム及び環境制御システムでは考慮されていない。さらに、このような特定空間では、空調以外の照明等の設備も考慮した制御処理と空調制御処理を連携させることが望ましい。
【0007】
本発明の目的は、店舗等の特定空間において利用者の存在状況及び物品に対するアクセス状況を考慮して温度・湿度・照明等の環境設備の運転状態を最適化する環境調整装置及び環境システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の形態に係る環境調整装置は、空間内の環境に関する環境情報を検出する環境情報検出部と、前記環境情報に基づいて前記空間内の環境を調整する環境調整部と、前記空間内に配置された物品に対応して前記物品の近傍に配置された識別情報提供部より提供される物品識別情報に対するアクセス回数を計数する計数部と、前記物品識別情報が提供される位置情報及び前記物品識別情報に対するアクセス回数を記憶する記憶部と、前記物品識別情報に対するアクセス回数に基づいて前記環境情報の検出値を補正する環境補正部と、を備えることを特徴とする。この環境調整装置によれば、店舗等の特定空間において利用者の存在状況及び物品に対するアクセス状況を考慮して温度・湿度・照明等の環境設備の運転状態を最適に制御することができる。
【0009】
また、前記環境補正部は、前記アクセス回数に基づいて、前記空間内の領域における人の存在位置及び滞在状況を予測し、当該予測の結果に応じて前記空間内の前記物品が配置された領域における前記環境情報の検出値を補正して前記環境調整部による前記環境の調整の程度を変更してもよい。この環境調整装置によれば、物品が配置された空間内における温度・湿度・照明等の環境設備の運転状態を最適に制御することが可能になる。
【0010】
また、前記物品識別情報を受信する物品識別情報受信部と、前記受信された物品識別情報を提供する識別情報提供部に対応する物品に関する物品情報を提供する物品情報提供部を備えてもよい。この環境調整装置によれば、利用者に対して更に好適なサービスを提供することができる。
【0011】
また、前記物品情報提供部は、前記物品に関するネットワーク上の情報を物品情報として提供してもよい。この環境調整装置によれば、利用者に対して更に好適な物品情報を提供でき、物品の販売促進に寄与することが可能になる。
【0012】
また、前記環境調整部による環境の調整は、前記空間内の温度、湿度、照度、および照明の色温度のいずれか一以上を含めてもよい。この環境調整装置によれば、特定空間内の照明も含めて環境を最適に調整することが可能になる。
【0013】
本発明の一実施の形態に係る環境システムは、環境調整装置と、サーバ装置とを備える環境システムであり、前記サーバ装置は、携帯端末が取得した前記物品識別情報を受信する識別情報受信部と、前記受信された物品識別情報を提供する識別情報提供部に対応する物品に関するネットワーク上の情報を前記携帯端末へ返信する返信部と、前記識別情報受信部による物品識別情報をその物品識別情報に対するアクセス回数として計数して記憶する計数記憶部と、前記計数記憶部に記憶されているアクセス回数を前記環境調整装置へ送信するアクセス回数送信部とを備え、前記環境調整装置は、請求項1から5のいずれかに記載の環境調整装置を備えることを特徴とする。この環境システムによれば、店舗等の特定空間において利用者の存在状況及び物品に対するアクセス状況を考慮して温度・湿度・照明等の環境設備の運転状態を最適に制御することができる。
【0014】
また、前記識別情報受信部は前記携帯端末が前記物品識別情報を撮影して取得したものであってもよい。この環境システムによれば、利用者の携帯端末に対してアクセスした物品に関する情報を容易に提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、物品に対するアクセス状況を参照して店舗等の特定空間における利用者の存在状況を考慮して温度・湿度・照明等の環境設備の運転状態を最適に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る環境システムの構成例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る環境調整装置の構成例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るサーバ装置の構成例を示す図である。
図4図2の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図5図3の計数記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図6図1の環境システムにおいて行われる動作の一例を示すチャートである。
図7図1の環境システムにおいて行われる動作の他の例を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る環境システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明される実施形態に限定されることはなく、種々の変形を行って実施することが可能である。
【0018】
(システム構成)
図1は、実施形態に係る環境システムの概略構成を示す図である。図1において、環境システム1は、環境調整装置100と、サーバ装置300と、物品関連サイト400と、を備える。環境調整装置100及びサーバ装置300はLAN(N1)に接続され、サーバ装置300及び物品関連サイト400はインターネットN2に接続される。なお、このシステム構成は一例であり、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、環境調整装置100とサーバ装置300とが一体となっていてもよい。また、サーバ装置300と物品関連サイト400とが一体となり、インターネットが用いられない場合もある。
【0019】
次に、環境調整装置100の構成例及び設置例について図2を参照して説明する。図2において、環境調整装置100が店舗10内に設置される例を示している。店舗10内(特定空間)には、物品を陳列するための複数の陳列棚101PA1〜101PA3、102PB1〜102PB3が配置され、各陳列棚101PA1〜101PA3、102PB1〜102PB3には物品A1〜A3、B1〜B3が配置されている。
【0020】
図2において、環境調整装置100は、環境情報センサ111S1、112S2と、物品識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2と、環境調整部120と、計数部140と、記憶部150と、環境補正部160と、物品識別情報受信部170と、物品情報提供部180と、を備える。なお、この環境調整装置100の構成は一例であり、本発明はこの構成に限定されるものではない。また、環境調整部120、計数部140、記憶部150、環境補正部160、物品識別情報受信部170及び物品情報提供部180は、同一の筐体内に収納されており、制御部101を構成する。あるいは、複数の筐体に環境調整部120、計数部140、記憶部150、環境補正部160、物品識別情報受信部170及び物品情報提供部180が分散して収納されていてもよい。さらに、店舗10内には無線基地局200が設置されている。
【0021】
環境情報センサ111S1、112S2は、店舗10内の温度・湿度・照度等の環境情報を検出するものであるが、陳列棚101PA1〜101PA3、102PB1〜102PB3近傍における利用者の存在状況による環境への影響を特に検出するため、陳列棚101PA1〜101PA3及び102PB1〜102PB3の各近傍に配置されている。
環境情報センサ111S1、112S2は、無線基地局200との間で無線通信を行う無線通信機能を有しており、無線基地局200と共にセンサネットワークを構成する。環境情報センサ111S1、112S2は、無線基地局200を介して検出した環境検出情報を制御部101に送信する無線通信機能を有する。
【0022】
識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2は、各物品A1〜A3、B1〜B3の近傍に配置されている。例えば、識別マーカーは、物品と並置されたり、上下の位置に配置され、どの識別マーカーがどの物品に対応しているかが理解できるように配置される。識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2は、各物品A1〜A3、B1〜B3に対応する物品識別情報を提供するためのマーカーであり、例えば、その表面に各物品A1〜A3、B1〜B3およびその陳列位置に対応するイメージやコード等が印刷されている。例えば、各物品およびその陳列位置を識別する2次元バーコード(2次元コード)が印刷されていてもよい。あるいは、2次元バーコード(2次元コード)の代わりに、各物品及びその陳列位置を識別する円形、三角形、四角形などの幾何学的な図形が印刷されていてもよい。識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2は、識別情報提供部として機能する。
【0023】
なお、識別マーカーは、利用者が携帯する携帯電話等のカメラにより撮影がされて検出されることを主な目的としている。このため、識別マーカーは利用者に直接認識できる必要はない。このため、識別マーカーは、例えば利用者に認識できず携帯電話等のカメラにより検出が可能な赤外線を用いて構成されていてもよい。例えば、赤外線を物品およびその陳列位置を識別する識別信号により変調を行なって識別マーカーより放射してもよい。
【0024】
識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2は、図中に示す利用者CA、CBが携帯する携帯電話等の携帯通信端末201、202のカメラにより撮影がされる。識別マーカーの撮影がされ携帯通信端末により検出がされると、携帯通信端末のディスプレイなどの表示部に、識別マーカーの部分にリンクなどの表示がされ選択することが可能な状態で表示されてもよい。例えば、表示部がタッチパネルである場合には、識別マーカーの部分のリンクなどの表示を利用者の指などによりクリックすることができる。
【0025】
携帯通信端末の表示部において識別マーカの選択可能に表示された部分が選択されると、この選択された旨が識別マーカに対応する物品へのアクセス情報として、携帯通信端末201、202から無線基地局200を介して制御部101に送信される。この場合、携帯通信端末201、202には識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2を検出しアクセス情報を送信するためのプログラムが予めインストールされているものとする。携帯通信端末201、202により識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2にアクセスする方法は、例えば、携帯通信端末201、202に搭載されたカメラ機能により識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2が撮影された物品識別情報が無線基地局200を介してサーバ装置300に無線送信されるようにしてもよい。さらに、このアクセスの際に、環境調整装置100は、アクセスされた物品に関連する情報をサーバ装置300から受信して無線基地局200を介して利用者CA、CBの携帯通信端末201、202に送信して、アクセスした物品A1〜A3、B1〜B3に関連する情報を提供するようにしてもよい。
【0026】
なお、携帯通信端末がアクセス情報を送信する送信先であるサーバ装置300のアドレスなどは、利用者が特定空間に入りアクセス情報を送信するまでに携帯通信端末に設定されるのが好ましい。例えば、特定空間内の入り口に、サーバ装置300のアドレスなどを示す2次元バーコードなどを掲示しておき、利用者はその2次元バーコードを携帯通信端末のカメラにより撮影し、2次元バーコードを復号してサーバ装置300のアドレスなどを設定する。あるいは、携帯通信端末が特定空間内の無線LANのアクセスポイントに接続し、無線LANのアクセスポイントからサーバ装置300のアドレスなどを取得するようになっていてもよい。また、識別マーカーが変調された赤外線を放射する場合には、赤外線を変調する変調信号にサーバ装置300のアドレスなどを含ませて、携帯通信端末がサーバ装置300のアドレスなどを取得できるようにすることもできる。
【0027】
また、識別マーカーは、携帯通信端末のカメラなどを用いて光学的に検出されるものに限定されることはない。例えば、識別マーカーは、ISO/IEC 14443、ISO/IEC 18092またはISO/IEC 21481の規格などに基づく近距離無線通信を携帯通信端末と行ってもよい。この場合、識別マーカーは、近距離無線通信により携帯通信端末へ、識別マーカーを特定するための識別情報や物品識別情報、サーバ装置300のアドレスなどを送信する。携帯通信端末は、識別マーカーより識別マーカーを特定するための識別情報や物品識別情報、サーバ装置300のアドレスなどを受信すると、サーバ装置300へ識別マーカーを特定するための識別情報を送信し、サーバ装置300へアクセス情報を送信する。あるいは、識別マーカーは、識別マーカーが対応する物品の情報を示すウェブページのアドレスを近距離無線通信により携帯通信端末へ送信し、サーバ装置300へアクセス情報を送信してもよい。
【0028】
また、識別マーカーは、近距離無線通信により携帯通信端末へ、無線LANのアクセスポイントに関する情報(例えば、SSID、暗号化キー)を送信してもよい。この場合には、携帯無線端末は、サーバ装置300へ識別マーカーを特定するための識別情報を送信するために、受信したSSIDなどを用いて無線LANとのコネクションを確立する。
【0029】
通常、近距離無線通信により通信が行われる距離は10センチメートル程度であるので、携帯通信端末のカメラなどを用いて光学的に識別マーカーを検出する場合に比べて、識別マーカーの周囲における利用者の存在位置及び滞在状況をより正確に取得することができる。
【0030】
環境調整部120は、無線基地局200から受信する環境検出情報に基づいて、陳列棚101PA1〜101PA3及び102PB1〜102PB3の各近傍における温度・湿度・照度・照明の色温度等のいずれか一以上の環境を調整する。例えば、あらかじめ設定された温度・湿度・照度・照明の色温度等が維持されるように、環境情報の検出値に基づいて空調装置や照明装置等を制御する。
【0031】
計数部140は、上記携帯通信端末201、202から送信されるアクセス情報に基づいて、各物品A1〜A3、B1〜B3に対応するアクセス回数を計数するものである。なお、この計数部140の処理は、後述するサーバ装置300の計数記憶部350において行うようにしてもよい。
【0032】
記憶部150は、上記計数部140により計数されるアクセス回数を対応する物品A1〜A3、B1〜B3が配置された陳列棚101PA1〜101PA3、102PB1〜102PB3の位置情報と物品識別情報に対応付けて記憶するものである。例えば、図4に示すようなテーブルT1として記憶してもよい。この場合、位置情報と物品識別情報は図2の各部の符号に対応付けた場合を示している。なお、テーブルT1に記憶する情報は、店舗10の運営者から提示される条件により一定期間毎に更新するようにしてもよい。
【0033】
環境補正部160は、上記記憶部150に記憶されるアクセス回数に基づいて、各物品A1〜A3、B1〜B3が配置された陳列棚101PA1〜101PA3及び102PB1〜102PB3の各近傍における利用者の存在位置及び滞在状況を予測する。そして、環境補正部160は、その予測結果に応じて店舗10内の物品A1〜A3、B1〜B3が配置された各領域A、B(図2参照)における上記環境情報の検出値を補正して環境調整部120による環境の調整の程度を変更する。
【0034】
物品識別情報受信部170は、上記利用者CA、CBの携帯通信端末201、202により識別マーカー131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2にアクセスされた際に、携帯通信端末201、202から物品識別情報を受信する。
【0035】
物品情報提供部180は、各物品A1〜A3、B1〜B3に関連する物品情報をサーバ装置300から受信して、各物品A1〜A3、B1〜B3にアクセスした携帯通信端末201、202に無線送信する。このため、利用者CA、CBは、アクセスした物品A1〜A3、B1〜B3に関連する物品情報を容易に確認できる。また、店舗10の運営者は、この情報提供サービスにより物品の販売促進を図ることが可能になる。なお、この物品情報提供部180の処理は、後述するサーバ装置300の返信部330において行うようにしてもよい。
【0036】
次に、図1に示したサーバ装置300の構成例について図3を参照して説明する。図3において、サーバ装置300は、識別情報受信部320、返信部330、アクセス回数送信部340を含む無線通信部310と、計数記憶部350と、を備える。なお、このサーバ装置300の構成は一例であり、本発明はこの構成に限定されるものではない。
【0037】
識別情報受信部320は、上記携帯通信端末201、202から送信される物品識別情報を受信する。
【0038】
返信部330は、識別情報受信部320により受信された物品識別情報に対応する物品に関するインターネットN2上の情報を物品関連サイト400から受信し、その情報を物品情報としてLAN及び無線基地局200を介して各物品A1〜A3、B1〜B3にアクセスした携帯通信端末201、202に返信する。この返信部330の処理は、上記環境調整装置100の物品情報提供部180において行うようにしてもよい。
【0039】
計数記憶部350は、識別情報受信部320により受信された物品識別情報をその物品識別情報に対するアクセス回数として計数して記憶する。例えば、図5に示すようなテーブルT2として記憶してもよい。この計数記憶部350の処理は、上記環境調整装置100の計数部140において行うようにしてもよい。
【0040】
アクセス回数送信部340は、上記計数記憶部350に記憶された物品識別情報アクセス回数をLAN及び無線基地局200を介して環境調整装置100に送信する。
【0041】
(システム動作)
次に、環境システム1において行われる動作の一例について図6に示すチャートを参照して説明する。
【0042】
利用者CA又はCBが携帯する携帯通信端末201又は202により物品A3又はB3の近傍に配置された識別マーカー131MA3又は131MB3にアクセスされると(ステップS201)、携帯通信端末201又は202のカメラ機能等により識別マーカー131MA3又は131MB3のイメージが取得され、物品識別情報として無線通信基地局200を介して環境調整装置100に送信される(ステップS202)。
【0043】
環境調整装置100では、物品識別情報受信部170により物品識別情報が受信される(ステップS101)。次いで、物品情報提供部180により受信された物品識別情報が無線基地局200を介してサーバ装置300に送信される(ステップS102)。
【0044】
サーバ装置300では、識別情報受信部170により物品識別情報が受信されると(ステップS301)、返信部330によりインターネットN2を介して物品識別情報に関する物品関連サイト400にアクセスされて(ステップS302)、物品関連サイト400から物品A3又はB3に関する情報が取得される(ステップS303)。続いて、返信部330により物品A3又はB3に関する情報が物品情報としてLAN及び無線基地局200を介して環境調整装置100に送信される(ステップS304)。
【0045】
次いで、環境調整装置100の物品情報提供部180によりサーバ装置300から物品情報が受信されると(ステップS103)、その物品情報が無線基地局200を介してアクセスした携帯通信端末201又は202に送信される(ステップS104)。携帯通信端末201又は202では、受信した物品情報が表示される。この処理により、識別マーカー131MA3又は131MB3にアクセスした携帯通信端末201又は202の利用者CA又はCBは、興味がある物品A3又はB3に関するより詳細な情報を容易に取得できる。また、店舗10の運営者は物品の販売促進に寄与することを期待することができる。
【0046】
次いで、環境調整装置100の計数部140では、受信した物品識別情報によりアクセスされた物品A3又はB3のアクセス回数が計数される(ステップS105)。続いて、記憶部150により計数されたアクセス回数と共に物品A3又はB3が配置された位置として陳列棚101PA3又は102PB3の位置情報及び物品識別情報131MA3又は132MB3が図4に示したテーブルT1に記憶される(ステップS105)。
【0047】
次いで、環境調整装置100の環境補正部170では、環境情報センサ111S1、112S2の検出値を補正する検出値補正処理が行われる(ステップS106)。例えば、上記記憶部150に記憶されるアクセス回数に基づいて、各物品A1〜A3、B1〜B3が配置された陳列棚101PA1〜101PA3及び102PB1〜102PB3の各近傍における利用者の存在位置及び滞在状況が予測される。そして、その予測結果に応じて店舗10内の物品A1〜A3、B1〜B3が配置された各領域A、B(図2参照)において環境情報センサ111S1、112S2により検出される環境情報の検出値が補正されて環境調整部120による環境の調整の程度が変更される。
【0048】
ここで、検出値補正処理の具体例を説明する。簡単に説明するため、識別情報提供部である識別マーカー131MA3と環境情報検知部である環境情報センサ111S1がそれぞれひとつの場合で、調整対象の環境は温度ひとつの場合を示す。識別マーカー131MA3と環境情報センサ111S1の各配置位置が等しい場合には、環境調整部120では検出値補正処理を行うことなく、アクセス回数とは無関係に環境検出値の補正処理は行わない。すなわち、識別マーカー131MA3と環境情報センサ111S1の各配置位置が異なり、両者間の距離をxとして、環境情報センサ111S1で得られた環境情報である温度をT、アクセス回数をnとすると、環境補正部170で得られる補正値ΔTは、以下の数式(1)により求められる。
ΔT=f(n,x,T)・・・・・(1)
となる。関数fは、例えば、以下の数式(2)で表すものとする。
f(n,x,T)=α×n×T×x×β・・・・・(2)
とし、αは予め求めた係数であり、アクセス回数を補正するものであり、βは識別マーカー131MA3と環境情報センサ111S1の距離により環境情報を補正するものである。
【0049】
また、識別マーカー131MA3の周辺に複数の環境情報センサ111S1、111S2がある場合を説明する。この場合は、識別マーカー131MA3と環境情報センサ111S1の距離xとβの代わりに識別マーカー131MA3の周辺の環境情報センサ111S1、111S2から空間補間値を求め、環境情報TをT′に置き換え、以下の数式(3)により補正値ΔTを求める。
ΔT=f(n,T′)・・・・・(3)
となる。関数fは、例えば、以下の数式(4)で表すものとする。
f(n,T)=α×n×T′・・・・・(4)
とすることができる。空間補間の方法は多項式近似などを用いることができる。
【0050】
次いで、環境調整部120では、求められた補正値ΔTにより環境情報センサ111S1により検出される環境情報の検出値が補正される(ステップS107)。この処理により、図2に示す領域Aにおける温度・湿度・照度・照明の色温度のうち一以上の環境が利用者の存在位置及び滞在状況に応じて最適に調整される。具体的には、例えば、アクセス回数が多い場合は、利用者が多く存在していることを示すため、熱負荷が大きいことは明らかであるため、環境情報センサの検出値を低く補正することで最適な環境を保つことが可能になる。また、利用者が多く集まることを希望する領域は、照明を明るくすることで、集客を期待することができる。実際のアクセス回数が期待値を下回った場合、照度を画することで利用者の注目を集めることもできる。温度・湿度に対しても同様の環境調整方法を適用することができ、環境情報センサの補正する方法も上述の方法を適用できる。
【0051】
その結果、従来のように人の滞在位置により空調設備のみを調整する場合に比べて、照明も含めて調整することが可能になる。このため、物品に対する照明効果も考慮して調整することが可能になり、利用者の存在位置及び滞在状況に応じて物品に対する演出効果も変更することが可能になり、物品の販売促進にも寄与する環境調整装置100及び環境システム1を提供することができる。
【0052】
次に、環境システム1において行われる動作の他の例について図7に示すチャートを参照して説明する。
【0053】
利用者CA又はCBが携帯する携帯通信端末201又は202により物品A3又はB3の近傍に配置された識別マーカー131MA3又は131MB3にアクセスされると(ステップS211)、携帯通信端末201又は202のカメラ機能等により識別マーカー131MA3又は131MB3のイメージが取得され、物品識別情報として無線通信基地局200を介してサーバ装置300に送信される(ステップS212)。
【0054】
サーバ装置300では、識別情報受信部320により物品識別情報が受信される(ステップS311)。次いで、計数記憶部350では識別情報受信部320により受信された物品識別情報がその物品識別情報に対するアクセス回数として計数されて、図5に示すようなテーブルT2に記憶される(ステップS312)。
【0055】
また、識別情報受信部320により受信された物品識別情報は、返信部330により対応する物品に関するインターネットN2上の情報を提供する物品関連サイト400にアクセスされて(ステップS313)、物品関連サイト400から物品に関する情報が受信される(ステップS314)。その情報は、返信部330により物品情報としてLAN及び無線基地局200を介して各物品A1〜A3、B1〜B3にアクセスした携帯通信端末201、202に返信される(ステップS315)。
【0056】
携帯通信端末201又は202では、受信した物品情報が表示される(ステップS213)。この処理により、識別マーカー131MA3又は131MB3にアクセスした携帯通信端末201又は202の利用者CA又はCBは、興味がある物品A3又はB3に関するより詳細な情報を容易に取得できる。また、店舗10の運営者は物品の販売促進に寄与することを期待することができる。
【0057】
次いで、サーバ装置300のアクセス回数送信部340では、計数記憶部350により記憶されたアクセス回数が読み出されてLAN及び無線基地局200を介して環境調整装置100に送信される(ステップS316)。
【0058】
環境調整装置100の環境補正部160では、サーバ装置300からアクセス回数が受信されると(ステップS121)、環境情報センサ111S1、112S2の検出値を補正する検出値補正処理が行われる(ステップS122)。この検出値補正処理は、上記図6のステップS106において説明した処理と同様であるため説明を省略する。
【0059】
続いて、環境調整部120では、求められた補正値ΔTにより環境情報センサ111S1により検出される環境情報の検出値が補正される(ステップS107)。この処理により、図2に示す領域Aにおける温度・湿度・照度・照明の色温度のうち一以上の環境が利用者の存在位置及び滞在状況に応じて最適に調整される。その結果、従来のように人の滞在位置により空調設備のみを調整する場合に比べて、照明も含めて調整することが可能になる。このため、物品に対する照明効果も考慮して調整することが可能になり、利用者の存在位置及び滞在状況に応じて物品に対する演出効果も変更することが可能になり、物品の販売促進にも寄与する環境調整装置100及び環境システム1を提供することができる。
【0060】
なお、以上における本発明の一実施形態の説明として、主に特定空間として店舗に適用する場合について述べたが、店舗以外にも、美術館や博物館にも本発明の一実施形態を適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…環境システム、100…環境調整装置、120…環境調整部、131MA1〜131MB1、132MB1〜132MB2…識別マーカー、140…計数部、150…記憶部、160…環境補正部、170…物品識別情報受信部、180…物品情報提供部、300…サーバ装置、320…識別情報受信部、330…返信部、340…アクセス回数送信部、350…計数記憶部、400…物品関連サイト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】