(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年7月3日
【発行日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】粉粒体の検出方法及び粉粒体検出装置
(51)【国際特許分類】
B22D 46/00 20060101AFI20161216BHJP
B22C 23/00 20060101ALI20161216BHJP
B22C 19/00 20060101ALI20161216BHJP
G01F 23/24 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
B22D46/00
B22C23/00 J
B22C19/00
G01F23/24 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
【出願番号】特願2014-554179(P2014-554179)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年8月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-280392(P2012-280392)
(32)【優先日】2012年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】牧野 泰育
(72)【発明者】
【氏名】平田 実
(72)【発明者】
【氏名】高須 修司
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ストレーレ マティアス
【テーマコード(参考)】
2F014
4E094
【Fターム(参考)】
2F014AB01
2F014AB02
2F014AB03
2F014DA01
4E094AA21
4E094AB71
4E094BB41
(57)【要約】
本発明に係る粉粒体の検出方法は、隙間(G)を介して対向配置された一対の電極(11)と、一対の電極(11)と電気的に接続された電気回路(12)と、を備える粉粒体検出装置(10)を用いた粉粒体の検出方法であって、隙間(G)に粉粒体が充填されたときに該粉粒体及び一対の電極(11)と共に電気回路(12)が閉回路を形成することにより、粉粒体の充填を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間を介して対向配置された一対の電極と、
前記一対の電極と電気的に接続された電気回路と、
を備える粉粒体検出装置を用いた粉粒体の検出方法であって、
前記隙間に粉粒体が充填されたときに該粉粒体及び前記一対の電極と共に前記電気回路が閉回路を形成することにより、前記粉粒体の充填を検出する、
粉粒体の検出方法。
【請求項2】
前記電気回路は、直列接続された少なくとも3つのトランジスタ増幅器を有する、請求項1に記載の粉粒体の検出方法。
【請求項3】
前記電極は、長尺の金属板からなり、該電極の長手方向の長さが50mm以下である、請求項1又は2に記載の粉粒体の検出方法。
【請求項4】
前記粉粒体が砂型鋳造に用いられる造型砂である、請求項1〜3の何れか一項に記載の粉粒体の検出方法。
【請求項5】
隙間を介して対向配置された一対の電極と、
前記一対の電極と電気的に接続された電気回路と、
を備え、
前記隙間に粉粒体が充填されたときに該粉粒体及び前記一対の電極と共に前記電気回路が閉回路を形成することにより、前記粉粒体の充填を検出する、
粉粒体検出装置。
【請求項6】
前記電気回路は、直列接続された少なくとも3つのトランジスタ増幅器を有する、請求項5に記載の粉粒体検出装置。
【請求項7】
前記電極は、長尺の金属板からなり、該電極の長手方向の長さが50mm以下である、請求項5又は6に記載の粉粒体検出装置。
【請求項8】
前記粉粒体が砂型鋳造に用いられる造型砂である、請求項5〜7の何れか一項に記載の粉粒体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を電気的に検出する粉粒体の検出方法及び粉粒体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
砂型鋳造は、生砂等の粉粒体を固めることにより砂型を造型し、この砂型を用いて鋳物を形成する技術である。この砂型を造型する際には、粉粒体を充填する工程において粉粒体の有無を確認することが、砂型を安定して造型し、不良を低減するために極めて重要である。
【0003】
砂型鋳造における生型造型方法は、例えば砂充填工程、すなわち、生砂を圧縮空気とともに吹き込むエアレーション、重力落下、または、ブローによって砂を吹き込み充填する工程と、その後の機械的なスクィーズによる充填された生砂の圧縮工程とを含んでおり、これら複合工程によって生型が造型される。
【0004】
例えば、エンジンのように、形状が複雑な鋳造品を得る場合、鋳造品の反転形状を有する砂型の形状もそれに対応して複雑となるため、この複雑形状部への生砂の充填が不十分となる場合がある。この場合には、その後、スクィーズをしても、十分な砂型強度を得られないことがあった。
【0005】
こうした砂型の造型不良(たとえば、特許文献1)は鋳物不良を生じるため、前工程の鋳型の充填不良を防止することが望まれている。そのため、造型砂の充填不良をシミュレーションすること(たとえば、特許文献2)は行なわれているが、実際に電気的な方法によって確認する方法は今まで開発されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−321928
【特許文献2】特開平10−202344
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、粉粒体の有無を電気的に瞬時に検出することで、粉粒体の充填不良の判定を可能にすることが要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一側面に係る粉粒体の検出方法は、隙間を介して対向配置された一対の電極と、一対の電極と電気的に接続された電気回路と、を備える粉粒体検出装置を用いた粉粒体の検出方法であって、隙間に粉粒体が充填されたときに該粉粒体及び一対の電極と共に電気回路が閉回路を形成することにより、粉粒体の充填を検出する。
【0009】
本発明の一側面に係る粉粒体の検出方法では、このように粉粒体が一対の電極に充填されたことを電気的に瞬時に検出することにより粉粒体の充填不良を検出することができる。
【0010】
一形態の粉粒体の検出方法では、電気回路は、直列接続された少なくとも3つのトランジスタ増幅器を有していてもよい。一形態の粉粒体の検出方法では、電極は、長尺の金属板からなり、該電極の長手方向の長さが50mm以下であってもよい。一形態の粉粒体の検出方法では、粉粒体が砂型鋳造に用いられる造型砂であってもよい。
【0011】
本発明の一側面に係る粉粒体検出装置は、隙間を介して対向配置された一対の電極と、一対の電極と電気的に接続された電気回路と、を備え、隙間に粉粒体が充填されたときに該粉粒体及び一対の電極と共に電気回路が閉回路を形成することにより、粉粒体の充填を検出する。
【0012】
一形態の粉粒体検出装置では、電気回路は、少なくとも3つの直列接続されたトランジスタ増幅器を有していてもよい。一形態の粉粒体検出装置では、電極は、長尺の金属板からなり、該電極の長手方向の長さが50mm以下であってもよい。一形態の粉粒体検出装置では、粉粒体が砂型鋳造に用いられる造型砂であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の種々の側面及び種々の形態によれば、粉粒体が一対の電極の隙間に充填されることで、電気回路の通電状態を構成し、充填状況を電気的に検出することができる。その結果、粉粒体の充填不良の判定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】生型を造型するパターンプレートの模式図である。
【
図3】
図2のパターンプレートで造型した生型を示す図である。
【
図4】砂充填工程に測定された砂検出のグラフである。
【
図5】各スリーブ高さにおける砂到達時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態に係る粉粒体の検出方法及び粉粒体検出装置について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示す粉粒体検出装置10は、電極部20及び電気回路12を備えている。電極部20は、互いに平行に配置された2枚の銅板11と絶縁ベース22とを備えている。この2枚の銅板11は、一対の電極として機能する。
【0017】
銅板11は、長尺状の金属板であり、例えば肉厚1mm、幅7mm、長さ(長手方向の長さ)50mm以下の寸法を有し得る。一対の銅板11は、所定の間隔(例えば1mm)を有して対向配置されており、一対の銅板11の間には所定の隙間Gが形成されている。なお、銅板11の肉厚は強度を確保するために0.5mm以上としてもよく、幅はある程度の砂粒子と接触するために1mm以上としてもよい。砂粒子の出入りを容易にするため、銅板11間の隙間Gの幅は、0.5mm以上としてもよく、センサーの感度上50mm以下としてもよい。また、銅板11の素材は銅以外でも導電性を有する素材であればよい。
【0018】
一対の銅板11の一端部は、絶縁ベース22に埋設されている。絶縁ベース22には、ケーブルC1が接続されており、このケーブルC1により、一対の銅板11と電気回路12が電気的に接続されている。なお、絶縁ベース22には取り付け用のねじ溝Sが刻まれていてもよい。
【0019】
電気回路12は、1個以上のトランジスタ増幅器AMPを含み得る。
図1に示す実施形態では、電気回路12は、直列接続された3つのトランジスタ増幅器を含んでいる。電気回路12のトランジスタ増幅器AMPにより増幅された信号はケーブルC2を通じて出力される。
【0020】
具体的には、粉粒体検出装置10をポータブルに使用できるように、電圧9Vの乾電池により電極間に電圧が加えられる。この状態で、導電性を有する粉粒体である生砂が電極部20の銅板11の隙間Gに充填されると、電気回路12において電気的に回路が閉じられ、閉回路が形成される。これにより、トランジスタ増幅器AMPの電圧が降下し、その電圧がケーブルC2を通じて出力される。このケーブルC2から出力される信号値を計測することにより粉粒体が検出される。ここで、電気回路12は、トランジスタ増幅器AMPのステージ(直列接続数)が多いほど、粉粒体の検出感度がよいが、今回用いた電極部20で生砂を検出する場合、3ステージで適度な感度の検出ができる。また、この電圧の低下の程度は、粉粒体の特性によるが、電気回路12内部での調整が可能としてある。
【実施例1】
【0021】
本発明の一実施例について、
図2から
図5を用いて説明する。
【0022】
図2は生型造型用の模型であるテスト用パターンプレートPPであり、508mmx610mmの平板14の中央部に3個のスリーブ1、2、3が160mm間隔でボルト付けされている。生型を造型する際には、上からスリーブ1、2、3が順に位置するように平板を垂直にしてスリーブ穴が横を向いた状態で、高さ260mmの鋳枠をセットする。そして、その状態で、実機のエアレーション・スクィーズ造型装置を用いて上部から生砂を吹き込み、その後、パターンプレートPPの平板14に平行なプレートで機械的にスクィーズをする。
【0023】
スリーブの先端外径は80mm、内径は70mmであり、0.5度の抜け勾配が設けられ、其の高さは70、90,110mmの三種類である。
【0024】
本実施例では、3個全てのスリーブの底部に、電極部20の一対の銅板11を埋設し、0.1Mpaの低圧力の圧縮空気でCB35に調整した造型用生砂をエアレーション充填し、その後、圧力0.8Mpaでスクィーズにより生型造型を完了している。
図3に示すように、造型された生型はパターンプレートPPの形状が反転した形状となるため、凹形状の円筒状の空洞が形成される。
【0025】
図4は生砂をエアレーション充填した際の検出信号の一例である。電極の隙間Gに生砂が充填されていない状態では、9Vを示し、生砂が電極の隙間Gに充填された瞬間に電圧が低下している。本実施例では、上部から生砂を吹き込み、最も低い位置のスリーブ3に砂が一番早く充填され、そのときの生砂の到達時間は約0.7秒である。続いて、上部のスリーブに順次、砂が充填される。なお、電極に生砂が充填された直後に電圧が9Vに復帰しているのは、生砂の移動が停止することにより電極と生砂との接触が弱くなることに起因するものである。したがって、パターンプレートPPに生砂を充填した後に、生砂をスクィーズした場合には、電極と生砂とが再び密着することになるためトランジスタ増幅器AMPにおいて検出される電圧は再び低下することになる。
【0026】
図5はスリーブ内の生砂の到達時間のグラフである。横軸はスリーブ高さであり、スリーブ高さ「0」はスリーブのないフラットなパターンプレートPPでの造型条件である。このグラフから、スリーブ高さが砂充填時間に与える影響は極めて少ないことが確認された。これは、エアレーション充填により、生砂が流動化し、液体が流れるように生砂が流れて、スリーブ内を充填したためであると推測される。
【0027】
この様に、本発明により、生砂充填工程において、所望の位置に電極を取り付ければ、生砂の到達を瞬時に検出することが可能となるため、電圧降下が検出されない位置での生砂の充填不良を判断できるとともに、砂充填の完了を正確に判定できるため造型サイクルの短縮化も行うことが可能である。
【0028】
なお、本発明は、生型造型以外にも、熱硬化・ガス硬化・自硬性砂など砂型鋳造にもちいられる造型砂の充填に関する主型・中子造型や、サンドタンクでの砂の有無を検出、砂の搬送工程での砂による閉塞を検出するなど、砂を用いた様々な用途で適用することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
10…粉粒体検出装置、11…銅板、12…電気回路、14…平板、20…電極部、22…絶縁ベース、C1,C2…ケーブル、G…隙間、PP…パターンプレート。
【国際調査報告】