特表-14132406IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年9月4日
【発行日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】冷媒組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20170113BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20170113BHJP
【FI】
   C09K5/04 B
   F25B1/00 396T
   C09K5/04 E
   C09K5/04 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】特願2015-502667(P2015-502667)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年2月28日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】508055179
【氏名又は名称】矢田 直之
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】矢田 直之
(57)【要約】
特に装置を改造することなく、冷媒を交換充填するたけで、より低消費電力化できる冷媒組成物と、その使用方法を提供するため、少なくとも、プロパンと、プロピレンとを含有する冷媒組成物とし、これを冷暖房装置あるいは冷凍冷蔵装置の内部において熱交換作用させる冷媒として用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、プロパンと、
プロピレンと
を含有する冷媒組成物。
【請求項2】
前記プロパンと前記プロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が30〜70%である。
請求項1に記載の冷媒組成物。
【請求項3】
少なくとも、プロパンと、プロピレンとを含有する冷媒組成物を、冷暖房装置あるいは冷凍冷蔵装置の内部において熱交換作用させる冷媒として用いる
冷媒組成物の使用方法。
【請求項4】
前記プロパンと前記プロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が30〜70%である。
請求項3に記載の冷媒組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒組成物及びその使用方法に関し、特に、車載用、家庭用あるいは業務用エアコンなどの冷暖房装置、冷凍庫あるいは冷蔵庫などの冷凍冷蔵機関などに使用される冷媒組成物と、その使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアコンなどの冷暖房装置、冷凍庫あるいは冷蔵庫などの冷凍冷蔵装置などに用いられる冷媒として、R−12(ジクロロジフルオロメタン、CCl22)を始めとするCFC(クロロフルオロカーボン)あるいはHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)などの特定フロンが広く用いられてきた。
【0003】
しかしながら、大気中に放散された特定フロンは紫外線などにより分解されて塩素ラジカルを発生させてオゾン層破壊の原因となることが明らかにされ、1996年、日本及び欧米においてCFCの生産が全廃された。
さらに、HCFCについても2004年以降規制され、ヨーロッパでは2010年までに、その他の多くの国で2020年までに全廃される予定である。
【0004】
上記特定フロンに替わる代替フロンとして、HFC(ハイドロフルオロカーボン)あるいはPFC(パーフルオロカーボン)が用いられるようになってきている。これらは、分子中に塩素を含まないのでオゾン層を破壊する虞れがないと考えられている。
【0005】
しかし、上記代替フロンは、地球温暖化係数が非常に高いなどの理由で、やはり大気に放散させないように取り扱いに注意が必要となっている。
【0006】
上記の状況に対応して、近年、特定フロン及び代替フロンに置き換えることができる冷媒組成物の研究開発が進められている。
例えば、冷媒組成物の種類により冷暖房装置や冷凍冷蔵装置を動作させたときの消費電力に差があり、より低消費電力化できる冷媒組成物が求められている。
【0007】
しかし、代替フロンは製造コストが高く、回収及び破壊にかかるコストが高く、これらは電力を消費して行われるため、代替フロンを使用することに付随して必要となる消費電力が高いという不利益があった。
【0008】
例えば、特許文献1などに、特定あるいは代替フロンに二酸化炭素を混合して冷媒組成物として用いる方法が開示されている。
また、特許文献2などに、炭化水素ガスを冷媒組成物として用いる方法が開示されている。
また、特許文献3などに、二酸化炭素とジメチルエーテルの混合ガスを冷媒組成物として用いる方法が開示されている。
上記のジメチルエーテルのODP(オゾン破壊係数)は0である。また、ジメチルエーテルのGWP(地球温暖化係数)は0.2であり、これは二酸化炭素のGWPの1/5、現在家庭用冷蔵庫の冷媒組成物の広く用いられているi−ブタンの1/15である。
また、特許文献4には、ジメチルエーテルと脂肪族炭化水素とを含有する冷媒組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表平10−502697号公報
【特許文献2】特開2006−143898号公報
【特許文献3】特開2006−241221号公報
【特許文献4】特開2009−197128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、より低消費電力化できる冷媒組成物と、その使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意理論的かつ実験的検討を重ね、プロパンとプロピレン(プロペン)を混合した冷媒組成物が、冷暖房装置などにおけるローレンツサイクルに適用するのに適した非共沸混合冷媒であり、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明の冷媒組成物は、少なくとも、プロパンと、プロピレンとを含有する。
【0013】
本発明の冷媒組成物は、好適には、前記プロパンと前記プロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が30〜70%である。
【0014】
本発明の冷媒組成物の使用方法は、少なくとも、プロパンと、プロピレンとを含有する冷媒組成物を、冷暖房装置あるいは冷凍冷蔵装置の内部において熱交換作用させる冷媒として用いる。
【0015】
本発明の冷媒組成物の使用方法は、好適には、前記プロパンと前記プロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が30〜70%である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の冷媒組成物によれば、従来から使用されていた代替フロンを本発明の冷媒組成物に交換するだけの作業で、冷暖房装置や冷凍冷蔵装置を動作させたときに、従来よりも低消費電力化できる。
【0017】
また、本発明の冷媒組成物の使用方法によれば、冷暖房装置や冷凍冷蔵装置を動作させたときに、従来よりも低消費電力化して、動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は実施例に係る冷暖房装置に冷媒を充填する装置の模式構成図である。
図2図2は実施例に係る冷暖房装置の消費電力測定試験装置の模式構成図である。
図3図3は、比較例に係る冷暖房装置の吹き出し口平均温度a、実施例に係る冷暖房装置の吹き出し口平均温度b、比較例に係る第1試験室の平均室温c、実施例に係る第2試験室の平均室温d、及び平均外気温eを比較したグラフである。
図4図4は、比較例と実施例に係る冷暖房装置の消費電力を比較したグラフであり、aは比較例、bは実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る冷媒組成物及びその使用方法の実施の形態について説明する。
【0020】
[冷媒組成物]
本実施形態に係る冷媒組成物は、少なくとも、プロパンとプロピレンとを含有する。
【0021】
例えば、本実施形態の冷媒組成物は、プロパンとプロピレンの重量の合計に対するプロパンの重量比が30〜70%であることが好ましい。
プロパン単体、あるいはプロピレン単体よりも、プロパンとプロピレンの混合物とした方が冷暖房装置などの動作時の消費電力の削減効果が大きく、また、プロパンとプロピレンの重量の合計に対するプロパンの重量比が30%未満、あるいは70%を超えると、上記の電力削減効果が薄れてくる。
例えば、プロパン50%とプロピレン50%の混合ガスを好ましく用いることができる。
【0022】
また、例えば、本実施形態の冷媒組成物は、上記の他の冷媒成分として、アルゴンあるいは窒素などを適宜添加することが可能であり、また、HFC系冷媒などを添加することも可能で、この場合には従来のHFC系冷媒の一部を本実施形態のプロパンとプロピレンを含有する冷媒組成物で置き換えることとなり、本実施形態の効果を享受できる。
【0023】
上記の本実施形態のプロパンとプロピレンとを混合した冷媒組成物は非共沸混合冷媒である。
非共沸混合冷媒は、冷媒サイクルにおいて凝縮及び蒸発時に温度変化を伴う性質があり、逆ランキンサイクルよりも熱力学的に必要な動力の小さいローレンツサイクルで作動させることができる。
特に、プロパンとプロピレンとを混合した冷媒組成物は、ローレンツサイクルに適した冷媒組成物である。
【0024】
また、冷媒としての効果を算出するために一般的に用いられている米国NISTの冷媒熱物性データベースREFPROP(プログラム名)の推算プログラムによるシミュレーションからも混合ガスが冷媒として用いた場合の効率が高いことを示す結果が得られている。
【0025】
本実施形態の冷媒組成物には、一般に冷媒組成物に使用される添加剤であれば添加することができ、例えば、流動点安定化剤、粘度安定剤、銅金属奪活剤、極圧剤、耐荷重剤、摩耗防止剤、防錆剤、金属腐食防止剤、滑材、腐食抑制剤、気相防錆剤などである。
【0026】
粘度安定剤としては、例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸エステルの他、トリクレジルホスフェイト、ジ(N−ブチル)クレジルホスフェイト、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン等のオレフィンポリマーまたはコポリマー、ポリアルキルスチレン等のスチレンコポリマー、アジピン酸ジイソデシルを挙げることができる。
【0027】
また、銅腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールの他、2−メチルベンゾイミダゾール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2(N−ドデシル−ジチオ)ベンズイミダゾール、N,N’−ジサリチリデン−1,2−アミノプロパン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、メチレンビスベンゾトリアゾール、ジチオリン酸亜鉛を挙げることができる。
【0028】
また、極圧剤、耐荷重剤、摩耗防止剤、防錆剤としては、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、トリエチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリブチルホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルの他、ジチオリン酸亜鉛、硫化テルペン、硫化オレフィン、硫化脂肪、ポリマアミン、ペニタエリスリットモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、コハク酸及びその誘導体、オレイン酸牛脂アミド、カルシウムスルホネートを挙げることができる。
【0029】
また、金属腐食防止剤、滑材、腐食抑制剤、気相防錆剤としては、例えば、ジシクロヘキシルアミンの他、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ロジンアミン、β−アフチルアミン、ヘキサデシルアミン、ジカプリン酸、プロピレングリコール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、トルイジン、ナットキノリン、チオ尿素、オレイン酸ソーダ、安息香酸ソーダ、N−オレインザルコシン、ソルビタンモノオレエト、ペンタエリトリットモノオレエトを挙げることができる。
【0030】
また、例えば、合成油や鉱物油などの潤滑剤を添加してもよい。
【0031】
上記の本実施形態の冷媒組成物は、従来用いられている冷媒組成物と比較して、冷暖房装置や冷凍冷蔵装置の内部において熱交換作用をさせたときに、より低消費電力化できる。
上記の本実施形態の冷媒組成物は、例えば、冷暖房装置及び−25℃程度までの冷凍冷蔵装置に好ましく適用できる。冷媒としては、大気圧の2倍(0.2MPa)以上が安定に作動する領域であり、−25℃は、プロパンの蒸気圧が0.2MPa以下となる温度であるからである。
【0032】
[冷媒組成物の使用方法]
本実施形態の冷媒組成物の使用方法は、上述の本実施形態に係る冷媒組成物を、冷暖房装置あるいは冷凍冷蔵装置の内部において熱交換作用させる冷媒として用いる。
冷暖房装置あるいは冷凍冷蔵装置などの装置を改造することなく、代替フロンに代えて本実施形態の冷媒組成物を交換充填するだけで、低消費電力化を実現できる。
【0033】
プロパンとプロピレンの重量の合計に対するプロパンの重量比が30〜70%であることが好ましい。
【0034】
本実施形態の冷媒組成物の使用方法によれば、従来用いられている冷媒組成物と比較して、冷暖房装置や冷凍冷蔵装置の内部において熱交換作用をさせたときに、より低消費電力化して動作させることができる。
【0035】
<実施例>
図1は、本実施例に係る冷暖房装置に冷媒を充填する装置の模式構成図である。
冷暖房装置室外機10と冷暖房装置室内機11が、熱交換された冷媒を送る配管12及び配線などにより接続されており、冷暖房装置が構成されている。
冷暖房装置室内機11に、電力計13を介して家庭用電源コンセント14などから電力が供給される。
【0036】
冷暖房装置室外機10の熱交換器に、高圧側ホース20、マニホールド21、低圧側ホース22、及び真空ポンプ23が接続されている。真空ポンプ23を作動させ、マニホールド21の高圧側バルブ21a及び低圧側バルブ21bを開けることで、冷暖房装置室外機10の熱交換器内を真空引きし、熱交換器内に充填されていた冷媒を除去することができる。除去された冷媒は、真空ポンプ23に接続された回収部などにより適宜回収することができる。あるいは、その他の手段により除去及び回収することも可能である。
【0037】
また、マニホールド21には、本発明の冷媒組成物が収容されている試料ボンベ30が充填ホース31を介して接続されている。真空引きした冷暖房装置室外機10の熱交換器内に、試料ボンベ30から冷媒を充填することができる。このとき、重量計32により充填前後の試料ボンベ30の重量を計測することで、冷暖房装置室外機10の熱交換器内に充填した冷媒の重量を計測することができる。
【0038】
試料ボンベ30に収容された冷媒の種類を変更することで、冷暖房装置室外機10の熱交換器内に充填する冷媒を変更できる。
また、熱電対などから構成される温度計40により室内機の吹き出し口の温度あるいは室温などを測定することができる。
【0039】
図2は実施例に係る冷暖房装置の消費電力測定試験装置の模式構成図である。
屋外に、同一形状である第1試験室1Aと第2試験室1Bを隣接して設置した。第1試験室1Aと第2試験室1Bの大きさは、それぞれ、床面積が6.96m、高さが2.3mである。
市販の同一タイプの冷暖房装置(東芝キャリア社製)2台を準備し、第1試験室1Aに第1室外機10A、第1室内機11A、配管12Aなどからなる冷暖房装置を設け、第2試験室1Bに第2室外機10B、第2室内機11B、配管12Bなどからなる冷暖房装置を設けた。
【0040】
第1試験室1Aに設けた冷暖房装置には、熱交換部に用いる冷媒としてHFC系冷媒(R410A)560gを充填し、比較例用の試験室とした。
第2試験室1Bに設けた冷暖房装置には、熱交換部に用いる冷媒としてプロパン100gとプロピレン100gの混合冷媒を充填し、実施例用の試験室とした。
【0041】
第1試験室1Aに設けた室内機11Aの吹き出し口近傍に2箇所、室内に3箇所の熱電対温度測定部(41A〜45A)を設置し、第2試験室1Bに設けた室内機11Bの吹き出し口近傍に2箇所、室内に3箇所の熱電対温度測定部(41B〜45B)を設置し、さらに室外に1箇所の熱電対温度測定部46を設置し、それぞれにおいて温度を測定して記録部50で記録した。
【0042】
試験実施日の夕方から深夜にかけて、設定温度を25℃として、6時間暖房運転を行った。試験は気候条件の異なる4日間(2012年11月21日(D1)、23日(D2)、29日(D3)、12月4日(D4))にかけて行った。
運転開始時の室温、外気温、運転終了時の室温、外気温、平均室温、平均外気温、吹き出し口平均温度を測定した結果を表1に示す。
また、電力計により計測した6時間あたりの消費電力量と、それを24時間に換算した消費電力量を表1に示す。
表1においては、第1試験室1Aの平均室温と第2試験室1Bの平均室温の差(平均室温差)と、第1試験室1Aの室内機11Aの吹き出し口平均室温と第2試験室1Bの室内機11Bの吹き出し口平均室温の差(吹き出し口平均温度差)も示す。
【0043】
【表1】
【0044】
図3は、比較例に係る冷暖房装置の吹き出し口平均温度a、実施例に係る冷暖房装置の吹き出し口平均温度b、比較例に係る第1試験室の平均室温c、実施例に係る第2試験室の平均室温d、及び平均外気温eを比較したグラフである。
各試験日において、比較例に係る冷暖房装置の吹き出し口温度aと実施例に係る冷暖房装置の吹き出し口温度bは、いずれも35℃近傍であり、吹き出し口平均温度差は2〜3℃であった。
また、各試験日において、比較例に係る第1試験室の平均室温cと実施例に係る第2試験室の平均室温dは、いずれも設定温度である25℃の近傍の温度であり、いずれも、8〜10℃程度の平均外気温eに対して十分暖房効果が得られていた。また、第1試験室1Aと第2試験室1Bの平均室温差は2℃程度であり、本実施例に係る冷媒組成物が暖房実用上、十分な実用性能を有していることが確認できた。尚、冷房運転における実用性能も同様である。
【0045】
図4は、比較例と実施例に係る冷暖房装置の消費電力を比較したグラフであり、aは比較例、bは実施例を示す。
各試験日において、比較例に係る冷暖房装置の24時間あたりに換算した消費電力量は約8〜9kWhであり、一方、実施例に係る冷暖房装置の24時間あたりに換算した消費電力量は約5.5〜6.5kWhであり、実施例に係る冷暖房装置は比較例に対して約30%消費電力量を削減できた。
【0046】
本実施形態の冷媒組成物を用いることで、冷暖房装置の暖房運転時に従来よりも低消費電力化できた。
【0047】
また、本実施形態の冷媒組成物及びその使用方法によれば、以下の利点を享受できる。
(1)本実施形態の冷媒組成物は、天然成分であり、容易に製造可能であるので、製造コスト及び製造エネルギーを削減でき、安価に大量に供給できる。
(2)冷媒組成物として適用する冷暖房装置や冷凍冷蔵機関などの機器を廃棄処分する場合でも冷媒組成物の取り扱いが容易であり、燃焼可能であるので廃棄に必要なコストやエネルギーを削減できる。
(3)冷暖房装置あるいは冷凍冷蔵装置に使用する際に、HFC系冷媒組成物より少ない充填量で、即ち、圧力を下げて使用できる。冷暖房装置あるいは冷凍冷蔵装置の電力消費としては、コンプレッサの作動に使われる部分がほとんどであるため、冷媒の圧力を下げることによるコンプレッサの消費電力の削減に対して大きく寄与できる。本実施形態の冷媒組成物を用いることにより、分子量が小さいため、圧力を下げても、HFC系冷媒組成物と同等の冷暖房あるいは冷蔵効果を得ることができる。
(4)冷媒組成物として適用する冷暖房装置や冷蔵機関などの機器の改良が不要であり、従って、導入に際しての従来の新冷媒組成物のような設計変更や機器の開発が不要であり、早期導入が可能であり、研究開発コストを削減できる。
(5)車載用、家庭用あるいは業務用エアコンなどの冷暖房装置、冷蔵庫など、様々な温度域の機器に冷媒組成物として適用可能である。
【0048】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。
例えば、プロパンとプロピレンの重量の合計に対するプロパンの重量比が30〜70%であることが好ましいが、消費電力削減の効果及び冷凍や冷暖房能力が維持可能であれば上記重量比の範囲外においても適用可能である。
冷暖房装置のほか、冷房装置、暖房装置、並びに冷凍冷蔵装置などへの適用も、上述した技術思想に基づいて、適宜変更することができる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の冷媒組成物は、車載用、家庭用及び業務用のエアコンなどの冷暖房装置並びに冷凍冷蔵装置などに用いられる冷媒組成物に適用可能である。
本発明の冷媒組成物の使用方法は、車載用、家庭用及び業務用のエアコンなどの冷暖房装置並びに冷凍冷蔵装置などにおいて、冷媒組成物を用いる方法に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1A…第1試験室
1B…第2試験室
10,10A,10B…冷暖房装置室外機
11,11A,11B…冷暖房装置室内機
12,12A,12B…配管
13…電力計
14…家庭用電源コンセント
20…高圧側ホース
21…マニホールド
21a…高圧側バルブ
21b…低圧側バルブ
22…低圧側ホース
23…真空ポンプ
30…試料ボンベ
31…充填ホース
32…重量計
40…温度計
41A〜45A,41B〜45B,46…熱電対温度測定部
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】