特表-14021144IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2014-21144磁気共鳴撮像装置、診断支援システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年2月6日
【発行日】2016年7月21日
(54)【発明の名称】磁気共鳴撮像装置、診断支援システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20160624BHJP
【FI】
   A61B5/05 382
   A61B5/05 376
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
【出願番号】特願2014-528084(P2014-528084)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年7月23日
(11)【特許番号】特許第5886965号(P5886965)
(45)【特許公報発行日】2016年3月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-170017(P2012-170017)
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 智嗣
(72)【発明者】
【氏名】五月女 悦久
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA13
4C096AB50
4C096BA07
4C096BA34
4C096BB06
4C096BB07
4C096BB27
4C096CA15
4C096CA16
4C096CA17
4C096CA18
4C096CA23
4C096DE08
(57)【要約】
MRS計測で得るMRSスペクトルを用い、簡便かつ高精度な診断支援が可能なデータ解析技術を提供する。予め作成された疾患毎のスペクトルデータベースのレコードと、新規に取得した未知のMRSスペクトルの解析データとにより類似性を判別し、疾患候補を提示する。類似性の判別には、前記解析データの中の、所定の特徴項毎の信頼性指標が所定の条件を満足するデータのみを用いる。また、疾患毎のスペクトルデータベース作成時も同様に、確定診断された1以上のMRSスペクトルの解析データの中の、所定の特徴項毎の信頼性指標が所定の条件を満足するデータのみを用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した核磁気共鳴信号に対し演算処理を行う計算部と、前記計算部における演算結果を表示する表示装置と、を備える磁気共鳴撮像装置であって、
前記計算部は、
前記核磁気共鳴信号から磁気共鳴スペクトルを生成するスペクトル生成部と、
前記磁気共鳴スペクトルを解析し、予め定めた特徴項毎の予め定めた信頼性指標を解析データとして算出するスペクトル解析部と、
所定の疾患であると確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルの前記解析データである確定解析データから作成されたレコードが疾患毎に登録される疾患毎スペクトルデータベースを用い、疾患が未知の磁気共鳴スペクトルから推定される疾患候補を抽出し、ユーザに提示する疾患候補抽出部と、を備え、
前記疾患候補抽出部は、前記疾患が未知の磁気共鳴スペクトルの解析データである計測解析データの中の、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である計測解析データを用い、前記疾患毎スペクトルデータベースに登録されるレコードとの類似度を判定し、類似度が所定以上のレコードの疾患を、前記疾患候補とすること
を特徴とする磁気共鳴撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴撮像装置であって、
前記計算部は、さらに、前記疾患毎スペクトルデータベースの各レコードを生成するデータベース作成部を備え、
前記データベース作成部は、前記確定解析データの中の、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である採用データを用いて前記レコードを作成すること
を特徴とする磁気共鳴撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の磁気共鳴撮像装置であって、
前記レコードは、前記特徴項毎に登録値を備え、
前記登録値は、前記採用データの前記信頼性指標の統計値であること
を特徴とする磁気共鳴撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の磁気共鳴撮像装置であって、
前記類似度は、前記特徴項毎に求める前記計測解析データの前記信頼性指標と前記レコードの前記登録値との差分の2乗の合計が小さいものほど高いと判定されること
を特徴とする磁気共鳴撮像装置。
【請求項5】
請求項1記載の磁気共鳴撮像装置であって、
前記スペクトル解析部は、前記特徴項毎の濃度値および信号強度値の少なくとも一方を前記解析データとしてさらに算出し、
前記特徴項は、代謝物質および信号ピークのいずれか一方であり、
前記信頼性指標は、前記特徴項が代謝物質である場合、前記濃度値の標準偏差率であり、前記特徴項が信号ピークである場合、前記信号強度値から算出される信号雑音比であること
を特徴とする磁気共鳴撮像装置。
【請求項6】
取得した核磁気共鳴信号から磁気共鳴スペクトルを生成する磁気共鳴撮像装置と、前記磁気共鳴撮像装置において得られた磁気共鳴スペクトルを解析するサーバと、を備える診断支援システムであって、
前記サーバは、
所定の疾患であると確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルから得た確定解析データを用いて作成されたレコードが疾患毎に登録される疾患毎スペクトルデータベースを用い、疾患が未知の磁気共鳴スペクトルから推定される疾患候補を抽出し、ユーザに提示する疾患候補抽出部、を備え、
前記確定解析データは、前記確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルを解析して得た、予め定めた特徴項毎の予め定めた信頼性指標を備え、
前記疾患候補抽出部は、前記疾患が未知の磁気共鳴スペクトルの解析データである計測解析データの中の、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である計測解析データを用い、前記疾患毎スペクトルデータベースに登録されるレコードとの類似度を判定し、類似度が所定以上のレコードの疾患を、前記疾患候補とすること
を特徴とする診断支援システム。
【請求項7】
請求項6記載の診断支援システムであって、
前記サーバは、さらに、前記疾患毎スペクトルデータベースの各レコードを生成するデータベース作成部を備え、
前記データベース作成部は、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である前記確定解析データを用いて前記レコードを作成すること
を特徴とする診断支援システム。
【請求項8】
コンピュータを、
所定の疾患であると確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルから得た確定解析データを用いて作成されたレコードが疾患毎に登録される疾患毎スペクトルデータベースを用い、疾患が未知の磁気共鳴スペクトルから推定される疾患候補を抽出し、ユーザに提示する疾患候補抽出手段として機能させるためのプログラムであって、
前記確定解析データは、前記確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルをそれぞれ解析して得た予め定めた特徴項毎の予め定めた信頼性指標を備え、
前記疾患候補抽出手段は、さらに、前記疾患が未知の磁気共鳴スペクトルの解析結果である計測解析データの中の、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である計測解析データを用い、前記疾患毎スペクトルデータベースに登録されるレコードとの類似度を判定し、類似度が所定以上のレコードの疾患を、前記疾患候補とすること
を特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8記載のプログラムであって、前記コンピュータを、さらに、
前記疾患毎スペクトルデータベースの各レコードを、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である前記確定解析データを用いて生成するデータベース作成手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴撮像装置を用いて計測される磁気共鳴スペクトルを用いた臨床診断の支援のためのデータ解析技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴撮像(Magnetic Resonance Imaging、以下、MRIと略す)を行うMRI装置は、静磁場中に置かれた被検体に対し、特定周波数の高周波磁場を照射することにより、被検体に含まれる水素等の原子核の核磁化を励起し、この励起後に被検体から発生する核磁気共鳴信号を検出して、物理的・化学的情報を取得する。MRI装置を用いた計測法には、核磁気共鳴信号を画像化する磁気共鳴イメージングの他に、水素原子核を含む様々な分子の化学結合の違いによる共鳴周波数の差異(以下、ケミカルシフトと呼ぶ)を手掛かりに、1〜数個の領域から得られた核磁気共鳴信号を分子毎の信号に分離し、代謝物質の情報を取得する磁気共鳴スペクトル(Magnetic Resonance Spectroscopy、以下、MRSと略す)計測がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている手法はPRESS(プレス)法と呼ばれるもので、計測対象領域を局所化する方法として、現在のMRS計測では最もよく用いられる手法である。PRESS法では、核磁化を励起する高周波磁場(RF)パルスとともに、所定のスライスを選択する傾斜磁場(GC)パルスを印加後、核磁化を反転させる高周波磁場パルスとともに、前記スライスに直交する2方向のスライスを選択する傾斜磁場パルスをそれぞれ印加し、3つのスライスが交差する領域からの核磁気共鳴信号を計測する。そして、計測した核磁気共鳴信号に対し時間軸方向にフーリエ変換を施すことにより、磁気共鳴スペクトル信号を得る。
【0004】
MRS計測は、人体内部の代謝物質を無侵襲で測定できるという他の計測法には無い大きな長所があり、近年、臨床の場に広まりつつある。しかしながら、MRSで得られるデータはスペクトルグラフであるため、通常のMRI画像診断に較べ解釈が難しく経験を要する。このため、専門外の医師にとっては、やや敷居の高い診断法として認識されている。実際にMRSを臨床診断に適用する例として、個別の疾患に対するスペクトル信号強度値比(主要代謝物質の濃度値比)の判定(分類)閾値が提案されているが、十分ではない。
【0005】
このような状況に対して、本分野の専門家で形成されている日本磁気共鳴学会の臨床MRS有用性検討プロジェクトにおいて、MRSの更なる普及/啓蒙を目的に、診断ガイドラインの作成や症例データベース(以下、DBと略す)の構築が計画されている。症例DBは、カルテに記載された診断結果を記した文章とスペクトルグラフ画像とを蓄積データとする症例集である。MRSの臨床普及に際しては、今後、このような症例DBを用いた診断支援が重要となる。
【0006】
また、症例DBの一つとして、特定の臓器の疾患毎のスペクトルグラフをDB(疾患毎スペクトルDB)として統計的に構築する試みがなされている(例えば、非特許文献1参照)。例えば、2000〜2002年に行われた欧州での多施設共同臨床研究報告では、頭部の13種類の変性疾患(3〜86例/疾患)に対し、疾患毎に短TEと長TEの2パターンの平均スペクトルグラフが作成され、それらのスペクトルグラフは、所定の基準値により視覚的に分類され、疾患毎スペクトルDBとして登録されている。
【0007】
多施設共同臨床研究報告では、この疾患毎スペクトルDBから、新規に取得した疾患が未知のスペクトルに近似性、類似性の高い平均スペクトルをユーザが抽出する支援を行うとともに、抽出した平均スペクトルを、未知のスペクトル上に重畳表示させることにより、診断支援を行う手法が提案されている。さらに、ユーザーが抽出した平均スペクトルと、その平均スペクトルが属する疾患に対応づけて登録される平均スペクトル群の標準偏差とを、帯スペクトル(線幅が標準偏差に相当)として未知のスペクトルに重畳表示する手法も提案されている。
【0008】
計測した磁気共鳴スペクトル信号(計測スペクトル)に含まれる、各代謝物質の濃度値(信号強度値)の解析法として、Linear Combination Model(LCM)法がある(例えば、非特許文献2参照)。まず、各代謝物質単体を所定濃度で含むファントム群を用い、代謝物質毎の磁気共鳴スペクトル信号を得る。これを各代謝物質の標準スペクトルとする。各代謝物質の標準スペクトルをそれぞれ係数倍して足し合わせて同定スペクトル候補を作成する。この同定スペクトル候補と、計測スペクトルとの差分が最小となるよう、係数を決定する。決定された係数により、計測スペクトルに含まれる各代謝物質の濃度値(または各信号ピークの信号強度値)を確率密度関数として得る。このとき、得られた確率密度関数の各標本値の標準偏差の百分率表示値を、標準偏差率(以下、「%SD」と称する)として併せて得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭59−107246号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】A.R.Tate et al., NMR IN BIOMEDICINE 2006 19 p411−434
【非特許文献2】S.W.Provencher、 Magnetic Resonance in Medicine、 1993 30 p672−679
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
非特許文献1に開示の疾患毎スペクトルDBは、以下の手順で作成される。まず、確定診断された疾患毎の1以上の磁気共鳴スペクトル信号(以下、確定スペクトルと呼ぶ。)に対して、複数の専門家がデータクオリティの検証を行う。そして、合格した確定スペクトルに対してピーク位置合わせと正規化とを施し、平均値と標準偏差とを算出し、疾患に対応づけて平均スペクトルグラフとして登録する。
【0012】
疾患毎スペクトルDB作成の際に複数人の判断が入るため、判定基準が曖昧になり、構築されるDBのクオリティが不安定となる。これが、高精度な解析を妨げている。また、専門化によりクオリティ検証のステップが必須であるため、ユーザがDBを更新したりカスタマイズしたりすることができず、自由度が低い。また、DB構築に要する時間も長くなる。
【0013】
また、未知のスペクトルに類似性の高い平均スペクトルの抽出は、以下の手法で行われる。疾患毎スペクトルDBの作成と同時に、DB作成に用いた各確定スペクトルの特性を平面上にマッピングした2次元マップを作成する。特性として、例えば、所定の信号ピーク間の比を用いる。新規に取得した未知スペクトルからも同様の特性を抽出し、2次元マップにマッピングする。ユーザは、未知スペクトルがマッピングされた位置近傍にマッピングされた確定スペクトルを類似性の高い確定スペクトルと認識でき、重畳表示させる平均スペクトルとして抽出できる。
【0014】
類似性の高いスペクトルの抽出に、全疾患共通の信号ピーク間の比が用いられる。本来、疾患毎に、生じる信号は変化するため、疾患によっては、特性として用いる信号ピークの信号強度が弱く、抽出の信頼度が低下する。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、MRS計測で得るMRSスペクトルを用い、簡便かつ高精度な診断支援が可能なデータ解析技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、予め作成された疾患毎のスペクトルデータベースのレコードと、新規に取得した未知のMRSスペクトルの解析データとにより類似性を判別し、疾患候補を提示する。類似性の判別には、前記解析データの中の、所定の特徴項毎の信頼性指標が所定の条件を満足するデータのみを用いる。また、疾患毎のスペクトルデータベース作成時も同様に、確定診断された1以上のMRSスペクトルの解析データの中の、所定の特徴項毎の信頼性指標が所定の条件を満足するデータのみを用いる。
【発明の効果】
【0017】
MRS計測で得るMRSスペクトルを用い、簡便かつ高精度な診断支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、本発明の実施形態のMRI装置であって水平磁場方式のMRI装置の外観図であり、(b)は同垂直磁場方式のMRI装置の外観図であり、(c)は、同開放感を高めたMRI装置の外観図である。
図2】本発明の実施形態のMRI装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】PRESS法のパルスシーケンスの一例を示す図である。
図4】(a)〜(c)は、PRESS法のパルスシーケンスにより励起される領域を説明するための説明図である。
図5】本発明の実施形態の計算機の機能ブロック図である。
図6】本発明の実施形態の疾患毎スペクトルDB作成処理のフローチャートである。
図7】(a)は、本発明の実施形態の疾患毎スペクトルDBを説明するための説明図であり、(b)は、本発明の実施形態の計測解析データを説明するための説明図である。
図8】本発明の実施形態の疾患候補抽出処理のフローチャートである。
図9】本発明の実施形態の類似性判別処理のフローチャートである。
図10】本発明の実施形態のシステム構成例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用する実施形態を、図面を用いて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】
まず、本実施形態の磁気共鳴撮影装置(MRI装置)について説明する。図1は、本実施形態のMRI装置の外観図である。図1(a)は、ソレノイドコイルで静磁場を生成するトンネル型磁石を用いた水平磁場方式のMRI装置100である。図1(b)は、開放感を高めるために磁石を上下に分離したハンバーガー型(オープン型)の垂直磁場方式のMRI装置120である。また、図1(c)は、図1(a)と同じトンネル型磁石を用い、磁石の奥行を短くし且つ斜めに傾けることによって、開放感を高めたMRI装置130である。本実施形態では、これらの外観を有するMRI装置のいずれを用いてもよい。なお、これらは一例であり、本実施形態のMRI装置はこれらの形態に限定されるものではない。本実施形態では、装置の形態やタイプを問わず、公知の各種のMRI装置を用いることができる。以下、特に区別する必要がない場合は、MRI装置100で代表する。
【0021】
図2は、本実施形態のMRI装置100の機能構成図である。本図に示すように、本実施形態のMRI装置100は、被検体101が置かれる空間に、静磁場を発生させる静磁場コイル102と、互いに直交する3方向(例えば、x方向、y方向、z方向)にそれぞれ傾斜磁場を発生させ、被検体101に印加する傾斜磁場コイル103と、静磁場分布を調整するシムコイル104と、被検体101の計測領域に対し高周波磁場を照射する高周波磁場照射コイル105(以下、単に送信コイルという)と、被検体101から発生する核磁気共鳴信号を受信する核磁気共鳴信号受信コイル106(以下、単に受信コイルという)と、送信機107と、受信機108と、計算機109と、傾斜磁場用電源部112と、シム用電源部113と、シーケンス制御装置114と、を備える。
【0022】
静磁場コイル102は、図1(a)、図1(b)、図1(c)にそれぞれ示した各MRI装置100、120、130の構造に応じて、種々の形態のものが採用される。傾斜磁場コイル103及びシムコイル104は、それぞれ傾斜磁場用電源部112及びシム用電源部113により駆動される。送信コイル105が照射する高周波磁場は、送信機107により生成される。受信コイル106が検出した核磁気共鳴信号は、受信機108を通して計算機109に送られる。なお、本実施形態では、送信コイル105と受信コイル106とに別個のものを用いる場合を例にあげて説明するが、これらは、送信コイル105と受信コイル106との機能を兼用する1のコイルで構成してもよい。
【0023】
シーケンス制御装置114は、計算機109からの指示に従って傾斜磁場コイル103の駆動用電源である傾斜磁場用電源部112、シムコイル104の駆動用電源であるシム用電源部113、送信機107及び受信機108の動作を制御し、傾斜磁場、高周波磁場の印加および核磁気共鳴信号の受信のタイミングを制御する。制御のタイムチャートはパルスシーケンスと呼ばれ、計測に応じて予め設定され、後述する計算機109が備える記憶装置等に格納される。
【0024】
計算機109は、受け取った核磁気共鳴信号に対して様々な演算処理を行い、画像情報やスペクトル情報、温度情報、温度精度情報を生成するとともに、シーケンス制御装置114に指示を与え、MRI装置100全体の動作を制御する。計算機109は、CPU、メモリ、記憶装置などを備える情報処理装置であり、計算機109にはディスプレイ等の表示装置110、外部記憶装置111、入力装置115などが接続される。
【0025】
表示装置110は、演算処理で得られた結果等をオペレータに表示するインタフェースである。入力装置115は、本実施形態で行われる演算処理に必要な条件、パラメータ等をオペレータが入力するためのインタフェースである。外部記憶装置111は、記憶装置とともに、計算機109が実行する各種の演算処理に用いられるデータ、演算処理により得られるデータ、入力された条件、パラメータ等を保持する。
【0026】
次に、本実施形態のMRS計測で用いるパルスシーケンスを説明する。本実施形態では、MRS計測の基本的な計測法である対称型PRESS法を用いる。このPRESS法による各部の動作と励起される領域との関係を図3および図4を用いて説明する。
【0027】
図3は、対称型PRESS法のパルスシーケンス300を説明するための図である。ここでは、水平磁場方式のMRI装置100を用い、静磁場方向をZ軸方向とする。本パルスシーケンス300において、RFは高周波磁場、GzはZ軸方向の傾斜磁場、GxはX軸方向の傾斜磁場、GyはY軸方向の傾斜磁場の印加タイミングを、A/Dは核磁気共鳴信号(エコー信号)の取得タイミングをそれぞれ示す。また、TEはエコー時間である。
【0028】
図4は、図3に示すパルスシーケンス300により励起および反転される領域を説明するための図である。なお、図4に示す画像は、本撮影に先立って位置決め用および参照用に取得されるスカウト画像であって、それぞれ、図4(a)は、位置決め用トランス像410、図4(b)は、位置参照用サジタル像420、図4(c)は、位置参照用コロナル像430である。ここでは、Z軸に垂直な第一のスライス441と、X軸に垂直な第二のスライス442と、Y軸に垂直な第三のスライス443とが交差する領域(ボクセル)450を計測対象領域とする。
【0029】
まず、Z軸方向のスライス選択用傾斜磁場パルス(スライス選択GCパルス)Gs11の印加とともにフリップ角が90゜の高周波磁場パルス(90゜パルス)RF1を印加し、第一スライス441内の核磁化のみを選択的に励起状態とする。このとき、90゜パルスRF1の送信周波数f1は、スライス選択GCパルスGs11と組み合わせて選択される第一スライス441が計測対象領域450を含むよう決定される。なお、以下の全ての高周波磁場パルス(RFパルス)は、送信周波数、励起(反転)周波数帯域、励起(フリップ)角および送信位相をそれぞれ調整することができ、選択的に励起/反転を行う「スライスの位置と厚み」および選択スライス内に含まれる「核磁化を倒す角度と方向」をそれぞれ任意に変更することができる。
【0030】
次に、90゜パルスRF1の印加からTE/4後に、X軸方向のスライス選択GCパルスGs22の印加とともにフリップ角が180゜のRFパルス(180゜パルス)RF2を印加し、90゜パルスRF1によって励起された第一スライス441内の核磁化のうち、第二スライス442にも含まれる核磁化のみを180゜反転させる。180゜パルスRF2の送信周波数f2は、スライス選択GCパルスGs22と組み合わせて選択される第二スライス442が、計測対象領域450を含むよう決定される。
【0031】
さらに、180゜パルスRF2の印加からTE/2後に、Y軸方向のスライス選択GCパルスGs33の印加とともにフリップ角が180゜のRFパルス(180゜パルス)RF3を印加し、180゜パルスRF2によって反転された第一スライス441と第二スライス442との交差領域内にある核磁化のうち、第三スライス443にも含まれる計測対象領域450内の核磁化のみを再度180゜反転させる。180゜パルスRF3の送信周波数f3は、スライス選択GCパルスGs33と組み合わせて選択される第三スライス443が、計測対象領域450を含むよう決定される。
【0032】
これらの3組のスライス選択GCパルス及び領域選択RFパルスの印加により、計測対象領域450内が選択励起され、180゜パルスRF3の印加からTE/4後の時点をエコー時間とする核磁気共鳴信号Sig.1が計測対象領域450内から発生する。発生する核磁気共鳴信号Sig.1は、時間軸方向の信号変化を有し、上述したケミカルシフトの情報を含む。この核磁気共鳴信号Sig.1を、所定のサンプリング間隔で受信コイル106にて検出し、計算機109において時間軸方向のフーリエ変換を施すことにより、磁気共鳴スペクトルを得る。
【0033】
なお、パルスシーケンス300において、スライス選択GCパルスGs11の印加の直後に印加されるGCパルスGr11は、スライス選択GCパルスGs11に対するリフェイズ(位相戻し)用のGCパルス(リフェイズGCパルス)である。また、180゜パルスRF2の印加の前後に印加されるGCパルスGd21とGCパルスGd21’、GCパルスGd22とGCパルスGd22’及びGCパルスGd23とGCパルスGd23’は、90゜パルスRF1の印加により励起された核磁化の位相は乱さず、180゜パルスRF2の印加により励起された核磁化のみをディフェイズ(位相乱し)し、疑似信号を減じるためのGCパルス(ディフェイズGCパルス)である。さらに、180゜パルスRF3の印加の前後に印加されるGCパルスGd31とGCパルスGd31’、GCパルスGd32とGCパルスGd32’及びGCパルスGd33とGCパルスGd33’は、90゜パルスRF1の印加により励起された核磁化の位相は乱さず、180゜パルスRF3の印加によって励起された核磁化のみをディフェイズし、疑似信号を減じるためのGCパルス(ディフェイズGCパルス)である。
【0034】
PRESS法では、以上のパルスシーケンス300を撮影シーケンスとして実行することにより、図4に示すように、3つのスライス441、442、443が交差する計測対象領域450内に含まれる核磁化のみを選択的に励起し、計測対象領域450からの核磁気共鳴信号Sig.1を検出する。
【0035】
なお、必要とするSNRを確保するために積算を行う場合、繰り返し時間TR間隔で、上記パルスシーケンス300を繰り返し、核磁気共鳴信号Sig.1の検出をN回(通常、数十回〜数百回程度)繰り返す。この場合、全計測時間は「繰り返し時間×積算回数=TR×N」となる。この繰り返し時間TRは、励起された核磁化が励起前の熱平衡状態に戻るのに要する時間に従って定められ、励起対象となっている代謝物質の種類や励起を行う照射RF強度(フリップ角)等によって変化する。MRSで計測可能な人体内部の一般的な代謝物質の核磁化を90゜パルスで励起する場合、通常、繰り返し時間TRは1〜2秒程度に設定される。
【0036】
本実施形態のMRI装置100は、人の介在無しに疾患毎の磁気共鳴スペクトルの特徴を示す情報を格納するデータベースを作成するとともに、当該データベースを用いた診断支援を行う。このデータベース作成および診断支援を実現する本実施形態の計算機109の機能について説明する。図5は、本実施形態の計算機109の機能ブロック図である。本図に示すように、本実施形態の計算機109は、スペクトル生成部210と、スペクトル解析部220と、データベース(DB)作成部230と、疾患候補抽出部240と、を備える。これらの機能は、計算機109のCPUが、記憶装置に予め格納されたプログラムを、メモリにロードして実行することにより実現される。
【0037】
スペクトル生成部210は、計算機109が受けとった核磁気共鳴信号から、磁気共鳴スペクトルを生成する。本実施形態では、例えば、上記パルスシーケンス300を実行して得た核磁気共鳴信号Sig,1に対し、時間方向にフーリエ変換を施すことにより、磁気共鳴スペクトルを得る。
【0038】
スペクトル解析部220は、スペクトル生成部210において得られた磁気共鳴スペクトルを解析し、予め定めた特徴項毎の予め定めた特性値および予め定めた信頼性指標を解析データとして算出する。解析データの算出は、例えば、前述のLCM法などを用いて行う。
【0039】
特徴項は、例えば、磁気共鳴スペクトルに含まれる各代謝物質(予め定めた代謝物質の種類)、磁気共鳴スペクトルの各信号ピーク、などとする。特性値は、濃度値および信号強度値の少なくとも一方とする。また、信頼性指標は、特徴項が代謝物質である場合、標準偏差率%SDとし、特徴項が信号ピークである場合、信号雑音比SNRとする。標準偏差率%SDは、確率密度関数として算出される、代謝物質毎の特性値の標本値の標準偏差の百分率値とする。
【0040】
標準偏差率%SDは、標準偏差率%SDとして算出される値が小さければ小さいほど、その代謝物質の特性値が確からしいことを表す。特性値の大小と標準偏差率%SDの大小とは反比例の関係にある。また、信号雑音比SNRは、ピーク面積とノイズ領域の標準偏差を用いて算出する。
【0041】
DB作成部230は、疾患毎スペクトルDB500を作成する。疾患毎スペクトルDB500は、疾患毎の磁気共鳴スペクトルの特徴を示す情報(登録値)を、疾患毎にレコードとして格納するデータベースである。作成された疾患毎スペクトルDB500は、計算機109が備える記憶装置内に記憶される。
【0042】
疾患毎スペクトルDBの各レコードの登録値は、所定の疾患であることが確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルの解析データ(確定解析データ)を用いて算出される。このとき、確定解析データの中の、信頼性指標が所定の条件を満足する確定解析データの特性値および信頼性指標のみを用いて算出する。疾患毎のレコードの作成のタイミングは、確定スペクトルが所定数以上収集された後であればよい。作成の詳細は後述する。
【0043】
疾患候補抽出部240は、取得した磁気共鳴スペクトルの解析データ(計測解析データ)を用い、当該磁気共鳴スペクトルにより推定される疾患候補を決定し、ユーザに提示する。決定には疾患毎スペクトルDBを用いる。疾患候補は、計測解析データとの類似度の高いレコードで特定される疾患が選択される。類似度は、疾患毎スペクトルDBの各レコードの特徴項毎の登録値との類似度により決定する。決定手法の詳細は後述する。なお、ユーザへの提示は、例えば、各疾患候補の疾患名を表示装置110に表示することにより行う。
【0044】
次に、DB作成部230による疾患毎スペクトルDB作成処理の詳細をその流れとともに説明する。図6は、本実施形態の疾患毎スペクトルDB作成処理の処理フローの一例である。ここでは、1の疾患のレコードの作成処理を説明する。本実施形態の疾患毎スペクトルDB作成処理は、上述のように、作成対象の疾患について、確定診断された磁気共鳴スペクトル(確定スペクトル)が所定数収集された後、ユーザからの指示により開始される。また、DB作成部230による疾患毎スペクトルDB作成処理に先立ち、スペクトル解析部220により、確定スペクトルの解析処理が行われる。以下の処理フローでは、このスペクトル解析部220による解析処理も含めて説明する。
【0045】
ここでは、収集された確定スペクトル数をL(Lは1以上の整数)とする。また、特徴項には代謝物質を、特性値には濃度値を、信頼性指標には標準偏差率%SDを、それぞれ用いる。濃度値を算出する代謝物質数はN(Nは1以上の整数)とする。
【0046】
まず、スペクトル解析部220は、L個の確定スペクトルそれぞれのスペクトル解析処理を行う(ステップS1001)。ここでは、L個の確定スペクトルそれぞについて、各代謝物質の濃度値および標準偏差率%SDを確定解析データとして算出する。その結果、L×N個の確定解析データが算出される。以下、各代謝物質をMi(i=1、2、・・・N)と表し、それぞれの代謝物質の標準偏差率を%SD(Mi)と表す。
【0047】
次に、DB作成部230は、各確定スペクトルの採否判定処理を開始する(ステップS1002)。採否判定処理では、L×N個の確定解析データそれぞれについて、疾患毎スペクトルDBのレコード作成に採用するか否かを判定する。ここでは、解析元の確定スペクトル毎に、各代謝物質Miの確定解析データの採否を判定する。従って、まず、確定スペクトルをカウントするカウンタkを初期化(k=1)する。
【0048】
そして、DB作成部230は、各代謝物質Miの採否判定を開始する(ステップS1003)。採否判定処理では、k番目の確定スペクトルから得た確定解析データ群について、代謝物質Mi毎にその信頼性を判定し、採否を決定する。この採否判定処理を開始するため、DB作成部230は、代謝物質Miをカウントするカウンタiを初期化(i=1)する。
【0049】
採否判定処理では、DB作成部230は、ステップS1001で算出した、各代謝物質Miの確定解析データ内の標準偏差率%SD(Mi)と、予め定めた閾値B1とを比較する(ステップS1004)。閾値B1には、例えば、20を用いる。そして、標準偏差率%SD(Mi)が閾値B1以下(%SD≦B1)であれば、その代謝物質Miの確定解析データを採用と判断し、採用データとして記憶装置に登録する(ステップS1005)。登録は、確定スペクトルおよび代謝物質Miに対応づけて行う。一方、それ以外の場合は、当該データは登録しない。
【0050】
ステップS1004およびS1005の処理を、全代謝物質Miについて繰り返す。すなわち、カウンタiがNになるまで、カウンタiを1インクリメントしながら繰り返す(ステップS1006、S1007)。
【0051】
そして、DB作成部230は、代謝物質Mi毎の判定処理(ステップS1003〜ステップS1007の処理)を、全確定スペクトルについて繰り返す。すなわち、カウンタkがLになるまで、カウンタkを1インクリメントしながら繰り返す(ステップS1008、S1009)。
【0052】
その後、DB作成部230は、採用データとして登録された各確定解析データを用いて、当該レコードの登録値を計算し、疾患毎スペクトルDBに格納する(ステップS1010)。本実施形態では、レコードの登録値は、代謝物質Mi毎に、計算される。具体的には、採用データの中から、同じ代謝物質Miの採用データを抽出し、代謝物質Mi毎に、濃度値および標準偏差率%SDそれぞれの統計値を計算し、それぞれ登録値として格納する。統計値は、例えば、平均値および分散値とする。登録する統計値は1種に限られない。
【0053】
本実施形態のスペクトル解析部220およびDB作成部230は、以上のステップS1001からステップS1010を、各疾患の確定スペクトルについて行い、疾患毎のレコードを生成し、疾患毎スペクトルDBを構築する。
【0054】
なお、上記ステップS1010において、DB作成部230が、代謝物質Mi毎の登録値だけでなく、さらに、全採用データを用いて「平均化されたスペクトル波形(平均スペクトル波形)およびその標準偏差波形」を算出し、DB情報として登録するよう構成してもよい。
【0055】
これらの平均スペクトル波形および標準偏差波形を算出する際、DB作成部230は、まず、全採用スペクトルデータ(各信号強度値)を用いて横軸各点における「信号強度の平均値」と「信号強度の標準偏差値」とを算出する。算出された全横軸点上の「平均値」を示す各点を繋いだ波形が平均スペクトル波形に相当し、全横軸点上の「平均値と標準偏差値の和の値」を示す各点を繋いた波形が標準偏差波形の上限に、全横軸点上の「平均値と標準偏差値の差の値」を示す各点を繋いた波形が標準偏差波形の下限に、それぞれ相当する。
【0056】
また、上記処理フローでは、収集した全確定スペクトルを予め解析し、全解析データを算出してから、解析データの採否を判定しているが、この手順に限られない。例えば、各確定スペクトルから、特徴項毎の解析データを独立に算出可能な場合は、特徴項毎の解析データを算出する毎に、当該解析データの採否を判定するよう構成してもよい。また、確定スペクトル毎に、解析データを算出し、採否を判定するよう構成してもよい。
【0057】
図7(a)に、DB作成部230により上記手順で作成された、頭部の疾患毎スペクトルDB500の例を示す。ここでは、疾患が膿腫のレコード510と、膠芽腫のレコード510と、転移癌のレコード510と、髄膜腫のレコード510とを例示する。また、代謝物質Mi毎の登録値として、標準偏差率%SDを代表で示す。これらの図に示すように、本実施形態の疾患毎スペクトルDB500の各レコード510は、疾患を特定する情報である疾患名520と、特徴項(ここでは、代謝物質)530と、それぞれの特徴項530の信頼性指標(ここでは、標準偏差率%SD)から得た登録値540とを備える。さらに、図示していないが、それぞれの登録値540としてさらにその特性値が格納されてもよい。
【0058】
ここで、疾患毎スペクトルDB作成処理において、用意されたL個の確定スペクトルから得た1の代謝物質Miの標準偏差率%SD(Mi)が、全て上記基準に達していない(B1より大きい)場合、当該代謝物質Miの採用データは0となる。この場合、当該疾患の、当該代謝物質Miの特性値としてゼロを登録するよう構成してもよい。ユーザは、0が登録されていることにより、採用データが無かったこと判別できる。
【0059】
また、採用データが0の場合、信頼性指標(上記例では、標準偏差率%SD)の登録値は、不採用とされた確定解析データの値を用いて算出し、登録するよう構成してもよい。
【0060】
また、確定スペクトル自体の合否を判別するよう構成してもよい。例えば、疾患毎に、採用判定が得られるべき代謝物質を指定しておく。そして、採用判定が得られるべき代謝物質について全て採用判定が得られた場合、当該確定解析データの元となる確定スペクトルを合格とする。この場合、合格とされた確定スペクトルから得た信頼性指標、特性値のみで疾患毎スペクトルDBの登録値を算出するよう構成してもよい。
【0061】
さらに、既に構築された疾患毎スペクトルDB500のレコード510を、当該疾患の新たな確定スペクトルを用いて更新するよう構成してもよい。この場合、まず、スペクトル解析部220が追加の確定スペクトルの特徴項毎の特性値および信頼性指標を算出する。そして、特徴項毎に信頼性指標を用いて上記ステップS1004の手法で採否を判別する。そして、採用と判別された特徴項の、当該レコード510の登録値(特性値および信頼性指標)540を、その採用データ(特性値および信頼性指標)を用いて更新する。
【0062】
次に、疾患候補抽出部240による、疾患候補抽出処理を説明する。図8は、本実施形態の疾患候補抽出処理の処理フローである。本実施形態の疾患候補抽出処理は、例えば、上記PRESSシーケンスで撮像を行い、患者の磁気共鳴スペクトルデータを得たことを契機に開始する。以下、取得した解析対象の磁気共鳴スペクトルデータを、計測スペクトルと呼ぶ。疾患候補抽出部240による疾患候補抽出処理に先立ち、スペクトル解析部220により、計測スペクトルの解析処理が行われる。以下の処理フローでは、このスペクトル解析部220による解析処理も含めて説明する。
【0063】
また、疾患毎スペクトルDB作成処理同様、特性値には濃度値を、信頼性指標には標準偏差率%SDを用いるものとし、解析対象の代謝物質数はNとする。N個の代謝物質を、それぞれ、Mi(i=1、2、・・・N)と表す。また、計測スペクトルの代謝物質毎の標準偏差率%SDを、%SDs(Mi)と表す。
【0064】
スペクトル解析部220は、計測スペクトルのスペクトル解析処理を行う(ステップS1101)。ここでは、得られた計測スペクトルについて、各代謝物質の濃度値および標準偏差率%SDs(Mi)を計測解析データとして算出する。その結果、N個の計測解析データが算出される。ここで得られた計測解析データ550の例を図7(b)に示す。
【0065】
疾患候補抽出部240は、各代謝物質Miの採否判定処理を開始する(ステップS1102)。ここでは、代謝物質Mi毎に、当該代謝物質Miの計測解析データが、類似性判定に採用すべきか否かを判定する採否判定処理を行う。この処理を開始するため、まず、代謝物質Miをカウントするカウンタiを初期化(i=1)する。
【0066】
採否判定処理では、疾患候補抽出部240は、ステップS1101で算出した、各代謝物質Miの標準偏差率%SDs(Mi)と、予め定めた閾値B2とを比較する(ステップS1103)。閾値B2は、DB作成処理で用いた閾値B1と同じ値であってもよく、例えば、20を用いる。そして、標準偏差率%SDs(Mi)が閾値B2以下(%SDs≦B2)であれば、その代謝物質Miの計測解析データを類似性判定に採用と判定し、採用データとして記憶装置に登録する(ステップS1104)。登録は、代謝物質Miに対応づけて行う。一方、それ以外の場合は、当該データは登録しない。
【0067】
ステップS1103およびS1104の処理を、全代謝物質Miについて繰り返す。すなわち、カウンタiがNになるまで、カウンタiを1インクリメントしながら繰り返す(ステップS1105、S1106)。
【0068】
その後、疾患候補抽出部240は、採用データとして登録された各データを用いて、疾患毎スペクトルDB500に登録される疾患毎のレコード510の登録値との類似性を判別する類似性判別処理を行う(ステップS1107)。本実施形態では、後述のように、この類似性判別処理では、疾患毎スペクトルDB500に登録されるレコード510(疾患)それぞれについて、例えば、類似度が高いものほど小さな値となる類似性指標を算出する。
【0069】
そして、疾患候補抽出部240は、類似性判別処理の結果である類似性指標を用い、疾患候補を決定する(ステップS1108)。本実施形態では、類似性の高いものから、予め定めた数だけレコード510を抽出し、当該レコード510で特定される疾患を、疾患候補とする。
【0070】
そして、疾患候補抽出部240は、疾患候補を特定する情報を表示装置110に表示し(ステップS1109)、処理を終了する。このとき、疾患候補を特定する情報として、疾患名を表示する。
【0071】
次に、上記ステップS1107の、疾患候補抽出部240による、類似性判別処理の詳細を説明する。図9は、本実施形態の類似性判別処理の処理フローである。以下、M種(Mは1以上の整数)の疾患のレコード510が疾患毎スペクトルDB500に登録されているものとする。また、それぞれのレコード510には、それぞれN個の代謝物質Miの信頼性指標(ここでは、標準偏差率%SD(Mi))が登録されているものとする。また、j番目のレコード(疾患j)(jは1以上M以下の整数)510の代謝物質Miの標準偏差率を、%SDj(Mi)とする。
【0072】
類似性判別処理において、疾患候補抽出部240は、疾患毎スペクトルDB500に登録されているM種の疾患のレコード510全てについて、計測解析データとの類似性を示す指標(類似性指標)を算出する。本実施形態では、類似性指標として、代謝物質Mi毎の登録値とステップS1104で得た採用データとの差分の2乗の和の平方根の正値である差分和DF(j)を用いる。本実施形態では、差分をとる登録値および採用データとして、標準偏差率%SDを用いる。
【0073】
疾患候補抽出部240は、各疾患の判定処理を開始する(ステップS1201)。ここでは、疾患毎スペクトルDB500のレコード510毎に、すなわち、疾患毎に判定処理を開始するため、レコード510をカウントするカウンタjを初期化(j=1)するとともに、j番目のレコード510の登録値との差分和DF(j)を初期化(DF(j)=0)する。
【0074】
そして、疾患候補抽出部240は、各代謝物質Miの採否判定を開始する(ステップS1201)。ここでは、代謝物質Mi毎の差分の計算を開始するため、代謝物質Miをカウントするカウンタiを初期化(i=1)する。
【0075】
そして、まず、採用データに、当該代謝物質Miの標準偏差率%SDs(Mi)が登録されているか否かを判別する(ステップS1203)。
【0076】
そして、登録されている場合、差分計算を行う(ステップS1204)。具体的には、j番目のレコード510(疾患j)の代謝物質Miについて、その登録値(%SDj(Mi))と採用データとして登録されている値(%SDs(Mi))との差分D(j,i)を計算する。本実施形態では、信頼性指標、算出式には、以下の式(1)を用いる。
D(j,i)=|%SDj(Mi)−%SDs(Mi)|・・・(1)
そして、その結果を2乗し、差分和DF(j)の2乗に加算し、差分和DF(j)の2乗を更新する(ステップS1205)。具体的には、以下の式(2)に従って計算する。
DF(j)2=DF(j)2+D(j,i)2・・・(2)
【0077】
なお、ステップS1203で登録されていないと判別された場合は、ステップS1205の差分計算およびステップS1206の差分和更新を行わない。
【0078】
ステップS1203からS1205の処理を、全代謝物質Miについて繰り返す。すなわち、カウンタiがNになるまで、カウンタiを1インクリメントしながら繰り返す(ステップS1206、S1207)。
【0079】
そして、疾患候補抽出部240は、得られた差分和の2乗DF(j)の平方根の正値を計算し、当該疾患毎スペクトルDBの疾患jに対応づけて類似性指標として記憶装置に格納する(ステップS1208)。
【0080】
そして、疾患候補抽出部240は、上記ステップS1202からステップS1208の処理を、疾患毎スペクトルDB500に登録されているM種の疾患のレコード510全てについて行い、レコード510(疾患)毎に類似性指標を算出し、記憶装置に登録し(ステップS1209、ステップS1210)、処理を終了する。
【0081】
なお、疾患候補抽出処理において、ステップS1109の表示時に、さらに、ステップS1107の類似性判別処理で得た類似性指標も併せて表示してもよい。さらに、疾患毎スペクトルDBに平均スペクトル波形、標準偏差波形が登録されている場合は、これらを併せて表示してもよい。
【0082】
また、上記ステップS1109の表示時に、類似性の高いものから順に表示するよう構成しているが、順不同で抽出された疾患候補を列挙するよう構成してもよい。
【0083】
なお、本例では、信頼性指標から算出した類似性指標のみで類似度を判定しているが、これに限られない。例えば、各代謝物質の特性値から同様に類似性指標を算出し、類似性の判定に用いてもよい。さらに、代謝物質間の特性値比(濃度比もしくは信号強度値比等)の比較結果も考慮して類似度を判定してもよい。
【0084】
また、予め、類似する可能性のある疾患がいくつか抽出されている場合、上記類似性判別処理は、疾患毎スペクトルDBに登録されている全疾患(全レコード510)について行わず、可能性のある疾患(レコード510)に対してのみ行うよう構成してもよい。
【0085】
なお、本実施形態では、上記疾患毎スペクトルDB作成、疾患候補抽出処理、類似性判別処理において、特徴項には代謝物質を用い、信頼性指標には標準偏差率%SDを用いているが、これに限られない。例えば、特徴項に、信号ピークを、信頼性指標に、信号雑音比SNRを、それぞれ用いてもよい。
【0086】
この場合、各代謝物質について標準偏差率%SDを求める替わりに、各信号ピークについて信号雑音比SNRを算出する。また、疾患毎スペクトルDB作成処理では、ステップS1003からステップS1007の処理を、疾患候補抽出処理では、ステップS1102からステップS1106の処理を、信号ピーク数だけ繰り返す。
【0087】
また、特性値は、濃度値および信号強度値の少なくとも一方であればよい。
【0088】
また、上記実施形態では、疾患毎スペクトルDB500の各レコード510を作成する確定スペクトルや計測スペクトルとして、PRESS法シーケンスで計測した磁気共鳴スペクトルを用いる場合を例にあげて説明したが、磁気共鳴スペクトルの取得シーケンスはこれに限られない。例えば、磁気共鳴スペクトルをマルチボクセルで計測する3D−CSI法、高速マルチボクセル計測が可能なEPSI法などのシーケンスであってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、MRI装置100の計算機109が、スペクトル生成部210、スペクトル解析部220、DB作成部230および疾患候補抽出部240を備え、磁気共鳴スペクトルの生成、磁気共鳴スペクトルの解析、疾患毎スペクトルDB500に登録する各レコード510の作成および疾患候補の抽出を行うよう構成しているが、これに限られない。MRI装置100の計算機109が外部装置とデータの送受信の機能を備える場合、MRI装置100から独立した、外部の装置がスペクトル生成部210、スペクトル解析部220、DB作成部230および疾患候補抽出部240の少なくとも一つを備え、当該装置で処理を行うよう構成してもよい。
【0090】
MRI装置100外の装置でこれらの処理を行う場合のシステム600の一例を図10に示す。本図に示すように、本システム600は、スペクトル解析部220、DB作成部230および疾患候補抽出部240を備えるサーバ610と、MRI装置100に接続される複数のクライアント620と、を備える。ここでは、スペクトル生成部210は、各クライアント620が備えるものとする。サーバ610と、各クライアント620とは、それぞれ、外部装置とデータの送受信を行う通信インタフェースを備え、通信回線630を介して互いに接続される。サーバ610は、例えば、作成された疾患毎スペクトルDBを記憶する記憶装置640を備える。
【0091】
なお、疾患毎スペクトルDBを記憶する記憶装置640は、通信インタフェースを備え、サーバ610およびクライアント620とは独立して通信回線630に接続されていてもよい。この場合、サーバ610およびクライアント620は、通信回線630を介して記憶装置640にアクセス可能とする。また、クライアント620が、スペクトル解析部220、DB作成部230および疾患候補抽出部240の少なくとも1つの機能を備えていてもよい。また、サーバ610が、スペクトル生成部210を備えていてもよい。
【0092】
なお、上記図10に示す構成は一つの例であり、この構成に限定されるものでは無い。例えば、サーバ610は複数存在してもよいし、クライアント620は3台以上、MRI装置100は4台以上存在してもよい。また上記の例では、通信回線630を用いて情報を伝達する場合について述べたが、磁気ディスクや光ディスク等の記録媒体を用いて、情報の伝達を行ってもよい。
【0093】
なお、上記MRI装置およびシステムでは,疾患毎スペクトルDBを自ら生成する機能を有する事を想定しているが,本専門分野の医師等によりコンセンサスが形成され,疾患毎スペクトルDBが標準化された場合,疾患毎スペクトルDBを自ら生成する機能は必要では無くなる。即ち,クラウドコンピューティング等のネットワーク(特にインターネット)をベースとしたコンピュータ利用形態において,標準化された疾患毎スペクトルDBをクラウド側に置いておくことにより,クライアント側からの要望に応じて疾患毎スペクトルDBをダウンロードさせたり,クライアント側からアップロードされてきた計測スペクトルデータに対して,診断支援情報(疾患候補リスト)を返す形態を取っても良い。
【0094】
<実施例>
以下、本発明の実施例を示す。
【0095】
人体頭部に疾患を有する患者を被検体101として取得した確定スペクトルから作成された疾患毎スペクトルDB例を表1に示す。使用したMRI装置は、図1(a)に示すMRI装置100(静磁場強度1.5テスラ)である。また、実行したシーケンスは、上記図3に示すPRESS法パルスシーケンス(TR/TE=2000ms/136ms)である。疾患毎スペクトルDB作成対象とした疾患は、膿瘍、膠芽腫、転移癌、髄膜腫の4種とした。
【0096】
また、確定スペクトル数は、各疾患について、疾患毎スペクトルDBのレコードを作成するのに必要十分な数取得したものとする。作成手順は、上記図6に示すものとする。なお、疾患毎スペクトルDBのの各レコードの登録値として、信頼性指標値(ここでは、各代謝物質の標準偏差率%SD)のみを抜粋して示す。
【表1】
【0097】
次に、同じMRI装置100(静磁場強度1.5テスラ)上で、図3に示すPRESS法パルスシーケンス(TR/TE=2000ms/136ms)を実行することにより、人体頭部側頭葉付近に有る疾患領域(計測ボクセルサイズ=8.0cc=20mm×20mm×20mm)から得た磁気共鳴スペクトルを、解析対象の計測スペクトルとする。この計測スペクトルに対し、上記スペクトル解析処理を行い、得られた計測解析データを表2に示す。ここでは、上記同様、各代謝物の標準偏差率%SDのみを示す。
【表2】
【0098】
表2に示す計測解析データと上記表1に示す頭部の疾患毎スペクトルDBの各レコードとを用い、本実施形態の疾患候補抽出処理のステップS1102以降を実行した。このとき、使用した標準偏差率%SDの基準値B2には、20を用いた。
【0099】
この結果得られた疾患毎の標準偏差率%SDの差分和DFは、以下のとおりである。
・疾患が膿瘍のレコードとの差分和(DF(膿瘍))
DF(膿瘍)=√((19-11)2+(19-10)2+(15-5)2+(15-20)2+(12-8)2)=16.9
・疾患が膠芽腫のレコードとの差分和(DF(膠芽腫))
DF(膠芽腫)=√((13-11)2+(12-10)2+(7-5)2+(18-20)2+(10-8)2)=4.5
・疾患が転移癌のレコードとの差分和(DF(転移癌))
DF(転移癌)=√((17-11)2+(19-10)2+(6-5)2+(16-20)2+(9-8)2)=11.6
・疾患が髄膜腫のレコードとの差分和(DF(髄膜腫))
DF(髄膜腫)=√((78-11)2+(92-10)2+(9-5)2+(356-20)2+(415-8)2)=538.3
【0100】
この疾患毎の標準偏差率%SD差分和(DF(疾患))の値が小さい順に疾患名を並べると、以下のとおりとなる。なお、括弧内は各差分和DFの値である。
1)膠芽腫(4.5)
2)転移癌(11.6)
3)膿瘍(16.9)
4)髄膜腫(538.3)
【0101】
この実施例では、計測解析データは、疾患が膠芽腫のレコードとの類似性が最も高い事が分かる。従って、この計測スペクトルの疾患候補として膠芽腫があげられる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態のMRI装置100は、取得した核磁気共鳴信号に対し演算処理を行う計算機109と、前記計算部における演算結果を表示する表示装置110と、を備えるMRI装置100であって、前記計算機109は、前記核磁気共鳴信号から磁気共鳴スペクトルを生成するスペクトル生成部210と、前記磁気共鳴スペクトルを解析し、予め定めた特徴項毎の予め定めた信頼性指標を解析データとして算出するスペクトル解析部220と、所定の疾患であると確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルの前記解析データである確定解析データから作成されたレコード510が疾患毎に登録される疾患毎スペクトルDB500を用い、疾患が未知の磁気共鳴スペクトルから推定される疾患候補を抽出し、ユーザに提示する疾患候補抽出部240と、を備え、前記疾患候補抽出部240は、前記疾患が未知の磁気共鳴スペクトルの解析データである計測解析データの中の、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である計測解析データを用い、前記疾患毎スペクトルDBに登録されるレコード510との類似度を判定し、類似度が所定以上のレコード510の疾患を、前記疾患候補とする。
【0103】
前記計算機109は、さらに、前記疾患毎スペクトルDB500の各レコード510を生成するDB作成部230を備え、前記DB作成部230は、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である前記確定解析データを用いて前記レコード510を作成するよう構成してもよい。
このとき、前記レコード510は、前記特徴項毎に登録値を備え、前記登録値は、前記採用データの前記信頼性指標の統計値としてもよい。
前記類似度は、前記特徴項毎の前記計測解析データの前記信頼性指標と前記レコード510の前記登録値との差分和が小さいものほど高いと判定されるよう構成してもよい。
【0104】
また、本実施形態は、取得した核磁気共鳴信号から磁気共鳴スペクトルを生成する磁気共鳴撮像装置(MRI装置)100と、前記磁気共鳴撮像装置(MRI装置)100において得られた磁気共鳴スペクトルを解析するサーバ610と、を備える診断支援システム600であって、前記サーバ610は、所定の疾患であると確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルから得た確定解析データを用いて作成されたレコードが疾患毎に登録される疾患毎スペクトルデータベース500を用い、疾患が未知の磁気共鳴スペクトルから推定される疾患候補を抽出し、ユーザに提示する疾患候補抽出部230、を備え、前記確定解析データは、前記確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルを解析して得た、予め定めた特徴項毎の予め定めた信頼性指標を備え、前記疾患候補抽出部230は、前記疾患が未知の磁気共鳴スペクトルの解析データである計測解析データの中の、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である計測解析データを用い、前記疾患毎スペクトルデータベースに登録されるレコードとの類似度を判定し、類似度が所定以上のレコードの疾患を、前記疾患候補とすることを特徴とする診断支援システム600として構成してもよい。
【0105】
さらに、本実施形態は、コンピュータを、所定の疾患であると確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルから得た確定解析ルデータを用いて作成されたレコードが疾患毎に登録される疾患毎スペクトルデータベース500を用い、疾患が未知の磁気共鳴スペクトルから推定される疾患候補を抽出し、ユーザに提示する疾患候補抽出手段(疾患候補抽出部)230として機能させるためのプログラムであって、前記確定解析データは、前記確定診断された1以上の磁気共鳴スペクトルをそれぞれ解析して得た予め定めた特徴項毎の予め定めた信頼性指標を備え、前記疾患候補抽出手段(疾患候補抽出部)230は、さらに、前記疾患が未知の磁気共鳴スペクトルの解析結果である計測解析データであって、前記信頼性指標が示す信頼度が所定以上である計測解析データを用い、前記疾患毎スペクトルデータベースに登録されるレコードとの類似度を判定し、類似度が所定以上のレコードの疾患を、前記疾患候補とすることを特徴とするプログラムにより実現されてもよい。
【0106】
このため、本実施形態によれば、MRS撮像で取得した磁気共鳴スペクトルの信頼度の検証が自動的に行われる。
【0107】
疾患毎スペクトルDB作成時は、診断が確定した確定スペクトルから得た解析データの合否、DB作成への採否も自動的に決定される。このため、非専門分野の医師であっても、診断が確定した確定スペクトルから、疾患毎のスペクトルDBを容易に構築することができる。このため、疾患毎スペクトルDB構築時に、専門家がデータを取捨選択するといった手順が発生しないため、時間がかからないだけでなく、専門家の主観の相違に伴う誤差も排除でき、構築される疾患毎スペクトルDBの精度も一定に保つことができる。また、ユーザが容易に疾患毎スペクトルDBを更新でき、高い自由度が得られる。
【0108】
また、疾患毎スペクトルDBに登録されるデータとの類似性の比較を、計測スペクトルの解析データの中で、信頼性が所定以上と判断されたデータのみを使用して行う。また、類似性の判断基準に、信頼性指標を用いるため、より精度の高い診断支援情報を提供できる可能性が高まる。
【符号の説明】
【0109】
100:MRI装置、101:被検体、102:静磁場コイル、103:傾斜磁場コイル、104:シムコイル、105:送信コイル、106:受信コイル、107:送信機、108:受信機、109:計算機、110:表示装置、111:外部記憶装置、112:傾斜磁場用電源部、113:シム用電源部、114:シーケンス制御装置、115:入力装置、120:MRI装置、130:MRI装置、210:スペクトル生成部、220:スペクトル解析部、230:DB作成部、240:疾患候補抽出部、300:パルスシーケンス、410:位置決め用トランス像、420:位置参照用サジタル像、430:位置参照用コロナル像、441:第一スライス、442:第二スライス、443:第三スライス、450:計測対象領域、500:疾患毎スペクトルDB、510:レコード、520:疾患名、530:特徴項、540:登録値、550:計測解析データ、600:システム、610:サーバ、620:クライアント、630:通信回線、640:記憶装置、RF:高周波磁場、Gz:Z軸方向の傾斜磁場、Gy:Y軸方向の傾斜磁場、Gx:X軸方向の傾斜磁場、A/D:信号取得、RF1:高周波磁場パルス、RF2:高周波磁場パルス、RF3:高周波磁場パルス、Gs11:スライス選択傾斜磁場パルス、Gr11:リフェイズ(位相戻し)傾斜磁場パルス、Gd21:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd21’:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd31:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd31’:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd22:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gs22:スライス選択傾斜磁場パルス、Gd22’:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd32:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd32’:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd23:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd23’:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gd33:ディフェイズ(位相乱し)傾斜磁場パルス、Gs33:スライス選択傾斜磁場パルス、Gd33’:、Sig.1:核磁気共鳴信号、TR:繰り返し時間、TE:エコー時間、NAA:N−アセチルアスパラギン酸信号、Cr:クレアチン信号、Cho:コリン信号、Ins:イノシトール信号、Lac:乳酸信号、Ala:アラニン信号、Lip09:0.9ppmの周波数位置にピークを有する脂質信号、Lip13:1.3ppmの周波数位置にピークを有する脂質信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10

【手続補正書】
【提出日】2015年1月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
また、確定スペクトル数は、各疾患について、疾患毎スペクトルDBのレコードを作成するのに必要十分な数取得したものとする。作成手順は、上記図6に示すものとする。なお、疾患毎スペクトルDBの各レコードの登録値として、信頼性指標値(ここでは、各代謝物質の標準偏差率%SD)のみを抜粋して示す。
【表1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
次に、同じMRI装置100(静磁場強度1.5テスラ)上で、図3に示すPRESS法パルスシーケンス(TR/TE=2000ms/136ms)を実行することにより、人体頭部側頭葉付近に有る疾患領域(計測ボクセルサイズ=8.0cc=20mm×20mm×20mm)から得た磁気共鳴スペクトルを、解析対象の計測スペクトルとする。この計測スペクトルに対し、上記スペクトル解析処理を行い、得られた計測解析データを表2に示す。ここでは、上記同様、各代謝物の標準偏差率%SDのみを示す。
【表2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9
【国際調査報告】