(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
構造が簡単であり、内容物および加圧剤の充填が簡易にでき、かつ、使用後における加圧剤の排出が簡易にできる多層構造の吐出容器を提供する。バルブ機構が2つの独立したステム内通路を有するステムを備えており、一方のステム内通路がホルダー内吐出通路と連通し、他方のステム内通路がホルダー内ガス通路と連通し、他方のステム内通路を閉鎖して内容物を吐出し、他方のステム内通路を開放して加圧剤を排出する吐出容器10。この吐出容器10は、バルブアッセンブリ13から押ボタン14を取り外し、かつ、バルブ機構16のステム21の押し下げること(切替操作)により加圧室S2と大気とを連通させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、改良された多層構造の吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、構造が簡単であり、内容物および加圧剤の充填が簡易にでき、かつ、使用後における加圧剤の排出が簡易にできる多層構造の吐出容器を提供することを目的としている。
本発明の吐出容器の第1の態様は、外部容器と、その外部容器に収容される内部容器と、前記外部容器および内部容器を閉じ、外部容器の外周と係合して固定されるバルブアッセンブリとからなり、外部容器と内部容器との間の収容室に内容物が充填され、内部容器内の加圧室に加圧剤が充填される吐出容器であって、前記バルブアッセンブリが、前記収容室と大気とを連通する内容物の吐出通路を連通・遮断するバルブ機構と、前記バルブ機構を収容するバルブホルダーと、そのバルブホルダーおよび外部容器を覆うようにして、バルブホルダーを外部容器に固定するキャップとを備え、前記バルブアッセンブリに切替操作をすることにより、前記加圧室と大気とを連通させることができる、ことを特徴としている。
本発明の吐出容器の第1の態様は、内容物の全量を吐出した後の使用後において、バルブアッセンブリに切替操作をすることにより加圧剤の排出ができる。
【0006】
本発明の第1の態様の吐出容器のいずれかであって、前記バルブホルダーがバルブ機構を収容するハウジングと、外部容器の上方に配置される環状フランジとを有しており、前記収容室と大気とが、前記ハウジングと環状フランジとを介して連通しているものが好ましい。この場合、バルブアッセンブリの構造を簡素なものにできる。
本発明の第1の態様の吐出容器のいずれかであって、前記バルブアッセンブリに切替操作をすることにより、前記加圧室と大気とをバルブ機構を介して連通させることができるものが好ましい。この場合、加圧剤はバルブ機構を経由して排出されるため、排出量をバルブ機構で制御でき、安全である。
【0007】
本発明の第1の態様の吐出容器のいずれかであって、前記バルブ機構が2つの独立したステム内通路を有するステムを備えており、前記バルブホルダーが、前記収容室と大気とを連通するホルダー内吐出通路と、前記加圧室と大気とを連通するホルダー内ガス通路を有し、前記一方のステム内通路がホルダー内吐出通路と連通し、前記他方のステム内通路がホルダー内ガス通路と連通し、前記他方のステム内通路を閉鎖して内容物を吐出するものであり、前記切替操作が前記他方のステム内通路の開放し、かつ、バルブ機構を開放する操作であるものが好ましい。この場合、加圧剤を他方のステム内通路から排出することができる。そして、バルブアッセンブリの切替操作後、ステムの押し下げ操作を行って加圧剤を排出できるため、使用者にとって安全である。
【0008】
切替操作が前記他方のステム内通路の開放操作である本発明の第1の態様の吐出容器であって、前記ステムに押ボタンが取り外し可能に設けられており、前記押ボタンは、ステムと係合するステム係合部と、内容物を吐出する吐出孔と、ステム係合部と吐出孔とを繋ぐボタン内通路とを有し、前記ステム係合部は、一方のステム内通路を吐出孔と連通させ、他方のステム内通路を大気から遮断し、前記切替操作が前記押ボタンの取り外し、かつ、バルブ機構を開放する操作であるものが好ましい。この場合、押ボタンの取り外しで切替操作ができるため、簡単である。
【0009】
本発明の第1の態様の吐出容器のいずれかであって、前記キャップが外部容器に対して上下動可能に構成されており、前記バルブホルダーと内部容器との間に内シール材が設けられ、前記外部容器の外筒面とキャップの内筒面との間に断面円形の外シール材が設けられ、前記キャップを外部容器の固定位置に固定し、前記外シール材および内シール材にそれぞれシール構造を形成させて内容物を吐出するものであり、前記切替操作が前記キャップを固定位置より上方の仮位置に移動させ、外シール材のシール構造を維持させつつ、内シール材のシール構造を解除する操作を含むものが好ましい。この場合、切替操作がキャップを上方に移動させる操作であるため、操作が簡単であり、かつ、使用者による使用中の誤操作を防止できる。
【0010】
切替操作がキャップの上方への移動操作である本発明の第1の態様の吐出容器であって、前記バルブホルダーとキャップとが一体に連結されているものが好ましい。この場合、充填時にバルブホルダーが外部容器や内部容器を閉じることがない。
切替操作がキャップの上方への移動操作である本発明の第1の態様の吐出容器であって、前記キャップを仮位置に移動して内シール材のシール構造を解除させたとき、前記加圧室と前記内容物の吐出通路とが連通し、前記切替操作が前記キャップを仮位置へ移動し、かつ、バルブ機構を開放する操作であるものが好ましい。この場合、加圧剤はバルブ機構を経由して排出されるため、排出量をバルブ機構で制御でき、使用者にとって安全である。
切替操作がキャップの上方への移動操作である本発明の第1の態様の吐出容器であって、前記内シール材が鉛直方向に圧縮されるものが好ましい。この場合、キャップの上昇とともに内シール材が解除される。
切替操作がキャップの上方への移動操作である本発明の第1の態様の吐出容器であって、前記内シール材が水平方向に圧縮されるものが好ましい。この場合、キャップを上方に移動させても、内シール材がバルブホルダーまたは内部容器からの圧縮から開放されない限り、シール構造は解除されないため、安全に切替操作ができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、原液および加圧剤の充填が簡易にでき、生産性の高い多層構造の吐出容器を提供することを目的としている。
本発明の吐出容器の第2の態様は、外部容器と、その外部容器に収容される内部容器と、外部容器および内部容器を閉じるバルブアッセンブリとを備えており、前記バルブアッセンブリが、外部容器と内部容器の間の原液収容部と外部とを連通する原液通路と、内部容器内と外部とを連通するガス通路とを有しており、外部から原液収容部へ向かう流体に対して原液通路を遮断し、原液収容部から外部へ向かう流体に対して原液通路を連通する原液用逆止弁が設けられていることを特徴としている。
本発明の吐出容器の第2の態様は、バルブアッセンブリを介して加圧剤を充填するとき、原液用逆止弁によって原液通路を遮断することができ、原液収容部に加圧剤が侵入することがない。そのため、原液を原液収容部に充填し、バルブアッセンブリを取り付けて吐出容器を密封してから加圧剤を充填することができ、原液および加圧剤の充填工程を簡略化でき、加圧剤の充填精度が高く、生産性が高い。なお、原液用逆止弁は、原液収容部から外部へ向かう流体に対しては原液通路を連通するため、原液の吐出には影響がない。
【0012】
本発明の第2の態様の吐出容器のいずれかであって、内部容器内のガス収容部から外部へ向かう流体に対してガス通路を遮断し、外部からガス収容部へ向かう流体に対してガス通路を連通するガス用逆止弁が設けられているものが好ましい。この場合、バルブアッセンブリを介して加圧剤を充填した後、加圧剤が逆流することを防止できる。また、原液の吐出時に、加圧剤が外部に漏れることがない。
【0013】
本発明の第2の態様の吐出容器のいずれかであって、前記原液用逆止弁が前記原液通路と、原液通路から延びる退避通路と、その退避通路と原液通路との間を移動する移動弁とを有しており、前記移動弁は外部から原液収容部へ向かう流体に対して原液通路側に移動して原液通路を遮断し、原液収容部から外部へ向かう流体に対して退避通路側に移動して原液通路を連通するのが好ましい。この場合、製造が容易であり、生産性が高い。
【0014】
本発明の第3の態様は、原液とは独立して充填された加圧剤を安全に排出できる多層構造の吐出容器を提供することを目的としている。
本発明の吐出容器の第3の態様は、外部容器と、その外部容器に収容される内部容器と、前記外部容器および内部容器を閉じ、外部容器と着脱自在なバルブアッセンブリとを備えており、前記外部容器とバルブアッセンブリとの間に、半径方向に圧縮される第1シール材と、軸方向に圧縮される第2シール材とが設けられていることを特徴としている。
本発明の吐出容器の第3の態様は、新しい2重のシール構造を備えた吐出容器であり、原液をバルブアッセンブリから吐出した後に製品を廃棄する際、一方のシール材のシールを維持しながら、他方のシール材のシールを解除することにより、加圧剤を安全に排出することができる。
例えば、バルブアッセンブリを外部容器に対して緩めることにより、バルブアッセンブリが外部容器に対して上下に移動する場合、第1シール材のシールを維持したまま、第2シール材のシールを解除することができる。また、バルブアッセンブリを外部容器に対して緩めることにより、バルブアッセンブリが外部容器に対して半径方向(水平方向)に拡がる場合、第2シール材のシールを維持したまま、第1シール材のシールを解除することができる。このように、一方を維持したまま他方のシールを解除することにより、加圧剤を外部に噴出させずに、加圧剤をバルブ機構と連通させ、加圧剤を排出できる状態にすることができる。
その後、バルブアッセンブリのステムを操作することにより、加圧剤をステムから外部に排出することができる。特に、ステムは、ステム孔によって噴射量が制御されるように設計されているため、安全である。また、原液が残っている状態でバルブアッセンブリを緩めた場合でも、一方のシール材が維持されているため、原液が外部に噴出されない。この場合、緩めた後、ステムを操作することにより、原液と加圧剤の混合体をステムから安全に排出することができる。
【0015】
本発明の第3の態様の吐出容器のいずれかであって、前記第1シール材は、外部容器内と外部との間をシールし、前記第2シール材は、外部容器と内部容器の間の空間と内部容器内との間をシールするものが好ましい。この場合、第1シール材のシールを維持しながら、第2シール材のシールを解除することにより、実質的に多層吐出容器を開放せずに、2つの空間を連通させることができる。
【0016】
本発明の第3の態様の吐出容器のいずれかであって、前記内部容器内に加圧剤が充填され、前記外部容器と内部容器の間の空間に原液が収容されることが好ましい。
本発明の第3の態様の吐出容器のいずれかであって、前記内部容器内に原液が収容され、前記外部容器と内部容器の間の空間に加圧剤が充填されるものが好ましい。
原液および加圧剤がいずれの空間に収容される場合でも、原液を吐出した後、安全に加圧剤を排出することができる。
【0017】
本発明の第3の態様の吐出容器のいずれかであって、前記第1シール材が外部容器の外周面と、バルブアッセンブリの内周面との間に設けられたものが好ましい。この場合、バルブアッセンブリを緩め、バルブアッセンブリが外部容器に対して上下してもシールが維持される。
特に、前記バルブアッセンブリが前記外部容器に被せられる筒状のキャップを有し、前記第1シール材が断面円形のOリングであり、前記第1シール材は前記外部容器の外周に設けられた外円筒部と、前記キャップの内周に設けられた内円筒部との間に設けられているものが好ましい。この場合、第1シール材によるシール構造を強固にできる。
【0018】
本発明の第3の態様の吐出容器のいずれかであって、前記第2シール材が外部容器と、バルブアッセンブリとの間に設けられたものが好ましい。この場合、バルブアッセンブリを外部容器に対して上方に移動させるだけで、シールを解除することができる。
特に、前記バルブアッセンブリが前記外部容器の上端に配置されるバルブホルダーを有し、前記第2シール材が前記外部容器とバルブホルダーとの間に設けられているものが好ましい。この場合、簡易な構造とすることができる。
さらに、前記第2シール材が内部容器を介して、外部容器とバルブアッセンブリとの間に設けられているものが好ましい。この場合、第2シール材により外部容器とバルブアッセンブリの間と内部容器とバルブアッセンブリとの間をシールすることができる。
【0019】
本発明の第3の態様の吐出容器のいずれかであって、前記内部容器の上端に前記外部容器の上端に配置されるフランジ部が設けられており、前記バルブアッセンブリは前記内部容器を閉じるように前記フランジ部の上面に配置されるバルブホルダーと、前記バルブホルダーを外部容器に固定し、前記外部容器を閉じるように被せられる筒状のキャップとを有し、前記第1シール材は外部容器の外周面とキャップの内周面との間に設けられ、前記第2シール材は内部容器のフランジ部を介して前記外部容器とバルブホルダーとの間との間に設けられるものが好ましい。この場合、キャップを上方に緩めることにより、第1シール材を維持しながら、第2シール材を解除することができ、安全に加圧剤の排出が可能となる。
【0020】
本発明の第3の態様の吐出容器のいずれかであって、前記内部容器に収容され、バルブアッセンブリによって閉じられる最内容器をさらに備えたものが好ましい。この場合、使用後、安全に加圧剤を排出できる2液吐出型の吐出容器となる。
【0021】
本発明の第3の態様の吐出容器のいずれかであって、前記バルブアッセンブリは外部容器に対して上下に移動して着脱されるものが好ましい。この場合、第1 シール材のシールを維持しながら第2シール材のシールを解除することができる。
特に、前記バルブアッセンブリと外部容器とがネジによって着脱自在となっているものが好ましい。この場合、バルブアッセンブリを外部容器に対して緩めるとき、バルブアッセンブリを徐々に上下させることができるため、簡易な構造とすることができる。
【0022】
本発明の第4の態様は、加圧剤の廃棄が容易な二層構造の吐出容器を提供することを目的としている。
本発明の吐出容器の第4の態様は、外部容器と、その外部容器に収容される内部容器と、前記外部容器および内部容器を閉じるバルブアッセンブリと、前記バルブアッセンブリのステムに装着される吐出部材とを有しており、前記外部容器と内部容器との間の第1空間と、内部容器内の第2空間とに区画され、一方の空間に原液を充填し、他方の空間に加圧剤を充填するための一液吐出型の二重吐出容器であって、前記バルブアッセンブリが、一方の空間と外部とを連通する原液通路と、他方の空間と外部とを連通する加圧剤通路との2つの独立した通路を備えており、前記吐出部材が、ステムに装着されたときに加圧剤通路を閉じる閉止部を有していることを特徴としている。特に、前記バルブアッセンブリが、2つの独立したステム内通路を備え、それぞれが上端で開口している筒状のステムを有しており、前記閉止部が、加圧剤通路を構成する一方のステム内通路の上端開口を閉じるものが好ましい。
本発明の吐出容器の第4の態様は、原液と加圧剤の充填が容易である。また、前記吐出部材がステムに装着されたときに加圧剤通路を閉じる閉止部を有するため、原液を吐出するときは加圧剤が外部に放出されない。そして、原液がなくなり二重吐出容器を廃棄するときは、吐出部材を外して加圧剤通路を介して加圧剤を外部に排出することができる。
【0023】
本発明の吐出容器の第4の態様のいずれかであって、前記ステムが内筒部および外筒部が同軸上に形成されたものであり、前記内筒部が外筒部より上方に突出しており、前記閉止部は内筒部または外筒部の上端開口を閉じるものが好ましい。この場合、吐出部材の操作方向(下方向)と、閉止部が上端開口を閉じる方向とが同じであるため、吐出部材の操作時(原液吐出時)に加圧剤が漏れない。
特に、前記ステムが内筒部および外筒部が同軸上に形成されたものであり、前記内筒部が外筒部より上方に突出しており、前記閉止部材が内筒部または外筒部の上端開口を閉じるものが好ましい。この場合、原液通路の上端開口と加圧剤通路の上端開口とが異なる高さとなるため、原液通路の上端開口を確保しながら加圧剤通路の上端開口を閉じる閉止部を簡易な構造とすることができる。そのため、吐出部材の操作時(原液吐出時)に原液通路を確保しながら加圧剤通路を確実にシールすることができる。
【0024】
本発明の吐出容器の第4の態様のいずれかであって、前記吐出部材に前記原液通路を構成する他方のステム内通路の上端開口を閉じ、前記ステムの内筒部を挿入できる挿入孔が設けられているものが好ましい。この場合、二重吐出容器を廃棄するとき、吐出部材を取り外し、吐出部材の挿入孔にステムを挿入して、バルブアッセンブリを解放することにより、加圧剤を排出することができる。
【0025】
本発明の吐出容器の第4の態様のいずれかであって、前記バルブアッセンブリの上端に装着される保護キャップを有しており、前記保護キャップに前記原液通路を構成する他方のステム内通路の上端開口を閉じ、前記ステムの内筒部を挿入できる挿入孔が設けられているものが好ましい。この場合、二重吐出容器を廃棄するとき、吐出部材を取り外し、保護キャップの挿入孔にステムを挿入して、バルブアッセンブリを解放することにより、加圧剤を排出することができる。
【0026】
本発明の第5の態様は、バルブ機構のシール性が安定しており、また内容物を安定に吐出できる吐出容器を提供することを目的としている。
本発明の吐出容器の第5の態様は、容器本体と、前記容器本体を閉じるバルブアッセンブリとを有し、前記バルブアッセンブリが、前記容器本体の上端に配置されるバルブユニットと、そのバルブユニットを容器本体に固定する筒状のキャップとを有し、前記バルブユニットが、バルブ機構と、そのバルブ機構を収容し、容器本体の上端に配置される第1フランジ部が形成された筒状のバルブホルダーと、そのバルブホルダーの開口部を覆い、バルブ機構をバルブホルダーに固定し、前記第1フランジ部の上方に配置される第2フランジ部が形成されたバルブカバーとを備えており、前記バルブホルダーの第1フランジ部の上方には、バルブホルダーの内外を連通する連通孔が形成されており、前記バルブホルダーの第1フランジ部とバルブカバーの第2フランジ部との間に、前記連通孔と連通し、容器本体内と連通する通路が形成されていることを特徴としている。
本発明の吐出容器の第5の態様は、キャップの容器本体への取り付け(締め付け)状態に関係なく通路を確実に設けることができる。なお、前記通路を放射状に複数本設ける場合、前記フランジ部と容器本体との間の通路との位置合わせが容易になる。特に、通路が原液を通す原液通路である場合に好ましい。さらに、キャップを容器本体にネジ螺合により固定する際、キャップの回転と共にバルブユニットが一緒に回転し、前記通路とフランジ部と容器本体との間の通路とが当初の設定よりずれても、噴射量に影響することなく連通させることができるため好ましい。
【0027】
本発明の第5の態様の吐出容器のいずれかであって、前記バルブユニットはバルブホルダーとバルブカバーとがバルブ機構を収容した状態で一体化したものであることが好ましい。この場合、バルブ機構のシール構造がキャップの取り付け状態に関係なく安定しており、製造工程で取り扱いやすく、加圧剤および内容物を安定して充填できる。特に、キャップの上端開口から加圧剤を充填する場合に好ましい。
【0028】
本発明の第5の態様の吐出容器のいずれかであって、前記キャップの内面に、前記固定の状態におけるキャップに対するバルブユニットの位置より下方でバルブユニットのフランジ部を支持する仮支持部を備えているものが好ましい。
この場合は、製造時においてキャップの仮支持部でバルブユニットを支持させることにより、バルブアッセンブリを一体物として取り扱うことができる。キャップに対してバルブユニットが若干上下動できるようにしているため、バルブユニットのフランジと容器本体の上端との間のシールの微調整をキャップの押し込み量で調整することができる。特に、キャップと容器本体とがネジ螺合する場合、キャップを回転させたとき、キャップをバルブユニットに対して空回りさせることができるため、バルブユニットと容器本体の間、さらにはバルブユニットと内部容器の間をシールするシール材が捻じれたり切れるなどの問題がなく、安定したシール性が得られ好ましい。
【0029】
本発明の第5の態様の吐出容器のいずれかであって、前記容器本体内に収容され、その開口部が前記バルブアッセンブリによって閉じられ、可撓性を有する内部容器を備えており、前記通路が、連通孔と、容器本体と内部容器の間の空間とを連通しているものが好ましい。この場合、容器本体内に2つの独立した空間(容器本体と内部空間との間、内部空間内)を形成することができる。特に、原液を容器本体と内部容器との間に充填する場合、原液を、通路を介してバルブホルダーに導入し、外部に吐出することができる。
特に、前記バルブホルダーの第1フランジ部の下方に、バルブホルダーの内外を連通し、内部容器内と連通する第2連通孔が形成されているものが好ましい。この場合は、容器本体と内部容器との間に第1原液を充填し、さらに内部容器内に加圧剤と第2原液を充填することにより、2液吐出製品とすることができる。
さらに、前記内部容器に収容され、前記バルブアッセンブリによって閉じられ、可撓性を有する最内容器を備えており、前記第2連通孔がバルブホルダー内と最内容器内とを連通しているものが好ましい。この場合、容器本体内に3つの独立した空間(容器本体と内部空間との間、内部空間と最内空間との間、最内空間内)を形成することができ、それぞれの空間に、2種類の原液と、2種類の原液を同時に加圧する加圧剤を充填することができ、2液吐出製品とすることができる。
【0030】
本発明の第6の態様は、加圧剤の新しい充填方法を採用した吐出製品の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の吐出製品の製造方法の第6の態様は、容器本体と、前記容器本体を閉じるバルブアッセンブリとを有し、前記バルブアッセンブリが、前記容器本体の上端に配置されるフランジ部を備えたバルブユニットと、そのバルブユニットを容器本体に固定する筒状のキャップとを有する吐出容器に内容物および加圧剤を充填する吐出製品の製造方法であって、前記キャップを固定位置より上方で保持し、前記キャップの上端開口からキャップとバルブユニットの間および前記フランジ部と容器本体の上端の間を介して容器本体内に加圧剤を充填し、前記キャップを固定位置で固定することを特徴としている。
本発明の吐出製品の製造方法の第6の態様は、従来とは全く異なる新しい加圧剤の充填工程を備えている。特に、容器本体の開口部の上方にあるキャップの上端開口から加圧剤の充填を行うことができるため、充填装置をコンパクトにすることができる。
【0031】
本発明の第6の態様の製造方法のいずれかであって、前記バルブユニットがバルブ機構と、そのバルブ機構を収容する筒状のハウジングを有するバルブホルダーと、そのハウジングの開口部を覆い、バルブ機構をハウジングに固定し、前記フランジ部が形成されたバルブカバーとを備えており、前記バルブホルダーとバルブカバーとがバルブ機構を収容した状態で一体化されている方法が好ましい。この場合、ユニット化されることでバルブ機構のシール構造がキャップによるバルブユニットの取り付け状態に影響されることなく安定化し、製造工程でも取り扱いやすく、吐出製品を安定して生産できる。
【0032】
本発明の第6の態様の製造方法のいずれかであって、前記バルブカバーが前記ハウジングの開口部に設けられ、前記バルブ機構のステムを通す孔が形成された天蓋部と、前記ハウジングの外周に配置される筒部と、その筒部側面から半径方向外側に突出する前記フランジ部とを備えており、前記キャップの上端開口が前記筒部の外周に配置されており、前記バルブカバーとキャップの間の隙間が上方に向かって開口している方法が好ましい。この場合、加圧剤を充填するバルブカバーとキャップとの間の隙間が上方に向かって開口しているため、吐出容器の上方に加圧剤充填装置を取り付けて加圧剤を充填するとき、複雑な構造にすることなく加圧剤を充填することができる。
【0033】
本発明の第6の態様の製造方法のいずれかであって、前記キャップの内面に前記固定の状態におけるキャップに対するバルブユニットの位置より下方でバルブユニットを支持する仮支持部を備えており、前記仮支持部にバルブユニットを支持させて、加圧剤を充填する方法が好ましい。この場合、加圧剤の充填時、加圧剤の充填圧力によりバルブユニットがキャップに対して下方に移動し、バルブユニットとキャップとの間の隙間を確実に確保することができる。また、加圧剤の充填圧力によってバルブユニットが容器本体の開口を閉じたり、加圧剤充填通路を塞いだりすることを防止できる。さらに、加圧剤を充填する前において、キャップの仮支持部でバルブユニットを支持させてバルブアッセンブリを一つの部品として取り扱うことができ、キャップを固定位置より上方で保持するまでの工程を簡素化できる。
【0034】
本発明の第6の態様の製造方法のいずれかであって、前記吐出容器が容器本体内に収容され、前記バルブアッセンブリによって閉じられ、可撓性を有する内部容器を備えており、前記加圧剤を内部容器内または前記容器本体と内部容器の間の空間に充填する方法が好ましい。この場合、加圧剤の充填が簡単にできる。
本発明の第6の態様の製造方法のいずれかであって、前記吐出容器が前記内部容器に収容され、前記バルブアッセンブリによって閉じられ、可撓性を有する最内容器を備えており、前記加圧剤を前記内部容器と最内容器の間の空間に充填する方法が好ましい。この場
合、加圧剤の充填が簡単にできる。
【0035】
本発明の第7の発明は、内部容器の不規則な収縮を制御することのできる多層構造の吐出製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の吐出製品の製造方法の第7の態様は、有底筒状の外部容器と、外部容器の内面と略同一形状を有し、外部容器に収容される可撓性を有する内部容器と、
外部容器の口部及び内部容器の口部を閉じる蓋体とからなる多層構造の吐出容器に、原液と加圧剤とからなる内容物を充填する多層構造の吐出製品の製造方法であって、外部容器内に位置する内部容器内にガイド部材を挿入した状態で、内部容器を収縮させた後、原液と加圧剤をそれぞれ充填することを特徴としている。
本発明の吐出製品の製造方法の第7の態様は、内部容器内にガイド部材を挿入した状態で内部容器を収縮させることから、内部容器の収縮形状を制御して意図した形状とすることができる。そのため、製品間において内部容器の収縮形状が略一定(つまり、内容物、特に原液の貯留部が略一定)となり、品質のばらつきを抑えることができる。また、内部容器の収縮形状を元に戻りやすい形状とすることも可能となり、結果、原液の残留を抑制することも可能となる。なお、原液を充填する前に、予め内部容器を収縮変形させることから、貯留部に連通する通路付近への収縮変形の集中を抑制し、貯留部への通路を確保することも可能である。
【0036】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、ガイド部材の下端部が内部容器の底部近傍に位置している方法が好ましい。この場合、内部容器が持ち上がるような変形や、底部を巻き込むような変形を抑制することができる。その結果、貯留部への通路を確実に確保することができ、内部容器が元の形状に戻りやすくなり、原液の残留をさらに無くすことができる。
【0037】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、ガイド部材の下端部が球面状である方法が好ましい。この場合、内部容器の収縮時に内部容器の底部をガイド部材で破いてしまう(貫いてしまう)といったことも防止される。
【0038】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、内部容器の収縮が外部容器と内部容器との間にガスを充填することでなされる方法が好ましい。この場合、外部容器と内部容器との間にガスを充填すれば、内部容器を容易に収縮変形させることができる。
【0039】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、内部容器の収縮が内部容器内を減圧することによりなされる方法が好ましい。この場合、内部容器を容易に収縮変形させることができる。
【0040】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、内部容器の収縮に際し、内部容器を加熱する方法が好ましい。この場合、内部容器が軟化し収縮させ易くなる。
【0041】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、ガイド部材の外面に凹凸又は隙間が形成されているものが好ましい。この場合、内部容器を収縮させた場合に生じる弛み(ヒダ)を意図した箇所に設けることができ、製品間の品質のばらつきが抑えられ、且つ見栄えも良好となる。
【0042】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、ガイド部材が、内部容器内と外部とを連通するガス通路を備えている方法が好ましい。この場合、ガイド部材を通じて内部容器内の減圧を行うことができ、内部容器を容易に収縮変形させることができる。
【0043】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、ガイド部材が蓋体に設けられている方法が好ましい。この場合、蓋体を外部容器に取り付けた状態で内部容器を収縮させることができ、製造工程を簡素化できる。
【0044】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、ガイド部材が拡縮可能に形成されている方法が好ましい。この場合、徐々に収縮する内部容器を内側から支持しながら、ガイド部材を徐々に収縮させていくことができ、内部容器をガイド部材の形状に沿って収縮させ易くなる。
【0045】
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、内部容器を収縮させた後、ガイド部材を内部容器から抜き取る方法が好ましい。
本発明の第7の態様の製造方法のいずれかであって、ガイド部材が袋状であって且つ弾性を有し、風船状に膨らませ又は萎ませることで拡縮可能とされている方法が好ましい。この場合、ガイド部材による内部容器の連続的な支持が可能となる。
【0046】
本発明の第8の態様は、吐出用組成物を最後まで吐出することができ、加圧剤の漏洩が少ない二層構造の吐出製品を提供することを目的としている。
本発明の吐出製品の第8の態様は、外部容器と、その内部に収容される可撓性を有する内部容器と、前記外部容器および内部容器を閉じ、かつ、外部容器と内部容器との間の組成物収容室と外気とを連通するバルブアッセンブリと、前記組成物収容室に充填される吐出用組成物と、前記内部容器内の加圧室に充填される加圧剤とを備え、前記吐出用組成物は、原液と、その原液中に均一に分散された発泡剤とからなる均一溶液であることを特徴としている。
本発明の吐出製品の第8の態様は、吐出用組成物の吐出により内部容器が膨張して組成物収容室から外気に連通する通路が閉塞または小さくなろうとしても、原液中に均一に分散された発泡剤により通路が押し広げられ、吐出用組成物を最後まで吐出することができる。また、加圧剤の周囲に吐出用組成物が位置しているため、加圧剤が外部容器を透過する漏洩を防止することができる。また、吐出用組成物と加圧剤とが独立した別々の空間に充填されているため、外部容器をどの向きにしても吐出用組成物を吐出することができ、加圧剤のみを噴出させる誤使用を防止することができる。さらに、吐出用組成物が原液内に発泡剤を分散させた均一溶液となっているため、吐出前に発泡剤を分散させるための振る操作を行わなくても、組成物収容室と外気との間のバルブ機構を開放させるだけで泡を吐出させることができる。
【0047】
本発明の第8の態様の吐出製品のいずれかであって、前記加圧剤が前記吐出用組成物に溶解する溶解性圧縮ガスであり、前記内部容器が前記加圧剤に対して透過性を有する樹脂からなるものが好ましい。この場合、溶解性圧縮ガスが内部容器を透過し、溶解性圧縮ガスを吐出用組成物中に溶解させることができ、吐出用組成物の発泡性が良くなる。特に、圧縮ガスとして炭酸ガスを用いる場合、発泡性を向上させるだけでなく、血行促進などの効果も得られる。
【0048】
本発明の第8の態様の吐出製品のいずれかであって、前記吐出用組成物の25℃における蒸気圧(ゲージ圧)が0.01〜0.3MPaであるものが好ましい。この場合、吐出用組成物が特定の蒸気圧を有しているため、吐出用組成物の吐出により内部容器が膨張して組成物収容室から外気に連通する通路が閉塞または小さくなろうとしても、通路を押し広げる効果が一層高く、吐出用組成物を最後までスムースに吐出させることができる。
【0049】
本発明の第9の態様は、製造が容易であり、使用開始から終了直前まで内容物の吐出量を一定にして吐出できる吐出容器を提供することを目的としている。
本発明の吐出容器の第9の態様は、外部容器と、その内部に収容される可撓性を有する内部容器と、外部容器および内部容器を閉じ、バルブ機構を有するバルブアッセンブリとからなり、外部容器と内部容器との間の原液室に内容物が充填され、内部容器内の加圧室に加圧剤が充填される吐出容器であって、前記内部容器に収容され、内部容器の内圧が減少したとき所定の圧力まで上昇させる圧力調整機構が設けられていることを特徴としている。
本発明の吐出容器の第9の態様は、バルブ機構を作動させ、内容物を吐出させても、加圧室内の圧力を一定に保ち、単位時間当たりの吐出量を最初から最後まで一定にすることができる。また、圧力調整機構は内部容器内に独立して収容されているため、内容物との接触がなく、安定した圧力調整作用が得られる。さらに、外部容器と内部容器の間に充填した内容物により内部容器内に充填した加圧剤の透過を少なくすることができ、未使用時の加圧剤の漏洩を少なくすることができる。
【0050】
本発明の第9の態様の吐出容器のいずれかであって、前記圧力調整機構がバルブアッセンブリの下端に取り付けられているものが好ましい。この場合、吐出容器の組み立てが簡単である。
【0051】
本発明の第9の態様の吐出容器のいずれかであって、前記圧力調整機構が内部容器内と連通するガス供給孔を有する高圧室と、所定の圧力で密封された基準圧室と、前記基準圧室と内部容器の押圧力に応じて基準圧室を圧縮・拡張するピストンと、前記ピストンと連動して前記ガス供給孔を遮断・連通する弁とを備えており、前記ピストンによって基準圧室が所定容量より小さく圧縮されたとき、前記弁が前記ガス供給孔を遮断し、前記ピストンによって基準圧室が所定容量より大きく拡張されたとき、前記弁が前記ガス供給孔を連通するものが好ましい。この場合、温度変化に影響されない安定した圧力調整機構となる。
特に、前記内部容器内に前記高圧室および前記弁が一体となったガス容器が収容されているものが好ましい。この場合、吐出容器の組み立て時に、高圧室への加圧剤の充填を行う必要がないため、圧力調整機構の組み立てが簡単である。
さらに、前記圧力調整機構がバルブアッセンブリの下部に形成され、ピストンを収容するシリンダ部を備えており、前記シリンダ部の下端にガス容器が取り付けられるものが好ましい。この場合、構造が簡単である。
【0052】
本発明の第9の態様の吐出容器のいずれかであって、前記ガス容器の底部が内部容器の底部に載置されているのが好ましい。この場合、ガス容器の底部が内部容器により支えられているため、バルブアッセンブリを取り付ける際にガス容器をシリンダ部の下端と連結させやすい。
そのような本発明の第9の態様の吐出容器に加圧剤を充填する吐出製品の製造方法として、前記外部容器および内部容器を準備し、前記ガス容器を内部容器内に収容し、外部容器および内部容器に、バルブアッセンブリを固定することにより、前記圧力調整機構を作動させ、前記ガス容器から内部容器内に加圧剤を充填する方法が挙げられる。この場合、特別な加圧剤の充填工程を必要とせず、使用者によって吐出製品を組み立てることができる。これにより、エアゾール容器の新しいリフィルシステムを構築することができる。
【0053】
本発明の第9の態様の吐出容器のいずれかであって、前記圧力調整機構が前記内部容器の開口部から吊り下げられて収容され、前記ガス容器を保持するための容器ホルダーを備えており、前記容器ホルダーに、容器ホルダーの内部と内部容器内とを連通するスリットが形成されているものが好ましい。この場合、ガス容器の位置が安定し、またガス容器の底部が容器ホルダーによって支えられているため、バルブアッセンブリを取り付ける際にガス容器をシリンダ部の下端と連結させやすい。また、外部容器や内部容器の大きさを自由に選択することができる。
そのような本発明の第9の態様の吐出容器に加圧剤を充填する吐出製品の製造方法として、前記外部容器および内部容器を準備し、前記ガス容器を内部容器内に収容し、外部容器および内部容器に、バルブアッセンブリを固定することにより、前記圧力調整機構を作動させ、前記ガス容器から内部容器内に加圧剤を充填する方法が挙げられる。この場合、特別な加圧剤の充填工程を必要とせず、使用者によって吐出製品を組み立てることができる。これにより、エアゾール容器の新しいリフィルシステムを構築することができる。
そのような本発明の第9の態様の吐出容器に加圧剤を充填する吐出製品の製造方法として、前記外部容器および内部容器を準備し、前記ガス容器を保持させた容器ホルダーを内部容器内に収容し、外部容器および内部容器に、バルブアッセンブリを固定することにより、前記圧力調整機構を作動させ、前記ガス容器から内部容器内に加圧剤を充填する方法が好ましく挙げられる。この場合、特別な加圧剤の充填工程を必要とせず、使用者によって吐出製品を組み立てることができる。これにより、エアゾール容器の新しいリフィルシステムを構築することができる。
【0054】
本発明の吐出容器の第10の態様は、外部容器と、その外部容器に収容される内部容器と、前記外部容器および内部容器を閉じ、外部容器の外周と係合して固定されるバルブアッセンブリとからなり、外部容器と内部容器との間の収容室に内容物が充填され、内部容器内の加圧室に加圧剤が充填される吐出容器であって、前記バルブアッセンブリが、前記収容室と大気とを連通する内容物の吐出通路を連通・遮断するバルブ機構と、そのバルブ機構を収容するバルブホルダーと、そのバルブホルダーおよび外部容器を覆うようにして、バルブホルダーを外部容器に固定するキャップとを備え、前記バルブホルダーと内部容器との間に内シール材が設けられ、前記外部容器の外筒面とキャップの内筒面との間に断面円形の外シール材が設けられ、前記キャップを外部容器に固定位置に固定させ、前記外シール材および内シール材にそれぞれシール構造を形成させて内容物を吐出するものであり、前記キャップが固定位置より上方の仮位置に配置させたとき、外シール材にシール構造を形成させ、内シール材にシール構造を形成させないことを特徴としている。
本発明の吐出容器の第10の態様は、外シール材によるシール構造を形成し、内シール材によるシール構造を形成させない状態を作ることができるため、その状態でバルブアッセンブリと内部容器との間から内部容器内に加圧剤の充填を行うことができる(アンダーカップ充填)。
本発明の第10の態様の吐出容器であって、内シール材が鉛直方向に圧縮されるもの、あるいは、内シール材が水平方向に圧縮されるものが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1の吐出容器10は、本発明の第1の態様であって、バルブ機構が2つの独立したステム内通路を有するステムを備えており、一方のステム内通路がホルダー内吐出通路と連通し、他方のステム内通路がホルダー内ガス通路と連通し、他方のステム内通路を閉鎖して内容物を吐出し、他方のステム内通路を開放して加圧剤を排出するものである。
詳述すると
図1の吐出容器10は、合成樹脂製の外部容器11と、その内部に収容される合成樹脂製の内部容器12と、外部容器11および内部容器12を閉じ、かつ、外部容器の外周と係合して固定されるバルブアッセンブリ13とからなり、外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に内容物Cが充填され、内部容器内の加圧室S2に加圧剤Pが充填される。この吐出容器10は、押ボタン14をバルブアッセンブリ13に取り付けて使用する。
この吐出容器10は、バルブアッセンブリ13から押ボタン14を取り外し、かつ、バルブ機構16のステム21の押し下げること(切替操作)により加圧室S2と大気とを連通させることができる(
図3b参照)。
【0057】
外部容器11は、透明または半透明で、内部が視認できる耐圧容器である。詳しくは、円筒状の胴部、テーパー状の肩部および円筒状の首部を備えた有底筒状の耐圧容器である。首部の外周には、ネジ11aが形成されている。ネジ11aの下方には、外円筒部11b1と、その下端の環状突起11b2とからなる筒状の外シール保持部11bが形成されている。この外シール保持部11bには断面が円形である環状の外シール材A1が保持される。外円筒部11b1は、外シール材A1を水平方向に圧縮する部位であり、環状突起11b2は外シール材A1が外円筒部11b1から抜けないようにする部位である。さらに、外シール保持部11bの下方には、吐出容器10の組み立て時に外部容器11を保持したり、充填時に外部容器11を吊り下げるなどのための環状突起11cが形成されている。環状突起11cは外周形状が円状だけでなく、吐出容器10の回転を防止するために一部に平面を設けたり、さらには矩形状にしてもよい。
【0058】
内部容器12は、実質的に外部容器11の内面と同一の形状を有し、円筒状の胴部、テーパー状の肩部および円筒状の首部を備えた有底筒状の可撓性の容器である(
図5a参照)。内部容器12の首部の内面は、内シール材A2を水平方向に圧縮する内円筒部12aとなっている。この内部容器12は、首部より上方は変形せず、胴部より下方が可撓性を有して変形する。肩部は、首部から胴部に向かって徐々に可撓性が高くなるように構成されている。この実施形態では、肩部の上部から下部に向かって徐々に薄くなっている。内部容器12は、透明または半透明で、内部が視認できるようになっている。内部容器12の上端には、外方に突出したフランジ部12bが形成されている。フランジ部12bは、外部容器11の上端に配置される。内部容器12は、フランジ部12bの下面から首部の外面を介して肩部の上部外面に連続して形成された上下に延びる縦通路溝12cが複数本等間隔で環状に配列されている。この実施形態では、例えば、縦通路溝12cを4本設けている。しかし、その本数は特に限定されるものではなく、2〜8本が好ましい。また、縦通路溝12cは、内部容器12の上端から少なくとも変形しない首部の下端まで設けられていればよい。肩部の縦通路溝は、肩部の可撓性(厚さ)に応じて適宜選択することができる。この縦通路溝12cは、外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に充填される内容物の吐出通路となる。なお、縦通路溝は、外部容器11の首部上面、首部および肩部の内面に設けるようにしてもよい。さらに、外部容器11の内面および内部容器12の外面の両方に設けるようにしてもよい。
【0059】
このような外部容器11および内部容器12は、首部にネジ11aが形成された外部容器用のアウタープリフォームおよび首部にフランジ部12bおよび縦通路溝12cが形成された内部容器用のインナープリフォームを射出成型などにより個別に成型し、内部容器用のインナープリフォームを外部容器用のアウタープリフォームに挿入し、二層プリフォームを準備する。次に、この二層プリフォームを2軸延伸ブローなどで外部容器11および内部容器12の肩部以下の部位を同時に成型する。これにより、内部容器12の外形が、外部容器11の内面と当接する形状、つまり、外部容器11の内面と実質的に同一形状となる。
外部容器11としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性の合成樹脂を用いるのが好ましい。また、内部容器12としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性の合成樹脂を用いるのが好ましい。なお、外部容器11と内部容器12とで同じ材質の合成樹脂を用いてもよく、異なる材質の合成樹脂を用いてもよい。その場合、内部容器12としては、弾性を有するゴムまたは合成樹脂を用いてもよい。
なお、収容室S1とバルブアッセンブリ13とが、外部容器11と内部容器12との間に形成される縦通路によって連通されれば、内部容器12の外形は外部容器11の内面と異なる形状としてもよい。
【0060】
バルブアッセンブリ13は、
図2aに示すように、2つの流体を独立して通し、同時に遮断/連通するバルブ機構16と、外部容器11および内部容器12を閉じるバルブホルダー17と、そのバルブ機構16をバルブホルダー17内に固定し、かつ、バルブホルダー17を外部容器11に固定するキャップ18とを備えている。
バルブ機構16は、2つの独立した第1ステム内通路21aないし第2ステム内通路21bおよびそれらの通路とそれぞれ連通する第1ステム孔21a1ないし第2ステム孔21b1が形成されたステム21と、その第1ステム孔21a1を閉じる環状の第1ステムラバー22aと、その第2ステム孔21b1を閉じる環状の第2ステムラバー22bと、ステム21を常時上方に付勢する弾性体23と、第1ステムラバー22aおよび第2ステムラバー22bの間に設けられ、それらを支持する筒状の支持部材24とからなる。
ステム21は、下端が閉じられた内筒部25aおよび外筒部25bを同軸上に重ねたものであり、内筒部25aは、外筒部25bより上方にも下方にも突出している。そして、内筒部25aと外筒部25bの間の環状の空間が第1ステム内通路21aを構成し、その第1ステム内通路21aと同軸の内筒部25a内の円柱状の空間が第2ステム内通路21bを構成している。第1ステム孔21a1は、第1ステム内通路21aの下部と連通するように、外筒部25aを半径方向に貫通して形成された孔である。第2ステム孔21bは、第1ステム孔21aより下方(外筒部25bより下方に突出した内筒部25a)に、第2ステム内通路21bの下部と連通するように、内筒部25aを半径方向に貫通して形成されている。
第1ステムラバー22aおよび第2ステムラバー22bは、それぞれその外端が支持部材24によってバルブホルダー17内に支持され、内端は第1ステム孔21a1および第2ステム孔21b1を塞ぐ。そして、ステム21が下方に移動することにより、第1ステム孔21aおよび第2ステム孔21bが第1ステムラバー22aおよび第2ステムラバー22bの内端から開放される。
支持部材24には、その内外を連通するスリット24aが形成されている。
【0061】
バルブホルダー17は、
図2bに示すように、収容室S1と大気とを連通するホルダー内吐出通路R1および加圧室S2と大気とを連通するホルダー内ガス通路R2が独立して設けられたものである。詳しくは、筒状のハウジング26と、そのハウジング26の中部側面から外方に延びる環状フランジ27と、その下面に、ハウジング26と同軸外方に設けられた筒状の栓部28とを有する。
【0062】
ハウジング26は、側面にハウジングの内外を連通する第1連通孔26aを有しており、下端にハウジングの内外を連通する第2連通孔26bを有している。また、ハウジング26の上端には、バルブ機構16の第1ステムラバー22aを支持する第1ラバー支持部26cが形成されており、内側面であって第1連通孔26aと第2連通孔26bの間に、バルブ機構16の第2ステムラバー22bを支持する第2ラバー支持部26dが形成されている。さらに、ハウジング26の第1連通孔26aの上方外周が、段部26eを介して拡径している。そして、ハウジング26の底部には、上方に突出するように複数枚の板バネ26fが設けられている。この板バネ26fがバルブ機構16の弾性体23を構成する(
図2a参照)。この実施形態では、4枚の板バネが環状に等間隔で配列されている。弾性体23をハウジング26と一体に成形することにより、非金属のバルブアッセンブリを構築することができる。しかし、独立したバネをハウジング26の底部とバルブ機構16のステム21との間に配置させてもよい。そして、ハウジング26の底部の下面中央には、第2連通孔26bと連通し、下方に突出する筒部26gが形成されている。
ハウジング26内は、バルブ機構16の第2ステムラバー22bによって2つの空間に分けられる。つまり、ハウジング26内は、第1ステムラバー22aと第2ステムラバー22bの間の上空間(ホルダー内吐出通路の一部)と、第2ステムラバー22bより下方の下空間(ホルダー内ガス通路の一部)とに分けられる(
図2a参照)。
【0063】
環状フランジ27は、第1連通孔26aと第2連通孔26bの間にハウジング26の外方に突出している。環状フランジ27の上面には、横通路溝27aが複数等間隔で放射状に設けられている。この横通路溝27aは、内部容器12の縦通路溝12cと同数とし、その配置を縦通路溝12cと平面視で重なるように設けられている。
【0064】
栓部28は、内部容器12の首部の内面に沿って挿入される筒状の部位である。その下部側面に内シール材A2を保持する環状の内シール保持部28aが形成されている。この内シール保持部28aの底28a1が内シール材A2を水平方向に圧縮する。
【0065】
このようにバルブホルダー17は構成されているため、ホルダー内吐出通路は、ハウジング26と環状フランジ27を介して連通している。つまり、ハウジング26内を通り、環状フランジ27を迂回するようにして連通している。さらに詳しくは、ハウジング26内の上空間、ハウジング26の第1連通孔26a、環状フランジ27の横通路溝27aとからなる。一方、ホルダー内ガス通路は、ハウジング26内の下空間、ハウジング26の第2連通孔26bとからなる。
【0066】
キャップ18は、
図2cに示すように、バルブホルダー17のハウジング26の開口部を閉じる円板状のカバー部31と、その縁部から下方に延び、ハウジング26の外周に配置される上筒部32と、その下端から半径方向外側に延びる環状のリング部33と、その外端から下方に延びる下筒部34とを有する。
カバー部31は、第1ステムラバー22aの上方への飛び出しを防止するものである。カバー部31の中央には、ステム21を通す中心孔31aが形成されている。
上筒部32は、バルブホルダー17のハウジング26を保持し、ハウジング26との間に内容物の吐出通路を形成する部位である。上筒部32の内面には、ハウジング26の段部26eと係合する係合突起32aが形成されている。カバー部31と係合突起32aとでバルブホルダー17(ハウジング26)を挟むことにより、バルブ機構16をバルブホルダー17(ハウジング26)に固定し、かつ、バルブホルダー17を保持する(
図2a参照)。つまり、キャップ18とバルブホルダー17とを一体化できる。なお、筒部32の下部内面(係合突起32aより下方内面)は、ハウジング26の外周面と環状の隙間G1を形成する(
図2a参照)。この隙間G1は、ハウジング26の第1連通孔26aと連通しており、内容物の吐出通路を構成する。
【0067】
リング部33は、バルブホルダー17が外部容器11から抜け飛ばないようにバルブホルダー17の環状フランジ27の上面を覆う部位である。なお、環状フランジ27には横通路溝27aが形成されているため、リング部33と環状フランジ27との間に放射状に延びる通路が複数形成される。この通路は、内容物の吐出通路(ホルダー内吐出通路)を構成し、隙間G1と連通している。
下筒部34は、外部容器11と連結し、バルブホルダー17との間に内容物の吐出通路を構成する部位である。下筒部34の上部内面は、バルブホルダー17の環状フランジ27の外端と隙間G2が空くように設計されている(
図2a参照)。下筒部34の中部内面には、外部容器11のネジ11aと係合するネジ34aが形成されている。そして、ネジ34aの下方である下筒部34の下部内面であって、外部容器11の外シール保持部11bの位置に、環状段部11b2より若干拡径した内円筒部34bが形成されている。この内円筒部34bは、外部容器11の外円筒部11b1との間で外シール材A1を半径方向に圧縮する部位である(
図1参照)。
【0068】
押ボタン14は、
図2dに示すように、下面に形成された筒状のステム係合部14aと、前面に設けられた吐出孔14bと、ステム係合部14aと吐出孔14bとを連通するボタン内通路14cとを備えている。
ステム係合部14aは、ステム21の外筒部25bを挿入する拡径孔36と、その上方に設けられ、ステム21の内筒部25aを挿入する縮径孔37とからなる。ボタン内通路14cは、拡径孔36の上部と連通している。そして、縮径孔37の上端は閉じている。縮径孔37の高さは、内筒部25aの外筒部25bに対する突出量より小さくなっている(
図1参照)。そのため、ステム21がステム係合部14a内に挿入されたとき、内筒部25aの上部は縮径孔37内に配置されて、内筒部25aの下部および外筒部25bの上部は拡径孔36内に配置される。よって、内筒部25aの上端が縮径孔37の上端で閉止され、外筒部25bの上方はボタン内通路14cと連通し、拡径孔36と内筒部25aによって囲まれる空間G3が形成される(
図1参照)。
【0069】
次に、押ボタン14を除いた収容室S1と大気とを繋ぐ内容物の吐出通路、加圧室S2と大気とを繋ぐガス通路(ガス充填通路またはガス排出通路)について
図3を参照して説明する。
収容室S1は、
図3aに示すように、縦通路溝12c、下筒部34とバルブホルダー17の隙間G2、ホルダー内吐出通路(キャップ18のリング部33とバルブホルダー17の環状フランジ27との間の横通路溝27a、キャップ18の上筒部32の下部内面とバルブホルダー17のハウジング26の外周面との間の隙間G1、ハウジング26の第1連通孔26aおよびハウジング26の上空間)およびバルブ機構16のステム21の第1ステム内通路21aを介して大気と連通する。
一方、加圧室S2は、
図3bに示すように、ホルダー内ガス通路(ハウジング26の第2連通孔26bおよびハウジング26内の下空間)およびバルブ機構16のステム21の第2ステム内通路21bを介して大気と連通する。
【0070】
次に吐出容器10のシール構造について、
図1を参照して説明する。
この吐出容器10では、外部容器11とバルブアッセンブリ13との間に外シール材A1を設けており、内部容器12とバルブアッセンブリ13との間に内シール材A2を設けている。詳しくは、外シール材A1が、外部容器11の外円筒部11b1と、バルブアッセンブリ13のキャップ18の内円筒部34bとの間で水平方向に圧縮されて保持される。そして、内シール材A2が、内部容器12の内円筒部12aと、バルブアッセンブリ13の栓部33の内シール保持部33aの底33a1との間で水平方向に圧縮して保持される。つまり、外シール材A1および内シール材A2は、外部容器11および内部容器12の軸に対して垂直な方向に圧縮されるため、外部容器11に対するキャップ18の嵌合度(螺合度)と関係なくシールが形成される。そのため、外力等により外部容器11に対するキャップ18の係合が緩んでも、シールが解除されることがなく、内容物および加圧剤の噴出のおそれが小さい。なお、外シール材A1および内シール材A2としては、断面が円形であるリング状のガスケット(Oリング)を用いるのが好ましい。
本発明の第1の態様は、このシール構造に限定されるものではない。例えば、
図4の吐出容器10aのように、環状の板シール材A3を内部容器12のフランジ部12bとバルブホルダー17の環状フランジ27の間に設けてもよい。あるいは、内シール材A2を板シール材A3に置き換えてもよい。その他、加圧室S2を密閉できれば、内シール材A2のシール構造に限定されない。また外シール材17も、ネジ11aの下方に設けられているが、ネジ11aの上方に設けてもよい。その他、吐出通路を残して外部容器11とキャップ18との間を密閉できれば、外シール材A1のシール構造も限定されない。しかし、吐出容器10のシール構造はコストを抑えることができ、組み立てが容易である。
【0071】
次に、吐出製品10の使用方法を示す。使用方法は、押ボタン14を押し下げることにより、押ボタン14の吐出孔14bより内容物Cを吐出することができる(
図3a参照)。詳しくは、押ボタン14を介してステム21を押し下げることにより、ステム21の第1ステム孔21aおよび第2ステム孔21bが開放され、内容物の吐出通路が開く。しかし、押ボタン14の閉止部(縮径部37の上端)がステム21の第2ステム内通路21bの上端開口を閉止しているため、バルブアッセンブリ13の内容物Cの通路のみが開放される。つまり、内部容器12(加圧室S2)内の加圧剤Pが内部容器12を拡げるように押圧し、収容室S1が収縮され、内容物Cが収容室S1から内容物の吐出通路を介して吐出孔14bより吐出される。
内容物Cの全量を排出した後は、押ボタン14を外し、ステム21を押し下げる(
図3b参照)。これによりガス通路が開き、加圧室S2から加圧剤Pを排出できる。この吐出容器10は、この状態で廃棄してもよい。しかし、キャップ18を外部容器11から取り外すことにより、それぞれを分別して廃棄することもできる。
【0072】
次に、吐出容器10を用いた吐出製品の製造方法を示す。二重プリフォームから外部容器11および内部容器12を準備する。次いで、バルブホルダー17とキャップ18とを一体化させる。その一体化させたバルブアッセンブリ13を外部容器11に固定して吐出容器10を組み立てる。次いで、ステム21の第2ステム内通路21bを閉鎖した状態で、ステム21を押し下げ、内容物Cを収容室S1に充填する。その後、ステム21の第1ステム内通路21aを閉鎖した状態で、ステム21を押し下げ、加圧剤Pを加圧室S2に充填する。なお、外部容器11にバルブアッセンブリ13を取り付ける前に、縦通路溝12cの開口から収容室S1に内容物Cを充填してもよい。
【0073】
内容物Cとしては、噴霧状に吐出する内容物、泡状(フォーム)に吐出する内容物およびクリーム状またはゲル状に吐出する内容物等が挙げられる。
しかし、泡状に吐出する内容物Cとして、内容物と、その内容物中に均一に分散された発泡剤とからなる均一溶液を用いるのが好ましい。この場合、内容物中に均一に分散された発泡剤が通路を押し広げるため、内部容器12が膨張して内部容器12の外面と外部容器11の内面が先行して当接し、収容室S1と縦通路溝12cとの間を塞ぐことを防止でき、内容物を最後まで吐出することができて好ましい。この均一溶液は、外部容器、内部容器、バルブアッセンブリを備えた吐出容器であって、内部容器内の加圧室に加圧剤Pが充填され、外部容器と内部容器との間の収容室S1に内容物Cが充填されるものであれば、本発明の第1の態様に用いられなくても同様の効果を得ることができる(本発明の第8の態様)。
このような均一溶液としては、透明から半透明の外観を示すものが好ましい。内容物は、水性溶液であっても、油性溶液であってもよい。内容物Cは、25℃における蒸気圧(ゲージ圧)が0.01〜0.3MPa、さらには0.02〜0.2MPaであることが好ましい。蒸気圧が0.01MPaよりも低い場合は組成物収容室S1から縦通路溝17bへの通路を押し広げる効果が不充分となり、吐出しにくくなる場合がある。蒸気圧が0.3MPaよりも高くなると勢いが強くなりすぎて吐出される泡が飛び散りやすくなる。
内容物中に発泡剤が均一に分散する内容物の例としては、例えば、次の4つのタイプが挙げられる。
【0074】
[内容物(1)]
界面活性剤を1〜30質量%、1価アルコールを5〜30質量%、エタノールに溶解するオイル1〜10質量%および水を含有する水性内容物40〜90質量%、と、発泡剤10〜60質量%とからなる組成物が挙げられる。内容物(1)は、発泡剤を組成物中10〜60質量%と多く含有しているにもかかわらず、水性内容物が特定の組成を有するため、水性内容物中に発泡剤が均一に分散して分離せず、かつ、透明もしくは半透明の外観を示す。
発泡剤としては、たとえば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンおよびこれらの混合物(例えば、LPG等)である炭素数3〜5の脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンなどのハイドロフルオロオレフィン、ならびにこれらの混合物など、25℃における蒸気圧(ゲージ圧)が0.1〜0.5MPaのものが挙げられる。
界面活性剤としては、たとえば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
1価アルコールとしては、たとえば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、アミルアルコールなどの炭素数2〜5の1価アルコールが挙げられる。
エタノールに溶解するオイルとしては、たとえば、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソオクタン酸セチル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2−エチルへキサン酸トリメチロールプロパン、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、クエン酸トリエチル、コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチルなどのエステル油、流動パラフィン、イソパラフィンなどの液状の炭化水素油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコールなどを使用することができる。
また、水性内容物と発泡剤との分散性をさらに向上させるため多価アルコールを水性内容物中に1〜15質量%含有することが好ましい。多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールおよびグリセリンなどの2〜3価の多価アルコールが挙げられる。
さらに、吐出製品の目的や用途に応じて内容物中に有効成分を含有させることが好ましい。有効成分としては、たとえば、スタイリング剤、保湿剤、紫外線吸収剤、アミノ酸、ビタミン類、酸化防止剤、各種抽出液、殺菌・防腐剤、消臭・防臭剤、消炎鎮痛剤、清涼剤、収斂剤、抗炎症剤、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤、美白剤、香料などが挙げられる。
【0075】
[内容物(2)]
HLBが13〜17である非イオン性界面活性剤を1〜50質量%含有する水性内容物90〜99.5質量%と、炭素数3〜5の脂肪族炭化水素(発泡剤)0.5〜10質量%とからなる組成物が挙げられる。内容物(2)は、所定のHLBを有する非イオン型界面活性剤を所定量含有する水性内容物と、所定の発泡剤とを所定の割合で含有することにより、水性内容物中に発泡剤が均一に分散して分離せず、かつ、透明から半透明の外観を示す。特に、水性内容物に2〜3価の多価アルコールを5〜50質量%含有することで透明で均一な組成物が得られやすい。
HLBが13〜17である非イオン性界面活性剤としては、たとえば、ペンタグリセリルモノラウレート、ペンタグリセリルモノミリステート、ペンタグリセリルモノオレエート、ペンタグリセリルモノステアレート、ヘキサグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリルモノミリステート、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノミリステート、デカグリセリルモノオレエートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、POEソルビタンモノラウレート、POEソルビタンモノパルミテート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノイソステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEオレイルエーテル、POEベヘニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、POE・POPセチルエーテルなどのポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、POEソルビットテトラステアレート、POEソルビットテトラオレエート、POEソルビットモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリルモノステアレート、POEグリセリルモノオレエートなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油などが挙げられる。なお非イオン界面活性剤以外にも、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤などを添加してもよい。
内容物(2)の1価アルコール、多価アルコール、発泡剤は、内容物(1)と同様のものを用いることができる。また、内容物(1)と同様に、有効成分を含有することが好ましい。
【0076】
[内容物(3)]
アミノ酸系界面活性剤を0.1〜10質量%および炭素数2〜3の1価アルコールを25〜60質量%含有する水性内容物80〜98質量%と、炭素数3〜5の脂肪族炭化水素(発泡剤)2〜20質量%とからなる組成物が挙げられる。内容物(3)は、水性内容物中に発泡剤が均一に分散して分離せず、かつ、透明から半透明の外観を示す。
アミノ酸系界面活性剤としては、たとえば、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムおよびN−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸およびN−ステアロイル−L−グルタミン酸などのN−アシルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウムおよびN−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシルアラニン塩などが挙げられる。
内容物(3)の1価アルコール、発泡剤は、内容物(1)と同様のものを用いることができる。また、内容物(1)と同様に、有効成分を含有することが好ましい。
【0077】
[内容物(4)]
界面活性剤を内容物中1〜20質量%および油性基材を50〜99質量%含有する油性内容物85〜99質量%と、発泡剤1〜15質量%とからなる組成物が挙げられる。
界面活性剤としては、内容物(1)と同様の非イオン性界面活性剤を用いることができるが、特に、油性内容物を発泡しやすくするために、モノオレイン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノラウリン酸ジグリセリル、モノカプリン酸ジグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリル、トリミリスチン酸ペンタグリセリル、トリオレイン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、などのポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
油性基剤としては、たとえば、内容物(1)と同様のエステル油、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、ホホバ油、麦芽油、ヤシ油、パーム油、米サラダ油などの油脂、などが挙げられる。
なお、油性内容物に、水を1〜20質量%、1価アルコールを1〜20質量%含有してもよい。また、内容物(1)と同様に、有効成分を含有することが好ましい。
発泡剤は、内容物(1)と同様のものを用いることができるが、油性内容物を発泡しやすくするために、25℃における蒸気圧(ゲージ圧)が0.5〜0.85MPaのものを用いることが好ましい。
【0078】
加圧剤としては、酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、酸素、空気およびこれらの混合ガスなどの圧縮ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、およびこれらの混合ガスなどの液化ガスなどが挙げられる。
なお、内容物として、内容物と発泡剤とからなる均一溶液を用いる場合、窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素ガスなどが好ましい。特に、炭酸ガスや亜酸化窒素などの内容物への溶解度が高い溶解性圧縮ガスを用いる場合、加圧室S2から組成物収容室S1に加圧剤を透過させたとき、発泡剤として作用する。これらは、発泡剤の含有量が少なくても、また、発泡剤の蒸気圧が低くても、発泡しやすいため、好ましい。その場合、例えば、加圧剤の圧力は、0.1〜0.5MPaとするのが好ましい。つまり、加圧剤充填後のステムで測定する製品圧力の25℃における蒸気圧(ゲージ圧)は0.1〜0.8MPaとなるように、加圧剤充填前の内容物の蒸気圧(ゲージ圧)よりも0.1〜0.5MPa高くなるようにするのが好ましい。加圧剤充填後の製品圧力の蒸気圧が0.1MPaよりも低い場合は加圧剤を充填する効果が得られにくくなる。加圧剤充填後の製品圧力の蒸気圧が0.8MPaよりも高い場合は吐出時の勢いが強くなりすぎ、吐出される泡が飛び散りやすくなる。
【0079】
図4の吐出容器10aは、内部容器12のフランジ部12bの上面とバルブアッセンブリ13の環状フランジ27の下面の間に、鉛直方向に圧縮される環状の板シール材A3が設けられている。他の構成は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものであり、外部容器11、内部容器12およびバルブアッセンブリ13を有する。このように板シール材A3を設けることにより、板シール材がキャップの締め付けにより垂直方向に圧縮され、内部容器内の加圧室のシール性がさらに高くなる。
【0080】
吐出容器10aを用いた吐出製品の製造方法は、上述の吐出容器10と用いた吐出製品のようにしてもよい。
図5a〜hでは、吐出容器10aを用いた吐出製品の他の製造方法を説明する。この製造方法は、内容物Cと加圧剤Pを充填する前に内部容器内にガイド部
材を挿入して内部容器を収縮させ、その後、内容物Cと加圧剤Pを充填することを特徴としている(本発明の第7の態様)。そのため、外部容器と、外部容器の内面と略同一形状を有し、外部容器に収容される可撓性を有する内部容器と、外部容器の口部及び内部容器の口部を閉じる蓋体(バルブアッセンブリ)とからなる多層構造の吐出容器であれば、本発明の第1の態様に用いられなくても同様の効果を得ることができる。ガイド部材を用いた製造方法は、後述するいずれの実施形態の吐出容器にも採用することができる。
【0081】
次に、
図5a〜hを用いて説明する。まず、
図1の吐出容器10と同様に、外部容器11用のプリフォームと内部容器12用のプリフォームからなる二重プリフォームを準備し、ブロー金型内においてブロー(具体的には2軸延伸ブ
ロー)等することにより、外部容器11と内部容器12とを同時に成型する。
【0082】
次に、
図5bに示すように、内部容器12内にガイド部材40を挿入する。ガイド部材40は、
図5及び
図6に示すように、下端部が球面状に形成された、中空略棒状の弾性体であって、その下端部が内部容器12の底部12dに当接した状態とされる。また、外周面には上下方向に延びる凸部(縦リブ)40a及び凹部(縦溝)40bが交互に且つ規則的に形成されている。さらに、上端部近傍は、内部容器12の口部(首部の内円筒部12a)の内径より小径とされており、ガイド部材40を内部容器12に挿入した状態においても、内部容器12内と大気とは連通状態を維持できるようになっている。
このようなガイド部材40は、例えば合成ゴムやシリコーンゴムなどの弾性材料から構成される。
そして、
図5cに示すように、このガイド部材40の開口にポンプ等の給排気装置(図示しない)を接続し、内部容器12の内面と接しない程度まで膨らませる。
【0083】
次に、
図5dに示すように、内部容器12の縦通路溝12cを通じて収容室S1に収縮用ガスを充填していく。ガスを充填すると、内部容器12はその圧力によって収縮(縮径方向に圧縮)され、風船状に膨らんだガイド部材40の外面に当接する。なお、収縮用ガスは加熱したものを用いても良い。この場合、内部容器12が軟化し収縮させ易くなる。内部容器12内の空気については、口部(首部の内円筒部12a)とガイド部材40との間に生じた隙間から自然と外部に排出される。
また、
図5eに示すように、収縮用ガス充填による内部容器12の収縮に合わせて、ガイド部材40から空気を抜いていき徐々に収縮させる(萎ませていく)。この際、内部容器12の内面がガイド部材40の外面にほぼ隙間無く当接した状態を維持するようにし、内部容器12を内側から支持することが好ましい。このようにすることで、内部容器12の不規則な収縮が抑制され、ガイド部材40の形状に沿って収縮変形し易くなる。
ガイド部材40を完全に収縮させた後、
図5fに示すように、ガイド部材40を内部容器12から抜き取る。なお、この際、内部容器12はガイド部材40の外周に設けられた凹凸に沿って規則的に弛み12hが形成された状態であり、またこの状態を維持する。
【0084】
そして、
図5gに示すように、外部容器11にバルブアッセンブリ13を螺着し、収容室S1に内容物Cを、内部容器12に加圧剤Pを充填していく。収容室S1への内容物Cの充填は、第2ステム内通路21bの上端を閉塞した状態において、ステム21を下方に押圧し、
図3aの示す内容物の吐出通路の逆のルートを通じて行われる。このとき、内部容器12が収縮しているため、収容室S1への通路が確保されており、内容物Cをスムーズに充填することができる。また、内部容器12への加圧剤Pの充填は、第1ステム内通路21aの上端を閉塞した状態において、ステム21を下方に押圧し、
図3bの示すガス排出通路の逆のルートを通じて行われる。なお、バルブアッセンブリ13を取り付ける前に(
図5f)、縦通路溝12cから収容室S1に内容物Cを充填しても良い。
【0085】
なお、加圧剤Pの充填前における内部容器12内の空気は、内容物Cを充填した後(
図5g)、第2ステム内通路21bの上端を閉塞した状態でステム21を下方に押圧することで内容物の吐出通路を介して排出することができる(
図3b参照)。収容室S1内の空気は、加圧剤Pを充填する際に第2ステム内通路21bの上端を開放した状態にしておくことで排出することができる。
【0086】
内容物Cや加圧剤Pの充填後(
図5h)は、第2ステム内通路21bの上端を閉塞した状態でステム21を押し下げ、収容室S1内に残存する空気を排出し、収容室S1を内容物Cで満たす(液密にする)。また、ステム21内に残留する内容物Cや加圧剤Pの除去等を行い、吐出製品の製造を完了する。
【0087】
上記製造方法では、内部容器12内にガイド部材40を挿入した状態で内部容器12を収縮させることから、内部容器12をガイド部材40に沿って収縮させることができ、内部容器12を意図した形状に変形させることができる。そのため、製品間での品質のばらつきを抑えることができ、さらに内容物Cを外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に凡そ均一な厚みで充填することも可能となる。また、ガイド部材40の外面に凹凸を形成しているため、内部容器12を収縮させたことによる弛み12hを意図した箇所に設けることができる。そ
のため、例えば外部容器11が透光性を有していても見栄えが良く、さらに、規則的に形成された弛み12hにより、内部容器12が元の形状に戻りやすいといった効果も生じる。
【0088】
また、ガイド部材40の下端部が収縮変形前の内部容器12の底部12dと当接しているため、内部容器12が持ち上がるような変形や、底部12dを巻き込むような変形を抑制することができ、内部容器12の肩部による縦通路溝12cの閉塞を防止し、収容室S1に内容物Cを均等に充填することができる。
【0089】
さらに、内部容器12を収縮変形させる(外部容器11と内部容器12との間に収容室S1を形成する)にあたって、内容物Cに比べて遥かに粘性の低いガスを用いることから、内部容器12の縦通路溝12c付近に収縮変形が集中する虞も小さく、内部容器12を簡単に且つ均一に収縮させることができる。また、内部容器12の収縮に伴ってガイド部材40を収縮させる方法を合わせて採っていることから、内部容器12をガイド部材40に沿って収縮させ易くなり、より簡単に内部容器12を収縮させることができる。
【0090】
図7の製造方法は、ガイド部材42が単純な形状、例えば断面が円形や楕円形、多角形とされた柱状(棒状)とされている点に特徴を有する。この場合であっても、内部容器12の収縮後の形状は略一定となり、内部容器12の不規則な収縮を抑制することができる。製造方法としては、ガイド部材40を膨らませる工程、及びガイド部材40を萎ませる工程を有しない他は、ガイド部材40を用いた方法と同様であることから、その工程を
図7a〜
図7fに示し、具体的な説明は省略する。なお、本実施形態においても、ガイド部材42の下端部は球面状に形成されており、内部容器12の収縮時にガイド部材42で内部容器12の底部12dを破いてしまう(貫いてしまう)といったことが防止される。
【0091】
図8aの吐出容器10bは、バルブホルダー17の下端(筒部26g)にガイド部材43が装着されている点に特徴を有する。その他の構成は、
図4の吐出容器10aと実質的に同じものである。この吐出容器10bのガイド部材43は、
図5のガイド部材40と異なり、内部容器12内から抜き取られること無く、内部容器12内に残されたままとなる。
【0092】
このガイド部材43は、例えばポリブチレンテレフタレートやポリアセタールなどの硬質樹脂からなり、
図8bに示すように、下端部が球面状に形成され、且つ凸部43aと凹部43bとが螺旋状に形成された中空棒状であって、その表面には、内部容器12内と中空部43cとを連通する複数の連通孔43dが凹部43bに沿うようにして形成されている。中空部43cは、バルブアッセンブリ13のハウジング26の筒部26gに装着された状態において、
図3bのガス通路を通じて大気と連通可能である。そのため、ステム21を下方に押圧すると、ガイド部材43を介して内部容器12内と大気とが連通するようになっている。
ガイド部材43の代わりに、
図8bのガイド部材44を用いてもよい。ガイド部材44は、中空部44aを有する内外平滑なチューブ状であり、その下端部に、中空部44aの開口を側方に向ける球状のアタッチメント44bを有している点に特徴を有する。
【0093】
製造方法について説明すると、まず、
図9aに示すように、例えば二重プリフォームを2軸延伸ブロー等で成型してなる外部容器11と内部容器12の口部に、ガイド部材43を装着したバルブアッセンブリ13を螺着する。この際、ガイド部材43の下端部は、内部容器12の底部12dには当接しないものの、底部12dの近傍に位置される。
次に、ステム21を下方に押圧した状態において、第2ステム内通路21bにポンプ等の給排気装置(図示しない)を接続し、ガイド部材43の連通孔43d及び中空部43cからなる吸引ガス通路を介して、内部容器12内の空気を抜いていく。連通孔43dは、下方に向かうに従って開口径が大きくなるように形成されていることから、内部容器12の下方側においてもスムーズに減圧が行われるようになっている。なお、内部容器の減圧に際しては、第1ステム内通路21aの上端を開口させておき、内部容器12の収縮に伴い、外部容器11と内部容器12との間に空気が供給されるようにしておく。ただ、代わりに収縮用ガス(加熱ガスでも可)を充填するようにしても良い。
【0094】
内部容器12内の空気を十分に抜くと、
図9bに示すように、内部容器12はガイド部材43の外形に沿って変形する。すなわち、螺旋状に凹凸が形成された形状となる。
そして、
図9cに示すように、収容室S1に内容物Cを、内部容器12内に加圧剤Pをそれぞれ充填し、収容室S1内の空気を外部に排出することで吐出製品10bの製造を完了する。なお、充填方法については、上記実施形態と同様である。ただ、加圧剤Pがガイド部材43の中空部43cと連通孔43dを通じて内部容器12内に充填される点は、本実施形態特有のものである。
【0095】
吐出容器10bを用いた吐出製品の製造方法では、バルブアッセンブリ13を取り付けた状態で内部容器12の収縮を行うことから、内部容器12内への空気の戻り等に注意を払う必要が無く、内部容器12の収縮作業を簡単に行うことができるといった利点がある。また、ガイド部材43を抜き取らないので、その分、作業工程が簡略化される。
【0096】
図10の吐出容器10cは、バルブホルダー17の下端(筒部26g)に中実のガイド部材45が装着されており、ハウジング26の第2連通孔26bがハウジング26の下部側面に形成されている。その他の構成は、
図4の吐出容器10aと実質的に同じものである。この吐出容器10cのガイド部材45も、内部容器12内から抜き取られること無く、内部容器12内に残されたままとなる。
【0097】
このようなガイド部材45においても、内部容器12が持ち上がるような変形や、底部12dを巻き込むような変形を抑制することができる。また、下端部が球状(球面状)であるため、内部容器12の収縮時にガイド部材45で内部容器12の底部12dを破いてしまう(貫いてしまう)といったことが防止される。
【0098】
図11の吐出容器50は、加圧剤の排出を補助する保護キャップ53を備えているものである。詳しくは、外部容器11と、その外部容器11に収容される内部容器12と、外部容器11および内部容器12を閉じるバルブアッセンブリ51と、バルブアッセンブリ
51に装着される押ボタン(吐出部材)52とを備えている。また、バルブアッセンブリ51に、バルブアッセンブリ51のステム21および押ボタン52を保護する保護キャップ53が装着されている。さらに、
図4の吐出容器10aと同様に環状の板シール材A3が設けられている。なお、外部容器11および内部容器12は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものである。
【0099】
バルブアッセンブリ51は、
図12aに示すように、2つの流体を独立して遮断/連通するバルブ機構16と、そのバルブ機構を収容する筒状のバルブホルダー56と、そのバルブ機構16をバルブホルダー56内に固定するようにバルブホルダー56を覆うバルブカバー57と、バルブ機構16、バルブホルダー56およびバルブカバー57を外部容器11に固定するキャップ58とを備えている。バルブ機構16は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものである。
バルブホルダー56は、
図12b、cに示すように、環状フランジ27の上面に、横通路溝27aではなく、上方に突出した突条27bが放射状に複数形成されている点が、
図1の吐出容器10と異なる。他の構成は、
図1の吐出容器10と実質的に同じであり、筒状のハウジング26、環状フランジ27と、ハウジングと同軸外方に設けられた筒状の栓部28とを備えている。この突条27bの間が実質的に横通路となる。
【0100】
バルブカバー57は、
図12dに示すように、バルブホルダー57のハウジング26の開口部を閉じる天蓋部61と、その縁部から下方に延び、ハウジング26の外周に配置される筒部62と、その下端から半径方向外側に延びる環状の裾部63とを備えている。バルブカバー57は、裾部63とバルブホルダー56の環状フランジ27との間でハウジング26の第1連通孔26aと連通し、内部容器12の縦溝通路12cを介して収容室S1と連通する横通路を形成する。
天蓋部61の中央には、バルブ機構16のステム21を通す中心孔61aが形成されている。
筒部62の内面には、ハウジング26の段部26eと係合する係合突起62aが形成されている。そして、天蓋部61と係合突起62aとでバルブホルダー56を挟むことにより、バルブ機構16をバルブホルダー56(ハウジング26)に固定し、かつ、バルブホルダー56を保持する(
図12a、参照)。なお、筒部62の下部内面(係合突起62aより下方内面)は、ハウジング26の外周面と環状の隙間G1を形成する(
図12a参照)。この隙間G1は、前述したバルブホルダー56の突条27b間と連通している(ホルダー内吐出通路)。
裾部63は、第1裾63aと、その第1裾63aの端部から下方に延びる段部63bと、その段部63bの下端から半径方向外側に延びる第2裾63cとを備えている。第1裾63aは、バルブホルダー57の環状フランジ27(突条27b)を覆うようにその上に配置される(
図12a、参照)。第2裾63cは、第3シール材A3(内部容器12のフランジ部12b)を覆うようにその上に配置される(
図12a、参照)。なお、段部63bの内面から第2裾63cの下面に向かって連続して形成された下向き溝63dが複数本等間隔で形成されている(
図3a、d、参照)。
【0101】
このように構成されているため、バルブカバー57の裾部63とバルブホルダー56の環状フランジ27との間の横通路は、バルブカバー57の筒部62とバルブホルダー56のハウジング26の間(隙間G1)と、第1裾63aと環状フランジ27との間(突条27b間の横通路)と、第2裾63cの下面と第3シール材Aとの間(下向き溝63d)とから構成される。なお、バルブカバー57の裾部63を第3シール材A3の外端まで延ばすことにより、隙間G1と突条27b間の空間(横通路)とを連通させてもよい。
【0102】
キャップ58は、
図12eに示すように、バルブカバー57の筒部62の外周面を覆う上筒部66と、その下端から半径方向外側に突出する環状のリング部(押圧部)67と、その外端から下方に延びる下筒部68とを備えている。リング部(押圧部)67は、バルブカバー57の裾部63を覆うようにその上に配置される(
図12a、参照)。その下面は、裾部63の上面と当接するように形成されている。
上筒部66の上端は、バルブカバー57の筒部62の上端と実質的に同じ高さとなっている。そのため、キャップ58とバルブカバー57の間は、上方を向いた環状の開口となる。
下筒部68の内面には、外部容器11のネジ11aと係合するネジ68aが形成されている。そして、ネジ68aの下方であって、外部容器11の外シール保持部11bの環状突起11b2の位置にネジ68aの突起より若干拡径した内円筒部68bが形成されている。この内円筒部68bは、外部容器11の外円筒部11b1との間で第1シール材16を半径方向に圧縮する(
図11、参照)。また、下筒部68の上部外周には、保護キャップ53と係合する保護キャップ係合段部68cが形成されている。
【0103】
バルブホルダー56、バルブカバー57およびキャップ53は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の合成樹脂を用いるのが好ましい。それにより、非金属のバルブアッセンブリ51を構築することができる。
【0104】
押ボタン52は、
図13aに示すように、吐出孔14bにメカニカルブレークアップ機構69を介してボタン内通路14cと連通している以外は、
図1の吐出容器の押ボタン14と実質的に同じものである。詳しくは、押ボタン14の前面にボタン内通路14cと連通するように形成されたノズル挿入孔69aに、円柱状の中子69bが挿入され、その中子69bの前面に中心に吐出孔14bが形成されたカップ状の噴射ノズル69cが装着されている。そのため、ボタン内通路14cを通った内容物は、中子69bの外周を通り、噴射ノズル69cの裏面の溝を通り、旋回力が与えられながら吐出孔14bに向かう。しかし、用途に応じて他の噴霧機構が設けられてもよい。
このように押ボタン14は、バルブアッセンブリ51のステム21に装着することにより、ステム21の第2ステム内通路21bの開口を閉じ、縮径孔37の上端面20が閉止部として作用する。
【0105】
保護キャップ53は、
図13bに示すように、天面54を有する筒状のものである。天面54の中心には、ステム21の内筒部25aを挿入でき、外筒部25bを係止する加圧剤排出用のステム挿入孔54aが形成されている。そのため、保護キャップ53を裏返し、ステム21をステム挿入孔54aに挿入して押し下げることにより、ステム挿入孔54aの外周縁である天面54が外筒部25bの上端と係合して、第1ステム内通路21aを閉鎖しながらステム21を押し下げることができる。
【0106】
このように構成された二重吐出容器50は、押ボタン52を押し下げることにより、
図1の吐出容器10と同じように、押ボタン52の吐出孔14bより内容物Cを吐出することができる(
図14a参照)。
一方、二重吐出容器10を廃棄するときは、押ボタン52を取り外し、
図14bに示すように、開口が下方を向くように設置した保護キャップ53のステム挿入孔54aにバルブアッセンブリ51のステム21の内筒部25aに挿入するように操作を行う。その状態で、外部容器11を押し下げることにより、加圧剤Pを下方に排出することができる。このとき、保護キャップ53の天面54がステム21の第1ステム内通路21aの上端開口を閉止するため、内部容器12内(ガス収容部)の加圧剤Pのみをステム21より排出される。第1ステム内通路21aが閉じているため、内容物が残っていても飛散することがない。そして、加圧剤Pは保護キャップ53内に排出されるため飛び散りが防止される。
ここでバルブアッセンブリ13のガス通路(ホルダー内ガス通路)は、筒部26g、第2連通孔26b、バルブホルダー56のハウジング26の下空間、ステム21の第2ステム内通路21bから構成される。
この吐出容器50を用いた吐出製品は、前述いずれかの製造方法で、製造することができる。
【0107】
図15aの二重吐出容器50aは、押ボタン71に加圧剤排出用の排出機構が設けられたものである。他の構成は、
図11の二重吐出容器50と実質的に同じものである。
図15aは、二重吐出容器50aの使用状態を示すものである。
二重吐出容器50aの押ボタン71は、加圧剤排出用のステム挿入孔72が形成されている。ステム挿入孔72は、ステム21の外筒部25bを挿入する拡径孔72aと、その上方に設けられ、ステム21の内筒部25aを挿入する縮径孔72bと、拡径孔72aと縮径孔72bとを繋ぐ段部72cとからなる。縮径孔72bの上端は開口している。他の構成は、
図11の吐出容器50の押ボタン52と実質的に同じである。
【0108】
このように構成されているため、二重吐出容器50aを廃棄するときは、
図15bに示すように、押ボタン71をステム21から取り外し、縮径孔72bの開口部が上を向くよう押ボタン71を設置し、外部容器11を逆にしてステムの外筒部25bを縮径孔72bに挿入し、押ボタン72の上面と外筒部25bの上端と係合させる。その状態で、外部容器11を押し下げることにより、ステム21が押し下げられ、加圧剤Pをステム挿入孔72内に排出することができる(切替操作)。また、内容物が残っていても、外筒部25bの上端開口が押ボタン52の上面によって閉じられているため、内容物が飛散することがない。
なお、使用状態は、
図1の吐出容器10と実質的に同じであり、ステム21をステム係合孔14aに挿入した押ボタン71を押し下げることにより、内容物Cが吐出孔14bより吐出される(
図6a、参照)。
【0109】
図16の二重吐出容器50bも、押ボタン74に加圧剤排出用の排出機構が設けられたものである。他の構成は、
図11の二重吐出容器50と実質的に同じものである。
図16aは、二重吐出容器50bの使用状態を示すものである。
二重吐出容器50bの押ボタン74は、加圧剤の排出を補助する排出部材75が連結されている。詳しくは、押ボタン74の上面に、その排出部材75を保持する排出部材保持孔74bが形成されている。また、ステム係合孔14aの拡径孔36の下方に、さらに拡径した排出部材係合孔74aが形成されている。他の構成は、
図11の二重吐出容器50の押ボタン52と実質的に同じであり、吐出孔14bおよびボタン内通路14cを備えている。
排出部材75は、平板状のものであり、中心孔75aが設けられた凹部75bが形成されている。中心孔75aは、内筒部25aを通し、外筒部25bを通さない寸法(形状)であり、凹部75bは、外筒部25bを通す寸法(形状)となっている。排出部材75の凹部75bは、排出部材75の裏面から見ると突出しており、その突出した部分(凹部75bの裏面)が押ボタン74の排出部材保持孔74bに係合され、保持される。
【0110】
このように構成されているため、二重吐出容器50bを廃棄するときは、
図16bに示すように、排出部材75を押ボタン74から取り外し、凹部75bが下を向くようにして、凹部75bの裏面をステム係合孔14aの排出部材係合孔74aに挿入し、この状態の押ボタン74にステム21を挿入する(切替操作)。これにより内筒部25aの上端は、押ボタン74の縮径孔37に挿入されず、第2ステム内通路21bは閉止されない。一方、排出部材75の凹部75bが外筒部25bの上端開口を閉じ、第1ステム内通路21aが閉止される。そのため、この状態で押ボタン74を押し下げることにより、加圧剤Pを吐出孔14bから排出することができる。
なお、使用状態は、
図11の吐出容器50と実質的に同じであり、排出部材75を排出部材保持孔74bに取り付けた押ボタン74を押し下げることにより、第1ステム内通路21aを介して吐出孔14bより内容物が吐出される。
【0111】
図17の吐出容器80は、内部容器12の内圧を調整する圧力調整機構81を備えたものである。詳しくは、外部容器11と、その内部に収容される内部容器12と、外部容器11および内部容器12を閉じ、かつ、外部容器の外周と係合して固定されるバルブアッセンブリ13と、内部容器12内に収容され、内部容器12の内圧を調整する圧力調整機構81とを備えている。この吐出容器80も、外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に内容物Cが充填され、内部容器内の加圧室S2に加圧剤Pが充填される。そして、押ボタン14をバルブアッセンブリ13に取り付けて使用する。そして、バルブアッセンブリ13から押ボタン14を取り外し、かつ、バルブ機構16のステム21の押し下げること(切替操作)により加圧室S2と大気とを連通させることができる。
この吐出容器80は、外部容器11、内部容器12、押ボタン14は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものである。バルブアッセンブリ13も、バルブアッセンブリ13のバルブホルダー17のハウジング26の下端に、圧力調整機構81の筒状の高圧室本体82が設けられている点以外は、
図1の吐出容器10のバルブアッセンブリ13と実質的に同じものである。
【0112】
圧力調整機構81は、
図18aに示すように、筒状の高圧室本体82と、その下端を閉じる筒状のシリンダ部83と、高圧室本体82とシリンダ部83との間を連通/遮断する弁棒84と、弁棒84と連動し、シリンダ部83内に収容されるピストン85と、シリンダ部83の下端を閉じる下蓋部86と、ピストン85と下蓋部86との間に設けられるバネ87とを備えている。
圧力調整機構81において、高圧室本体82内が高圧室HPとなり、シリンダ部83内におけるピストン85と下蓋部86との間が基準圧室SPとなり、弁棒84が弁となる。そして、基準圧室内の圧力は、基準圧室の内圧およびピストン85を押圧するバネ87の力によって調整される。なお、バネ87を設けず、基準圧室の内圧を一定にしてもよい。
【0113】
高圧室本体82は、バルブアッセンブリ13のハウジング26の下端に、ハウジング26と同軸に設けられた筒状体であり、ハウジング26の下空間と第2連通孔26bを介して連通している。この吐出容器80では、高圧室本体82は、ハウジング26の下端に一体に成形されている。しかし、別部材にして連結してもよい。
シリンダ部83は、高圧室本体82の下端を閉じるための上底を有する筒体である。側面には、ガス連通孔83aが形成されている。上底の中心には、中心孔(ガス供給孔)83bが形成されており、上底の上面には高圧室本体82を閉じ、高圧室本体82内に密に挿入される筒状の係合部83cが設けられている。
弁棒84は、シリンダ部83の中心孔83bに上下移動自在に挿入される棒体であり、その上端に円板状の留め部84aが形成されている。留め部84aの下面とシリンダ部83の上底との間には、リング状の弁シール88が設けられている。つまり、弁棒84が下降することにより、弁棒84の留め部84aが弁シール88を介してシリンダ部83の上底を押圧することにより、中心孔83bが閉じられる。一方、弁棒84が上昇することにより、留め部84aによる弁シール88への圧縮が開放され、中心孔83bが開放される。
ピストン85は、シリンダ部83の内面を密に接しながら上下する板状のものである。上面には、弁棒84の棒体の下端と係合する弁係合部85aが形成されている。下面はバネ87を受ける。側面には、リング状のシール材89が設けられている。つまり、ピストン85がシリンダ部83内を上下することにより基準圧室SPを圧縮/拡張する。
下蓋部86は、シリンダ部83の下端を密に閉じる部材である。上面に、シリンダ部83の下端開口を閉じ、シリンダ部83内に密に挿入される筒状の係合部86aが形成されている。下蓋部86の上面はバネ87を受ける。
【0114】
このように構成されている圧力調整機構81は、基準圧室の内圧とバネ力によるピストン85への押圧力と、内部容器12(加圧室S2)の圧力によるピストン85への押圧力の差によって作動する。詳しくは、基準圧室SPからの押圧力が内部容器12からの押圧力よりも大きくなると、ピストン85は基準圧室SPが拡張するように移動、つまり、ピストン85は上昇する(
図18b参照)。そのため、弁棒84が上昇し、高圧室HP内の加圧剤Pが中心孔83bおよびガス連通孔83aを介して内部容器12内に供給される。一方、加圧剤Pが内部容器12内に供給されて内部容器12からの押圧力が強くなってくると、ピストン85は基準圧室SPが収縮するように移動、つまり、ピストン85は下降する。これにより、弁棒84が下降し、弁棒84の留め部84aとシリンダ部83の上底との間の弁シール88が圧縮され、中心孔83bが遮断される(
図18a参照)。
【0115】
次に吐出容器80を用いた吐出製品の製造方法を
図19に示す。
初めに外部容器11および内部容器12からなる二重ボトルを成形する。このとき、内容物を充填するときに収容室S1が確実に開くように、例えば、上述のガイド部材(本発明の第7の態様)を用いて一度内部容器12を収縮させておいてもよい。一方、バルブアッセンブリ13および圧力調整機構81を連結させた蓋材を準備する(
図19a参照)。連結部分は超音波溶着などで一体化することが好ましい。
この蓋材を二重ボトルに固定する。その後、ステム21を押し下げ、第2ステム通路21bから加圧剤Pを充填する(
図19b参照)。このとき、第1ステム通路21aを閉じながら充填するのが好ましい。つまり、加圧剤Pを充填する前は、加圧室SPの方が内部容器12よりピストン85を押す力が大きいため、中心孔83bは開放されており、加圧剤Pは中心孔83bおよびガス連通孔83aを介して内部容器12内に供給される。内部容器12内に加圧剤Pが充填されると、内部容器12の方が加圧室SPよりピストン85を押す力を大きくなり、ピストン85が弁棒84と共に下降し、中心孔83bが遮断される。その後も高圧室HP内に加圧剤Pを充填して、高圧室HP内の圧力が内部容器12の外面が外部容器11の内面と当接した拡張状態(内容物Cの吐出後の状態)でも基準圧室SPよりも高くなるように充分に高くする。
なお、収容室S1への内容物の充填は、バルブアッセンブリ13および圧力調整機構81を連結させた蓋材を二重ボトルに固定する前に行ってもよく、また二重ボトルに固定後にステム21の第1ステム通路21aから充填してもよい。
【0116】
次に吐出製品の使用方法を示す。使用方法は、押ボタン14によってステム21を押し下げ、バルブ機構16を開放することにより、内部容器12内の圧力により内容物Cを吐出することができる(
図20a参照)。内容物Cを吐出させることにより、内部容器12が拡張し、内部容器12の内圧が下がると、上述したように圧力調整機構81が作動し、高圧室HPから加圧剤Pが内部容器12内に補填される。内部容器12内の圧力が高くなってくるとピストン85が下方に移動され加圧剤Pの供給が停止する。内容物Cを吐出するたびに、この供給工程と供給停止工程が自動的に行われるため、内容物Cを最後まで同じ勢いで吐出させることができる。
内容物Cを吐出させた後、
図20bに示すように、押ボタン14を取り外し、ステム21を押し下げること(切替操作)により、高圧室内の加圧剤Pを外部に排出することができる。それに伴い、圧力調整機構81の中心孔83bも開放されるため、内部容器12内の加圧剤Pもガス連通孔83a、中心孔83bを介してステム21の第2ステム通路21bから排出することができる。さらに、キャップ18を外部容器11から取り外すことにより、材料に応じて分別して廃棄することができる。
【0117】
図21の吐出容器100は、本発明の第1の態様であって、バルブホルダーと内部容器との間に内シール材が設けられ、外部容器の外筒面とキャップの内筒面との間に断面円形の外シール材が設けられ、キャップを固定位置より上方の仮位置に移動させることにより、外シール材のシール構造を維持させつつ、内シール材のシール構造を解除されるものである。
詳述すると吐出容器100は、合成樹脂製の外部容器11と、その内部に収容される合成樹脂製の内部容器12と、外部容器11および内部容器12を閉じ、かつ、外部容器の外周と係合して固定されるバルブアッセンブリ101とからなる。外部容器11および内部容器12は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものであり、外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に内容物Cが充填され、内部容器内の加圧室S2に加圧剤Pが充填される。押ボタン102がバルブアッセンブリ101に取り付けられる。
この吐出容器100は、バルブアッセンブリ101のキャップ18を固定位置より上方の仮位置に移動させ、かつ、バルブ機構103のステム106の押し下げること(切替操作)により加圧室S2と大気とを連通させることができる(
図23参照)。
【0118】
バルブアッセンブリ101は、
図22aに示すように、1つの流体を遮断/連通するバルブ機構103と、外部容器11および内部容器12を閉じるバルブホルダー104と、そのバルブ機構103をバルブホルダー104内に固定し、かつ、バルブホルダー104を外部容器11に固定するキャップ18とを備えている。キャップ18は、
図1の吐出容器10のキャップ18と実質的に同じものである。
バルブ機構103は、下部に内部と外部とを連通するステム孔106aが形成されたステム106と、そのステム孔106aを閉じる環状のステムラバー107と、ステム106を常時上方に付勢する弾性体108とからなる。
バルブホルダー104は、
図22に示すように、筒状のハウジング109と、そのハウジング109の中部側面から外方に延びる環状フランジ27と、その下面にハウジング109と同軸外方に設けられた筒状の栓部28とを有する。環状フランジ27および栓部28は、
図1の吐出容器10の環状フランジ27と栓部28と実質的に同じものである。バルブホルダー104のハウジング109内は、環状フランジ27を介して収容室S1と連通している。詳しくは、ハウジング109内は、ハウジング109外の環状フランジ27を迂回するようにして収容室S1と連通している。
ハウジング109は、第2連通孔および第2ラバー支持部を有していない点で
図1の吐出容器10のハウジング26と異なる。他の構成は、
図1のハウジング26と実質的に同じであり、ハウジング109の側面に連通孔109aが形成され、ハウジング109の上端にステムラバー107を支持するラバー支持部109bが形成され、ハウジング64の底部に上方に突出するように弾性体108を構成する複数枚の板バネ109cが形成されている。そして、ハウジング109の第1連通孔109aの上方外周は段部109dを介して拡径している。
【0119】
このように構成されているため、押ボタン14を除いた収容室S1と大気とを繋ぐ内容物の吐出通路は、
図22に示すように、内部容器12の縦通路溝12c、キャップ18の下筒部34とバルブホルダー104の隙間G2、内容物通路(キャップ18のリング部33とバルブホルダー104との間の横通路溝27a、キャップ18の上筒部32の下部内面とバルブホルダー104のハウジング109の外周面との間の隙間G1、ハウジング109の第1連通孔109aおよびハウジング109内)およびバルブ機構103のステム106を介して大気と連通する。
【0120】
押ボタン102は、
図22cに示すように、一液型のステムに取り付けられる周知のものであり、下部に形成されたステム係合部102a、前方に形成された吐出孔102b、それらを繋ぐボタン内通路102cとを備えている。なお、吐出孔102bに
図11の押ボタン52のようにメカニカルブレークアップ機構等を、吐出形態に応じて採用してもよい。
【0121】
次に吐出容器100のシール構造について、
図21を参照して説明する。
この吐出容器100でも、
図1の吐出容器10と同様に、外部容器11とバルブアッセンブリ101との間に外シール材A1を設けており、内部容器12とバルブアッセンブリ101との間に内シール材A2を設けている(
図21参照)。そして、
図1の吐出容器10と実質的に同じように、外シール材A1および内シール材A2は、内外容器の軸に対して垂直な方向に圧縮されるため、外部容器11に対するキャップ18の嵌合度(螺合度)と関係なくシールが形成される。
さらに吐出容器100では、この外シール材A1および内シール材A2の配置が、キャップ18の内円筒部34bの下部による外シール材A1の圧縮を維持させた状態でキャップ18をバルブアッセンブリ101と共に上昇させたとき、バルブアッセンブリ101と共に内シール材A2が上昇して内部容器12の内円筒部12aから外れるようになっている(
図23参照)。つまり、バルブアッセンブリ101と連結させたキャップ18を上昇させたとき、外シール材A1のシール構造を維持したまま、内シール材A2のシール構造を解除できるようになっている(仮固定位置)。なお、
図1の吐出容器10も同様の配置としてもよい。それにより加圧剤をより高速に充填するアンダーカップ充填が可能となる。
【0122】
次に、吐出製品100の製造方法を示す。二重プリフォームから外部容器11および内部容器12を準備する。次いで、バルブホルダー104とキャップ18とを一体化させる。次いで、外シール材A1のシール構造を形成し、内シール材A2のシール構造が形成されないように、一体化させたバルブアッセンブリ101を仮固定する(
図23参照)。この状態では、バルブホルダー104のハウジング109と加圧室S2とが連通している(
図23の太線参照)。この状態でステム106を押し下げ、ステム106から加圧剤Pを充填する。その後、バルブアッセンブリ104のキャップ18を外部容器11と本固定し、内シール材A2のシール構造を形成する。この状態で、ステム106を押し下げ、収容室S1内に侵入した加圧剤Pを排出し、その後、収容室S1内に内容物Cを充填する。この場合も、前述したようにガイド部材を用いて内部容器12を収縮させてから行うのが好ましい。
【0123】
次に、吐出製品100の使用方法を示す。使用方法は、
図1の吐出容器10と同様に、押ボタン102を押し下げてバルブ機構103を開放することにより、押ボタン102の吐出孔102bより内容物Cを吐出することができる。
内容物Cの全量を排出した後は、バルブアッセンブリ101のキャップ18を仮固定の位置まで移動させ、外シール材A1のシール構造を維持しつつ、内シール材A2のシール構造を解除する(
図23の仮固定状態)。これにより加圧室S2とハウジング109とが連通するため、ステム106(あるいは押ボタン102)を押し下げることにより、加圧室S2と大気とを連通させることができ、加圧剤Pをステム106から排出できる。最後に、キャップ18を外部容器11から取り外すことにより、それぞれを分別して廃棄することもできる。
【0124】
図24の吐出容器110は、バルブアッセンブリ111がバルブカバー115を備えており、バルブアッセンブリ111のキャップ113を仮固定の位置に移動させただけで加圧室S2と大気とが連通するものである。詳しくは、外部容器11と、その内部に収容される内部容器12と、外部容器11および内部容器12を閉じ、かつ、外部容器11の外周と係合して固定されるバルブアッセンブリ111とからなる。外部容器11および内部容器12は、
図1の吐出容器10と実質的に同じものであり、外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に内容物Cが充填され、内部容器内の加圧室S2に加圧剤Pが充填される。このバルブアッセンブリ111にも、
図21の吐出容器100の押ボタン102等が取り付けられる。
この吐出容器110も、バルブアッセンブリ111のキャップ113を固定位置より上方の仮位置に移動させ、かつ、バルブ機構103のステム106の押し下げること(切替操作)により加圧室S2と大気とを連通させることができる(
図23参照)。
【0125】
バルブアッセンブリ111は、外部容器11および内部容器12を閉じ、バルブ機構103が固定されたバルブユニット112と、バルブユニット112を外部容器11に固定する筒状のキャップ113とを有する。
バルブアッセンブリ111のバルブユニット112は、
図25aに示すように、バルブ機構103と、そのバルブ機構103を収容し、外部容器11の上端に配置される環状フランジ(本発明の第6の態様の第1フランジ部)27が形成された筒状のバルブホルダー104と、その開口部を閉じ、バルブ機構103をバルブホルダー104に固定し、環状フランジ27の上方に配置される裾部(本発明の第6の態様の第2フランジ部)118が設けられたバルブカバー115とを備えている。バルブホルダー104の環状フランジ27とバルブカバー115の裾部118との間には、半径方向外側に向かって延びる通路(横通路溝27a)が形成されている。バルブ機構103およびバルブホルダー104は、
図21の吐出容器100のものと実質的に同じものである。なお、バルブホルダー104の環状フランジ27と内部容器12のフランジ部12aを介して、フランジ部12dとの間に、鉛直(外部容器の軸)方向に圧縮される板シール材A3が設けられている(
図24参照)。
【0126】
バルブカバー115は、
図25bに示すように、バルブホルダー104のハウジング109の開口部を閉じる天蓋部116と、その縁部から下方に延び、ハウジング109の外周に配置される筒部117と、その下端から半径方向外側に延びる環状の裾部118とを備えている。
天蓋部116の中央には、バルブ機構103のステム106を通す中心孔116aが形成されている。
筒部117の内面には、ハウジング109の段部109dの下端と係合する係合突起117aが形成されている。そして、天蓋部116と係合突起117aとでバルブ機構103をバルブホルダー104に固定し、バルブユニット112を一体化させる。なお、筒部117の下部内面(係合突起117aより下方内面)は、ハウジングハウジング109の外周面と環状の隙間G1を形成し、横通路溝27aと連通している(
図25a参照)。
裾部118は、バルブホルダー104の環状フランジ27を覆うようにその上に配置される。つまり、裾部118は、環状フランジ27を介して、外部容器11の上端に配置される。そして、バルブカバー115で外部容器11を閉じている。
このようなバルブカバー115を設けているため、バルブカバー115の裾部118と、バルブホルダー104の環状フランジ27との間の通路を、キャップ113の装着状態に関わらず確実に形成することができる。
【0127】
バルブアッセンブリ111のキャップ113は、
図25cに示すように、バルブカバー115の筒部117の外周面を覆う上筒部121と、その下端から半径方向外側に突出する環状の連結部(押圧部)122と、その外端から下方に延びる下筒部123とを備えている。連結部(押圧部)122は、バルブカバー115の裾部118の上に配置され、バルブユニット112の全体を下方に押圧する。
上筒部121の上端は、バルブカバー115の筒部117の上端と同じ高さとなっている(
図25a参照)。そのため、キャップ113とバルブカバー115の間の隙間が上方を向いて開口している。
【0128】
下筒部123の内面には、外部容器11のネジ11aと係合するネジ123aが形成されている。そして、ネジ123aの下方であって、外部容器11の環状の外シール保持部11bの位置にネジ123aのネジ山より若干拡径した内円筒部123bが形成されている。この内円筒部123bは、外部容器11の外円筒部11b1との間で外シール材A1を半径方向に圧縮する。
また、ネジ123aの上方に、バルブカバー115の裾部118の下面と係合する支持突起(仮支持部)123cが複数環状に形成されている。平面視で内部容器12の縦通路溝12cの配置位置が、隣接する支持突起123bの間となるようにするのが好ましい。この支持突起123cは、バルブカバー115の裾部118の下面と係合するとき、バルブカバー115の裾部118の上面と連結部(押圧部)122の下面との間に隙間が形成される位置に形成される。この支持突起123cは、吐出容器110を組み立てた後(キャップ113を外部容器11と固定した後)は、裾部118の下面と当接しない。支持突起123cを設けることにより、バルブアッセンブリ111を外部容器11に取り付ける前において、バルブユニット112をキャップ113で保持させることができ、バルブアッセンブリ111(バルブユニット112とキャップ113)を一体にして取り扱うことができる。さらに、支持突起123cを設けることにより、後述するように加圧剤充填時(固定位置より上方での仮固定)において、加圧剤の充填圧力によりキャップ113に対して下方に移動するバルブユニット112を支持することができ、後述する加圧剤充填通路が確保でき、かつ、バルブユニット112が落下して外部容器11の開口部が閉じることを防止できる。
【0129】
このように構成されているため、
図25aの太線で示すように、バルブアッセンブリ111の原液通路Z1は、収容室S1と連通する内部容器12の縦通路溝12cから支持フランジ27の外側の隙間G2、支持フランジ(第1フランジ部)27と裾部(第2フランジ部)118の間(横通路溝27a)、ハウジング109とバルブカバー115の間の隙間G1、第1連通孔109a、ハウジング109内、ステム106に至る。つまり、バルブ機構103のステム106を押し下げることにより、ステムラバー107が撓み、ハウジング109内が外部と連通し、原液通路Z1が開放される。そのため、内部容器内(加圧室S2)の加圧剤Pによって加圧された原液Cは、原液通路Z1を通ってステム106から外部に吐出される。
【0130】
次に、吐出製品110の使用方法を示す。使用方法は、
図1の吐出容器10と同様に、押ボタン102を押し下げてバルブ機構103を開放することにより、押ボタン102の吐出孔102bより内容物Cを吐出することができる。
内容物Cの全量を排出した後は、
図21の吐出容器100と同様に、バルブアッセンブリ111のキャップ113を仮固定の位置まで移動させ、外シール材A1のシール構造を維持しつつ、内シール材A2のシール構造を解除する。これにより加圧室S2と大気とが連通するため、加圧剤Pをバルブカバー115とキャップ113との間の環状の開口から排出できる(
図26aの太線の逆方向)。同様に、最後に、キャップ113を外部容器11から取り外すことにより、それぞれを分別して廃棄することもできる。
【0131】
次に、この吐出容器110への内容物Cおよび加圧剤Pの充填方法(吐出製品の製造方法)の一例を説明する。
初めに、外部容器11および内部容器12の二層プリフォームを準備し、その二層プリフォームから2軸延伸ブローなどで外部容器11および内部容器12を同時に成形する(
図5a参照)。なお、外部容器11と内部容器12とを別々に成形し、内部容器12を潰しながら外部容器11内に挿入してもよい。
【0132】
次いで、
図26aに示すように、外部容器11を回転台126aに配置させる。一方、バルブアッセンブリ111のキャップ113に、加圧剤充填ノズル127aを備えた加圧剤充填機127を取り付け、バルブアッセンブリ111を外部容器11の上方に配置させる。そして、バルブアッセンブリ111(加圧剤充填機127)に対して外部容器11を回転させてキャップ113のネジを締めてバルブアッセンブリ111を外部容器11との固定位置より上方の仮固定の位置で保持する。つまり、バルブアッセンブリ111のキャップ113を外部容器11と完全に螺合させず、内シール材A2と板シール材A3がシール効果を奏しない状態にする。このとき加圧剤充填機127は、キャップ113を保持すると共に、加圧剤Pが漏れないようにキャップ113と加圧剤充填機127の間の空間PSが密封されるようにキャップ113に取り付けられる。
【0133】
この仮固定状態で、加圧剤充填ノズル127aから空間PSに加圧剤Pを供給する。これにより加圧剤Pはバルブカバー115とキャップ113の間から加圧剤充填通路PPを通って内部容器12内に充填される。詳しくは、加圧剤充填通路PPは、バルブカバー115の筒部117とキャップ113の上筒部121の間からバルブカバー115の裾部118とキャップ113の連結部(押圧部)122の間、保持突起123c同士の間のバルブホルダー104の環状フランジ27の外側の隙間G2、バルブホルダー104の環状フランジ27と内部容器12のフランジ部12bの間(内シール材A2)に至る。このとき、バルブユニット112は、加圧剤Pの充填圧力によって、キャップ113に対して若干下降し、キャップ113の係合突起123cに支持される。そのため、バルブカバー115の裾部118の上面とキャップ113の連結部(押圧部)122の下面との間の隙間が大きく確保できる。また、加圧剤Pの充填圧力がバルブユニット112に加わってもバルブホルダー104等によって外部容器11の開口部が閉じられることがない。
そして、加圧剤充填時において、外シール材A1がキャップ113の下部と外部容器11との間をシールしているため、加圧剤Pはキャップ113の下端から外部に漏れない。
なお、加圧剤充填機127でキャップ113の全部を覆い、キャップ113の全体を密閉空間PSに収容(例えば、想像線のように、加圧剤充填機127の下端を外部容器11の肩部とシールさせる)させてもよい。この場合、外シール材A1を省いた状態、または外シール材A1がキャップ113の下部と外部容器11との間をシールしていない状態でも加圧剤Pを充填することができる。
【0134】
加圧剤Pを充填後、外部容器11をさらに回転させて、バルブアッセンブリ111を外部容器11に固定する。これにより内シール材A2と板シール材A3が圧縮されて、内部容器12内が密封される。
加圧剤Pを充填後、加圧充填ノズル127aからの加圧剤Pの供給を停止させると、内部容器12内と空間PSとの圧力が実質的に平衡となる。そのため、外部容器11を回転させてキャップ113を外部容器11に対して下降させるとき、バルブユニット112と外部容器11(内部容器12)とが板シール材A3によって一体化させられ、バルブユニット112がキャップ113に対して摺動する。それにより、バルブユニット112の横通路溝27aと、外部容器11および内部容器12の間の縦通路溝12cの位置がずれにくい。さらに、外部容器11とバルブユニット112との間にある内シール材A2のずれ、ねじれ、切断を防止できる。
なお、内シール材A2を設けずに、内部容器12のフランジ部12aを圧縮させ、フランジ部12aをシール材の代わりにしてもよい。また、板シール材A3を省略してもよい。
【0135】
その後、ステム106を押し下げて、収容室S1(外部容器11と内部容器12の間の空間)内に侵入した少量の加圧剤Pおよび空気を排出する。
最後に、ステム106から内容物Cを、内部容器12を収縮させながら収容室S1内に充填し、吐出製品となる。
ここでは、外部容器11を回転させてバルブアッセンブリ111と螺合させているが、キャップ113を回転してバルブアッセンブリ111を固定してもよい。しかし、バルブアッセンブリ111は加圧剤充填機127と連結させているため、外部容器11を回転させる方が、装置が煩雑とならない。
【0136】
この吐出容器110への加圧剤の充填方法(吐出製品の製造方法)の他の例としては、バルブアッセンブリ111を外部容器11との固定位置より上方の仮固定の位置で保持したとき、
図26bに示すように、外シール材A1が、キャップ113の下端より下方に位置させてキャップ113と外部容器11との間のシールが形成されないように構成し、加圧剤充填機127と外部容器11の肩部とをシール材127cでシールし、加圧剤Pをキャップ113の下端近辺に配置された加圧剤充填ノズル127aから加圧剤充填通路PP2を介して充填するようにしてもよい。加圧剤充填通路PP2は、外部容器11とキャップ113の間からバルブホルダー104の環状フランジ27と内部容器12のフランジ部12bの間(内シール材A2)に至る。
この充填方法の場合は、加圧剤の充填圧力でバルブユニット112(バルブカバー115)が上方に移動して裾部118がキャップ113の連結部122の内面に当接するため、外部容器11とバルブユニット112の間に加圧剤充填通路を形成でき、安定に加圧剤を充填できる。そのため、キャップ113の係止突起123cを省略してもよい。また、キャップ113を外部容器11に固定するために回転させても、板シール材A3によってバルブユニット112と外部容器11(内部容器12)とは一体化されており、バルブユニット112はキャップ113と摺動して外部容器11に対して回転しないため、バルブユニット112の横通路溝27aと、外部容器11および内部容器12の間の縦通路溝12cの位置がずれにくく、かつ、外部容器11とバルブユニット112との間にある内シール材A2のずれ、ねじれ、切断を防止できる。
この充填方法を採用する場合も、キャップ113を固定し、外部容器11を回転させてキャップ113を外部容器11に固定させてもよい。また、バルブカバー115の筒部117とキャップ113の上筒部121の間(上方からの充填、
図26aの通路PP)およびキャップ113の下端(下方からの充填)の両方から充填してもよい。
さらに、この充填方法を採用する場合、キャップ113は仮固定の位置を有さないように外シール材A1と内シール材A2とが配置されてもよい。つまり、外シール材A1および内シール材A2がキャップ113を外部容器11に対して下降させるとき、同時にシール構造を形成するようにしてもよい。
【0137】
図27aの吐出容器130は、ネジ式とせずバルブアッセンブリと外部容器とをクリップ嵌合させたものである。また、内部容器内にパウチを収容させ、2つの原液を収容し、同時に吐出する2液吐出型の吐出容器である。
吐出容器130は、有底筒状の外部容器131と、その外部容器内に収容される内部容器12と、その内部容器12内に収容される最内容器132と、外部容器131、内部容器12および最内容器132を閉じるバルブアッセンブリ1333とを備えている。バルブアッセンブリ133は、外部容器131、内部容器12および最内容器132を閉じ、バルブ機構16が固定されたバルブユニット135と、バルブユニット135を外部容器131に固定する筒状のキャップ136とを有する。そして、この吐出容器130の外部容器131と内部容器12の空間(第1収容室S1)に第1原液C1を収容し、最内容器42内(第2収容室S3)内に第2原液C2を収容し、内部容器12内(加圧室S2)に加圧剤Pを充填して2液吐出型の吐出製品となる。
内部容器12は、
図1の吐出容器10の内部容器12と実質的に同じものである。
【0138】
外部容器131は、
図27bに示すように、首部の外周に第1環状突起131aが形成されている。第1環状突起131aは、上面131bが下方に向かって拡径するテーパ面となっており、下面131cが水平面(外部容器131の軸に対して垂直)となっている。この実施形態では、2本の第1環状突起131aを備えているが、1本であっても3本以上であってもよい。他の構成は、
図1の吐出容器10の外部容器11と実質的に同じであり、首部に環状突起11b2、外円筒部11b1が形成されている。
【0139】
最内容器132は、
図27aに示すように、下端が閉じられたパウチ132aと、その上端開口部に固定される連結部材132bとを備えている。
パウチ132aは、複数のシートを溶着あるいは貼り合わせたものである。シートとしては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、エバールなどの合成樹脂シート、前記合成樹脂シートにシリカやアルミナなどを蒸着した蒸着樹脂シート、アルミニウム箔などの金属箔シートに合成樹脂シートを積層したものなどが用いられる。
連結部材132bは、パウチ132aの開口部に貼着され、後述するバルブアッセンブリ133に連結される筒状のものである。連結部材132bはポリエチレンなどの合成樹脂を射出成型したものなどが用いられる。
【0140】
バルブアッセンブリ133のバルブユニット135は、
図28に示すように、2液式のバルブ機構16と、そのバルブ機構16を収容し、外部容器131の上端に配置される環状フランジ(第1フランジ部)27が形成された筒状のバルブホルダー17と、その上部に設けられ、バルブ機構16をバルブホルダー17に固定し、環状フランジ(本発明の第6の態様の第1フランジ部)27の上方に配置される裾部(本発明の第6の態様の第2フランジ部)118が設けられたバルブカバー115とを備えている。バルブ機構16およびバルブホルダー17は、
図1の吐出容器10のものと実質的に同じである。バルブカバー115は、
図24の吐出容器110のものと実質的に同じである。
【0141】
キャップ136は、
図28に示すように、下筒部123の内面に容器本体131の第1環状突起131aと係合する第2環状突起136aを1本または複数本有している。第2環状突起136aの下面136bは下方に向かって拡径するテーパ面となっており、上面136cは水平面となっている。他の構成は、
図24の吐出容器110のキャップ113と実質的に同じであり、上筒部121、連結部(押圧部)122、下筒部123を有している。
【0142】
このように構成されているため、
図29aに示すように、バルブアッセンブリ133の第1通路Z1は、内部容器12の縦通路溝12cから環状フランジ27の外側の隙間G2、環状フランジ27と裾部118の間(横通路溝27a)、ハウジング26とバルブカバー115の間の隙間G1、第1連通孔26a、ハウジング26の上空間(第1ステムラバー27aと第2ステムラバー27bの間)、ステム21の第1ステム内通路21aの筒状孔に至る。一方、バルブアッセンブリ133の第2原液通路Z2は、第2連通孔26b、ハウジング26の下空間(第2ステムラバー27bより下方の空間)、ステム21の第2ステム内通路21bの中心孔に至る。つまり、バルブ機構16のステム21を押し下げることにより、第1内容物C1および第2内容物C2は、第1原液通路Z1および第2原液通路Z2を通ってステム21から外部に吐出される。
【0143】
次に吐出容器130への原液および加圧剤の充填方法(吐出製品の製造方法)を説明する。初めに、
図1の吐出容器10と同様に、外部容器131および内部容器12を成形する。
次いで、第2原液C2を充填した最内容器132をバルブアッセンブリ133のハウジング26の筒部26gに連結させる。その最内容器132を連結したバルブアッセンブリ133のキャップ136を、加圧剤充填ノズル127aを備えた加圧剤充填機127(
図29b参照)に取り付け、バルブアッセンブリ133を外部容器131の上方に配置させる。
その後、バルブアッセンブリ133を外部容器131に対して下降させ、
図29bに示すように外部容器131の第1環状突起131aのテーパ状の上面131bと、第2環状突起136aのテーパ状の下面136bとを当接させて、キャップ136を外部容器131との固定位置より上方で保持する。この仮固定の状態において、
図24の吐出容器110と同様に、加圧剤Pをバルブカバー17とキャップ113の間(加圧剤充填通路PP)から充填する。このとき、外シール材A1がキャップ13の下部と外部容器131との間をシールしているため、加圧剤Pはキャップ136の下端から外部に漏れない。そして、バルブユニット135は支持突起123cにより保持されているため、加圧剤Pの充填圧力が加わってもバルブユニット135が外部容器131の開口部を閉じることがなく加圧剤充填通路PPは確保される。
【0144】
加圧剤Pの充填後、バルブアッセンブリ133をさらに下降させる。つまり、バルブアッセンブリ133の第2環状突起136aを、外部容器131の第1環状突起131aを乗り越えさせ、第2環状突起136aの上面136cと第1環状突起131aの下面131cとを係合させ、固定の状態とする(
図27参照)。
外部容器131とバルブアッセンブリ133とを固定後、第1収容室S1内を脱気し、ステム21から第1原液通路Z1を介して第1原液C1を充填する。なお、空の最内容器132をバルブアッセンブリ133に連結させ、先に内部容器12と最内容器132との間(加圧室S2)に加圧剤Pを充填したのち、ステム21から第2原液通路Z2を介して充填してもよい。
なお、この吐出容器130も、他の加圧剤の充填方法として、
図24の吐出容器110と同様に、
図26bのように、仮固定の状態のときに外シール材A1がシールを形成しないように構成することにより、キャップ136の下端から加圧剤Pを充填させてもよい(本発明の第10の態様)。
また吐出容器130の外部容器131の第1環状突起131aおよびキャップ136の第2環状突起136aに互いが通れるようにスリットを設けてもよい。つまり、隣接する第1環状突起131aの間を第2環状突起136aが通れるようにしてもよい。このようにスリットを形成することにより、内容物を全量吐出した後(使用後)、キャップ136を回転させてキャップ136を仮固定の位置まで上昇させることにより、加圧室S2が大気と連通し、キャップ136とバルブカバー115の上端の開口から加圧剤Pを排出することができる。
【0145】
吐出容器130も、内部容器12内にガイド部材を挿入し、内部容器12が均等に収縮するように慣らしてから内容物および加圧剤を充填してもよい。さらに、
図30に示す吐出容器140のように、最内容器141の連結部材141bをパウチ141aの底部近辺まで伸ばし、ディップチューブを兼ねたガイド部材としてもよい。他の構成は、
図27の吐出容器130と実質的に同じである。
吐出容器140を用いた吐出製品は、以下のようにして製造される。まず、ブロー成形した外部容器11と内部容器12にバルブアッセンブリ133に装着された最内容器141(パウチ141aおよび連結部材141b)を挿入する(
図31a)。この際、バルブアッセンブリ133を浮かせた状態、すなわち、外シール材A1、内シール材A2、板シール材A3を利かせない状態とする。
次に、外部容器11と内部容器12の間の第1収容室S1に収縮用ガスを充填し、内部容器12を収縮させる。このとき、パウチ141aと連結部材(チューブ)141bがガイド部材として機能し、内部容器12はパウチ141aの外面に沿って収縮変形する(
図31b参照)。なお、内部容器12を収縮させる際に、パウチ141aの内部に空気などを充填しておけば、内部容器12の収縮形状や大きさを調整することができるため、パウチ141a内の空気を排出しながら内部容器12を収縮させることもできる。
そして、キャップ136の下端から内部容器12とハウジング26との隙間を介して内部容器12内に加圧剤Pを充填し、充填完了と同時にバルブアッセンブリ133を外部容器11に対して完全に螺着させ、密封する(いわゆるアンダーカップ充填:
図31c)。
その後、第1収容室S1にステム21の第1ステム内通路21aを通じて第1原液C1を充填する。さらに、パウチ24内に第2ステム内通路21bと連結部材141bの中空部141c及び連通孔141dを通じて第2原液C2を充填する(
図30及び
図31d)。そして、ステム21に噴射部材145を取り付けることで、吐出製品の製造を完了する。なお、噴射部材145は、ステム21の第1ステム内通路21a、ステム21の第2ステム内通路21bのいずれも閉塞しない構成とされており、噴射部材145を押し下げることにより、第1収容室S11の第1原液C1とパウチ24内の第2原液C2の双方が噴射部材145から吐出するようになっている。また、それぞれを独立して吐出できるようにしてもよい。
なお、ここではパウチの最内容器142を挙げたが、三重以上のプリフォーム(多重プリフォーム)から形成しても良い。
【0146】
図32の吐出容器150は、内部容器12の内圧を調整する圧力調整機構151を備えたものである。詳しくは、外部容器11と、その内部に収容される内部容器12と、外部容器11および内部容器12を閉じ、かつ、外部容器の外周と係合して固定されるバルブアッセンブリ101aと、内部容器12内に収容され、内部容器12の内圧を調整する圧力調整機構151とを備えている。外部容器11および内部容器12は、
図21の吐出容器100と実質的に同じものであり、外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に内容物Cが充填され、内部容器内の加圧室S2に加圧剤Pが充填される。バルブアッセンブリ101aは、
図33に示すように、ハウジング109の下端(栓部28の下端)に筒状のシリンダ部152が一体に形成されている以外は、
図21の吐出容器のバルブアッセンブリ101と実質的に同じであり、バルブ機構103、バルブホルダー104およびキャップ18を有する。
この吐出容器100は、バルブアッセンブリ101aのキャップ18を固定位置より上方の仮位置に移動させ、かつ、バルブ機構103のステム106の押し下げること(切替操作)により加圧室S2と大気とを連通させることができる(
図37a参照)。
【0147】
圧力調整機構151は、
図34aに示すように、上述のシリンダ部152と、そのシリンダ部152内に収容されるピストン153と、シリンダ部152の下端に挿入される高圧ガスが充填されたエアゾール容器(ガス容器)154と、内部容器の開口部から吊り下げられる容器ホルダー155とを備えている。なお、圧力調整機構151において、ハウジング109の下面とピストン153に囲まれたシリンダ部152内の空間が基準圧室SPとなり、エアゾール容器154の内部が高圧室HPとなり、エアゾール容器154のバルブが弁となる。
シリンダ部152は、栓部33の下端から更に下方に延びている。シリンダ部152の下部には、下端から上方に向かうスリット152aが形成されている。また下端には、バルブアッセンブリ101aを外部容器11に取り付ける前に、後述する圧力調整機構151のピストン153が落下しないように保持する保持爪152bが形成されている。つまり、圧力調整機構151は、シリンダ部153を介して、バルブアッセンブリ101aの下端に固定され、内部容器12の開口部から内部に吊り下げられている。
ピストン153は、シリンダ部152の内面と密に接しながら上下する。つまり、ピストン153は加圧室S2をシールすると共に基準圧室SPもシールしている。そして、ピストン153がシリンダ部152内を上下することにより基準圧室SPを圧縮・拡張する。なお、基準圧室SP内は圧縮することにより、内部の空気が圧縮され、ピストン153は反作用の力を受ける。
エアゾール容器154は、耐圧容器154aと、その開口部を閉じるエアゾールバルブ154bと、そのエアゾールバルブ154bのステム154b1に取り付けられる押ボタン154cとからなる。押ボタン154cを押圧してステム154b1を下降させることにより、エアゾールバルブ154bが開放され、耐圧容器154a内の加圧剤Pが押ボタン154cの吐出口154c1より噴出される。エアゾール容器154は、エアゾールバルブ154bの外周面に形成された環状凹部154dにシリンダ部152の保持爪152bを係合させてシリンダ部152に固定してもよい。このとき、エアゾール容器154の押ボタン154cの上にピストン153が配置される。なお、エアゾールバルブ154bのステム154b1とピストン153とが連動するように構成すれば、特に押ボタン154cは設けなくもよい。
【0148】
容器ホルダー155は、バルブアッセンブリ101aを外部容器11に取り付ける際にエアゾール容器154の位置を安定化させてシリンダ部152に係合しやすくする、バルブアッセンブリ101aを取り付けた後もエアゾール容器154を保持してピストン153や押ボタンを作動しやすくする。詳しくは、筒状のホルダー本体155aと、その上端に形成されるフランジ部155bと、その下端を閉じる底部155cとからなる。ホルダー本体155aの上部内面は円筒となっており、内部容器12を半径方向に圧縮する部位である。ホルダー本体155aの下部には、ホルダー本体155aと内部容器12との間を連通するスリット155dが形成されている。そして、ホルダー本体155aの下部内面には、エアゾール容器154の位置決めするための位置決めリブ155eが放射状に並んで形成されている。容器ホルダー155は、フランジ部155bが外部容器11の上端(内部容器12のフランジ部12b)とバルブアッセンブリ101aのバルブホルダー17の環状フランジ27の間に挟圧されて保持される。また、フランジ部155bの下面は、環状の板シール材A3を下方に圧縮する部位である。
【0149】
このように構成されている圧力調整機構151は、基準圧室SPの圧力と、内部容器12(加圧室S2)の圧力の差によって作動する。詳しくは、
図34bに示すように、基準圧室SPの圧力が内部容器12の圧力より大きくなった際に、ピストン153は基準圧室SPが拡張するように移動、つまり、ピストン153は下降する。このとき、基準圧室SPの内圧は低下する。そのため、エアゾール容器154の押ボタン154cが押され、加圧剤Pがエアゾール容器154から内部容器12内に供給される。そして、内部容器12内に充分加圧剤Pが供給され、基準圧室SPの圧力と内部容器12の圧力とが実質的に同じになると、エアゾールバルブのバネ力によりピストン153は基準圧室SPが収縮するように元の位置に移動、つまり、ピストン153は上昇する。そのため、エアゾール容器154の押ボタン154cが復帰し、エアゾールバルブ154bも遮断される。
なお、シリンダ152内にピストン153を下方に押圧するバネを入れてもよい。また、ピストンに代えてダイヤフラムなどの圧力位置変換装置を用いてもよい。
【0150】
次に吐出容器150の組み立て方法を示す。
初めに外部容器11および内部容器12からなる二重容器(二重ボトル)を成形する。このとき、内容物Cを充填するときに原液室S1が確実に形成されるようにガイド部材等で一度予め内部容器12を収縮させておくのが好ましい。次いで、エアゾール容器154を収容した容器ホルダー155を内部容器12内に収納する。一方、バルブホルダー17にキャップ18を固定し、かつ、バルブホルダー17のシリンダ部152にピストン153を挿入した蓋材を準備する(
図35a参照)。
この蓋材を二重容器に固定する。このとき、エアゾール容器154がシリンダ部152に連結されると同時に、エアゾール容器154の押ボタン154cがピストン153を押し上げ、基準圧室SPが密閉され、かつ、圧縮される。しかし、内部容器12内には加圧剤Pがまだ充填されていないため、ピストン153は、エアゾール容器154のエアゾールバルブ154bが開放される高さ(若干押ボタン154cを押し下げた状態)以上は上昇しない。つまり、
図35bに示すように、エアゾールバルブ154bは開いた状態となり、加圧剤Pがエアゾール容器154の押ボタン152cから噴射され、シリンダ部152のスリット152aおよび容器ホルダー155のスリット155dを介して内部容器12内に供給される。内部容器12内が所定の圧力に達すると、ピストン153はエアゾールバルブ154bが閉じる高さまで押し上げられ、基準圧室SPの圧力と、内部容器12内の圧力とが実質的に釣り合いエアゾール容器154の噴射が止まる(
図33参照)。
【0151】
このように吐出容器150は、組み立てるだけで加圧剤Pを内部容器12内に充填することができ、特別な加圧剤の充填設備を必要としない。また、吐出容器150を組み立てた後、後述するように、内部容器12の内圧を一定にコントロールすることができる。
なお、収容室S1への内容物Cの充填は、バルブアッセンブリ101aを二重容器に固定する前に行ってもよく、二重容器に固定後にバルブ機構103を開放させ、ステム106から充填してもよい。特に、バルブアッセンブリ101aを固定する前に行う場合、二重容器(外部容器11および内部容器12)、エアゾール容器154および容器ホルダー155を詰め替え製品とすることができる。詰め替え製品とする場合、例えば、
図37cに示すように蓋材156で密封するのが好ましい。これによりバルブアッセンブリ101aなどは再利用できる。また、エアゾール容器154のみの交換も可能である。
【0152】
次に吐出製品の使用方法を示す。使用方法は、
図36aに示すように押ボタン(図示せず)等によってステム106を押し下げ、バルブ機構103を開放することにより、内部容器12の圧力により内容物Cを吐出することができる。内容物Cを吐出させることにより、内部容器12が拡張し、内部容器12の内圧が下がると、
図36bに示すように圧力調整機構151が自動的に作動し、エアゾール容器154から加圧剤Pが内部容器12内に供給され、内部容器12内の圧力が基準圧室SPと釣り合うと加圧剤Pの供給が自動的に停止する。内容物Cを吐出するたびに、この加圧剤Pの供給工程および供給停止工程が自動的に行われるため、内容物Cを最後まで同じ勢いで吐出させることができる。
【0153】
内容物Cを吐出させた後、
図37aに示すように、キャップ18を回し、二重容器(外部容器11および内部容器12)と容器ホルダー155に対して蓋材(容器ホルダー155を除く圧力調整機構151)を若干上昇させる。詳しくは、外シール材A1のシール構造を維持させたまま、バルブホルダー17の内シール保持部28aに保持された内シール材A2が容器ホルダー155のホルダー本体155aの内面から外れるように、蓋材を上昇させる。これにより内シール材A2よる密封が解除され、加圧室S2とバルブアッセンブリ101aのハウジング109内とが連通する。そのため、加圧室S2の加圧剤Pを外部に噴射させることなくハウジング109内に誘導することができる。その後、押ボタン等でステム106を押し下げることにより、加圧剤Pを安全に外部に排出することができる(
図37aの太線矢印参照)。このとき、加圧室S2の内圧は、基準圧室SPの内圧より低くなるため、ピストン153は下降し、エアゾール容器154も開放される。そのため、ガス容器(エアゾール容器154)内の加圧剤Pも最後まで排出することができる。
なお、エアゾール容器154をシリンダ部152の保持爪152aに固定させない場合、
図37bに示すように、エアゾール容器154は容器ホルダー155の底部155cに支持される。また、ピストン153は下降してシリンダ部152のスリット152aを越える。そのため、基準圧室SPと加圧室S2とが連通し、エアゾール容器154の加圧剤Pを排出せずに、加圧室S2の排出ができる(
図37bの太線矢印参照)。この場合、エアゾール容器154は、再利用することができる。
【0154】
図38の吐出容器150aは、容器ホルダーを省略し、エアゾール容器154を内部容器12の底部に載置させた点で、
図32の吐出容器150と異なる。詳しくは、外部容器11と、その内部に収容される内部容器12と、外部容器11および内部容器12を閉じるバルブアッセンブリ101aと、内部容器内に収容され、内部容器の内圧を調整する圧力調整機構151aとを備えている。圧力調整機構151aは、バルブアッセンブリ13の下端に取り付けられている。外部容器11および内部容器12は、
図21の吐出容器100と実質的に同じものであり、外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に内容物Cが充填され、内部容器内の加圧室S2に加圧剤Pが充填される。バルブアッセンブリ101aは、シリンダ部152が
図32の吐出容器150のバルブアッセンブリ101aのシリンダ部152よりも長くなっている点以外は、実質的に同じである。なお、
図38のシリンダ部152の長さを
図32のシリンダ部152と同じにして、エアゾール容器154の耐圧容器を長くしてもよい。
バルブアッセンブリ101aの栓部28の内シール保持部28aに保持される内シール材A2は、内シール保持部28aの底部および内部容器12の内円筒部12aとの間で圧縮され、加圧室S2とバルブアッセンブリ101aとの間をシールする。
【0155】
圧力調整機構151aは、上述のシリンダ部152と、そのシリンダ部34内に収容されるピストン153と、シリンダ部153の下端に挿入される高圧ガスが充填されたエアゾール容器(ガス容器)154とを備えており、エアゾール容器154が内部容器12の底部に載置される。ピストン153およびエアゾール容器(ガス容器)154は、
図32の圧力調整機構151と実質的に同じである。そして、圧力調整機構151aにおいて、シリンダ部152内の空間が基準圧室SPとなり、エアゾール容器154の内部が高圧室HPとなり、エアゾール容器154のバルブが弁となる。
この圧力調整機構151aも、
図32の吐出容器の圧力調整機構151と同様に、基準圧室SPの圧力と、内部容器12(加圧室S2)の圧力差によって作動する。エアゾール容器154を内部容器12に載置させるため、後述するようにエアゾール容器154を内部容器12に載置させ、その後、バルブアッセンブリ101aを取り付けることにより、組み立てることができ、その際、シリンダ部152とエアゾール容器154を連結させやすい。
【0156】
この吐出容器150aの組み立て方法を次に示す。
初めに外部容器11および内部容器12からなる二重容器を成形する。次いで、エアゾール容器154を内部容器12内に収納する。一方、バルブホルダー17にキャップ18を固定し、かつ、バルブホルダー17のシリンダ部152にピストン153を挿入した蓋材を準備する(
図39a参照)。
この蓋材を二重容器に固定する。このとき、エアゾール容器154がシリンダ部152に連結されると同時に、エアゾール容器154の押ボタン154cがピストン153を押し上げ、基準圧室SPが密閉され、かつ、圧縮される(
図39b参照)。
図32の吐出容器150と同様に、それと同時にエアゾール容器154のエアゾールバルブ154bが開き、加圧剤Pがエアゾール容器154の押ボタン154cから内部容器12内に供給される。内部容器12内が所定の圧力に達すると、ピストン153はエアゾールバルブ154bが閉じる高さまで押し上げられ、基準圧室SPの圧力と、内部容器12内の圧力とが実質的に釣り合いエアゾール容器154の噴射が止まる。
【0157】
このように吐出容器150aも、
図1の吐出容器150と同様に、組み立てるだけで加圧剤Pを内部容器12内に充填することができ、特別な加圧剤の充填設備を必要としない。また、吐出容器150aを組み立てた後、後述するように、内部容器12の内圧を一定にコントロールすることができる。
なお、原液室S1への内容物Cの充填は、バルブアッセンブリ101aを二重容器に固定する前後のいずれに行ってもよい。この吐出容器150aも、外部容器11、内部容器12、エアゾール容器154および原液室S1に充填される内容物Cを詰め替え製品とすることができる。詰め替え製品とする場合、
図32の吐出容器150と同様に、
図36に示すような蓋材156で密封するのが好ましい。
なお、
図38の吐出容器150aは、エアゾール容器154を内部容器12の底部に載置させているが、エアゾール容器154を底部に支持させず、内部容器12内で吊り下げてもよい。
【0158】
図40の吐出容器160は、収容室S1と大気との間の吐出通路に、外部から収容室S1へ向かう流体を遮断し、収容室S1から外部へ向かう流体を連通する原液用逆止弁が設けられているものである。詳しくは、外部容器11と、その外部容器11に収容される内部容器12と、外部容器11および内部容器12を閉じ、前述の原液用逆止弁が設けられたバルブアッセンブリ161とを備えている。外部容器11および内部容器12は、
図21の吐出容器100と実質的に同じものであり、外部容器11と内部容器12との間の収容室S1に内容物Cが充填され、内部容器内の加圧室S2に加圧剤Pが充填される。
バルブアッセンブリ161は、収容室S1と外部とを連通する原液通路Z1(
図42a参照)と、加圧室S2と外部とを連通するガス通路Z2(
図42b参照)とを有している。そして、原液通路Z1には、外部から収容室S1への流体を遮断し、収容室S1から外部への流体を通す原液用逆止弁163が設けられている。ガス通路Z2には、加圧室S2から外部への流体を遮断し、外部から加圧室S2への流体を通すガス用逆止弁164が設けられている。
【0159】
バルブアッセンブリ161は、
図41aに示すように、外部容器11および内部容器12の開口部を閉じるように配置され、外部と収容室S1とを連通する第1連通孔165a(原液通路Z1)および外部と加圧室S2とを連通する第2連通孔165b(ガス通路Z2)を有するバルブホルダー165と、そのバルブホルダー17に収容されるバルブ機構103と、原液通路Z1を開閉する環状の移動弁166(原液用逆止弁163)と、ガス通路Z2(第2連通孔165b)を開閉する弾力弁167(ガス用逆止弁164)と、そのバルブ機構106をバルブホルダー165内に保持し、バルブホルダー165を外部容器11に固定するキャップ168とを有している。バルブ機構106は、
図21の吐出容器100のものと実質的に同じものである。
【0160】
バルブホルダー165は、
図41bに示すように、側面に第1連通孔165aが形成され、第1連通孔165aより下方の側面に第2連通孔165bが形成された筒状のバルブハウジング171と、そのバルブハウジング171の外周に、半径方向外方に突出するように設けられた環状の支持フランジ172とを備えている。
バルブホルダー165は、例えば、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂を射出成形する等によって成形される。
【0161】
バルブハウジング171は、バルブ機構106が収容される筒状のハウジング本体173と、そのハウジング本体174と連通するように下方に突出した筒状のガス供給部174とからなる。
ハウジング本体173は、上端に設けられたバルブ機構106のステムラバー107を支持するラバー支持部173aと、側面に等間隔で放射状に設けられた複数の第1連通孔165aと、第1連通孔165aの下方に設けられた環状の底部173bとを有している。また、第1連通孔165aより間隔を空けた上方の上部外周に、キャップ168と係合する環状の係合溝173cが形成されている。第1連通孔165aは、2本以上、例えば、2〜8本設けられている。
ガス供給部174は、第2連通孔165bが設けられた筒状体であり、弾力弁167が取り付けられる部位であり、バルブ保持部174の環状の底部173bと連通している。詳しくは、外形が、大径部174a、中径部174b、小径部174cを同軸上に上から順番に設けたものであり、小径部174cは下端が閉じられており、その側面に第2連通孔165bが形成されている。大径部174a、中径部174b、小径部174cと外形を複数の段部から構成することにより、弾力弁167が抜け落ちることを防止している。ガス供給部174から加圧室S2に向かう流体に対して第2連通孔165bが開くように、ガス供給部174の外面(例えば、中径部174bの外面と大径部174aの下面)と、弾力弁167の内面(例えば、中径部167bおよびフランジ部167c)を接着剤等で貼り合わせてもよい。
【0162】
支持フランジ172は、バルブハウジングの第1連通孔165aから下方に延びる筒状の弁ガイド部172aと、その下端から半径方向外方に延びる環状のフランジ部172bと、そのフランジ部172bの下面中央から下方に延びる筒状のシール材支持部172cとを備えている。
弁ガイド部172aの外周に移動弁166が配置される。移動弁166は、この弁ガイド部172aの外周を上下に移動する。また、弁ガイド部172aの下端内面には、後述する弾性弁167のフランジ部167cの先端と係合する環状の係合突起172a1が設けられている。
フランジ部172bの上面には、横通路溝27aが複数等間隔で放射状に設けられている。この横通路溝27aは、内部容器12の縦通路溝12cと同数とし、その縦通路溝12cと平面視で同じ角度に位置としている。これにより横通路溝27aおよびフランジ部172bの外端側は、前述した原液通路Z1の一部を構成し、内部容器12の縦通路溝12cと連通する(
図42参照)。
またフランジ部172bは、外径が内部容器12のフランジ部12bの外径より若干小さくなるように構成されている(
図40参照)。これにより、フランジ部172bの外周に隙間G2を形成させ、横通路溝27aと連通させやすい。しかし、内部容器12のフランジ部12bの外径と実質的に同じにしてもよい。その場合、キャップ168の内面径を調整して、フランジ部12bの外周に隙間G2が形成されるようにする。
そして、フランジ部172bの下面であって、シール材支持部172cの外側に、下方に向かって突出するシール係止部172dが形成されている。
シール材支持部172cの外周にリング状のシール材A2が配置される(
図40、42参照)。このシール材A2は、上下方向に圧縮されて内部容器12と外部との間をシールする部材である。
この実施形態では、弁ガイド部172aの外面とバルブハウジング171(ガス供給部174)の外面とを同心状に設けた内外面としているが、例えば、
図46のように同一面としてもよい。この実施形態のように、バルブハウジング171のガス供給部174を、弁ガイド部172aより縮径して内部に設けることにより、バルブホルダー165全体の縮小化が可能となる。
【0163】
移動弁166は、
図41cに示すように、リング状の筒体である。上部内外面には、上方に向かって拡径するようにテーパー状に形成された環状のスカート部166aが形成されており、断面が略Y字状を呈している。また、下端内面に、上方に向かって縮径するようにテーパー状に形成された環状の切欠き部166bが形成されている。さらに、上端面中央には、環状溝166cが形成されている。
移動弁166は、下方から流れる流体に対しては環状溝166cを閉じるようにスカート部166aが僅かに撓み、上方から流れる流体に対しては環状溝166cを開くようにスカート部166aが僅かに撓む。このように構成されているため、上方からの流体を止め、下方からの流体を通す。
このような移動弁166は、例えば、低分子量ポリエチレン等の合成樹脂やシリコーンゴムなどによって成形される。
【0164】
弾力弁167は、前述のガス供給部174の外周を覆うものである。詳しくは、
図41dに示すように、ガス供給部174の小径部174cを覆う小径部167aと、その小径部167aと連続し、ガス供給部174の中径部174bを覆う中径部167bと、ガス供給部174の大径部174aの下面に沿って配置されるフランジ部167cとを備えている。フランジ部167cの先端は、バルブホルダー165の支持フランジ172の係合突起172a1と係合する。なお、弾力弁167の形状は、ガス供給部174との装着状態を考慮しながらガス供給部174の形状に応じて選択すればよい。
このように構成されているため、ガス供給部174の第2連通孔165bからガス供給部174の外部(内部容器12内)に向かう流体に対しては、小径部167aが拡がるように変形し、流体をガス供給部174の外部に通し、ガス供給部174の外部から第2連通孔165bに向かう流体に対しては、ガス供給部174が弾力弁167の変形を妨げ、流体を止める。
弾力弁167は、例えば、ニトリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等のゴムによって成形される。
【0165】
キャップ168は、
図41aに示すように、バルブホルダー165を覆う筒状のカバー部176と、外部容器11に装着される固着部177とからなる。カバーキャップ168は、その内面とバルブホルダーの外面とによって、筒状の隙間G1を形成する。
カバーキャップ168は、例えば、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂を射出成形する等によって成形される。
カバー部176は、円板状の天面181と、その縁部から下方に向かって延びる筒状のバルブ嵌合部182と、そのバルブ嵌合部182より拡径して下方に向かって延びる筒状の拡径部183とからなる。
天面181には、ステム109を通す中心孔181aが形成されている。
バルブ嵌合部182の下部には、半径方向内側に突出する環状の係合突起182aが形成されている。この係合突起182aは、前述したようにバルブホルダーの環状の係合溝173cと係合する。これにより、カバーキャップ168にバルブホルダー165が固着される。
拡径部183は、内面がバルブ嵌合部182の内面より拡径した部位である。つまり、拡径部183の内面と、バルブホルダー165の弁ガイド部172a(バルブハウジング171の外周)との間に上下に延びる筒状の隙間G1が形成される。また、バルブ嵌合部182と拡径部183との間の第1段部183aは、第1連通孔165aより間隔を開けて上方となる。空間G1は、第1連通孔165aより上側の退避通路空間G1aと、第1連通孔165aより下側の通路空間G1bとからなる。そして、退避通路空間G1aが退避通路となり、通路空間G1bが原液通路Z1の一部となる(
図42a、b参照)。
【0166】
固着部177は、
図41aに示すように、そのカバー部176から拡径した形状を呈している。詳しくは、拡径部183の基部から半径方向外側に延びるリング状の天底186と、その縁部から下方に延びる筒状の係止筒部187とからなる。係止筒部187の内面の径は、バルブホルダー165のフランジ部172bの外端の径より大きくなっている。天底186の下面は、バルブホルダー165のフランジ部172bの上面と当接するように配置される。しかし、前述したようにフランジ部172bに形成された横通路溝27aによって通路が複数本等間隔で放射状に形成される。なお、天底186の下面に横通路溝を形成してもよい。この横通路溝27aは前述したように縦通路溝12aと連通するように配置されている。また、係止筒部187の内面には、外部容器11のネジ11aと係合するネジ187aが形成されている。さらに、ネジ187aの下方に、シール保持部11bを覆うように拡径した内円筒部187bが形成されており、外部容器の首部の外面と内円筒部187bとの間で外部容器11の外シール保持部11bで保持された外シール材(Oリング)A1を半径方向に圧縮し、外部容器11と外部との間をシールしている(
図40参照)。
【0167】
バルブアッセンブリ161の原液通路Z1は、
図42aで示すように、外部と連通するステム106からハウジング本体173内を通り、第1連通孔165aよりバルブハウジング171の外部に出て、通路空間G1b(バルブホルダー165とキャップ168との間の第1連通孔165aより下側)、横通路溝27a、バルブホルダーのフランジ部172bの外側の隙間G2に至る。
つまり、原液通路Z1は、バルブ機構のステム106、バルブホルダー165のバルブハウジング171の内部、第1連通孔165a、バルブハウジング171の外周とカバーキャップ168との間の通路空間G1bおよびバルブホルダーの支持フランジ172とカバーキャップ168との間の通路(横通路溝27aおよび支持フランジの外側の隙間G2)から構成される。
そして、この原液通路Z1は、縦通路溝12cを介して外部容器11と内部容器12との間の収容室S1と連通する。
原液通路Z1の原液用逆止弁163は、原液通路Z1の一部である通路空間G1b(バルブホルダー165とカバーキャップ168との間の第1連通孔165aより下側)と、退避通路である退避通路空間G1a(バルブホルダー165とカバーキャップ168との間の隙間G1の第1連通孔165aより上側)と、隙間G1内に収容される移動弁166によって構成される。つまり、外部から収容室S1に向かう流体が原液通路Z1に供給されると、移動弁166のスカート部166aは空間G1内を摺動し、通路空間G1b側に移動する(
図42b参照)。その後、フランジ部172bに支持された移動弁166の環状溝166cを流体が押圧し、スカート部166aは環状溝166cが開くように僅かに撓み、原液通路Z1をシールする。一方、収容室S1から外部に向かう流体が原液通路Z1に供給されると、スカート部166aは下方から圧力を受けるため、環状溝166cが閉じるように僅かに撓み、空間G1との間のシールが解除され、あるいは、摺動できるようになり、空間G1内を摺動し、退避通路空間G1a側に移動する(
図42a参照)。これにより、原液通路Z1は連通される。
【0168】
一方、バルブアッセンブリ161のガス通路Z2は、
図42bで示すように、外部と連通するステム106からハウジング本体173内を通り、ガス供給174から第2連通孔165bに至る。
つまり、ガス通路Z2は、ステム106、バルブアッセンブリ161のバルブホルダー65のバルブハウジング171の内部および第2連通孔165bから構成される。
そして、このガス通路Z2は、直接加圧室S2と連通する。
ガス通路Z2のガス用逆止弁164は、ガス供給部174と、その第2連通孔165bと、弾力弁167によって構成される。つまり、外部から加圧室S2に向かう流体がガス通路Z2に供給されると、弾力弁167の小径部167aが変形し、第2連通孔165bが開放される。一方、加圧室S2から外部に向かう流体がガス通路Z2に供給されると、ガス供給部174の外周面が弾力弁167の変形を妨げ、第2連通孔165bは弾力弁167によって閉じられた状態で維持される。
【0169】
次に、
図43に2層吐出容器160への原液および加圧剤の充填工程を示す。
図43aに示すように、外部容器11および内部容器12を成形し、縦通路溝12cから外部容器11と内部容器12の間(収容室S1)に原液Cを充填する。これにより、内部容器12は潰れる(
図43b参照)。このとき、前述したようにガイド部材を用いて予め内部容器12を収縮させてから行うのが好ましい。
次に、バルブアッセンブリ161を外部容器11および内部容器12に固定する。
その後、
図43bに示すように、ステム106を押し下げると同時に、ステム106から加圧剤Pを、ガス通路Z2を通して加圧室S2内に充填して製造される。このとき加圧剤Pは第1連通孔165aにも供給されるが、上述したように原液用逆止弁163の移動弁166が原液通路Z1を遮断するため、加圧剤Pは収容室S1には充填されない(
図42bのZ2’参照)。一度、加圧剤Pが加圧室S2に充填されると、加圧室S2内は、外部より高圧となる。そのため、加圧剤Pは、加圧室S2から外部へ向かおうとする。しかし、ガス用逆止弁164がガス用通路Z2(第2連通孔165b)を遮断し、加圧剤Pの逆流は防止される。
【0170】
この2層吐出容器160の使用状態を
図44a、bに示す。
図44aに示すように、ステム106を押し下げる操作により、原液Cが原液通路Z1を通ってステム106から外部に吐出される。
一方、収容室S1の原液Cが全て外部に吐出されると、
図44bに示すように、内部容器12は膨らみ、外部容器11の内面に密着する。特に、この2層吐出容器160は、外部容器11および内部容器12が透明または半透明とする場合、内部容器12が実質的に外部容器11の内面と同一の形状を有しており、外部容器11と内部容器12との間の空間が収容室S1となっているため、原液Cとして不透明なもの、特に、クリームを用いる場合、原液Cが残っている状態と原液Cが残っていない状態とでその外部容器の様相が突然変化する。つまり、収容室S1内に原液Cが残っているときは、外部容器11は原液Cが確認でき、収容室S1内に原液Cが無くなったときは外部容器11が突然透明となる。そのため、目視で使い終わったことを確認することができる。
また、原液Cを吐出し終わった後は、キャップ168を回転することにより、それぞれの部品に分離することができる。特に、内部容器12とバルブアッセンブリ13との間を上下(鉛直)方向に圧縮してシールする内シール材A2と、外部容器とバルブアッセンブリとの間を左右(水平)方向に圧縮してシールする外シール材(Oリング)A1とを備え、キャップ168をネジ式としているため、キャップ168を開封方向に回して緩めると、外シール材A1のシールを維持したまま内シール材A2のシールを解除することができる(仮固定)。つまり、内部容器12内の加圧剤Pが原液通路Z1の一部(バルブホルダー165のフランジ部172bの外周、横通路溝27a、空間G1)を通って原液用逆止弁163を開き、バルブアッセンブリ161を操作することで加圧剤Pをステム106から外部に排出することができる。また、消費者が誤って原液Cが収容室S1に残っている状態でキャップ168を緩めた場合でも、外部容器11とキャップ168との間のシールは外シール材A1によって維持されているため、原液Cがキャップ168の下端から噴出しない。