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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2015年11月5日
【発行日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】パージ装置及びパージ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170331BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
【出願番号】特願2016-515885(P2016-515885)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2015年3月9日
(11)【特許番号】特許第6052469号(P6052469)
(45)【特許公報発行日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】特願2014-92860(P2014-92860)
(32)【優先日】2014年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】村田 正直
(72)【発明者】
【氏名】山路 孝
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA12
5F131DA05
5F131DA37
5F131DA42
5F131DC06
5F131DC26
5F131GA14
5F131GA83
5F131GA88
5F131GA92
5F131GB02
5F131GB14
5F131JA04
5F131JA05
5F131JA13
5F131JA24
5F131JA28
5F131JA32
5F131JA34
5F131JA40
(57)【要約】
パージ装置(30)は、供給管(31)において格納容器に供給するパージガスの供給流量を調整する供給流量調整部(35,41)と、格納容器の内部(54)の圧力が格納容器の外部に対して負圧とならないように、排出管(33)において格納容器の内部から吸気するパージガスの吸気流量を調整する吸気流量調整部(37,42)とを備え、供給流量調整部は第1流量(f1)及び第1流量よりも大きな流量である第2流量(f2)の少なくとも2段階に供給流量の調整が可能であり、吸気流量調整部は供給流量が第1流量である場合には、吸気流量をゼロとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被格納物が格納される格納容器の内部をパージガスによってパージ処理するパージ装置であって、
前記格納容器に接続されることにより前記格納容器に前記パージガスを供給する供給管と、
前記供給管において前記格納容器に供給する前記パージガスの供給流量を調整する供給流量調整部と、
前記格納容器に接続されることにより前記格納容器内部の前記パージガスを排出する排出管と、
前記格納容器の内部の圧力が前記格納容器の外部に対して負圧とならないように、前記排出管において前記格納容器の内部から吸気する前記パージガスの吸気流量を調整する吸気流量調整部と、を備え、
前記供給流量調整部は、第1流量及び前記第1流量よりも大きな流量である第2流量の少なくとも2段階に前記供給流量の調整が可能であり、
前記吸気流量調整部は、前記供給流量が前記第1流量である場合には、前記吸気流量をゼロとする、パージ装置。
【請求項2】
前記吸気流量調整部は、前記排出管に設けられるバルブと前記バルブの開閉を制御する吸気流量制御部とを有しており、
前記吸気流量制御部は、前記供給流量が前記第1流量である場合に前記バルブを閉じるように制御し、前記供給流量が前記第2流量である場合に前記バルブを開くように制御する、請求項1に記載のパージ装置。
【請求項3】
前記格納容器において前記排出管が接続される排出口以外の部分から前記格納容器の外部に漏れ出した前記パージガスを排出する排出装置を更に備えている、請求項1又は2に記載のパージ装置。
【請求項4】
被格納物が格納される格納容器の内部をパージガスによってパージ処理する際のパージ方法であって、
前記格納容器に供給する前記パージガスの供給流量を調整する供給流量調整工程と、
前記格納容器の内部の圧力が前記格納容器の外部に対して負圧とならないように、前記格納容器の内部から吸気する前記パージガスの吸気流量を調整する吸気流量調整工程と、を含み、
前記供給流量調整工程では、第1流量及び前記第1流量よりも大きな流量である第2流量の少なくとも2段階に前記供給流量を調整し、
前記吸気流量調整工程では、前記供給流量が前記第1流量である場合に、前記吸気流量がゼロとなるように調整する、パージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被格納物が格納される格納容器の内部を不活性気体又は清浄乾燥空気などのパージガスによってパージ処理するパージ装置及びパージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体ウェハ又はガラス基板などの被格納物が格納される格納容器の内部にパージガスを注入することによって清浄度を保つ(いわゆるパージ処理を行う)パージ装置が知られている。このようなパージ装置によるパージ処理は、例えば、パージガスを大量に使用するパージストッカなどにおいては、密閉領域の中で行われる。そして、このような密閉領域の内部へ、ひいてはこの密閉領域から密閉領域の外部へ、何らかの対策が必要となる濃度のパージガスが排出されることを抑制するために、例えば、特許文献1に示されるように、格納容器のパージガスの排出口に排気管を接続させ、排気管を介してパージガスを回収することが行われている。このような構成のパージ装置では、排気管へパージガスを排出させるのに十分な圧力がないため、既存の吸気手段などを接続し、強制的にパージガスを吸気して回収する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−5604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した構成において、例えば、格納容器に供給されるパージガスの量に比べて格納容器から吸気されるパージガスの量が多くなると、格納容器の内部の圧力が格納容器の外部に対して負圧になるおそれがある。この場合には、例えば、格納容器におけるパージガスの供給口や本体部と蓋部との間などから汚れた空気及び/又は塵埃などが吸入されてしまう場合があり、好ましい状態ではない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、格納容器へのパージガスの供給流量を任意に設定変更した場合であっても、パージ装置が配置される密閉領域へ漏れ出すパージガスの量を抑制すると共に、格納容器の内部に汚れた空気及び/又は塵埃が吸入されることを防止できるパージ装置及びパージ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るパージ装置は、被格納物が格納される格納容器の内部をパージガスによってパージ処理するパージ装置であって、格納容器に接続されることにより格納容器に前記パージガスを供給する供給管と、供給管において格納容器に供給するパージガスの供給流量を調整する供給流量調整部と、格納容器に接続されることにより格納容器内部のパージガスを排出する排出管と、格納容器の内部の圧力が格納容器の外部に対して負圧とならないように、排出管において格納容器の内部から吸気するパージガスの吸気流量を調整する吸気流量調整部と、を備え、供給流量調整部は、第1流量及び第1流量よりも大きな流量である第2流量の少なくとも2段階に供給流量の調整が可能であり、吸気流量調整部は、供給流量が第1流量である場合には、吸気流量をゼロとする。
【0007】
本発明の一側面に係るパージ方法は、被格納物が格納される格納容器の内部をパージガスによってパージ処理する際のパージ方法であって、格納容器に供給するパージガスの供給流量を調整する供給流量調整工程と、格納容器の内部の圧力が格納容器の外部に対して負圧とならないように、格納容器の内部から吸気するパージガスの吸気流量を調整する吸気流量調整工程と、を含み、供給流量調整工程では、第1流量及び第1流量よりも大きな流量である第2流量の少なくとも2段階に供給流量を調整し、吸気流量調整工程では、供給流量が第1流量である場合に、吸気流量がゼロとなるように調整する。
【0008】
上記構成のパージ装置及び上記のパージ方法によれば、排出管から格納容器内部のパージガスが吸気されるので、格納容器において排出管が接続される排出口以外の部分から漏れ出すパージガスの量を抑制できる。また、この構成のパージ装置によれば、格納容器の内部の圧力が格納容器の外部に対して負圧とならないように吸気流量が調整される。これにより、格納容器の外部から格納容器の内部に汚れた空気や塵埃が吸入されることがなくなる。この結果、パージ装置が配置される密閉領域へ漏れ出すパージガスの量を抑制すると共に、格納容器の内部に汚れた空気や塵埃が吸入されることを防止できる。
【0009】
更に、この構成のパージ装置によれば、格納容器に供給するパージガスの供給流量を任意に設定変更できるので、様々なパターンで格納容器にパージガスを供給することができる。そして、パージガスの供給流量を変更した場合であっても、供給流量が比較的小さい場合には、吸気流量をゼロとする。これにより、格納容器の内部の圧力が格納容器の外部に対して間違っても負圧とならないようにすることができる。
【0010】
本願発明者らは、鋭意検討の結果、格納容器の内部からパージガスを吸気する場合には、パージ処理を実施しているにもかかわらず、すなわち、パージガスを格納容器に供給しているにもかかわらず、格納容器へのパージガスの供給流量が所定流量よりも小さくなる場合に、格納容器の内部の圧力が格納容器の外部に対して負圧となってしまうことを見出した。
【0011】
そこで、一実施形態では、供給管及び排出管に接続された際に、格納容器にパージガスを供給する流量が所定流量よりも小さくなると、格納容器の内部が格納容器の外部に対して負圧となるおそれがある格納容器において、第1流量及び第2流量を下記のように設定してもよい。すなわち、第1流量を上記所定流量以下の流量とし、第2流量を上記所定流量よりも大きな流量としてもよい。
【0012】
この構成のパージ装置によれば、格納容器に供給するパージガスの流量を変更した場合であっても、格納容器の内部の圧力が格納容器の外部に対して負圧とならないように、排出管において格納容器の内部から吸気するパージガスの吸気流量が変更される。
【0013】
また、一実施形態において、吸気流量調整部は、排出管に設けられるバルブとバルブの開閉を制御する吸気流量制御部とを有しており、吸気流量制御部は、供給流量が第1流量である場合にバルブを閉じるように制御し、供給流量が第2流量である場合にバルブを開くように制御するようにしてもよい。
【0014】
この構成のパージ装置によれば、比較的簡易な構成で、格納容器の内部から吸気するパージガスの吸気流量を変更することができる。
【0015】
また、一実施形態において、格納容器において排出管が接続される排出口以外の部分から格納容器の外部に漏れ出したパージガスを排出する排出装置を更に備えていてもよい。
【0016】
この構成のパージ装置では、小さな流量のパージガスを供給する場合に、格納容器の内部の圧力が外部の圧力に対して負圧となることを防止するために、例えばバルブを閉じるなど吸気流量調整部において吸気流量を制御する。この場合には、格納容器における排出口以外の部分からパージガスが漏れ出すおそれがある。この構成のパージ装置では、排出口以外の部分から漏れ出たパージガスを排出装置が回収して排出できるので、パージ装置が配置されている領域からパージガスが漏れ出すことを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、格納容器へのパージガスの供給流量を任意に設定変更した場合であっても、パージ装置が配置される密閉領域へ漏れ出すパージガスの量を抑制すると共に、格納容器の内部に汚れた空気や塵埃が吸入されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施形態に係るパージ装置を備えたパージストッカを示す正面図である。
図2図2は、図1のパージストッカをII−II線から見た断面図である。
図3図3(A)は、図1のパージ装置によりパージ処理される格納容器を示した断面図であり、図3(B)は、図1のパージ装置によりパージ処理される格納容器を示した斜視図である。
図4図4は、図1のパージ装置の構成を示した概略構成図である。
図5図5は、排出管に接続した状態で格納容器の内部をパージ処理した際における、パージガスの供給流量と格納容器内部の圧力との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0020】
一実施形態に係るパージ装置30(図4参照)について説明する。パージ装置30は、半導体ウェハ又はガラス基板などの被格納物が格納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)などの格納容器50(図3(A)及び図3(B)参照)の内部54をパージガスによってパージ処理する装置である。パージ装置30は、図1及び図2に示されるような、被格納物が格納された格納容器50を保管するパージストッカ1などに配置されている。パージストッカ1は、例えば、クリーンルーム100に設けられている。
【0021】
図1及び図2に示されるように、クリーンルーム100は、第1床面100Aと第2床面100Bとを有している。第2床面100Bは、作業者が移動するための床面であると共にクリーンルーム100を2つの領域に隔てる部分でもある。第1床面100Aと第2床面100Bとによって挟まれる領域は、通常、作業者が立ち入ることがない領域であり、各種装置、配管、配線が配置されたり、後述する排気口15Aからパージガスが排出されたりする領域である。第2床面100Bは、グレーチング板又はバンチング板などで構成することができる。
【0022】
このようなクリーンルーム100に設けられたパージストッカ1は、パーティション3、FFU(Fan Filter Unit)5、ラック7、クレーン9、排気口15A、OHT(Overhead Hoist Transfer)ポート21及びマニュアルポート23を備えている。
【0023】
パーティション3は、パージストッカ1のカバー板であって、第1床面100Aの上方の領域を仕切る(画成する)部分であり、その内側には保管領域1Aが形成されている。FFU5は、パーティション3で区切られた空間の天井部分、すなわち、保管領域1Aの上方に所定方向に沿って複数設けられている。FFU5は、保管領域1Aの外部から保管領域1A内に空気を吸気して、清浄空気を保管領域1Aの下方に向けて吹き出す。なお、クリーンルームの天井には通常FFUが配置されているため、パージストッカの天井がクリーンルームの天井と近い場合には、クリーンルームのFFUを利用してもよい。排気口15Aは、保管領域1Aの底部近傍に設けられており、パージガスをクリーンルーム100の第1床面100Aと第2床面100Bとの間の領域に排出する部分である。パージガスは、排気用ファン15によって保管領域1Aから排出される。すなわち、FFU5及び排気用ファン15によって、一つの排気系統(排出装置)が構成されている(以下、この排気系統を「第1排気系統」とも称す。)。
【0024】
ラック7は、格納容器50を保管する部分であり、保管領域1A内に、通常1〜2列(ここでは、2列)設けられている。各ラック7は、所定方向Xに延在しており、隣り合う2つのラック7,7が対向するように略平行に配置されている。各ラック7には、所定方向X及び鉛直方向に沿って、格納容器50を載置して保管する保管棚7Aが複数形成されている。
【0025】
クレーン9は、格納容器50を保管棚7Aに対して出し入れする部分であり、対向するラック7,7に挟まれた領域に配置されている。クレーン9は、ラック7の延在方向Xに沿って、床面に配置された走行レール(図示せず)を走行することにより、ラック7に沿って所定方向Xに移動することができる。クレーン9の荷台9Aは、ガイドレール9Bに沿って昇降可能に設けられており、鉛直方向に設けられた複数の保管棚7Aに対して、格納容器50を出し入れすることができる。
【0026】
パージストッカ1への格納容器50の出し入れは、OHTポート21及びマニュアルポート23から行われる。OHTポート21は、天井100Cに敷設された走行レール25を走行する天井走行車(OHT)27とパージストッカ1との間で格納容器50を受け渡しする部分であり、格納容器50を搬送するコンベヤ21Aを有している。マニュアルポート23は、作業者とパージストッカ1との間で格納容器50を受け渡しする部分であり、格納容器50を搬送するコンベヤ23Aを有している。
【0027】
ラック7の保管棚7Aには、載置される格納容器50の内部54をパージガス(例えば、窒素ガス)でパージするパージ装置30が設けられている。パージ装置30は、保管棚7Aに載置された格納容器50内にパージガスを供給及び排出するための装置である。
【0028】
ここで、格納容器50について説明する。図3(A)及び図3(B)に示されるように、格納容器50は、筐体となる、本体部51及び蓋部53を備えている。格納容器50は、本体部51と蓋部53とによって格納容器50の内部54が形成される。格納容器50の内部54には、複数の半導体ウェハ(図示せず)が収納される。
【0029】
本体部51において底面となる底面部52の下面には、蓋部53が配置される側を前としたとき、前端部の左右両端近傍に排出口56が設けられ、後端部の左右両端に供給口55が設けられている。供給口55は、接続部52A及び連通部52Cから形成される。排出口56は、接続部52B及び連通部52Dから形成される。この例では接続部52Aは、後段にて詳述するパージ装置30の供給管31と接続可能に構成されている。また、接続部52Bは、パージ装置30の排出管33と接続可能に構成されている。接続部52A、52Bには、供給管31及び排出管33の内径と同等の径の連通部52C,52Dがそれぞれ形成されている。連通部52C、52Dは、格納容器50の内部54と格納容器50の外部とを連通する孔部である。
【0030】
蓋部53は、本体部51の側面である一つの面に配置される。蓋部53には、例えばラッチ機構58が設けられている。ラッチ機構58は、ラッチ部58Aとカム部58Bとを有している。ラッチ部58Aは、カム部58Bに設けられた差込口58Cにキー(図示せず)を差し込んだ状態で、このキーを回動させると、ラッチ部58Aのカム部58Bがある側とは反対側の端部が出入りするように構成されている。そして、このラッチ部58Aの端部がラッチ部58Aと対向する面であって本体部51に設けられた嵌合溝51Aに嵌合されることによって、蓋部53が本体部51に固定されるようになっている。
【0031】
次に、上述したような格納容器50の内部54をパージガス(例えば、窒素ガス)によってパージ処理するパージ装置30について説明する。図4に示されるように、パージ装置30は、供給管31、MFC(Mass Flow Controller)(供給流量調整部)35、パージガス源(図示せず)、排出管33、バルブ(吸気流量調整部)37及び制御部40を備えている。
【0032】
供給管31の先端はノズルとなっており、格納容器の供給口55に接続されることにより格納容器50にパージガスを供給する部分である。本実施形態では、供給管31は、接続部52Aに密着されることによって連通部52Cと接続される。MFC35は、供給管31を流れるパージガスの質量流量を計測し、流量制御を行う機器である。本実施形態のMFC35は、後述する供給流量制御部(供給流量調整部)41によって流量制御がなされる。パージガス源(図示せず)は、パージガスを貯蔵するタンクである。
【0033】
排出管33の先端はノズルとなっており、格納容器50の排出口56に接続されることにより格納容器50の内部54のパージガスを吸気して、格納容器50の内部54のパージガスを排出する部分である。本実施形態では、排出管33は、接続部52Bに密着されることにより、連通部52Dと接続される。バルブ37は、格納容器50の内部54の圧力が格納容器50の外部に対して負圧とならないように、排出管33において吸気するパージガスの流量を調整する。バルブ37は、例えば、電磁式又はエア式など、リモートコントロールが可能な構成の機器を採用することができる。本実施形態のバルブ37は、後述する吸気流量制御部(吸気流量調整部)42によって開弁制御及び閉弁制御がなされる。
【0034】
図4に示されるように、本実施形態のパージ装置30における排出管33は、複数のパージ装置30からの排出管33が集約されて、クリーンルーム100における第1床面100Aと第2床面100Bとの間の領域を経由して、既存の負圧排気ダクトに接続されている(図1及び図2参照)。このような構成により、各パージ装置30に接続される排出管33は、格納容器50の排出口56に接続されることにより格納容器50の内部54のパージガスを吸気して、格納容器50の内部54のパージガスを負圧排気ダクトを介して排出することができる。言い換えれば、各排出管33及び負圧排気ダクトによって、一つの排気系統が構成されている(以下、この排気系統を「第2排気系統」とも称す。)。
【0035】
制御部40は、パージ装置30における各種パージ処理を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)などからなる電子制御ユニットである。制御部40は、図4に示されるように、パージ装置30の各種制御処理を実行する概念的な部分としての供給流量制御部41と吸気流量制御部42とを有している。このような概念的な部分が実行する機能は、CPUなどの制御のもと実行される。
【0036】
供給流量制御部41は、格納容器50にパージガスを供給する供給流量を調整するためにMFC35を制御する部分である。吸気流量制御部42は、第1流量のときにバルブ37を閉じ、第2流量の時にバルブ37を開放するように制御する部分である。「第1流量」とは、格納容器50が供給管31及び排出管33に接続された状態において、格納容器50にパージガスを供給する流量が所定流量F1よりも小さくなると、格納容器50の内部54が格納容器50の外部に対して負圧となるおそれがある格納容器50において、所定流量F1よりも小さい流量をいう。また「第2流量」とは、第1流量よりも大きい流量をいう。
【0037】
次に、上記パージ装置30におけるパージ処理の動作(パージ方法)について説明する。制御部40は、格納容器50の載置を検知すると(又は、ユーザによりパージ処理命令が入力されると)、格納容器50へのパージガスの供給(パージ処理)を開始する。このとき、供給流量制御部41は、格納容器50に指示流量でパージガスを供給するようにMFC35を制御する(供給流量調整工程)。なお、このときの指示流量は、少なくとも2つの流量の入力が可能であり、作業者によって事前に適宜設定入力される。吸気流量制御部42は、格納容器50の内部54の圧力が格納容器50の外部に対して負圧とならないように、バルブ37の開閉を制御する。通常、MFC35によってパージガスの供給が開始されるとバルブ37が開放され、MFC35によるパージガスの供給が終了するとバルブ37が閉じられる(吸気流量調整工程)。
【0038】
ところが、条件(格納容器の特性、パージ装置の特性及び供給流量など)によって、MFC35によってパージガスの供給が開始されたにもかかわらず、格納容器50の内部54の圧力が格納容器50の外部に対して負圧となる場合がある。そこで、格納容器50が供給管31及び排出管33に接続された状態において、格納容器50にパージガスを供給する流量が所定流量よりも小さくなると、格納容器50の内部54が格納容器50の外部に対して負圧となるおそれがある格納容器50では、以下の制御が行われる。すなわち、吸気流量制御部42は、所定流量よりも小さい第1流量のときにバルブ37を閉じ、第1流量よりも大きな第2流量の時にバルブ37を開放するように制御する。
【0039】
上記実施形態のパージ装置30の作用効果について説明する。上記実施形態のパージ装置30によれば、排出管33から格納容器50の内部54のパージガスが吸気されるので、格納容器50における供給口55や本体部51と蓋部53との間(排出口以外の部分)から漏れ出すパージガスの量を抑制できる。また、上記実施形態のパージ装置30によれば、格納容器50の内部54の圧力が格納容器50の外部に対して負圧とならないようにバルブ37の開閉が制御される。これにより、格納容器50の外部から格納容器50の内部54に汚れた空気や塵埃が吸入されることがなくなる。この結果、パージ装置30が配置される保管領域1Aへ漏れ出すパージガスの量を抑制し、ひいては保管領域1Aから漏れ出すパージガスの量を抑制すると共に、格納容器50の内部54に汚れた空気や塵埃が吸入されることを防止できる。
【0040】
ここで、保管領域1Aからパージガスが漏れ出す場合とは、排気口15Aから誘導的にパージガスが排出されることなく、例えば、保管領域1Aの開口部であるOHTポート21及びマニュアルポート23などからパージガスが排出されることをいう。
【0041】
また、上記実施形態のパージ装置30では、供給管31において格納容器50に供給するパージガスの流量を変更するMFC35を備えているので、様々なパターンで格納容器50にパージガスを供給することができる。例えば、パージ処理の即効性を確保するために相対的に大きな流量のパージガスを格納容器50に供給したい場合又は十分に清浄度が確保された後に相対的に小さな流量のパージガスを継続的に格納容器50に供給したい場合など、ニーズに合わせたパージガスの供給が可能となる。
【0042】
また、上記実施形態のパージ装置30では、上述したようにパージガスの供給流量を変更した場合であっても、供給流量が比較的小さい第1流量の場合には、吸気流量をゼロにする。これにより、格納容器50の内部54の圧力が格納容器50の外部に対して負圧とならないように調整することができる。
【0043】
また、本願発明者らは、鋭意検討の結果、格納容器50へパージガスを供給しているにもかかわらず、格納容器の内部54の圧力が格納容器の外部に対して負圧となってしまうことを見出した。すなわち、図5に示されるように、格納容器50へのパージガスの供給流量が相対的に小さい場合(所定流量F1)には、格納容器50の内部54の圧力が格納容器50の外部に対して負圧となってしまうことを見出した。
【0044】
そこで、上記実施形態のパージ装置30では、格納容器50が供給管31及び排出管33に接続された状態において、格納容器50へのパージガスの供給流量が所定流量F1よりも小さくなると、格納容器50の内部54が格納容器50の外部に対して負圧となるおそれがある格納容器50については、以下の制御を行っている。すなわち、所定流量F1よりも小さい流量を第1流量f1とし、第1流量f1よりも大きな流量を第2流量f2としたとき、第1流量f1のときにバルブ37を閉じ、第2流量f2のときにバルブ37を開放するように制御している。
【0045】
また、この構成のパージ装置30によれば、格納容器50に供給するパージガスの流量を変更した場合であっても、格納容器50の内部54の圧力が格納容器50の外部に対して負圧とならないようにバルブ37の開閉制御が行われる。この結果、格納容器50の外部から格納容器50の内部54に汚れた空気や塵埃が吸入することを防止できる。
【0046】
また、この構成のパージ装置30によれば、格納容器50における供給口55や本体部51と蓋部53との間から格納容器50の外部に漏れ出したパージガスを換気して排出する第1排気系統(FFU5及び排気用ファン15)を備えているので、格納容器50から漏れ出したパージガスがパージストッカ1の保管領域1Aから漏れ出すことを抑制できる。このことは、所定流量F1以下の流量のパージガスを供給する場合に特に有効である。本実施形態のパージ装置30では、格納容器50に供給するパージガスの供給流量が所定流量F1以下の場合にはバルブ37が閉じられ、格納容器50における供給口55や本体部51と蓋部53との間からパージガスが漏れ出すおそれがあるからである。
【0047】
言い換えれば、格納容器50へのパージガスの供給流量が所定流量F1以下の場合には、格納容器50の内部54が負圧とならないように敢えて供給口55や本体部51と蓋部53との間からパージガスを排出させ、第1排気系統のみでパージガスを回収し、パージストッカ1の外部に排出している。格納容器50へのパージガスの供給流量が所定流量F1よりも大きい場合には、第1排気系統及び第2排気系統の両方でパージガスをパージストッカ1の外部に排出している。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
<第1変形例>
上記実施形態では、各排出管33が負圧排気ダクトに接続される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば別途、吸気装置を備える構成としてもよい。この場合であっても、各パージ装置30に接続される排出管33は、格納容器50の排出口56に接続されることにより格納容器50の内部54のパージガスを吸気して、格納容器50の内部54のパージガスを排出することができる。
【0050】
<第2変形例>
上記実施形態のパージ装置30では、第1排気系統を備える例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、格納容器50の供給口55や本体部51と蓋部53との間から漏れ出すパージガスの量が相対的に小さい場合には、第1排気系統を備えない構成のパージ装置としてもよい。
【0051】
<その他の変形例>
上記実施形態では、パージストッカ1に配置されたパージ装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。パーティション3などにより画成された空間に配置されるパージ装置だけでなく、例えば、天井走行車同士の中継ポイント及びコンベヤから天井走行車への受け渡しポイント(ロードポート)、天井バッファなどに搭載されるパージ装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…パージストッカ、1A…保管領域、3…パーティション、7…ラック、15…排気用ファン、15A…排気口、30…パージ装置、31…供給管、33…排出管、35…MFC(供給流量調整部)、37…バルブ(吸気流量調整部)、40…制御部、41…供給流量制御部(供給流量調整部)、42…吸気流量制御部(吸気流量調整部)、50…格納容器、51…本体部、52…底面部、53…蓋部、54…格納容器の内部、100…クリーンルーム、100A…第1床面、100B…第2床面、100C…天井、F1…所定流量、f1…第1流量、f2…第2流量。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】