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再表2015-194265キャリアの一時保管装置と一時保管方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2015年12月23日
【発行日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】キャリアの一時保管装置と一時保管方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20170331BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
   H01L21/68 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】特願2016-529151(P2016-529151)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】特願2014-126014(P2014-126014)
(32)【優先日】2014年6月19日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】高井 要
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA32
5F131CA45
5F131DA05
5F131DA23
5F131DA42
5F131DC06
5F131FA02
5F131FA14
5F131FA32
5F131FA33
5F131GA14
5F131GA24
5F131GA73
5F131GA76
5F131GB02
5F131GB13
5F131GB22
5F131KA05
5F131KB22
(57)【要約】
キャリアを一時保管できる数が増し、かつローカル台車にキャリアの横送り機構を設ける必要を無くすように、スライドバッファを設け、スライドバッファが、一時保管装置の搬入及び処理装置のメンテナンスを妨げないようにする。一時保管装置は、天井走行車と処理装置の前面のロードポートとの間で、キャリアを一時保管する。一時保管装置は、ロードポートの直上部を通過し、かつ天井走行車の走行経路の下方に設けられている走行レールに沿ってローカル台車を走行させ、キャリアを載置自在なセルと、前記走行レールの直下の前進位置と、走行レールの側方の後退位置との間で、前記セルをスライドさせるガイド機構、とから成るスライドバッファ、とを備える。ガイド機構は、走行レールから側方に突出した動作位置と、側方への突出長が短くかつ天井走行車によるキャリアのロードポートとの間の移載を許容する退避位置との間で移動自在で、走行レールは、処理装置の前面に沿って、ロードポートの直上部から離れた、ローカル台車の待機位置まで延びている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井走行車と処理装置の前面のロードポートとの間で、キャリアを一時保管する一時保管装置であって、
キャリアを昇降させるホイストを備えるローカル台車と、
ロードポートの直上部を通過し、かつ天井走行車の走行経路の下方に設けられている、前記ローカル台車の走行レールと、
キャリアを載置自在なセルと、前記走行レールの直下の前進位置と、走行レールの側方の後退位置との間で、前記セルを支持すると共にスライドさせるガイド機構、とから成るスライドバッファ、とを備え、
前記走行レールから側方に突出した動作位置と、前記動作位置よりも側方への突出長が短くかつ天井走行車によるキャリアのロードポートとの間の移載を許容する退避位置との間で移動自在に、前記ガイド機構が構成され、
前記走行レールは、処理装置の前面に沿って、ロードポートの直上部から離れた待機位置まで延びており、
前記待機位置で前記ローカル台車は待機するようにされている、一時保管装置。
【請求項2】
前記ガイド機構は、前記走行レールと平行な軸を中心に、前記セルと共に回動自在に一時保管装置のフレームに取り付けられ、前記退避位置において前記セル及び前記ガイド機構は前記走行レールの直下から外れるように構成されていることを特徴とする、請求項1の一時保管装置。
【請求項3】
前記スライドバッファと前記ローカル台車とを制御するコントローラをさらに備え、
前記ガイド機構を退避位置へ移動させる際に、天井走行車側のコントローラへ、スライドバッファが使用不能である旨を通知するように、前記コントローラが構成されていることを特徴とする、請求項2の一時保管装置。
【請求項4】
前記ガイド機構を回動自在に支持する水平軸をさらに備えて、前記退避位置において、前記ガイド機構は鉛直方向を向いていることを特徴とする、請求項1の一時保管装置。
【請求項5】
床面側に固定の架台下部と、
前記架台下部に着脱自在で、一時保管装置のフレームが固定されている架台上部、とをさらに備え、
前記フレームに前記走行レールと前記ガイド機構とが取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの一時保管装置。
【請求項6】
天井走行車と処理装置の前面のロードポートとの間で、一時保管装置によりキャリアを一時保管する一時保管方法であって、
前記一時保管装置は、
キャリアを昇降させるホイストを備えるローカル台車と、
ロードポートの直上部を通過し、かつ天井走行車の走行経路の下方に設けられている、前記ローカル台車の走行レールと、
キャリアを載置自在なセルと、前記走行レールの直下の前進位置と、走行レールの側方の後退位置との間で、前記セルを支持すると共にスライドさせるガイド機構、とから成るスライドバッファと、
スライドバッファのガイド機構を回動させる水平軸、とを備え、
前記一時保管方法は、
ローカル台車に割り当てる作業が無い際に、コントローラの制御により、ローカル台車を前記待機位置へ移動させて待機させると共に、
前記水平軸回りにスライドバッファを回動させることにより、スライドバッファのガイド機構が走行レールの側方へ突出した動作位置と、スライドバッファのガイド機構が高さ方向を向いた退避位置との間で、スライドバッファの姿勢を変化させる、一時保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウェハー等を収納するキャリアの一時保管に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理装置の稼働率を増すため、そのロードポートの近傍に一時保管装置(バッファ)を設けることが要求されている。これに関して出願人は特許文献1(JP2012-111635)で、天井走行車(OHT:Overhead Hoist Transport)の走行レールと平行にかつその下方に、ローカル台車の走行レールを設けることを提案した。そしてローカル台車と天井走行車の双方が移載可能なバッファを、ローカル台車の走行レールの下方であってロードポートの直上以外の部分に設けると、例えば4個のバッファを設けることができる。バッファの数が不足する場合、天井走行車とローカル台車とにキャリアの横送り機構を設け、ローカル台車の走行レールの斜め下方にバッファを追加することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP2012-111635
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ローカル台車にキャリアの横送り機構を設けるとすると、ローカル台車の高さが増し、一時保管装置が占めるスペースが増す。そこで発明者は、ローカル台車の走行レールの直下の前進位置と走行レールの側方の後退位置との間で、スライド自在なスライドバッファを設けることを検討した。このようにすると、ロードポートの直上部を前進位置とするようにスライドバッファを設けることができ、バッファの数が増す。またローカル台車はキャリアの横送り機構を必要としない。
【0005】
次ぎに発明者は、スライドバッファが一時保管装置の搬入、処理装置のメンテナンス等の邪魔になることに着目した。これは、ローカル台車の走行レール付近から、スライドバッファが側方に、例えば通路側に突き出すためである。そこでスライドバッファが、一時保管装置の搬入、処理装置のメンテナンス等を妨げないようにする必要がある。
【0006】
この発明の課題は、
・ キャリアを一時保管できる数を増し、かつローカル台車にキャリアの横送り機構を設ける必要を無くすために、スライドバッファを備え、
・ さらにスライドバッファが、一時保管装置の搬入及び処理装置のメンテナンス等を妨げない、
一時保管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一時保管装置は、天井走行車と処理装置の前面のロードポートとの間で、キャリアを一時保管する一時保管装置であって、
キャリアを昇降させるホイストを備えるローカル台車と、
ロードポートの直上部を通過し、かつ天井走行車の走行経路の下方に設けられている、前記ローカル台車の走行レールと、
キャリアを載置自在なセルと、前記走行レールの直下の前進位置と、走行レールの側方の後退位置との間で、前記セルを支持すると共にスライドさせるガイド機構、とから成るスライドバッファ、とを備え、
前記走行レールから側方に突出した動作位置と、前記動作位置よりも側方への突出長が短くかつ天井走行車によるキャリアのロードポートとの間の移載を許容する退避位置との間で移動自在に、前記ガイド機構が構成され、
前記走行レールは、処理装置の前面に沿って、ロードポートの直上部から離れた待機位置まで延びており、
前記待機位置で前記ローカル台車は待機するようにされている。
【0008】
またこの発明の一時保管方法では、天井走行車と処理装置の前面のロードポートとの間で、一時保管装置によりキャリアを一時保管し、
前記一時保管装置は、
キャリアを昇降させるホイストを備えるローカル台車と、
ロードポートの直上部を通過し、かつ天井走行車の走行経路の下方に設けられている、前記ローカル台車の走行レールと、
キャリアを載置自在なセルと、前記走行レールの直下の前進位置と、走行レールの側方の後退位置との間で、前記セルを支持すると共にスライドさせるガイド機構、とから成るスライドバッファと、
スライドバッファのガイド機構を回動させる水平軸、とを備え、
前記一時保管方法は、
ローカル台車に割り当てる作業が無い際に、コントローラの制御により、ローカル台車を前記待機位置へ移動させて待機させると共に、
前記水平軸回りにスライドバッファを回動させることにより、スライドバッファのガイド機構が走行レールの側方へ突出した動作位置と、スライドバッファのガイド機構が高さ方向を向いた退避位置との間で、スライドバッファの姿勢を変化させる。
【0009】
スライドバッファは、ロードポートの直上部を前進位置とするように設けることができるので、固定のバッファに比べ多数設けることができる。またスライドバッファのセルがスライドするので、ローカル台車にキャリアの横送り機構を設ける必要がない。さらにローカル台車は、ロードポートの直上部以外で待機するので、ローカル台車にトラブルが生じても、天井走行車はロードポートとの間でキャリを移載できる。なおローカル台車が機上コントローラにより自発的に待機位置へ移動しても、あるいは一時保管装置のコントローラ(実施例でのバッファコントローラ等)からの指令により、ローカル台車が待機位置へ移動しても良い。
【0010】
そしてスライドバッファのセル(例えばキャリア1個分の棚)はガイド機構と共に退避できるので、セルとガイド機構を退避させて、一時保管装置の搬入を容易にし、あるいは処理装置のメンテナンス、搬出入等を容易にできる。退避位置では、天井走行車によるキャリアのロードポートとの間の移載が許容される。このため、他の処理装置のメンテナンス等のために通路を広く開ける必要がある際に、セルとガイド機構とを退避させても、ロードポートと天井走行車間でのキャリアの移載を行うことができる。この明細書において、一時保管装置に関する記載はそのまま一時保管方法にも当てはまる。
【0011】
好ましくは、前記ガイド機構は、前記走行レールと平行で例えば水平な軸を中心に、回動自在に一時保管装置のフレームに取り付けられ、前記退避位置において前記セル及び前記ガイド機構は前記走行レールの直下から外れるように構成されている。ガイド機構をセルと共に走行レールと平行な軸回りに退避位置へ回動させると、走行レールの直下からセルとガイド機構とが外れ、天井走行車はロードポートへの移載を行うことができる。また一時保管装置に、スライドバッファ以外に固定のバッファが設けられている場合、スライドバッファを退避させても、ローカル台車は固定バッファとロードポート間の搬送を行うことが可能である。
【0012】
また好ましくは、前記スライドバッファと前記ローカル台車とを制御するコントローラをさらに備え、前記ガイド機構を退避位置へ移動させる際に、天井走行車側のコントローラへ、スライドバッファが使用不能である旨を通知するように、前記コントローラが構成されている。この態様では、処理装置のメンテナンス、搬出入等に応じて、スライドバッファのガイド機構を退避させる際に、センサ等によりガイド機構の回動を検出することにより、あるいは作業者が入力することにより、一時保管装置のコントローラへその旨を入力する。一時保管装置のコントローラは、その旨を天井走行車側のコントローラへ通知する。天井走行車側のコントローラでは、スライドバッファを搬送先として指定しないようにして、天井走行車による搬送に混乱が生じないようにできる。なおスライドバッファのガイド機構を走行レールと平行な軸回りに回動させても、ロードポートと天井走行車との移載は妨げられない。
【0013】
好ましくは、一時保管装置は、ローカル台車の走行レールの直下で、かつロードポートの直上部から離れた位置に、固定のバッファを備えている。なお前記待機位置は固定のバッファの上部にある。
【0014】
好ましくは、ガイド機構を回動自在に支持する水平軸をさらに備えて、退避位置において、ガイド機構は鉛直方向を向いている。このようにすると、回動によりスライドバッファは退避し、退避位置のスライドバッファはロードポートとの移載を妨げず、また走行レールの側方へのはみ出しが少ない。
【0015】
好ましくは、一時保管装置は、床面側に固定の架台下部と、前記架台下部に着脱自在で、一時保管装置のフレームが固定されている架台上部とをさらに備え、前記フレームに前記走行レールと前記ガイド機構とが取り付けられている。なおローカル台車は走行レールに支持され、スライドバッファのセルはガイド機構に支持されている。このようにすると、一時保管装置のフレームを予め架台上部に固定しておくことができるので、一時保管装置の設置が容易になる。また架台の下部を予め床面側に固定しておくことができるので、搬入時の一時保管装置の高さを低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例の、キャリアの一時保管装置の平面図
図2】実施例の、キャリアの一時保管装置の一部切欠部付き側面図
図3】実施例の、キャリアの一時保管装置の一部切欠部付き正面図
図4】収容能力をより大きくした変形例を模式的に示す平面図
図5】収容能力をより大きくした変形例を模式的に示す側面図
図6】小さな処理装置に対応する変形例を模式的に示す平面図
図7】ローカル台車の平面図
図8】スライドバッファの平面図
図9】スライドバッファの回動機構を示す正面図
図10】バッファコントローラ天井走行車側のコントローラとの関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0018】
図1図10に、実施例のキャリアの一時保管装置(一時保管装置)2と、その変形例とを示す。一時保管装置2はクリーンルーム内等に設けられ、クリーンルームの天井から図3に示す天井走行車30(OHT)の走行レール4が支持されている。6は半導体等の処理装置で、処理装置には検査装置を含むものとし、ロードポート16を1個〜複数個備えている。また半導体ウェハー、レチクル等の物品はFOUP(Front-Opening Unified Pod)等のキャリア18に収納されて、スライドバッファ12,固定バッファ14に一時保管されると共に、天井走行車(OHT)30とローカル台車10とにより搬送される。
【0019】
一時保管装置2は、クリーンルーム内の通路7上で、人とは干渉しない高さに配置されている。一時保管装置2の最上部には一対の走行レール8,8が設けられ、ロードポート16の直上部を、処理装置6の前面と平行に、走行レール8,8に沿ってローカル台車10が走行する。走行レール8,8の間には、キャリア18が通過できる隙間があり、天井走行車30とローカル台車10は走行レール8,8の隙間を通るようにして、キャリア18を移載する。
【0020】
一時保管装置2はフレーム11を備え、フレーム11にスライドバッファ12のフレーム13が、ヒンジ15により、走行レール8と平行な水平軸回りに90°回動自在に取り付けられている。スライドバッファ12は、走行レール8,8の直下にある前進位置と、走行レール8,8の下部から側方に離れた後退位置との間で進退自在である。また好ましくは、スライドバッファ12以外に、固定バッファ14を走行レール8,8の両端もしくは一端に設ける。そしてロードポート16の上部と固定バッファ14の上部とが、ローカル台車10及び天井走行車30の停止位置となり、固定バッファ14の上部はローカル台車10の待機位置でもある。なお固定バッファ14の代わりにスライドバッファ12を設けて、固定バッファ14を設けないようにしても良い。ロードポート16の上部を除く位置を、ローカル台車10の待機位置とするので、ローカル台車10にトラブルが生じても、ロードポート16と天井走行車30との移載は妨げられない。
【0021】
フレーム13はフレーム11にヒンジ15により回動自在に取り付けられ、フレーム13は図1の姿勢から下向きに90°回動できる。また17はフレーム13に上向きの力を加えるダンパで、例えばエアシリンダで構成され、油圧シリンダでも良く、あるいはバネ等の簡易なものでも良い。また駆動に必要な空気は、図2図3の架台24等を介して供給する。フレーム13をヒンジ15を中心に回動させる際に、フレーム13及びスライドバッファ12の重力をダンパ17で支持し、回動を容易にする。
【0022】
20は光センサ、21は反射板で、これらは停止位置毎に設けられている。そして反射板21との間が遮られたことから、天井走行車30からの昇降台、昇降台を吊持するベルト、あるいは昇降台に把持されているキャリアを、光センサ20により検出する。22はバッファコントローラで、ローカル台車10の制御とスライドバッファ12の制御、天井走行車30とローカル台車10のインターロック、天井走行車側のコントローラとの通信、及び処理装置6との通信を行う。
【0023】
バッファコントローラ22は、
・ ロードポート16と、天井走行車30あるいはローカル台車10が、キャリア18を受け渡しする際に、受け渡しするロードポート16の直上部のスライドバッファ12を退避させ、
・ ローカル台車10がスライドバッファ12とキャリア18を受け渡しする際に、スライドバッファ12を前進させ、
・ 天井走行車30あるいはその地上コントローラからの要求に応じ、スライドバッファ12を前進あるいは後退させることにより、キャリア18を受け渡しできるようにし、
・ ローカル台車10の作業が無い場合は、固定バッファ14の上部の待機位置へ移動させ、待機させる。
【0024】
図2図3に示すように、一時保管装置2は門形の架台24により支持され、架台24の通路7側の前面25は、通路7に対して、ロードポート16の前面26とほぼ同じ位置まで進出しているか、あるいは前面26よりも処理装置6寄りの位置にある。このため通路7の幅Wはロードポート16の位置により定まり、一時保管装置2を設けても通路7の幅Wは狭くならない。なおほぼ同じとは、前面の差が例えば±100mm以下であること、特に±50mm以下であることであり、好ましくは前面25,26はほぼ同じ位置にある。ところで一時保管装置2は、クリーンルームの天井あるいは天井走行車30の走行レール4から吊り下げても良い。しかし架台24に一時保管装置2を支持させてクリーンルーム内へ搬入し、位置決めすると、一時保管装置2を容易に設置できる。そして架台24の前面25がロードポート16よりも通路7側に進出しないようにすると、通路7を狭くすることにならない。
【0025】
架台24は、ネジ等により互いに締結された上部27と下部28とから成り、下部28は取付部29によりクリーンルームの床面等に固定されている。さらに一時保管装置2を上部27に予め固定しておき、上部27を下部28上に固定することにより、一時保管装置2を設置する。このようにすると、一時保管装置2をクリーンルーム内に搬入する際の高さを小さくできる。また一時保管装置2の重心を下げることにより耐震性を強化するため、下部28は厚い鋼材等で構成して重くしてある。
【0026】
天井走行車30の構造を図3に示す。走行部32は走行レール4内を走行すると共に横送り機構33を支持し、横送り機構33は、走行レール4に水平面内で直角な方向に、昇降駆動部34を横送りする。昇降駆動部34は、ベルト36等の吊持材を繰り出し及び巻き取り、キャリア18をチャック及び解放自在な昇降台35を昇降させる。昇降駆動部34,昇降台35,及びベルト36は、ホイストを構成する。そして前記の光センサ20はホイスト及びホイストに支持されているキャリアを検出する。38は、キャリア18の落下を防止する落下防止カバーで、これらの他に、昇降駆動部34を鉛直軸回りに回動させる機構を追加しても良い。なお横送り機構33を備えない天井走行車では、スライドバッファ12を走行レール8,8の下部へ前進させて移載する。
【0027】
図1図3の一時保管装置2は、スライドバッファ12を4個、固定バッファ14を2個備え、処理装置6のロードポート16は例えば4個である。これに対して、4個のロードポート16に対して、キャリア18の収容能力を最大にした一時保管装置40を、図4図5に示す。一時保管装置40では、固定バッファ14はスライドバッファ12よりもキャリアの高さで1段分低い位置に設けられ(図5)、この結果、一時保管装置40が占める高さが増している。スライドバッファ12は、走行レール8,8の両側に設けられ、固定バッファ14の上部にも、ロードポート16から外れたスライドバッファ12’が前進するように設けられている。この結果、スライドバッファ12を8個、ロードポート16から外れたスライドバッファ12'を4個、固定バッファ14を2個設けることができ、固定バッファ14の上部がローカル台車10の待機位置である。
【0028】
図6は、小型の処理装置6'に対応し収容能力が小さい一時保管装置60を示す。処理装置6'はロードポート16を2個備え、一時保管装置60は、スライドバッファを4個備え、ロードポート16から外れたスライドバッファ12'の上部をローカル台車10の待機位置とする。なお図5のようにすると、固定バッファ14を2個追加できるが、一時保管装置60が占める高さが増す。
【0029】
図7はローカル台車10の構造を示す。ローカル台車10は、一対の走行レール8,8に沿って、車輪62と図示しないモータとにより走行し、昇降駆動部63と図示しないベルト等により、キャリア18をチャック/解放自在な昇降台64を昇降させる。ローカル台車10はこれ以外に、バッファコントローラ22との通信装置、及び天井走行車30とのインターロック用の端末との通信装置、電池等の電源、機上のコントローラを備えている。
【0030】
図8はスライドバッファ12の構造を示し、スライドバッファ12は セル72と、セル72を前進位置と後退位置との間で前後進させるガイド機構68から成る。70はガイド機構68のベースで、フレーム13に固定され、レール71,71に沿って、前進位置と後退位置との間で、セル72が車輪73により前後進する。なお前進位置はローカル台車の走行レールの直下、後退位置はそれから離れた位置である。セル72に設けられている、例えば3個の位置決めピン74は、キャリア18の底部を位置決めする。キャリアセンサ75はキャリア18の有無を検出し、着座センサ76はキャリア18が位置決めピン74上の正しい位置に着座していることを検出し、IDリーダ77はキャリアのIDを読み取る。なおIDリーダ77は設けなくても良く、センサ75,76,IDリーダ77は固定バッファにも同様に設ける。
【0031】
空気圧シリンダ、油圧シリンダ等のシリンダ78とピストン79により、あるいは図示しないモータと歯付ベルト等により、リニアガイド80をレール81に沿って前後進させる。歯付きベルト82等から成る倍速機構により、リニアガイド80の2倍のストロークで、セル72を前後進させる。なおこの倍速機構はスライドフォークで広く用いられているもので、またセル72の前後進の機構は任意である。センサ83はリニアガイド80が後退位置にあることを検出し、センサ84は前進位置にあることを検出し、ケーブルガイド85は電源線と信号線とを屈曲自在にガイドし、センサ75,76、IDリーダ77をベース70側に接続する。センサ83,84の作用はセル72の位置を検出することで、レール71にセルの前端位置を検出する光センサと、後端位置を検出する光センサ等を取り付けても良い。
【0032】
図9に示すように、フレーム13とスライドバッファ12は、水平な姿勢(実線)と鉛直な姿勢(鎖線)との間で、ヒンジ15を中心に90°回動自在である。そして図8の86はレール71の先端に設けたブラケットで、ピン孔87を備えている。図9に戻り、通常時は、ブラケット86をフレーム11側のブラケット88に重ねて、ピン89等でブラケット86をブラケット88に固定する。退避時はピン89を抜いて、ヒンジ15を中心にフレーム13とスライドバッファ12を一体に回動させる。退避位置でスライドバッファ12は走行レール8,8間の隙間から退避するので、天井走行車はロードポートとの間でキャリアを移載できる。実施例ではスライドバッファ12は反時計回りに退避するが、時計回りに回動して退避しても良い。またフレーム13と全てのスライドバッファ12を一括して回動させるが、個々のスライドバッファ12毎に回動させるように構成しても良い。
【0033】
フレーム13とスライドバッファ12とを合わせると、人手で回動させるには重すぎることがある。そこでダンパ17よりフレーム13に上向きの力を加え、フレーム13とスライドバッファ12を人手で容易に回動できるようにする。
【0034】
図10は、バッファコントローラ22と天井走行車コントローラ102との関係を示す。天井走行車コントローラ100は、メモリに走行経路のマップ102を記憶させており、マップ102にはスライドバッファ12の位置が、代替の搬送先と共に記載されている。スライドバッファを退避させると、バッファコントローラ22は、スライドバッファが使用不能(Disable)である旨を通知し、天井走行車コントローラ100はマップ102にその旨を転記する。そして一時保管装置2を搬送先とする指令を、代替の搬送先への指令に変更する。なお代替の搬送先が登録されていない場合、マップ102から代替の搬送先を決定する。このようにすると、処理装置のメンテナンス等に伴い、臨時にスライドバッファを使用不能にしても、天井走行車による搬送に混乱を来さない。
【0035】
実施例では、以下の効果が得られる。
1) スライドバッファ12により、多数のキャリアを保管できる。
2) ローカル台車10はキャリアの横送り機構を必要とせず、またロードポートと天井走行車間の移載を妨げない位置で待機できる。
3) 一時保管装置2の搬入、処理装置のメンテナンス、搬出入等に際して、スライドバッファ12を退避させることができるので、作業が容易になる。
4) スライドバッファ12を退避させても、天井走行車とローカル台車10はロードポートとの間でキャリアを移載できる。
5) ダンパ17により、スライドバッファ12を人手で容易に回動させることができる。
6) スライドバッファ12を退避させると、その旨を天井走行車側のコントローラへ通知するので、天井走行車による搬送に混乱を来さない。
7) 一時保管装置2を架台24により床面側から支持するので、一時保管装置2の設置は高所作業を伴わない。
8) 架台24はロードポートよりも通路7側に進出しないので、一時保管装置2により通路7は狭くならない。
9) 架台24を上下に2分すると、一時保管装置2の搬入が容易になる。
【0036】
実施例では、ガイド機構68とセル72はヒンジ15により水平軸回りに回動することにより退避したが、退避機構の構成は任意である。また一時保管装置2は、架台24ではなく、天井走行車の走行レール4等により、天井側から支持しても良い。
【符号の説明】
【0037】
2,40,60 キャリアの一時保管装置(一時保管装置)
4 天井走行車の走行レール 6 処理装置 7 通路
8 ローカル台車の走行レール 10 ローカル台車
12 スライドバッファ 11,13 フレーム
14 固定バッファ 15 ヒンジ 16 ロードポート
17 ダンパ 18 キャリア 20 光センサ
21 反射板 22 バッファコントローラ(コントローラ)
24 架台 25,26 前面 27 上部 28 下部
29 固定部 30 天井走行車(OHT) 32 走行部
33 横送り機構 34 昇降駆動部 35 昇降台
36 ベルト 38 落下防止カバー 62 車輪
63 昇降駆動部 64 昇降台 68 ガイド機構
70 ベース 71 レール 72 セル 73 車輪
74 位置決めピン 75 キャリアセンサ 76 着座センサ
77 IDリーダ 78 シリンダ 79 ピストン
80 リニアガイド 81 レール 82 歯付きベルト
83,84 センサ 85 ケーブルガイド
86,88 ブラケット 87 ピン孔 89 ピン
100 天井走行車コントローラ 102 マップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】