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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2015年2月26日
【発行日】2017年3月2日
(54)【発明の名称】ブリケットマシン
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/22 20060101AFI20170210BHJP
   B30B 11/18 20060101ALI20170210BHJP
   B30B 11/00 20060101ALI20170210BHJP
【FI】
   B01J2/22
   B30B11/18
   B30B11/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】16
【出願番号】特願2015-532766(P2015-532766)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2014年7月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-170159(P2013-170159)
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138438
【弁理士】
【氏名又は名称】尾首 亘聰
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100131082
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 正信
(74)【代理人】
【識別番号】100185535
【弁理士】
【氏名又は名称】逢坂 敦
(72)【発明者】
【氏名】清水 正紀
(72)【発明者】
【氏名】家守 修一
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 亮
【テーマコード(参考)】
4G004
【Fターム(参考)】
4G004MA01
(57)【要約】
造粒性の変動があっても、良好な安定した品質の造粒品を生産することができるブリケットマシンを提供する。本発明のブリケットマシンは、回転する一対のロール(1)と、ロールを支えるベアリングブロック(2)と、ベアリングブロック(2)を支持するプレスフレーム(3)部と、を備えた造粒部と、造粒部の上方に位置し造粒部に粉体を供給するホッパー(4)と、ホッパー(4)の内部に設けられ、ロールの上で上下動することにより粉体の供給量を変えるゲート(5)と、を備えた供給部と、可動であるベアリングブロック(2)を動かす油圧シリンダ(8)と、ロール(1)の運転状態を測定する運転状態測定器(9、11)と、を備えた運転状態を計測する計測部と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反対方向に回転する一対のロール(1)(1)と、このロール(1)(1)の両端を支えると共にベアリングを保持する一対のベアリングブロック(2)(2)であって、少なくとも1つは可動であるベアリングブロック(2)(2)と、前記一対のベアリングブロック(2)(2)を支持するプレスフレーム部(3)と、を備え、粉体を圧縮造粒する造粒部と、
該造粒部の上方に位置し造粒部に粉体を供給するホッパー(4)と、該ホッパー(4)の内部に設けられたゲート(5)であって、前記ロール(1)(1)の接近部上方で上下動するゲート(5)と、を備え、粉体の供給量を変える供給部と、
前記可動であるベアリングブロック(2)を前記一対のロール(1)(1)が互いに近接し、また、離隔するように動かす油圧シリンダ(8)と、ロール(1)(1)の運転状態を測定する運転状態測定器(9、11)と、を備え、運転状態を計測する計測部と、
を有するブリケットマシン。
【請求項2】
前記供給部は、ゲート(5)を上下動させる電動シリンダ(6)を備え、該電動シリンダ(6)は、ロッドの運動速度を変えるインバータ(10)を更に備えた、請求項1に記載のブリケットマシン。
【請求項3】
前記ゲート(5)の下端は、中央部が両端部より下方に張り出している、請求項1に記載のブリケットマシン。
【請求項4】
前記ゲート(5)は、中央部が両端部より下方に張り出す長さを変えることができるゲート先端調整機構を備えた、請求項3に記載のブリケットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリケットマシンに関する。特に、ゲートを用いた粉体フィーダを有するブリケットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲートを用いた粉体フィーダを有するブリケットマシンは、例えば特開2009−95712号公報に開示されている。
【0003】
しかしながら、上記の文献には、ゲートを上下する機構、条件が具体的にされていない。一方、原料が異なる場合にはゲートの上下を調整する必要がある。また、同じ原料を流し続けているという条件でも、粉体の物性には実際には幅があるため、造粒プロセス中に造粒しやすさ、すなわち造粒性、が変化することがある。このため、造粒中の造粒性の変化に対応出来ずに、良好な安定した品質の造粒品が生産できない問題があった。
【0004】
本発明の目的は、造粒中に造粒性の変動があっても、良好な安定した品質の造粒品を生産することができるブリケットマシンを提供することにある。
【発明の開示】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明のブリケットマシンは、反対方向に回転する一対のロール(1)(1)と、このロール(1)(1)の両端を支えると共にベアリングを保持する一対のベアリングブロック(2)(2)であって、少なくとも1つは可動であるベアリングブロック(2)(2)と、前記一対のベアリングブロック(2)(2)を支持するプレスフレーム部(3)と、を備え、粉体を圧縮造粒する造粒部と、
該造粒部の上方に位置し造粒部に粉体を供給するホッパー(4)と、該ホッパー(4)の内部に設けられたゲート(5)であって、前記ロール(1)(1)の接近部上方で上下動するゲート(5)と、を備え、粉体の供給量を変える供給部と、
前記可動であるベアリングブロック(2)を前記一対のロール(1)(1)が互いに近接し、また、離隔するように動かす油圧シリンダ(8)と、ロール(1)(1)の運転状態を測定する運転状態測定器(9、11)と、を備え、運転状態を計測する計測部と、を有する。
【0006】
本発明によれば、計測部によりロール負荷が分かるので、供給部により紛体の供給量を変えて、造粒部により粉体を適切に圧縮造粒することができる。すなわち、一定範囲のロール負荷で造粒することができる。さらに、計測部では、運転状態測定器によりロールの運転状態をリアルタイムに計測し、自動でゲート高さを調整することができる。
【0007】
また、前記供給部は、ゲート(5)を上下動させる電動シリンダ(6)を備え、該電動シリンダ(6)は、ロッドの運動速度を変えるインバータ(10)を更に備えることができる。
ゲート(5)の上下動速度を調整することで、移動によりゲート(5)等の装置を破損することなく、かつ、短時間で、原料に適したゲート高さに調節することができる。即ち、造粒性の変動に対して、ゲート(5)の上下動速度を調整することにより、良好な品質の造粒品を安定して生産するブリケットマシンを提供することができる。更に、ゲート(5)の駆動装置を電動シリンダ(6)とすると、ゲート(5)の高さ位置を正確に調整できる。更に、インバータ(10)により電動シリンダ(6)の運動速度を変えてゲート(5)の上下動速度を適切にすることで、原料の造粒性の変動に追従するとともに、適切な速度にしてゲート(5)の上下動のハンチングを防止することができる。
【0008】
また、前記ゲート(5)の下端は、中央部が両端部より下方に張り出している形状とすることができる。ゲート(5)とロール(1)の間隙を、粉体の通過し易い中央部で小さくし、両端部で大きくすることにより、供給される粉体の量を適切に調整することができる。
【0009】
前記ゲート(5)は、中央部が両端部より下方に張り出す長さを変えることができるゲート先端調整機構(13・14)を備えてもよい。側板(14)(14)がT字状板(13)に対して上下方向に移動可能であるので、中央部が両端部より下方に張り出す好適な長さ、すなわち、供給される粉体の量を調整し易いように中央部と両端部の間隙の差を変えることができる。よって、粉体の性状が変化しても、供給される粉体の量を適切に調整することができる。
【0010】
この出願は、日本国で2013年8月20日に出願された特願2013−170159号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明により更に完全に理解できるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、当業者にとって明らかだからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本明細書あるいは請求の範囲の記載において、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書中で提供されたいずれの例示または例示的な用語(例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説明し易くするという意図であるに過ぎず、特に請求の範囲に記載しない限り本発明の範囲に制限を加えるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のブリケットマシン全体を示す概略図である。
図2】本発明のブリケットマシンのロール付近を拡大して示す断面概略図であって、ロールの軸に平行な垂直面での断面図である。
図3】本発明の一実施の形態としてのゲート先端調整機構付近を拡大して示す断面概略図であって、ロールの軸に平行な垂直面での断面図である。
図4】本発明に使用するゲート付近の拡大図であり、ゲート下降時を示したものである。
図5】本発明に使用するゲート付近の拡大図であり、ゲート上昇時を示したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。本発明のブリケットマシンは、粉体を圧縮造粒する造粒部と、該造粒部の上方に位置し、粉体の供給量を変えて造粒部に供給する供給部と、運転状態を計測する計測部と、を有する。
【0013】
ここで、造粒部は、反対方向に回転する一対のロール(1)(1)と、このロール(1)(1)の両端を支えると共にベアリングを保持するベアリングブロック(2)(2)と、ベアリングブロック(2)(2)を支持するプレスフレーム部(3)と、を備えており、粉体を圧縮造粒する。ここで「反対方向に回転する」とは、一対のロール(1)(1)の上部の表面が互いに接近する方向に回転することを意味する。
【0014】
また、供給部は、造粒部の上方に位置し造粒部に粉体を供給するホッパー(4)と、該ホッパー(4)の内部に設けられたゲート(5)であって、前記ロール(1)(1)の接近部上方で上下動するゲート(5)と、を備えており、供給量が可変の粉体を造粒部に供給する。ホッパー(4)下端の粉体を造粒部に供給する供給口は、一のロール(1)側から一対のロール(1)(1)の中心に向けて粉体を供給するように形成されている。ゲート(5)の位置は、一対のロール(1)(1)間の中心でもよいし、粉体が供給される側(図1では左側)に中心よりずれた位置でもよい。
【0015】
さらに、計測部では、可動であるベアリングブロック(2)(2)を一対のロール(1)(1)が互いに接近し、また、離隔するように動かす油圧シリンダ(8)と、ロール(1)(1)にかかる圧力を測定するロードセル(9)と、ロール(1)(1)の駆動モーター(12)の電流値を測定する電流計(11)と、を備えており、運転状態を計測する。すなわち、ロール(1)(1)間の加圧力またはロール(1)(1)の回転負荷によりロールの運転状態を測定する。ロードセル(9)および電流計(11)は、ロール(1)(1)の運転状態を測定する運転状態測定器の代表例であるが、他の運転状態測定器により運転状態を測定してもよい。
【0016】
また、本発明における粉体はその種類を問わないが、本発明のブリケットマシンは、粉体の性質が時間に応じて変わる場合に特に好適に用いられる。例えば、還元鉄、石炭、製鋼ダスト、ニッケル鉱石粉、亜鉛ダストなどで、粒度や物性が安定しない粉体に好適に用いられる。また、本発明のブリケットマシンは、大径ロールのブリケットマシンとして好適に用いられる。大径ロールの場合には、粉体の自重によりロール間で粉体が噛み込みやすい。そこで、粉体がロール間で噛み込まないように、ロール間に供給される粉体の量をゲートで制限することができるからである。
【実施例1】
【0017】
以下、図面に基づき発明を説明する。
図1は、本発明の実施例に用いるブリケットマシン全体を示す概要図であり、図2は、図1のブリケットマシンのロールの軸に平行な垂直面におけるロール付近の拡大断面概略図である。図1において、ロール(1)(1)は、反対方向に回転して粉体を圧縮造粒するロールであり、対になっている。ベアリングブロック(2)は、ロール(1)(1)を支えるベアリングを保持している。そして、ベアリングブロック(2)は、プレスフレーム部(3)に支持される。ここでプレスフレーム部(3)は、造粒部の外枠フレームである。可動であるベアリングブロック(2)は下側がプレスフレーム部(3)と摺動する。油圧シリンダ(8)や固定側のベアリングブロック(2)の水平方向変位は、プレスフレーム部(3)により拘束される。
【0018】
一方、供給部は、ホッパー(4)を主な部品として、設けられ、造粒部に粉体を供給する。ホッパー(4)の内部には、ゲート(5)が設けられており、ロール(1)の上部にて、粉体の供給量を規制することができる。すなわち、ゲート(5)が上下動してロール(1)との間隙を広くしたり狭くしたりすることにより、ホッパー(4)から造粒部に供給される粉体の量を調整する。
【0019】
また、ゲートを(5)を上下動させる電動シリンダ(6)は、ゲート昇降装置フレーム(7)及びフランジによって、ロッドを下向きにして保持されている。ゲートの上下動のアクチュエータとして、電動シリンダを用いているので、ゲートの構造が簡単になる利点がある。なぜなら、油圧シリンダの場合は、配管や油圧ポンプなどが不可欠であるからである。また、ゲートの駆動装置が電動シリンダのため、ゲートの高さ位置を正確に調整できる。なお、電動シリンダ(6)は、粉体中のゲート(5)を上下方向に移動させるため、ゲート(5)と粉体との間の摩擦、粉体によりゲート(5)に作用する面圧、粉体を押しのけて移動するための力等をも考慮して充分な動力を有するようにする。
【0020】
更に、ブリケットマシンは、電動シリンダ(6)の上下動速度を変えるインバータ(10)を備えることができる。ゲートの上下動速度を調整する理由は、以下の通りである。粉体の性状によりゲートを上下動させるための力が異なり、造粒する粉体によってゲートの上下動速度を変えるのが好ましいからである。また、ゲートの上下動速度が遅すぎると原料の造粒性の変動に追従できなくなり、また速すぎるとハンチングのように上下動作を繰り返すようになる恐れがある。さらに、移動速度が速すぎると、ゲート等の装置を破損することもある。そのために、速すぎず遅すぎない適切な速度にする必要があるからである。また、例えば下げるときは速く、上げるときは遅くするなど、動く方向によって速度を変えることにより、装置を破損を防ぐこともできる。
【0021】
ところで、計測部は、ベアリングブロック(2)の可動側に油圧シリンダ(8)を備える。さらに、ロール(1)(1)にかかる圧力を測定するロードセル(9)と、ロール(1)(1)の駆動モーター(12)の電流値を測定する電流計(11)とを備えて、運転状態を計測する。なお、一対のベアリングブロック(2)(2)の両方を可動にし、それぞれのベアリングブロック(2)(2)に油圧シリンダ(8)を備えてもよい。油圧シリンダ(8)はロードセル(9)と連動可能となっており、ロール(1)(1)にかかる圧力が所定値より大きくなったときには油圧シリンダ(8)で押す力を弱め、ロール(1)(1)にかかる圧力が所定値より小さくなったときには油圧シリンダ(8)で押す力を強めて、ロール(1)(1)間に作用する圧力を適切に保つ。
【0022】
これらのロードセル(9)および電流計(11)は、運転状態計測器として、ロール(1)(1)に作用する負荷に基づいて、供給部から造粒部に供給される粉体の量を調整するのに使用される。ロール(1)(1)にかかる圧力が所定値より高くなると、ゲート(5)を下げ、ゲート(5)とロール(1)との間隙を狭くし、造粒部に供給される粉体の量を減じる。逆に、ロール(1)(1)にかかる圧力が所定値より低くなると、ゲート(5)を上げ、ゲート(5)とロール(1)との間隙を広くし、造粒部に供給される粉体の量を増やす。また、駆動モーター(12)の電流値が所定値より高くなると、ゲート(5)を下げ、ゲート(5)とロール(1)との間隙を狭くし、造粒部に供給される粉体の量を減じる。逆に、駆動モーター(12)の電流値が所定値より低くなると、ゲート(5)を上げ、ゲート(5)とロール(1)との間隙を広くし、造粒部に供給される粉体の量を増やす。ロードセル(9)あるいは電流計(11)だけを備えてもよい。一方、両方を備える場合には、ロール加圧力とロールを駆動する負荷を所定の範囲とすることが可能になり、より安定した品質の造粒品を生産することが可能となる。また、例えばロードセル(9)と電流計(11)とが相反するデータを示した場合には、アラームを発してオペレータの注意を喚起するなど、計測部の信頼性を高めることができる。
【0023】
以下、これらの構成を用いたブリケットマシンの動作について説明する。
はじめに、油圧シリンダ(8)で可動側のベアリングブロック(2)を押し、ロール(1)(1)を適切な圧力で密着させる。次いで、駆動モーター(12)でロール(1)(1)を回転させる。これにより、ホッパー(4)から粉体が回転するロール(1)(1)間に入り込み、ロール(1)(1)間の圧力により粉体が押し固められる。ここで、ロール(1)(1)による加圧力をロードセル(9)により測定している。一方、ロール(1)(1)を回転駆動する駆動モーター(12)の電流値も電流計(11)により測定している。そして、加圧力または電流値が所定範囲を超えると、ゲート(5)を上下動させ、ロール(1)(1)間への粉体の供給量を調整する。
【0024】
ゲート(5)による原料(粉体)供給量の調整について、ゲート高さとロール加圧力(すなわちロードセル(9)の測定値)の関係を調べ、原料供給量を調整可能なゲート高さの範囲を調べた。
【0025】
テスト結果1
【表1】
【0026】
表1の結果より、ゲート供給の場合、ゲート高さを変更することで、ロール圧力を600KNまで下げられることがわかった。つまり、ゲート高さを低くすることにより還元鉄を低いロール加圧力で造粒できることが分かった。(ゲート高さの上下位置の詳細は、図4および図5を参照)
【0027】
なお、比較例として、ホッパー内にスクリューを設けてスクリューの回転数で供給部から造粒部に供給される粉体の量を調整するスクリュー供給の場合の、スクリューの回転数とロール加圧力との関係を調べた。結果を表2に示す。
【0028】
テスト結果2
【表2】
【0029】
テスト結果2を見てわかるように、スクリューの回転数を下げても必ずしも低いロール加圧力で造粒できる訳ではないことが分かった。
【0030】
上記の説明から明らかなように、本発明によるブリケットマシンでは、ロール加圧力を測定し、ロール加圧力に基づいてゲート高さを制御することにより、一定範囲のロール加圧力で造粒することが可能となり、造粒品質が安定する。
【0031】
また、ロールを駆動する駆動モーターの電流値を測定し、駆動モーターの電流値によりゲート高さを制御することにより、一定範囲のロール負荷で造粒することが可能となり、造粒品質が安定する。
【0032】
さらに、ゲート高さを電動シリンダで自動制御することにより、造粒性が変動しても、良好な造粒品を安定して生産しやすくなる。
【0033】
そして、電動シリンダの動作速度をインバータ制御することにより、ゲートの上下動速度を調整することで、造粒中に造粒性が変化する原料に適した高さ調節を行える。
【実施例2】
【0034】
図3に、本発明の一実施の形態としてのゲート先端調整機構付近のロールの軸に平行な垂直面での断面概略図を示す。ゲート先端調整機構は、ゲート(5)として作用する板状構造である。ゲート先端調整機構は、T字状板(13)と側板(14)(14)とを備える。T字状板(13)は、電動シリンダ(6)のロッドあるいはロッドに連接する駆動軸によって、上下動する。T字状板(13)の下端辺(ロール(1)に近い端)は、中央部が両端部より下方に張り出したT字状である。ここで、中央部と両端部の幅の関係については、特に制限はなく、それぞれをゲート(5)の幅の3分の1としてもよいし、中央部に対して両端部を3分の1ずつとしてもよいし、中央部に対して両端部を2分の1ずつとしてもよいし、中央部に対して両端部を2倍ずつとしてもよく、これらの間の比であってもよい。T字状板(13)の両端部には、それぞれに側板(14)(14)が重ねられ、ボルト等の締結部材にて、締結される。多くの場合、側板(14)(14)の下端は、T字状板(13)の両端部の下端より下方に張り出す。T字状板(13)または、側板(14)(14)のボルト孔を上下方向に長い長孔とし、重ねた側板(14)(14)がT字状板(13)に対して上下方向に移動可能とする。そのため、側板(14)(14)の下端がT字状板(13)の両端部の下端より下方に張り出す長さ、すなわち、ゲート(5)とロール(1)の中央部の間隙と両端部の間隙の大きさを変えることができる。ただし、T字状板(13)の中央部の下端よりは下方に張り出さないのがよい。なお、T字状板(13)と側板(14)(14)を上下方向移動可能に締結するのは、ボルトと長孔の組み合わせには限られず、その他の周知の構成でよい。
【0035】
ゲート(5)としてゲート先端調整機構、すなわちT字状板(13)と側板(14)(14)とすると、ゲート(5)とロール(1)の間隙を、粉体の通過し易い中央部で小さくし、両端部で大きくすることにより、供給される粉体の量が調整し易くなる。また、側板(14)(14)がT字状板(13)に対して上下方向に移動可能であるので、中央部が両端部より下方に張り出す好適な長さ、すなわち、供給される粉体の量を調整し易い中央部と両端部の間隙の差を変えることができる。よって、供給される粉体の量を適切に調整することができる。
【0036】
上記の説明では、ゲート(5)を中央部が両端部より下方に張り出したT字状とするのに、ゲート先端調整機構を用いているが、ゲート(5)は1枚の板でT字状に形成されてもよい。
【0037】
また、図1〜5では、ゲート(5)は鉛直方向に配置され移動するように示されているが、ゲート(5)は鉛直軸から例えば15°程度まで傾斜して配置され移動してもよい。ただし、鉛直方向に配置し移動する方が、ゲート昇降装置フレーム(7)等から吊りやすい。
【0038】
本明細書および図面で用いた主な符号を以下にまとめて記す。
1 ロール
2 ベアリングブロック
3 プレスフレーム部
4 ホッパー
5 ゲート
6 電動シリンダ
7 ゲート昇降装置フレーム
8 油圧シリンダ
9 ロードセル(運転状態測定器)
10 インバータ
11 電流計(運転状態測定器)
12 駆動モーター
13 T字状板(ゲート先端調整機構)
14 側板(ゲート先端調整機構)
図1
図2
図3
図4
図5

【手続補正書】
【提出日】2014年12月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【国際調査報告】