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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2015年5月21日
【発行日】2017年3月9日
(54)【発明の名称】織機
(51)【国際特許分類】
   D03D 51/32 20060101AFI20170217BHJP
【FI】
   D03D51/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2015-547347(P2015-547347)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年11月15日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591097850
【氏名又は名称】京都繊維機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】城 一男
【テーマコード(参考)】
4L050
【Fターム(参考)】
4L050CA14
4L050CA17
4L050CC21
4L050EA02
4L050EA06
4L050EA07
4L050EB10
(57)【要約】
ヘルド(10)の上下部に設けられた一対の上下係止部(10a,10b)を係止する一対の上下ヘルドサポート(11,12)と、上下ヘルドサポート(11,12)を支持するフレームと、ヘルドの上下端(10d,10e)から所定の間隔を置いて設けられる一対の上下磁石(14,15)と、上下磁石(14,15)に対するヘルド(10)の吸着を検知する検知部(16)と、を備え、フレームが上方向に移動するとき、上磁石(14)をヘルド(10)に対して近接すると共に、下磁石(15)をヘルド(10)に対して離間し、フレームが下方向に移動するとき、下磁石(15)をヘルド(10)に対して近接すると共に、上磁石(14)をヘルド(10)に対して離間し、経糸(5)が切断されていない場合には、ヘルド(10)は上下磁石(14,15)に吸着せず、経糸(5)が切断された場合には、ヘルド(10)は上下磁石(14,15)に吸着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の経糸群を上下方向に開口するための一対のヘルドユニットを備えた織機であって、
前記各ヘルドユニットは、
前記経糸群の各経糸を挿通する挿通孔を有する複数のヘルドと、
前記各ヘルドの上下部に設けられた一対の上下係止部を係止する一対の上下ヘルドサポートと、
前記上下ヘルドサポートを支持するフレームと、
前記フレームを上下方向に往復動するための駆動部と、
前記ヘルドの上下端から所定の間隔を置いて設けられる一対の上下磁石と、
前記上下磁石を前記ヘルドに対して近接及び離間するように移動するための移動機構と、
前記上下磁石に対する前記ヘルドの吸着を検知する検知部と、
前記駆動部及び前記移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記フレームが上方向に移動するとき、前記上磁石が前記ヘルドに対して近接すると共に、前記下磁石が前記ヘルドに対して離間するように、さらに、
前記フレームが下方向に移動するとき、前記下磁石が前記ヘルドに対して近接すると共に、前記上磁石が前記ヘルドに対して離間するように、前記駆動部及び前記移動機構を制御し、
それによって、前記経糸が切断されていない場合には、前記ヘルドは前記上下磁石に吸着せず、前記経糸が切断された場合には、前記ヘルドは前記上下磁石に吸着する
ことを特徴とする織機。
【請求項2】
前記経糸が切断されていない場合には、
前記フレームが上方向に移動するとき、前記下ヘルドサポートが前記ヘルドの下係止部に対して第1距離だけ離れ、前記ヘルドの上端が前記上磁石に対して前記第1距離と同じ又は短い前記第2距離だけ離れ、前記ヘルドの下端が前記下磁石に対して前記第2距離より長い第3距離だけ離れ、
前記フレームが下方向に移動するとき、前記上ヘルドサポートが前記ヘルドの上係止部に対して前記第1距離だけ離れ、前記ヘルドの下端が前記下磁石に対して前記第2距離だけ離れ、前記ヘルドの上端が前記上磁石に対して前記第3距離だけ離れる
ことを特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項3】
前記検知部は、前記各ヘルドユニットの前記フレームが互いに近づいて、前記ヘルドに対する前記経糸の張力が弱くなる間、前記上下磁石に対する前記ヘルドの吸着を検知しないように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の織機。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出部が前記上下磁石に対する前記ヘルドの吸着を検知すると、前記織機の運転を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の織機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の経糸群を上下に開口するための一対のヘルドユニットを備え、ヘルドユニットで経糸の切断を検知できる織機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
織機は、経糸の切断を検知する検知手段を備えており、検知手段が経糸の切断を検知すると、織機の運転が自動的に停止するように構成されている。特許文献1の通り、従来の検知手段は、電極バー13とドロッパーバー11とを備え、電極バー13とドロッパーバー11とは所定の電気回路を介して制御部に接続される(符号に関しては、特許文献1参照)。さらに、従来の検知手段は、ドロッパー15を備え、ドロッパー15は、上部にガイド孔16を有し、下部に糸挿通孔17を有し、ガイド孔16がドロッパーバー11に挿通され、経糸Aが糸挿通孔17に挿通される。ドロッパー15は、ドロッパーバー11に対して上下方向に移動自在に構成されている。
【0003】
通常時では、ドロッパー15に対する経糸Aの張力により、ドロッパー15は上方へ押し上げられ、ドロッパーバー11とは接触しない。そして、経糸Aが切断したとき、ドロッパー15に対する経糸Aの張力がなくなるので、ドロッパー15が下降して、ドロッパー15のガイド孔16がドロッパーバー11に接触して、ドロッパー15を介してドロッパーバー11と電極バー13とが通電して、制御部へ信号を送り、制御部が、織機の運転を自動的に停止するように構成されている。
【0004】
上記の通り、経糸Aは、ドロッパー15の糸挿通孔17に挿通され、ドロッパー15に対する経糸Aの張力により、ドロッパー15は、上方へ押し上げられている。そのため、経糸Aは、常に、ドロッパー15の荷重が負荷されるので、経糸Aが切断されやすいという問題があった。また、経糸Aにドロッパー15の荷重が負荷されることで、経糸Aを送る速度が遅くなり、生産性が下がるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−247794号公報、図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、経糸に大きな負荷を与えることがなく、経糸の切断を検知できるように構成された織機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る織機は、
一対の経糸群を上下方向に開口するための一対のヘルドユニットを備えた織機であって、
各ヘルドユニットは、
経糸群の各経糸を挿通する挿通孔を有する複数のヘルドと、
各ヘルドの上下部に設けられた一対の上下係止部を係止する一対の上下ヘルドサポートと、
上下ヘルドサポートを支持するフレームと、
フレームを上下方向に往復動するための駆動部と、
ヘルドの上下端から所定の間隔を置いて設けられる一対の上下磁石と、
上下磁石をヘルドに対して近接及び離間するように移動するための移動機構と、
上下磁石に対するヘルドの吸着を検知する検知部と、
駆動部及び移動機構を制御する制御部と、を備え、
制御部は、フレームが上方向に移動するとき、上磁石がヘルドに対して近接すると共に、下磁石がヘルドに対して離間するように、さらに、
フレームが下方向に移動するとき、下磁石がヘルドに対して近接すると共に、上磁石がヘルドに対して離間するように、駆動部及び移動機構を制御し、
それによって、経糸が切断されていない場合には、ヘルドは上下磁石に吸着せず、経糸が切断された場合には、ヘルドは上下磁石に吸着する。
【0008】
好ましくは、
経糸が切断されていない場合には、
フレームが上方向に移動するとき、下ヘルドサポートがヘルドの下係止部に対して第1距離だけ離れ、ヘルドの上端が上磁石に対して第1距離と同じ又は短い第2距離だけ離れ、ヘルドの下端が下磁石に対して第2距離より長い第3距離だけ離れ、
フレームが下方向に移動するとき、上ヘルドサポートがヘルドの上係止部に対して第1距離だけ離れ、ヘルドの下端が下磁石に対して第2距離だけ離れ、ヘルドの上端が上磁石に対して第3距離だけ離れる。
【0009】
好ましくは、
検知部は、各ヘルドユニットのフレームが互いに近づいて、ヘルドに対する経糸の張力が弱くなる間、上下磁石に対するヘルドの吸着を検知しないように構成されている。
【0010】
好ましくは、
制御部は、検出部が上下磁石に対するヘルドの吸着を検知すると、織機の運転を停止する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る織機は、ヘルドの上下端から所定の間隔を置いて上下方向に設けられた一対の上下磁石と、上下磁石をヘルドに対して近接及び離間するように移動するための移動機構と、上下磁石に対するヘルドの吸着を検知する検知部と、を備える。そして、この織機では、経糸が切断された場合には、ヘルドが上下磁石に吸着されるので、検知部によって、経糸の切断を検知できるようになっている。
【0012】
従って、従来の織機では、経糸はヘルドの荷重の他にドロッパーの荷重も負荷されているが、本発明に係る織機では、ヘルドユニットに、経糸が切断されたか否かを検知できる機構が設けられており、経糸は、ドロッパーの荷重が負荷されることがない。そのため、本発明に係る織機は、経糸に対して大きな負荷を与えることないので、経糸を切断し難くすることができると共に、経糸の送る速度を速くでき、生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】織機の構成を説明するための図。
図2】第1実施形態のヘルドユニットを示す図であり、図2(A)は正面図、図2(B)は側面図。
図3】ヘルドと上下磁石との位置関係を説明するための図。
図4】ヘルドの上下方向の往復動のタイミングを示す図。
図5】第2実施形態のヘルドユニットを示す図であり、図5(A)は正面図、図5(B)及び(C)は、ヘルドと上下磁石との位置関係を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明に係る織機について説明する。
【0015】
[第1実施形態]
織機の第1実施形態について説明する。
図1の通り、織機は、経糸5を巻き取った供給ロール100と、供給ロール100から送られる経糸5を案内するための案内ローラー103と、多数本の経糸5で構成される一対の経糸群51,52を上下に開口するための一対のヘルドユニット1,2と、開口した一対の経糸群51,52の間に通される緯糸(図示略)を打ち付けるためのリード102と、織布を案内するための案内ローラー104と、織布を巻き取る巻取ロール101とを備える。織機は、各ヘルドユニット1,2を上下方向に往復動するための駆動部3を備え、さらに、駆動部3などの駆動を制御するための制御部4を備える。
【0016】
経糸群51,52は、横方向(図1の奥行き方向)に整列された多数本の経糸5で構成される。一対の経糸群51,52は、一本置きに整列された多数本の経糸5からなる一方の経糸群51と、それ以外の多数の経糸5からなる他方の経糸群52と、からなる。第1ヘルドユニット1は、一方の経糸群51を上下方向に往復動し、第2ヘルドユニット2は、他方の経糸群52を上下方向に往復動する。第1ヘルドユニット1が上方向に移動すると、第2ヘルドユニット2が下方向に移動し、さらに、第1ヘルドユニット1が下方向に移動すると、第2ヘルドユニット2が上方向に移動する。これにより、一対の経糸群51,52は、所定時間間隔で上下方向に往復動して、開口するようになっている。
【0017】
第1ヘルドユニット1と第2ヘルドユニット2とは同じ構成なので、第1ヘルドユニット1のみを説明する。図2の通り、第1ヘルドユニット1は、複数の経糸5を案内するための複数のヘルド10を備える。なお、実際には、第1ヘルドユニット1は、多数本のヘルド10を備えるが、図2では、簡便のために、5本のヘルド10のみが記載され、他のヘルド10は省略されている。図3の通り、ヘルド10は、中央に設けられ、経糸5を挿通するための挿通孔10cを有する。ヘルド10は、上部に設けられた鉤形状の上係止部10aと、下部に設けられた鉤形状の下係止部10bと、を備える。
【0018】
図2及び図3の通り、第1ヘルドユニット1は、ヘルド10の上係止部10aに係止する上ヘルドサポート11と、ヘルド10の下係止部10bに係止する下ヘルドサポート12と、を備える。上下ヘルドサポート11,12は、横方向に延設され、上下方向に一定間隔を置いて設けられる。上下ヘルドサポート11,12は、横方向に所定の間隔を置いて、多数本のヘルド10が、上下ヘルドサポート11,12に係止される。また、第1ヘルドユニット1は、上下ヘルドサポート11,12を支持するためのフレーム13を備える。フレーム13は、駆動部3に連結されており、フレーム13の上下方向の往復動によって、第1ヘルドユニット1が上下方向に往復動する。
【0019】
図2及び図3の通り、第1ヘルドユニット1は、ヘルド10の上端10dから所定の間隔を置いて上方向に設けられた上磁石14と、ヘルド10の下端10eから所定の間隔を置いて下方向に設けられた下磁石15と、を備える。第1ヘルドユニット1は、上下磁石14,15に対するヘルド10の吸着を検知するための検知部16を備える。本実施形態では、検知部16は、磁石14,15の両側に設けられた一対の電極16,16からなり、ヘルド10が磁石14,15に吸着すると、ヘルド10の上部又は下部が双方の電極16,16に接触して、各電極16,16に電流が流れるようになっている。
【0020】
図2(B)の通り、第1ヘルドユニット1は、上下磁石14,15をヘルド10に対して近接及び離間するための移動機構20を備える。移動機構20は、上下磁石14,15を支持するための磁石サポート21を備える。磁石サポート21は、横方向に延設され、上下方向に一定間隔を置いて設けられる。磁石サポート21は、フレーム13に対して上下方向に移動可能になっている。移動機構20は、磁石サポート21に取り付けられたラックギア22と、フレーム13に取り付けられたステッピングモーター24と、ステッピングモーター24の回転軸に設けられたピニオンギア23と、を備える。ラックギア22とピニオンギア23とは噛み合っている。従って、ステッピングモーター24の回転によって、ピニオンギア23とラックギア22が駆動する。
【0021】
ラックギア22は、上下方向に延設するように、磁石サポート21に取り付けられているので、ステッピングモーター24の正逆回転によって、磁石サポート21が上下方向に移動するようになっている。そして、ステッピングモーター24は、フレーム13に取り付けられているので、磁石サポート21は、フレーム13に対して上下方向に移動できる。そして、制御部4が、ステッピングモーター24の駆動を制御する。
【0022】
図3(A)の通り、駆動部3がフレーム13を下方向に移動すると、ヘルド10に対する経糸5の上方向の張力がヘルド10を上方へ付勢すると共に、下ヘルドサポート12がヘルド10の下係止部10bに当接してヘルド10を押し下げる。そして、上ヘルドサポート11は、ヘルド10の上係止部10aから第1距離Lだけ離間する。さらに、移動機構20は、下磁石15をヘルド10の下端10eに近接し、上磁石14をヘルド10の上端10dから離間する。下磁石15とヘルド10の下端10eとの間は第2距離Lだけ離れ、上磁石14とヘルド10の上端10dとの間は第3距離Lだけ離れる。ここで、第2距離Lは、第1距離Lと同じ又は短い。第3距離Lは、第2距離Lより長い。例えば、第1距離Lは2mm、第2距離Lは2mm、第3距離Lは8mmである。
【0023】
経糸5が切断される場合には、ヘルド10に対する経糸5の上方向の張力がなくなる。ここで、第3距離Lは第2距離Lより長いので、ヘルド10は、ヘルド10に対して離間した上磁石14に吸引されることなく、ヘルド10に近接した下磁石15に吸引され下降する。また、第2距離Lは第1距離Lと同じ又は短いので、ヘルド10が下降して、ヘルド10の下端10eは下磁石15に吸着される。
【0024】
ヘルド10の下端10eが下磁石15に吸着されると、下磁石15の両側の検知部16,16にヘルド10の下部が接触して電流が流れ、検知部16が検知信号を制御部4に送る。その後、制御部4は、織機の運転を停止するようになっている。
【0025】
図3(B)の通り、駆動部3がフレーム13を上方向に移動すると、ヘルド10に対する経糸5の下方向の張力がヘルド10を下方へ付勢すると共に、上ヘルドサポート11がヘルド10の上係止部10aに当接してヘルド10を押し上げる。そして、下ヘルドサポート12は、ヘルド10の下係止部10bから第1距離Lだけ離間する。さらに、移動機構20は、上磁石14をヘルド10の上端10dに近接し、下磁石15をヘルド10の下端10eから離間する。上磁石14とヘルド10の上端10dとの間は第2距離Lだけ離れ、下磁石15とヘルド10の下端10eとの間は第3距離Lだけ離れる。
【0026】
経糸5が切断される場合には、ヘルド10に対する経糸5の下方向の張力がなくなる。ここで、第3距離Lは第2距離Lより長いので、ヘルド10は、ヘルド10に対して離間した下磁石15に吸引されることなく、ヘルド10に近接した上磁石14に吸引され上昇する。また、第2距離Lは第1距離Lと同じ又は短いので、ヘルド10が上昇して、ヘルド10の上端10dは上磁石14に吸着される。
【0027】
ヘルド10の上端10dが上磁石14に吸着されると、上磁石14の両側の検知部16,16にヘルド10の上部が接触して電流が流れ、検知部16が検知信号を制御部4に送る。その後、制御部4は、織機の運転を停止するようになっている。
【0028】
第2距離L2と第3距離Lとの関係は、ヘルド10が、ヘルド10に対して第3距離Lだけ離間した磁石14,15ではなく、ヘルド10に対して第2距離Lだけ離間した(近接した)磁石14,15に吸引されるように決定される。なお、一般的な磁石では、第3距離Lは第2距離Lより3mm以上長くすればよい。
【0029】
図4の通り、第1ヘルドユニット1が上方へ移動するとき、第2ヘルドユニット2は下方へ移動し、第2ヘルドユニット2が上方へ移動するとき、第1ヘルドユニット1は下方へ移動する。第1区間Sでは、各ヘルドユニット1,2は互いに離れており、ヘルド10に対する経糸5の上下方向の張力が最大になる。第2区間Sでは、各ヘルドユニット1,2は互いに近づいており、ヘルド10に対する経糸5の張力が小さくなる。そのため、第2区間Sでは、経糸5が切断されていないのに、ヘルド10が上下磁石14,15に吸着することがある。従って、経糸5の切断の有無の誤検知を避けるために、第2区間Sでは、検知部16は、ヘルド10が上下磁石14,15に吸着しても、検知信号を制御部4に送らないようになっている。
【0030】
[第2実施形態]
織機の第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
上記第1実施形態では、移動機構20は、フレーム13の運動に対して連動せずに、磁石サポート21を移動するが、第2実施形態では、移動機構20は、フレーム13の運動に対して連動して、磁石サポート21を移動するように構成されている。
【0031】
図5(A)の通り、移動機構20は、上下スプリング34,35を備える。フレーム13と磁石サポート21とは、上下スプリング34,35を介して連結されている。上スプリング34は、フレーム13の上部と磁石サポート21の上部との間に設けられており、下スプリング35は、フレーム13の下部と磁石サポート21の下部との間に設けられている。
【0032】
移動機構20は、さらに、磁石サポート21の両側部に設けられた当接部32を備える。そのため、当接部32は、磁石サポート21の上下方向の移動に追従して、上下方向に移動する。移動機構20は、さらに、当接部32の運動を規制することで、磁石サポート21の移動を規制するための上下ストッパー30,31を備える。上下ストッパー30,31は、上下方向に所定間隔を置いて、フレーム13の両外側に配置されたポスト33に設けられる。ポスト33は、固定されているので、上下ストッパー30,31は、フレーム13及び磁石サポート21の移動に追従せず、移動しない。
【0033】
なお、図5(A)では、構成を理解しやすいように、ヘルド10、上ヘルドサポート11、下ヘルドサポート12が省略されている。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、上下ヘルドサポート11,12は、フレーム13に連結され、ヘルド10は、上下ヘルドサポート11,12に係止されており、ヘルド10、上ヘルドサポート11、下ヘルドサポート12は、フレーム13の移動に追従して移動する。
【0034】
図5(B)の通り、駆動部3がフレーム13を下方向に移動すると、ヘルド10に対する経糸5の上方向の張力がヘルド10を上方へ付勢すると共に、下ヘルドサポート12がヘルド10の下係止部10bに当接してヘルド10を押し下げる。そして、上ヘルドサポート11は、ヘルド10の上係止部10aから第1距離Lだけ離間する。
【0035】
フレーム13の下方向の移動によって、上下スプリング34,35を介してフレーム13に連結された磁石サポート21も下方向に移動する。磁石サポート21が下方向に移動する間に、当接部32が下ストッパー31に当たり、これによって、磁石サポート21の下方向の移動が規制される。磁石サポート21の移動が規制されている間、フレーム13がさらに下方向に移動することで、上スプリング34が縮み、下スプリング35が伸びる。これによって、下磁石15はヘルド10の下端10eに近接し、上磁石14はヘルド10の上端10dから離間する。下磁石15とヘルド10の下端10eとの間は第2距離Lだけ離れ、上磁石14とヘルド10の上端10dとの間は第3距離Lだけ離れる。
【0036】
図5(C)の通り、駆動部3がフレーム13を上方向に移動すると、ヘルド10に対する経糸5の下方向の張力がヘルド10を下方へ付勢すると共に、上ヘルドサポート11がヘルド10の上係止部10aに当接してヘルド10を押し上げる。そして、下ヘルドサポート12は、ヘルド10の下係止部10bから第1距離Lだけ離間する。
【0037】
フレーム13の上方向の移動によって、上下スプリング34,35を介してフレーム13に連結された磁石サポート21も上方向に移動する。磁石サポート21が上方向に移動する間に、当接部32が上ストッパー30に当たり、これによって、磁石サポート21の上方向の移動が規制される。磁石サポート21の移動が規制されている間、フレーム13がさらに上方向に移動することで、下スプリング35が縮み、上スプリング34が伸びる。これによって、上磁石14はヘルド10の上端10dに近接し、下磁石15をヘルド10の下端10eから離間する。上磁石14とヘルド10の上端10dとの間は第2距離Lだけ離れ、下磁石15とヘルド10の下端10eとの間は第3距離Lだけ離れる。
【0038】
[他の実施形態]
なお、他の実施形態では、移動機構20は、フレーム13の運動に対して機械的に連動するリンク、ワイヤー、スプリングなどで構成された他の機構でもよい。また、移動機構20は、上磁石14と下磁石15とがそれぞれ別個に移動するような機構でもよい。
また、検知部16は、上下磁石14,15に近接した箇所に横方向(図2(A)の横方向、図3の奥行き方向)に照射する光電センサーなどでもよい。そして、ヘルド10が、磁石14,15に吸着されると、上下磁石14,15に近接して、光電センサーの光軸を遮ることで、検知部16が、磁石14,15に対するヘルド10の吸着を検知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 第1ヘルドユニット
2 第2ヘルドユニット
3 駆動部
51,52 一対の経糸群
10 ヘルド
10a 上係止部
10b 下係止部
10c 挿通孔
10d ヘルドの上端
10e ヘルドの下端
11 上ヘルドサポート
12 下ヘルドサポート
13 フレーム
14 上磁石
15 下磁石
16 検知部
20 移動機構
21 磁石サポート
第1距離
第2距離
第3距離
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】