(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年8月18日
【発行日】2017年9月7日
(54)【発明の名称】工具形状測定装置および工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/22 20060101AFI20170810BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20170810BHJP
【FI】
B23Q17/22 D
B23Q17/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2016-574597(P2016-574597)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2015年2月13日
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】笠原 忠
(72)【発明者】
【氏名】大畑 健一
【テーマコード(参考)】
3C029
【Fターム(参考)】
3C029AA21
3C029AA40
(57)【要約】
工具(5)を撮像する工具形状測定装置(24)であって、予め定められた撮像位置に配置された工具(5)を撮像するカメラ(25)と、工具(5)に対してカメラ(25)の反対側に配置されたシャッター(52)と、シャッター(52)に向けて光を照射する照明装置(26)と、工具(5)の画像から工具(5)の形状を算出する制御装置(27)とを備える。照明装置(26)は、シャッター(52)の反射面(52a)にて反射される光により工具(5)の背景よりも工具(5)が暗くなる画像が撮像されるように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に取り付けられ、工具を撮像して工具の形状を測定する工具形状測定装置であって、
予め定められた撮像位置に配置された工具を撮像する撮像装置と、
撮像装置から前記撮像位置に配置された工具に向かう方向で、工具に対して撮像装置の反対側に配置された反射体と、
反射体の反射面に向けて光を照射する光源と、
撮像装置で撮像した工具の画像から工具の形状を算出する制御装置とを備え、
光源は、反射体の反射面で反射される光により背景よりも工具が暗くなる画像が撮像されるように配置されていることを特徴とする、工具形状測定装置。
【請求項2】
前記反射面は、光を散乱するように形成されており、
反射体は、前記反射面にて散乱された少なくとも一部の光が撮像装置に向かうように配置されている、請求項1に記載の工具形状測定装置。
【請求項3】
工具を装着する主軸とワークを載置するテーブルとを相対的に移動させてワークを加工する工作機械において、
予め定められた撮像位置に配置された工具を撮像する撮像装置と、
撮像装置から前記撮像位置に配置された工具に向かう方向で、工具に対して撮像装置の反対側に配置された反射体と、
反射体の反射面に向けて光を照射する光源と、
撮像装置で撮像した工具の画像から工具の形状を算出する制御装置と、
を備えることを特徴とする、工作機械。
【請求項4】
ワークを加工する加工室と工具を保管する工具収容室とを隔離する隔壁を備え、
反射体は、前記隔壁に支持されたシャッターにて構成されており、
シャッターは、前記隔壁に対して移動可能に形成されている、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
シャッターの前記反射面に接触し、前記反射面に付着する異物を除去するように形成された除去部材を備え、
除去部材は、シャッターの移動方向に対して垂直な方向に延びており、シャッターが移動すると前記反射面に摺動する、請求項4に記載の工作機械。
【請求項6】
反射体は、工具を保管する工具収容室の底部に配置されたオイルパンにて構成されている、請求項3に記載の工作機械。
【請求項7】
前記反射面は、光を散乱するように形成されており、
反射体は、前記反射面にて散乱された少なくとも一部の光が撮像装置に向かうように配置されている、請求項3に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具形状測定装置および工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械にてワークの加工を行う場合に、1つのワークの加工において複数種類の工具を用いる場合がある。複数種類の工具を用いて加工を行う場合には、工具を交換する工具交換装置を備える工作機械が用いられている。工具交換装置は、例えば、加工プログラムに従って自動的に工具を交換することができる。
【0003】
工具は、ワークの加工を行っている期間中に破損する場合がある。工作機械には、工具の健全性を確認するために工具形状測定装置が取り付けられることが知られている。工具形状測定装置は、工具の形状を測定することにより、工具が破損しているか否かを判別することができる。工具の形状には、例えば、工具長や工具径が含まれる。工具形状の検査の内容としては、工具の表面の一部分の破損や折損等が含まれる。
【0004】
工具形状測定装置には、プローブなどを工具の表面に接触して工具の形状を測定する接触式の装置が知られている。また、工具形状測定装置には、工具の形状をカメラにて撮像して、撮像した画像を解析することにより工具の形状を算出する撮像式の装置が知られている。
【0005】
特開平6−134638号公報には、CCDカメラ等の撮影装置をマガジンの測定位置に向けて配置すると共に、照明装置を、撮影装置に対向させて配置した工具の照合認識装置が開示されている。そして、照明装置により拡散板を介して工具を背後から照明することが開示されている。また、工具の背光による工具パターンを撮影装置により撮影することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−134638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
撮像式の工具形状測定装置は、接触式の工具形状測定装置に比べて可動部が少ないために信頼性が高い。また、撮像式の工具形状測定装置は、接触式の工具形状測定装置に比べて高速で工具の形状を測定できるという特徴を有する。工具交換装置を備える工作機械では、例えば、所定の工具にて加工した後に工具の形状を測定する。
【0008】
上記の特開平6−134638号公報に開示されている装置では、蛍光灯等の照明装置にて、工具の裏側に配置された拡散板に向けて光を照射する。拡散板としては摺りガラスまたはアクリル板等を用いることが開示されている。光は拡散板を通過する。撮像した工具の画像では、工具の背景が明るくなり、工具が暗くなる。画像の暗くなった部分を解析することにより工具の形状を測定している。
【0009】
ところで、この公報に開示されている方法では、拡散板に切り屑などが付着する場合がある。工具の撮像装置は、例えば、工具マガジンが配置された工具収容室に配置される。工具収容室は、隔壁によりワークを加工する加工室と隔離されている。しかしながら、隔壁には工具を出し入れするための開口部が設けられている。この開口部を通して、切り屑やクーラントなどの異物が収容室に入り込んで拡散板に異物が付着する場合がある。または、切り屑などが工具に付着して工具収容室に入り込む。そして、工具マガジンの動作等により異物が拡散板に付着する場合がある。拡散板に異物が付着すると、工具の背景の明るくなる領域において、異物の影が映ってしまうという問題がある。この結果、工具の測定に悪影響を及ぼすという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の工具形状測定装置は、工作機械に取り付けられ、工具を撮像して工具の形状を測定する工具形状測定装置であって、予め定められた撮像位置に配置された工具を撮像する撮像装置と、撮像装置から撮像位置に配置された工具に向かう方向で、工具に対して撮像装置の反対側に配置された反射体と、反射体の反射面に向けて光を照射する光源と、撮像装置で撮像した工具の画像から工具の形状を算出する制御装置とを備える。光源は、反射体の反射面で反射される光により背景よりも工具が暗くなる画像が撮像されるように配置されている。
【0011】
上記発明においては、反射面は、光を散乱するように形成されており、反射体は、反射面にて散乱された少なくとも一部の光が撮像装置に向かうように配置されることができる。
【0012】
本発明の工作機械は、工具を装着する主軸とワークを載置するテーブルとを相対的に移動させてワークを加工する工作機械において、予め定められた撮像位置に配置された工具を撮像する撮像装置と、撮像装置から撮像位置に配置された工具に向かう方向で、工具に対して撮像装置の反対側に配置された反射体と、反射体の反射面に向けて光を照射する光源と、撮像装置で撮像した工具の画像から工具の形状を算出する制御装置とを備える。
【0013】
上記発明においては、ワークを加工する加工室と工具を保管する工具収容室とを隔離する隔壁を備え、反射体は、隔壁に支持されたシャッターにて構成されており、シャッターは、隔壁に対して移動可能に形成されていることが好ましい。
【0014】
上記発明においては、シャッターの反射面に接触し、反射面に付着する異物を除去するように形成された除去部材を備え、除去部材は、シャッターの移動方向に対して垂直な方向に延びており、シャッターが移動すると反射面に摺動することが好ましい。
【0015】
上記発明においては、反射体は、工具を保管する工具収容室の底部に配置されたオイルパンにて構成されていることが好ましい。
【0016】
上記発明においては、反射面は、光を散乱するように形成されており、反射体は、反射面にて散乱された少なくとも一部の光が撮像装置に向かうように配置されることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、切り屑やクーラント等の異物の影響を低減する撮像式の工具形状測定装置および工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態における第1の工作機械の概略断面図である。
【
図2】実施の形態における第1の工具形状測定装置の概略断面図である。
【
図3】実施の形態における第1の工具形状測定装置の概略正面図である。
【
図4】実施の形態における撮像装置で撮像した画像の例である。
【
図5】実施の形態における第2の工作機械の工具収容室の部分の概略断面図である。
【
図6】実施の形態における第3の工作機械の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から
図6を参照して、実施の形態における工具形状測定装置および工作機械について説明する。本実施の形態の工作機械は、加工プログラムに基づいて自動的に工具とワークとを相対的に移動させて加工を行う数値制御式である。
【0020】
図1は、本実施の形態の第1の工作機械の概略断面図である。第1の工作機械1は、横形マシニングセンタである。工作機械1は、工具とワークとを相対移動させる移動装置を備える。移動装置は、複数の移動軸の方向に被駆動物を移動させる。複数の移動軸は、直線送り軸として互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を含む。
【0021】
工作機械1は、基台となるベッド12を備える。ベッド12の上面には、X軸ガイドレール19が固定されている。X軸ガイドレール19の上面には、コラム16が配置されている。コラム16は、矢印86に示す様に、X軸ガイドレール19に沿って移動可能に形成されている。コラム16の前面には、Y軸ガイドレール20が固定されている。主軸ヘッド3は、Y軸ガイドレール20に支持されている。主軸ヘッド3は、矢印85に示す様に、Y軸ガイドレール20に沿って移動可能に形成されている。
【0022】
また、ベッド12の上面には、Z軸ガイドレール18が固定されている。Z軸ガイドレール18の上面には、テーブル14が配置されている。ワークは、パレット15を介してテーブル14に固定される。テーブル14は、Z軸ガイドレール18に沿ってZ軸方向に移動可能に形成されている。
【0023】
主軸ヘッド3は、主軸4を含む。主軸4には、ワークを加工する工具5が固定される。主軸ヘッド3には、工具5を回転させるためのモータが内蔵されている。このモータが駆動することにより、工具5は主軸4の軸線を回転軸にして回転する。
【0024】
工作機械1は、工具5がX軸方向およびY軸方向に移動し、ワークがZ軸方向に移動する。なお、移動装置としては、この形態に限られず、任意の装置でワークに対して工具を相対移動させることができる。また、工作機械としては、直線送り軸の他に、所定の軸線の周りに回転する回転送り軸を有していても構わない。
【0025】
工作機械1は、自動的に工具を交換する工具交換装置40を備える。工作機械1は、ワークを加工する加工室61と工具を保管する工具収容室62とを備える。加工室61および工具収容室62は、スプラッシュガード54により囲まれている。また、加工室61と工具収容室62とは、隔壁51により隔離されている。ベッド12、コラム16および主軸ヘッド3等は加工室61の内部に配置されている。工具交換装置40は、工具収容室62の内部に配置されている。隔壁51には、加工室61と工具収容室62との間で工具を移動するための開口部51aが形成されている。また、隔壁51には、開口部51aを開閉するためのシャッター52が配置されている。シャッター52は、隔壁51に支持されている。
【0026】
工作機械1は、シャッター52を駆動するモータを含む。シャッター52は、隔壁51に対して移動可能に形成されている。本実施の形態のシャッター52は、Z軸方向に移動可能に形成されている。シャッター52が移動して開口が形成されることにより、開口部51aを通して工具5の移動を行うことができる。
【0027】
工具交換装置40は、複数の工具5を保管する工具マガジン41と、工具マガジン41と主軸4との間で工具を移送する移送装置とを含む。本実施の形態の工具マガジン41は、円板状に形成された基材の周りに工具ホルダ45を介して工具5を保持するように形成されている。工具交換装置40は、工具マガジン41を回転させるモータを含む。工具マガジン41は、矢印87に示すように回転する。移送装置は、工具シフタ44および工具交換アーム43を含む。工具シフタ44は、工具マガジン41と工具の待機位置との間で工具を移動させる。待機位置は、工具交換アーム43にて工具を保持することができる位置である。工具シフタ44は、矢印88に示す方向に移動することにより、工具マガジン41から工具5を取り外したり工具マガジン41に工具5と取り付けたりする。
【0028】
工具交換アーム43は、棒状に形成されている。工具交換アーム43は、両側の端部に工具5を保持する保持部43aを有する。工具交換装置40は、工具交換アーム43を回転させるモータを含む。工具交換アーム43は、矢印89に示す様に、Z軸方向に延びる回転軸の周りに回転可能に形成されている。
【0029】
工具5を交換する場合には、加工室61では、主軸ヘッド3が工具5の交換するための所定の位置まで移動する。工具交換アーム43が回転したときに保持部43aにより主軸4に取り付けられた工具5を保持できる位置まで主軸ヘッド3を移動する。主軸4には加工を終えた工具5が取り付けられている。工具収容室62では、工具マガジン41は、次に使用する工具5が工具シフタ44に保持される位置まで回転する。工具シフタ44は、次に使用する工具5を工具マガジン41から待機位置まで移動する。
【0030】
次に、シャッター52が開いて工具交換アーム43が回転する。工具交換アーム43は、工具シフタ44に保持されていた工具5および主軸4に取り付けられていた工具5を保持する。更に、工具交換アーム43が回転することにより、次に使用する工具5を主軸4に取り付けて、加工が終了した工具5を工具シフタ44に取り付ける。工具シフタ44は、加工が終了した工具5を工具マガジン41に戻す。
【0031】
このように工具交換装置40は、主軸4に取り付けられている工具5を工具マガジン41に移動することができる。また、工具交換装置40は、工具マガジン41に保管されている工具5を主軸4に移動することができる。工具5の交換が終了した後には、工具交換アーム43は初期の状態まで回転する。シャッター52が閉じた後に、加工室61では次の加工が開始される。
【0032】
なお、工具交換装置としては、上記の形態に限られず、主軸に取り付けられた工具と工具マガジンに保管されている工具とを交換可能に形成されていれば構わない。
【0033】
図2に、本実施の形態における第1の工具形状測定装置の概略断面図を示す。
図3に、本実施の形態における第1の工具形状測定装置の概略正面図を示す。
図1から
図3では、工具シフタ44に保持されている工具5が待機位置に配置されている状態を示している。
図1から
図3を参照して、工作機械1は、工具5を撮像することにより工具の形状を測定する第1の工具形状測定装置24を備える。工具形状測定装置24は、撮像式の装置である。また、工具形状測定装置24は、工具5を撮像した画像において、工具5の背景が明るくなる一方で工具5が暗くなるバックライト方式である。
【0034】
本実施の形態の工作機械1は、工作機械1を制御する制御装置27を備える。制御装置27は、例えば、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を備える演算処理装置にて構成されている。制御装置27は、撮像装置により撮像された画像を解析する工具形状測定装置24の制御装置として機能する。また、制御装置27は、工具5を撮像する撮像装置および工具交換装置40を制御する。撮像装置は、カメラ25を含む。カメラ25は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像した画像の画像処理が可能な任意のカメラを採用することができる。
【0035】
制御装置27は、工具5の画像から工具の形状を算出する。制御装置27には、カメラ25で撮像した画像が入力される。制御装置27は、例えば、入力された画像を2値化する。制御装置27は、工具に相当する部分と工具以外に相当する部分の画素数を計測する。そして、制御装置27は、工具に相当する部分の画素数に基づいて工具の形状を算出する。工具の形状には、工具長や工具径等が含まれる。制御装置27は、算出した工具の形状に基づいて工具の健全性を判断する。たとえば、工具5が破損しているか否かを判断する。
【0036】
撮像装置は、工具収容室62の内部において、予め定められた撮像位置に配置された工具5を撮像する。本実施の形態のカメラ25は、工具5が待機位置に配置されている時に工具5を撮像するように配置されている。なお、撮像位置としては待機位置に限られず、任意の位置に設定することができる。撮影装置は、たとえば、加工が完了した直後の工具を撮影することができる。または、撮影装置は、次に使用する工具を撮影することができる。
【0037】
本実施の形態のシャッター52は、カメラ25から待機位置に配置された工具5に向かう方向において、工具に対してカメラ25の反対側に配置された反射体として機能する。シャッター52は、カメラ25から見た時に工具5の後側に配置されている。カメラ25は、待機位置にて工具5を撮像したときに、画像の工具の背景のほぼ全体がシャッター52になる位置に配置されている。シャッター52は、カメラ25と待機位置に配置された工具5とを結ぶ直線に交差する位置に配置されている。工具5は、シャッター52とカメラ25との間に配置される。
【0038】
シャッター52は、光を反射する反射面52aを有する。反射面52aは、光を散乱するように形成されている。本実施の形態では、シャッター52の面積が最大になる面積最大面のうち、工具収容室62の内部に向く表面が反射面52aに相当する。本実施の形態のシャッター52では、反射面52aは塗装されている。
【0039】
反射体としては、この形態に限られず、入射する光の少なくとも一部を散乱するように形成されていれば構わない。すなわち、反射体は、入射した光のほぼ全てを一つの方向に反射する鏡面特性を有していなければ、どのような部材でも構わない。たとえば、反射体は、表面が塗装されておらずに、金属の表面が露出していても構わない。また、反射体としては、任意の材質にて形成することができる。反射体の表面を塗装する場合にも任意の色を採用することができる。特に、種々の塗装のうち、工作機械の板金カバーの内壁面に使われる明るい灰色のような、明度の高いつや消しの塗装が有効であった。
【0040】
工具形状測定装置24は、シャッター52に向けて光を照射する光源としての照明装置26を備える。本実施の形態の照明装置26は、LED(Light Emitting Diode)照明である。シャッター52は、反射面52aにおいて光を散乱するために、照明装置26にて照射された光の一部がカメラ25に向かう。このように、本実施の形態の工具形状測定装置24は、直接的に工具5を照らす直接照明方式ではなく、反射した拡散反射光にて工具5を照らす間接照明方式を採用している。照明装置26は、シャッター52の反射面52aにて反射される拡散反射光により、工具の背景よりも工具が暗くなる画像が撮像されるように配置されている。
【0041】
制御装置27は、例えば、照明装置26にて短時間の照射を行うとともに、工具5を撮像する。本実施の形態においては、照明装置26により光を照射する時間は15ms程度である。また、照明装置26としては、例えば照明装置26から1メートル離れた位置において1300ルクスの明るさになるLED照明を用いることができる。
【0042】
図2を参照して、カメラ25から待機位置に配置されている工具5をシャッター52に投影したときに、投影領域PRを定めることができる。また、照明装置26にてシャッター52を照らしたときに主に光が当たる照射領域LRを定めることができる。照射領域LRは、投影領域PRを内部に含むように大きいことが好ましい。
【0043】
図4に、本実施の形態における撮像装置にて工具を撮像したときの画像の例を示す。
図4に示す例では、工具に対応するプローブ6を用いている。工具を撮像した時に、工具の部分は全体が黒くなる。これに対して、工具の背景は反射体の拡散反射光により、明るくなる。このように、撮像装置は、工具の背景よりも工具が暗くなる画像を撮像する。例えば、照明装置が発光する光の色が白の場合には、工具の背景が白くなり、工具は黒くなる。制御装置は、このような画像を用いて工具の形状を算出することができる。
【0044】
ここで、工具を直接的に照らす方法では、工具の全体が明るい状態にて工具が撮像される。ところが、工具を直接的に照らすと、工具の一部分にて光が強く反射する場合がある。この結果、工具の一部分が明るくなってしまい、工具の全体の形状がぼけてしまう場合がある。これに対して、本実施の形態のバックライト方式では工具の部分が暗くなる。工具の一部分が明るくなることはないために、工具の形状を精度良く測定することができる。
【0045】
図1から
図3を参照して、照明装置26は、カメラ25にて撮像された工具の全体が黒くなる輝度を有することが好ましい。すなわち、照明装置26は、工具の全体が黒くなる輝度を発生する明るい光源であることが好ましい。この構成により、撮像した画像における工具の形状が明確になり、より正確に工具の形状を測定することができる。
【0046】
更に、工具形状測定装置24は、シャッター52により反射した拡散反射光により撮像を行っている。工作機械1を駆動すると、シャッター52の反射面52aに、細かい切り屑、摺動部に供給した潤滑油、またはクーラント等の異物が付着する場合がある。ところが、細かい切り屑等の異物は表面で光を反射するために反射体の一部として機能する。このため、工具の背景に異物が写りにくいという特徴を有する。すなわち、工具形状測定装置24は、切り屑等が影になって工具の背景に黒い物体が写ることを低減することができる。この結果、正確に工具の形状を測定することができる。
【0047】
工具形状測定装置24は、光を反射する反射体がシャッター52により構成されている。シャッター52は、工具を交換する時に、矢印90に示す方向に移動する(
図3参照)。シャッター52の反射面52aに大きな異物が付着した場合でも、シャッター52が移動すると共に大きな異物が落下する。このために、撮像した画像の工具の背景に異物が写ることを抑制できる。
【0048】
また、本実施の形態のシャッター52は、反射面52aが鉛直方向に延びている。すなわち、シャッター52は直立した状態にて隔壁51に支持されている。このために、シャッター52の反射面52aに異物が付着しても、重力の作用で異物が落下しやすいという特性を有する。このように、反射体は、反射面が直立するように配置されることが好ましい。
【0049】
さらに、工具形状測定装置24は、シャッター52の反射面52aに接触し、反射面52aに付着する異物を除去するように形成された除去部材としてのブラシ28を備える。ブラシ28は、棒状に形成されている。ブラシ28は、矢印90に示すシャッター52の移動方向に対して垂直な方向に延びている。ブラシ28は、Y軸方向に延びている。ブラシ28の長さは、シャッター52のY軸方向の長さよりも長くなっている。ブラシ28は、シャッター52の移動方向に垂直な方向において、シャッター52の一方の端部から他方の端部まで接触する長さを有する。
【0050】
主軸4に装着された工具5と、工具マガジン41に保管された工具5とを交換する時に、シャッター52が矢印90に示す方向に移動するとともに、ブラシ28はシャッター52の反射面52aに摺動して異物を除去する。このように、ブラシ28を設けることにより、異物を除去するためだけに専用のブラシ駆動機構を備えなくても、シャッター52の反射面52aに付着する異物を除去することができる。特に、ブラシ28は、大きな異物を除去することができる。
【0051】
異物を除去するための除去部材は、ブラシに限られず、反射面に付着する異物を除去する任意の部材を採用することができる。例えば、除去部材として、ゴムで形成されたリップシールを採用することができる。リップシールは棒状に延びるゴム板を有する。シャッターの移動とともに、ゴム板が反射面に摺動することにより、シャッターの反射面に付着した異物を除去することができる。なお、本実施の形態においては、反射体が移動する一方で除去部材が固定されているが、この形態に限られず、除去部材が反射体に対して相対的に移動可能に形成されていれば構わない。例えば、除去部材が移動可能に形成されていても構わない。
【0052】
照明装置26は、LED照明の他にも任意の照明を採用することができる。照明装置26としてLED照明を採用することにより、短時間で輝度を高くすることができる。このため撮像に必要な時間を短くすることができる。また、LED照明は、他の照明装置に比べて照明装置を小型にすることができる。
【0053】
照明装置26は、切り屑などが付着しにくい位置に配置されることが好ましい。例えば、照明装置26は、背面が工具マガジン41に対向するように配置されることが好ましい。または、照明装置26は、光を発する表面に付着する異物を除去する装置を含むことが好ましい。異物を除去する装置としては、例えば洗浄液を照明装置26の表面に噴射する装置を例示することができる。また、カメラ25は、撮像を行う時の工具5の撮像位置よりも高い位置に配置されることが好ましい。加工室内で工具5に付着した異物が撮像位置の付近で工具5から落下する虞があるが、この構成により、カメラ25のレンズの表面に異物が付着することを抑制できる。また、反射体は、工具5の撮像位置よりも低い位置に配置されており、工具5から落下した異物が付着しても、前述のように、撮像装置は工具5を良好に撮像することができる。
【0054】
図5に、本実施の形態における第2の工作機械の概略図を示す。
図5は、工具収容室62の部分の概略断面図である。第2の工作機械7は、第2の工具形状測定装置31を備える。工具形状測定装置31の反射体は、工具収容室62の底部に配置されたオイルパン53から構成されている。オイルパン53は、板状に形成されている。オイルパン53は、工具収容室62に配置された装置から落下する切り屑、潤滑油、およびクーラント等の異物を表面で受けて、所定の位置に流す機能を有する。工具形状測定装置31は、待機位置に配置された工具5を鉛直方向の上側から撮像するようにカメラ25が配置されている。工具形状測定装置31では、オイルパン53の上面が光を反射する反射面53aになる。照明装置26は、工具5の背景が明るくなるように、オイルパン53の反射面53aの一部を照射している。
【0055】
オイルパン53の反射面53aには、クーラント等の液体が流れる。液体は、表面にて光を散乱する特性を有する。このために、光が当たる照射領域LRに液体が存在していても、この液体は工具の背景に写りにくいという特性を有する。この結果、オイルパン53の表面に液体が流れた場合にも工具を良好に撮像することができる。なお、前述のように、本実施の形態では反射光を用いて撮像しているために、小さな異物についての影響も抑制することができる。
【0056】
また、工作機械7は、オイルパン53の反射面53aに洗浄液を流す洗浄液供給装置を備える。洗浄液供給装置は、洗浄液ノズル29を含む。洗浄液ノズル29から供給された洗浄液は、矢印92に示すように、オイルパン53の勾配により流れる。洗浄液は、反射面53aを洗浄する。このために、オイルパン53の反射面53aに残存する大きな異物も除去することができる。なお、洗浄液供給装置が配置されている場合には、オイルパン53の反射面53aに付着した異物を除去する除去部材は配置されていなくても構わない。
【0057】
また、工具形状測定装置31は、複数の照明装置26を備える。光源は、互いに異なる位置に配置された第1の光源と第2の光源とを有する。複数の照明装置26が配置されていることにより、複数の方向から反射体を照射することができる。この結果、大きな異物の影が生じることを抑制できる。画像において、工具の背景に黒い物体が写ることを抑制できる。または、複数の照明装置26を配置することにより、画像の工具の背景を明るくすることができて、画像において工具の背景に生じる色むら等を抑制することができる。この結果、正確に工具の形状を測定することができる。その他の構成、作用および効果は、第1の工作機械と同様であるのでここでは説明を繰り返さない。
【0058】
図6に、本実施の形態の第3の工具形状測定装置を備える第3の工作機械の概略断面図を示す。前述の工作機械は、主軸4が水平方向に延びる横形である。第3の工作機械8は、立形の工作機械である。工作機械8は、ベッド12の表面に立設するコラム16を備える。コラム16は、サドル17を介して主軸ヘッド3を支持している。
図6に示す例では、サドル17が鉛直方向に移動するように形成されている。主軸ヘッド3の内部に配置された主軸4は、鉛直方向に延びるように形成されている。
【0059】
工作機械8は、第2の工具交換装置55を備える。工具交換装置55は、円板状の工具マガジン41を備える。工具5は、工具ホルダ45を介して工具マガジン41に保持されている。工具交換装置55は、工具マガジン41と工具交換アーム43との間で工具を移動する工具移動部材を含む。工具交換装置55では、工具交換アーム43は、水平方向に延びている。そして、工具交換アーム43は、水平面内で回転する。工具交換アーム43は、主軸4から工具5を取り外したり、主軸4に工具5を取り付けたりする。また、工具交換アーム43は、工具移動部材から工具5を取り外したり、工具移動部材に工具5を取り付けたりする。
【0060】
工作機械8においては、スプラッシュガード54に囲まれる加工室61が形成されている。テーブル14の上方には隔壁51が形成されている。隔壁51に仕切られた空間により工具収容室62が構成されている。隔壁51には開口部51aを開閉するためのシャッター52が配置されている。シャッター52は、水平方向に延びるように配置されている。そして、工作機械8では、シャッター52が水平方向に移動する。
【0061】
工作機械8は、第3の工具形状測定装置32を備える。照明装置26は、シャッター52の側方に配置されている。また、カメラ25は、工具マガジン41に取り付けられた工具5を撮像する。カメラ25は、所定の撮像位置に配置された工具5を撮像するように配置されている。工具形状測定装置32は、例えば加工が終了した後に工具マガジン41に工具5が戻ってきた時に撮像することができる。
【0062】
このように、本発明の工具形状測定装置は、立形の工作機械にも適用することができる。また、反射体としてのシャッターは水平方向に延びるように配置されていても構わない。また、撮像装置は、工具が工具マガジンに保持されている状態で撮像しても構わない。その他の構成、作用および効果は、第1の工作機械または第2の工作機械と同様であるのでここでは説明を繰り返さない。
【0063】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、請求の範囲に示される形態の変更が含まれている。
【符号の説明】
【0064】
1,7,8 工作機械
5 工具
24,31,32 工具形状測定装置
25 カメラ
26 照明装置
27 制御装置
28 ブラシ
51 隔壁
52 シャッター
52a 反射面
53 オイルパン
53a 反射面
61 加工室
62 工具収容室
【国際調査報告】