特表-16133130IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年8月25日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】封止構造体
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20171201BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20171201BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20171201BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20171201BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20171201BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20171201BHJP
   H01L 23/26 20060101ALI20171201BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   H05B33/04
   G09F9/30 309
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   H05B33/02
   H05B33/14 Z
   G09F9/30 365
   H01L23/26
   H01L23/02 B
   H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】47
【出願番号】特願2017-500717(P2017-500717)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年2月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-28931(P2015-28931)
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-28932(P2015-28932)
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博英
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC27
3K107CC43
3K107CC45
3K107DD16
3K107DD17
3K107DD38
3K107EE45
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107EE55
3K107FF02
3K107FF08
3K107FF15
3K107GG22
3K107GG23
5C094AA36
5C094BA27
5C094BA43
5C094BA75
5C094DA07
5C094DA12
5C094EB01
5C094FB02
5C094FB06
5C094FB12
5C094JA07
5C094JA08
(57)【要約】
接合部を薄くする技術により電子デバイス等の封止を行った場合であって
も、確実な封止を可能とし、かつ、衝撃が加えられた場合であっても高い封
止性能を維持することを可能とする手段を提供する。
主基材と、前記主基材上に配置された被封止体と、前記被封止体の周囲に
設けられた接合部を介して前記主基材と接合して前記被封止体を封止する封
止基材とを有する封止構造体において、前記封止基材として、支持体と、前
記支持体に対して前記被封止体側に配置されたガスバリア層とを備えるもの
を用い、前記接合部の厚さを0.1〜100nmとし、前記主基材または前
記支持体の少なくとも一方として、下記(A)および(B)の条件を満たす
樹脂フィルムを用いる:
(A)厚さが1μm以上30μm未満である;
(B)25℃におけるヤング率が1〜10GPaである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主基材と、
前記主基材上に配置された被封止体と、
前記被封止体の周囲に設けられた接合部を介して前記主基材と接合して前記被封止体を封止する封止基材と、
を有する封止構造体であって、
前記封止基材が、支持体と、前記支持体に対して前記被封止体側に配置されたガスバリア層と、を備え、
前記接合部の厚さが0.1〜100nmであり、
前記主基材または前記支持体の少なくとも一方が、下記(A)および(B)の条件を満たす樹脂フィルムであることを特徴とする、封止構造体:
(A)厚さが1μm以上30μm未満である;
(B)25℃におけるヤング率が1〜10GPaである。
【請求項2】
前記被封止体から露出するように形成され、前記接合部を経て外部に引き出された厚さ10〜500nmの凸状引き出し構造をさらに有する、請求項1に記載の封止構造体。
【請求項3】
前記被封止体が電子デバイスの電子素子本体であり、前記凸状引き出し構造が前記電子素子本体を制御する引き出し電極である、請求項2に記載の封止構造体。
【請求項4】
前記支持体が、前記(A)および(B)の条件を満たす樹脂フィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止構造体。
【請求項5】
前記支持体の厚さが1〜15μmであり、前記支持体の25℃におけるヤング率が3〜5GPaである、請求項4に記載の封止構造体。
【請求項6】
前記ガスバリア層が、前記支持体側に配置された有機層と、前記被封止体側に配置された無機層とを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の封止構造体。
【請求項7】
前記有機層の前記無機層側の表面粗さ(Ra)が0.1〜5nmである、請求項6に記載の封止構造体。
【請求項8】
前記無機層の伸び率が0.5〜5.0%である、請求項6または7に記載の封止構造体。
【請求項9】
前記接合部が、前記主基材の接合面、および前記封止基材の接合面のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の封止構造体。
【請求項10】
前記接合部が、前記主基材の表面に形成された金属層、および前記封止基材の表面に形成された金属層のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の封止構造体。
【請求項11】
前記接合部が、シランカップリング剤または分子接着剤を含む接着層を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の封止構造体。
【請求項12】
電子デバイスである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の封止構造体であって、
前記被封止体が電子素子本体であり、
前記電子素子本体から露出するように形成され、前記接合部を経て外部に引き出された、前記電子素子本体を制御する引き出し電極をさらに有し、
前記封止基材が、支持体と、前記支持体に対して前記電子素子本体側に配置され、有機層および無機層を有するガスバリア層と、を備え、
前記有機層のナノインデンテーション弾性率(23℃50%RH条件下)が0.01〜1GPaであることを特徴とする、封止構造体。
【請求項13】
前記接合部が、前記引き出し電極が形成された前記主基材の接合面、および前記封止基材の接合面のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含む、請求項12に記載の封止構造体。
【請求項14】
前記接合部が、前記引き出し電極が形成された前記主基材の表面に形成された金属層、および前記封止基材の表面に形成された金属層のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含む、請求項12に記載の封止構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス等の封止構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、有機太陽電池、有機トランジスタ、無機エレクトロルミネッセンス素子、無機太陽電池(例えばCIGS太陽電池)等の電子デバイスは、使用環境中に存在する酸素および水分に敏感である。このため、電子デバイスを酸素および水分から保護するための、封止方法が数多く提案されており、ガラスまたは金属を用いたバリア性基材を用いて封止する封止構造が実用化されている。
【0003】
これらの基材の封止方法としては、基材と電子素子本体が搭載された封止基板とを溶接する方法が考えられるが、電子デバイスの耐熱性の問題等から実用化できていない。このため、通常は有機化合物(エポキシ樹脂など)からなる接着剤を用いた封止方法が使われている。しかしながら、かかる接着剤による封止方法では、十分な封止性が得られず、接合部からの水分や酸素の侵入を防止しきれないという問題があった。
【0004】
このような問題の解決策として、金属や金属酸化物などの水分透過性の低い材料を接着剤として用いる方法も提案されているが、封止する際に高いエネルギーが必要となるなど、実用的な方法ではなかった。
【0005】
また、これとは別の解決策として、接合部の厚さを可能な限り薄くして、接合部から透過する水分を極力減らす方法が提案されている。例えば、特開2013−218805号公報には、封止部の接着剤層を極限まで小さくするために、封止する2つの部材に互いに反応可能な2種の異なるシランカップリング剤の単分子層を配置し、これらを反応させることによる有機ELデバイスの封止方法が開示されている。ただし、特開2013−218805号公報には、電極部の構造等に関する具体的な開示はなく、また、発明の効果についても具体的な開示はない。
【0006】
さらに、近年、金属や金属酸化物を接合する際に、電子デバイスが劣化しないような常温で接合することを可能とする技術として、例えばTadatomo Suga, Takashi Matsumae, Yoshiie Matsumoto, Masashi Nakano,“Direct Bonding of Polymer to Glass Wafers using Surface Activated Bonding (SAB) Method at Room Temperature,”Proceedings of the 3rd International IEEE
Workshop on Low Temperature Bonding for
3D Integration, May 22− June 23, 2012のような常温接合の技術も提案されている。このような常温接合の技術によれば、接着剤等を用いなくとも、平坦な面どうしを容易に接合することができ、接合部の厚さも薄く構成することが可能となる。
【発明の概要】
【0007】
ここで、本発明者の検討によれば、上述した特開2013−218805号公報やTadatomo Suga, Takashi Matsumae, Yoshiie Matsumoto, Masashi Nakano,“Direct Bonding
of Polymer to Glass Wafers using Surface Activated Bonding (SAB) Method at Room
Temperature,”Proceedings of the 3rd International IEEE Workshop on Low Temperature Bonding for 3D Integration, May 22− June 23, 2012に記載のような接合部を薄くする技術によって接合を行った場合には、得られたデバイスの落下時における衝撃などのようにデバイスに対して局部的に強い力が作用すると、接合部が剥離してしまい、封止が保てなくなってしまうという問題があることが判明した。なお、電子デバイスにおける素子本体からの引き出し電極のように、接合部に凹凸が存在すると、この衝撃による剥離の問題はより顕著に発現する。
【0008】
そこで本発明は、接合部を薄くする技術により電子デバイス等の封止を行った場合であっても、確実な封止を可能とし、かつ、衝撃が加えられた場合であっても高い封止性能を維持することを可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、主基材と封止基材とを用いて被封止体が封止されてなり、接合部の厚さが100nm以下である封止構造体において、当該封止基材として、支持体と、当該支持体に対して被封止体側に配置されたガスバリア層とを備えるものを用い、さらに、主基材と封止基材の支持体との少なくとも一方に、特定の厚さおよびヤング率を有する樹脂フィルムを用いることにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、上記目的は、以下の構成によって達成される。
【0011】
1.主基材と、
前記主基材上に配置された被封止体と、
前記被封止体の周囲に設けられた接合部を介して前記主基材と接合して前記被封止体を封止する封止基材と、
を有する封止構造体であって、
前記封止基材が、支持体と、前記支持体に対して前記被封止体側に配置されたガスバリア層と、を備え、
前記接合部の厚さが0.1〜100nmであり、
前記主基材または前記支持体の少なくとも一方が、下記(A)および(B)の条件を満たす樹脂フィルムであることを特徴とする、封止構造体:
(A)厚さが1μm以上30μm未満である;
(B)25℃におけるヤング率が1〜10GPaである;
2.前記被封止体から露出するように形成され、前記接合部を経て外部に引き出された厚さ10〜500nmの凸状引き出し構造をさらに有する、上記1.に記載の封止構造体;
3.前記被封止体が電子デバイスの電子素子本体であり、前記凸状引き出し構造が前記電子素子本体を制御する引き出し電極である、上記2.に記載の封止構造体;
4.前記支持体が、前記(A)および(B)の条件を満たす樹脂フィルムである、上記1.〜3.のいずれか1項に記載の封止構造体;
5.前記支持体の厚さが1〜15μmであり、前記支持体の25℃におけるヤング率が3〜5GPaである、上記4.に記載の封止構造体;
6.前記ガスバリア層が、前記支持体側に配置された有機層と、前記被封止体側に配置された無機層とを有する、上記1.〜5.のいずれか1項に記載の封止構造体;
7.前記有機層の前記無機層側の表面粗さ(Ra)が0.1〜5nmである、上記6.に記載の封止構造体;
8.前記無機層の伸び率が0.5〜5.0%である、上記6.または7.に記載の封止構造体;
9.前記接合部が、前記主基材の接合面、および前記封止基材の接合面のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含む、上記1.〜8.のいずれか1項に記載の封止構造体;
10.前記接合部が、前記主基材の表面に形成された金属層、および前記封止基材の表面に形成された金属層のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含む、上記1.〜8.のいずれか1項に記載の封止構造体;
11.前記接合部が、シランカップリング剤または分子接着剤を含む接着層を含む、上記1.〜8.のいずれか1項に記載の封止構造体。
【0012】
12.電子デバイスである、上記1.〜11.のいずれか1項に記載の封止構造体であって、
前記被封止体が電子素子本体であり、
前記電子素子本体から露出するように形成され、前記接合部を経て外部に引き出された、前記電子素子本体を制御する引き出し電極をさらに有し、
前記封止基材が、支持体と、前記支持体に対して前記電子素子本体側に配置され、有機層および無機層を有するガスバリア層と、を備え、
前記有機層のナノインデンテーション弾性率(23℃50%RH条件下)が0.01〜1GPaであることを特徴とする、封止構造体;
13.前記接合部が、前記引き出し電極が形成された前記主基材の接合面、および前記封止基材の接合面のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含む、上記12.に記載の封止構造体;
14.前記接合部が、前記引き出し電極が形成された前記主基材の表面に形成された金属層、および前記封止基材の表面に形成された金属層のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含む、上記12.に記載の封止構造体。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は、本発明の一実施形態に係る有機ELデバイスの模式断面図である。図1(b)は、図1(a)における1b−1b断面を模式的に表した図である。
図2】封止基材における無機バリア層の伸び率を測定する手法を説明するための説明図である。
図3】本発明に係る電子デバイスの製造に用いられうる常温接合装置の一例を示す断面概略図である。
図4】本発明に係る電子デバイスの製造に用いられうる常温接合装置における常温接合のための加圧状態を示す断面概略図である。
図5】実施例において作製された模擬電子デバイスにおける、主基材上の引き出し電極およびマグネシウム層のレイアウトを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一形態によれば、主基材と、前記主基材上に配置された被封止体と、前記被封止体の周囲に設けられた接合部を介して前記主基材と接合して前記被封止体を封止する封止基材とを有する封止構造体であって、前記封止基材が、支持体と、前記支持体に対して前記被封止体側に配置されたガスバリア層とを備え、前記接合部の厚さが0.1〜100nmであり、前記主基材または前記支持体の少なくとも一方が、下記(A)および(B)の条件を満たす樹脂フィルムであることを特徴とする、封止構造体が提供される:
(A)厚さが1μm以上30μm未満である;
(B)25℃におけるヤング率が1〜10GPaである。
【0015】
本発明の一形態に係る封止構造体は、主基材、または封止基材を構成する支持体の少なくとも一方を、所定の厚さおよびヤング率を有する樹脂フィルムから構成する点に特徴がある。これにより、接合部の厚さを薄くする技術により被封止体の封止を行ったとしても、確実な封止を可能とし、かつ、衝撃が加えられた場合であっても高い封止性能を維持することが可能となる。なお、本発明においてこのような効果が奏されるメカニズムとしては、上記所定のヤング率を有する樹脂フィルムが用いられると、当該樹脂フィルムにおいてはヤング率が10GPa以下であることで、落下時の衝撃等に起因する局部的な力に対する耐久性が向上し、一方、ヤング率が1GPa以上であることで、製膜時の張力等の影響を受けにくいためにフィルムに残留する応力が低減されるものと考えられる。また、当該樹脂フィルムが上記所定の厚さを有することで、落下時の衝撃により接合部に働く応力の集中を緩和することができ、ひいては衝撃等を受けても接合部が破壊されにくくなる結果、接合部の封止性が向上し、しかも耐衝撃性の向上も図られるものと推定される。なお、従来の技術常識においては、主基材や封止基材を構成する支持体の厚さが大きいほど、封止構造体の耐衝撃性は向上するものと考えられていた。本発明者の検討によれば、樹脂フィルムの厚さが厚いと耐衝撃性がむしろ低下し、比較的薄い樹脂フィルムをヤング率も制御した上で主基材または封止基材に採用することで封止構造体の耐衝撃性が向上するという、上述した従来の技術常識とは反する事実が存在することが見出されたものである。
【0016】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみには制限されない。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0017】
本発明の一形態に係る封止構造体は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイス等の電子デバイスである。以下の説明では、代表的な実施形態として本発明に係る封止構造体が電子デバイスの1種である有機ELデバイスである場合を例に挙げて説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみに制限されない。
【0018】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る有機ELデバイス10の模式断面図である。すなわち、図1に示す有機ELデバイス10は、主基材11、封止基材12、主基材11と封止基材12との間に位置する有機EL素子本体13を有する。封止基材12は、支持体12aと、アンダーコート層12bと、無機バリア層12cとの積層体からなっており、無機バリア層12cが有機EL素子本体13と向き合うように配置されている。ここで、封止基材12におけるアンダーコート層12bおよび無機バリア層12cは一緒になってガスバリア層を構成しており、これにより封止基材12はガスバリア性フィルムとなっている。本実施形態では、電子素子本体13の上部には、有機EL素子本体13の一部を被覆するように保護層15が設けられている。そして、主基材11上には、有機EL素子本体13を外部から制御するための引き出し電極14が形成されており、主基材11と引き出し電極14との間に、接合部16が形成されている。有機EL素子本体13は、主基材11と封止基材12とが、接合部16を介して接合されることにより封止されている。すなわち、主基材11に形成された引き出し電極14と、封止基材12を構成する無機バリア層12cとの界面に接合部16が形成され、これを介して主基材11と封止基材12とが接合されている。
【0019】
図1(a)に示す実施形態において、電子素子本体13は有機EL素子本体であり、第1電極(陽極)17、正孔輸送層18、発光層19、電子輸送層20、および第2電極(陰極)21がこの順に主基材11上に積層されることにより形成されている。ただし、本発明に係る封止構造体は、有機EL素子本体13等の電子素子本体(被封止体)が、必要に応じて保護層とともに封止基材上に形成され、接合部を介して主基材との封止が行われる構成であってもよい。
【0020】
図1(b)は、図1(a)における1b−1b断面を模式的に表した図である。図1(b)に示されるように、主基材11上に引き出し電極14が形成されており、封止基材12の無機バリア層12cは、接合部16を介して主基材11および引き出し電極14と接合されている。
【0021】
以下、本実施形態に係る封止構造体を構成する部材について、詳細に説明する。
【0022】
[主基材]
主基材は、被封止体(例えば、図1(a)に示す有機EL素子本体13等の電子素子本体)を形成するための基板であるが、その構成は特に制限されない。例えば、ガラス基板、金属箔、樹脂フィルム、支持体(樹脂フィルム)とガスバリア層とを有するガスバリア性フィルム等が挙げられる。
【0023】
本発明に係る主基材の水蒸気透過度(WVTR;後述する実施例に規定の方法で測定)は、5×10−3g/m・day以下であることが好ましく、5×10−4g/m・day以下であることがより好ましく、5×10−5g/m・day以下であることがさらに好ましい。
【0024】
ガラス基板としては、例えば、石英ガラス基板、ホウ珪酸ガラス基板、ソーダガラス基板、無アルカリガラス基板などが挙げられる。金属箔としては、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、チタン(Ti)および、これらの合金等の金属箔が挙げられる。
【0025】
主基材が樹脂フィルムから構成される場合、その構成材料としては、後述する封止基材の支持体として列挙される材料が同様に採用されうる。また、主基材がガスバリア性フィルムから構成される場合、当該ガスバリア性フィルムの構成については、後述する封止基材に関する説明が同様に当てはまる。
【0026】
本発明に係る封止構造体において、主基材および後述する封止基材は、可撓性を有することが好ましい。本明細書において「可撓性」とは、柔軟性があり、力を加えるとたわんで変形するが力を取り除くと元の形状にもどる性質をいう。この可撓性について定量的に表現すると、主基材および封止基材について、JIS K7171:2008に規定される曲げ弾性率が、例えば、1.0×10〜4.5×10[N/mm]であることが好ましい。
【0027】
[封止基材]
封止基材は、被封止体(例えば、図1(a)に示す有機EL素子本体13等の電子素子本体)の周囲に設けられた接合部を介して主基材と接合して当該被封止体を封止する機能を有するものである。本発明において、封止基材は、支持体とガスバリア層とを備えている。ここで、当該ガスバリア層は、支持体に対して電子素子本体側に配置される。また、当該ガスバリア層は、有機層および無機層を有していることが好ましく、この場合には通常、有機層が支持体側に配置されてアンダーコート層(平滑化層)として機能し、無機層は無機バリア層として被封止体側に配置されて主なガスバリア性を発揮する。
【0028】
<支持体>
支持体は、長尺なものであって、後述のガスバリア性(単に「バリア性」とも称する)を有するガスバリア層を保持することができるものであり、下記のような材料で形成されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0029】
支持体の例としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、トリアセテートセルロース(TAC)、スチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂のフィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(例えば、製品名Sila−DEC;チッソ株式会社製、および製品名シルプラス(登録商標);新日鐵化学株式会社製等)、さらには前記樹脂を2層以上積層して構成される樹脂フィルム等を挙げることができる。
【0030】
コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が好ましく用いられ、光学的透明性、複屈折の小ささから流延法で製造される、TAC、COC、COP、PCなどが好ましく用いられ、また、光学的透明性、耐熱性、ガスバリア層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いられる。
【0031】
支持体は透明であることが好ましい。ここでいう支持体が透明とは、可視光(400〜700nm)の光透過率が80%以上であることを意味する。支持体が透明であり、支持体上に形成するガスバリア層も透明であることにより、透明なガスバリア性フィルムとすることが可能となるため、有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるという利点がある。なお、支持体には、ガスバリア層を形成する前に、その表面にコロナ処理等の表面処理を施してもよい。
【0032】
後述するガスバリア層が無機バリア層から構成され、当該無機バリア層が支持体上に形成される場合、支持体の表面粗さとしては、JIS B0601:2001で規定される10点平均粗さ(Rz)が1〜500nmの範囲にあることが好ましく、5〜400nmの範囲にあることがより好ましく、300〜350nmの範囲にあることがさらに好ましい。また、この場合、支持体表面のJIS B0601:2001で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは12nm以下であり、より好ましくは8nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下、特に好ましくは2nm以下である。また、Raの下限値については特に制限はないが、通常は0.1nm以上である。接合部の厚さがきわめて薄く構成されている本発明に係る封止構造体においては、無機バリア層が形成される表面(例えば、支持体表面)が平坦であることが非常に重要であるが、Raが上述した範囲内の値であれば、平坦性の非常に高い面に無機バリア層を形成することができることから、好ましい。支持体の表面の表面粗さを上述した範囲内の値とする手法は従来公知であるが、例えば、キャスティング法などの平坦化された樹脂フィルムが得られうる方法を用いて支持体を作製したり、支持体中に添加されるフィラーの量を減らしたりすればよい。
【0033】
(主基材および支持体の厚さおよびヤング率)
本発明に係る封止構造体は、上述した「主基材」または「封止基材を構成する支持体」の少なくとも一方が、下記(A)および(B)の条件を満たす樹脂フィルムである点に特徴がある。以下では、下記(A)および(B)の条件を満たす樹脂フィルムを「本発明の樹脂フィルム」とも称する:
(A)厚さが1μm以上30μm未満である;
(B)25℃におけるヤング率が1〜10GPaである。
【0034】
ここで、主基材が「本発明の樹脂フィルム」である場合、当該主基材の厚さは、好ましくは1〜15μmであり、より好ましくは3〜10μmである。また、この場合、当該主基材のヤング率は、好ましくは3〜5GPaである。一方、主基材が「本発明の樹脂フィルム」ではない場合、当該主基材は、上述したようなガラス基板や金属箔であってもよいし、「本発明の樹脂フィルム」ではない樹脂フィルムであってもよい。ここで、主基材が「本発明の樹脂フィルム」ではない樹脂フィルムである場合、その厚さは、好ましくは30〜500μmであり、より好ましくは30〜250μmである。
【0035】
なお、主基材が、封止基材と同様に支持体とガスバリア層とを有するガスバリア性フィルムの構成を有する場合には、主基材を構成する支持体が「本発明の樹脂フィルム」であれば、主基材が「本発明の樹脂フィルム」であるものとする。
【0036】
また、封止基材を構成する支持体が「本発明の樹脂フィルム」である場合、当該支持体の厚さは、好ましくは1〜15μmであり、より好ましくは3〜10μmである。また、この場合、当該支持体のヤング率は、好ましくは3〜5GPaである。一方、封止基材を構成する支持体が「本発明の樹脂フィルム」ではない場合、当該支持体は、「本発明の樹脂フィルム」ではない樹脂フィルムでありうる。ここで、封止基材を構成する支持体が「本発明の樹脂フィルム」ではない樹脂フィルムである場合、その厚さは、好ましくは30〜500μmであり、より好ましくは30〜250μmである。
【0037】
なお、樹脂フィルムの「25℃におけるヤング率」については、ASTM−D−882、JIS−7127に規定される方法によって測定される値を採用するものとする。
【0038】
<ガスバリア層>
封止基材は、ガスバリア層を備えている。そして、当該ガスバリア層は、有機層および無機層の少なくとも2層を含むことが好ましい。よって、以下では、ガスバリア層が有機層(アンダーコート層)および無機層(無機バリア層)の2層から構成される場合を例に挙げて説明するが、かような実施形態のみに制限されるわけではない。なお、図1(a)(b)においては、有機層(アンダーコート層12b)が支持体12a側に配置され、無機層(無機バリア層12c)が電子素子本体(有機EL素子本体13)側に配置されているが、有機層と無機層とが逆に配置された構成であってもよい。ただし、図1に示すように、有機層が支持体側に配置され、無機層が電子素子本体側に配置されることがより好ましい。
【0039】
なお、ガスバリア層は、支持体上に配置されることで水蒸気や酸素に対してバリア性を発揮する層であるが、本発明に係るガスバリア層を備えた封止基材の水蒸気透過度(WVTR;後述する実施例に規定の方法で測定)は、5×10−3g/m・day以下であるときに、「ガスバリア性」を有するものとする。このWVTRは、5×10−3g/m・day以下であることが好ましく、5×10−4g/m・day以下であることがより好ましく、5×10−5g/m・day以下であることがさらに好ましい。
【0040】
(無機層)
ガスバリア層を構成する無機層は、無機化合物を含む層であれば特に制限されないが、典型的には、従来公知の無機化合物を含むバリア層(無機バリア層)である。
【0041】
無機バリア層を構成する材料としては、特に制限されず、様々な無機バリア材料を使用することができる。無機バリア材料の例としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、セリウム(Ce)およびタンタル(Ta)からなる群より選択される少なくとも1種の金属の単体、上記金属の酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または酸化炭化物等の金属化合物が挙げられる。
【0042】
前記金属化合物のさらに具体的な例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、アルミニウムシリケート(SiAlO)、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ケイ素、酸素含有炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化ホウ素、酸化ホウ化ジルコニウム、酸化ホウ化チタン、およびこれらの複合体等の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、金属酸化ホウ化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ならびにこれらの組み合わせ等の無機バリア材料が挙げられる。酸化インジウムスズ(ITO)、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート(SiAlO)、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素およびこれらの組み合わせは、特に好ましい無機バリア材料である。
【0043】
無機バリア層の形成方法は、特に制限されず、例えば、スパッタリング法(例えば、マグネトロンカソードスパッタリング、平板マグネトロンスパッタリング、2極AC平板マグネトロンスパッタリング、2極AC回転マグネトロンスパッタリングなど)、蒸着法(例えば、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、イオンビーム蒸着、プラズマ支援蒸着など)、熱CVD法、触媒化学気相成長法(Cat−CVD)、容量結合プラズマCVD法(CCP−CVD)、光CVD法、プラズマCVD法(PE−CVD)、エピタキシャル成長法、原子層成長法、反応性スパッタ法等の化学蒸着法等が挙げられる。
【0044】
さらに、ポリシラザン、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)などの無機前駆体を含む塗布液を支持体(または支持体上の有機層(つまり、アンダーコート層))上にウェットコーティングした後、真空紫外光の照射などにより改質処理を行って無機バリア層を形成する方法や、支持体(または支持体上の有機層(つまり、アンダーコート層))への金属めっきや、支持体(または支持体上の有機層(つまり、アンダーコート層))と金属箔とを接着させる等のフィルム金属化技術などによっても、無機バリア層は形成されうる。
【0045】
上記無機バリア層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。2層以上の積層構造である場合、各層の材料は同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。なお、無機層の厚さは、好ましくは3〜1000nmであり、より好ましくは10〜300nmである。
【0046】
無機層(無機バリア層)の伸び率は、0.2%より大きいことが好ましい。なお、無機層の伸び率の値は、下記の手法により測定される値であり、0.5%〜6.0%であることがより好ましく、0.5〜5.0%であることがさらに好ましく、1.0〜5.0%であることが特に好ましい。
【0047】
(伸び率の測定方法)
図2に示すように、封止基材の無機バリア層が外側に位置するように、封止基材を湾曲させて2枚の平行に位置する板70で挟んで固定し、室温下に24時間保存する。その後、同じ室温下で湾曲部分を顕微鏡で観察し、クラックが発生していないか確認する。クラックが発生していなければ、前回よりも2枚の板70間の距離dを小さくして同様の操作を繰り返す。クラックが発生すると、クラックが発生しなかった直前の操作時の2枚の板の距離dと、封止基材の支持体の厚さから、下記式により無機バリア層の湾曲部分の曲率半径rを求める。
【0048】
曲率半径r=(距離d−支持体の厚さ)/2
求めた曲率半径rから、下記式により無機バリア層の伸び率を求める。
【0049】
伸び率(%)=(支持体の厚さ/2r)×100
無機層の伸び率は、無機層の組成を調節することにより制御可能である。例えば、無機層が無機バリア層であり、当該無機バリア層の組成がSiOを主成分とするものである場合には、当該組成へのAl元素やC元素の導入により、伸び率をより大きい値に制御可能である。具体的には、Si原子に対してAl原子を1〜30原子%含有させることが好ましい。また、C原子については、Si原子に対して3〜30%含有させることが好ましい。一方、無機バリア層がN元素を含む組成(例えば、SiON、SiN)の場合には、当該組成をSiOとした場合に、2x+3yの値が3.5以下であることが伸び率の観点からは好ましいが、バリア性の耐久性の観点からは、2x+3yの値は2.0以上であることが好ましい。
【0050】
ガスバリア層において、無機層(無機バリア層)が電子素子本体等の被封止体側に配置される場合、当該無機層(無機バリア層)の表面粗さとしては、JIS B0601:2001で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)が3nm以下であることが好ましく、0.1〜2.0nmの範囲にあることがより好ましい。
【0051】
(有機層)
ガスバリア層が有機層を含む場合、当該有機層としては、有機化合物を含む任意の層が用いられうる。
【0052】
ガスバリア層を構成する有機層は、特に制限されないが、例えば、有機モノマーまたは有機オリゴマーを支持体に塗布して塗布膜を形成し、続いて例えば、電子ビーム装置、UV光源、放電装置、またはその他の好適な装置を使用して重合および必要に応じて架橋することにより形成される。有機層の構成材料の一例として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0053】
また、例えば、フラッシュ蒸発および放射線架橋可能な有機モノマーまたは有機オリゴマーを蒸着した後、前記有機モノマーまたは前記有機オリゴマーからポリマーを形成することによっても、有機層は形成されうる。コーティング効率は、支持体を冷却することにより改善され得る。有機モノマーまたは有機オリゴマーの塗布方法としては、例えば、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、スプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)等が挙げられる。
【0054】
有機層の厚さは、好ましくは100nm〜100μm、より好ましくは1μm〜50μmである。
【0055】
ここで、ガスバリア層が、支持体側に配置される有機層と、被封止体側に配置される無機層(無機バリア層)とから構成され、当該無機バリア層が有機層上に形成される場合、有機層の表面粗さとしては、支持体について上述した、「JIS B0601:2001で規定される10点平均粗さ(Rz)」が、0.1〜50nmの範囲にあることが好ましく、0.5〜40nmの範囲にあることがより好ましく、1.0〜30nmの範囲にあることがさらに好ましい。また、この場合、支持体表面のJIS B0601:2001で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは10nm以下であり、より好ましくは5nm以下であり、さらに好ましくは2nm以下である。なお、上記有機層のRaは、好ましくは0.1nm以上である。当該有機層の表面のRaが上述した範囲内の値であれば、やはり平坦性の非常に高い面に無機バリア層を形成することができることから、好ましい。有機層の表面の表面粗さを上述した範囲内の値とする手法は従来公知であるが、有機層をウェットコーティングすることにより支持体凹凸を平坦化し、上記の粗さを得ることができる。
【0056】
(ブリードアウト防止層)
封止基材を構成する支持体の、ガスバリア層を設ける面とは反対側の表面には、ブリードアウト防止層が配置されてもよい。ブリードアウト防止層は、上記有機層等を有するフィルムを加熱した際に、支持体中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、有機層と同じ構成をとっても構わない。
【0057】
[引き出し電極]
本発明に係る封止構造体(例えば、有機ELデバイス等の電子デバイス)は、図1に示す有機ELデバイス10における引き出し電極14のような、被封止体から露出するように形成され、接合部を経て外部に引き出された凸状引き出し構造をさらに有するものであることが好ましい。この凸状引き出し構造の厚さは、通常は10〜500nm程度であり、好ましくは50〜300nmである。図1に示す有機ELデバイス10においては、引き出し電極14を備えていることにより、外部から有機EL素子本体13を制御することが可能となっている。
【0058】
凸状引き出し構造が引き出し電極である場合、当該引き出し電極の構成材料としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、SnO、ZnO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au、Pt、Cu、Rh、In、Ni、Pd、Mo等の金属または金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ等のナノワイヤやナノ粒子等を用いることができる。2種類以上の金属を積層した構造の電極であってもよい。
【0059】
引き出し電極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜に形成することにより、作製されうる。
【0060】
ストライプ状などの形状の電極を形成する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が利用できる。例えば、主基材に対して蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させた後、公知のフォトリソグラフィー法を用いてエッチングする方法等により、所望の形状を有する引き出し電極を作製可能である。
【0061】
ここで、電子デバイスの駆動・制御のためには、電子素子本体から外部に信号線・電極を取り出す必要があり、これらは通常、抵抗等の問題から100nm以上の厚さを有しており、接合部に凹凸を生じる一因となっている。そして、本発明者の検討によれば、接合面にこのような凹凸が存在すると、上述した特開2013−218805号公報やTadatomo Suga, Takashi Matsumae, Yoshiie Matsumoto, Masashi Nakano,“Direct Bonding of Polymer to Glass Wafers using Surface
Activated Bonding (SAB) Method at Room Temperature,”Proceedings of the 3rd International IEEE Workshop on Low Temperature Bonding for 3D Integration, May 22− June 23, 2012に記載のような接合部を薄くする技術によって接合しようとしても接合部を確実に封止することが困難であり、接合部からの水分等の侵入によって電子デバイスの耐久性が低下してしまうことが判明した。そして、本発明者は、上記の課題を解決すべく、さらに検討を行った。その結果、後述するように接合部の厚さを100nm以下とし、封止基材として、図1に示すように、支持体と、当該支持体に対して電子素子本体側に配置され、有機層および無機層を有するガスバリア層とを備えるものを用い、さらに当該有機層のナノインデンテーション弾性率(23℃50%RH条件下)を所定の範囲内の値に制御することにより、接合面に凹凸が存在する場合に生じる上記課題が解決されうることを見出した。すなわち、本発明に係る封止構造体の好ましい一形態は、上述した被封止体が電子素子本体であり、当該電子素子本体から露出するように形成され、接合部を経て外部に引き出された、電子素子本体を制御する引き出し電極をさらに有する電子デバイスである。ここで、当該封止基材は、支持体と、当該支持体に対して上記電子素子本体側に配置され、有機層および無機層を有するガスバリア層とを備えるものであり、そして、上記有機層のナノインデンテーション弾性率(23℃50%RH条件下)が0.01〜1GPaであると、上記課題が解決されうることが見出されたのである。なお、本形態においてこのような効果が奏されるメカニズムとしては、従来の技術よりも比較的小さい所定の弾性率を有する有機層が存在することで、凹凸に対してガスバリア層の追随を許容するとともに、この領域の弾性率を有する有機層に隣接して安定した無機層(無機バリア層)を形成することが可能となる結果、ひいては接合部の封止が確実になされ、電子デバイスの耐久性の向上に資するものと推定される。なお、有機層のナノインデンテーション弾性率の値は、後述する実施例の欄に記載の手法により測定される値であり、好ましくは0.05〜1.0GPaであり、特に好ましくは0.1〜0.5Paである。
【0062】
有機層のナノインデンテーション弾性率の値が上述した好ましい範囲内の値に制御される本発明の好ましい形態において、ガスバリア層を構成する有機層は、上述したナノインデンテーション弾性率の規定を満たすものである限りは特に制限されないが、例えば、有機モノマーまたは有機オリゴマーを支持体に塗布して塗布膜を形成し、続いて例えば、電子ビーム装置、UV光源、放電装置、またはその他の好適な装置を使用して重合および必要に応じて架橋することにより形成される。有機層の構成材料の一例として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。当業者であれば、これらの共重合体・樹脂の共重合組成や重量平均分子量(Mw)を調節することによって、有機層のナノインデンテーション弾性率を制御することが可能である。
【0063】
また、例えば、フラッシュ蒸発および放射線架橋可能な有機モノマーまたは有機オリゴマーを蒸着した後、前記有機モノマーまたは前記有機オリゴマーからポリマーを形成することによっても、本形態における有機層は形成されうる。コーティング効率は、支持体を冷却することにより改善され得る。有機モノマーまたは有機オリゴマーの塗布方法としては、例えば、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、スプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)等が挙げられる。
【0064】
また、本形態で用いられる有機層の構成材料は、貼り合わせ時に昇温することにより弾性率が低下する熱可塑樹脂が好ましく用いられる。その場合、貼り合わせ時の温度における弾性率が0.001〜0.1GPaとなるような樹脂が好ましい。
【0065】
このような樹脂として、いわゆるホットメルト樹脂が好ましく用いられる。具体的には、ゴム系ホットメルト樹脂、ポリオレフィン樹脂系ホットメルト樹脂、ポリエステル樹脂系ホットメルト樹脂等が挙げられる。これらのうち、接着力、耐薬品性等の観点から、ポリオレフィン樹脂系ホットメルト樹脂およびポリエステル樹脂系ホットメルト樹脂が好ましい。ホットメルト樹脂の軟化点は、60〜150℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。ホットメルト接着剤の軟化点が上記の範囲内にあることで、デバイスの耐久性、被着体の製造工程・作業工程の観点から好ましい。
【0066】
また、ゴム系樹脂やポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることもできる。ゴム系樹脂の具体例としては、スチレン−イソプロピレン−スチレンブロック共重合体や、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体に石油樹脂を添加したものなどが挙げられる。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、プロピレン、エチレンおよびブテン−1の共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン樹脂系ホットメルト樹脂の市販品としては、例えば、株式会社MORESCO社製の「モレスコメルトEP−167」、三井・デュポンポリケミカル社製「ニュクレル(登録商標)」、「ハイミラン(登録商標)」などが挙げられる。ポリエステル樹脂の具体例としては、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合体などが挙げられる。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、これらの低級アルキルエステル、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチエレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。これらのジカルボン酸成分とジオール成分との各々1種以上を用いてポリエステル樹脂系ホットメルト樹脂が得られる。ポリエステル樹脂の市販品としては、例えば、東洋アドレ社製の「ERシリーズ」、日本合成化学工業社製の「ニチゴウポリエスター(登録商標)シリーズ」(「ポリエスターSP−165」)などが挙げられる。
【0067】
[接合部]
図1に示すように、接合部は、被封止体(例えば、有機EL素子本体13等の電子素子本体)の周囲に設けられ、かつ、主基材と封止基材との間に存在する。本発明では、接合部の厚さが一般的な接着剤を用いた場合と比較して薄くされており、具体的には0.1〜100nmの範囲とされている点に特徴がある。接合部の厚さが0.1nm以上であれば、主基材と封止基材との接合が十分になされ、主基材と封止基材との間に被封止体を確実に封止することが可能となる。一方、接合部の厚さが100nm以下であれば、接合部からの水分や酸素等の侵入を低減させることができ、これらの侵入に起因する被封止体の劣化を抑制することが可能となる。なお、接合部の厚さは、主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の距離から求めることができる。なお、接合部の厚さは、好ましくは0.1〜80nmであり、より好ましくは1〜50nmである。
【0068】
このように接合部の厚さが0.1〜100nmとなるように封止を行う方法としては、特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、Tadatomo Suga, Takashi Matsumae, Yoshiie Matsumoto,
Masashi Nakano,“Direct Bonding of Polymer to Glass Wafers using Surface Activated Bonding (SAB) Method at Room Temperature,”Proceedings of the 3rd International IEEE Workshop on Low Temperature Bonding for 3D Integration, May 22− June 23, 2012に開示されているような、いわゆる常温接合技術を用いて接合を行う方法が挙げられる。この常温接合技術を用いて接合を行うと、主基材や封止基材を構成する樹脂材料を高温に曝す虞がないため、当該樹脂材料の劣化を防止することができるという利点もある。以下、常温接合技術を用いて主基材と封止基材とを接合する方法について、図3および図4を参照しつつ、詳細に説明する。
【0069】
まず、主基材と封止基材とを接合するための接合しろを、主基材と封止基材との周縁部にそれぞれ形成する。
【0070】
ここで、図3は、本発明に係る電子デバイスの製造に用いられうる常温接合装置の一例を示す断面概略図である。常温接合装置130は、真空チャンバー131、イオンガン(スパッタリング源)132、ターゲットステージ1(133)、およびターゲットステージ2(134)を有する。
【0071】
真空チャンバー131は、内部を環境から密閉する容器であり、さらに真空チャンバー131の内部から気体を排出するための真空ポンプ(図示せず)、および真空チャンバー131の外部と内部とを接続するゲートを開閉するための蓋(図示せず)を備えている。真空ポンプとしては、内部の金属製の複数の羽根が気体分子を弾き飛ばすことにより排気するターボ分子ポンプが挙げられる。真空ポンプによって真空チャンバー131内の所定の真空度に調節することができる。
【0072】
金属放出体としてのターゲットステージ133および134は、対向するように配置されており、それぞれの対向する面には、誘電層を有している。ターゲットステージ133は、誘電層と封止基材12との間に電圧を印加し、静電力によってその誘電層に封止基材12を吸着して固定する。同様に、ターゲットステージ134は、誘電層を介して基材11を吸着して固定する。
【0073】
ターゲットステージ133は、円柱状または立方体などの形に形成することができ、真空チャンバー131に対して鉛直方向に平行移動することができる。当該平行移動は、ターゲットステージ133に備えられている圧接機構(図示せず)によって行われる。
【0074】
ターゲットステージ134は、真空チャンバー131に対して鉛直方向に平行移動、鉛直方向に平行な回転軸を中心に回転することもできる。当該平行移動および回転は、ターゲットステージ134に備えられている移送機構(図示せず)によって行われる。
【0075】
イオンガン(「スパッタリング源」とも称する)132は、基材11と封止基材12とに向けられている。イオンガン132は、その向けられている方向に向けて加速された荷電粒子を放出する。荷電粒子としては、アルゴンイオンなどの希ガスイオンが挙げられる。さらに、イオンガン132により放出された荷電粒子により正に帯電している対象を中和するために、真空チャンバー131に電子銃を備えてもよい(図示せず)。
【0076】
荷電粒子の照射を受けて、装置内のターゲットステージ133および134から、金属がスパッタにより放出され、基材11および封止基材12の望ましい部分にスパッタリングをし、望ましい部分に接合しろとして金属膜を形成する。なお、望ましい部分の範囲は、公知の金属マスクの手法などにより決定することができ、例えば、本発明の一実施形態に係る電子デバイスを封止する際に、電子素子本体の部分に対して金属マスクをすること(図示せず)によって、基材上の金属マスクされていない電子素子本体の周囲部に、第1の接合しろが形成され、封止基材上の金属マスクされていない部分の周囲部に、第2の接合しろが形成される。
【0077】
金属スパッタリング後、イオンガン132の運転パラメーターを調節することによって荷電粒子の照射条件を変え、それぞれの接合しろを接合するための活性化を行う。そして、荷電粒子の照射を終了させ、金属マスクを取り除いてから、ターゲットステージ1の圧接機構を操作し、ターゲットステージ133を鉛直方向に下降させて、図4に示すように、基材11と封止基材12とを接触させる。このように常温接合することによって、基材11における第1の接合しろと封止基材12における第2の接合しろとが接合され、基材11と封止基材12との界面127に接合部16が形成される。これによって、電子素子本体を封止することができる。接合の条件について特に制限はなく、真空中の常温無加圧でも接合可能であるが、よりしっかりと接合させるという観点から、1〜10分間、1〜100MPaの圧力を加えることが好ましい。
【0078】
なお、接合しろを形成する前に、表面に付着している不純物、吸着ガス、酸化膜などを除去する観点から、それぞれの接合しろの形成部を清浄化することが好ましい。清浄化およびその後の工程については、封止された電子素子本体の内部に水分、酸素などが含まれないようにするために、真空中で行うことが好ましい。清浄化は、真空度が10−6〜10−4Paの環境下で行うことが好ましい。
【0079】
また、清浄化は、公知の手法によって行うことができ、例えば、逆スパッタリング、イオンビーム、イオンビームスパッタリングなどが挙げられる。清浄化を行うための一例としての逆スパッタリングは、以下のように行うことができる。アルゴンなどの不活性ガスを用いて、加速電圧を0.1〜10kV、好ましくは0.5〜5kVとし、電流値を10〜1000mA、好ましくは100〜500mAとし、1〜30分間、好ましくは1〜5分間、照射することによって行うことができる。
【0080】
以上、常温接合技術を用いて接合を行い、電子素子本体の封止を行う手法(後述する実施例における「接合方法I−1」「接合方法I−2」)について説明したが、接合部の厚さを上記の範囲(0.1〜100nm)とすることができる限り、その他の手法を用いて接合を行ってもよい。
【0081】
常温接合技術以外の接合方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる:
・接合方法Iと同様の金属マスクを用いて、主基材と封止基材との接合しろをプラズマドライクリーナー等を用いて表面活性化処理(減圧下、酸素雰囲気中でのプラズマ放電処理)を行う。次いで、金属マスクを取り除いた後、主基材および封止基材のそれぞれを高湿度(例えば、80%RH)環境下にさらし、真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して加圧・加熱処理を施すことで、主基材と封止基材とを接合する方法(後述する実施例における「接合方法II−1」「接合方法II−2」);
・接合方法I−1およびI−2と同様の金属マスクを用いて、主基材と封止基材との接合しろをプラズマドライクリーナー等を用いて表面活性化処理(減圧下、酸素雰囲気中でのプラズマ放電処理)を行う。次いで、第1のシランカップリング剤(例えば、KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製))の飽和蒸気に、金属マスクされた封止基材(または主基材)をさらして、封止基材(または主基材)の周縁部にシランカップリング剤からなる接着層を形成する。一方、上記第1のシランカップリング剤と反応しうる第2のシランカップリング剤(例えば、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製))の飽和蒸気に、金属マスクされた主基材(または封止基材)をさらして、主基材(または封止基材)の周縁部に第2のシランカップリング剤からなる接着層を形成する。そして、金属マスクを取り除いた後、真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して加圧・加熱処理を施すことで、主基材と封止基材とを接合する方法(後述する実施例における「接合方法III−1」「接合方法III−2」;この方法の詳細については、特開2013−218805号公報が参照可能である);
・従来公知の紫外線硬化型接着剤または熱硬化型接着剤の構成成分から、従来配合されている大粒径成分である増粘剤・フィラー等を取り除き、得られた接着剤を用いて主基材と封止基材との周縁部を接合する方法(後述する実施例における「接合方法V−1」「接合方法V−2」);
・接合方法I−1および接合方法I−2と同様の金属マスクを用いて、主基材と封止基材との接合しろをプラズマドライクリーナー等を用いて表面活性化処理(減圧下、酸素雰囲気中でのプラズマ放電処理)を行う。次いで、6−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム(以下、「TES」とも称する)等の分子接着剤のエタノール水溶液中に、金属マスクされた封止基材(または主基材)を浸漬させ、加熱後に洗浄・乾燥処理を施して、封止基材(または主基材)の接合しろに分子接着剤からなる接着層を形成する。そして、金属マスクを取り除いた後、真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して加圧・加熱処理を施すことで、主基材と封止基材とを接合する方法(後述する実施例における「接合方法VI−2」;この方法の詳細については、特開2010−254793号公報、および、月刊ディスプレイ、第16巻、第8号、第70〜77頁が参照可能である);
本発明においては、上述した接合方法I〜IIIまたはVIによって形成される接合部のように、引き出し電極が形成された主基材の接合面、および封止基材の接合面のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化処理層を含むことが好ましい。また、場合によっては、引き出し電極が形成された主基材および封止基材の表面にそれぞれ金属層を形成し、形成された金属層のそれぞれを表面活性化処理することにより活性化処理層を形成して、これらを接合してもよい。また、上述した接合方法IIIおよび接合方法VIのように、接合部が、シランカップリング剤または分子接着剤を含む接着層を含む形態もまた、本発明における他の好ましい実施形態である。
【0082】
[被封止体]
本発明に係る封止構造体において、主基材と封止基材とによって封止される被封止体の具体的な構成については特に制限はなく、水分や酸素からの遮蔽が必要とされる従来公知のものが被封止体として特に制限なく用いられる。被封止体の一例は、図1に示す有機EL素子本体13のような、電子デバイスの本体(電子素子本体)である。電子デバイスとしては、有機ELデバイスに限らず、ガスバリア性フィルムによる封止が適用されうる公知の電子デバイスであってもよく、例えば、太陽電池(PV)、液晶表示素子(LCD)、電子ペーパー、薄膜トランジスタ、タッチパネル等が挙げられる。これらの電子デバイスの本体の構成についても、特に制限はなく、公知の構成を有しうる。
【0083】
図1に示す形態において、被封止体(有機EL素子本体)13は、第1電極(陽極)17、正孔輸送層18、発光層19、電子輸送層20、第2電極(陰極)21等を有する。また、必要に応じて、第1電極17と正孔輸送層18との間に正孔注入層を設けてもよいし、または、電子輸送層20と第2電極21との間に電子注入層を設けてもよい。有機EL素子において、正孔注入層、正孔輸送層18、電子輸送層20、電子注入層は必要に応じて設けられる任意の層である。
【0084】
以下、具体的な被封止体の構成の一例として、電子デバイスの1種である有機EL素子を説明する。
【0085】
(第1電極:陽極)
第1電極(陽極)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。
【0086】
(正孔注入層:陽極バッファ層)
第1電極(陽極)と発光層または正孔輸送層の間に、正孔注入層(陽極バッファ層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層である。
【0087】
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることが出来る。
【0088】
(発光層)
発光層とは、青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、また各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。
【0089】
(電子輸送層)
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層である。
【0090】
(電子注入層:陰極バッファ層)
電子注入層形成工程で形成される電子注入層(陰極バッファ層)とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層である。
【0091】
(第2電極:陰極)
第2電極(陰極)としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
【0092】
(保護層)
図1に示すように、本発明に係る被封止体が有機ELデバイス等の電子デバイスである場合、必要に応じて、被封止体(電子素子本体)上に保護層15が設けられてもよい。保護層は、水分や酸素等の被封止体(電子素子本体)の劣化を促進するものが素子内に侵入することを防止する機能、主基材11上に配置された被封止体(電子素子本体)等を絶縁性とする機能、または被封止体(電子素子本体)による段差を解消する機能を有する。保護層は、1層でもよいし、複数の層の積層体であってもよい。
【0093】
なお、本発明において、特に封止基材を構成する支持体が「本発明の樹脂フィルム」である場合には、被封止体である電子素子本体などの有する凹凸が、封止構造体の外部に設けられる構成要素に対して各種の影響(例えば、光学的均質性に関する悪影響)を及ぼす可能性がある。このため、封止基材の被封止体が封止されているのとは反対側の表面(露出表面)は、光学樹脂(OCR;Optical Clear Resin)または光学接着剤(OCA;Optical Clear Adhesive)による層を介して他の構成要素(例えば、光学部材)と隣接していることが好ましい。
【実施例】
【0094】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0095】
<実施例1>
〔封止基材1の作製〕
厚さ0.7μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ヤング率@25℃:4.2GPa)を支持体として用意した。
【0096】
上記支持体の一方の表面に、コロナ放電により表面活性化処理を施した。また、UV硬化型樹脂オプスター(登録商標)Z7527(JSR社製)に、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を添加して、固形分濃度が30質量%となるように塗布液を調製した。この塗布液を、乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように、押し出しコーターにより支持体の表面活性化処理された面に塗布した。塗布膜を温度80℃で3分間乾燥した後、高圧水銀ランプにより積算光量0.5J/cmの紫外光を照射して硬化させ、アンダーコート層(有機層)を形成した。このようにして形成されたアンダーコート層(有機層)について、JIS B0601:2001で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)を測定したところ、1.7nmであった。
【0097】
続いて、上記アンダーコート層(有機層)の露出表面上に、タイプ01の無機バリア層(無機層)を下記手順により形成して、アンダーコート層(有機層)および無機バリア層(無機層)からなるガスバリア層が支持体の片面上に形成されてなる封止基材1を作製した。なお、上記無機バリア層は2層から構成されている。
【0098】
(タイプ01の無機バリア層の形成方法)
まず、PECVD法を用いる成膜装置において、チャンバー内にヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸素ガスとの混合ガスを供給した。その後、電圧を印加してプラズマを発生させた放電領域にアンダーコート層付き支持体を搬送し、当該アンダーコート層上に1層目の無機バリア層を形成した。1層目の無機バリア層の厚さは80nmであった。
【0099】
ここで、1層目の無機バリア層の具体的な成膜条件は、以下のとおりである。
【0100】
(成膜条件)
ガスの混合比:ヘキサメチルジシロキサン/酸素=100/1000(それぞれの原料ガスの供給量の単位はsccm)
真空度:1.5Pa
プラズマ発生用電源の供給電力:1kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
支持体の搬送速度:5m/min
次いで、アミン触媒として1質量%のN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサンおよび19質量%のパーヒドロポリシラザンを含むジブチルエーテル溶液NAX120−20(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)10gに、0.5gのアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートを加え、80℃で1時間の撹拌を行い、放冷して、2層目の無機バリア層の塗布液を調製した。
【0101】
大気中、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で、上記で形成した1層目の無機バリア層上に、上記で調製した2層目の無機バリア層の塗布液を、乾燥膜厚が150nmになるように押し出しコーターにより塗布した。室温で10分間乾燥後、酸素濃度を0.01〜0.10体積%の範囲内に調整した窒素雰囲気下で、波長172nm、積算光量1.5J/cmの真空紫外線を80℃で照射して、2層目の無機バリア層を形成した。
【0102】
ここで、得られた封止基材1について、フィルム透過性評価装置(株式会社日本エイピーアイ製API−BA90)を用いて、40℃90%RHにおける水蒸気透過率(WVTR)を測定したところ、7×10−3g/m・dayであった。
【0103】
〔封止基材2〜11の作製〕
支持体としての2軸延伸PETフィルムの厚さを下記の表1に示すように変更したこと以外は、上述した封止基材1の作製と同様にして、封止基材2〜11をそれぞれ作製した。封止基材1〜11を構成する支持体の厚さ、アンダーコート層(有機層)の表面粗さ(Ra)、並びに封止基材のガスバリア性(水蒸気透過率(WVTR))について、下記の表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
表1から明らかなように、封止基材を構成する支持体としてのPETフィルムの厚さを厚くしていくと、アンダーコート層(有機層)の表面粗さは小さくなることがわかる。また、支持体の厚さが1μm未満では、水蒸気透過率(WVTR)が大きくなりバリア性能が劣化することがわかる。
【0106】
〔模擬電子デバイス101の作製〕
主基材(厚さ0.7mmのガラス基板)上に、スパッタリング法によりアルミニウム膜を形成した後、フォトリソグラフィー法によりアルミニウム膜をストライプ状に成形して、1000本の引き出し電極を形成した。また、主基材の引き出し電極を形成した側の中央に、本体ユニットの代わりにマグネシウム層を蒸着法により形成した。
【0107】
ここで、図5(A)は、主基材上の引き出し電極およびマグネシウム層のレイアウトを示している。図5(A)に示すように、主基材81は、サイズが50mm×50mmであり、厚さが0.7mmであった。マグネシウム層83は、サイズが30mm×30mmであり、厚さが100nmであった。1000本の引き出し電極82は、主基材81の両端から5mm離れた位置に等間隔で形成した。各引き出し電極82は、図5(B)に示すように断面形状が台形であり、上辺の幅が18μm、下辺の幅が20μm、厚さが300nmであった。また、各引き出し電極82間の間隔は20μmであり、幅方向中心間の距離は40μmであった。
【0108】
マグネシウム層が形成された主基材を、上記作製した封止基材1とを下記接合方法I−1により接合して、模擬電子デバイス101を作製した。なお、図5(A)に示すように、主基材81と封止基材1との接合しろ84は、主基材81または封止基材1の端部から2.0mm離れた幅2.0mmの領域である。
【0109】
(接合方法I−1)
マグネシウム層が形成されたサイズ50mm×50mmの主基材と、サイズ50mm×50mmに切り出した封止基材1とを、主基材上のマグネシウム層と封止基材1のガスバリア層とが向き合うようにして図2に示す常温接合装置130のターゲットステージ1(133)およびターゲットステージ2(134)のホルダーにそれぞれセットした。さらに、主基材および封止基材のそれぞれの対向面上に金属マスクを配置した。なお、この金属マスクには、接合しろに対応する領域にスリットが設けられていた。
【0110】
マスクを配置後、常温接合装置130において1×10−6Paの真空圧下でイオンガン132により逆スパッタリングを行うことにより、主基材および封止基材の接合しろの領域を清浄化処理および表面活性化処理した。この逆スパッタリングでは、加速電圧を0.1〜2kVの範囲内とし、電流値を1〜20mAの範囲内として、1〜10分間のArイオンの照射を行った。
【0111】
次に、ケイ素(Si)をターゲットとしてスパッタリングを行い、20nmのケイ素(Si)膜を接合しろの領域に形成した。このスパッタリングは、加速電圧1.5kV、電流値100mAで3分間行った。さらに、ケイ素(Si)膜上を逆スパッタリングすることにより、表面活性化処理を行った。逆スパッタリングの処理条件は、上述した主基板および封止基材に対する逆スパッタリングの処理条件と同じである。
【0112】
金属マスクを取り除き、真空度を1×10−7Paに調整した後、主基材と封止基材との接合しろを接触させ、20MPaの加圧を3分間行うことにより接合した。
【0113】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間のケイ素(Si)膜の厚さの合計を接合部の厚さとして測定したところ、50.0nmであった。
【0114】
〔模擬電子デバイス102〜126の作製〕
上記模擬電子デバイス101の作製において、封止基材として下記の表2に示すものを用い、主基材と封止基材との周縁部どうしの接合を、接合方法I−1または下記の接合方法II−1〜接合方法V−1のいずれかにより行ったこと以外は同様にして、模擬電子デバイス102〜126を作製した。
【0115】
(接合方法II−1)
接合方法I−1と同様の金属マスクを用いて、マグネシウム層が形成された主基材と封止基材1との接合しろをプラズマドライクリーナーModel PC−300(サムコ社製)を用いて表面活性化処理した。表面活性化処理は、真空度30Pa、酸素流量10ml/min、放電電力100W、処理時間5分の処理条件で実施した。金属マスクを取り除き、主基材および封止基材のそれぞれを温度25℃、相対湿度80%RHの環境下に3分間さらした。真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して0.5MPaの加圧および80℃の加温を5分間行うことにより、主基材と封止基材とを接合した。
【0116】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の距離を接合部の厚さとして測定したところ、0.1nmであった。
【0117】
(接合方法III−1)
接合方法I−1と同様の金属マスクを用いて、マグネシウム層が形成された主基材と封止基材1との接合しろをプラズマドライクリーナーModel PC−300(サムコ社製)を用いて表面活性化処理した。表面活性化処理は、真空度30Pa、酸素流量10ml/min、放電電力100W、処理時間5分の処理条件で実施した。
【0118】
次に、シランカップリング剤KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)の温度23℃における飽和蒸気下に金属マスクされた封止基材を3分間さらして、封止基材の周縁部にシランカップリング剤KBM−903からなる接着層を形成した。一方、シランカップリング剤KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製)の温度23℃における飽和蒸気下に金属マスクされた主基材を3分間さらして、主基材の周縁部にシランカップリング剤KBM−403からなる接着層を形成した。
【0119】
金属マスクを取り除いた後、真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して0.5MPaの加圧および80℃の加温を5分間行うことにより、主基材と封止基材とを接合した。
【0120】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の接着層の厚さを接合部の厚さとして測定したところ、1.0nmであった。
【0121】
(接合方法IV−1)
下記接着剤成分を混合し、80℃に加熱した後、撹拌混合器ホモディスパーL型(プライミクス社製)を用いて、3000rpmの撹拌速度で均一に撹拌および混合し、エポキシ樹脂を主成分とする接着剤を得た。
【0122】
(接着剤成分)
エポキシ樹脂YL983U(常温で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学社製):50質量部
セロキサイド(登録商標)2021P(常温で液状の脂環式エポキシ樹脂(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ダイセル社製):20質量部
エポキシ樹脂jER1001(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製):30質量部
ゲル化剤ゼフィアック(登録商標)F351(アクリル系コアシェル粒子、ガンツ化成社製):20質量部
ナノエース(登録商標)D−600(体積平均粒子径が0.6μmのタルク、日本タルク社製):10質量部
光カチオン重合開始剤CPI(登録商標)−210S(サンアプロ社製):2質量部
シランカップリング剤KBM−403(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製):1質量部
得られた接着剤をディスペンサーを用いて2mg/cmの吐出量で吐出し、封止基材の接着しろの領域に塗布した。真空ラミネーターを用いて、接着剤を塗布した封止基材を主基材に接触させ、0.1MPaの加圧を行った。その後、高圧水銀灯を用いて積算光量2J/cmの紫外光を温度80℃で照射し、30分間の硬化処理を行って、主基材と封止基材とを接合した。
【0123】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の接着層の厚さを接合部の厚さとして測定したところ、1000.0nmであった。
【0124】
(接合方法V−1)
上記接合方法IV−1において、接着剤成分からナノエース(登録商標)D−600を除いたこと以外は、接合方法IV−1と同様にして接合を行った。
【0125】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の接着層の厚さを接合部の厚さとして測定したところ、100.0nmであった。
【0126】
〔評価〕
(耐性試験前・後の封止性能)
まず、上記で作製した模擬電子デバイス101〜126のそれぞれを、耐久性試験を経ずに高温高湿の環境下に置いたものについて、下記の方法により封止性能(耐性試験前の封止性能)を評価した。
【0127】
また、耐久性試験として、10cmの高さから100回の落下試験を行い、その後高温高湿の環境下に置いて封止性能(耐性試験後の封止性能)を評価した。結果を下記の表2に示す。
【0128】
(封止性能の評価方法)
模擬電子デバイスを温度85℃、相対湿度85%RHの環境下に500時間放置した後、マグネシウム層の腐食を観察した。マグネシウム層全体に対する腐食部分の面積の割合を求め、この腐食部分の面積の割合(%)を封止性能として下記基準により評価した:
◎:腐食が観察されず、封止性能が非常に高い
○:腐食があるが、腐食部分の面積の割合が0.5%未満であり、封止性能が高い
△:腐食があるが、腐食部分の面積の割合が0.5%以上1.5%未満であり、実用可能な封止性能である
×:腐食部分の面積の割合が1.5%以上であり、封止性能が低い。
【0129】
【表2】
【0130】
表2に示す結果から明らかなように、封止基材を構成する支持体の厚さが30μm以上である封止基材9〜11を用いた有機ELデバイス109〜111、116〜117、119、126では、接合部の厚さが薄いと、耐久性試験後の封止性能が劣る結果となった。一方、封止基材を構成する支持体の厚さが1μm未満である封止基材1を用いた有機ELデバイス101では、耐久性試験後だけでなく、耐久性試験前であっても封止性能が劣る結果となった。
【0131】
これに対し、封止基材を構成する支持体の厚さが1μm以上30μm未満である封止基材2〜8を用いた有機ELデバイスにおいて、接合部の厚さを薄くした場合(有機ELデバイス102〜108、112〜113、115、120〜125)には、耐久性試験前の封止性能、耐久性試験後の封止性能のいずれも優れた性能を示した。一方、封止基材を構成する支持体の厚さが1μm以上30μm未満である封止基材5を用いた場合であっても、接合部の厚さが100nm超の場合(接合方法IV−1)には、耐久性試験後の封止性能が劣る結果となった。これは、接合部の厚さが厚いことに起因して、この接合部から水分が侵入してしまう結果、有機EL素子が劣化したものと考えられる。
【0132】
<実施例2>
〔封止基材12〜15の作製〕
上述したPETフィルムに代えて、下記の樹脂フィルムを支持体として用いたこと以外は、上述した封止基材1と同様の手法により、封止基材12〜15を作製した。
【0133】
封止基材12:ゼオノアフィルム(登録商標)ZF−14、日本ゼオン社製のシクロオレフィンポリマー(略称:COP)フィルム、ヤング率2.2GPa、厚さ25μm
封止基材13:ユーピレックス(登録商標)25SGA、宇部興産社製のポリイミド(略称:PI)フィルム、ヤング率9.2GPa、厚さ25μm
封止基材14:LLリニアローデンシティポリエチレンフィルムLL−XHT、フタムラ化学社製の低密度ポリエチレン(略称:LDPE)フィルム、ヤング率0.7GPa、厚さ25μm
封止基材15:無延伸ポリプロピレンフィルムFG−LTH、フタムラ化学社製の無延伸ポリプロピレン(略称:CPP)フィルム、ヤング率1.1GPa、厚さ25μm
〔模擬電子デバイス201〜204の作製〕
封止基材として封止基材1に代えて封止基材12〜15のいずれかを用いたこと以外は、上述した模擬電子デバイス108の作製と同様にして、模擬電子デバイス201〜204を作製した。
【0134】
〔評価〕
上記で作製した模擬電子デバイス201〜204について、上記と同様にして、耐久性試験前後の封止性能を評価した。結果を下記の表3に示す。
【0135】
【表3】
【0136】
表3に示す結果から明らかなように、封止基材を構成する支持体のヤング率が1GPa未満である場合(封止基材14を用いた場合)には、接合部の厚さが薄いと、耐久性試験後の封止性能が劣る結果となった。これに対し、封止基材を構成する支持体のヤング率が1〜10GPaであると、耐久性試験前後において優れた封止性能が達成された。
【0137】
<実施例3>
〔封止基材16〜19の作製〕
支持体の表面に形成されるアンダーコート層(有機層)の厚さを下記の表4に示すように変更したこと以外は、上述した封止基材1と同様の手法により、封止基材16〜19を作製した。
【0138】
〔模擬電子デバイス301〜304の作製〕
封止基材として封止基材1に代えて封止基材16〜19のいずれかを用いたこと以外は、上述した模擬電子デバイス108の作製と同様にして、模擬電子デバイス301〜304を作製した。
【0139】
〔評価〕
上記で作製した模擬電子デバイス301〜304について、上記と同様にして、耐久性試験前後の封止性能を評価した。結果を下記の表4に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
表4に示す結果から、ガスバリア層を構成するアンダーコート層(有機層)の無機バリア層側の表面粗さ(Ra)が小さいほど、封止性能の向上がみられた。
【0142】
<実施例4>
〔有機ELデバイス401の作製〕
厚さ0.7mmのガラス基板上に、ポリイミドU−Varnish−S(宇部興産社製)をキャスト成膜し、350℃で30分焼成して厚さ25μmのポリイミド膜を形成し、主基材を作製した。このようにして形成された主基材のポリイミド膜上に、640画素×480画素からなる画素部および駆動回路部を設けた。そして、この画素部および駆動回路部に接するように50nmのモリブデン/200nmのアルミニウム/50nmのモリブデンを順に積層した後、フォトリソグラフィー法により電極形状に成形して、引き出し電極を形成した。この引き出し電極の断面形状は台形であり、底辺の長さが150μm、上辺の長さが145μm、厚さ300nmであった。その後、陽極および陰極の端部を除いて主基材全面を被覆するように、PECVD法により200nmのSiO膜を保護層として形成して、有機EL素子本体を作製した。
【0143】
続いて、上記で作製した封止基材8をサイズ50mm×50mmに切り出し、主基材の周縁部(引き出し電極が存在する)と封止基材の周縁部とを上述した接合方法I−1により接合して封止を行い、最後に主基材であるポリイミド膜をガラス基板から剥離して有機ELデバイス401を作製した。なお、このようにして形成されたポリイミド膜のヤング率は9.4GPaであった。
【0144】
〔有機ELデバイス402〜424の作製〕
上記有機ELデバイス401の作製において、主基材(ポリイミド膜)の厚さ、封止基材の種類および主基材と封止基材との接合方法を下記の表5に示すように変更したこと以外は同様にして、有機ELデバイス402〜424を作製した。
【0145】
〔評価〕
上記で作製した模擬電子デバイス401〜424について、上記と同様の耐久性試験の前後に、以下の方法を用いて耐性試験後の封止性能を評価した。結果を下記の表5に示す。
【0146】
(封止性能の評価方法)
有機ELデバイスを、温度40℃、相対湿度50%RHの環境下で10mA/cmの電流を流しながら250時間保存した。その後、室温下においた有機ELデバイスに1mA/cmの電流を流して得られた発光像を撮影し、得られた画像の領域全体に対するダークスポットの面積の割合(%)を算出した。このダークスポットの面積の割合を封止性能として、下記基準により評価した:
◎:ダークスポットの面積の割合は0%であり、封止性能が非常に高い
○:ダークスポットの面積の割合が0%より大きく0.2%以下であり、封止性能が高い
△:ダークスポットの面積の割合が0.2%より大きく0.5%以下であり、実用できる程度の封止性能がある
×:ダークスポットの面積の割合が0.5%より大きく、封止性能が低い。
【0147】
【表5】
【0148】
表5に示す結果から、主基材として厚さ25μmのポリイミド(PI)フィルムを用いた場合には、封止基材を構成する支持体の厚さにかかわらず、優れた封止性能が達成されたことがわかる。一方、主基材であるPIフィルムの厚さを50μmとすると、封止基材を構成する支持体の厚さが1μm以上30μm未満である場合には優れた封止性能が達成できたが、当該支持体の厚さが1μm未満であるデバイス413や厚さが30μm以上であるデバイス421〜423では、耐久性試験後の封止性能が劣る結果となった。
【0149】
<実施例5>
〔封止基材20の作製〕
厚さ50μmのシクロオレフィンコポリマー(略称:COP)フィルムZF−14 50μm(日本ゼオン社製)を支持体として用意した。
【0150】
上記支持体の一方の表面に、コロナ放電により表面活性化処理を施した。また、UV硬化型樹脂オプスター(登録商標)Z7527(JSR社製)に、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を添加して、固形分濃度が30質量%となるように塗布液を調製した。この塗布液を、乾燥後の膜厚が3μmとなるように、押し出しコーターにより支持体の表面活性化処理された面に塗布した。塗布膜を温度80℃で3分間乾燥した後、高圧水銀ランプにより積算光量0.5J/cmの紫外光を照射して硬化させ、アンダーコート層(有機層)を形成した。このようにして形成されたアンダーコート層(有機層)について、以下の測定方法によりナノインデンテーション弾性率(@23℃50%RH)を測定したところ、5.5GPaであった。
【0151】
(ナノインデンテーション弾性率の測定方法)
エスアイアイナノテクノロジー社製走査型プローブ顕微鏡SPA400、Nano Navi IIを用いて測定を行った。測定には、圧子としてCube corner Tip(先端稜角90°)と呼ばれる三角錘型ダイヤモンド製圧子を用いた。三角錘型ダイヤモンド製圧子を試料表面に直角に当て、最大深さが15nmになるまで徐々に荷重を印加し、最大荷重到達後に荷重を0にまで徐々に戻した。負荷および除荷ともそれぞれ5秒間で行った。
【0152】
ナノインデンテーション弾性率(GPa)は、除荷曲線の傾きをS(μN/nm)として、下記式を用いて算出した。
【0153】
【数1】
【0154】
式中、A(μm)は圧子接触部の投影面積を表し、πは円周率を表す。また、標準試料として、付属の溶融石英を押し込んだ結果得られる硬さが9.5±1.5GPaとなるよう、事前に装置を校正して測定した。
【0155】
続いて、上記アンダーコート層(有機層)の露出表面上に、タイプ01の無機バリア層(無機層)を下記手順により形成して、アンダーコート層(有機層)および無機バリア層(無機層)からなるガスバリア層が支持体の片面上に形成されてなる封止基材20を作製した。なお、上記無機バリア層は2層から構成されている。
【0156】
(タイプ01の無機バリア層の形成方法)
まず、PECVD法を用いる成膜装置において、チャンバー内にヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸素ガスとの混合ガスを供給した。その後、電圧を印加してプラズマを発生させた放電領域にアンダーコート層付き支持体を搬送し、当該アンダーコート層上に1層目の無機バリア層を形成した。1層目の無機バリア層の厚さは80nmであった。
【0157】
ここで、1層目の無機バリア層の具体的な成膜条件は、以下のとおりである。
【0158】
(成膜条件)
ガスの混合比:ヘキサメチルジシロキサン/酸素=100/1000(それぞれの原料ガスの供給量の単位はsccm)
真空度:1.5Pa
プラズマ発生用電源の供給電力:1kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
支持体の搬送速度:5m/min
次いで、アミン触媒として1質量%のN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサンおよび19質量%のパーヒドロポリシラザンを含むジブチルエーテル溶液NAX120−20(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)10gに、0.5gのアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートを加え、80℃で1時間の撹拌を行い、放冷して、2層目の無機バリア層の塗布液を調製した。
【0159】
大気中、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で、上記で形成した1層目の無機バリア層上に、上記で調製した2層目の無機バリア層の塗布液を、乾燥膜厚が150nmになるように押し出しコーターにより塗布した。室温で10分間乾燥後、酸素濃度を0.01〜0.10体積%の範囲内に調整した窒素雰囲気下で、波長172nm、積算光量2J/cmの真空紫外線を80℃で照射して、2層目の無機バリア層を形成した。
【0160】
ここで、得られた封止基材20について、フィルム透過性評価装置(株式会社日本エイピーアイ製API−BA90)を用いて、40℃90%RHにおける水蒸気透過率(WVTR)を測定したところ、6.0×10−5g/m・dayであった。
【0161】
〔封止基材21〜27の作製〕
酢酸ビニル含有率および重量平均分子量(Mw)、並びにナノインデンテーション弾性率(@23℃50%RH)が異なるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)をそれぞれ準備し(下記の表6を参照)、溶融押し出し方式により塗布後の膜厚が5μmになるようにコーティングすることによりアンダーコート層(有機層)を形成したこと以外は、上述した封止基材20の作製と同様にして、封止基材21〜27をそれぞれ作製した。封止基材20〜27の構成およびガスバリア性(水蒸気透過率(WVTR))について、下記の表6に示す。
【0162】
【表6】
【0163】
表6から明らかなように、組成および重量平均分子量の異なるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)を用いて、ナノインデンテーション弾性率の異なるアンダーコート層(有機層)を形成したところ、当該弾性率が0.01GPa未満(封止基材21)では、封止基材のガスバリア性が十分に実現できないことがわかる。
【0164】
〔有機ELデバイス501の作製〕
厚さ0.7mmのガラス基板上に、ポリイミドU−Varnish−S(宇部興産社製)をキャスト成膜し、350℃で30分焼成して厚さ25μmのポリイミド膜を形成し、主基材を作製した。このようにして形成された主基材のポリイミド膜(単層でのヤング率@25℃:9.8GPa)上に、640画素×480画素からなる画素部および駆動回路部を設けた。そして、この画素部および駆動回路部に接するように50nmのモリブデン/200nmのアルミニウム/50nmのモリブデンを順に積層した後、フォトリソグラフィー法により電極形状に成形して、引き出し電極を形成した。この引き出し電極の断面形状は台形であり、底辺の長さが20μm、上辺の長さが18μm、厚さ300nmであった。その後、陽極および陰極の端部を除いて主基材全面を被覆するように、PECVD法により100nmのSiN膜を保護層として形成して、有機EL素子本体を作製した。
【0165】
続いて、上記で作製した封止基材20をサイズ50mm×50mmに切り出し、主基材の周縁部(引き出し電極が存在する)と封止基材の周縁部とを以下の接合方法I−2により接合して封止を行い、最後に主基材であるポリイミド膜をガラス基板から剥離して有機ELデバイス501を作製した。
【0166】
(接合方法I−2)
封止基材20並びに有機EL素子本体が形成された主基材を、封止基材20のガスバリア層が有機EL素子本体と向き合うようにして図2に示す常温接合装置130のターゲットステージ1(133)およびターゲットステージ2(134)のホルダーにそれぞれセットした。さらに、主基材および封止基材のそれぞれの対向面上に金属マスクを配置した。なお、この金属マスクには、接合しろに対応する領域にスリットが設けられていた。
【0167】
マスクを配置後、常温接合装置130において1×10−6Paの真空圧下でイオンガン132により逆スパッタリングを行うことにより、主基材および封止基材の接合しろの領域を清浄化処理および表面活性化処理した。この逆スパッタリングでは、加速電圧を0.1〜2kVの範囲内とし、電流値を1〜20mAの範囲内として、1〜10分間のArイオンの照射を行った。
【0168】
次に、ケイ素(Si)をターゲットとしてスパッタリングを行い、20nmのケイ素(Si)膜を接合しろの領域に形成した。このスパッタリングは、加速電圧1.5kV、電流値100mAで3分間行った。さらに、ケイ素(Si)膜上を逆スパッタリングすることにより、表面活性化処理を行った。逆スパッタリングの処理条件は、上述した主基板および封止基材に対する逆スパッタリングの処理条件と同じである。
【0169】
金属マスクを取り除き、真空度を1×10−7Paに調整した後、主基材と封止基材との接合しろを接触させ、20MPaの加圧を3分間行うことにより接合した。
【0170】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間のケイ素(Si)膜の厚さの合計を接合部の厚さとして測定したところ、50.0nmであった。
【0171】
〔有機ELデバイス502の作製〕
主基材と封止基材との周縁部どうしの接合を、以下の接合方法II−2により行ったこと以外は、有機ELデバイス501の作製と同様にして、有機ELデバイス502を作製した。
【0172】
(接合方法II−2)
接合方法I−2と同様の金属マスクを用いて、主基材と封止基材との接合しろをプラズマドライクリーナーModel PC−300(サムコ社製)を用いて表面活性化処理した。表面活性化処理は、真空度30Pa、酸素流量10ml/min、放電電力100W、処理時間5分の処理条件で実施した。金属マスクを取り除き、主基材および封止基材のそれぞれを温度25℃、相対湿度80%RHの環境下に3分間さらした。真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して0.5MPaの加圧および80℃の加温を5分間行うことにより、主基材と封止基材とを接合した。
【0173】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の距離を接合部の厚さとして測定したところ、0.1nmであった。
【0174】
〔有機ELデバイス503の作製〕
主基材と封止基材との周縁部どうしの接合を、以下の接合方法III−2により行ったこと以外は、有機ELデバイス501の作製と同様にして、有機ELデバイス503を作製した。
【0175】
(接合方法III−2)
接合方法I−2と同様の金属マスクを用いて、主基材と封止基材との接合しろをプラズマドライクリーナーModel PC−300(サムコ社製)を用いて表面活性化処理した。表面活性化処理は、真空度30Pa、酸素流量10ml/min、放電電力100W、処理時間5分の処理条件で実施した。
【0176】
次に、シランカップリング剤KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)の温度23℃における飽和蒸気下に金属マスクされた封止基材を3分間さらして、封止基材の周縁部にシランカップリング剤KBM−903からなる接着層を形成した。一方、シランカップリング剤KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製)の温度23℃における飽和蒸気下に金属マスクされた有機EL素子を3分間さらして、主基材の周縁部にシランカップリング剤KBM−403からなる接着層を形成した。
【0177】
金属マスクを取り除いた後、真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して0.5MPaの加圧および80℃の加温を5分間行うことにより、主基材と封止基材とを接合した。
【0178】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の接着層の厚さを接合部の厚さとして測定したところ、1.0nmであった。
【0179】
〔有機ELデバイス504の作製〕
主基材と封止基材との周縁部どうしの接合を、以下の接合方法VI−2により行ったこと以外は、有機ELデバイス501の作製と同様にして、有機ELデバイス504を作製した。
【0180】
(接合方法VI−2)
接合方法I−2と同様の金属マスクを用いて、主基材と封止基材との接合しろをプラズマドライクリーナーModel PC−300(サムコ社製)を用いて表面活性化処理した。表面活性化処理は、真空度30Pa、酸素流量10ml/min、放電電力100W、処理時間5分の処理条件で実施した。
【0181】
次に、分子接着剤として、5質量%のエタノール水溶液を溶媒とする6−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム(TES)の0.2質量%溶液を調製した。封止基材の接合しろ以外の領域に金属マスクを配置した状態で、上記で調製した溶液中に浸漬し、オーブン中で温度100℃にて15分間加熱した。さらに、封止基材をエタノールで洗浄し、ドライヤーで乾燥して、封止基材の接合しろにTESからなる接着層を形成した。
【0182】
封止基材から金属マスクを取り除いた後、真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して0.5MPaの加圧および80℃の加温を5分間行うことにより、主基材と封止基材とを接合した。
【0183】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の接着層の厚さを接合部の厚さとして測定したところ、10.0nmであった。
【0184】
〔有機ELデバイス505の作製〕
主基材と封止基材との周縁部どうしの接合を、以下の接合方法V−2により行ったこと以外は、有機ELデバイス501の作製と同様にして、有機ELデバイス506を作製した。
【0185】
(接合方法V−2)
下記接着剤成分を混合し、80℃に加熱した後、撹拌混合器ホモディスパーL型(プライミクス社製)を用いて、3000rpmの撹拌速度で均一に撹拌および混合し、エポキシ樹脂を主成分とする接着剤を得た。
【0186】
(接着剤成分)
エポキシ樹脂YL983U(常温で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学社製):50質量部
セロキサイド(登録商標)2021P(常温で液状の脂環式エポキシ樹脂(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ダイセル社製):20質量部
エポキシ樹脂jER1001(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製):30質量部
ゲル化剤ゼフィアック(登録商標)F351(アクリル系コアシェル粒子、ガンツ化成社製):20質量部
光カチオン重合開始剤CPI(登録商標)−210S(サンアプロ社製):2質量部
シランカップリング剤KBM−403(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製):1質量部
得られた接着剤をディスペンサーを用いて2mg/cmの吐出量で吐出し、封止基材の接着しろの領域に塗布した。真空ラミネーターを用いて、接着剤を塗布した封止基材を主基材に接触させ、0.1MPaの加圧を行った。その後、高圧水銀灯を用いて積算光量2J/cmの紫外光を温度80℃で照射し、30分間の硬化処理を行って、主基材と封止基材とを接合した。
【0187】
主基材と封止基材との接合部の断層写真を撮影し、主基材と封止基材との間の接着層の厚さを接合部の厚さとして測定したところ、100.0nmであった。
【0188】
〔有機ELデバイス506〜525の作製〕
封止基材として封止基材20に代えて封止基材21〜27のいずれかと、接合方法として接合方法I−2〜VI−2のいずれかとを、下記の表7に示す組み合わせで用いたこと以外は、上述した有機ELデバイス501の作製と同様にして、有機ELデバイス506〜525を作製した。
【0189】
〔評価〕
(耐性試験後の封止性能)
上記で作製した有機ELデバイス501〜525について、実施例4と同様の耐久性試験の前後に、以下の方法を用いて耐性試験後の封止性能を評価した。結果を下記の表7に示す。
【0190】
有機ELデバイスを、温度40℃、相対湿度50%RHの環境下で10mA/cmの電流を流しながら250時間保存した。その後、室温下においた有機ELデバイスに1mA/cmの電流を流して得られた発光像を撮影し、得られた画像の領域全体に対するダークスポットの面積の割合(%)を算出した。このダークスポットの面積の割合を封止性能として、下記基準により評価した。結果を下記の表7に示す:
◎:ダークスポットの面積の割合は0%であり、封止性能が非常に高い
○:ダークスポットの面積の割合が0%より大きく0.2%以下であり、封止性能が高い
△:ダークスポットの面積の割合が0.2%より大きく0.5%以下であり、実用できる程度の封止性能がある
×:ダークスポットの面積の割合が0.5%より大きく、封止性能が低い。
【0191】
(高湿耐性試験後の封止性能)
上記で作製した有機ELデバイス501〜525に対し、温度40℃、相対湿度90%RHの環境下で10mA/cmの電流を流しながら250時間保存した。その後、室温下においた有機ELデバイスに1mA/cmの電流を流して得られた発光像を撮影し、得られた画像の領域全体に対するダークスポットの面積の割合(%)を算出した。このダークスポットの面積の割合を封止性能として、上記と同様の基準により評価した。結果を下記の表7に示す。
【0192】
(屈曲試験後の封止性能)
上記で作製した有機ELデバイス501〜525を直径10mmφの円柱に1秒間かけて巻き取った後、1秒間かけて巻き出して平面に戻す操作を、10万サイクル繰り返す屈曲試験を実施した。
【0193】
さらに、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下で250時間保存した後、上記高湿耐性試験後の封止性能の評価と同様にして屈曲試験後の封止性能を評価した。結果を下記の表7に示す。
【0194】
(温湿度サイクル試験後の封止性能)
温湿度サイクル試験として下記工程(1)〜(3)を100サイクル実施した後、上記高湿耐性試験後の封止性能の評価と同様にして温湿度サイクル試験後の封止性能を評価した。結果を下記の表7に示す。
(1)各有機ELデバイスを温度25℃、相対湿度20%RHの環境に置いた後、1時間かけて温度85℃に昇温した。さらに、1時間かけて相対湿度を85%RHに上げ、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下に1時間保持した。
(2)1時間かけて相対湿度を20%RHに下げて、さらに2時間かけて温度−35℃まで降温し、温度−35℃、相対湿度20%RHの環境下に1時間保持した。
(3)1時間かけて温度を25℃に昇温し、温度25℃、相対湿度20%RHの環境に戻した。
【0195】
【表7】
【0196】
表7に示す結果から明らかなように、本発明に係る封止構造体であっても、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率が0.01GPa未満の封止基材21を用いた有機ELデバイス506〜507では、耐久性試験の前後において耐性試験後の封止性能はある程度優れるものであったが、封止基材自体のガスバリア性がやや劣る結果、接合部の厚さを薄くした場合に、高湿耐性試験後の封止性能、屈曲試験後の封止性能、および温湿度サイクル試験後の封止性能のいずれも十分ではない結果となった。また、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率が1.0GPa超の封止基材20を用いた有機ELデバイス501〜505や、封止基材27を用いた有機ELデバイス521〜525は、耐久性試験の前後において耐性試験後の封止性能は優れていた。しかしながら、封止基材自体のガスバリア性は十分であったにもかかわらず、接合部の厚さを薄くした場合には屈曲試験後の封止性能および温湿度サイクル試験後の封止性能が十分ではない結果となった。これは、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率が大きすぎることで、接合部の凹凸に対してガスバリア層が十分に追随できないことによるものと推測される。
【0197】
これに対し、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率が0.01〜1.0GPaの封止基材22〜26を用いた有機ELデバイス508〜520は、耐久性試験の前後における耐性試験後の封止性能に優れることに加えて、接合部の厚さを薄くした場合に、耐性試験後の封止性能、屈曲試験後の封止性能、および温湿度サイクル試験後の封止性能のいずれも優れた性能を示した。
【0198】
<実施例6>
〔封止基材28〜32の作製〕
EVA樹脂に代えて下記の樹脂を用いたこと以外は、上述した封止基材21〜27の作製と同様にして、封止基材28〜32を作製した。
【0199】
封止基材28:ニュクレル(登録商標)AN4228C(三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクル酸共重合樹脂、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率:0.09GPa)
封止基材29:ニュクレル(登録商標)AN4214C(三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクル酸共重合樹脂、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率:0.2GPa)
封止基材30:NUC8452D(株式会社NUC社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率:0.07GPa)
封止基材31:プリマロイ(登録商標)CP300(三菱化学社製、ポリエステル系エラストマー、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率:0.3GPa)
封止基材32:プリマロイ(登録商標)CP200(三菱化学社製、ポリエステル系エラストマー、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率:1.1GPa)
〔有機ELデバイス601〜605の作製〕
封止基材として封止基材20に代えて封止基材28〜32のいずれかを用いたこと以外は、上述した有機ELデバイス501の作製と同様にして、有機ELデバイス601〜605を作製した。
【0200】
〔評価〕
上記で作製した有機ELデバイス601〜605について、上記と同様にして、耐久性試験前後における耐性試験後の封止性能、高湿耐性試験後の封止性能、屈曲試験後の封止性能、および温湿度サイクル試験後の封止性能を評価した。結果を下記の表8に示す。
【0201】
【表8】
【0202】
表8に示す結果から明らかなように、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率が1.0GPa超の封止基材32を用いた有機ELデバイス205は、耐久性試験の前後において耐性試験後の封止性能は優れていた。しかしながら、封止基材自体のガスバリア性は十分であり、接合部の厚さを薄くしたにもかかわらず、屈曲試験後の封止性能および温湿度サイクル試験後の封止性能が十分ではない結果となった。これは、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率が大きすぎることで、接合部の凹凸に対してガスバリア層が十分に追随できないことによるものと推測される。
【0203】
これに対し、アンダーコート層(有機層)のナノインデンテーション弾性率が0.01〜1.0GPaの封止基材28〜31を用いた有機ELデバイス601〜604は、耐久性試験の前後における耐性試験後の封止性能に優れることに加えて、耐性試験後の封止性能、屈曲試験後の封止性能、および温湿度サイクル試験後の封止性能のいずれも優れた性能を示した。
【0204】
本出願は、2015年2月17日に出願された日本特許出願番号2015−028931号および日本特許出願番号2015−028932号に基づいており、それらの開示内容は、参照により全体として組み入れられている。
【符号の説明】
【0205】
10 電子デバイス、
11、81 主基材、
12 封止基材、
12a 支持体
12b アンダーコート層(有機層)
12c 無機バリア層(無機層)
13 有機EL素子本体、
14、82 引き出し電極、
15 保護層、
16 接合部、
17 第1電極(陽極)、
18 正孔輸送層、
19 発光層、
20 電子輸送層、
21 第2電極(陰極)、
70 板、
83 マグネシウム層、
84 接合しろ、
127 主基材と封止基材との界面
130 常温接合装置、
131 真空チャンバー、
132 イオンガン(スパッタリング源)、
133 ターゲットステージ1、
134 ターゲットステージ2。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】