特表-16140040IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2016-140040冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月9日
【発行日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 105/38 20060101AFI20171117BHJP
   C10M 129/16 20060101ALI20171117BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20171117BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20171117BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20171117BHJP
【FI】
   C10M105/38
   C10M129/16
   C09K5/04 F
   C10N30:06
   C10N40:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2017-503395(P2017-503395)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年2月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-40383(P2015-40383)
(32)【優先日】2015年3月2日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】JXTGエネルギー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】多田 亜喜良
(72)【発明者】
【氏名】澤田 健
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA03A
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BB08A
4H104BB08C
4H104BB12A
4H104BB31A
4H104BB34A
4H104BB41A
4H104CB02A
4H104CB14A
4H104CD04A
4H104CJ02A
4H104DA02A
4H104LA03
4H104PA20
(57)【要約】
本発明は、基油としての多価アルコールと脂肪酸とのエステルと、多価アルコールのエーテル化合物と、を含有し、不飽和フッ化炭化水素冷媒と共に用いられる、冷凍機油を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油としての多価アルコールと脂肪酸とのエステルと、
多価アルコールのエーテル化合物と、
を含有し、
不飽和フッ化炭化水素冷媒と共に用いられる、冷凍機油。
【請求項2】
前記多価アルコールのエーテル化合物が下記式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の冷凍機油。
【化1】
[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基を表す。ただし、R、R及びRの少なくとも一つは水素原子以外の基を表す。]
【請求項3】
前記多価アルコールのエーテル化合物の含有量が、前記冷凍機油全量基準で0.4質量%以下である、請求項1又は2に記載の冷凍機油。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷凍機油と、
不飽和フッ化炭化水素冷媒と、
を含有する、冷凍機用作動流体組成物。
【請求項5】
前記不飽和フッ化炭化水素が、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペンから選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の冷凍機用作動流体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫、カーエアコン、ルームエアコン、自動販売機などの冷凍機は、冷媒を冷凍サイクル内に循環させるためのコンプレッサを備える。そして、コンプレッサには、摺動部材を潤滑するための冷凍機油が充填される。このように、冷凍機油は冷凍機内で冷媒と共存するため、冷凍機油に対しては、冷媒存在下での潤滑性、熱・化学的安定性や、冷媒との相溶性といった特性が要求される。
【0003】
例えば特許文献1には、特定の飽和フッ化炭化水素冷媒を用いた圧縮型冷凍機に使用された場合でも、熱・化学安定性に優れる圧縮型冷凍機用潤滑油組成物として、基油と、分子内に二重結合を有する特定の有機化合物を含有する潤滑油組成物が開示されている。
【0004】
一方、近年、環境への影響に鑑みて、オゾン破壊係数及び地球温暖化係数が非常に小さい不飽和フッ化炭化水素冷媒の使用が提案されている。これに対して、上述した冷凍機油に要求される諸特性は共存する冷媒の種類によって予想し得ない挙動を示すため、例えば特許文献1に記載されているような飽和フッ化炭化水素冷媒に対して優れた特性を示す冷凍機油が、必ずしも不飽和フッ化炭化水素冷媒に対しても優れた特性を示すとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−72273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、不飽和フッ化炭化水素冷媒の存在下での潤滑性(特に耐摩耗性)に優れる冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基油としての多価アルコールと脂肪酸とのエステルと、多価アルコールのエーテル化合物と、を含有し、不飽和フッ化炭化水素冷媒と共に用いられる冷凍機油を提供する。
【0008】
多価アルコールのエーテル化合物は、好ましくは下記式(1)で表される化合物である。
【化1】
[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基を表す。ただし、R、R及びRの少なくとも一つは水素原子以外の基を表す。]
【0009】
多価アルコールのエーテル化合物の含有量は、好ましくは冷凍機油全量基準で0.4質量%以下である。
【0010】
本発明はまた、上記の冷凍機油と、不飽和フッ化炭化水素冷媒と、を含有する冷凍機用作動流体組成物を提供する。
【0011】
不飽和フッ化炭化水素は、好ましくは1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペンから選ばれる少なくとも1種である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、不飽和フッ化炭化水素冷媒の存在下での潤滑性(特に耐摩耗性)に優れる冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
冷凍機油は、基油としての多価アルコールと脂肪酸とのエステルと、多価アルコールのエーテル化合物とを含有する。
【0015】
多価アルコールと脂肪酸とのエステル(以下「ポリオールエステル」ともいう。)を構成する多価アルコールは、好ましくは2〜6個の水酸基を有する多価アルコールである。多価アルコールの炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、また、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのヒンダードアルコールが好ましく用いられる。冷媒との相溶性及び加水分解安定性に特に優れることから、ペンタエリスリトールを用いること、又はペンタエリスリトールとジペンタエリスリトールとを併用することがより好ましい。
【0016】
ポリオールエステルを構成する脂肪酸は、好ましくは飽和脂肪酸である。脂肪酸の炭素数は、好ましくは4〜20である。炭素数4〜20の脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸等が挙げられる。これらの炭素数4〜20の脂肪酸は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、好ましくは分岐状である。
【0017】
ポリオールエステルを構成する脂肪酸における炭素数4〜20の脂肪酸の割合は、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。炭素数4〜18の脂肪酸の割合が上記の範囲であることがより好ましく、炭素数4〜9の脂肪酸の割合が上記の範囲であることが更に好ましく、炭素数5〜9の脂肪酸の割合が上記の範囲であることが特に好ましい。
【0018】
ポリオールエステルを構成する脂肪酸における炭素数4〜20の分岐脂肪酸の割合は、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。炭素数4〜18の分岐脂肪酸の割合が上記の範囲であることがより好ましく、炭素数4〜9の分岐脂肪酸の割合が上記の範囲であることが更に好ましく、炭素数5〜9の分岐脂肪酸の割合が上記の範囲であることが特に好ましい。
【0019】
炭素数4〜20の分岐脂肪酸は、好ましくはα位及び/又はβ位に分岐を有する脂肪酸であり、より好ましくは、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、又は2−エチルヘキサデカン酸であり、更に好ましくは2−エチルヘキサン酸、又は3,5,5−トリメチルヘキサン酸である。
【0020】
脂肪酸は、炭素数4〜20の脂肪酸以外の脂肪酸を含有していてもよい。炭素数4〜20の脂肪酸以外の脂肪酸としては、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等が例示される。これらの脂肪酸は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0021】
ポリオールエステルは、多価アルコールの水酸基の一部がエステル化されずに水酸基のまま残っている部分エステルであってもよく、全ての水酸基がエステル化された完全エステルであってもよく、部分エステルと完全エステルとの混合物であってもよい。ポリオールエステルの水酸基価は、好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは5mgKOH/g以下、更に好ましくは3mgKOH/g以下である。本発明における水酸基価は、JIS K0070:1992に準拠して測定された水酸基価を意味する。
【0022】
ポリオールエステルの含有量は、冷凍機油全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であってよい。ポリオールエステルの含有量は、冷凍機油全量基準で99質量%以下であってよい。
【0023】
基油は、上記ポリオールエステルに加えて、その他の基油を含有していてもよい。その他の基油としては、例えば、鉱油、オレフィン重合体、ナフタレン化合物、アルキルベンゼン等の炭化水素系油、上記ポリオールエステル以外のエステル系基油、ポリグリコール、ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなどの含酸素合成油が挙げられる。含酸素合成油は、好ましくはポリグリコール、ポリビニルエーテル、ケトンである。その他の基油の含有量は、基油全量基準で50質量%以下であってよい。
【0024】
基油の40℃における動粘度は、潤滑性(特に耐摩耗性)を更に向上させる観点から、好ましくは3mm/s以上、より好ましくは4mm/s以上、更に好ましくは5mm/s以上、特に好ましくは10mm/sであり、また、油戻り性向上の観点から、好ましくは1000mm/s以下、より好ましくは500mm/s以下、更に好ましくは400mm/s以下、特に好ましくは300mm/s以下である。基油の100℃における動粘度は、潤滑性(特に耐摩耗性)を更に向上させる観点から、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは2mm/s以上、更に好ましくは4mm/s以上であり、また、油戻り性向上の観点から、好ましくは100mm/s以下、より好ましくは50mm/s以下、更に好ましくは30mm/s以下である。本発明における動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定された動粘度を意味する。
【0025】
多価アルコールのエーテル化合物は、例えば3〜6個の水酸基を有する多価アルコールのエーテル化合物である。多価アルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールが挙げられる。
【0026】
具体的には、多価アルコールのエーテル化合物としては、下記式(1)〜(6)のいずれかで表される化合物が例示される。
【0027】
【化2】
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基、又は、−(RO)−Rで表されるグリコールエーテル残基を表す。ただし、各式において、Rの少なくとも一つは水素原子以外の基を表す。Rは炭素数2〜6のアルキレン基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。上記のアルキル基及びアルケニル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。mは、1以上の整数を表し、例えば1〜20の整数、1〜10の整数、又は1〜3の整数であってよい。
【0034】
多価アルコールのエーテル化合物は、好ましくは、式(1)〜(6)におけるRの少なくとも一つが水素原子である部分エーテル化合物であり、より好ましくは、式(1)〜(6)におけるRのうち一つが水素原子以外であり、かつそれ以外のRがすべて水素原子であるモノエーテル化合物である。
【0035】
多価アルコールのエーテル化合物は、潤滑性を更に向上させる観点から、好ましくは式(1)で表される化合物である。
【0036】
多価アルコールのエーテル化合物が式(1)で表される化合物(グリセリルエーテル)である場合、R、R及びRは、好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又は、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又は、炭素数1〜22のアルキル基若しくはアルケニル基である。ただし、R、R及びRの少なくとも一つは、水素原子以外の基である。この場合、アルキル基、アルケニル基及びアリール基の炭素数は、好ましくは4〜20であってもよく、より好ましくは8〜18であってもよい。式(1)で表される化合物(グリセリルエーテル)は、更に好ましくは、R、R及びRのうち二つが水素原子であり、かつR、R及びRのうち一つが水素原子以外の基であるグリセリルモノエーテルである。
【0037】
多価アルコールのエーテル化物は、下記式(7)で表される化合物であってもよい。
【化8】
[式(7)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、nは1以上の整数を表す。ただし、R、R及びRの少なくとも一つは、炭化水素基を表す。]
【0038】
、R及びRで表される炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基等が挙げられる。当該アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。nは、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは1〜3の整数である。
【0039】
式(7)で表される化合物としては、グリセリンモノドデシルエーテル、グリセリンモノテトラデシルエーテル、グリセリンモノヘキサデシルエーテル(キミルアルコール)、グリセリンモノオクタデシルエーテル(バチルアルコール)、グリセリンモノオレイルエーテル(セラキルアルコール)、ジグリセリンモノドデシルエーテル、ジグリセリンモノテトラデシルエーテル、ジグリセリンモノヘキサデシルエーテル、ジグリセリンモノオクタデシルエーテル、ジグリセリンモノオレイルエーテル、トリグリセリンモノドデシルエーテル、トリグリセリンモノテトラデシルエーテル、トリグリセリンモノヘキサデシルエーテル、トリグリセリンモノオクタデシルエーテル、トリグリセリンモノオレイルエーテル等が挙げられる。これらの中では、グリセリンモノオクタデシルエーテル、グリセリンモノオレイルエーテル、ジグリセリンモノオレイルエーテル、及びトリグリセリンモノオレイルエーテルが好ましく用いられる。
【0040】
多価アルコールのエーテル化合物の含有量は、潤滑性(特に耐摩耗性)を更に向上させる観点から、冷凍機油全量基準で、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、安定性を向上させ、特に析出を抑制する観点から、好ましくは0.4質量%以下、より好ましくは0.35質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下である。多価アルコールのエーテル化合物の含有量は、潤滑性(特に耐摩耗性)を更に向上させ、かつ安定性を向上させる(特に析出を抑制する)観点から、好ましくは、0.05〜0.4質量%、0.05〜0.35質量%、0.05〜0.3質量%、0.07〜0.4質量%、0.07〜0.35質量%、0.07〜0.3質量%、0.1〜0.4質量%、0.1〜0.35質量%、又は0.1〜0.3質量%である。
【0041】
冷凍機油は、多価アルコールのエーテル化合物に加えてその他の添加剤を更に含有していてもよい。その他の添加剤としては、酸捕捉剤、酸化防止剤、極圧剤、油性剤、消泡剤、金属不活性化剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、摩擦調整剤、防錆剤などが挙げられる。その他の添加剤の含有量は、冷凍機油全量基準で、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下であってよい。
【0042】
冷凍機油は、上記の添加剤の中でも、熱・化学的安定性を更に向上させる観点から、好ましくは酸捕捉剤を更に含有する。酸捕捉剤としては、例えばエポキシ化合物が挙げられる。
【0043】
エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、アリールオキシラン化合物、アルキルオキシラン化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステル、エポキシ化植物油が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0044】
グリシジルエーテル型エポキシ化合物は、例えば下記式(8)で表されるアリールグリシジルエーテル型エポキシ化合物又はアルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物である。
【化9】
[式(8)中、R10はアリール基又は炭素数5〜18のアルキル基を示す。]
【0045】
式(8)で表されるグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが好ましい。
【0046】
グリシジルエーテル型エポキシ化合物は、式(8)で表されるエポキシ化合物以外に、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロルプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルなどであってもよい。
【0047】
グリシジルエステル型エポキシ化合物は、例えば下記式(9)で表される化合物である。
【化10】
[式(9)中、R11はアリール基、炭素数5〜18のアルキル基、又はアルケニル基を示す。]
【0048】
式(9)で表されるグリシジルエステル型エポキシ化合物としては、グリシジルベンゾエート、グリシジルネオデカノエート、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが好ましい。
【0049】
脂環式エポキシ化合物は、下記式(10)で表される、エポキシ基を構成する炭素原子が直接脂環式環を構成している部分構造を有する化合物である。
【化11】
【0050】
脂環式エポキシ化合物としては、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサン等が挙げられる。
【0051】
アリールオキシラン化合物としては、スチレンオキシド、アルキルスチレンオキシド等を挙げることができる。
【0052】
アルキルオキシラン化合物としては、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサン等が挙げられる。
【0053】
エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と、炭素数1〜8のアルコール又はフェノール若しくはアルキルフェノールとのエステルを挙げることができる。エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、エポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニル及びブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
【0054】
エポキシ化植物油としては、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物が挙げられる。
【0055】
エポキシ化合物の含有量は、冷凍機油全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であってよく、また、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下であってよい。
【0056】
冷凍機油は、上記の添加剤の中でも、好ましくは酸化防止剤を更に含有する。酸化防止剤としては、ジ−tert.ブチル−p−クレゾール等のフェノール系化合物、アルキルジフェニルアミン等のアミン系化合物などが挙げられる。酸化防止剤の含有量は、冷凍機油全量基準で、例えば0.02質量%以上であってよく、また、0.5質量%以下であってよい。
【0057】
冷凍機油の体積抵抗率は、好ましくは1.0×1012Ω・cm以上、より好ましくは1.0×1013Ω・cm以上、更に好ましくは1.0×1014Ω・cm以上である。特に、密閉型の冷凍機に用いる場合には高い電気絶縁性が必要となる傾向にある。本発明における体積抵抗率は、JIS C2101:1999に準拠して測定された25℃での体積抵抗率を意味する。
【0058】
冷凍機油の水分含有量は、冷凍機油全量基準で、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。特に密閉型の冷凍機に用いる場合には、冷凍機油の熱・化学的安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが求められる。
【0059】
冷凍機油の酸価は、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下である。冷凍機油の水酸基価は、好ましくは5.0mgKOH/g以下、より好ましくは2.0mgKOH/g以下である。冷凍機油の酸価及び水酸基価が上記の条件を満たすと、冷凍機又は配管に用いられている金属への腐食をより防止できる。本発明における酸価は、JIS K2501:2003に準拠して測定された酸価を意味する。
【0060】
冷凍機油の灰分は、冷凍機油の熱・化学的安定性を高め、スラッジ等の発生を抑制する観点から、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下である。本発明における灰分は、JIS K2272:1998に準拠して測定された灰分を意味する。
【0061】
冷凍機油の流動点は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下、更に好ましくは−30℃以下であってよい。本発明における流動点は、JIS K2269:1987に準拠して測定された流動点を意味する。
【0062】
本実施形態に係る冷凍機油は、不飽和フッ化炭化水素冷媒と共に用いられる。本実施形態に係る冷凍機用作動流体組成物は、上述の冷凍機油と、不飽和フッ化炭化水素冷媒を含有する。
【0063】
すなわち、多価アルコールと脂肪酸とのエステルと、多価アルコールのエーテル化合物とを含有する組成物は、不飽和フッ化炭化水素冷媒と共に用いられる冷凍機油の構成成分として、又は冷凍機油と不飽和フッ化炭化水素冷媒とを含有する冷凍機用作動流体組成物の構成成分として好適に用いられる。また、多価アルコールと脂肪酸とのエステルと、多価アルコールのエーテル化合物とを含有する組成物は、不飽和フッ化炭化水素冷媒と共に用いられる冷凍機油、又は冷凍機油と不飽和フッ化炭化水素冷媒とを含有する冷凍機用作動流体組成物の製造に好適に用いられる。
【0064】
不飽和フッ化炭化水素冷媒としては、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ye)、及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)が挙げられる。これらの不飽和フッ化炭化水素冷媒は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。これらの中でも、冷媒雰囲気下における冷凍機油の安定性及びGWP低減の観点から、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)が好ましく、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)がより好ましい。
【0065】
冷媒は、不飽和フッ化炭化水素冷媒のみからなっていてもよく、不飽和フッ化炭化水素冷媒に加えてその他の冷媒を含有していてもよい。その他の冷媒としては、飽和フッ化炭化水素冷媒、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ビス(トリフルオロメチル)サルファイド冷媒、3フッ化ヨウ化メタン冷媒、ジメチルエーテル、二酸化炭素、アンモニア及び炭化水素等の自然系冷媒が例示される。
【0066】
飽和フッ化炭化水素冷媒としては、ジフルオロメタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、フルオロエタン(HFC−161)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)が挙げられる。これらの中でも、冷媒雰囲気下における冷凍機油の安定性及びGWP低減の観点から、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)が好ましい。
【0067】
不飽和フッ化炭化水素冷媒の含有量は、冷媒全量基準で、好ましくは25質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であってよい。
【0068】
冷凍機用作動流体組成物における冷凍機油の含有量は、冷媒100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であってよく、また、好ましくは500質量部以下、より好ましくは400質量部であってよい。
【0069】
冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物は、往復動式や回転式の密閉型圧縮機を有するエアコン、冷蔵庫、又は開放型若しくは密閉型のカーエアコンに好ましく用いられる。冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物は、除湿機、給湯器、冷凍庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラント等の冷却装置等に好ましく用いられる。冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物は、遠心式の圧縮機を有する冷凍機にも好ましく用いられる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0071】
実施例で用いた基油及び添加剤をそれぞれ以下に示す。表1は、基油として用いたエステルの構成及び動粘度を示している。
【0072】
[基油]
【表1】
a1:エチルビニルエーテルとイソブチルビニルエーテルとの共重合体
(エチルビニルエーテル/イソブチルビニルエーテル=9/1(モル比)、数平均分子量(Mn):1200、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn):1.23、40℃動粘度:67.8mm/s、100℃動粘度:8.20mm/s、粘度指数:86)
a2:ポリプロピレングリコールジメチルエーテル
(数平均分子量(Mn):1500、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn):1.10、全てのオキシアルキレン基に占めるオキシエチレン基の割合:0モル%、40℃動粘度:40.1mm/s、100℃動粘度:9.25mm/s、粘度指数:224)
[添加剤]
C1:グリセリンモノオレイルエーテル
C2:グリセリンモノステアリルエーテル
C3:グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテル
D1:グリシジルネオデカノエート
D2:2−エチルヘキシルグリシジルエーテル
D3:1,2−エポキシヘキサデカン
E1:2,6−ジ−tert.−ブチル−p−クレゾール
【0073】
上記の基油及び添加剤を用いて、表2〜4に示す組成を有する冷凍機油を調製した。各冷凍機油について、以下の耐摩耗性試験及び安定性試験を行った。
【0074】
[耐摩耗性試験]
耐摩耗性試験では、実コンプレッサと類似の冷媒雰囲気にできる、神鋼造機(株)製の高圧雰囲気摩擦試験機(回転ベーン材と固定ディスク材との回転摺動方式)を用いた。試験条件は、油量:600ml、試験温度:100℃、回転数:430rpm、負荷荷重:65kgf、試験時間:1時間、試験容器内圧力:1.1MPaとした。ベーン材としてはSKH−51、ディスク材としてはFC250をそれぞれ用いた。冷媒としては、表2〜3に示すとおり、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)又は1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)を用いた。耐摩耗性の評価は、ディスク材の摩耗量が極めて少ないことから、ベーン材の摩耗深さに基づいて行った。摩耗深さが、10μm未満の場合を「A」、10μm以上15μm未満の場合を「B」、15μm以上の場合を「C」として、結果を表2〜4に示す。
【0075】
[安定性試験]
安定性試験は、JIS K2211:2009(オートクレーブテスト)に準拠して行った。すなわち、水分含有量を100ppmに調整した冷凍機油80gをオートクレーブに秤取し、触媒(鉄、銅、アルミの線、いずれも外径1.6mm×長さ50mm)と、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)又は1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)20gとを封入した後、145℃に加熱し、150時間後の冷凍機油の外観及び酸価(JIS C2101:1999)を測定した。結果を表2〜4に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【国際調査報告】