特表-16143817IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2016-143817金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月15日
【発行日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20171124BHJP
   B32B 15/09 20060101ALI20171124BHJP
   B65D 8/16 20060101ALN20171124BHJP
【FI】
   B32B27/36
   B32B15/09 A
   B65D8/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】特願2017-505375(P2017-505375)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-46806(P2015-46806)
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(74)【代理人】
【識別番号】100125173
【弁理士】
【氏名又は名称】竹岡 明美
(72)【発明者】
【氏名】中谷 伊志
(72)【発明者】
【氏名】池畠 良知
(72)【発明者】
【氏名】中野 麻洋
【テーマコード(参考)】
3E061
4F100
【Fターム(参考)】
3E061AA15
3E061AB04
3E061AB09
3E061AB13
3E061AC09
3E061AD01
3E061BA02
4F100AA20
4F100AB01C
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AL01A
4F100AL01B
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4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
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4F100GB16
4F100GB23
4F100JA04
4F100JA05
4F100JA06
4F100JA20A
4F100JA20B
4F100JB02
4F100JL02
4F100JN01
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
耐腐食性を有し、比較的低温で金属板と接着することができ、製缶性に優れ、製缶後の接合部の補修が容易である金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムを提供する。A層及びB層の2層で構成される金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムであって、A層を構成する樹脂は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニット及びジエチレンテレフタレートユニットの合計含有量が95モル%以上98モル%以下であるポリエステル系樹脂であり、B層を構成する樹脂は、エチレンテレフタレートを主としたポリエステル系樹脂(B1)80〜100質量%と、上記ポリエステル系樹脂(B1)とは異なる組成を有するポリエステル系樹脂(B2)0〜20質量%とからなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A層及びB層の2層で構成されるポリエステル系フィルムであって、
A層を構成する樹脂は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニット及びジエチレンテレフタレートユニットの合計含有量が95モル%以上98モル%以下であるポリエステル系樹脂であり、
B層を構成する樹脂は、エチレンテレフタレートを主としたポリエステル系樹脂(B1)80〜100質量%と、上記ポリエステル系樹脂(B1)とは異なる組成を有するポリエステル系樹脂(B2)0〜20質量%とからなる
ことを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム。
【請求項2】
上記A層を構成する樹脂は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンイソフタレートユニットが2モル%以上5モル%以下である請求項1に記載の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム。
【請求項3】
A層とB層の厚み比率が75:25〜95:5である請求項1又は2に記載の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム。
【請求項4】
上記ポリエステル系樹脂(B1)は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンイソフタレートユニットが5モル%以上15モル%以下である1〜3のいずれか1項に記載の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム。
【請求項5】
上記ポリエステル系樹脂(B1)が、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンイソフタレートからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム。
【請求項6】
上記ポリエステル系樹脂(B2)が、ポリブチレンテレフタレートである請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム。
【請求項7】
B層と金属板とのラミネート可能温度が200℃以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステル系フィルムのB層が、金属板の少なくとも一方の面にラミネートされてなるフィルムラミネート金属板。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムに関するものであり、特に、3ピース缶において、清涼飲料、コーヒー、缶詰等の飲食料品用の金属容器の腐食防止等の目的で缶の内面に貼り合せるのに用いる金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属缶の内面及び外面の腐食防止には一般には塗料が塗布され、その塗料としては熱硬化性樹脂が使用されている。
【0003】
熱硬化性樹脂を金属缶の表面に被覆する方法では、一般的に熱硬化性樹脂を溶剤に溶解させた塗料を金属缶表面に塗布した後に、190℃以上で数分という高温・長時間の加熱が必要であり、かつ、焼き付け時に多量の有機溶剤が飛散するため、工程の簡素化や公害防止等の改良が要望されている。
【0004】
また、前記のような条件で形成される塗膜中には、結果的に少量の有機溶剤が残存することも避けられず、例えば、上記塗膜を形成させた金属缶に飲食料品を充填した場合、有機溶剤が金属缶の内容物に移行し、飲食料品の味や匂い、あるいは人体への安全性に悪影響を及ぼすことがある。さらに、塗料中に含まれる添加剤や架橋反応の不完全さに起因する低分子量物質が含まれているため、これらの物質が金属缶の内容物に移行し、前記の残存有機溶剤の場合と同様の悪影響を及ぼすことがある。
【0005】
前記の問題点を解消する手段として、熱可塑性樹脂フィルムを用いる方法がある。例えば、ポリエステル系フィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルムに熱硬化性の接着剤を予め塗布しておき、その後、金属板に貼り付けることにより、塗料中に含まれる添加剤や架橋反応の不完全さに起因する低分子量物質の悪影響が金属缶の内容物に及ぶことを抑制しようとする方法である。
【0006】
しかし、上記熱可塑性樹脂フィルムとして、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルムを用いた場合、作業環境問題や工程の簡素化は可能となるが、金属缶の内面側から内容物への低分子量物質の移行を十分に抑制することができない。また、このようなフィルムは耐熱性に劣るため、製缶工程での熱履歴や、製缶後におけるレトルト処理等の熱履歴を受けた場合、金属板に貼り付けた熱可塑性樹脂フィルムが剥離することがある。
【0007】
一方、例えば、特許文献1、2、3、4には、ポリエステル系樹脂からなる上層と接着剤の機能を持たせたポリエステル系樹脂からなる下層とを有するポリエステル系積層フィルムを金属板にラミネートする方法が記載されている。この方法を用いると、作業環境問題や工程の簡素化は達成され、かつ、ポリオレフィン系フィルムが有する耐熱性についての問題点も改良することができる。しかし、製缶加工時の缶の仕上がり性向上のための熱処理、帯状のフィルムを用いた缶の接合部分補修のための熱処理等により、ポリエステル系フィルムが収縮したり、金属板からはがれたりするおそれがある。これは熱処理温度より下層の融点の方が低いためである。
【0008】
また、特許文献5に開示されているように、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリブチレンテレフタレート系樹脂が併用されていると、製缶後に内容物を充填し、長期間保存したときに金属缶内面の腐食がおこりやすいという問題がある。
【0009】
さらに、特許文献6に開示されているように、金属板との接着面と反対側の面、いわゆる飲食料品と接する側の面の層に低融点成分が併用されていると、高速でフィルムを金属板にラミネートする際にロール汚れが発生し、ロールの掃除が必要となるという問題がある。低融点成分として併用されているポリエステル系ブロック共重合体がポリエステル系樹脂と相溶せず、しかも融点が180〜200℃と低いためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−60131号公報
【特許文献2】特開平11−277702号公報
【特許文献3】特開2000−71406号公報
【特許文献4】特開2004−9599号公報
【特許文献5】特許第4407269号公報
【特許文献6】特開2012−251140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐腐食性を有し、比較的低温で金属板と接着することができ、製缶性に優れ、製缶後の接合部の補修が容易である金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムを提供することにある。また、このポリエステル系フィルムを金属板にラミネートしたフィルムラミネート金属板及びフィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムは、A層及びB層の2層で構成されるポリエステル系フィルムであって、A層を構成する樹脂は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニット及びジエチレンテレフタレートユニットの合計含有量が95モル%以上98モル%以下であるポリエステル系樹脂であり、B層を構成する樹脂は、エチレンテレフタレートを主としたポリエステル系樹脂(B1)80〜100質量%と、上記ポリエステル系樹脂(B1)とは異なる組成を有するポリエステル系樹脂(B2)0〜20質量%とからなることを特徴とする。
【0013】
上記A層を構成する樹脂は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンイソフタレートユニットが2モル%以上5モル%以下であることが好ましい。
【0014】
A層とB層の厚み比率が75:25〜95:5であることが好ましく、B層と金属板とのラミネート可能温度が200℃以下であることが好ましい。
【0015】
上記ポリエステル系樹脂(B1)は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンイソフタレートユニットが5モル%以上15モル%以下であることが好ましい。また、上記ポリエステル系樹脂(B1)が、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンイソフタレートからなることが好ましい。
【0016】
上記ポリエステル系樹脂(B2)が、ポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、ポリエステル系フィルムの上記B層が、金属板の少なくとも一方の面にラミネートされてなるフィルムラミネート金属板も包含している。さらに、本発明は、上記フィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器も包含している。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポリエステル系フィルムは、優れた耐腐食性を有するものであり、従来より低温で金属板と接着することができる。また、本発明のポリエステル系フィルムを用いると、高速に製缶することが可能であり、接合部の補修にも適している。製缶加工時に缶の仕上がり性向上のために熱処理を行ったり、缶の接合部分を補修するために熱処理等を行ったとしても、フィルムが収縮したり、金属板からフィルムがはがれたりすることがないため、飲料や食料品を貯蔵する金属容器用のフィルムとして用いるのに適している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムは、A層及びB層の2層で構成されるポリエステル系フィルムである。A層は製缶工程での耐熱性を有する層であり、B層にはA層と同様の耐熱性に加え、熱圧着によるラミネート密着性を有する層である。また、かかるポリエステル系フィルムを金属板にラミネートしたフィルムラミネート金属板から金属容器を形成する場合、A層は食料品などの内容物に接する層又は容器の表面となることが好ましく、B層は金属板側にラミネートされることが好ましい。
【0020】
(A層)
A層は、エチレンテレフタレートを主としたポリエステル系樹脂を含む組成物から形成されている。具体的には、A層を構成する樹脂は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニット及びジエチレンテレフタレートユニットの合計含有量が95モル%以上98モル%以下であるポリエステル系樹脂である。エチレンテレフタレートユニット及びジエチレンテレフタレートユニットの合計含有量が95モル%未満の場合は、耐熱性に劣るおそれがある。また、製缶時にフィルムに高温の熱処理を行った場合、縮みや剥がれ等のトラブルが生ずるおそれがある。なお、ポリエステルの構成ユニットとしては、エチレンテレフタレートユニット又はジエチレンテレフタレートユニットの一方しか含まれていなくてもよい。
【0021】
A層のポリエステル系樹脂を形成する組成物には、テレフタル酸以外の多価カルボン酸成分やエチレングリコール、ジエチレングリコール以外の多価アルコール成分が含まれている。すなわち、A層を構成する樹脂には、テレフタル酸以外の多価カルボン酸由来のユニット及びエチレングリコール、ジエチレングリコール以外の多価アルコール由来のユニットが含まれている。
【0022】
テレフタル酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;等が挙げられる。
【0023】
エチレングリコール、ジエチレングリコール以外の多価アルコールとしては、例えば、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族多価アルコール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール;ビスフェノール誘導体のエチレンオキサイド付加体等の芳香族多価アルコール;等が挙げられる。
【0024】
A層のポリエステル系樹脂を形成するエチレングリコール、ジエチレングリコール以外の多価アルコールは構造的に直鎖部分が長くなり、イオン成分を通し易くなる。そのため、耐腐食性の観点から、A層を構成する樹脂は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニット及びジエチレンテレフタレートユニット以外のユニットは2〜5モル%であり、好ましくは2〜3モル%である。エチレンテレフタレートユニット及びジエチレンテレフタレートユニット以外のユニットは、エチレンイソフタレートユニットが含まれていることが好ましく、エチレンイソフタレートユニットのみからなることがより好ましい。エチレンイソフタレートユニットを用いることによって、フィルムのすべりや製缶性が良好となり、後述する微粒子をA層に含めた場合であっても、微粒子がフィルムから脱落するのを抑制することができる。
【0025】
A層を構成するユニットは、エチレンテレフタレートユニット及びエチレンイソフタレートユニットからなる、すなわち、A層を構成する樹脂は、ポリチレンテレフタレート及びポリエチレンイソフタレートからなることが好ましい。
【0026】
また、上記ポリエステル系樹脂において、重合時に副生成物として生成するジエチレングリコール由来のユニットは、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、好ましくは5モル%以下であり、より好ましくは3モル%以下である。
【0027】
上記ポリエステル系樹脂は、1種のポリエステル重合体を単独で使用してもよく、複数のポリエステル重合体の混合物を使用してもよい。また、A層において、上記ポリエステル系樹脂を含む組成物100質量%中、滑剤粒子、酸化防止剤などの各種添加剤は5質量%以下の割合で含まれていてもよい。
【0028】
A層を構成する樹脂の極限粘度は好ましくは0.5〜0.7dl/g、より好ましくは0.55〜0.67dl/g、さらに好ましくは0.57〜0.65dl/g、特に好ましくは0.58〜0.60dl/gである。極限粘度が0.5dl/g未満であると、製膜操業性が非常に悪くなり、製膜できても、低分子量物由来の熱劣化物が発生し、金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムとして用いるのは困難となるおそれがある。また、極限粘度が0.7dl/gを超えると、製膜工程において、樹脂を溶融し、押出機で押し出す際、過剰な熱や圧力をかけることになる結果、押出機内で熱分解して生ずる低分子量物が増加したり、押し出しの負荷が大きすぎたりするため、押出機から均一量の樹脂を押し出すことが難しく、良好な品質の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムを得ることが困難となるおそれがある。
【0029】
(B層)
B層は、エチレンテレフタレートを主としたポリエステル系樹脂を含む組成物から形成されている。B層を構成する樹脂は、エチレンテレフタレートを主としたポリエステル系樹脂(以下、樹脂B1という)80〜100質量%と、樹脂B1とは異なる組成を有するポリエステル系樹脂(以下、樹脂B2という)0〜20質量%とからなる。好ましくは、B層は、85〜95質量%の樹脂B1と、5〜15質量%の樹脂B2とからなるポリエステル系樹脂である。
【0030】
樹脂B1において、「エチレンテレフタレートを主とした」とは、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニットが80モル%以上であることをいう。樹脂B1において、ポリエステルの全構成ユニットは、エチレンテレフタレートユニット及びエチレンイソフタレートユニットからなる、すなわち、樹脂B1はポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンイソフタレートからなることが好ましい。
【0031】
樹脂B1には、エチレングリコール以外の多価アルコール由来のユニット及び/又はテレフタル酸以外の多価カルボン酸由来のユニットが含まれていてもよい。エチレングリコール以外の多価アルコール由来のユニットとは、エチレングリコール以外の多価アルコールとテレフタル酸とからなるエステルユニットであり、テレフタル酸以外の多価カルボン酸由来のユニットとは、テレフタル酸以外の多価カルボン酸とエチレングリコールとからなるエステルユニットを意味する。
【0032】
テレフタル酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;等が挙げられる。
【0033】
エチレングリコール以外の多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族多価アルコール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール;ビスフェノール誘導体のエチレンオキサイド付加体等の芳香族多価アルコール;等が挙げられる。
【0034】
樹脂B1は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンイソフタレートユニットが0モル%以上20モル%以下であることが好ましく、5モル%以上15モル%以下であることが好ましい。
【0035】
樹脂B2において、「エチレンテレフタレートを主とした上記ポリエステル系樹脂とは異なる組成を有する」とは、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニットが20モル%未満であることをいう。
【0036】
樹脂B2には、エチレングリコール以外の多価アルコール由来のユニット及び/又はテレフタル酸以外の多価カルボン酸由来のユニットが含まれている。テレフタル酸以外の多価カルボン酸及びエチレングリコール以外の多価アルコールの具体例は、樹脂B1と同様である。
【0037】
樹脂B2は、ポリエステルの全構成ユニット100モル%中、ブチレンテレフタレートユニットが80モル%以上であることが好ましく、100モル%である(樹脂B2は、ポリブチレンテレフタレートである)ことがより好ましい。
【0038】
また、B層において、上記ポリエステル系樹脂を含む組成物100質量%中、滑剤粒子、酸化防止剤などの各種添加剤は5質量%以下の割合で含まれていてもよい。
【0039】
B層を構成する樹脂として、上記の構成の樹脂を用いると、製缶工程等で加熱してもB層の流動性が大きくは増加せず、A層の寸法変化が大きくなりにくい。また、B層を構成する樹脂として、上記の構成の樹脂を用いると、熱融着によってB層が金属板へ密着しやすくなる。
【0040】
B層を構成する樹脂の融点は、好ましくは220〜235℃、より好ましくは225〜235℃であり、さらに好ましくは225〜233℃である。B層を構成する樹脂の融点が220℃未満であると製缶工程等での熱履歴によってB層の流動性が増加し、A層の寸法変化が大きくなるおそれがある。一方、B層を構成する樹脂の融点が235℃を超えるとA層の融点に近くなるため、熱融着による金属板への密着性を確保しようとすると、過度の熱をA層に与えるおそれがある。
【0041】
B層を構成する樹脂の極限粘度は好ましくは0.5〜0.7dl/g、より好ましくは0.55〜0.65dl/gである。極限粘度が0.5dl/g未満であると、製膜操業性が非常に悪く、製膜できても、低分子量物由来の熱劣化物が発生し、金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムとして用いるのは困難となるおそれがある。また、極限粘度が0.7dl/gを超えると、製膜工程において、樹脂を溶融し、押出機で押し出す際、過剰な熱や圧力をかけることになる結果、押出機内で熱分解して生ずる低分子量物が増加したり、押し出しの負荷が大きすぎたりするため、押出機から均一量の樹脂を押し出すことが難しく、良好な品質の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムを得ることが困難となるおそれがある。
【0042】
B層と金属板とのラミネート可能温度が200℃以下であることが好ましく、より好ましくは180℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。低温でフィルムと金属板とが接着することによって、より少ないエネルギーでフィルムラミネート金属板や金属容器が製造可能となる。なお、ラミネート可能温度の測定方法は後述する。
【0043】
本発明において、A層を構成する樹脂とB層を構成する樹脂とのガラス転移温度(Tg)の差(A層を構成する樹脂のTg−B層を構成する樹脂のTg)は10℃以下であることが好ましく、6℃以下であることがより好ましい。Tgの差が10℃を超えると製造されたフィルムがカールし易くなり、取扱い性が悪くなるので好ましくない。
【0044】
また、本発明のポリエステル系フィルムの全厚み(A層及びB層の厚さの合計)は、通常、9μm以上、25μm以下であるのが好ましく、10μm以上、15μm以下であることがより好ましい。全厚みが9μm未満であるとガスバリア性が劣り、耐腐食性が悪くなり、さらに、飲料や食料品に金属容器からの低分子量物質が浸透するおそれがある。一方、上記フィルムの全厚みが25μmを超えても、それに相当する向上効果は得られず、製造コストの点でかえって不利となる。
【0045】
さらに、本発明の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムの各層の厚み比率は、A層:B層=75:25〜95:5であることが好ましく、より好ましくは85:15〜90:10である。各層の厚み比率が前記範囲にあれば、フィルムを金属板に貼り合せ、成形加工したときに要求される密着性、耐熱性等は良好である。A層の厚み比率が95%を超える場合、すなわち、B層の厚み比率が5%未満である場合、金属板とフィルムとの密着性が十分確保できないおそれがある。また、A層の厚み比率が75%未満である場合、すなわち、B層の厚み比率が25%を超える場合、保香性を十分に確保できないおそれがある。
【0046】
本発明におけるポリエステル系フィルムのA層は、フィルムラミネート金属板を形成するときにフィルムラミネート金属板の外表面となるので、製缶工程等においてフィルムの傷つきや、フィルムが削れることによる製缶工程での製缶装置の汚染等を防止する働きをすることができる。このため、ポリエステル系フィルム表面(A層表面)の80℃での動摩擦係数は好ましくは0.45以下、より好ましくは0.43以下、さらに好ましくは0.40以下であることが実用的である。ポリエステル系フィルム表面の動摩擦係数が0.45以下であると、製缶工程等におけるフィルムの傷つきや、フィルムが削れることによる製缶工程での製缶装置の汚染等を防止することができる。
【0047】
本発明の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムのA層表面の動摩擦係数を0.45以下にする方法としては、例えば、後述の微粒子をフィルムに含有させる方法、ポリエステル系樹脂の微細な球晶を形成させる方法等の方法が挙げることができ、微粒子をフィルムに含有させる方法が好ましい。微粒子や上記球晶を含有することにより製缶加工性を良好にすることができ、耐傷つき性(耐スクラッチ性)を付与することができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記微粒子としては、ポリエステルに不溶性で、かつ不活性なものであれば特に制限はなく、例えば、不定形無機粒子や架橋高分子粒子を挙げることができる。また、微粒子の粒子径や粒径分布を調整するために、粉砕や分級等を行ってもよい。
不定形無機粒子を形成する材料として例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン等の金属酸化物;カオリン、ゼオライト、セリサイト、セピオライト等の複合酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩等を挙げることができ、中でも金属酸化物であることが好ましい。これらの無機微粒子は天然品であっても合成品であってもよい。
また、架橋高分子粒子としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル系単量体、スチレンやアルキル置換スチレン等のスチレン系単量体等と、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメチルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメチルアクリレート等の架橋性単量体との共重合体、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系単量体の(共)重合体であることが好ましい。
【0049】
上記微粒子としては、粒子の形状が不定形であることが好ましく、球状である場合、フィルムへの傷やフィルムからの脱落が発生するため好ましくない。なお、本発明における不定形とは、完全球状以外の形状のことをいう。
【0050】
上記微粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜5.0μm、より好ましくは0.8〜4.0μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、フィルムと金属板との高温での滑り性の向上効果が小さくなり、フィルムに傷がつき易くなるおそれがある。一方、5.0μmを超えると上記の効果が飽和したり、微粒子がフィルムから脱落し易くなったり、フィルムの製膜時にフィルムが破断し易くなったり、衝撃強度が低下する等のおそれがある。
【0051】
上記微粒子の含有量は、A層、B層共に、好ましくはポリエステル系樹脂を含む組成物100質量%中、0.5〜2.0質量%、より好ましくは0.75〜1.5質量%である。0.5質量%未満であるとフィルムと金属板との高温での滑り性の向上効果が小さくなり、フィルムに傷がつき易くなるおそれがある。2.0質量%を超えると上記の効果が飽和したり、フィルムの製膜性が低下したり、衝撃強度が低下する等のおそれがある。また、適度な曇り性、すなわち、ヘイズを25〜60%にするような架橋高分子粒子及び/又は無機微粒子を適宜加えることにより、フィルムを金属板にラミネートした金属ラミネート板の加工欠点を検知する欠点検知機の誤作動を防止することも可能である。
【0052】
上記微粒子の組成物への配合は、ポリエステル系樹脂を製造する工程で微粒子を添加してもよく、ポリエステル系樹脂組成物を作製した後に微粒子を加えて溶融混練してもよい。また、上記微粒子を高濃度に含むポリエステル系樹脂組成物を製造し、これをマスターバッチとして、上記成分を含まないか、又は少量含むポリエステル系樹脂組成物と共に溶融混練することもできる。
【0053】
また、本発明の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムは、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤等を含有することができる。
【0054】
(ポリエステル系フィルムの製造方法)
本発明のポリエステル系フィルムの製造方法としては、使用する各ポリエステルの原料チップにおいて、残留する水分率が150ppm以下になるようにホッパドライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、又は真空乾燥機を用いて乾燥し、押出機を用いて270〜300℃の温度でフィルム状に押出す。残留する水分率が150ppmを超えた原料チップを使用すると得られたフィルムの粘度が低下し、製造時破断等のトラブルが発生するおそれがある。また、フィルムの強度が低下し、金属板にラミネートする際にフィルムが破れる等のトラブルが発生するおそれもある。上記以外の製造方法として、未乾燥のポリエステル原料チップをベント式押出機内で水分を除去しながら270〜300℃の温度でフィルム状に押出す方法がある。押出しに際してはTダイ法、チューブラ法等、公知のどの方法を採用しても構わない。押出し後は、急冷して未延伸フィルムを得る。
【0055】
本発明のポリエステル系フィルムの延伸方法は、特に限定するものではないが、二軸延伸フィルムとすることが好ましい。二軸延伸を行う場合は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれでもよいが、逐次二軸延伸法を使用する方が製造可能な厚みの範囲が広くなり好ましい。この場合、縦方向の延伸倍率としては、好ましくは2〜5倍、より好ましくは2.5〜4倍であり、延伸温度としては、好ましくは80〜120℃、より好ましくは90〜110℃である。横方向の延伸倍率としては、好ましくは2〜5倍、より好ましくは3〜4.5倍であり、延伸温度としては、好ましくは80〜120℃、より好ましくは90〜110℃である。
【0056】
本発明のA層/B層の二層構成である金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムでは、A層の二軸延伸による残留収縮応力は、熱固定法等によって低減又は除去されていることが好ましい。そうすることによって製缶工程等での熱履歴によるフィルムの寸法変化を低減させることができるからである。また、B層は、A層が熱固定等されることにより、残留収縮応力を低減又は除去する際に、その熱履歴等によって、非晶化又は無配向化されることが好ましい。これにより予熱を加えた金属板に該フィルムをラミネートさせる際、金属板をB層の融点となるまで予熱を加えなくても十分なラミネート密着力を得ることができ、ラミネート工程の高速化を図ることができる。A層の二軸延伸による残留収縮応力の低減又は除去及びB層の非晶化又は無配向化を行うには、好ましくは当該フィルムを、B層を構成するポリエステルの融点より5℃低い温度以上、A層を構成するポリエステルの融点より15℃低い温度以下の温度条件で、より好ましくは当該B層を構成するポリエステルの融点より2℃低い温度以上、A層を構成するポリエステルの融点より20℃低い温度以下の温度条件で熱固定すると、衝撃強度や、いわゆるラミネート操業性又はハンドリング性の確保も含めて達成することができる。また、A層及びB層の融点は、好適な上記熱固定温度が選択可能な温度であることが好ましい。
【0057】
A層の融点とは層を構成するポリエステル系樹脂が複数ある場合は、DSCで測定される最も結晶融解ピーク面積が大きい融点を意味し、B層の融点とは層を構成するポリエステル系樹脂が複数ある場合は、DSCで測定される最も結晶融解ピーク面積が大きい融点を意味する。
【0058】
(フィルムラミネート金属板)
本発明のフィルムラミネート金属板は、上記ポリエステル系フィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートして得ることができるものであって、製缶加工性に優れたものである。フィルムラミネート金属板は、上記ポリエステル系フィルムのB層が、金属板の少なくとも一方の面にラミネートされてなることが好ましい。
【0059】
上記フィルムラミネート金属板に用いられる金属板としては、特に限定されないが、例えば、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等があげられる。また、その厚さは、特に限定されないが、材料の費用や製缶加工速度等に代表される経済性、一方では材料強度の確保の点から、好ましくは100〜500μm、より好ましくは150〜400μmである。
【0060】
また、上記ポリエステル系フィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートする方法としては、公知の方法が適用でき、特に限定されないが、好ましくはサーマルラミネート法があげられ、特に好ましくは金属板を通電加熱させてサーマルラミネートする方法が挙げられる。また、上記ポリエステル系フィルムは、金属板の両面にラミネートされていてもよい。上記ポリエステル系フィルムを金属板の両面にラミネートする場合、同時にラミネートしても逐次にラミネートしてもよい。
【0061】
また、A層/B層の二層構成である上記ポリエステル系フィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートする場合、上述のとおり、B層を金属板側にラミネートさせる層として用いることが好ましいが、この場合、B層のバリア性や耐腐食性を優れたものとし、またラミネート密着性をさらに向上させるために、熱硬化性樹脂を主成分とした公知の接着剤を予めB層に塗布しておき、ラミネートを実施してもよい。
【0062】
本発明の金属容器は、前記のフィルムラミネート金属板を用いて成形することによって得ることができる。金属容器の形状は特に限定されないが、例えば、缶状、瓶状、樽状等とすることができる。また、金属容器の成形方法も特に限定されないが、例えば、絞り成形法、しごき成形法、絞りしごき成形法等の公知の方法を使用することができる。
【0063】
本願は、2015年3月10日に出願された日本国特許出願第2015−046806号に基づく優先権の利益を主張するものである。日本国特許出願第2015−046806号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0065】
各実施例、比較例で得られた供試材についての評価方法および物性測定方法は以下の通りである。
【0066】
(1)無機微粒子の平均粒径(直径)の測定方法
粒度分布計(堀場製作所社製SZ−100)を用いて無機微粒子の平均粒径を測定した。
【0067】
(2)融点の測定方法
島津製作所社製DSC−60型示差走査熱量計を用いて測定した。実施例1・2、比較例1〜5で用いられる原材料としてのポリエステル(以下、原料ポリエステルという)を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。急冷したポリエステルのうち、10mgを試料とし、20℃/分の速度で昇温していった際に現れる結晶融解に基づく吸熱ピーク温度(融点)を測定した。フィルムの融点についても、原料ポリエステルの代わりにA層、B層から削り取ったサンプルを用いた以外は原料ポリエステルの融点と同様に測定した。
【0068】
(3)ガラス転移温度の測定方法
島津製作所社製示差走査型熱量計(DSC−60型)を用いて測定を行った。原料ポリエステルを300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。急冷したポリエステルのうち、10mgを試料とし、20℃/分の速度で昇温して、そのDSCチャートからJIS K 7121に記載のプラスチックのガラス転移温度測定方法に従って、ガラス転移温度(Tg)を測定した。フィルムのガラス転移温度についても、原料ポリエステルの代わりにA層、B層から削り取ったサンプルを用いた以外は原料ポリエステルのガラス転移温度と同様に測定した。
【0069】
(4)ポリエステル系樹脂の組成分析
試料約30mgをクロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製した。そして、核磁気共鳴(NMR)装置(Varian社製GEMINI−200)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定した。NMR測定では、所定のプロトンのピーク強度を算出して、酸成分100モル%中のテレフタル酸成分およびイソフタル酸成分の含有率(モル%)を算出した。
【0070】
(5)極限粘度の測定方法
フェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)との混合溶媒に、原料ポリエステルを濃度0.4g/dlとなるように溶解し、ウベローデ型粘度管を用いて温度30℃で測定した。極限粘度の単位はdl/gである。
【0071】
(6)水分率測定方法
乾燥過程を終了した直後の原料ポリエステルを容器にサンプリングし、水分率測定まで密封しておいた。この原料ポリエステルを約2g秤量し、三菱化学アナリテック社製の水分測定装置カールフィッシャー水分計を用いて、気化温度230℃で測定した。
【0072】
(7)フィルムの物性
(7−1)ヘイズの測定方法
JIS K 7136に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
【0073】
(7−2)金属板へのフィルムラミネート可能温度の測定方法
脱脂処理した厚さ190μmの金属板(ティンフリースチール、Lタイプブライト仕上げ、表面粗さ0.3〜0.5μm、新日鐵住金社製)を140℃に予熱しておき、金属板とA層及びB層の2層で構成されているポリエステル系フィルムのB層表面とを合わせ、ゴムロールとゴムロールとの間を圧力を500N/cmで速度10m/分の条件で貼り合わせたものを通過させ、その後、急水冷させてフィルムラミネート金属板〔厚さ202μm(ポリエステル系フィルム/金属板=12μm/190μm)〕を得た。
得られたフィルムラミネート金属板のフィルム面側の中央部をフィルムラミネート進行方向に対して水平に15mm幅にカミソリでカットした。水を付けながらフィルムラミネート板から徐々に15mm幅部分のフィルムをカットし、長手方向に5cm程度剥離させる。剥離させたフィルムの端部とフィルムラミネート金属板との角度が180°になるようにボールドウィン社製のテンシロンSTM−T−50にセットし、引張速度200mm/分で180°剥離強度を測定した。
その後、予熱温度を140℃から10℃毎に昇温して、上記と同様に剥離強度の測定を行い、剥離強度が0.10N/15mm以上となった温度を金属板へのフィルムラミネート可能温度とした。
【0074】
(7−3)フィルム各層の厚みの測定方法
日立製作所社製透過型電子顕微鏡(HU−12型)を用いて、ポリエステル系フィルムの超薄断面切片を観察し、フィルム各層の厚み(μm)を測定した。
【0075】
(8)フィルムラミネート金属板
(8−1)動摩擦係数の測定方法
上記(7−2)のようにして得られるフィルムラミネート金属板を、長辺がフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルムの場合)、フィルム延伸方向(一軸延伸フィルムの場合)、又はフィルム製膜方向(未延伸フィルムの場合)に対して平行となるように150mm×100mmの長方形に裁断して試料とした。次いで、50mm×70mmの接触面積を有する質量1.5kgの滑走子に該試料を表面にしてフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルムの場合)、フィルム延伸方向(一軸延伸フィルムの場合)、又はフィルム製膜方向(未延伸フィルムの場合)が滑走方向と平行となるようセットし、80℃のティンフリースチール板上を速度250mm/分で滑走させたときの動摩擦係数を測定した。なお、フィルムラミネート金属板作製時の金属板の予熱温度は上記(7−2)で測定したフィルムラミネート可能温度とした。
【0076】
(8−2)ゴムロール汚れ
上記(7−2)のようにしてフィルムラミネート金属板を作製した後にゴムロールに異物が付着しているか否かを目視で確認した。
A:汚れが確認できない
B:汚れが部分的に付着
C:汚れが全体に付着
【0077】
(8−3)高速製缶性
上記(7−2)のようにして得られたフィルムラミネート金属板を、底蓋、缶胴、及び上蓋に用い、185g用の3ピース缶として製缶した。製缶後に当該フィルムの表面におけるスクラッチ傷の有無について観察を行った。
A:傷が確認できない
B:薄く傷が見える
C:傷が見える
【0078】
(9)製缶後の金属容器
(9−1)補修でのフィルムの収縮・剥がれ
上記(8−3)のようにして得られた金属容器(3ピース缶)の接合部の補修をエポキシ樹脂補修テープを用いて行った。接合補修部におけるフィルムの外観を目視で観察した。
A:外観の変化無し
B:フィルムの収縮によるズレあり
C:フィルムの収縮による剥がれあり
【0079】
(9−2)補修での補修テープの剥がれ
上記(9−1)のようにして金属容器(3ピース缶)の接合部の補修を行った。接合補修部におけるエポキシ樹脂補修テープの外観を目視で観察した。
A:外観の変化無し
B:補修テープの浮きがあり
C:補修テープの剥がれあり
【0080】
(9−3)耐腐食性
上記(7−2)のようにして得られるフィルムラミネート金属板を用いて、フィルムラミネート面が内側になるように350ml用の3ピース缶を製缶し、得られた3ピース缶の内容物として、5質量%の食塩を含有する炭酸水(炭酸ガス濃度1000ppm)を充填して、140℃で10分間のレトルト処理を実施した後、80℃で2週間保存する。その後、充填された炭酸水を抜き出し、缶を切り開き、水洗いした後のフィルムラミネート面を観察し、以下に示す基準に基づき耐腐食性を判定した。
A:フィルム表面の変色が観察されない
B:フィルム表面の変色が観察される
【0081】
(実施例1)
(ポリエステル系フィルムの製造)
A層用の樹脂として、以下の3種類の樹脂C〜Eの混合物を用いた。
樹脂C:平均粒径2.7μmの凝集タイプのシリカ粒子(以下、凝集シリカ粒子という)(富士シリシア社製 サイリシア310)を添加したPET樹脂(東洋紡社製SU554A) 50質量部
樹脂D:Ge触媒で重合したテレフタル酸(以下、TPAという)/イソフタル酸(以下、IPAという)(モル比90/10)とエチレングリコールとの共重合体(東洋紡社製RF230)に上記凝集シリカ粒子を添加した共重合ポリエステル系樹脂 30質量部
樹脂E:樹脂Cにさらに上記凝集シリカ粒子及びポリメタクリル酸メチル粒子(日本触媒社製エポスター(登録商標)MA1002、平均粒径2.0μm 屈折率1.51)を添加したPET樹脂 20質量部
樹脂Cは、極限粘度が0.67dl/g、融点が254℃、ガラス転移点が76℃のPET樹脂であり、樹脂100質量部中、上記凝集シリカ粒子0.2質量部であった。
樹脂Dは、極限粘度が0.63dl/g、融点が233℃、ガラス転移点が70℃の共重合ポリエステル系樹脂であり、樹脂100質量部中、上記凝集シリカ粒子0.17質量部であった。
樹脂Eは、極限粘度が0.60dl/gのPET樹脂であり、樹脂100質量部中、上記凝集シリカ粒子0.7質量部、上記ポリメタクリル酸メチル粒子5.0質量部であった。
【0082】
B層用の樹脂として、以下の2種類の樹脂J・Kの混合物を用いた。この混合物は、極限粘度が0.60dl/g、融点が227℃、ガラス転移点が67℃であった。
樹脂J:共重合ポリエステル系樹脂(東洋紡社製RF230) 90質量部
樹脂K:PBT樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバデュラン(登録商標)5007A) 10質量部
樹脂Jは、Ge触媒で重合したTPA/IPA(モル比90/10)とエチレングリコールとの共重合ポリエステル系樹脂であって、極限粘度が0.63dl/g、融点が233℃、ガラス転移点が70℃であった。また、樹脂Kは、Ti触媒で重合したPBT樹脂であって、極限粘度が0.70dl/g、融点が222℃、ガラス転移点が30℃であった。
【0083】
A層用のポリエステルは、パドルドライヤで乾燥させた。乾燥後の水分率は48ppmであった。次に、乾燥後のポリエステルを定量スクリューフィーダーで供給しながら、樹脂温度275℃、滞留時間15分間で単軸式押出機を用いて溶融させた。B層用のポリエステルは、それぞれ別々のホッパーに供給し、押出機直上の漏斗状のホッパーに定量スクリューフィーダーで記載の比率になるように連続的に別々に供給しながら、このホッパー内で混合し、未乾燥のままベント式押出機内で水分を除去しつつ、樹脂温度280℃、滞留時間15分で溶融させた。この溶融体をダイ内で合流させた後、冷却ドラム上に押出し、無定形シートとした。その後、上記無定形シートを110℃で縦方向に3.5倍、130℃で横方向に4.1倍延伸し、230℃で熱固定して、A層厚さ10.5μm及びB層厚さ1.5μm(総厚さ12μm)、すなわち、各層の厚み比率A層:B層=87.5:12.5のポリエステル系フィルムを作製した。フィルム製造時に破断は生じなかった。
【0084】
得られたフィルムのヘイズを測定したところ、51%であった。また、金属へのラミネート可能温度を測定したところ、160℃であった。
【0085】
(フィルムラミネート金属板の製造)
脱脂処理した厚さ190μmの金属板(ティンフリースチール、Lタイプブライト仕上げ、表面粗さ0.3〜0.5μm、新日鐵住金社製)を上記(7−2)で測定した金属板へのフィルムラミネート可能温度に予熱しておき、金属板とポリエステル系フィルムのB層表面とを合わせ、ゴムロールとゴムロールとの間を圧力を500N/cmで速度10m/分の条件で貼り合わせたものを通過させ、その後、急水冷させてフィルムラミネート金属板〔厚さ202μm(ポリエステル系フィルム/金属板=12μm/190μm)〕を得た。このときにフィルムの破断等、ハンドリング性に問題は生じず、良好なものであった。また、ゴムロールにフィルム中のブロック共重合物が付着せず、高速製缶性も良好であった。フィルムラミネート金属板表面の80℃での動摩擦係数は0.39であった。
【0086】
(金属容器の製造)
得られたフィルムラミネート金属板を、底蓋の内外面及び缶胴の内面に用い、185g用の3ピース缶として製缶した。金属容器の接合部のフィルムの収縮や金属板の表面露出、補修テープの剥がれ等の問題は生じなかった。また、耐腐食性も良好であった。
【0087】
得られたポリエステル系フィルムにおいて、A層及びB層に用いられている原料を表1に示す。また、得られたポリエステル系フィルムの物性、上記ポリエステル系フィルムを成形して得られたフィルムラミネート金属板、及び上記フィルムラミネート金属板を成形して得られた金属容器の評価結果を表2に示す。
【0088】
(実施例2)
実施例1において、A層を作製する際に、樹脂C40質量部、樹脂D24質量部、及び樹脂E16質量部の混合物と、実施例1で得られたポリエステル系フィルムの再生原料(以下、樹脂Fとする)20質量部(樹脂Cが10質量部、樹脂Dが6質量部、樹脂Eが4質量部含まれている)との混合物を用い、B層用の樹脂として、樹脂Jのみを100質量部用いた以外は実施例1と同様にした。樹脂Fは、極限粘度が0.60dl/g、融点が248℃、ガラス転移点が72℃、エチレンテレフタレートユニット及びジエチレンテレフタレートユニット以外のユニットの含有量が3.75モル%であった。
【0089】
A層用の各ポリエステルは、それぞれ別のパドルドライヤで乾燥させた。乾燥後のポリエチレンテレフタレートとフィルムの再生原料の水分率はそれぞれ、44ppm、35ppmであった。これら乾燥後のポリエステルを、それぞれ押出機直上の漏斗状のホッパーに定量スクリューフィーダーで定めた比率になるように連続的に別々に供給しながら、このホッパー内で混合し、樹脂温度280℃、滞留時間16.5分で単軸式押出機を用いて溶融させた。B層用のポリエステルは、実施例1と同様に溶融させた。これらの溶融体をダイ内で合流させた後、冷却ドラム上に押出し、無定形シートとした。その後、上記無定形シートを110℃で縦方向に3.5倍、130℃で横方向に4.1倍延伸し、233℃で熱固定して、A層厚さ10μm及びB層厚さ2μm(総厚さ12μm)、すなわち、各層の厚み比率A層:B層=83.3:16.7のポリエステル系フィルムを作製した。フィルム製造時に破断は生じなかった。
【0090】
得られたフィルムのヘイズを測定したところ、48%であった。また、金属へのラミネート可能温度を測定したところ、160℃であった。
【0091】
(フィルムラミネート金属板の製造)
実施例1と同様にフィルムラミネート金属板を得た。このときにフィルムの破断等、ハンドリング性に問題は生じず、良好なものであった。また、ゴムロールにフィルム中のブロック共重合物が付着せず、高速製缶性も良好であった。フィルムラミネート金属板表面の80℃での動摩擦係数は0.40であった。
【0092】
(金属容器の製造)
実施例1と同様に185g用の3ピース缶として製缶した。金属容器の接合部のフィルムの収縮や金属板の表面露出、補修テープの剥がれ等の問題は生じなかった。また、耐腐食性も良好であった。
【0093】
得られたポリエステル系フィルムにおいて、A層及びB層に用いられている原料を表1に示す。また、得られたポリエステル系フィルムの物性、上記ポリエステル系フィルムを成形して得られたフィルムラミネート金属板、及び上記フィルムラミネート金属板を成形して得られた金属容器の評価結果を表2に示す。
【0094】
(比較例1)
上記実施例1において、A層を作製する際に、樹脂C76質量部、樹脂E20質量部、及び以下に記載の樹脂G4質量部を混合して用いた以外は実施例1と同様にした。フィルム製造時に破断はなかった。
樹脂G:投入口、温度計、圧力計及び精留塔付留出管、撹拌翼を備えた反応装置に、テレフタル酸ジメチル100質量部に対して、1,4−ブタンジオール75質量部、ポリテトラメチレングリコール(重量平均分子量1000)75質量部、ノルマルブチルチタネート0.05質量部を仕込み、190℃〜230℃で生成するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応を行った。反応終了後、テトラノルマルブチルチタネート0.05質量部、およびリン酸0.025質量部を添加し250℃、減圧下(1.0hPa以下)で重縮合反応を行い、ポリテトラメチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体を得た。得られたポリテトラメチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体は、ポリテトラメチレンオキサイドの比率40質量%、極限粘度1.90dl/gであった。
【0095】
得られたフィルムのヘイズを測定したところ、55%であった。金属へのラミネート可能温度を測定したところ、160℃であった。当該ポリエステル系フィルムのフィルムラミネート金属板の製造では、フィルムの破断等、ハンドリング性に問題は生じず、良好なものであったが、フィルム中のブロック共重合物がゴムロール全体に付着するという問題がみられた。フィルムラミネート金属板表面の80℃での動摩擦係数は0.35であった。なお、高速製缶性の評価及び金属容器の製造・評価は行わなかった。
【0096】
得られたポリエステル系フィルムにおいて、A層及びB層に用いられている原料を表1に示す。また、得られたポリエステル系フィルムの物性及び上記ポリエステル系フィルムを成形して得られたフィルムラミネート金属板の評価結果を表2に示す。
【0097】
(比較例2)
上記実施例1において、A層を作製する際に、樹脂Dを用いずに、樹脂Cを65質量部、樹脂Eを20質量部、PBT樹脂である三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバデュラン(登録商標)5020HF(以下、樹脂Hという)を15質量部用いた以外は実施例1と同様にした。フィルム製造時に破断は生じなかった。
また、樹脂Hは、極限粘度が1.20dl/g、融点が224℃、ガラス転移点が30℃のPBT樹脂であった。
【0098】
A層用の各ポリエステルは、それぞれ別のパドルドライヤで乾燥させた。乾燥後のポリエチレンテレフタレートとフィルムの再生原料の水分率はそれぞれ、38ppm、39ppmであった。これら乾燥後のポリエステルを、それぞれ押出機直上の漏斗状のホッパーに定量スクリューフィーダーで定めた比率になるように連続的に別々に供給しながら、このホッパー内で混合し、樹脂温度285℃、滞留時間15.7分で単軸式押出機を用いて溶融させた。B層用のポリエステルは、実施例1と同様に溶融させた。これらの溶融体をダイ内で合流させた後、冷却ドラム上に押出し、無定形シートとした。その後、上記無定形シートを110℃で縦方向に3.5倍、130℃で横方向に4.1倍延伸し、230℃で熱固定して、A層厚さ10.5μm及びB層厚さ1.5μm(総厚さ12μm)、すなわち、各層の厚み比率A層:B層=87.5:12.5のポリエステル系フィルムを作製した。フィルム製造時に破断は生じなかった。
【0099】
得られたフィルムのヘイズを測定したところ、50%であった。また、金属へのラミネート可能温度を測定したところ、160℃であった。
【0100】
(フィルムラミネート金属板の製造)
実施例1と同様にフィルムラミネート金属板を得た。このときにフィルムの破断等、ハンドリング性に問題は生じず、良好なものであった。また、ゴムロールにフィルム中のブロック共重合物が付着せず、高速製缶性も良好であった。フィルムラミネート金属板表面の80℃での動摩擦係数は0.39であった。
【0101】
(金属容器の製造)
実施例1と同様に185g用の3ピース缶として製缶した。金属容器の接合部のフィルムの収縮や金属板の表面露出、補修テープの剥がれ等の問題は生じなかった。しかし、耐腐食性評価を行ったところ、フィルム表面に変色が生じており、問題があった。
【0102】
得られたポリエステル系フィルムにおいて、A層及びB層に用いられている原料を表1に示す。また、得られたポリエステル系フィルムの物性、上記ポリエステル系フィルムを成形して得られたフィルムラミネート金属板、及び上記フィルムラミネート金属板を成形して得られた金属容器の評価結果を表2に示す。
【0103】
(比較例3)
実施例1において、A層を作製する際に、樹脂Dを用いずに、樹脂Cを80質量部、樹脂Eを20質量部用いた以外は、実施例1と同様の条件でフィルムを作製した。フィルム製造時に破断は生じなかった。
【0104】
得られたフィルムのヘイズを測定したところ、52%であった。金属へのラミネート可能温度を測定したところ、160℃であった。
【0105】
(フィルムラミネート金属板の製造)
実施例1と同様にフィルムラミネート金属板を得た。このときにフィルムの破断等、ハンドリング性に問題は生じず、良好なものであった。また、ゴムロールにフィルム中のブロック共重合物が付着せず、高速製缶性も良好であった。フィルムラミネート金属板表面の80℃での動摩擦係数は0.35であった。
【0106】
(金属容器の製造)
実施例1と同様に185g用の3ピース缶として製缶した。金属容器の接合部のフィルムの収縮や金属板の表面露出はなかったが、補修テープの剥がれが生じた。
【0107】
得られたポリエステル系フィルムにおいて、A層及びB層に用いられている原料を表1に示す。また、得られたポリエステル系フィルムの物性、上記ポリエステル系フィルムを成形して得られたフィルムラミネート金属板、及び上記フィルムラミネート金属板を成形して得られた金属容器の評価結果を表2に示す。
【0108】
(比較例4)
実施例1において、A層を作製する際に、TPA/IPA(モル比88/12)とエチレングリコールとの共重合体に上記凝集シリカ粒子が樹脂100質量部中0.80質量部となるように添加された共重合ポリエステル系樹脂(以下、樹脂Iとする)を100質量部用い、B層を作製する際に、樹脂Iを100質量部用いた以外は実施例1と同様にし、延伸後の熱固定温度を210℃に変更した以外は、実施例1と同様の条件でフィルムを作製した。フィルム製造時に破断は生じなかった。また、樹脂Iは、極限粘度が0.63dl/g、融点が229℃、ガラス転移点が76℃の共重合ポリエステル系樹脂であった。
【0109】
得られたフィルムのヘイズを測定したところ、23%であった。また、金属へのラミネート可能温度を測定したところ、150℃であった。
【0110】
(フィルムラミネート金属板の製造)
実施例1と同様にフィルムラミネート金属板を得た。しかし、ラミネート工程において汚れが生じ、製缶工程においても傷が生じた。フィルムラミネート金属板表面の80℃での動摩擦係数は0.43であった。
【0111】
(金属容器の製造)
実施例1と同様に185g用の3ピース缶として製缶した。金属容器の接合部の補修の際に、フィルムのB層の溶融による剥がれ及びA層収縮によるフィルムのズレが発生し、補修できなかった。
【0112】
得られたポリエステル系フィルムにおいて、A層及びB層に用いられている原料を表1に示す。また、得られたポリエステル系フィルムの物性、上記ポリエステル系フィルムを成形して得られたフィルムラミネート金属板、及び上記フィルムラミネート金属板を成形して得られた金属容器の評価結果を表2に示す。
【0113】
(比較例5)
実施例1において、A層を作製する際に、樹脂Dのみを100質量部用い、B層を作製する際に、TPA/IPA(モル比78/22)とエチレングリコールとの共重合体に上記凝集シリカ粒子が樹脂100質量部中0.8質量部となるように添加された共重合ポリエステル系樹脂(以下、樹脂Lとする)のみを100質量部用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。フィルム製造時に破断は生じなかった。また、樹脂Lは、極限粘度が0.63dl/g、融点が200℃、ガラス転移点が74℃の共重合ポリエステル系樹脂であった。
【0114】
得られたフィルムのヘイズを測定したところ、19%であった。また、金属へのラミネート可能温度を測定したところ、140℃であった。
【0115】
(フィルムラミネート金属板の製造)
実施例1と同様にフィルムラミネート金属板を得た。しかし、ラミネート工程において汚れが生じ、製缶工程においても傷が生じた。フィルムラミネート金属板表面の80℃での動摩擦係数は0.43であった。
【0116】
(金属容器の製造)
実施例1と同様に185g用の3ピース缶として製缶した。金属容器の接合部の補修の際に、フィルムのB層の溶融による剥がれが発生し、補修できなかった。
【0117】
得られたポリエステル系フィルムにおいて、A層及びB層に用いられている原料を表1に示す。また、得られたポリエステル系フィルムの物性、上記ポリエステル系フィルムを成形して得られたフィルムラミネート金属板、及び上記フィルムラミネート金属板を成形して得られた金属容器の評価結果を表2に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の金属板ラミネート用ポリエステル系フィルムは、優れた耐腐食性を有するものであり、低温で金属板と接着することができる。そのため、製缶性(例えば、曲げ加工・接合・接合部補修・フランジング・上蓋取り付け・内容物充填・底蓋取り付け・レトルト殺菌)に優れており、本発明はコーヒー飲料、清涼飲料、缶詰等の金属容器の幅広い用途に使用することができ、産業界に寄与すること大である。
【国際調査報告】