特表-16143870IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月15日
【発行日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】ニトリルオキシド化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 291/06 20060101AFI20171124BHJP
   C07C 205/31 20060101ALI20171124BHJP
   C08L 101/06 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   C07C291/06CSP
   C07C205/31
   C08L101/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】79
【出願番号】特願2017-505408(P2017-505408)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-47771(P2015-47771)
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】神原 將
(72)【発明者】
【氏名】野口 剛
(72)【発明者】
【氏名】高田 十志和
(72)【発明者】
【氏名】曽川 洋光
(72)【発明者】
【氏名】文字山 峻輔
(72)【発明者】
【氏名】筒場 豊和
【テーマコード(参考)】
4H006
4J002
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB46
4J002AA03X
4J002AA05W
4J002CF03W
4J002EH106
4J002EX016
4J002FD206
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、式(I):

[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
は、−R−Rであり;
は、−R−Rまたは−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、OH、SH、COOHまたはNHRであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される化合物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
は、−R−Rであり;
は、−R−Rまたは−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、OH、SH、COOHまたはNHRであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される化合物。
【請求項2】
式(III):
【化2】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される化合物。
【請求項3】
式(Ia):
【化3】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’およびR3’は、それぞれ独立して、−R−R5’−であり;
は、二価の有機基であり;
5’は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位と、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマー単位とを含む共重合体。
【請求項4】
式(IIa):
【化4】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位を含む重合体。
【請求項5】
式(IIIa):
【化5】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位を含む重合体。
【請求項6】
ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される、1種またはそれ以上の請求項3または4に記載の重合体を含む、組成物。
【請求項7】
架橋剤である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に、式(Ib):
【化6】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’は、−R−R5’−であり;
は、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
5’は、−O−、−S−、−CO−O−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される基を有する重合体。
【請求項9】
1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に式(Ib):
【化7】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’は、−R−R5’−であり;
は、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
5’は、−O−、−S−、−CO−O−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される基を有し、他端にニトリルオキシド基を有する重合体。
【請求項10】
1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、分子主鎖中に、式(Ic):
【化8】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’およびR3’は、それぞれ独立して、−R−R5’−であり;
は、二価の有機基であり;
5’は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
ここに、R2’およびR3’は、上記重合性モノマー単位に直接結合している。]
で表される部分を1つ含む重合体。
【請求項11】
ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される、1種またはそれ以上の請求項8〜10のいずれかに記載の重合体を含む、組成物。
【請求項12】
グラフト化剤である、請求項11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトリルオキシド化合物、およびニトリルオキシド基を有する重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ニトリルオキシド基を有する化合物は、他の化合物中の不飽和結合と容易にクリック反応([2+3]付加環化反応)を起こすので、種々の用途における反応剤として有用であることが知られている。
【0003】
公知のニトリルオキシド化合物としては、低分子化合物として、特許文献1に、芳香族ニトリルオキシド化合物が記載されており、特許文献2に、脂肪族ニトリルオキシド化合物が記載されている。また、高分子化合物として、特許文献3に、ニトリルオキシド基を有するアクリレート系またはスチレン系高分子が記載されている。
【0004】
一方、高分子材料は広範な用途で用いられる重要な化合物であり、特に含フッ素高分子材料は、電子部材、半導体製造プロセス装置の部材として広く用いられている。このような高分子材料を硬化させる手段としては、通常、架橋剤(または硬化剤)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−37289号公報
【特許文献2】国際公開第2014/136952号公報
【特許文献3】特開2013−112741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高分子材料を、従来の架橋剤を用いて硬化させた場合、未反応の架橋剤が不純物として高分子材料中に含まれ得る。従来の架橋剤は、分子量が小さく、このような不純物を含む高分子材料を半導体製造プロセス装置の部材として用いた場合、アウトガスを生じ、プロセスエラー等の不具合を引き起こし得る。
【0007】
従って、本発明は、硬化させた際に、低分子量の不純物の含有量が少ない高分子材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の問題を解決するため鋭意検討した結果、架橋剤を用いることなく自ら架橋することができる自己架橋型ポリマーを利用することにより上記の問題を解決できることに気付いた。本発明者らは、容易にクリック反応を起こすニトリルオキシド化合物に注目し、ニトリルオキシド基を有する重合体について検討し、重合体の分子内に複数のニトリルオキシド基を導入することにより、従来の架橋剤を必要とせずに分子間架橋反応を起こし、硬化することができる重合体が得られることを見出した。また、上記のような分子内に複数のニトリルオキシド基を有する重合体は、従来の架橋剤の代わりに用いることができることも見出した。尚、従来知られているニトリルオキシド基を有する重合体は、特許文献3に記載のように、アクリレート系またはスチレン系骨格の末端にニトリルオキシド基を1つ有する重合体のみであり、このような重合体は、ニトリルオキシド基を1つしか有しないので分子間を架橋することができない。
【0009】
また、本発明者らは、上記複数のニトリルオキシド基を有する重合体の製造方法についても検討した。その結果、ニトリルオキシド基を有するモノマーを用いて重合体を合成する方法に着目し、このようなモノマーとして、分子末端に2つの求核基を有するニトリルオキシドモノマーと、縮合重合性または付加縮合性モノマーとを反応させることにより、上記の重合体を良好に得ることができることを見出した。また、ニトリルオキシド基とエチレン性二重結合とを有する化合物をモノマーとして用いて重合させることによっても、上記の重合体を良好に得ることができることを見出した。
【0010】
さらに、本発明者らは、特許文献3に記載の重合体が、アクリレート系またはスチレン系の主鎖を重合させた後に、停止剤としてニトリルオキシド基を有する化合物を用いることにより合成されているが、特許文献3に記載のような末端の官能基化反応は、効率が低いことに気付いた。また、このような方法では、重合体の分子主鎖の末端以外、例えば中央部にニトリルオキシド基を導入することはできず、また、分子主鎖の両末端にニトリルオキシド基を導入することも困難である。
【0011】
本発明者らは、上記の問題についても鋭意検討した結果、求核性基を有するニトリルオキシド化合物を重合開始剤として用いることにより、効率的にニトリルオキシド基を重合体に導入できることを見出した。また、この方法を利用することにより、重合体の分子主鎖の中央部にもニトリルオキシド基を導入することができ、さらには両末端にもニトリルオキシド基を導入することができることを見出した。
【0012】
従って、本発明は:
[1] 式(I):
【化1】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
は、−R−Rであり;
は、−R−Rまたは−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、それぞれ独立して、OH、SH、COOHまたはNHRであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される化合物;
[2] RおよびRが、それぞれ独立して、−R−Rであることを特徴とする、上記[1]に記載の化合物;
[3] Rが−R−Rであり、Rが−R−Rであることを特徴とする、上記[1]に記載の化合物;
[4] Rが、−R11−R12−であり、
ここに、R11は、炭素数3〜10のアリーレンまたは−CR−であり、
およびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基であり、
12は、単結合、主鎖の原子数が1〜10のリンカーである
ことを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物;
[5] Rが、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のアリール基、または(ポリ)アルキルエーテル基であることを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物;
[6] RがOHであることを特徴とする、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物;
[7] 式(III):
【化2】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される化合物;
[8] R23が、−R24−R25−R26−であり;
ここに、R24は、単結合、炭素数1〜6のアルキレン、−CO−、−CO−O−、または−CO−NR−(Rは水素原子またはアルキル基)であり;
25は、主鎖の原子数が1〜20のリンカーであり;
26は、単結合、炭素数1〜6のアルキレンまたは−CR2728−であり;
27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数5〜10のアリールである
ことを特徴とする、上記[7]に記載の化合物;
[9] R24が、−CO−または−CO−O−であり;
25が、主鎖の原子数が1〜20のリンカーであり;
26が、−CR2728−であり;
27が、炭素数5〜10のアリールであり;
28は、水素原子または炭素数1〜6のアルキルである
ことを特徴とする、上記[8]に記載の化合物;
[10] 式(Ia):
【化3】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’およびR3’は、それぞれ独立して、−R−R5’−であり;
は、二価の有機基であり;
5’は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位と、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマー単位とを含む共重合体;
[11] 式(Ia’):
【化4】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
およびRは、それぞれ独立して、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、それぞれ独立して、OH、SH、COOHまたはNHRであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマーと、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマーとを重合させることを含む、上記[10]に記載の共重合体の製造方法;
[12] 式(IIa):
【化5】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位を含む重合体;
[13] 式(IIIa):
【化6】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位を含む重合体;
[14] 式(III):
【化7】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマーを重合させることを含む、上記[13]に記載の重合体の製造方法;
[15] 上記[12]に記載の重合体の製造方法であって、上記[13]に記載の重合体のCHNO基を、脱水することにより、CN基に変換することを含む、方法;
[16] ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される、1種またはそれ以上の上記[10]または[12]に記載の重合体を含む、組成物;
[17] 架橋剤である、上記[16]に記載の組成物;
[18] 1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に、式(Ib):
【化8】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’は、−R−R5’−であり;
は、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
5’は、−O−、−S−、−CO−O−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される基を有する重合体;
[19] 1種またはそれ以上の重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に式(Ib):
【化9】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’は、−R−R5’−であり;
は、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
5’は、−O−、−S−、−CO−O−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される基を有し、他端にニトリルオキシド基を有する重合体;
[20] 1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、分子主鎖中に、式(Ic):
【化10】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’およびR3’は、それぞれ独立して、−R−R5’−であり;
は、二価の有機基であり;
5’は、−O−、−S−、−CO−O−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
ここに、R2’およびR3’は、上記開環重合性モノマー単位に直接結合している。]
で表される部分を1つ含む重合体;
[21] 式(Id’):
【化11】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
は、−R−Rであり;
は、−R−Rまたは−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、OH、SH、−COOHまたは−NHRであり;
であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される化合物を重合開始剤として用い、1種またはそれ以上の開環重合性モノマーを重合させることを含む、上記[18]〜[20]のいずれかに記載の重合体の製造方法;
[22] ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される、1種またはそれ以上の上記[18]〜[20]のいずれかに記載の重合体を含む、組成物;
[23] グラフト化剤である、上記[22]に記載の組成物;
[24] 架橋剤である、上記[22]に記載の組成物
を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ニトリルオキシド基を複数有する高分子化合物が提供される。かかる高分子化合物は、複数のニトリルオキシド基を有するので、自身が架橋剤としてもふるまい、従来のような低分子架橋剤を用いることなく、自己架橋し、硬化することができる。また、本発明の高分子化合物は、従来のような低分子架橋剤の代わりに架橋剤として用いることができる。本発明の高分子化合物は、分子量が大きいので、アウトガスまたは流出成分となりにくく、半導体製造プロセス装置の部材として用いた場合であっても、プロセスエラーを引き起こしにくい。本発明によれば、ニトリルオキシド基を、高分子化合物の主鎖の片末端、両末端または中央部の任意の場所に導入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中、特に記載が無い限り、「炭化水素基」とは、炭素および水素を含む基を意味する(但し、水素原子は下記する置換基により一部または全部が置換されていてもよい)。当該「炭化水素基」としては、特に限定されるものではないが、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。尚、かかる炭化水素基は、その末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S等を有していてもよい。
【0015】
本明細書中、特に記載が無い限り、「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよく、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。当該「脂肪族炭化水素基」としては、特に限定されるものではないが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。当該「脂肪族炭化水素基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0016】
本明細書中、特に記載が無い限り、「アルキル基」は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、例えば、炭素数1〜20、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6のアルキル基である。当該「アルキル基」としては、特に限定されるものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等が挙げられる。当該「アルキル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0017】
本明細書中、特に記載が無い限り、「アルケニル基」は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、例えば、炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルケニル基である。当該「アルケニル基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記アルキル基の少なくとも1つの炭素−炭素単結合を炭素−炭素二重結合に置き換えたもの、具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1,3−ヘキサジエニル基、1,5−ヘキサジエニル基等が挙げられる。当該「アルケニル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0018】
本明細書中、特に記載が無い限り、「アルキニル基」は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、例えば、炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルキニル基である。当該「アルキニル基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記アルキル基の少なくとも1つの炭素−炭素単結合を炭素−炭素三重結合に置き換えたもの、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、1−エチル−2−プロピニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基等が挙げられる。当該「アルキニル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0019】
本明細書中、特に記載が無い限り、「シクロアルキル基」は、炭素数3〜20、好ましくは5〜12の環状のアルキル基である。当該「シクロアルキル基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。当該「シクロアルキル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0020】
本明細書中、特に記載が無い限り、「シクロアルケニル基」は、炭素数3〜20、好ましくは5〜12の環状のアルケニル基である。当該「シクロアルケニル基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。当該「シクロアルケニル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0021】
本明細書中、特に記載が無い限り、「芳香族炭化水素基(以下、アリール基とも称する)」は、単環式、多環式、例えば二環式または三環式のいずれであってもよく、また、芳香族複素環基(以下、ヘテロアリール基とも称する)であってもよい。当該「芳香族炭化水素基」としては、特に限定されるものではないが、炭素数3〜20のアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、炭素数3〜20のヘテロアリール基、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾリル基等が挙げられる。当該「芳香族炭化水素基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0022】
本明細書中、特に記載が無い限り、「アルキレン基」は、上記アルキル基の炭素原子上の水素原子を1個除いた2価の基を意味する。
【0023】
本明細書中、特に記載が無い限り、「(ポリ)アルキルエーテル基」とは、上記アルキル基の1個以上の炭素−炭素結合にエーテル性酸素原子が挿入された基を意味する。
【0024】
好ましい(ポリ)アルキルエーテル基は、下記式:
R−(O(CH−(Rは、C1−16アルキル基であり、mは、1〜300の整数であり、nは、各出現において、1〜6の整数である)
で表される基である。
【0025】
別の好ましい(ポリ)アルキルエーテル基は、下記式:
R−(OC−(OC−(OC−(OCH
(式中:
Rは、C1−16アルキル基を表し;
a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基である。
【0026】
上記(ポリ)アルキルエーテル基が、二価の基として用いられる場合、下記式:
−R’−(OC−(OC−(OC−(OCH
(R’は、C0−16アルキレン基を表す。)
で示される基を意味する。なお、本明細書中、Cとは、炭素原子が存在しないことを意味し、例えば、C0−16アルキレン基は、単結合またはC1−16アルキレン基を意味する。
【0027】
本明細書中、特に記載が無い限り、上記炭化水素基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族炭化水素基およびアルキレン基は置換されていてもよい。この置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸素原子;ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素);ヒドロキシル基;無置換、一置換または二置換アミノ基;ニトロ基;アジド基;1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1−16アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、C3−16シクロアルキル基、C3−16シクロアルケニル基、C6−16ヘテロシクロアルキル基、C6−16ヘテロシクロアルケニル基、C6−16アリール基、C6−16ヘテロアリール基、C1−16アルコキシ基、C6−16アリールオキシ、C1−16アルキルチオまたはC1−20(ポリ)アルキルエーテル基;−O−C(O)−OR、−O−C(O)−NR、−C(O)−R、−C(O)−OR、−NR−C(O)−R、−NR−C(NR)−R、−C(NR)−Rまたは−C(NR)−NR(これら式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、C1−16アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、C3−16シクロアルキル基、C3−16シクロアルケニル基、C6−16ヘテロシクロアルキル基、C6−16ヘテロシクロアルケニル基、C6−16アリール基またはC6−16ヘテロアリール基を表す)等が挙げられる。
【0028】
上記「一置換アミノ基」は、特に限定されるものではないが、それぞれ、C1−16アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、C3−16シクロアルキル基、C3−16シクロアルケニル基、C6−16ヘテロシクロアルキル基、C6−16ヘテロシクロアルケニル基、C6−16アリール基およびC6−16ヘテロアリール基からなる群から独立して選択される1個の置換基により置換されたアミノ基を意味する。当該「一置換アミノ基」としては、特に限定されるものではないが、メチルアミノ、エチルアミノ、フェニルアミノ等が挙げられる。
【0029】
上記「二置換アミノ基」は、特に限定されるものではないが、C1−16アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、C3−16シクロアルキル基、C3−16シクロアルケニル基、C6−16ヘテロシクロアルキル基、C6−16ヘテロシクロアルケニル基、C6−16アリール基およびC6−16ヘテロアリール基からなる群から独立して選択される2個の置換基により置換されたアミノ基を意味する。当該「二置換アミノ基」としては、特に限定されるものではないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ等が挙げられる。
【0030】
上記「C1−16アルコキシ基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、1−エチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、2−エチルブトキシ基等が挙げられる。
【0031】
上記「C6−16アリールオキシ」としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
【0032】
上記「C1−16アルキルチオ」としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ等が挙げられる。
【0033】
本明細書中、特に記載が無い限り、「ハロゲン(またはハロゲン原子)」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を意味する。
【0034】
本明細書中、特に記載が無い限り、「パーフルオロアルキル基」とは、上記アルキル基のすべての水素原子がフッ素原子に置換された基を意味し、−C2m+1(ここに、mは整数を表し、具体的には1〜16、例えば1〜12または1〜6の整数である)で表される。当該「パーフルオロアルキル基」は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは、直鎖状である。
【0035】
以下、本発明の化合物について説明する。
【0036】
本発明は、式(I):
【化12】
で表される化合物を提供する。
【0037】
上記式(I)中、Rは、水素原子または炭化水素基であり、好ましくは炭化水素基である。
【0038】
における炭化水素基は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のアリール基、または(ポリ)アルキルエーテル基である。これらの基は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよく、置換基としては、特に限定されないが、好ましくは、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、炭素数3〜14のアリール基、または炭素数1〜10の(ポリ)アルキルエーテル基が挙げられる。
【0039】
一の態様において、Rは、R1’−Z−である。式中R1’は、炭化水素基である。一の態様において、R1’は、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基または(ポリ)アルキルエーテルである。フッ素により置換されている場合、これらのアルキル基または(ポリ)アルキルエーテル基は、好ましくはパーフルオロアルキル基、パーフルオロ(ポリ)アルキルエーテル基、パーフルオロアルキル−(CH−、またはパーフルオロ(ポリ)アルキルエーテル−(CH−であり得る。別の態様において、R1’は、H(CH、F(CF、CF(F(CF−、H(CF−、F(CF−(OCF(CF)CF−OCF(CF)−、または(F(CF−C(CH)−CF−(上記式中、nは1〜6の整数であり、mは1〜8の整数であり、pは0〜4の整数である)であり得る。上記式中Zは、単結合または−(CHO−(lは0〜6の整数)である。
【0040】
上記式(I)中、Rは、−R−Rである。
【0041】
上記式(I)中、Rは、−R−Rまたは−R−Rである。
【0042】
上記Rは、二価の有機基である。Rは、好ましくは、−R11−R12−である。
【0043】
上記R11は、炭素数3〜10のシクロアルキレン、炭素数3〜10のアリーレンまたは−CR−である。
【0044】
上記RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。炭素数1〜6のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、例えばメチル基、エチル基またはプロピル基である。
【0045】
上記−CR−の炭素原子は、級数が大きいほど好ましい。即ち、好ましくは、RおよびRの少なくとも一方は、炭素数1〜6のアルキル基である。RおよびRの一方が炭素数1〜6のアルキル基である場合には、−CR−の炭素原子は、第3級炭素(ただし、R12が単結合であり、Rが水素原子である場合は第2級炭素)となり、ニトリルオキシド基の安定性が向上する。また、RおよびRの両方が炭素数1〜6のアルキル基である場合には、−CR−の炭素原子は、第4級炭素(ただし、R12が単結合であり、Rが水素原子である場合は第3級炭素)となり、ニトリルオキシド基の安定性がより向上する。
【0046】
上記R11は、好ましくは、炭素数3〜10のアリーレンまたは−CR−(式中、RおよびRは、炭素数1〜6のアルキル基である)であり、より好ましくは炭素数3〜10のアリーレン、例えばフェニレンである。
【0047】
上記R12は、単結合または主鎖の原子数が1〜10のリンカーである。
【0048】
上記主鎖の原子数が1〜10のリンカーは、特に限定されないが、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基または二価の(ポリ)アルキルエーテル基、あるいはこれらの基の組み合わせであり、好ましくは、アルキレン基または二価の(ポリ)アルキルエーテル基である。これらの基は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよく、置換基としては、特に限定されないが、好ましくは、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、炭素数3〜14のアリール基、または炭素数1〜10の(ポリ)アルキルエーテル基が挙げられる。
【0049】
好ましいRは、フェニレン基、フェニレン−アルキレン基、フェニレン−オキシアルキレン基、またはフェニレン−ポリアルキルエーテル基である。−R−R基においては、Rは、より好ましくは、フェニレン−アルキレン、フェニレン−オキシアルキレン基またはフェニレン−ポリアルキルエーテル基である。
【0050】
一の態様において、−R−R基は、フェニル基であり得る。
【0051】
上記Rは、OH、SH、COOHまたはNHRであり、好ましくはOH、SH、COOHまたはNHであり、より好ましくはOHである。
【0052】
上記Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。かかる炭素数1〜6のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基またはプロピル基であり、より好ましくはメチル基である。Rは、好ましくは、水素原子である。
【0053】
上記−R−Rは、末端に反応性の基であるRを有しているので、式(I)で示される化合物は、この基を介して、種々の反応を起こし得る。
【0054】
上記Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。かかる炭素数1〜6のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基またはプロピル基であり、より好ましくはメチル基である。Rは、好ましくは、水素原子である。
【0055】
好ましい式(I)で示される化合物は、Rが炭素数1〜10のアルキル基であり、RおよびRが−R−Rであり、Rがフェニレン、フェニレン−アルキレン、フェニレン−オキシアルキレンまたはフェニレン−ポリアルキルエーテル基であり、RがOHである化合物である。
【0056】
より好ましい式(I)で示される化合物は、Rが炭素数1〜10のアルキル基であり、RおよびRが−R−Rであり、Rがフェニレン−オキシアルキレンまたはフェニレン−ポリアルキルエーテル基であり、RがOHである化合物である。
【0057】
別の好ましい式(I)で示される化合物は、Rが炭素数1〜10のアルキル基であり、Rが−R−Rであり、Rが−R−Rであり、Rがフェニレン、フェニレン−アルキレン、フェニレン−オキシアルキレンまたはフェニレン−ポリアルキルエーテル基であり、RがOHである化合物である。
【0058】
より好ましい式(I)で示される化合物は、Rが炭素数1〜10のアルキル基であり、Rが−R−R(ここに、Rがフェニレン−オキシアルキレンまたはフェニレン−ポリアルキルエーテル基である)であり、Rが−R−R(ここに、Rがフェニレン、フェニレン−アルキレン、フェニレン−オキシアルキレンまたはフェニレン−ポリアルキルエーテル基である)であり、RがOHである化合物である。
【0059】
式(I)で表されるニトリルオキシド化合物は、分子中に縮合重合または付加重合可能な基(OH、SH、COOHまたはNHR)を2つ有し得るので、縮合重合または付加重合反応の原料モノマーとして用いることができる。従って、本発明は、式(Ia’):
【化13】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
およびRは、それぞれ独立して、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、OH、SH、COOHまたはNHRであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表されるモノマーを提供する。
【0060】
また、式(I)で表されるニトリルオキシド化合物は、求核性を有する基(OH、SH、COOHまたはNHR)を有するので、この場合、開環重合反応の反応開始剤として用いることができる。従って、本発明は、式(Id’):
【化14】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
は、−R−Rであり;
は、−R−Rまたは−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、OH、SH、COOHまたはNHRであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される重合開始剤を提供する。
【0061】
本発明は、式(III):
【化15】
で示される化合物を提供する。
【0062】
上記式(III)中、R21およびR22は、水素原子またはアルキル基である。かかるアルキル基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数が1〜6のアルキル基、より好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。R21およびR22は、好ましくは、水素原子またはメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0063】
上記式(III)中、R23は、二価の有機基である。
【0064】
一の態様において、R23は、−R24−R25−R26−である。尚、かかる基のR24がエチレン性二重結合を有する炭素原子に結合し、R26がニトリルオキシド基に結合する。
【0065】
24は、単結合、炭素数1〜6のアルキレン、−CO−または−CO−O−、−NR−CO−(Rは水素原子またはアルキル基)、−O−CO−であり、
25は、主鎖の原子数が1〜20のリンカーであり、
26は、単結合、炭素数1〜6のアルキレンまたは−CR2728−であり、
27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数5〜10のアリールである。
【0066】
式(III)で表される化合物において、R27が−CR2728−である場合、この炭素原子にニトリルオキシド基が結合する。ニトリルオキシドの安定性を向上させるために、この炭素原子は、好ましくは第3級炭素であり、より好ましくは第4級炭素である。
【0067】
好ましい態様において、
24は、−CO−、−CO−NR−(Rはアルキル基または水素原子)または−CO−O−、−NR−CO−(Rは水素原子またはアルキル基)、−O−CO−であり;
25は、主鎖の原子数が1〜20のリンカーであり;
26は、−CR2728−であり;
27は、炭素数5〜10のアリールであり;
28は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル、より好ましくは炭素数1〜6のアルキルである。
【0068】
25で表される主鎖の原子数が1〜20のリンカーは、特に限定されないが、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エステル基(−COO−または−OCO−)、アミド基(−CONH−または−NHCO−)、−O−および−S−から成る群から選択される1つの基またはそれ以上の基の組み合わせであり得る。これらの基は、1個またはそれ以上の置換基、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素)、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基および炭素数3〜10のアリール基から成る群から選択される置換基により置換されていてもよい。
【0069】
25は、好ましくは、
−(CHCH−O)p1−(p1は、1〜6の整数を表す)、
−(CHR31p2−O−(p2は、1〜9の整数であり、R31は、水素原子またはメチル基を表す)、
−(CHCH−O)p3−CONH−CHCH−O−(p3は、1〜5の整数を表す)、
−(CHCHp4−O−(CHCHp5−(p4は1〜16の整数を表し、p5は1〜16の整数を表す)、
−(CHp6−O−CONH−(CHp7−(p6は1〜8の整数を表し、p7は1〜8の整数を表す)、
−(CHp8−(p8は1〜10の整数を表す)、
−フェニル−
−O−(但し、この場合、Rは−O−および−CO−O−ではない)
が挙げられる。
【0070】
より好ましいR25としては、
−(CHCH−O)p1−(p1は、1〜6の整数を表す)、
−(CHR31p2−O−(p2は、1〜9の整数であり、R31は、水素原子またはメチル基を表す)、
−(CHp8−(p8は1〜10の整数を表す)、または
−フェニル−
が挙げられる。
【0071】
式(III)で表される化合物は、末端に−CHNO基を有しており、これを脱水反応に付すことにより、−C≡N基に変換することができる。式(III)で表される化合物を重合し、次いで、得られた重合体の−CHNO基を脱水処理することにより、複数のニトリルオキシド基を有する重合体を得ることができる。
【0072】
上記脱水反応は、特に限定されるものではないが、濃硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホンイミド、またはフェニルイソシアナート、あるいは他の求核性の無い対アニオンを有する強酸を用いることにより行うことができる。
【0073】
好ましい態様において、脱水反応は、塩基の存在下、イソシアネート化合物を用いて、特に好ましくはトリエチルアミンの存在下、フェニルイソシアネートを用いて行われる。
【0074】
本発明は、式(Ia):
【化16】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’およびR3’は、それぞれ独立して、−R−R5’−であり(ここに、Rは、ニトリルオキシド基を有する炭素原子に結合する);
は、二価の有機基であり;
5’は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位と、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマー単位とを含む共重合体を提供する。
【0075】
上記の重合体は、例えば、1種のみの式(Ia)で表されるモノマー単位と1種のみの縮合重合性または付加重合性モノマー単位からなる場合、下記式により表される重合体を含み得る。
【化17】
[式中、R、R2’およびR3’は、上記式(Ia)と同意義であり、
Monは、縮合重合性または付加重合性モノマー単位であり;
nは、任意の整数である。]
【0076】
上記の共重合体は、上記した式(I)で表される1種またはそれ以上の化合物(ただし、RおよびRの両方が−R−Rである)と、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマーとを縮合重合または付加重合させることにより得ることができる。従って、本発明は、式(Ia’):
【化18】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
およびRは、それぞれ独立して、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、OH、SH、COOHまたはNHRであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表されるモノマーと、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマーとを重合させることを含む、式(Ia)で表されるモノマー単位と、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマー単位とを含む共重合体の製造方法をも提供する。
【0077】
上記式(Ia)で表されるモノマー単位は、式(I)で表されるモノマーに対応する。
【0078】
式(Ia)中、Rは、式(I)において記載したRと同意義であり、水素原子または炭化水素基である。
【0079】
式(Ia)中、R’およびR3’は、それぞれ、式(I)におけるRおよびRに対応し、縮合重合または付加重合反応後のRおよびRの残基である。
【0080】
2’およびR3’は、それぞれ独立して、−R−R5’−である。R5’は、式(I)におけるRに対応し、Rから脱離基が脱離した二価の基である。R5’は、具体的には、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−または−NR−である。
【0081】
は、式(I)において記載したRと同意義であり、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。
【0082】
上記共重合体における、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマー単位の構造は特に限定されず、種々の縮合重合性または付加重合性モノマーの残基であり得る。
【0083】
上記の共重合体の製造に用いられる1種またはそれ以上の縮合重合性モノマーは、R基と縮合重合し得る基(例えば、Rの種類に応じて、−COCl、−COBr、−COF、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−COOH、−NH、カルボン酸無水物等)を2つ以上含む化合物であれば特に限定されない。
【0084】
縮合重合性モノマーの例としては、特に限定されないが、下記のものが挙げられる。
Hal−CO−R41−CO−Hal
(式中:Halは、ハロゲン原子、好ましくは塩素、臭素、フッ素、特に好ましくは塩素であり、
41は、アルキル基またはアリール基である);
フルオロアレーン類(例えば、ヘキサフルオロベンゼン、ビス(4−フルオロフェニル)ケトン)、
クロロアレーン類(例えば、ジクロロベンゼン、ビス(4−クロロフェニル)ケトン)、
脂肪族クロライド(例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、二官能性塩化ベンジル)、
脂肪族ブロマイド(例えば、ジブロモメタン、二官能性臭化ベンジル、α,ω−二臭化オリゴメチレン)、
脂肪族アイオダイド(例えば、ジヨードメタン)、
芳香族テトラ酸無水物、
芳香族ジアミン、
芳香族ヒドロキシアミン
【0085】
上記の共重合体の製造に用いられる1種またはそれ以上の付加重合性モノマーは、R基が付加し得る基(例えば、エポキシ基、−C=O、−C=C−、−C≡N、−N=C=O、−N=C=S、カルボジイミド、ケテン、ケテンイミン等)を2つ以上含む化合物であれば特に限定されない。
【0086】
付加重合性モノマーの例としては、特に限定されないが、下記のものが挙げられる。
EPO−CH−R42−CH−EPO;
H−C(O)−R42−C(O)H;
N≡C−R42−C≡N;
O=C=N−R42−N=C=O;
S=C=N−R42−N=C=S
(式中:EPOは、エポキシ基であり、
42は、フッ素原子で置換されていて良いアルキレン基、アリーレン基またはこれらを連結した2価の基であり、例えばパーフルオロアルキレン基である。)
【0087】
一の態様において、上記の共重合体の製造において、さらなる縮合重合性または付加重合性モノマーを用いてもよい。このさらなる縮合重合性または付加重合性モノマーは、上記式(I)で表される化合物と直接縮合反応を起こさず、上記したR基と縮合重合または付加重合し得る基を2つ以上含む化合物と縮合反応または付加反応することができるものであってもよい。例えば、上記式(I)で表される化合物におけるRと同じ基を2個以上有するが、式(I)の範囲内に含まれない化合物が挙げられる。
【0088】
上記さらなる縮合重合性モノマーの例としては、式:
【化19】
(式中、R、RおよびRは、上記式(I)のR、RおよびRと同意義であり、
51は、アルキル基またはアリール基である)
が挙げられる。
【0089】
一の態様において、上記の重合体は、一酸化炭素挿入反応により得られたものであってもよい。この場合、式(Ia)で表されるモノマー単位と、縮合重合性または付加重合性モノマー単位との間に、−CO−基が存在する。
【0090】
上記の重合体は、例えば、1種のみの式(Ia)で表されるモノマー単位と1種のみの縮合重合性モノマー単位または付加重合性からなる場合、下記式により表される重合体を含み得る。
【化20】
[式中、R、R2’およびR3’は、上記式(Ia)と同意義であり、
Monは、縮合重合性モノマー単位または付加重合性であり;
nは、任意の整数である。]
【0091】
上記態様において、重合性モノマー単位は、式(Ia’):
【化21】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’およびR3’は、それぞれ独立して、−R−または−R−R5’−であり(ここに、Rは、ニトリルオキシド基を有する炭素原子に結合する);
は、二価の有機基であり;
5’は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表されるモノマー単位であってもよい。かかる式(Ia’)で表されるモノマー単位と、上記式(Ia)で表されるモノマー単位は、同じ式(I)で表されるモノマー由来であり得る。
【0092】
上記の重合体は、下記式により表される重合体を含み得る。
【化22】
[式中、R、R2’、R3’およびR、上記式(Ia)と同意義であり、
nは、任意の整数である。]
【0093】
上記の重合体は、Pd等の遷移金属触媒存在下、式(I)で表されるモノマー、および所望により縮合重合性モノマーと、一酸化炭素とを反応させることにより得ることができる。かかる反応は、下記のスキーム表すことができ、一酸化炭素挿入反応として知られている。
【0094】
【化23】
[式中、Xは脱離基であり、他の各記号は上記と同意義である。]
【0095】
【化24】
[式中、各記号は上記と同意義である。]
【0096】
具体的には、下記反応が挙げられる。
【化25】
【0097】
【化26】
【0098】
【化27】
【0099】
本発明は、式(IIIa):
【化28】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位を含む単独重合体または共重合体を提供する。
【0100】
上記の重合体は、1種またはそれ以上の上記した式(III)で表される化合物を重合させることにより得ることができる。従って、本発明は、式(III):
【化29】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表されるモノマーを重合させることを含む、1種またはそれ以上の上記式(IIIa)で表されるモノマー単位を含む重合体の製造方法をも提供する。
【0101】
また、1種またはそれ以上の上記した式(III)で表される化合物は、1種またはそれ以上の重合性モノマーと重合させることもできる。この場合、式(IIIa)で表される1種またはそれ以上のモノマー単位と、1種またはそれ以上の重合性モノマー単位とを含む共重合体が得られる。
【0102】
上記式(IIIa)で表されるモノマー単位は、式(III)で表されるモノマーに対応する。
【0103】
式(IIIa)中、R21は、式(III)において記載したR21と同意義であり、水素原子またはアルキル基である。
【0104】
式(IIIa)中、R22は、式(III)において記載したR22と同意義であり、水素原子またはアルキル基である。
【0105】
式(IIIa)中、R23は、式(III)において記載したR23と同意義であり、二価の有機基である。
【0106】
また、本発明は、式(IIa):
【化30】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される1種またはそれ以上のモノマー単位を含む単独重合体または共重合体を提供する。
【0107】
また、本発明は、式(IIa)で表される1種またはそれ以上のモノマー単位と、1種またはそれ以上の重合性モノマー単位とを含む共重合体を提供する。
【0108】
上記の式(IIa)で表されるモノマー単位を含む重合体は、上記式(IIIa)で表されるモノマー単位を含む対応する重合体におけるCHNO基を脱水して、CN基に変換することによって製造することができる。
【0109】
上記共重合体における、1種またはそれ以上の重合性モノマー単位の構造は特に限定されないが、種々の重合性モノマーの残基であり得る。
【0110】
上記の共重合体の製造に用いられる1種またはそれ以上の重合性モノマーは、特に限定されず、例えばラジカル重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、カチオン重合性モノマー、配位重合性モノマーを用いることができる。好ましい重合性モノマーは、ラジカル重合性モノマーである。
【0111】
本発明は、式(Xa)または式(Xb):
【化31】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表されるモノマー単位から成る重合体を提供する。
【0112】
上記の式(Xa)または式(Xb)で表される重合体は、式(III):
【化32】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表される化合物を脱水し、式(II):
【化33】
[式中:
21は、水素原子またはアルキル基であり;
22は、水素原子またはアルキル基であり;
23は、二価の有機基である。]
で表されるモノマーを得て、このモノマーを重合させることにより、得ることができる。
【0113】
本発明は、1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に、式(Ib):
【化34】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’は、−R−R5’−であり(ここに、Rは、ニトリルオキシド基を有する炭素原子に結合する);
は、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
5’は、−O−、−S−、−CO−O−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される基を有する重合体を提供する。
【0114】
上記の重合体は、例えば、1種のみの重合性モノマー単位からなる場合、下記式により表すことができる。
【化35】
[式中、R、R2’およびRは、上記式(Ib)と同意義であり、
Monは、重合性モノマー単位であり;
nは、任意の整数である。]
【0115】
上記の共重合体は、上記した式(I)で表される1種またはそれ以上の化合物(ただし、Rが−R−Rであり、Rが−R−Rである)と、1種またはそれ以上の開環重合性モノマーとを重合させることにより得ることができる。従って、本発明は、式(Ib’):
【化36】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
は、−R−Rであり;
は、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、OH、−SH、−COOHまたは−NHRであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される化合物を重合開始剤として用い、1種またはそれ以上の開環重合性モノマーを重合させることを含む、1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に、式(Ib)で表される基を1つ含む重合体の製造方法をも提供する。
【0116】
本発明は、1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に、上記式(Ib):
【化37】
で表される基を有し、他端にニトリルオキシド基を有する重合体を提供する。
【0117】
上記の重合体は、例えば、1種のみの重合性モノマー単位からなる場合、下記式により表すことができる。
【化38】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’は、−R−R5’−であり(ここに、Rは、ニトリルオキシド基を有する炭素原子に結合する);
は、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
5’は、−O−、−S−、−CO−O−または−NR−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
Monは、開環重合性モノマー単位であり;
nは、任意の整数であり;
Qは、二価の有機基である。]
で表すこともできる。
【0118】
上記の重合体は、上記した式(I)で表される化合物(ただし、Rが−R−Rであり、Rが−R−Rである)と、1種またはそれ以上の開環重合性モノマーとを重合させ、停止剤としてニトリルオキシド基を有する化合物を用いるか、またはニトリルオキシド基の前駆体基を有する化合物を用い、次いで前駆体基をニトリルオキシド基に変換することにより得ることができる。式中、−Q−CNOが停止剤に由来する。
【0119】
このような停止剤としては、特に限定されないが、例えば、(Ph)C=CHNOまたは(Ph)HC=CHNO(式中、Phはフェニル基である)が挙げられる。
【0120】
例えば、停止剤として(Ph)C=CHNOを用いた場合、重合反応後に得られる化合物は、下記化合物となる。
【化39】
【0121】
これを脱水処理に付すことにより、下記の主鎖の両末端にニトリルオキシド基を有する重合体を得ることができる。
【化40】
【0122】
また、本発明は、1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、分子主鎖中に、式(Ic):
【化41】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
2’およびR3’は、それぞれ独立して、−R−R5’−であり(ここに、Rが、ニトリルオキシド基を有する炭素原子に結合する);
は、二価の有機基であり;
5’は、−O−、−S−、−CO−O−または−NR−、好ましくは−O−であり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり;
ここに、R2’およびR3’は、上記開環重合性モノマー単位に直接結合している。]
で表される部分を1つ含む重合体を提供する。
【0123】
上記の重合体は、例えば、1種のみの重合性モノマー単位からなる場合、下記式により表すことができる。
【化42】
[式中、R、R2’およびR3’は、上記と同意義であり、
Monは、開環重合性モノマー単位であり、
nは、それぞれ独立して、任意の整数である。]
【0124】
上記の共重合体は、上記した式(I)で表される化合物(ただし、RおよびRの両方が、−R−Rである)と、1種またはそれ以上の開環重合性モノマーとを重合させることにより得ることができる。従って、本発明は、式(Ic’):
【化43】
[式中:
は、水素原子または炭化水素基であり;
およびRは、それぞれ独立して、−R−Rであり;
は、二価の有機基であり;
は、OH、SH、COOHまたはNHR、好ましくはOHであり;
は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。]
で表される化合物を重合開始剤として用い、1種またはそれ以上の開環重合性モノマーを重合させることを含む、1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、分子主鎖中に、上記式(Ic)で表される部分を1つ含む重合体の製造方法をも提供する。
【0125】
上記の共重合体の製造に用いられる1種またはそれ以上の開環重合性モノマーは、特に限定されないが、好ましくは、開環重合を起こし得るモノマー、例えばオキセタン、含フッ素オキセタン、エポキシ、環状エステル等が挙げられる。
【0126】
上記モノマー単位は、開環重合性モノマーが開環した構造であり、例えば下記の基が挙げられる。
・エポキシモノマー由来
−CH(R)CHO−(式中、Rは、Hまたは置換されていてよいアルキル基である)
−CHCH(R)O−
・オキセタンモノマー由来
−CHCHCHO−(式中、水素原子は、アルキル基等の官能基で置換されていてよい。)
・チオエーテル由来
−CHCH(R)S−
・環状ラクトン由来
−C(O)−(CH−O−(式中、mは2〜5の整数であり、水素原子は他の官能基で置換されていてもよい)
・環状チオノラクトン由来
−C(S)−(CH−O−(式中、mは2〜5の整数であり、水素原子は他の官能基で置換されていてもよい)
・環状チオノラクトン由来
−(CH−C(O)S−(式中、mは2〜5の整数であり、水素原子は他の官能基で置換されていてもよい)
・グリコリド及びその類縁体由来
−C(O)−C(R)O−(式中、Rは、水素原子または置換されていてよいアルキル基である)
・モルホリンジオン
−C(O)−C(R)NH−C(O)−C(R)O−(式中、Rは、水素原子または置換されていてよいアルキル基である)
・環状カーボネートまたはラクチド由来
−C(O)O−(CH−O−(式中、oは1〜4の整数であり、水素原子は他の官能基で置換されていてもよい)
・環状チオカーボネート由来
−C(S)O−(CH−O−(式中、oは1〜4の整数であり、水素原子は他の官能基で置換されていてもよい)
・環状チオカーボネート由来
−(CH)O−O−C(O)S−(式中、水素原子は他の官能基で置換されていてもよい)
・ラクタム由来
−NH−C(O)−(CH−(式中、pは3〜5の整数であり、水素原子は他の官能基で置換されていてもよい)
・α−アミノ酸−N−カルボン酸無水物(NCA)およびその類縁体由来
−C(O)−CHR−NH−(式中、Rは、水素原子またはアルキル基等の置換基である)
・シクロアルカン類由来
−(CH)q−C(EWG)−(式中、pは2〜3の整数であり、EWGはCN基、C(O)OR基、F基、Cl基、CF基、NO基などの電子吸引性官能基である)
・シクロブタン類由来
−(CH−C(EWG)−C(EWG)−(式中、水素原子は他の官能基で置換されていてもよく、EWGは、CN基、C(O)OR基、F基、Cl基、CF基、NO基などの電子吸引性官能基である)
・環状トリシロキサン由来
−Si(R)(R’)−O−(式中、RおよびR’は、アルキル(好ましくはメチル)、フェニル、ビニル、アリル、フルオロアルキル基などである)
・環状シロキサザン
−Si(R)(R’)O−Si(R)(R’)−NR−Si(R)(R’)O−(式中、R、R’は置換基であり、好ましくはメチル基、フェニル基、ビニル、アリル基であり、特に好ましくはメチル基である)
・1−オキサ−2、5−ジシラシクロペンタン由来
−(CH−Si(R)(R’)−O−Si(R’’)(R’’’)−(式中、R、R’、R’’およびR’’’は置換基であり、好ましくはメチル基、フェニル基、ナフチル基ある)
・シラシクロアルカン類由来
−Si(R)(R’)−(CH−(式中、水素原子は他の官能基で置換されていてもよい)
・シラシクロペンテン由来
−Si(R)−CH−CH=CH−CH−(式中、Rは置換基であり、好ましくはメチル基である)
・環状ジシラン由来
−Si(R)(R’)−Si(R’’)(R’’’)−(式中、R、R’、R’’およびR’’’は置換基である)
・環状リン酸エステル、環状ホスホン酸エステル由来
−P(O)(ORまたはR)−O(CH−O−(式中、rは4〜8の整数であり、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基である)
・エポキシドもしくはオキセタンと二酸化炭素の共重合骨格、エピスルフィドと二硫化炭素の共重合体骨格
−(CH−X−C(X)X−(式中、Xは、OまたはSである)
・エポキシドと環状酸無水物の共重合体
−(CH−O−C(O)−(CH−C(O)−O−
【0127】
本発明の重合体は、上記のモノマー単位を2種以上有していてもよい。
【0128】
本発明の化合物は、多種多様な用途、例えば親水化剤、表面処理剤、重合開始剤、重合性モノマー、架橋剤、変性処理剤、熱硬化性樹脂、熱硬化性エラストマー、液状ゴム、低温特性ゴム、フィラーの改質剤または反応性相溶化剤として好適に用いられる。
【0129】
本発明は、上記した本発明の重合体:
(i)式(Ia)で表されるモノマー単位と、1種またはそれ以上の縮合重合性または付加重合性モノマー単位とを含む共重合体、
(ii)式(IIa)で表されるモノマー単位と1種またはそれ以上の重合性モノマー単位とを含む共重合体、
(iii)1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に式(Ib)で表される基を有する重合体、
(iv)1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に式(Ib)で表される基を有し、さらに他の末端にニトリルオキシド基を有する重合体、
(v)1種またはそれ以上の重合性モノマー単位を含む重合体であって、分子主鎖中に、式(Ia)で表される部分を1つ含む重合体、または
(vi)式(IIIa)で表されるモノマー単位と1種またはそれ以上の重合性モノマー単位とを含む共重合体
を含む組成物を提供する。かかる組成物は、1種またはそれ以上の重合体を含んでいてもよい。また、当該組成物は、上記した本発明の重合体のみから構成されていてもよい。
【0130】
上記本発明の重合体(i)〜(vi)は、通常、1000以上、好ましくは2000以上、特に好ましくは5000以上の数平均分子量を有するが、これに限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。また、この数平均分子量の上限は、特に限定されないが、通常、200万以下、好ましくは100万以下、特に好ましくは50万以下であり得る。
【0131】
一の態様において、本発明の組成物は、本発明の重合体に加え、さらにニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料を含んでいてもよい。即ち、この態様において、本発明の組成物は、本発明の重合体およびニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料の混合物であり得る。
【0132】
別の態様において、本発明の組成物は、他の組成物、例えばニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料を含む組成物と組み合わせた形態であってもよい。この態様において、本発明の組成物と他の組成物は、混合され、好ましくは使用直前に混合され、所望の用途に用いることができる。
【0133】
上記組み合わせ形態は、本発明の組成物と他の組成物の両方が液体であってもよく、一方が固体(ゲルを含む)であってもよく、あるいは、両方が固体(ゲルを含む)であってもよい。
【0134】
本発明の組成物は、溶剤を含んでいてもよい。かかる溶剤としては、組成物に含まれる成分に応じて適宜選択することができる。
【0135】
好ましい態様において、本発明の組成物は、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される。
【0136】
上記「ニトリルオキシド基と反応性を有する基」としては、二重結合(C=C、C=N、N=N、C=S、P(V)=C、C=P(III)、C=As、C=Se、B=N、P(V)=N、C=O)を有する基、または三重結合(C≡C、C≡N、C≡P)を有する基などが挙げられ、具体的には、アルケニル基、アルキニル基、ニトリル基が挙げられる。
【0137】
上記ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料の「材料」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基材、樹脂基材、架橋剤が適用される化合物、特に高分子化合物(例、天然ゴム、合成ゴム)、その他種々の化合物が挙げられる。
【0138】
本発明の組成物に含まれる重合体は、ニトリルオキシド基を含み反応性に富むので、種々の基材、化合物等を改質したり、これらに所望の特性を与えたりすることができる。
【0139】
特に、(i)式(Ia)で表されるモノマー単位と、1種またはそれ以上の縮合重合または付加重合性モノマー単位とを含む共重合体を含む組成物、および(ii)式(IIa)で表されるモノマー単位と1種またはそれ以上のラジカル重合性モノマー単位とを含む共重合体を含む組成物、および(iv)1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に式(Ib)で表される基を有し、さらに他の末端にニトリルオキシド基を有する重合体を含む組成物は、架橋剤として有用であり得る。この場合、特に、(i)および(ii)の組成物が好ましい。
【0140】
特に、(iii)1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端または両末端に、式(Ib)で表される基を有する重合体を含む組成物、および(iv)1種またはそれ以上の開環重合性モノマー単位を含む重合体であって、分子主鎖中に、式(Ia)で表される部分を1つ含む重合体を含む組成物は、グラフト化剤として有用であり得る。この場合、特に、(iii)1種またはそれ以上のラジカル重合性モノマー単位を含む重合体であって、主鎖の片末端に、式(Ib)で表される基を有する重合体を含む組成物、および(iv)の組成物が好ましい。
【0141】
一の態様において、上記本発明の組成物は、親水化剤である。
【0142】
本発明の親水化剤は、少なくとも1種の上記した本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体を含む。
【0143】
本発明の親水化剤が適用される材料としては、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有する限り特に限定されない。例えば、本発明の親水化剤は、親水性が低い化合物と反応させることにより、その化合物の親水性を高めることができ、また、非親水性の樹脂の表面と反応させることにより、その樹脂表面の親水性を高めることができる。
【0144】
一の態様において、上記親水化は、本発明の組成物を他の高分子材料と混合することにより、または他の高分子材料を成形(好ましくは成膜)し、その表面に本発明の組成物を適用することにより行うことができる。
【0145】
好ましい態様において、上記親水化された高分子材料は、高分子多孔質膜に成形される。
【0146】
従って、本発明は、本発明の化合物および他の高分子材料の混合物から構成される膜をも提供する。
【0147】
好ましい態様において、上記他の高分子材料は、含フッ素ポリマーであり、代表的にはフッ化ビニリデン系ポリマー、好ましくはポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン単位を有する共重合体が挙げられる。
【0148】
本発明の化合物は、上記含フッ素ポリマーに対して、0.5〜50質量%となるように添加して組成物とすることができる。より好ましい下限は5質量%であり、さらに好ましい下限は10質量%であり、より好ましい上限は30質量%である。
【0149】
上記含フッ素ポリマーがフッ化ビニリデン系ポリマーであると、溶融混練により本発明の化合物と混合することが可能となり、優れた特性を有する高分子多孔質膜を形成することができる組成物とすることができる。この観点から、上記組成物は、本発明の化合物と、上記ポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン単位を有する共重合体とを、溶融混練することにより得られた組成物であることが好ましい。
【0150】
上記ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量は、高分子多孔質膜の機械的強度および加工性の観点から、30,000〜2,000,000であることが好ましく、50,000〜1,000,000であることがより好ましい。
【0151】
上記フッ化ビニリデン系ポリマーは、フッ化ビニリデン単位のみからなるホモポリマーであってもよいし、フッ化ビニリデン単位と他の単量体単位とからなる変性ポリマーであってもよい。変性ポリマーにおいて、他の単量体としては、フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体が使用でき、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、フルオロアルキルエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、一般式:CH=CFRf(式中、Rfは炭素数1〜12の直鎖または分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー等が挙げられる。上記ポリフッ化ビニリデンにおいて、フッ化ビニリデン単位および他の単量体単位のモル比(フッ化ビニリデン単位/他の単量体単位)が99/1を超え、100/0未満であることが好ましい。
【0152】
上記フッ化ビニリデン単位を有する共重合体としては、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。機械的強度および耐アルカリ性の観点から、フッ化ビニリデン単位を有する共重合体は、特にフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体であることが好ましい。
【0153】
成膜性および耐アルカリ性の観点から、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位およびテトラフルオロエチレン単位のモル比(フッ化ビニリデン単位/テトラフルオロエチレン単位)が50〜99/50〜1であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、ダイキン工業(株)製のVTシリーズ等が挙げられる。フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位/テトラフルオロエチレン単位がモル比で50〜95/50〜5であることがより好ましく、50〜90/50〜10であることがさらに好ましい。また、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位およびテトラフルオロエチレン単位のみからなるフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体の他に、フッ化ビニリデン単位およびテトラフルオロエチレン単位に加えて、特性を損なわない範囲でヘキサフルオロプロピレン単位、クロロトリフルオロエチレン単位、パーフルオロビニルエーテル単位等を有する三元以上の共重合体でもよい。
【0154】
フッ化ビニリデン単位を有する共重合体の重量平均分子量は、高分子多孔質膜の用途によって異なるが、機械的強度および成膜性の観点からは、10,000以上であることが好ましい。より好ましくは、30,000〜2,000,000であり、さらに好ましくは、50,000〜1,000,000であり、特に好ましくは、100,000〜800,000である。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
【0155】
一の態様において、上記他の高分子材料は、フッ化ビニリデン系ポリマー以外の樹脂を含んでいてもよい。
【0156】
フッ化ビニリデン系ポリマー以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、およびこれらの混合物や共重合体が挙げられる。これらと混和可能な他の樹脂を混和してもよい。
【0157】
フッ化ビニリデン系ポリマー以外の樹脂としては、なかでも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、および、アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0158】
ポリエチレン系樹脂は、エチレンホモポリマーまたはエチレン共重合体からなる樹脂である。ポリエチレン系樹脂は、複数の種類のエチレン共重合体からなるものでもよい。エチレン共重合体としては、プロピレン、ブテン、ペンテン等の直鎖状不飽和炭化水素から選ばれた1種以上とエチレンとの共重合体が挙げられる。
【0159】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンホモポリマーまたはプロピレン共重合体からなる樹脂である。ポリプロピレン系樹脂は、複数の種類のプロピレン共重合体からなるものでもよい。プロピレン共重合体としては、エチレン、ブテン、ペンテン等の直鎖状不飽和炭化水素から選ばれた1種類以上とプロピレンとの共重合体が挙げられる。
【0160】
アクリル樹脂は、主としてアクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体、たとえばアクリルアミド、アクリロニトリル等の重合体を包含する高分子化合物である。特にアクリル酸エステル樹脂やメタクリル酸エステル樹脂が好ましい。
【0161】
フッ化ビニリデン系ポリマー以外の樹脂としては、なかでも、アクリル樹脂が最も好ましい。
【0162】
フッ化ビニリデン系ポリマー以外の樹脂の種類および量を調整することにより、得られる高分子多孔質膜の膜強度、透水性能、阻止性能等を調整することができる。
【0163】
本発明の組成物は、親水化の観点や、相分離制御の観点、機械的強度向上の観点から、更に、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリエチレングリコール、モンモリロナイト、SiO、TiO、CaCO、ポリテトラフルオロエチレン等の添加剤を含んでいてもよい。
【0164】
上記高分子多孔質膜は、種々の方法により製造することができる。例えば、相分離法、溶融抽出法、蒸気凝固法、延伸法、エッチング法、高分子シートを焼結することにより多孔質膜とする方法、気泡入りの高分子シートを圧潰することにより多孔質膜を得る方法、エレクトロスピニングを用いる方法等が挙げられる。
【0165】
溶融抽出法は、混合物に無機微粒子と有機液状体を溶融混練し、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーの融点以上の温度で口金から押出したり、プレス機等により成形した後、冷却固化し、その後有機液状体と無機微粒子を抽出することにより多孔構造を形成する方法である。
【0166】
蒸気凝固法は、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーを良溶媒に溶解した組成物からなる薄膜状物の少なくとも一方の表面に、上記良溶媒と相溶性があり本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーを溶解しない非溶媒および/または貧溶媒の飽和蒸気またはミストを含む蒸気を強制的に供給する方法である。
【0167】
好ましい態様において、本発明の高分子多孔質膜は、細孔サイズの制御が容易であることから相分離法で形成することが好ましい。相分離法としては、例えば、熱誘起相分離法(TIPS)、非溶媒誘起相分離法(NIPS)等が挙げられる。
【0168】
熱誘起相分離法を用いる場合、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーを貧溶媒または良溶媒である溶媒に、比較的高い温度で溶解させて組成物を得る工程、および、該組成物を冷却固化する工程からなる製造方法により本発明の高分子多孔質膜は製造することができる。
【0169】
本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーが溶媒に溶解した組成物は、クラウドポイント(曇点)と呼ばれる温度よりも高い温度に維持されている場合は均一な1相の液体となるが、クラウドポイント以下では相分離が起こり、ポリマー濃厚相と溶媒濃厚相の2相に分離し、さらに結晶化温度以下になるとポリマーマトリックスが固定化され、多孔質膜が形成する。
【0170】
熱誘起相分離法を用いる場合、上記組成物は、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーが本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーと溶媒との合計に対して10〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜50質量%である。
【0171】
本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーの濃度を適正な範囲に調整することにより、組成物の粘度を適切な範囲に調整することができる。組成物の粘度が適切な範囲になければ、高分子多孔質膜に成形することができないおそれがある。
【0172】
上記貧溶媒は、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーを60℃未満の温度では5質量%以上溶解させることができないが、60℃以上かつ樹脂の融点以下では5質量%以上溶解させることができる溶媒のことである。貧溶媒に対し、60℃未満の温度でも樹脂を5質量%以上溶解させることができる溶媒を良溶媒という。樹脂の融点または液体の沸点まで、樹脂を溶解も膨潤もさせない溶媒を非溶媒という。
【0173】
貧溶媒としては、シクロヘキサノン、イソホロン、γーブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、脂肪族多価アルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート等の中鎖長のアルキルケトン、エステル、グリコールエステルおよび有機カーボネート等、並びに、その混合溶媒が挙げられる。HFC−365等の含フッ素溶媒、ジフェニルカーボネート、メチルベンゾエート、ジエチレングリコールエチルアセテート、ベンゾフェノン等も挙げられる。なお、非溶媒と貧溶媒の混合溶媒であっても、上記貧溶媒の定義を満たす溶媒は、貧溶媒である。
【0174】
熱誘起相分離法を用いる場合、組成物の溶媒としては貧溶媒が好ましいが、この限りではなく、フルオロポリマーの相分離挙動の検討から良溶媒を用いる場合もある。
【0175】
良溶媒としては、HCFC−225等の含フッ素溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド、および、これらの混合溶媒等が挙げられる。
【0176】
非溶媒としては、水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン、トリクロロエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、メタノール、エタノール、プロパノール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、またはその他の塩素化有機液体およびその混合溶媒等が挙げられる。
【0177】
熱誘起相分離法を用いる場合、上記組成物を得る工程は、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーを貧溶媒または良溶媒である溶媒に20〜270℃で溶解させるものであることが好ましい。溶解させる温度は30〜250℃であることが好ましい。比較的高温で溶解させた場合には、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーの濃度を高くすることができ、これにより、高い機械的強度を有する高分子多孔質膜を得ることができる。本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーの濃度が高すぎると、得られる高分子多孔質膜の空隙率が小さくなり、透水性能が低下するおそれがある。また、調製した組成物の粘度が適正範囲に無ければ、多孔質膜に成形することができないおそれがある。
【0178】
組成物を冷却固化する方法としては、例えば、上記組成物を、口金から冷却浴中に吐出する方法が好ましい。高分子多孔質膜が平膜の場合、キャストして、冷却浴に浸漬させる方法も好ましい方法として挙げられる。
【0179】
冷却浴として用いることができる冷却液体は、組成物よりも温度が低いものであり、例えば、温度が0〜80℃であり、濃度が60〜100質量%の貧溶媒または良溶媒である溶媒を含有する液体を用いることができる。また、冷却液体には、非溶媒や、貧溶媒や良溶媒を含有する非溶媒を用いてもよい。
【0180】
上記高分子多孔質膜の製造方法においては、組成物の濃度、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーを溶解する溶媒の組成、冷却浴を構成する冷却液体の組成が重要である。これらの組成を調整することによって、高分子多孔質膜の多孔質構造を制御することができる。
【0181】
例えば、高分子多孔質膜の片面と他方の面とで、組成物の組成や冷却液体の組成の組み合わせを変更することによって、高分子多孔質膜の片面の構造と、他方の面の構造とを異なるものにすることもできる。
【0182】
上記高分子多孔質膜を非溶媒誘起相分離法により製造する場合、例えば、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーを溶媒に溶解して組成物を得る工程、得られた組成物を、口金から非溶媒を含む凝固浴中に吐出する工程からなる製造方法により高分子多孔質膜を得ることが好ましい。
【0183】
上記組成物を、非溶媒を含む凝固浴中に浸漬することにより、該組成物と凝固浴中の溶媒と非溶媒の濃度勾配を駆動力として、非溶媒誘起型の相分離を生じせしめることができる。この方法によれば、最初に溶媒と非溶媒の置換により相分離が起こる外表面において緻密なスキン層が形成し、膜内部方向に向かって相分離現象が進んでいく。その結果、スキン層に続いて膜内部方向に向かって連続的に孔径が大きくなる非対称膜を製造することもできる。
【0184】
非溶媒誘起相分離法を用いる場合、上記組成物は、本発明の化合物、上記含フッ素ポリマーおよび溶媒からなることが好ましい。上記組成物は、本発明の化合物、上記含フッ素ポリマーおよび溶媒に加えて、さらに、非溶媒からなることも好ましい形態の一つである。
【0185】
上記組成物は、本発明の化合物、上記含フッ素ポリマー、溶媒および非溶媒の合計(組成物が非溶媒を含まない場合には、本発明の化合物、上記含フッ素ポリマーおよび溶媒の合計)に対して、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーが5〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜50質量%である。上記組成物は、本発明の化合物、上記含フッ素ポリマー、溶媒および非溶媒の合計に対して、非溶媒が0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜8質量%である。本発明の化合物および上記含フッ素ポリマー濃度を適正な範囲に調整することにより、組成物の粘度を適切な範囲に調整することができる。組成物の粘度が適切な範囲になければ、高分子多孔質膜に成形することができないおそれがある。
【0186】
組成物は、常温であってもよいし、加熱されたものでもよい。例えば、10〜75℃が好ましい。
【0187】
非溶媒誘起相分離法において、上記溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した溶媒を用いることができる。上記溶媒は、貧溶媒であっても良溶媒であってもよいが、良溶媒が好ましい。上記非溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した非溶媒を使用することができる。
【0188】
上記凝固浴として用いることができる凝固液体として、非溶媒を含有する液体を用いて固化させることが好ましく、貧溶媒、良溶媒を含有していてもよい。上記非溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した非溶媒を用いることができる。例えば、水を好適に用いることができる。
【0189】
上記高分子多孔質膜を製造する場合、上記熱誘起相分離法と非溶媒誘起相分離法とを併用してもよい。
【0190】
非溶媒誘起相分離法および熱誘起相分離法では、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーを溶媒に溶解した組成物を口金から吐出した後、固化させることで多孔質膜を得ることができる。上記口金としては、例えば、スリット口金、二重管式口金、三重管式口金等が用いられる。
【0191】
高分子多孔質膜の形状を中空糸膜とする場合、上記口金としては、中空糸膜紡糸用の二重管式口金、三重管式口金等が好ましく用いられる。
【0192】
二重管式口金を用いる場合、二重管式口金の外側の管から組成物を吐出し、イオン交換水等の中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴または冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。
【0193】
中空部形成流体には、通常、気体もしくは液体を用いることができる。熱誘起相分離法では、冷却液体と同様の、濃度が60〜100%の貧溶媒若しくは良溶媒を含有する液体が好ましく採用できるが、非溶媒や、貧溶媒や良溶媒を含有する非溶媒を用いてもよい。非溶媒誘起相分離法では、上記中空部形成流体としては、上述した非溶媒を用いることが好ましく、例えば、イオン交換水等の水が好ましい。また、上述した非溶媒は、貧溶媒、良溶媒を含有していてもよい。
【0194】
熱誘起相分離法を用いる場合は、上記中空部形成流体としては、上述した溶媒を用いることが好ましく、例えば、グリセロールトリアセテート等の貧溶媒が好ましい。また、熱誘起相分離法を用いる場合は、窒素ガスを用いることもできる。
【0195】
中空部形成流体と冷却液体または凝固液体の組成を変えることにより、二種の構造を有する中空糸膜を形成することもできる。中空部形成流体は、冷却して供給してもよいが、冷却浴の冷却力のみで中空糸膜を固化するのに十分な場合は、中空部形成流体は冷却せずに供給してもよい。
【0196】
三重管式口金は、2種の樹脂溶液を用いる場合に好適である。例えば、三重管式口金の外側の管と中間の管から2種の組成物を吐出し、中空部形成液体を内側の管から吐出しながら凝固浴または冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。また、三重管式口金の外側の管から組成物を吐出し、中間の管から本発明の化合物および上記含フッ素ポリマー以外の樹脂からなる樹脂溶液を吐出し、中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴または冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。本発明の化合物および上記含フッ素ポリマー以外の樹脂としては上述したものが挙げられる。中でも、上述した熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
【0197】
上記のように、二重管式口金や三重管式口金を用いた製造方法で中空糸膜を製造した場合、凝固液体または冷却液体の量を、平膜を製造した場合よりも少なくすることができる点で好ましい。
【0198】
上記高分子多孔質膜の形状が中空糸膜の場合、上記の方法で得られた中空糸膜の外表面または内表面に、さらに、フルオロポリマー層または本発明の化合物および上記含フッ素ポリマー以外の樹脂からなる樹脂層を形成してもよい。
【0199】
上記フルオロポリマー層または上記樹脂層は、中空糸膜の外表面または内表面に組成物または樹脂溶液を塗布することで形成することができる。中空糸膜の外表面に組成物または樹脂溶液を塗布する方法としては、中空糸膜を組成物または樹脂溶液に浸潰したり、中空糸膜に組成物または樹脂溶液を滴下したりする方法等が好ましく用いられる。中空糸膜の内表面に組成物または樹脂溶液を塗布する方法としては、組成物または樹脂溶液を中空糸膜内部に注入する方法等が好ましく用いられる。組成物または樹脂溶液の塗布量を制御する方法としては、組成物または樹脂溶液の塗布量自体を制御する方法の他に、多孔質膜を組成物または樹脂溶液に浸漬したり、多孔質膜に組成物または樹脂溶液を塗布した後に、組成物または樹脂溶液の一部をかき取ったり、エアナイフを用いて吹き飛ばす方法や、塗布の際の濃度を調整する方法も好ましく用いられる。
【0200】
上記高分子多孔質膜の形状を平膜とする場合、上記組成物をキャストして、冷却浴または凝固浴に浸漬させることによって製造することができる。また、スリット口金を用いて、冷却浴または凝固浴に上記組成物を吐出することでも製造することができる。
【0201】
上記高分子多孔質膜が多孔質基材からなる複合膜である場合、上記多孔質基材を上記組成物に浸漬する方法、上記多孔質基材の少なくとも片面に上記組成物を塗布する方法等により上記高分子多孔質膜を得ることもできる。
【0202】
上述した製造方法により、接触角が小さい高分子多孔質膜を得ることができるが、透水性能が十分でない場合には、上記製造方法で得られた多孔質膜をさらに延伸して本発明の高分子多孔質膜としてもよい。
【0203】
上記高分子多孔質膜の孔径を制御する方法としては、例えば、上記組成物に孔径を制御するための添加剤を入れ、本発明の化合物および上記含フッ素ポリマーによる多孔質構造を形成する際、または多孔質構造を形成した後に、添加剤を溶出させることにより高分子多孔質膜の孔径を制御することができる。また、添加剤は多孔質膜内に留まらせてもよい。
【0204】
非溶媒誘起相分離法および熱誘起相分離法のいずれにおいても、上記組成物は添加剤を含んでいてもよい。多孔質構造を形成した後、添加剤を溶出させることにより、高分子多孔質膜の孔径を制御することができる。上記添加剤は、必要に応じて多孔質膜内に留まらせてもよい。
【0205】
上記添加剤としては、有機化合物および無機化合物を挙げることができる。上記有機化合物としては、組成物を構成する溶媒に溶解するもの、または、均一に分散するものであることが好ましい。さらに、非溶媒誘起相分離法では凝固液体に含まれる非溶媒、熱誘起相分離法では冷却液体に含まれる溶媒に溶解するものが好ましい。
【0206】
上記有機化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、テキストラン等の水溶性ポリマー、Tween40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート)等の界面活性剤、グリセリン、糖類等を挙げることができる。
【0207】
上記無機化合物としては、水溶性化合物が好ましく用いられる。例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。
【0208】
上記添加剤を用いずに、凝固液における非溶媒の種類、濃度および温度によって相分離速度をコントロールすることによって表面の平均孔径を制御することも可能である。一般的には、相分離速度が速いと表面の平均孔径が小さく、遅いと大きくなる。また、上記組成物に非溶媒を添加することも、相分離速度制御に有効である。
【0209】
上記組成物は、親水化の観点や、相分離制御の観点、機械的強度向上の観点から、さらに、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、モンモリロナイト、SiO、TiO、CaCO、ポリテトラフルオロエチレン等の添加剤を含んでいてもよい。
【0210】
上記高分子多孔質膜は、透水性向上の観点から、アルカリで処理を行ってもよい。アルカリとは、例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液、アンモニア水、アミン溶液等である。これらは、エタノール、メタノール等のアルコールや有機溶剤を含んでいてもよい。特にアルカリがアルコールを含むことが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0211】
本発明の化合物は、高分子多孔質膜に塗布することにより、塗膜とし、親水性を付与することもできる。高分子多孔質膜としては、上記のものが使用できる。
【0212】
従って、本発明は、本発明の化合物を、他の高分子材料の膜の表面に塗布することにより得られる膜をも提供する。
【0213】
本発明の化合物は、有機溶剤を含むものであってもよく、有機溶剤を含む場合、容易に塗布することが可能になる。
【0214】
上記有機溶剤としては、下記の溶剤が挙げられる:
ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのグリコールエーテル類;
メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、tert−アミルアルコールなどのアルコール類;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;
メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類;
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシドなど、
あるいはこれらの2種以上の混合溶剤。
【0215】
またさらに、フッ素系の溶剤としては、下記の溶剤が挙げられる:
例えばCHCClF(HCFC−141b)、CFCFCHCl/CClFCFCHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、H(CF2CCHOH(n:1〜3の整数)、F(CFCHOH(n:1〜5の整数)、CFCH(CF)OHなどのフッ素系アルコール類;ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCFCFClCFCFClなど。
【0216】
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤などを挙げることができ、なかでもアルコールとケトン、酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましく、さらにiso−プロパノールとメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが最も好ましい。本発明の化合物が上記有機溶剤を含む場合、上記フルオロポリマーを5〜60質量%含むことが好ましい。親水化剤の塗布は、公知の方法により実施でき、例えば、スピンコート法、バーコード法、キャスト法、スプレー法、エレクトロスピニング法等の方法により塗布することができる。本発明の化合物は、さらに、硬化剤、硬化促進剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤等の塗料に通常使用される添加剤を含むものであってもよい。
【0217】
上記高分子多孔質膜は、飲料水製造、浄水処理、排水処理等の水処理に用いられる精密濾過膜または限外濾過膜として好適である。上記高分子多孔質膜は、特に、水処理用の高分子多孔質膜であることが好ましい。
【0218】
また、上記高分子多孔質膜は、食品分野、電池分野等においても好適に用いられる。
【0219】
食品分野においては、発酵に用いた酵母の分離除去や、液体の濃縮を目的として上記高分子多孔質膜を用いることができる。
【0220】
電池分野においては、電解液は透過できるが、電池反応で生じる生成物は透過できないようにするための電池用セパレーターとして上記高分子多孔質膜を用いることができる。
【0221】
一の態様において、上記本発明の組成物は、表面処理剤である。
【0222】
本発明の表面処理剤は、主成分または有効成分として、少なくとも1種の上記した本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体を含み、撥水性、撥油性、防汚性、摩擦耐久性、表面滑り性、防水性などを有する表面処理層を形成することができ、防汚性コーティング剤または防水性コーティング剤として好適に利用される。ここで、「主成分」とは、表面処理剤中の含量が50%を超える成分を言い、「有効成分」とは、表面処理すべき基材上に残留して表面処理層を形成し、何らかの機能(撥水性、撥油性、防汚性、表面滑り性、摩擦耐久性など)を発現させ得る成分を意味する。
【0223】
本発明の表面処理剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものであればいかなる基材に対しても好適に適用できる点で、主にガラス基材に好適に用いられる含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤、主に樹脂基材に好適に用いられる硬化性部位(例えば二重結合)を有する化合物を含む表面処理剤と比べて有利である。
【0224】
本発明の表面処理剤の組成は、表面処理層に所望される機能に応じて適宜選択してもよい。
【0225】
例えば、表面処理剤は、上記の本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体に加えて、含フッ素オイルとして理解され得るフルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい(以下、「含フッ素オイル」とも言う)。含フッ素オイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0226】
表面処理剤中、本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、含フッ素オイルは、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
【0227】
かかる含フッ素オイルとしては、以下の一般式(A)で表される化合物(パーフルオロポリエーテル化合物)が挙げられる。

21−(OCa’−(OCb’−(OCc’−(OCFd’−R22 ・・・(A)

式中、R21は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、好ましくは1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。好ましくは、上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
22は、水素原子、フッ素原子または1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、好ましくは1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。好ましくは、上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’およびd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロポリエーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも1、好ましくは1〜100である。添字a’、b’、c’、d’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCF)−である。また、−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
【0228】
上記一般式(A)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物の例として、以下の一般式(A1)および(A2)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。

21−(OCFCFCFb’’−R22 ・・・(A1)
21−(OCFCFCFCFa’’−(OCFCFCFb’’−(OCFCFc’’−(OCFd’’−R22 ・・・(A2)

これら式中、R21およびR22は上記の通りであり;式(A1)中、b’’は1以上100以下の整数であり;式(A2)中、a’’およびb’’はそれぞれ独立して1〜30の整数であり、c’’およびd’’はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。これら式中、添字a’’、b’’、c’’、d’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0229】
一般式(A1)で示される化合物および一般式(A2)で示される化合物は、それぞれ単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0230】
また、上記の本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体がパーフルオロアルキル基を含む場合、含フッ素オイルは、一般式Rf−F(式中、Rfは、上記の本発明の重合体に含まれるパーフルオロアルキル基である)で表される化合物であってよい。この場合、Rf−Fで表される化合物は、上記した本発明の重合体と高い親和性が得られる点で好ましい。
【0231】
また、本発明の表面処理剤は、上記の本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体に加えて、シリコーンオイルとして理解され得るシリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)を含んでいてもよい。シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0232】
表面処理剤中、本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体100質量部に対して、シリコーンオイルは、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
【0233】
かかるシリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2000以下の直鎖状または環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0234】
本発明は、また、基材と、該基材の表面において上記した本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体または表面処理剤(以下、これらを代表して単に表面処理剤と言う)より形成された層(表面処理層)とを含む物品を提供する。かかる物品は、例えば以下のようにして製造できる。
【0235】
まず、基材を準備する。上記したように、本発明の表面処理剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものであればいかなる基材に対しても好適に適用できる。かかる基材は、ガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄等の金属単体または合金等の複合体であってよい)、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、任意の適切な材料で構成され得る。
【0236】
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラスまたは透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(または膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層および多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I−CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、および液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
【0237】
基材の形状は特に限定されない。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途および具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
【0238】
かかる基材としては、少なくともその表面部分が、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を元々有する材料から成るものであってよいが、前処理を施すことにより、基材にニトリルオキシド基と反応性を有する基を導入してもよい。例えば、ガラス基材である場合、ピラニハ(piranha)溶液で処理して、基材表面にヒドロキシル基を発現させ、このヒドロキシル基に、例えばアリルトリクロロシランを反応させることにより、ニトリルオキシド基と反応性を有する基であるアリル基を基材表面に導入することができる。
【0239】
次に、かかる基材の表面に、上記の表面処理剤の膜を形成し、この膜を必要に応じて後処理し、これにより、表面処理剤から表面処理層を形成する。
【0240】
本発明の表面処理剤の膜形成は、上記の表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法を使用できる。
【0241】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、バーコーティング、ダイコーティングおよび類似の方法が挙げられる。
【0242】
乾燥被覆法の例としては、真空蒸着、スパッタリング、CVDおよび類似の方法が挙げられる。真空蒸着法の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ−CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。
【0243】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0244】
湿潤被覆法を使用する場合、本発明の表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。含フッ素シラン化合物または組成物の安定性および溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(COC)が特に好ましい。
【0245】
上記の方法により表面処理剤の膜を形成した後、必要に応じて、後処理をしてもよい。この後処理としては、特に限定されるものではなく、例えば40〜150℃、例えば60〜100℃に加熱することが挙げられる。
【0246】
上記のようにして、基材の表面に、本発明の表面処理剤に由来する表面処理層が形成され、物品が製造される。
【0247】
したがって、本発明の表面処理剤は、光学材料の最外層に表面処理層を形成するために好適に用いることができる。光学材料としては、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例、TV、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイまたはそれらのディスプレイの保護板、またはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
【0248】
本発明によって得られる表面処理層を有する物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu−ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD−R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバーなど。
【0249】
表面処理層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、表面処理層の厚さは、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜20μmの範囲であることが、光学性能、表面滑り性、摩擦耐久性および防汚性の点から好ましい。
【0250】
本発明の表面処理剤により得られる表面処理層は、撥水性、撥油性、防汚性、表面滑り性、防水性および/または摩擦耐久性等を有し、機能性薄膜として好適に利用され得る。
【0251】
一の態様において、上記本発明の組成物は、変性処理剤である。
【0252】
本発明の変性処理剤は、少なくとも1種の上記した本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体を含み、基材、例えば高分子材料の有機溶媒に対する溶解性を変化させることができる。
【0253】
本発明の変性処理剤は、上記した本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体のみでも機能を発揮し得るが、さらに溶媒を含有していてもよい。
【0254】
上記溶媒としては、本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体が溶解し得るもの、または本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体と相溶し得るものであれば特に限定されず、例えば、含フッ素脂肪族または芳香族炭化水素等、具体的には、パーフルオロヘキサン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0255】
本発明の変性処理剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものであればいかなる基材(例えば、高分子材料)にも好適に使用できる。
【0256】
このような高分子材料としては、特に限定はされるものではないが、分子内にニトリル基(C≡N)を有するPAN(ポリアクリロニトリル)、分子内に炭素−炭素二重結合(C=C)を有するNR(天然ゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、ポリノルボルネン、分子内にニトリル基および炭素−炭素二重結合を有するNBR(ニトリルゴム)等が挙げられる。
【0257】
本発明の変性処理剤を用いる変性処理は、特に限定されないが、有機溶媒中または無溶媒で、本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体と高分子材料を接触させることにより行うことができる。
【0258】
上記有機溶媒としては、特に限定はされるものではないが、高分子材料および本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体が共に溶解し易いものであることが好ましい。具体的には、クロロホルム、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)等が挙げられる。
【0259】
無溶媒で行う場合には、空気下で行ってもよいし、不活性ガスが充填された雰囲気下で行ってもよい。
【0260】
上記不活性ガスとしては、特に限定はされないが、アルゴン、窒素等が例示できる。
【0261】
変性処理が無溶媒で行われる場合には、混練装置で行うことが好ましい。
【0262】
混練装置としては、特に限定はされるものではないが、二軸混練機、密閉式混練機、バンバリーミキサー、インターミックス等の混練機や二軸押出機、単軸押出機、多軸押出機等の押出機等が挙げられる。
【0263】
変性処理の温度としては、本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体が高分子材料と反応する温度であれば、特に限定はされないが、例えば、化学反応であることから温度が高ければ反応が促進され、また加熱等の温度調節を行わなければ製造工程の管理が容易になることから、0〜150℃であることが好ましい。さらに言うならば、高分子材料がNBR、NR、EPDM等のように、多重結合として少なくとも炭素−炭素二重結合を有するものである場合には、20〜100℃であることがより好ましく、PAN等のように、多重結合として三重結合のみを有するものである場合には、60〜150℃であることがより好ましい。
【0264】
また、本発明は、上記の変性処理剤により処理された変性材料、例えば変性高分子材料を提供する。
【0265】
本発明の変性処理剤により変性処理された変性高分子材料は、各種有機溶媒に対する溶解性が変化し、また、太陽光およびオゾンに対する耐性が改善され、耐久性が向上する。
【0266】
一の態様において、上記本発明の組成物は、フィラーの改質剤である。
【0267】
本発明のフィラーの改質剤は、少なくとも1種の上記した本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体を含む。
【0268】
本発明のフィラーの改質剤が適用されるフィラーとしては、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を表面に有するフィラー、例えば特に限定されるものではないが、表面にビニル基、アリル基、ニトリル基などの不飽和結合を有する基が導入されたシリカ粒子、アルミナ、酸化チタン、酸化バリウムおよび酸化カルシウムが挙げられる。
【0269】
シリカ粒子の表面にビニル基、アリル基、ニトリル基などの不飽和結合を有する基を導入する方法は、当業者によく知られている。例えば、シリカ粒子の表面へのビニル基の導入は、シリカ粒子をビニル系シランカップリング剤(例、ビニルエトキシシラン等)で処理することにより行うことができる。
【0270】
本発明のフィラーの改質剤を用いる改質処理は、単にフィラーと混合することにより実施することができる。かかる改質処理は、好ましくは溶媒中で行われる。
【0271】
上記溶媒としては、本発明の化合物およびフィラーに対して不活性なものであれば特に限定されず、例えば、水、炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))などが挙げられる。
【0272】
また、本発明は、上記フィラーの改質剤により処理されたフィラー、例えばシリカ粒子を提供する。
【0273】
本発明のフィラーの改質剤により処理されたフィラーは、例えばフッ素ゴム、パーフロゴム、フッ素樹脂のフィラーとして用いる場合、未処理のフィラーと比較して、分散性が改善される、あるいはフィラー表面の反応性基(例えば、シリカのSiO)と含フッ素ポリマーとの反応を抑制することができるという効果を有する。
【0274】
一の態様において、上記本発明の組成物は、反応性相溶化剤である。
【0275】
本発明の反応性相溶化剤は、少なくとも1種の上記した本発明の式(Ia)で表されるモノマー単位を有する重合体、式(IIa)で表されるモノマー単位を有する、末端に式(Ib)で表される基を有する重合体の何れかを含み、2種またはそれ以上の材料(化合物)の相溶性を向上させることができる。例えば、(i)本発明の反応性相溶化剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有する汎用ポリマー(非フッ素系)と含フッ素ポリマー間、あるいは、(ii)汎用ポリマーとニトリルオキシド基と反応性を有する含フッ素ポリマーの間の相溶性を向上させることができる。
【0276】
本発明の重合体は、相溶化しようとする化合物に応じて、種々の基を導入することができるので、本発明の反応性相溶化剤は様々な種類の化合物を相溶化することができる。例えば、上記(i)ニトリルオキシド基と反応性を有する汎用ポリマーと含フッ素ポリマー間を相溶化する場合、本発明の反応性相溶化剤は、含フッ素基を有し、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物とフッ素を含有する化合物との組み合わせであれば、いずれの化合物の組み合わせにも好適に適用することができる。また、上記(ii)ニトリルオキシド基と反応性を有する含フッ素ポリマーと汎用ポリマー間を相溶化する場合、本発明の反応性相溶化剤は、非フッ素基を有し、ニトリルオキシド基と反応性を有する含フッ素ポリマーと、汎用ポリマーの組み合わせであれば、いずれの化合物の組み合わせにも好適に適用することができる。また、相溶化させる(複合化させる)化合物の組み合わせは、3種以上の組み合わせ、例えば1種のニトリルオキシド基と反応性を有する化合物と2種のフッ素を含有する化合物との組み合わせであってもよい。
【0277】
上記ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物としては、上記した分子内にニトリルオキシド基と反応性を有する部分(好ましくは、C=C、C≡N)を有するポリマーであれば特に限定されない。ニトリルオキシド基と反応性を有する部分は、下記するポリマーの骨格自体に存在してもよく、存在しない場合ニトリルオキシド基と反応性を有する部分を有する置換基を導入してもよい。
【0278】
汎用ポリマーとしては、例えば、芳香環を主鎖または側鎖に含むポリマー(ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアルキレンテレフタラート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン等)、ポリプロピレン、ポリエチレン等、あるいは天然ゴム、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、PAN(ポリアクリロニトリル)、ポリノルボルネン、HC=C(R)−(CH−CHR)−CH−CR=CH(ここに、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、nは10〜1000の整数である)などが挙げられる。
【0279】
上記フッ素を含有する化合物としては、特に限定されるものではないが、フッ素樹脂およびフッ素ゴム等が挙げられる。
【0280】
上記フッ素樹脂としては、非溶融加工性であるフッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および、溶融加工性であるフッ素樹脂が挙げられる。
【0281】
上記PTFEは、テトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体であってもよいし、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)であってもよい。本明細書において、「変性PTFE」とは、得られる共重合体に溶融加工性を付与しない程度の少量の共単量体をTFEと共重合して得られるものを意味する。上記少量の共単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、パーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン等が挙げられる。上記少量の共単量体は、1種または2種以上を用いることができる。
【0282】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等が挙げられる。
【0283】
上記少量の共単量体が上記変性PTFEに付加されている割合は、その種類によって異なるが、例えば、PAVE、パーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)等を用いる場合、通常、上記TFEと上記少量の共単量体との合計質量の0.001〜1質量%であることが好ましい。
【0284】
溶融加工性であるフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、TFE/HFP/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、TFE/PAVE共重合体(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA))、エチレン(Et)/TFE共重合体、Et/TFE/HFP共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/TFE共重合体、Et/CTFE共重合体、TFE/フッ化ビニリデン(VDF)共重合体、VDF/HFP/TFE共重合体、VDF/HFP共重合体等が挙げられる。
【0285】
また、フッ素樹脂としては、さらに、フルオロオレフィン単位および水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素共重合体が挙げられる。
【0286】
フルオロオレフィン単位としては、テトラフルオロエチレン(TFE)単位、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位、フッ化ビニル(VF)単位、フッ化ビニリデン(VDF)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位、トリフルオロエチレン(TrFE)単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)単位などの1種または2種以上が挙げられ、PAVE単位としては、パーフルオロメチルビニルエーテル単位、パーフルオロプロピルビニルエーテル単位が挙げられる。
【0287】
TFE単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、TFE/HFP単位、TFE/PAVE単位、TFE/エチレン単位、TFE/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエステル単位、TFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、TFE/エチレン単位、TFE/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエステル単位、TFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
【0288】
CTFE単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、CTFE/HFP単位、CTFE/PAVE単位、CTFE/エチレン単位、CTFE/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエステル単位、CTFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、CTFE/エチレン単位、CTFE/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエステル単位、CTFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
【0289】
同様にHFP単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、CTFE/HFP単位、TFE/HFP単位、HFP/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエステル単位、HFP/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、HFP/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエステル単位、HFP/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
【0290】
VDF単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、VDF/TFE単位、VDF/HFP単位、VDF/TFE/HFP単位、VDF/CTFE単位、VDF/TFE/PAVE単位、VDF/CTFE/TFE単位、VDF/CTFE/HFP単位などが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、VDF単位が重合体中に50モル%以上含有されていることが好ましい。
【0291】
水酸基含有含フッ素共重合体における水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位の具体例としては、例えば式:
【化44】
[式中、R1は−OR2または−CH2OR2である(ただし、R2は水酸基を有するアルキル基である)]
で表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルやヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。R2としては、例えば炭素数1〜8の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基に1〜3個、好ましくは1個の水酸基が結合したものである。これらの例としては、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル単位、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル単位、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル単位、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル単位、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル単位、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル単位、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル単位、エチレングリコールモノアリルエーテル単位、ジエチレングリコールモノアリルエーテル単位、トリエチレングリコールモノアリルエーテル単位、グリセリンモノアリルエーテル単位が挙げられるが、これらの中で、特に炭素数が3〜8のヒドロキシアルキルビニルエーテル、なかでも、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル単位または2−ヒドロキシエチルビニルエーテル単位が、重合が容易であるという観点から好ましい。
【0292】
水酸基含有含フッ素共重合体は、さらに水酸基を含まない非フッ素ビニルエーテル単位および/または非フッ素ビニルエステル単位を含んでいてもよい。
【0293】
水酸基含有含フッ素共重合体における水酸基を含まない非フッ素ビニルエーテル単位および/または非フッ素ビニルエステル単位の具体例としては、例えば式:
【化45】
[式中、R3は−OR4、−COOR4または−OCOR4である(ただし、R4はアルキル基である)]
で表されるアルキルビニルエーテルやアルキルアリルエーテルが挙げられる。R4としては、例えば炭素数1〜8の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル基である。これらの例としては、例えばシクロヘキシルビニルエーテル単位、メチルビニルエーテル単位、エチルビニルエーテル単位、プロピルビニルエーテル単位、n−ブチルビニルエーテル単位、イソブチルビニルエーテル単位、酢酸ビニル単位、プロピオン酸ビニル単位、酪酸ビニル単位、イソ酪酸ビニル単位、ピバリン酸ビニル単位、カプロン酸ビニル単位、バーサティック酸ビニル単位、ラウリン酸ビニル単位、ステアリン酸ビニル単位、シクロヘキシルカルボン酸ビニル単位が好ましい。また、耐候性、溶解性、廉価性に優れる点からバーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、酢酸ビニルである。これらのなかでも耐薬品性の点から、非芳香族系カルボン酸ビニルエステル、特にカルボン酸の炭素数が6以上のカルボン酸ビニルエステル、さらに好ましくはカルボン酸の炭素数が9以上のカルボン酸ビニルエステルが好ましい。カルボン酸ビニルエステルにおけるカルボン酸の炭素数の上限は20以下、さらには15以下が好ましい。具体例としてはバーサティック酸ビニルが最も好ましい。
【0294】
水酸基含有含フッ素共重合体には、カルボキシル基含有モノマー単位を含んでいてもよい。
【0295】
カルボキシル基含有モノマー単位は、カルボキシル基を含み水酸基と芳香族基とを含まないものであり、この点で他の単位と異なる。
【0296】
カルボキシル基含有モノマー単位としては、例えば式:
【化46】
[式中、R3、R4およびR5は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、アルキル基、
カルボキシル基またはエステル基であり、nは0または1である]
または、式:
【化47】
[式中、R6およびR7は、同じかまたは異なり、いずれも飽和または不飽和の直鎖または環状アルキル基であり、nは0または1であり、mは0または1である]
で表されるカルボキシル基含有ビニルモノマーなどが挙げられる。
【0297】
カルボキシル基含有モノマー単位の具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニルから選択される1種または2種以上が挙げられ、それらのなかでも単独重合性の低いクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3−アリルオキシプロピオン酸が好ましい。
【0298】
カルボキシル基含有モノマー単位の割合の下限は0.1モル%、好ましくは0.4モル%であり、上限は2.0モル%、好ましくは1.5モル%である。
【0299】
水酸基含有含フッ素共重合体の具体例としては、例えば、
【化48】
(式中、a、bおよびcの比率はモル比で、a:b:c=40〜60:3〜15:5〜45である);
【0300】
【化49】
(式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45である);
【0301】
【化50】
(式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45である);
【0302】
【化51】
(式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45であり、i−Buはイソブチル基を意味する);
テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシエチルビニルエーテル/tert−ブチル安息香酸ビニル;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/クロトン酸;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシエチルビニルエーテル/安息香酸ビニル/クロトン酸が挙げられる。
【0303】
フッ素ゴムとしては、非パーフルオロフッ素ゴムおよびパーフルオロフッ素ゴムが挙げられる。
【0304】
上記非パーフルオロフッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VDF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VDF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VDF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、フルオロホスファゼン系フッ素ゴム等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または、本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。なかでも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムが好ましい。
【0305】
上記ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムとは、ビニリデンフルオライド45〜85モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体55〜15モル%とからなる含フッ素弾性状共重合体をいう。好ましくは、ビニリデンフルオライド50〜80モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体50〜20モル%とからなる含フッ素弾性状共重合体をいう。
【0306】
上記ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニル等の含フッ素単量体、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル等の非フッ素単量体が挙げられる。これらをそれぞれ単独で、または、任意に組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)を用いることが好ましい。
【0307】
この場合のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または、本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。
【0308】
ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムの具体例としては、VDF−HFP系ゴム、VDF−HFP−TFE系ゴム、VDF−CTFE系ゴム、VDF−CTFE−TFE系ゴム等が挙げられる。
【0309】
上記テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムとは、テトラフルオロエチレン45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%、および、架橋部位を与える単量体0〜5モル%からなる含フッ素弾性状共重合体をいう。
【0310】
上記架橋部位を与える単量体としては、例えば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)等のヨウ素含有単量体、特表平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特表平4−505345号公報、特表平5−500070号公報に記載されているようなニトリル基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体等が挙げられる。
【0311】
上記パーフルオロフッ素ゴムとしては、TFEを含むパーフルオロゴム、例えばTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)/架橋部位を与える単量体からなる含フッ素弾性状共重合体が挙げられる。その組成は、好ましくは、45〜90/10〜50/0〜5(モル%)であり、より好ましくは、45〜80/20〜50/0〜5であり、更に好ましくは、53〜70/30〜45/0〜2である。これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
【0312】
この場合のPAVEとしては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。
【0313】
上記架橋部位を与える単量体としては、例えば、下記式:
CX=CX−RCHRI
(式中、XはH、FまたはCH、Rはフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、RはHまたはCH)で表されるヨウ素含有単量体、下記式:
CF=CFO(CFCF(CF))−O−(CF−Y
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Yはニトリル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基または臭素原子)で表されるような単量体等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。これらのヨウ素原子やニトリル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子が、架橋点として機能する。
【0314】
かかるパーフルオロフッ素ゴムの具体例としては、国際公開第97/24381号パンフレット、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報等に記載されているフッ素ゴム等が挙げられる。
【0315】
その他、含フッ素ポリマーとしては、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)等の単独重合体が挙げられる。
【0316】
本発明の反応性相溶化剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物と、フッ素を含有する化合物とを、常圧下、混合機(ニーダー、ブラベンダー、押出機等)により混合する工程において、単に本発明の化合物を含む反応性相溶化剤をこれらの化合物と混合するだけで機能を発揮し得る。このような混合工程において、本発明の化合物は、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物の反応性部位とクリック反応することにより、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物にフッ素含有基を導入することができる。この導入されたフッ素含有基が、上記フッ素を含有する化合物と親和性を有することにより、両者を相溶化(複合化)させることが可能になる。
【0317】
上記混合工程は、通常、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物およびフッ素を含有する化合物が溶融する温度、例えば約150〜250℃で行われる。例えば、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物としてNBRを用い、フッ素を含有する化合物としてPVDFを用いる場合、約170℃以上、例えば約180〜210℃で行われる。本発明の化合物は、温度安定性が高いので、このような高温下での処理が可能になる。
【0318】
また、上記混合工程は、通常、溶媒、添加剤等を加えることなく実施することができる。しかしながら、目的に応じて、例えば反応を促進させるために、溶媒、添加剤を加えてもよい。当業者であれば、目的に応じて、かかる溶媒、添加剤を選択することができる。
【0319】
従来から一般的に用いられる相溶化剤としては、複合化させる2成分それぞれの骨格を有するブロックポリマーまたはグラフトポリマーが挙げられるが、本発明の化合物は、このようなポリマーと比較して調製が容易である点で有利である。また、本発明の反応性相溶化剤は、単に複合化させる成分の混合物と混ぜ合わせるだけで、これらを相溶化することができる点で有利である。
【0320】
また、本発明は、上記の反応性相溶化剤により処理された2種またはそれ以上の化合物の複合体を提供する。
【0321】
一の態様において、上記本発明の組成物は、繊維処理剤である。
【0322】
本発明の繊維処理剤は、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(Ia)で表される重合体、式(IIa)で表されるモノマー単位を有する、末端に式(Ib)で表される基を有する重合体の何れかを含み、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有する繊維、例えばアクリル系繊維の撥水撥油性などを向上させることができる。
【0323】
本発明の繊維処理剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有する繊維であればいかなる繊維にも好適に使用できる。
【0324】
このような繊維としては、アクリル系繊維、または側鎖にニトリル基を持つモノマーを共重合することにより得られるポリエステル系繊維もしくはポリビニルアルコール系繊維などが挙げられる。また、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有さない繊維であっても、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を導入することにより、上記本発明の繊維処理剤で処理することが可能になる。例えば、側鎖に水酸基またはアミノ基を持つモノマーを共重合することにより得られるポリエステル系繊維またはポリビニルアルコール系繊維は、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有するカルボン酸またはスルホン酸化合物と脱水縮合反応させることにより、上記本発明の繊維処理剤で処理することが可能になる。
【0325】
本発明の繊維処理剤は、本発明の化合物(Ia)で表される重合体、式(IIa)で表されるモノマー単位を有する、末端に式(Ib)で表される基を有する重合体の何れかに加え、添加剤、例えば、乳化剤(ポリエチレングリコール系、カチオン系、アンモニウム系、ノニオン系、アニオン系)、消泡剤、湿潤剤、パラフィン系炭化水素などを含んでいてもよい。
【0326】
本発明の繊維処理剤は、溶媒で希釈して繊維に適用してもよい。かかる溶媒としては、炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))、他の含フッ素系溶媒、鉱油などの炭化水素系溶媒、アルコール、MIBK(メチルイソブチルケトン)、グリコール系溶媒(エチレングリコール、プロピレングリコール等)などが挙げられる。
【0327】
本発明の繊維処理剤を、繊維に適用する方法としては、処理すべき繊維に所望の量を付着させるものであれば、特に限定されるものではなく、種々の方法が採用できる。繊維処理方法としては、連続法またはバッチ法等が挙げられる。
【0328】
上記連続法としては、まず、溶媒を用いて繊維処理剤を希釈して処理液を調製する。次に、処理液で満たされた含浸装置に、被処理物を連続的に送り込み、被処理物に処理液を含浸させた後、不要な処理液を除去する。含浸装置としては特に限定されず、パッダ、キスロール式付与装置、グラビアコーター式付与装置、スプレー式付与装置、フォーム式付与装置、コーティング式付与装置等が好ましく採用でき、特にパッダ式が好ましい。続いて、乾燥機を用いて被処理物に残存する溶媒を除去する操作を行う。乾燥機としては、特に限定されず、ホットフルー、テンター等の拡布乾燥機が好ましい。該連続法は、被処理物が織物等の布帛状の場合に採用するのが好ましい。
【0329】
バッチ法は、被処理物を処理液に浸漬する工程、処理を行った被処理物に残存する溶媒を除去する工程からなる。該バッチ法は、被処理物が布帛状でない場合、例えばバラ毛、トップ、スライバ、かせ、トウ、糸等の場合、または編物等連続法に適さない場合に採用するのが好ましい。浸漬する工程においては、例えば、ワタ染機、チーズ染色機、液流染色機、工業用洗濯機、ビーム染色機等を用いることができる。溶媒を除去する操作においては、チーズ乾燥機、ビーム乾燥機、タンブルドライヤー等の温風乾燥機、高周波乾燥機等を用いることができる。
【0330】
本発明の繊維処理剤を付着させた被処理物には、乾熱処理を行うことが好ましい。該乾熱処理を行うと、繊維処理剤における有効成分が被処理物により強固に付着するため好ましい。乾熱処理の温度としては、120〜180℃が好ましく、特に160〜180℃が好ましい。該乾熱処理の時間としては、10秒間〜3分間が好ましく、特に1〜2分間が好ましい。乾熱処理の方法としては、特に限定されないが、被処理物が布帛状である場合にはテンターが好ましい。
【0331】
また、本発明は、上記繊維処理剤により処理された繊維を提供する。
【0332】
本発明の繊維処理剤により処理された繊維は、用いる本発明の化合物に応じて、撥水撥油性、耐候性および/または耐熱性などが向上する。また、本発明の化合物は、クリック反応により繊維と化学的に結合することから、上記の機能は摩擦などにより劣化しにくく、長期間機能を維持することができる。
【0333】
一の態様において、上記本発明の組成物は、架橋剤である。
【0334】
本発明の架橋剤は、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(Ia)で表される重合体、式(IIa)で表されるモノマー単位を有する、末端に式(Ib)で表される基を有する重合体の何れかを含み、2つのニトリルオキシド基と反応性を有する官能基と反応して、この官能基間を架橋することができる。なお、上記2つの官能基は、同一の分子に存在してもよく、それぞれ別個の分子に存在してもよい。
【0335】
本発明のニトリルオキシド化合物(Ia)で表される重合体、式(IIa)で表されるモノマー単位を有する、末端に式(Ib)で表される基を有する重合体の何れかは、従来の芳香族多官能ニトリルオキシドと比較して高い熱的安定性を有しているので、高温条件下で用いることができる。したがって、架橋する化合物が、反応部位(即ち、不飽和結合部位)が少ないポリマー、または主鎖が剛直で分子運動性に乏しいポリマーである場合にも、高温条件下で処理することにより、これらの化合物を架橋することができる。具体的には、フッ素樹脂、フッ素ゴムのベースポリマー、パーフロゴムのベースポリマー等の含フッ素モノマーを主成分として含むポリマーであっても、好適に架橋することができる。
【0336】
架橋される化合物としては、ニトリルオキシド基と反応性を有する部位を有していれば特に限定されないが、例えば、ニトリルオキシド基と反応性を有する部位を有するポリマーであり得、例えば、汎用ゴム、天然ゴム、ポリノルボルネン、フッ素ポリマー(好ましくは、フルオロオレフィン類もしくは含フッ素(メタ)アクリレート類を重合して成るものであり、特に好ましくは含フッ素ゴムである)が挙げられる。
【0337】
上記汎用ゴムとしては、例えば、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、PAN(ポリアクリロニトリル)、HC=C(R)−(CH−CHR)−CH−CR=CH(ここに、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、nは10〜1000の整数である)などが挙げられる。
【0338】
天然ゴムとは、通常に天然に産するゴム状高分子であり、通常、ポリイソプレン構造を有するが、これに限定されない。
【0339】
上記含フッ素(メタ)アクリレート類は、HC=C(X)−CO−O−Yで表される化合物であり、Xは水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子の何れかであり、Yは、フルオロ基を少なくとも一つ以上有する直鎖または分岐アルキル基であり、好ましくはパーフルオロアルキレン基もしくはパーフルオロアルキル基骨格を含むアルキル基であり、特に好ましくは、−CH(CFH、−CHCH(CFFである。
【0340】
上記フッ素ゴムは、非パーフルオロフッ素ゴムまたはパーフルオロフッ素ゴムのいずれであってもよく、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)および下記式(a):
CF=CF−Rf(a)
(式中、Rfは、−CFまたはORf(Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す)を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物(例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
【0341】
非パーフルオロフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、フルオロホスファゼン系フッ素ゴム等が挙げられ、これらを単独または組み合わせて用いることができる。また、これらのフッ素ゴムは、共単量体との共重合体であってもよい。
【0342】
上記共単量体としては、その他の単量体と共重合可能であれば特に限定されず、例えば、TFE、HFP、PAVE、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテル、下記一般式(b):
CH=CFRf(b)
(式中、Rfは炭素数1〜12の直鎖または分枝鎖のフルオロアルキル基を表す)
で表される含フッ素単量体等のフッ素含有単量体(c);
CF=CFOCFORf(c)
(式中、Rfは、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のパーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、または、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖または分枝鎖のパーフルオロオキシアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロビニルエーテル;
エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体;および、反応性乳化剤等が挙げられ、これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0343】
このような共重合体としては、限定するものではないが、例えば、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/プロピレン(Pr)共重合体、VdF/エチレン(Et)/HFP共重合体およびVdF/式(b)で表される含フッ素単量体(b)の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が挙げられる。
【0344】
フッ素ゴムのニトリルオキシド基との反応性部位は、該反応性部位を有する単量体由来であっても、反応性部位を有しないフッ素ゴムを修飾して、ニトリルオキシド基との反応性部位を導入したものであってもよい。
【0345】
ニトリルオキシド基との反応性部位を有する単量体としては、ビスオレフィン化合物、例えば、式:R2223C=CR24−Z−CR25=CR2627
(式中、R22、R23、R24、R25、R26およびR27は、同じであってもまたは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基を表し;
Zは、直鎖もしくは分枝鎖の、酸素原子を含んでいてもよい、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、または(パー)フルオロポリオキシアルキレン基を表す。)
で表されるビスオレフィン化合物が挙げられる。
【0346】
ニトリルオキシド基との反応性部位を有する単量体の別の例としては、ニトリル基を有するオレフィン化合物、例えば、式:R2829C=CR30−Z−CN
(式中、R28、R29およびR30は、同じであってもまたは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基を表し;
Zは、直鎖もしくは分枝鎖の、酸素原子を含んでいてもよい、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、または(パー)フルオロポリオキシアルキレン基を表す。)
で表される化合物、代表的にはCF=CFOCFCF(CF)OCFCFCNが挙げられる。
【0347】
ニトリルオキシド基との反応性部位を有する単量体のさらに別の例としては、アクリロニトリル、5−エチリデン−2−ノルボルネンや、芳香環上にニトリル基を有するスチレン誘導体が挙げられる。
【0348】
一の態様において上記本発明の組成物は、フィラー(充填剤)としても機能しうる。
【0349】
本発明のフィラーは、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(Ia)で表される重合体、式(IIa)で表されるモノマー単位を有する、末端に式(Ib)で表される基を有する重合体の何れかを含む。フィラー中にニトリルオキシド基を有するために、混合される相手材と効果的に結合を形成しながら充填される。
【0350】
本発明の組成物と混合される相手材は、ポリマー材料であれば特に限定されないが、例えばフッ素樹脂、フッ素ゴムなどの含フッ素ポリマーが挙げられる。
【0351】
本発明の組成物の、フィラーとしての機能は、目的に応じて組成物の構造設計を行うことで、所望の機能を持たせることが可能であり、例えば、力学的強度、抗菌性、ガスバリア性、導電性、難燃性、耐候性、吸水性等の特性を、混合される相手材に付与する機能を持ちうる。下記内容に限定されるものではないが、例えば、式(Ia)で表される重合体として、ポリアミド類似骨格の架橋性フィラーを用いる場合、混練相手材の力学的強度を高めることができる。この架橋性フィラーは、架橋剤としてもふるまい、混練相手材と化学的結合を形成するために、通常の架橋性を持たない類似骨格のフィラーよりも、高い補強効果が得られる。上記の様に、式(Ia)で表される重合体として、高い力学的強度を持つポリアミド骨格を採用した場合には、力学的な補強効果が得られるが、本発明の組成物として所望の特性を持つポリマー骨格を採用することで、混練相手材に所望の特性を付与することができる。
【0352】
フィラーの大きさは、特に限定されるものではないが、通常100μmから10nm程度である。
【0353】
フィラーの形状は、特に限定されるものではないが、例えば、球状、新球状、粒状、繊維状、板状などでありえる。
【0354】
本発明の組成物を相手材に混合させる方法は特に限定されるものではなく、通常、乳鉢中における人力での混練の他、ロール、ニーダー、押し出し機をはじめとした機器を使用した混練、超臨界条件環境を提供する装置内での混練が行われる。
【0355】
本発明の組成物を相手材に混合させる際、必要に応じて、前処理を行っても良い。前処理操作により、例えば、粒子同士が分散しやすくする効果、凝集を防ぐ効果、加工性を改善する効果、添加する材料へのぬれ性を高める効果等が得られる。
【0356】
一の態様において、上記本発明の組成物は、低温特性ゴムの原料として用いられる。
【0357】
本発明の組成物を用いて、フッ素ゴムまたはパーフロゴムを製造することにより、低温特性ゴムを製造することができる。
【0358】
上記フッ素ゴムまたはパーフロゴムとしては、ニトリルオキシド基と反応性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、上記した非パーフルオロフッ素ゴムおよびパーフルオロフッ素ゴムが挙げられる。
【0359】
上記低温特性ゴムの製造において、本発明の組成物は、特に限定するものではないが、下記のように用いられる。
【0360】
本発明の組成物は、一般的な重合反応によって含フッ素ゴムのベースポリマーを得た後に行われる混練工程(ロール練、バンバリー練など)の段階において、必要に応じて添加される架橋剤および/またはフィラーと同じタイミングで添加・混合される。このようにして本発明の化合物が充分に分散されたベースポリマーを、プレス(1次加硫)、オーブン加熱(2次加硫)に付すことにより、本発明の化合物と含フッ素ポリマー中の不飽和結合とのクリック反応を生じさせ、これにより低温特性ゴムを得ることができる。
【0361】
上記工程は、通常無溶媒で行われるが、必要に応じて、例えば本発明の化合物の分散性を向上させるために、溶媒を用いてもよい。かかる溶媒としては、用いる原料や目的の低温特性ゴムの種類に応じて適宜選択され、例えば、含フッ素溶媒が挙げられる。
【0362】
未処理の含フッ素ゴムは、一般的に分子主鎖が剛直な骨格であるため、低温環境下では十分な分子運動が起こらず十分な弾性が得られない。しかしながら、含フッ素ゴムを本発明の化合物で処理することにより、他の特性、例えば耐薬品性、耐熱性を保持したまま、低温環境下での弾性を向上させることができる。理論に限定されるものではないが、本発明の化合物で含フッ素ゴムを処理することにより低温環境下での弾性が向上する理由は以下のように考えられる。本発明の化合物は、置換基として分子運動性が高く柔軟な骨格を有する基、例えばパーフルオロポリアルキルエーテル基を有し得る。このような化合物を、含フッ素ゴムのニトリルオキシドと反応性である部位(例えば、二重結合、三重結合)と反応させて、グラフト化することにより、含フッ素ゴム自体の分子運動性が高まり、低温環境下でも十分な弾性を得ることができる。また、本発明の化合物が有する置換基を、耐薬品性、耐熱性に優れた基、例えばパーフルオロポリアルキルエーテル基とすることにより、含フッ素ゴムの耐薬品性、耐熱性を維持することができる。
【0363】
また、本発明は、上記の本発明の組成物を用いて調製された低温特性ゴムを提供する。
【0364】
一の態様において、上記本発明の組成物は、液状ゴムの原料として用いられる。
【0365】
液状ゴムの原料として用いられる本発明の組成物(以下、「液状ゴム原料組成物1」ともいう)は、少なくとも1種の上記した本発明の主鎖の末端に式(Ib)で表される基を有する重合体を含む。
【0366】
上記液状ゴム原料組成物1は、不飽和結合を有する化合物を含む組成物(以下、「液状ゴム原料組成物2」ともいう)と混合することにより、本発明の化合物に含まれるニトリルオキシド基と、液状ゴム原料組成物2中の化合物に含まれる不飽和結合がクリック反応を起こし、ゲル状の生成物(即ち、液状ゴム)を生成する。
【0367】
上記液状ゴム原料組成物2に含まれる不飽和結合を有する化合物としては、限定するものではないが、下記式:
CH=CH−(X)−Rf−(X)−CH=CH
[式中:
Xは、それぞれ独立して、−CH−、−CHO−、−CHOCH−、または−CH−NR−CO−であり;
Yは、−CH−であり:
Rfは、2価のパーフルオロアルキレン基または2価のパーフルオロポリアルキルエーテル基であり;
aは、それぞれ独立して、0または1の整数である。]
で表される1種またはそれ以上の化合物、および
式:
Rf−(X)−CH=CH
[式中:
Xは、それぞれ独立して、−CH−、−CHO−、−CHOCH−、または−CH−NR−CO−であり;
Yは、−CH−であり:
Rfは、パーフルオロポリアルキル基またはパーフルオロポリアルキルエーテル基であり;
aは、それぞれ独立して、0または1の整数である。]
で表される1種またはそれ以上の化合物が挙げられる。
【0368】
具体的な液状ゴム原料組成物2に含まれる不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ビスマレイミド、トリアリルホスフェート等が挙げられる。
【0369】
従来の代表的な液状ゴムの製造においては、白金化合物等の金属触媒が必須であったが、本発明は、液状ゴム原料組成物1と、液状ゴム原料組成物2を単に混合することにより、液状ゴムを生成できる点で有利である。本発明の組成物を用いることにより、触媒を含まない液状ゴムを製造することが可能になり、例えば、このような液状ゴムは、金属の存在が悪影響を及ぼし得る半導体製造プロセスにおいて、好適に用いられる。
【0370】
また、従来の代表的な液状ゴムの製造においては、硬化反応をヒドロシリル化により行っているが、この方法を用いて得られた液状ゴムは、Si原子を含んでいる。このSi原子を含む骨格は、半導体製造プロセスにおいて用いられるフッ素系の活性種(フッ素ガスや、フッ素プラズマ、フッ素ラジカル)に対する耐性が低く、半導体製造プロセスにおいて、これらの活性種が発生する工程での使用には適していない。本発明の組成物を用いて得られた液状ゴムは、Si原子を含む骨格を利用することなく製造されるので、必要であればSi原子不含とすることが容易であり、この点でも有利である。
【0371】
また、本発明は、上記の本発明の組成物を用いて製造された液状ゴムを提供する。
【0372】
一の態様において、上記本発明の組成物は、熱硬化性ポリマー材料(樹脂またはゴムなど)の原料として用いられる。
【0373】
熱硬化性ポリマー材料の原料として用いられる本発明の組成物(以下、「熱硬化性ポリマー原料組成物1」ともいう)は、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(Ia)で表される重合体、式(IIa)で表される1種またはそれ以上のモノマー単位を有する、末端に式(Ib)で表される基を有する重合体の何れかを含む。また好ましい形態として、ここで用いられる本発明の化合物は、高温下でニトリルオキシド基と反応可能な基(例えば、C=C結合、C≡N結合、C≡C)とニトリルオキシド基を骨格中に併せ持つ材料である。
【0374】
熱硬化性ポリマー原料組成物1は、ニトリルオキシド基と反応性を有する材料を少なくとも1種以上含む組成物であっても良い。ニトリルオキシド基と反応性を有する材料としては、ニトリルオキシド基と反応性を有する部分(好ましくは、C=C、C≡N)を有するポリマーであれば特に限定されない。ニトリルオキシド基と反応性を有する部分は、ポリマーの骨格自体に存在してもよく、存在しない場合ニトリルオキシド基と反応性を有する部分を有する置換基を導入してもよい。
【0375】
上記ニトリルオキシドと反応性を有する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニトリルオキシド基と反応性を有する部位を有するポリマーであり得、例えば、汎用ゴム、天然ゴム、ポリノルボルネン、フッ素ポリマー(好ましくは、フルオロオレフィン類もしくは含フッ素(メタ)アクリレート類を重合して成るものであり、特に好ましくは含フッ素ゴムである)が挙げられる。
【0376】
上記汎用ゴムとしては、例えば、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、PAN(ポリアクリロニトリル)、HC=C(R)−(CH−CHR)−CH−CR=CH(ここに、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、nは10〜1000の整数である)などが挙げられる。
【0377】
天然ゴムとは、通常に天然に産するゴム状高分子であり、通常、ポリイソプレン構造を有するが、これに限定されない。
【0378】
上記含フッ素(メタ)アクリレート類は、HC=C(X)−CO−O−Yで表される化合物であり、Xは水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子の何れかであり、Yは、フルオロ基を少なくとも一つ以上有する直鎖または分岐アルキル基であり、好ましくはパーフルオロアルキレン基もしくはパーフルオロアルキル基骨格を含むアルキル基であり、特に好ましくは、−CH(CFH、−CHCH(CFFである。
【0379】
上記フッ素ゴムは、非パーフルオロフッ素ゴムまたはパーフルオロフッ素ゴムのいずれであってもよく、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)および下記式(a):
CF=CF−Rf(a)
(式中、Rfは、−CFまたはORf(Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す)を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物(例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
【0380】
非パーフルオロフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、フルオロホスファゼン系フッ素ゴム等が挙げられ、これらを単独または組み合わせて用いることができる。また、これらのフッ素ゴムは、共単量体との共重合体であってもよい。
【0381】
上記共単量体としては、その他の単量体と共重合可能であれば特に限定されず、例えば、TFE、HFP、PAVE、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテル、下記一般式(b):
CH=CFRf(b)
(式中、Rfは炭素数1〜12の直鎖または分枝鎖のフルオロアルキル基を表す)
で表される含フッ素単量体等のフッ素含有単量体(c);
CF=CFOCFORf(c)
(式中、Rfは、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のパーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、または、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖または分枝鎖のパーフルオロオキシアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロビニルエーテル;
エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体;および、反応性乳化剤等が挙げられ、これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0382】
このような共重合体としては、限定するものではないが、例えば、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/プロピレン(Pr)共重合体、VdF/エチレン(Et)/HFP共重合体およびVdF/式(b)で表される含フッ素単量体(b)の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が挙げられる。
【0383】
フッ素ゴムのニトリルオキシド基との反応性部位は、該反応性部位を有する単量体由来であっても、反応性部位を有しないフッ素ゴムを修飾して、ニトリルオキシド基との反応性部位を導入したものであってもよい。
【0384】
ニトリルオキシド基との反応性部位を有する単量体としては、ビスオレフィン化合物、例えば、式:R2223C=CR24−Z−CR25=CR2627
(式中、R22、R23、R24、R25、R26およびR27は、同じであってもまたは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基を表し;
Zは、直鎖もしくは分枝鎖の、酸素原子を含んでいてもよい、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、または(パー)フルオロポリオキシアルキレン基を表す。)
で表されるビスオレフィン化合物が挙げられる。
【0385】
ニトリルオキシド基との反応性部位を有する単量体の別の例としては、ニトリル基を有するオレフィン化合物、例えば、式:R2829C=CR30−Z−CN
(式中、R28、R29およびR30は、同じであってもまたは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基を表し;
Zは、直鎖もしくは分枝鎖の、酸素原子を含んでいてもよい、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、または(パー)フルオロポリオキシアルキレン基を表す。)
で表される化合物、代表的にはCF=CFOCFCF(CF)OCFCFCNが挙げられる。
【0386】
ニトリルオキシド基との反応性部位を有する単量体のさらに別の例としては、アクリロニトリル、5−エチリデン−2−ノルボルネンや、芳香環上にニトリル基を有するスチレン誘導体が挙げられる。
【0387】
熱硬化性ポリマー原料組成物1は、溶剤を含有した形で使用することもできるが、通常、溶剤を含まない形態で用いられる。
【0388】
熱硬化性ポリマー原料組成物1は、温度上昇により硬化反応を起こす。この硬化反応は、温度を上昇させられる環境であれば、特に限定されるものではないが、例えば、金型中、成形機中、オーブン中、ホットステージ上、乳鉢内、等で行われる。
【0389】
硬化反応を起こすための反応温度としては、特に限定されるものではなく、好ましくは熱硬化性ポリマー原料組成物1を形成するポリマー材料の内の少なくとも1種のガラス転移点以上の温度、より好ましくは融点以上の温度である。
【0390】
熱硬化性ポリマー原料組成物1は、必要に応じて従来の熱硬化性ポリマーよりも熱的・化学的耐久性の高い材料を得るための設計とすることができる。これはニトリルオキシド基が化学的に強固な結合骨格を形成しながら架橋することに起因している。
【0391】
熱硬化性ポリマー原料組成物1の硬化反応は、反応を進行・促進させるための添加剤・試薬存在下で起こすこともできるが、添加剤・試薬を加えずに共存させずに起こすことが可能である。
【0392】
以上、本発明について詳述したが、本発明は、これらの化合物および用途に限定されない。
【実施例】
【0393】
実施例1:ジヒドロキシジフェニルニトリルオキシドの合成
【化52】
【0394】
トリイソプロピルシリル(TIPS)ベンゾフェノン1−2の合成
ジヒドロキシベンゾフェノン1−1(17g、78mmol)、イミダゾール(20g、300mmol)、およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP:4.1g、32mmol)を、無水テトラヒドロフラン(THF:400mL)に溶解させ、0℃でトリイソプロピルシリルクロリド(33g、170mmol)を加えた。次いで、室温で1日静置した。溶媒を減圧留去し、ジクロロメタンを加えて水で分液をし、乾燥操作を行った。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:50)で精製し、無色透明オイル(30g、60mmol、73%)を得た。
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3):δ 7.74-7.71 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 6.94-6.92 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 1.32-1.26 (m, 6H), 1.13-1.11 (d, J = 8.0 Hz, 36H) ppm
【0395】
TIPSジフェニルニトロエテン1−4の合成
TIPSベンゾフェノン1−2(21g、40mmol)を、THF(40mL)に加え、Ar雰囲気下で0℃に冷却した。リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(48mL、48mmol)を加え、室温で1日撹拌した。溶媒を減圧留去し、酢酸エチルを加え、水、飽和食塩水で分液をした。溶媒を減圧留去し、ニトロメタン(40mL)を加えて115℃で1日還流した。溶媒を留去し、茶色のオイルを得た。この化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製してオレンジオイルを得た。これを次の反応へ用いた。
【0396】
TIPSジフェニルニトリルオキシド1−5の合成
粗TIPSジフェニルニトロエテン1−4を、無水THF(400mL)に加え、Ar雰囲気下で−78℃に冷却した。n−BuLi(38mL、60mmol)を加え、30分間撹拌した。濃硫酸(>95%、20mL、400mmol)を加え、0℃で30分間撹拌した。水で分液し、乾燥操作を行った。溶媒を減圧留去しオレンジオイルを得た。これを次の反応へ用いた。
【0397】
ジヒドロキシジフェニルニトリルオキシド1−6の合成
粗TIPSジフェニルニトリルオキシド1−5を、THF(480mL)に溶解させ、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF:73mL、73mmol)を加えて10分間撹拌した。ジクロロメタンを適量加え、水で、飽和食塩水で分液をし、乾燥操作を行った。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→ヘキサン:酢酸エチル=8:1→4:1→2:1)で精製し、黄色オイル(4.1g、14mmol、34%)を得た。
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3):δ 7.05-7.03 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 6.77-6.75 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 2.28-2.25 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 1.28 (m, 4H), 0.86-0.83 (t, J = 7.0 Hz, 3H) ppm
【0398】
実施例2:ジヒドロキシジフェニルニトリルオキシドを用いる縮合重合反応
【化53】
【0399】
PE−CNO−5の合成
ジヒドロキシジフェニルニトリルオキシド1−6(0.15g、0.50mmol)およびビスフェノールA(0.11g、0.50mmol)を、脱水ジクロロメタン(1.0mL)に加え、0℃で撹拌しながら、トリエチルアミン(0.44mL、4.0mmol)を加えた。次いで、アジポイルクロリド(0.18g、0.1mmol)をクロロホルム(1mL)に溶かした溶液をゆっくりと加えた後、室温に戻し2時間撹拌した。メタノール、エーテルに再沈殿をし、得られた薄黄色固体をクロロホルムに溶解し、水で分液し、乾燥操作を行った。溶媒を減圧留去し、薄黄色固体(200mg、47%)を得た。
収率、39%
数平均分子量(GPC)、14000
/M(GPC)、2.5
共重合比(H NMR)、1:1
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3):δ 7.29-7.27 (d, J = 8.4 Hz, 4H, Ph-), 7.21-7.20 (d, J = 8.4 Hz, 4H, Ph-), 7.08-7.06 (d, J = 8.4 Hz, 4H, Ph-), 6.98-6.96 (d, J = 8.4 Hz, 4H, Ph-), 2.61 (m, 8H, -CH2CH2CH2CH2-), 2.34 (m, 2H, -CH2CH2CH2CH3), 1.86 (m, 8H, -CH2CH2CH2CH2-), 1.65 (m, 6H, C(CH3)2), 1.34 (m, 4H, -CH2CH2CH2CH3), 0.88 (m, 3H, -CH2CH2CH2CH3) ppm
【0400】
PE−CNO−10の合成
ジヒドロキシジフェニルニトリルオキシド1−6(0.30 g、1.00 mmol)を、脱水ジクロロメタン(1.0mL)に加え、0℃で撹拌しながら、トリエチルアミン(0.44 mL、4.0 mmol)を加えた。次いで、アジポイルクロリド(0.18g、0.1mmol)をクロロホルム(1mL)に溶かした溶液をゆっくりと加えた後、室温に戻し2時間撹拌した。メタノール、エーテルに再沈殿をし、得られた薄黄色固体をクロロホルムに溶解し、水で分液し、乾燥操作を行った。溶媒を減圧留去し、薄黄色固体(200mg、47%)を得た。
収率、47%
数平均分子量(GPC)、15000
/M、3.4
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3): δ 7.30-7.28 (d, J = 7.8 Hz, 4H, Ph-), 7.09-7.07 (d, J = 7.8 Hz, 4H, Ph-), 2.63 (m, 4H, -CH2CH2CH2CH2-), 2.34 (m, 2H, -CH2CH2CH2CH3), 1.77 (m, 4H -CH2CH2CH2CH2-), 1.34 (m, 4H, -CH2CH2CH2CH3), 0.89 (m, 3H, -CH2CH2CH2CH3) ppm
【0401】
実施例3:PE−CNOとアリルトリメチルシランのクリック反応
【化54】
【0402】
PE−イソキサゾリン−5の合成
PE−CNO−10(25 mg、0.057 mmol)およびアリルトリメチルシラン(65mg、0.57 mmol)を、クロロホルム(0.5 mL)に溶解させて、40℃で16時間撹拌した。溶媒および未反応のアリルトリメチルシランを留去して、薄黄色固体を得た。
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3): δ 7.28-7.26 (d, J = 7.8 Hz, 4H, Ph-), 7.22-7.20 (d, J = 7.8 Hz, 4H, Ph-), 7.07-7.05 (d, J = 7.8 Hz, 4H, Ph-), 6.98-6.96 (d, J = 8.4 Hz, 4H, Ph-), 4.58(m, 1H, -CNOCHCH2-), 2.63 (m, 8H, -CH2CH2CH2CH2-), 2.36 (m, 2H, -CH2CH2CH2CH3), 2.21 (m, 2H, -CNOCHCH2-), 1.88 (m, 8H, -CH2CH2CH2CH2-), 1.65 (m, 6H, C(CH3)2), 1.43 (m, 2H, -CH2CH2CH2CH3), 1.08 (m, 4H, -CH2CH2CH2CH3, -CH2Si(CH3)3), 0.81 (m, 3H, -CH2CH2CH2CH3), 0 (s, 9H, Si(CH3)3) ppm
【0403】
PE−イソキサゾリン−10の合成
PE−CNO−10(25mg)およびアリルトリメチルシラン(65mg、0.57mmol)を、クロロホルム(0.5mL)に溶解させて、40℃で16時間撹拌した。溶媒および未反応のアリルトリメチルシランを留去して、薄黄色固体を得た。
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3): δ 7.30-7.28 (d, J = 7.8 Hz, 4H, Ph-), 7.07-7.05 (d, J = 7.8 Hz, 4H, Ph-), 4.59(m, 1H, -CNOCHCH2-), 2.65 (m, 4H, -CH2CH2CH2CH2-), 2.34 (m, 2H, -CH2CH2CH2CH3), 2.23 (m, 2H, -CNOCHCH2-), 1.89 (m, 4H, -CH2CH2CH2CH2-), 1.34 (m, 2H, -CH2CH2CH2CH3), 1.08 (m, 4H, -CH2CH2CH2CH3, -CH2Si(CH3)3), 0.80 (m, 3H, -CH2CH2CH2CH3), 0 (s, 9H, SiCH3) ppm
【0404】
実施例4:PE−CNOによる天然ゴムの架橋反応
【化55】
【0405】
PE−CNO−5での架橋反応
天然ゴムをトルエンに溶解させて、PE−CNO−5を加え90℃で反応させた。生成したポリマーをクロロホルム中に1日浸漬させた後、大気中、室温および真空中、70℃で乾燥させ、淡黄色ネットワークポリマー(53%)を得た。
収率:53%
膨潤度(CHCl):5700
【0406】
PE−CNO−10での架橋反応
天然ゴム(67mg)をトルエン(1mL)に溶解させて、PE−CNO−10(7.0mg)を加え90℃で1日反応させた。生成したポリマーをクロロホルム中に1日浸漬させた後、大気中、室温および真空中、70℃で乾燥させ、淡黄色ネットワークポリマー(39mg、53%)を得た。
収率:67%
膨潤度(CHCl):3700%
【0407】
実施例5:OHジフェニルニトリルオキシドの合成
【化56】
【0408】
OHベンゾフェノン2−2の合成
4−ヒドロキシベンゾフェノン(9.9g、50mmol)、2−ブロモエタノール(7.5g、60mmol)、および炭酸カリウム(10g、75mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF、150mL)に加え、90℃で1日反応させた。溶媒を留去し、ジクロロメタンを加え、水、飽和食塩水で抽出し、乾燥操作を行った。溶媒を留去し、薄黄色粉末(粗収量12g)を得た。この化合物はこのまま次の反応へ用いた。
【0409】
TIPSベンゾフェノン2−3の合成
粗2−2(12g)、イミダゾール(8.5g、130mmol)、およびDMAP(1.5g,1.3mmol)を、無水THF(250mL)に溶解させ、0℃でトリイソプロピルシリルクロリド(19g、100mmol)を加えた。室温に戻し、1日反応させた。溶媒を減圧留去し、ジクロロメタンを加えて水で分液をし、乾燥操作を行った。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:30)で精製し、薄黄色オイル(22g、45mmol、90%)を得た。
【0410】
TIPSジフェニルニトロエテン2−5の合成
TIPSベンゾフェノン2−3(11g、23mmol)をTHF(20mL)に加え、Ar雰囲気下で0℃に冷却した。リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(19mL、25mmol)を加え、室温で1日撹拌した。溶媒を減圧留去し、酢酸エチルを加え、水、飽和食塩水で分液をした。溶媒を減圧留去し、そこへニトロメタン(25mL)を加えて115℃で1日還流した。溶媒を留去し、茶色いオイルを得た。この化合物はこのまま次の反応へ用いた。
【0411】
TIPSジフェニルニトリルオキシド2−6の合成
粗2−5(14g)を無水THF(350mL)に加え、Ar雰囲気下で−78℃に冷却した。n−BuLi(25mL、64mmol)を加え、30分間撹拌した。濃硫酸(>95%、17mL、320mmol)を加え、0℃で30分間撹拌した。水で分液し、乾燥操作を行った。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=1:2)で精製し、黄色オイル(5.8g、12mmol、54%)を得た。
【0412】
OHジフェニルニトリルオキシド2−7の合成
TIPSジフェニルニトリルオキシド2−6(2.0g、4.5mmol)をTHF(50mL)に溶解させ、TBAF(1.7mL、6.7mmol)を加えて20分間撹拌した。ジクロロメタンを加え、水、飽和食塩水で分液をし、乾燥操作を行った。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=10:1)で精製し、黄色オイル(2.6g、8.2mmol、97%)を得た。
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3):δ 7.37-7.28 (m, J = 8.7 Hz, 5H), 7.18-7.16 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.82-6.80 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.16 (s, 1H), 2.38-2.34 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.37 (m, 4H), 0.93-0.89 (t, J = 6.8 Hz, 3H) ppm
【0413】
実施例6:OHジフェニルニトリルオキシドを開始剤として用いた開環重合
【化57】
【0414】
高分子ニトリルオキシドPVL−CNO−2の合成
δ−バレロラクトン(0.96g、9.6mmol)およびOHジフェニルニトリルオキシド3−6(0.20g、0.64mmol)を、脱水トルエン(5mL)に加え、室温で撹拌しながら、ジフェニルリン酸(0.16g、0.64mmol)を加えて2時間撹拌した。ヘキサン:エタノール=(9:1)100mLに、再沈殿および濾過を2回繰り替えし、白色固体0.83g(72%)を得た。GPC測定の結果、単峰性のピーク(Mn=6100、Mw/Mn=1.21)が観測された。
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3):δ 7.34-7.26(m, 5H, Ph-) 7.22-7.20 (d, J = 8.0 Hz, 2H, Ph-), 6.88-6.86 (d, J = 8.0 Hz, 2H, Ph-), 4.44-4.42 (t, J = 4.0 Hz, 2H, -OCH2CH2O-), 4.17 (m, 2H, -OCH2CH2O-), 4.08 (m, 62H, -CH2CH2OCO-) 3.67-3.64(t, J = 6.0, 2H, -CH2CH2OH), 2.34 (m, 64H, -OCOCH2CH2-, -CH2CH2CH2CH3), 1.68 (m, 124H, -CH2CH2CH2CH2-), 1.35 (m, 4H, -CH2CH2CH2CH3), 0.90-0.87 (m, J = 6.0, 3H, -CH2CH2CH2CH3) ppm
【0415】
実施例7:PVL−CNO−2とアリルトリメチルシランのクリック反応
【化58】
【0416】
PVL−イソキサゾリンの合成
PVL−CNO−2(75mg、0.022mmol)およびアリルトリメチルシラン(25mg、0.22mmol)を、クロロホルム(0.5mL)に溶解させ、40℃で1日撹拌した。溶液をヘキサン(50mL)に再沈殿することで白色固体を得た。
1H NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3):δ 7.32-7.18 (m, 7H), 6.87-6.85 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.59 (m, 1H), 4.45-4.43 (t, J = 4.0 Hz, 2H), 4.26 (m, 2H), 4.09 (m, 60H) 3.67-3.64(t, J = 6.0, 2H), 2.77-2.71 (m, 1H) 2.40-2.32 (m, 61H), 1.69-1.67 (m, 120H), 1.28-1.24 (m, 2H), 1.10-1.08 (m, 3H) 0.85-0.79 (m, 4H), 0.00(s, 9H) ppm
【0417】
実施例8
【0418】
ニトロアルカン18−3の合成
水素化ナトリウム(1.5g)をヘキサンで洗浄し、不活性ガスで置換した後、乾燥DMF(40mL)を加えた。0℃で1,6ヘキサンジオール(7.1g)を加え、1時間撹拌した。乾燥DMF(10mL)に溶解させたジフェニルニトロ絵展(4.5g)を加え、室温で1時間撹拌した。0℃で少量の酢酸を加え、ジクロロメタンに溶解させた後、イオン交換水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で精製することで黄色粘性体のニトロアルカン18−3を5.9g(収率86%)得た。
【0419】
モノマーNAMAの合成
ニトロアルカン18−3(2.1g)、ピリジン(0.48g)を乾燥ジクロロメタン(15mL)に溶解させ、0℃でメタクリル酸クロリド(0.56g)を滴下し、室温で1時間撹拌した。クロロホルムに溶解させた後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘキサン=3/1)で精製し、無職透明液体NAMAを1.0g(収率42%)で得た。
【0420】
1H NMR (300 MHz, CDCl3, ppm) δ 7.67-7.24 (m, 10H, Ph), 6.09 (s, 1H, H2C=C), 5.43 (s, 1H, H2C=C), 5.34 (s, 2H, CH2NO2), 4.13 (t, 2H, J = 6.7 Hz, OCH2), 4.13 (t, 2H, J = 6.7 Hz, C=OOCH2), 3.56 (t, 2H, J = 6.2 Hz, OCH2), 1.94 (s, 1H, C=CCH3), 1.72-1.60 (m, 4H, OCH2CH2), 1.50-1.31 (m, CH2CH2)
【0421】
フリーラジカル重合によるPNAMAの合成
[M]/[I]=33,[M]=0.6M
(式中、MはNAMAであり、IはAIBNである。)
反応容器にNAMA(0.5g)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(6.0mg)、アニソール(2.0mL)を加え、3回凍結脱気した後、90℃で4時間撹拌した。ヘキサン/エタノール=9/1に3回沈殿させることで白色固体(0.29g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm): δ 7.3 (m, 10H, Ph-H), 5.3 (s, 2H, -C(Ph)2-CH2-NO2), 3.9 (br, 2H, -C(O)O-CH2-), 3.4 (br, 2H, -C(Ph)2-O-CH2-), 2.1~0.8 (m, 13H, -O-C4H8-O-, -CH2-C(CH3)-C(O)-)
【0422】
PCNOMAの合成
不活性ガス雰囲気下でPNAMA(0.18g)、乾燥ジクロロメタン10mL、p−クロロフェニルイソシアネート(0.67g)、トリエチルアミン(0.68g)を加え、室温で2時間撹拌した。不溶部をろ別し、溶媒を留去した。ヘキサン/エタノール=9/1に3回沈殿させることで白色固体を42mg(収率23%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, ppm): δ 7.3 (m, 10H, Ph-H), 3.9 (br, 2H, -C(O)O-CH2-), 3.4 (br, 2H, -C(Ph)2-O-CH2-), 2.1~0.7 (m, 13H, -O-C4H8-O-, -CH2-C(CH3)-C(O)-)
【産業上の利用可能性】
【0423】
本発明の化合物は、多種多様な用途、例えば親水化剤、表面処理剤、重合開始剤、重合性モノマー、架橋剤、変性処理剤、熱硬化性樹脂、熱硬化性エラストマー、液状ゴム、低温特性ゴム、フィラーの改質剤または反応性相溶化剤として好適に用いられる。
【国際調査報告】