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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月22日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】測定方法および測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20171201BHJP
   G01N 21/41 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   G01N21/64 F
   G01N21/64 G
   G01N21/41 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
【出願番号】特願2017-506150(P2017-506150)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年2月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-54896(P2015-54896)
(32)【優先日】2015年3月18日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】京極 悠一
(72)【発明者】
【氏名】野田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山内 伸浩
(72)【発明者】
【氏名】長井 史生
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA16
2G043CA03
2G043DA02
2G043EA01
2G043EA14
2G043GA01
2G043HA01
2G043HA02
2G043HA09
2G043JA02
2G043LA01
2G059AA01
2G059CC16
2G059EE02
2G059EE07
2G059JJ02
2G059JJ11
2G059JJ22
2G059KK01
(57)【要約】
誘電体である樹脂からなるプリズムと、プリズムの一面上に配置された金属膜とを有する測定チップを準備する。次いで、第1光学ブランク値を測定する。次いで、蛍光物質から放出される蛍光を検出して、蛍光値を測定する。第1光学ブランク値に基づいて、蛍光値に含まれる第2光学ブランク値を算出する。最後に、蛍光値から第2光学ブランク値を引いて、シグナル値を算出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物質を標識する蛍光物質が、表面プラズモン共鳴に基づく局在場光により励起されて放出した蛍光を検出して、前記被測定物質の存在または量を示すシグナル値を測定する測定方法であって、
誘電体である樹脂からなるプリズムと、前記プリズムの一面上に配置された金属膜とを有する測定チップを準備する工程と、
前記蛍光物質が前記金属膜上に存在しない状態で、前記金属膜で表面プラズモン共鳴が発生するように、前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射しときに、前記測定チップから放出される光を検出して、第1光学ブランク値を測定する工程と、
前記第1光学ブランク値を測定した後に、前記蛍光物質で標識された前記被測定物質が前記金属膜上に存在する状態で、前記金属膜で表面プラズモン共鳴が発生するように、前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射したときに、前記蛍光物質から放出される蛍光を検出して、蛍光値を測定する工程と、
前記第1光学ブランク値に基づいて、前記蛍光値に含まれる第2光学ブランク値を算出する工程と、
前記蛍光値から前記第2光学ブランク値を引いて、前記シグナル値を算出する工程と、
を含む、測定方法。
【請求項2】
前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数は、予め測定された一定の値であり、
前記第1光学ブランク値の測定は、1回行われ、
前記第2光学ブランク値は、予め測定された前記減衰係数を含む近似式と、前記第1光学ブランク値とに基づいて算出される、
請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記第2光学ブランク値は、対数近似式である以下の式(1)と、前記第1光学ブランク値とに基づいて算出される、請求項2に記載の測定方法。
【数1】
[式(1)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値または前記第2光学ブランク値である。aは、前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数である。bは、定数である。]
【請求項4】
前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数aは、事前に前記プリズムに励起光を照射して光学ブランク値を複数回測定した後に、以下の式(2)および式(3)と得られた複数の測定値とに基づいて予め算出された値である、請求項3に記載の測定方法。
【数2】
【数3】
[式(2)および式(3)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記光学ブランク値である。nは、前記光学ブランク値の測定回数である。]
【請求項5】
前記第2光学ブランク値は、指数近似式である以下の式(4)と、前記第1光学ブランク値とに基づいて算出される、請求項2に記載の測定方法。
【数4】
[式(4)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値または前記第2光学ブランク値である。aは、前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数である。bは、定数である。]
【請求項6】
前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数aは、事前に前記プリズムに励起光を照射して光学ブランク値を複数回測定した後に、以下の式(5)および式(6)と得られた複数の測定値とに基づいて予め算出された値である、請求項5に記載の測定方法。
【数5】
【数6】
[式(5)および式(6)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記光学ブランク値である。nは、前記光学ブランク値の測定回数である。]
【請求項7】
前記第1光学ブランク値の測定は、複数回行われ、
前記第2光学ブランク値は、減衰係数を含む近似式と、複数の前記第1光学ブランク値とに基づいて算出される、
請求項1に記載の測定方法。
【請求項8】
前記第2光学ブランク値は、対数近似式である以下の式(7)と、複数の前記第1光学ブランク値とに基づいて算出される、請求項7に記載の測定方法。
【数7】
[式(7)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値または前記第2光学ブランク値である。aは、前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数であり、以下の式(8)および式(10)で表される値である。bは、以下の式(9)および式(10)で表される値である。]
【数8】
【数9】
【数10】
[式(8)〜(10)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値である。nは、前記第1光学ブランク値の測定回数である。]
【請求項9】
前記第2光学ブランク値は、指数近似式である以下の式(11)と、複数の前記第1光学ブランク値とに基づいて算出される、請求項7に記載の測定方法。
【数11】
[式(11)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値または前記第2光学ブランク値である。aは、前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数であり、以下の式(12)および式(14)で表される値である。bは、以下の式(13)および式(14)で表される値である。]
【数12】
【数13】
【数14】
[式(12)〜(14)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値である。nは、前記第1光学ブランク値の測定回数である。]
【請求項10】
前記第1光学ブランク値を測定する工程で照射される励起光の前記測定チップ内の光路は、前記第2光学ブランク値を測定する工程で照射される励起光の前記測定チップ内の光路と重複し、
前記第1光学ブランク値を測定する工程で照射される励起光の波長およびパワーは、前記第2光学ブランク値を測定する工程で照射される励起光の波長およびパワーと同じである、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項11】
誘電体である樹脂からなるプリズムと、前記プリズムの一面上に配置された金属膜とを有する測定チップが装着され、前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射することで、前記金属膜上に存在する被測定物質を標識する蛍光物質を表面プラズモン共鳴に基づく局在場光により励起させ、前記蛍光物質から放出された蛍光を検出することで、前記被測定物質の存在または量を示すシグナル値を測定するための測定装置であって、
前記測定チップを保持するためのホルダーと、
前記蛍光物質を励起するための励起光を前記ホルダーに保持された前記測定チップに照射する光照射部と、
前記光照射部が前記測定チップに励起光を照射したときに、前記測定チップから放出される光を検出する光検出部と、
前記光検出部により得られた検出値を処理する処理部と、
を有し、
前記蛍光物質が前記金属膜上に存在しない状態で、前記金属膜で表面プラズモン共鳴が発生するように、前記光照射部が前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射したときに、前記光検出部が前記測定チップから放出される光を検出して、第1光学ブランク値を測定する工程と、
前記第1光学ブランク値を測定した後に、前記蛍光物質で標識された前記被測定物質が前記金属膜上に存在する状態で、前記金属膜で表面プラズモン共鳴が発生するように、前記光照射部が前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射したときに、前記光検出部が前記蛍光物質から放出される蛍光を検出して、蛍光値を測定する工程と、
前記処理部が、前記第1光学ブランク値に基づいて、前記蛍光値に含まれる第2光学ブランク値を算出するとともに、前記蛍光値から前記第2光学ブランク値を引いて前記シグナル値を算出する工程と、
を行う、
測定装置。
【請求項12】
前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数は、予め測定された一定の値であり、
前記光検出部は、前記第1光学ブランク値を1回測定し、
前記処理部は、予め測定された前記減衰係数を含む近似式と、前記第1光学ブランク値とに基づいて前記第2光学ブランク値を算出する、
請求項11に記載の測定装置。
【請求項13】
前記処理部は、対数近似式である以下の式(1)と、前記第1光学ブランク値とに基づいて前記第2光学ブランク値を算出する、請求項12に記載の測定装置。
【数15】
[式(1)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値または前記第2光学ブランク値である。aは、前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数である。bは、定数である。]
【請求項14】
前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数aは、
事前に、前記光照射部が前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射して、前記光検出部が光学ブランク値を複数回測定し、
前記処理部が、以下の式(2)および式(3)と得られた複数の測定値とに基づいて予め算出した値である、
請求項13に記載の測定装置。
【数16】
【数17】
[式(2)および式(3)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記光学ブランク値である。nは、前記光学ブランク値の測定回数である。]
【請求項15】
前記処理部は、指数近似式である以下の式(4)と、前記第1光学ブランク値とに基づいて前記第2光学ブランク値を算出する、請求項12に記載の測定装置。
【数18】
[式(4)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値または前記第2光学ブランク値である。aは、前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数である。bは、定数である。]
【請求項16】
前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数aは、
事前に、前記光照射部が前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射して、前記光検出部が前記光学ブランク値を複数回測定し、
前記処理部が、以下の式(5)および式(6)と得られた複数の測定値とに基づいて予め算出した値である、
請求項15に記載の測定装置。
【数19】
【数20】
[式(5)および式(6)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記光学ブランク値である。nは、前記光学ブランク値の測定回数である。]
【請求項17】
前記光検出部は、前記第1光学ブランク値を複数回測定し、
前記処理部は、減衰係数を含む近似式と、複数の前記第1光学ブランク値とに基づいて前記第2光学ブランク値を算出する、
請求項11に記載の測定装置。
【請求項18】
前記処理部は、対数近似式である以下の式(7)と、複数の前記第1光学ブランク値とに基づいて前記第2光学ブランク値を算出する、請求項17に記載の測定装置。
【数21】
[式(7)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値または前記第2光学ブランク値である。aは、前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数であり、以下の式(8)および式(10)で表される値である。bは、以下の式(9)および式(10)で表される値である。]
【数22】
【数23】
【数24】
[式(8)〜(10)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値である。nは、前記第1光学ブランク値の測定回数である。]
【請求項19】
前記処理部は、指数近似式である以下の式(11)と、複数の前記第1光学ブランク値とに基づいて前記第2光学ブランク値を算出する、請求項17に記載の測定装置。
【数25】
[式(11)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値または前記第2光学ブランク値である。aは、前記プリズムから放出される自家蛍光の光量の減衰係数であり、以下の式(12)および式(14)で表される値である。bは、以下の式(13)および式(14)で表される値である。]
【数26】
【数27】
【数28】
[式(12)〜(14)において、yは、前記プリズムに励起光を合計照射エネルギーx照射したときの前記第1光学ブランク値である。nは、前記第1光学ブランク値の測定回数である。]
【請求項20】
前記光照射部の光源のパワーは、1mW/mm以上である、
請求項11〜19のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項21】
前記光照射部は、前記第1光学ブランク値を測定する工程で照射される励起光の前記測定チップ内の光路が、前記第2光学ブランク値を測定する工程で照射される励起光の前記測定チップ内の光路と重複するように、励起光を前記金属膜に照射し、
前記第1光学ブランク値を測定する工程で照射される励起光の波長およびパワーは、前記第2光学ブランク値を測定する工程で照射される励起光の波長およびパワーと同一である、
請求項11〜20のいずれか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物質を測定するための測定方法および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査などにおいて、タンパク質やDNAなどの微量の被測定物質を高感度かつ定量的に測定することができれば、患者の状態を迅速に把握して治療を行うことが可能となる。このため、微量の被測定物質を高感度かつ定量的に測定できる測定装置が求められている。
【0003】
被測定物質を高感度に測定できる測定装置として、表面プラズモン共鳴蛍光分析(表面プラズモン励起増強蛍光分光法(Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy):以下「SPFS」と略記する)を利用する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の測定装置では、プリズム(透明支持体)と、プリズム上に形成された金属膜と、金属膜上に固定された捕捉体(例えば、抗体)とを有する測定チップを使用する。金属膜上に被測定物質を含む検体を供給すると、被測定物質が捕捉体により捕捉される(1次反応)。捕捉された被測定物質は、さらに蛍光物質で標識される(2次反応)。この状態で、表面プラズモン共鳴が生じる角度で、プリズムを介して励起光を、金属膜に照射すると、金属膜表面上に局在場光を発生させることができる。この局在場光により、金属膜上に捕捉された被測定物質を標識する蛍光物質が選択的に励起され、蛍光物質から放出された蛍光が観察される。この測定装置では、蛍光を検出して、被測定物質の存在またはその量を測定する。このとき、測定チップから放出される自家蛍光などの影響を排除するために、2次反応を行う前に光学ブランク測定が行われる。蛍光の検出値(以下、単に「検出値」ともいう)から光学ブランク値を引いてシグナル値を算出することで、被測定物質を高精度で測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−053902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
微量の被測定物質を標識する蛍光物質からの蛍光は微弱であるため、SPFSを利用した測定装置では、光電子増倍管(PMT)やアバランシェフォトダイオード(APD)などの高感度な受光センサーを使用するのが一般的である。しかし、これらの高感度な受光センサーは、微弱な光の検出には適しているものの、受光感度が温度により大きく変化するため、高精度な温度制御が必要となるという問題を有している。
【0007】
そこで、本発明者らは、温度が変化しても受光感度の変化が小さい受光センサー(例えば、フォトダイオード(PD))を使用することを検討した。本発明者らは、励起光の光源をハイパワー化(例えば、1mW/mm以上)することで、PDのように高感度でない受光センサーを用いても、SPFSを利用して微量の被測定物質を高精度に測定しうることを見出した。
【0008】
しかしながら、本発明者らの予備実験によれば、ハイパワーの励起光を測定チップに照射すると、測定チップから放出される自家蛍光の光量が減衰することがわかった。このように測定チップから放出される自家蛍光の光量が減衰する場合、蛍光を測定するときの自家蛍光の光量は、光学ブランク値を測定するときの自家蛍光の光量よりも小さくなる。このため、蛍光値から光学ブランク値を引いたときに、正しいシグナル値を算出することができず、不正確に小さい値を算出してしまうこととなる。
【0009】
以上のように、SPFSを利用した測定方法および測定装置において、ハイパワーの励起光を照射する場合、測定チップから放出される自家蛍光の光量の減衰により、被測定物質を高精度で測定することができないおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、SPFSを利用する測定方法および測定装置であって、ハイパワーの励起光を照射する場合であっても、測定チップから放出される自家蛍光の光量の減衰による影響を受けることなく、高精度に被測定物質を測定することができる測定方法および測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る測定方法は、被測定物質を標識する蛍光物質が、表面プラズモン共鳴に基づく局在場光により励起されて放出した蛍光を検出して、前記被測定物質の存在または量を示すシグナル値を測定する測定方法であって、誘電体である樹脂からなるプリズムと、前記プリズムの一面上に配置された金属膜とを有する測定チップを準備する工程と、前記蛍光物質が前記金属膜上に存在しない状態で、前記金属膜で表面プラズモン共鳴が発生するように、前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射しときに、前記測定チップから放出される光を検出して、第1光学ブランク値を測定する工程と、前記第1光学ブランク値を測定した後に、前記蛍光物質で標識された前記被測定物質が前記金属膜上に存在する状態で、前記金属膜で表面プラズモン共鳴が発生するように、前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射したときに、前記蛍光物質から放出される蛍光を検出して、蛍光値を測定する工程と、前記第1光学ブランク値に基づいて、前記蛍光値に含まれる第2光学ブランク値を算出する工程と、前記蛍光値から前記第2光学ブランク値を引いて、前記シグナル値を算出する工程と、を含む。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る測定装置は、誘電体である樹脂からなるプリズムと、前記プリズムの一面上に配置された金属膜とを有する測定チップが装着され、前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射することで、前記金属膜上に存在する被測定物質を標識する蛍光物質を表面プラズモン共鳴に基づく局在場光により励起させ、前記蛍光物質から放出された蛍光を検出することで、前記被測定物質の存在または量を示すシグナル値を測定するための測定装置であって、前記測定チップを保持するためのホルダーと、前記蛍光物質を励起するための励起光を前記ホルダーに保持された前記測定チップに照射する光照射部と、前記光照射部が前記測定チップに励起光を照射したときに、前記測定チップから放出される光を検出する光検出部と、前記光検出部により得られた検出値を処理する処理部と、を有し、前記蛍光物質が前記金属膜上に存在しない状態で、前記金属膜で表面プラズモン共鳴が発生するように、前記光照射部が前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射したときに、前記光検出部が前記測定チップから放出される光を検出して、第1光学ブランク値を測定する工程と、前記第1光学ブランク値を測定した後に、前記蛍光物質で標識された前記被測定物質が前記金属膜上に存在する状態で、前記金属膜で表面プラズモン共鳴が発生するように、前記光照射部が前記プリズムを通して前記金属膜に励起光を照射したときに、前記光検出部が前記蛍光物質から放出される蛍光を検出して、蛍光値を測定する工程と、前記処理部が、前記第1光学ブランク値に基づいて、前記蛍光値に含まれる第2光学ブランク値を算出するとともに、前記蛍光値から前記第2光学ブランク値を引いて前記シグナル値を算出する工程と、を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定チップの自家蛍光の減衰に起因する測定誤差を抑えて被測定物質を高感度かつ高精度で測定することができる。たとえば、本発明によれば、臨床検査における誤診を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る表面プラズモン増強蛍光測定装置の構成を示す図である。
図2図2は、表面プラズモン増強蛍光測定装置の動作手順の一例を示すフローチャートである。
図3図3Aは、測定チップのプリズムに照射された励起光の合計照射エネルギーと、光学ブランク値との関係を示すグラフであり、図3B、Cは、測定チップのプリズムに対する励起光の照射の効果について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る測定装置の代表例として、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用して、被測定物質を測定する表面プラズモン増強蛍光測定装置(以下、「SPFS装置」ともいう)について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るSPFS装置100の構成を示す図である。図1に示されるように、SPFS装置100は、測定チップ10を着脱可能に保持するためのチップホルダー110と、測定チップ10に光を照射するための光照射ユニット(光照射部)120と、測定チップ10から放出された光(自家蛍光、プラズモン散乱光βまたは蛍光γ)を検出するための受光ユニット(光検出部)130と、これらを制御する制御部(処理部)140と、測定チップ10に送液するための送液ユニット(不図示)とを有する。SPFS装置100は、チップホルダー110に測定チップ10を装着した状態で使用される。そこで、測定チップ10について先に説明し、その後にSPFS装置100の各構成要素について説明する。
【0017】
(測定チップの構成)
図1に示されるように、測定チップ10は、入射面21、成膜面22および出射面23を有するプリズム20と、成膜面22上に形成された金属膜30と、成膜面22上または金属膜30上に配置された流路蓋40とを有する。通常、測定チップ10は、測定(分析)のたびに交換される。
【0018】
プリズム20は、励起光αに対して透明であり、誘電体である樹脂からなる。プリズム20は、入射面21、成膜面22および出射面23を有する。
【0019】
入射面21は、光照射ユニット120からの励起光αをプリズム20の内部に入射させる。成膜面22の上には、金属膜30が配置されている。プリズム20の内部に入射した励起光αは、金属膜30で反射する。より具体的には、プリズム20と金属膜30との界面(成膜面22)で反射する。出射面23は、金属膜30で反射した励起光αをプリズム20の外部に出射させる。
【0020】
プリズム20の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、プリズム20の形状は、台形を底面とする柱体である。台形の一方の底辺に対応する面が成膜面22であり、一方の脚に対応する面が入射面21であり、他方の脚に対応する面が出射面23である。底面となる台形は、等脚台形であることが好ましい。これにより、入射面21と出射面23とが対称になり、励起光αのS波成分がプリズム20内に滞留しにくくなる。入射面21は、励起光αが光照射ユニット120に戻らないように形成されている。励起光αが励起光源であるレーザーダイオードに戻ると、レーザーダイオードの励起状態が乱れてしまい、励起光αの波長や出力が変動してしまうからである。そこで、理想的な共鳴角または増強角を中心とする走査範囲において、励起光αが入射面21に垂直に入射しないように、入射面21の角度が設定される。
【0021】
ここで「共鳴角」とは、金属膜30に対する励起光αの入射角を走査した場合に、出射面23から出射される反射光の光量が最小となるときの、入射角を意味する。また、「増強角」とは、金属膜30に対する励起光αの入射角を走査した場合に、測定チップ10の上方に放出される励起光αと同一波長の散乱光(以下「プラズモン散乱光」という)βの光量が最大となるときの、入射角を意味する。たとえば、入射面21と成膜面22との角度および成膜面22と出射面23との角度は、いずれも約80°である。
【0022】
プリズム20を構成する樹脂の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)や、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィン系ポリマーなどが含まれる。プリズム20を構成する樹脂は、好ましくは、屈折率が1.4〜1.6であり、かつ複屈折が小さい樹脂である。このように樹脂(組成物)を用いてプリズム20を形成した場合、通常、プリズム20は、光を照射されたときに自家蛍光を放出する。
【0023】
金属膜30は、プリズム20の成膜面22上に形成されている。金属膜30を設けることで、成膜面22に全反射条件で入射した励起光αの光子と、金属膜30中の自由電子との間で相互作用(表面プラズモン共鳴;SPR)が生じ、金属膜30の表面上に局在場光を生じさせることができる。金属膜30の素材は、表面プラズモン共鳴を生じさせる金属であれば特に限定されない。金属膜30の素材の例には、金、銀、銅、アルミニウム、これらの合金が含まれる。本実施の形態では、金属膜30は、金薄膜である。金属膜30の形成方法は、特に限定されない。金属膜30の形成方法の例には、スパッタリング、蒸着、メッキが含まれる。金属膜30の厚みは、特に限定されないが、30〜70nmの範囲内が好ましい。
【0024】
また、特に図示しないが、金属膜30のプリズム20と対向しない面には、被測定物質を捕捉するための捕捉体が固定されている。捕捉体を固定することで、被測定物質を選択的に測定することが可能となる。このように金属膜30の表面の少なくとも一部は、反応場として設定される。本実施の形態では、金属膜30表面の中央部分が反応場として設定されている。反応場には、捕捉体が均一に固定されている。捕捉体の種類は、被測定物質を捕捉することができれば特に限定されない。たとえば、捕捉体は、被測定物質に特異的に結合可能な抗体またはその断片である。
【0025】
流路蓋40は、金属膜30のプリズム20と対向しない面上に、流路41を挟んで配置されている。流路蓋40は、流路41を挟んで成膜面22上に配置されていてもよい。流路蓋40は、金属膜30(およびプリズム20)とともに、検体や蛍光標識液、洗浄液などの液体が流れる流路41を形成する。反応場は、流路41内に露出している。流路41の両端は、流路蓋40の上面に形成された注入口および排出口(いずれも図示省略)とそれぞれ接続されている。流路41内へ液体が注入されると、流路41内において、これらの液体は反応場の捕捉体に接触する。
【0026】
流路蓋40は、金属膜30の反応場から放出された光(プラズモン散乱光βおよび蛍光γ)に対して透明な材料からなる樹脂部材である。流路蓋40の材料は、これらの光に対して透明であれば特に限定されない。これらの光を受光ユニット130に導くことができれば、流路蓋40の一部は、不透明な材料で形成されていてもよい。流路蓋40は、例えば、両面テープまたは接着剤による接着や、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ部材を用いた圧着などにより金属膜30またはプリズム20に接合されている。
【0027】
なお、測定チップ10の設計により、共鳴角(およびその極近傍にある増強角)が概ね決まる。設計要素は、プリズム20の屈折率や、金属膜30の屈折率、金属膜30の膜厚、金属膜30の消衰係数、励起光αの波長などである。金属膜30上に捕捉された被測定物質によって共鳴角および増強角がシフトするが、その量は数度未満である。
【0028】
図1に示されるように、プリズム20へ導かれた励起光αは、入射面21でプリズム20内に入射する。プリズム20内に入射した励起光αは、プリズム20と金属膜30との界面(成膜面22)に全反射角度(表面プラズモン共鳴が生じる角度)となるように入射する。上記の界面からの反射光は、出射面23でプリズム20外に出射される(図示省略)。このとき、励起光αがプリズムを通過することによって、プリズム20内の励起光αの光路となる領域からは、自家蛍光が放出される。この自家蛍光の一部は、金属膜30および流路蓋40を透過して受光ユニット130の方向に向かう。また、表面プラズモン共鳴が生じる角度で励起光αが上記の界面に入射することで、反応場からは、プラズモン散乱光βや蛍光γなどが、受光ユニット130の方向へ放出される。
【0029】
(SPFS装置の構成)
次に、SPFS装置100の各構成要素について説明する。前述のとおり、SPFS装置100は、チップホルダー110、光照射ユニット(光照射部)120、受光ユニット(光検出部)130および制御部(処理部)140を有する。
【0030】
チップホルダー110は、所定の位置で測定チップ10を保持する。測定チップ10は、チップホルダー110に保持された状態で、光照射ユニット120からの励起光αを照射される。
【0031】
光照射ユニット120は、チップホルダー110に保持された測定チップ10のプリズム20の入射面21に向けて、励起光α(シングルモードレーザー光)を照射する。より具体的には、光源ユニット121は、測定チップ10のプリズム20側から捕捉体が固定されている領域に対応した金属膜30の裏面に、励起光αを全反射角度となるように出射する。
【0032】
光照射ユニット120は、励起光αを出射する光源ユニット121と、プリズム20と金属膜30との界面(成膜面22)に対する励起光αの入射角を調整する角度調整部122と、光源ユニット121に含まれる各種機器を制御する光源制御部123とを有する。
【0033】
光源ユニット121は、励起光αを出射する。たとえば、光源ユニット121は、励起光αの光源、ビーム整形光学系、APC機構および温度調整機構(いずれも図示省略)を有する。
【0034】
光源の種類は、特に限定されないが、受光センサー135としてフォトダイオード(PD)などの高感度でない光検出器を使用する観点からは、ハイパワーの光源であることが好ましい。光源は、例えばレーザーダイオード(LD)である。光源の種類の他の例には、発光ダイオード、水銀灯、その他のレーザー光源が含まれる。たとえば、光源の発光パワーは、1mW/mm以上である。
【0035】
また、光源から出射される励起光αがビームでない場合は、光源から出射される励起光αは、レンズや鏡、スリットなどによりビームに変換される。また、光源から出射される励起光αが単色光でない場合は、光源から出射される励起光αは、回折格子などにより単色光に変換される。さらに、光源から出射される励起光αが直線偏光でない場合は、光源から出射される励起光αは、偏光子などにより直線偏光の光に変換される。
【0036】
ビーム整形光学系は、例えば、コリメーターやバンドパスフィルター、直線偏光フィルター、半波長板、スリット、ズーム手段などを含む。ビーム整形光学系は、これらのすべてを含んでいてもよいし、一部を含んでいてもよい。
【0037】
コリメーターは、光源から出射された励起光αをコリメートする。
【0038】
バンドパスフィルターは、光源から出射された励起光αを中心波長のみの狭帯域光にする。光源からの励起光αは、若干の波長分布幅を有しているためである。
【0039】
直線偏光フィルターは、光源から出射された励起光αを完全な直線偏光の光にする。半波長板は、金属膜30にP波成分の光が入射するように励起光αの偏光方向を調整する。スリットおよびズーム手段は、金属膜30の裏面における照射スポットの形状が所定サイズの円形となるように、励起光αのビーム径や輪郭形状などを調整する。
【0040】
APC機構は、光源の出力が一定となるように光源を制御する。より具体的には、APC機構は、励起光αから分岐させた光の光量を不図示のフォトダイオードなどで検出する。そして、APC機構は、回帰回路で投入エネルギーを制御することで、光源の出力を一定に制御する。
【0041】
温度調整機構は、例えば、ヒーターやペルチェ素子などである。光源の出射光の波長およびエネルギーは、温度によって変動することがある。このため、温度調整機構で光源の温度を一定に保つことにより、光源の出射光の波長およびエネルギーを一定に制御する。
【0042】
角度調整部122は、金属膜30(プリズム20と金属膜30との界面(成膜面22))への励起光αの入射角を調整する。角度調整部122は、励起光αを金属膜30(成膜面22)の所定の位置(反応場の裏側)に所定の入射角で照射させるために、励起光αの光軸とチップホルダー110とを相対的に回転させる。本実施の形態では、角度調整部122は、光源ユニット121を励起光αの光軸と直交する軸を中心として回転させる。このとき、入射角を走査しても金属膜30(成膜面22)上での照射位置がほとんど移動しないように、回転軸の位置を設定する。たとえば、回転中心の位置を、入射角の走査範囲の両端における2つの励起光αの光軸の交点近傍(成膜面22上の照射位置とプリズム20の入射面21との間)に設定することで、照射位置のズレを極小化することができる。
【0043】
光源制御部123は、光源ユニット121に含まれる各種機器を制御して、光源ユニット121からの励起光αのパワーや照射時間などを調整する。光源制御部123は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
【0044】
受光ユニット130は、チップホルダー110に保持された測定チップ10の金属膜30のプリズム20と対向しない面に対向するように配置されている。受光ユニット130は、測定チップ10から放出される自家蛍光と、金属膜30上から出射される光(プラズモン散乱光βまたは蛍光γ)とを検出する。受光ユニット130は、受光光学系ユニット131に配置された第1レンズ132、光学フィルター133、第2レンズ134および受光センサー135と、位置切替え機構136と、光センサー制御部137とを有する。
【0045】
第1レンズ132は、例えば、集光レンズであり、金属膜30上から出射される光を集光する。第2レンズ134は、例えば、結像レンズであり、第1レンズ132で集光された光を受光センサー135の受光面に結像させる。両レンズの間の光路は、略平行になっている。
【0046】
光学フィルター133は、第1レンズ132と第2レンズ134との間に配置されている。光学フィルター133は、蛍光成分のみを受光センサー135に導き、高いS/N比で蛍光γを検出するために、励起光成分(プラズモン散乱光β)を除去する。光学フィルター133の例には、励起光反射フィルター、短波長カットフィルターおよびバンドパスフィルターが含まれる。光学フィルター133は、例えば、所定の光成分を反射する多層膜を含むフィルター、または所定の光成分を吸収する色ガラスフィルターである。
【0047】
受光センサー135は、測定チップ10から放出される自家蛍光、プラズモン散乱光βおよび蛍光γを検出する。受光センサー135の種類は、上記の目的を達成することができれば特に限定されないが、受光量が増加しても測定値のばらつきが小さいものが好ましい。受光センサー135は、例えば、フォトダイオード(PD)である。前述のように、本発明者らは、励起光αの光源をハイパワー化(例えば、1mW/mm以上)することで、PDのように高感度でない受光センサー135を用いても、SPFSを利用することで微量の被測定物質を高精度に測定しうることを確認している。
【0048】
位置切替え機構136は、光学フィルター133の位置を、受光光学系ユニット131における光路上または光路外に切り替える。具体的には、受光センサー135が光学ブランク値または蛍光値を測定する時には、光学フィルター133を受光光学系ユニット131における光路上に配置し、受光センサー135がプラズモン散乱光βを検出する時には、光学フィルター133を光路外に配置する。
【0049】
光センサー制御部137は、受光センサー135の出力値の検出や、検出した出力値による受光センサー135の感度の管理、適切な出力値を得るための受光センサー135の感度を制御する。光センサー制御部137は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
【0050】
制御部140は、角度調整部122、光源制御部123、位置切替え機構136および光センサー制御部137を制御する。また、制御部140は、受光センサー135の検出結果に基づいて蛍光値に含まれる光学ブランク値を推定し、かつ被測定物質の存在または量を示すシグナル値を算出するための処理部としても機能する。制御部140は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
【0051】
[SPFS装置の動作]
次に、SPFS装置100の動作(SPFS装置100を用いた測定方法)について説明する。図2は、SPFS装置の動作手順の一例を示すフローチャートである。本実施の形態に係るSPFS装置100は、プリズム20から放出される自家蛍光の性質に応じて、2つの動作手順のいずれかに従って被測定物質の測定を行う。
【0052】
(第1の動作手順)
まず、第1の動作手順について説明する。第1の動作手順は、プリズム20から放出される自家蛍光の光量の減衰係数が予め測定されている一定の値である場合に採用される手順である。制御部140には、予め減衰係数が記憶されている。
【0053】
まず、測定の準備をする(工程S10)。具体的には、SPFS装置100のチップホルダー110に測定チップ10を設置する。また、測定チップ10の流路41内に保湿剤が存在する場合は、捕捉体が適切に被測定物質を捕捉できるように、流路41内を洗浄して保湿剤を除去する。
【0054】
次いで、増強角を測定する(工程S20)。具体的には、励起光αを金属膜30(成膜面22)の所定の位置に照射しながら、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を走査して、最適な入射角を決定する。制御部140は、光源制御部123および角度調整部122を制御して、光源ユニット121から励起光αを金属膜30(成膜面22)の所定の位置に照射しながら、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を走査する。また、制御部140は、位置切替え機構136を制御して、光学フィルター133を受光光学系ユニット131の光路外に移動させる。これとともに、制御部140は、光センサー制御部137を制御して、受光センサー135でプラズモン散乱光βを検出する。制御部140は、励起光αの入射角とプラズモン散乱光βの強度との関係を含むデータを得る。このとき、プリズム20に照射された励起光αの照射エネルギーも制御部140に記憶される。そして、制御部140は、データを解析して、プラズモン散乱光βの強度が最大となる入射角(増強角)を決定する。なお、増強角は、プリズム20の素材および形状、金属膜30の厚み、流路41内の液体の屈折率などにより決まるが、流路41内の捕捉体の種類および量、プリズム20の形状誤差などの各種要因によりわずかに変動する。このため、測定を行うたびに増強角を決定することが好ましい。増強角は、0.1°程度のオーダーで決定される。
【0055】
次いで、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を、工程S20で決定した増強角に設定する(工程S30)。具体的には、制御部140は、角度調整部122を制御して、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を増強角に設定する。以後の工程では、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角は、増強角のままである。
【0056】
次いで、金属膜30上に蛍光物質が存在しない状態で蛍光γと同じ波長の光を含む光の測定を行い、第1光学ブランク値を1回測定する(工程S40)。ここで、「光学ブランク値」とは、測定チップ10の上方に放出される背景光の光量を意味する。この背景光は、主として、励起光αを照射したときに測定チップ10(プリズム20)から放出される自家蛍光に起因する。また、第1光学ブランク値とは、後述する蛍光値を測定する工程(工程S70)における蛍光値に含まれる光学ブランク値(第2光学ブランク値)を推定するために測定される光学ブランク値をいう。
【0057】
具体的には、制御部140は、位置切替え機構136を制御して、光学フィルター133を受光光学系ユニット131の光路上に移動させる。次いで、制御部140は、光源制御部123を制御して、金属膜30上に蛍光物質が存在しない状態で、金属膜30で表面プラズモン共鳴が発生するように、光源ユニット121からプリズム20を通して金属膜30に励起光αを照射させる。これと同時に、制御部140は、光センサー制御部137を制御して、受光センサー135で測定チップ10から放出された光を検出し、第1光学ブランク値を得る。測定された第1光学ブランク値は、制御部(処理部)140に送信され、励起光αの合計照射エネルギーとともに記憶される。
【0058】
次いで、検体中の被測定物質と捕捉体とを反応させる(1次反応;工程S50)。具体的には、送液ユニット側において流路41内に検体を注入して、検体と捕捉体とを接触させる。検体中に被測定物質が存在する場合は、被測定物質の少なくとも一部は捕捉体により捕捉される。この後、流路41内を緩衝液などで洗浄して、捕捉体に捕捉されなかった物質を除去する。検体の種類は、特に限定されない。検体の例には、血液や血清、血漿、尿、鼻孔液、唾液、精液などの体液およびその希釈液が含まれる。
【0059】
次いで、捕捉体に捕捉された被測定物質を蛍光物質で標識する(2次反応;工程S60)。具体的には、流路41内に蛍光標識液を提供する。蛍光標識液は、例えば、蛍光物質で標識された抗体(2次抗体)を含む緩衝液である。蛍光標識液が流路41に提供されると、蛍光標識液が被測定物質に接触し、被測定物質が蛍光物質で標識される。この後、流路41内を緩衝液などで洗浄し、遊離の蛍光物質などを除去する。
【0060】
次いで、測定チップ10に蛍光物質で標識された被測定物質が存在する状態で、励起光αを金属膜30(成膜面22)に照射して、反応場の被測定物質を標識する蛍光物質から放出される蛍光γを検出して、蛍光値を測定する(工程S70)。具体的には、制御部140は、光源制御部123を制御して、蛍光物質で標識された被測定物質が金属膜30上に存在する状態で、金属膜30で表面プラズモン共鳴が発生するように、プリズム20を通して金属膜30に光源ユニット121から励起光αを出射させる。これと同時に、制御部140は、光センサー制御部137を制御して、受光センサー135で被測定物質を標識する蛍光物質から放出される蛍光γを検出する。測定された蛍光値は、制御部(処理部)140に送信され、励起光αの照射エネルギーとともに記憶される。
【0061】
次いで、処理部140は、蛍光値を測定する工程(工程S70)で得られた蛍光値に含まれる光学ブランク値(第2光学ブランク値)を推定する(工程S80)。具体的には、制御部(処理部)140は、予め測定された減衰係数を含む対数近似式である以下の式(1)と、工程S40で得られた第1光学ブランク値とに基づいて第2光学ブランク値を算出する。
【数1】
[式(1)において、yは、プリズム20に励起光αを合計照射エネルギーx照射したときの光学ブランク値(第1光学ブランク値または第2光学ブランク値)である。aは、プリズム20から放出される自家蛍光の光量の減衰係数である。bは、定数である。]
【0062】
このとき、減衰係数aは予め決定されているため、工程S40で測定した第1光学ブランク値をyに代入し、かつ第1光学ブランク値を測定する工程(工程S40)以前にプリズム20に照射された励起光αの合計照射エネルギーをxに代入することで、定数b(本実施の形態では、bはxが1mW・秒/mmのときの第1光学ブランク値に相当する)を得ることができる。本実施の形態では、xは、増強角を測定する工程(工程S20)において入射角が増強角のときの励起光αの照射エネルギーと、第1光学ブランク値を測定する工程(工程S40)における励起光αの照射エネルギーとの合計照射エネルギーである。次いで、蛍光値を測定する工程(工程S80)以前にプリズム20に照射された励起光αの合計照射エネルギーを、aおよびbの値が明らかとなっている式(1)のxに代入することで、蛍光値を測定する工程(工程S80)における第2光学ブランク値を算出することができる。
【0063】
なお、予め測定される減衰係数aの測定方法は、特に限定されない。たとえば、減衰係数aは、事前に測定された光学ブランク値を用いて最小二乗法により算出することができる。具体的には、減衰係数aは、事前にプリズム20そのもの、または同種のプリズムに励起光αを照射して光学ブランク値を複数回測定した後に、以下の式(2)および式(3)と、得られた複数の測定値とに基づいて算出することができる。より正確に減衰係数aを測定する観点からは、光学ブランク値を測定する回数nは、多いほど好ましく、求められる測定精度に応じて適宜設定されうる。
【数2】
【数3】
[式(2)および式(3)において、yは、プリズム20に励起光αを合計照射エネルギーx照射したときの光学ブランク値である。nは、光学ブランク値の測定回数である。]
【0064】
最後に、被測定物質の存在または量を示すシグナル値を算出する(工程S90)。蛍光値は、主として、被測定物質を標識する蛍光物質に由来する蛍光成分(シグナル値)と、測定チップ10の自家蛍光に由来する蛍光成分(第2光学ブランク値)とを含む。したがって、制御部140は、工程S70で得られた蛍光値から工程S80で推定された第2光学ブランク値を引くことで、被測定物質の量に相関するシグナル値を算出することができる。シグナル値は、予め作成しておいた検量線により、被測定物質の量や濃度などに換算されうる。
【0065】
(第2の動作手順)
次いで、第2の動作手順について説明する。第2の動作手順は、プリズム20から放出される自家蛍光の光量の減衰係数が予め測定されている場合に採用してもよいが、例えば、減衰係数が予め測定されていないか、またはプリズム20から放出される自家蛍光の光量のプリズム20間でのばらつきが大きい場合に採用される。第2の動作手順は、第1光学ブランク値を測定する工程(工程S40’)および第2光学ブランク値を推定する工程(工程S80’)だけが第1の動作手順と異なる。そこで、工程S40および工程S80以外の工程については、その説明を省略する。
【0066】
第2の動作手順では、第1光学ブランク値を複数回測定する(工程S40’)。第1光学ブランク値は、工程S40と同様に測定され、測定された複数の第1光学ブランク値は、制御部(処理部)140に送信され、励起光αの合計照射エネルギーとともに記憶される。
【0067】
また、処理部140は、工程S40’で得られた複数の第1光学ブランク値を用いて、蛍光値を測定する工程(工程S70)で得られた蛍光値に含まれる第2光学ブランク値を推定する(工程S80’)。具体的には、制御部(処理部)140は、減衰係数を含む対数近似式である以下の式(4)と、工程S40’で得られた複数の第1光学ブランク値とに基づいて第2光学ブランク値を算出する。この場合、減衰係数aおよび定数bは、複数の第1光学ブランク値を用いて最小二乗法により算出される。
【数4】
[式(4)において、yは、プリズム20に励起光αを合計照射エネルギーx照射したときの光学ブランク値(第1光学ブランク値または第2光学ブランク値)である。aは、プリズム20から放出される自家蛍光の光量の減衰係数であり、以下の式(5)および式(7)で表される値である。bは、以下の式(6)および式(7)で表される値である。]
【数5】
【数6】
【数7】
[式(5)〜(7)において、yは、プリズム20に励起光αを合計照射エネルギーx照射したときの第1光学ブランク値である。nは、第1光学ブランク値の測定回数である。]
【0068】
式(5)〜(7)と、測定された複数の第1光学ブランク値とに基づいて、減衰係数aおよび定数bを得ることができる。したがって、蛍光値を測定する工程(工程S70)以前にプリズム20に照射された励起光αの合計照射エネルギーを式(4)のxに代入することで、蛍光値を測定する工程(工程S80’)における第2光学ブランク値を推定することができる。なお、より正確に減衰係数aおよび定数bを測定する観点からは、第1光学ブランク値を測定する回数nは、多いほど好ましく、求められる測定精度に応じて適宜設定されうる。
【0069】
以上の2つの動作手順のいずれかを行うことにより、本実施の形態に係るSPFS装置100は、自家蛍光の減衰に起因する測定誤差を抑えて被測定物質を高精度に測定することができる。なお、より高精度でシグナル値を算出する観点からは、第1光学ブランク値を測定する工程(工程S40、S40’)と、蛍光値を測定する工程(工程S70)とでは、励起光αの照射条件が同一であることが好ましい。たとえば、両工程において、同一の光源を用いて、同一のパワー、波長および偏光方向の励起光を、重複する光路を通過させて測定チップ10に照射することが好ましい。
【0070】
また、本実施の形態では、1次反応(工程S50)および2次反応(工程S60)を連続して行い、両工程の間で測定チップ10を、送液ユニット側から光照射ユニット120および受光ユニット130側に移動させていない。このため、測定チップ10の移動時間分、検出にかかる合計時間を短縮することができる。また、1次反応時間と、2次反応時間と、1次反応および2次反応の間隔時間とを一定に保つことにより、測定精度を向上させることもできる。
【0071】
一方で、工程S20〜工程S80の順番は、上記の順番に限定されない。1次反応(工程S50)を行った後に、増強角の測定(工程S20)、入射角の増強角への設定(工程S30)および第1光学ブランク値の測定(工程S40、S40’)を行ってもよい。この場合、1次反応(工程S50)と2次反応(工程S60)との間に測定チップ10を移動させる必要があるものの、捕捉体に被測定物質が捕捉された状態で増強角および光学ブランク値の測定をすることができる。その結果、蛍光値を測定する工程(工程S70)に、より近い状態で増強角および光学ブランク値を測定できるため、増強角および光学ブランク値をより正確に測定することができ、測定精度をより向上させることができる。また、第2ブランク値を推定する工程(工程S80,S80’)を行う順番は、シグナル値を算出する工程(工程S90)の前であれば特に限定されない。たとえば、第2ブランク値を推定する工程(工程S80,S80’)は、蛍光値を測定する工程(工程S70)の前に行ってもよい。この場合は、蛍光値を測定する工程以前の励起光αの合計照射エネルギーは、推定値を用いる。
【0072】
(参考実験)
ここで、測定チップ10の樹脂部材(プリズム20)に対する励起光α照射の効果について調べた結果を示す。参考実験では、測定チップ10の金属膜30に、入射角が増強角となるようにプリズム20側から励起光αを照射して、光学ブランク値の測定を行った。このとき、測定チップ10のプリズム20には、照射エネルギー47.6mW・秒/mmの光を、断続的に照射した。光源としてはハイパワーLDを使用し、受光センサー135としてはフォトダイオード(PD)を使用した。プリズム20の材料はシクロオレフィン系ポリマーである。
【0073】
図3Aは、測定チップ10のプリズム20に照射された励起光αの合計照射エネルギーと、光学ブランク値との関係を示すグラフであり、図3B、Cは、測定チップ10のプリズム20に対する励起光αの照射の効果について説明するための概念図である。図3Aにおいて、横軸はプリズム20に照射された励起光αの合計照射エネルギー(mW・秒/mm)を示し、縦軸は光学ブランク値(a.u.)を示す。図3B、Cは、第1光学ブランク値、第2光学ブランク値、蛍光値およびシグナル値の関係を示す概念図である。図3B、Cにおいて、OB1は第1光学ブランク値を示し、OB2は第2光学ブランク値を示し、Fは蛍光値を示し、S(S1およびS2)はシグナル値を示す。OB(OB1およびOB2)、FおよびSは、以下の式(8)を満たす。
【数8】
【0074】
図3Aに示されるように、測定チップ10のプリズム20にハイパワーで励起光を照射した場合、光学ブランク値は、励起光αを照射するほど対数関数的(または指数関数的)に減少した。この結果から、測定チップ10の樹脂部材に光を照射するほど、測定チップ10から放出される自家蛍光の光量が減衰することがわかる。
【0075】
ここで、比較のために、第2光学ブランク値OB2の推定を行わずにシグナル値を算出する場合について説明する。この場合、図3Bに示されるような光量で、第1光学ブランク値OB1および蛍光値Fが測定される(説明の便宜上、光学ブランク値の光量を大きくしている)。前述のとおり、蛍光値Fの測定は、第1光学ブランク値OB1の測定の後に行われるため、図3Aのグラフを考慮すると、第1光学ブランク値OB1の測定時と比較して、蛍光値Fの測定時における第2の光学ブランク値OB2も減衰している。したがって、図3Cに示されるように、自家蛍光の光量の減衰を考慮せずに蛍光値Fから第1光学ブランク値OB1を引いてシグナル値S1を算出すると、シグナル値S1は、真のシグナル値S2よりも光学ブランク値の減衰量ΔOB(=OB1−OB2)の分だけ小さい値として算出されてしまう。
【0076】
これに対して、本実施の形態に係る測定方法および測定装置では、第1光学ブランク値OB1の測定値に基づいて、蛍光値Fの測定時における第2光学ブランク値OB2を推定することができる。励起光αの照射により、測定チップ10から放出される自家蛍光の光量が減衰したとしても、被測定物質の存在または量を示すシグナル値を高精度に算出することができる。
【0077】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る測定方法および測定装置によれば、蛍光値に含まれる第2光学ブランク値を推定することができる。このため、本実施の形態に係る測定方法および測定装置によれば、自家蛍光の減衰に起因する測定誤差を抑えて検体中の被測定物質を高精度に測定することができる。また、本実施の形態に係る測定方法および測定装置では、受光センサー135としてPDを使用しているため、蛍光の受光量が多くても被測定物質を高精度に測定することができる。したがって、本実施の形態に係る測定方法および測定装置では、幅広いダイナミックレンジで被測定物質を測定することができる。
【0078】
なお、上記実施の形態では、対数近似により第2光学ブランク値を推定する態様について説明したが、本発明に係る測定方法および測定装置はこの態様に限定されない。たとえば、上記の式(1)または式(4)の代わりに以下の式(9)で表される指数近似式を使用して、第2光学ブランク値を推定してもよい。この場合は、減衰係数aおよび定数bを算出するために、上記の式(2)および式(3)の代わりに下記の式(10)および式(12)を使用し、上記の式(5)〜(7)の代わりに以下の式(10)〜(12)を使用する。
【数9】
[式(9)において、yは、プリズム20に励起光αを合計照射エネルギーx照射したときの光学ブランク値(第1光学ブランク値または第2光学ブランク値)である。aは、プリズム20から放出される自家蛍光の光量の減衰係数であり、以下の式(10)および式(12)で表される値である。bは、以下の式(11)および式(12)で表される値である。]
【数10】
【数11】
【数12】
[式(10)〜(12)において、yは、プリズム20に励起光αを合計照射エネルギーx照射したときの(第1)光学ブランク値である。nは、(第1)光学ブランク値の測定回数である。]
【0079】
また、上記実施の形態では、SPFSを利用した測定方法および測定装置について説明したが、本発明に係る測定方法および測定装置は、これに限定されず、ハイパワーの光源と、樹脂部材を含む測定チップとを使用する他の蛍光測定にも使用されうる。
【0080】
本出願は、2015年3月18日出願の特願2015−054896に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る測定方法および測定装置は、被測定物質を高感度、かつ高精度で測定することができるため、例えば臨床検査などに有用である。
【符号の説明】
【0082】
10 測定チップ
20 プリズム
21 入射面
22 成膜面
23 出射面
30 金属膜
40 流路蓋
41 流路
100 表面プラズモン共鳴蛍光分析装置(SPFS装置)
110 チップホルダー
120 光照射ユニット
121 光源ユニット
122 角度調整部
123 光源制御部
130 受光ユニット
131 受光光学系ユニット
132 第1レンズ
133 光学フィルター
134 第2レンズ
135 受光センサー
136 位置切替え機構
137 光センサー制御部
140 制御部
α 励起光
β プラズモン散乱光
γ 蛍光
図1
図2
図3
【国際調査報告】