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再表2016-148050光学素子、マイクロミラーアレイおよび光学素子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月22日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】光学素子、マイクロミラーアレイおよび光学素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20171201BHJP
   G02B 27/22 20060101ALI20171201BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   G02B5/08 A
   G02B27/22
   C09J163/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】特願2017-506517(P2017-506517)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-54575(P2015-54575)
(32)【優先日】2015年3月18日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508022126
【氏名又は名称】有限会社オプトセラミックス
(71)【出願人】
【識別番号】504349113
【氏名又は名称】泉陽光学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515045628
【氏名又は名称】三国製鏡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 将也
(72)【発明者】
【氏名】大西 康司
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
4J040
【Fターム(参考)】
2H042DA02
2H042DA04
2H042DA11
2H042DA12
2H042DA19
2H042DB07
2H042DB14
2H042DC02
2H042DD04
2H042DE00
2H199BA32
2H199BB17
2H199BB65
2H199BB68
4J040EC001
4J040JA09
4J040LA02
4J040LA06
4J040LA08
4J040PA01
4J040PA25
(57)【要約】
光学素子は、互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に光反射部が形成され、主面の法線方向に並んで配置される複数の板状の透明体と、互いに隣り合う透明体の主面同士を接着する接着剤と、を備え、複数の透明体は、少なくとも法線方向の一方側に光反射部が揃って位置するように配置され、接着剤は、複数の異なる粒径のスペーサーを含み、縦軸を頻度とし横軸をスペーサーの粒径とした場合のスペーサーの粒径分布は、頻度ピーク(F1)を有し、スペーサーの最大粒径(D2)は、頻度ピーク(F1)におけるスペーサーの粒径(D1)以上であり、最大粒径(D2)における頻度(F2)は、スペーサーの最小粒径(D3)の頻度より大きく、頻度ピーク(F1)以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に光反射部が形成され、前記主面の法線方向に並んで配置される複数の板状の透明体と、
互いに隣り合う前記透明体の前記主面同士を接着する接着剤と、を備え、
複数の前記透明体は、少なくとも前記法線方向の一方側に前記光反射部が揃って位置するように配置され、
前記接着剤は、複数の異なる粒径のスペーサーを含み、
縦軸を頻度とし横軸を前記スペーサーの粒径とした場合の前記スペーサーの粒径分布は、頻度ピークを有し、
前記スペーサーの最大粒径は、前記頻度ピークにおける前記スペーサーの粒径以上であり、
前記最大粒径における前記頻度は、前記スペーサーの最小粒径の前記頻度より大きく、前記頻度ピーク以下である、光学素子。
【請求項2】
前記粒径分布は、1つの前記頻度ピークを有し、
前記粒径分布における前記スペーサーの平均粒径は、2μm以上10μm以下であり、
前記最大粒径における前記頻度が、前記頻度ピークの20%以上100%以下である、請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記粒径分布は、2以上の複数の前記頻度ピークを有し、
複数の前記頻度ピークのうち最も大きい粒径を有する前記頻度ピークは、前記スペーサーの粒径が2μm以上10μm以下となる範囲に位置し、
複数の前記頻度ピークのうち最も小さい粒径を有する前記頻度ピークは前記スペーサーの粒径が0.1μm以上1.0μm以下となる範囲に位置し、
最も大きい粒径を有する前記頻度ピークと、この最も大きい粒径を有する前記頻度ピークの隣りに位置する前記頻度ピークとの間における前記粒径分布の最小の前記頻度を極小点とした場合に、前記極小点における粒径以上となる粒径を含む前記スペーサーの体積を前記極小点における粒径以下となる粒径を含む前記スペーサーの体積で割った値が0.1以上5.0以下となる、請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記接着剤と前記スペーサーとの重量比が1:0.1〜0.4である、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項5】
硬化前の前記接着剤の粘度が50[mPa・s]以上300[mPa・s]以下であり、前記接着剤の熱膨張係数が100[10−6/K]以下であり、かつ、23℃の温度環境下において、前記接着剤の硬度が1[N/mm]より大きくなるまでの時間が10時間以上、または、23℃の温度環境下において、前記接着剤の硬度が10[N/mm]より大きくなるまでの時間が20時間以上である、請求項1から4のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記接着剤は、2液性エポキシ接着剤である、請求項1から5のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の2つの光学素子を、2つの前記光学素子がそれぞれ有する複数の前記光反射部が貼り合せ方向から見た場合に互い直交するように貼り合せた、マイクロミラーアレイ。
【請求項8】
複数の平面形状を有する光反射部が間隔をあけて第1方向に並ぶように構成された平板状の光学素子の製造方法であって、
互いに対向する2つの主表面の少なくとも一方に前記光反射部となる反射面を形成した複数の透明基板を準備する工程と、
前記透明基板の前記2つの主表面のうち片側に接着剤を塗布する工程と、
前記透明基板が有する前記反射面および他の前記透明基板が有する前記反射面が前記透明基板と他の前記透明基板が並ぶ方向において少なくとも一方側に揃うように、前記接着剤が塗布された側から他の前記透明基板を重ね合せて、前記透明基板と他の前記透明基板との間に前記接着剤を充填する工程と、
前記接着剤を塗布する工程および前記接着剤を充填する工程を所望の回数繰り返して、複数の前記透明基板が積層された積層体を形成する工程と、
積層方向における前記積層体の一端側に位置する前記透明基板の前記主表面と、前記積層方向における前記積層体の他端側に位置する前記透明基板の前記主表面とを前記積層方向に相対的に移動させることにより、少なくとも前記積層方向の一方側から前記積層体を加圧し、積層ブロックを形成する工程と、
前記積層ブロックにおいて互いに隣り合う前記透明基板間に充填された前記接着剤を硬化させる工程と、
前記反射面に対して垂直な方向に前記積層ブロックを切断することにより、前記光学素子を切り出す工程と、
前記光学素子の切断面を研磨する工程とを、備え、
前記接着剤として、請求項1から6のいずれか1項に記載の接着剤を用いる、光学素子の製造方法。
【請求項9】
前記接着剤を充填する工程は、前記接着剤と前記透明基板との境界部に混入する気泡を除去する工程を含む、請求項8に記載の光学素子の製造方法。
【請求項10】
前記積層ブロックを形成する工程は、予め形成された前記積層ブロック上に、前記複数の透明基板を準備する工程と前記接着剤を塗布する工程と前記接着剤を充填する工程と前記積層体を形成する工程を実施して形成された新たな前記積層体を積層し、予め形成された前記積層ブロックと前記積層体とを加圧することにより、新たな積層ブロックを形成する工程を含む、請求項8または9に記載の光学素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中に映像を表示可能な空中映像表示素子に用いられる光学素子、マクロミラーアレイおよび光学素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空中に映像を表示可能な空中映像素子に具備されるマイクロミラーアレイが開示された文献として、たとえば特開2012−150502号公報(特許文献1)が挙げられる。
【0003】
特許文献1に開示のマイクロミラーアレイを製造するに際して、まず、片側の主面に光反射面が形成された複数の透明平板を、光反射面が所定のピッチで並ぶように当該透明平板の厚み方向(主面の法線方向)に積層して積層ブロックを形成する。この際、互いに隣り合う透明平板は接着剤によって接着固定される。
【0004】
続いて、光反射面に対して垂直方向に積層ブロックを切断することにより光学素子を切り出す。次に、切り出された2つの光学素子を光反射面が互いに直交するように貼り合せる。これにより、マイクロミラーアレイが製造される。
【0005】
マイクロミラーアレイを用いて表示される空中映像の品質は、接着層の厚みの均一性および光反射面のピッチの精度に影響を受ける。接着層の厚みの均一性および光反射面のピッチの精度は、接着剤にスペーサーを混入させることで改善することができる。
【0006】
光学素子に用いられる接着剤と異なるが、半導体装置に用いられ、スペーサーが混入された接着剤が開示された文献として、たとえば特開2013−140895号公報(特許文献2)が挙げられる。特許文献2に開示の接着剤には、所定の平均粒径を有するスペーサーが混入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−150502号公報
【特許文献2】特開2013−140895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示の接着剤を光学素子に適用した場合には、局所的に空中映像が歪むという問題があった。
【0009】
一般的に、販売されているスペーサーの粒径分布は概ね正規分布であることが多いものの、積層ブロックを製造する際には、200〜1000枚程度の透明平板の主面上に接着剤を塗布する。このため、稀に粒径が分布から大きい側に外れたスペーサーが混入された接着剤を塗布してしまうことがある。
【0010】
このような場合には、積層ブロックを積層方向に加圧して所定の厚さまで圧縮する際に、粒径の大きいスペーサーが配置された箇所に局所的に負荷が掛かる。これにより、粒径の大きいスペーサーを挟み込む部分の透明平板が割れたり、反射面が歪んだりする。この結果、割れ欠けが発生した明らかな欠陥品や、空中映像の歪みを生じさせるものが製造されてしまう。
【0011】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、所定方向に並ぶ複数の光反射部の歪みが抑制されるとともに、割れ欠けが低減された光学素子、マイクロミラーアレイ、および光学素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に基づく光学素子は、互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に光反射部が形成され、上記主面の法線方向に並んで配置される複数の板状の透明体と、互いに隣り合う上記透明体の上記主面同士を接着する接着剤と、を備え、複数の上記透明体は、少なくとも上記法線方向の一方側に上記光反射部が揃って位置するように配置され、上記接着剤は、複数の異なる粒径のスペーサーを含み、縦軸を頻度とし横軸を上記スペーサーの粒径とした場合の上記スペーサーの粒径分布は、頻度ピークを有し、上記スペーサーの最大粒径は、上記頻度ピークにおける上記スペーサーの粒径以上であり、上記最大粒径における上記頻度は、上記スペーサーの最小粒径の上記頻度より大きく、上記頻度ピーク以下である。
【0013】
本発明に基づくマイクロミラーアレイは、2つの上記の光学素子を、2つの上記光学素子がそれぞれ有する複数の上記光反射部が貼り合せ方向から見た場合に互い直交するように貼り合せたものである。
【0014】
本発明に基づく光学素子の製造方法は、複数の平面形状を有する光反射部が間隔をあけて第1方向に並ぶように構成された平板状の光学素子の製造方法であって、互いに対向する2つの主表面の少なくとも一方に上記光反射部となる反射面を形成した複数の透明基板を準備する工程と、上記透明基板の上記2つの主表面のうち片側に接着剤を塗布する工程と、上記透明基板が有する上記反射面および他の上記透明基板が有する上記反射面が上記透明基板と他の上記透明基板が並ぶ方向において少なくとも一方側に揃うように、上記接着剤が塗布された側から他の上記透明基板を重ね合せて、上記透明基板と他の上記透明基板との間に上記接着剤を充填する工程と、上記接着剤を塗布する工程および上記接着剤を充填する工程を所望の回数繰り返して、複数の上記透明基板が積層された積層体を形成する工程と、積層方向における上記積層体の一端側に位置する上記透明基板の上記主表面と、上記積層方向における上記積層体の他端側に位置する上記透明基板の上記主表面とを上記積層方向に相対的に移動させることにより、少なくとも上記積層方向の一方側から上記積層体を加圧し、積層ブロックを形成する工程と、上記積層ブロックにおいて互いに隣り合う上記透明基板間に充填された上記接着剤を硬化させる工程と、上記反射面に対して垂直な方向に上記積層ブロックを切断することにより、上記光学素子を切り出す工程と、上記光学素子の切断面を研磨する工程とを、備え、上記接着剤として、上記のいずれかの接着剤を用いる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所定方向に並ぶ複数の光反射部の歪みが抑制されるとともに、割れ欠けが低減された光学素子、マイクロミラーアレイ、および光学素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1に係る空中映像表示装置の概略図である。
図2図1に示すマイクロミラーアレイの概略図である。
図3図2に示すマイクロミラーアレイの分解図である。
図4】接着剤に含まれるスペーサーの粒径分布を示す図である。
図5図2に示すマイクロミラーアレイに具備される光学素子の製造工程を示すフロー図である。
図6図5に示す加圧装置を準備する工程を示す図である。
図7図5に示す複数の透明基板を準備する工程を示す図である。
図8図5に示す接着剤を塗布する工程を示す図である。
図9図5に示す接着剤を充填させる工程を示す図である。
図10図5に示す積層体を形成する工程の後状態を示す図である。
図11図5に示す積層ブロックを形成する工程の第1工程を示す図である。
図12図5に示す積層ブロックを形成する工程の第2工程を示す図である。
図13図5に示す積層ブロックを形成する工程の第3工程を示す図である。
図14図5に示す積層ブロックを形成する工程の第4工程を示す図である。
図15図5に示す積層ブロックを形成する工程の第5工程を示す図である。
図16図5に示す積層ブロックを形成する工程の第6工程を示す図である。
図17図5に示す積層ブロックを形成する工程の第7工程を示す図である。
図18図5に示す接着剤を硬化させる工程の第1工程を示す図である。
図19図5に示す接着剤を硬化させる工程の第2工程を示す図である。
図20図5に示す光学素子を切り出す工程を示す図である。
図21図5に示す光学素子を切り出す工程によって切り出された光学素子を示す図である。
図22図5に示す光学素子の切断面を研磨する工程を示す図である。
図23】マイクロミラーアレイを製造する工程を示す図である。
図24】実施の形態2における光学素子に具備される接着剤に含まれるスペーサーの粒径分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0018】
(実施の形態1)
(空中映像表示装置)
図1は、本実施の形態に係る空中映像表示装置の概略図である。図1を参照して、本実施の形態に係る空中映像表示装置1について説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る空中映像表示装置1は、マイクロミラーアレイ2および表示部3を含む。表示部3は、たとえば被投影物となる鏡映像を表示可能に構成されている。被投影物は、2次元または3次元の物体または画像である。
【0020】
マイクロミラーアレイ2は、一方の面側に配置された被投影物の鏡映像を、マイクロミラーアレイ2に対して面対称となる他方の空間位置に空中映像4として結像する。マイクロミラーアレイ2は、被投影物の鏡映像を空間に結像するための結像光学素子として機能する。
【0021】
(マイクロミラーアレイ)
図2は、図1に示すマイクロミラーアレイの概略図である。図3は、図2に示すマイクロミラーアレイの分解図である。図2および図3を参照して、本実施の形態に係るマイクロミラーアレイ2について説明する。
【0022】
図2および図3に示すように、マイクロミラーアレイ2は、2つの光学素子10A,10Bによって構成されている。2つの光学素子10A,10Bは、互いに略同一の構成を有する。
【0023】
2つの光学素子10A,10Bは、互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に光反射部7が形成され、当該主面の法線方向に並んで配置される複数の板状の透明体6と、互いに隣り合う透明体6の主面同士を接着する接着剤(不図示)と、を備える。透明体6は、後述する透明基板11(図7参照)が後述する製造工程において切り出されたものである。
【0024】
マイクロミラーアレイ2は、2つの光学素子10A,10Bがそれぞれ有する複数の光反射部7が貼り合せ方向から見た場合に互い交差するように2つの光学素子10A,10Bを貼り合せたものである。具体的には、複数の光反射部7が互いに直交するように2つの光学素子10A,10Bが貼り合わされる。
【0025】
(接着剤)
接着剤は、スペーサーが混入されたものである。スペーサーの材料としては、たとえばシリカが挙げられる。スペーサーを混入することにより、接着剤の厚みを透明体6の主面全体に亘って均一に維持することができる。接着剤は、複数の異なる粒径を有するスペーサーを含む。スペーサーは、後述の粒径分布を有する。
【0026】
図4は、接着剤に含まれるスペーサーの粒径分布を示す図である。図4においては、縦軸を頻度とし、横軸をスペーサーの粒径とした場合の粒径分布を示している。図4を参照して、光学素子に具備される接着剤について説明する。
【0027】
図4に示すように、スペーサーの粒径分布は、頻度ピークF1を有する。スペーサーの粒径分布は、たとえば1つのピークを有する。スペーサーの粒径分布は、たとえば正規分布に近似する所定の分布から、頻度ピークの粒径以上の所定の基準粒径(図4ではD2)よりも大きい領域R1を除去した分布形状を有する。
【0028】
スペーサーの最大粒径D2は、頻度ピークF1におけるスペーサーの粒径D1以上である。最大粒径D2における頻度F2は、スペーサーの最小粒径D3の頻度より大きく、頻度ピークF1以下である。粒径分布におけるスペーサーの最大粒径D2の頻度F2は、頻度ピークF1の20%以上100%以下であることが好ましい。
【0029】
スペーサーの最大粒径D2の頻度F2が、頻度ピークF1の20%より小さくなる場合には、後述する製造工程において、接着剤が塗布された透明基板11(図7図12)を加圧する際に、最大粒径D2に近い粒径を有するスペーサーに局所的に負荷が掛かりやすくなる場合がある。この場合には、粒径の大きいスペーサーを挟み込む部分の透明基板11が割れたり、反射面12(図7参照)が歪んだりすることが起こり得る。
【0030】
また、粒径分布におけるスペーサーの平均粒径は、2μm以上10μm以下であることが好ましい。スペーサーの平均粒径が2μm未満となる場合には、接着剤の厚みが薄くなり、十分な接着強度が得られない場合がある。一方、スペーサの平均粒径が10μmより大きくなる場合には、接着剤の厚さが厚くなる。光学素子においては、接着剤が存在する領域は、空中映像の画質を悪化させる領域となる。このため、接着強度を維持しつつ、接着剤の厚さは、薄くすることが好ましく、上述のようにスペーサーの平均粒径が大きくなり、接着剤の厚さが厚くなることは好ましくない。
【0031】
接着剤とスペーサーとの重量比は、1:0.1〜0.4であることが好ましい。スペーサーの重量が、接着剤の重量の1割未満となる場合には、スペーサーの充填率が下がる一方で接着剤の体積が増加する。これにより、接着剤が硬化する際に発生する硬化収縮の影響を大きく受けたり、温度変化による影響を大きく受けたりする。この結果、後述する製造工程において、接着剤によって接着された透明基板11が歪んだり、割れたりする場合がある。
【0032】
一方、スペーサーの重量が、接着剤の重量の4割よりも大きくなる場合には、接着剤の割合が少なくなる。このため、接着力が弱まり、製造工程において透明基板11が剥がれたり、製造後において透明体6が剥がれたりする場合がある。
【0033】
接着剤としては、たとえば2液性エポキシ接着剤を採用することができる。硬化前の接着剤の粘度は、50[mPa・s]以上300[mPa・s]以下であることが好ましい。また、接着剤の熱膨張係数が100[10−6/K]以下であることが好ましい。さらに、接着剤の硬化時間として、23℃の温度環境下において、硬度が1[N/mm]より大きくなるまでの時間が10時間以上、または、23℃の温度環境下において、硬度が10[N/mm]より大きくなるまでの時間が20時間以上であることが好ましい。
【0034】
硬化前の接着剤の粘度が50[mPa・s]より小さい場合には、後述の製造工程において複数の透明基板11を積層している最中に、接着剤が透明基板11の周縁から流出してしまうことが懸念される。一方、硬化前の接着剤の粘度が300[mPa・s]より大きい場合には、脱泡性が悪くなるとともに、透明基板11間で接着剤を均一に薄く広げることが困難となる。
【0035】
また、接着剤の熱膨張係数が100[10−6/K]以下とすることにより、硬化の際における接着剤の収縮のみならず、環境温度の変化による接着剤の膨張、収縮、を抑制することができる。これにより、接着剤によって接着された透明基板11が歪んだり、割れたりすることを防止することができる。また、製造後においても、長期間に亘って良好な品質を維持することができる。
【0036】
さらに、上述の接着剤の硬化時間を、硬度が1[N/mm]より大きくなるまでの時間が10時間以上、または、23℃の温度環境下において、硬度が10[N/mm]より大きくなるまでの時間が20時間以上とし、硬化の進行を遅らせることにより、硬化ムラを抑制することができる。また、硬化の進行を遅らせることにより、後述する製造工程において、数十枚から数百枚といった多数の透明基板11を積層させる場合でも、積層中に、初期に透明基板11に塗布した接着剤が硬化することを防止することができる。
【0037】
(光学素子の製造方法)
図5は、図2に示すマイクロミラーアレイに具備される光学素子の製造工程を示すフロー図である。図6から図20は、図5に示す工程のうちの所定の工程および所定の工程の後状態を示す模式図である。図5から図20を参照して、本実施の形態に係る光学素子10の製造工程について説明する。
【0038】
図5に示すように、工程(S1)において、加圧装置を準備する。図6は、図5に示す加圧装置を準備する工程を示す図である。加圧装置100として、たとえば油圧式ダイセットを準備する。
【0039】
加圧装置100は、一対のプレートとしての上型ダイプレート110および下型ダイプレート120、複数の可動軸131〜134、圧力制御機構としての油圧機構141〜144、圧力測定装置151〜154、ならびに制御部(不図示)を備える。
【0040】
上型ダイプレート110および下型ダイプレート120は、複数の透明基板11が積層された後述の積層体20(図10参照)または積層ブロック50(図15参照)を挟み込んで加圧するための部位である。
【0041】
上型ダイプレート110は、可動軸131〜134に固定されている。上型ダイプレート110は、可動軸131〜134の上下方向(矢印DR1方向)への移動に連動して上下方向に移動する。下型ダイプレート120は、透明基板11を載置する載置面121を有する。また、下型ダイプレート120には、可動軸131〜134が挿通される貫通孔が設けられている。
【0042】
可動軸131〜134は、積層体20の積層方向に平行な後述する積層体20の中心軸C(図10参照)を取り囲むように設けられている。可動軸131〜134は、周方向に間隔をあけて設けられている。可動軸の本数は、4本に限定されず、3本以上であればよい。
【0043】
油圧機構141〜144は、それぞれ独立して可動軸131〜134を制御する。油圧機構141〜144は、油圧シリンダを含む。油圧機構141〜144は、油圧シリンダ中のピストンを油圧により移動させることにより、ピストンに固定された可動軸131〜134を移動させる。油圧機構141〜144のそれぞれは、制御部(不図示)によって制御される。
【0044】
圧力測定装置151〜154は、可動軸131〜134近傍における上型ダイプレート110および下型ダイプレート120間に作用する圧力を測定する。測定された結果は、制御部に入力される。
【0045】
続いて、図5に示すように、工程(S2)にて、複数の透明基板11を準備する。図7は、図5に示す複数の透明基板を準備する工程を示す図である。図7に示すように、透明基板11は、矩形形状を有する。透明基板11としては、たとえば透明樹脂基板、ガラス基板を採用することができる。
【0046】
本実施の形態においては、透明基板11としては、ガラス基板が採用されている。透明基板11は、たとえば縦寸法200mm×横寸法200mm×高さ寸法0.4mmの板状形状を有する。
【0047】
透明基板11は、互いに対向する2つの主表面11a,11bを有する。主表面11a,11bの少なくとも一方には上述の光反射部7となる反射面12が形成されている。
【0048】
反射面12は、銀、アルミニウム等の反射膜を主表面11a,11bの少なくとも一方に蒸着することにより形成されている。本実施の形態においては、反射面12は、アルミニウムが主表面11a上にスパッタされることにより形成されている。反射面12の膜厚は、たとえば100nm程度である。反射面12は、両方の主表面11a,11b上に形成されていてもよい。
【0049】
次に、図5に示すように、工程(S3)にて、接着剤を塗布する。図8は、図5に示す接着剤を塗布する工程を示す図である。図8に示すように、工程(S3)においては、透明基板11の2つの主表面11a,11bのうち片側に接着剤30を塗布する。
【0050】
具体的には、下型ダイプレート120の載置面121上に透明基板11を載置した後に、載置面121側とは反対側に位置する透明基板11の主表面側から接着剤30を塗布する。接着剤30としては、上述のようにスペーサーが混入されたものが用いられる。スペーサーが分散されるように撹拌された状態で接着剤30を塗布することが好ましい。
【0051】
続いて、図5に示すように、工程(S4)にて、透明基板11間に接着剤を充填する。図9は、図5に示す接着剤を充填する工程を示す図である。図9に示すように、工程(S4)においては、透明基板11が有する反射面12および他の透明基板11が有する反射面12が透明基板11と他の透明基板11が並ぶ方向において少なくとも一方側に揃うように、接着剤30が塗布された側から他の透明基板11を重ね合せて、透明基板11と他の透明基板11との間に接着剤を充填する。
【0052】
透明基板11間に接着剤30を充填する際には、接着剤30と透明基板11との境界部に混入する気泡を除去することが好ましい。すなわち、接着剤30を充填する工程は、接着剤30と透明基板11との境界部に混入する気泡を除去する工程を含んでいてもよい。このような気泡は、接着剤30に内包されているものが当該境界部に集まってきたり、他の透明基板11を接着剤30上に載置する際に境界部に発生したりする。
【0053】
気泡を除去する工程においては、接着剤30が塗布された側から他の透明基板11を透明基板11に重ね合せる際に、他の透明基板11を図9中矢印に示すように水平方向に移動させる。また、気泡を除去する工程においては、互いに対向する透明基板11と他の透明基板11との主表面同士の角度を変動させるように他の透明基板11を移動させてもよい。他の透明基板11を透明基板11に対して傾斜させ、傾斜角度が変動するように他の透明基板11を移動させてもよい。
【0054】
このように他の透明基板11を移動させることにより、透明基板11および他の透明基板11と接着剤30とが馴染み、気泡が除去される。
【0055】
次に、図5に示すように、工程(S5)にて、工程(S3)および工程(S4)を繰り返し、工程(S6)にて積層体を形成する。図10は、図5に示す積層体を形成する工程の後状態を示す図である。
【0056】
工程(S5)においては、複数の透明基板11が、透明基板11の主表面の法線方向に所定の枚数積層されるまで、工程(S3)および工程(S4)を所定の回数繰り返す。これにより、図10に示すように、工程(S6)にて、複数の透明基板11が所定の枚数積層された積層体20が形成される。たとえば、工程(S3)および工程(S4)は10回繰り返され、工程(S6)にて、10枚の透明基板11が積層された積層体20が形成される。
【0057】
続いて、図5に示すように、工程(S7)にて、積層ブロックを形成する。積層ブロックを形成する工程においては、上述のように積層方向に平行な積層体20の中心軸Cを取り囲むように配置される少なくとも3つ以上の複数の可動軸を制御可能な圧力制御機構を含む加圧装置を用いて、複数の可動軸に負荷する圧力を制御し、積層方向における積層体20の一端側に位置する透明基板11の主表面と、積層方向における積層体20の他端側に位置する透明基板11の主表面とが平行な状態を維持しつつ、少なくとも積層方向の一方側から積層体20を加圧し、積層ブロック50(図13図19参照)を形成する。
【0058】
図11から図17は、積層ブロックを形成する工程の第1工程から第7工程を示す図である。図11から図17を参照して、積層ブロック50を形成する工程の詳細について説明する。
【0059】
まず、図11に示すように、積層ブロック50を形成する第1工程においては、積層体20の積層方向の一方側(上方側)に位置する上型ダイプレート110と積層体20との間に、積層体20側から保護フィルム70とダミー基板80とを順に配置する。
【0060】
次に、図12に示すように、積層ブロック50を形成する第2工程においては、上型ダイプレート110と下型ダイプレート120とで、ダミー基板80、保護フィルム70、および積層体20を挟み込んで積層体20を加圧する。
【0061】
ダミー基板80は、透明基板11と同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。ダミー基板80の大きさは、透明基板11と同程度である。保護フィルム70の大きさは、透明基板11よりも大きいことが好ましい。保護フィルム70としては、柔軟性を有する樹脂状のシート部材を採用することができる。
【0062】
保護フィルム70およびダミー基板80を配置することにより、加圧中に積層体20に傷が入り、積層体20が破損することを防止する。
【0063】
積層体20を加圧する際には、たとえば、油圧機構141〜144によって予め決定された圧力を各可動軸131〜134に負荷することにより、各可動軸131〜134に負荷する圧力を制御する。
【0064】
なお、複数の可動軸131〜134のそれぞれに負荷されている圧力を測定しつつ、測定された圧力に基づいて複数の可動軸131〜134のそれぞれに負荷する圧力を決定することで、複数の可動軸に負荷する圧力を制御してもよい。
【0065】
この場合には、複数の可動軸131〜134のそれぞれに負荷されている圧力を測定する方法として、圧力測定装置151〜154を用いて、可動軸131〜134近傍における上型ダイプレート110および下型ダイプレート120間に作用する圧力を測定する。圧力を測定しつつ、可動軸131〜134に負荷する圧力を制御することにより、均一に積層体20を加圧することができる。これにより、透明基板11間の接着剤をより均一な厚みにすることができる。
【0066】
上述のように、複数の可動軸131から134に負荷する圧力を制御することにより、積層方向における積層体20の一端側(上端側)に位置する透明基板11の主表面と、積層方向における積層体20の他端側(下端側)に位置する透明基板11の主表面とが平行な状態を維持する。
【0067】
このような平行な状態を維持しつつ、積層体20の上方側から上型ダイプレート110を積層体20に押し付けていくことにより、積層体20を加圧する。言い換えると、積層方向における積層体20の一端側に位置する透明基板11の主表面と、積層方向における積層体20の他端側に位置する透明基板11の主表面とを積層方向に相対的に移動させることにより、少なくとも積層方向の一方側から前記積層体を加圧する。
【0068】
この場合においては、積層方向における積層体20の高さが基準高さに到達するまで継続して加圧する。これにより、接着剤の厚みが所望の厚さまで圧縮された積層ブロック50が形成される。
【0069】
続いて、図13に示すように、積層ブロック50を形成する第3工程において、油圧機構において油圧を緩め、油圧シリンダ中のピストンを上方に移動させることにより、可動軸131〜134を上方へ移動させる。可動軸131〜134の移動に伴って上型ダイプレート110は、積層ブロック50から離れて上方へ移動する。
【0070】
次に、図14および図15に示すように、積層ブロック50を形成する第4工程および第5工程において、予め形成された上記の積層ブロック50に対して、透明基板を準備する工程、接着剤を塗布する工程、接着剤を充填する工程、および積層体を形成する工程を実施し、新たな積層体20を形成する。新たな積層体20は、たとえば10枚の透明基板11が積層されたものである。
【0071】
続いて、図16に示すように、積層ブロック50を形成する第6工程において、予め形成された上記の積層ブロック50とともに新たな積層体20を加圧し、新たな積層ブロック50を形成する。
【0072】
この際、上述のように複数の可動軸131から134に負荷する圧力を制御しながら、積層方向における新たな積層体20の一端側(上端側)に位置する透明基板11の主表面と、積層方向における新たな積層体20の他端側(下端側)に位置する透明基板11の主表面、ひいては、予め形成された積層ブロック50の下端側に位置する透明基板11の主表面とが平行な状態を維持しつつ、少なくとも積層方向の一方側から新たな積層体20および予め形成された積層ブロック50を加圧する。
【0073】
次に、図17に示すように、積層ブロック50を形成する第7工程において、上述の第4工程から第6工程を所定の回数繰り返して、上述の新たな積層ブロック50よりも積層高さの高いさらに新たな積層ブロック50を形成する。さらに新たな積層ブロック50は、たとえば480枚程度の透明基板11が積層されて圧縮されたものである。
【0074】
次に、図5に示すように、工程(S8)にて、接着剤を硬化する。図18および図19は、図5に示す接着剤を硬化させる工程の第1工程および第2工程を示す図である。図18および図19を参照して、接着剤を硬化する工程について説明する。なお、図19においては、便宜上のため後述する倒れ防止部材161〜164を省略している。
【0075】
工程(S8)においては、積層ブロック50において互いに隣り合う透明基板11間に充填された接着剤30を硬化させる。具体的には、図18に示すように、まず、第1工程において、積層ブロック50が有する積層方向に平行な4つの周側面の各中心近傍に積層方向に沿って倒れ防止部材161〜164を線接触させる。
【0076】
倒れ防止部材161〜164は、たとえば円柱形状を有する。倒れ防止部材161〜164は、下型ダイプレート120に設けられた挿入部に挿入される。挿入部は、倒れ防止部材161〜164が起立した状態で積層ブロック50に向けて移動できるように構成されている。当該挿入部に挿入された倒れ防止部材161〜164を積層ブロック50に押し当てることにより、積層ブロック50に対して積層方向に沿って倒れ防止部材161〜164を線接触させる。
【0077】
倒れ防止部材161〜164を積層ブロック50に線接触させることにより、積層ブロック50の姿勢が安定する。これにより、相当程度の高さを有する積層ブロック50が倒れることを防止することができる。
【0078】
続いて、図19に示すように、第2工程にて、上型ダイプレート110および下型ダイプレート120にて積層ブロック50を積層方向に挟み込んで加圧する。たとえば、15[g/mm2]の圧力を積層ブロック50に印加する。所定の時間、積層ブロック50を加圧することにより、接着剤が硬化する。
【0079】
なお、第2工程においては、積層ブロック50に圧力を印加する場合を例示して説明したが、これに限定されず、積層ブロック50に圧力を印加しなくてもよい。この場合には、第1工程の後、積層ブロック50の姿勢を安定させた状態で所定の時間放置し、接着剤を硬化させる。
【0080】
続いて、図5に示すように、工程(S9)にて、光学素子を切り出す。図20は、図5に示す光学素子を切り出す工程を示す図である。図21は、図5に示す光学素子を切り出す工程によって切り出された光学素子を示す図である。
【0081】
図21に示すように、光学素子を切り出す工程においては、反射面12に対して垂直な方向に積層ブロック50を切断する。積層ブロック50を切断ラインLに沿って切断することにより、図22に示すように、光学素子10が切り出される。なお、切断ラインLの間隔は、たとえば2.2mm程度とする。
【0082】
次に、図5に示すように、工程(S10)にて、光学素子の切断面を研磨する。図22は、図5に示す光学素子の切断面を研磨する工程を示す図である。
【0083】
切断された光学素子10は、切断面10a,10bを含んでいる。工程(S10)にて、研磨パッド等を備えた研磨装置を用いて光学素子10の切断面10a,10bを精度よく平坦となるように研磨する。たとえば、光学素子10の厚さが1.3mmとなるように研磨する。これにより、複数の平面形状を有する光反射部7が間隔をあけて第1方向に並ぶように構成された平板状の光学素子10が製造される。
【0084】
以上のように、本実施の形態に係る光学素子10の製造方法にあっては、複数の可動軸131〜134に負荷する圧力を制御しながら、積層方向における積層体20の一端側に位置する透明基板11の主表面と、積層方向における積層体20の他端側に位置する透明基板11の主表面とが平行な状態を維持しつつ、少なくとも積層方向の一方側から積層体20を加圧する。これにより、各透明基板11間に充填された接着剤が均一に圧縮されて、均一な厚みを有することになる。
【0085】
このため、複数の透明基板11が所定のピッチで精度よく積層された積層ブロック50を形成することができる。この積層ブロック50においては、これを構成する透明基板11の主表面上に設けられた各反射面は精度よく並んで配置され、その平行度も優れる。したがって、この積層ブロック50を反射面に垂直方向に切断することにより、所定の方向に並ぶ複数の光反射部の平行度およびピッチ精度が優れた光学素子を製造することができる。
【0086】
また、積層ブロック50を形成し、この積層ブロック50上に複数の透明基板11を積層して、複数の透明基板11が積層された積層体20と積層ブロック50とを加圧して新たな積層ブロック50を形成することを繰り返すことにより、より多くの枚数の透明基板を所定のピッチで精度よく積層された積層ブロック50を形成することができる。
【0087】
このように優れた平行度で精度よく積層され、かつ積層高さの高い積層ブロック50から光学素子を切り出すことにより、光反射部が精度よく所定のピッチで整列し、かつ大型化された光学素子を製造することができる。
【0088】
また、接着剤30に混入されるスペーサーの粒径分布を上述のようにすることにより、積層ブロック50を積層方向に加圧して所定の厚さまで圧縮する際に、粒径の大きいスペーサーが配置された箇所に局所的に負荷が掛かることを抑制することができる。これにより、透明基板11が割れたり、反射面12が歪んだりすることを防止することができる。この結果、所定方向に並ぶ複数の光反射部7の歪みが抑制されるとともに、割れ欠けが低減された光学素子10を製造することができる。
【0089】
(マイクロミラーアレイの製造方法)
図23は、マイクロミラーアレイを製造する工程を示す図である。図23を参照して、マイクロミラーアレイの製造方法について説明する。
【0090】
図23に示すように、マイクロミラーアレイ2は、上述の光学素子の製造方法を用いて製造された2つの光学素子10A,10Bを準備する工程と、これら2つの光学素子10A,10Bがそれぞれ有する複数の光反射部7が、貼り合せ方向から見た場合に互い交差するように2つの光学素子10A,10Bを貼り合せる工程とを備える。
【0091】
上述の光学素子の製造方法を用いて製造された光学素子10A,10Bは、所定の方向に並ぶ複数の光反射部7の平行度およびピッチ精度が優れている。このため、この光学素子10A,10Bを使用して上述のようにマイクロミラーアレイの製造方法を用いることにより、所定の方向に並ぶ複数の反射面の平行度およびピッチ精度が優れたマイクロミラーアレイ2を製造することができる。
【0092】
また、上述のようなスペーサーの粒径分布を有する光学素子10A,10Bは、所定方向に並ぶ複数の光反射部7の歪みが抑制されるとともに、割れ欠けが低減されている。このため、この光学素子10A,10Bを使用して上述のようにマイクロミラーアレイの製造方法を用いることにより、所定方向に並ぶ複数の光反射部7の歪みが抑制されるとともに、割れ欠けが低減されたマイクロミラーアレイ2を製造することができる。
【0093】
なお、上述した実施の形態においては、予め積層された積層ブロック50の上に新たな積層体20を形成して、予め積層された積層ブロック50とともに新たな積層体20を加圧する場合を例示して説明したが、これに限定されず、予め形成された積層ブロック50の上に、同一の加圧装置または同様の構成を有する別の加圧装置を用いて別に形成された積層ブロックを積層して、別に形成された積層ブロックとともに予め形成された積層ブロック50を加圧して、新たな積層ブロックを形成してもよい。
【0094】
(実施の形態2)
図24は、本実施の形態における光学素子に具備される接着剤に含まれるスペーサーの粒径分布を示す図である。図24を参照して、本実施の形態に係る光学素子について説明する。
【0095】
本実施の形態に係る光学素子は、実施の形態1に係る光学素子と比較した場合に、接着剤に含まれるスペーサーの粒径分布が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0096】
具体的には、図24に示すように、スペーサーの粒径分布は、たとえば2つの頻度ピークF4,F5を有する。2つの頻度ピークF4,F5のうち最も大きい粒径D5を有する頻度ピークF5は、スペーサーの粒径が2μm以上10μm以下となる範囲に位置する。2つの頻度ピークF4,F5のうち最も小さい粒径D4を有する頻度ピークF4は、スペーサーの粒径が0.1μm以上1.0μm以下となる範囲に位置する。
【0097】
最も大きい粒径D5を有する頻度ピークF5と、この最も大きい粒径D5を有する頻度ピークF5の隣りに位置する頻度ピークF4との間における粒径分布の最小の頻度F6を極小点Mとした場合に、極小点Mにおける粒径D6以上となる粒径を含むスペーサーの体積V1を極小点Mにおける粒径D6以下となる粒径を含むスペーサーの体積V2で割った値(V1/V2)は、0.1以上5.0以下である。ここで、スペーサー全体の体積は、個々のスペーサーの体積と頻度の積分で算出される。なお、図24は、スペーサの粒径分布が2つの頻度ピークを有する場合を示しているが、頻度ピークが3つ以上の場合においても、最も大きい粒径を有する頻度ピークと、その最も大きい粒径を有する頻度ピークの隣りに位置する頻度ピークとの間における粒径分布の最小の頻度を極小点とし、上記の体積比の値となる。
【0098】
V1/V2が0.1未満の場合には、粒径の大きいスペーサーの割合が小さくなるため、粒径の大きいスペーサーが相当程度広い間隔をあけて透明基板11間に分散されてしまう。これにより、接着層の厚さを均一にすることができず、透明基板11間の間隔を一定にできなくなる場合が起こり得る。
【0099】
一方、V1/V2が5.0より大きい場合には、粒径の大きいスペーサーの割合が非常に大きくなる。粒径の大きいスペーサーは高価であるため、製造コストが増加する。また、接着剤とスペーサーとは、所定の重量比で混合される。このため、粒径の大きいスペーサーの割合が大きくなると、粒径の大きいスペーサー間に存在する粒径の小さいスペーサーの割合が小さくなり、全体としてスペーサーの充填率が下がる。その結果、接着剤の体積が増加する。
【0100】
これにより、接着剤が硬化する際に発生する硬化収縮の影響を大きく受けたり、温度変化による影響を大きく受けたりする。この結果、製造工程において、接着剤によって接着された透明基板11が歪んだり、割れたりする場合がある。
【0101】
本実施の形態においては、実施の形態1に係る光学素子およびマイクロミラーアレイの製造方法に準拠して、光学素子およびマイクロミラーアレイを製造することにより、実施の形態1とほぼ同様の効果が得られる。
【0102】
なお、接着剤として、V1側のスペーサーの平均粒径を4.0μmとし、V2側の平均粒径を0.2μmとし、V1/V2を3.0とし、接着剤の重量比とスペーサーの重量比を1:0.3としたものを使用して、光学素子を製造した場合に、特に光反射部の平行度およびピッチ精度が優れ、所定方向に並ぶ複数の光反射部7の歪みが抑制されるとともに、割れ欠けが低減された光学素子が得られた。
【0103】
なお、本実施の形態においては、スペーサーは、最も大きい粒径D5を有する頻度ピークF5における粒径より大きい最大粒径を有していてもよい。この場合には、最大粒径における頻度が、最も大きい粒径D5を有する頻度ピークF5の20%以上100%以下であることが好ましい。
【0104】
以上説明した本発明に基づく光学素子は、互いに対向する2つの主面の少なくとも一方に光反射部が形成され、上記主面の法線方向に並んで配置される複数の板状の透明体と、互いに隣り合う上記透明体の上記主面同士を接着する接着剤と、を備え、複数の上記透明体は、少なくとも上記法線方向の一方側に上記光反射部が揃って位置するように配置され、上記接着剤は、複数の異なる粒径のスペーサーを含み、縦軸を頻度とし横軸を上記スペーサーの粒径とした場合の上記スペーサーの粒径分布は、頻度ピークを有し、上記スペーサーの最大粒径は、上記頻度ピークにおける上記スペーサーの粒径以上であり、上記最大粒径における上記頻度は、上記スペーサーの最小粒径の上記頻度より大きく、上記頻度ピーク以下である。
【0105】
上記本発明に基づく光学素子にあっては、上記粒径分布は、1つの上記頻度ピークを有していてもよい。この場合には、上記粒径分布における上記スペーサーの平均粒径は、2μm以上10μm以下であることが好ましく、上記最大粒径における上記頻度が、上記頻度ピークの20%以上100%以下であることが好ましい。
【0106】
上記本発明に基づく光学素子にあっては、上記粒径分布は、2以上の複数の上記頻度ピークを有していてもよい。この場合には、複数の上記頻度ピークのうち最も大きい粒径を有する上記頻度ピークは、上記スペーサーの粒径が2μm以上10μm以下となる範囲に位置することが好ましく、複数の上記頻度ピークのうち最も小さい粒径を有する上記頻度ピークは上記スペーサーの粒径が0.1μm以上1.0μm以下となる範囲に位置することが好ましい。さらに、最も大きい粒径を有する上記頻度ピークと、この最も大きい粒径を有する上記頻度ピークの隣りに位置する上記頻度ピークとの間における上記粒径分布の最小の上記頻度を極小点とした場合に、上記極小点における粒径以上となる粒径を含む上記スペーサーの体積を上記極小点における粒径以下となる粒径を含む上記スペーサーの体積で割った値が0.1以上5.0以下となることが好ましい。
【0107】
上記本発明に基づく光学素子にあっては、上記接着剤と上記スペーサーとの重量比が1:0.1〜0.4であることが好ましい。
【0108】
上記本発明に基づく光学素子にあっては、硬化前の上記接着剤の粘度が50[mPa・s]以上300[mPa・s]以下であり、上記接着剤の熱膨張係数が100[10−6/K]以下であり、かつ、23℃の温度環境下において、上記接着剤の硬度が1[N/mm]より大きくなるまでの時間が10時間以上、または、23℃の温度環境下において、上記接着剤の硬度が10[N/mm]より大きくなるまでの時間が20時間以上であることが好ましい。
【0109】
上記本発明に基づく光学素子にあっては、上記接着剤は、2液性エポキシ接着剤であることが好ましい。
【0110】
本発明に基づくマイクロミラーアレイは、上記のいずれかの2つの光学素子を、2つの上記光学素子がそれぞれ有する複数の上記光反射部が貼り合せ方向から見た場合に互い直交するように貼り合せたものである。
【0111】
本発明に基づく光学素子の製造方法は、複数の平面形状を有する光反射部が間隔をあけて第1方向に並ぶように構成された平板状の光学素子の製造方法であって、互いに対向する2つの主表面の少なくとも一方に上記光反射部となる反射面を形成した複数の透明基板を準備する工程と、上記透明基板の上記2つの主表面のうち片側に接着剤を塗布する工程と、上記透明基板が有する上記反射面および他の上記透明基板が有する上記反射面が上記透明基板と他の上記透明基板が並ぶ方向において少なくとも一方側に揃うように、上記接着剤が塗布された側から他の上記透明基板を重ね合せて、上記透明基板と他の上記透明基板との間に上記接着剤を充填する工程と、上記接着剤を塗布する工程および上記接着剤を充填する工程を所望の回数繰り返して、複数の上記透明基板が積層された積層体を形成する工程と、積層方向における上記積層体の一端側に位置する上記透明基板の上記主表面と、上記積層方向における上記積層体の他端側に位置する上記透明基板の上記主表面とを上記積層方向に相対的に移動させることにより、少なくとも上記積層方向の一方側から上記積層体を加圧し、積層ブロックを形成する工程と、上記積層ブロックにおいて互いに隣り合う上記透明基板間に充填された上記接着剤を硬化させる工程と、上記反射面に対して垂直な方向に上記積層ブロックを切断することにより、上記光学素子を切り出す工程と、上記光学素子の切断面を研磨する工程とを、備え、上記接着剤として、上記のいずれかの接着剤を用いる。
【0112】
上記本発明に基づく光学素子の製造方法にあっては、上記接着剤を充填する工程は、上記接着剤と上記透明基板との境界部に混入する気泡を除去する工程を含むことが好ましい。
【0113】
上記本発明に基づく光学素子の製造方法にあっては、上記積層ブロックを形成する工程は、予め形成された上記積層ブロック上に、上記複数の透明基板を準備する工程と上記接着剤を塗布する工程と上記接着剤を充填する工程と上記積層体を形成する工程を実施して形成された新たな上記積層体を積層し、予め形成された上記積層ブロックと上記積層体とを加圧することにより、新たな積層ブロックを形成する工程を含む、請求項8または9に記載の光学素子の製造方法。
【0114】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 空中映像表示装置、2 マイクロミラーアレイ、3 表示部、4 空中映像、6 透明体、7 光反射部、10,10A,10B 光学素子、10a,10b 切断面、11 透明基板、11a,11b 主表面、12 反射面、20 積層体、30 接着剤、50 積層ブロック、70 保護フィルム、80 ダミー基板、100 加圧装置、110 上型ダイプレート、120 下型ダイプレート、121 置面、131,132,133,134 可動軸、141,142,143,144 油圧機構、151,152,153,154 圧力測定装置、161,162,163,164 倒れ防止部材。
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【国際調査報告】