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再表2016-152458光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月29日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20171201BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20171201BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20171201BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   G02B5/28
   G02B5/26
   G02B5/22
   B32B7/02 103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】44
【出願番号】特願2017-508161(P2017-508161)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2015-57078(P2015-57078)
(32)【優先日】2015年3月20日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 高明
【テーマコード(参考)】
2H148
4F100
【Fターム(参考)】
2H148CA05
2H148CA12
2H148CA24
2H148FA05
2H148FA07
2H148FA13
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4F100YY00C
(57)【要約】
本発明の課題は、虹彩や色ムラが改善された光学フィルム及び光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の光学フィルムは、基材上に近赤外線反射層又は近赤外線吸収層を有する光学フィルムであって、当該光学フィルムにおいて、二次元色彩輝度計を用いて測定される領域を幅手方向に等間隔に980分割し、かつ長手方向に等間隔に980分割して形成される980×980個の矩形区域からの反射光を、当該二次元色彩輝度計を用いてそれぞれ測定し、得られた色差u′から特定の評価ステップで得られる値Δu′のピーク値が、5.0×10−7以下になるように調整されたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に近赤外線反射層又は近赤外線吸収層を有する光学フィルムであって、
当該光学フィルムを二次元色彩輝度計を用いて下記ステップ(1)〜(6)によって虹彩評価したときに得られる下記Δu′のピーク値が、5.0×10−7以下になるように調整されたことを特徴とする光学フィルム。
(1)人工太陽照明灯装置からの光を拡散板に当てて、光学フィルム試料に対して45度方向からの拡散光とした光源下に、当該光学フィルム試料を観察台に水平にセットするステップ。
(2)前記光学フィルム試料において、二次元色彩輝度計を用いて測定される領域を幅手方向に等間隔に980分割し、かつ長手方向に等間隔に980分割して形成される980×980個の矩形区域からの反射光を、当該二次元色彩輝度計を用いてそれぞれ測定し、得られた前記矩形区域のXYZ表色系の3刺激値X、Y及びZから求められる色差u′を測定するステップ。
(3)前記幅手方向の980分割のそれぞれに対応して、前記長手方向に前記矩形区域について測定された色差u′の平均値Uをそれぞれ求めるステップ。
(4)単純移動平均法(区間数4)を用いて、前記幅手方向の980分割に対応する前記矩形区域の前記平均値Uの移動平均値U′を求めるステップ。
(5)前記平均値Uから前記移動平均値U′をそれぞれ引いた値Δu′を求めるステップ。
(6)前記Δu′のピーク値(最大値)を求めるステップ。
【請求項2】
前記二次元色彩輝度計を用いて3波長蛍光灯下で色ムラ値を測定したときに、当該色ムラ値が15以下に調整されたことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記近赤外線反射層が、高屈折率層及び低屈折率層を交互に複数積層した構成であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記近赤外線反射層が、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層、及び第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層を交互に積層して、赤外線を選択的に反射する層であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記高屈折率層及び低屈折率層において、基材に最も接する側の層の乾燥後の層厚が、400〜1500nmの範囲内であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記近赤外線吸収層が、無機赤外線吸収剤としてスズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)及びセシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO)から選択される化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記近赤外線吸収層の層厚が、50μm未満であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項8】
近赤外線反射層、基材、及び近赤外線吸収層をこの順に有していることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、近赤外線反射層を形成するときの基材に最も近い側の層の乾燥後の層厚を、400〜1500nmの範囲内とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記近赤外線反射層を形成する高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の36℃における粘度を、前記高屈折率層用塗布液については10〜50mPa・sの範囲内に調整し、かつ前記低屈折率層用塗布液については100〜300mPa・sの範囲内に調整することを特徴とする請求項9に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液をスライドホッパー型塗布装置で重層塗布するときに、前記スライドホッパー型塗布装置のスリット間隙を、前記高屈折率層用塗布液を塗布するときは100〜300μmの範囲内に調整し、かつ前記低屈折率層用塗布液を塗布するときは、100〜400μmの範囲内に調整することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法に関する。より詳しくは、基材上に近赤外線反射層又は近赤外線吸収層を有する光学フィルムであって、虹彩や色ムラが改善された光学フィルム及び光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機能性光学フィルムは、基材上に特定波長の光を反射する光反射層、特定波長の光を吸収する光吸収層、粘着層、及びハードコート層などの薄層が積層されているために、室内蛍光灯の反射光や太陽光の反射光がある条件下で映り込んだ場合に、フィルム表面に虹彩模様(以下、本願では虹彩ともいう。)が生じてしまうことが知られている。
【0003】
例えば、近赤外領域の反射率を高め、熱遮断効果を持ち各種電波を透過する機能性光学フィルムとして、低屈折率の誘電体膜と高屈折率の誘電体膜を交互に積層する近赤外線反射フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)が、低屈折率の誘電体膜と高屈折の誘電体膜を積層しているため、層間の屈折率の違いから虹彩が生じやすい。
【0004】
虹彩を改善する技術として、複数の透明層が形成されている光学フィルムであって、当該光学フィルムを構成する第一の透明層と当該第一の透明層と接して形成された第二の透明層とが、屈折率の異なる材料からなり、かつ、前記第1の透明層と第2の透明層との接触界面が光散乱性界面であることによって、干渉縞(本願でいう虹彩)の発生が抑制された光学フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、特許文献2で開示されている技術は、光散乱性界面を有するために、ヘイズが高くフィルムの透明性が不十分である。
【0006】
一方、機能性光学フィルムの虹彩の評価は数値化が難しく、従来の虹彩低減の評価は目視で行われ点数などでランク付けされてきた(例えば、特許文献3実施例参照。)。
【0007】
しかしながら、目視では人の記憶や、その観察する光源によって変化するため、評価者が変わるとその評価ランクが変化するという問題がたびたび起こり客観的な評価が難しかった。
【0008】
また、虹彩は隣り合う縞模様が細かくかつ色差が大きい場合に虹彩であると感じやすいが、隣り合う縞模様が広い場合では、色差が大きくても虹彩と感じない場合があり、また観察光源が変わった場合に虹彩を強く感じる場合がある。特に観察光源が変わった場合は、虹彩のみならず色ムラを強く感じる場合がある。
【0009】
したがって、虹彩や色ムラを客観的手法により評価し、当該評価結果を光学フィルムの設計に反映させることで、評価者や評価条件が変わっても虹彩や色ムラが改善されたと評価される光学フィルムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−148330号公報
【特許文献2】特開2005−107005号公報
【特許文献3】国際公開第2012/014654号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、虹彩や色ムラが改善された光学フィルム及び光学フィルムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、基材上に近赤外線反射層又は近赤外線吸収層を有する光学フィルムであって、当該光学フィルムを二次元色彩輝度計を用いて特定のステップによって虹彩評価したときに得られる値Δu′のピーク値が、5.0×10−7以下になるように調整された光学フィルムによって、評価者や評価条件が変わっても当該虹彩や色ムラが改善されたと評価される光学フィルムが得られることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0014】
1.基材上に近赤外線反射層又は近赤外線吸収層を有する光学フィルムであって、
当該光学フィルムを二次元色彩輝度計を用いて下記ステップ(1)〜(6)によって虹彩評価したときに得られる下記Δu′のピーク値が、5.0×10−7以下になるように調整されたことを特徴とする光学フィルム。
(1)人工太陽照明灯装置からの光を拡散板に当てて、光学フィルム試料に対して45度方向からの拡散光とした光源下に、当該光学フィルム試料を観察台に水平にセットするステップ。
(2)前記光学フィルム試料において、二次元色彩輝度計を用いて測定される領域を幅手方向に等間隔に980分割し、かつ長手方向に等間隔に980分割して形成される980×980個の矩形区域からの反射光を、当該二次元色彩輝度計を用いてそれぞれ測定し、得られた前記矩形区域のXYZ表色系の3刺激値X、Y及びZから求められる色差u′を測定するステップ。
(3)前記幅手方向の980分割のそれぞれに対応して、前記長手方向に前記矩形区域について測定された色差u′の平均値Uをそれぞれ求めるステップ。
(4)単純移動平均法(区間数4)を用いて、前記幅手方向の980分割に対応する前記矩形区域の前記平均値Uの移動平均値U′を求めるステップ。
(5)前記平均値Uから前記移動平均値U′をそれぞれ引いた値Δu′を求めるステップ。
(6)前記Δu′のピーク値(最大値)を求めるステップ。
【0015】
2.前記二次元色彩輝度計を用いて3波長蛍光灯下で色ムラ値を測定したときに、当該色ムラ値が15以下に調整されたことを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
【0016】
3.前記近赤外線反射層が、高屈折率層及び低屈折率層を交互に複数積層した構成であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
【0017】
4.前記近赤外線反射層が、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層、及び第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層を交互に積層して、赤外線を選択的に反射する層であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
【0018】
5.前記高屈折率層及び低屈折率層において、基材に最も接する側の層の乾燥後の層厚が、400〜1500nmの範囲内であることを特徴とする第3項又は第4項に記載の光学フィルム。
【0019】
6.前記近赤外線吸収層が、無機赤外線吸収剤としてスズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)及びセシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO)から選択される化合物を含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
【0020】
7.前記近赤外線吸収層の層厚が、50μm未満であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
【0021】
8.近赤外線反射層、基材、及び近赤外線吸収層をこの順に有していることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
【0022】
9.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、近赤外線反射層を形成するときの基材に最も近い側の層の乾燥後の層厚を、400〜1500nmの範囲内とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0023】
10.前記近赤外線反射層を形成する高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の36℃における粘度を、前記高屈折率層用塗布液については10〜50mPa・sの範囲内に調整し、かつ前記低屈折率層用塗布液の粘度を100〜300mPa・sの範囲内に調整することを特徴とする第9項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0024】
11.前記高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液をスライドホッパー型塗布装置で重層塗布するときに、前記スライドホッパー型塗布装置のスリット間隙を、前記高屈折率層用塗布液を塗布するときは100〜300μmの範囲内に調整し、前記低屈折率層用塗布液を塗布するときは、100〜400μmの範囲内に調整することを特徴とする第9項又は第10項に記載の光学フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明の上記手段により、基材上に近赤外線反射層又は近赤外線吸収層を有する光学フィルムであって、虹彩や色ムラが改善された光学フィルムを提供することができる。
【0026】
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
【0027】
機能性光学フィルムの虹彩の評価は数値化が難しく、従来の虹彩の評価は目視で行われ点数などでランク付けされてきたが、目視では人の記憶や、その観察する光源によって変化するため、評価者が変わるとその評価ランクが変化するという問題がたびたび起こり、虹彩改善の効果を光学フィルムの設計に活かすことが難しかった。
【0028】
虹彩は隣り合う縞模様が細かくかつ色差が大きい場合に虹彩と感じやすいが、隣り合う縞模様が広い場合は、色差が大きくても虹彩と感じにくい場合や、観察光源など変わった場合に、虹彩や色ムラを強く感じる場合があるなど、客観的評価が難しかった。
【0029】
本発明では、光学フィルム試料を所定の矩形区域に分割してそれぞれの色差u′を二次元色彩輝度計を用いて測定し、当該色差u′の平均値と、当該色差u′の平均値から単純移動平均法によって求められる移動平均値との差Δu′のピーク値を求めた場合に、当該ピーク値が特定の値以下に調整された光学フィルムによって、評価者や評価条件が変わっても当該虹彩が改善されたと評価される光学フィルムが得られることを見出した。
【0030】
明らかに虹彩が優れているか又は劣っている光学フィルムは、目視評価において、評価者や評価条件が変わっても高位ランク又は低位ランクと判断され観察者のばらつきは小さい。しかしながら当該目視評価ランクで中位にランクされる程度の光学フィルムでは、評価者や評価条件による評価のバラツキが大きく、実用上虹彩に問題ない光学フィルムを問題ありと評価したり、逆に実用上問題ある光学フィルムを問題なしと判断するケースが多かった。
【0031】
それに対して、本発明に係る虹彩の評価法では、光学フィルム試料を所定の矩形区域に分割してそれぞれの色差u′を測定し、当該色差u′の平均値と、当該色差u′から単純移動平均法によって求められる移動平均値との差Δu′のピーク値を求めたときに、当該ピーク値と目視ランクの平均値との相関が高く、前記中位にランクされる微妙な虹彩評価ランクの境界が、当該ピーク値の大きさという客観的な数値で明確に区分できることを見出したものである。
【0032】
その理由は明確ではないが、前記二次元色彩輝度計を用いて前記(1)〜(6)のステップで求められる前記差Δu′のピーク値が、人の目に感じやすい虹彩との相関性に優れているためではないかと推察している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に係る虹彩を再現させるための観察台の概略図
図2】多層膜による近赤外線反射層を有する本発明の光学フィルムを具備したウインドウフィルムの一例
図3】本発明に係るウインドウフィルムを具備する合わせガラスの概略図
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の光学フィルムは、基材上に近赤外線反射層又は近赤外線吸収層を有する光学フィルムを二次元色彩輝度計を用いて前記ステップ(1)〜(6)によって虹彩評価したときに得られる前記Δu′のピーク値が、5.0×10−7以下になるように調整されたことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項11までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0035】
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記二次元色彩輝度計を用いて3波長蛍光灯下で色ムラ値を測定したときに、当該色ムラ値が15以下に調整された光学フィルムであることが、虹彩のみならず色ムラを改善する観点からも好ましい。
【0036】
本発明の光学フィルムは、前記近赤外線反射層が、高屈折率層及び低屈折率層を交互に複数積層した構成であることが、遮熱性の高い近赤外線反射フィルムを得る観点から、好ましい実施態様である。中でも、前記近赤外線反射層が、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層、及び第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層を交互に積層して、赤外線を選択的に反射する層であることが、虹彩や色ムラが低減し遮熱性の高い近赤外線反射フィルムを得る観点から、好ましい実施態様である。特に、前記高屈折率層及び低屈折率層において、基材に最も近い側の層の乾燥後の層厚が、400〜1500nmの範囲内であることが、虹彩や色ムラを低減する効果が高く、好ましい。
【0037】
本発明の光学フィルムは、前記近赤外線吸収層が、無機赤外線吸収剤としてスズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)及びセシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO)から選択される化合物を含有することが遮熱効果を高める観点から好ましく、前記近赤外線吸収層の層厚が、50μm未満であることが、虹彩や色ムラを低減する上で好ましい実施態様である。
【0038】
本発明の光学フィルムは、近赤外線反射層、基材、及び近赤外線吸収層をこの順に有していることが、虹彩や色ムラが低減し遮熱性の高い近赤外線反射フィルムを得る観点から、好ましい実施態様である。
【0039】
本発明の光学フィルムの製造方法は、前記近赤外線反射層を形成するときの基材に最も接する側の層の乾燥後の層厚を、400〜1500nmの範囲内とすることが、虹彩や色ムラを低減する上で好ましい。
【0040】
さらに、前記近赤外線反射層を形成する高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の36℃における粘度を、前記高屈折率層用塗布液の粘度を、10〜50mPa・sの範囲内、前記低屈折率層用塗布液の粘度を100〜300mPa・sの範囲内に調整することが、好ましく、前記高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液をスライドホッパー型塗布装置で重層塗布するときに、前記スライドホッパー型塗布装置のスリット間隙を、前記高屈折率層用塗布液を塗布するときは100〜300μmの範囲内、前記低屈折率層用塗布液を塗布するときは、100〜400μmの範囲内に調整することが、好ましい。
【0041】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0042】
≪本発明の光学フィルムの概要≫
本発明の光学フィルムは、基材上に近赤外線反射層又は近赤外線吸収層を有する光学フィルムであって、当該光学フィルムを二次元色彩輝度計を用いて下記ステップ(1)〜(6)によって虹彩評価したときに得られる下記Δu′のピーク値が、5.0×10−7以下になるように調整されたことを特徴とし、かかる構成によって、評価者や評価条件が変わっても当該虹彩や色ムラが改善されていると評価される光学フィルムを提供するものである。
(1)人工太陽照明灯装置からの光を拡散板に当てて、光学フィルム試料に対して45度方向からの拡散光とした光源下に、当該光学フィルム試料を観察台に水平にセットするステップ。
(2)前記光学フィルム試料において、二次元色彩輝度計を用いて測定される領域を幅手方向に等間隔に980分割し、かつ長手方向に等間隔に980分割して形成される980×980個の矩形区域からの反射光を、当該二次元色彩輝度計を用いてそれぞれ測定し、得られた前記矩形区域のXYZ表色系の3刺激値X、Y及びZから求められる色差u′を測定するステップ。
(3)前記幅手方向の980分割のそれぞれに対応して、前記長手方向に前記矩形区域について測定された色差u′の平均値Uをそれぞれ求めるステップ。
(4)単純移動平均法(区間数4)を用いて、前記幅手方向の980分割に対応する前記矩形区域の前記平均値Uの移動平均値U′を求めるステップ。
(5)前記平均値Uから前記移動平均値U′をそれぞれ引いた値Δu′を求めるステップ。
(6)前記Δu′のピーク値(最大値)を求めるステップ。
【0043】
さらに、前記二次元色彩輝度計を用いて3波長蛍光灯下で色ムラ値を測定したときに、当該色ムラ値が15以下に調整されることによって、虹彩及び色ムラの改善をより向上することができる。
【0044】
ここで、本発明の特徴である前記Δu′及び色ムラの測定方法について説明する。
【0045】
〈虹彩評価方法〉
本発明に係る虹彩評価方法である前記(1)〜(6)のステップについて具体的に説明する。
(1)幅手30cm×長手70cmの光学フィルム試料を、人工太陽照明灯装置からの光を拡散板に当てて、当該光学フィルム試料に対して45°方向からの拡散光とした光源下に、当該光学フィルム試料を観察台に水平にセットするステップ。
【0046】
図1に本発明に係る虹彩を再現させるための観察台の概略図を示す。
【0047】
光学フィルムの虹彩は、セリック製人工太陽照明灯1(XC−100AFSS)及び面光源用拡散シート2と、面光源用拡散板3(透過率90%)を用いて図1のような配置の観察台4を作製し、光学フィルム試料5の反射光を60°方向から二次元色彩輝度計6によって評価する。また、目視評価の場合は、観察者7によって評価する。
【0048】
人工太陽照明灯装置からの光を拡散板に当てて、前記光学フィルム試料に対して45°方向からの拡散光とした光源下で、当該光学フィルム試料を観察台に水平にセットすることによって、虹彩が生じやすくなる。
(2)前記光学フィルム試料において、二次元色彩輝度計を用いて測定される領域を幅手方向に等間隔に980分割し、かつ長手方向に等間隔に980分割して形成される980×980個の矩形区域からの反射光を、当該二次元色彩輝度計を用いてそれぞれ測定し、得られた前記矩形区域のXYZ表色系の3刺激値X、Y及びZから求められる色差u′を測定するステップ。
【0049】
光学フィルムから反射する虹彩を距離1m、光学フィルム試料に対し60°方向に配置したコニカミノルタ(株)製二次元色彩輝度計CA−2500(標準レンズ仕様、標準ソフトウェアーCA−S25W搭載)にて、表色モードを色差u′に設定して、露光回数16回で測定する。前記二次元色彩輝度計を用いて測定される領域は、前記測定条件では幅手約25cm、長手約70cmの領域に相当する。
【0050】
色差u′は、CIE 1976 UCS色度図における横軸に相当する値であり、下記式によって、測定されるXYZ表色系の3刺激値X、Y及びZから下記式によって求められる。
【0051】
色差u′=4X/(X+15Y+3Z)
(3)前記幅手方向の980分割のそれぞれに対応して、前記長手方向に前記矩形区域について測定された色差u′の平均値Uをそれぞれ求めるステップ。
【0052】
例えば幅手方向に980分割した最初の区域をNo.1としたときに、それに対する長手方向の980個の矩形区域の色差u′の平均値Uを求め、同様にNo.2〜No.980の区域に対してそれを繰り返し、それぞれ980個の平均値Uを求める。
(4)単純移動平均法(区間数4)を用いて、前記幅手方向の980分割に対応する前記矩形区域の前記平均値Uの移動平均値U′を求めるステップ。
【0053】
(3)で求めた前記平均値Uについて、区間数4とする単純移動平均法によって、移動平均値U′を求める。単純移動平均法を用いる理由は、不規則な変動要素(無作為変動)の影響を除くためである。この操作により976個の移動平均値U′が求められる。
(5)前記平均値Uから前記移動平均値U′をそれぞれ引いた値Δu′を求めるステップ。
(6)前記Δu′のピーク値(最大値)を求めるステップ。
【0054】
前記幅手方向に980分割した区域No.5〜No.980に対応するΔu′をプロットし、そのピーク値(最大値)を求める。
【0055】
本発明の光学フィルムは、前記Δu′のピーク値が5.0×10−7以下になるように調整されたことを特徴とし、係る光学フィルムによって虹彩が改善されるものである。
【0056】
前述の通り、目視評価ランクで中位にランクされる程度の光学フィルムでは、評価者や評価条件による評価のバラツキが大きく、実用上虹彩に問題ない光学フィルムを問題ありと評価したり、逆に実用上問題ある光学フィルムを問題なしと判断するケースが多かった。
【0057】
それに対して、本発明に係る虹彩の評価法では、前記Δu′のピーク値を求めたときに、当該ピーク値は目視ランクの平均値との相関が高く、前記中位にランクされる微妙な虹彩評価ランクの境界が、前記ピーク値が5.0×10−7以下であるという客観的な数値によって明確に区分できるものである。
【0058】
〈色ムラ評価方法〉
本発明に係る色ムラの評価は、虹彩と同様に二次元色彩輝度計にて測定することができる。前記大きさの光学フィルム試料を観察台の上にセットし、高さ1.5mの3波長蛍光灯下で距離30cm、当該光学フィルム試料に対し80°方向に配置した前記二次元色彩輝度計(標準レンズ仕様)にて測定する。搭載されているムラ測定ソフトウェアー(コニカミノルタ(株)製CA−Mura Ver.1)で色ムラ値を求めることができる。光学フィルム試料は任意に5点準備し、それぞれ色ムラ値を測定した後平均し、平均値を色ムラ値とする。
【0059】
本発明の光学フィルムの前記Δu′を、5.0×10−7以下に調整する方法、及び3波長蛍光灯下で色ムラ値を測定したときに、当該色ムラ値を15以下に調整する方法については、特に限定されるものではないが、後述する近赤外線反射層である高屈折率層及び低屈折率層を基材上に形成するときの、基材側に位置する最下層の層厚を調整することや、スライドホッパー型塗布装置による重層塗布時の当該高屈折率層及び低屈折率層を形成するための塗布液の粘度を調整することや、同様にスライドホッパー型塗布装置による重層塗布時のスリット間隙を調整することによって達成され、さらにはそれらの調整手段を組み合わせることで、虹彩、色ムラの低減をより効果的に達成することができる。
【0060】
好ましくは、前記最下層の層厚の調整、前記塗布液の粘度の調整及び前記塗布時のスリット間隙の調整をすべて好ましい範囲に組み合わせて製造することである。
【0061】
基材に接する近赤外線反射層の最下層の層厚の調整は、多層塗布の場合上層の重みが最下層に集中するため、層厚が薄いと、層自体が潰れてしまい均一な重層塗布ができないため、一定以上の厚さが必要である。しかしながらあまり層厚が厚すぎると、各層での正反射光と最下層の反射光のバランスが崩れ、赤みを帯びた膜になり、虹彩の劣化を助長するため、好ましい層厚の範囲が存在する。
【0062】
したがって、最下層の層厚は、その上に塗布される多層の層厚を維持しながら、塗布スライド面上を移動できる厚さが必要であり、また上層との反射光のバランスを保つ効果によって虹彩、色ムラを低減する厚さに調整されることが好ましい。
【0063】
塗布液の粘度の調整は、重層される層間界面の混合の防止及び塗膜のセット性、隣接層との塗膜面のズレ速度に影響し、粘度を好ましい範囲に調整しそれらの適正化を図ることによって、層形成によって影響する虹彩や色ムラを低減することができる。
【0064】
塗布時のスリット間隙の調整は、ダイコーター表面での塗布液のレベリング(塗膜面の平滑性)に影響し、塗膜面を平滑にすることで、不要な反射を防ぎ、虹彩や色ムラを低減することができる。
【0065】
<本発明の光学フィルムの構成>
〔1〕基材
本発明の光学フィルムに適用可能な基材としては、透明基材であることが好ましく、さらに透明樹脂フィルムであることが好ましい(以下、透明基材ともいう。)。本発明でいう「透明」とは、JIS S3107(2013)に準拠する方法で測定される可視光透過率としては、50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
【0066】
本発明に用いられる透明基材の厚さは、20〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは25〜100μmの範囲内であり、更に好ましくは30〜70μmでの範囲内である。透明樹脂フィルムの厚さが20μm以上であれば、取り扱い中にしわ等が発生しにくくなり、また厚さが200μm以下であれば、合わせガラス作製時、ガラス基材と貼り合わせる際のガラス曲面への追従性がよくなる。
【0067】
本発明に用いられる透明基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明の光学フィルムを用いた近赤外線反射性のウインドウフィルムを具備した合わせガラスを、自動車のフロントガラスとして用いられる際に、延伸フィルムがより好ましい。
【0068】
本発明に係る透明基材は、赤外線反射フィルムのシワの生成や赤外線反射層の割れを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1〜10.0%の範囲内であることが好ましく、1.5〜5.0%の範囲内であることがより好ましい。
【0069】
本発明の赤外線反射フィルムに適用可能な透明基材としては、透明であれば特に制限されることはないが、種々の樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムであり、特に好ましくはポリエステルフィルムである。
【0070】
透明基材である透明樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の透明樹脂フィルムを製造することができる。また、未延伸の透明樹脂フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、透明樹脂フィルムの流れ(縦軸)方向、又は透明樹脂フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸透明樹脂フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、透明樹脂フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
【0071】
また、透明樹脂フィルムは、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、又はテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは処理温度が100〜180℃である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましい。弛緩処理された基材は、オフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上する。
【0072】
透明樹脂フィルムは、製膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明においては、製膜工程中での下引塗布をインライン下引という。本発明に有用な下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等が挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記の下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
【0073】
〔2〕屈折率の異なる透明層
本発明の光学フィルムは、特定の波長の反射率や透過率を制御する層を内在することが好ましく、特に近赤外線を選択的に反射する近赤外線反射層を有することが、熱遮断性のウインドウフィルムの用途として好ましい。また、近赤外線を選択的に吸収する近赤外線吸収層を設けることも好ましく、その場合はハードコート層を兼ねることも好ましい。さらには、近赤外線反射層と近赤外線吸収層の両方を具備する光学フィルムであることが、より好ましい。
【0074】
〔2.1〕近赤外線反射層
本発明に係る近赤外線を反射する層としては、特に限定されるものではなく、米国特許公報第6049419号明細書に記載の3M社製の市販の赤外線反射フィルム(3Mスコッチテント(登録商標)マルチレイヤーNANOシリーズ:光波長850〜1100nmの範囲で、20%未満の光透過率を有する透明な赤外線反射フィルム。)や、特開2012−81748号公報記載の多層フィルム(異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層されたフィルム。光波長400〜700nmでの平均反射率が15%以下であって、かつ光波長900〜1200nmでの平均反射率が70%以上。)や、金属薄膜を設けて近赤外光を反射する近赤外線反射フィルム、並びに再表2012/057199号公報記載の金属酸化物とバインダーを含有する高屈折率層及び低屈折率層を交互に複数層を積層した構成である近赤外線反射フィルム等を用いることができる。
【0075】
〔2.1.1〕金属薄膜を設けて近赤外光を反射する近赤外線反射層
本発明に用いられる近赤外線反射層は、前記金属薄膜を設けて赤外光を反射する方法を採用することが好ましい。
【0076】
当該金属薄膜は、金属層、又は金属層と金属酸化物層又は金属窒化物層とからなることが好ましい。金属を含有する金属層で赤外線反射機能を発現し、さらに、必須ではないが、金属酸化物層又は金属窒化物層を併用することにより、可視光透過率を上昇させることができる。
【0077】
本発明に用いる金属層については、近赤外線反射性能に優れる銀を主成分とし、少なくとも金又はパラジウムを、金原子及びパラジウム原子の合計として2〜5質量%含むことが好ましい。これら金属の含有量が上記範囲内であれば、硫化による銀の腐食、亀裂を抑制する効果を発現し、かつコストと当該改善効果のバランスの観点で有利である。さらに、金、パラジウムは、銀と比較して可視光の吸収が大きく、添加量が上がるに従い積層フィルムとしての可視光透過性能が低下するため好ましくない。金とパラジウムの比率については、金のみ、又はパラジウムのみを添加しても良いし、2〜5質量%の範囲でこれらを併用しても良い。金属層は上述した比率で金、パラジウムを添加した銀合金1層でも良いし、金、パラジウムの比率が異なる銀合金を2層以上積層した多層構成としても良い。金属層の総厚さについては、特に制限はないが、必要とする近赤外線反射性能と可視光透過性能を考慮し、5〜20nmの範囲で適宜選択することが好ましい。厚さが薄いと透明性に優れるが、赤外線反射性能が低下してしまう。逆に厚すぎると透明性が低下し、金属の使用量が増加し経済的にも好ましくない。
【0078】
上述した金属層の金属組成は、ICP発光、XPS、XRFなど既知の分析方法を用いて定量することができる。例えば、ICP発光分析を用いれば、金属層の上にハードコート層などの保護層を設けた場合においても、各金属の組成を正確に分析することができ好ましい。
【0079】
本発明に用いられる近赤外線反射層には、上述した金属層の上に金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を積層したり、金属層を金属酸化物層及び/又は金属窒化物層でサンドイッチした構成であっても良い。本構成を採用することで、銀を含む金属層とハードコート層、若しくは、銀を含む金属層と基材の界面反射を抑制することができ、可視光透過率を向上させることが可能となる。つまり、銀単体の屈折率が0.3以下と低く、他の層との間で界面反射がおこり、可視光透過性能が低下するのに対し、屈折率が1.5〜3程度の金属酸化物、金属窒化物を積層した構成とすることにより、可視光線の界面反射を低減することができるためである。これら物質としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、スズドープ酸化インジウム(ITO)などの金属酸化物、窒化ケイ素などの金属窒化物を挙げることができ、適宜選択して用いることができる。層の厚さについては、10〜100nmであることが好ましく、さらに好ましくは30〜60nmである。厚さが薄い場合、可視光透過性能の大幅な向上は見られない。逆に厚く積層しても可視光透過性能の更なる向上は得られないばかりか、経済的に劣り好ましくない。これら金属酸化物(又は金属窒化物)については、金属層と併せて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など公知の技術を用い形成することができる。
【0080】
〔2.1.2〕金属酸化物とバインダーを含有する高屈折率層及び低屈折率層を交互に複数積層した近赤外線反射層
本発明に係る近赤外線反射層としては、前記第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含む高屈折率層、及び第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含む低屈折率層を交互に複数積層した層であることが、より好ましい。
【0081】
本発明に用いられる近赤外線反射層は、高屈折率層と低屈折率層とから構成される積層体(ユニット)を少なくとも一つ含む構成を有するものであればよいが、高屈折率層及び低屈折率層とから構成される上記積層体が複数積層された構成を有することが好ましい。この場合、近赤外線反射層の最上層及び最下層は高屈折率層及び低屈折率層のいずれであってもよいが、最上層及び最下層の両者が低屈折率層であることが好ましい。最上層が低屈折率層であると塗布性が良くなり、最下層が低屈折率層であると基材との密着性が良くなる観点から好ましい。
【0082】
ここで、近赤外線反射層の任意の屈折率層が高屈折率層であるか低屈折率層であるかは、隣接する屈折率層との屈折率の対比によって判断される。具体的には、ある屈折率層を基準層としたとき、当該基準層に隣接する屈折率層が基準層より屈折率が低ければ、基準層は高屈折率層である(隣接層は低屈折率層である。)と判断される。一方、基準層より隣接層の屈折率が高ければ、基準層は低屈折率層である(隣接層は高屈折率層である。)と判断される。したがって、屈折率層が高屈折率層であるか低屈折率層であるかは、隣接層が有する屈折率との関係で定まる相対的なものであり、ある屈折率層は、隣接層との関係によって高屈折率層にも低屈折率層にもなりうる。
【0083】
ここで、高屈折率層を構成する成分(以下、「高屈折率層成分」とも称する。)と低屈折率層を構成する成分(以下、「低屈折率層成分」とも称する。)がふたつの層の界面で混合され、高屈折率層成分と低屈折率層成分とを含む層(混合層)が形成される場合がある。この場合、混合層において、高屈折率層成分が50質量%以上である部位の集合を高屈折率層とし、低屈折率層成分が50質量%を超える部位の集合を低屈折率層とする。具体的には、低屈折率層が、例えば、低屈折率層及び高屈折率層がそれぞれ異なる金属酸化物粒子を含む場合、これらの積層膜における層厚方向での金属酸化物粒子の濃度プロファイルを測定し、その組成によって、形成されうる混合層が、高屈折率層であるか低屈折率層であるかを決定することができる。積層膜の金属酸化物粒子の濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで観測することができる。また、低屈折率成分又は高屈折率成分に金属酸化物粒子が含有されておらず、水溶性樹脂のみから形成されている場合においても、同様にして、水溶性樹脂の濃度プロファイルにて、例えば、層厚方向での炭素濃度を測定することにより混合領域が存在していることを確認し、更にその組成をEDX(エネルギー分散型X線分光法)より測定することで、スパッタでエッチングされた各層が、高屈折率層又は低屈折率層とみなすことができる。
【0084】
XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。
【0085】
一般に、近赤外線反射層においては、低屈折率層と高屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で、例えば近赤外光反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本形態では、低屈折率層及び高屈折率層から構成される積層体(ユニット)の少なくとも一つにおいて、隣接する低屈折率層と高屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.35以上であることが更に好ましく、0.4超であることが特に好ましい。近赤外線反射層が高屈折率層及び低屈折率層の積層体(ユニット)を2以上の複数有する場合には、全ての積層体(ユニット)における高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、この場合でも近赤外線反射層の最上層や最下層を構成する屈折率層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
【0086】
近赤外線反射層の屈折率層の層数(高屈折率層及び低屈折率層のユニット)としては、上記の観点から、100層以下、すなわち50ユニット以下であることが好ましく、40層(20ユニット)以下であることがより好ましく、26層(13ユニット)以下であることが更に好ましい。また、前記近赤外線反射層は、基材に対して両面に形成することも可能である。
【0087】
上記隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御でき、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、dは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御できる。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。
【0088】
すなわち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
【0089】
本発明の光学フィルムを熱遮断性のウインドウフィルムに用いる場合は、高分子フィルムに互いに屈折率が異なる膜を積層させた多層膜を形成し、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上で、かつ、波長900〜1400nmの領域に反射率40%を超える領域を有するように光学膜厚とユニットを設計することが好ましい。
【0090】
〈屈折率層:高屈折率層及び低屈折率層〉
〔高屈折率層〕
高屈折率層は、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含有し、必要に応じて、硬化剤、そのほかのバインダー樹脂、界面活性剤、及び各種添加剤等を含んでもよい。
【0091】
本発明に係る高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。
【0092】
(第1の水溶性バインダー樹脂)
本発明に係る第1の水溶性バインダー樹脂は、該水溶性バインダー樹脂が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性バインダー樹脂の50質量%以内であるものをいう。
【0093】
本発明に係る第1の水溶性バインダー樹脂の重量平均分子量は、1000〜200000の範囲内であることが好ましい。更には、3000〜40000の範囲内がより好ましい。
【0094】
本発明でいう重量平均分子量は、公知の方法によって測定することができ、例えば、静的光散乱、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)、飛行時間型質量分析法(TOF−MASS)などによって測定することができ、本発明では一般的な公知の方法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定する。
【0095】
高屈折率層における第1の水溶性バインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、5〜50質量%の範囲内であることが好ましく、10〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0096】
高屈折率層に適用する第1の水溶性バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコールであることが好ましい。また、後述する低屈折率層に存在する水溶性バインダー樹脂も、ポリビニルアルコールであることが好ましい。したがって、以下においては、高屈折率層及び低屈折率層に含まれるポリビニルアルコールを併せて説明する。
【0097】
〈ポリビニルアルコール〉
本発明において、高屈折率層と低屈折率層とは、ケン化度の異なる2種以上のポリビニルアルコールを含むことが好ましい。ここで、区別するために、高屈折率層で用いる水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(A)とし、低屈折率層で用いる水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(B)という。なお、各屈折率層が、ケン化度や重合度が異なる複数のポリビニルアルコールを含む場合には、各屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコールをそれぞれ高屈折率層におけるポリビニルアルコール(A)、及び低屈折率層におけるポリビニルアルコール(B)と称する。
【0098】
本発明でいう「ケン化度」とは、ポリビニルアルコール中のアセチルオキシ基(原料の酢酸ビニル由来のもの)とヒドロキシ基との合計数に対するヒドロキシ基の割合のことである。
【0099】
また、ここでいう「屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコール」という際には、ケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコールは同一のポリビニルアルコールであるとし、重合度を算出する。ただし、重合度1000以下の低重合度ポリビニルアルコールは、異なるポリビニルアルコールとする(仮にケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコールがあったとしても同一のポリビニルアルコールとはしない)。具体的には、ケン化度が90mol%、ケン化度が91mol%、ケン化度が93mol%のポリビニルアルコールが同一層内にそれぞれ10質量%、40質量%、50質量%含まれる場合には、これら三つのポリビニルアルコールは同一のポリビニルアルコールとし、これら三つの混合物をポリビニルアルコール(A)又は(B)とする。また、上記「ケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコール」とは、いずれかのポリビニルアルコールに着目した場合に3mol%以内であれば足り、例えば、90mol%、91mol%、92mol%、94mol%のポリビニルアルコールを含む場合には、91mol%のポリビニルアルコールに着目した場合に、いずれのポリビニルアルコールのケン化度の差も3mol%以内なので、同一のポリビニルアルコールとなる。
【0100】
ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の絶対値の差は、3mol%以上であることが好ましく、5mol%以上であることがより好ましい。このような範囲であれば、高屈折率層と低屈折率層との層間混合状態が好ましいレベルになるため好ましい。また、ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の差は、離れていれば離れているほど好ましいが、ポリビニルアルコールの水への溶解性の観点から、20mol%以下であることが好ましい。
【0101】
また、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のケン化度は、水への溶解性の観点で、75mol%以上であることが好ましい。さらに、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のうち一方がケン化度90mol%以上であり、他方が90mol%以下であることが、高屈折率層と低屈折率層との層間混合状態を好ましいレベルにするために好ましい。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のうち一方が、ケン化度95mol%以上であり、他方が90mol%以下であることがより好ましい。なお、ポリビニルアルコールのケン化度の上限は特に限定されるものではないが、通常100mol%未満であり、99.9mol%以下程度である。
【0102】
また、ケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールの重合度は、1000以上のものが好ましく用いられ、特に、重合度が1500〜5000の範囲内のものがより好ましく、2000〜5000の範囲内のものが更に好ましく用いられる。ポリビニルアルコールの重合度が、1000以上であると塗布膜のひび割れがなく、5000以下であると塗布液が安定するからである。なお、本明細書において、「塗布液が安定する」とは、塗布液が経時的に安定することを意味する。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の少なくとも一方の重合度が2000〜5000の範囲内であると、塗膜のひび割れが減少し、特定の波長の反射率が向上するため好ましい。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の双方が、2000〜5000であると上記効果はより顕著に発揮できるため好ましい。
【0103】
本明細書でいう「重合度P」とは、粘度平均重合度を指し、JIS K6726(1994)に準じて測定され、PVAを完全に再ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から、下式(1)により求められるものである。
【0104】
式(1)
P=(〔η〕×10/8.29)(1/0.62)
低屈折率層に含まれるポリビニルアルコール(B)は、ケン化度が75〜90mol%の範囲内で、かつ重合度が2000〜5000の範囲内であることが好ましい。このような特性を備えたポリビニルアルコールを低屈折率層に含有させると、界面混合がより抑制される点で好ましい。これは塗膜のひび割れが少なく、かつセット性が向上するためであると考えられる。
【0105】
本発明で用いられるポリビニルアルコール(A)及び(B)は、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。ポリビニルアルコール(A)及び(B)として用いられる市販品の例としては、例えば、PVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235(以上、株式会社クラレ製)、JC−25、JC−33、JF−03、JF−04、JF−05、JP−03、JP−04、JP−05、JP−45(以上、日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。
【0106】
本発明に係る第1の水溶性バインダー樹脂は、本発明の効果を損なわない限りでは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールのほかに、一部が変性された変性ポリビニルアルコールを含んでもよい。このような変性ポリビニルアルコールを含むと、膜の密着性や耐水性、柔軟性が改良される場合がある。このような変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
【0107】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0108】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0109】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報及び同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0110】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシ基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0111】
また、ビニルアルコール系ポリマーとして、エクセバール(登録商標、株式会社クラレ製)やニチゴGポリマー(登録商標、日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0112】
変性ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど2種類以上を併用することができる。
【0113】
変性ポリビニルアルコールの含有量は、特に限定されるものではないが、各屈折率の全質量(固形分)に対し、好ましくは1〜30質量%の範囲内である。このような範囲内であれば、上記効果がより発揮される。
【0114】
本発明においては、屈折率の異なる層間ではケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールがそれぞれ用いられることが好ましい。
【0115】
例えば、高屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40質量%以上100質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、60質量%以上95質量%以下がより好ましく、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40質量%以上100質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、60質量%以上95質量%以下がより好ましい。また、高屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40質量%以上100質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、60質量%以上95質量%以下がより好ましく、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40質量%以上100質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、60質量%以上95質量以下がより好ましい。含有量が40質量%以上であると、層間混合が抑制され、界面の乱れが小さくなるという効果が顕著に現れる。一方、含有量が100質量%以下であれば、塗布液の安定性が向上する。
【0116】
(そのほかのバインダー樹脂)
本発明において、高屈折率層では、ポリビニルアルコール以外の第1の水溶性バインダー樹脂としては、第1の金属酸化物粒子を含有した高屈折率層が塗膜を形成することができれば、いかなるものでも制限なく使用可能である。また、後述する低屈折率層においても、ポリビニルアルコール(B)以外の第2の水溶性バインダー樹脂としては、前記と同様に、第2の金属酸化物粒子を含有した低屈折率層が塗膜を形成することができれば、どのようなものでも制限なく使用可能である。ただし、環境の問題や塗膜の柔軟性を考慮すると、水溶性高分子(特にゼラチン、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー)が好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、2種類以上を混合して用いても構わない。
【0117】
高屈折率層において、水溶性バインダー樹脂として好ましく用いられるポリビニルアルコールとともに、併用するほかのバインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、5〜50質量%の範囲内で用いることもできる。
【0118】
本発明においては、有機溶媒を用いる必要がなく、環境保全上好ましいことから、バインダー樹脂は水溶性高分子から構成されることが好ましい。すなわち、本発明ではその効果を損なわない限りにおいて、上記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールに加えて、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子をバインダー樹脂として用いてもよい。前記水溶性高分子とは、該水溶性高分子が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルター(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性高分子の50質量%以内であるものをいう。そのような水溶性高分子の中でも特にゼラチン、セルロース類、増粘多糖類、又は反応性官能基を有するポリマーが好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、2種類以上を混合して用いても構わない。
【0119】
(第1の金属酸化物粒子)
本発明において、高屈折率層に適用可能な第1の金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0以上、3.0以下である金属酸化物粒子が好ましい。さらに具体的には、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。また複数の金属で構成された複合酸化物粒子やコア・シェル状に金属構成が変化するコア・シェル粒子等を用いることもできる。
【0120】
透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、高屈折率層には、チタン、ジルコニウム等の高屈折率を有する金属の酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子及び/又は酸化ジルコニア微粒子を含有させることが好ましい。これらの中でも、高屈折率層を形成するための塗布液の安定性の観点から、酸化チタンがより好ましい。また、酸化チタンの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型(正方晶形)の方が、触媒活性が低いために、高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高くなることからより好ましい。
【0121】
また、高屈折率層に、第1の金属酸化物粒子としてコア・シェル粒子を用いた場合では、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と第1の水溶性バインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と隣接層の層間混合が抑制される効果から、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコア・シェル粒子が更に好ましい。
【0122】
本発明に係る第1の金属酸化物粒子の含有量が高屈折率層の固形分100質量%に対して、15〜80質量%の範囲内であると、低屈折率層との屈折率差を付与するという観点で好ましい。さらに、20〜77質量%の範囲内であることがより好ましく、30〜75質量%の範囲内であることが更に好ましい。なお、当該コア・シェル粒子以外の金属酸化物粒子が、高屈折率層に含有される場合の含有量は、本発明の効果を奏することができる範囲であれば特に限定されるものではない。
【0123】
本発明においては、高屈折率層に適用する第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmの範囲内であることがより好ましく、5〜15nmの範囲内であるのが更に好ましい。体積平均粒径が1〜30nmの範囲内であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
【0124】
なお、本発明に係る第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、又は電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する粒子状の金属酸化物の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
【0125】
さらに、本発明に係る第1の金属酸化物粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式(2)で求められる単分散度が40%以下であることをいう。この単分散度は、更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%の範囲内である。
【0126】
式(2)
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100(%)
〈コア・シェル粒子〉
本発明に係る高屈折率層に適用する第1の金属酸化物粒子としては、「含ケイ素の水和酸化物で表面処理された酸化チタン粒子」を用いることが好ましく、このような形態の酸化チタン粒子を「コア・シェル粒子」、又は「Si被覆TiO」と称する場合もある。
【0127】
本発明に用いられるコア・シェル粒子は、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されており、好ましくはコアの部分である平均粒径が1〜30nmの範囲内、より好ましくは平均粒径が4〜30nmの範囲内にある酸化チタン粒子の表面を、コアとなる酸化チタンに対して、含ケイ素の水和酸化物の被覆量がSiOとして3〜30質量%の範囲内となるように含ケイ素の水和酸化物からなるシェルが被覆した構造である。
【0128】
すなわち、本発明では、コア・シェル粒子を含有させることで、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と第1の水溶性バインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制される効果、及びコアとして酸化チタンを用いる場合の酸化チタンの光触媒活性によるバインダーの劣化やチョーキングなどの問題を防げるという効果を奏する。
【0129】
本発明において、コア・シェル粒子は、コアとなる酸化チタンに対して、含ケイ素の水和酸化物の被覆量がSiOとして3〜30質量%の範囲内であること好ましく、より好ましくは3〜10質量%の範囲内であり、更に好ましくは3〜8質量%の範囲内である。被覆量が30質量%以下であれば、高屈折率層の高屈折率化を達成することができ、また、被覆量が3質量%以上であれば、コア・シェル粒子の粒子を安定に形成することができる。
【0130】
さらに、本発明において、コア・シェル粒子の平均粒径は、好ましくは1〜30nmの範囲内であり、より好ましくは5〜20nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜15nmの範囲内である。コア・シェル粒子の平均粒径が1〜30nmの範囲内であれば、近赤外線反射率や、透明性、ヘイズといった光学特性がより向上させることができる。
【0131】
なお、本発明でいう平均粒径とは、一次平均粒径をいい、透過型電子顕微鏡(TEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。
【0132】
また、電子顕微鏡から求める場合、一次粒子の平均粒径は、粒子そのもの又は屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0133】
本発明に適用可能なコア・シェル粒子の製造方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、特開平10−158015号公報、特開2000−053421号公報、特開2000−063119号公報、特開2000−204301号公報、特許第4550753号公報などを参照することができる。
【0134】
本発明において、コア・シェル粒子に適用する含ケイ素の水和酸化物とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物又は縮合物のいずれでもよく、本発明においては、シラノール基を有する化合物であることが好ましい。
【0135】
本発明に用いられるコア・シェル粒子は、コアである酸化チタン粒子の表面全体を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよく、また、コアである酸化チタン粒子の表面の一部を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよい。
【0136】
(硬化剤)
本発明においては、高屈折率層に適用する第1の水溶性バインダー樹脂を硬化させるため、硬化剤を使用することもできる。例えば、第1の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを用いる場合では、硬化剤として、ホウ酸及びその塩が好ましい。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウムミョウバン等が挙げられる。
【0137】
高屈折率層における硬化剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましい。
【0138】
特に、第1の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを使用する場合の上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1〜600mgが好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100〜600mgがより好ましい。
【0139】
〔低屈折率層〕
本発明に係る低屈折率層は、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含み、更は、硬化剤、表面被覆成分、粒子表面保護剤、バインダー樹脂、界面活性剤、各種添加剤等を含んでもよい。
【0140】
本発明に係る低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.10〜1.60の範囲内であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
【0141】
(第2の水溶性バインダー樹脂)
本発明に係る低屈折率層に適用する第2の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。さらに、前記高屈折率層に存在するポリビニルアルコール(A)のケン化度とは異なるポリビニルアルコール(B)が、本発明に係る低屈折率層に用いられることがより好ましい。なお、ここでの第2の水溶性バインダー樹脂の好ましい重量平均分子量等、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)についての説明は、上記高屈折率層の水溶性バインダー樹脂にて説明されており、ここでは説明を省略する。
【0142】
低屈折率層における第2の水溶性バインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜99.9質量%の範囲内であることが好ましく、25〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0143】
低屈折率層において、第2の水溶性バインダー樹脂として好ましく用いられるポリビニルアルコールとともに、併用するほかのバインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0〜10質量%の範囲内で用いることもできる。
【0144】
(第2の金属酸化物粒子)
本発明に係る低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子としては、シリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましく、具体的な例として合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましい。
【0145】
低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3〜100nmの範囲内であることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmの範囲内であることがより好ましく、3〜40nmの範囲内であることが更に好ましく、3〜20nmであることが特に好ましく、4〜10nmの範囲内であることが最も好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
【0146】
低屈折率層に適用する金属酸化物粒子の平均粒径は、粒子そのもの又は屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0147】
本発明で用いられるコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、及び国際公開第94/26530号などに記載されているものである。
【0148】
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、Mg又はBa等で処理された物であってもよい。
【0149】
低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子として、中空粒子を用いることもできる。中空粒子を用いる場合には、平均粒子空孔径が、3〜70nmの範囲内であるのが好ましく、5〜50nmの範囲内がより好ましく、5〜45nmの範囲内が更に好ましい。なお、中空粒子の平均粒子空孔径とは、中空粒子の内径の平均値である。本発明において、中空粒子の平均粒子空孔径は、上記範囲であれば、十分に低屈折率層の屈折率が低屈折率化される。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形又は実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。なお、平均粒子空孔径としては、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる空孔径の外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
【0150】
低屈折率層における第2の金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0.1〜70質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、45〜65質量%であることが更に好ましい。
【0151】
(硬化剤)
本発明に係る低屈折率層において、前記高屈折率層と同様に、硬化剤を更に含むことができる。低屈折率層に含まれる第2の水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば、特に制限されない。特に、低屈折率層に適用する第2の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを用いた場合の硬化剤としては、ホウ酸及びその塩及び/又はホウ砂が好ましい。また、ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用できる。
【0152】
低屈折率層における硬化剤の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、2〜6質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0153】
また、硬化剤の具体例などは、上述した高屈折率層と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0154】
〔各屈折率層のそのほかの添加剤〕
本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層には、必要に応じて各種の添加剤を用いることができる。また、高屈折率層における添加剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、0〜20質量%であることが好ましい。当該添加剤として例えば、特開2012−139948号公報段落〔0140〕〜〔0154〕に記載の界面活性剤、アミノ酸、エマルジョン樹脂、リチウム化合物、及び同公報段落〔0155〕記載のそのほかの添加剤を挙げることができる。
【0155】
〔近赤外線反射層群の形成方法〕
本発明に用いられる近赤外線反射層の形成方法は、湿式塗布方式を適用して形成することが好ましく、更には、透明基材上に、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液と、を湿式塗布する工程を含む製造方法が好ましい。
【0156】
湿式塗布方法は、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布方式でもよいし、同時重層塗布方式でもよい。
【0157】
以下、本発明に用いられる好ましい製造方法(塗布方法)であるスライドホッパー塗布法による同時重層塗布について詳細に説明する。
【0158】
(溶媒)
高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を調製するために適用可能な溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、又はその混合溶媒が好ましい。
【0159】
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でも又は2種以上混合して用いてもよい。
【0160】
環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、又は水とメタノール、エタノール、若しくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましい。
【0161】
(塗布液の濃度)
高屈折率層用塗布液中の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。また、高屈折率層用塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
【0162】
低屈折率層用塗布液中の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。また、低屈折率層用塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
【0163】
(塗布液の調製方法)
高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び必要に応じて添加されるそのほかの添加剤を添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。この際、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び必要に応じて用いられるそのほかの添加剤の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、更に溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
【0164】
本発明においては、コア・シェル粒子を添加、分散して調製した水系の高屈折率層塗布液を用いて、高屈折率層を形成することが好ましい。このとき、前記コア・シェル粒子としては、25℃で測定したpHが5.0〜7.5の範囲内で、かつ粒子のゼータ電位が負であるゾルとして、高屈折率層塗布液に添加して調製することが好ましい。
【0165】
(塗布液の粘度、スリット間隙)
前述のとおり、本発明の光学フィルムのΔu′を5.0×10−7以下に調整する方法、及び3波長蛍光灯下で色ムラ値を測定したときに、当該色ムラ値を15以下に調整する方法については、前記近赤外線反射層の低屈折率層及び高屈折率層を透明基材に塗設する際の、透明基材に接する屈折率層の最下層の膜厚の調整、当該低屈折率層及び高屈折率層形成用塗布液の粘度の調整、ダイコーターによる塗布時のスリット間隙の調整、更にそれらの調整手段を組み合わせることで、達成することができる。
【0166】
スライドホッパー型塗布装置により同時重層塗布を行う際の低屈折率層用塗布液の36℃における粘度は、虹彩を低減するためには、100〜300mPa・sの範囲内が好ましく、180〜250mPa・sの範囲内がより好ましい。同様に高屈折率層用塗布液の36℃の粘度は、10〜50mPa・sの範囲内が好ましく、15〜35mPa・sの範囲内がより好ましい。
【0167】
また、スライドホッパー型塗布装置により同時重層塗布を行う際のコーターのスリット間隙は、低屈折率層用塗布液を流延する際は、虹彩を低減するためには、100〜400μmの範囲内であることが好ましく、200〜350μmの範囲内であることがより好ましい。同様に高屈折率層用塗布液を流延する際は100〜300μmの範囲内であることが好ましく、180〜250μmの範囲内であることがより好ましい。
【0168】
(塗布及び乾燥方法)
塗布及び乾燥方法は、特に制限されないが、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を30℃以上に加温して、基材上に高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃に一旦冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
【0169】
高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の塗布厚は、高屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜350nmの範囲内であることがより好ましい。また、低屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜350nmの範囲内であることがより好ましい。
【0170】
ここで、1層あたりの各層の厚さを測定する場合、高屈折率層と低屈折率層は、これらの間に明確な界面をもっていても、徐々に変化していてもよい。界面が徐々に変化している場合には、それぞれの層が混合し屈折率が連続的に変化する領域中で、最大屈折率−最小屈折率=Δnとした場合、2層間の最小屈折率+Δn/2の地点を層界面とみなす。
【0171】
本発明の虹彩低減の効果を発現するには、透明基材に接する最下層(好ましくは前記低屈折率層)の厚さを調整することが好ましい。好ましい乾燥後の厚さは、400〜1500nmの範囲内であることが好ましく、950〜1300nmの範囲内であることがより好ましい。層厚の調整は、上記で示した好ましい乾燥後の厚さとなるように塗布液流量を制御すればよい。
【0172】
ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め各層間及び各層内の物質の流動性を低下させる工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
【0173】
塗布した後、冷風を当ててからセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましく、2分以内であることが好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、45秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が短すぎると、層中の成分の混合が不十分となるところがある。一方、セット時間が長すぎると、金属酸化物粒子の層間拡散が進み、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が不十分となるところがある。なお、高屈折率層と低屈折率層との間の熱線遮断フィルムユニットの高弾性化が素早く起こるのであれば、セットさせる工程は設けなくてもよい。
【0174】
セット時間の調整は、水溶性バインダー樹脂の濃度や金属酸化物粒子の濃度を調整し、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナン、ゲランガム等の各種公知のゲル化剤など、ほかの成分を添加することにより調整することができる。
【0175】
冷風の温度は、0〜25℃であることが好ましく、5〜10℃であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、10〜120秒であることが好ましい。
【0176】
図2は、多層膜による近赤外線反射層を有する本発明のウインドウフィルムの一例であり、透明基材であるポリエステルフィルムの一方の面側に近赤外線反射層群を有する反射層ユニットを備えた構成を示す概略断面図である。
【0177】
図2において、本発明のウインドウフィルム10は、反射層ユニットUを有する。さらに、反射層ユニットUは、透明基材11上に、一例として、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子を含有する高屈折率の反射層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子を含有する低屈折率の反射層とを交互に積層した反射層群MLを有している。反射層群MLは、反射層T〜Tのn層で構成され、例えば、T、T、T、(中略)、Tn−2、Tを屈折率が1.10〜1.60の範囲内にある低屈折率層で構成し、T、T、T、(中略)、Tn−1を屈折率が1.80〜2.50の範囲内にある高屈折率層とする構成が一例として挙げられる。本発明でいう屈折率とは、25℃の環境下で測定した値である。
【0178】
また、反射層ユニットの最外層上には、本発明の光学フィルムをウインドウフィルムとしてほかの基材に貼合する粘着層12を設けることが好ましい。透明基材11の反射層ユニットを設けていない面には、後述するハードコート性を有する近赤外線吸収層13を設けることが好ましい。
【0179】
〔2.2〕近赤外線吸収層
本発明の光学フィルムは、近赤外線反射層、基材及び近赤外線吸収層をこの順に有していることが好ましい。すなわち、基材を挟んで、近赤外線反射層と近赤外線吸収層を有することが、近赤外線遮蔽効果の観点から好ましい。例えば、本発明の光学フィルムをウインドウフィルムとして用いた場合、通常日照側に近赤外線反射層を配置するが、反射しきれずに透過する光については、そのままでは基材を透過してしまうが、近赤外線吸収層を反対側に設けることで、透過した近赤外線を吸収し遮蔽効果を高めることができる。
【0180】
前記近赤外線吸収層の層厚は、厚いと虹彩や色ムラの劣化が起こることと、近赤外線を吸収することで熱を帯びるため、50μm未満であることが好ましく、10〜30μmの範囲であることがより好ましい。
【0181】
本発明に係る近赤外線吸収層に含まれる材料としては、特に制限されないが、例えば、バインダー成分である紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、赤外線吸収剤などが挙げられる。近赤外線吸収層は、含まれるバインダー成分が硬化していることが好ましい。ここで、硬化とは、紫外線などの活性エネルギー線や熱などにより反応が進み硬化することを指し、鉛筆硬度がH以上であるハードコート性を有する層を形成することが好ましい。
【0182】
近赤外線吸収層に含まる無機赤外線吸収剤としては、可視光線透過率、近赤外線吸収性、樹脂中への分散適性等の観点から、金属酸化物粒子であることが好ましく、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タングステン及び酸化インジウム等が挙げられる。熱線吸収粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化スズ粒子、インジウムドープ酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)粒子、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)粒子、ニオブドープ酸化チタン粒子、スズドープ酸化インジウム(ITO)粒子、スズドープ酸化亜鉛粒子、ケイ素ドープ酸化亜鉛粒子、一般式MxWyOz(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2<z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物の微粒子、及び一般式XB(ただし、元素Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr又はCaから選択される少なくとも1種以上である)で表される6ホウ化物の微粒子(A2)を含有することが好ましい。
【0183】
中でも、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びセシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO)から選択される化合物を用いることが好ましい。これらは単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。無機赤外線吸収剤の平均粒径は、5〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。5nm以上であれば樹脂中の分散性や、近赤外線吸収性が向上する。一方、100nm以下であれば、可視光線透過率が低下することがない。なお、平均粒径の測定は、透過型電子顕微鏡により撮像し、無作為に、例えば50個の粒子を抽出して該粒径を測定し、これを平均したものである。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径を測定して算出したものと定義する。
【0184】
前記無機赤外線吸収剤の近赤外線吸収層における含有量は、近赤外線吸収層の全質量に対して1〜80質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。含有量が1%以上であれば、十分な近赤外線吸収効果が現れ、80%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
【0185】
また、有機物の赤外線吸収材料としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物などが挙げられる。金属錯体系化合物、アミニウム系化合物(アミニウム誘導体)、フタロシアニン系化合物(フタロシアニン誘導体)、ナフタロシアニン系化合物(ナフタロシアニン誘導体)、ジイモニウム系化合物(ジイモニウム誘導体)、スクワリウム系化合物(スクワリウム誘導体)等が特に好ましく用いられる。
【0186】
近赤外線吸収層においては、効果を奏する範囲内で、上記以外の金属酸化物や、有機系赤外線吸収剤、金属錯体等のほかの赤外線吸収剤を含んでもよい。このようなほかの赤外線吸収剤の具体例としては、例えば、ジイモニウム系化合物、アルミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、有機金属錯体、シアニン系化合物、アゾ化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物等が挙げられる。
【0187】
バインダー成分として用いられる紫外線硬化樹脂は、ほかの樹脂よりも硬度や平滑性に優れ、更にはスズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、セシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO)や熱伝導性の金属酸化物の分散性の観点からも有利である。紫外線硬化樹脂としては、硬化によって透明な層を形成する物であれば特に制限なく使用でき、例えば、紫外線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオール(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらのうち、紫外線硬化型(メタ)アクリレート系樹脂を用いることが好ましい。
紫外線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー又はプレポリマーを反応させて得られた生成物に、更に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載のユニディック17−806(DIC株式会社製)100部とコロネートL(東ソー株式会社製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
【0188】
紫外線硬化型ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、ポリエステル末端のヒドロキシ基やカルボキシ基に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号公報)。
【0189】
紫外線硬化型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂の末端のヒドロキシ基に、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライド、グリシジル(メタ)アクリレート等のモノマーを反応させることによって得ることができる。例えばユニディックV−5500(DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0190】
紫外線硬化型ポリオール(メタ)アクリレート樹脂としては、特に制限されないが、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0191】
前記紫外線硬化樹脂は、硬度、平滑性、透明性の観点から、国際公開第2008/035669号に記載されているような、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)を含むことが好ましい。ここで、光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基などを挙げることができる。また、紫外線硬化樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する有機化合物を含むものであってもよい。また重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。ここで、反応性シリカ粒子の平均粒子径は、0.001〜0.1μmであることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、透明性、平滑性、硬度をバランスよく満たすことができる。
【0192】
また、前記紫外線硬化樹脂は、屈折率を調整するという観点から、フッ素を含むことが好ましい。すなわち、近赤外線吸収層はフッ素を含むことが好ましい。このような紫外線硬化樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーに由来する構成単位を含むアクリル樹脂が挙げられる。含フッ素ビニルモノマーとしては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業株式会社製)やR−2020(商品名、ダイキン工業株式会社製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
【0193】
光重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、単独でも又は2種以上の組み合わせでも使用することができる。
【0194】
近赤外線吸収層の厚さは0.1以上50μm未満の範囲が好ましく、1〜30μmの範囲がより好ましい。0.1μm以上であれば赤外線吸収能力が向上する傾向にあり、一方、50μm未満であれば塗膜の耐クラック性が向上する。
【0195】
該近赤外線吸収層の形成方法は特に制限されず、例えば、上記各成分を含む近赤外線吸収層用塗布液を調製した後、ワイヤーバー等を用いて塗布液を塗布し、乾燥し、上記樹脂を硬化させて得ることができる。硬化方法としては、熱、活性エネルギー線照射等が挙げられるが、硬化温度、硬化時間、コスト等の観点から活性エネルギー線照射であることが好ましい。
【0196】
〔2.3〕そのほかの機能層
本発明の光学フィルムは、透明基材上に、さらなる機能の付加を目的として、易接着層、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、接着層等を設けてもよい。
【0197】
〔3〕合わせガラス
本発明の光学フィルムに好適な合わせガラスは、本発明の光学フィルムの表面上に、粘着層として、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂膜であるポリビニルブチラール(PVB)に代表される粘着層を介して、合わせガラスに貼合される。ポリビニルアセタール系樹脂膜を用いることで、本発明のウインドウフィルムの曲面追従性が向上する。
【0198】
図3は、本発明の光学フィルムフィルムを、ウインドウフィルムとして具備する合わせガラスの概略図である。
【0199】
本発明に係る合わせガラス20は、平板状の合わせガラスであってもよく、また車のフロントガラスに使用されるような曲面状のガラスを用いた合わせガラスであってもよい。本発明に係るウインドウフィルムは、柔軟性であるため曲面形状のガラス15を用いた合わせガラスに好適に用いられる。
【0200】
本発明に係る合わせガラスは、特に、車の窓ガラスとして用いられる場合において、可視光透過率が70%以上であることが好ましい。なお、可視光透過率は、例えば、分光光度計(日立製作所株式会社製、U−4000型)を用いて、JIS R3106(1998)「板ガラス類の透過率・反射率・日射熱取得率の試験方法」に準拠して、測定することができる。
【0201】
本発明に係る合わせガラスの日射熱取得率は、60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましい。この範囲であれば、より効果的に外部からの熱線を遮断することができる。なお、日射熱取得率は、例えば、上記と同様に、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製、U−4000型)を用いて、JIS R3106(1998)「板ガラス類の透過率・反射率・日射熱取得率の試験方法」に準拠して求めることができる。
【0202】
〈ガラス基材〉
本発明に係る合わせガラスに用いられるガラス基材としては、市販のガラス材料を用いることができる。
【0203】
ガラスの種類は、特に限定されないが、通常、ソーダライムシリカガラスが好適に用いられる。この場合、無色透明ガラスであってよく、有色透明ガラスであってもよい。
【0204】
また、2枚のガラス基材のうち、入射光に近い室外側のガラス基材は、無色透明ガラスであることが好ましい。また、入射光側から遠い室内側のガラス基材は、グリーン系有色透明ガラス又は濃色透明ガラスであることが好ましい。グリーン系有色透明ガラスは、紫外線吸収性能及び赤外線吸収性能を有することが好ましい。これらを用いることにより、室外側でできるだけ日射エネルギーを反射することができ、更に合わせガラスの日射透過率を小さくすることができるからである。
【0205】
グリーン系有色透明ガラスは特に限定されないが、例えば、鉄を含有するソーダライムシリカガラスが好適に挙げられる。例えば、ソーダライムシリカ系の母ガラスに、Fe換算で、全鉄0.3〜1質量%を含有するソーダライムシリカガラスである。更に、近赤外領域の波長の光の吸収は全鉄のうちの2価の鉄による吸収が支配的であるため、FeO(2価の鉄)の質量が、Fe換算で、全鉄の20〜40質量%であることが好ましい。
【0206】
紫外線吸収性能を付与するためには、ソーダライムシリカ系の母ガラスにセリウム等を加える方法が挙げられる。具体的には、実質的に以下の組成のソーダライムシリカガラスを用いるのが好ましい。SiO:65〜75質量%、Al:0.1〜5質量%、NaO+KO:10〜18質量%、CaO:5〜15質量%、MgO:1〜6質量%、Fe換算した全鉄:0.3〜1質量%、CeO換算した全セリウム及び/又はTiO:0.5〜2質量%。
【0207】
また、濃色透明ガラスは、特に限定されないが、例えば、鉄を高濃度で含有するソーダライムシリカガラスが好適に挙げられる。
【0208】
本発明に係る合わせガラスを車両等の窓に用いるにあたって、室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材の厚さは、ともに1.5〜3.0mmであることが好ましい。この場合、室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材を等しい厚さにすることも、異なる厚さにすることもできる。合わせガラスを自動車窓に用いるにあたっては、例えば、室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材を、ともに2.0mmの厚さにしたり、2.1mmの厚さにしたりすることが挙げられる。また、合わせガラスを自動車窓に用いるにあたっては、例えば、室内側ガラス基材の厚さを2mm未満、室外側ガラス板の厚さを2mm以上とすることで、合わせガラスの総厚さを小さくし、かつ車外側からの外力に抗することができる。室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材は、平板状でも湾曲状でもよい。車両、特に自動車窓は湾曲していることが多いため、室内側ガラス基材及び室外側ガラス基材の形状は湾曲形状であることが多い。この場合、本発明の光学フィルムは柔軟なため、湾曲形状でも追従性よく貼合することができる。
【0209】
本発明に係る合わせガラスの製造方法は、特に制限されないが、例えば、本発明のウインドウフィルムを作製後、当該ウインドウフィルムにポリビニルアセタール系樹脂膜を粘着層として形成し、2枚のガラス基材で挟持した後、必要に応じてガラス基材のエッジ部からはみ出た余剰部分を除去した後、100〜150℃で、10〜60分間加熱し、加圧脱気処理して合わせ処理を行う方法が挙げられる。
【0210】
なお、粘着層の表面には、ウインドウフィルムとして用いられる前には、剥離シートを備えていてもよい。
【0211】
剥離シートとしては、粘着剤の粘着性を保護することができるものであればよく、例えば、アクリルフィルム又はシート、ポリカーボネートフィルム又はシート、ポリアリレートフィルム又はシート、ポリエチレンナフタレートフィルム又はシート、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はシート、フッ素フィルムなどのプラスチックフィルム又はシート、又は酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉などを練り込んだ樹脂フィルム又はシート、これらを練り込んだ樹脂に雛形コーティングを施した樹脂フィルム又はシートが用いられる。
【0212】
剥離シートの厚さは、特に制限されないが、通常12〜250μmの範囲内であることが好ましい。
【実施例】
【0213】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
【0214】
実施例1
〔光学フィルム101の作製〕
透明基材として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、両面昜接着処理、略称:PET)を用いた。
【0215】
上記PETフィルムに下記下引層塗布液1をエクストルージョンコーターで15ml/mとなるように塗布し、塗布後50℃の無風ゾーン(1秒)を経た後、120℃で30秒乾燥し、下引層塗布済み支持体を得た。
【0216】
〈下引層塗布液1の調製〉
脱イオン化ゼラチン 10g
純水 30ml
酢酸 20g
下記架橋剤 0.2モル/gゼラチン
下記ノニオン系フッ素含有の界面活性剤 0.2g
メタノール/アセトン=2/8の有機溶媒で1000mlにし、下引層塗布液1とした。
【0217】
【化1】
〈脱イオン化ゼラチンの作製〉
石灰処理、水洗、中和処理を行い、石灰を除去したオセインを55〜60℃の熱水中で抽出処理を行い、オセインゼラチンを得た。得られたオセインゼラチン水溶液を、アニオン交換樹脂(三菱化学社製ダイヤイオンPA−31G)とカチオン交換樹脂(三菱化学社製ダイヤイオンPK−218)の混合ベッドで両イオン交換を行った。
【0218】
[近赤外線反射層の形成]
上記下引き層塗布済み支持体を用いて、重層塗布可能なスライドホッパー型塗布装置(スライドコーター)を用い、粘度を表1記載のように調整した低屈折率層用塗布液L1及び高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した支持体に、スライドホッパーのスリット間隙を表1記載のように調整して、高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれの乾燥時の膜厚が130nmになるように、かつ最下層の低屈折率層のみを表1記載の乾燥時の膜厚になるようにして、低屈折率層9層、高屈折率層8層を交互に計17層の同時重層塗布を行った。
【0219】
塗布直後、5℃の冷風を5分間吹き付けてセットさせた。その後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、17層からなる近赤外線反射層を形成し、近赤外線反射フィルムである光学フィルム101を得た。
【0220】
〔低屈折率層用塗布液L1の調製〕
まず、10質量%の第2の金属酸化物粒子としてのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス(登録商標)OXS)水溶液680部と、4.0質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−103:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液30部と、3.0質量%のホウ酸水溶液150部とを混合し、分散した。純水を加え、全体として1000部のコロイダルシリカ分散液L1を調製した。
【0221】
次いで、得られたコロイダルシリカ分散液L1を45℃に加熱し、その中に4.0質量%のポリビニルアルコール(B)としてのポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社製、JP−45:重合度4500、ケン化度86.5〜89.5mol%)水溶液760部とを順次に、撹拌しながら添加した。その後、1質量%のベタイン系界面活性剤(川研ファインケミカル株式会社製、ソフダゾリン(登録商標)LSB−R)水溶液40部を添加し、低屈折率層用塗布液L1を調製した。粘度は36℃測定において150mPa・sであった。粘度測定は、JIS Z 8803:2011の液体の粘度測定方法にしたがって行った。
【0222】
〔高屈折率層用塗布液H1の調製〕
(コア・シェル粒子のコアとするルチル型酸化チタンの調製)
水中に、酸化チタン水和物を懸濁させ、TiOに換算した時の濃度が100g/Lになるように、酸化チタンの水性懸濁液を調製した。10L(リットル)の該懸濁液に、30Lの水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)を撹拌しながら加えた後、90℃に加熱し、5時間熟成させた。次いで、塩酸を用いて中和し、濾過後水を用いて洗浄した。
【0223】
なお、上記反応(処理)において、原料である酸化チタン水和物は、公知の手法に従い、硫酸チタン水溶液を熱加水分解処理によって得られたものである。
【0224】
純水中に、上記塩基処理したチタン化合物をTiOに換算した時の濃度が20g/Lになるように、懸濁させた。その中に、TiO量に対し0.4モル%のクエン酸を撹拌しながら加えた。その後、加熱し、混合ゾル液の温度が95℃になるところで、塩酸濃度が30g/Lになるように濃塩酸を加えた、液温を95℃に維持しながら、3時間撹拌させ、酸化チタンゾル液を調製した。
【0225】
上記のように、得られた酸化チタンゾル液のpH及びゼータ電位を測定したところ、pHは1.4であり、ゼータ電位は+40mVであった。また、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、単分散度は16%であった。
【0226】
さらに、酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させ、酸化チタンの粉体微粒子を得た。日本電子データム株式会社製、JDX−3530型を用いて、該粉体微粒子をX線回折測定し、ルチル型の酸化チタン微粒子であることが確認された。また、該微粒子の体積平均粒径は10nmであった。
【0227】
そして、純水4kgに、得られた体積平均粒径10nmのルチル型の酸化チタン微粒子を含む20.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液を添加して、コア粒子となるゾル液を得た。
【0228】
(シェル被覆によるコア・シェル粒子の調製)
2kgの純水に、10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液0.5kgを加え、90℃に加熱した。次いで、SiOに換算した時の濃度が2.0質量%であるように調製したケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加し、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、更に濃縮して、コア粒子としてはルチル型構造を有する酸化チタンであり、被覆層としてはSiOであるコア・シェル粒子(平均粒径:10nm)のゾル液(固形分濃度20質量%)を得た。
【0229】
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
上記で得られた固形分濃度20.0質量%の第1の金属酸化物粒子としてのコア・シェル粒子を含むゾル液28.9部と、1.92質量%のクエン酸水溶液10.5部と、10質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−103:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液2.0部と、3質量%のホウ酸水溶液9.0部とを混合して、コア・シェル粒子分散液H1を調製した。
【0230】
次いで、コア・シェル分散液H1を撹拌しながら、純水16.3部及び5.0質量%のポリビニルアルコール(A)としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−124:重合度2400、ケン化度98〜99mol%)水溶液33.5部を加えた。更に、1質量%のベタイン系界面活性剤(川研ファインケミカル株式会社製、ソフダゾリン(登録商標)LSB−R)水溶液0.5部を添加し、純水を用いて全体として1000部の高屈折率層用塗布液H1を調製した。粘度は36℃測定において20mPa・sであった。
【0231】
〔光学フィルム102〜110の作製〕
光学フィルム101の作製において、最下層である低屈折率層の乾燥時の厚さ、低屈折率層塗布液及び高屈折率層塗布液の粘度、及び低屈折率層塗布液及び高屈折率層塗布液を塗布する際のスリット間隙を、表1のように変化させた以外は同様にして、光学フィルム102〜110を作製した。
【0232】
〔光学フィルム111:比較例〕
比較例として、特開2007−148330号公報(特許文献3参照。)実施例1段落(0053)〜(0055)の記載に基づいて、比較例の光学フィルム113を作製した。
【0233】
≪評価≫
〔1〕虹彩の評価1
図1の測定装置を用いて、虹彩の評価を下記ステップ(1)〜(6)にて行った。
(1)図1の観察台を用いて、人工太陽照明灯装置からの光を拡散板に当てて、幅手30cm×長手70cmの光学フィルム試料に対して45度方向からの拡散光とした光源下に、当該光学フィルム試料を観察台に水平にセットするステップ。
(2)前記光学フィルム試料において、二次元色彩輝度計を用いて測定される領域を幅手方向に等間隔に980分割し、かつ長手方向に等間隔に980分割して形成される980×980個の矩形区域からの反射光を、当該二次元色彩輝度計を用いてそれぞれ測定し、得られた前記矩形区域のXYZ表色系の3刺激値X、Y及びZから求められる色差u′を測定するステップ。
(3)前記幅手方向の980分割のそれぞれに対応して、前記長手方向に前記矩形区域について測定された色差u′の平均値Uをそれぞれ求めるステップ。
(4)単純移動平均法(区間数4)を用いて、前記幅手方向の980分割に対応する前記矩形区域の前記平均値Uの移動平均値U′を求めるステップ。
(5)前記平均値Uから前記移動平均値U′をそれぞれ引いた値Δu′を求めるステップ。
(6)前記Δu′のピーク値(最大値)を求めるステップ。
【0234】
そのピーク値を虹彩の指標として評価し、前記Δu′のピーク値の値が小さいほど、虹彩が生じていないことを表す。
【0235】
〔2〕虹彩の評価2
下記方法にて虹彩を目視で評価しランク付けをした。
【0236】
幅30cm×長さ70cmの試料を均等に25ブロックに分けて、評価経験者10名で光学フィルムの正面観察と、斜め45度から観察して、面内での屈折率ムラに起因する虹彩の有無を観察し、下記の基準に従って5段階評価を実施した。
【0237】
ランク1:11以上のブロックで虹彩の発生が認められた
ランク2:6〜10ブロックの範囲で虹彩の発生が認められた
ランク3:2〜5ブロックの範囲で虹彩が認められた
ランク4:1ブロックで虹彩の発生が認められた
ランク5:25ブロックすべてで虹彩が認められなかった
実用上の虹彩許容レベルは、経験上ランク3以上である。
【0238】
次いで、得られた評価ランクの評価者10名のばらつきを得るために、常法に従い標準偏差σn−1を計算した。
【0239】
〔3〕色ムラの評価1
高さ1.5mの3波長蛍光灯下で距離30cm、フィルムに対し80度に設定した前記二次元色彩輝度計(標準レンズ仕様)にて測定した。搭載されているムラ測定ソフトウェアー(コニカミノルタ(株)製CA−MuraVer.1)で色ムラ値を求めた。
【0240】
〔4〕色ムラの評価2
色むらを目視で評価してランク付けを行った。
【0241】
評価は、前記虹彩評価と同様に10名で行い、ランクを平均した。
【0242】
ランク1:ムラが大柄で濃度が高い
ランク2:大柄と細かいムラが混合しておりやや色が濃い
ランク3:ムラがあるが、細かく均等
ランク4:ムラが均等で細かく濃度が薄くあまり気にならない
ランク5:濃度が薄くムラとして認識できない
実用上の色ムラ許容レベルは、経験上ランク3以上である。
【0243】
光学フィルムの構成と評価結果を下記表1に示す。
【0244】
【表1】
【0245】
虹彩評価ランクにおいて、二次元色彩輝度計を用いて前記(1)〜(6)のステップによりΔu′を求め、そのピーク値を指標とすることで、目視の評価平均ランクとの相関がよく、的確に虹彩発現の差を表せることが分かった。
【0246】
ランク1及びランク5については、目視評価のばらつきは小さいが、中位のランクであるランク2〜4ではばらつきが大きい。したがって従来の目視評価のみのランク付けでは、当該ばらつきによって中位のランクに位置する光学フィルムの評価が曖昧になるため、光学フィルムの設計に当該評価結果を活かせない危険性があることが分かる。
【0247】
表1の結果から、虹彩の実用上問題ないと考えられる目視評価ランク3以上を達成するには、Δu′のピーク値を5.0×10−7以下になるように光学フィルムを製造することで達成できることが分かる。
【0248】
また、表1から近赤外線反射層を作製する際の、透明基材に接する側の最下層の厚さ、塗布液の粘度、塗布時のスリット間隙をそれぞれ好ましい範囲に調整することで、虹彩に優れる光学フィルムが得られることが分かった。
【0249】
同様に、透明基材に接する側の最下層の厚さ、前記塗布液の粘度、及び前記スリット間隙の厚さを、それぞれ好ましい範囲に調整し、3波長蛍光灯下での色ムラ値を15以下にした光学フィルムによって、色ムラは目視上も改善されることが分かった。
【0250】
実施例2
〔光学フィルム201の作製〕
実施例1で作製した光学フィルム109を用いて、近赤外線反射層を設けた側と反対側のPETフィルム上に、赤外線吸収剤であるスズドープ酸化インジウム(ITO)を1.4g/mとなるように混ぜ込んだ、膜厚55μmのブチラール樹脂層をダイコーターにて塗設し、次いで5℃の冷風を5分間吹き付けてセットさせた後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、近赤外線吸収層と近赤外線反射層を有する光学フィルム201を得た。
【0251】
〔光学フィルム202〜210の作製〕
光学フィルム201の作製において、スズドープ酸化インジウム(ITO)の代わりに、表2記載のようにアンチモンドープ酸化スズ(ATO)及びセシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO:CWOと表記)を用い、更に近赤外線吸収層の膜厚を表2に記載のように変化させた以外は同様にして、光学フィルム202〜210を作製した。
【0252】
得られた光学フィルム201〜210を用いて、実施例1と同様にして色差u′、Δu′及び色ムラ値を測定して、虹彩及び色ムラの評価を行い、結果を表2に示した。
【0253】
【表2】
【0254】
表2から、近赤外線吸収層の層厚が厚い場合(光学フィルム201及び202)は、用いた光学フィルム109に対して虹彩及び色ムラ値が大幅に劣化するが、40μm以下と薄膜することで、虹彩及び色ムラ値に優れた光学フィルムが得られることが分かった。
【0255】
中でも、セシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO)を用いた場合は、スズドープ酸化インジウム(ITO)やアンチモンドープ酸化スズ(ATO)を用いた場合に比較して、虹彩及び色ムラ値に優れることが分かった。
【0256】
また、近赤外線反射層に加えて薄膜である近赤外線吸収層を設けることで、本発明の光学フィルムは熱遮断性が優れた特性を示し、熱遮断性のウインドウフィルムに好適に用いることができることが分かった。
【0257】
実施例3
実施例2で作製した本発明の光学フィルム203〜210をウインドウフィルムとして、フィルムの両面に合わせガラス用ブチラールシートを挟み、自動車のフロント用ガラスの間に挟み込み真空熱圧着をして、自動車用合わせガラスを作製した。
【0258】
作製した合わせガラスは、ガラス全面にわたって虹彩及び色ムラが優れていることを複数の観察者、及び複数種の光源下において確認でき、視認性の高い合わせガラスが得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本発明の光学フィルムは、新規な虹彩の評価法によって、虹彩や色ムラが改善された光学フィルムであるため、住宅用途の窓貼り用ウインドウフィルムや自動車用途の合わせガラス用ウインドウに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0260】
1 人工太陽照明灯
2 面光源用拡散シート
3 面光源用拡散板
4 試料台
5 光学フィルム試料
6 二次元色彩輝度計
7 観察者
10 ウインドウフィルム
11 ポリエステルフィルム
12 粘着層
13 近赤外線吸収層
15 合わせガラス
ML 近赤外線反射層積層体
U 光学反射ユニット
T1〜Tn、Ta1〜Tan、Tb1〜Tbn 屈折率層
図1
図2
図3
【国際調査報告】