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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月29日
【発行日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】光電変換装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0749 20120101AFI20171201BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   H01L31/06 460
   H01L31/04 112Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
【出願番号】特願2017-508359(P2017-508359)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年3月22日
(31)【優先権主張番号】特願2015-62465(P2015-62465)
(32)【優先日】2015年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荒浪 順次
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA10
5F151CB13
5F151DA07
5F151FA02
5F151FA06
5F151GA03
(57)【要約】
本発明の一態様に係る光電変換装置は、電極層と、第1の半導体層と、第2の半導体層と、中間層とを具備する。第1の半導体層は、電極層上に位置している。第1の半導体層は、p型またはi型であり、カルコパイライト系化合物またはペロブスカイト系化合物を主として含んでいる。第2の半導体層は、n型であり、第1の半導体層上に位置している。中間層は、電極層および第1の半導体層の界面に位置している。中間層は、第1の半導体層とは異なる結晶構造のp型の半導体を主として含んでいる。さらに、中間層は、第1の半導体層よりもキャリア密度が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極層と、
該電極層上に位置するカルコパイライト系化合物またはペロブスカイト系化合物を主として含む、p型またはi型の第1の半導体層と、
該第1の半導体層上に位置するn型の第2の半導体層と、
前記電極層および前記第1の半導体層の界面に位置しており、前記第1の半導体層とは異なる結晶構造のp型の半導体を主として含み、前記第1の半導体層よりもキャリア密度の高い中間層と
を具備する光電変換装置。
【請求項2】
前記中間層はシリコンを主として含んでいる、請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第1の半導体層のキャリア密度が1×1010〜9×1017cm−3であり、前記中間層のキャリア密度が1×1018〜9×1018cm−3である、請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記中間層は前記電極層を部分的に覆っており、
前記電極層の前記中間層に覆われていない部位上に位置する絶縁層をさらに具備し、前記第1の半導体層は前記中間層と前記絶縁層とに接合している、請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記中間層と前記第1の半導体層との界面に前記中間層を部分的に覆う絶縁層をさらに具備し、
前記第1の半導体層は前記中間層と前記絶縁層とに接合している、請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記絶縁層の電気抵抗率が1Ω・m以上である、請求項4または5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記中間層と前記第1の半導体層との接合面積は、前記絶縁層と前記第1の半導体層との接合面積の0.01〜2倍である、請求項4乃至6のいずれかに記載の光電変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体層を具備する光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、カルコパイライト系化合物等から成る化合物半導体層を光吸収層として用いたものがある(例えば特許文献1参照)。このような光電変換装置は、複数の光電変換セルが平面的に並設された構成を有する。各光電変換セルは、ガラス等の基板の上に、金属電極等の下部電極と、CIGSなどの金属カルコゲナイドを含む光吸収層と、この光吸収層にヘテロ接合した、硫化インジウムを含むバッファ層と、透明電極や金属電極等の上部電極とが、この順に積層されて構成されている。また、複数の光電変換セルは、隣り合う一方の光電変換セルの上部電極と他方の光電変換セルの下部電極とが接続導体によって電気的に接続されることで、電気的に直列に接続されている(特開2003−282909号公報参照)。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様に係る光電変換装置は、電極層と、第1の半導体層と、第2の半導体層と、中間層とを具備する。第1の半導体層は、電極層上に位置している。第1の半導体層は、p型またはi型であり、カルコパイライト系化合物またはペロブスカイト系化合物を主として含んでいる。第2の半導体層は、n型であり、第1の半導体層上に位置している。中間層は、電極層および第1の半導体層の界面に位置している。中間層は、第1の半導体層とは異なる結晶構造のp型の半導体を主として含んでいる。さらに、中間層は、第1の半導体層よりもキャリア密度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】第1実施形態の光電変換装置を示す斜視図である。
図2図1の光電変換装置の断面図である。
図3】第2実施形態の光電変換装置を示す斜視図である。
図4図3の光電変換装置の断面図である。
図5図3の光電変換装置の第1の半導体層およびそれよりも上側の部分を除いた平面図である。
図6】第3実施形態の光電変換装置を示す斜視図である。
図7図6の光電変換装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下に本開示の光電変換装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0006】
<第1実施形態の光電変換装置>
図1は、第1実施形態に係る光電変換装置を示す斜視図であり、図2はその断面図である。光電変換装置11は、基板1上に複数の光電変換セル10を具備している。これらの光電変換セル10は、互いに間隔P3をあけて並んでおり、隣接する光電変換セル10同士が互いに電気的に接続されている。なお、図1においては図示の都合上、2つの光電変換セル10のみを示しているが、実際の光電変換装置11においては、図面左右方向、あるいはさらにこれに垂直な方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配設されていてもよい。
【0007】
図1図2において、基板1上に複数の電極層2が平面配置されている。なお、以下の説明においては、第1の半導体層3側に接続された電極層2を、後述する上部電極層5と区別するため、下部電極層2として説明する。しかし、下部電極層2が、必ずしも上部電極層4よりも下側に位置している必要はなく、上側であってもよい。
【0008】
図1図2において、複数の下部電極層2は、一方向に間隔P1をあけて並べられた下部電極層2a〜2cを具備している。この下部電極層2a上から基板1上を経て下部電極層2b上にかけて、第1の半導体層3、バッファ層4および上部電極層5が順に積層されている。さらに、下部電極層2b上において、接続導体7が、第1の半導体層3およびバッファ層4側面に沿って、またはこれらを貫通して設けられている。この接続導体7は、上部電極層5と下部電極層2bとを電気的に接続している。また、下部電極層2と第1の半導体層3との界面には中間層3aが介在している。これら下部電極層2、中間層3a、第1の半導体層3、バッファ層4および上部電極層5によって、1つの光電変換セル10が構成され、隣接する光電変換セル10同士が接続導体7を介して直列接続されることによって、高出力の光電変換装置11となる。なお、本実施形態における光電変換装置11は、上部電極層5側から第1の半導体層3へ光が入射されるものを想定しているが、これに限定されず、下部電極層2側から第1の半導体層3へ光が入射されるものであってもよい。
【0009】
基板1は、光電変換セル10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。基板1としては、例えば、厚さ1〜3mm程度の青板ガラス(ソーダライムガラス)を用いることができる。
【0010】
下部電極層2(下部電極層2a、2b、2c)は、基板1上に設けられた、Mo、Al、TiまたはAu等の導電体である。下部電極層2は、スパッタリング法または蒸着法などの公知の薄膜形成手法を用いて、0.2μm〜1μm程度の厚みに形成される。
【0011】
第1の半導体層3は、光を吸収してキャリア(電子および正孔)を発生させる機能をする半導体層であり、いわゆる光吸収層である。第1の半導体層3は、例えば1μm〜3μm程度の厚みのp型またはi型の半導体層である。また、第1の半導体層3は、カルコパイライト系化合物を主として含んでいるか、あるいはペロブスカイト系化合物を主として含んでいる。カルコパイライト系化合物を主として含むとは、カルコパイライト系化合物を70mol%以上含むことをいう。また、ペロブスカイト系化合物を主として含むとは、ペロブスカイト系化合物を70mol%以上含むことをいう。
【0012】
カルコパイライト系化合物とは、カルコパイライト構造を有する化合物であり、例えば、I−III−VI族化合物が挙げられる。I−III−VI族化合物とは、11族元素(I−B族元素ともいう)と13族元素(III−B族元素ともいう)と16族元素との化合物である。I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe(二セレン化銅インジウム、CISともいう)、Cu(In,Ga)Se(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、第1の半導体層3は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
【0013】
ペロブスカイト系化合物とは、ペロブスカイト構造を有する化合物であり、例えばCHNHPbX(Xはハロゲン元素である)等の有機無機複合材料が挙げられる。なお、有機無機複合材料とは、分子レベルで有機成分と無機成分とが複合された材料である。また、APbX(AはCsなどのアルカリ金属元素、Xはハロゲン元素である)のような有機物を含まない構造も、ペロブスカイト系化合物には含まれる。本開示に含まれる材料としては、Pbを含み、ハロゲン元素でXが構成されているペロブスカイト系化合物が好適に用いられる。さらには、Xで表したハロゲン元素は、2種類以上の元素が含まれても良く、CHNHなどの有機物や、Csなどのアルカリ金属も、2種類以上の元素が含まれても良い。このように材料を多く混ぜることで、所望のバンドギャップや、耐熱性、耐電圧性が得られるようになり、タンデム化に適したペロブスカイト系太陽電池や、プロセスの自由度が高い、かつ長期信頼性に優れた太陽電池を得ることができるようになる。
【0014】
第1の半導体層3は、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスは、第1の半導体層3の構成元素の錯体溶液を中間層3aまたは下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。
【0015】
中間層3aは、下部電極層2と第1の半導体層3との界面に位置している。つまり、第1の半導体層3は中間層3aを介して下部電極層2と電気的に接続されている。中間層3aは、第1の半導体層3とは異なる結晶構造を有するp型の半導体から成り、第1の半導体層3よりもキャリア密度が高い。また、中間層3aは30〜2000nm程度の厚みを有する。
【0016】
このような構成によって、第1の半導体層3の光電変換によって生じたキャリアの再結合を低減し、光電変換装置11の光電変換効率を向上させることができる。つまり、第1の半導体層3で電荷分離したキャリアに対し、中間層3aによって強い電界をかけてキャリアを引き抜く効果を強めることができる。その結果、キャリアの再結合を低減して変換効率を高めることができる。
【0017】
ここで、カルコパイライト系化合物およびペロブスカイト系化合物はドーパントの制御が難しく、欠陥の少ない状態でキャリア密度を所望の濃度に制御するのが難しい。そのため、第1の半導体層3のキャリア密度は、欠陥による再結合を顕在化させないように例えば1×1010〜9×1017cm−3程度以下としてもよい。そして、中間層3aは、第1の半導体層3よりもキャリア密度が例えば1×1018〜9×1018cm−3と高くなっているので、電荷分離したキャリアを第1の半導体層3から引き抜き易くすることができる。このような中間層3aとしては、欠陥の少ない状態でドーパントの制御が容易であるという観点から、第1の半導体層3とは異なる結晶構造を有するp型の半導体が用いられる。
【0018】
このような中間層3aとしては、ホウ素(B)等の他の元素をドーピングしたシリコン(Si)を主として含む半導体等が挙げられる。なお、Siを主として含むとは、Siを70mol%以上含むことをいう。また、他の中間層3aとしては、第1の半導体層3と接合し易いセレン化亜鉛等の化合物半導体を用いてもよい。
【0019】
中間層3aは、蒸着法、スパッタリング法、ゾルゲル法、スクリーン印刷法、塗布法、めっき法、スプレー塗布法、インクジェット塗布法、CVD法、プラズマCVD法、PVD法等の成膜方法を用いて作製することができる。また、必要に応じて、フォトリソグラフィー法、リフトオフ法、ディスペンサーを用いた塗布法、レーザスクライブ等のパターン形成法を組み合わせることによって、中間層3aを所望のパターン形状にしてもよい。
【0020】
第2の半導体層は、第1の半導体層3と異なるn型の導電型を有する半導体層であり、第1の半導体層3とpn接合を形成する。第1実施形態の光電変換装置11では、第2の半導体層がバッファ層4と上部電極層5との積層体である例を示すが、これに限定されず、1層だけでもよく、3層以上の積層体であってもよい。第2の半導体層が複数層から成る場合、その複数層のうちの少なくとも1層がn型であればよい。つまり、第2の半導体層は、n型の半導体層とi型の半導体層の積層体であってもよく、n型の半導体層の積層体であってもよい。
【0021】
バッファ層4は、第1の半導体層3にヘテロ接合された、n型またはi型の半導体層である。バッファ層4は、例えば5〜200nmの厚みを有している。バッファ層4としては、例えば、CdS、ZnS、In等の金属硫化物が用いられる。なお、バッファ層4は、このような金属硫化物に加えて、金属酸化物および金属水酸化物の少なくとも一方を含む混晶であってもよい。バッファ層4は、例えば溶液析出法(CBD法)、ALD法、MOCVD法などで形成される。
【0022】
また、第1の半導体層3がペロブスカイト系化合物を主として含む場合には、バッファ層4として、n型の有機半導体を用いてもよい。このような有機半導体としては、フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)およびフラーレンC60等のフラーレン誘導体等が挙げられる。バッファ層4として有機半導体を用いる場合、例えば、PCBM等を有機溶剤に溶解させ、この溶液を第1の半導体層3上に塗布した後、乾燥することによってバッファ層4を形成できる。もしくは、フラーレンC60等を第1の半導体層3上に蒸着することによってバッファ層4を形成してもよい。また、第1の半導体層3またはバッファ層4に対して、後述する上部電極層5を形成する際のプロセスの影響を受けにくくするため、バッファ層4の上に、さらに保護用バッファ層を積層しても良い。この保護用バッファ層としては、酸化モリブデンおよび酸化タングステンなどが挙げられる。このような保護用バッファ層はスパッタリング法や蒸着法等で形成することができる。
【0023】
上部電極層5は、n型の半導体層であり、0.05〜3.0μm程度の厚みの導電膜である。上部電極層5は、第1の半導体層3で生じたキャリアを良好に取り出すためのものであり、例えば、上部電極層5の電気抵抗率は1Ω・cm以下であり、シート抵抗は50Ω/□以下であってもよい。
【0024】
上部電極層5は、例えば、ZnOやIn、SnO等の金属酸化物を含み、電気抵抗率を低くするために、Al、B、Ga、In、SnおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、BZO(Boron Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。上部電極層5は、スパッタリング法、蒸着法またはCVD法等で形成される。
【0025】
また、バッファ層4としてn型の有機半導体を用いる場合、上部電極層5として、金、銀または銅等の金属を用いても良い。この場合、光が透過する程度に上部電極層5を薄くするか、あるいは、下部電極層2として光透過性の材料を採用するとともに、基板1側から第1の半導体層3に光が入射可能となるようにしてもよい。このように上部電極層5として金属を用い、基板1側から光が入射可能となるようにした場合、上部電極層5による光反射で光路長が延び、光吸収が改善されて変換効率が向上する。
【0026】
また、図1図2に示すように、上部電極層5上にさらに集電電極8が形成されていてもよい。集電電極8は、第1の半導体層3で生じたキャリアをさらに良好に取り出すためのものである。集電電極8は、例えば、図1に示すように、光電変換セル10の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、第1の半導体層3で生じた電流が上部電極層5を介して集電電極8に集電され、接続導体7を介して隣接する光電変換セル10に良好に通電される。
【0027】
集電電極8は、第1の半導体層3への光透過率を高めるとともに良好な導電性を有するという観点から、50〜400μmの幅を有していてもよい。また、集電電極8は、枝分かれした複数の分岐部を有していてもよい。
【0028】
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが硬化されることによって形成される。
【0029】
図1図2において、接続導体7は、第1の半導体層3、バッファ層4および上部電極層5を分断する溝P2内に設けられた導体である。接続導体7は、金属や導電ペースト等が用いられ得る。図1図2においては、集電電極8を延伸して接続導体7が形成されているが、これに限定されない。例えば、上部電極層5が延伸したものであってもよい。
【0030】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。以下に種々の変形例を示す。
【0031】
<第2実施形態の光電変換装置>
図3は、第2実施形態の光電変換層21の斜視図であり、図4はその断面図である。また、図5は、中間層23aおよび絶縁層26の平面視構造を見やすくするため、光電変換装置21における第1の半導体層23およびそれよりも上側の部分を除いた状態における平面図である。第2実施形態の光電変換装置21において、第1実施形態の光電変換装置11と同じ構成のものには同じ符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0032】
第2実施形態の光電変換装置21における各光電変換セル20は、中間層23aが下部電極層2を部分的に覆っており、下部電極層2の中間層23aに覆われていない部位上に絶縁層26が位置している。そして、第1の半導体層23は、中間層23aと絶縁層26とに接合している。
【0033】
このような構成によって、絶縁層26がパッシベーション膜として機能し、バンドベンディングによる電界効果を生じさせることによって第1の半導体層23の表面でのキャリアの再結合を低減できる。また、中間層23aを介して下部電極層2と第1の半導体層23とが接合している部分においては、中間層23aが第1の半導体層3からキャリアを良好に取り出すことができる。以上の結果、光電変換装置21の光電変換効率をさらに向上させることができる。
【0034】
絶縁層26は、図5に示すように、平面視において、複数のものが互いに間隔をあけて点在している。絶縁層26は、このような構成に限定されず、例えば、複数の線状のものが互いに間隔をあけて並んだものであってもよい。
【0035】
絶縁層26は電気抵抗率が1Ω・m以上のものが用いられ得る。このような絶縁層26としては、Al、SiO、ZrO、MgOおよびTiOの等の金属酸化物またはポリイミド樹脂等の耐熱性樹脂が挙げられる。
【0036】
絶縁層6がAl、SiO、ZrO、MgOおよびTiOの少なくとも一種を含む場合、下部電極層2と第1の半導体層23との密着性を高めることができる。この場合、絶縁層6におけるAl、SiO、ZrO、MgOおよびTiOの含有量は、Al、SiO、ZrO、MgOおよびTiOの質量合計が絶縁層6の全質量の50%以上となるようにするのが好ましい。下部電極層2と第1の半導体層23との密着性および絶縁層26の耐熱性をより高めるという観点からは、Al、SiO、ZrO、MgOおよびTiOの質量合計が絶縁層6の全質量の70%以上となるようにするのが好ましい。
【0037】
また、絶縁層26がポリイミド樹脂を含む場合、絶縁層26の柔軟性が向上し、絶縁層26のクラックなどによる絶縁不良(パッシベーション機能の低下)を低減させることが可能となる。更に、絶縁層26が第1の半導体層23と下部電極2との間の応力緩和層として作用し、第1の半導体層23のクラックや剥離を軽減する役割もする。また、パターン形状の絶縁層26を形成する際、インクジェット塗布法等で容易に行なうことができ、生産性も向上する。なお、絶縁層26がポリイミド樹脂を含む場合、ポリイミド樹脂の質量合計が絶縁層26の全質量の50%以上となるようにするのが好ましい。絶縁層26の柔軟性および耐熱性をより高めるという観点からは、ポリイミド樹脂の質量合計が絶縁層26の全質量の70%以上となるようにするのが好ましい。
【0038】
また、絶縁層26の厚みは15〜200nm程度であればよい。また、絶縁層26によるパッシベーション機能とキャリアの取り出しとを良好に行なって光電変換効率をさらに高めるという観点からは、中間層23aと第1の半導体層23との接合面積は、絶縁層26と第1の半導体層23との接合面積の0.01〜2倍であってもよい。
【0039】
絶縁層26は、蒸着法、スパッタリング法、ゾルゲル法、スクリーン印刷法、塗布法、めっき法、スプレー塗布法、インクジェット塗布法、ALD法等の成膜方法を用いて作製することができる。また、必要に応じて、フォトリソグラフィー法、リフトオフ法、ディスペンサーを用いた塗布法、レーザスクライブ等のパターン形成法を組み合わせることによって、絶縁層26を所望のパターン形状にすることができる。
【0040】
絶縁層26は、数量やサイズなどを場所によって変更しても良い。このようにすることで、第1の半導体層23の組成や膜厚ムラなどに対応して再結合抑制の効果をさらに高めたり、抵抗成分を極力小さくすることで光電変換装置21の変換効率を高めることができる。
【0041】
<第3実施形態の光電変換装置>
図6は、第3実施形態の光電変換層31の斜視図であり、図7はその断面図である。第3実施形態の光電変換装置31において、第1実施形態の光電変換装置11と同じ構成のものには同じ符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0042】
第3実施形態の光電変換装置31における各光電変換セル30は、中間層33aと第1の半導体層33との界面に、中間層33aを部分的に覆う絶縁層36が位置している。そして、第1の半導体層33は中間層33aと絶縁層36とに接合している。
【0043】
このような構成によって、絶縁層36がパッシベーション膜として機能し、バンドベンディングによる電界効果を生じさせることによって第1の半導体層33の表面でのキャリアの再結合を低減できる。また、絶縁層36の非形成部においては、中間層33aが第1の半導体層33からキャリアを良好に取り出すことができる。以上の結果、光電変換装置31の光電変換効率をさらに向上させることができる。
【0044】
また、第3実施形態の光電変換装置31では、中間層33aを下部電極層2上の全面に形成した後、中間層33aの除去等のパターン加工をすることなく絶縁層36を形成すればよいので、製造工程が簡略化できる。
【0045】
絶縁層36は、第2実施形態の光電変換装置21における絶縁層26と同様の構造および同様の材料とすることができる。
【符号の説明】
【0046】
2、2a、2b、2c:下部電極層
3、23、33:第1の半導体層
3a、23a、33a:中間層
4:バッファ層
5:上部電極層
26、36:絶縁層
11、21、31:光電変換装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】