特表-16208656IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2016-208656難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブル並びに光ファイバケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年12月29日
【発行日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブル並びに光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20171124BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20171124BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20171124BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20171124BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20171124BHJP
   H01B 7/295 20060101ALI20171124BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20171124BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20171124BHJP
   H01B 3/00 20060101ALI20171124BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   C08L23/00
   C08L83/04
   C08K3/26
   C08K5/09
   C08K5/3492
   H01B7/295
   H01B7/02 Z
   H01B3/44 F
   H01B3/44 G
   H01B3/00 A
   G02B6/44 381
   G02B6/44 301A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】47
【出願番号】特願2017-524959(P2017-524959)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-126276(P2015-126276)
(32)【優先日】2015年6月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-206745(P2015-206745)
(32)【優先日】2015年10月20日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】桑折 悠佳
(72)【発明者】
【氏名】中村 詳一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 知久
【テーマコード(参考)】
2H001
2H150
4J002
5G303
5G305
5G309
5G315
【Fターム(参考)】
2H001BB14
2H001BB19
2H001BB27
2H001DD06
2H001DD25
2H001DD32
2H001HH02
2H001KK17
2H001PP01
2H150BB02
2H150BB04
2H150BB09
2H150BB19
2H150BC17
2H150BC18
2H150BD03
2H150BD20
4J002BB021
4J002BB031
4J002BB061
4J002BB111
4J002BB121
4J002BB201
4J002BP011
4J002CP032
4J002DE236
4J002EF057
4J002EG046
4J002EU188
4J002FD016
4J002FD136
4J002FD137
4J002FD138
4J002GP02
4J002GQ01
5G303AA06
5G303AB20
5G303BA12
5G303CB06
5G303CB30
5G305AA02
5G305AB25
5G305CA01
5G305CA40
5G305CC11
5G305CD13
5G309RA04
5G309RA12
5G315CA03
5G315CB02
5G315CD02
5G315CD06
5G315CD15
5G315CD17
(57)【要約】
ポリオレフィン系樹脂と、シリコーン系化合物と、脂肪酸含有化合物と、炭酸カルシウムと、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物とを含む難燃性樹脂組成物が開示されている。この難燃性樹脂組成物においては、シリコーン系化合物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合され、脂肪酸含有化合物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下の割合で配合され、炭酸カルシウムが、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部以上120質量部未満の割合で配合され、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.05質量部以上10質量部未満の割合で配合され、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が酸素原子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂と、
シリコーン系化合物と、
脂肪酸含有化合物と、
炭酸カルシウムと、
トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物とを含み、
前記シリコーン系化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合され、
前記脂肪酸含有化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下の割合で配合され、
前記炭酸カルシウムが、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部以上120質量部未満の割合で配合され、
前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.05質量部以上10質量部未満の割合で配合され、
前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が酸素原子を含む難燃性樹脂組成物。
【請求項2】
前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部未満の割合で配合される請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項3】
前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、下記式(1)で表される基を有する請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
【化1】
(上記式(1)において、R〜Rは各々独立に、炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。)
【請求項4】
前記式(1)において、R〜Rが各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rがシクロアルキル基を表す、請求項3に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】
前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、下記式(2)で表される請求項3又は4に記載の難燃性樹脂組成物。
【化2】
(上記式(2)において、R〜Rは各々独立に、下記式(3)で表される基を表す)
【化3】
(上記式(3)において、R及びR10は各々独立に、上記式(1)で表される基を表し、R11及びR12は各々独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す)
【請求項6】
前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、前記式(2)で表される化合物であって前記式(1)におけるR〜Rが各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rが炭素数5〜8のシクロアルキル基を表し、前記式(3)におけるR11及びR12が炭素数1〜6のアルキル基を表す化合物で構成される、請求項5に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項7】
前記シリコーン系化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.5質量部以上5質量部未満の割合で配合され、
前記脂肪酸含有化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上5質量部未満の割合で配合され、
前記炭酸カルシウムが、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部以上40質量部以下の割合で配合される請求項1〜6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1種で構成される請求項1〜7のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項9】
導体と、
前記導体を被覆する少なくとも1つの絶縁体とを備え、
前記絶縁体が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成されるケーブル。
【請求項10】
光ファイバと、
前記光ファイバを被覆する絶縁体とを有する光ファイバケーブルであって、
前記絶縁体が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブル並びに光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの被覆、ケーブルの外被、チューブ、テープ、包装材、建材等にはいわゆるエコマテリアルが広く使用されるようになっている。
【0003】
このようなエコマテリアルとして、ポリオレフィン樹脂に、難燃剤として炭酸カルシウムを添加するとともに、難燃助剤としてシリコーンガム等のシリコーン系化合物と、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸含有化合物とを添加した難燃性樹脂組成物が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−169918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の難燃性樹脂組成物では、難燃性が十分に確保されているとは言い難かった。ここで、難燃剤の添加量を増加させれば難燃性を向上させることはできるが、この場合、難燃性樹脂組成物の機械的特性が低下してしまう。
【0006】
このため、優れた機械的特性を確保し、かつ優れた難燃性をも確保できる難燃性樹脂組成物が求められていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた機械的特性を確保し、かつ優れた難燃性をも確保できる難燃性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブル並びに光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するため検討を重ねた。その結果、本発明者らは、ポリオレフィン系樹脂に対し、炭酸カルシウム、シリコーン化合物、脂肪酸含有化合物に加えて、酸素原子を含むトリアジン環含有ヒンダードアミン化合物をそれぞれ所定の割合で配合することで、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0009】
すなわち本発明は、ポリオレフィン系樹脂と、シリコーン系化合物と、脂肪酸含有化合物と、炭酸カルシウムと、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物とを含み、前記シリコーン系化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合され、前記脂肪酸含有化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下の割合で配合され、前記炭酸カルシウムが、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部以上120質量部未満の割合で配合され、前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.05質量部以上10質量部未満の割合で配合され、前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が酸素原子を含む難燃性樹脂組成物である。
【0010】
本発明の難燃性樹脂組成物によれば、優れた機械的特性を確保し、かつ優れた難燃性をも確保することができる。
【0011】
なお、本発明者らは、本発明の難燃性樹脂組成物において、上記の効果が得られる理由については以下のように推察している。
【0012】
すなわち、難燃性樹脂組成物中に炭酸カルシウム粒子、シリコーン系化合物及び脂肪酸含有化合物が含まれていると、難燃性樹脂組成物の燃焼時にポリオレフィン系樹脂の表面にバリア層が形成され、ポリオレフィン系樹脂の燃焼が抑制される。一方、難燃性樹脂組成物中に酸素原子を有するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が含まれていると、難燃性樹脂組成物の燃焼時にトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物から酸素ラジカルが発生し、その酸素ラジカルが燃焼の際にポリオレフィン系樹脂の分解によって発生する水素ラジカルを捕捉することで、ポリオレフィン系樹脂の燃焼を抑制する。そのため、燃焼時のバリア層の形成とラジカル捕捉効果との相乗効果により、優れた難燃性が確保されるものと考えられる。また、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物は、少量でもラジカル捕捉効果により、ポリオレフィン系樹脂の燃焼を効果的に抑制できるものと考えられる。従って、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物のポリオレフィン系樹脂に対する配合量を少なくすることが可能となり、その結果、優れた機械的特性が確保されるものと考えられる。
【0013】
上記難燃性樹脂組成物においては、前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部未満の割合で配合されることが好ましい。
【0014】
この場合、ポリオレフィン樹脂100質量部に対するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物の配合割合が0.1質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0015】
上記難燃性樹脂組成物においては、前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、下記式(1)で表される基を有することが好ましい。
【化1】
(上記式(1)において、R〜Rは各々独立に、炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。)
【0016】
この場合、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0017】
上記難燃性樹脂組成物においては、前記式(1)において、R〜Rが各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rがシクロアルキル基を表すことが好ましい。
【0018】
この場合、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0019】
上記難燃性樹脂組成物においては、前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、下記式(2)で表されることが好ましい。
【化2】

(上記式(2)において、R〜Rは各々独立に、下記式(3)で表される基を表す)
【化3】

(上記式(3)において、R及びR10は各々独立に、上記式(1)で表される基を表し、R11及びR12は各々独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す)
【0020】
上記難燃性樹脂組成物においては、前記トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、前記式(2)で表される化合物であって前記式(1)におけるR〜Rが各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rが炭素数5〜8のシクロアルキル基を表し、前記式(3)におけるR11及びR12が炭素数1〜6のアルキル基を表す化合物で構成されることが好ましい。
【0021】
この場合、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0022】
上記難燃性樹脂組成物においては、前記シリコーン系化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.5質量部以上5質量部未満の割合で配合され、前記脂肪酸含有化合物が、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上5質量部未満の割合で配合され、前記炭酸カルシウムが、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部以上40質量部以下の割合で配合されることが好ましい。
【0023】
この場合、難燃性樹脂組成物においてより優れた機械的特性を得ることができる。
【0024】
上記難燃性樹脂組成物においては、前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1種で構成されることが好ましい。
【0025】
また本発明は、導体と、前記導体を被覆する少なくとも1つの絶縁体とを備え、前記絶縁体が、上述した難燃性樹脂組成物で構成されるケーブルである。
【0026】
さらに本発明は、光ファイバと、前記光ファイバを被覆する絶縁体とを有する光ファイバケーブルであって、前記絶縁体が、上述した難燃性樹脂組成物で構成される光ファイバケーブルである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、優れた機械的特性を確保し、かつ優れた難燃性をも確保できる難燃性樹脂組成物及びこれを用いたケーブル並びに光ファイバケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。
図2図1のII−II線に沿った断面図である。
図3】本発明の光ファイバケーブルの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
【0030】
[ケーブル]
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、丸型ケーブル10は、絶縁電線4と、絶縁電線4を被覆する絶縁体としてのチューブ状の外被3とを備えている。そして、絶縁電線4は、導体としての内部導体1と、内部導体1を被覆するチューブ状の絶縁体2とを有している。すなわち、丸型ケーブル10はメタルケーブルであり、丸型ケーブル10では、内部導体1は、チューブ状の絶縁体2の内側に設けられるとともにチューブ状の外被3の内側に設けられている。
【0031】
ここで、チューブ状の絶縁体2及び外被3は難燃性樹脂組成物で構成されており、この難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂と、シリコーン系化合物と、脂肪酸含有化合物と、炭酸カルシウムと、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物とを含み、シリコーン系化合物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合され、脂肪酸含有化合物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下の割合で配合され、炭酸カルシウムが、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部以上120質量部未満の割合で配合され、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.05質量部以上10質量部未満の割合で配合され、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物が酸素原子を含んでいる。
【0032】
上記難燃性樹脂組成物で構成される絶縁体2及び外被3は、優れた難燃性を確保しながら、優れた機械的特性を確保することができる。
【0033】
[ケーブルの製造方法]
次に、上述した丸型ケーブル10の製造方法について説明する。
【0034】
<導体>
まず導体としての内部導体1を準備する。内部導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、内部導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。内部導体1としては、銅などの金属を用いることができる。
【0035】
<難燃性樹脂組成物>
一方、上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、ポリオレフィン系樹脂と、シリコーン系化合物と、脂肪酸含有化合物と、炭酸カルシウムと、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物とを含む。
【0036】
(1)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、酸変性ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体及びオレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。中でも、ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1種で構成されることが好ましい。
【0037】
(2)シリコーン系化合物
シリコーン系化合物は、難燃助剤として機能するものであり、シリコーン系化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖に有し、側鎖に有機基を有するものである。有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、ビニル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、ブルームが起こりにくくなる。
【0038】
シリコーン系化合物は、上述したようにポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.5質量部以上10質量部以下の割合で配合される。この場合、シリコーン系化合物の配合割合が1.5質量部未満である場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。また、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するシリコーン系化合物の配合割合が上記範囲内にあると、シリコーン系化合物の配合割合が10質量部より大きい場合に比べて、難燃性のムラがより少なくなる。これは、シリコーン系化合物がポリオレフィン系樹脂に均等に混ざりやすくなり、部分的に塊が発生するということが起こりにくくなるためである。
【0039】
ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するシリコーン系化合物の配合割合は8質量部以下であることがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するシリコーン系化合物の配合割合は5質量部未満であることが特に好ましい。この場合、シリコーン系化合物の配合割合が5質量部以上である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた機械的特性が得られる。ここで、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するシリコーン系化合物の配合割合は4質量部以下であることがより好ましい。この場合、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するシリコーン系化合物の配合割合は4質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた機械的特性が得られる。
【0040】
シリコーン系化合物は、炭酸カルシウムの表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中においてシリコーン系化合物の偏析が起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がより向上する。
【0041】
炭酸カルシウムの表面にシリコーン系化合物を付着させる方法としては、例えば炭酸カルシウムにシリコーン系化合物を添加して混合し、混合物を得た後、この混合物を40〜75℃にて10〜40分乾燥し、乾燥した混合物をヘンシェルミキサ、アトマイザなどにより粉砕することによって得ることができる。
【0042】
(3)脂肪酸含有化合物
脂肪酸含有化合物は、難燃助剤として機能するものである。脂肪酸含有化合物とは、脂肪酸又はその金属塩を含有するものを言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0043】
脂肪酸含有化合物は脂肪酸の金属塩であることが好ましい。脂肪酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛及び鉛などが挙げられる。脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムが好ましい。この場合、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム以外の脂肪酸金属塩を用いる場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより少ない添加量でより優れた難燃性が得られる。
【0044】
脂肪酸含有化合物は、上述したようにポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下の割合で配合される。この場合、脂肪酸含有化合物の割合が3質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。また、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が上記範囲内にあると、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が20質量部より大きい場合に比べて、ブリードが起こりにくくなる。
【0045】
ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合は10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましく、5質量部未満であることが特に好ましい。この場合、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が上記範囲内である場合、配合割合が上記各範囲の上限値を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた機械的特性が得られる。
【0046】
脂肪酸含有化合物は炭酸カルシウムの表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中において脂肪酸含有化合物の偏析がより起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がより向上する。さらに脂肪酸含有化合物とシリコーン系化合物とを、炭酸カルシウムの表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中においてシリコーン化合物及び脂肪酸含有化合物の偏析がより起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がさらに向上する。
【0047】
炭酸カルシウムの表面にシリコーン系化合物及び脂肪酸含有化合物を付着させる方法としては、例えば炭酸カルシウムにシリコーン系化合物及び脂肪酸含有化合物を添加して混合し、混合物を得た後、この混合物を40〜75℃にて10〜40分乾燥し、乾燥した混合物をヘンシェルミキサ、アトマイザなどにより粉砕することによって得ることができる。
【0048】
(4)炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムのいずれでもよい。
【0049】
炭酸カルシウムの平均粒径は特に制限されるものではないが、1.2〜1.8μmであることが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性を確保できるとともに、より優れた機械的特性を確保できる。
【0050】
炭酸カルシウムは、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部以上120質量部未満の割合で配合される。この場合、炭酸カルシウムの割合がポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0051】
また、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合が上記範囲内にあると、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合が120質量部以上である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
【0052】
ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合は100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることがさらに好ましい。この場合、配合割合が上記各範囲を外れる場合に比べて、難燃性樹脂組成物において機械的特性をより十分に向上させることができる。
【0053】
特に、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合は10質量部以上80質量部以下であることが好ましく、10質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合が上記範囲内である場合、配合割合が上記各範囲の上限値を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより十分に確保しつつ、機械的特性をより十分に向上させることができる。ここで、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する炭酸カルシウムの配合割合は20質量部以上であってもよい。
【0054】
さらにまた、シリコーン系化合物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.5質量部以上5質量部未満の割合で配合される場合には、脂肪酸含有化合物がポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上5質量部未満の割合で配合され、炭酸カルシウムがポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10質量部以上40質量部以下の割合で配合されることが好ましい。
【0055】
この場合、難燃性樹脂組成物においてより優れた機械的特性が得られる。
【0056】
(5)トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物
トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物は、分子内に酸素原子を含んでいれば特に制限されないが、トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物は下記式(1)で表される基を有する化合物であることが好ましい。
【化4】
【0057】
上記式(1)において、R〜Rは各々独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。
【0058】
上記式(1)において、R〜Rで表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基が挙げられる。
【0059】
ここで、「アルキル基」には、非置換アルキル基のみならず、置換アルキル基も含まれる。置換アルキル基としては、非置換アルキル基の水素原子を塩素等のハロゲン原子で置換したものなどを用いることができる。
【0060】
上記式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基およびオクタデシル基などが挙げられる。
【0061】
で表されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基及びシクロドデシル基などが挙げられる。
【0062】
で表されるアラルキル基としては、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基、及び、トリフェニルメチル基などが挙げられる。
【0063】
で表されるアリール基としては、フェニル基及びナフチル基などが挙げられる。
【0064】
上記式(1)においては、R〜Rが各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは、炭素数5〜8のシクロアルキル基を表すことが好ましい。
【0065】
この場合、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0066】
上記式(1)で表される基を有するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物としては、下記式(2)で表される化合物などが挙げられる。
【化5】
(上記式(2)において、R〜Rは各々独立に、下記式(3)で表される基を表す)
【化6】
(上記式(3)において、R及びR10は各々独立に、上記式(1)で表される基を表し、R11及びR12は各々独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す)
【0067】
11及びR12で表されるアルキル基としては、上記式(1)において、Rで表されるアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。
【0068】
トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物としては、上記式(2)で表される化合物であって式(1)におけるR〜Rが各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rが炭素数5〜8のシクロアルキル基を表し、式(3)におけるR11及びR12が炭素数1〜6のアルキル基を表す化合物が好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0069】
トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、上記式(2)で表される化合物であって式(1)におけるR〜Rがメチル基、Rがシクロヘキシル基、式(3)におけるR11及びR12がブチル基で表され、R〜Rが互いに同一であり、R及びR10が互いに同一である化合物(商品名「Flamestab NOR 116FF」、BASF社製)、上記式(1)で表される基及び上記式(3)で表される基を有する化合物(商品名「CYASORB UV−3529」、サンケミカル社製)などが挙げられる。
【0070】
トリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.05質量部以上10質量部未満の割合で配合される。
【0071】
この場合、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物の配合割合が0.05質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。また、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物の配合割合が上記範囲内にあると、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物の配合割合が10質量部以上である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の機械的特性及び難燃性をより向上させることができる。
【0072】
また、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物の配合割合は0.1質量部以上あることが好ましい。この場合、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物の配合割合が0.1質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより優れた難燃性が得られる。
【0073】
また、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対するトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物の配合割合3質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物は、難燃性を確保できるとともに、より優れた機械的特性を有することが可能となる。
【0074】
上記難燃性樹脂組成物は、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、滑剤、カーボンブラックなどの充填剤を必要に応じてさらに含んでもよい。
【0075】
上記難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系化合物、脂肪含有化合物、炭酸カルシウム及びトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物等を混練することにより得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。このとき、シリコーン系化合物の分散性を向上させる観点からは、ポリオレフィン系樹脂の一部とシリコーン系化合物とを混練し、得られたマスターバッチ(MB)を、残りのポリオレフィン系樹脂、脂肪酸含有化合物、炭酸カルシウム及びトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物等と混練してもよい。
【0076】
次に、上記難燃性樹脂組成物で内部導体1を被覆する。具体的には、上記の難燃性樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、チューブ状の押出物を形成する。そして、このチューブ状押出物を内部導体1上に連続的に被覆する。こうして絶縁電線4が得られる。
【0077】
<外被>
最後に、上記のようにして得られた絶縁電線4を1本用意し、この絶縁電線4を、上述した難燃性樹脂組成物を用いて作製した外被3で被覆する。外被3は、いわゆるシースであり、絶縁体2を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
【0078】
以上のようにして丸型ケーブル10が得られる。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態ではケーブルとして、1本の絶縁電線4を有する丸型ケーブル10が用いられているが、本発明のケーブルは丸形ケーブルに限定されるものではなく、外被3の内側に絶縁電線4を2本以上有するケーブルであってもよい。また外被3と絶縁電線4との間には、ポリプロピレン等からなる樹脂部が設けられていてもよい。
【0080】
また上記実施形態では、絶縁電線4の絶縁体2及び外被3が上記の難燃性樹脂組成物で構成されているが、絶縁体2が通常の絶縁樹脂で構成され、外被3のみが、上記の難燃性樹脂組成物で構成されてもよい。さらに絶縁体2は必ずしも必要なものではなく、省略が可能である。
【0081】
さらに、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁体2及び外被3を構成する難燃性樹脂組成物は、光ファイバケーブルにおいて光ファイバを被覆する外被としても適用可能である。例えば図3は、光ファイバケーブルの一例としてのドロップ型光ファイバケーブルを示す断面図である。図3に示すように、光ファイバケーブル20は、支持線21と、2本のテンションメンバ22,23と、光ファイバ24と、これらを被覆する絶縁体としての外被25とを備えている。ここで、外被25は、上記実施形態において絶縁電線4の絶縁体2及び外被3を構成する難燃性樹脂組成物で構成される。
【0082】
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、上述したケーブルや光ファイバケーブルの絶縁体のみに適用できるものではなく、チューブ、テープ、包装材、建材などの難燃性が要求される種々の用途にも適用可能である。
【実施例】
【0083】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0084】
(実施例1〜88及び比較例1〜54)
ポリオレフィン系樹脂、シリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)、脂肪酸含有化合物、炭酸カルシウム及びトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物(HALS)を、表1〜25に示す配合量で配合し、バンバリーミキサによって160℃にて15分間混練し、難燃性樹脂組成物を得た。なお、表1〜25において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。また表1〜25において、ポリオレフィン系樹脂の欄の配合量が100質量部となっていない場合があるが、その場合には、ポリオレフィン系樹脂の配合量とシリコーンMB中に含まれるポリエチレン(PE)の配合量とを合計すればその合計配合量は100質量部となる。
【0085】
上記ポリオレフィン系樹脂、シリコーンMB、炭酸カルシウム、脂肪酸含有化合物及びHALSとしては具体的には下記のものを用いた。
【0086】
(1)ポリオレフィン系樹脂
(1−1)ポリエチレン(PE)
商品名「エクセレン GMH GH030」、住友化学社製
(1−2)酸変性ポリエチレン(酸変性PE)
商品名「タフマーMA8510」、三井化学社製
(1−3)ポリプロピレン(PP)
商品名「J−452HP」、プライムポリマー社製
(1−4)エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)
商品名「レクスパールA1150」、日本ポリエチレン社製
(1−5)エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)
商品名「エバフレックスEV150」、三井・デュポン・ポリケミカル社製
(1−6)スチレンエチレンブタジエンスチレン共重合体(SEBS)
商品名「タフテックM1913」、旭化成ポリケミカルズ社製
(1−7)スチレンブタジエンゴム(SBR)
商品名「ダイナロン1320P」、JSR社製
【0087】
(2)シリコーンMB
商品名「X−22−2125H」、信越化学社製
(50質量%シリコーンガムと50質量%PEとを含有)
【0088】
(3)シリコーンオイル
商品名「KF−96−350cs」、信越化学社製
【0089】
(4)炭酸カルシウム
商品名「NCC−P」、日東粉化社製、平均粒径1.7μm
【0090】
(5)脂肪酸含有化合物
(5−1)ステアリン酸Mg
商品名「エフコケムMGS」、ADEKA社製
(5−2)ステアリン酸Zn
商品名「ジンクステアレートG」、日油社製
【0091】
(6)HALS
(6−1)HALS1
式(2)で表される化合物であって式(1)におけるR〜Rがメチル基、Rがシクロヘキシル基、式(3)におけるR11及びR12がブチル基で表され、R〜Rが互いに同一であり、R及びR10が互いに同一である化合物
商品名「Flamestab NOR 116FF」、BASF社製
(6−2)HALS2
商品名「CYASORB UV−3529」、サンケミカル社製
【0092】
次いで、この難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入し、その押出機からからチューブ状の押出物を押し出し、導体(素線数1本/断面積2mm)上に、厚さ0.7mmとなるように被覆した。こうして絶縁電線を得た。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【0093】
上記のようにして得られた実施例1〜88及び比較例1〜54の絶縁電線について、以下のようにして難燃性及び機械的特性についての評価を行った。
【0094】
<難燃性>
実施例1〜88及び比較例1〜54の各々で得られた10本の絶縁電線について、JIS C3665−1に準拠した垂直一条燃焼試験を行った。そして、10本の絶縁電線のうち、下記(1A)及び(2A)の条件をいずれも満たす絶縁電線の割合を合格率(単位:%)として下記式(3A)に基づいて算出した。結果を表1〜25に示す。なお、表1〜25において、難燃性の合否基準は以下の通りとした。

(1A)絶縁電線を上部で支持する上部支持材の下端と炭化開始点との距離が50mm以上であり且つ絶縁電線において燃焼が上部支持材の下端から540mmより下方に広がらなかった
(2A)除炎から自己消火までの時間が60秒以下である

合格率(%)=100×上記(1A)及び(A2)の基準をいずれも満たした絶縁電線の本数/試験を行った絶縁電線の総数(10本)・・・(3A)

合格 :合格率80%以上
不合格:合格率80%未満
【0095】
<機械的特性>
機械的特性の評価は、実施例1〜88及び比較例1〜54の絶縁電線について、JIS C3005により引張試験を行い、測定された引張強度に基づいて行った。結果を表1〜25に示す。表1〜25において、引張強度の単位はMPaであり、引張強度の合否基準は下記の通りとした。なお、引張試験において、引張速度は200mm/min、標線間距離は20mmとした。

10MPa以上:合格
10MPa未満:不合格
【0096】
表1〜25に示す結果より、実施例1〜88の難燃性樹脂組成物は、難燃性及び機械的特性について合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜54の難燃性樹脂組成物は、難燃性及び機械的特性のうち少なくとも1つについて合格基準に達していなかった。
【0097】
このことから、本発明の難燃性樹脂組成物によれば、優れた機械的特性を確保し、かつ優れた難燃性をも確保することができることが確認された。
【符号の説明】
【0098】
1…内部導体
2…絶縁体
3…外被(絶縁体)
4…絶縁電線
10…丸型ケーブル(ケーブル)
20…光ファイバケーブル
24…光ファイバ
25…外被(絶縁体)
図1
図2
図3
【国際調査報告】