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再表2016-88891空気電池用正極、この正極を用いた空気電池、及び、該正極の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年6月9日
【発行日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】空気電池用正極、この正極を用いた空気電池、及び、該正極の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20170922BHJP
   H01M 4/96 20060101ALI20170922BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20170922BHJP
   H01M 12/06 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   H01M4/86 B
   H01M4/96 B
   H01M4/88 K
   H01M12/06 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
【出願番号】特願2016-562705(P2016-562705)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】特願2014-245576(P2014-245576)
(32)【優先日】2014年12月4日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(71)【出願人】
【識別番号】000222842
【氏名又は名称】東洋炭素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126963
【弁理士】
【氏名又は名称】来代 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100131864
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 正憲
(72)【発明者】
【氏名】岡野 寛
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 朋史
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】細川 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】三崎 伸也
(72)【発明者】
【氏名】幸 哲也
【テーマコード(参考)】
5H018
5H032
【Fターム(参考)】
5H018AA10
5H018AS03
5H018BB01
5H018BB03
5H018BB12
5H018BB16
5H018EE02
5H018EE06
5H018EE12
5H018HH03
5H018HH05
5H032AA02
5H032AS11
5H032BB02
5H032CC11
5H032EE02
5H032HH01
5H032HH04
(57)【要約】
本発明は、微細なNb(酸化Nb)を均一に分散させることにより、電池特性を飛躍的に向上させることができる空気電池用正極、この正極を用いた空気電池、及び、該正極の製造方法を提供することを目的としている。
膨張黒鉛と、Nb含有のゾル溶液を用いてシート内部に分散されたNbとを有する膨張黒鉛シートから成ることを特徴とする空気電池用正極であり、上記膨張黒鉛に対する上記Nbの重量割合が、5ppm以上50000ppm以下であることが望ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張黒鉛とシート内部に分散されたNbとを有する膨張黒鉛シートを含むことを特徴とする空気電池用正極。
【請求項2】
上記Nbは、酸化Nbの状態でシート内部に含有される、請求項1に記載の空気電池用正極。
【請求項3】
上記Nbは、Nb含有のゾル溶液を用いてシート内部に分散されたものである、請求項1に記載の空気電池用正極。
【請求項4】
上記膨張黒鉛に対する上記Nbの重量割合が、5ppm以上50000ppm以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の空気電池用正極。
【請求項5】
上記膨張黒鉛シートのかさ密度が0.2Mg/m以上2.0Mg/m以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の空気電池用正極。
【請求項6】
上記膨張黒鉛シートの厚みが0.10mm以上3.0mm以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の空気電池用正極。
【請求項7】
正極と、負極と、電解液とを備えた空気電池において、
上記正極は、膨張黒鉛とシート内部に分散されたNbとを有する膨張黒鉛シートを含むことを特徴とする空気電池。
【請求項8】
上記Nbは、Nb含有のゾル溶液を用いてシート内部に分散されたものである、請求項7に記載の空気電池。
【請求項9】
上記膨張黒鉛シートにおいて、電解液と接触する面と反対側の面が外気と遮断されている、請求項7又は8に記載の空気電池。
【請求項10】
塩化ニオブ(NbCl)とメチルアルコール(CHOH)とを混合して、Nb(COHを得るステップと、
上記Nb(COHを加水分解することにより[Nb(OH)で示されるNb含有ゾル溶液を得るステップと、
酸処理黒鉛に上記Nb含有ゾル溶液を加えて混合し混合物を作製するステップと、
上記混合物を加熱して膨張化処理を行い、膨張黒鉛を作製するステップと、
上記膨張黒鉛をプレスした後、熱処理して膨張黒鉛シートを作製するステップと、
を有することを特徴とする空気電池用正極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気電池用正極、この正極を用いた空気電池、及び、該正極の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気電池は、リチウム二次電池等と比べて、電池容器内に占める負極活物質の割合を高めることが可能となるため、放電容量が大きくなって、電池の小型化や軽量化が容易となる。また、正極活物質として用いる酸素は資源的な制約がなくクリーンな材料であるため、空気電池は環境負荷が小さい。したがって、空気電池は、電気自動車用電池、ハイブリッド車用電池、燃料電池自動車用電池などへの利用が期待されている。
【0003】
ここで、上記空気電池の正極としては、導電性、化学的安定性、及び酸素由来の水酸化物イオン供給力が要求される。このため、テフロン(登録商標)粉末に活性炭、触媒に加え成形した触媒層を有する空気電池用正極(特許文献1)や、ガスを透過し、液体を透過しない炭素材料を用いた空気電池用正極(特許文献2)が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来の空気電池用正極では、表面に顕在する炭素質成分の表面積が小さくなり、炭素質成分以外の成分によって水酸化物イオンの供給が阻害される。また、特許文献1及び2に開示されるような従来の空気電池用正極では、水酸化物イオン供給に必要な酸素供給に伴い、正極の厚さ方向に酸素ガスを透過させるため、連通気孔を設ける必要がある。ところが、その連通気孔を通じて電解液が蒸発する度合が大きくなるため、電解液が減少する。この結果、電池の出力低下等の不具合を生じるという課題を有していた。更に、上記特許文献2に挙げられたHOPGは高価な材質なため、電池の製造コストが高騰するという課題を有していた。
そこで上記課題を解決するために、膨張黒鉛シートを空気電池用正極として用いることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−189006号公報
【特許文献2】WO2010/084614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、空気電池用正極として通常の膨張黒鉛シートを用いた場合には、放電時の電圧低下が大きくなるという課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、膨張黒鉛シート中に微細なNbを分散させることにより、電池特性を飛躍的に向上させることができる空気電池用正極、この正極を用いた空気電池、及び、該正極の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、膨張黒鉛と、シート内部に分散されたNbとを有する膨張黒鉛シートから成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、微細なNbをシート中に分散させることにより、電池特性(放電特性)が飛躍的に向上するといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の膨張黒鉛シートを用いた電池の説明図。
図2】電池A、Zの時間と電圧との関係を示すグラフ。
図3】Nb仕込み量と、黒鉛シート中のNb含有量及びO含有量との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の空気電池用正極は、膨張黒鉛とシート内部に分散されたNbとを有する膨張黒鉛シートを含むことを特徴とする。
膨張黒鉛シート中にNbを分散させると、電池特性(放電特性)が飛躍的に向上する。
尚、上記空気電池用正極では、上記膨張黒鉛及びNb以外に硫黄、マンガン等を含んでいても良い。
【0012】
上記Nbは、酸化Nbの状態でシート内部に含有されることが好ましい。
これにより、酸素との親和性が高められ、電池特性が向上する。
【0013】
上記Nbは、Nb含有のゾル溶液を用いてシート内部に分散されることが好ましい。
Nb含有のゾル溶液を用いてシート内部に分散させると、膨張黒鉛シート中にナノレベルでNb(酸化Nb)を均一に分散させることができる。これにより、電池特性(放電特性)が飛躍的に向上する。
尚、黒鉛シートの発泡前後にNb(酸化Nb)を紛体として加えてミル等により混合し、その後プレスして成型するする方法(所謂、固相法)を用いることも考えられる。しかしながら、当該方法では、シート内部にNb(酸化Nb)を均一に分散させることは困難なことがあり、しかも、微細な(1μm以下の)Nb(酸化Nb)粉末を入手するのも困難なことがある。
【0014】
上記膨張黒鉛に対する上記Nbの重量割合が、5ppm以上50000ppm以下であることが望ましく、更に50ppm以上5000ppm以下であることが望ましい。
当該割合が5ppm未満であると、Nbの添加効果が十分に発揮されない場合がある一方、当該割合が50000ppmを超えると、膨張黒鉛シートとしての特性が低下する恐れがある。
【0015】
上記膨張黒鉛シートのかさ密度が0.2Mg/m以上2.0Mg/m以下であることが望ましい。
膨張黒鉛シートのかさ密度が0.2Mg/m未満であると、シートの形状崩壊が起こり易くなることがある。一方、膨張黒鉛シートのかさ密度が2.0Mg/mを超えると、膨張黒鉛粒子間の微細隙間が不足して、外気の導通量が不十分となることがあり、しかも、電解液と接触する表面積が小さくなる。この結果、電池性能が低下する。このようなことを考慮すれば、上記膨張黒鉛シートのかさ密度は0.3Mg/m以上1.5Mg/m以下であることが一層望ましく、特に、0.3Mg/m以上0.75Mg/m以下であることが望ましい。
【0016】
上記膨張黒鉛シートの厚みが0.1mm以上3.0mm以下であることが望ましい。
膨張黒鉛シートの厚みが0.1mm未満であると、含有する大気の量が不足して、酸素の供給量が不十分となることがあり、しかも、電解液と接触する表面積が小さくなる一方、膨張黒鉛シートの厚みが3.0mmを超えると、電池内における正極の割合が高くなりすぎて、電池の高容量化が阻害されることがある。電池の高容量化という観点からは、上記膨張黒鉛シートの厚みは0.80mm以下であることが特に望ましい。
【0017】
また、本発明は、正極と、負極と、電解液とを備えた空気電池において、上記正極は、膨張黒鉛とシート内部に分散されたNbとを有する膨張黒鉛シートを含むことを特徴とする。
上記Nbは、Nb含有のゾル溶液を用いてシート内部に分散されたものであることが望ましい。
これにより、上述の如く、膨張黒鉛シート中にナノレベルでNbを均一に分散させることができる。
【0018】
また、膨張黒鉛シートにおいて、電解液と接触する面と反対側の面が外気と遮断されていることが望ましい。
電解液と接触する面と反対側の面が外気と遮断されていることで、厚さ方向でのガス透過が防がれて、電解液の蒸発をより抑制することができる。
【0019】
また、本発明は、塩化ニオブ(NbCl)とメチルアルコール(CHOH)とを混合して、Nb(COHを得るステップと、上記Nb(COHを加水分解することにより[Nb(OH)で示されるNb含有ゾル溶液を得るステップと、酸処理黒鉛に上記Nb含有ゾル溶液を加えて混合し混合物を作製するステップと、上記混合物を加熱して膨張化処理を行い、膨張黒鉛を作製するステップと、上記膨張黒鉛をプレスした後、熱処理して膨張黒鉛シートを作製するステップと、を有することを特徴とする。
【実施例】
【0020】
(実施例)
図1に示すように、本発明の空気電池は、負極としてのアルミニウム箔(厚さ:0.1mm)1と、電解液としての食塩水(0.1mol/L)が含浸された紙製のウエス(日本製紙クレシア株式会社製 商品名:キムワイプ)2と、正極としてのNb含有膨張黒鉛シート3とが順に積層された積層体を備え、2枚の1mm厚のアクリル樹脂製板4の間に上記積層体が挟まれた構造となっている。尚、正極としての膨張黒鉛シート3の端面周囲は外気に解放された状態としている。
【0021】
ここで、上記正極としてのNb含有膨張黒鉛シートは、以下のようにして作製した。
(酸処理黒鉛の作製)
先ず、濃度98%の濃硫酸100重量部に、酸化剤としての過酸化水素を5重量部添加した酸処理液に、灰分が0.01重量%以下の天然黒鉛を30分浸漬し攪拌して反応させた。次に、この反応物を上記酸処理液から取り出した後、十分水洗することにより、pHを7に近付け、更に乾燥を行うことにより、粒度30〜100メッシュの酸処理黒鉛を作製した。
【0022】
(Nb含有のゾル溶液の作製)
上記酸処理黒鉛の作製と並行して、以下に示す方法でNb含有のゾル溶液を作製した。
先ず、塩化ニオブ(NbCl)とメチルアルコール(CHOH)とを混合することにより、下記(1)式に示す反応が生じ、これによりNb(COHを得た。
NbCl+5CHOH→Nb(COH+5HCl・・・(1)
次に、nNb(COHを室温で24時間静置することにより、下記(2)式に示す加水分解反応が生じ、これにより、[Nb(OH)で示されるNb含有ゾル溶液を得た。
nNb(COH+5nHO→[Nb(OH)+5nCHOH・・・(2)
【0023】
(Nb含有膨張黒鉛シートの作製)
上記酸処理黒鉛に上記Nb含有ゾル溶液を加え〔下記(3)式に示すNb仕込み量は10000ppmとした〕、混合して風乾させた。次に、この混合物を、1000℃の電気炉内で30秒加熱し、膨張化処理を行った。得られた膨張黒鉛を、プレスした後、500℃で1時間大気中において熱処理することによりNb含有膨張黒鉛シートを得た。このNb含有膨張黒鉛シートの大きさは30mm×30mm、厚みは0.5mm、かさ密度は0.66Mg/mであった。
【0024】
Nb仕込み量=Nbの重量/酸処理黒鉛・・・(3)
ここで、上記大気中での熱処理時には、下記(4)式に示す反応が生じ、黒鉛シート中にNbが形成された。
2[Nb(OH)→nNb+5nHO・・・(4)
作製した膨張黒鉛シート中のNb量をEPMA(電子線マイクロアナライザ)により測定したところ、重量比で、Nb含有量は740ppm、O含有量は270ppmであった。尚、NbおよびOの含有量はEPMAのNbLα線およびOKα線の強度から算出した。
このようにして作製した空気電池を、以下、電池Aと称する。
【0025】
(比較例)
酸処理黒鉛にNb含有のゾル溶液を添加しなかったこと以外は、上記実施例と同様にして空気電池を作製した。
このようにして作製した空気電池を、以下、電池Zと称する。
【0026】
(実験1)
上記電池A、Zを、電流値0.5mAで定電流放電し、時間と電圧との関係を調べたので、その結果を図2に示す。
図2から明らかなように、Nb含有膨張黒鉛シートを用いた電池Aでは6000時間経過しても電圧が低下していないのに対して、Nbを含有していない膨張黒鉛シートを用いた電池Zでは放電当初より電圧が低下し、2000時間程度で電圧が略0Vになっていることが認められる。
【0027】
(実験2)
酸処理黒鉛にNb含有ゾル溶液を加える際、Nb仕込み量を変化させて、黒鉛シート中のNb含有量とO含有量とについて調べたので、その結果を図3に示す。尚、Nb仕込み量は0ppm、500ppm、3000ppm、5000ppm、7000ppm、及び10000ppmとした。
図3から明らかなように、Nb仕込み量が増加するにつれて、黒鉛シート中のNb含有量とO含有量とが増加していることが認められる。このことから、ニオブ系酸化物半導体(酸化Nb)を、膨張黒鉛シート中に分散させることができたと推測できる。
【0028】
(その他の事項)
(1)原料である黒鉛としては、上記天然黒鉛に限定するものではなく、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛などであっても良いが、工業的に入手が容易な天然鱗片状黒鉛を使用するのが好ましい。また、黒鉛の粒度は30〜100メッシュのものを使用することが望ましい。
【0029】
(2)上記酸処理時に用いる硫酸としては、濃硫酸に限定するものではなく、無水硫酸、発煙硫酸等、硫黄成分を含んでいれば良いが、工業的には、濃度90%以上、好ましくは濃度95〜98%の濃硫酸を使用するのが望ましい。また、黒鉛の浸漬、撹拌時間は30分に限定するものではないが、一般的には、15〜60分程度であることが望ましい。
【0030】
(3)酸化剤としては、上記過酸化水素に限定するものではなく、過酸化アンモニウム、過酸化カリウム等であっても良く、またその添加量は硫酸100重量部に対して、1〜10重量部であれば良い。
【0031】
(4)酸処理黒鉛を中和する方法としては十分な水洗を行うことに限定するものではなく、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩等から選択される固体中和剤を用いて行っても良い。
【0032】
(5)本発明は上記アルミニウム空気電池に限定するものではなく、亜鉛空気電池、鉄空気電池、マグネシウム空気電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池等にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、補聴器用電池、電気自動車用電池、ハイブリッド車用電池、燃料電池自動車用電池等として用いることができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】